JP2016003865A - 代謝物解析システム及び代謝物解析方法 - Google Patents

代謝物解析システム及び代謝物解析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】DBに殆ど収録されていない代謝物(抱合体)の同定を効率的に且つ高い精度で行う。【解決手段】未知代謝物に対して得られたMS2スペクトル上で観測されるニュートラルロスの質量情報を既知の抱合反応による代謝の情報に照らして、抱合反応の種類と付加物の数とを推定する。また、MS1スペクトル上で観測される代謝物由来のイオンの質量情報に基づき推定した組成式から付加物の組成を差し引いて、未代謝物の組成式を推定する。これとともに、組成式候補毎に、m/zの理論値と実測値との差を反映した組成スコアを計算する。その未代謝物の組成式候補毎にDB検索を行うことで構造式候補を求め、構造式候補毎に、部分構造へのMS3スペクトル上のピークの帰属を試みる。そして、ピーク帰属結果に基づき帰属結果スコアを計算し、さらに構造式候補毎に組成スコアと帰属結果スコアとを合わせたスコアを再計算し、これによって構造式候補を絞り込み、絞り込んだ構造式候補に推定した付加物を結合させて代謝物候補を求める。【選択図】図3

Description

本発明は、MSn(nは2以上の整数)分析可能な質量分析装置を利用して代謝物の同定や構造解析などを行う代謝物解析システム及び代謝物解析方法に関し、さらに詳しくは、薬物代謝の第二相反応として知られる抱合反応で生成される代謝物の解析を行う代謝物解析システム及び代謝物解析方法に関する。
イオントラップ飛行時間型質量分析装置などのMSn分析が可能である質量分析装置により得られたデータから試料に含まれる未知の化合物を同定する場合、取得されたスペクトルデータを、化合物名、組成式、分子量、構造式などが収録された化合物データベースと照合するデータベース検索法が広く利用されている。こうした化合物データベースは近年、かなり充実しており、数千万もの化合物が収録されたデータベースも知られている。その反面、このような膨大な数の化合物が収録されたデータベースを用いた検索を行うと、検索でヒットする化合物候補の数が多すぎ、そうした化合物候補の一つ一つについて、MSnスペクトル上のピークの帰属を確認する作業が煩雑になりすぎるという問題があった。
こうした課題に対し、特許文献1には、化合物データベースを用いた検索で得られた化合物候補を効率良く絞り込み、その結果をユーザに提示することができる化合物同定方法が開示されている。これによれば、化合物情報が充実した既存の化合物データベースを利用しながら、自動的に少数に絞り込まれた化合物候補を得ることができるので、分析者が未知化合物の同定や構造推定を行う際の手間が軽減できるという利点がある。しかしながら、こうした手法においても、既存の化合物データベースに収録されている化合物が同定の対象であるため、その構造式の一部がデータベースに収録されている化合物と異なっているような化合物は同定することができないという同定上の制約がある。
ところで、近年、代謝異常を伴う疾患の診断や治療、或いは、こうした疾患に対する治療薬の研究・開発などのために、ガスクロマトグラフ(GC)や液体クロマトグラフ(LC)と質量分析装置とを組み合わせたGC−MS、LC−MSを利用した代謝物解析が盛んに行われている(例えば特許文献2参照)。代謝は、例えば、薬や毒物などの生体外物質に対する生体内での反応であり、通常、第一相反応と第二相反応とに分類され、第二相反応は、被代謝物に所定の物質が付加して分子量が大きくなる抱合反応である。ヒトなどの生体内で抱合反応によって生成された代謝物、即ち抱合体は尿中に排出されるから、例えば薬や毒物の代謝物解析のためには、尿中の抱合体を同定することで、生体内における薬や毒物の動態などを把握することができる。
ところが、抱合体の中で既存の化合物データベースに収録されているものはごく一部でしかない。例えば、尿中に排出される抱合体としてはグルクロン酸抱合体や硫酸抱合体がよく知られているが、3500万を超える化合物が収録されている化合物データベース「PubChem」(非特許文献1参照)においても、収録されているグルクロン酸抱合体はごく僅かであり、データベース検索によって抱合体を同定するのは非常に困難である。
特開2013−190216号公報 特開2010−216981号公報
「PubChem」、ナショナル・センター・フォー・バイオテクノロジー・インフォメイション(National Center for Biotechnology Information)、[平成26年6月2日検索]、インターネット<URL: http://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/>
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、従来のデータベース検索によっては同定が困難である抱合反応による代謝物(抱合体)を高い精度で同定することができる代謝物解析システム及び代謝物解析方法を提供することにある。
上記課題を解決するために成された第1発明は、MSn(nは3以上の整数)分析が可能である質量分析装置を利用して、抱合反応により生成された未知代謝物を同定する又はその構造解析を行う代謝物解析システムであって、
a)抱合反応による既知の代謝に関する情報を記憶しておく代謝情報記憶部と、
b)未知代謝物である可能性のある目的化合物に対して前記質量分析装置により少なくともMS1分析及びm=2,…,nであるMSm分析を実行してMS1スペクトル及びMSmスペクトルを取得する分析実行部と、
c)前記代謝情報記憶部に記憶されている情報を参照して、MS2スペクトルにおいて観測されるプロダクトイオン及び/又はニュートラルロスによる質量情報から、前記目的化合物が未知代謝物であるとの仮定の下に抱合反応の種類を推定し、該当する抱合反応が存在した場合には該目的化合物は未知代謝物であると判断し、該反応による付加物の種類と数とを推定する代謝推定部と、
d)前記MS1スペクトルにおいて観測される所定のイオンの質量情報から推定される組成式と前記代謝推定部で得られた付加物情報に基づく組成とに基づいて前記未知代謝物が代謝を受けない状態である未代謝物の組成式を計算することにより、又は、前記MS2スペクトルにおいて観測される所定のプロダクトイオンの質量情報から前記未代謝物の組成式を推定することにより、該未代謝物の組成式候補を求める組成式候補抽出部と、
e)前記組成式候補抽出部により抽出された組成式候補毎に、その組成式による質量の理論値と実測値との一致度合いを示す組成スコアを算出する組成スコア計算部と、
f)化学構造情報が収録された化合物データベースを参照するデータベース検索を行うことにより、前記組成式候補毎に、それに対応する構造式をそれぞれ推定して構造式候補を抽出する構造式候補抽出部と、
g)前記構造式候補抽出部により抽出された構造式候補毎に、mが3以上であるMSmスペクトルにおいて観測されるピークがその構造式候補の部分構造に帰属可能であるか否かを判定し、その帰属結果に基づく帰属結果スコアを算出するピーク帰属実行部と、
h)前記組成式候補の組成スコアとそれに対応する構造式候補の帰属結果スコアとに基づいて、未代謝物に対する構造式候補を絞り込み、その絞り込まれた構造式候補に前記代謝推定部により推定された付加物を付加することにより、前記未知代謝物の候補を求める代謝物推定部と、
を備えることを特徴としている。
また上記課題を解決するために成された第2発明は、上記第1発明に係る代謝物解析システムにおいて実施される方法であり、MSn(nは3以上の整数)分析が可能である質量分析装置を利用して、抱合反応により生成された未知代謝物を同定する又はその構造解析を行う代謝物解析方法であって、
a)未知代謝物である可能性のある目的化合物に対して前記質量分析装置により少なくともMS1分析及びm=2,…,nであるMSm分析を実行してMS1スペクトル及びMSmスペクトルを取得する分析実行ステップと、
b)抱合反応による既知の代謝に関する情報が記憶されている代謝情報記憶部の情報を参照して、MS2スペクトルにおいて観測されるプロダクトイオン及び/又はニュートラルロスによる質量情報から、前記目的化合物が未知代謝物であるとの仮定の下に抱合反応の種類を推定し、該当する抱合反応が存在した場合には該目的化合物は未知代謝物であると判断し、該反応による付加物の種類と数とを推定する代謝推定ステップと、
c)前記MS1スペクトルにおいて観測される所定のイオンの質量情報から推定される組成式と前記代謝推定部で得られた付加物情報に基づく組成とに基づいて前記未知代謝物が代謝を受けない状態である未代謝物の組成式を計算することにより、又は、前記MS2スペクトルにおいて観測される所定のプロダクトイオンの質量情報から前記未代謝物の組成式を推定することにより、該未代謝物の組成式候補を求める組成式候補抽出ステップと、
d)前記組成式候補抽出ステップにおいて抽出された組成式候補毎に、その組成式による質量の理論値と実測値との一致度合いを示す組成スコアを算出する組成スコア計算ステップと、
e)化学構造情報が収録された化合物データベースを参照するデータベース検索を行うことにより、前記組成式候補毎に、それに対応する構造式をそれぞれ推定して構造式候補を抽出する構造式候補抽出ステップと、
f)前記構造式候補抽出ステップにおいて抽出された構造式候補毎に、mが3以上であるMSmスペクトルにおいて観測されるピークがその構造式候補の部分構造に帰属可能であるか否かを判定し、その帰属結果に基づく帰属結果スコアを算出するピーク帰属実行ステップと、
g)前記組成式候補の組成スコアとそれに対応する構造式候補の帰属結果スコアとに基づいて、未代謝物に対する構造式候補を絞り込み、その絞り込まれた構造式候補に前記代謝推定ステップにおいて推定された付加物を付加することにより、前記未知代謝物の候補を求める代謝物推定ステップと、
を有することを特徴としている。
第1及び第2発明において質量分析装置は例えば、イオントラップに捕捉したイオンを衝突誘起解離(CID)などにより解離させることができる、イオントラップ型質量分析装置、イオントラップ飛行時間型質量分析装置などである。また、イオン源等においてインソース分解が利用できる場合には、インソース分解を実質的な1回目の解離操作として利用することができるから、例えばタンデム四重極型質量分析装置やQ−TOF型質量分析装置も利用することができる。この場合には、試料中の化合物から生成されたイオンをインソース分解したあとに通常の質量分析を行うことで得られたマススペクトルをMS2スペクトル(一般的には、これを擬似MS2スペクトルということがある)、インソース分解したあとにMS/MS分析を行うことで得られたマススペクトルをMS3スペクトル(一般的には、これを擬似MS3スペクトルということがある)とみなせばよい。
主な抱合反応には、グルタチオン抱合、グルクロン酸抱合、硫酸抱合、アミノ酸抱合、メチル抱合、アセチル抱合、チオシアン合成などがある。もちろん、それら各抱合反応により元の物質(未代謝物)に結合する付加物を考慮することで、その付加物の質量も計算可能である。そこで、既知の抱合反応の種類とそれによる付加物の構造式、質量などの情報が、予め代謝情報記憶部に格納される。なお、解析目的によっては、全ての抱合反応ではなく、特定の一又は複数の抱合反応による代謝物の同定を行いたい場合もあるから、そうした場合には、目的とする抱合反応による代謝の情報のみを代謝情報記憶部に格納しておけばよい。
試料中に含まれる未知化合物を同定する場合、通常、その未知化合物が代謝物であるか否かも不明である。そこで第1発明に係る代謝物解析システムにおいて、代謝推定部は、試料に対して実測されたMS2スペクトルにおいて観測されるプロダクトイオン及び/又はニュートラルロスによる質量情報を求め、代謝情報記憶部に記憶されている情報を参照して、該当する抱合反応の種類を推定する。なお、ニュートラルロスは、実測のMS1スペクトル上のイオンピークの質量電荷比と実測のMS2スペクトル上のイオンピークの質量電荷比との差である。
抱合反応による付加物と未代謝物との結合は衝突誘起解離などの解離操作により切れ易いため、MS2スペクトル上には、付加物がニュートラルロスとして脱離した未代謝物のイオンがプロダクトイオンピークとして観測される。また場合によっては、付加物自体が電荷を持ってプロダクトイオンピークとして観測されることもあり得る。抱合反応の種類は限られているため、或る程度高い精度で質量電荷比が測定可能であれば、プロダクトイオンやニュートラルロスの質量に該当するような抱合反応が見つかった場合に、目的化合物は抱合反応による代謝物であると高い確度で推定することができる。
また、例えば硫酸抱合とアミノ酸抱合などの複数の異なる種類の抱合反応による代謝が起こることが知られている。そこで、代謝推定部は、複数種の異なる抱合反応が同時に起こり、しかも1種類の抱合反応が複数箇所で起こることを前提として、抱合反応の代謝による付加物の種類と数とを求める。ただし、目的とする特定の一又は複数の抱合反応が同時に複数起こらないことが分かっている場合には、代謝推定部はそうした条件の下で抱合反応(代謝)の種類を推定すればよい。
なお、実測の質量電荷比の精度が高いほど、つまりは質量分析における質量電荷比の精度が高いほど、代謝の推定は容易であり、しかも誤りの発生確率も小さい。したがって、質量分析装置は質量精度が高いものを用いることが好ましい。
組成式候補抽出部は例えば、MS1スペクトルにおいて観測される目的化合物の分子イオンピークの質量電荷比に基づいて該化合物の組成式を複数推定する。また、安定同位体が存在する元素を目的化合物が含む場合には、その同位体存在比に従った強度比を示す同位体ピークが分子イオンピークに現れる。そこで、この同位体ピークの強度比のパターンを調べることで、目的化合物に含まれる元素の種類や数を或る程度限定し、目的化合物の組成式候補を絞ることができる。上記代謝推定部により得られた付加物情報に基づきその付加物の組成式が求まるから、上述した目的化合物の組成式候補から付加物の組成式を差し引くことで、抱合反応を受けていない未代謝物の組成式候補を求めるようにするとよい。また、上述したように抱合反応による付加物がニュートラルロスとして検出される場合、MS2スペクトル上には未代謝物由来のイオンピークがプロダクトイオンピークとして観測される。そこで、組成式候補抽出部は、上述したような代謝物の組成推定及びその組成からの付加物の組成の減算という手順を踏まずに、MS2スペクトル上のこのプロダクトイオンピークに対して求まる精密な質量電荷比に基づいて直接、組成式候補を推定することもできる。
未代謝物の組成推定の手法は上記のいずれでも可能であるが、上述したように、前者では同位体ピークの強度情報を組成式候補の絞り込みに利用することができる(通常、MS2スペクトルでは同位体ピークの強度比は不正確となる)ので、組成式候補の絞り込みが容易であってその候補数も抑えることができる。さらにまた、MS1スペクトルにおける分子イオンピークはMS2スペクトルにおける未代謝物由来のイオンピークよりも安定的に検出されるため、より誤差の少ない組成推定が可能である。
組成スコア計算部は、上述したように抽出された組成式候補毎に、各種元素の理論質量から計算される質量電荷比の理論値と質量電荷比の実測値との一致性が高いほど大きくなるように所定のアルゴリズムに従って組成スコアを算出する。構造式候補抽出部は、組成式候補毎に、化合物データベースを用いたデータベース検索を実行することにより、各組成式候補に対応した構造式をそれぞれ推定する。データベース検索に際しては、未代謝物の質量情報とともに組成式を検索条件とする場合と、組成式候補毎にその組成式から計算される理論質量のみを検索条件とする場合とが考えられる。いずれにしても、通常、一つの組成式候補に対して複数の構造式がヒットするから、組成式候補毎にそれぞれ複数の構造式候補を挙げればよい。
なお、使用される化合物データベースは上述した「PubChem」をはじめとする既存の様々なデータベースを利用できるほか、ユーザや装置製造メーカなどが独自に作成したデータベースを利用することもできる。
次に、データベース検索を利用して推定された構造式が実測のスペクトル情報に合致するか否かを調べるべく、ピーク帰属実行部は、得られた構造式候補毎に、実測のMSmスペクトル上のピークがその構造式候補の部分構造に帰属できるかどうかを、質量の一致の程度に基づいて調べる。そして、その帰属結果に基づいて、帰属結果スコアを算出する。この帰属結果スコアには帰属されたピークの強度情報が反映されることが望ましい。例えば、ピーク帰属実行部は、MSmスペクトル上で観測されるピークの中で帰属できたピークの信号強度の総和を計算し、MSmスペクトル上の全ピークの信号強度の総和に対する比を帰属結果スコアとするとよい。また、全ての質量電荷比を公平に扱うのではなく、例えば質量電荷比が大きいピークの強度情報が相対的に重視される等の重み付けを行ったうえでスコアを計算してもよい。これは、特に質量電荷比が大きなイオンの検出効率が低い場合に有効である。また、信号強度が小さなピークの強度情報が相対的に軽視されるように重み付けを行ったうえでスコアを計算してもよい。これは、特にノイズが多いような状況下でノイズピークを抑制する際に有効である。
代謝物推定部は、組成式候補毎に求められた構造式候補毎に、各組成式候補の組成スコアと各構造式候補に対する帰属結果スコアとに基づく最終的なスコアを計算し、このスコアに従って未代謝物に該当する化合物の候補を絞り込む。組成スコアと帰属結果スコアとからスコアを求める際には、例えば相加平均や相乗平均などの平均値を利用することができる。これによって、未代謝物の構造式が絞り込まれるから、さらに代謝物推定部は、その未代謝物に上記代謝推定部で推定された抱合反応による付加物が結合した、未知代謝物の候補を求める。こうして求めた候補を例えば最終的なスコアとともに表示することで、分析者が未知代謝物を同定したり構造を推定したりするのに有益な情報を提供することができる。
本発明に係る代謝物解析システム及び代謝物解析方法によれば、化合物データベースに収録されていない、抱合反応による代謝物(抱合体)について、高い精度で同定したりその構造を推定したりすることが可能となる。また、この解析に用いられる化合物データベースとしては、特別なものでなく既存の入手容易な化合物データベースを用いればよいので、データベース作成に要する手間は不要である。
本発明の一実施例による代謝物解析システムの概略構成図。 本実施例の代謝物解析システムにおける代謝物同定手順を示すフローチャート。 代謝物同定処理の説明図。
以下、本発明に係る代謝物解析方法を実施するための代謝物解析システムの一実施例について、添付図面を参照して説明する。図1はこの代謝物解析システムの概略構成図である。
本実施例の代謝物解析システムでは、質量分析装置として、イオントラップ飛行時間型質量分析装置が用いられる。この代謝物解析システムにおいて、質量分析部1は、大気圧下で液体試料中の物質をイオン化するESI(エレクトロスプレイイオン化)イオン源10と、生成されたイオンに混じる溶媒を除去するとともにイオンを真空室(図示せず)内へと導く加熱キャピラリ管11と、イオンを収束させつつ後段へと送るイオンガイド12と、3次元四重極型のイオントラップ13と、該イオントラップ13から射出された各種イオンをその飛行時間によって質量分離する飛行時間型質量分析器(TOFMS)14と、TOFMS14により質量分離されたイオンを検出し、イオン量に応じた検出信号を生成する検出器15と、を含む。ESIイオン源10の入口には通常の液体試料を導入することができるほか、図示しないLCのカラム出口を接続し、LCで成分分離された液体試料を連続的に導入することもできる。
検出器15による検出信号は制御・処理部2に入力され、図示しないA/D変換器でデジタルデータに変換された後に所定のデータ処理が実行される。制御・処理部2は、データ収集処理部20、データ格納部21、MSnスペクトル作成部22、代謝種類推定部23、代謝情報記憶部24、未代謝物組成推定部25、組成スコア算出部26、化学構造推定部27、化合物データベース(DB)28、ピーク帰属部29、代謝物推定部30などの機能ブロックを含むほか、質量分析部1の各部を制御する分析制御部31、プリカーサイオン自動選択部32を含む。制御・処理部2には、ユーザインターフェイスとしての入力部4や表示部5が接続されている。なお、制御・処理部2の機能の大部分は、専用の制御・処理ソフトウエアを搭載したパーソナルコンピュータにより具現化することができる。
図示しないが、イオントラップ13には外部からアルゴンなどのCIDガスを導入することができ、イオントラップ13内に特定の質量電荷比を持つイオンを選択的に捕捉した後にイオントラップ13内にCIDガスを導入し、捕捉したイオンを高周波電場により共鳴励起させることによって、該イオンをCIDガスに衝突させて解離させることができる。また、特定の質量電荷比を持つイオンの選択(プリカーサ選択)操作とCID操作とを繰り返すことにより、イオンを複数段階に解離させることができる。即ち、この質量分析部1はMSn分析が可能な質量分析装置である。この場合、原理的にはnの最大値に制限はないが、実際にはプリカーサ選択とCID操作とを繰り返す過程でイオンの損失が生じて感度が落ちるため、n=5程度が限界である。
化合物データベース28は、様々な化合物の化合物名、分子量、組成式、構造式などが収録されたものであり、例えば、米国の国立生物工学情報センターが管理するPubChem(非特許文献1参照)等を用いることができる。もちろん、化合物データベース28はこれに限るものではなく、一般に提供されているもののほか、ユーザ自身が構築したものでもよく、既存のデータベースとユーザデータベースとを組み合わせたものでもよい。
また代謝情報記憶部24は、既知の全ての抱合反応の種類と、抱合反応により未代謝物に付加する付加物の構造式とその質量、などの代謝に関する情報が収録された一種のデータベースである。例えば抱合反応には、クルタチオン抱合、グルクロン酸抱合、硫酸抱合、アミノ酸抱合、メチル抱合、アセチル抱合、チオシアン合成などがある。ただし、特定の一又は複数の抱合反応による代謝物の同定を行いたいような場合には、その特定の抱合反応に関する代謝情報のみを代謝情報記憶部24に格納しておいてもよい。
次に、本実施例の代謝物解析システムにおいて質量分析部1を中心に実行される、目的試料に対する質量分析動作及び該分析により得られたデータの収集動作について説明する。ここでは、分析対象である試料は例えば被検者の尿や血液などであり、該試料に含まれる可能性がある、抱合反応によって生成された未知の代謝物を同定するのが分析及び解析の目的である。
入力部4を通して分析者から分析開始が指示されると、分析制御部31の制御の下に、質量分析部1では試料に対する質量分析(MS1分析)が略一定時間間隔で実行され、MS1分析によって何らかの化合物の存在が確認された場合には、引き続いて、MS2分析及びMS3分析が実行される。データ収集処理部20はこれら一連の質量分析で得られたスペクトルデータをデータ格納部21に格納する。
より詳しく説明すると、質量分析部1では試料に対する所定質量電荷比範囲のMS1分析がまず実行され、MSnスペクトル作成部22はこのときに得られたデータに基づいてMS1スペクトルを作成する。プリカーサイオン自動選択部32はこのMS1スペクトル上で予め指定された所定条件を満たす(例えば信号強度が所定閾値以上である)ピークを検出し、分析制御部31の制御の下に質量分析部1は、このピークに対応したイオンをプリカーサイオンに設定したCID操作を伴うMS2分析を、先のMS1分析に引き続いて実行する。ESIイオン化やAPCIイオン化はいわゆるソフトなイオン化であるため、イオン化に伴う解離は起こりにくく、試料中の化合物分子にプロトンが付加した又はプロトンが脱離した分子イオンが最も多く生成される傾向にある。このため、通常、一つの化合物に由来する種々のイオンピークの中で分子イオンピークは信号強度が最大となる。したがって、プリカーサイオン自動選択部32は、MS1スペクトルにおいて信号強度が所定の閾値以上で且つ最大であるピークを検出し、これをMS2分析のプリカーサイオンとして選定すればよい。
MSnスペクトル作成部22は、上記MS2分析により得られたスペクトルデータに基づいてMS2スペクトルを作成する。さらに、プリカーサイオン自動選択部32はMS2スペクトル上で予め指定された所定条件を満たすピークを検出し、分析制御部31の制御の下に質量分析部1は、このピークに対応したイオンを2段目のプリカーサイオンに設定した2段階のCID操作を伴うMS3分析を実行する。
以上のようにして、試料中に有意な化合物の存在が検出されると、その化合物由来のイオンに対するMS1〜MS3スペクトルデータが収集され、これら全てのデータがデータ格納部21に格納される。なお、同様にして、MS4分析、MS5分析を実行するようにしてもよいが、多くの場合、抱合体の同定を目的とするのであればMS3分析までで十分である。
次に、上述した分析の実行によって試料に対するスペクトルデータがデータ格納部21に格納されている状態で実施される、特徴的な未知代謝物の同定方法について、図2、図3に従って説明する。図2は未知代謝物同定手順を示すフローチャート、図3は図2のフローチャートに従った未知代謝物同定処理の説明図である。
分析者は例えば目的試料についてのトータルイオンクロマトグラムを表示部5の画面上で確認して、該クロマトグラム上のピーク又は保持時間を入力部4により指定することにより、同定したい未知化合物を指定する。そして、同定実行を指示する。この指示を受けたMSnスペクトル作成部22はデータ格納部21から指定された化合物に対応したMS1〜MS3スペクトルデータを読み出し、MS1スペクトル、MS2スペクトル、及びMS3スペクトルを作成する(ステップS1)。図3(a)はこれらMS1スペクトル、MS2スペクトル、及びMS3スペクトルの一例である。
上述したように、通常、MS1スペクトル上には未知化合物の分子イオンピークが明瞭に現れる。図3(a)に示したMS1スペクトルでは、m/z=Mであるイオンピークがこれに相当する。この未知化合物が抱合反応によって生成された未知代謝物(同図(b)中のA+B)である場合、通常、抱合反応によって未代謝物(同図(b)中のA)に付加した物質(同図(b)中のB)はCIDによって容易に中性断片として脱離する。そのため、上記分子イオンをプリカーサイオンとして得られたMS2スペクトル上には、抱合反応によって付加した物質がニュートラルロスとして脱離した、抱合反応を受ける前の状態である未代謝物のイオンピークが現れる。このとき、MS1スペクトル上の未知化合物の分子イオンピークの質量電荷比MとMS2スペクトル上の未代謝物のイオンピークの質量電荷比Maとの差Mbつまりニュートラルロスは、脱離した付加物の質量に相当する。そこで、代謝種類推定部23は、MS1スペクトル及びMS2スペクトルからこのニュートラルロスの質量値を求め、代謝情報記憶部24に収録されている様々な種類の抱合反応に対する付加物の質量と比較することにより、最も確度の高い抱合反応の種類を特定する。
ただし、代謝物は必ずしも1種類の抱合反応による代謝を受けたものであるとは限らず、複数の異なる種類の抱合反応が起きている場合や、或る1種類の抱合反応が複数の箇所で起きている場合があり得る。そこで、代謝種類推定部23は単に一つの抱合反応を対象とするのではなく、異なる複数の抱合反応の組み合わせや同じ抱合反応の複数の発生などについても、ニュートラルロスに相当するものがないかどうか調べる。また、多くの場合、抱合反応による付加物はCIDによって中性断片として脱離するが、場合によっては(例えばCIDの条件などによっては)付加物自体がイオンとなってMS2スペクトルに現れることがある。そこで、MS2スペクトルにおいてニュートラルロスのみならず、プロダクトイオンの質量電荷比についても該当する抱合反応がないかどうか調べるとよい。
ステップS2の処理で、ニュートラルロスやプロダクトイオンに対応する抱合反応が見あたらない場合には、目的化合物は同定しようとしている代謝物でない可能性が高い。そこで、このときには目的化合物は代謝物ではないと判断し、別の手法による同定を試みるか、或いは、同定処理を中止するとよい。一般的な化合物の同定のためには、例えば特許文献1に記載の方法が利用可能である。
一方、ステップS2において、ニュートラルロスやプロダクトイオンに対応する一又は複数の抱合反応の存在が確認できた場合には、未知化合物は未知代謝物であると判断してステップS3以降の処理を行う。即ち、未代謝物組成推定部25は、未代謝物の組成式を推定するために、まず、MS1スペクトルにおいて観測される未知代謝物の分子イオンピークの質量電荷比の精密値、つまりは実測質量電荷比値に対し所定のマージンを見込んだ質量電荷比範囲に収まる組成式を、各種元素の理論質量に基づいて推定する。この際には、単に実測質量電荷比値のみを手掛かりとするのではなく、分子イオンピークにおける同位体ピークの強度比情報を利用するとよい。即ち、水素、炭素等の多くの元素においては、質量が相違する安定同定体が存在し、その同位体比は既知である。そして、安定同位体が存在することによって、化合物由来の分子イオンピークには質量電荷比が所定間隔離れた複数の同位体ピークが現れる。そうした複数の同位体ピークの信号強度の比は、化合物に含まれる元素の種類や数に依存するから、この強度比を調べることで含有元素の種類や数を或る程度絞ることができる。そこで、こうした元素の種類や数の制約を満たさない組成式は候補から除外することで、組成推定の精度を高めることができる。
次に未代謝物組成推定部25は、代謝種類推定部23で特定された付加物情報に基づいて該付加物の組成を求め、代謝物の複数の組成式候補からそれぞれ付加物の組成を差し引くことで、未代謝物の組成式を得る。そして、こうして推定した組成式を未代謝物に対する組成式候補としてリストアップする(ステップS3)。なお、MS2スペクトルにおいて未代謝物そのままの(つまり未代謝物が壊れていない)プロダクトイオンピークが観測される場合には、そのイオンピークの質量電荷比の精密値つまりは実測質量電荷比値から、未代謝物の組成式候補を求めてもよい。
次に、組成スコア算出部26は、代謝物に対する複数の組成式候補のそれぞれについて、その組成式に含まれる元素の理論質量から計算される理論質量電荷比と実測MS1スペクトルから求まる代謝物の実測質量電荷比との差を計算する。そして、その理論値と実測値との一致度が高いほど、つまり両者の差が小さいほど、大きな値となるような組成スコアを、代謝物の組成式候補それぞれについて計算する。或る代謝物の組成式候補に対して求めた組成スコアは、それに対応する(つまりはその組成式候補から付加物の組成を差し引くことで求めた)未代謝物の組成式候補の組成スコアとして割り当てる。これによって、未代謝物の全ての組成式候補についての組成スコアが得られる(ステップS4)。なお、ステップS3においてMS2スペクトル上のイオンピークから未代謝物の組成式を推定した場合には、そのMS2スペクトル上の実測の質量電荷比値と未代謝物の推定組成式の理論質量電荷比値との差に基づいて組成スコアを算出すればよい。
次に化学構造推定部27は、ステップS3で抽出された、未代謝物の複数の組成式候補のそれぞれについて、その質量電荷比や組成式を検索条件に設定して化合物データベース28に対するデータベース検索を実行することにより、未代謝物の構造式の候補を抽出する(ステップS5)。未知代謝物自体は化合物データベースに収録されていない場合でも、通常、未代謝物は一般的な化合物であるので、化合物データベースに収録されている可能性がきわめて高い。ただし、化合物には多くの異性体が存在するから、質量や組成式が同じであっても、データベース検索によって導出される構造式は複数存在する。したがって、通常、一つの組成式候補に対し複数の構造式の候補が抽出されることになる。もちろん、組成式が正解のものでない場合には、構造式は全くヒットしないということもあり得る。
続いて、ピーク帰属部29は、ステップS5において組成式候補毎にそれぞれ抽出された構造式候補それぞれについて、その構造式の中の部分構造に対し、実測のMS3スペクトルにおいて観測される有意なピークの帰属を試みる。そして、その帰属結果に基づいて、その構造式と実測MS3スペクトル上のピークとの一致の度合いを示す帰属結果スコアを計算する(ステップS6)。
具体的には、例えば次のような処理を実行する。まず、MS3スペクトルに対し所定の条件(例えば信号強度が所定閾値以上など)で以てピーク検出を行い、ピーク情報(ピークの質量電荷比及び信号強度)を収集する。そして、収集された各ピーク、つまりはプロダクトイオンの質量電荷比が、与えられた構造式中の部分構造から計算される理論質量を中心とする所定の質量電荷比範囲に収まるか否かを調べることで、ピークが帰属可能であるか否かを調べる。
そして、MS3スペクトルにおいて検出された全てのピークについて帰属の可否が判定されたならば、帰属できたピークの信号強度を全て合計した帰属済みピーク合算値を計算するとともに、MS3スペクトルにおいて検出された全てのピークの信号強度を合算した全ピーク合算値を計算し、帰属済みピーク合算値と全ピーク合算値との比に基づいて帰属結果スコアを算出する。この帰属結果スコアは構造式と実際に観測されたプロダクトイオンとの一致度を示しており、スコアが高いほど、実測MS3スペクトルに合致する構造式であるといえる。
前述したように、帰属結果スコアを求める際には帰属できたピークの信号強度を用いるが、帰属できた全てのピークを公平に扱うのではなく、質量電荷比の大小や信号強度の高低に基づいた重み付けを行うことで一部のピークを偏重してもよい。例えば、一般に、高質量のイオンと低質量のイオンとを比べると前者はイオン源10から検出器15までのイオンの通過効率が相対的に低いため、MSnスペクトル上で信号強度が低くなる傾向にある。そのため、全ての質量電荷比のピークを公平に扱うと、質量電荷比が大きなプロダクトイオンの寄与が小さくなる。そこで、質量電荷比が大きなピークほど大きな重みを付与するように重み付けを行うとよい。また、強度が小さなピークに対して小さな重みを付与するように重み付けを行うことで、強度が小さなノイズピークを実質的に除去する効果が得られる。
上述したステップS3〜S6の処理では、未知代謝物から付加物が脱離した未代謝物について、質量分析結果から推定された複数の組成式候補に対しそれぞれ組成スコアが算出され、さらに各組成式候補についてそれぞれ推定された構造式候補に対しそれぞれ帰属結果スコアが算出される。したがって、一つの未代謝物について組成式候補が例えばα個であり、一つの組成式候補に対する構造式候補がβ個であれば、その未代謝物に対する構造式候補は全部でα・β個となる。この中から確からしい構造式候補を抽出するために、代謝物推定部30は、一つの組成式候補について得られる一つの構造式候補毎に、ステップS4で得られた組成スコアとステップS6で得られた帰属結果スコアとを合わせたスコアを再計算する。具体的には、その組成スコアと帰属結果スコアとの相加平均又は相乗平均による平均値を計算してこれを最終的なスコアとすればよい(ステップS7)。
再計算されたスコアが最も高いものが正解であるとは限らないものの、スコアが高いほうが正解である可能性が高いと推定することはできる。そこで代謝物推定部30は、例えば算出されたスコアが予め設定された閾値以上であるか否かを判定し、スコアが閾値を下回った構造式候補は除外する。そして、残った構造式候補に対応する化合物をスコアに従って順位付けする(ステップS8)。さらに代謝物推定部30は、順位付けした化合物候補に対してそれぞれ、ステップS2で推定された付加物を結合させて代謝物の候補とし、この代謝物の候補をステップS7で計算されたスコアとともに表示部5の画面上に表示する(ステップS9)。
以上のようにして、本システムでは、試料に含まれる未知化合物が代謝物(抱合体)である場合、その代謝物の候補がその確からしさの目安であるスコアとともに、表示部5を通して分析者に提供される。
なお、上記実施例では、ステップS5において組成式候補を検索条件の一つとしてデータベース検索を行うことで、組成式候補に該当しない化合物候補がヒットすることを回避している。しかしながら、ステップS5では別の手法により、組成式候補に対応した構造式候補を抽出することができる。即ち、化合物データベース28に対するデータベース検索の際には、組成式を検索条件とせずに未代謝物に対する実測の質量を検索条件とすることで、組成式候補に対応しないものも含む多数の構造式候補を一旦抽出する。その後に、抽出された構造式候補と組成式候補との対応付けを試み、いずれの組成式候補にも該当しない構造式候補を除外してゆくことで絞り込む。こうした処理によっても最終的に上記実施例と同様の構造式候補を抽出することが可能である。
また上記実施例のシステムでは、イオン化の際にイオンの解離は生じにくいが、イオン源の種類によっては、或いは、イオンガイドをイオンが通過する際の条件(ガス圧やイオンが有するエネルギーなど)によっては、インソース分解によってイオンの解離が生じる場合がある。こうしたインソース分解を利用できる場合には、インソース分解を1回目のCID操作の代わりに用いることができる。即ち、インソース分解されたイオンを質量分析することで得られたマススペクトルをMS2スペクトルとみなすことができ、インソース分解されたイオンをMS/MS分析することで得られたマススペクトルをMS3スペクトルとみなすことができる。この場合には、タンデム四重極型質量分析装置やQ−TOF型質量分析装置であっても実質的なMS3スペクトルを得ることができるから、本システムにおいてもこうした質量分析装置を利用することができる。
また、上記記載の各種変形例のほかに、本発明の趣旨の範囲で適宜に修正、変更、追加などを行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
1…質量分析部
10…ESIイオン源
11…加熱キャピラリ管
12…イオンガイド
13…イオントラップ
14…飛行時間型質量分析器(TOFMS)
15…検出器
2…制御・処理部
20…データ収集処理部
21…データ格納部
22…MSnスペクトル作成部
23…代謝種類推定部
24…代謝情報記憶部
25…未代謝物組成推定部
26…組成スコア算出部
27…化学構造推定部
28…化合物データベース
29…ピーク帰属部
30…代謝物推定部
31…分析制御部
32…プリカーサイオン自動選択部
4…入力部
5…表示部

Claims (2)

  1. MSn(nは3以上の整数)分析が可能である質量分析装置を利用して、抱合反応により生成された未知代謝物を同定する又はその構造解析を行う代謝物解析システムであって、
    a)抱合反応による既知の代謝に関する情報を記憶しておく代謝情報記憶部と、
    b)未知代謝物である可能性のある目的化合物に対して前記質量分析装置により少なくともMS1分析及びm=2,…,nであるMSm分析を実行してMS1スペクトル及びMSmスペクトルを取得する分析実行部と、
    c)前記代謝情報記憶部に記憶されている情報を参照して、MS2スペクトルにおいて観測されるプロダクトイオン及び/又はニュートラルロスによる質量情報から、前記目的化合物が未知代謝物であるとの仮定の下に抱合反応の種類を推定し、該当する抱合反応が存在した場合には該目的化合物は未知代謝物であると判断し、該反応による付加物の種類と数とを推定する代謝推定部と、
    d)前記MS1スペクトルにおいて観測される所定のイオンの質量情報から推定される組成式と前記代謝推定部で得られた付加物情報に基づく組成とに基づいて前記未知代謝物が代謝を受けない状態である未代謝物の組成式を計算することにより、又は、前記MS2スペクトルにおいて観測される所定のプロダクトイオンの質量情報から前記未代謝物の組成式を推定することにより、該未代謝物の組成式候補を求める組成式候補抽出部と、
    e)前記組成式候補抽出部により抽出された組成式候補毎に、その組成式による質量の理論値と実測値との一致度合いを示す組成スコアを算出する組成スコア計算部と、
    f)化学構造情報が収録された化合物データベースを参照するデータベース検索を行うことにより、前記組成式候補毎に、それに対応する構造式をそれぞれ推定して構造式候補を抽出する構造式候補抽出部と、
    g)前記構造式候補抽出部により抽出された構造式候補毎に、mが3以上であるMSmスペクトルにおいて観測されるピークがその構造式候補の部分構造に帰属可能であるか否かを判定し、その帰属結果に基づく帰属結果スコアを算出するピーク帰属実行部と、
    h)前記組成式候補の組成スコアとそれに対応する構造式候補の帰属結果スコアとに基づいて、未代謝物に対する構造式候補を絞り込み、その絞り込まれた構造式候補に前記代謝推定部により推定された付加物を付加することにより、前記未知代謝物の候補を求める代謝物推定部と、
    を備えることを特徴とする代謝物解析システム。
  2. MSn(nは3以上の整数)分析が可能である質量分析装置を利用して、抱合反応により生成された未知代謝物を同定する又はその構造解析を行う代謝物解析方法であって、
    a)未知代謝物である可能性のある目的化合物に対して前記質量分析装置により少なくともMS1分析及びm=2,…,nであるMSm分析を実行してMS1スペクトル及びMSmスペクトルを取得する分析実行ステップと、
    b)抱合反応による既知の代謝に関する情報が記憶されている代謝情報記憶部の情報を参照して、MS2スペクトルにおいて観測されるプロダクトイオン及び/又はニュートラルロスによる質量情報から、前記目的化合物が未知代謝物であるとの仮定の下に抱合反応の種類を推定し、該当する抱合反応が存在した場合には該目的化合物は未知代謝物であると判断し、該反応による付加物の種類と数とを推定する代謝推定ステップと、
    c)前記MS1スペクトルにおいて観測される所定のイオンの質量情報から推定される組成式と前記代謝推定部で得られた付加物情報に基づく組成とに基づいて前記未知代謝物が代謝を受けない状態である未代謝物の組成式を計算することにより、又は、前記MS2スペクトルにおいて観測される所定のプロダクトイオンの質量情報から前記未代謝物の組成式を推定することにより、該未代謝物の組成式候補を求める組成式候補抽出ステップと、
    d)前記組成式候補抽出ステップにおいて抽出された組成式候補毎に、その組成式による質量の理論値と実測値との一致度合いを示す組成スコアを算出する組成スコア計算ステップと、
    e)化学構造情報が収録された化合物データベースを参照するデータベース検索を行うことにより、前記組成式候補毎に、それに対応する構造式をそれぞれ推定して構造式候補を抽出する構造式候補抽出ステップと、
    f)前記構造式候補抽出ステップにおいて抽出された構造式候補毎に、mが3以上であるMSmスペクトルにおいて観測されるピークがその構造式候補の部分構造に帰属可能であるか否かを判定し、その帰属結果に基づく帰属結果スコアを算出するピーク帰属実行ステップと、
    g)前記組成式候補の組成スコアとそれに対応する構造式候補の帰属結果スコアとに基づいて、未代謝物に対する構造式候補を絞り込み、その絞り込まれた構造式候補に前記代謝推定ステップにおいて推定された付加物を付加することにより、前記未知代謝物の候補を求める代謝物推定ステップと、
    を有することを特徴とする代謝物解析方法。
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