JP2016003565A - 可変ノズルユニット及び可変容量型過給機 - Google Patents

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Abstract

【課題】 可変ノズルユニット43の信頼性、換言すれば、可変容量型過給機1の信頼性を確保しつつ、ノズルサイドクリアランスからの漏れ流れを低減して、可変容量型過給機1のタービン効率の維持又は向上を図ること。【解決手段】 第1ノズルリング45に左右方向に離隔対向した位置には、第2ノズルリング57が円周方向に並んだ複数の連結ピン59を介して第1ノズルリング45と一体的に設けられ、サポートリング87の内縁部は複数の連結ピン59の一端部のかしめ結合によって第1ノズルリング45に連結され、サポートリング87の各ピン穴91がサポートリング87の半径方向へ延びる形状に構成され、サポートリング87の各ピン穴91の周縁と対応する連結ピン59の一端部の結合によるかしめ頭93との間には、座金95が設けられていること。【選択図】 図1

Description

本発明は、可変容量型過給機におけるタービンインペラ側へ供給される排気ガスの流路面積(流量)を調整する可変ノズルユニット等に関する。
近年、可変容量型過給機におけるタービンハウジング内に配設される可変ノズルユニットについて種々の開発がなされており、本願の出願人も既に可変ノズルユニットについて開発して出願している(特許文献1及び特許文献2等参照)。そして、その先行技術に係る可変ノズルユニットの具体的な構成は、次のようになる。
タービンハウジング内には、環状の第1壁部材としての第1ノズルリングがタービンインペラと同心状に配設されている。また、第1ノズルリングに対して軸方向(タービンインペラの軸方向)に離隔した位置には、環状の第2壁部材としての第2ノズルリングが円周方向(所定の円周方向)に間隔を置いて並んだ複数の連結ピンによって第1ノズルリングと一体的に設けられている。
第1ノズルリングの対向面と第2ノズルリングの対向面との間には、複数の可変ノズルが円周方向(所定の円周方向)に等間隔に配設されており、各可変ノズルは、タービンインペラの軸心に平行な軸心(可変ノズルのノズル軸の軸心)周りに正逆方向(開閉方向)へ回動可能である。また、第1ノズルリングの対向面の反対面側に区画形成したリンク室には、複数の可変ノズルを正逆方向へ同期して回動させるためのリンク機構が配設されている。ここで、複数の可変ノズルを正方向(開方向)へ同期して回動させると、タービンインペラ側へ供給される排気ガスの流路面積(スロート面積)が大きくなると共に、複数の可変ノズルを逆方向(閉方向)へ同期して回動させると、前記排気ガスの流路面積が小さくなるようになっている。
第1ノズルリングの対向面の反対面には、第1ノズルリングの外径よりも大径のサポートリング(環状のサポート部材)が設けられている。また、サポートリングの内縁部(内周縁部)は、複数の連結ピンの一端部の結合によって一体的に連結されており、サポートリングの内縁部には、連結ピンの一端部を挿通させるための複数のピン穴が円周方向(所定の円周方向)に間隔を置いて貫通形成(貫通して形成)されている。更に、サポートリングの外縁部(外周縁部)は、ベアリングハウジングにタービンハウジングとの協働により挟持された状態で取付けられている。
特開2009−243431号公報 特開2009−243300号公報
ところで、可変容量型過給機の運転中、第1ノズルリングの周辺温度(周辺のガス温度)がサポートリングの周辺温度に比べて非常に高くなり、可変容量型過給機の運転状況によっては、第1ノズルリングの周辺温度がサポートリングの周辺温度に比べて低くなることがある。換言すれば、可変容量型過給機の運転中に、第1ノズルリングとサポートリングとの周辺温度差(周辺のガス温度差)が発生する。これにより、第1ノズルリングとサポートリングとの半径方向の熱膨張差(熱変形差)によって、第1ノズルリングの対向面が軸方向に垂直な方向に対して傾くように、第1ノズルリングが熱変形することになる。すると、可変容量型過給機の運転状況によっては、第1ノズルリングの対向面と第2ノズルリングの対向面の平行度が低下し、第1ノズルリングの対向面と第2ノズルリングの対向面の間隔が局所的に狭くなるおそれがある。
そのため、複数の可変ノズルの動作の安定性を維持して、可変ノズルユニットの信頼性、換言すれば、可変容量型過給機の信頼性を確保できるように、ノズルサイドクリアランスの大きさを設定してある。一方、ノズルサイドクリアランスを大きめに設定すると、ノズルサイドクリアランスからの漏れ流れが増大して、可変容量型過給機のタービン効率が低下する傾向になる。なお、ノズルサイドクリアランスとは、第1ノズルリングの対向面と可変ノズルの一側面(軸方向の一方側の側面)との隙間、又は第2ノズルリングの対向面と可変ノズルの他側面(軸方向の他方側の側面)との隙間のことをいう。
つまり、可変容量型過給機の信頼性を確保しつつ、可変容量型過給機のタービン効率の維持又は向上を図ることが困難であるという問題がある。
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成の可変ノズルユニット等を提供することを目的とする。
本発明の第1の特徴は、可変容量型過給機におけるタービンインペラ側へ供給される排気ガスの流路面積(流量)を調整する可変ノズルユニットにおいて、前記可変容量型過給機におけるタービンハウジング内に前記タービンインペラと同心状に配設された環状の第1壁部材と、前記第1壁部材に対して軸方向に離隔対向した位置に、円周方向(所定の円周方向)に間隔を置いて並んだ複数の連結ピンによって前記第1壁部材と一体的に設けられた環状の第2壁部材と、前記第1壁部材の対向面と前記第2壁部材の対向面との間に円周方向(所定の円周方向)に間隔を置いて配設され、前記タービンインペラの軸心に平行な軸心(可変ノズルのノズル軸の軸心)周りに正逆方向へ回動可能な複数の可変ノズルと、複数の前記可変ノズルを同期して回動させるためのリンク機構と、前記第1壁部材に複数の前記連結ピンの一端部の結合によって連結され、前記連結ピンの一端部を挿通させるための複数のピン穴が円周方向に間隔を置いて貫通形成(貫通して形成)されたサポートリング(環状のサポート部材)と、を具備し、前記第1壁部材に、前記可変容量型過給機の運転中における前記第1壁部材と前記サポートリングとの半径方向の熱膨張差(前記第1壁部材の半径方向の熱膨張と前記サポートリングの半径方向の熱膨張の差)を吸収するための吸収手段が施されていることを要旨とする。
ここで、例えば、前記吸収手段として、前記サポートリングの各ピン穴が前記サポートリングの内縁部側から外縁部側に向かって延びるように構成されていることが挙げられる。また、前記吸収手段として、前記サポートリングにおける各ピン穴に対応する位置にスリットが形成されていることが挙げられる。
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「配設され」とは、直接的に配設されたことの他に、別部材を介して間接的に配設されたことを含む意であって、「設けられ」とは、直接的に設けられたことの他に、別部材を介して間接的に設けられたことを含む意である。「環状の第1壁部材」及び「環状の第2壁部材」は、前記タービンハウジング等の一部を構成するものであっても構わない。また、「軸方向」とは、特に断らない限り、タービンインペラの軸方向(換言すれば、第1ノズルリング、第2ノズルリング、及びサポートリングの軸方向)のことをいう。「結合」とは、カシメ結合、溶接結合、ねじ結合等を含む意である。更に、「半径方向」とは、特に断らない限り、タービンインペラの半径方向(換言すれば、第1ノズルリング、第2ノズルリング、及びサポートリングの半径方向)のことをいう。そして、「各ピン穴に対応する位置」とは、各ピン穴の半径方向外側(半径方向の外側)、各ピン穴の半径方向内側(半径方向の内側)、各ピン穴の近傍等を含む意である。
第1の特徴によると、前記可変容量型過給機の運転中、エンジン回転数が高回転域にあって、排気ガスの流量が多い場合には、前記リンク機構を作動させつつ、複数の前記可変ノズルを正方向(開方向)へ同期して回動させる。これにより、前記タービンインペラ側へ供給される排気ガスのガス流路面積(スロート面積)を大きくする。
一方、エンジン回転数が低回転域にあって、排気ガスの流量が少ない場合には、前記リンク機構を作動させつつ、複数の前記可変ノズルを逆方向(閉方向)へ同期して回動させる。これにより、前記タービンインペラ側へ供給される排気ガスのガス流路面積を小さくする(前記可変ノズルユニットの通常の作用)。
前記可変容量型過給機の運転中に、前記第1壁部材と前記サポートリングとの半径方向の熱膨張差が生じた場合に、その熱膨張差を前記吸収手段によって吸収することができる。これにより、前記第1壁部材の対向面が軸方向に垂直な方向に対して傾くように、前記第1壁部材が熱変形することを十分に十分に抑制できる。(前記可変ノズルユニットの特有の作用)。
本発明の第2の特徴は、エンジンからの排気ガスのエネルギーを利用して、前記エンジン側に供給される空気を過給する可変容量型過給機において、第1の特徴からなる可変ノズルユニットを具備したことを要旨とする。
第2の特徴によると、第1の特徴による作用と同様の作用を奏する。
本発明によれば、前記可変容量型過給機の運転中に、前記第1壁部材の対向面が軸方向に垂直な方向に対して傾くように、前記第1壁部材が熱変形することを十分に抑制できるため、前記可変容量型過給機の運転中における前記第1壁部材の対向面と前記第2壁部材の対向面の平行度を十分に確保しつつ、ノズルサイドクリアランスを極力小さくすることができる。よって、本発明によれば、複数の前記可変ノズルの動作の安定性を維持して、前記可変ノズルユニットの信頼性、換言すれば、前記可変容量型過給機の信頼性を確保しつつ、ノズルサイドクリアランスからの漏れ流れを低減して、前記可変容量型過給機のタービン効率の維持又は向上を図ることができる。
図1は、本発明の実施形態に係る可変ノズルユニットの要部を示す断面図であって、図2における矢視部Iの拡大断面図である。 図2は、図6における矢視部IIの拡大断面図である。 図3A(a)は、本発明の実施形態に係る可変ノズルユニットにおけるサポートリングを示す図、図3A(b)は、図3A(a)におけるIII-III線に沿った断面図である。 図3B(a)は、図3A(a)における矢視部IVの拡大図、図3B(b)は、本発明の実施形態に係る可変ノズルユニットにおけるサポートリングの他の態様を示す図である。 図4は、本発明の実施形態に係る可変ノズルユニットをリンク機構側から見た図である。 図5(a)は、本発明の実施形態に係る可変ノズルユニットにおける第1ノズルリングを示す図、図5(b)は、図5(a)におけるV-V線に沿った断面図である。 図6は、本発明の実施形態に係る可変容量型過給機の正断面図である。 図7は、本発明の実施形態の変形例に係る可変ノズルユニットの要部を示す断面図であって、図1に対応する図である。 図8A(a)は、本発明の実施形態の変形例に係る可変ノズルユニットにおけるサポートリングを示す図、図8A(b)は、図8A(a)におけるVI-VI線に沿った断面図である。 図8B(a)は、図8A(a)における矢視部VIIの拡大図、図8B(b)は、本発明の実施形態の変形例に係る可変ノズルユニットにおけるサポートリングの他の態様を示す図である。
(本発明の実施形態)
本発明の実施形態について図1から図8Bを参照して説明する。なお、図面に示すとおり、「L」は、左方向、「R」は、右方向、「AD」は、軸方向、「BD」は、半径方向、「BDi」は、半径方向内側、「BDo」は、半径方向外側、「CD」は、円周方向である。
図6に示すように、本発明の実施形態に係る可変容量型過給機1は、エンジン(図示省略)からの排気ガスの圧力エネルギーを利用して、エンジンに供給される空気を過給(圧縮)するものである。そして、可変容量型過給機1の具体的な構成等は、以下のようになる。
可変容量型過給機1は、ベアリングハウジング3を具備しており、ベアリングハウジング3内には、一対のラジアルベアリング5及び一対のスラストベアリング7が設けられている。また、複数のベアリング5,7には、左右方向へ延びたロータ軸(タービン軸)9が回転可能に設けられており、換言すれば、ベアリングハウジング3には、ロータ軸9が複数のベアリング5,7を介して回転可能に設けられている。
ベアリングハウジング3の右側には、コンプレッサハウジング11が設けられている。そして、コンプレッサハウジング11内には、遠心力を利用して空気を圧縮するコンプレッサインペラ13がその軸心(コンプレッサインペラ13の軸心)C周りに回転可能に設けられており、このコンプレッサインペラ13は、ロータ軸9の右端部に一体的に連結されている。また、コンプレッサインペラ13は、コンプレッサディスク15を備えており、コンプレッサディスク15のハブ面15hは、右側から半径向外側(コンプレッサインペラ13の半径方向の外側)へ延びている。更に、コンプレッサディスク15のハブ面15hには、複数のコンプレッサブレード17が周方向(コンプレッサディスク15のハブ面15hの周方向)に間隔を置いて一体形成されている。
コンプレッサハウジング11におけるコンプレッサインペラ13の入口側(空気の主流方向から見て上流側)には、空気をコンプレッサハウジング11内に取入れるための空気取入口19が形成されており、この空気取入口19は、空気を浄化するエアクリーナ(図示省略)に接続可能である。また、ベアリングハウジング3とコンプレッサハウジング11との間におけるコンプレッサインペラ13の出口側(空気の主流方向から見て下流側)には、圧縮された空気を昇圧する環状のディフューザ流路21が形成されている。更に、コンプレッサハウジング11の内部には、渦巻き状のコンプレッサスクロール流路23が形成されており、このコンプレッサスクロール流路23は、ディフューザ流路21に連通している。そして、コンプレッサハウジング11の適宜位置には、圧縮された空気をコンプレッサハウジング11の外側へ排出するための空気排出口25が形成されており、この空気排出口25は、エンジンの吸気マニホールド(図示省略)に接続可能である。
なお、ベアリングハウジング3の右側部には、スラストベアリング7側への圧縮空気の漏れを抑える環状のシールプレート27が設けられている。
図2及び図6に示すように、ベアリングハウジング3の左側には、タービンハウジング29が設けられている。そして、タービンハウジング29内には、排気ガスの圧力エネルギーを利用して回転力を発生させるタービンインペラ31がその軸心(タービンインペラ31の軸心)C周りに回転可能に設けられており、このタービンインペラ31は、ロータ軸9の左端部に一体的に連結されている。また、タービンインペラ31は、タービンディスク33を備えており、このタービンディスク33のハブ面33hは、左側(軸方向の一方側)から半径方向外側(タービンインペラ31の半径方向の外側)へ延びている。更に、タービンディスク33のハブ面33hには、複数のタービンブレード35が周方向(タービンディスク33のハブ面33hの周方向)に間隔を置いて一体形成されている。
タービンハウジング29の適宜位置には、排気ガスをタービンハウジング29内に取入れるためのガス取入口37が形成されており、このガス取入口37は、エンジンの排気マニホールド(図示省略)に接続可能である。また、タービンハウジング29の内部におけるタービンインペラ31の入口側(排気ガスの主流方向から見て上流側)には、渦巻き状のタービンスクロール流路39が形成されており、このタービンスクロール流路39は、ガス取入口37に連通している。そして、タービンハウジング29におけるタービンインペラ31の出口側(排気ガスの流れ方向から見て下流側)には、排気ガスを排出するためのガス排出口41が形成されており、このガス排出口41は、接続管(図示省略)を介して触媒(図示省略)に接続可能である。
可変容量型過給機1は、タービンインペラ31側へ供給される排気ガスの流路面積(流量)を調整する可変ノズルユニット43を装備しており、この可変ノズルユニット43の構成の詳細は、次のようになる。
図1、図2、及び図5(a)(b)に示すように、タービンハウジング29内には、環状の第1壁部材としての第1ノズルリング45がタービンインペラ31と同心状に配設されている。そして、第1ノズルリング45の右側面には、環状の嵌合突部47が右方向へ突出して形成されており、この嵌合突部47は、ベアリングハウジング3の左側面に形成された環状の支持部49に嵌合した状態で支持されている。また、第1ノズルリング45には、複数の支持穴51が円周方向に等間隔に貫通形成(貫通して形成)されている。更に、第1ノズルリング45の嵌合突部47には、複数のガイド爪53が円周方向(所定の円周方向)に間隔を置いて形成されており、各ガイド爪53は、先端側(半径方向外側)に、断面U字状のガイド溝55を有している。
図1及び図2に示すように、第1ノズルリング45に左右方向(タービンインペラ31の軸方向)に離隔対向した位置には、環状の第2壁部材としての第2ノズルリング57が円周方向(所定の円周方向)に並んだ複数(少なくとも3つ以上)の連結ピン59を介して第1ノズルリング45と一体的かつ同心状に設けられている。ここで、複数の連結ピン59は、第1ノズルリング45の対向面(左側面)と第2ノズルリング57の対向面(右側面)との間隔を設定する機能を有している。なお、前述の特許文献1及び特許文献2に示すように、第2ノズルリング57が複数のタービンブレード35のチップ35tを覆う円筒状のシュラウド部(図示省略)を有するようにしても構わない。
第1ノズルリング45の対向面と第2ノズルリング57の対向面との間には、複数の可変ノズル61がタービンインペラ31を囲むように円周方向(所定の円周方向)に等間隔に配設されている。また、各可変ノズル61は、タービンインペラ31の軸心Cに平行な軸心(可変ノズル61の軸心)周りに正逆方向(開閉方向)へ回動可能である。更に、各可変ノズル61の右側面(軸方向の一方側の側面)には、ノズル軸63が一体形成されており、各ノズル軸63は、第1ノズルリング45の対応する支持穴51に回動可能に支持されている。なお、複数の可変ノズル61が円周方向に等間隔に並んでいるが、不等間隔に並んでいても構わない。各可変ノズル61は1つのノズル軸63を有してあるが、各可変ノズル61の左側面(軸方向の他方側の側面)に別のノズル軸(図示省略)が一体形成されるようにしても構わなく、この場合には、各別のノズル軸が第2ノズルリング57の別の支持穴(図示省略)に回動可能に支持されることになる。
第1ノズルリング45の対向面の反対面側(右側面側)には、環状のリンク室65が区画形成されており、このリンク室65内には、複数の可変ノズル61を同期して正逆方向(開閉方向)へ回動させるためのリンク機構67が配設されている。そして、リンク機構67の具体的な構成は、次のようになる。
図1、図2、及び図4に示すように、第1ノズルリング45の複数のガイド爪53のガイド溝55には、駆動リング69がタービンインペラ31の軸心(第1ノズルリング45の軸心)C周りに正逆方向へ回動可能に設けられている。また、駆動リング69は、電動モータ又はダイヤフラムアクチュエータ等の回動アクチュエータ71の駆動によって正逆方向へ回動するものである。そして、駆動リング69には、複数(可変ノズル61と同数)の係合凹部(係合部)73が半径方向外側へ窪みかつ周方向(駆動リング69の周方向)に等間隔に形成されており、駆動リング69の適宜位置には、別の係合凹部(別の係合部)75が半径方向外側へ窪んで形成されている。更に、各可変ノズル61のノズル軸63には、ノズルリンク部材77の基部が一体的に連結されており、各ノズルリンク部材77の先端部は、駆動リング69の対応する係合凹部73に係合してある。なお、駆動リング69が第1ノズルリング45の複数のガイド爪53のガイド溝55に正逆方向へ回動可能に設けられる代わりに、特許文献1及び特許文献2に示すように、第1ノズルリング45の対向面の反対面に配設したガイドリング(図示省略)に正逆方向へ回動可能に設けられるようにしても構わない。リンク機構67が第1ノズルリング45の対向面の反対面側(リンク室65内)に配設される代わりに、第2ノズルリング57の対向面の反対面側(左側面側)に配設されるようにしても構わない。複数の可変ノズル61が円周方向に不等間隔に並んでいる場合には、複数の係合凹部73が不等間隔に並ぶことになる。
ベアリングハウジング3の左側部には、駆動軸79がタービンインペラ31の軸心に平行な軸心(駆動軸79の軸心)周りに回動可能にブッシュ81を介して設けられており、この駆動軸79の一端部(右端部)は、動力伝達機構83を介して回動アクチュエータ71に接続されている。また、駆動軸79の他端部(左端部)には、駆動リンク部材85の基端部が一体的に連結されており、この駆動リンク部材85の先端部は、駆動リング69の別の係合凹部75に係合してある。
図1、図2、及び図3A(a)(b)に示すように、第1ノズルリング45の対向面の反対面(右側面)には、第1ノズルリング45の外径よりも大径のサポートリング(環状のサポート部材)87が設けられている。そして、サポートリング87の内縁部は、複数の連結ピン59の一端部(右端部)のかしめ結合によって第1ノズルリング45に連結されている。また、サポートリング87の内縁部には、第1ノズルリング45に連結するための複数の連結片89が半径向内側へ突出しかつ周方向(サポートリング87の周方向)に間隔を置いて形成されており、各連結片89には、連結ピン59の左端部を挿通させるためのピン穴91が貫通形成されている。更に、サポートリング87の外縁部は、ベアリングハウジング3にタービンハウジング29との協働により挟持された状態で取付けられており、ベアリングハウジング3に対して半径方向の変位(微動)が許容されている。なお、サポートリング87の外縁部がベアリングハウジング3にタービンハウジング29との協働により挟持された状態で取付けられる代わりに、ベアリングハウジング3に取付ボルト(図示省略)によって取付けられても構わない。
図1、図3A(a)(b)、及び図3B(a)に示すように、サポートリング87には、可変容量型過給機1の運転中における第1ノズルリング45とサポートリング87との周辺温度差(第1ノズルリング45の周辺のガス温度とサポートリング87の周辺のガス温度との差)による半径方向の熱膨張差(第1ノズルリング45の半径方向の熱膨張とサポートリング87の半径方向の熱膨張との差)を吸収するための吸収手段が施されている。具体的には、サポートリング87の各ピン穴91(各連結片89のピン穴91)は、サポートリング87の半径方向へ延びる形状に構成されており、サポートリング87の各ピン穴91の形状(開口形状)は、楕円状を呈している。また、サポートリング87の各ピン穴91の周縁と対応する連結ピン59の一端部の結合によるかしめ頭93(結合部の一例)との間には、座金95が設けられている。なお、サポートリング87の各ピン穴91の形状が楕円形状を呈する代わりに、図3B(b)に示すように、平行な2つの長辺を有した長穴形状にしても構わない。また、図示は省略するが、サポートリング87の各ピン穴91がサポートリング87の内縁部側(内周縁部側)から外縁部側(外周縁部側)に向かって延びていれば、半径方向に対して傾斜しても構わない。更に、座金95の形状は、円形状、四角形状、又は三角形状のいずれであっても構わなく、座金95が一部に合口(切欠)を有しても構わない。座金95がサポートリング87と連結ピン59のかしめ頭93との間にだけでなく、サポートリング87と第1ノズルリング45との間に設けられても構わない。
図2及び図3A(a)(b)に示すように、サポートリング87の内側(内周面側)における周方向(サポートリング87の周方向)に隣接する連結片89の間には、タービンスクロール流路39とリンク室65を連通させるための不連続な環状の連絡通路97が形成されている。換言すれば、第1ノズルリング45の対向面の反対面側(右側面側)は、連絡通路97及びリンク室65を介してタービンスクロール流路39に連通している。
図2に示すように、ベアリングハウジング3の支持部49の内縁部に左方向へ突出して形成した環状の突起部99には、タービンインペラ31側からの熱を遮蔽する環状の遮熱板101が嵌合して設けられている。また、遮熱板101の外縁部(外周縁部)には、環状の嵌合段部103が半径方向内側へ窪んで形成されており、この嵌合段部103は、第1ノズルリング45の内縁部に嵌合してある。更に、ベアリングハウジング3の突起部99における遮熱板101の右側には、遮熱板101の嵌合段部103と第1ノズルリング45の内縁部を圧接(圧力を加えた状態で接触)させるように第1ノズルリング45を左方向へ付勢する皿バネ105が設けられている。そして、第2ノズルリング57の内周面とタービンハウジング29の適宜箇所との間には、第2ノズルリング57の対向面の反対面側(左側面側)からの排気ガスの漏れを抑える複数のシールリング107が設けられている。
続いて、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
ガス取入口37から取入れた排気ガスがタービンスクロール流路39を経由してタービンインペラ31入口側から出口側へ流通することにより、排気ガスの圧力エネルギーを利用して回転力を発生させて、ロータ軸9及びコンプレッサインペラ13をタービンインペラ31と一体的に回転させることができる。これにより、空気取入口19から取入れた空気を圧縮して、ディフューザ流路21及びコンプレッサスクロール流路23を経由して空気排出口25から排出することができ、エンジンに供給される空気を過給(圧縮)することができる。
可変容量型過給機1の運転中、エンジン回転数が高く、排気ガスの流量が多い場合には、回動アクチュエータ71によってリンク機構67を作動させつつ、複数の可変ノズル61を正方向(開方向)へ同期して回動させることにより、タービンインペラ31側へ供給される排気ガスの流路面積(スロート面積)を大きくして、多くの排気ガスを供給する。一方、エンジン回転数が低く、排気ガスの流量が少ない場合には、回動アクチュエータ71によってリンク機構67を作動させつつ、複数の可変ノズル61を逆方向(閉方向)へ同期して回動させることにより、タービンインペラ31側へ供給される排気ガスの流路面積を小さくして、排気ガスの流速を高めて、タービンインペラ31の仕事量を十分に確保する。これにより、排気ガスの流量の多少に関係なく、タービンインペラ31によって回転力を十分かつ安定的に発生させることができる(可変容量型過給機1の通常の作用)。
サポートリング87の各ピン穴91がサポートリング87の内縁部側から外縁部側に向かって延びるように構成されているため、可変容量型過給機1の運転中に、第1ノズルリング45とサポートリング87との半径方向の熱膨張差が生じた場合に、連結ピン59(連結ピン59の一端部)がサポートリング87の連結片89のピン穴91に沿ってサポートリング87に対して相対的に移動(微動)する。特に、サポートリング87の各ピン穴91の周縁と対応する連結ピン59のかしめ頭93との間に座金95が設けられているため、前述の場合に、サポートリング87に対する連結ピン59の相対的な移動又は連結ピン59によるサポートリング87の保持力を安定させることができる。これにより、第1ノズルリング45とサポートリング87との半径方向の熱膨張差を吸収して、可変容量型過給機1の運転中に、第1ノズルリング45の対向面が軸方向に垂直な方向に対して傾くように、第1ノズルリング45が熱変形することを十分かつ安定的に抑制できる。
第1ノズルリング45の対向面の反対面側がタービンスクロール流路39に連通してあるため、可変容量型過給機1の運転中、各可変ノズル61のノズル軸63の端面に働く圧力を高くして、各可変ノズル61を第2ノズルリング57の対向面側へ寄せることができる(可変容量型過給機1の特有の作用)。
従って、本発明の実施形態によれば、可変容量型過給機1の運転中に、第1ノズルリング45の対向面が軸方向に垂直な方向に対して傾くように、第1ノズルリング45が熱変形することを十分かつ安定的に抑制できるため、可変容量型過給機1の運転中における第1ノズルリング45の対向面と第2ノズルリング57の対向面の平行度を十分に確保しつつ、ノズルサイドクリアランスを極力小さくすることができる。よって、本発明の実施形態によれば、複数の可変ノズル61の動作の安定性を維持して、可変ノズルユニット43の信頼性、換言すれば、可変容量型過給機1の信頼性を確保しつつ、ノズルサイドクリアランスからの漏れ流れを低減して、可変容量型過給機1のタービン効率の向上を図ることができる。
特に、可変容量型過給機1の運転中、各可変ノズル61を第2ノズルリング57の対向面側へ寄せることができるため、各可変ノズル61の左側面と第2ノズルリング57の対向面との隙間からの漏れ流れを抑えて、タービンブレード35のチップ35t側部分(ミッドスパン側からチップ35t側にかけての部分)に沿う排気ガスの流れを安定させて、可変容量型過給機1のタービン効率の向上をより図ることができる。
(本発明の実施形態の変形例)
可変ノズルユニット43(図1参照)の構成部材としてサポートリング87(図1参照)を用いる代わりに、図7に示すように、別のサポートリング87Aを用いても構わない。サポートリング87Aは、サポートリング87と同様の構成を有しており、サポートリング87Aの構成のうち、サポートリング87の構成と異なる部分についてのみ説明する。なお、サポートリング87Aにおける複数の構成要素のうち、サポートリング87と対応するものについては、図面中に同一符号を付してある。
図7、図8A(a)(b)、及び図8B(a)に示すように、サポートリング87Aは、サポートリング87Aの各ピン穴91は、丸穴状に構成されている。そして、サポートリング87Aにおける各ピン穴91の半径方向外側には、可変容量型過給機1の運転中における第1ノズルリング45とサポートリング87との周辺温度差(周辺のガス温度差)による半径方向の熱膨張差を吸収するためのスリット109が形成されており、各スリット109は、円周方向へ延びている。また、図8B(b)に示すように、サポートリング87Aの各スリット109の一端部は、サポートリング87Aの内縁部側に開口(開放)されるようにしても構わない。更に、サポートリング87Aにおける各ピン穴91の半径方向外側にスリット109が形成される他に、サポートリング87Aにおける各ピン穴91の半径方向内側に別のスリット(図示省略)が形成されるようにしても構わない。なお、サポートリング87Aの各スリット109の形成箇所は、サポートリング87Aにおける各ピン穴91の半径方向外側又は半径方向内側に限定されるものでなく、各ピン穴91に対応する箇所であれば変更可能である。同様に、サポートリング87Aの各スリット109の長さ、幅、及び形状も適宜に変更可能である。
本発明の実施形態の変形例によると、サポートリング87Aにおける各ピン穴91の半径方向外側等、各ピン穴91に対応する箇所にスリット109が形成されているため、可変容量型過給機1の運転中に、第1ノズルリング45とサポートリング87との半径方向の熱膨張差が生じた場合に、第1ノズルリング45とサポートリング87との半径方向の熱膨張差を吸収することができる。例えば、スリット109がサポートリング87Aにおける各ピン穴91の半径方向外側に形成されている場合には、サポートリング87A全体の剛性を十分に維持して、第1ノズルリング45とサポートリング87との半径方向の熱膨張差を吸収することができる。これにより、可変容量型過給機1の運転中に、第1ノズルリング45の対向面が軸方向に垂直な方向に対して傾くように、第1ノズルリング45が熱変形することを十分に抑制できる。
従って、本発明の実施形態の変形例によれば、前述の本発明の実施形態の効果と同様の効果を奏する。
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、種々の態様で実施可能である。また、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されないものである。
1:可変容量型過給機、3:ベアリングハウジング、9:ロータ軸、11:コンプレッサハウジング、13:コンプレッサインペラ、29:タービンハウジング、31:タービンインペラ、33:タービンディスク、35:タービンブレード、35t:チップ、39:タービンスクロール流路、43:可変ノズルユニット、45:第1ノズルリング(環状の第1壁部材)、51:支持穴、53:ガイド爪、55:ガイド溝、57:第2ノズルリング(環状の第2壁部材)、59:連結ピン、61:可変ノズル、63:ノズル軸、65:リンク室、67:リンク機構、87:サポートリング、87A:サポートリング、89:連結片、91:ピン穴、93:かしめ頭、95:座金、97:連絡通路、109:スリット(吸収手段)
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「配設され」とは、直接的に配設されたことの他に、別部材を介して間接的に配設されたことを含む意であって、「設けられ」とは、直接的に設けられたことの他に、別部材を介して間接的に設けられたことを含む意である。「環状の第1壁部材」及び「環状の第2壁部材」は、前記タービンハウジング等の一部を構成するものであっても構わない。また、「軸方向」とは、特に断らない限り、タービンインペラの軸方向(換言すれば、第1壁部材、第2壁部材、及びサポートリングの軸方向)のことをいう。「結合」とは、カシメ結合、溶接結合、ねじ結合等を含む意である。更に、「半径方向」とは、特に断らない限り、タービンインペラの半径方向(換言すれば、第1壁部材、第2壁部材、及びサポートリングの半径方向)のことをいう。そして、「各ピン穴に対応する位置」とは、各ピン穴の半径方向外側(半径方向の外側)、各ピン穴の半径方向内側(半径方向の内側)、各ピン穴の近傍等を含む意である。

Claims (6)

  1. 可変容量型過給機におけるタービンインペラ側へ供給される排気ガスの流路面積を調整する可変ノズルユニットにおいて、
    前記可変容量型過給機におけるタービンハウジング内に前記タービンインペラと同心状に配設された第1ノズルリングと、
    前記第1壁部材に対して軸方向に離隔対向した位置に、円周方向に間隔を置いて並んだ複数の連結ピンによって前記第1壁部材と一体的に設けられた第2ノズルリングと、
    前記第1壁部材の対向面と前記第2壁部材の対向面との間に円周方向に間隔を置いて配設され、前記タービンインペラの軸心に平行な軸心周りに正逆方向へ回動可能な複数の可変ノズルと、
    複数の前記可変ノズルを同期して回動させるためのリンク機構と、
    前記第1壁部材に複数の前記連結ピンの一端部の結合によって連結され、前記連結ピンの一端部を挿通させるための複数のピン穴が円周方向に間隔を置いて貫通形成されたサポートリングと、を具備し、
    前記サポートリングに、前記可変容量型過給機の運転中における前記第1壁部材と前記サポートリングとの半径方向の熱膨張差を吸収するための吸収手段が施されていることを特徴とする可変ノズルユニット。
  2. 前記吸収手段として、前記サポートリングの各ピン穴が前記サポートリングの内縁部側から外縁部側に向かって延びる形状に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の可変ノズルユニット。
  3. 前記サポートリングの各ピン穴の周縁と対応する前記連結ピンの一端部の結合による結合部との間に、座金が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の可変ノズルユニット。
  4. 前記吸収手段として、前記サポートリングにおける各ピン穴に対応する位置にスリットが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の可変ノズルユニット。
  5. 前記第1壁部材に複数の支持穴が円周方向に間隔を置いて貫通形成され、各可変ノズルのノズル軸が前記第1壁部材に対応する前記支持穴に回動可能に支持され、前記第1壁部材の対向面の反対面側が前記タービンハウジングのタービンスクロール流路に連通していることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項の請求項に記載の可変ノズルユニット。
  6. エンジンからの排気ガスのエネルギーを利用して、前記エンジン側に供給される空気を過給する可変容量型過給機において、
    請求項1から請求項5のうちのいずれか1項の請求項に記載の可変ノズルユニットを具備したことを特徴とする可変容量型過給機。
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