JP2024080618A - 電子ビーム装置の調整方法、装置及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】荷電粒子マルチビーム装置において1次光学系の調整時間を短縮できる技術を提供する。【解決手段】1次荷電粒子ビームを所定のパターンを有する照射対象に照射し、照射位置が2次元的に照射対象上を走査するようスキャン偏向器によって1次荷電粒子ビームを偏向させ、照射対象からの2次荷電粒子ビームによって形成される画像を取得するステップと、画像上でのパターンの直交度が目標値に近づくようスキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整するステップと、画像上でのパターンの縦横比および回転が目標値に近づくようスキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整するステップと、画像上でのパターンの倍率が目標値に近づくようスキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整するステップと、を含み、直交度調整ステップと、縦横比および回転調整ステップと、倍率調整ステップとを、この順に行うことを特徴とする。【選択図】 図4

Description

本発明は、荷電粒子マルチビーム装置の1次光学系の調整を行う方法、装置及びプログラムに関する。
電子ビームを試料に照射し、試料から放出された電子ビームを観察する電子線観察装置が知られている(例えば特許文献1)。電子線観察装置は、試料に1次電子ビームを照射する1次光学系と、試料から生じる2次電子ビームを画像として検出する2次光学系から構成される。
1次光学系における1次電子ビームを複数の電子で構成することにより、高スループット化を図れる。このような電子線観察装置においては、電子源から放出された電子ビームは、複数の開口が設けられたマルチビーム発生機構を通過することで、複数の1次電子から構成される1次電子ビームが生成される。生成された1次電子ビームは、転送レンズおよび対物レンズによって個々に集束され、試料の複数の箇所に等間隔に離散して照射される。また、1次電子ビームは、転送レンズと対物レンズとの間に配置されたスキャン偏向器によって2次元的に試料上を走査するよう偏向される。これにより、離散的に照射される1次電子ビームが試料上に万遍なく照射される。
1次光学系が有するスキャン偏向器は、X方向およびY方向にそれぞれ電界または磁界を形成するための複数の電極またはコイルを有している。ここで、複数の電極またはコイルは、電子ビーム軸がその中心を通るようにX方向およびY方向のそれぞれに対称的に配置されていることが望ましく、またこのX方向、Y方向が表示画面上のX方向、Y方向と一致していることが望ましいが、実際はいくらかいびつな配置になっている。このような場合、画面に映し出される画像にも歪みや回転が生じてしまう。したがって、電子線観察装置においては、画像上での歪みや回転がなくなるようスキャン偏向器の各電極またはコイルに供給される電圧または電流を調整することが重要である。特許文献2には、像の回転(Rotation)、直交度(Orthgonality)、縦横比(Aspect ratio)および倍率(Magnification)(以下、これらをまとめてROAMと呼ぶことがある。)の調整に用いることができる制御回路の一例が開示されている。
特表2000-48755号公報 特開2000-311644号公報
ところで、ROAMを順に調整する場合、その順序によっては、戻り作業(前に行った調整のし直し)が必要になることがある。たとえば、縦横比の調整が終わった状態で、次に直交度を調整しようとすると、直交度の変更に伴って縦横比も変更されてしまうため、縦横比の調整のし直しが必要となる。戻り作業が生じると、その分、調整時間が延びてしまう。
本発明は、以上のような点を考慮してなされたものである。本発明の目的は、荷電粒子マルチビーム装置において1次光学系の調整時間を短縮できる技術を提供することにある。
本発明の第1の態様に係る方法は、
複数の1次荷電粒子から構成される1次荷電粒子ビームをステージ上の試料に照射する1次光学系と、前記1次荷電粒子ビームが照射された試料から放射される複数の2次荷電粒子から構成される2次荷電粒子ビームを検出器で検出する2次光学系と、を備える荷電粒子マルチビーム装置の前記1次光学系の調整を行う方法であって、
前記1次荷電粒子ビームを前記ステージ上の所定のパターンを有する照射対象に照射し、照射位置が2次元的に前記照射対象上を走査するようスキャン偏向器によって前記1次荷電粒子ビームを偏向させ、前記照射対象からの2次荷電粒子ビームによって形成される画像を取得するステップと、
前記画像上での前記パターンの直交度を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する、直交度調整ステップと、
前記画像上での前記パターンの縦横比および回転を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する、縦横比および回転角調整ステップと、
前記画像上での前記パターンの倍率を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する、倍率調整ステップと、
を含み、
前記直交度調整ステップと、前記縦横比および回転調整ステップと、前記倍率調整ステップとを、この順に行うことを特徴とする。
このような態様によれば、直交度の調整と、縦横比および回転の調整と、倍率の調整とを、この順に行うことで、戻り作業(前に行った調整のし直し)を無くすことができる。これにより、荷電粒子マルチビーム装置において1次光学系の調整時間を短縮できる。
本発明の第2の態様に係る方法は、第1の態様に係る方法であって、
前記縦横比および回転調整ステップは、
前記画像上での前記パターンの縦横比を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する、縦横比調整ステップと、
前記画像上での前記パターンの回転を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する、回転調整ステップと、
を含み、
前記縦横比調整ステップと、前記回転調整ステップとを、この順に行うことを特徴とする。
本件発明者が複数の技術者にヒアリングを行ったところ、経験的に、回転を調整する前に縦横比を調整する方が、回転を調整した後に縦横比を調整する場合に比べて、戻り作業が少なくなることが分かった。したがって、このような態様によれば、縦横比の調整と、回転の調整とを、この順に行うことで、戻り作業(前に行った調整のし直し)を減らすことができるため、調整時間をさらに短縮できる。
本発明の第3の態様に係る方法は、第1または2の態様に係る方法であって、
前記照射対象上での前記パターンの形状は正方形であることを特徴とする。
このような態様によれば、照射対象上でのパターンの形状が正方形であることで、画像上でのパターンの回転、直交度、縦横比および倍率が目標値からずれていることが分かりやすく、回転、直交度、縦横比および倍率を容易に調整することが可能である。
本発明の第4の態様に係る方法は、第1~3のいずれかの態様に係る方法であって、
前記倍率調整ステップでは、
倍率レンズに第1の電圧または電流A1を供給した状態で、前記画像上での前記パターンの倍率および照射位置間のピッチを測定し、それぞれの測定値の目標値からの誤差ΔM1、ΔP1を求め、
前記倍率レンズに第2の電圧または電流A2を供給した状態で、前記画像上での前記パターンの倍率および照射位置間のピッチを測定し、それぞれの測定値の目標値からの誤差ΔM2、ΔP2を求め、
前記倍率レンズに供給される電圧または電流と前記誤差とを2軸とするグラフ上で、(A1、ΔM1)と(A2、ΔM2)とを結ぶ直線と、(A1、ΔP1)と(A2、ΔP2)とを結ぶ直線との交点における前記電圧または電流の値A3を求め、
前記倍率レンズに前記求めた電圧または電流A3を供給した状態で、前記画像上での前記パターンの倍率を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する。
スキャン偏向器で倍率を調整した後に倍率レンズで照射位置間のピッチを調整しようとすると、倍率レンズの調整に伴って倍率も変更されてしまうため、倍率の調整のし直しが必要になる。これに対し、第4の態様によれば、倍率の調整と同時に照射位置間のピッチも調整されるため、戻り作業(前に行った調整のし直し)を減らすことができ、調整時間をさらに短縮できる。
本発明の第5の態様に係る方法は、第1~3のいずれかの態様に係る方法であって、
前記画像上での照射位置の配置の回転を測定し、その測定値が目標値に近づくよう転送レンズに供給される電圧または電流を調整する、照射位置回転調整ステップと、
前記画像上での照射位置間のピッチを測定し、その測定値が目標値に近づくよう倍率レンズに供給される電圧または電流を調整する、照射位置ピッチ調整ステップと、
をさらに含み、
前記直交度調整ステップと、前記縦横比および回転調整ステップと、前記倍率調整ステップとを、前記照射位置回転調整ステップおよび照射位置ピッチ調整ステップより前に行うことを特徴とする。
このような態様によれば、画像上でのパターンの回転、直交度、縦横比および倍率を先に調整しておくため、画像上での照射位置間のピッチおよび照射位置の配置の回転を正確に測定できる。
本発明の第6の態様に係る方法は、第5の態様に係る方法であって、
前記照射位置回転調整ステップと、前記照射位置ピッチ調整ステップとを、この順に行うことを特徴とする。
このような態様によれば、照射位置の配置の回転の調整と、照射位置間のピッチの調整とを、この順に行うことで、戻り作業(前に行った調整のし直し)を無くすことができるため、調整時間を短縮できる。
本発明の第7の態様に係る装置は、
複数の1次荷電粒子から構成される1次荷電粒子ビームをステージ上の試料に照射する1次光学系と、前記1次荷電粒子ビームが照射された試料から放射される複数の2次荷電粒子から構成される2次荷電粒子ビームを検出器で検出する2次光学系と、を備える荷電粒子マルチビーム装置の前記1次光学系の調整を行う装置であって、
命令を記憶するメモリと、
前記1次荷電粒子ビームを前記ステージ上の所定のパターンを有する照射対象に照射し、照射位置が2次元的に前記照射対象上を走査するようスキャン偏向器によって前記1次荷電粒子ビームを偏向させ、前記照射対象からの2次荷電粒子ビームによって形成される画像を取得するステップと、
前記画像上での前記パターンの直交度を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する、直交度調整ステップと、
前記直交度調整ステップの後に、前記画像上での前記パターンの縦横比および回転を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する、縦横比および回転調整ステップと、
前記縦横比および回転調整ステップの後に、前記画像上での前記パターンの倍率を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する、倍率調整ステップと、
を行うための前記命令を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、
を備える。
本発明の第8の態様に係るプログラムは、
複数の1次荷電粒子から構成される1次荷電粒子ビームをステージ上の試料に照射する1次光学系と、前記1次荷電粒子ビームが照射された試料から放射される複数の2次荷電粒子から構成される2次荷電粒子ビームを検出器で検出する2次光学系と、を備える荷電粒子マルチビーム装置の前記1次光学系の調整を行うためのプログラムであって、
コンピュータに、
前記1次荷電粒子ビームを前記ステージ上の所定のパターンを有する照射対象に照射し、照射位置が2次元的に前記照射対象上を走査するようスキャン偏向器によって前記1次荷電粒子ビームを偏向させ、前記照射対象からの2次荷電粒子ビームによって形成される画像を取得するステップと、
前記画像上での前記パターンの直交度を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する、直交度調整ステップと、
前記直交度調整ステップの後に、前記画像上での前記パターンの縦横比および回転を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する、縦横比および回転調整ステップと、
前記縦横比および回転調整ステップの後に、前記画像上での前記パターンの倍率を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する、倍率調整ステップと、
を実行させる。
本発明の第9の態様に係る荷電粒子マルチビーム装置は、第7の態様に係る装置を備える。
本発明によれば、荷電粒子マルチビーム装置において1次光学系の調整時間を短縮できる。
図1Aは、一実施の形態に係る荷電粒子マルチビーム装置の概略構成を示す図である。 図1Bは、検出器の概略構成を示す図である。 図1Cは、一変形例に係る荷電粒子マルチビーム装置の概略構成を示す図である。 図2は、マルチビーム発生機構における開口の配置の一例を示す平面図である。 図3は、図2に示す配置の開口を通過した各荷電粒子ビームの、照射対象上でのスキャン領域を示す平面図である。 図4は、第1の実施の形態に係る調整方法の手順を示すフローチャートである。 図5は、ステップS10で得られる画像の一例を示す図である。 図6Aは、直交度調整ステップ(ステップS11)を説明するための図である。 図6Bは、縦横比調整ステップ(ステップS12)を説明するための図である。 図6Cは、回転調整ステップ(ステップS13)を説明するための図である。 図6Dは、倍率調整ステップ(ステップS14)を説明するための図である。 図7は、ステップS15で得られる画像の一例を示す図である。 図8Aは、照射位置回転調整ステップ(ステップS16)を説明するための図である。 図8Bは、照射位置ピッチ調整ステップ(ステップS17)を説明するための図である。 図9Aは、転送レンズに供給する電流値と照射位置の配置の回転との相関関係を示すテーブルである。 図9Bは、転送レンズに供給する電流値と照射位置の配置の回転との相関関係を示すグラフである。 図10Aは、倍率レンズに供給する電圧値と照射位置間のピッチとの相関関係を示すテーブルである。 図10Bは、倍率レンズに供給する電圧値と照射位置間のピッチとの相関関係を示すグラフである。 図11は、複数の1次荷電粒子から構成される1次荷電粒子ビームを生成する構成の一変形例を説明するための図である。 図12は、第2の実施の形態に係る調整方法の手順を示すフローチャートである。 図13は、第2の実施の形態における倍率調整ステップ(ステップS140)の具体的な手順を示すフローチャートである。 図14は、倍率レンズに供給する電圧値と画像上でのパターンの倍率および照射位置間のピッチとの相関関係を示すグラフである。
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明および以下の説明で用いる図面では、同一に構成され得る部分について、同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
図1Aは、一実施の形態に係る荷電粒子マルチビーム装置1の概略構成を示す図である。なお、以下では、荷電粒子マルチビーム装置1の一例として、電子マルチビーム装置について説明するが、電子マルチビーム装置はあくまでも一例であり、本実施の形態に係る荷電粒子マルチビーム装置は、電子マルチビーム装置に限定されるものではなく、たとえば、イオンマルチビーム装置であってもよい。また、荷電粒子マルチビーム装置1は、観察装置(たとえば顕微鏡)であってもよいし、露光装置であってもよい。荷電粒子マルチビーム装置1の処理対象である試料は、シリコンウエハ、ガラスマスク、半導体基板、半導体パターン基板、または金属膜を有する基板などであってもよい。
図1Aに示すように、荷電粒子マルチビーム装置1は、試料を保持するステージ16と、ステージ16上の試料に荷電粒子マルチビームを照射する1次光学系10(照射系またはマルチビーム光学系とも呼ばれる)と、試料からの信号電子(二次電子、反射電子など)の拡大像を検出器28に結像させる2次光学系20(結像系または投影光学系とも呼ばれる)と、制御装置3とを有している。
このうち1次光学系10aは、ステージ16上の試料の複数箇所に複数の1次荷電粒子から構成される1次荷電粒子ビームを集束して照射するものであり、荷電粒子源11と、マルチビーム発生機構12と、倍率レンズ18と、転送レンズ13と、ビーム分離器14と、対物レンズ15と、ステージ16と、スキャン偏向器17とを有している。
荷電粒子源11は、不図示のコラム(真空管)の一端に設けられており、コラム内に荷電粒子ビーム(たとえば電子線)を放出する。荷電粒子源11としては、たとえば、特開2012-253007に記載されたような、レーザ光源と光電面とを有する光電子源を使用することができる。光電子源に使用される光電面構造は、高効率を実現できる。なお、荷電粒子源11としては、荷電粒子ビーム(たとえば電子線)を放出できるものであれば、光電子源に限定されず、たとえば、LaB6などの電子銃を使用することもできる。
荷電粒子源11から放出された荷電粒子ビームは、適宜、加速器(不図示)によって加速されるとともにレンズ(不図示)によって拡げられ、マルチビーム発生機構12に入射する。
マルチビーム発生機構12には、マルチビームを通過させる複数の開口が形成されている。図2は、マルチビーム発生機構12における開口の配置の一例を示す平面図である。荷電粒子源11からの荷電粒子ビームは、マルチビーム発生機構12に形成された複数の開口を通過することにより、複数の1次荷電粒子から構成される1次荷電粒子ビームが生成される。生成された1次荷電粒子ビームは、倍率レンズ18、転送レンズ13、ビーム分離器14および対物レンズ15によって個々に集束され、ステージ16上に載置された試料の複数の箇所に等間隔に離散して照射される。
なお、図2に示す例では、マルチビーム発生機構12において、荷電粒子ビームを通過させる複数の開口が四角格子状(マトリクス状)に配置されているが、複数の開口が互いに等間隔(等ピッチ)で配置されている限りでは、複数の開口の配置は四角格子状(マトリクス状)に限定されるものではなく、たとえば、三角格子状であってもよい。
図1Aおよび図2に示す例では、複数の開口を有するマルチビーム発生機構12を用いて複数の1次荷電粒子から構成される1次荷電粒子ビームを生成するものであったが、1次荷電粒子ビームを生成するための構成は、複数の開口を有するマルチビーム発生機構12を用いるものに限定されるものではなく、たとえば、図11に示すように、荷電粒子源1およびマルチビーム発生機構12の代わりに、複数の荷電粒子源111~113が設けられており、荷電粒子源111~113のそれぞれが1つの荷電粒子ビームを放出することにより、複数の1次荷電粒子から構成される1次荷電粒子ビームが生成されてもよい。なお、マルチビーム発生機構12としては、複数の開口を有するもの(図1A、図2参照)とともに、フィールドエミッターアレイ(たとえば特開2005-213567の図10参照)や単一の一次荷電粒子ビーム鏡筒を複数束ねたマルチ鏡筒(たとえば特開2005-197121の図3、8、9参照)が知られているが、これに限らない。
なお、図11では、模式的に3つの荷電粒子源111~113が示されているが、その数に特に制限はなく、たとえば数個~1000個あるいはそれ以上であってもよい。また、後述する図1Cに示す荷電粒子マルチビーム装置1の荷電粒子源1およびマルチビーム発生機構12に代えて複数の荷電粒子源111~113が設けられていてもよい。
スキャン偏向器17は、転送レンズ13と対物レンズ15との間に配置されており、1次荷電粒子ビームの進行方向をXY方向に偏向させる。これにより、離散的に照射される1次荷電粒子ビームが、試料上を2次元に万遍なく走査(スキャン)される。図3は、図2に示すような四角格子状(マトリクス状)の配置の開口を通過した各荷電粒子ビームの、試料面上でのスキャン領域を示す平面図である。
2次光学系20は、1次荷電粒子ビームが照射された試料から放射される複数の2次荷電粒子から構成される2次荷電粒子ビームを検出器28で検出するものであり、対物レンズ15と、ビーム分離器14と、ビームベンダ21と、投影レンズ27と、開口絞り26と、検出器28とを有している。なお、対物レンズ15およびビーム分離器14は1次光学系と共用される。
試料からの2次荷電粒子ビームは対物レンズ15によって集束される。そして、電界と磁界の重畳界を形成するビーム分離器14により、2次荷電粒子ビームは1次光学系20とは異なる方向に曲げられる。2次荷電粒子ビームはビームベンダ21によってさらに曲げられる。
2次荷電粒子ビームは投影レンズ27によって光軸付近に近づけられる。開口絞り26は、複数の2次荷電粒子が光軸中心で互いに最も近接する位置に配置される。開口絞り26は開口部を有しており、開口部を通過した2次荷電粒子ビームのみが投影レンズ27に到達する。これにより、2次荷電粒子ビームの開き角が規定される。
図1Cは、一変形例に係る荷電粒子マルチビーム装置1の概略構成図である。図1Cに示すように、図1Aに示す荷電粒子マルチビーム装置の2次光学系20に対し、第1リレーレンズ22と、第2リレーレンズ23と、フィールドレンズ25とを追加してもよい。この場合、投影レンズ27は、開口絞り26と検出器28との間に配置される。
図1Cに示す荷電粒子マルチビーム装置1において、第1リレーレンズ22および第2リレーレンズ23は、2次荷電粒子ビームが、試料の電位に関わらず、フィールドレンズ25のレンズ主面近傍における一定の位置に一定のサイズで結像するように調整する。これら第1リレーレンズ22および第2リレーレンズ23を設けることで、幅広い試料電位に対応できる。
フィールドレンズ25は、開口絞り26の位置近傍において、2次荷電粒子ビームを構成する複数の2次荷電粒子が光軸中心で互いに最も近接するよう、電界または磁界を発生させて2次荷電粒子ビームの軌道を調整する。言い換えると、開口絞り26は、複数の2次荷電粒子が光軸中心で互いに最も近接する位置に配置される。
投影レンズ27は開口絞り26の開口部を通過した2次荷電粒子ビームを検出器28上に結像させる。
図1Bは、検出器28の概略構成を示す図である。図1Bに示すように、検出器28は、たとえばシンチレータ281と、光増幅器282と、イメージセンサ283(たとえばCMOSイメージセンサ)と、拡大レンズ284と、ハーフミラー285とを有している。
試料上の複数箇所から放出された2次荷電粒子は、シンチレータ281上で結像し、シンチレータ281に到達した2次荷電粒子ビームの多寡に応じた光がシンチレータ281から生じる。生じた光は発散光であるので、光路に配置された拡大レンズ284を用いて拡大投影される。拡大レンズ284を通過した光は、その一部がハーフミラー285を通過して光増幅器282に向かい、また、その一部がハーフミラー285によって反射されてイメージセンサ283に向かう。前者の光は光増幅器282によって電気信号に変換され、2次荷電粒子ビームの多寡に応じたビーム本数の走査画像(SEM画像)が形成される。後者の光はイメージセンサ283上に結像し、2次荷電粒子ビームによる画像が得られる。検出器28にて取得された画像は、制御装置3のディスプレイ(不図示)に表示される。
制御装置3は、1または複数のコンピュータから構成されており、1次光学系10および2次光学系20の各構成要素に制御信号を送信してその動作の制御を行う。制御装置3は、命令を記憶するメモリと、メモリに記憶された命令を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサとを有している。
ところで、1次光学系10におけるスキャン偏向器17は、X方向およびY方向にそれぞれ電界または磁界を形成するための複数の電極またはコイル(不図示)を有している。電極またはコイルの数は、X方向およびY方向にそれぞれ電界または磁界を形成できる限りでは特に限定されるものではなく、たとえば4極、8極、または12極であってもよい。電極またはコイルは1次荷電粒子ビームの光軸方向に対して1段で配置されていてもよいし、2段で配置されていてもよい。各電極またはコイルにそれぞれ供給されるレンズパワー(電圧または電流)に応じて、形成される電界または磁界の向きおよび大きさが調整される。
ここで、複数の電極またはコイルは、1次荷電粒子ビームの光軸がその中心を通るようにX方向およびY方向のそれぞれに対称的に配置されていることが望ましく、またこのX方向、Y方向が表示画面上のX方向、Y方向と一致していることが望ましいが、実際はいくらかいびつな配置になっている。このような場合、制御装置3のディスプレイに映し出される画像にも歪みや回転が生じてしまう。したがって、荷電粒子マルチビーム装置1においては、画像上での歪みや回転がなくなるようスキャン偏向器17の各電極またはコイルに供給されるレンズパワー(電圧または電流)を調整することが重要である。
以下では、図4を参照し、制御装置3の動作の一例であって、一実施の形態に係る荷電粒子マルチビーム装置1の1次光学系10の調整を行う方法について説明する。図4は、第1の実施の形態に係る調整方法の手順を示すフローチャートである。なお、以下に説明する各ステップは、制御装置3のプロセッサがメモリに記憶された命令に基づいて自動的に実行してもよいし、オペレータが制御装置3を手動で操作して実行してもよい。
図4に示すように、まず、所定のパターンを有する照射対象(サンプルプレート)をステージ16上に載置させ、マルチビーム発生機構12により生成される1次荷電粒子ビームを当該照射対象に照射し、照射位置が2次元的に照射対象上を走査するようスキャン偏向器17によって1次荷電粒子ビームを偏向させ、照射対象からの2次荷電粒子ビームによって形成される画像を取得する(ステップS10)。図5は、取得される画像130の一例を示す図である。図5に示すように、画像130には、照射対象上のパターンに対応するパターン131が映し出される。照射対象上のパターンの形状は、たとえば10μmピッチでマトリクス状に等間隔で配置された正方形のパターンおよび円形のパターンであってもよい。
次に、図6Aを参照し、画像130上でのパターン131の直交度θ1を測定し、その測定値が目標値(照射対象上のパターンの形状が正方形である場合には90°)に近づくよう(目標値との誤差が所定の規格内に収まるよう)、スキャン偏向器17の各電極またはコイルに供給されるレンズパワー(電圧または電流)を調整する(ステップS11)。ここで、正方形のパターン131の直交度の調整では、縦辺および横辺のうちの一方を他方に対して90°の向きになるよう回転させるため、パターン131の縦横比や回転が変わってしまう可能性があるが、後述するように、パターン131の縦横比および回転の調整は、直交度の調整の後に行うため、縦横比および回転の調整のし直しが生じることはない。
次に、図6Bを参照し、画像130上でのパターン131の縦横比A:Bを測定し、その測定値が目標値(照射対象上のパターンの形状が正方形である場合には1:1)に近づくよう(目標値との誤差が所定の規格内に収まるよう)、スキャン偏向器17の各電極またはコイルに供給されるレンズパワー(電圧または電流)を調整する(ステップS12)。ここで、正方形のパターン131の縦横比の調整では、縦辺および横辺のうちの一方の長さを他方の長さと一致するよう拡大または縮小させるため、パターン131の倍率が変わってしまうが、後述するように、パターン131の倍率の調整は、縦横比の調整の後に行うため、倍率の調整のし直しが生じることはない。
また、本件発明者が複数の技術者にヒアリングを行ったところ、経験的に、回転を調整する前に縦横比を調整する方が、回転を調整した後に縦横比を調整する場合に比べて、戻り作業が少なくなることが分かった。本実施の形態では、後述するように、パターンの回転の調整を、縦横比の調整の後に行うため、経験的に、戻り作業を減らすことができる。
次に、図6Cを参照し、画像130上でのパターン131の回転θ2を測定し、その測定値が目標値(照射対象上のパターンの形状が正方形である場合には各辺の向きが表示画面上のX方向およびY方向と一致した状態)に近づくよう(目標値との誤差が所定の規格内に収まるよう)、スキャン偏向器17の各電極またはコイルに供給されるレンズパワー(電圧または電流)を調整する(ステップS13)。
次に、図6Dを参照し、画像130上でのパターン131の倍率C/C0を測定し、その測定値が目標値(たとえば1)に近づくよう(目標値との誤差が所定の規格内に収まるよう)、スキャン偏向器17の各電極またはコイルに供給されるレンズパワー(電圧または電流)を調整する(ステップS14)。
次に、スキャン偏向器17による1次荷電粒子ビームの走査を停止し、1次荷電粒子ビームの照射位置を一定時間(たとえば1分間)静止させることで、図7に示すように、照射対象上に照射位置に対応する照射痕132を付ける(ステップS15)。
次に、図8Aを参照し、画像130上での照射位置(照射痕132)の配置の回転θ3を測定し、その測定値が目標値(照射位置の並びが表示画面上のX方向またはY方向と一致した状態)に近づくよう、転送レンズ13の各電極またはコイルに供給されるレンズパワー(電圧または電流)を調整する(ステップS16)。具体的には、たとえば、図9Aおよび図9Bに示すように、あらかじめシミュレーションを行って、転送レンズ13に供給するレンズパワー(たとえば電流値)と照射位置(照射痕132)の配置の回転θ3との相関関係を示すテーブルまたはグラフを用意しておく。そして、たとえば、画像130上での照射位置(照射痕132)の配置の回転θ3が5°であった場合には、図9Aおよび図9Bを参照し、転送レンズ13に供給するレンズパワーを3.98に変更(調整)する。これにより、照射位置の並びが表示画面上のX方向またはY方向と一致した状態に調整される。なお、転送レンズ13に供給するレンズパワーを変更する場合、像のフォーカスが変わるため、像のフォーカスが変わらないよう、対物レンズ15に供給するレンズパワーも調整することが望ましい。
次に、図8Bを参照し、画像130上での照射位置(照射痕132)間のピッチDを測定し、その測定値が目標値に近づくよう、倍率レンズ18の各電極またはコイルに供給されるレンズパワー(電圧または電流)を調整する(ステップS17)。具体的には、たとえば、図10Aおよび図10Bに示すように、あらかじめシミュレーションを行って、倍率レンズ18に供給するレンズパワー(たとえば電圧値)と照射位置(照射痕132)間のピッチDとの相関関係を示すテーブルまたはグラフを用意しておく。そして、たとえば、画像130上での照射位置(照射痕132)間のピッチDが目標値に対して5%大きかった場合には、図10Aおよび図10Bを参照し、倍率レンズ18に供給するレンズパワーを-16.46に変更(調整)する。これにより、照射位置間のピッチが目標値と一致するよう調整される。
必ずしも必須ではないが、ステップS17の後、微調整のために、ステップS11~S14をこの順に繰り返してもよい。この場合、ステップS11、S12を省略してもよい。
ところで、発明が解決しようとする課題の欄でも言及したように、像の回転(Rotation)、直交度(Orthgonality)、縦横比(Aspect ratio)および倍率(Magnification)を順に調整する場合、その順序によっては、戻り作業(前に行った調整のし直し)が必要になることがある。たとえば、縦横比の調整が終わった状態で、次に直交度を調整しようとすると、直交度の変更に伴って縦横比も変更されてしまうため、縦横比の調整のし直しが必要となる。戻り作業が生じると、その分、調整時間が延びてしまう。
これに対し、本実施の形態によれば、直交度の調整と、縦横比および回転の調整と、倍率の調整とを、この順に行うことで、戻り作業(前に行った調整のし直し)を無くすことができる。これにより、荷電粒子マルチビーム装置1において1次光学系10の調整時間を短縮できる。
また、本実施の形態によれば、縦横比および回転の調整では、縦横比の調整と、回転の調整とを、この順に行うことで、経験的に、戻り作業(前に行った調整のし直し)を減らすことができるため、調整時間をさらに短縮できる。
また、本実施の形態によれば、照射対象上でのパターンの形状が正方形であることで、画像130上でのパターン131の回転、直交度、縦横比および倍率が目標値からずれていること(目標値に対する誤差)が分かりやすく、回転、直交度、縦横比および倍率を容易に調整することが可能である。
また、本実施の形態によれば、画像130上での照射位置間のピッチおよび照射位置の配置の回転の調整を行う前に、画像130上でのパターン131の回転、直交度、縦横比および倍率を先に調整しておくため、画像130上での照射位置間のピッチおよび照射位置の配置の回転を正確に測定して調整することができる。
また、本実施の形態によれば、照射位置の配置の回転の調整と、照射位置間のピッチの調整とを、この順に行うことで、戻り作業(前に行った調整のし直し)を無くすことができるため、調整時間を短縮できる。
次に、図12を参照し、制御装置3の動作の別の一例であって、一実施の形態に係る荷電粒子マルチビーム装置1の1次光学系10の調整を行う方法について説明する。図12は、第2の実施の形態に係る調整方法の手順を示すフローチャートである。なお、以下に説明する各ステップは、制御装置3のプロセッサがメモリに記憶された命令に基づいて自動的に実行してもよいし、オペレータが制御装置3を手動で操作して実行してもよい。
第2の実施の形態において、所定のパターンを有する照射対象(サンプルプレート)に荷電粒子ビームを照射して画像を取得する工程(ステップS10)~画像130上でのパターン131を調整する工程(ステップS13)は、第1の実施の形態(図4参照)と同様であり、説明を省略する。
図12に示すように、第2の実施の形態では、画像130上でのパターン131を調整したのち(ステップS13)、第1の実施形態とは異なる手順で、画像130上でのパターン131の倍率を調整する(ステップS140)。
図13は、第2の実施の形態において、倍率を調整するステップ(ステップS140)の具体的な手順を示すフローチャートである。
図13に示すように、第2の実施の形態では、まず、スキャン偏向器17による1次荷電粒子ビームの走査を停止し、1次荷電粒子ビームの照射位置を一定時間(たとえば1分間)静止させることで、図7に示すように、照射対象上に照射位置に対応する照射痕132を付ける(ステップS141)。
次に、倍率レンズ18に第1のレンズパワー(電圧または電流)A1を供給した状態で、図6Dを参照し、画像130上でのパターン131の倍率C/C0を測定するとともに、図8Bを参照し、画像130上での照射位置(照射痕132)間のピッチDを測定する。以下では、それぞれの測定値をC1/C0、D1と表す。そして、それぞれの測定値C1/C0、D1の目標値1、D0からの相対誤差ΔM1(=C1/C0-1)、ΔP1(=(D1-D0)/D0)を求める(ステップS142)。
次に、倍率レンズ18に(第1のレンズパワーA1とは異なる)第2のレンズパワー(電圧または電流)A2を供給した状態で、図6Dを参照し、画像130上でのパターン131の倍率C/C0を測定するとともに、図8Bを参照し、画像130上での照射位置(照射痕132)間のピッチDを測定する。以下では、それぞれの測定値をC2/C0、D2と表す。それぞれの測定値C2/C0、D2の目標値1、D0からの相対誤差ΔM2(=C2/C0-1)、ΔP2(=(D2-D0)/D0)を求める(ステップS143)。
そして、図14を参照し、倍率レンズ18に供給されるレンズパワー(電圧または電流)と上記相対誤差とを2軸とするグラフを作成する。ここで、本件発明者の知見によれば、倍率レンズ18の電圧を上げると、画像130上でのパターン131の倍率C/C0が比例する(増加する)のに対し、画像130上での照射位置(照射痕132)間のピッチDが反比例する(減少する)という性質がある。したがって、図14に示すように、グラフ上で、(A1、ΔM1)と(A2、ΔM2)とを結ぶ直線と、(A1、ΔP1)と(A2、ΔP2)とを結ぶ直線とを描くと、2つの直線は1つの交点で交わることになる。この交点では、画像130上でのパターン131の倍率C/C0と照射位置(照射痕132)間のピッチDの誤差が同じになる点である。そこで、この交点における倍率レンズ18のレンズパワー(電圧または電流)の値A3を求める(ステップS144)。
図14に示す例では、倍率レンズ18に第1のレンズパワーA1として-19.45を与えたとき、画像130上でのパターン131の倍率C1/C0の誤差ΔM1が0.9115%であり、画像130上での照射位置(照射痕132)間のピッチD1の誤差ΔP1が3.631%であった。また、倍率レンズ18に第2のレンズパワーA2として-19.2を与えたとき、画像130上でのパターン131の倍率C2/C0の誤差ΔM2が2.344%であり、画像130上での照射位置(照射痕132)間のピッチD2の誤差ΔP2が-0.555%であった。したがって、(A1、ΔM1)と(A2、ΔM2)とを結ぶ直線は、y=5.7292x+112.34という式で表すことができ、(A1、ΔP1)と(A2、ΔP2)とを結ぶ直線は、y=-16.744x-322.04という式で表すことができ、その交点での倍率レンズ18のレンズパワーの値A3は、-19.33と求めることができる。
次に、ステップS144で求めたレンズパワー(電圧または電流)A3を倍率レンズ18に供給した状態で、図6Dを参照し、画像130上でのパターン131の倍率C/C0を測定し、その測定値が目標値(たとえば1)に近づくよう(目標値との誤差が所定の規格内に収まるよう)、スキャン偏向器17の各電極またはコイルに供給されるレンズパワー(電圧または電流)を調整する(ステップS145)。ここで、本件発明者の知見によれば、スキャン偏向器17の電圧を上げると、画像130上でのパターン131の倍率C/C0と照射位置(照射痕132)間のピッチDはどちらも比例する(増加する)という性質がある。ステップS144で求めたレンズパワー(電圧または電流)A3を倍率レンズ18に供給した状態では、画像130上でのパターン131の倍率C/C0と照射位置(照射痕132)間のピッチDの誤差が同じになっており、その状態で、画像130上でのパターン131の倍率C/C0の誤差がゼロに近づくよう、スキャン偏向器17のレンズパワー(電圧または電流)を調整するため、倍率C/C0の誤差の変化(ゼロに近づく)に比例して、照射位置(照射痕132)間のピッチDの誤差もゼロに近づくことになる。これにより、倍率C/C0が目標値と一致するよう調整されるのと同時に照射位置間のピッチDも目標値と一致するよう調整される。
次に、図12に示すように、画像130上での照射位置(照射痕132)の配置の回転θ3(図8A参照)を測定し、その測定値が目標値(照射位置の並びが表示画面上のX方向またはY方向と一致した状態)に近づくよう、転送レンズ13の各電極またはコイルに供給されるレンズパワー(電圧または電流)を調整する(ステップS16)。第2の実施の形態において画像上での照射位置(照射痕)の配置の回転を調整する工程(ステップS16)は、第1の実施の形態(図4参照)と同様であり、説明を省略する。ステップ16により、照射位置の並びが表示画面上のX方向またはY方向と一致した状態に調整される。
以上のような第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用効果が得られることに加えて、次のような作用効果も得られる。すなわち、スキャン偏向器17で倍率C/C0を調整した後に倍率レンズ18で照射位置間のピッチDを調整しようとすると、倍率レンズ18の調整に伴って倍率C/C0も変更されてしまうため、スキャン偏向器18での倍率C/C0の調整のし直しが必要になる。これに対し、第2の実施の形態によれば、倍率C/C0の調整と同時に照射位置間のピッチDも調整されるため、戻り作業(前に行った調整のし直し)を減らすことができ、調整時間をさらに短縮できる。
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。また、各実施の形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
また、本実施の形態に係る制御装置3(1次光学系10の調整を行う装置)は1つまたは複数のコンピュータによって構成され得るが、1つまたは複数のコンピュータに制御装置3(1次光学系10の調整を行う装置)を実現させるためのプログラム及び当該プログラムを非一時的に記録した記録媒体も、本件の保護対象である。
1 荷電粒子マルチビーム装置
10 1次光学系
11、111~113 荷電粒子源
12 マルチビーム発生機構
121 開口
13 転送レンズ
14 ビーム分離器
15 対物レンズ
16 ステージ
17 スキャン偏向器
18 倍率レンズ
20 2次光学系
21 ビームベンダ
22 第1リレーレンズ
23 第2リレーレンズ
25 フィールドレンズ
26 開口絞り
27 投影レンズ
28 検出器
281 シンチレータ
282 光増幅器
283 イメージセンサ
284 拡大レンズ
285 ハーフミラー
3 制御装置
30 照射対象
130 画像
131 パターン
132 照射痕

Claims (9)

  1. 複数の1次荷電粒子から構成される1次荷電粒子ビームをステージ上の試料に照射する1次光学系と、前記1次荷電粒子ビームが照射された試料から放射される複数の2次荷電粒子から構成される2次荷電粒子ビームを検出器で検出する2次光学系と、を備える荷電粒子マルチビーム装置の前記1次光学系の調整を行う方法であって、
    前記1次荷電粒子ビームを前記ステージ上の所定のパターンを有する照射対象に照射し、照射位置が2次元的に前記照射対象上を走査するようスキャン偏向器によって前記1次荷電粒子ビームを偏向させ、前記照射対象からの2次荷電粒子ビームによって形成される画像を取得するステップと、
    前記画像上での前記パターンの直交度を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する、直交度調整ステップと、
    前記画像上での前記パターンの縦横比および回転を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する、縦横比および回転角調整ステップと、
    前記画像上での前記パターンの倍率を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する、倍率調整ステップと、
    を含み、
    前記直交度調整ステップと、前記縦横比および回転調整ステップと、前記倍率調整ステップとを、この順に行うことを特徴とする方法。
  2. 前記縦横比および回転調整ステップは、
    前記画像上での前記パターンの縦横比を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する、縦横比調整ステップと、
    前記画像上での前記パターンの回転を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する、回転調整ステップと、
    を含み、
    前記縦横比調整ステップと、前記回転調整ステップとを、この順に行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記照射対象上での前記パターンの形状は正方形であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記倍率調整ステップでは、
    倍率レンズに第1の電圧または電流A1を供給した状態で、前記画像上での前記パターンの倍率および照射位置間のピッチを測定し、それぞれの測定値の目標値からの誤差ΔM1、ΔP1を求め、
    前記倍率レンズに第2の電圧または電流A2を供給した状態で、前記画像上での前記パターンの倍率および照射位置間のピッチを測定し、それぞれの測定値の目標値からの誤差ΔM2、ΔP2を求め、
    前記倍率レンズに供給される電圧または電流と前記誤差とを2軸とするグラフ上で、(A1、ΔM1)と(A2、ΔM2)とを結ぶ直線と、(A1、ΔP1)と(A2、ΔP2)とを結ぶ直線との交点における前記電圧または電流の値A3を求め、
    前記倍率レンズに前記求めた電圧または電流A3を供給した状態で、前記画像上での前記パターンの倍率を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  5. 前記画像上での照射位置の配置の回転を測定し、その測定値が目標値に近づくよう転送レンズに供給される電圧または電流を調整する、照射位置回転調整ステップと、
    前記画像上での照射位置間のピッチを測定し、その測定値が目標値に近づくよう倍率レンズに供給される電圧または電流を調整する、照射位置ピッチ調整ステップと、
    をさらに含み、
    前記直交度調整ステップと、前記縦横比および回転調整ステップと、前記倍率調整ステップとを、前記照射位置回転調整ステップおよび照射位置ピッチ調整ステップより前に行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  6. 前記照射位置回転調整ステップと、前記照射位置ピッチ調整ステップとを、この順に行うことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. 複数の1次荷電粒子から構成される1次荷電粒子ビームをステージ上の試料に照射する1次光学系と、前記1次荷電粒子ビームが照射された試料から放射される複数の2次荷電粒子から構成される2次荷電粒子ビームを検出器で検出する2次光学系と、を備える荷電粒子マルチビーム装置の前記1次光学系の調整を行う装置であって、
    命令を記憶するメモリと、
    前記1次荷電粒子ビームを前記ステージ上の所定のパターンを有する照射対象に照射し、照射位置が2次元的に前記照射対象上を走査するようスキャン偏向器によって前記1次荷電粒子ビームを偏向させ、前記照射対象からの2次荷電粒子ビームによって形成される画像を取得するステップと、
    前記画像上での前記パターンの直交度を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する、直交度調整ステップと、
    前記直交度調整ステップの後に、前記画像上での前記パターンの縦横比および回転を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する、縦横比および回転調整ステップと、
    前記縦横比および回転調整ステップの後に、前記画像上での前記パターンの倍率を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する、倍率調整ステップと、
    を行うための前記命令を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、
    を備えた装置。
  8. 複数の1次荷電粒子から構成される1次荷電粒子ビームをステージ上の試料に照射する1次光学系と、前記1次荷電粒子ビームが照射された試料から放射される複数の2次荷電粒子から構成される2次荷電粒子ビームを検出器で検出する2次光学系と、を備える荷電粒子マルチビーム装置の前記1次光学系の調整を行うためのプログラムであって、
    コンピュータに、
    前記1次荷電粒子ビームを前記ステージ上の所定のパターンを有する照射対象に照射し、照射位置が2次元的に前記照射対象上を走査するようスキャン偏向器によって前記1次荷電粒子ビームを偏向させ、前記照射対象からの2次荷電粒子ビームによって形成される画像を取得するステップと、
    前記画像上での前記パターンの直交度を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する、直交度調整ステップと、
    前記直交度調整ステップの後に、前記画像上での前記パターンの縦横比および回転を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する、縦横比および回転調整ステップと、
    前記縦横比および回転調整ステップの後に、前記画像上での前記パターンの倍率を測定し、その測定値が目標値に近づくよう前記スキャン偏向器に供給される電圧または電流を調整する、倍率調整ステップと、
    を実行させるプログラム。
  9. 請求項7に記載の装置を備えた荷電粒子マルチビーム装置。
JP2023190860A 2022-12-02 2023-11-08 電子ビーム装置の調整方法、装置及びプログラム Pending JP2024080618A (ja)

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