JP6594202B2 - 高純度・高結晶チタン酸リチウムの製造方法及びこれを用いた高純度・高結晶チタン酸リチウム - Google Patents

高純度・高結晶チタン酸リチウムの製造方法及びこれを用いた高純度・高結晶チタン酸リチウム Download PDF

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Description

この発明は、携帯電子機器用電源、パソコン等のバックアップ用電源、時計用電源、自動車用電源、車両用電源、再生可能エネルギー貯蔵用電源、夜間電力貯蔵用電源等の用途に用いられるリチウムイオン二次電池やリチウムイオンキャパシタの活物質として有用なチタン酸リチウムの製造方法に係わり、特にその代表的なスピネル構造を有する高純度・高結晶のチタン酸リチウム(LiTi12)の製造方法及びこれを用いた高純度・高結晶のチタン酸リチウムに関する。
リチウム(Li)とチタン(Ti)との複合酸化物であるチタン酸リチウムは、一般式LiTiで表される物質であり、代表的なものとしてLiTi、Li4/3Ti5/3、(LiTi12)、Li8/3Ti4/3(LiTiO)、Li4/5Ti 1/5(LiTi1120)等が知られている。この中でリチウム二次電池用活物質として使用されているものはスピネル構造を持つLiTi12で表されるチタン酸リチウムである。
チタン酸リチウム(LiTi12)はリチウム基準で1.55Vの電圧を有し、一般にリチウムイオン二次電池の負極活物質として使用され、その結晶構造はスピネル構造(Fd3m)をとり、結晶格子の構造・サイズを変化させることなくリチウムイオンの吸蔵や放出ができるため充電・放電に伴う電極の膨張・収縮がゼロに近くサイクル特性が良好で安全性の高い電池を作ることができる。このことから長期信頼性が求められる貯蔵用電源や自動車電源として期待されている。
このチタン酸リチウム(LiTi12)の製造方法としては、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム、酸化リチウム等のリチウム化合物と、酸化チタンやオルトチタン酸(HTiO)等のチタン酸化物等のチタン化合物との反応により製造されるものであるが、その製造方法については、これまでに多くの提案がされており、大きく分類して、リチウム化合物とチタン化合物とを水や水系溶剤中で反応させる湿式製造法(特許文献1、特許文献3〜5)と、これらリチウム化合物とチタン化合物とを粉末状態のまま混合して反応させる乾式製造法(固相法)(特許文献6、7)がある。湿式製造法の場合、加熱、脱水、乾燥、焼成等の工程が含まれ、製造工程が複雑であり、場合によっては排水処理の必要もあり、特に乾燥工程は不可避であるため多大な熱エネルギーを必要とすることから大規模製造では生産コストを著しく増加することになる。
一方、乾式製造法(固相法)では、例えば水酸化リチウム、炭酸リチウムと二酸化チタンを混合して焼成することにより合成するが、固相拡散反応のため、この時リチウム及びチタンの出発原料の混合状態が生成物に影響を与える。混合状態が不十分な場合や、焼成条件が不十分である場合、また不適正なLi/Ti原子比の場合、目的のチタン酸リチウム(LiTi12)以外に不純物相としてルチル型酸化チタンやLiTiO等のリチウムチタン複合酸化物が合成されるため、電池に用いた際に十分な電気容量が得られない。
加えて、固相反応ではリチウム化合物粉末と酸化チタン粉末との固体―固体間反応を効率的に進めるために粉末混合物を加圧・成形して焼成した場合(特許文献7)には、硬く固化した焼成物の微粉砕が必要であり、粉砕処理が製造上の多大な手間と大きな律速になっているという別の問題がある。
また乾式法(固相法)ではリチウム化合物と酸化チタンが均一に混合する必要があり、このため水溶性リチウム化合物(水酸化リチウム、硝酸リチウム等)を水に溶解してリチウム水溶液として、この中に酸化チタン粉を添加・攪拌してスラリーとした後、これを乾燥して酸化チタンとリチウム化合物が均一に混合した乾燥粉を作製する方法(非特許文献1、特許文献2及び8〜12)等が知られている。しかし、この方法は水を蒸発させるための熱エネルギーを必要とするほか、静置乾燥では比重差で酸化チタンとリチウム化合物が分離してしまうため、動的な乾燥、例えばドラム乾燥、噴霧乾燥等が必要とされるため複雑な工程が増し、生産コストの点で問題がある。
電気化学, Vol62, No. 9, PP870−875, (1994)
特許第3,894,614号公報 特許第4,642,959号公報 特許第3,894,615号公報 特開平10−251,020号公報 特開平10−310,428号公報 特許第3,502,118号公報 特許第4,540,167号公報 特開2001−213,622号公報 特許第4,435,926号公報 特許第4,153,192号公報 特許第4,597,546号公報 特開2005−239,461号公報
そこで本発明者らは、銅(Cu)をターゲットとする粉末X線回折においてチタン酸リチウム(LiTi12)の(111)面、d=4.83Å(2θ:18°)での回折強度を100としたとき、ルチル型酸化チタン(TiO)のメインピーク、d=3.25Å(2θ:27°)、及びLiTiOのメインピーク、d=2.07Å(2θ:43°)の回折強度が1以下の高純度チタン酸リチウム(LiTi12)であり、Scherrer法によるLiTi12の(111)面での結晶子サイズが比較的大きい(1000Å以上)高純度・高結晶のチタン酸リチウム(LiTi12)を工業的に有利に製造し得る方法について、鋭意検討した結果、出発原料に水酸化リチウムとアナターゼ型酸化チタンを用い、極めて制限された条件の下で乾式製造法(固相法)により反応させることにより、高純度・高結晶チタン酸リチウムを工業的生産規模で製造できることを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、銅(Cu)をターゲットとする粉末X線回折分析において、ルチル型酸化チタン(TiO)及びLiTiOのメインピークがLiTi12のメインピークの回折強度を100としたとき1以下であり、かつ、LiTi12の(111)面での結晶子サイズが1000〜2000Å、好ましくは1000〜1600Åであるチタン酸リチウムの製造方法及びこれを用いた高純度・高結晶チタン酸リチウムを提供することにある。
すなわち、本発明は水酸化リチウム粉末とアナターゼ型酸化チタンとを、リチウム(Li)とチタン(Ti)との原子比(Li/Ti)が4.1/5〜4.3/5の範囲内となるように配合し、得られた混合粉を、圧縮剪断力を付与しつつ乾式混合処理を行う。均一に分散した乾式混合処理を行う具体的装置としてはアイリッヒインテンシブミキサー(日本アイリッヒ社)を好適に用いることができる。かかる装置を用いることにより、ローターの回転速度や、ローターと対向する掻きとり治具(スクレーパ)のクリアランス等を設定調節することにより、所望の圧縮剪断力(剪断速度)を得ることができ、容易に所定の解砕力と剪断力を付加しながらの均一混合処理を行うことができる。
ここで、剪断速度は、ローター最外部の相対周速度v1[m/s]、ローター最外部とステーター内周面とのクリアランスd1[m]とした場合、下記式を利用して算出される。
剪断速度[s−1]=周速度v1[m/s]/クリアランスd1[m]、周速度v1[m/s]=π×ローター回転数[rps]×ローター直径d2[m]
上記剪断速度としては、190〜300s−1であることが好ましい。
得られた粉末混合物を焼成容器に充填した後、充填した粉体を1〜5MPaの圧力で押し固めて450〜600℃で仮焼成し、次いで得られた仮焼成物を例えばジョークラッシャーやローラーミル等で粉砕し、混合して焼成容器に充填した後、1〜5MPaの圧力で押し固めて750〜1000℃の条件で本焼成を行う。次いで上述のジョークラッシャーやローラーミル等で粉砕し、ハンマーミルまたはジェットミル等により微粉砕した後、分級して得られた粉体を、銅(Cu)をターゲットとする粉末X線回折分析により測定した結果、チタン酸リチウム(LiTi12)の(111)面、d=4.83Å(2θ:18°)での回折強度を100としたとき、ルチル型酸化チタン(TiO)のメインピーク、d=3.25Å(2θ:27°)、及びLiTiOのメインピーク、d=2.07Å(2θ:43°)の回折強度が1以下の高純度チタン酸リチウム(LiTi12)であり、またScherrer法によるLiTi12の(111)面での結晶子サイズが比較的大きい(1000Å以上)高結晶チタン酸リチウムを特徴とする高純度・高結晶チタン酸リチウム及びその製造方法である。また得られた高純度・高結晶チタン酸リチウムと炭素含有化合物を溶媒中で混合してスラリーにする工程とこのスラリーを140〜200℃で乾燥してチタン酸リチウム粒子表面に炭素含有化合物被膜を複合した粉体を製造する工程、次いでこれを不活性雰囲気中で600〜800℃で炭化処理を行ってチタン酸リチウム粒子表面にチタン酸リチウムに対して炭素被覆割合が1.5〜2.0重量%に炭素被覆することで活物質の導電性を増し、サイクル特性の向上を図った複合チタン酸リチウム及びその製造方法である。チタン酸リチウムと炭素含有化合物からなるスラリーの乾燥は噴霧乾燥またはドラム乾燥等により行うことができる。
本発明において、原料として用いるリチウム化合物は、水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)等の水酸化リチウム水和物であって、脱水後の無水水酸化リチウムであってもよく、炭酸リチウム等のその他のリチウム化合物では目的とする高純度のLiTi12を製造することが難しい。この原料として用いる水酸化リチウムについては、好ましくはその純度がLiOH基準で95重量%以上、より好ましくは96重量%以上である。
また、本発明において、原料として用いるチタン化合物は、アナターゼ型酸化チタン粉末であり、ルチル型酸化チタン粉末では高純度チタン酸リチウム(LiTi12)を製造することは難しい。アナターゼ型酸化チタン粉末の純度は98%以上が好ましく、その平均粒子径が0.1μm以上1.0μm以下、より好ましくは0.1μm以上0.5μm以下の粉末であるのがよい。
本発明においては、これらの水酸化リチウム粉末と酸化チタン粉末とを、リチウム(Li)とチタン(Ti)との原子比(Li/Ti)が4.1/5〜4.3/5の範囲内、好ましくは4.15/5〜4.25/5の範囲内となるように配合し、酸化チタンと水酸化リチウム混合粉を所定の圧縮剪断力を付与する混合機による混合処理を施し、乾式混合した後、酸化チタンと水酸化リチウム混合物を100〜200℃で乾燥処理した後、さらに所定の圧縮剪断力を付与する混合機による混合処理を施し、水酸化リチウム粉末と酸化チタン粉末とが均一に分散した粉末混合物を調整する。この原子比(Li/Ti)が4.1/5より小さいと、本焼成後に得られたチタン酸リチウム中へのルチル型酸化チタンの残留が避けられず、反対に原子比(Li/Ti)が4.3/5より大きくなると、得られたチタン酸リチウム中へのルチル型酸化チタンの含有量はチタン酸リチウム(LiTi12)の(111)面での回折強度を100としたとき、ルチル型酸化チタンのメインピークの回折強度が1以下となるが、LiTiOが副生し高純度のチタン酸リチウムを製造することが難しくなる。
次に、このようにして得られた粉末混合物を、例えばセラミックス容器や金属容器等の仮焼成容器内に充填し、充填した粉体を1〜5MPaの圧力で押し固めた後、450℃以上600℃以下で、好ましくは450℃以上550℃以下、昇温速度1℃/min.以上4℃/min.以下、好ましくは1.2℃/min.以上2.8℃/min.以下、及び昇温後の焼成時間を4時間以上18時間以下、好ましくは5時間以上12時間以下の条件の下に大気中で仮焼成を行い、仮焼成物を調整する。
この粉末混合物の仮焼成において、仮焼成容器内に充填した粉末混合物を加圧する圧力が1MPaより低いと、本焼成後に得られたチタン酸リチウム中に酸化チタン(ルチル型)が残留し、反対にこの圧力が5MPaより高くなると、仮焼成して得られた仮焼成物を簡単な解砕処理では粉末化が困難になり、粉砕処理が必要になって製造上の律速になり、また仮焼成条件の焼成温度が上記の450〜600℃の範囲から外れると、この場合にも本焼成後に得られたチタン酸リチウム中に酸化チタンが残留し、高純度のチタン酸リチウムの製造が困難になる。
上記粉末混合物を仮焼成して得られた仮焼成物については、例えばジョークラッシャーやローラーミル等で粉砕し、さらに例えば上述したアイリッヒインテンシブミキサー(日本アイリッヒ社)を用いて均一混合して仮焼成解砕物を調整する。この仮焼成物については、通常その平均粒子径が200μm以下、好ましくは100μm以下であるのがよい。
このようにして得られた仮焼成物については、次に、例えばセラミックス容器や金属容器等の本焼成容器内に充填し、充填した粉体を1〜5MPaの圧力で押し固めた後、焼成温度750℃以上1000℃以下、好ましくは800℃以上960℃以下、昇温速度1℃/min.以上5℃/min.以下、好ましくは2℃/min.以上4℃/min.以下、及び昇温後の焼成時間を10時間以上24時間以下、好ましくは12時間以上18時間以下の条件の下に大気中で本焼成を行い、本焼成物を調整する。この本焼成の際の焼成温度が上記の範囲から外れると、本焼成後に得られたチタン酸リチウム中に酸化チタンが残留し易くなり、高純度のチタン酸リチウムが得られ難くなる。また、この本焼成の際の昇温速度及び昇温後の焼成時間が上記の範囲内であると、より高純度のチタン酸リチウムが得られる。
上記の仮焼成解砕物を本焼成して得られた本焼成物については、例えば、ジョークラッシャー、ローラーミル等で粉砕した後、最終的に、例えば振動ミル、ジェットミル、分級式ハンマーミル等の手段で、1μm以上20μm以下に、より好ましくは10μm以下に微粉砕処理して高純度・高結晶チタン酸リチウムを製造する。
本発明において、チタン酸リチウムが高純度・高結晶であるということは、少なくとも銅(Cu)をターゲットとする粉末X線回折においてチタン酸リチウム(LiTi12)のメインピーク(111)面、d=4.83Å(2θ:18°)での回折強度を100としたとき、ルチル型酸化チタン(TiO)のメインピーク、d=3.25Å(2θ:27°)、及びLiTiOのメインピーク、d=2.07Å(2θ:43°)の回折強度が1以下であることを意味し、また実質的にLiTi12のスピネル構造の単一相であることを意味し、好ましくは銅(Cu)ターゲット粉末X線回折で測定した場合に上述の副生物が検出されないことがよい。またScherrer法によるLiTi12の(111)面での結晶子サイズが1000Å以上である。
本発明において、乾式製造法でありながらこのような高純度のチタン酸リチウム(LiTi12)を製造することができるのは、圧縮剪断力を付与しながら混合することにより水酸化リチウム粉末と酸化チタンの分散状態を非常に均一とし、さらにこの粉末混合物を焼成容器内で1〜5MPaという圧力で押し固めて行う焼成の工程による。粉末を加圧することにより水酸化リチウム分子と酸化チタン分子の分布が密になり空間率が減少することで分子同士が接近し反応が促進する効果が生じる。さらにこの反応は水酸化リチウムの融点(462℃)が仮焼成の温度範囲(450℃〜600℃)にあるため溶融した水酸化リチウム分子が浸潤して酸化チタン分子近傍での固液反応を促進する。こうした反応は水酸化リチウム分子と酸化チタン分子が均一に分散し、さらに加圧によって空間率が減少するという二つの現象が起因して生ずることで可能になったと考えられる。
本発明により製造されたチタン酸リチウムは、銅(Cu)をターゲットとする粉末X線回折においてルチル型酸化チタンやLiTiOの副生物のメインピーク、各々d=3.25Å(2θ:27°)及びd=2.07Å(2θ:43°)の回折強度がチタン酸リチウム(LiTi12)のメインピーク(111)面、d=4.83Å(2θ:18°)での回折強度を100としたとき、1以下の高純度チタン酸リチウムであり、またScherrer法によるLiTi12の(111)面での結晶子サイズが比較的大きい(1000Å以上)の高結晶チタン酸リチウムである。
ここで、チタン酸リチウムは、6配位16dサイトに位置するTiの電子状態はdであり絶縁体構造を示すが(LiTi12の導電率は10−13Scm−1)、チタン酸リチウム粒子表面を電子伝導性物質である炭素を被覆することによって、高率放電特性を改善することができる。炭素被覆処理としては、炭素含有化合物を溶媒(水)に溶かし、この中にチタン酸リチウム粉末を添加してスラリーとし、これを噴霧乾燥あるいはドラム乾燥等により乾燥粉末を製造した後、不活性ガス雰囲気下で焼成してチタン酸リチウム粒子表面に炭素被覆することができる。
一方、チタン酸リチウムに対する炭素被覆率は小さすぎると当初の目的である導電性を大きくする効果が失われる。逆に大きすぎるとリチウムのインターカレーションを阻害するため電池特性に悪影響を与えるため適正な値が求められる。
そこで、上述した製造方法で得られたチタン酸リチウムの粒子に炭素被覆を施すため、チタン酸リチウム粉末を炭素含有化合物の水溶液に混合してスラリーを作製した後、乾燥して炭素含有化合物被膜を形成したチタン酸リチウム複合体を製造する。
炭素含有化合物被膜形成したチタン酸リチウム複合体を不活性ガス雰囲気で600〜800℃で炭化処理を施すことにより炭素被覆チタン酸リチウム複合体を製造する。
上記炭素含有化合物はグルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)等の単糖類、スクロース(ショ糖(砂糖))、マルトース(麦芽糖)、ラクトース(乳糖)等の二糖類、オリゴ糖等の三糖類、ソルビトール等の糖アルコール類、、蜂蜜(グルコース、フルクトース、スクロース等の混合物)、アルギン酸プロピレングリコール等からなる糖類とポリビニールアルコール、ポリエチレングリコール、等の高分子アルコールから選ばれ、上記炭素含有化合物の混合により使用する。ポリビニールアルコールやアルギン酸プロピレングリコールは繊維産業では捺染用糊料として製紙産業では接着性が高く、皮膜強度が強いことから表面処理用の糊料として、また酸化チタン等の顔料コーティングのバインダーとして使用されている。このような性質はチタン酸リチウム粒子表面への皮膜形成に有効に作用し、またスクロースやグルコースは1モル当たり40%以上の炭素を含み炭化率を上げることができる。このためポリビニールアルコールとスクロースまたはグルコース、またはアルギン酸プロピレングリコールとスクロースまたはグルコース、ポリエチレングリコールとスクロースまたはグルコースの組み合わせで各原料の混合割合を選択することで目的の炭素被覆割合を容易に1.5〜2.0重量%に調整することができる。図2−A、図2−B、図2−Cに上記の糖類と高分子アルコールの配合割合と炭素被覆割合との関係を示す。
上記炭素被覆チタン酸リチウム複合体の炭素含有率は1.0重量%以上、3.0重量%以下、より好ましくは1.5重量%以上、2.0重量%以下に調整する。3.0重量%を超えた場合、リチウムイオンのインターカレーションを阻害して電池特性に悪影響を及ぼす。一方、1.0重量%以下では導電率が低下するため電池特性への効果が期待できない。
こうした高純度・高結晶性チタン酸リチウムに炭素被覆した複合物は、リチウムイオン二次電池の負極活物質として用いた際に電池特性に優れており、また充電・放電による電極の膨張・収縮が少なく電池の寿命に対して非常に効果的であり、安全性に優れた電池を提供することができる。
本発明によれば、銅(Cu)をターゲットとする粉末X線回折においてチタン酸リチウム(LiTi12)のメインピークでの回折強度を100としたとき、ルチル型酸化チタンのメインピーク及びLiTiOのメインピークの回折強度が1以下の高純度チタン酸リチウム(LiTi12)であり、またScherrer法によるLiTi12の(111)面での結晶子サイズが比較的大きい(1000Å以上)高結晶チタン酸リチウムを工業的に有利に製造することができる。
本発明に係るチタン酸リチウム(LiTi12)のX線回折チャートである。 チタン酸リチウムに対して添加した炭素含有化合物と炭素被覆量との関係を示す図である。 チタン酸リチウムに対して添加した炭素含有化合物と炭素被覆量との関係を示す図である。 チタン酸リチウムに対して添加した炭素含有化合物と炭素被覆量との関係を示す図である。 炭素被覆チタン酸リチウム(LiTi12)の充放電特性図である。 炭素被覆チタン酸リチウム(LiTi12)のサイクル特性図である。 結晶子サイズとサイクル特性との関係を示す図である。 結晶子サイズとレ−ト特性との関係を示す図である。 炭素被覆率と放電容量との関係を示す図である。 焼成条件と結晶子サイズの関係を示した図である。 Li/Tiの原子比の変化と副生成物の生成状況を示すX線回折チャートである。 実施例1、比較例1、比較例2に基づいて製造されたチタン酸リチウム(LiTi12)粉末の銅(Cu)ターゲット粉末X線回折チャートである。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において得られたチタン酸リチウムについて、その粉体特性として、粉末X線回折分析により、不純物(副生成物)であるルチル型酸化チタン並びにLiTiOの含有量(重量%)の測定、及びScherrer法により(111)面での結晶子サイズの測定を行った。また平均粒径(μm)、比表面積(m/g)、及びタップ密度(g/cm)を調べ、さらにリチウム二次電池の活物質として用いた際の電池特性を調べるために、コイン型電池及びラミネート型電池を作製し、電池の初期放電容量(mAh/g)、及び充放電によるサイクル数と容量維持率(%)の関係を調べた。加えて、結晶子サイズとサイクル特性の関係、結晶子サイズとレート特性の関係、炭素被覆率と放電容量の関係等についても調べた。これらの物性の測定方法を以下に示す。
(酸化チタン、LiTiOの粉末X線回折分析)
各実施例、比較例において得られたチタン酸リチウム中の酸化チタン(ルチル型)及びLiTiOの含有量の割合は、銅(Cu)ターゲット粉末X線回折装置で測定した結果、チタン酸リチウム(LiTi12)のメインピークである(111)面、d=4.83Å(2θ:18°)の回折強度を100としたときのルチル型酸化チタンのメインピーク、d=3.25Å(2θ:27°)、LiTiOのメインピーク、d=2.07Å(2θ:43°)の回折強度の割合で示した。
一方、結晶子サイズの測定は、Scherrerの式、すなわち、結晶子の大きさD(Å)=K×λ/(β×cosθ)(K:Scherrer定数、λ:使用したX線管球の波長、β:回折ピークの広がり(半値幅)、θ:回折角)において、βの値をNIST(旧名NBS)製X線回折用標準試料NIST,SRM640d Siで補正した。X線回折法で得られた回折ピーク幅には試料由来の回折ピーク幅(半値幅)と光学系由来の回折ピーク幅(半値幅)の二つの情報を含んでいるため、標準試料の測定により得られた光学系由来の情報(半値幅)を測定試料の回折ピーク幅(半値幅)から差し引いた値が試料本来の半値幅であり、この値を用いて上述のScherrerの式から結晶子サイズを算出した。
粉末X線回折装置(RINT ULTIMA 株式会社リガク)の測定条件:
管電圧40KV、管電流30mA、発散スリット1°、発散縦10mm、散乱スリット1°、受光スリット0.3mm、スキャンスピード2°/分、サンプリング幅0.01°。
(平均粒径の測定)
また、平均粒度の測定は粒度分布測定装置(堀場製作所製:レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−960)により行った。測定方法は、約250mlの分散剤ヘキサメタリン酸ナトリウム(NaHMP)水溶液(0.1〜0.2wt%)にチタン酸リチウム粉末10〜20mgを添加し、超音波装置で3分間照射後測定を行った。
(比表面積の測定)
さらに比表面積の測定は、BET比表面積測定装置(島津製作所製:フローソープ2305)により行った。測定方法は、比表面積測定用試料ケースにチタン酸リチウム粉末1gを計量し、BET比表面積装置に装着し、ガス流動法(1点法)にて比表面積(m/g)を測定した。
(タップ密度の測定)
チタン酸リチウム粉末50g±5gを正確に秤量した後に100mlメスシリンダー(最小目盛1ml)中に入れ、50〜60回/分の速度で1分間タップした後、メスシリンダーの目盛からその体積(cm)を求め、メスシリンダー中に充填した粉末の重量(g)と体積(cm)とから計算して求めた。このタップ密度の値は三回の測定結果の平均値で示した。
(電極作製)
チタン酸リチウム粉末と導電材としてアセチレンブラックと、結着材としてポリフッ化ピニリデン樹脂(PVDF)とを88:6:6の重量比で混合し、N−メチルー2−ピロリデン(NMP)をチタン酸リチウム100重量部に対して10〜120重量部の割合で添加してスラリー化(回転粘度計にて粘度を3000〜5000CPSに調整)し、得られたスラリーをドクターブレード法でアルミ集電箔の表面に塗工し、乾燥後にロールプレス機にて300kg/cmの線圧力でプレスし、次いで真空乾燥をして負極電極材を調整した。
(コイン型電池及びラミネート型電池の作製方法)
(1)2032型コイン型電池
アルゴンガス置換したグローブボックス中で、上述した方法により作製したチタン酸リチウム負極電極材から円形に切り出して直径14mmの負極電極を調整した。作動電極(チタン酸リチウム電極)は炭素被覆処理LiTi12:導電材(アセチレンブラック):バインダー(PVDF)=88:6:6重量%の配合で作製した。また、対極は金属リチウム箔から円形に切り出して直径15.7mmの電極を調整した。このようにして調整した作動電極、対極及び直径16.15mmの大きさの多孔質ポリプロピレン製セパレータをコイン電池用ケースに装填した後、電解液[プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)との混合溶液(PC:EC:DEC=5:30:65(体積比))にLiPF電解質を1モル濃度で溶解した溶液]を添加してコイン電池を作製した。測定は室温環境下で充電及び放電を1Cレートで行った。
(2)ラミネート型電池
正極電極及び負極電極を所定の大きさに裁断する(例:正極電極70mm×53mm)、負極電極72mm×55mm)。正極活物質としてLiNiOを使用し、正極電極材はLiNiO:アセチレンブラック(導電材):PVDF〈結着材〉=89:6:5の重量比で混合し、NMPによりスラリーを作製した後、上述したコイン型電池と同様な電極作製方法により正極電極を作製した。
負極電極はLiTi12または炭素被覆処理LiTi12:導電材(アセチレンブラック):バインダー(PVDF)=88:5:7重量%で正極電極と同様にして作製した。
正極電極/セパレータ/負極電極/セパレータ/・・・の順番に積層した後、各正極電極および負極電極のそれぞれを超音波溶接機によりAlリードで接続し、正極リード、負極リードと一緒にアルミラミネート包材を熱溶着して袋状にする。電解液(プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=5/30/65体積%にLiPFを1mol/l溶解)を注入した後、真空溶着して電池を作製した。作製した電池は初充電を行った後、発生したガスを除くため包材の一部を切断した後、再度真空溶着して評価用電池とした。サイクル測定は室温環境下にて充電、放電共に1Cレートで行った。
Li/Ti原子比が4.2/5にするため、水酸化リチウム一水和物(LiOとして35.85重量%)1.59kgと酸化チタン(アナターゼ型TiO含有量99.96重量%)3.64kgとを採取して、小型アイリッヒインテンシブミキサーを用いて剪断速度195〜293s−1にて圧縮剪断力を付与しつつ10分間乾式混合した。得られた粉末混合物5.21kgのうち5.00kgを内寸縦300mm×横300mm×深さ80mmの大きさの仮焼成用セッター(MgOが5重量%入っているコージライト製容器)に充填し、298mm×298mmの平坦な板を粉末の上に置き、油圧機で2MPaの圧力で押し固めた後、板を取り除いてボックス型電気炉に入れて大気中で室温から500℃まで5時間で昇温し、その後6時間保持して仮焼成を行った。この仮焼成終了後、自然放冷し、次いでジョークラッシャー及びローラーミルで粉砕し、続いて上記のアイリッヒインテンシブミキサーにより上述した条件の下で混合して仮焼成物を得た。続いて得られた仮焼成物を内寸縦300mm×横300mm×深さ80mmの大きさの本焼成用セッターに充填し、298mm×298mmの平坦な板を粉末の上に置き、油圧機で2MPaの圧力で押し固めた後、板を取り除いて電気炉に入れて大気中で室温から880℃まで6時間で昇温し、その後14時間保持して本焼成を行った。この本焼成終了後、自然放冷し、次いでジョークラッシャー及びローラーミルで粉砕し、ジェットミル(栗本鐵工所製KJ25、ローター回転数3000rpm)により微粉砕・分級して目的物のチタン酸リチウム(LiTi12)3.85kgを得た。
得られた目的物のチタン酸リチウムについて、銅(Cu)ターゲット粉末X線回折装置による2θ=10°〜90°分析結果を図1に示す。不純物である酸化チタン(ルチル型TiO)及びLiTiOについては検出されなかった。また(111)面での結晶サイズの大きさを測定した結果、1518Åの値を示した。また平均粒径(μm)、比表面積(m/g)、及びタップ密度(g/cm)、を調べた結果を表1に示す。
上述のように準備したチタン酸リチウムを用いて粒子の炭素被覆処理を行った。スクロース93g、ポリビニールアルコール(重合度約500)160gを純水2747gに溶解した後、チタン酸リチウムを2kg加えて、攪拌混合してスラリー(チタン酸リチウム含有率40wt%)を作製した後、常時攪拌してチタン酸リチウムが均一に分散した状態で、入口温度160℃、出口温度90℃の条件で二流体ノズル方式にて噴霧乾燥を行った。この乾燥粉を内寸縦300mm×横300mm×深さ80mmの大きさのセッターに充填した後、雰囲気炉に入れて窒素ガスを8L/分を注入しながら700℃まで3時間で昇温した後、4時間保持した後、窒素ガスを注入しながら室温まで自然放冷し炭化処理を行った。
得られた炭素被覆チタン酸リチウム粉末5gをアルミナルツボに採取し秤量した後、これを電気炉にて大気中700℃で4時間熱処理を行い、80℃近くまで自然放冷し、デシケータに保存した。デシケータ内で室温まで冷却した後、秤量して減量から炭素量を算出した結果、被覆率は1.7重量%を示した。炭素被覆処理品の炭素被覆率、及びBET比表面積を表1に示す。
他の炭素含有化合物としてスクロース91g、アルギン酸プロピレングリコール(株式会社キミカ製キミコロイドLLV)120gを純水3kgに溶解した後、チタン酸リチウムを2kg加えて、攪拌混合してスラリー(チタン酸リチウム含有率40wt%)を作製した。これを前述した方法でチタン酸リチウム粒子に炭素被覆した結果、炭素被覆率は1.7重量%を示した。またスクロース80g、ポリエチレングリコール(PEG−1000)220gを純水2700gに溶解した後、チタン酸リチウムを2kg加えて、攪拌混合してスラリー(チタン酸リチウム含有率40wt%)を作製した。これを前述した方法でチタン酸リチウム粒子に炭素被覆した結果、炭素被覆率は1.7重量%を示した。図2−A、図2−B、図2−Cに、チタン酸リチウムに対して添加した炭素含有化合物と炭素被覆量との関係を示す。
Figure 0006594202
この炭素被覆サンプルを負極活物質として2032コインセル及びラミネートセルを作製して電池特性を評価した。測定は室温で行った。評価結果を図3〜図7に示す。コインセルによる1C放電容量は163.7mAh/gを示した(図3参照)。
一方、ラミネートセルによるサイクル特性の評価結果、炭素被覆処理を行ったLiTi12電極では顕著なサイクルの向上が認められた。一方、炭素被覆処理を行わない場合にはガス発生に起因した容量の低下が認められた(図4参照)。
本焼成温度を800℃とし、他の製造条件は実施例1と同様とした。実施例2により得られたチタン酸リチウム(LiTi12)を銅(Cu)ターゲット粉末X線回折分析により(111)面(2θ≒18.3°)での結晶子サイズの大きさを測定した結果1474Åを示した。
本焼成温度を960℃とし、他の製造条件は実施例1と同様とした。実施例3により得られたチタン酸リチウム(LiTi12)を銅(Cu)ターゲット粉末X線回折分析により(111)面(2θ≒18°)での結晶子サイズの大きさを測定した結果1571Åを示した。
ここで、結晶子サイズの大きさとサイクル特性との関係を図5に、結晶子サイズの大きさとレート特性の関係を図6に、炭素被覆率と放電容量との関係を図7に示す。図5から理解されるように、結晶子サイズが大きくなるとサイクル特性は向上した。これは、結晶子サイズが大きくなることにより、結晶子サイズの小さいものと比べて結晶子間の粒界の存在割合が相対的に減少すること、そして結晶の骨格が強固になること等により充放電の繰り返しによる結晶の劣化が抑制された結果と推測される。また、図6に示されるように後述する実施例5で作製した活物質(結晶子サイズ:1595Å)と比較例3に示した市販品活物質(結晶子サイズ:884Å)とを使用して作製したラミネートセルのレート特性を測定した結果、ほぼ同じ程度の放電容量を示した。このことから上述の結晶子サイズの変化ではレート特性への影響は認められないことが判明した。
一方、図7において、炭素被覆率が1重量%以下の場合、初期放電容量は大きくなるが100サイクル放電容量の初期放電容量に対する減少率は大きく低下した。逆に炭素被覆率が大き過ぎる(3重量%)と100サイクル放電容量の初期放電容量に対する減少率は緩慢になるが、初期放電容量は顕著な低下を示した。
従って、中間の炭素被覆率1.5〜1.7重量%であれば放電容量を確保しながらサイクル特性も良好に維持できることができることが判明した。
Li/Ti原子比が4.2/5にするため、水酸化リチウム(LiOとして35.62重量%)26.51kgと酸化チタン(アナターゼ型TiO含有量98.80重量%)60.83kgとを混合して200℃で5時間乾燥した後、大型アイリッヒインテンシブミキサーを用いて圧縮剪断力を付与しつつ10分間乾式混合した。なおこの際、ローター直径350mm、ローター回転数800〜1200rpm、クリアランス75mmで、相当する剪断速度195〜293s−1にて圧縮剪断力を付与した。
10分間乾式混合し、得られた粉末混合物86.47kgを内寸縦300mm×横300mm×深さ80mmの大きさの仮焼成用セッター(MgOが5重量%入っているコージライト製容器)に5kg充填し(容器17個に85.0kg充填)、充填した各容器を実施例1で示した方法で2MPaの圧力で押し固めた後、表2に示したローラーハースキルン(RHK:連続焼成炉)の焼成条件にて仮焼成を行った。仮焼成物をジョークラッシャー及びローラーミルで粉砕し、続いてアイリッヒインテンシブミキサーにより均一に混合した後、仮焼成粉末を内寸縦300mm×横300mm×深さ80mmの大きさの本焼成用セッターに5kg充填し、実施例1で示した方法で2MPaの圧力で押し固めた後、ローラーハースキルンにて本焼成を行った。なお、本焼成は表2に示すように二種類の焼成温度条件、即ち本焼成A(実施例4)及び本焼成B(実施例5)にて行った。
本焼成終了後、ジョークラッシャー及びローラーミルで粉砕し、さらに対向式粉砕ジェットミルを用いて、セラミックスローターの回転数を3000rpmに設定して、微粉砕・分級して目的物のチタン酸リチウム(LiTi12)64.75kgを得た。
焼成条件は実施例1の焼成条件に基づき温度プログラムを組み立てた。但し、保持時間はローラーハースキルンの加熱効果を考慮して決定した。
Figure 0006594202
実施例4により得られたチタン酸リチウム(LiTi12)を銅(Cu)ターゲット粉末X線回折分析により(111)面(2θ≒18°)での結晶子サイズの大きさを測定した結果1527Åを示した。
本焼成条件として昇温速度を2.22℃/分、焼成温度を880℃とし、他の製造条件は実施例4と同様とした。実施例5により得られたチタン酸リチウム(LiTi12)を銅(Cu)ターゲット粉末X線回折分析により(111)面(2θ≒18°)での結晶子サイズの大きさを測定した結果1595Åを示した。
一方、同じ測定条件での市販品のチタン酸リチウム(LiTi12)では884Åを示した(比較例3)。また、焼成条件と結晶子サイズの関係を図8に示す。結晶子サイズが大きくなった要因としてはローラーハースキルンの良好な加熱効果と長時間の冷却によるアニール効果に起因しているものと推測される。
Li/Ti原子比が4.1/5になるように水酸化リチウム(LiOとして35.85重量%)1.56kgと酸化チタン(アナターゼ型TiO2含有量99.96重量%)3.64kgとを採取した後、実施例1に記載した製造方法により目的物のチタン酸リチウム(LiTi12)3.87kgを得た。
Li/Ti原子比が4.15/5になるように水酸化リチウム(LiOとして35.85重量%)1.58kgと酸化チタン(アナターゼ型TiO含有量99.96重量%)3.64kgとを採取した後、実施例1に記載した製造方法により目的物のチタン酸リチウム(LiTi12)3.86kgを得た。
Li/Ti原子比が4.3/5になるように水酸化リチウム(LiOとして35.85重量%)1.63kgと酸化チタン(アナターゼ型TiO含有量99.96重量%)3.64kgとを採取した後、実施例1に記載した製造方法により目的物のチタン酸リチウム(LiTi12)3.83kgを得た。
実施例1、実施例6、実施例7及び実施例8で得られたチタン酸リチウム(LiTi12)を粉末X線回折分析によりLi/Ti原子比の変化と不純物の回折ピークの生成を確認した結果、Li/Ti=4.2/5原子比では単相を示したが、Li=4.15以下の場合は、回折角2θ=27.7°付近に僅かにルチル型TiO2の回折ピークが認められた。一方、Li=4.3以上の場合は、LiTiOの回折ピークが認められた。実施例1、実施例6、実施例7及び実施例8で得られたチタン酸リチウム(LiTi12)のXRD測定結果を図9に示す。
[比較例1]
Li/Ti原子比が4.2/5になるように炭酸リチウム(LiOとして40.30重量%)1.42kgと酸化チタン(アナターゼ型TiO含有量99.43重量%)3.64kgとを採取した後、実施例1に記載した製造方法により目的物のチタン酸リチウム(LiTi12)3.98kgを得た。得られたチタン酸リチウム(LiTi12)を銅(Cu)ターゲット粉末X線回折分析により不純物回折ピークの生成を確認した結果、ルチル型TiOの回折ピークと共にLiTiOの回折ピークが認められた。この結果を図10に示す。
[比較例2]
Li/Ti原子比が4.2/5にするため、水酸化リチウム(LiOとして35.85重量%)1.59kgと酸化チタン(アナターゼ型TiO含有量99.96重量%)3.64kgとを採取し、実施例1と同様に、小型アイリッヒインテンシブミキサーを用いて剪断速度195〜293s−1にて圧縮剪断力を付与しつつ10分間乾式混合し、得られた粉末混合物5.19kgを内寸縦300mm×横300mm×深さ80mmの大きさの仮焼成用セッター(MgOが5重量%入っているコージライト製容器)に5kg充填し、298mm×298mmの平坦な板を粉末の上に置いて粉末を平にした後(加圧ゼロ)、板を取り除いて電気炉に入れて大気中で室温から500℃まで5時間で昇温し、その後6時間保持して仮焼成を行った。この仮焼成終了後、自然放冷し、次いでジョークラッシャー及びローラーミルで粉砕し、続いてアイリッヒインテンシブミキサーにより混合して仮焼成物を得た。
続いて得られた仮焼成解砕物5kgを内寸縦300mm×横300mm×深さ80mmの大きさの本焼成用セッターに充填し、298mm×298mmの平坦な板を粉末の上に置いて平にした後(加圧ゼロ)、板を取り除いて電気炉に入れて大気中で室温から880℃まで6時間で昇温し、その後14時間保持して本焼成を行った。この本焼成終了後、自然放冷し、次いでハンマーミルにより粉砕した後、アイリッヒインテンシブミキサーを用いて10分間乾式混合し、目的物のチタン酸リチウム(LiTi12)3.83kgを得た。得られたチタン酸リチウム(LiTi12)を銅(Cu)ターゲット粉末X線回折分析により不純物回折ピークの生成を確認した結果、ルチル型TiOと共にLiTiOの回折ピークを確認した。この結果を図10に示す。
[比較例3]
比較例として市販品のチタン酸リチウムの結晶子サイズの測定を行った(図8参照)。


Claims (5)

  1. 水酸化リチウム粉末とアナターゼ型酸化チタン粉末とを、リチウム(Li)とチタン(Ti)との原子比(Li/Ti)が4.1/5〜4.3/5の範囲内となるように配合し、
    この混合粉を、圧縮剪断力を付与しつつ乾式混合し、1〜5MPaの圧力で押し固めて450〜600℃で仮焼成し、次いで得られた仮焼成物を粉砕し、1〜5MPaの圧力で押し固めて750〜1000℃の条件で本焼成し、
    銅(Cu)をターゲットとする粉末X線回折分析において、ルチル型酸化チタン(TiO)及びLiTiOのメインピークがLiTi12のメインピークの回折強度を100としたとき1以下であり、かつ、LiTi12の(111)面での結晶子サイズが1000〜2000Åであるチタン酸リチウムを得ることを特徴とする高純度・高結晶チタン酸リチウムの製造方法。
  2. 前記圧縮剪断力は、190〜300s−1の剪断速度にて付与されることを特徴とする請求項1に記載の高純度・高結晶チタン酸リチウムの製造方法。
  3. チタン酸リチウム粒子表面に炭素被覆する炭素被覆処理工程をさらに有し、
    前記炭素被覆処理工程は、チタン酸リチウム(LiTi12)と水溶性炭素含有化合物を水中で混合してスラリーにする工程と、このスラリーを噴霧乾燥法やドラム乾燥法によって140〜200℃の乾燥温度範囲で乾燥する工程と、乾燥した高純度・高結晶チタン酸リチウムに被覆した炭素含有化合物を不活性ガス雰囲気下で600〜800℃で焼成する工程とを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の高純度・高結晶チタン酸リチウムの製造方法。
  4. チタン酸リチウム(Li Ti 12 に対する炭素被覆率が1.5〜2.0重量%であることを特徴とする請求項3に記載の高純度・高結晶チタン酸リチウムの製造方法。
  5. 前記水溶性炭素含有化合物は、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)の単糖類、スクロース(ショ糖(砂糖))、マルトース(麦芽糖)、ラクトース(乳糖)の二糖類、オリゴ糖の三糖類、ソルビトール、から選ばれた糖類とポリビニールアルコール、ポリエチレングリコール、アルギン酸プロピレングリコール、から選ばれた高分子アルコールとをお互いに混合することにより形成されることを特徴とする請求項3又は4に記載の高純度・高結晶チタン酸リチウムの製造方法。
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