JP2016000681A5 - - Google Patents

Download PDF

Info

Publication number
JP2016000681A5
JP2016000681A5 JP2015014721A JP2015014721A JP2016000681A5 JP 2016000681 A5 JP2016000681 A5 JP 2016000681A5 JP 2015014721 A JP2015014721 A JP 2015014721A JP 2015014721 A JP2015014721 A JP 2015014721A JP 2016000681 A5 JP2016000681 A5 JP 2016000681A5
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lithium titanate
titanate powder
bet
powder
lithium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015014721A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6519202B2 (ja
JP2016000681A (ja
Filing date
Publication date
Application filed filed Critical
Priority to JP2015014721A priority Critical patent/JP6519202B2/ja
Priority claimed from JP2015014721A external-priority patent/JP6519202B2/ja
Publication of JP2016000681A publication Critical patent/JP2016000681A/ja
Publication of JP2016000681A5 publication Critical patent/JP2016000681A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6519202B2 publication Critical patent/JP6519202B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

チタン酸リチウム粉末、及び活物質材料、並びにそれを用いた蓄電デバイス
本発明は、蓄電デバイスの電極材料等として好適なチタン酸リチウム粉末及び、このチタン酸リチウム粉末を用いた活物質材料と、この活物質材料を正極又は負極に用いた蓄電デバイスに関するものである。
近年、蓄電デバイスの電極材料として種々の材料が研究されている。その中でもチタン酸リチウムは、活物質材料として用いた場合に入出力特性に優れる点から注目されている。
特許文献1には、Li4/3Ti5/3を主成分とし、CuをターゲットとしたX線回折法によるLi4/3Ti5/3のメインピーク強度を100としたとき、アナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン、及びLiTiOのメインピーク強度がいずれも5以下であるチタン酸リチウムであって、かつ、4.83Åのピークの半価巾よりScherrerの式より求める結晶子径が700Å〜800Å(70nm〜80nm)である高結晶性チタン酸リチウムが開示されている。特許文献1によると、チタン酸リチウムのLiTi12以外の生成物のピーク強度が5以下と微量であること、及び、結晶子径が70nm〜80nmの範囲と、結晶性が極めて高いことによって、高い初期充・放電容量を有するとされている。
特許文献2には、LiTi12を主成分とし、X線回折パターンより検出されるLiTi12、LiTiO及びTiOの各相のメインピークの強度をそれぞれI1、I2、I3とするとき、I1/(I1+I2+I3)が96%以上であり、かつ前記X線回折パターンにおけるLiTi12の(111)面のピークの半値幅からシェラー式により求められる結晶子径が520Å〜590Å(52nm〜59nm)であるリチウムチタン複合酸化物が開示されている。この特許文献2においては、リチウムチタン複合酸化物は、好ましくはBET法によって求めた比表面積相当径と前記結晶子径との比率、すなわち、比表面積相当径/結晶子径が4以下であり、別途好ましくは、BET法によって求めた比表面積が8〜12m/gであり、一次粒子径の最大値が1.5μm以下である点が開示されている。特許文献2によると、結晶子径が前記範囲であるリチウムチタン複合酸化物は、高結晶性でありながら微細な粒子を形成することができ、高い初期容量、例えば、160mAh/gを有しつつ、高いレート特性を有することができるとされている。
特許第4435926号公報 特開2013−95646号公報
特許文献1のチタン酸リチウムを正極活物質として作製されたリチウムイオン二次電池は、特許文献1の段落0012に説明されている通り、特許文献1のチタン酸リチウムが、最大で773Åという大きな結晶子径を有することに起因して、高い初期充放電容量を有する。しかしながら、特許文献1のチタン酸リチウムでは、特許文献2の段落0005で指摘されている通り、結晶子径が大きくなるにつれて一次粒子径も大きくなるため、電池としての入出力特性は悪くなる。また、同様に特許文献2の段落0005で指摘されているように、得られたチタン酸リチウムを粉砕することで一次粒子径を小さくすることは可能であるが、その場合、同時にその結晶子径は小さくなる。
特許文献2のリチウムチタン複合酸化物は、BET径(比表面積相当径)/結晶子径が2.4〜3.1と、結晶子径に対してBET径が小さい粉末であり、それによって、電池として良好な入出力特性を有すると思われる。しかし、その結晶子径は最大で558Åに留まっており、初期充放電容量は小さくなる。結晶子径の低下を抑制できる粉砕方法が用いたとされているものの、焼成後の粉砕の影響により結晶子径が小さくなったと思われる。
以上のように、従来は、リチウムイオン電池などの蓄電デバイスに電極材料として適用した場合に、初期充放電容量が大きく、入力特性も良好なチタン酸リチウム粉末は得られていなかった。
そこで、本発明は、蓄電デバイスなどの電極材料として適用した場合に、初期充放電容量が大きく、入出力特性に優れるチタン酸リチウム粉末、それを含む活物質材料、それが用いられた蓄電デバイスを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記の目的を達成すべく種々検討した結果、特定の大きさのBET径(比表面積相当径)及び結晶子径を有し、結晶子径に対するBET径の大きさが特定の値以下であるチタン酸リチウム粉末を見出し、そのチタン酸リチウム粉末が電極材料として適用された蓄電デバイスが、初期充放電容量が大きく、入出力特性に優れることを見出して本発明を完成した。すなわち、本発明は以下の事項に関する。
(1) LiTi12を主成分とするチタン酸リチウム粉末であって、BET法によって求めた比表面積から算出される比表面積相当径をDBETとし、LiTi12の(111)面のピーク半値幅からScherrerの式より算出される結晶子径をDとしたときに、DBETが0.1〜0.6μmであり、Dが80nmより大きく、DBETとDの比DBET/D(μm/μm)が3以下であり、M(ただし、Mは、2族、12族、または13族から選ばれる少なくとも一種の金属元素である)を含有し、
走査透過型電子顕微鏡を用いた前記チタン酸リチウム粒子の断面分析において、エネルギー分散型X線分光法により測定される、前記チタン酸リチウム粒子の表面から、前記チタン酸リチウム粒子の表面の接線に対して垂直な向きに引いた直線の線上の、前記チタン酸リチウム粒子の表面から内部に向かって5nmの位置における、前記Mの元素濃度をD1(atm%)とし、前記直線の線上の、前記チタン酸リチウム粒子の表面から内部に向かって100nmの位置における、前記Mの元素濃度をD2(atm%)とすると、下記式(I)、下記式(II)を満たすことを特徴とする、チタン酸リチウム粉末。
D1/D2≧5 (II)
(2) 前記DBETとDの比DBET/D(μm/μm)が2以下であることを特徴とする(1)に記載の、チタン酸リチウム粉末。
(3) Dが500nm以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の、チタン酸リチウム粉末。
) 前記Mが、Mg、Zn、Al、Ga、またはInから選ばれる少なくとも一種の金属元素であることを特徴とする(1)〜(3)いずれか一項に記載の、チタン酸リチウム粉末。
) 誘導結合プラズマ発光分光分析法により測定される、前記チタン酸リチウム粉末全体におけるTiに対する前記Mの原子比T/TTiが、0.001〜0.05であることを特徴とする(1)〜()いずれか一項に記載の、チタン酸リチウム粉末。
) フッ素原子を含有することを特徴とする(1)〜()いずれか一項に記載の、チタン酸リチウム粉末。
) 蓄電デバイスの電極用である(1)〜()いずれか一項に記載の、チタン酸リチウム粉末。
) リチウムイオン二次電池の電極用である(1)〜()いずれか一項に記載の、チタン酸リチウム粉末。
) ハイブリッドキャパシタの電極用である(1)〜()いずれか一項に記載の、チタン酸リチウム粉末。
10) (1)〜()いずれか一項に記載の、蓄電デバイスの電極用チタン酸リチウム粉末を含む活物質材料。
11) (10)に記載の活物質材料を用いることを特徴とする蓄電デバイス。
12) (10)に記載の活物質材料を用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
13) (10)に記載の活物質材料を用いることを特徴とするハイブリッドキャパシタ。
本発明によると、初期充放電容量が大きく、入出力特性に優れた蓄電デバイスなどの電極材料として好適なチタン酸リチウム粉末、活物質材料、並びに蓄電デバイスを提供することができる。
参考例1の粉砕前の混合スラリー中の混合粉末の粒度分布曲線である。 参考例1の粉砕後の混合スラリー中の混合粉末の粒度分布曲線である。 チタン酸リチウム粒子の断面の走査透過型電子顕微鏡写真(40万倍)である。 チタン酸リチウム粒子の制限視野回折パターンである。 各実施例、参考例及び各比較例の評価電極の出力特性(室温)を表すグラフである。 各実施例、参考例及び各比較例の評価電極の入力特性(室温)を表すグラフである。 各実施例、参考例及び各比較例の評価電極の入力特性(低温)を表すグラフである。 参考例1の評価電極の入力特性(室温および低温)を表すグラフである。 実施例7で得られたチタン酸リチウム粒子の走査透過型電子顕微鏡写真(50万倍)である。
[チタン酸リチウム粉末]
本発明のチタン酸リチウム粉末は、LiTi12を主成分とするチタン酸リチウムであって、BET法によって求めた比表面積から算出される比表面積相当径をDBETとし、LiTi12の(111)面のピーク半値幅からScherrerの式より算出される結晶子径をDとしたときに、DBETが0.1〜0.6μmであり、Dが80nmより大きく、DBETとDの比DBET/Dが3以下であることを特徴とするチタン酸リチウム粉末である。
ここで、LiTi12を主成分とするとは、X線回折法によって測定されるピークのうち、LiTi12のメインピークに相当するピーク強度を100としたときに、アナターゼ型二酸化チタンのメインピーク強度が5以下であり、ルチル型二酸化チタンのメインピーク強度が5以下であり、LiTiOのメインピークに相当するピーク強度が5以下であることを言う。ただし、これらのLiTi12以外の成分が存在すると相対的にLiTi12の含有量が低下してレート特性及び容量が低下するため、これらのLiTi12以外の成分は少ないことが好ましい。特にルチル型二酸化チタンは、レート特性及び容量への悪影響が大きいため、ルチル型二酸化チタンのメインピーク強度が3以下であることが好ましい。
本発明のチタン酸リチウム粉末において、Tiに対するLiの原子比Li/Tiは、0.79〜0.85であることが好ましい。この範囲内であると、チタン酸リチウム粉末中におけるLiTi12の割合が多くなり、本発明のチタン酸リチウム粉末が電極材料として適用された蓄電デバイスの初期充放電容量が大きくなる。この観点から、原子比Li/Tiは、より好ましくは0.80〜0.85であり、更に好ましくは0.81〜0.85である。
本発明においては、本発明のチタン酸リチウム粉末のLiTi12の(111)面のピーク半値幅からScherrerの式より算出される結晶子径をDとする。本発明のチタン酸リチウム粉末のDは、80nmより大きく、好ましくは90nm以上、さらに好ましくは100nm以上、特に好ましくは200nm以上である。Dが大きいほど、本発明のチタン酸リチウム粉末が電極材料として適用された蓄電デバイスの初期充放電容量が大きくなる。また、本発明のチタン酸リチウム粉末のDは、500nm以下であることが好ましい。Dが500nmより大きくなると、DBETが大きくなることがあり入出力特性が悪くなることがある。Dの測定方法については、後述の[チタン酸リチウム粉末の各種物性測定方法]の(2)結晶子径(D)にて説明する。
本発明においては、本発明のチタン酸リチウム粉末の、BET法によって求めた比表面積から算出される比表面積相当径をDBETとする。本発明のチタン酸リチウム粉末のDBETは、0.1μm〜0.6μm、好ましくは0.2μm〜0.5μm、特に好ましくは0.3μm〜0.5μmである。DBETの測定方法については、後述の[各種物性測定方法]の(5)BET径(DBET)にて説明するが、後述の<BET比表面積>で説明する、本発明のチタン酸リチウム粉末のBET比表面積より算出される値である。
本発明のチタン酸リチウム粉末のDBETとDの比DBET/D(μm/μm)は、3以下である。DBET/Dは、2以下であることが好ましく、1.5以下であることが更に好ましい。DBET/Dが1に近づくほど、前記チタン酸リチウム粉末を構成するチタン酸リチウム粒子が同じ面方位を有する結晶のみで構成される構造に近づき、粒子内部に粒界がほとんどなくなるため、本発明のチタン酸リチウム粉末が電極材料として適用された蓄電デバイスの入出力特性が良くなる。チタン酸リチウム粒子の結晶構造は、走査透過型電子顕微鏡を用いた前記チタン酸リチウム粒子の断面分析における、制限視野回折パターン測定によって確認できる。
本発明のチタン酸リチウム粉末は、実質的にLi、TiおよびOのみからなるものであってもよいし、あるいは、Li、TiおよびO以外の異種元素を含有しても良い。本発明のチタン酸リチウム粉末は、異種元素として、M(ただし、Mは2、12、13族から選ばれる少なくとも1種の金属元素である)を含有することが好ましい。低温での入力特性、特に充電容量維持率が高くなるからである。Mとしては、特に、Mg、Zn、Al、Ga、またはInから選ばれる少なくとも1種の金属元素であることがより好ましい。Mg、Zn、Al、Ga、およびInは、これらのイオンにおけるポーリングのイオン半径が、Ti4+のポーリングのイオン半径の±20pmの範囲内(すなわち、Ti4+のポーリングのイオン半径は68pmであるため、68pm±20pmの範囲内)にある金属元素であり、Ti4+と価数が異なる金属元素なので、Liイオンの拡散速度を改善させるものと推測され、特に低温での入力特性を向上させる効果がある。
前記Mの含有量としては、誘導結合プラズマ発光分析により測定される、前記チタン酸リチウム粉末全体におけるTiに対する前記Mの原子比T/TTiが、0.001〜0.05であることが好ましい。T/TTiは、下限値としては0.01以上であることが特に好ましく、上限値としては0.03以下であることが特に好ましい。
前記Mは、前記チタン酸リチウム粉末を構成するチタン酸リチウム粒子の内部領域よりも、表面領域の方に多く含有されることが好ましい。例えば、走査透過型電子顕微鏡を用いた前記チタン酸リチウム粒子の断面分析において、前記チタン酸リチウム粒子の表面から、前記チタン酸リチウム粒子の表面の接線に対して垂直な向きに引いた直線の線上の、前記チタン酸リチウム粒子の表面から内部に向かって5nmの位置における、エネルギー分散型X線分光(EDS)法により測定される前記Mの元素濃度をD1(atm%)とし、前記直線の線上の、前記チタン酸リチウム粒子の表面から内部に向かって100nmの位置における、エネルギー分散型X線分光(EDS)法により測定される前記Mの元素濃度をD2(atm%)とすると、下記式(1)を満たすことが好ましい。
D1>D2 (1)
また、誘導結合プラズマ発光分光分析法により測定される、前記チタン酸リチウム粉末全体におけるTiに対する前記Mの原子比T/TTiをAとし、X線光電子分光法により測定される、前記チタン酸リチウム粉末の粒子表面におけるM原子のTi原子に対する比C/CTiをBとすると、下記式(2)を満たすことが好ましい。なお、X線光電子分光法としては、X線源にMg−Kα線を用いた方法などが挙げられる。
B/A≧1.5 (2)
以上のように、前記Mが、前記チタン酸リチウム粉末を構成するチタン酸リチウム粒子の内部領域よりも、表面領域の方に多く含有されると、低温での入力特性がさらに向上するからである。
また、低温での入力特性をさらに向上させるには、前記D1とD2との比D1/D2は、下記式(3)を満たすことが好ましい。
D1/D2≧5 (3)
同様に、低温での入力特性をさらに向上させるには、前記B/Aは、下記式(4)を満たすことが好ましい。
B/A>5 (4)
<体積中位粒径>
本発明のチタン酸リチウム粉末は、造粒操作が行われずに得られた粉末でも、焼成前後のいずれかに造粒操作が行われて得られた粉末でも良く、造粒操作が行われずに得られた粉末の場合は、本発明のチタン酸リチウム粉末の体積中位粒径(平均粒径、以下D50と記す)は、0.01〜2μmである。電極を作製する際に、チタン酸リチウム粉末の凝集を抑制し取扱性を良くするためには、造粒操作が行われずに得られた、本発明のチタン酸リチウム粉末のD50は、0.1μm以上が好ましく、入出力特性を良好にするには1μm以下が好ましい。これらの観点から、造粒操作が行われずに得られた、本発明のチタン酸リチウム粉末のD50は、より好ましくは0.1〜1μmであり、更に好ましくは0.2〜0.9μmである。また、造粒操作が行われて得られた粉末の場合は、本発明のチタン酸リチウム粉末のD50は50μm以下であることが好ましい。
ここでD50とは、体積分率で計算した累積体積頻度が、粒径の小さい方から積算して50%になる粒径を意味する。その測定方法については、後述の[各種物性測定方法]の(3)体積中位粒径(D50)にて説明する。
<BET比表面積>
本発明のチタン酸リチウム粉末のBET比表面積(以下、単に「比表面積」ともいう)は、入出力特性を良くする観点から、好ましくは3m/g以上であり、より好ましくは5m/g以上である。また、電極を製造する過程でチタン酸リチウム粉末を溶媒に分散させてスラリーとするときの溶媒量を少なくする観点から、特に好ましくは10m/g以下である。
<pH>
本発明のチタン酸リチウム粉末のpHは、好ましくは7〜12である。7以上であると分散性が良いという利点があり、12以下であると電極スラリーを作製する際にスラリーがゲル化を起こしスラリー化できないという問題が発生しないという利点がある。この観点から上限値としてより好ましくは11.5以下であり、さらに好ましくは11以下である。ここで、チタン酸リチウム粉末のpHとは、チタン酸リチウム粉末10gを90gの水に分散した時の分散液のpHを意味する。
[チタン酸リチウム粉末の製造方法]
本発明のチタン酸リチウム粉末は、原料を粉砕・混合する工程、高温かつ短時間(高温短時間)で焼成する工程及び解砕・分級・磁選などの後処理工程により得ることができる。
単純に原料を混合しただけでは、高温短時間の焼成では反応が十分に進まず、得られるチタン酸リチウム粉末に、LiTiOやルチル型二酸化チタンのような異相が生成する。これらの異相は、充放電容量を低下させる要因となるため、高温短時間の焼成で異相の少ないチタン酸リチウム粉末を得るためには、原料のTi源とLi源(チタン化合物とリチウム化合物)の十分な混合が必要であり、十分に混合するためには、特にリチウム化合物の微細化が必要である。
<原料のTi源及びLi源からなる混合物の調製工程>
本発明のチタン酸リチウム粉末のTi源としては、チタン酸テトライソプロピルなどのチタン酸エステル、オキシ水酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン等のチタン化合物が用いられる。短時間でLi源と反応し易いことが好ましく、その観点で、アナターゼ型二酸化チタンが好ましい。Ti源の体積中位粒径(平均粒径、D50)は、0.01〜2μmである。短時間の焼成で、原料を十分に反応させるためには2μm以下が好ましく、取扱性を良くするためには、0.1μm以上が好ましい。これらの観点から、D50は、より好ましくは0.1〜2μmである。
本発明のチタン酸リチウム粉末のLi源としては、水酸化リチウム一水和物、酸化リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸リチウム等のリチウム化合物が用いられる。高温で焼成する点では、融点の高いリチウム化合物が好ましく、炭酸リチウムが特に好ましい。
本発明のチタン酸リチウム粉末が、前記Mを含有するチタン酸リチウム粉末である場合は、Ti源及びLi源に加えて、前記Mを含有する化合物を、M源として原料に用いることができる。前記Mを含有する化合物としては、どのような化合物でも良く、たとえば、酸化物や水酸化物および前記Mを含有する金属塩化合物が挙げられる。前記Mを含有する金属塩化合物の場合、アニオン種は、焼成後に残存しないアニオン種の方が、充放電容量を高くする点で適しており、例えば、前記Mを含有する有機酸化合物や前記Mを含有する硝酸化合物が好ましい。
本発明においては、以上の原料からなる混合物を、焼成前に、混合物を構成する混合粉末のレーザ回折・散乱型粒度分布測定機にて測定される粒度分布曲線において、D95が5μm以下になるように調製する。ここで、D95とは、体積分率で計算した累積体積頻度が、粒径の小さい方から積算して95%になる粒径のことである。混合物は、以上のように調製された混合粉末であっても、あるいは、以上のように調製された混合粉末を造粒して得られた造粒粉末であっても良い。また、焼成に供する混合物の状態を、以上の混合粉末または造粒粉末を含むスラリー状としても良い。混合物が造粒粉末である場合は、造粒粉末のD95が5μm以下である必要はなく、D95が5μm以下の混合粉末を造粒して得られた造粒粉末であれば良い。
混合物の調製方法としては、次に挙げる方法を採用することができる。第一の方法は、原料を調合後、混合と同時に粉砕を行う方法である。第二の方法は、原料のリチウム化合物を、混合後のD95が5μm以下になるまで粉砕した後、これらを混合、あるいは軽く粉砕しながら混合する方法である。第三の方法は、原料のリチウム化合物に、晶析などの方法によって微粒子からなる粉末を製造し、必要に応じて分級して、これらを混合、あるいは軽く粉砕しながら混合する方法である。なかでも、第一の方法において、原料の混合と同時に粉砕を行う方法は、工程が少ない方法なので工業的に有利な方法である。また、同時に導電助剤を添加しても良い。
本発明のチタン酸リチウム粉末が、前記Mを含有するチタン酸リチウム粉末である場合は、前記混合物の調製方法において、Mを含有する化合物を、チタン化合物およびリチウム化合物と同時に混合することができる。
第一から第三のいずれの方法においても、原料の混合方法に特に制限はなく、湿式混合または乾式混合のいずれの方法でも良い。例えば、ヘンシェルミキサー、超音波分散装置、ホモミキサー、乳鉢、ボールミル、遠心式ボールミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、アトライター式の高速ボールミル、ビーズミル、ロールミル等を用いることが出来る。
得られた混合物が混合粉末である場合は、そのまま次の焼成工程に供することができる。混合粉末からなる混合スラリーである場合は、混合スラリーをスプレードライヤーなどによって造粒・乾燥した後に次の焼成工程に供することができる。焼成がロータリーキルン炉を用いて行われる場合は、混合スラリーのまま炉内に供することができる。
<焼成工程>
次いで、得られた混合物を焼成する。焼成により得られる粉末の粒径を小さく、かつ結晶子径を大きくする観点からは、高温かつ短時間で焼成することが好ましい。このような観点から、焼成温度は、好ましくは800〜1100℃であり、より好ましくは850〜1100℃であり、更に好ましくは900〜1000℃である。同様に前記観点から、焼成時の800℃以上の保持時間は、好ましくは2〜90分であり、より好ましくは5〜60分であり、更に好ましくは5〜45分である。焼成温度が高い時には、より短い焼成時間を選択することになる。同様に前記観点から、焼成時の昇温過程においては、700〜800℃の滞留時間を特に短くすることが必要であり、例えば15分以内である。
このような条件で焼成できる方法であれば、焼成方法は特に限定されるものではない。利用できる焼成方法としては、固定床式焼成炉、ローラーハース式焼成炉、メッシュベルト式焼成炉、流動床式、ロータリーキルン式焼成炉が挙げられる。ただし、短時間で効率的な焼成をする場合は、ローラーハース式焼成炉、メッシュベルト式焼成炉、ロータリーキルン式焼成炉が好ましい。匣鉢に混合物を収容して焼成するローラーハース式焼成炉、またはメッシュベルト式焼成炉を用いる場合は、焼成時の混合物の温度分布の均一性を確保して得られるチタン酸リチウムの品質を一定にするためには、匣鉢への混合物の収容量を少量にすることが好ましい。
ロータリーキルン式焼成炉は、混合物を収容する容器が不要で、連続的に混合物を投入しながら焼成が出来る点、被焼成物への熱履歴が均一で、均質なチタン酸リチウムを得ることが出来る点から、本発明のチタン酸リチウム粉末を製造するには特に好ましい焼成炉である。
焼成時の雰囲気は、脱離した水分や炭酸ガスが排除できる雰囲気であれば、焼成炉に関わらず特に限定されるものではない。通常は、圧縮空気を用いた空気雰囲気とするが、酸素、窒素、または水素雰囲気などでも良い。
<後処理工程>
以上のようにして得られた焼成後のチタン酸リチウム粉末は、軽度の凝集はあるものの、粒子を破壊するような粉砕を行わなくても良く、必要に応じて凝集を解す程度の解砕や分級を行えば良い。
本発明のチタン酸リチウム粉末は、焼成後の結晶子径が大きく、しかも焼成後に粉砕されておらず、それに伴う結晶性の低下がないので、大きな結晶子径を有する。
本発明に係る混合物は、Ti源とLi源とが、また、原料にM源を加えた場合は、Ti源、Li源およびM源が均一に混合されている上に、相対的に大きな粒子が少ない混合粉末、具体的にはD95が5μm以下に調製された混合粉末、またはその混合粉末を造粒して得られる造粒粉末からなる。粒度分布が調整されていない混合粉末を含む混合物を高温短時間で焼成すれば、結晶子径が大きいチタン酸リチウム粉末は得られるが、LiTiOやルチル型二酸化チタンのような異相の割合が大きくなり充放電容量が低下する。焼成時間を長時間にすれば、異相は少なくなるが、BET径が大きくなり、本発明のチタン酸リチウム粉末は得られない。
本発明において、結晶子径が大きく、結晶子径に対するBET径が小さいチタン酸リチウム粉末が得られるのは、次のような理由によると推察する。
焼成時の700〜800℃はチタン酸リチウムの結晶核が生成し始める温度域なので、本発明においては、この温度域の滞留時間を短くすることによって、結晶核の生成数が抑えられて、各結晶核が単独で成長しやすくなり、得られるチタン酸リチウム粉末の結晶子径を大きくすることができるものと思われる。他方、BET径が小さいチタン酸リチウム粉末を得るには、焼成は低温で短時間行われることが望ましいが、そのような焼成条件では、Ti源とLi源との反応が進まずルチル型二酸化チタンなどの異相が生成しやすくなる。本発明においては、焼成に供する混合物を、Ti源とLi源とが混合物の大半の個所において短時間の焼成でも反応しやすい状態、すなわち、内部まで反応が進みにくい大きな粒子が少なく、局所的にも均一に混合された状態にした上で、具体的にはD95が5μm以下になるよう混合粉末を調製した上で、その混合粉末、またはその混合粉末を造粒して得られる造粒粉末からなる混合物を800℃以上の高温で短時間焼成することで、Ti源とLi源とを十分反応させて異相の生成を抑制しながらも、得られるチタン酸リチウム粉末のBET径を小さくできるものと思われる。
本発明のチタン酸リチウム粉末は、Ti源およびLi源からなる、D95が5μm以下の混合粉末、またはその混合粉末を造粒して得られる造粒粉末からなる混合物を800〜1100℃の温度で短時間焼成することに加えて、焼成時の昇温過程における700〜800℃の温度範囲の滞留時間を短くすることで得られる。本発明のチタン酸リチウム粉末は、Ti源およびLi源からなる混合物を800〜1100℃の温度で焼成するにあたって、混合物を、D95が5μm以下の混合粉末、またはその混合粉末を造粒して得られる造粒粉末とし、好ましくは、焼成時の800℃以上の保持時間を2〜90分として、焼成時の昇温過程における700〜800℃の温度範囲の滞留時間を15分以下とすることで得られる。原料に前記M源を加えた場合も、本発明のチタン酸リチウム粉末は、混合粉末が、Ti源およびLi源に加えて前記M源を含有すること以外は、以上と同様の条件の製造方法によって得られる。
[チタン酸リチウム粒子の内部領域よりも表面領域の方に、Mを多く含有するチタン酸リチウム粉末の製造方法]
本発明のチタン酸リチウム粉末が、前記Mを含有するチタン酸リチウム粉末であり、前記チタン酸リチウム粉末を構成するチタン酸リチウム粒子の内部領域よりも、表面領域の方に、前記Mを多く含有するチタン酸リチウム粉末である場合は、次の二つの方法などで、本発明のチタン酸リチウム粉末を製造することができる。
一つの方法は、原料として用いるTi源の粒子表面に、前記M源、すなわち前記Mを含有する化合物を含む被覆層を形成した後、Li源と混合して焼成する方法であり、もう一つの方法は、上記の[チタン酸リチウム粉末の製造方法]に説明する方法にて得られたチタン酸リチウム粉末(以下、基材のチタン酸リチウム粉末と記すことがある)を、前記Mを含有する化合物と混合して熱処理する方法である。これらの方法について具体的に説明する。
(Ti源の粒子表面にMを含有する化合物を含む被覆層を形成した後、Li源と混合して、焼成する方法)
前記Mの存在範囲を、内部領域よりも表面領域の方が高濃度に存在させる製造方法としては、原料のTi源及びLi源からなる混合物の調製工程において、Mを含有する化合物を同時に混合する方法を用いる場合、あらかじめ原料のTi源の粒子表面に、前記Mを含有する化合物を被覆させることによって得ることができる。
原料のTi源粒子の表面にMを含有する化合物を被覆させる方法としては、原料のTi源を分散させたスラリー溶液中でMを含有する化合物を共沈させる方法を用いることができる。例えば、Mを含有する化合物がアルミニウム化合物の場合、被覆層は、酸化アルミニウム及び水酸化アルミニウムの少なくとも1種であることが好ましい。
水酸化アルミニウムを含む被覆層が被覆されてなるアルミニウム含有無機化合物は、酸化チタン及びアルミン酸ソーダを水に分散又は溶解してなるスラリーを攪拌しながらpH調整することにより、好適に製造することができる。pH調整時におけるpHは、好ましくは7〜9、より好ましくは7〜8.5、更に好ましくは7〜8、より更に好ましくは7.3〜7.8である。pHは、無機酸により調整するのが好ましく、硫酸により調整するのがより好ましく、スラリーを攪拌しながら希硫酸水溶液を滴下してpH調整するのが更に好ましい。
酸化アルミニウムを含む被覆層が被覆されてなるアルミニウム含有無機化合物は、上記のようにして得られる水酸化アルミニウムを含む被覆層が被覆されてなるアルミニウム含有無機化合物を、加熱することにより好適に製造することができる。当該加熱により、水酸化アルミニウムは吸熱反応を伴う脱水分解反応を生じ、酸化アルミニウムに変化する。加熱温度は、好ましくは200〜500℃、より好ましくは200〜400℃、更に好ましくは200〜300℃である。
また、酸化アルミニウムを含む被覆層が被覆されてなるアルミニウム含有無機化合物としては、金属塩の中和析出法などにより、上記酸化チタン粒子の表面に、酸化アルミニウムを含む被覆層を被覆したものを用いることができる。更に酸化アルミニウムが被覆された市販の酸化チタンも利用でき、JIS2類のアナターゼ型酸化チタン、JIS1〜4類のルチル型酸化チタンを好適に使用することができる。
(チタン酸リチウム粉末と前記M源とを混合し熱処理する方法)
前記Mを含有するチタン酸リチウム粉末であり、粒子の内部領域よりも、表面領域の方にMを多く含有する、本発明のチタン酸リチウム粉末は、上記の[チタン酸リチウム粉末の製造方法]に説明する方法にて得られた、基材のチタン酸リチウム粉末を、前記Mを含有する化合物と混合する混合工程と、得られた混合粉末を熱処理する熱処理工程とからなる製造方法によって得ることができる。
<混合工程>
前記Mを含有する化合物としては、熱処理によって拡散する化合物なら、どのような化合物でも良く、たとえば、前記Mの酸化物、前記Mの水酸化物および前記Mを含有する金属塩化合物が挙げられる。前記Mをチタン酸リチウム粉末の粒子表面に均一に拡散させるためには、後述の湿式法を用いるのが適しており、その場合は、溶媒に可溶なMを含有する化合物を、その溶媒に溶解させて、基材のチタン酸リチウム粉末と混合することが好ましい。Mを含有する化合物が前記Mを含有する金属塩化合物である場合、充放電容量を高くする点で、アニオン種としては、熱処理後にアニオン種由来の不純物が粒子表面に残存しないアニオン種が適しており、例えば、前記Mを含有する有機酸化合物や前記Mを含有する硝酸化合物が好ましい。また、pHを低減する点では、前記Mのフッ化物が好ましい。
基材のチタン酸リチウム粉末とMを含有する化合物との混合方法に特に制限はなく、湿式混合または乾式混合のいずれの方法も採用することができるが、チタン酸リチウム粒子の表面領域のMの元素濃度を、内部領域のMの元素濃度より、より大きくするためには、チタン酸リチウム粒子の表面にMを含有する化合物を均一に分散させることが好ましく、その点においては湿式混合が好ましい。
乾式混合としては、例えば、ペイントミキサー、ヘンシェルミキサー、超音波分散装置、ホモミキサー、乳鉢、ボールミル、遠心式ボールミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、アトライター式の高速ボールミル、ビーズミル、ロールミル等を用いることが出来る。
湿式混合としては、水またはアルコール溶媒中に前記Mを含有する化合物とチタン酸リチウム粉末を投入し、スラリー状態で混合させる。アルコール溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなど沸点が100℃以下のものが溶媒除去しやすい点で好ましい。また、回収、廃棄のしやすさから、工業的には水溶媒が好ましい。
溶媒量としては、前記Mを含有する化合物とチタン酸リチウム粒子が十分に濡れた状態になる量ならば問題はないが、前記Mを含有する化合物とチタン酸リチウム粒子は、溶媒中で均一に分散していることが好ましく、そのためには、溶媒中に溶解する前記Mを含有する化合物の溶解量が前記Mを含有する化合物の溶媒への全投入量の50%以上になる溶媒量が好ましい。前記Mを含有する化合物の、溶媒への溶解量は温度が高いほど多くなることから、前記Mを含有する化合物とチタン酸リチウム粉末との溶媒中での混合は、加温しながら行うことが好ましく、また加温することで溶媒量も減量できるので、加温しながら混合する方法は、工業的に適した方法である。混合時の温度としては、40〜100℃が好ましく、60〜100℃がより好ましい。
湿式混合の場合は、熱処理方法にもよるが、混合工程の後に行う熱処理の前に溶媒を除去することが好ましい。溶媒の除去は、溶媒を蒸発乾固させることで行うことが好ましく、溶媒を蒸発乾固させる方法としては、スラリーを撹拌羽で撹拌しながら加熱し蒸発させる方法、コニカルドライヤーなど撹拌させながら乾燥が可能な乾燥装置を用いる方法およびスプレードライヤーを用いる方法が挙げられる。熱処理が、ロータリーキルン炉を用いて行われる場合は、混合した原料をスラリーのまま炉内に供することができる。
<熱処理工程>
熱処理における加熱方法は特に限定されるものではない。利用できる熱処理炉としては、固定床式焼成炉、ローラーハース式焼成炉、メッシュベルト式焼成炉、流動床式、ロータリーキルン式焼成炉などが挙げられる。熱処理時の雰囲気としては、大気雰囲気でも、窒素雰囲気などの不活性雰囲気のどちらでも良い。Mを含有する化合物として前記Mを含有する金属塩化合物を用いた場合は、粒子表面からアニオン種が除去されやすい大気雰囲気が好ましい。熱処理温度としては、前記Mが、基材のチタン酸リチウム粒子の、少なくとも表面領域に拡散する温度であって、基材のチタン酸リチウムが焼結することによる、比表面積の大幅な減少が発生しない温度が良い。熱処理温度の上限値としては600℃であり、好ましくは550℃、より好ましくは500℃である。熱処理温度の下限値としては、250℃である。熱処理時間としては、0.5〜8時間であり、より好ましくは2〜5時間である。前記Mが、基材のチタン酸リチウム粒子の、少なくとも表面領域に拡散する温度および時間は、Mを含有する化合物によって反応性が異なるため、適宜設定するのが良い。
[活物質材料]
本発明の活物質材料は、前記チタン酸リチウム粉末を含むものである。前記チタン酸リチウム粉末以外の物質を1種又は2種以上含んでいてもよい。他の物質としては、例えば、炭素材料〔熱分解炭素類、コークス類、グラファイト類(人造黒鉛、天然黒鉛等)、有機高分子化合物燃焼体、炭素繊維〕、スズやスズ化合物、ケイ素やケイ素化合物が使用される。
[蓄電デバイス]
本発明の蓄電デバイスは、前記活物質材料を含む電極へのリチウムイオンのインターカレーション、脱インターカレーションを利用してエネルギーを貯蔵、放出するデバイスであって、例えば、ハイブリッドキャパシタやリチウム電池などが挙げられる。
[ハイブリッドキャパシタ]
前記ハイブリッドキャパシタとしては、正極に、活性炭など電気二重層キャパシタの電極材料と同様の物理的な吸着によって容量が形成される活物質や、グラファイトなど物理的な吸着とインターカレーション、脱インターカレーションによって容量が形成される活物質や、導電性高分子などレドックスにより容量が形成される活物質を使用し、負極に前記活物質材料を使用するデバイスである。
[リチウム電池]
本発明のリチウム電池は、リチウム一次電池及びリチウム二次電池を総称する。また、本明細書において、リチウム二次電池という用語は、いわゆるリチウムイオン二次電池も含む概念として用いる。
前記リチウム電池は、正極、負極及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液等により構成されているが、前記活物質材料は電極材料として用いることができる。この活物質材料は、正極活物質及び負極活物質のいずれとして用いてもよいが、以下には負極活物質として用いた場合を説明する。
<負極>
負極は、負極集電体の片面または両面に、負極活物質(本発明の活物質材料)、導電剤及び結着剤を含む合剤層を有する。
前記負極用の導電剤としては、化学変化を起こさない電子伝導材料であれば特に制限はない。例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛等のグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チェンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類等が挙げられる。また、グラファイト類とカーボンブラック類を適宜混合して用いてもよい。導電剤の正極合剤への添加量は、1〜10重量%が好ましく、特に、2〜5重量%が好ましい。
前記負極用の結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンとブタジエンの共重合体(SBR)、アクリロニトリルとブタジエンの共重合体(NBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。
前記負極集電体としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、銅、チタン、焼成炭素、銅やステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀を表面処理させたもの等が挙げられる。また、これらの材料の表面を酸化してもよく、表面処理により負極集電体表面に凹凸を付けてもよい。また、前記負極集電体の形態としては、例えば、シート、ネット、フォイル、フィルム、パンチングされたもの、ラス体、多孔質体、発砲体、繊維群、不織布の成形体などが挙げられる。
<正極>
正極は、正極集電体の片面または両面に、正極活物質、導電剤及び結着剤を含む合剤層を有する。
前記正極活物質としては、リチウムを吸蔵及び放出可能な材料が使用され、例えば、活物質としては、コバルト、マンガン、ニッケルを含有するリチウムとの複合金属酸化物やリチウム含有オリビン型リン酸塩などが挙げられ、これらの正極活物質は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。このような複合金属酸化物としては、例えば、LiCoO、LiMn、LiNiO、LiCo1−xNi(0.01<x<1)、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiNi1/2Mn3/2等が挙げられ、これらのリチウム複合酸化物の一部は他元素で置換してもよく、コバルト、マンガン、ニッケルの一部をSn、Mg、Fe、Ti、Al、Zr、Cr、V、Ga、Zn、Cu、Bi、Mo、La等の少なくとも1種以上の元素で置換したり、Oの一部をSやFで置換したり、あるいは、これらの他元素を含有する化合物を被覆することができる。リチウム含有オリビン型リン酸塩としては、例えば、LiFePO、LiCoPO、LiNiPO、LiMnPO、LiFe1−xPO(MはCo、Ni、Mn、Cu、Zn、及びCdから選ばれる少なくとも1種であり、xは、0≦x≦0.5である。)等が挙げられる。
前記正極用の導電剤及び結着剤としては、負極と同様のものが挙げられる。前記正極集電体としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、焼成炭素、アルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀を表面処理させたもの等が挙げられる。これらの材料の表面を酸化してもよく、表面処理により正極集電体表面に凹凸を付けてもよい。また、集電体の形態としては、例えば、シート、ネット、フォイル、フィルム、パンチングされたもの、ラス体、多孔質体、発砲体、繊維群、不織布の成形体などが挙げられる。
<非水電解液>
非水電解液は、非水溶媒中に電解質塩を溶解させたものである。この非水電解液には特に制限は無く、種々のものを用いることができる。
前記電解質塩としては、非水電解質に溶解するものが用いられ、例えば、LiPF、LiBF、LiClO等のLi塩、LiN(SOCF、LiN(SO、LiCFSO、LiC(SOCF、LiPF(CF、LiPF(C、LiPF(CF、LiPF(iso−C、LiPF(iso−C)等の鎖状のフッ化アルキル基を含有するリチウム塩や、(CF(SONLi、(CF(SONLi等の環状のフッ化アルキレン鎖を含有するリチウム塩、ビス[オキサレート−O,O’]ホウ酸リチウムやジフルオロ[オキサレート−O,O’]ホウ酸リチウム等のオキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩が挙げられる。これらの中でも、特に好ましい電解質塩は、LiPF、LiBF、LiN(SOCF、及びLiN(SOである。これらの電解質塩は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これら全電解質塩が溶解されて使用される濃度は、前記の非水溶媒に対して、通常0.3M以上が好ましく、0.5M以上がより好ましく、0.7M以上が更に好ましい。またその上限は、2.5M以下が好ましく、2.0M以下がより好ましく、1.5M以下が更に好ましい。
前記非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、鎖状エステル、エーテル、アミド、リン酸エステル、スルホン、ラクトン、ニトリル、S=O結合含有化合物等が挙げられる。
前記非水溶媒は通常、適切な物性を達成するために、混合して使用される。その組合せは、例えば、環状カーボネートと鎖状カーボネートの組合せ、環状カーボネートと鎖状カーボネートとラクトンとの組合せ、環状カーボネートと鎖状カーボネートとエーテルの組合せ、環状カーボネートと鎖状カーボネートと鎖状エステルとの組合せ、環状カーボネートと鎖状カーボネートとニトリルとの組合せ、環状カーボネート類と鎖状カーボネートとS=O結合含有化合物との組合せ等が挙げられる。
<リチウム電池の構造>
本発明のリチウム電池の構造は特に限定されるものではなく、正極、負極及び単層又は複層のセパレータを有するコイン型電池、さらに、正極、負極及びロール状のセパレータを有する円筒型電池や角型電池等が一例として挙げられる。
前記セパレータとしては、大きなイオン透過度を持ち、所定の機械的強度を持った絶縁性の薄膜が用いられる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース紙、ガラス繊維紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド微多孔膜などが挙げられ、2種以上を組み合わせて構成された多層膜としたものも用いることができる。またこれらのセパレータ表面にPVDF、シリコン樹脂、ゴム系樹脂などの樹脂や、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化マグネシウムなどの金属酸化物の粒子などをコーティングすることもできる。前記セパレータの孔径としては、一般的に電池用として有用な範囲であればよく、例えば、0.01〜10μmである。前記セパレータの厚みとしては、一般的な電池用の範囲であればよく、例えば5〜300μmである。
次に、実施例、参考例及び比較例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から容易に類推可能な様々な組み合わせを包含する。特に、実施例の溶媒の組み合わせに限定されるものではない。
[各種物性測定方法]
(1)XRD
測定装置として、CuKα線を用いたX線回折装置(株式会社リガク製、RINT−TTR−III型)を用いた。X線回折測定の測定条件は、測定角度範囲(2θ):10°〜90°、ステップ間隔:0.02°、測定時間:0.25秒/ステップ、線源:CuKα線、管球の電圧:50kV、電流:300mAとした。
チタン酸リチウムのメインピーク強度(回折角2θ=18.1〜18.5°の範囲内のピーク強度)、ルチル型二酸化チタンのメインピーク強度(回折角2θ=27.2〜27.6°の範囲内のピーク強度)、アナターゼ型二酸化チタンのメインピーク強度(回折角2θ=24.7〜25.7°の範囲内のピーク強度)、及びLiTiOのメインピーク強度(回折角2θ=18.2〜18.7°の範囲内のピーク強度)を測定した。
そして、チタン酸リチウムのメインピーク強度を100としたときの、前記のルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、及びLiTiOのメインピーク強度の相対値を算出した。
(2)結晶子径(D
本発明のチタン酸リチウム粉末の結晶子径(D)は、前述のXRDと同じX線回折測定装置を用いて、測定条件を、測定角度範囲(2θ):15.8°〜21.0°、ステップ間隔:0.01°、測定時間:1秒/ステップ、線源:CuKα線、管球の電圧:50kV、電流:300mAとして得られたチタン酸リチウムの(111)面のピーク半値幅からScherrerの式、すなわち以下の式(5)より求めた。なお、半値幅の算出においては、回折装置の光学系による線幅を補正する必要があり、この補正にはシリコン粉末を使用した。
= K・λ/( FW(S)・cosθ) ・・・(5)
FW(S)^D = FWHM^D − FW(I)^D
FW(I)=f0+f1×(2θ)+f2×(2θ)
θ=(t0+t1×(2θ)+t2(2θ))/2
K:Scherrer定数(0.94)
λ:CuKα線の波長(1.54059Å)
FW(S):試料固有の半値幅(FWHM)
FW(I):装置固有の半値幅(FWHM)
D:デコンボリューションパラメータ(1.3)
f0=5.108673E−02
f1=1.058424E−04
f2=6.871481E−06
θ:ブラッグ角の補正値
t0=−3.000E−03
t1=5.119E−04
t2=−3.599E−06
(3)粒度分布
本発明に係る混合粉末及びチタン酸リチウム粉末の粒度分布の測定には、レーザ回折・散乱型粒度分布測定機(日機装株式会社、マイクロトラックMT3300EXII)を用いた。測定試料の調整には、混合粉末の場合はエタノールを、チタン酸リチウム粉末の場合はイオン交換水を、それぞれ測定溶媒として用いた。測定試料が粉末状の場合は、50mlの測定溶媒に約50mgの試料を投入し、さらに界面活性剤である0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を1cc添加し、得られた測定用スラリーを超音波分散機で処理した。測定試料が混合粉末からなる混合スラリーの場合は、粉末換算で約50mgの試料を投入したこと以外は測定試料が粉末状の場合と同様の方法とした。以降の操作は、測定試料に関わらず同じ方法とした。分散処理が施された測定用スラリーを測定セルに収容して、さらに測定溶媒を加えてスラリー濃度を調整した。スラリーの透過率が適正範囲になったところで粒度分布測定を行った。得られた粒度分布曲線から、チタン酸リチウム粉末の体積基準粒径(D50)、混合粉末のD95を算出した。
(4)BET比表面積(m/g)
株式会社マウンテック製、全自動BET比表面積測定装置、商品名「Macsorb HM model−1208」を使用し、液体窒素を用いて一点法でBET比表面積を測定した。
(5)BET径(DBET
BET径(DBET)は、粉末を構成する全ての粒子が同一径の球と仮定して、下記の式(6)より求めた。
BET = 6/(ρ×S) ・・・(6)
ここで、DBETはBET径(μm)、ρはチタン酸リチウムの真密度(g/cc)、SはBET比表面積(m/g)である。
(6)pH
チタン酸リチウム粉末10gを90gの水に分散した時の分散液のpHを測定した。
(7)チタン酸リチウム粉末全体におけるTiに対するMの原子比T/TTi(誘導結合プラズマ発光分光分析法)
誘導結合プラズマ発光分光分析装置(エスアイアイ・テクノロジー株式会社製、商品名「SPS5100」)を用いて、チタン酸リチウム粉末全体に含まれる、金属元素MおよびTiの元素濃度を定量分析した。測定サンプルは、精秤した試料を硝酸とフッ化水素酸を入れて密栓し、マイクロ波を照射して加熱分解後、超純水で定容して検液として用いた。
MおよびTiの元素濃度の測定結果から、Tiに対するMの原子比T/TTiを算出した。
(8)チタン酸リチウム粉末の粒子表面におけるTiに対するMの原子比C/CTi(X線光電子分光法(XPS))
X線光電子分光法によるチタン酸リチウム粉末の粒子表面におけるM原子のTi原子に対する比C/CTiの測定は、アルバック・ファイ製 PHI5000型 走査型X線光電子分光装置を使用して行った。前記MとしてMgを含有するチタン酸リチウム粉末の場合にのみ、X線源にAl−Kα 25Wを用いたが、前記MとしてMg以外の金属元素を含有するチタン酸リチウム粉末の場合には、X線源にMg−Kα 400Wを用いた。
検出されたすべての元素の光電子の数のピーク強度より、PHI社提供の相対感度因子を用いて表面原子濃度を計算し、M原子のTi原子に対する比C/CTiを算出した。
(9)チタン酸リチウム粒子の断面の、Mの元素濃度(走査透過型電子顕微鏡(STEM))
前記Mを含有するチタン酸リチウム粉末を構成するチタン酸リチウム粒子について、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いた前記チタン酸リチウム粒子の断面分析を行い、エネルギー分散型X線分光(EDS)法により、Mの元素濃度の測定を行った。測定方法は次のとおりである。
チタン酸リチウム粒子を、エポキシ樹脂を用いてダミー基板と接着後、切断、補強リングに接着、研磨、ディンプリング、Arイオンミリングを行い、最後にカーボン蒸着を施し、薄片試料を調製した。
得られた、チタン酸リチウム粒子の薄片試料における特定の位置の、前記Mの元素濃度を、エネルギー分散型X線分光(EDS)法によって、次のようにして、測定した。日本電子製 JEM−2100F型電界放射型透過電子顕微鏡(Cs補正付)を使用し、加速電圧120kVで、薄片試料の断面を観察しながら、同顕微鏡付帯の日本電子製 UTW型Si(Li)半導体検出器を使用して、薄片試料表面の接線に対して、その接点から垂直に引いた直線の線上にあって、試料の表面から内部に向かって5nmの位置と、表面から内部に向かって100nmの位置における前記Mの元素濃度を測定した。なお、ビーム径、すなわち分析領域を直径0.2nmの円とした。
(10)チタン酸リチウム粒子の結晶構造(制限視野回折(SAD))
前記Mを含有するチタン酸リチウム粉末を構成するチタン酸リチウム粒子について、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いた前記チタン酸リチウム粒子の断面観察を行い、制限視野回折(SAD)パターン測定により、粒子内部の結晶構造を分析した。その方法は次のとおりである。
薄片試料の調製、および走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いた断面観察は、前述の(9)チタン酸リチウム粒子の断面の、Mの元素濃度(走査透過型電子顕微鏡(STEM))と同様な方法で行い、任意の粒子1個について、粒子全体を含む領域の制限視野回折(SAD)パターンを測定した。この際、カメラ長を100cm、制限視野領域を350nmとした。
参考例1
LiCO(平均粒径 4.6μm)とアナターゼ型TiO(平均粒径 0.6μm)をTiに対するLiの原子比Li/Ti:0.84になるように秤量し、固形分濃度41重量%となるようにイオン交換水を加え撹拌し混合スラリーを作製した。この混合スラリーをビーズミル(ウィリー・エ・バッコーフェン社製、形式:ダイノーミル KD−20BC型、アジテーター材質:ポリウレタン、ベッセル内面材質:ジルコニア)を使用して、ジルコニア製(外径:0.65mm)のビーズをベッセルに80体積%充填し、アジテーター周速13m/s、スラリーフィード速度55kg/hrで、ベッセル内圧が0.02〜0.03MPa以下になるように制御しながら、粉砕・混合を行った。ビーズミル粉砕・混合前の混合スラリーの混合粉末の粒度分布を図1に、ビーズミル粉砕・混合後の混合スラリーの混合粉末の粒度分布を図2に示す。得られた図2の粒度分布より、ビーズミル粉砕・混合後の混合粉末、すなわち焼成に供する混合粉末のD95を算出した。その結果を表1に示す。本参考例の混合粉末のD95は0.73μmであった。
得られた混合スラリーを、付着防止機構を備えたロータリーキルン式焼成炉(炉芯管長さ:4m、炉芯管直径:30cm、外部加熱式)の原料供給側から炉心管内に導入し、乾燥し、焼成した。このときの、炉心管の水平方向からの傾斜角度を2度、炉心管の回転速度を20rpm、焼成物回収側から炉心管内に導入する窒素の流速を20L/分として、炉心管の加熱温度を、原料供給側:900℃、中央部:900℃、焼成物回収側:900℃とし、焼成物の、加熱域での滞留時間を26分とした。その後、炉心管の焼成物回収側から回収した焼成物を、ハンマーミル(ダルトン製、AIIW−5型)を使用して、スクリーン目開き:0.5mm、回転数:8,000rpm、粉体フィード速度:25kg/hrの条件で解砕した。解砕した粉末を、篩(目の粗さ:45μm)分けし、篩を通過した粉末を収集した。
得られたチタン酸リチウム粉末について、XRD、D50(μm)、BET比表面積(m/g)、及びpHを測定し、XRDによって測定される構成相のピーク強度比、BET径DBET(μm)、結晶子径D(nm)、およびDBETとDの比DBET/D(μm/μm)を算出した。その結果を表1に示す。本参考例のチタン酸リチウム粉末のXRDの測定結果からは、LiTi12のピーク以外には、LiTi12のメインピークに相当するピーク強度を100としたときの強度が1.7の、微量のルチル型二酸化チタンのピークのみが確認された。また、本参考例のチタン酸リチウム粉末のD50は0.75μm、BET比表面積は6.36m/gでDBETは0.27μm、Dは257nmであり、DBET/D(μm/μm)は1.06と、DBETとDとの比は小さい値を示した。pHは11.3であった。
また、得られたチタン酸リチウム粉末を構成するチタン酸リチウム粒子の結晶構造を、(10)チタン酸リチウム粒子の結晶構造(制限視野回折(SAD))で説明した方法によって分析した。チタン酸リチウム粒子の断面の走査透過型電子顕微鏡写真(40万倍)を図3に、図3の丸で囲んだ領域(直径350nm)の制限視野回折パターンを図4に示す。チタン酸リチウム粒子全体から単一の回折パターンが認められたことから、観察したチタン酸リチウム粒子は単結晶体と考えられた。
<電解液の調製>
室温(25℃)特性を評価するための電池に用いる電解液は、次のように調製した。エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC)(容量比)=1:2の非水溶媒を調製し、これに電解質塩としてLiPFを1Mの濃度になるように溶解して電解液を調製した。
一方、低温(0℃)特性を評価するための電池に用いる電解液は、次のように調製した。エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)(容量比)=3:7の非水溶媒を調製し、これに電解質塩としてLiPFを1Mの濃度になるように溶解して電解液を調製した。
<評価電極の作製>
活物質として参考例1のチタン酸リチウム粉末を90質量%、アセチレンブラック(導電剤)を5質量%、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を5質量%の割合で混合し、これに1−メチル−2−ピロリドン溶剤を加えて混合したものをアルミニウム箔上に塗布し、乾燥させて電極シートとした。この電極シートを直径14mmの円形に打ち抜き、7t/cmの圧力でプレス加工した後、120℃で5時間真空乾燥することによって評価電極を作製した。
<コイン電池の作製>
前記評価電極と金属リチウム(厚み0.5mm、直径16mmの円形に成形したもの)をグラスフィルター(ワットマン製 GA−100とGF/Cの2枚重ね)を介して対向させ、室温および低温特性を評価するための電池用として調製した、二種の前記非水電解液を、それぞれ加えて封止することによって、室温および低温特性評価用の、二種の2030型コイン型電池を作製した。
これらの電池を用いて、室温および低温における、評価電極の電気化学特性(初期充放電特性、入出力特性)を評価した。
<初期充放電特性(室温)>
上述の<コイン電池の作製>で説明した方法で作製した室温特性評価用のコイン型電池について、25℃の恒温槽内にて、評価電極にLiが吸蔵される方向を充電としたとき、0.2mA/cmの電流密度で1Vまで充電を行い、さらに1Vで充電電流が0.05mA/cmの電流密度になるまで充電させる定電流定電圧充電(CCCV充電−1)を行った後、0.2mA/cmの電流密度で2Vまで放電させる定電流放電(CC放電−1)を3サイクル行い、3サイクル目の放電容量を評価極容量とした。
<出力特性評価(室温)>
3サイクル目の放電容量の測定に引き続き、出力特性として、「CCCV充電−1後、XmA/cmの電流密度で2Vまで放電させるCC放電後、さらにCC放電−1を行う操作」をX=1、X=2、X=4の順に繰り返すことにより、各電流密度(0.2mA/cm、1mA/cm、2mA/cm、および4mA/cm)における放電容量を測定した。
<入力特性評価(室温)>
各電流密度における放電容量の測定に引き続き、入力特性として、「XmA/cmの電流密度で1Vまで充電させる定電流充電を行った後、CC放電−1を行う操作」をX=0.2、X=1、X=2、X=4の順に繰り返すことにより、各電流密度(0.2mA/cm、1mA/cm、2mA/cm、および4mA/cm)における充電容量を測定した。
<入力特性(低温)>
上述の<コイン電池の作製>で説明した方法で作製した低温特性評価用のコイン型電池について、25℃の恒温槽内にて、上述の<初期充放電特性(室温)>で説明した方法と同様に、初期充放電特性を測定した後、0℃の恒温槽内にて、温度以外は上述の<入力特性評価(室温)>で説明した方法と同様に、低温における入力特性として、0℃の入力特性を測定した。
以上のようにして作製した、本参考例の室温特性評価用のコイン電池の、25℃における3サイクル目の放電容量(評価極容量)を表1に示す。また、同電池の、25℃における出力特性の評価結果を図5に、25℃における入力特性の評価結果を図6に示す。また、低温特性評価用のコイン電池の、0℃における入力特性の評価結果を図7に示す。なお、図6においては、参考例1の結果に加えて、後述する参考例2,3および比較例1,2の結果を、また、図7においては、参考例1の結果に加えて、後述する参考例2〜6、実施例7、比較例1,2の結果を併せて示している。
25℃における入出力特性は、評価極容量を基準に1Cを設定し、各電流密度をCレート換算で表記し、電流密度0.2mA/cmの容量を100%とした時の容量比率で表した。また、25℃における入力特性の評価結果から、25℃における3Cレートでの充電容量を計算し、25℃における3サイクル目の放電容量を100%とした時の、25℃における3Cレートでの充電容量の容量比率を、25℃における3C充電容量維持率として表1に示した。なお、25℃における3Cレートでの充電容量は、図8において、電流密度2mA/cmに相当するCレートでの充電容量の測定結果と、電流密度4mA/cmに相当するCレートでの充電容量の測定結果を直線で結び、その直線上にある3Cレートに相当する充電容量の値とした。
また、0℃における入力特性の評価結果から、0℃における2Cレートでの充電容量を計算し、25℃における3サイクル目の放電容量を100%とした時の、0℃における2Cレートでの充電容量の容量比率を、0℃における2C充電容量維持率として表1に示した。なお、0℃における2Cレートでの充電容量は、図8において、電流密度1mA/cmに相当するCレートでの充電容量の測定結果と、電流密度2mA/cmに相当するCレートでの充電容量の測定結果を直線で結び、その直線上にある2Cレートに相当する充電容量の値とした。
参考例のチタン酸リチウム粉末を評価電極に用いた電池は、25℃において、初期充放電容量が165.6mAh/gと高く、大きい電流密度で充放電しても放電容量比率が殆ど変化せず、充電容量比率の低下が小さかった。25℃における3C充電容量維持率が95%と、高い値を示した。また、0℃における2C充電容量維持率は72%であった。
参考例2
参考例1と同様にして得られた、D95が参考例1の混合粉末と同様の混合粉末からなる混合スラリーをスプレードライヤーを用いて造粒し、造粒粉末を作製した。この造粒粉末を、高純度アルミナ製の匣鉢に充填し、マッフル型電気炉を用いて、大気雰囲気中900℃で10分焼成した。昇温時の700〜900℃における滞留時間を14分とした。その後、得られた焼成物を回収し、解砕せずに直接、篩(目の粗さ:45μm)分けし、篩を通過した粉末を収集した。得られたチタン酸リチウム粉末について、XRD、D50(μm)、BET比表面積(m/g)、及びpHを測定し、XRDによって測定される構成相のピーク強度比、BET径DBET(μm)、結晶子径D(nm)、およびDBETとDの比DBET/D(μm/μm)を算出した。その結果を表1に示す。本参考例のチタン酸リチウム粉末のXRDの測定結果からは、LiTi12のピーク以外には、LiTi12のメインピークに相当するピーク強度を100としたときの強度が2.5の、微量のルチル型二酸化チタンのピークのみが確認された。また、本参考例のチタン酸リチウム粉末のD50は18.60μm、BET比表面積は3.96m/gでDBETは0.44μm、Dは412nmであり、DBET/D(μm/μm)は1.07と、DBETとDとの比は小さい値を示した。pHは11.3であった。
また、得られたチタン酸リチウム粉末を用いて参考例1と同様に評価電極及びコイン電池を作製し、参考例1と同様の方法で、評価電極の電気化学特性(初期充放電特性、入出力特性、低温特性)を評価した。本参考例のコイン電池の3サイクル目の放電容量(評価極容量)、3C充電容量維持率および0℃2C充電容量維持率を表1に示す。また、同電池の出力特性の評価結果を図5に、入力特性の評価結果を図6に示す。また、低温特性評価用のコイン電池の、0℃における入力特性の評価結果を図7に示す。本参考例のチタン酸リチウム粉末を評価電極に用いた電池は、25℃において、初期充放電容量が166.7mAh/gと高く、大きい電流密度で充放電しても放電容量比率が殆ど変化せず、充電容量比率の低下が小さかった。25℃における3C充電容量維持率が90%と、高い値を示した。また、0℃における2C充電容量維持率は70%であった。
参考例3
LiCO(平均粒径 2.1μm)とアナターゼ型TiO(平均粒径 0.6μm)をTiに対するLiの原子比Li/Ti:0.84になるように秤量し、ヘンシェルミキサー型の混合機で30分間混合した。表1に、得られた混合粉末の粒度分布から算出したD95を示す。本参考例の混合粉末のD95は3.69μmであった。得られた混合粉末を、参考例1と同様にロータリーキルンにて焼成した。その後、得られた焼成物を回収し、参考例1と同様の方法で解砕した後、篩(目の粗さ:45μm)分けし、篩を通過した粉末を収集した。得られたチタン酸リチウム粉末について、XRD、D50(μm)、BET比表面積(m/g)、及びpHを測定し、XRDによって測定される構成相のピーク強度比、BET径DBET(μm)、結晶子径D(nm)、およびDBETとDの比DBET/D(μm/μm)を算出した。その結果を表1に示す。本参考例のチタン酸リチウム粉末のXRDの測定結果からは、LiTi12のピーク以外には、LiTi12のメインピークに相当するピーク強度を100としたときの強度が2.1の、微量のルチル型二酸化チタンのピークのみが確認された。また、本参考例のチタン酸リチウム粉末のD50は0.87μm、BET比表面積は4.61m/gでDBETは0.38μm、Dは212nmであり、DBET/D(μm/μm)は1.78と、DBETとDとの比は小さい値を示した。pHは11.5であった。
また、得られたチタン酸リチウム粉末を用いて参考例1と同様に評価電極及びコイン電池を作製し、参考例1と同様の方法で、評価電極の電気化学特性(初期充放電特性、入出力特性、低温特性)を評価した。本参考例のコイン電池の3サイクル目の放電容量(評価極容量)、3C充電容量維持率および0℃2C充電容量維持率を表1に示す。また、同電池の出力特性の評価結果を図5に、入力特性の評価結果を図6に示す。また、低温特性評価用のコイン電池の、0℃における入力特性の評価結果を図7に示す。本参考例のチタン酸リチウム粉末を評価電極に用いた電池は、25℃において、初期充放電容量が167.0mAh/gと高く、大きい電流密度で充放電しても放電容量比率が殆ど変化せず、充電容量比率の低下が小さかった。25℃における3C充電容量維持率が87%と、高い値を示した。また、0℃における2C充電容量維持率は62%であった。
[比較例1]
LiCO(平均粒径 4.6μm)とアナターゼ型TiO(平均粒径 0.6μm)をTiに対するLiの原子比Li/Ti:0.84になるように秤量し、ヘンシェルミキサー型の混合機で30分間混合した。表1に、得られた混合粉末の粒度分布から算出したD95を示す。本比較例の混合粉末のD95は6.00μmであった。得られた混合粉末を、高純度アルミナ製の匣鉢に充填し、マッフル型電気炉を用いて、大気雰囲気中900℃で2時間焼成した。昇温時の700〜900℃における滞留時間を60分とした。その後、得られた焼成物を回収し、参考例1と同様の方法で解砕した後、篩(目の粗さ:45μm)分けし、篩を通過した粉末を収集した。得られたチタン酸リチウム粉末について、XRD、D50(μm)、BET比表面積(m/g)、及びpHを測定し、XRDによって測定される構成相のピーク強度比、BET径DBET(μm)、結晶子径D(nm)、およびDBETとDの比DBET/D(μm/μm)を算出した。その結果を表1に示す。本比較例のチタン酸リチウム粉末のXRDの測定結果からは、LiTi12のピーク以外の結晶相のピークは確認されなかった。また、本比較例のチタン酸リチウム粉末のD50は1.26μm、BET比表面積は2.76m/gでDBETは0.63μm、Dは193nmであり、DBET/D(μm/μm)は3.26と、DBETとDとの比は大きい値を示した。pHは11.3であった。
また、得られたチタン酸リチウム粉末を用いて参考例1と同様に評価電極及びコイン電池を作製し、参考例1と同様の方法で、そのコイン電池の電気化学特性(初期充放電特性、入出力特性、低温特性)を評価した。本比較例のコイン電池の3サイクル目の放電容量(評価極容量)、3C充電容量維持率および0℃2C充電容量維持率を表1に示す。また、同電池の出力特性の評価結果を図5に、入力特性の評価結果を図6に示す。また、低温特性評価用のコイン電池の、0℃における入力特性の評価結果を図7に示す。本比較例のチタン酸リチウム粉末を評価電極に用いた電池は、25℃において、初期充放電容量が170.5mAh/gと高く、大きい電流密度で放電したときの放電容量比率の低下が小さいものの、大きい電流密度で充電したときの充電容量比率の低下が大きかった。25℃における3C充電容量維持率が65%と、低い値を示した。また、0℃における2C充電容量維持率も34%と、低い値を示した。
[比較例2]
LiOH・HO(平均粒径 12.1μm)とアナターゼ型TiO(平均粒径 0.6μm)をTiに対するLiの原子比Li/Ti:0.84になるように秤量し、ヘンシェルミキサー型の混合機で30分間混合した。表1に、得られた混合粉末の粒度分布から算出したD95を示す。本比較例の混合粉末のD95は31.00μmであった。得られた混合粉末を、高純度アルミナ製の匣鉢に充填し、マッフル型電気炉を用いて、大気雰囲気中800℃で6時間焼成した。昇温時の700〜900℃における滞留時間を60分とした。その後、得られた焼成物を回収し、参考例1と同様の方法で解砕した後、篩(目の粗さ:45μm)分けし、篩を通過した粉末を収集した。得られたチタン酸リチウム粉末について、XRD、D50(μm)、BET比表面積(m/g)、及びpHを測定し、XRDによって測定される構成相のピーク強度比、BET径DBET(μm)、結晶子径D(nm)、およびDBETとDの比DBET/D(μm/μm)を算出した。その結果を表1に示す。本比較例のチタン酸リチウム粉末のXRDの測定結果からは、LiTi12のピーク以外には、LiTi12のメインピークに相当するピーク強度を100としたときの強度が6.0のルチル型二酸化チタン、および同強度が2.0のLiTiOのピークが確認された。また、本比較例のチタン酸リチウム粉末のD50は1.12μm、BET比表面積は3.22m/gでDBETは0.54μm、Dは76nmであり、DBET/D(μm/μm)は7.11と、DBETとDとの比は大きい値を示した。pHは11.6であった。
得られたチタン酸リチウム粉末を用いて参考例1と同様に評価電極及びコイン電池を作製し、参考例1と同様の方法で、そのコイン電池の電気化学特性(初期充放電特性、入出力特性、低温特性)を評価した。本比較例のコイン電池の3サイクル目の放電容量(評価極容量)、3C充電容量維持率および0℃2C充電容量維持率を表1に示す。また、同電池の出力特性の評価結果を図5に、入力特性の評価結果を図6に示す。また、低温特性評価用のコイン電池の、0℃における入力特性の評価結果を図7に示す。本比較例のチタン酸リチウム粉末を評価電極に用いた電池は、25℃において、大きい電流密度で放電したときの放電容量比率の低下が小さいものの、初期充放電容量が157.2mAh/gと小さく、大きい電流密度で充電したときの充電容量比率の低下が大きかった。25℃における3C充電容量維持率が72%と、低い値を示した。また、0℃における2C充電容量維持率は32%と、低い値を示した。
参考例4
原料の混合時に、参考例1と同様の比率のTi源及びLi源に、Al源としてAl(平均粒径0.5μm)を、Tiに対するAlの原子比Al/Ti:0.030になるように添加して、混合した以外は参考例3と同様にして、参考例4のチタン酸リチウム粉末を作製した。得られたチタン酸リチウム粉末について、XRD、D50(μm)、BET比表面積(m/g)、及びpHを測定し、XRDによって測定される構成相のピーク強度比、BET径DBET(μm)、結晶子径D(nm)、およびDBETとDの比DBET/D(μm/μm)を算出した。その結果を表2に示す。本参考例のチタン酸リチウム粉末のXRDの測定結果からは、LiTi12のピーク以外には、他の結晶相のピークは確認されなかった。また、本参考例のチタン酸リチウム粉末のD50は0.96μm、BET比表面積は4.15m/gでDBETは0.419μm、Dは257nmであり、DBET/D(μm/μm)は1.63と、DBETとDとの比は小さい値を示した。pHは11.2であった。
また、得られたチタン酸リチウム粉末について、該チタン酸リチウム粉末が含有するAlの元素濃度、およびTiに対する原子比を、(7)チタン酸リチウム粉末全体におけるTiに対するMの原子比T/TTi(誘導結合プラズマ発光分光分析法)、(8)チタン酸リチウム粉末の粒子表面におけるTiに対するMの原子比C/CTi(X線光電子分光法(XPS))、(9)チタン酸リチウム粒子の断面の、Mの元素濃度(走査透過型電子顕微鏡(STEM))で上述した方法によって測定した。
参考例のチタン酸リチウム粉末において、チタン酸リチウム粉末全体におけるTiに対するAlの原子比TAl/TTi(Aとする)、X線光電子分光法により測定される、前記チタン酸リチウム粉末の粒子表面におけるTiに対するAl原子比CAl/CTi(Bとする)、前記Bの前記Aに対する比B/A、および断面分析によって測定される表面領域と内部領域におけるAlの元素濃度比(D1/D2)を表2に示す。本参考例のチタン酸リチウム粉末のTAl/TTi(A)は、0.030、CAl/CTi(B)は0.032で、B/Aは1.1であり、D1/D2は2.0であった。
得られたチタン酸リチウム粉末を用いて参考例1と同様に評価電極及びコイン電池を作製し、参考例1と同様の方法で、そのコイン電池の電気化学特性(初期充放電特性、入出力特性、低温特性)を評価した。本参考例のコイン電池の3サイクル目の放電容量(評価極容量)、3C充電容量維持率および0℃2C充電容量維持率を表2に示す。また、低温特性評価用のコイン電池の、0℃における入力特性の評価結果を図7に示す。本参考例のチタン酸リチウム粉末を評価電極に用いた電池は、25℃において、初期充放電容量が165.3mAh/gと高く、大きい電流密度で充放電しても放電容量比率が殆ど変化せず、充電容量比率の低下が小さかった。25℃における3C充電容量維持率が89%と、高い値を示した。また、0℃における2C充電容量維持率は75%と、高い値を示した。
参考例5
原料の混合時に、参考例3と同様の比率のTi源及びLi源に、Mg源として水酸化マグネシウム(Mg(OH)、平均粒径0.6μm)を、Tiに対するMgの原子比Mg/Ti:0.014になるよう添加した以外は参考例3と同様にして、参考例5のチタン酸リチウム粉末を作製した。
得られたチタン酸リチウム粉末について、XRD、D50(μm)、BET比表面積(m/g)、及びpHを測定し、XRDによって測定される構成相のピーク強度比、BET径DBET(μm)、結晶子径D(nm)、およびDBETとDの比DBET/D(μm/μm)を算出した。その結果を表2に示す。本参考例のチタン酸リチウム粉末のXRDの測定結果からは、LiTi12のピーク以外には、LiTi12のメインピークに相当するピーク強度を100としたときの強度が0.5の、微量のルチル型二酸化チタンのピークのみが確認された。また、本参考例のチタン酸リチウム粉末のD50は0.91μm、BET比表面積は4.90m/gでDBETは0.355μm、Dは238nmであり、DBET/D(μm/μm)は1.49と、DBETとDとの比は小さい値を示した。pHは10.9であった。
また、得られたチタン酸リチウム粉末について、該チタン酸リチウム粉末が含有するMgの元素濃度、およびTiに対する原子比を、参考例4と同様の方法によって測定した。その結果を、参考例4と同様に表2に示す。本参考例のチタン酸リチウム粉末のTMg/TTi(A)は、0.014、CMg/CTi(B)は0.018で、B/Aは1.3であり、D1/D2は1.3であった。
得られたチタン酸リチウム粉末を用いて参考例1と同様に評価電極及びコイン電池を作製し、参考例1と同様の方法で、そのコイン電池の電気化学特性(初期充放電特性、入出力特性、低温特性)を評価した。本参考例のコイン電池の3サイクル目の放電容量(評価極容量)、3C充電容量維持率および0℃2C充電容量維持率を表2に示す。また、低温特性評価用のコイン電池の、0℃における入力特性の評価結果を図7に示す。本参考例のチタン酸リチウム粉末を評価電極に用いた電池は、25℃において、初期充放電容量が165.5mAh/gと高く、大きい電流密度で充放電しても放電容量比率が殆ど変化せず、充電容量比率の低下が小さかった。25℃における3C充電容量維持率が89%と、高い値を示した。また、0℃における2C充電容量維持率は77%と、高い値を示した。
参考例6
原料のTi源を次のように調製した。アルミン酸ソーダとアナターゼ型TiO(平均粒径 0.6μm)をTiに対するAlの原子比Al/Ti:0.030になるように秤量し、水に分散および溶解させたスラリーを撹拌しながら0.05モル/Lの希硫酸水溶液を滴下し、pHを7.5に調整した後、固液分離し、乾燥することによって、水酸化アルミニウムで被覆された酸化チタン粒子からなる酸化チタン粉末を合成した。
得られた、水酸化アルミニウムが被覆された酸化チタン粒子からなる酸化チタン粉末を原料のTi源として用いた以外は参考例3と同様にして参考例6のチタン酸リチウム粉末を作製した。
得られたチタン酸リチウム粉末について、XRD、D50(μm)、BET比表面積(m/g)、及びpHを測定し、XRDによって測定される構成相のピーク強度比、BET径DBET(μm)、結晶子径D(nm)、およびDBETとDの比DBET/D(μm/μm)を算出した。その結果を表2に示す。本参考例のチタン酸リチウム粉末のXRDの測定結果からは、LiTi12のピーク以外には、他の結晶相のピークは確認されなかった。また、本参考例のチタン酸リチウム粉末のD50は0.92μm、BET比表面積は4.45m/gでDBETは0.391μm、Dは251nmであり、DBET/D(μm/μm)は1.56と、DBETとDとの比は小さい値を示した。pHは11.3であった。
また、得られたチタン酸リチウム粉末について、該チタン酸リチウム粉末が含有するAlの元素濃度、およびTiに対する原子比を、参考例4と同様の方法によって測定した。その結果を、参考例4と同様に表2に示す。本参考例のチタン酸リチウム粉末のTAl/TTi(A)は、0.030、CAl/CTi(B)は0.160で、B/Aは5.3であり、D1/D2は3.3であった。
得られたチタン酸リチウム粉末を用いて参考例1と同様に評価電極及びコイン電池を作製し、参考例1と同様の方法で、そのコイン電池の電気化学特性(初期充放電特性、入出力特性、低温特性)を評価した。本参考例のコイン電池の3サイクル目の放電容量(評価極容量)、3C充電容量維持率および0℃2C充電容量維持率を表2に示す。また、低温特性評価用のコイン電池の、0℃における入力特性の評価結果を図7に示す。本参考例のチタン酸リチウム粉末を評価電極に用いた電池は、25℃において、初期充放電容量が165.1mAh/gと高く、大きい電流密度で充放電しても放電容量比率が殆ど変化せず、充電容量比率の低下が小さかった。25℃における3C充電容量維持率が90%と、高い値を示した。また、0℃における2C充電容量維持率は80%と、高い値を示した。
[実施例7]
M源(Al源)を可溶性酢酸アルミニウム(Al含有量7%)とし、該可溶性酢酸アルミニウムと参考例1で得られたチタン酸リチウム粉末を、これらの混合物における、Tiに対するAlの原子比がAl/Ti:0.011になるように秤量し、チタン酸リチウム粉末に対して3倍量の水に投入し混合した。このとき可溶性酢酸アルミニウムは100%溶解していた。得られたスラリーを、撹拌しながら、90℃に加温することで、水を蒸発乾固させた。得られた混合粉末を大気中500℃で5時間熱処理することによって、実施例7のチタン酸リチウム粉末を作製した。
得られたチタン酸リチウム粉末について、XRD、D50(μm)、BET比表面積(m/g)、及びpHを測定し、XRDによって測定される構成相のピーク強度比、BET径DBET(μm)、結晶子径D(nm)、およびDBETとDの比DBET/D(μm/μm)を算出した。その結果を表3に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末のXRDの測定結果からは、LiTi12のピーク以外には、LiTi12のメインピークに相当するピーク強度を100としたときの強度が1.7の、微量のルチル型二酸化チタンのピークのみが確認された。また、本実施例のチタン酸リチウム粉末のD50は0.78μm、BET比表面積は5.75m/gでDBETは0.302μm、Dは273nmであり、DBET/D(μm/μm)は1.11と、DBETとDとの比は小さい値を示した。pHは11.2であった。
また、得られたチタン酸リチウム粉末について、該チタン酸リチウム粉末が含有するAlの元素濃度、およびTiに対する原子比を、参考例4と同様の方法によって測定した。その結果を、参考例4と同様に表3に示す。また、図9に走査透過型電子顕微鏡写真(50万倍)を示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末のTAl/TTi(A)は、0.011、CAl/CTi(B)は0.100で、B/Aは9.1であり、D1が2.7、D2が未検出であった。
得られたチタン酸リチウム粉末を用いて参考例1と同様に評価電極及びコイン電池を作製し、参考例1と同様の方法で、そのコイン電池の電気化学特性(初期充放電特性、入出力特性、低温特性)を評価した。本実施例のコイン電池の3サイクル目の放電容量(評価極容量)、3C充電容量維持率および0℃2C充電容量維持率を表3に示す。また、低温特性評価用のコイン電池の、0℃における入力特性の評価結果を図7に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末を評価電極に用いた電池は、25℃において、初期充放電容量が165.5mAh/gと高く、大きい電流密度で充放電しても放電容量比率が殆ど変化せず、充電容量比率の低下が小さかった。25℃における3C充電容量維持率が96%と、高い値を示した。また、0℃における2C充電容量維持率は89%と、特に高い値を示した。
[実施例8]
可溶性酢酸アルミニウム(Al含有量7%)と参考例1で得られたチタン酸リチウム粉末を、これらの混合物における、Tiに対するAlの原子比が、Al/Ti:0.023となるように秤量した以外は実施例7と同様にして実施例8のチタン酸リチウム粉末を作製した。
得られたチタン酸リチウム粉末について、XRD、D50(μm)、BET比表面積(m/g)、及びpHを測定し、XRDによって測定される構成相のピーク強度比、BET径DBET(μm)、結晶子径D(nm)、およびDBETとDの比DBET/D(μm/μm)を算出した。その結果を表3に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末のXRDの測定結果からは、LiTi12のピーク以外には、LiTi12のメインピークに相当するピーク強度を100としたときの強度が1.7の、微量のルチル型二酸化チタンのピークのみが確認された。また、本実施例のチタン酸リチウム粉末のD50は0.80μm、BET比表面積は5.61m/gでDBETは0.310μm、Dは252nmであり、DBET/D(μm/μm)は1.23と、DBETとDとの比は小さい値を示した。pHは11.3であった。
また、得られたチタン酸リチウム粉末について、該チタン酸リチウム粉末が含有するAlの元素濃度、およびTiに対する原子比を、参考例4と同様の方法によって測定した。その結果を、参考例4と同様に表3に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末のTAl/TTi(A)は、0.023、CAl/CTi(B)は0.190で、B/Aは8.3であり、D1が3.2、D2が未検出であった。
得られたチタン酸リチウム粉末を用いて参考例1と同様に評価電極及びコイン電池を作製し、参考例1と同様の方法で、そのコイン電池の電気化学特性(初期充放電特性、入出力特性、低温特性)を評価した。本実施例のコイン電池の3サイクル目の放電容量(評価極容量)、3C充電容量維持率および0℃2C充電容量維持率を表3に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末を評価電極に用いた電池は、25℃において、初期充放電容量が165.0mAh/gと高く、大きい電流密度で充放電しても放電容量比率が殆ど変化せず、充電容量比率の低下が小さかった。25℃における3C充電容量維持率が96%と、高い値を示した。また、0℃における2C充電容量維持率は90%と、特に高い値を示した。
[実施例9]
M源(Al源)を乳酸アルミニウムに変えた以外は実施例7と同様にして実施例9のチタン酸リチウム粉末を作製した。
得られたチタン酸リチウム粉末について、XRD、D50(μm)、BET比表面積(m/g)、及びpHを測定し、XRDによって測定される構成相のピーク強度比、BET径DBET(μm)、結晶子径D(nm)、およびDBETとDの比DBET/D(μm/μm)を算出した。その結果を表3に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末のXRDの測定結果からは、LiTi12のピーク以外には、LiTi12のメインピークに相当するピーク強度を100としたときの強度が1.7の、微量のルチル型二酸化チタンのピークのみが確認された。また、本実施例のチタン酸リチウム粉末のD50は0.77μm、BET比表面積は5.88m/gでDBETは0.296μm、Dは263nmであり、DBET/D(μm/μm)は1.12と、DBETとDとの比は小さい値を示した。pHは11.3であった。
また、得られたチタン酸リチウム粉末について、該チタン酸リチウム粉末が含有するAlの元素濃度、およびTiに対する原子比を、参考例4と同様の方法によって測定した。その結果を、参考例4と同様に表3に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末のTAl/TTi(A)は、0.011、CAl/CTi(B)は0.180で、B/Aは16.4であり、D1が2.4、D2が未検出であった。
得られたチタン酸リチウム粉末を用いて参考例1と同様に評価電極及びコイン電池を作製し、参考例1と同様の方法で、そのコイン電池の電気化学特性(初期充放電特性、入出力特性、低温特性)を評価した。本実施例のコイン電池の3サイクル目の放電容量(評価極容量)、3C充電容量維持率および0℃2C充電容量維持率を表3に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末を評価電極に用いた電池は、25℃において、初期充放電容量が165.6mAh/gと高く、大きい電流密度で充放電しても放電容量比率が殆ど変化せず、充電容量比率の低下が小さかった。25℃における3C充電容量維持率が96%と、高い値を示した。また、0℃における2C充電容量維持率は90%と、特に高い値を示した。
[実施例10]
M源(Al源)を硫酸アルミニウム16水和物に変えた以外は実施例7と同様にして実施例10のチタン酸リチウム粉末を作製した。
得られたチタン酸リチウム粉末について、XRD、D50(μm)、BET比表面積(m/g)、及びpHを測定し、XRDによって測定される構成相のピーク強度比、BET径DBET(μm)、結晶子径D(nm)、およびDBETとDの比DBET/D(μm/μm)を算出した。その結果を表3に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末のXRDの測定結果からは、LiTi12のピーク以外には、LiTi12のメインピークに相当するピーク強度を100としたときの強度が1.7の、微量のルチル型二酸化チタンのピークのみが確認された。また、本実施例のチタン酸リチウム粉末のD50は0.77μm、BET比表面積は5.63m/gでDBETは0.309μm、Dは278nmであり、DBET/D(μm/μm)は1.11と、DBETとDとの比は小さい値を示した。pHは11.1であった。
また、得られたチタン酸リチウム粉末について、該チタン酸リチウム粉末が含有するAlの元素濃度、およびTiに対する原子比を、参考例4と同様の方法によって測定した。その結果を、参考例4と同様に表3に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末のTAl/TTi(A)は、0.011、CAl/CTi(B)は0.120で、B/Aは10.9であり、D1が2.2、D2が未検出であった。
得られたチタン酸リチウム粉末を用いて参考例1と同様に評価電極及びコイン電池を作製し、参考例1と同様の方法で、そのコイン電池の電気化学特性(初期充放電特性、入出力特性、低温特性)を評価した。本実施例のコイン電池の3サイクル目の放電容量(評価極容量)、3C充電容量維持率および0℃2C充電容量維持率を表3に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末を評価電極に用いた電池は、25℃において、初期充放電容量が165.3mAh/gと高く、大きい電流密度で充放電しても放電容量比率が殆ど変化せず、充電容量比率の低下が小さかった。25℃における3C充電容量維持率が97%と、高い値を示した。また、0℃における2C充電容量維持率は92%と、特に高い値を示した。
[実施例11]
M源(Al源)をフッ化アルミニウムに変え、熱処理温度を400℃に変え、熱処理時の雰囲気を窒素に変えた以外は実施例7と同様にして実施例11のチタン酸リチウム粉末を作製した。
得られたチタン酸リチウム粉末について、XRD、D50(μm)、BET比表面積(m/g)、及びpHを測定し、XRDによって測定される構成相のピーク強度比、BET径DBET(μm)、結晶子径D(nm)、およびDBETとDの比DBET/D(μm/μm)を算出した。その結果を表3に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末のXRDの測定結果からは、LiTi12のピーク以外には、LiTi12のメインピークに相当するピーク強度を100としたときの強度が1.7の、微量のルチル型二酸化チタンのピークのみが確認された。また、本実施例のチタン酸リチウム粉末のD50は0.76μm、BET比表面積は6.27m/gでDBETは0.277μm、Dは244nmであり、DBET/D(μm/μm)は1.14と、DBETとDとの比は小さい値を示した。pHは9.5と低い値であった。
また、得られたチタン酸リチウム粉末について、該チタン酸リチウム粉末が含有するAlの元素濃度、およびTiに対する原子比を、参考例4と同様の方法によって測定した。その結果を、参考例4と同様に表3に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末のTAl/TTi(A)は、0.011、CAl/CTi(B)は0.215で、B/Aは19.6であり、D1が1.2、D2が未検出であった。また、X線光電子分光法によりフッ素原子の表面濃度が4.3atomic%であった。
得られたチタン酸リチウム粉末を用いて参考例1と同様に評価電極及びコイン電池を作製し、参考例1と同様の方法で、そのコイン電池の電気化学特性(初期充放電特性、入出力特性、低温特性)を評価した。本実施例のコイン電池の3サイクル目の放電容量(評価極容量)、3C充電容量維持率および0℃2C充電容量維持率を表3に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末を評価電極に用いた電池は、25℃において、初期充放電容量が166.8mAh/gと高く、大きい電流密度で充放電しても放電容量比率が殆ど変化せず、充電容量比率の低下が小さかった。25℃における3C充電容量維持率が96%と、高い値を示した。また、0℃における2C充電容量維持率は90%と、特に高い値を示した。
[実施例12]
M源(Mg源)を硫酸マグネシウム7水和物に変え、該硫酸マグネシウム7水和物と、参考例1で得られたチタン酸リチウム粉末を、これらの混合物における、Tiに対するMgの原子比がMg/Ti:0.011となるように秤量し、熱処理温度を250℃に変えた以外は実施例7と同様にして実施例12のチタン酸リチウム粉末を作製した。
得られたチタン酸リチウム粉末について、XRD、D50(μm)、BET比表面積(m/g)、及びpHを測定し、XRDによって測定される構成相のピーク強度比、BET径DBET(μm)、結晶子径D(nm)、およびDBETとDの比DBET/D(μm/μm)を算出した。その結果を表3に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末のXRDの測定結果からは、LiTi12のピーク以外には、LiTi12のメインピークに相当するピーク強度を100としたときの強度が1.7の、微量のルチル型二酸化チタンのピークのみが確認された。また、本実施例のチタン酸リチウム粉末のD50は0.75μm、BET比表面積は6.31m/gでDBETは0.276μm、Dは241nmであり、DBET/D(μm/μm)は1.14と、DBETとDとの比は小さい値を示した。pHは10.7であった。
また、得られたチタン酸リチウム粉末について、該チタン酸リチウム粉末が含有するMgの元素濃度、およびTiに対する原子比を、参考例5と同様の方法によって測定した。その結果を、参考例4と同様に表3に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末のTMg/TTi(A)は、0.011、CMg/CTi(B)は0.217で、B/Aは19.7であり、D1が1.3、D2が未検出であった。
得られたチタン酸リチウム粉末を用いて参考例1と同様に評価電極及びコイン電池を作製し、参考例1と同様の方法で、そのコイン電池の電気化学特性(初期充放電特性、入出力特性、低温特性)を評価した。本実施例のコイン電池の3サイクル目の放電容量(評価極容量)、3C充電容量維持率および0℃2C充電容量維持率を表3に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末を評価電極に用いた電池は、25℃において、初期充放電容量が165.2mAh/gと高く、大きい電流密度で充放電しても放電容量比率が殆ど変化せず、充電容量比率の低下が小さかった。25℃における3C充電容量維持率が96%と、高い値を示した。また、0℃における2C充電容量維持率は92%と、特に高い値を示した。
[比較例3]
基材のチタン酸リチウム粉末を、比較例2で得られたチタン酸リチウム粉末に変えた以外は実施例7と同様にして比較例3のチタン酸リチウム粉末を作製した。
得られたチタン酸リチウム粉末について、XRD、D50(μm)、BET比表面積(m/g)、及びpHを測定し、XRDによって測定される構成相のピーク強度比、BET径DBET(μm)、結晶子径D(nm)、およびDBETとDの比DBET/D(μm/μm)を算出した。その結果を表3に示す。本比較例のチタン酸リチウム粉末のXRDの測定結果からは、LiTi12のピーク以外には、LiTi12のメインピークに相当するピーク強度を100としたときの強度が5.8のルチル型二酸化チタン、および同強度が2.0のLiTiOのピークが確認された。また、本比較例のチタン酸リチウム粉末のD50は1.80μm、BET比表面積は3.13m/gでDBETは0.556μm、Dは77nmであり、DBET/D(μm/μm)は7.22と、DBETとDとの比は大きい値を示した。pHは11.4であった。
また、得られたチタン酸リチウム粉末について、該チタン酸リチウム粉末が含有するAlの元素濃度、およびTiに対する原子比を、参考例4と同様の方法によって測定した。その結果を、参考例4と同様に表3に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末のTAl/TTi(A)は、0.011、CAl/CTi(B)は0.260で、B/Aは23.6であり、D1が3.4、D2が未検出であった。
得られたチタン酸リチウム粉末を用いて参考例1と同様に評価電極及びコイン電池を作製し、参考例1と同様の方法で、そのコイン電池の電気化学特性(初期充放電特性、入出力特性、低温特性)を評価した。本実施例のコイン電池の3サイクル目の放電容量(評価極容量)、3C充電容量維持率および0℃2C充電容量維持率を表3に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末を評価電極に用いた電池は、25℃において、初期充放電容量が158.3mAh/gと小さく、大きい電流密度で充電したときの充電容量比率の低下が大きかった。25℃における3C充電容量維持率が74%と、低い値を示した。また、0℃における2C充電容量維持率は41%と、低い値を示した。
[比較例4]
基材のチタン酸リチウム粉末を比較例2で得られたチタン酸リチウム粉末に、M源を硫酸マグネシウム7水和物に変え、該硫酸マグネシウム7水和物と、比較例2で得られたチタン酸リチウム粉末を、これらの混合物における、Tiに対するMgの原子比がMg/Ti:0.011となるように秤量し、熱処理温度を350℃に変えた以外は実施例7と同様にして比較例4のチタン酸リチウム粉末を作製した。
得られたチタン酸リチウム粉末について、XRD、D50(μm)、BET比表面積(m/g)、及びpHを測定し、XRDによって測定される構成相のピーク強度比、BET径DBET(μm)、結晶子径D(nm)、およびDBETとDの比DBET/D(μm/μm)を算出した。その結果を表3に示す。本比較例のチタン酸リチウム粉末のXRDの測定結果からは、LiTi12のピーク以外には、LiTi12のメインピークに相当するピーク強度を100としたときの強度が6.0のルチル型二酸化チタン、および同強度が2.0のLiTiOのピークが確認された。また、本比較例のチタン酸リチウム粉末のD50は1.18μm、BET比表面積は3.20m/gでDBETは0.543μm、Dは76nmであり、DBET/D(μm/μm)は7.15と、DBETとDとの比は大きい値を示した。pHは11.0であった。
また、得られたチタン酸リチウム粉末について、該チタン酸リチウム粉末が含有するAlの元素濃度、およびTiに対する原子比を、参考例5と同様の方法によって測定した。その結果を、参考例4と同様に表3に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末のTMg/TTi(A)は、0.011、CMg/CTi(B)は0.240で、B/Aは21.8であり、D1が2.1、D2が未検出であった。
得られたチタン酸リチウム粉末を用いて参考例1と同様に評価電極及びコイン電池を作製し、参考例1と同様の方法で、そのコイン電池の電気化学特性(初期充放電特性、入出力特性、低温特性)を評価した。本実施例のコイン電池の3サイクル目の放電容量(評価極容量)、3C充電容量維持率および0℃2C充電容量維持率を表3に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末を評価電極に用いた電池は、25℃において、初期充放電容量が159.0mAh/gと小さく、大きい電流密度で充電したときの充電容量比率の低下が大きかった。25℃における3C充電容量維持率が73%と、低い値を示した。また、0℃における2C充電容量維持率は41%と、低い値を示した。
[実施例13]
M源を酢酸亜鉛2水和物に変え、該酢酸亜鉛2水和物と、参考例1で得られたチタン酸リチウム粉末を、これらの混合物における、Tiに対するZnの原子比をZn/Ti:0.011とし、熱処理温度を400℃に変えた以外は実施例7と同様にして実施例13のチタン酸リチウム粉末を作製した。
得られたチタン酸リチウム粉末について、XRD、D50(μm)、BET比表面積(m/g)、及びpHを測定し、XRDによって測定される構成相のピーク強度比、BET径DBET(μm)、結晶子径D(nm)、およびDBETとDの比DBET/D(μm/μm)を算出した。その結果を表4に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末のXRDの測定結果からは、LiTi12のピーク以外には、LiTi12のメインピークに相当するピーク強度を100としたときの強度が1.7の、微量のルチル型二酸化チタンのピークのみが確認された。また、本実施例のチタン酸リチウム粉末のD50は0.79μm、BET比表面積は5.93m/gでDBETは0.293μm、Dは253nmであり、DBET/D(μm/μm)は1.16と、DBETとDとの比は小さい値を示した。pHは11.3であった。
また、得られたチタン酸リチウム粉末について、該チタン酸リチウム粉末が含有するZnの元素濃度、およびTiに対する原子比を、(7)チタン酸リチウム粉末全体におけるTiに対するMの原子比T/TTi(誘導結合プラズマ発光分光分析法)、(8)チタン酸リチウム粉末の粒子表面におけるTiに対するMの原子比C/CTi(X線光電子分光法(XPS))で上述した方法によって測定した。その結果を、表4に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末のTZn/TTi(A)は、0.011、CZn/CTi(B)は0.017で、B/Aは1.5であった。
得られたチタン酸リチウム粉末を用いて参考例1と同様に評価電極及びコイン電池を作製し、参考例1と同様の方法で、そのコイン電池の電気化学特性(初期充放電特性、入出力特性、低温特性)を評価した。本実施例のコイン電池の3サイクル目の放電容量(評価極容量)、3C充電容量維持率および0℃2C充電容量維持率を表4に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末を評価電極に用いた電池は、25℃において、初期充放電容量が165.3mAh/gと高く、大きい電流密度で充放電しても放電容量比率が殆ど変化せず、充電容量比率の低下が小さかった。25℃における3C充電容量維持率が96%と、高い値を示した。また、0℃における2C充電容量維持率は89%と、特に高い値を示した。
[実施例14]
M源を硫酸インジウムn水和物(95%)に変え、該硫酸インジウムn水和物(95%)と、参考例1で得られたチタン酸リチウム粉末を、これらの混合物における、Tiに対するInの原子比がIn/Ti:0.011となるように秤量し、熱処理温度を400℃に変えた以外は実施例7と同様にして実施例14のチタン酸リチウム粉末を作製した。
得られたチタン酸リチウム粉末について、XRD、D50(μm)、BET比表面積(m/g)、及びpHを測定し、XRDによって測定される構成相のピーク強度比、BET径DBET(μm)、結晶子径D(nm)、およびDBETとDの比DBET/D(μm/μm)を算出した。その結果を表4に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末のXRDの測定結果からは、LiTi12のピーク以外には、LiTi12のメインピークに相当するピーク強度を100としたときの強度が1.7の、微量のルチル型二酸化チタンのピークのみが確認された。また、本実施例のチタン酸リチウム粉末のD50は0.77μm、BET比表面積は6.02m/gでDBETは0.289μm、Dは247nmであり、DBET/D(μm/μm)は1.17と、DBETとDとの比は小さい値を示した。pHは10.8であった。
また、得られたチタン酸リチウム粉末について、該チタン酸リチウム粉末が含有するInの元素濃度、およびTiに対する原子比を、実施例14と同様の方法によって測定した。その結果を、実施例14と同様に表4に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末のTIn/TTi(A)は、0.011、CIn/CTi(B)は0.158で、B/Aは14.4であった。
得られたチタン酸リチウム粉末を用いて参考例1と同様に評価電極及びコイン電池を作製し、参考例1と同様の方法で、そのコイン電池の電気化学特性(初期充放電特性、入出力特性、低温特性)を評価した。本実施例のコイン電池の3サイクル目の放電容量(評価極容量)、3C充電容量維持率および0℃2C充電容量維持率を表4に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末を評価電極に用いた電池は、25℃において、初期充放電容量が166.4mAh/gと高く、大きい電流密度で充放電しても放電容量比率が殆ど変化せず、充電容量比率の低下が小さかった。25℃における3C充電容量維持率が96%と、高い値を示した。また、0℃における2C充電容量維持率は91%と、特に高い値を示した。
[実施例15]
M源をガリウム(III)アセチルアセトンに変え、該ガリウム(III)アセチルアセトンと、参考例1で得られたチタン酸リチウム粉末を、これらの混合物における、Tiに対するGaの原子比がGa/Ti:0.011となるように秤量した以外は実施例7と同様にして実施例15のチタン酸リチウム粉末を作製した。
得られたチタン酸リチウム粉末について、XRD、D50(μm)、BET比表面積(m/g)、及びpHを測定し、XRDによって測定される構成相のピーク強度比、BET径DBET(μm)、結晶子径D(nm)、およびDBETとDの比DBET/D(μm/μm)を算出した。その結果を表4に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末のXRDの測定結果からは、LiTi12のピーク以外には、LiTi12のメインピークに相当するピーク強度を100としたときの強度が1.7の、微量のルチル型二酸化チタンのピークのみが確認された。また、本実施例のチタン酸リチウム粉末のD50は0.80μm、BET比表面積は5.60m/gでDBETは0.311μm、Dは245nmであり、DBET/D(μm/μm)は1.27と、DBETとDとの比は小さい値を示した。pHは11.2であった。
また、得られたチタン酸リチウム粉末について、該チタン酸リチウム粉末が含有するGaの元素濃度、およびTiに対する原子比を、実施例14と同様の方法によって測定した。その結果を、実施例14と同様に表4に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末のTGa/TTi(A)は、0.011、CGa/CTi(B)は0.029で、B/Aは2.6であった。
得られたチタン酸リチウム粉末を用いて参考例1と同様に評価電極及びコイン電池を作製し、参考例1と同様の方法で、そのコイン電池の電気化学特性(初期充放電特性、入出力特性、低温特性)を評価した。本実施例のコイン電池の3サイクル目の放電容量(評価極容量)、3C充電容量維持率および0℃2C充電容量維持率を表4に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末を評価電極に用いた電池は、25℃において、初期充放電容量が165.1mAh/gと高く、大きい電流密度で充放電しても放電容量比率が殆ど変化せず、充電容量比率の低下が小さかった。25℃における3C充電容量維持率が96%と、高い値を示した。また、0℃における2C充電容量維持率は89%と、特に高い値を示した。
[実施例16]
M源を炭酸カルシウムに変え、該炭酸カルシウムと、参考例1で得られたチタン酸リチウム粉末を、これらの混合物における、Tiに対するCaの原子比がCa/Ti:0.011となるように秤量し、熱処理温度を400℃に変えた以外は実施例7と同様にして実施例16のチタン酸リチウム粉末を作製した。
得られたチタン酸リチウム粉末について、XRD、D50(μm)、BET比表面積(m/g)、及びpHを測定し、XRDによって測定される構成相のピーク強度比、BET径DBET(μm)、結晶子径D(nm)、およびDBETとDの比DBET/D(μm/μm)を算出した。その結果を表4に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末のXRDの測定結果からは、LiTi12のピーク以外には、LiTi12のメインピークに相当するピーク強度を100としたときの強度が1.7の、微量のルチル型二酸化チタンのピークのみが確認された。また、本実施例のチタン酸リチウム粉末のD50は0.81μm、BET比表面積は5.50m/gでDBETは0.316μm、Dは260nmであり、DBET/D(μm/μm)は1.22と、DBETとDとの比は小さい値を示した。pHは11.1であった。
また、得られたチタン酸リチウム粉末について、該チタン酸リチウム粉末が含有するCaの元素濃度、およびTiに対する原子比を、(7)チタン酸リチウム粉末全体におけるTiに対するMの原子比T/TTi(誘導結合プラズマ発光分光分析法)で上述した方法によって測定した。その結果を、表4に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末のTCa/TTi(A)は、0.011であった。
得られたチタン酸リチウム粉末を用いて参考例1と同様に評価電極及びコイン電池を作製し、参考例1と同様の方法で、そのコイン電池の電気化学特性(初期充放電特性、入出力特性、低温特性)を評価した。本実施例のコイン電池の3サイクル目の放電容量(評価極容量)、3C充電容量維持率および0℃2C充電容量維持率を表4に示す。本実施例のチタン酸リチウム粉末を評価電極に用いた電池は、25℃において、初期充放電容量が165.2mAh/gと高く、大きい電流密度で充放電しても放電容量比率が殆ど変化せず、充電容量比率の低下が小さかった。25℃における3C充電容量維持率が94%と、高い値を示した。また、0℃における2C充電容量維持率は72%であった。
Figure 2016000681
Figure 2016000681
Figure 2016000681
Figure 2016000681
実施例〜16のチタン酸リチウム粉末を用いた電極は、初期充放電容量が大きく、大きい電流密度で充放電しても充放電容量比率の低下が小さい、つまり入出力特性にも優れているのに対して、結晶子径Dは大きいものの、DBET/Dが大きい比較例1のチタン酸リチウム粉末を用いた電極は、初期充放電容量は大きいが、入出力特性が劣っていた。結晶子径Dが小さい比較例2のチタン酸リチウム粉末を用いた電極は、入出力特性が劣っていることに加えて、初期充放電容量が小さかった。以上の結果から明らかなように、本発明のチタン酸リチウム粉末は、初期充放電容量が大きく、入出力特性に優れた活物質材料である。
また、実施例〜15の、Li、TiおよびO以外の異種元素の前記Mを含有するチタン酸リチウム粉末を用いた電極は、0℃における2C充電維持率が高く、低温特性に優れているのに対して、結晶子径Dは大きいものの、DBET/Dが大きい比較例3〜4の、異種金属元素の前記Mを含有するチタン酸リチウム粉末を用いた電極は、0℃における2C充電維持率が低かった。以上の結果から明らかなように、本発明の、異種金属元素の前記Mを含有するチタン酸リチウム粉末は、初期充放電容量が大きく、室温において入出力特性に優れることに加えて、さらに、低温においても入力特性に優れた活物質材料である。
なお、上記した実施例〜17においては、対極として金属リチウムを用い、各実施例で得られた評価電極について、リチウムの吸蔵及び放出特性を行った場合における各特性について評価したが、いずれの特性も、本発明のチタン酸リチウム粉末を含む活物質材料が適用される蓄電デバイスにおいて、良好であることが求められるものであり、そのため、上記した実施例〜17の結果より、本発明のチタン酸リチウム粉末、及びこれを含む活物質材料は、蓄電デバイスの電極用として、具体的には、ハイブリッドキャパシタの電極用やリチウム電池(リチウム一次電池及びリチウム二次電池(リチウムイオン二次電池))の電極用など、各種蓄電デバイス用の電極用として、好適であると理解できる。

Claims (13)

  1. LiTi12を主成分とするチタン酸リチウム粉末であって、
    BET法によって求めた比表面積から算出される比表面積相当径をDBETとし、LiTi12の(111)面のピーク半値幅からScherrerの式より算出される結晶子径をDとしたときに、DBETが0.1〜0.6μmであり、
    が80nmより大きく、
    BETとDの比DBET/D(μm/μm)が3以下であり、
    M(ただし、Mは、2族、12族、または13族から選ばれる少なくとも一種の金属元素である)を含有し、
    走査透過型電子顕微鏡を用いた前記チタン酸リチウム粒子の断面分析において、エネルギー分散型X線分光法により測定される、前記チタン酸リチウム粒子の表面から、前記チタン酸リチウム粒子の表面の接線に対して垂直な向きに引いた直線の線上の、前記チタン酸リチウム粒子の表面から内部に向かって5nmの位置における、前記Mの元素濃度をD1(atm%)とし、前記直線の線上の、前記チタン酸リチウム粒子の表面から内部に向かって100nmの位置における、前記Mの元素濃度をD2(atm%)とすると、下記式(II)を満たすことを特徴とする、チタン酸リチウム粉末。
    D1/D2≧5 (II)
  2. 前記DBETとDの比DBET/D(μm/μm)が2以下であることを特徴とする請求項1に記載の、チタン酸リチウム粉末。
  3. が500nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の、チタン酸リチウム粉末。
  4. 前記Mが、Mg、Zn、Al、Ga、またはInから選ばれる少なくとも一種の金属元素であることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の、チタン酸リチウム粉末。
  5. 誘導結合プラズマ発光分光分析法により測定される、前記チタン酸リチウム粉末全体におけるTiに対する前記Mの原子比T/TTiが、0.001〜0.05であることを特徴とする請求項1〜いずれか一項に記載の、チタン酸リチウム粉末。
  6. フッ素原子を含有することを特徴とする請求項1〜いずれか一項に記載の、チタン酸リチウム粉末。
  7. 蓄電デバイスの電極用である請求項1〜いずれか一項に記載の、チタン酸リチウム粉末。
  8. リチウムイオン二次電池の電極用である請求項1〜いずれか一項に記載の、チタン酸リチウム粉末。
  9. ハイブリッドキャパシタの電極用である請求項1〜いずれか一項に記載の、蓄電デバイスの電極用チタン酸リチウム粉末。
  10. 請求項1〜いずれか一項に記載の、チタン酸リチウム粉末を含む活物質材料。
  11. 請求項10に記載の活物質材料を用いることを特徴とする蓄電デバイス。
  12. 請求項10に記載の活物質材料を用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  13. 請求項10に記載の活物質材料を用いることを特徴とするハイブリッドキャパシタ。
JP2015014721A 2013-08-30 2015-01-28 チタン酸リチウム粉末、及び活物質材料、並びにそれを用いた蓄電デバイス Active JP6519202B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015014721A JP6519202B2 (ja) 2013-08-30 2015-01-28 チタン酸リチウム粉末、及び活物質材料、並びにそれを用いた蓄電デバイス

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013179829 2013-08-30
JP2013179829 2013-08-30
JP2013233353 2013-11-11
JP2013233353 2013-11-11
JP2014105534 2014-05-21
JP2014105534 2014-05-21
JP2015014721A JP6519202B2 (ja) 2013-08-30 2015-01-28 チタン酸リチウム粉末、及び活物質材料、並びにそれを用いた蓄電デバイス

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014551358A Division JP5690029B1 (ja) 2013-08-30 2014-08-29 蓄電デバイスの電極用のチタン酸リチウム粉末、及び活物質材料、並びにそれを用いた蓄電デバイス

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2016000681A JP2016000681A (ja) 2016-01-07
JP2016000681A5 true JP2016000681A5 (ja) 2017-10-12
JP6519202B2 JP6519202B2 (ja) 2019-05-29

Family

ID=52586738

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014551358A Active JP5690029B1 (ja) 2013-08-30 2014-08-29 蓄電デバイスの電極用のチタン酸リチウム粉末、及び活物質材料、並びにそれを用いた蓄電デバイス
JP2015014721A Active JP6519202B2 (ja) 2013-08-30 2015-01-28 チタン酸リチウム粉末、及び活物質材料、並びにそれを用いた蓄電デバイス

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014551358A Active JP5690029B1 (ja) 2013-08-30 2014-08-29 蓄電デバイスの電極用のチタン酸リチウム粉末、及び活物質材料、並びにそれを用いた蓄電デバイス

Country Status (4)

Country Link
US (1) US9771273B2 (ja)
JP (2) JP5690029B1 (ja)
KR (1) KR20160048184A (ja)
WO (1) WO2015030192A1 (ja)

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5807730B1 (ja) 2015-03-04 2015-11-10 宇部興産株式会社 蓄電デバイスの電極用チタン酸リチウム粉末および活物質材料、並びにそれを用いた電極シートおよび蓄電デバイス
JP6220365B2 (ja) * 2015-06-30 2017-10-25 宇部興産株式会社 蓄電デバイスの電極用チタン酸リチウム粉末および活物質材料、並びにそれを用いた電極シートおよび蓄電デバイス
WO2017073765A1 (ja) * 2015-10-30 2017-05-04 宇部興産株式会社 蓄電デバイスの電極用リチウムナトリウムチタン複合酸化物粉末、及び活物質材料、並びにそれを用いた電極シートおよび蓄電デバイス
JP6594202B2 (ja) * 2015-12-28 2019-10-23 株式会社オザワエナックス 高純度・高結晶チタン酸リチウムの製造方法及びこれを用いた高純度・高結晶チタン酸リチウム
JP7077959B2 (ja) 2016-12-16 2022-05-31 Ube株式会社 蓄電デバイスの電極用チタン酸リチウム粉末および活物質材料、並びにそれを用いた電極シートおよび蓄電デバイス
DE112018000205B4 (de) * 2017-02-21 2023-10-26 International Advanced Research Centre For Powder Metallurgy And New Materials (Arci) Ein verfahren zur herstellung eines leistungsstarken lithiumtitanat-anodenmaterials für anwendungen von lithium-ionen-akkumulatoren
KR102143493B1 (ko) * 2017-03-21 2020-08-11 주식회사 엘지화학 고출력 특성을 갖는 음극 활물질 및 이를 포함하는 리튬이차전지
KR102090572B1 (ko) * 2018-03-12 2020-03-18 (주)포스코케미칼 알루미늄으로 코팅된 1차 입자를 포함하는 리튬티탄 복합산화물 및 이의 제조 방법
EP3544095B1 (en) 2018-03-22 2023-07-26 Kabushiki Kaisha Toshiba Secondary battery, battery pack, vehicle, and stationary power supply
CN108451522B (zh) * 2018-03-28 2023-05-30 广州源康健信息科技有限公司 一种医疗设备
CN109659511B (zh) * 2018-11-14 2021-12-28 五邑大学 一种SiO2包覆三元正极材料及其制备方法
JP7078141B2 (ja) * 2019-02-06 2022-05-31 株式会社村田製作所 二次電池用正極活物質および二次電池
WO2022211106A1 (ja) * 2021-03-31 2022-10-06 宇部興産株式会社 チタン含有酸化物粉末、それを用いた負極活物質組成物、及び全固体二次電池

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4435926B2 (ja) 2000-02-25 2010-03-24 チタン工業株式会社 高結晶性チタン酸リチウム
JP4091337B2 (ja) * 2002-05-16 2008-05-28 大塚化学ホールディングス株式会社 チタン酸マグネシウムカリウム及びチタン酸リチウムカリウムの製造方法
JP2004235144A (ja) 2003-01-10 2004-08-19 Nichia Chem Ind Ltd 非水電解質二次電池用負極活物質および非水電解質二次電池
JP2008117891A (ja) * 2006-11-02 2008-05-22 Matsushita Electric Ind Co Ltd 電気化学エネルギー蓄積デバイス
JP5300502B2 (ja) * 2008-03-13 2013-09-25 株式会社東芝 電池用活物質、非水電解質電池および電池パック
JP5450284B2 (ja) * 2010-06-28 2014-03-26 株式会社日立製作所 チタン酸リチウム粒子およびその製造方法、リチウムイオン電池用負極、ならびにリチウム電池
CN102447105B (zh) * 2010-10-14 2014-03-26 清华大学 镍酸锂复合材料及其制备方法以及锂离子电池
CN103080010B (zh) 2010-08-31 2016-05-04 户田工业株式会社 钛酸锂颗粒粉末及其制造方法、含Mg钛酸锂颗粒粉末及其制造方法、非水电解质二次电池用负极活性物质颗粒粉末以及非水电解质二次电池
JP5695477B2 (ja) * 2011-04-13 2015-04-08 三菱製紙株式会社 電気化学素子用セパレータ及びそれを用いてなる電気化学素子
JP5810752B2 (ja) * 2011-08-31 2015-11-11 戸田工業株式会社 チタン酸リチウム粒子粉末、非水電解質二次電池用負極活物質粒子粉末並びに非水電解質二次電池
JP2013095646A (ja) * 2011-11-02 2013-05-20 Taiyo Yuden Co Ltd リチウムチタン複合酸化物、それを用いた電池用電極およびリチウムイオン二次電池
EP2595224A1 (en) * 2011-11-18 2013-05-22 Süd-Chemie IP GmbH & Co. KG Doped lithium titanium spinel compound and electrode comprising the same
JP2013234102A (ja) * 2012-05-10 2013-11-21 Tanaka Chemical Corp チタン酸化物及びその製造方法、チタン酸リチウム及びその製造方法、並びにリチウム電池

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5690029B1 (ja) 蓄電デバイスの電極用のチタン酸リチウム粉末、及び活物質材料、並びにそれを用いた蓄電デバイス
JP5790894B1 (ja) 蓄電デバイスの電極用チタン酸リチウム粉末、及び活物質材料、並びにそれを用いた蓄電デバイス
JP2016000681A5 (ja)
KR102553596B1 (ko) 니켈 망간 함유 복합 수산화물 및 그 제조 방법
JP5614513B2 (ja) 非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法、非水系電解質二次電池用正極活物質及びこれを用いた非水系電解質二次電池
KR101929701B1 (ko) 비수계 이차 전지용 정극 활물질 및 그의 제조 방법, 및 그 정극 활물질을 이용한 비수계 전해질 이차 전지
WO2016208413A1 (ja) 遷移金属含有複合水酸化物とその製造方法、非水電解質二次電池用正極活物質とその製造方法、および非水電解質二次電池
JPWO2018123951A1 (ja) 非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法、および非水系電解質二次電池
JP2018006164A (ja) 蓄電デバイスの電極用チタン酸リチウム粉末および活物質材料、並びにそれを用いた蓄電デバイス
JP7159639B2 (ja) 遷移金属複合水酸化物の粒子の製造方法、及び、リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法
JPWO2018003929A1 (ja) 蓄電デバイスの電極用チタン酸リチウム粉末および活物質材料、並びにそれを用いた電極シートおよび蓄電デバイス
WO2016140312A1 (ja) 蓄電デバイスの電極用チタン酸リチウム粉末および活物質材料、並びにそれを用いた電極シートおよび蓄電デバイス
Du et al. Synthesis of spinel LiMn2O4 with manganese carbonate prepared by micro-emulsion method
KR102533325B1 (ko) 리튬 전이 금속 복합 산화물 및 제조 방법
JP6220365B2 (ja) 蓄電デバイスの電極用チタン酸リチウム粉末および活物質材料、並びにそれを用いた電極シートおよび蓄電デバイス
TW201803803A (zh) 磷酸釩鋰的製造方法
JP2014044897A (ja) リチウム複合酸化物およびその製造方法、そのリチウム複合酸化物を含む二次電池用正極活物質、それを含む二次電池用正極、ならびにそれを正極として用いるリチウムイオン二次電池
JP6120493B2 (ja) リチウム・マンガン複合酸化物の製造方法、その製造方法によって得られるリチウム・マンガン複合酸化物を含む二次電池用正極の製造方法、およびそれを正極として用いるリチウムイオン二次電池の製造方法
JP6045194B2 (ja) リチウム・マンガン複合酸化物の製造方法、その製造方法によって得られるリチウム・マンガン複合酸化物、それを含む二次電池用正極活物質およびそれを正極活物質として用いるリチウムイオン二次電池
JP2017063043A (ja) 蓄電デバイスの電極用チタン酸リチウム粉末および活物質材料、並びにそれを用いた電極シートおよび蓄電デバイス