JP2011220773A - 質量分析方法及び質量分析装置 - Google Patents

質量分析方法及び質量分析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】未知物質と既知物質のMS2スペクトル上で部分構造が相違するにも拘わらずm/zが一致するようなピークが存在した場合でも、誤った部分構造の同定を回避することで同定精度を高める。
【解決手段】未知物質のMS2スペクトルをデータベース検索に供して同定候補を探索する際に(S2)、MS2スペクトル上で類似性の高いプロダクトイオンピークがあったならば(S3でYes)、そのプロダクトイオンを2段目の開裂操作のプリカーサイオンに設定し(S4)、未知物質に対するMS3分析を実行する(S5)。MS2スペクトル上で類似していると判定されたピーク同士が同一の部分構造を持つものであれば、未知物質のMS3スペクトルと同定候補(既知物質)のMS3スペクトルとは一致する。これを利用してMS2スペクトル段階での部分構造の推定の確度を判断し(S6)、その結果を同定結果と併せて表示する(S7)。
【選択図】図2

Description

本発明は、MSn(nは3以上の整数)分析可能な質量分析装置を用いて物質の同定や構造解析を行うための質量分析方法及び該方法を実施するための質量分析装置に関する。
イオントラップ型質量分析装置などを用いた質量分析においてはMS/MS分析(タンデム分析)という手法が知られている。一般的なMS/MS分析では、まず分析対象物から目的とする特定の質量電荷比(m/z)を有するイオンをプリカーサイオンとして選別し、その選別したイオンをCID(Collision Induced Dissociation:衝突誘起解離)によって開裂させ、質量電荷比が小さなプロダクトイオンを生成する。開裂の態様は元の化合物の構造に依存する。そこで、開裂によって生じた各種プロダクトイオンを質量分析することにより、目的とする化合物の質量や化学構造についての情報を取得することができる。
近年、こうした装置で分析しようとする物質の分子量はますます大きなものとなり、構造(組成)も複雑になる傾向にある。そのため、物質の性質によっては、一段階の開裂操作だけでは十分に小さな質量電荷比までイオンが開裂しない場合がある。そうした場合には、開裂操作を複数回(n−1回)繰り返し、最終的に生じたプロダクトイオンを質量分析するMSn分析が行われることもある。なお、上記のような1回の開裂操作によるプロダクトイオンの質量分析、つまりMS/MS分析はMS2分析であり、開裂操作を伴わない質量分析はMS1分析である。
MSn分析により得られたデータ(MSnスペクトルデータ)から未知物質を同定したりその化学構造を推定したりする場合、一般的には、MS1スペクトル内のフラグメンテーションパターンやMSnスペクトルに基づくデータベース検索が行われる。この際に利用されるデータベース(ライブラリと呼ばれることもある)は、様々な既知化合物についての各種情報、即ち、化合物名、分子量、組成式、構造式、MSnスペクトルデータ、さらにはMSnスペクトルに現れる各種プロダクトイオンピークに対応した部分構造等が登録されたものであり、例えばNIST、Wiley、Drugなど標準的なもの、分析機器メーカーが用意したもの、或いは、ユーザーが独自に構築するもの、などがある。
データベース検索では、データベースに登録されている膨大な化合物の中で、同定対象の物質に由来するMSnスペクトル上のピークパターンと一致するとみなし得るようなMSnスペクトルを持つものを検索して候補に挙げ、その一致の程度に従って各候補にスコアを与え、スコアの高い順に複数の候補を表示するようにしている(例えば特許文献1など参照)。こうした処理では、未知物質の分析により得られたMSnスペクトルにおけるピークの質量電荷比が、データベースに登録されている既知物質のMSnスペクトル上のピークの質量電荷比の値に高い精度で一致していれば、それらは同一の部分構造であると推定され、こうした部分構造を持つ既知物質のスコアは高くなる。また、ピークパターンの一致判定にニュートラルロスを利用している場合には、ニュートラルロスが高い精度で一致していれば、開裂により脱離した要素が同一の部分構造であると推定され、そうした部分構造を持つ既知物質のスコアはやはり高くなる。
しかしながら、或る2つの物質をそれぞれ分析して得られたMSnスペクトルにおいて質量電荷比の値が一致したピークが存在している場合、そのピークに対応したプロダクトイオンの組成は同じであるものの、部分構造は全く相違しているということが実際にはあり得る。これはニュートラルロスが一致している場合も同様である。こうした場合、上記のような従来の解析手法では、実際には相違している部分構造を同一であるとみなしてしまった結果、適切でない化合物が同定の候補として高いスコアを獲得しまうおそれがある。
特開2007−287531号公報
前述のようなMSnスペクトルを用いたデータベース検索において物質の同定精度を高めるには、プロダクトイオンピークの質量電荷比やニュートラルロスの偶然の一致などによる部分構造の推定誤りを防止することが必要である。本発明はこうした課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、データベース検索や既知物質の分析結果との照合等により未知物質の同定や構造解析を行う際に、部分構造の推定誤りを軽減することにより物質の同定や構造解析の精度を向上させることができる質量分析方法及び質量分析装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された第1発明は、未知物質に由来するイオンをn−1(nは2以上の整数)段階に開裂させるMSn分析を実行することにより取得したMSnスペクトルと、既知物質の既知のMSnスペクトルとを照合することにより未知物質の同定や構造解析を行う質量分析方法であって、
a)未知物質のMSnスペクトルと既知物質のMSnスペクトルとを比較し、その両MSnスペクトルにおけるピークの質量電荷比、ニュートラルロスの質量電荷比、複数のピークの質量電荷比の差、又は強度を含めた複数のピークのパターンのいずれかの類似性を判断する類似性評価ステップと、
b)前記類似性評価ステップにより類似性が高いと判断されたピークに対応するプロダクトイオンを、n段目の開裂のプリカーサイオンに設定して前記未知物質に対するMSn+1分析を実行するMSn+1分析実行ステップと、
c)前記未知物質に対するMSn+1分析の結果得られたMSn+1スペクトルと、前記既知物質について前記類似性評価ステップにより類似性が高いと判断されたピークに対応するプロダクトイオンをプリカーサイオンとしたMSn+1分析により得られるMSn+1スペクトルとを比較し、前記類似性が高いと判断されたピークに対応する前記既知物質の部分構造が前記未知物質の部分構造であるとの推定の確度を評価する部分構造推定評価ステップと、
を有することを特徴としている。
また上記課題を解決するために成された第2発明は、第1発明に係る質量分析方法を実施するためのMSn+1分析(nは2以上の整数)が可能な質量分析装置であって、
a)未知物質に由来するイオンに対するMSn分析により取得されたMSnスペクトルを読み込む測定データ取得手段と、
b)既知物質のMSnにより得られるMSnスペクトルと、該MSnスペクトル上のピークに対応する該既知物質の部分構造情報と、該ピークをプリカーサイオンとした該既知物質に対するn段目の開裂を行うMSn+1分析により得られるMSn+1スペクトルと、を格納しておくための記憶手段と、
c)前記測定データ取得手段により得られた未知物質のMSnスペクトルと前記記憶手段から読み出された既知物質のMSnスペクトルとを比較し、その両MSnスペクトルにおけるピークの質量電荷比、ニュートラルロスの質量電荷比、複数のピークの質量電荷比の差、又は強度を含めた複数のピークのパターンのいずれかの類似性を判断する類似性評価手段と、
d)前記類似性評価手段により類似性が高いと判断されたピークに対応するプロダクトイオンを、n段目の開裂のプリカーサイオンに設定して前記未知物質に対するMSn+1分析を実行するMSn+1分析実行手段と、
e)前記未知物質に対するMSn+1分析の結果得られたMSn+1スペクトルと、前記記憶手段から読み出された、既知物質について前記類似性評価手段により類似性が高いと判断されたピークに対応するプロダクトイオンをプリカーサイオンとしたMSn+1スペクトルとを比較し、前記類似性が高いと判断されたピークに対応する前記既知物質の部分構造が前記未知物質の部分構造であるとの推定の確度を評価する部分構造推定評価手段と、
を備えることを特徴としている。
この第2発明に係る質量分析装置において上記記憶手段は、多数の既知物質に関する諸情報(化合物名、分子量、組成式、構造式、MSnスペクトルデータ、MSnスペクトルに現れる各種プロダクトイオンピークに対応した部分構造等)が格納されたデータベース(ライブラリ)であってもよいが、ユーザーが既知物質を実際に質量分析(MS1分析、MS2分析、…)することにより取得したデータを含む諸情報を記憶させたものであってもよい。
第1発明に係る質量分析方法を実施する第2発明に係る質量分析装置において、類似性評価手段は、例えば、未知物質のMS2スペクトルと既知物質のMS2スペクトルとを比較し、両MS2スペクトルにおいて質量電荷比が高い精度で一致しているプロダクトイオンピークを探索する。既知物質から生じるプロダクトイオンピークは該既知物質の部分構造に帰属させることができるため、未知物質のMS2スペクトル上に上記ピークと類似性が高いピークがあれば、そのピークに対応したイオンは上記既知物質の部分構造と同一である可能性が高いと推定できる。しかしながら、質量電荷比が一致していても構造が相違する場合はあり得る。そこで、この発明に係る質量分析装置では、上記の部分構造の推定を確認するために特徴的な処理及び制御を実行する。
即ち、MSn+1分析実行手段は、例えばMS2スペクトル上で類似性が高いと判断されたピークをプリカーサイオンとした未知物質に対するMS3分析を実行し、MS3スペクトルを取得する。未知物質及び上記既知物質のMS2スペクトル上で略共通に現れるピークに対応した部分構造が同一であるならば、MS3スペクトルのピークパターンも一致する筈であり、これが一致しなければ上記略共通に現れるピークに対応した部分構造は同一でないと判断できる。そこで、部分構造推定評価手段は、両MS3スペクトルのピークパターンの一致度を評価することにより、MS2スペクトル段階における部分構造の推定の確度を求める。これにより、未知物質の部分構造と既知物質の部分構造とが実際には異なるにも拘わらず質量電荷比が高い精度で一致してしまっているような場合でも、部分構造の誤った特定を回避することができる。
未知物質のMSnスペクトルと既知物質のMSnスペクトルとを比較する際に、プロダクトイオンピークの質量電荷比だけでなく、例えばニュートラルロス(プロダクトイオンとプリカーサイオンとの質量電荷比差)を用いたり、任意の複数のプロダクトイオンピークの質量電荷比の差を用いたりすることもできる。これらはいずれも開裂に伴って脱離した要素に起因するものであり、既知物質の部分構造に帰属させることができる。さらにまた、質量電荷比の値だけでなく強度情報も利用することができる。ただし、MSnスペクトル上のピーク強度の絶対値の比較は意味がないから、強度情報を利用する場合には、複数のピークの相対強度比を利用するとよい。
第2発明に係る質量分析装置において上記MSn+1分析実行手段は、未知物質と既知物質のMSnスペクトル上で類似性が高いと判断されたピークに対応するイオンをn段目の開裂のプリカーサイオンに設定し、その未知物質に対するMSn+1分析を自動的に実行するようにしてもよいが、そのMSn+1分析の実行は例えば分析者による分析開始指示を待って行うようにしてもよい。これにより、例えば分析者がMSnスペクトルの解析結果を確認し、MSnスペクトルの段階で共通である可能性が高いと推定されたプロダクトイオンピークの確認作業を要すると判断した場合にMSn+1分析を実行させるようにすることができる。
また第2発明に係る質量分析装置において類似性評価手段は、未知物質のMSnスペクトル上に現れる各ピークについて、未知物質と既知物質の両MSnスペクトルにおけるピークの質量電荷比、ニュートラルロスの質量電荷比、複数のピークの質量電荷比の差、又は強度を含めた複数のピークのパターンに基づいて類似性の程度を示す類似度を算出し、該類似度が閾値以上であるピークを類似性が高いと判断する構成とするとよい。
さらにまた、未知物質の構造解析結果を出力する際に、前記類似性評価手段により算出された類似度を示すとともに、該類似度の算出の元となったMSnスペクトルのnの値を明示する情報出力手段をさらに備えるようにするとよい。
上記のような類似度やその類似度が求められたときの開裂操作の段数は、分析者が解析結果(例えば同定候補の一覧)を評価して最終的に結論を下す際の参考情報となる。
また、第1発明に係る質量分析方法及び第2発明に係る質量分析装置では、MSnスペクトルに基づくピークパターンの類似性評価結果に基づいてMSn+1分析を実行するようにしていたが、予め上記評価のための処理に用いられる全てのスペクトルを取得する分析を実行し、その分析結果の中から必要なスペクトルを抽出するようにすることもできる。
即ち、上記課題を解決するために成された第3発明は、未知物質に由来するイオンをn−1(nは2以上の整数)段階に開裂させるMSn分析を実行することにより取得したMSnスペクトルと、既知物質の既知のMSnスペクトルとを照合することにより未知物質の同定や構造解析を行う質量分析方法であって、
a)未知物質に由来するイオンをMS1分析し、その結果から1乃至複数のプリカーサイオンを定めて前記未知物質に対するMS2分析を実行し、さらにその結果から1乃至複数のプリカーサイオンを定めて前記未知物質に対するMS3分析を実行する、という分析手順をMSn+1分析まで繰り返し、未知物質のMSnスペクトルとMSn+1スペクトルとを網羅的に取得する分析実行ステップと、
b)前記分析実行ステップで得られた未知物質のMSnスペクトルと既知物質のMSnスペクトルとを比較し、その両MSnスペクトルにおけるピークの質量電荷比、ニュートラルロスの質量電荷比、複数のピークの質量電荷比の差、又は強度を含めた複数のピークのパターンのいずれかの類似性を判断する類似性評価ステップと、
c)前記類似性評価ステップにより類似性が高いと判断されたピークに対応するプロダクトイオンに対する前記未知物質のMSn+1スペクトルを前記分析実行ステップで得られたスペクトルの中から抽出し、該MSn+1スペクトルと前記既知物質について前記類似性評価ステップにより類似性が高いと判断されたピークに対応するプロダクトイオンをプリカーサイオンとしたMSn+1分析により得られるMSn+1スペクトルとを比較し、前記類似性が高いと判断されたピークに対応する前記既知物質の部分構造が前記未知物質の部分構造であるとの推定の確度を評価する部分構造推定評価ステップと、
を有することを特徴としている。
また上記課題を解決するために成された第4発明は、第3発明に係る質量分析方法を実施するためのMSn+1分析(nは2以上の整数)が可能な質量分析装置であって、
a)未知物質に由来するイオンをMS1分析し、その結果から1乃至複数のプリカーサイオンを定めて前記未知物質に対するMS2分析を実行し、さらにその結果から1乃至複数のプリカーサイオンを定めて前記未知物質に対するMS3分析を実行する、という分析手順をMSn+1分析まで繰り返し、未知物質のMSnスペクトルとMSn+1スペクトルとを網羅的に取得する分析実行手段と、
b)既知物質のMSnにより得られるMSnスペクトルと、該MSnスペクトル上のピークに対応する該既知物質の部分構造情報と、該ピークをプリカーサイオンとした該既知物質に対するn段目の開裂を行うMSn+1分析により得られるMSn+1スペクトルと、を格納しておくための記憶手段と、
c)前記分析実行手段により得られた未知物質のMSnスペクトルと前記記憶手段から読み出された既知物質のMSnスペクトルとを比較し、その両MSnスペクトルにおけるピークの質量電荷比、ニュートラルロスの質量電荷比、複数のピークの質量電荷比の差、又は強度を含めた複数のピークのパターンのいずれかの類似性を判断する類似性評価手段と、
d)前記類似性評価手段により類似性が高いと判断されたピークに対応するプロダクトイオンに対する前記未知物質のMSn+1スペクトルを前記分析実行手段で得られたスペクトルの中から抽出し、該MSn+1スペクトルと、前記記憶手段から読み出された、前記既知物質について前記類似性評価手段により類似性が高いと判断されたピークに対応するプロダクトイオンをプリカーサイオンとしたMSn+1分析により得られるMSn+1スペクトルとを比較し、前記類似性が高いと判断されたピークに対応する前記既知物質の部分構造が前記未知物質の部分構造であるとの推定の確度を評価する部分構造推定評価手段と、
を備えることを特徴としている。
第3発明に係る質量分析方法及び第4発明に係る質量分析装置では、先に分析を実行して必要なデータを全て収集しそれを記憶部に格納した後に、そのデータに対するデータ処理を行うことで、未知物質の部分構造推定の評価を実施することができる。
本発明に係る質量分析方法及び質量分析装置によれば、未知物質のMSnスペクトルから得られる情報に基づいてデータベース検索により物質の同定や部分構造を行う際に、未知物質と既知物質の部分構造とが実際には異なるにも拘わらずプロダクトイオンピークの質量電荷比が高い精度で一致してしまっているような場合であっても、部分構造が相違していることを確認することができる。それにより、部分構造の特定誤りに起因する物質の同定や構造解析の精度の低下を防止することができる。
また特に、本発明に係る質量分析方法及び質量分析装置においてMSnスペクトル上で共通するイオンピークをプリカーサイオンに設定したMSn+1分析の実行とその結果の解析とを自動的に行うことにより、分析者の作業負担が軽減されるとともに、分析者の知識や経験の不足を補って精度の高い物質同定や構造解析を行うことが可能となる。
本発明の一実施例による質量分析装置の概略構成図。 本実施例による質量分析装置における特徴的な制御・処理の手順を示すフローチャート。 分析対象物質の一例である未知物質BのMS2スペクトル及び構造式を示す図。 図3に示した未知物質Bの同定の際に抽出される既知物質AのMS2スペクトル及び構造式を示す図。 MS2スペクトルの比較においてピークが一致していると判断する他の例を示す図。
以下、本発明に係る質量分析方法が実施される質量分析装置の一実施例について、図面を参照して説明する。図1はこの質量分析装置の概略構成図である。
本実施例の質量分析装置において、質量分析部10は、大気圧下で液体試料中の物質をイオン化するESI(エレクトロスプレイイオン化)イオン源11と、生成されたイオン流に混じる溶媒を除去するとともにイオンを真空室(図示せず)内へと導く加熱キャピラリ管12と、イオンを収束させつつ後段へと送るイオン輸送光学系13と、三次元四重極型のイオントラップ14と、イオントラップ14から放出された各種イオンをその飛行時間によって質量分離する飛行時間型質量分析器(TOFMS)15と、質量分離されたイオンを検出する検出器16と、を含む。ESIイオン源11の入口には通常の液体試料を導入することができるほか、液体クロマトグラフ(LC)のカラム出口を接続してLCで成分分離された液体試料を連続的に導入するようにすることもできる。
検出器16による検出信号は処理・制御部20に入力され、図示しないA/D変換器でデジタルデータに変換された後、所定のデータ処理が実行される。処理・制御部20は、データ処理を行うために、スペクトル作成部21、データ解析部22、データベース(DB)検索部23、同定用データベース(DB)24などを含むほか、質量分析部10の各部を制御する分析制御部25を含む。また、処理・制御部20には、ユーザーインターフェースとしての入力部26や表示部27が接続されており、入力部26を通して分析者の操作を受け付ける一方、MSnスペクトル、同定結果等の分析結果を表示部27より出力する。なお、処理・制御部20の機能の大部分は、専用の制御・処理ソフトウエアを搭載したパーソナルコンピュータにより具現化することができる。
図示しないが、イオントラップ14には外部からCIDガスを導入可能であり、イオントラップ14内にイオンを保持した後にCIDガスを導入し、保持したイオンを共鳴励起させることにより、該イオンをCIDガスに衝突させて開裂させることが可能である。
同定用データベース24には、様々な化合物に関するデータ、例えば、化合物名、分子量、組成式、構造式、MSn分析の各段におけるスペクトルデータ(MSnスペクトルデータ)、MSnスペクトルに現れる各種プロダクトイオンピークに対応した部分構造等、が登録されたものである。こうしたデータベースには、例えばNIST、Wiley、Drugなど標準的なものを利用してもよいが、MS1スペクトルのフラグメンテーションパターンはイオン化方法やイオン化条件により相違し、MSnスペクトルのプロダクトイオンピークパターンはCIDの条件などにより相違する。したがって、標準的なデータベースが利用できるとは限らず、分析機器メーカーがその分析機器に対応して予め用意したデータベースや、或いは、ユーザーが独自にMSn分析を実行して構築したデータベースを利用する場合もある。
次に、本実施例の質量分析装置における特徴的な質量分析手順の一例について、図2に従って説明する。ここでは、被検試料に含まれる未知物質Bの同定及び構造解析を行う場合を例に挙げて説明する。
ユーザーの指示により分析が開始されると、分析制御部25の制御の下に、質量分析部10では未知物質Bを含む被検試料に対するMS2分析が実行され、スペクトル作成部21はMS2分析により得られた検出信号に基づいてMS2スペクトルを作成する(ステップS1)。即ち、質量分析部10では被検試料に対するMS1分析がまず実行され、スペクトル作成部21はMS1分析により検出器16で得られた検出信号に基づいてMSスペクトルを作成する。データ解析部22はMSスペクトル上に現れたピークの中で特徴的なピークを検出し、分析制御部25の制御の下に質量分析部10は、このピークに対応したイオンをプリカーサイオンに設定した一段の開裂操作を伴うMS2分析を実行し、スペクトル作成部21はMS2分析により得られた検出信号に基づいてMS2スペクトルを作成する。上記特徴的なピークとは典型的には信号強度が最大のピークであるが、予め妨害成分が既知である場合にはそうした妨害成分由来のピークを除いた上で信号強度が最大のピークを探索すればよい。
ここでは、被検試料をMS1分析して得られるMSスペクトル上に現れた未知物質Bに対応するm/z:314.0936のイオンをプリカーサイオンとして、図3に示すMS2スペクトルが得られたものとする。このMS2スペクトルには、m/z:196.0167、m/z:119.0832などの質量電荷比にプロダクトイオンのピークが観測される。なお、図3中に記載の構造式はこの時点では不明であることは言うまでもない。
データ解析部22は、上述した未知物質BのMS1スペクトルに関する情報、及びMS2スペクトル上の各ピークのピーク情報(m/z値及び強度値)を収集し、データベース検索部23がその収集した情報を同定用データベース24に照合することにより、MS2スペクトル上のピークと一致度が高いピークを持つ物質を同定用データベース24に登録されている既知物質の中から探索し、同定候補としてリストアップする(ステップS2)。ここでは、未知物質BのMS2スペクトル上の各ピークについて、その質量電荷比が所定の許容誤差範囲内で一致し、且つニュートラルロスも所定の許容誤差範囲内で一致するような既知物質のMS2スペクトル上のピークを見つけ、そのピークを持つ物質を未知物質Bの同定候補としてリストに挙げる。
この実施例の質量分析装置では、質量分離にTOFMSが用いられており質量精度はかなり高いので、質量電荷比の一致を判定するための許容誤差範囲もかなり狭くすることができる。例えばいま、データベース検索の結果、未知物質Bに対する同定候補として既知物質Aが挙げられたとする。同定用データベース24に登録されているデータから、この既知物質Aの化合物名はイプロバリカルブであり、図4に示すMS2スペクトル及び構造式を有することが明らかになる。既知物質Aが同定候補として挙げられたのは、未知物質BのMS2スペクトル上のプロダクトイオンピークのm/zが119.0832、既知物質AのMS2スペクトル上のプロダクトイオンピークのm/zが119.0842、ときわめて近く、ニュートラルロス(NLS)もきわめて近いためである。したがって、両MS2スペクトル上の上記ピークは共通のピークであって同一の部分構造に由来する可能性が高いと推定し得る。従来であれば、この時点でそれが同一の部分構造であるとみなして構造解析を進めるようにしていたが、本実施例の質量分析方法では、さらにその推定を検証するためにステップS3以降の処理を実行する。
データ解析部22は、未知物質BのMS2スペクトル上のプロダクトイオンピークと類似性の高いプロダクトイオンピークが同定候補に挙げられた既知物質AのMS2スペクトル上に存在すると判定すると(ステップS3でYes)、未知物質BのMS2スペクトル上のプロダクトイオンピークの質量電荷比を次のMS3分析における2段目の開裂操作のプリカーサイオンに設定するように分析制御部25に指示する(ステップS4)。そして分析制御部25の制御の下に、質量分析部10は引き続いて同じ被検試料に含まれる未知物質Bに対するMS3分析を実行し、スペクトル作成部21は検出器16から得られた検出信号に基づいてMS3スペクトルを作成する(ステップS5)。このMS3分析における1段目の開裂操作のプリカーサイオンは先のMS2分析実行時と同じm/z:314.0936であり、2段目の開裂操作のプリカーサイオンは上記設定されたm/z:119.0832である。
既知物質AのMS2スペクトル上で観測されたm/z:119.0842のプロダクトイオンピークに対応した部分構造は、図4に示した構造式を持つイプロバリカルブの部分構造(一点鎖線の楕円で囲んだ範囲)である。これに対し、未知物質BのMS2スペクトル上で観測されたm/z:119.0832のプロダクトイオンピークに対応した部分構造は、実は図3に示したような構造式を持つブロモブチドの部分構造(一点鎖線の楕円で囲んだ範囲)である。両部分構造の組成式は同一であるが、構造自体は同一ではない。そのため、未知物質Bに含まれる上記部分構造が開裂して生成されるMS3スペクトルのプロダクトイオンピークパターンは、同定用データベース24に格納されているイプロバリカルブのMS3スペクトルにおけるピークパターンとは一致しない。
データ解析部22はMS3分析により取得されたMS3スペクトルのプロダクトイオンピークパターンと、同定用データベース24から読み出したイプロバリカルブのMS3スペクトルのピークパターンとを比較し、同一であるか否かを判定することにより、既知物質Aと未知物質Bの上記部分構造が同一であるか否かを判定し、それによってこの既知物質Aが同定候補として挙げられた推定の確度の検証を行う(ステップS6)。図3及び図4の例では、MS2スペクトルの段階で質量電荷比が高い精度で一致したピークに対する部分構造が同一でないと判定されるため、データ解析部22は既知物質Aが未知物質Bの同定候補であるとの推定の確度は低いと結論付ける。
なお、未知物質Bに対してデータベース検索により複数の同定候補が挙げられた場合には、各同定候補について、MS2スペクトルの段階で一致性が高いと判定されたプロダクトイオンピークについてMS3スペクトルを用いた同様の検証を実施すればよい。そして、最終的にデータ解析部22は、MS3分析結果を用いた検証の結果と併せてデータベース検索による同定結果を表示部27の画面上に表示する(ステップS7)。なお、ステップS3において所定条件の下で一致していると判断できるプロダクトイオンピークの存在が確認できない場合には、ステップS4〜S6に示したMS3分析やその分析結果に基づく検証を行うことなく、データベース検索による同定結果を表示部27の画面上に表示する(ステップS8)。
仮に、図3に示したブロモブチドに関する諸データが同定用データベース24に登録されていたとすると、このブロモブチドが既知物質として同定候補に挙げられ、ステップS6でこの同定候補のMS3スペクトルと未知物質のMS3スペクトルとを比較したときにピークパターンが一致していると判定される。それによって、MS2スペクトルの段階における共通ピークの部分構造は同一であるとの推定が正しいとの結論が下され、その結果が同定結果に反映されることになる。
なお、一般に質量分析のデータベース検索では、同定候補の確度を示すためのスコアを算出し、このスコアの高い順に同定候補を一覧表示することが行われている。そこで、未知物質と既知物質のMS2(又はMSn)スペクトルを比較する際に同様の手法で各ピーク毎にスコアを算出し、そのスコアを用いてピークが一致しているか否かを判断するとよい。即ち、図2中のステップS2において各ピークのスコアを算出し、ステップS3では算出されたスコアを所定の閾値と比較し、閾値を越えるスコアを獲得したピークについて類似性(一致性)が高いと判断するようにすればよい。そして、MS3スペクトルを用いた検証によって類似性が高いとの推定が誤りであると判断されたピークについてはスコアを大幅に下げ、一方、MS3スペクトルを用いた検証によって類似性が高いとの推定が確認できたピークについてはスコアを上げるようにすればよい。また、こうしたスコアを同定結果として表示する際には、いずれの段階の開裂操作で得られた分析結果に基づくスコアであるかを明示するとよい。
以上のようにして、本実施例の質量分析方法では、MS2スペクトル上で高い質量精度でピーク単体の質量電荷比やニュートラルロスが一致していて同一の部分構造である推定し得るピークについて、MS3分析によりその推定の確度が検証されるため、誤った部分構造の推定結果に基づく誤った物質の同定や構造解析を回避することができる。
上記実施例では、MS2スペクトルの比較により一致していると判定されたプロダクトイオンピークに対応した部分構造をMS3スペクトルを用いて検証していたが、これを、MSnスペクトルの比較により一致していると判定されたプロダクトイオンピークに対応した部分構造をMSn+1スペクトルを用いて検証するように拡張することが可能であることは容易に推測し得る。
また、MSnスペクトル上のプロダクトイオンピークの質量電荷比の絶対値やニュートラルロスによる質量電荷比差を用いてピークの一致(類似性)を判断する以外に、例えば図5(a)に示したように、比較する両MSnスペクトル上の2本のピークの間の質量電荷比差(ピーク間隔)ΔMが略一致する場合に、その両ピークがそれぞれ対応するピークと類似していると判断してもよい。また、質量電荷比の値だけでなく、ピークの強度情報を類似性の判定の条件に用いるようにしてもよい。ただし、ピーク強度はあくまでも相対値であるため、ピーク強度情報を用いる場合には、図5(b)に示すように、質量電荷比の情報と併せて複数本のピークの相対強度が略一致している場合に、それらピークがそれぞれ対応するピークと類似していると判断するとよい。
また上記実施例では、未知物質に対するMS2分析により取得されたMS2スペクトルを用いたデータベース検索により類似性の高いプロダクトイオンピークが検出された場合に、そのプロダクトイオンをプリカーサイオンに設定したMS3分析を実行するようにしている。このような方法は、無駄な、つまり実質的には有意でないプリカーサイオンに対するMS3分析を実行せずに済むという利点がある反面、MS2スペクトルの処理結果が判明するまでMS3分析を実行するか否かやMS3分析のプリカーサイオンが不明であり、これが判明するまで質量分析部10を待機状態としておく必要がある。これに対し、次のように手順を変更することにより、コンピュータによるデータ解析処理や分析結果評価を試料に対する全ての測定が終了した後にまとめて行うことが可能である。
即ち、まず図2に示したフローチャートにおいて、ステップS1に引き続きステップS5の処理を実行する。但し、この場合には、MS3分析において2段目の開裂操作対象のプリカーサイオンが類似性評価により選択されていないので、MS2スペクトルに出現した複数のピークの中で有意な(例えば明らかに未知物質由来でないことが判明しているピークを除いて強度が所定値以上のもの)ピークに対応した全てのプロダクトイオンを2段目の開裂操作対象のプリカーサイオンに設定してMS3分析を実行するとよい。したがって、未知物質に対するMS2分析、MS3分析を網羅的に実行することにより、有意なプロダクトイオンピークをプリカーサイオンとしたMS2スペクトル、MS3スペクトルを全て取得することになる。以上で必要な全ての測定が終了する。
その後、コンピュータにより具現化される処理・制御部20は、MS2スペクトルを用いたステップS2、S3の処理を実行し、ステップS3でYesである場合には、抽出されたプロダクトイオンを2段目の開裂操作対象のプリカーサイオンとして取得されたMS3スペクトルを測定済みのMS3スペクトルの中から検索する。そして、このMS3スペクトルに対してステップS6、S7の処理を実行すればよい。これにより、上記実施例と同様の結果を出力することができる。
なお、上記実施例は本発明の一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜に修正、変更、追加などを行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
10…質量分析部
11…ESIイオン源
12…加熱キャピラリ管
13…イオン輸送光学系
14…イオントラップ
15…飛行時間型質量分析器(TOFMS)
16…検出器
20…処理・制御部
21…スペクトル作成部
22…データ解析部
23…データベース検索部
24…同定用データベース
25…分析制御部
26…入力部
27…表示部

Claims (7)

  1. 未知物質に由来するイオンをn−1(nは2以上の整数)段階に開裂させるMSn分析を実行することにより取得したMSnスペクトルと、既知物質の既知のMSnスペクトルとを照合することにより未知物質の同定や構造解析を行う質量分析方法であって、
    a)未知物質のMSnスペクトルと既知物質のMSnスペクトルとを比較し、その両MSnスペクトルにおけるピークの質量電荷比、ニュートラルロスの質量電荷比、複数のピークの質量電荷比の差、又は強度を含めた複数のピークのパターンのいずれかの類似性を判断する類似性評価ステップと、
    b)前記類似性評価ステップにより類似性が高いと判断されたピークに対応するプロダクトイオンを、n段目の開裂のプリカーサイオンに設定して前記未知物質に対するMSn+1分析を実行するMSn+1分析実行ステップと、
    c)前記未知物質に対するMSn+1分析の結果得られたMSn+1スペクトルと、前記既知物質について前記類似性評価ステップにより類似性が高いと判断されたピークに対応するプロダクトイオンをプリカーサイオンとしたMSn+1分析により得られるMSn+1スペクトルとを比較し、前記類似性が高いと判断されたピークに対応する前記既知物質の部分構造が前記未知物質の部分構造であるとの推定の確度を評価する部分構造推定評価ステップと、
    を有することを特徴とする質量分析方法。
  2. 未知物質に由来するイオンをn−1(nは2以上の整数)段階に開裂させるMSn分析を実行することにより取得したMSnスペクトルと、既知物質の既知のMSnスペクトルとを照合することにより未知物質の同定や構造解析を行う質量分析方法であって、
    a)未知物質に由来するイオンをMS1分析し、その結果から1乃至複数のプリカーサイオンを定めて前記未知物質に対するMS2分析を実行し、さらにその結果から1乃至複数のプリカーサイオンを定めて前記未知物質に対するMS3分析を実行する、という分析手順をMSn+1分析まで繰り返し、未知物質のMSnスペクトルとMSn+1スペクトルとを網羅的に取得する分析実行ステップと、
    b)前記分析実行ステップで得られた未知物質のMSnスペクトルと既知物質のMSnスペクトルとを比較し、その両MSnスペクトルにおけるピークの質量電荷比、ニュートラルロスの質量電荷比、複数のピークの質量電荷比の差、又は強度を含めた複数のピークのパターンのいずれかの類似性を判断する類似性評価ステップと、
    c)前記類似性評価ステップにより類似性が高いと判断されたピークに対応するプロダクトイオンに対する前記未知物質のMSn+1スペクトルを前記分析実行ステップで得られたスペクトルの中から抽出し、該MSn+1スペクトルと前記既知物質について前記類似性評価ステップにより類似性が高いと判断されたピークに対応するプロダクトイオンをプリカーサイオンとしたMSn+1分析により得られるMSn+1スペクトルとを比較し、前記類似性が高いと判断されたピークに対応する前記既知物質の部分構造が前記未知物質の部分構造であるとの推定の確度を評価する部分構造推定評価ステップと、
    を有することを特徴とする質量分析方法。
  3. 請求項1又は2に記載の質量分析方法であって、
    前記類似性評価ステップでは、前記未知物質のMSnスペクトル上に現れるピークについて、前記両MSnスペクトルにおけるピークの質量電荷比、ニュートラルロスの質量電荷比、複数のピークの質量電荷比の差、又は強度を含めた複数のピークのパターンの少なくとも1つに基づいて類似性の程度を示す類似度を算出し、該類似度が閾値以上であるピークを類似性が高いと判断することを特徴とする質量分析方法。
  4. MSn+1分析(nは2以上の整数)が可能な質量分析装置であって、
    a)未知物質に由来するイオンに対するMSn分析により取得されたMSnスペクトルを読み込む測定データ取得手段と、
    b)既知物質のMSnにより得られるMSnスペクトルと、該MSnスペクトル上のピークに対応する該既知物質の部分構造情報と、該ピークをプリカーサイオンとした該既知物質に対するn段目の開裂を行うMSn+1分析により得られるMSn+1スペクトルと、を格納しておくための記憶手段と、
    c)前記測定データ取得手段により得られた未知物質のMSnスペクトルと前記記憶手段から読み出された既知物質のMSnスペクトルとを比較し、その両MSnスペクトルにおけるピークの質量電荷比、ニュートラルロスの質量電荷比、複数のピークの質量電荷比の差、又は強度を含めた複数のピークのパターンのいずれかの類似性を判断する類似性評価手段と、
    d)前記類似性評価手段により類似性が高いと判断されたピークに対応するプロダクトイオンを、n段目の開裂のプリカーサイオンに設定して前記未知物質に対するMSn+1分析を実行するMSn+1分析実行手段と、
    e)前記未知物質に対するMSn+1分析の結果得られたMSn+1スペクトルと、前記記憶手段から読み出された、既知物質について前記類似性評価手段により類似性が高いと判断されたピークに対応するプロダクトイオンをプリカーサイオンとしたMSn+1スペクトルとを比較し、前記類似性が高いと判断されたピークに対応する前記既知物質の部分構造が前記未知物質の部分構造であるとの推定の確度を評価する部分構造推定評価手段と、
    を備えることを特徴とする質量分析装置。
  5. MSn+1分析(nは2以上の整数)が可能な質量分析装置であって、
    a)未知物質に由来するイオンをMS1分析し、その結果から1乃至複数のプリカーサイオンを定めて前記未知物質に対するMS2分析を実行し、さらにその結果から1乃至複数のプリカーサイオンを定めて前記未知物質に対するMS3分析を実行する、という分析手順をMSn+1分析まで繰り返し、未知物質のMSnスペクトルとMSn+1スペクトルとを網羅的に取得する分析実行手段と、
    b)既知物質のMSnにより得られるMSnスペクトルと、該MSnスペクトル上のピークに対応する該既知物質の部分構造情報と、該ピークをプリカーサイオンとした該既知物質に対するn段目の開裂を行うMSn+1分析により得られるMSn+1スペクトルと、を格納しておくための記憶手段と、
    c)前記分析実行手段により得られた未知物質のMSnスペクトルと前記記憶手段から読み出された既知物質のMSnスペクトルとを比較し、その両MSnスペクトルにおけるピークの質量電荷比、ニュートラルロスの質量電荷比、複数のピークの質量電荷比の差、又は強度を含めた複数のピークのパターンのいずれかの類似性を判断する類似性評価手段と、
    d)前記類似性評価手段により類似性が高いと判断されたピークに対応するプロダクトイオンに対する前記未知物質のMSn+1スペクトルを前記分析実行手段で得られたスペクトルの中から抽出し、該MSn+1スペクトルと、前記記憶手段から読み出された、前記既知物質について前記類似性評価手段により類似性が高いと判断されたピークに対応するプロダクトイオンをプリカーサイオンとしたMSn+1分析により得られるMSn+1スペクトルとを比較し、前記類似性が高いと判断されたピークに対応する前記既知物質の部分構造が前記未知物質の部分構造であるとの推定の確度を評価する部分構造推定評価手段と、
    を備えることを特徴とする質量分析装置。
  6. 請求項4又は5に記載の質量分析装置であって、
    前記類似性評価手段は、前記未知物質のMSnスペクトル上に現れる各ピークについて、前記両MSnスペクトルにおけるピークの質量電荷比、ニュートラルロスの質量電荷比、複数のピークの質量電荷比の差、又は強度を含めた複数のピークのパターンに基づいて類似性の程度を示す類似度を算出し、該類似度が閾値以上であるピークを類似性が高いと判断することを特徴とする質量分析装置。
  7. 請求項4又は5に記載の質量分析装置であって、
    前記未知物質の構造解析結果を出力する際に、前記類似性評価手段により算出された類似度を示すとともに、該類似度の算出の元となったMSnスペクトルのnの値を明示する情報出力手段をさらに備えることを特徴とする質量分析装置。
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