JP2016000699A - ジカルボン酸モノエステルの製造方法 - Google Patents

ジカルボン酸モノエステルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い収率でジカルボン酸モノエステルを得ることができる製造方法を提供すること。【解決手段】以下の工程(1)〜(4)を含むジカルボン酸モノエステルの製造方法。工程(1):ジカルボン酸ジエステルが溶媒に溶解している溶液に、該ジカルボン酸ジエステルのモル当量未満の量の酸を加え、該ジカルボン酸ジエステルのエステル結合を分解することでジカルボン酸モノエステルを含む混合物を得る工程工程(2):工程(1)で得られた混合物を冷却し、ジカルボン酸モノエステルを析出させることでスラリーを得る工程工程(3):工程(2)で得られたスラリーを加熱する工程工程(4):さらに酸を加えて、該ジカルボン酸ジエステルのエステル結合を分解する工程【選択図】なし

Description

本発明は、ジカルボン酸モノエステルの製造方法に関する。
近年、フラットパネル表示装置(FPD)に用いられる、偏光板、位相差板などの光学フィルムに適用され得る液晶材料が注目されている。かかる液晶材料を製造する際の中間体として、ジカルボン酸モノエステルが用いられている。
特許文献1には、ジカルボン酸クロリドと、フェノール化合物とを反応させ、その後、生成したジカルボン酸モノエステルを析出・濾過するジカルボン酸モノエステルの製造方法が記載されている。
特開昭62−289545号公報
従来のジカルボン酸モノエステルの製造方法は、反応の選択性が低く、収率が低いという問題があった。
本発明は、以下の発明を含む。
[1] 以下の工程(1)〜(4)を含むジカルボン酸モノエステルの製造方法。
工程(1):ジカルボン酸ジエステルが溶媒に溶解している溶液に、該ジカルボン酸ジエステルのモル当量未満の量の酸を加え、該ジカルボン酸ジエステルのエステル結合を分解することでジカルボン酸モノエステルを含む混合物を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた混合物を冷却し、ジカルボン酸モノエステルを析出させることでスラリーを得る工程
工程(3):工程(2)で得られたスラリーを加熱する工程
工程(4):さらに酸を加えて、該ジカルボン酸ジエステルのエステル結合を分解する工程
[2] 溶媒が、前記ジカルボン酸モノエステルよりも前記ジカルボン酸ジエステルを溶解し易い溶媒である[1]に記載の製造方法。
[3] 冷却前の混合物の温度と、冷却後に得られたスラリーの温度との差が10℃以上100℃以下である[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4] 工程(3)における加熱前後での、スラリーの温度差が10℃以上100℃以下である[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 冷却前の混合物において、ジカルボン酸モノエステルが過飽和状態にある[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6] 冷却前の混合物におけるジカルボン酸モノエステルの溶解度と、冷却後の溶液におけるジカルボン酸モノエステルの溶解度との差が、10g/L以上200g/L以下である[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7] 冷却後のスラリーの温度が−80℃以上30℃未満である[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8] 工程(4)におけるジカルボン酸ジエステルのエステル結合を分解する温度が−80℃以上35℃未満である[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9] ジカルボン酸モノエステルが式(A)で表される化合物であり、ジカルボン酸ジエステルが式(B)で表される化合物である[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。

Figure 2016000699

[式中、mは、0〜3の整数を表す。
Zは、メチルスルファニルメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、tert−
ブトキシメチル基、4−ペンテニルオキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基、1
−エトキシエチル基、ベンジルオキシメチル基、4−メトキシベンジルオキシメチル基、
2−メトキシベンジルオキシメチル基、4−ニトロベンジルオキシメチル基、1−メチル
−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル基、1−メチル−1−フェノキシエチル基、
1−メチル−1−メトキシエチル基、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル基、2,2
,2−トリクロロエトキシメチル基、1−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]エチル
基、テトラヒドロピラニル基、3−ブロモテトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピ
ラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、tert−ブチル基
、トリチル基、ベンジル基、4−メトキシベンジル基、3,4−ジメトキシベンジル基、
4−ニトロベンジル基、1,3−ベンゾジチオラン−2−イル基、2,2,2−トリクロ
ロエチル基、2−フェニル−2−エタノン−1−イル、シクロプロピルメチル基、−CH
−O−SiR又は−SiRを表す。
、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素
数1〜8のアルコキシ基、フェニル基又はベンジル基を表す。
pは、0又は1を表す。]
本発明のジカルボン酸モノエステルの製造方法によれば、高い収率でジカルボン酸モノエステルを得ることができる。
ジカルボン酸ジエステルとは、2つのカルボキシ基を有するジカルボン酸化合物における当該2つのカルボキシ基が共にエステル結合を形成した化合物のことである。ジカルボン酸ジエステルとしては、例えば、式(X)で表される化合物が挙げられる。好ましくは式(B)で表される化合物であり、より好ましくは式(O)で表される化合物であり、さらに好ましくは式(P)で表される化合物であり、特に好ましくは式(Q)で表される化合物である。

Figure 2016000699

Figure 2016000699

[式中、Rは炭素数3〜15の炭化水素基を表し、Rに含まれる炭素原子は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる少なくとも1つの原子で置換されてもよい。
mは、0〜3の整数を表す。
Zは、メチルスルファニルメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、tert−
ブトキシメチル基、4−ペンテニルオキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基、1
−エトキシエチル基、ベンジルオキシメチル基、4−メトキシベンジルオキシメチル基、
2−メトキシベンジルオキシメチル基、4−ニトロベンジルオキシメチル基、1−メチル
−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル基、1−メチル−1−フェノキシエチル基、
1−メチル−1−メトキシエチル基、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル基、2,2
,2−トリクロロエトキシメチル基、1−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]エチル
基、テトラヒドロピラニル基、3−ブロモテトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピ
ラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、tert−ブチル基
、トリチル基、ベンジル基、4−メトキシベンジル基、3,4−ジメトキシベンジル基、
4−ニトロベンジル基、1,3−ベンゾジチオラン−2−イル基、2,2,2−トリクロ
ロエチル基、2−フェニル−2−エタノン−1−イル、シクロプロピルメチル基、−CH
−O−SiR又は−SiRを表す。
、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素
数1〜8のアルコキシ基、フェニル基又はベンジル基を表す。
pは、0又は1を表す。]
Rは芳香族炭化水素基でも脂肪族炭化水素基でもよい。Rは、生成するジカルボン酸モノエステルを溶液中で析出させるため、好ましくは剛直な構造を有する。したがって、Rは好ましくは、芳香族炭化水素基又は、環状の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは環状の脂肪族炭化水素基である。また、これらの芳香族炭化水素基及び脂肪族炭化水素基に含まれる炭素原子は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる原子で置換されてもよい。
mは、好ましくは0である。
pは、好ましくは1である。
Zで表される−CH−O−SiR及び−SiRにおけるR、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、フェニル基又はベンジル基を表す。
炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ヘキシル基及びオクチル基等が挙げられる。
炭素数1〜8のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基及びオクチルオキシ基等が挙げられる。
−CH−O−SiRで表される基としては、具体的には、トリメチルシリルオキシメチル基、イソプロピルジメチルシリルオキシメチル基、tert−ブチルジメチルシリルオキシメチル基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシメチル基、トリベンジルシリルオキシメチル基、トリイソプロピルシリルオキシメチル基及び、ジ−tert−ブチルメチルシリルオキシメチル基等が挙げられる。
−SiRで表される基としては、具体的には、トリメチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリベンジルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジ−tert−ブチルメチルシリル基等が挙げられる。
Zは好ましくは、メチルスルファニルメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基、1−エトキシエチル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリイソプロピルシリル基、テトラヒドロピラニル基又は、テトラヒドロチオピラニル基である。より好ましくは、メチルスルファニルメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基又は、トリイソプロピルシリル基であり、さらに好ましくは、メトキシメチル基又は、エトキシメチル基である。Zがこれらの基であると、化合物(A)の安定性がより高く、化合物(A)の生産性がより高くなるため好ましい。
ジカルボン酸ジエステルを製造する方法としては、例えば、塩基存在下でジカルボン酸化合物と式(F)で表される化合物(以下、化合物(F)ということがある)とを反応させる方法(第1の方法)、ジカルボン酸化合物と、式(G)で表される化合物又は式(H)で表される化合物とを反応させる方法(第2の方法)、ジカルボン酸化合物と式(I)で表される化合物とを反応させる方法(第3の方法)、ジカルボン酸化合物と塩基とを反応させることによりジカルボン酸塩化合物を得た後、得られたジカルボン酸塩化合物と化合物(F)とを反応させる方法(第4の方法)が挙げられる。当該ジ塩は好ましくはアルカリ金属塩である。
反応条件がより温和であることから、第1の方法、第2の方法及び第4の方法が好ましい。

Z−W (F)

[式中、Zは上記と同じ意味を表す。Wは、ハロゲン原子、トシル基、又はメシチル基を表す。]
Figure 2016000699

[式中、qは、0又は1を表す。Qは−O−又は−S−を表す。]
Figure 2016000699

[式中、RL1は、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基又はトリメチルシリルエチル基を表す。RL2は、水素原子、メチル基又はフッ素原子を表す。Qは−O−又は−S−を表す。]
Z−OH (I)

[式(I)中、Zは上記と同じ意味を表す。]
第1の方法は、有機溶媒中で行うのが好ましい。ジカルボン酸化合物と、化合物(F)との反応によって生じる塩を除去しながら反応を行ってよい。
塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、ジメチルアミノピリジン及び、ジメチルアニリン等の有機塩基;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム及び、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩並びに、フッ化セシウム等の無機塩基が挙げられる。塩基が有機塩基の場合、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン及び、ジメチルアミノピリジンが好ましく、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン及び、ピリジンがより好ましい。塩基が無機塩基の場合、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム及び、炭酸セシウムが好ましく、水酸化カリウム及び、炭酸カリウムがより好ましい。また、無機塩基を用いる場合には、18−クラウン−6等のクラウンエーテル又は、テトラブチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩等の相間移動触媒を併用してもよい。
塩基の添加量は、ジカルボン酸化合物1モルに対して、通常2〜5モルである。
は、好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が好ましく、塩素原子及び臭素原子がより好ましい。
化合物(F)としては、メチルスルファニルクロロメタン、メチルスルファニルブロモメタン、メトキシクロロメタン、メトキシブロモメタン、クロロメトキシエタン、ブロモメトキシエタン、2−メトキシエトキシメチルクロリド、2−メトキシエトキシメチルブロミド、エトキシエチルクロリド、エトキシエチルブロミド、ベンジルオキシメチルクロリド、ベンジルオキシメチルブロミド、4−メトキシベンジルオキシメチルクロリド、4−ニトロベンジルオキシメチルクロリド、2−メトキシフェニルオキシメチルクロリド、tert−ブトキシメチルクロリド、tert−ブトキシメチルブロミド、4−ペンテニルオキシメチルクロリド、1−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]エチルクロリド、1−クロロメトキシ−2,2,2−トリクロロエタン、1−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]エチルクロリド、1−メチル−1−メトキシエチルクロリド、1−メチル−1−ベンジルオキシエチルクロリド、1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチルクロリド、1−メチル−1−フェノキシエチルクロリド、tert−ブチルクロリド、tert−ブチルブロミド、トリチルクロリド、トリチルブロミド、1,3−ベンゾジチオラン−2−クロリド、トリメチルクロロシラン、トリメチルブロモシラン、イソプロピルジメチルクロロシラン、イソプロピルジメチルブロモシラン、tert−ブチルジメチルクロロシラン、tert−ブチルジメチルブロモシラン、tert−ブチルジフェニルクロロシラン、tert−ブチルジフェニルブロモシラン、トリベンジルクロロシラン、トリベンジルブロモシラン、トリイソプロピルクロロシラン、トリイソプロピルブロモシラン、ジ−tert−ブチルメチルクロロシラン、ジ−tert−ブチルメチルブロモシラン、トリメチルシリルオキシクロロメタン、2−フェニル−2−エタノン−1−イルクロリド、1,1,1,2−テトラクロロエタン及び、クロロメチルシクロプロパン等が挙げられる。これらには、市販されているものを用いることができる。
有機溶媒は、好ましくはアルコール以外の親水性溶媒、及び、疎水性溶媒である。
アルコール以外の親水性溶媒としては、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、アセトン等の親水性ケトン溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン及び、エチレングリコールジメチルエーテル等の親水性エーテル溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及び、N−メチルピロリドン等の親水性アミド溶媒、並びに、ジメチルスルホキシド等の親水性スルホキシド溶媒等が挙げられる。
疎水性溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン及び、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン及び、メチルイソブチルケトン等の疎水性ケトン溶媒、ペンタン、ヘキサン及び、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒、乳酸エチル及び、酢酸エチル等のエステル溶媒、並びに、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、テトラクロロエタン、トリクロロエタン等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。
第1の方法に用いられる有機溶媒は、好ましくは、親水性エーテル溶媒、親水性アミド溶媒、親水性スルホキシド溶媒、芳香族炭化水素溶媒、疎水性ケトン溶媒及び、ハロゲン系溶媒であり、より好ましくはハロゲン系溶媒である。これら有機溶媒は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
化合物(F)の使用量は、ジカルボン酸化合物1モルに対して、好ましくは1.8〜3モルであり、より好ましくは1.97〜2.7モルであり、さらに好ましくは2〜2.7モルである。
第2の方法は、好ましくは有機溶媒中で行われ、また、好ましくは酸触媒存在下で行われる。
酸触媒としては、p−トルエンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホン酸、塩酸水溶液、硫酸及び、トリフルオロ酢酸等が挙げられる。酸触媒の添加量は、ジカルボン酸化合物1モルに対して、好ましくは0.005〜0.2モルである。
第2の方法に用いられる有機溶媒は、好ましくは、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ペンタン、ヘキサン及びヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン及びクロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;テトラヒドロフラン及び、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;乳酸エチル等のエステル溶媒;並びに、クロロホルム及び、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒である。これらは、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
化合物(G)としては、具体的に、ジヒドロピラン、3−ブロモジヒドロピラン、ジヒドロチオピラン、ジヒドロフラン、ジヒドロチオフラン等が挙げられる。
化合物(H)としては、具体的に、ビニルメチルエーテルビニルエチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルベンジルエーテル、トリメチルシリルエチルビニルエーテル等が挙げられる。
化合物(G)又は化合物(H)の使用量は、ジカルボン酸化合物1モルに対して、好ましくは1.9〜5モルであり、より好ましくは1.9〜4モルであり、さらに好ましくは2.2〜4モルである。
第3の方法は、有機溶媒中で行うのが好ましい。ジカルボン酸化合物と化合物(I)とを、脱水縮合反応することにより化合物(B)を得ることができ、かかる脱水縮合反応には、好ましくは縮合剤が用いられる。
縮合剤としては、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミドメト−パラ−トルエンスルホネート、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(水溶性カルボジイミド:WSCとして市販)、ビス(2、6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミドなどのカルボジイミド、2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物、2,2’−カルボニルビス−1H−イミダゾール、1,1’−オキサリルジイミダゾール、ジフェニルホスフォリルアジド、1(4−ニトロベンゼンスルフォニル)−1H−1、2、4−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(N−スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロボレート、N−(1,2,2,2−テトラクロロエトキシカルボニルオキシ)スクシンイミド、N−カルボベンゾキシスクシンイミド、O−(6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート、O−(6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、2−ブロモ−1−エチルピリジニウムテトラフルオロボレート、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムクロリド、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスフェート、2−クロロ−1−メチルピリジニウムアイオダイド、2−クロロ−1−メチルピリジニウム パラートルエンスルホネート、2−フルオロ−1−メチルピリジニウム パラートルエンスルホネート及び、トリクロロ酢酸ペンタクロロフェニルエステル等が挙げられる。
縮合剤の使用量は、化合物(E)1モルに対して、好ましくは1.5〜2.5モルである。
第3の方法に用いられる好ましい有機溶媒としては、前記第1の方法で挙げたものと同じものが挙げられる。
化合物(I)の使用量は、ジカルボン酸化合物1モルに対して、好ましくは1.8〜3モルであり、より好ましくは1.97〜2.7モルであり、特に好ましくは2〜2.7モルである。
第4の方法における、ジカルボン酸化合物と塩基との反応は、好ましくは溶媒中で行われる。かかる溶媒としては、水、メタノール及び、エタノール等が挙げられ、好ましくは前記塩基を溶解する溶媒であり、中でもメタノール、エタノールが特に好ましい。
塩基は、好ましくは無機塩基である。無機塩基としては、前記したものと同じものが挙げられる。好ましくは、水酸化ナトリウム及び、水酸化カリウムであり、より好ましくは、水酸化カリウムである。また、塩基との反応は、相間移動触媒の存在下で行ってもよい。相関移動触媒としては、前記したものと同じものが挙げられる。
塩基の使用量は、ジカルボン酸化合物1モルに対して、好ましくは2〜3.5モルである。
ジカルボン酸化合物のジ塩は好ましくはアルカリ金属の塩である。当該アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム及び、セシウム等が挙げられ、好ましくはカリウムである。
ジカルボン酸化合物と塩基との反応終了後、得られた反応混合物を、濃縮又は濾過することによってジカルボン酸化合物のジ塩を取得することができる。ジカルボン酸化合物のジ塩の貧溶媒と、反応混合物とを混合し、得られた混合物を濾過する方法が好ましい。ジカルボン酸化合物のジ塩の貧溶媒としては、トルエン及び、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;クロロホルム及び、ジクロロメタン等のハロゲン溶媒;並びに、テトラヒドロフラン、ジオキサン及び、ジメトキシエタン等のエーテル溶媒等が挙げられ、好ましくは、テトラヒドロフラン、ジオキサン及び、トルエンである。
得られたジカルボン酸化合物のジ塩を乾燥してもよい。
ジカルボン酸化合物のジ塩と化合物(F)との反応は、好ましくは有機溶媒中で行われる。ジカルボン酸化合物のジ塩1モルに対する、化合物(F)の使用量は、好ましくは1.8〜3モルであり、より好ましくは1.97〜2.7モルであり、さらに好ましくは2〜2.3モルである。
ジカルボン酸化合物のジ塩と化合物(F)との反応に用いられる好ましい有機溶媒としては、第1の方法で挙げたものと同じものが挙げられる。より好ましくは、芳香族炭化水素溶媒、疎水性ケトン溶媒及び、ハロゲン溶媒等の疎水性溶媒であり、さらに好ましくはトルエン、キシレン、ジクロロメタン及び、クロロホルムである。これらの疎水性溶媒を用いれば、反応系中に水が存在していても、高い収率で、ジカルボン酸ジエステルを得ることができる。有機溶媒は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
また、該反応は、相間移動触媒の存在下で行ってもよい。相関移動触媒としては、前記したものと同じものが挙げられる。
ジカルボン酸ジエステルとは、2つのカルボキシ基を有するジカルボン酸化合物における当該2つのカルボキシ基のうち一方のみがエステル結合を形成した化合物のことである。ジカルボン酸モノエステルとしては、例えば、式(Y)で表される化合物が挙げられる。好ましくは式(A)で表される化合物であり、より好ましくは式(L)で表される化合物であり、さらに好ましくは式(M)で表される化合物であり、特に好ましくは式(N)で表される化合物である。
Figure 2016000699


Figure 2016000699

(式中、R、m、Z及びpは前記と同じ意味を表す。)
ジカルボン酸ジエステルの好ましい例としては、式(B−1)〜式(B−38)で表される化合物が挙げられる。好ましくは式(B−1)〜式(B−5)で表される化合物であり、より好ましくは式(B−2)又は式(B−3)で表される化合物である。ジカルボン酸モノエステルの好ましい例としては、例示した化合物(B)が有する2つのエステル構造のうち一方のみをカルボキシ基に置換した化合物が挙げられる。
Figure 2016000699
Figure 2016000699
Figure 2016000699
Figure 2016000699
Figure 2016000699
<工程(1)>
溶媒はジカルボン酸ジエステルを溶解するものであればよいが、エステル結合の分解を制御し易いという点で、有機溶媒が好ましく、非水溶性溶媒がより好ましく、非極性溶媒がさらに好ましい。また、工程(2)においてジカルボン酸モノエステルを選択的に析出し易いという点で、ジカルボン酸モノエステルよりもジカルボン酸ジエステルを溶解し易い溶媒が好ましい。
溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン及び、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン及び、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサン及び、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル溶媒、並びに、乳酸エチル、酢酸エチル等のエステル溶媒等が挙げられる。有機溶媒としては、前記芳香族炭化水素、前記脂肪族炭化水素、前記エーテル溶媒及び、前記エステル溶媒等が挙げられる。非水溶性溶媒としては、前記芳香族炭化水素、前記脂肪族炭化水素及び、前記エステル溶媒等が挙げられる。非極性溶媒としては、前記芳香族炭化水素及び、前記脂肪族炭化水素等が挙げられる。脂肪族炭化水素は環状でも鎖状でもよく、また、脂肪族炭化水素は直鎖状でも分枝鎖状でもよい。ジカルボン酸モノエステルの溶解性が低く、ジカルボン酸モノエステルの収率がより高くなる傾向があるため脂肪族炭化水素が好ましい。より好ましくは飽和脂肪族炭化水素であり、さらに好ましくはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン又は、シクロヘキサンであり、さらに好ましくは、ヘプタン、オクタン又は、シクロヘキサンであり特に好ましくはヘプタンである。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いても良い。
例えば、脂肪族炭化水素と、その他の溶媒とを組み合わせて用いる場合、脂肪族炭化水素とその他の溶媒の合計量100質量部に対する脂肪族炭化水素の含有量は、好ましくは90質量部以上であり、より好ましくは95質量部以上であり、さらに好ましくは97質量部以上である。
溶媒の使用量は、ジカルボン酸ジエステル1質量部に対して、好ましくは100〜1200質量部であり、より好ましくは100〜1000質量部であり、特に好ましくは200〜800質量部である。
酸としては、ブレンステッド酸及び、ルイス酸が挙げられる。好ましくはブレンステッド酸であり、中でも、有機溶媒への溶解性が高く、有機溶媒と均一に混ざり合うため、有機ブレンステッド酸がより好ましい。
ブレンステッド酸としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸及び、硫酸等の無機ブレンステッド酸、並びに、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、メタンスルホン酸及び、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機ブレンステッド酸が挙げられる。
好ましい有機ブレンステッド酸は、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、メタンスルホン酸及び、トリフルオロメタンスルホン酸であり、取り扱いが容易であり、反応液からの除去が容易であるという観点から、より好ましくは、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸及び、メタンスルホン酸である。
ルイス酸としては、五フッ化リン、三フッ化ホウ素、三臭化ホウ素、塩化アルミニウム、塩化チタン、塩化スズ、塩化アンチモン、三塩化鉄、臭化亜鉛及び、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等が挙げられる。取り扱いが容易であることから、塩化アルミニウム、塩化チタン、塩化スズ及び、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体がより好ましく、安価であることから塩化アルミニウム及び、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体がより好ましい。
酸の使用量は、ジカルボン酸ジエステルのモル当量未満である。好ましくはジカルボン酸ジエステル1モルに対して0.1〜0.9モルであり、より好ましくは0.2〜0.7モルであり、さらに好ましくは0.3〜0.5モルである。
工程(1)において、酸とジカルボン酸ジエステルとを混合すると、ジカルボン酸ジエステルが有する二つのエステル結合が共に分解されて生成したジカルボン酸化合物と、ジカルボン酸ジエステルが有する一つのエステル結合のみが分解されて生成したジカルボン酸モノエステルと、未反応のジカルボン酸ジエステルと、酸と、溶媒と、を含む混合物が得られる。
ジカルボン酸化合物と、ジカルボン酸モノエステルとは、通常、溶媒への溶解性が低いため前記混合物から析出する。しかし、酸を加えることによって前記混合物の極性が変化するため、ジカルボン酸モノエステルの溶解度が高くなることがあり、また、ジカルボン酸モノエステルが過飽和状態になることがある。
ジカルボン酸モノエステルの前記混合物への溶解度を低くし、ジカルボン酸モノエステルを析出させることで、ジカルボン酸モノエステルの副反応を抑制し、高い収率でジカルボン酸モノエステルを得ることができる。ジカルボン酸モノエステルの前記混合物への溶解度を低くするためには、酸を加える速度と、前記混合物の温度とを好適に制御すればよい。
酸を加える速度は、ジカルボン酸ジエステル1モルに対して、好ましくは0.01モル/時間以上0.4モル/時間以下であり、より好ましくは0.01モル/時間以上0.2モル/時間以下である。特に、酸を加える当初の速度よりも、加える酸全量のうち半分量が加えられる時の速度の方が遅い方が好ましく、さらに、半分量が加えられる時の速度よりも、加える酸の全量が加えられる時の速度の方が遅い方が好ましい。
酸を加えている最中の、ジカルボン酸ジエステルが溶媒に溶解している溶液の温度は、好ましくは−80℃以上160℃以下であり、より好ましくは−15℃以上100℃以下であり、さらに好ましくは−15℃以上60℃以下であり、さらに好ましくは30℃以上60℃以下であり、特に好ましくは35℃以上50℃以下である。ジカルボン酸モノエステルの溶解度を低くするために、後期ほど温度を低くすることが好ましい。
酸を加えた後の混合物の温度は、通常−80℃以上55℃以下であり、好ましくは−15℃以上45℃以下であり、より好ましいくは−15℃以上35℃以下である。
酸を加えた後に混合物を混合攪拌することでジカルボン酸エステルのエステル結合を容易に分解することができる。混合攪拌時間は通常、0.1〜20時間である。
<工程(2)>
冷却することによって、ジカルボン酸モノエステルを析出させることができる。一旦析出したジカルボン酸モノエステルは、工程(3)における再度の加熱によっても再溶解しにくいため、ここで析出したジカルボン酸モノエステルが起因となって、工程(4)において生成するジカルボン酸モノエステルも析出し易くなり、よって、ジカルボン酸モノエステルの副反応を抑制しすることができ、高い収率でジカルボン酸モノエステルを得ることができる。
冷却後に得られるスラリーの温度は、好ましくは−80℃以上30℃未満であり、より好ましくは−25℃以上25℃以下であり、さらに好ましいくは−25℃以上15℃以下である。より多くのジカルボン酸モノエステルを析出させるためには温度は低い方が好ましいが、生産性を考慮した場合は、少なくともジカルボン酸モノエステルの飽和溶解度以下になる温度に設定すればよい。
冷却前の混合物の温度と、冷却後に得られたスラリーの温度との差は、好ましくは10℃以上100℃以下であり、より好ましくは10℃以上50℃以下である。より多くのジカルボン酸モノエステルを析出させるためには温度差は大きい方が好ましい。
また冷却は、冷却前の混合物におけるジカルボン酸モノエステルの溶解度と、冷却後に得られるスラリーにおけるジカルボン酸モノエステルの溶解度との差が、10g/L以上200g/L以下になるように行うのが好ましい。
<工程(3)>
加熱前後でのスラリーの温度差は、好ましくは10℃以上100℃以下であり、より好ましくは10℃以上50℃以下である。ただし、析出したジカルボン酸モノエステルの少なくとも一部が溶解せずに残る温度に設定する。
<工程(4)>
酸としては、工程(1)で例示したものと同じものが挙げられ、工程(1)で使用した酸と同じものを用いるのが好ましい。
酸の使用量は、通常、工程(1)での酸の使用量との合計が、ジカルボン酸ジエステルのモル当量以上になる量であればよい。酸の使用量の合計が好ましくはジカルボン酸ジエステル1モルに対して1〜3モルであり、より好ましくは1〜2モルであり、さらに好ましくは1〜1.6モルである。
酸を加えている最中のスラリーの温度は、好ましくは−80℃以上30℃未満であり、より好ましくは−15℃以上30℃以下である。特に、ジカルボン酸モノエステルの溶解度を低くするためには、
酸を加える当初の温度よりも、加える酸全量のうち半分量が加えられる時の温度の方が低い方が好ましく、さらに、半分量が加えられる時の温度よりも、加える酸の全量が加えられる時の温度の方が低い方が好ましい。
酸を加えた後のスラリーの温度は、好ましくは−80℃以上60℃以下であり、より好ましくは−15℃以上20℃以下であり、特に好ましいくは−15℃以上10℃以下である。
酸を加えた後にスラリーを混合攪拌することでジカルボン酸エステルのエステル結合を容易に分解することができる。混合攪拌時間は通常、0.1〜20時間である。
得られたスラリーを通常の方法によって精製することで、ジカルボン酸モノエステルを得ることができる。得られたスラリーに未反応の酸が存在する場合には、生成したジカルボン酸モノエステルの分解を抑えるために、酸を中和してから精製するのが好ましい。具体的には、分液及び、再結晶等によって精製すればよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
式(B−3−1)で表される化合物(以下、化合物(B−3−1)ということがある)から、式(A−3−1)で表される化合物(以下、化合物(A−3−1)ということがある)を、下記スキームにしたがって製造した。
Figure 2016000699
参考例1
化合物(B−3−1)80g(0.28mmol)と、n−ヘプタン706mLとを混合し、n−ヘプタン溶液を得た。得られた溶液を、40℃で保温・攪拌しながら、ここへトリフルオロ酢酸35g(0.34mmol)を滴下して加え、その後5℃で8時間保温した。保温後の反応混合物のLC測定を行い、化合物(B−3−1)、化合物(A−3−1)及び、シクロヘキサンジカルボン酸それぞれの含有量を定量し、さらに、化合物(B−3−1)を基準とした化合物(A−3−1)の反応収率を算出した。結果を表2に示す。
参考例2
化合物(B−3−1)80g(0.28mmol)と、n−ヘプタン706mLとを混合し、n−ヘプタン溶液を得た。得られた溶液を、25℃で保温・攪拌しながら、ここへトリフルオロ酢酸35g(0.34mmol)を滴下して加え、その後5℃で8時間保温した。 保温後の反応混合物のLC測定を行い、化合物(B−3−1)、化合物(A−3−1)及び、シクロヘキサンジカルボン酸それぞれの含有量を定量し、さらに、化合物(B−3−1)を基準とした化合物(A−3−1)の反応収率を算出した。結果を表2に示す。
実施例1
<工程(1)>
化合物(B−3−1)80g(0.28mmol)と、n−ヘプタン706mLとを混合し、n−ヘプタン溶液を得た。得られた溶液を、40℃で保温・攪拌しながら、ここへトリフルオロ酢酸15g(0.13mmol)を滴下して加え、その後27℃で8時間保温した。保温後の混合物の一部を採取し、0.2μmのフィルターで濾過し、濾液のLC測定を行うことで混合物中の化合物(A−3−1)溶解度を定量した。結果を表1に示す。
<工程(2)>
工程(1)で得られた混合物を0℃に冷却し1時間保温することで、溶解していた式(A−3−1)で表される化合物を析出させた。保温後の混合物の一部を採取し、0.2μmのフィルターで濾過し、濾液のLC測定を行うことで混合物中の化合物(A−3−1)溶解度を定量した。結果を表1に示す。
<工程(3)>
式(A−3−1)で表される化合物が析出したスラリーを15℃に昇温した。昇温後のスラリーの一部を採取し、0.2μmのフィルターで濾過し、濾液のLC測定を行うことでスラリー中の化合物(A−3−1)溶解度を定量した。結果を表1に示す。
<工程(4)>
15℃に保温されたスラリーに、トリフルオロ酢酸21g(0.21mmol)を加え、その後5℃で8時間保温した。保温後の反応混合物のLC測定を行い、化合物(B−3−1)、化合物(A−3−1)及び、シクロヘキサンジカルボン酸それぞれの含有量を定量し、さらに、化合物(B−3−1)を基準とした化合物(A−3−1)の反応収率を算出した。結果を表2に示す。
Figure 2016000699
冷却することによって溶解度が低下し、その後に昇温しても溶解度が大きくは上がらないことを確認した。
Figure 2016000699
本発明の製造方法は、ジカルボン酸モノエステルを高い収率で製造する方法として有用である。

Claims (9)

  1. 以下の工程(1)〜(4)を含むジカルボン酸モノエステルの製造方法。
    工程(1):ジカルボン酸ジエステルが溶媒に溶解している溶液に、該ジカルボン酸ジエステルのモル当量未満の量の酸を加え、該ジカルボン酸ジエステルのエステル結合を分解することでジカルボン酸モノエステルを含む混合物を得る工程
    工程(2):工程(1)で得られた混合物を冷却し、ジカルボン酸モノエステルを析出させることでスラリーを得る工程
    工程(3):工程(2)で得られたスラリーを加熱する工程
    工程(4):さらに酸を加えて、該ジカルボン酸ジエステルのエステル結合を分解する工程
  2. 溶媒が、前記ジカルボン酸モノエステルよりも前記ジカルボン酸ジエステルを溶解し易い溶媒である請求項1に記載の製造方法。
  3. 冷却前の混合物の温度と、冷却後に得られたスラリーの温度との差が10℃以上100℃以下である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 工程(3)における加熱前後での、スラリーの温度差が10℃以上100℃以下である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 冷却前の混合物において、ジカルボン酸モノエステルが過飽和状態にある請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 冷却前の混合物におけるジカルボン酸モノエステルの溶解度と、冷却後の溶液におけるジカルボン酸モノエステルの溶解度との差が、10g/L以上200g/L以下である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 冷却後のスラリーの温度が−80℃以上30℃未満である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 工程(4)におけるジカルボン酸ジエステルのエステル結合を分解する温度が−80℃以上35℃未満である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. ジカルボン酸モノエステルが式(A)で表される化合物であり、ジカルボン酸ジエステルが式(B)で表される化合物である請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。

    Figure 2016000699

    [式中、mは、0〜3の整数を表す。
    Zは、メチルスルファニルメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、tert−
    ブトキシメチル基、4−ペンテニルオキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基、1
    −エトキシエチル基、ベンジルオキシメチル基、4−メトキシベンジルオキシメチル基、
    2−メトキシベンジルオキシメチル基、4−ニトロベンジルオキシメチル基、1−メチル
    −1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル基、1−メチル−1−フェノキシエチル基、
    1−メチル−1−メトキシエチル基、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル基、2,2
    ,2−トリクロロエトキシメチル基、1−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]エチル
    基、テトラヒドロピラニル基、3−ブロモテトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピ
    ラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、tert−ブチル基
    、トリチル基、ベンジル基、4−メトキシベンジル基、3,4−ジメトキシベンジル基、
    4−ニトロベンジル基、1,3−ベンゾジチオラン−2−イル基、2,2,2−トリクロ
    ロエチル基、2−フェニル−2−エタノン−1−イル、シクロプロピルメチル基、−CH
    −O−SiR又は−SiRを表す。
    、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素
    数1〜8のアルコキシ基、フェニル基又はベンジル基を表す。
    pは、0又は1を表す。]
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