JP2015514214A - シグナリングコンジュゲート及び使用法 - Google Patents

シグナリングコンジュゲート及び使用法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015514214A
JP2015514214A JP2015503414A JP2015503414A JP2015514214A JP 2015514214 A JP2015514214 A JP 2015514214A JP 2015503414 A JP2015503414 A JP 2015503414A JP 2015503414 A JP2015503414 A JP 2015503414A JP 2015514214 A JP2015514214 A JP 2015514214A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conjugate
signaling
biological sample
hapten
target
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015503414A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6101782B2 (ja
JP2015514214A5 (ja
Inventor
ネルソン アレキサンダー,
ネルソン アレキサンダー,
ウィリアム デイ,
ウィリアム デイ,
ジェローム ダブリュ. コスメーダー,
ジェローム ダブリュ. コスメーダー,
マーク ラフィーバー,
マーク ラフィーバー,
ラリー モリソン,
ラリー モリソン,
アン ペダタ,
アン ペダタ,
ステーシー スタニスワフ,
ステーシー スタニスワフ,
Original Assignee
ヴェンタナ メディカル システムズ, インク.
ヴェンタナ メディカル システムズ, インク.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ヴェンタナ メディカル システムズ, インク., ヴェンタナ メディカル システムズ, インク. filed Critical ヴェンタナ メディカル システムズ, インク.
Publication of JP2015514214A publication Critical patent/JP2015514214A/ja
Publication of JP2015514214A5 publication Critical patent/JP2015514214A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6101782B2 publication Critical patent/JP6101782B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/58Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving labelled substances
    • G01N33/581Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving labelled substances with enzyme label (including co-enzymes, co-factors, enzyme inhibitors or substrates)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6813Hybridisation assays
    • C12Q1/6816Hybridisation assays characterised by the detection means
    • C12Q1/682Signal amplification
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/536Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with immune complex formed in liquid phase
    • G01N33/542Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with immune complex formed in liquid phase with steric inhibition or signal modification, e.g. fluorescent quenching

Abstract

シグナリングコンジュゲートの実施態様、シグナリングコンジュゲートを使用する方法の実施態様、及びシグナリングコンジュゲートを含むキットの実施態様を本明細書で開示する。開示するシグナリングコンジュゲートは、潜在的反応性部分及び発色部分を含み、潜在的反応性部分を発色部分とカップリングするのに適したリンカーをさらに含んでもよい。シグナリングコンジュゲートを使用して生体試料中の一又は複数の標的を検出することができ、シグナリングコンジュゲートは標的に直接又は標的の近位に共有結合的に沈着することができる。シグナリングコンジュゲートを使用する方法の特定の開示実施態様は、多重化方法を含む。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、全て参照により本明細書に組み込まれる、2012年3月27日出願の米国仮特許出願第61/616330号、2012年10月5日出願の米国仮特許出願第61/710607号及び2013年3月12日出願の米国仮特許出願第61/778093号の利益を主張するものである。
本開示は、生体試料中の一又は複数の標的を検出するためのアッセイを行うのに有用なコンジュゲート、組成物、方法及びキットに関する。
免疫組織化学又はIHCは、組織などの生体試料中のタンパク質などの抗原を検出、局在化及び定量化する、並びに特定の抗原に特異的な抗体などの特異的結合部分を使用するプロセスを指す。この検出技術は、所与のタンパク質が組織試料中の正確にどこに位置しているかを示すことができるという利点を有する。この技術はまた、組織自体を検査する有効な方法でもある。インサイツハイブリダイゼーション又はISHは、核酸を検出、局在化及び定量化するプロセスを指す。IHCとISHの両方を、組織(例えば、生冷凍、ホルマリン固定パラフィン包埋)などの種々の生体試料及び細胞学的試料に行うことができる。標的を認識すると、標的が核酸であれ抗原であれ、種々の標識(例えば、発色、蛍光、発光、放射測定)の使用を通して認識事象を検出することができる。
組織でのインサイツハイブリダイゼーション(ISH)は、レポーター分子がカップリングした核酸の相補鎖を適用することにより核酸を検出することを含む。レポーター分子を可視化することにより、観察者が組織学的、細胞学的又は環境試料などの不均一な細胞集団中の特定のDNA又はRNA配列を局在化することができるようになる。現在利用可能なISH技術には、銀インサイツハイブリダイゼーション(SISH)、発色インサイツハイブリダイゼーション(CISH)及び蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)が含まれる。
患者の腫瘍再発の可能性を分類し、特定の療法から利益を得ることができる患者を同定するために、PCR又はマイクロアレイを使用した組織切片の遺伝子発現の照合がうまく使用されてきた。しかしながら、組織ベースのアッセイの値を改善する組織特異性及び細胞状況は、RCR又はマイクロアレイ分析のためのmRNA抽出中に失われてしまう。さらに、切片中に「混入」非腫瘍細胞が存在するために、偽陽性又は陰性結果が生じるおそれがある。よって、組織状況及び特異性並びに細胞−細胞関係を保護しながら、バイオマーカー発現の堅牢で再現性のある評価を可能にするmRNAを標的にする自動化インサイツハイブリダイゼーションアッセイ(mRNA−ISH)が必要とされている。
長年にわたって免疫組織化学のために及びより最近ではインサイツハイブリダイゼーションのために発色基質が広く使用されている。発色検出は、単純で費用対効果が高い検出法を提供する。伝統的に、発色基質は、適当な酵素により活性化されると沈殿する。すなわち、伝統的な発色物質は、酵素と接触すると、可溶性試薬から不溶性の着色沈殿に変換される。得られた着色沈殿は、処理又は可視化のために特別な装置を要さない。成功したIHC又はISH発色基質が共有するいくつかの質が存在する。第一に、物質は、好ましくは非常に高いモル吸光係数を有する着色物質へと沈殿すべきである。酵素基質は、高い溶解度及び試薬安定性を有するべきであるが、沈殿した発色生成物は、好ましくは水溶液とアルコール溶液の両方に極めて不溶性であるべきである。短期間で単一酵素からのシグナルを高度に増幅させるために、酵素回転率が極めて高くなければならない。現在の発色技術の具体的な制限には、多重化する能力、染色後処理(例えば、溶媒洗浄、乾燥、その後の染色)に対する不適合性、及び限定された色の選択肢が含まれる。
組織及び細胞学的試料の、ISHアッセイ及びIHCアッセイなどのインサイツアッセイ、とりわけ、このような試料の多重化アッセイのためには、背景干渉なしに望ましい結果をもたらす方法を同定及び開発することが極めて望ましい。チラミドシグナル増幅(TSA)は、触媒レポーター沈着(catalyzed reporter deposition)(CARD)に基づく既知の方法である。米国特許第5583001号は、ラベリングフェノール分子を酵素と反応させることにより、CARD又はTSA法で酵素の触媒作用を増強させる、レポーターシグナルを増幅するために触媒レポーター沈着に頼る、分析物依存性酵素活性化システムを使用して分析物を検出又は定量化する方法を開示している。チラミドシグナル増幅が標的の視感度を増幅することが知られているが、これは高い背景染色(例えば、非特異的認識事象の増幅)にも関連する。
本明細書では、試料中の標的を検出するための発色体コンジュゲート及び発色体コンジュゲートを使用する方法を開示する。開示する発色体組成物及びこれを含むキットを使用して、種々の分析又はアッセイで標的を検出することができる。好ましい実施態様では、標的は、生体試料由来のものである。実例となる標的には、解剖病理学又は細胞学と関連して分析されるタンパク質及び核酸が含まれる。本開示の一態様は、発色体コンジュゲートが自動化スライド染色装置及びプロセスと完全に適合性であるものである。発色体コンジュゲートは、種々の他の利点の中でも特に、以前達成不能であった検出感度及び多重化能力を可能にするので、先行技術に対する有意な前進を意味する。
実例となる実施態様では、生体試料中の標的を検出する方法は、生体試料を検出プローブと接触させることと、生体試料をラベリングコンジュゲートと接触させることと、生体試料をシグナリングコンジュゲートと接触させることとを含む。ラベリングコンジュゲートは酵素を含む。シグナリングコンジュゲートは、潜在的反応性部分及び発色部分を含む。酵素は、潜在的反応性部分の反応性部分への変換を触媒し、反応性部分が生体試料と、標的の近位で又は標的上で直接共有結合する。本方法は、生体試料に光を照射することと、シグナリングコンジュゲートの発色部分による前記光の吸光度を通して標的を検出することとをさらに含む。一実施態様では、反応性部分が、生体試料のチロシン残基、酵素コンジュゲート、検出プローブ又はこれらの組み合わせと反応する。
実例となる実施態様では、検出プローブはオリゴヌクレオチドプローブ又は抗体プローブである。さらなる実例となる実施態様では、ラベリングコンジュゲートには、酵素とカップリングした抗体が含まれる。代表的な酵素には、酸化還元酵素又はペルオキシダーゼが含まれる。ラベリングコンジュゲートのための代表的な抗体は、抗種抗体又は抗ハプテン抗体となり得る。検出プローブには、オキサゾールハプテン、ピラゾールハプテン、チアゾールハプテン、ニトロアリールハプテン、ベンゾフランハプテン、トリテルペンハプテン、尿素ハプテン、チオ尿素ハプテン、ロテノイドハプテン、クマリンハプテン、シクロリグナンハプテン、ジニトロフェニルハプテン、ビオチンハプテン、ジゴキシゲニンハプテン、フルオレセインハプテン及びローダミンハプテンからなる群から選択されるハプテンが含まれ得る。他の例では、検出プローブは、ヤギ、ウサギ、マウスなどの第2の種由来のモノクローナル抗体である。ラベリングコンジュゲートは、検出プローブと選択的に結合する抗種抗体又は抗ハプテン抗体の包含を通して形成される。
本開示の一態様は、発色体コンジュゲートが、伝統的に利用可能な発色体よりも選択的に光を吸収するように構成され得るというものである。シグナリングコンジュゲートによる前記光の吸光度により検出が実現し、例えば、入射光の少なくとも約5%の吸光度が標的の検出を促進するだろう。他のより暗い染色では、入射光の少なくとも約20%が吸収されるだろう。可視スペクトル内の光の不均一な吸光度により、着色して見える発色団部分が得られる。本明細書に開示されるシグナリングコンジュゲートは、その吸光度により着色して見え得る。シグナリングコンジュゲートは、アッセイに使用すると、発色団部分に関連するスペクトル吸光度に応じて、赤、橙、黄、緑、藍又は紫を含むある特定の色を含む任意の色を提供するように思われる。別の態様によると、発色団部分は、伝統的に使用されている発色体(例えば、DAB、Fast Red、Fast Blue)の吸光度よりも狭いスペクトル吸光度を有し得る。実例となる実施態様では、第1のシグナリングコンジュゲートの第1の発色団部分に関連するスペクトル吸光度は、約30nm〜約250nmの間、約30nm〜約150nmの間、約30nm〜約100nmの間又は約20nm〜約60nmの間の半値全幅(FWHM)を有する。
狭いスペクトル吸光度により、シグナリングコンジュゲート発色団部分を伝統的な発色体とは異なって分析することが可能になる。伝統的な発色体と比べて増強した特徴を有しながらも、シグナリングコンジュゲートを検出することは単純なままである。実例となる実施態様では、検出することは、明視野顕微鏡又は同等のデジタルスキャナーを使用することを含む。狭いスペクトル吸光度により、伝統的な発色体の能力を超えたレベルで発色多重化することが可能になる。例えば、伝統的な発色体は、いくぶんルーチン的に二重化される(例えば、Fast Red及びFast Blue、Fast Red及びBlack(銀)、Fast Red及びDAB)。しかしながら、ある発色団を別の発色団と識別することが困難になるので、三重化もしくは三色適用又はそれ以上は一般的でない。本開示技術の実例となる実施態様では、本方法は、異なるシグナリングコンジュゲート又はその組み合わせを使用して2〜少なくとも約6個の異なる標的を検出することを含む。一実施態様では、生体試料に光を照射することは、生体試料にスペクトルが狭い(spectrally narrow)光源を照射することを含み、スペクトルが狭い光源は約30nm〜約250nmの間、約30nm〜約150nmの間、約30nm〜約100nmの間又は約20nm〜約60nmの間の第2の半値全幅(FWHM)を有するスペクトル放射を有する。別の実施態様では、生体試料に光を照射することは、生体試料にLED光源を照射することを含む。別の実施態様では、生体試料に光を照射することは、生体試料にフィルタリングした光源を照射することを含む。
実例となる実施態様では、試料中の標的を検出することは、生体試料を、第1のラベリングコンジュゲートの近位に又は第1のラベリングコンジュゲート上に直接共有結合的に沈着した第1の増幅コンジュゲートと接触させることを含む。第1の増幅コンジュゲートには、生体試料を二次ラベリングコンジュゲートと接触させることが続き得る。実例として、増幅コンジュゲートを使用したシグナルの増幅により、シグナリングコンジュゲートの沈着が増強される。シグナリングコンジュゲートの沈着増強により、発色シグナルの容易な視覚識別が可能になる、すなわち、増幅により色が暗くなり、見るのが容易になる。発現が低い標的については、この増幅によりシグナルが目に見えるのに十分暗くなり得る一方で、増幅がないと、標的は明らかにならないだろう。一実施態様では、シグナリングコンジュゲートは、生体試料1cm・μm当たり約1×1011個超の分子〜1cm・μm当たり約1×1016個の分子の濃度で標的の近位に共有結合的に沈着する。一実施態様では、第1の標的及び第2の標的は遺伝子核酸である。第1のシグナリングコンジュゲートによる前記光の吸光度を通して第1の標的を検出することは、第1のシグナリングコンジュゲートの第1の発色部分に関連するスペクトル吸光度に関連する、赤、橙、黄、緑、藍又は紫から選択される第1の着色シグナルを検出することを含む。第2のシグナリングコンジュゲートによる前記光の吸光度を通して第2の標的を検出することは、第2のシグナリングコンジュゲートの第2の発色部分に関連するスペクトル吸光度に関連する、赤、橙、黄、緑、藍又は紫から選択される第2の着色シグナルを検出することを含む。第2のシグナリングコンジュゲートに近接して重複する第1のシグナリングコンジュゲートによる前記光の吸光度を通して近接した重複を検出して、第1のスペクトル吸光度及び第2のスペクトル吸光度の重複スペクトル吸光度に関連する第3の着色シグナル。一例によると、この第3の色は正常な遺伝子配列を合図し、第1及び第2の色は、遺伝子再配列又は転座を合図する。
本明細書では、一又は複数の酵素ラベリング標的を含む生体試料と、発色部分を含む複数のシグナリングコンジュゲートとを含む組成物も開示する。シグナリングコンジュゲートは、生体試料中の一又は複数の標的の近位で又は標的上で直接結合するように構成されており、明視野シグナルを提供するように構成されている。
組成物の特定の開示実施態様では、「明視野シグナルを提供するように構成されている」は、入射光の5%以上を吸収することを含む。組成物の別の実施態様では、「明視野シグナルを提供するように構成されている」は、入射光の20%以上を吸収することを含む。組成物の特定の開示実施態様では、「明視野シグナルを提供するように構成されている」は、約350nm〜約800nmの間のλmaxを有する吸光度ピークを有することを含む。一実施態様では、「明視野シグナルを提供するように構成されている」は、約400nm〜約750nmの間のλmaxを有する吸光度ピークを有することを含む。別の実施態様では、「明視野シグナルを提供するように構成されている」は、約400nm〜約700nmの間のλmaxを有する吸光度ピークを有することを含む。さらに別の実施態様では、「明視野シグナルを提供するように構成されている」は、約350nm〜約500nmの間の第1のλmaxを有する第1の吸光度ピーク及び約500nm〜約800nmの間の第2のλmaxを有する第2の吸光度ピークを有することを含む。別の実施態様では、「明視野シグナルを提供するように構成されている」は、約400nm〜約500nmの間の第1のλmaxを有する第1の吸光度ピーク及び約500nm〜約750nmの間の第2のλmaxを有する第2の吸光度ピークを有することを含む。さらに別の実施態様では、「明視野シグナルを提供するように構成されている」は、約350nm〜約450nmの間の第1のλmaxを有する第1の吸光度ピーク及び約450nm〜約600nmの間の第2のλmaxを有する第2の吸光度ピークを有することを含む。別の実施態様では、「明視野シグナルを提供するように構成されている」は、約350nm〜約450nmの間の第1のλmaxを有する第1の吸光度ピーク及び約600nm〜約800nmの間のλmaxを有する第2の吸光度ピークを有することを含む。
組成物はまた、約30nm〜約250nmの間の半値全幅(FWHM)を有する吸光度ピークを有するように構成された複数のシグナリングコンジュゲートを含んでもよい。一実施態様では、複数のシグナリングコンジュゲートは、約30nm〜約150nmの間の半値全幅(FWHM)を有する吸光度ピークを有するように構成されている。別の実施態様では、複数のシグナリングコンジュゲートは、約30nm〜約100nmの間の半値全幅(FWHM)を有する吸光度ピークを有するように構成されている。さらに別の実施態様では、複数のシグナリングコンジュゲートは、約20nm〜約60nmの間の半値全幅(FWHM)を有する吸光度ピークを有するように構成されている。
組成物はまた、複数のシグナリングコンジュゲートの少なくとも一部が約5000M−1cm−1超〜約90000M−1cm−1の平均モル吸光係数を有するシグナリングコンジュゲートを含んでもよい。一実施態様では、複数のシグナリングコンジュゲートの少なくとも一部は、約10000M−1cm−1超〜約80000M−1cm−1超の平均モル吸光係数を有する。別の実施態様では、複数のシグナリングコンジュゲートの少なくとも一部は、約20000M−1cm−1超〜約80000M−1cm−1超の平均モル吸光係数を有する。さらに別の実施態様では、複数のシグナリングコンジュゲートの少なくとも一部は、約40000M−1cm−1超〜約80000M−1cm−1超の平均モル吸光係数を有する。
特定の開示実施態様では、組成物は、複数のシグナリングコンジュゲートの少なくとも一部が少なくとも約0.1mM〜約1Mの水への溶解度を有する複数のシグナリングコンジュゲートを含んでもよい。一実施態様では、複数のシグナリングコンジュゲートの少なくとも一部は、少なくとも約1mM〜約1Mの水への溶解度を有する。別の実施態様では、複数のシグナリングコンジュゲートの少なくとも一部は、少なくとも約10mM〜約1Mの水への溶解度を有する。さらに別の実施態様では、複数のシグナリングコンジュゲートの少なくとも一部は、少なくとも約100mM〜約1Mの水への溶解度を有する。
開示組成物はまた、約1カ月〜約30カ月超の間水性緩衝液中での沈殿に対して安定である複数のシグナリングコンジュゲートを含んでもよい。一実施態様では、複数のシグナリングコンジュゲートは、12カ月超の間水性緩衝液中での沈殿に対して安定である。
特定の開示実施態様では、複数のシグナリングコンジュゲートは、明視野照明下で光学的に明らかな色を提供するように構成されている。光学的に明らかな色は、赤、橙、黄、緑、藍、紫及びこれらの混合から選択される。特定の開示実施態様では、第1の光学的に別個の色及び第2の光学的に別個の色を与えることを含む明視野シグナルを提供するように構成されている。一実施態様では、第1の光学的に別個の色及び第2の光学的に別個の色とは光学的に別個の第3の色を与えることを含む明視野シグナルを提供するように構成されている。さらに別の実施態様では、第1の光学的に別個の色、第2の光学的に別個の色及び第3の光学的に別個の色とは光学的に別個の第4の色を与えることを含む明視野シグナルを提供するように構成されている。
組成物の特定の開示実施態様では、生体試料は組織又は細胞学試料である。ホルマリン固定パラフィン包埋試料などの組織又は細胞学試料は、自動化スライド染色装置と共に使用するためのガラス顕微鏡スライド上にマウントすることができる。特定の実施態様では、生体試料は第1の標的を含み、複数のシグナリングコンジュゲートは第1の標的の近位に位置している。生体試料はまた、第2の標的及び第2の標的の近位に位置した複数のシグナリングコンジュゲートの第2の集団をさらに含んでもよく、第1の標的及び第2の標的は異なる。一実施態様では、第1の検出プローブを使用して第1の標的を検出し、第2の検出プローブを使用して第2の標的を検出する。
本明細書では、本明細書に開示されている潜在的反応性部分及び発色部分を有するシグナリングコンジュゲートを含むキットの実施態様も開示する。一実施態様では、キットは、過酸化物溶液をさらに含む。別の実施態様では、キットは、増幅コンジュゲート及び酵素コンジュゲートをさらに含む。
本発明の前記及び他の目的、特徴並びに利点は、付随する図面を参照して進行する以下の詳細な説明からより明らかになるだろう。
特許又は出願ファイルは、色で作成された少なくとも1つの図面を含有する。色図面(複数可)を含むこの特許又は特許出願公開のコピーは、請求及び必要な手数料の支払により事務局から提供される。
本方法の一実施態様のステップを提供する流れ図である。 2つのシグナリングコンジュゲートの実施態様の概略図である。図2(A)は潜在的反応性部分及び発色団部分を含むシグナリングコンジュゲートを示している。図2(B)はリンカーをさらに含む代替シグナリングコンジュゲートを示している。 試料上の標的が検出される様式を示す概略図である。図3(A)は標的と結合した検出プローブを示している。図3(B)は検出プローブと結合したラベリングコンジュゲートを示している。図3(C)は試料上に酵素学的に沈着しているシグナリングコンジュゲートを示している。図3(D)は抗体に基づく検出プローブを使用して異なる標的を検出する代替実施態様を示している。図3(E)は増幅コンジュゲートを使用して標的を検出する手法を示している。図3(F)は増幅コンジュゲートを試料に結合し、二次ラベリングコンジュゲートで標識したことを示している。 (A)標的(T)に近位のラベリングコンジュゲートの分布の横断面図及び(B)(A)に示す試料を横切る入射放射の電力(P)と試料を通る透過放射の電力(P)との間の関係を示すグラフ(y軸は放射電力を表し、x軸は試料を横切る直線距離を表す)を示す概略図である。 発色体で得られたシグナルと発蛍光団で得られたシグナルとの間の違いを示す概略図である。図5(A)は透過光が検出される発色体の検出を示している。図5(B)は放射光が検出される発蛍光団の検出を示している。 本明細書で論じられる色特性を示す画像である。図6(A)は観察される色の間の関係を示す色相環であり、図6(B)はシグナリングコンジュゲートについて吸収される放射の画像である。 開示方法の特定の実施態様からの結果を示す画像である。図7(A)は5−TAMRA−チラミドコンジュゲートの吸収スペクトルを示すグラフであり、図7(B)はこの特定のシグナリングコンジュゲートにより検出される標的を有する生体試料を示す顕微鏡写真である。 開示方法の特定の実施態様から得られた結果を示す画像である。図8(A)は非小細胞肺がんに関連するALK再配列について試験する肺組織切片における2つの遺伝子プローブの二重染色の顕微鏡写真であり、図8(B)は酢酸エチル溶液中のfast red及びfast blue並びに組織試料から得られたトレースのUV−Visスペクトルである。 吸光度対波長のグラフであり、図8(B)で得られた2セットのトレースを示す図である。図9(A)は組織試料から得られたトレースを示している一方で、図9(B)はFast Red及びFast Blueの酢酸エチル溶液から得られたトレースを示している。 二重ISH発色検出間の違いを示す画像及び概略図である。図10(A)はSISH/Red複合検出プロトコルを示し、図10(B)は本明細書に記載する紫及び黄色シグナリングコンジュゲートを示す。これらの2種の発色体を組み合わせることにより生成されるシグナルは、第3の固有色として検出される。 二色を近位に沈着させて視覚的に別個の第3の色を作り出す2つの例を示す顕微鏡写真である。 発色二重染色からのシグナルを分離するためのLED照明の使用を示す顕微鏡写真である。図12(A)は白色光照明を示し、図12(B)は緑色光照明を示し、図12(C)は赤色光照明を示す。 図13(A)BSA−BFを添加しなかった対照スライド及び図13(B)BSA−BFを試料に付着させたスライドを示す顕微鏡写真である。 図14(A)チロシン増強を用いない及び図14(B)チロシン増強を用いたシグナリングコンジュゲートにより染色した試料を示す顕微鏡写真である。 図16に示す吸収スペクトルを有する2種の異なるシグナリングコンジュゲートにより染色したCalu−3異種移植片中のHER2(4B5)IHCを示す顕微鏡写真である。 溶液中の及び図15(A〜B)に示す試料を染色するために使用する2種のシグナリングコンジュゲートの吸光度スペクトルを示す図である。 異なる発色部分を有するシグナリングコンジュゲートにより染色した組織の顕微鏡写真(図17(A〜D))である。図17(E)はシグナリングコンジュゲートの吸光度に対応するトレース、関連する顕微鏡写真に対応するトレースによるUV−Visスペクトルを示す図である。 異なる発色部分を有するシグナリングコンジュゲートにより染色した組織の顕微鏡写真(図18(A〜D))である。図18(E)はシグナリングコンジュゲートの吸光度に対応するトレース、関連する顕微鏡写真に対応するトレースによるUV−Visスペクトルを示す図である。 異なる発色部分を有するシグナリングコンジュゲートにより染色した組織の顕微鏡写真(図19(A〜D))である。図19(E)はシグナリングコンジュゲートの吸光度に対応するトレース、関連する顕微鏡写真に対応するトレースによるUV−Visスペクトルを示す図である。 異なる発色部分を有するシグナリングコンジュゲートにより染色した組織の顕微鏡写真(図20(A〜D))である。図20(E)はシグナリングコンジュゲートの吸光度に対応するトレース、関連する顕微鏡写真に対応するトレースによるUV−Visスペクトルを示す図である。 正常な非がんB細胞で構成された扁桃組織試料の顕微鏡写真である。図21(A)はκ(茶色)及びλ(紫色)mRNAについての陽性染色の40倍拡大図であり、図21(B)は同染色の20倍拡大図である。 異なる型の非ホジキンB細胞リンパ腫に関連する予測κ/λコピー数を示す概略図である。 顕微鏡写真である。図23(A)は、λmRNAを発現している細胞が極めて少ないことを示している、κmRNA(茶色)及びλmRNA(紫色、最小限で観察される)の二重染色を示す第1のリンパ腫組織試料であり、図23(B)は、κmRNAを発現している細胞が極めて少ないことを示している、κmRNA(茶色、最小限で観察される)及びλmRNA(紫色)の二重染色を示す第2のリンパ腫組織試料である。 分子診断法を混乱させる試料についての二重発色mRNA ISHを示す顕微鏡写真である。 乳房組織試料の顕微鏡写真である。図25(A)はACTB mRNAについての陰性染色であり、図25(B)はACTB mRNAについての陽性染色である。 ACTBの二重染色を示す乳房組織試料の顕微鏡写真である。図26(A)はHER2 mRNAについての陰性(0+)染色であり、図26(B)はHER2 mRNAについての陽性(1/2+)染色であり、図26(C)はHER2 mRNAについての陽性(3+)染色である。 HER2 ISH分析、HER IHC分析及びHER2 mRNA二色ISHの結果を比較したいくつかの組織塊からのデータを示す図である。 Rhod−チラミドコンジュゲートの直接沈着を組み込んだDNA ISHアッセイを使用した遺伝子PTENの直接検出を示す顕微鏡写真である。図28(A)は40倍倍率の顕微鏡写真であり、図28(B)は63倍倍率の別の領域の顕微鏡写真である。 Rhod−チラミドシグナリングコンジュゲートを用いたDNA ISHアッセイを使用したMCF−7ヒト乳腺癌細胞中のERG5’標的の直接検出を示す顕微鏡写真である。 DABSYL−チラミドシグナリングコンジュゲートを用いたDNA ISHアッセイを使用したMCF−7ヒト乳腺癌細胞中のERG3’標的の直接検出を示す顕微鏡写真である。 Rhod−チラミドシグナリングコンジュゲート及びDABSYL−チラミドシグナリングコンジュゲートを用いたDNA ISHアッセイを使用したMCF−7ヒト乳腺癌細胞中のERG3’とERG5’遺伝子標的の両方の増幅検出を示す顕微鏡写真である。 VCaP前立腺がん上皮細胞中のERG遺伝子の再配列を示す多重化DNA ISHアッセイを使用して得られた顕微鏡写真である。 CARPUS細胞ペレット中の未分化リンパ腫キナーゼをコードする遺伝子の再配列を示す多重化DNA ISHアッセイを使用して得られた顕微鏡写真である。 肺腺癌の切片中の未分化リンパ腫キナーゼをコードする遺伝子の再配列を示す多重化DNA ISHアッセイを使用して得られた顕微鏡写真である。 mRNA ISHアッセイを使用したCalu−3細胞中の遺伝子標的の直接検出を示す顕微鏡写真である。図35(A)はRhod−チラミドコンジュゲートを使用した18S RNA標的の検出を示している。図35(B)はDABSYL−チラミドコンジュゲートの直接沈着を使用した18S RNA標的の検出を示している。図35(C)はDABSYL−チラミドコンジュゲート及びRhod−チラミドコンジュゲートを使用した二重アッセイを示している。 多重化IHCアッセイを使用してCalu−3細胞中のHER2及びP53タンパク質を直接検出することを示す顕微鏡写真である。HER2はDABSYL−チラミドコンジュゲートの直接沈着により検出される。P53はローダミン−チラミドコンジュゲートの直接沈着により検出される。
1.定義及び略語
特に注記がない限り、技術用語は従来の使用にしたがって使用する。分子生物学で一般的な用語の定義は、Benjamin Lewin、Genes VII、Oxford University Press出版、2000(ISBN019879276X);Kendrewら(編)、The Encyclopedia of Molecular Biology、Blackwell Publishers出版、1994(ISBN0632021829);及びRobert A.Meyers(編)、Molecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference、Wiley,John & Sons,Inc.出版、1995(ISBN0471186341);並びに他の類似の参考文献中に見出すことができる。
本明細書で使用する場合、単数用語「a」、「an」及び「the」は、文脈上明らかに別段の解釈を要する場合を除き、複数指示対象を含む。同様に、単語「又は」は、文脈上明らかに別段の解釈を要する場合を除き、「及び」を含むことを意図している。用語「含む」は、包括的に定義され、結果として「A又はBを含む」は、A、B又はAとBを含むことを意味する。核酸又はポリペプチド又は他の化合物について与えられる、全てのヌクレオチドサイズ又はアミノ酸サイズ、及び全ての分子量又は分子質量値は近似であり、説明のために与えられることをさらに理解すべきである。本明細書に記載されるものと類似もしくは同等の方法及び材料を本開示の実施又は試験に使用することができるが、適当な方法及び材料を以下に記載する。
本明細書で言及する刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献の開示と矛盾する場合、用語の説明を含む本明細書が優先する。さらに、材料、方法及び例は例証に過ぎず、限定的であることを意図していない。
本明細書では一又は複数の一般的化学式を開示する。本明細書で提供する一般式について、置換基を示さない場合、当業者であれば置換基が水素であることを認識するだろう。原子と接続していないが、例えば、環系の内部に伸びることを示している結合は、このような置換基の位置が可変性であることを示している。結合を通って引かれている曲線は、ある追加の構造がその位置、典型的には2つの部分(例えば、発色団とチラミド又はチラミド誘導体)を一緒に結び合わせるために使用されるリンカー又は官能基又は部分に接着していることを示している。さらに、一又は複数のキラル中心を有する化合物について立体化学が示されていない場合、全てのエナンチオマー及びジアステレオマーが含まれる。同様に、脂肪族又はアルキル基の列挙について、その全ての構造異性体も含まれる。特に明示しない限り、以下に示される一般式中のR基(例えば、R〜R24)は独立に、水素;アシル;アルデヒド;アルコキシ;脂肪族、特に低級脂肪族(例えば、C1〜10アルキル、C1〜10アルキレン、C1〜10アルキン);置換脂肪族;ヘテロ脂肪族(例えば、酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子を有する有機鎖、アルキル、特に20個以下の炭素原子を有するアルキル、さらにより典型的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル及びブチルなどの10個以下の炭素原子を有する低級アルキル);ハロゲン化アルキルなどの置換アルキル(例えば、−CX(Xは鎖中又はこれに結合したハロゲン化物及びその組み合わせである));オキシム;オキシムエーテル(例えば、メトキシイミン、CH−O−N=);アルコール(すなわち、脂肪族又はアルキルヒドロキシル、特に低級アルキルヒドロキシル);アミド;アミノ;アミノ酸;アリール;ベンジルなどのアルキルアリール;炭水化物;グルコース及びフルクトースなどの単糖;スクロース及びラクトースなどの二糖;オリゴ糖;多糖;カルボニル;カルボキシル;カルボキシレート(1族金属又はアンモニウムイオンカルボキシレートなどのその塩を含む);環状;シアノ(−CN);アルキルエステルなどのエステル;エーテル;エキソメチレン;ハロゲン;ヘテロアリール;複素環;ヒドロキシル;ヒドロキシルアミン;脂肪族ケトンなどのケト;ニトロ;スルフヒドリル;スルホニル;スルホキシド;エキソメチレン;並びにこれらの組み合わせから選択される。
「吸光度」又は「吸収」は、材料に入射する放射(P)と材料を透過する放射(P)の対数比を指す。材料の吸光度Aは、式1にしたがってそこを通る光路長(z)により変化する。
Figure 2015514214
及びPは入射及び透過光強度であり、Tは光透過であり、εはモル吸光係数(M−1cm−1)であり、lは照明領域の長さ又は深さ(cm)であり、cは吸収分子の濃度である。
「増幅」はシグナルをより強くする作用又は結果を指す。
「増幅コンジュゲート」は、例えば、ハプテン−チラミドコンジュゲートなどのハプテンとカップリングした潜在的反応性種を含む分子を指す。増幅コンジュゲートは、例えば、ハプテンに特異的に結合する抗ハプテン抗体などの特異的結合対の一員として作用し得る。増幅態様は、単一酵素が反応性種の多重度を生成することができるように反応性種に酵素的に変換される潜在的反応性種に関する。米国特許第7695929号が参照される。
時折「Ab」と略される「抗体」は、免疫グロブリンもしくは免疫グロブリン様分子(例として及び限定なしで、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgM、これらの組み合わせ、及び任意の脊椎動物(例えば、ヒト、ヤギ、ウサギ及びマウスなどの哺乳動物)で免疫応答中に産生される類似の分子を含む)及び他の分子との結合を実質的に排除して対象となる分子(もしくは対象となる分子に極めて類似の群)に特異的に結合する抗体断片(例えば、生体試料中の他の分子についての結合定数よりも少なくとも103M−1大きい、少なくとも104M−1大きい又は少なくとも105M−1大きい対象となる分子についての結合定数を有する抗体及び抗体断片)を指す。抗体はさらに、抗原のエピトープを特異的に認識及び結合する少なくとも軽鎖又は重鎖免疫グロブリン可変領域を含むポリペプチドリガンドを指す。抗体は、その各々が可変重鎖(VH)領域及び可変軽鎖(VL)領域と呼ばれる可変領域を有する重鎖及び軽鎖で構成され得る。共に、VH領域及びVL領域は抗体により認識される抗原との結合を担っている。抗体という用語はまた、当技術分野で周知の完全免疫グロブリン並びにその変異体及び一部を含む。抗体断片には、タンパク質分解抗体断片[当技術分野で知られているF(ab’)2断片、Fab’断片、Fab’−SH断片及びFab断片など]、組換え抗体断片(sFv断片、dsFv断片、二重特異性sFv断片、二重特異性dsFv断片、F(ab)’2断片、単鎖Fvタンパク質(「scFv」)、ジスルフィド安定化Fvタンパク質(「dsFv」)、ダイアボディ(diabody)、及びトリアボディ(triabody)(当技術分野で知られている)、及びラクダ科動物抗体が含まれる(例えば、米国特許第6015695号;第6005079号;第5874541号;第5840526号;第5800988号;及び第5759808号参照)。
用語「抗体」には、Bリンパ球の単一クローン又は単一抗体の軽及び重鎖遺伝子を導入した細胞により産生されることを特徴とするモノクローナル抗体が含まれる。モノクローナル抗体は、当業者に既知の方法により産生される。モノクローナル抗体には、ヒト化モノクローナル抗体が含まれる。
「抗原」は、抗体分子又はT細胞受容体などの、特定の体液性又は細胞性免疫の産物が特異的に結合し得る化合物、組成物又は物質を指す。抗原は、例えば、ハプテン、単純な中間代謝産物、糖(例えば、オリゴ糖)、脂質及びホルモン並びに複合炭水化物(例えば、多糖)、リン脂質、核酸及びタンパク質などの巨大分子を含む任意の型の分子であり得る。
「発色団」は、色を担う分子又は分子の一部を指す。分子が特定の波長の可視光を吸収し、他を透過又は反射すると色が生じる。可視スペクトルの範囲に入る2つの異なる分子軌道間のエネルギー差を有する分子は、可視光を吸収するので、発色団として適切に特徴づけられ得る。発色団に入射する可視光が吸収されるので、基底状態の分子軌道から励起状態の分子軌道に電子を励起し得る。
「結合」、「接合」、「接着」、「カップリング」又は「連結」は、直接的に又は間接的に、第1の原子又は分子を別の原子又は分子と接合してより大きな分子を作成することを意味するために同義的に使用される。
「コンジュゲート」は、より大きな構築物に共有結合的に連結した2つ以上の分子を指す。いくつかの実施態様では、コンジュゲートには、一又は複数の他の生体分子などの一又は複数の他の分子に共有結合的に連結した一又は複数の生体分子(ペプチド、核酸、タンパク質、酵素、糖、多糖、脂質、糖タンパク質及びリポタンパク質など)が含まれる。他の実施態様では、コンジュゲートには、一又は複数の検出可能な標識(ハプテン、酵素及びこれらの組み合わせ)に共有結合的に連結した一又は複数の特異的結合分子(抗体及び核酸配列など)が含まれる。他の実施態様では、コンジュゲートには、検出可能な標識(ハプテン、発色団部分、蛍光部分)に共有結合的に連結した一又は複数の潜在的反応性部分が含まれる。
「DABSYL」は、4−(ジメチルアミノ)アゾベンゼン−4’−スルホンアミド、黄色−橙色発色団を指す。
「誘導体」は、ある原子又は原子の群を別の原子又は原子の群で置き換えることにより類似の化合物から得られる化合物を指す。
「エピトープ」は抗原決定基を指す。これらは、抗原性である、すなわち、特異的免疫応答を誘発する、分子上の特定の化学基又は隣接もしくは非隣接ペプチド配列である。抗体は特定の抗原性エピトープに結合する。
「増強する/増強剤/増強/増強すること」増強剤又は増強試薬は、このような化合物(複数可)を用いない酵素活性と比べて、酵素の触媒活性を高めるのに十分な任意の化合物又は化合物の任意の組み合わせである。増強剤(複数可)又は増強試薬(複数可)は、活性化コンジュゲートを受容体部位に結合させる速度を上昇又は加速させる化合物又は化合物の組み合わせとしても定義され得る。増強する/増強/増強することは、酵素の触媒活性が、このような増強剤を含まないプロセスと比べて、増強剤により高められるプロセスである。増強する/増強/増強することは、活性化コンジュゲートを受容体部位に結合させる速度を上昇又は加速させることとしても定義され得る。増強する/増強/増強することは、病理学者によるスコアリングなどにより視覚的に測定され得る。特定の実施態様では、スコアは0超〜4超に及び、大きな数は良好な視覚的検出を示す。より典型的には、スコアは0超〜約4++に及ぶ(例えば、1、1.5、2、2.5、3、3.5、3.75、4、4+及び4++)。さらに、増強する/増強/増強することは、酵素の見かけのVmaxを決定することにより測定され得る。特定の実施態様では、この用語は、0mOD/分超〜約400mOD/分(例えば、約15mOD/分、18mOD/分、約20mOD/分、約40mOD/分、約60mOD/分、約80mOD/分、約100mOD/分、約120mOD/分、約140mOD/分、約160mOD/分、約200mOD/分、約250mOD/分、約300mOD/分、約350mOD/分及び約400mOD/分)に及ぶ見かけのVmax値(光学濃度/分として測定される)を包含する。より典型的には、Vmaxは、0mOD/分超〜約160mOD/分(例えば、約20mOD/分、約40mOD/分、約60mOD/分、約80mOD/分、約100mOD/分、約120mOD/分、約140mOD/分及び約160mOD/分)に及ぶ。さらに、増強は、0mM超の任意の濃度の増強剤を使用して生じ得る。本開示内の有用な増強剤を開示する米国特許出願公開第2012/0171668号が参照される。
「官能基」は、分子の特徴的化学反応を担う分子内の原子の特定の基を指す。代表的な官能基には、それだけに限らないが、アルカン、アルケン、アルキン、アレーン、ハロ(フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード)、エポキシド、ヒドロキシル、カルボニル(ケトン)、アルデヒド、炭酸エステル、カルボキシレート、エーテル、エステル、ペルオキシ、ヒドロペルオキシ、カルボキサミド、アミン(一級、二級、三級)、アンモニウム、イミド、アジド、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、ニトレート、ニトライト、ニトリル、ニトロアルカン、ニトロソ、ピリジル、ホスフェート、スルホニル、スルフィド、チオール(スルフヒドリル)及びジスルフィドが含まれる。
「FWHM」は、最大半量吸光度での吸光度ピークの全幅を指す。
「ハプテン」は、抗体と特異的に結合することができるが、典型的には単独で免疫原性となることが実質的にできない分子、典型的には小分子を指す。
「リンカー」は2つの部分の間に位置した分子又は原子の群を指す。例えば、シグナリングコンジュゲートは、発色団部分と潜在的反応性部分との間に化学的リンカーを含んでもよい。典型的には、リンカーは二官能性である、すなわち、リンカーは各端部に官能基を含み、リンカーと2つの部分をカップリングするために官能基が使用される。2つの官能基は、同じ、すなわち、ホモ二官能性(homobifunctional)リンカーであっても、異なる、すなわち、ヘテロ二官能性(heterobifunctional)リンカーであってもよい。
「MG」はマラカイトグリーンを指す。
「部分」は分子の断片又はコンジュゲートの一部を指す。
「対象となる分子」又は「標的」はそれぞれ、存在、位置及び/又は濃度を決定すべき分子を指す。対象となる分子の例としては、タンパク質及び核酸配列が挙げられる。
「多重の、多重化した、多重化」は、同時に、実質的に同時に又は順次試料中の複数の標的を検出することを指す。多重化には、単独でと任意の及び全ての組み合わせの両方で、複数の別個の核酸(例えば、DNA、RNA、mRNA、miRNA)及びポリペプチド(例えば、タンパク質)を同定及び/又は定量化することが含まれ得る。
「近位」は、基準点に又はその近くに位置していることを指す。本明細書で使用する場合、近位は、基準点の約5000nm以内、約2500nm以内、約1000nm以内、約500nm以内、約250nm以内、約100nm以内、約50nm以内、約10nm以内又は約5nm以内を意味する。
「反応性基」は、本明細書に記載する第1の単位を第2の単位とカップリングするのに適した種々の基を指す。例えば、反応性基は、アミン反応性基、例えば、イソチオシアネート、イソシアネート、アシルアジド、NHSエステル、酸塩化物、例えば、塩化スルホニル、アルデヒド及びグリオキサール、エポキシド及びオキシラン、カルボネート、アリール化剤(arylating agent)、イミドエステル、カルボジイミド、無水物、並びにこれらの組み合わせであり得る。適当なチオール反応性官能基には、ハロアセチル及びハロゲン化アルキル、マレイミド、アジリジン、アクリロイル誘導体、アリール化剤、チオール−ジスルフィド交換試薬、例えば、ピリジルジスルフィド、TNB−チオール、及びジスルフィド還元剤、並びにこれらの組み合わせが含まれる。適当なカルボキシレート反応性官能基には、ジアゾアルカン、ジアゾアセチル化合物、カルボニルジイミダゾール化合物及びカルボジイミドが含まれる。適当なヒドロキシル反応性官能基には、エポキシド及びオキシラン、カルボニルジイミダゾール、N,N’−ジスクシンイミジルカルボネート又はN−ヒドロキシスクシンイミジルクロロホルメート、過ヨウ素酸酸化化合物、酵素酸化、アルキルハロゲン並びにイソシアネートが含まれる。アルデヒド及びケトン反応性官能基には、ヒドラジン、シッフ塩基、還元的アミノ化生成物、マンニッヒ縮合物及びこれらの組み合わせが含まれる。活性水素反応性化合物には、ジアゾニウム誘導体、マンニッヒ縮合物、ヨウ素化反応生成物及びこれらの組み合わせが含まれる。光反応性化学官能基には、アリールアジド、ハロゲン化アリールアジド、ベンゾフェノン、ジアゾ化合物、ジアジリン誘導体及びこれらの組み合わせが含まれる。
「Rhod」はローダミン、発色団を指す。
「試料」は、被験体から得られたゲノムDNA、RNA(mRNAを含む)、タンパク質又はこれらの組み合わせを含有する生体標本を指す。例としては、それだけに限らないが、末梢血、尿、唾液、組織生検、外科標本、羊水穿刺試料及び剖検材料が挙げられる。
「特異的結合部分」は、特異的結合対のメンバーを指す。特異的結合対は、他の分子との結合を実質的に除外する程度に互いに結合することを特徴とする分子の対である(例えば、特異的結合対は、生体試料中他の分子との結合対の2つのメンバーのいずれかについての結合定数よりも少なくとも103M−1大きい、104M−1大きい又は105M−1大きい結合定数を有することができる)。特異的結合部分の具体的な例としては、特異的結合タンパク質(例えば、抗体、レクチン、ストレプトアビジンなどのアビジン、及びプロテインA)、核酸配列、及びタンパク質−核酸が挙げられる。特異的結合部分にはまた、このような特異的結合タンパク質が特異的に結合する分子(又はその部分)が含まれ得る。代表的な特異的結合部分には、それだけに限らないが、抗体、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、タンパク質、ペプチド又はアミノ酸が含まれる。
「TAMRA」は、カルボキシテトラメチルローダミン、ピンク色ローダミン発色団を指す。
「TMR」は、テトラメチルローダミン、赤色ローダミン発色団を指す。
「TSA」は、チラミドシグナル増幅を指す。
「TYR」は、チラミン、チラミド、チラミン及び/又はチラミド誘導体を指す。
II.試料中の標的を検出する方法
本明細書では、生体試料中の一又は複数の標的を検出するために開示コンジュゲートを使用する方法の実施態様を開示する。特定の開示実施態様では、コンジュゲートの一又は複数を、インサイツハイブリダイゼーション(ISH)、免疫細胞化学、及び免疫組織化学(IHC)検出スキームなどの標準的アッセイに使用する。特定の開示実施態様では、これらのアッセイのいずれか1つをシグナル増幅と組み合わせてもよい、及び/又はアッセイが複数の異なる標的を検出することができる多重化に関連してもよい。実施態様はまた、1種又は複数の増強剤を含んでもよい。本方法の実施態様を組み合わせてもよい。例えば、IHC検出スキームを使用する方法をISH検出スキームと組み合わせてもよい。開示方法の代表的な実施態様を、細胞クローン性(例えば、細胞が2つのバイオマーカーの両方ではなくいずれか1つを発現している)を決定するため、がん患者のがん治療への応答性を予測するため(例えば、特定の患者が治療に応答するかどうかを決定するための予測バイオマーカーを検出する)、アッセイ性能及び試料完全性を監視するためのバイオマーカー発現及び内部標準遺伝子発現の同時分析のため、並びにこれらの組み合わせのために使用してもよい。
方法を基質(例えば、顕微鏡スライド)上に固定した細胞又は細胞構造のタンパク質成分などの、固相を有する生体試料に使用してもよい。実例となる実施態様では、試料は、組織又は細胞学試料、例えば、硝子顕微鏡スライド上にマウントしたホルマリン固定パラフィン包埋試料である。一実施態様では、本方法は特に自動化スライド染色装置のためのものである。
当業者であれば、開示方法を使用して、多数の型の標的を検出することができることを認識するだろう。特定の開示実施態様では、標的は特定の核酸配列、タンパク質又はこれらの組み合わせであり得る。例えば、標的は、RNA(例えば、mRNA、マイクロRNA及びsiRNA)、DNA及びこれらの組み合わせの特定の配列であり得る。試料は、対象となる一又は複数の標的分子を含むことが疑われ得る。標的分子は細胞の表面上にあり、細胞は懸濁液又は組織切片中にあり得る。標的分子はまた細胞内にあり、細胞溶解又はプローブによる細胞の透過により検出され得る。当業者であれば、試料中の標的分子を検出する方法が、使用する試料及びプローブの型により変わることを認識するだろう。試料を回収及び調製する方法は当技術分野で知られている。
本方法の実施態様に及び本明細書に開示する組成物と共に使用するための試料、例えば、組織又は他の生体試料は、当業者により当技術分野で知られている任意の方法を使用して調製することができる。試料は、常用スクリーニングの被験体、又は遺伝子異常、感染症もしくは異常増殖などの障害を有することが疑われる被験体から得ることができる。開示方法の記載する実施態様を、「正常」試料と呼ばれる、遺伝子異常、疾患、障害等を有さない試料に適用することもできる。このような正常試料は、特に、他の試料との比較のための対照として有用である。試料を多くの異なる目的のために分析することができる。例えば、試料を科学的研究に、又は疑わしい病気の診断のために、又は治療成功、生存等についての予後指標として使用することができる。試料は、一又は複数の検出プローブが特異的に結合することができる複数の標的を含むことができる。本開示の全体にわたって、標的タンパク質に言及する場合、そのタンパク質に関連する核酸配列も標的として使用することができることが理解される。いくつかの例では、標的は、ウイルスゲノムなどの、ウイルス、細菌又は細胞内寄生体などの病原体のタンパク質又は核酸分子である。例えば、標的タンパク質は、疾患に関連する(例えば、と相関する、必然的に関与する等)標的核酸配列から産生され得る。
いくつかの実施態様では、開示方法を使用してマイクロRNA(miRNA又はmiR)を検出することができる。マイクロRNAは、翻訳抑制などにより遺伝子発現を負に制御する小型の非コードRNAである。例えば、miR−205は、胚発生中の組織再構築を促進するプロセスである上皮間葉転換(EMT)を制御する。しかしながら、EMTは、腫瘍転移の初期ステップでもある。miR−205などのマイクロRNAの下方制御は、腫瘍進行の重要なステップとなり得る。例えば、いくつかの乳がんでは、miR−205の発現が下方制御される又は喪失している。miR−205を使用して扁平細胞及び非小細胞肺癌を層別化することもできる(J.Clin Oncol.、2009、27(12):2030〜7)。他のマイクロRNAが、血管新生シグナルカスケードを調節することが見出されている。例えば、miR−126の下方制御により、血管新生及び炎症増加を通してがん進行が悪化し得る。したがって、マイクロRNA発現レベルは、疾患状態の指標となり得る。本開示の範囲内のマイクロRNAについては、RCT出願PCT/EP2012/073984が参照される。
特定の開示実施態様では、開示方法を使用して、INFORM HER2 Dual ISH及びIHCアッセイ(Ventana Medical Systems,Inc、「VMSI」)をそれぞれ使用したHER2遺伝子コピー数及びHer2タンパク質発現について特徴づけられた臨床的乳がんFFPE組織塊を分析することができる。ACTB(β−アクチン)に対するHER2 mRNA発現レベルは、既知の方法にしたがってqPCRを使用して決定することができる。遺伝子コピー、タンパク質発現及びqPCR分析の結果を、FFPE試料を分析するための本明細書に開示する方法を使用してHER2及びACTB mRNAのmRNA−ISH検出を通して得た結果と比較することができる。この方法のさらなる結果を本明細書で引き続いて論じる。
別の実施態様では、開示方法を使用して特定の型の細胞のモノクローナル増殖を同定することができる。がんは、細胞集団の無制御増殖から生じる。この集団は、単一変異体親細胞から生じるので、クローン集団を含み得る。クローン集団由来のがんの例には、B細胞のモノクローナル増殖から生じるB細胞非ホジキンリンパ腫(B−NHL)がある。特定のB細胞集団のクローン増殖は、κ又はλ軽鎖mRNAのいずれかのただ1つの発現及びそのB細胞受容体抗体の一部としてタンパク質により検出することができる。したがって、本明細書に開示する方法の一実施態様は、κ及びλmRNAの発色二重染色を使用して、B細胞のモノクローナル増殖を同定することに関する。
悪性B細胞によるいずれかの軽鎖の均一発現により、モノクローナルBリンパ腫を正常な免疫応答中に得られるB細胞集団を発現しているポリクローナルκ及びλ軽鎖から差別化することが可能になる。軽鎖mRNA発現パターンを決定することは、種々のB細胞期由来のB細胞新生物が発現する軽鎖mRNA及び抗体タンパク質のコピー数範囲(ナイーブ及び記憶細胞:10〜100コピー/細胞;形質細胞:約100000コピー/細胞)により複雑にされる。
方法
実例となる実施態様では、生体試料中の標的を検出する方法は、生体試料を検出プローブと接触させることと、生体試料をラベリングコンジュゲートと接触させることと、生体試料をシグナリングコンジュゲートと接触させることとを含む。図1は、本開示による方法の一実施態様のステップを提供する流れ図である。特に、本方法は、試料を検出プローブ(複数可)と接触させるステップ1を含む。このステップは、単一の検出プローブ又は複数の異なる標的に特異的な複数の検出プローブのいずれかを含むことができる。その後のステップ2は、試料をラベリングコンジュゲートと接触させることを含む。さらにその後のステップ7は、試料をシグナリングコンジュゲートと接触させることを含む。試料を増幅コンジュゲートと接触させるステップ3及び試料を二次ラベリングコンジュゲートと接触させるステップ5への破線は、これらのステップが任意であることを表している。試料を酵素阻害剤と接触させるステップ10への破線は、任意のループを使用して多重化手法により複数の標的を検出することができることを示している。特定の開示実施態様では、酵素阻害剤を生体試料に添加する一又は複数のステップを使用してもよい。例えば、2種以上のシグナリングコンジュゲートを試料に添加する実施態様では、1つのシグナリングコンジュゲートを共有結合的に沈着させた後及び第2の異なるシグナリングコンジュゲートを添加する前に任意の酵素活性を防ぐために、酵素阻害剤(例えば、ペルオキシダーゼ阻害剤)を添加することができる。
実例となる実施態様では、試料中の標的を検出することは、生体試料を第1のラベリングコンジュゲートと会合する第1の増幅コンジュゲートと接触させることを含む。例えば、増幅コンジュゲートは、第1のラベリングコンジュゲートの近位に又は第1のラベリングコンジュゲート上に直接共有結合的に沈着し得る。第1の増幅コンジュゲートには、生体試料を二次ラベリングコンジュゲートと接触させることが続き得る。実例として、増幅コンジュゲートを使用したシグナルの増幅により、シグナリングコンジュゲートの沈着が増強される。シグナリングコンジュゲートの沈着増強により、発色シグナルの容易な視覚識別が可能になる、すなわち、増幅により色が暗く、見るのが容易になる。発現が低い標的については、この増幅によりシグナルが目に見えるのに十分暗くなり得る一方で、増幅がないと、標的は明らかにならないだろう。増幅ステップを使用する実施態様では、生体試料を最初に検出プローブ及びラベリングコンジュゲートと接触させ、次いで、その後に一又は複数の増幅コンジュゲートと接触させることができる。特定の開示実施態様では、増幅コンジュゲートは、検出可能な標識とカップリングした潜在的反応性部分を含む。例えば、チラミン部分(又はその誘導体)は、直接的に又はリンカーなどにより間接的にハプテンとカップリングし得る。増幅コンジュゲートは、典型的には本明細書に記載される又は酵素が所望の機能を行うことを可能にするのに適した当業者に既知の条件を使用して、酵素コンジュゲートの酵素により共有結合的に沈着され得る。次いで、増幅コンジュゲートが標識に又はその近位に共有結合的に沈着される。
生体試料でシグナリングコンジュゲートを導入するのに適した条件が使用され、この条件には、典型的には、過酸化物(例えば、過酸化水素)を含み、酵素が所望の機能を行うのを可能にする又は促進するのに適した塩濃度及びpHを有する反応緩衝液又は溶液を用意することが含まれる。特定の開示実施態様では、本方法のこのステップは、約35℃〜約40℃に及ぶ温度で行われる。これらの条件により、酵素及び過酸化物が反応し、シグナリングコンジュゲートの潜在的反応性部分でのラジカル形成を促進することが可能になる。潜在的反応性部分、それゆえ全体としてシグナリングコンジュゲートは、特に固定化酵素コンジュゲートに近位の1個又は複数のチロシン残基、酵素コンジュゲートの酵素部分のチロシン残基、及び/又は酵素コンジュゲートの抗体部分のチロシン残基で、生体試料上に共有結合的に沈着する。次いで、生体試料に光が照射され、シグナリングコンジュゲートの発色部分により産生される前記光の吸光度を通して標識が検出され得る。
多重化のレベルに応じて、任意のループを、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回又は試料中で検出すべき標的の数に応じたより多くの回数反復することができる。その後の検出中、ラベリングコンジュゲートは使用するブロッキング試薬に応じて同じであっても異なっていてもよい。異なるラベリングコンジュゲートの例には、第1の酵素−抗ハプテン抗体コンジュゲート及び第2の酵素−抗ハプテン抗体コンジュゲートがあり、第1の抗ハプテン抗体及び第2の抗ハプテン抗体は異なるハプテンに特異的である。別の例によると、違いには異なる抗種抗体が含まれ、ここでは標的が異なる種由来の一次抗体を使用して検出された。その後の検出中、各標的のために使用するシグナリングコンジュゲートは典型的には異なるだろう。例えば、異なる標的を異なる色として検出することができるだろう。
試料を検出プローブ(複数可)と接触させるステップ1を、図1では1つのステップ中の複数の標的の同時検出であると示しているが、多重化を順次行ってもよい。順次法は、第1の検出プローブを添加することと、引き続いて種々のその後の方法ステップ(すなわち、2、7、場合により3、及び5)を行うこととを含むだろう。次いで、第1のシグナリングコンジュゲートを第1の標的又はその近位に共有結合的に沈着させた後に第2の検出プローブを添加し、それによって、第2の標的を検出する能力を得ることができる。次いで、沈着した他のものとは異なる発色団部分を含む異なるシグナリングコンジュゲートを使用して、このプロセスを反復することができる。
本方法はまた、試料に光を照射するステップ9と、標的(複数可)を検出するステップ11とを含む。シグナリングコンジュゲートにより産生されるシグナルが検出され、それによって特定の標的を検出する能力が得られる。特定の開示実施態様では、シグナリングコンジュゲートにより産生されるシグナルは、蛍光性、発色性又はこれらの組み合わせであり得る。代表的な実施態様は、発色シグナルを検出することに関する。シグナルは、発色検出法、蛍光検出法及びこれらの組み合わせなどの当業者に既知の適当な方法を使用して検出することができる。例えば、シグナルは、明視野検出技術又は暗視野検出技術を使用して検出することができる。
図2(A〜B)はシグナリングコンジュゲートの2つの実施態様の概略図である。図2(A)は、潜在的反応性部分4及び発色団部分6を含むシグナリングコンジュゲート12を示している。図2(B)は、発色団部分6、潜在的反応性部分4を含み、リンカー8をさらに含む代替シグナリングコンジュゲート14を示している。
図3(A〜F)は、試料16上の標的17を検出する方法の実施態様を示す概略図である。図3(A)は、この場合、核酸標的である標的17と結合したハプテン19を含む核酸分子であることが実例として示されている検出プローブ18を示している。図3(B)は検出プローブ18と結合したラベリングコンジュゲート20を示している。ラベリングコンジュゲートは、「E」を含有する円として描かれた2つの酵素と結合したハプテン19に特異的な抗ハプテン抗体として描かれている。1つの抗体及び2つの酵素分子のコンジュゲートとして示しているが、1抗体当たりの酵素の数は、当業者により特定の用途のために変更及び最適化され得る。特に、酵素の数は、抗体のサイズ及び酵素のサイズを含む種々の因子に応じて約1個〜約10個に修正され得る。図3(C)は試料16上に酵素学的に沈着しているシグナリングコンジュゲート12を示している。特に、酵素「E」、ラベリングコンジュゲート20の一部は、シグナリングコンジュゲート12の第1の潜在的反応性部分の第1の反応性種13への変換を触媒する。この触媒作用は、シグナリングコンジュゲート12を酵素「E」に向ける第1の大矢印21及び酵素「E」から反応性種13に発出する第2の大矢印22により表され、反応性種13は発色団部分6及びシグナリングコンジュゲート6上に示される矢印に取って代わる点により表される反応性部分でできている。反応性種13は、生体試料と、第1の標的の近位で又は第1の標的上で直接共有結合して、共有結合発色団15を形成する。図3(D)は抗体に基づく検出プローブ28を使用してタンパク質標的27を検出する代替実施態様を示している。図3(D)は、検出プローブ28が核酸(例えば、検出プローブ18)と対照的に抗体として表されることを除いて核酸標的17及び/又はタンパク質標的27のいずれかの検出が類似であることを示すために含めている。検出プローブ28は、ハプテン化されて(haptenated)いないものとして示されており、ラベリングコンジュゲート30が酵素「E」と結合した抗種抗体であることを暗示している。しかしながら、代替実施態様では、検出プローブ28がハプテン化され、ラベリングコンジュゲート30が抗ハプテン抗体を含み得る。
図3(E)は増幅コンジュゲート42を使用した標的を検出する手法を示している。特に、増幅コンジュゲート42は、試料36上に酵素学的に沈着している。特に、酵素「E」、ラベリングコンジュゲート40の一部は、増幅コンジュゲート42の第1の潜在的反応性部分の第1の反応性種43への変換を触媒する。この触媒作用は、増幅コンジュゲート42を酵素「E」に向ける第1の大矢印31及び酵素「E」から反応性種43に発出する第2の大矢印32により表され、反応性種43はハプテン(十字型として示す)及び増幅コンジュゲート42上に示される矢印に取って代わる点により表される反応性部分でできている。反応性種43は、生体試料と、第1の標的の近位で又は第1の標的上で直接共有結合して、共有結合ハプテン45を形成する。図3(E)に示すスキームは、図3(E)のスキームと図3(C)のスキームとの間の類似点を明らかにするためにここに示されている。特に、増幅コンジュゲート42のハプテンをシグナリングコンジュゲート12の発色団部分に置換することを除いて、両スキームはほぼ同一である。図3(F)は、試料に結合した増幅コンジュゲート(図3(E)に見られる共有結合ハプテン45)を二次ラベリングコンジュゲート41で標識することができることを示している。図示していないが、次いで、図3(C)に示すスキームを使用して共有結合発色団を形成することができる。試料上への増幅コンジュゲート42の沈着により、より多数の酵素分子が得られる(すなわち、ラベリングコンジュゲート40及び二次ラベリングコンジュゲート41からの酵素が図3(F)の標的の近位に示されている)。
特定の開示実施態様では、明視野検出法を使用して、シグナリングコンジュゲートを検出する。このプロセスの概要を図4(A〜B)に示す。図4(A)は、複数のシグナリングコンジュゲート12が標的(T)の近位に位置している、上面48及び下面49を含む試料16の横断面図の概略図である。上面48に向けられた入射放射を表す第1の矢印46及び下面49から発出する透過放射を表す第2の矢印47を有する試料を示している。図49(B)は、図4(A)に示す試料16を横切る入射放射の電力(P)と試料を通る透過放射の電力(P)との間の関係を示すグラフ(y軸は放射電力であり、x軸は試料を横切る直線距離である)である。図4(A〜B)は、シグナリングコンジュゲート12を使用して標的をどのように可視化することができるかを描いている。式1は、入射放射と透過放射の電力の間の数学的関係を提供している。
開示する方法ステップは、任意の適当な順序で行ってよく、本明細書に記載するものに限定されない。特定の開示実施態様では、本方法は、ラベリングコンジュゲートを生体試料に添加し、引き続いてシグナリングコンジュゲートを添加するステップを含んでもよい。他の開示実施態様では、本方法は、ラベリングコンジュゲートを生体試料に添加し、引き続いて増幅コンジュゲート、追加の酵素コンジュゲート及びシグナリングコンジュゲートを添加するステップを含んでもよい。本明細書に開示されるコンジュゲートを同時に添加しても、順次添加してもよい。コンジュゲートを別々の溶液で添加しても、2種以上のコンジュゲートを含む組成物として添加してもよい。また、開示方法に使用する各クラスのコンジュゲートは、同じ又は異なるコンジュゲート成分を含んでもよい。例えば、複数のシグナリングコンジュゲートを試料に添加する場合、コンジュゲートは同じ又は異なる発色部分及び/又は潜在的反応性部分を含んでもよい。単なる例として、あるシグナリングコンジュゲートはチラミン分とカップリングしたクマリン発色団を含有してもよく、別のシグナリングコンジュゲートはチラミン誘導体部分とカップリングしたローダミン発色団を含んでもよい。開示する多重化アッセイに使用するのに適したシグナリングコンジュゲートの数は、1〜少なくとも6個、より典型的には2〜5個に及び得る。特定の開示実施態様では、本方法を使用して、3〜5個の異なるシグナリングコンジュゲートを使用して3〜5個の異なる標的を検出する。本明細書に開示される方法を使用して、単一アッセイで複数の標的を検出することができる。別の実施態様では、本方法のために本明細書に開示されるステップの任意の一又は複数を、自動化スライド染色装置により行う。
発色対蛍光
歴史的に、FISHを使用して分離分析が行われてきた。しかしながら、本開示は、発色ISHを使用した三色分離アッセイを提供する。発色検出と蛍光検出との間の違いを図5(A)及び図5(B)に絵を用いて示す。図5(A)は、赤色発色体例51、青色発色体例53及び赤色と青色の多重化発色体例52を示している。発色体が典型的には白色光である光に露光される(すなわち、Pの入射電力を有する光に露光される)と、発色体が種々の波長を吸収する。透過光は、発色体の吸光度及び存在する発色体の量に応じて特定の電力(図5(A)P、P及びP)を有する。良好な検出事象は、多くの発色体の沈着をもたらし、これがより多くの光を吸収し、観察されるシグナルをより小さくする。着色発色体については、光が透過されないので、透過光の減少によって最終的に発色体が黒色に見える。赤色及び青色の多重化発色体例52に示すように、多重化はこの効果を悪化させる。伝統的な赤色発色体及び青色発色体が空間で重複すると、吸光度が広くなり、PシグナルがP及びPよりも小さいことにより示されるように、検出事象が黒っぽく、暗くなる。本質的に、重複シグナルによる発色検出は、減算効果をもたらす。これは、図5(B)に示す蛍光と対照的である。図5(B)を参照すると、紫色蛍光例61、緑色蛍光例63及び紫色と緑色の多重化蛍光例62が示されている。励起光(図中でλexとして示されている)は、3つの例を通して同じであってよく、61はλf1(紫色蛍光)を示し、63はλf2(緑色蛍光)を示し、62はλf1(紫色蛍光)及びλf2(緑色蛍光)を示す。より多くの蛍光が試料上に沈着するので、より強力な蛍光シグナルが産生される。同様に、多重化シナリオでは、発蛍光団について加算効果がある一方で、発色団では減算効果が起こる。この減算対加算が、化合物に発色体を使用した多重化の困難性を著しく特徴付ける。よって、伝統的な発色体を用いた多重化は広く受け入れられていない。本開示は、従来は不可能であった色の組み合わせを可能にする狭い波長吸光度バンドを有するシグナリングコンジュゲートを提供する。よって、本開示は、蛍光多重化と比べて発色多重化が有する固有の欠点にもかかわらず、前例のない発色多重化を提供する。
検出及び照射
シグナリングコンジュゲートは、検出可能なシグナルの提供を促進する種々の特徴を提供するように構成される。特定の開示実施態様では、シグナリングコンジュゲートは、明視野シグナルを提供する適当な発色団部分を含む。例えば、本明細書に開示される発色団は、本明細書に開示される標的を検出するのに適した光シグナルを産生するよう選択され得る。特定の開示実施態様では、発色団は、シグナリングコンジュゲートが所望のシグナルを提供するように構成されることを可能にする、以下に論じるものなどの光学特性を有する。
光(すなわち、可視電磁放射)が着色物質を通過する又はこれにより反射されると、スペクトル波長分布の特徴的部分が吸収される。この特徴的部分の吸収は、対象に、残りの光に対応する補色を与える。図6(A)及び図6(B)は、観察される色と吸収された放射との間の関係を示す色相環(図6(A))を示している。色相環は、色(R)赤、(O)橙、(Y)黄、(G)緑、(B)青、(I)藍及び(V)紫を表すいくつかのパイ切れを含む。各色が次の色とは別のパイ切れとして示され、一連の線が環の外側の数字で終わっている。これらの数字は、色の間の遷移点であると伝統的に考えられている波長の光の波長(nm)を示す。図6(B)は、x軸上に光の波長を有する線形グラフで同じ色の分布を示している。すなわち、620〜800nmの領域は、これらの波長が「赤色」光波長であるので赤着色で示している。典型的には、色は優先的に認知され、ある色は極めて狭いスパンの波長についてのみ認知される。例えば、490nmから560nm当たりの発光を有するレーザーは緑色(70nmスパン)として認知されるだろう。橙色として認知されるためには、レーザーは、580nm〜620nm(40nm)の範囲の光を発しなければならないだろう。グラフは代表的なものとして提供するに過ぎず、当業者であれば、電磁スペクトルが連続的な性質であり、示されているように離散的ではないことを認識する。しかしながら、本明細書で描写する色分類は、本明細書で主張する技術の理解を容易にする。
本明細書に記載するように、物質が特定の波長を吸収すると、物質は補色(残りの光に対応する色)であるように見える。図6(A)の色相環は、互いにまったく反対の補色を示している。色相環によると、420〜430nmの光の吸収は、物質に黄色を与える(425nmは、黄色である環の部分に対向している)。同様に、赤色パイ領域が500〜520nmの数値範囲に対向するので、500〜520nmの範囲の光の吸収は物質に赤色を与える。400nmに近い吸収並びに800nmに近い吸収が物質に緑色を与えることができるという点で緑色は独特である。
420〜430nmの間の波長の光の吸収が黄色に見える物質をもたらすという概念は、本明細書に記載する吸収現象の多くを過度に単純化したものである。特に、吸収スペクトル特性は、観察される色に強い影響を及ぼす。例えば、黒色である物質は、420〜430nmの範囲全体にわたって強力に吸収するが、黒色物質は黄色に見えない。この場合、黒色吸収体は420〜430nmを含む可視スペクトル全体にわたる光を吸収する。したがって、特定の波長の光の吸収が重要であるが、可視スペクトルにわたる吸収特性(すなわち、スペクトル吸収)も重要である。
いくつかの測定可能なパラメータにしたがってスペクトル吸収を特徴づけることができる。最大割合の光が物質により吸収される波長はλmaxと呼ばれる。この波長は最も大きな範囲で吸収されるので、典型的には吸光波長と呼ばれる。図7(A)は特定のシグナリングコンジュゲートの吸収スペクトルであり、図7(B)は図7(A)の吸収スペクトルを産生するシグナリングコンジュゲートを使用して染色したタンパク質の顕微鏡写真を示している。図7(A)は、最大吸光度の大きさを示す第1の矢印(70)を含む。第2の矢印(71)は、最大の半分の大きさを示している。第3の矢印(72)は、最大吸光度の半分でのピークの幅を示している。この代表的なシグナリングコンジュゲートについて、λmaxは552nmであり、最大半量吸光度でのピークの全幅(例えば、FWHM)は約40nmである。λmaxは最大吸収の波長を示す一方で、FWHMはスペクトル吸光度の幅を示す。広い吸収スペクトルはλmaxから予想される色を有するように見えないので、発色団の色を説明するのに両因子が重要である。それどころか、これらのスペクトルは茶色、黒色又は灰色に見える。図7(B)を参照すると、シグナリングコンジュゲートの沈着は、陽性染色について予想されるような位置で明らかに明白である(Calu−3異種移植片のHER2(4B5)IHC)。色相環(図6(A))に差し戻すと、552nmのλmaxは、赤色又は赤紫色の補色に対応するはずである。これは、図7(B)に示される組織試料で観察される色と調和する(試料が青色であるヘマトキシリン核対比染色をさらに含むことに留意)。対比染色は核に限定されるので、細胞膜ベースのHER2染色に干渉も実質的に影響も及ぼさないように思われる。
好ましい発色団は、強い吸光度特性を有する。いくつかの実施態様では、発色団は非蛍光性又は弱蛍光性である。その吸光度特性のために、発色団は可視光を吸収することができる種となる。好ましい発色団は、明視野照明を使用して発色団を可視化することができるように十分な波長特異性で十分な量の可視光を吸収することができる。別の実施態様では、発色団は、約5000M−1cm−1超〜約90000M−1cm−1の平均モル吸光係数を有する。例えば、平均モル吸光係数は、約5000M−1cm−1超、約10000M−1cm−1超、約20000M−1cm−1超、約40000M−1cm−1超又は約80000M−1cm−1超となり得る。発色団により提供されるシグナル又は色を増加させるために、強い吸光度特性が好まれる。
標的の近くのシグナリングコンジュゲートの沈着は、入射光の吸収をもたらす。吸収は試料にわたって不均一に起こるので、試料中の標的の位置を同定することができる。
開示実施態様の特定の態様又は全てを自動化することができ、コンピュータ解析及び/又は画像解析システムにより促進することができる。いくつかの用途では、正確な色比率を測定する。いくつかの実施態様では、画像解析に光学顕微鏡法を利用する。特定の開示実施態様は、デジタル画像を取得することを含む。これは、デジタルカメラを顕微鏡にカップリングすることにより行うことができる。染色試料の得られたデジタル画像は、画像解析ソフトウェアを使用して解析する。いくつかの異なる方法で色を測定することができる。例えば、色を赤、青及び緑値;色相、彩度及び強度値として;並びに/又はスペクトル画像化カメラを使用して特定の波長又は波長の範囲を測定することにより測定することができる。
実例となる実施態様は、シグナリングコンジュゲートによる明視野画像化を使用することを含む。可視スペクトルの白色光を発色団部分に透過させる。発色団は特定の波長の光を吸収し、他の波長を透過する。これにより、透過する光の特定の波長に応じて、光が白色から有色に変化する。
狭いスペクトル吸光度により、伝統的な発色体の能力を超えたレベルでの発色多重化が可能になる。例えば、伝統的な発色体は、いくぶんルーチン的に二重化される(例えば、Fast Red及びFast Blue、Fast Red及びBlack(銀)、Fast Red及びDAB)。しかしながら、三重化又は三色適用は一般的でない。実例となる実施態様では、本方法は、異なるシグナリングコンジュゲート又はその組み合わせを使用して、2〜約6個の異なる標的(例えば、3〜6個又は3〜5個)を検出することを含む。一実施態様では、生体試料に光を照射することは、生体試料にスペクトルが狭い光源を照射することを含み、スペクトルが狭い光源は約30nm〜約250nmの間、約30nm〜約150nmの間、約30nm〜約100nmの間又は約20nm〜約60nmの間の第2の半値全幅(FWHM)を有するスペクトル放射を有する。別の実施態様では、生体試料に光を照射することは、生体試料にLED光源を照射することを含む。別の実施態様では、生体試料に光を照射することは、生体試料にフィルタリングした光源を照射することを含む。
試料を定性的及び半定量的に評価することもできる。定性的評価は、染色強度を評価することと、陽性染色細胞及び染色に関与する細胞内区画を同定することと、試料全体又はスライド品質を評価することとを含む。別個の評価を試験試料に行い、この分析は、試料が異常な状態を示しているかどうかを決定するために既知の平均値との比較を含むことができる。
一実施態様では、シグナリングコンジュゲートは検出可能なシグナルを産生するのに適した濃度(例えば、生体試料1cm・μm当たり約1×1011個超の分子〜1cm・μm当たり少なくとも約1×1016個の分子の濃度)で標的の近位に共有結合的に沈着する。当業者であれば、試料に対応する吸光度を減算することに注意して、式1及び試料を横切る吸光度測定値を使用して生体試料1cm・μm当たりの分子の数を計算することができるだろう。多重化方法などの開示方法の一実施態様では、あるシグナルを検出することは、背景と比べて入射光の5%以上の吸光度を検出することを含み、異なる別個のシグナルを検出することは、背景と比べて入射光の5%以上の吸光度を検出することを含む。別の実施態様では、あるシグナルを検出することは、背景と比べて入射光の20%以上の吸光度を検出することを含み、異なる別個のシグナルを検出することは、背景と比べて入射光の20%以上の吸光度を検出することを含む。
一実施態様では、第1の標的及び第2の標的は遺伝子核酸である。第1のシグナリングコンジュゲートによる前記光の吸光度を通して第1の標的を検出することは、赤、橙、黄、緑、藍又は紫から選択される第1の着色シグナルを検出することを含む。第1の着色シグナルは、第1のシグナリングコンジュゲートの第1の発色部分に関連するスペクトル吸光度に関連する。第2のシグナリングコンジュゲートによる前記光の吸光度を通して第2の標的を検出することは、赤、橙、黄、緑、藍又は紫から選択される第2の着色シグナルを検出することを含む。第2の着色シグナルは、第2のシグナリングコンジュゲートの第2の発色部分に関連するスペクトル吸光度に関連する。第2のシグナリングコンジュゲートと近接して重複する第1のシグナリングコンジュゲートによる前記光の吸光度を通した近接した重複により、第1のスペクトル吸光度及び第2のスペクトル吸光度の重複スペクトル吸光度に関連する第3の着色シグナルが検出され得る。一例によると、この第3の色は正常な遺伝子配列を合図し、第1及び第2の色は、遺伝子再配列又は転座を合図する。
ISH三色分離プローブ
生体試料中の標的を認識するための一定範囲の新規な色を提供することが単独で有用であるが、本開示のシグナリングコンジュゲートは、多重化アッセイ並びに転座プローブを使用したアッセイに特に有用である。図8(A)は非小細胞肺がんに関連するALK再配列について試験する肺組織切片における2つの遺伝子プローブの二重染色の顕微鏡写真であり、図8(B)は酢酸エチル溶液中のfast red及びfast blueのUV−Visスペクトルである。fast redを使用して3’プローブを検出し、fast blueを使用して5’プローブを検出した。図9(A)及び図9(B)は、図8(B)のトレースを別々に示している。図8(B)は、fast red及びfast blueが広い明確なスペクトル吸収特性を有することを示している。fast redは約475nmと約560nmとの間に強い吸収を示す。この範囲を色相環と比較すると、スペクトル吸収特性に対応した予想される色は赤又は橙のいずれかであるだろう。吸収の範囲があまりに大きいので、この範囲は赤又は橙色をもたらすと予想される波長の全てを本質的に網羅する。fast blueは、約525nmと約625nmとの間の強い吸収、fast redよりもさらに広い範囲を示す。再び図6(A)の色相環を参照すると、525〜625nmの吸収は、青、藍及び紫が相補的な、色相環の半分近くを網羅する。
図8(A)を参照すると、fast redスポットが円(R)で強調され、fast blueスポットが円(B)で強調され、1つがfast redスポットで1つがfast blueスポットであるスポットのセットが円(A)で隣接するものとして標識され、互いに重複するfast redスポット及びfast blueスポットが円(O)で標識される。予想されるように、fast redスポット(A)は赤であり、fast blueスポット(B)は、青、藍及び紫の混合から予想されるような暗い青みを帯びた色に見える。円(A)内の隣接スポットは、別個の赤及び青スポットとして互いにはっきり識別することができる。しかしながら、重複する赤及び青スポットを含むスポットはあいまいな色をもたらす。これはいくぶん青みを帯びて見え、片側に赤い周辺部を有する。スポットの色は識別することが困難であり、特徴づけることが困難である。重複スポットについては、fast red及びfast blueの吸収は加算的であり、スペクトル吸収プロファイルは約475nm〜約625に及び、約550nmのλmaxを有するだろう。再び色相環(図6(A))を参照すると、この範囲の波長は、ほぼ環全体を網羅している。スペクトル全体を網羅する広いベースの吸収は、典型的にはほとんど吸収されない色、この場合は藍及び紫の色合いを有する黒又は茶色の外観をもたらす。図8(A)の顕微鏡写真を考察した病理学者は、青から藍色スポット(B)と重複スポット(O)を識別するのを困難に感じるだろう。
したがって、特定の開示実施態様は、この課題に対処する異なるシグナリングコンジュゲートを選択する能力を提供する。例えば、異なるシグナリングコンジュゲートを意図的に選択し、UV−visスペクトルの対向端の光を産生する発色部分を含むようにすることができる。図10(A)及び図10(B)は、2種の異なる発色部分を含むプローブに関連する課題を解決するために開示するシグナル複合体及び方法をどのように使用することができるかを示している。図10(A)を参照すると、黒色(「B」)を産生することができる発色部分が、赤色(「R」)を産生する発色部分と組み合わせて使用されている。2種のシグナリングコンジュゲートが重複すると、観察される黒色(「B」)が黒色発色部分により産生されているのかどうか、又はこれが赤色と黒色発色部分との間の重複により産生されているのかどうかの2つが不明確になる。しかしながら、図10(B)を参照すると、組み合わせると第3の固有色を産生する2種の発色部分を使用することにより、この課題を解決することができる。例えば、紫色発色部分(「P」)を黄色発色部分(「Y」)と組み合わせて使用することができる。橙色シグナル(「O」)が産生されるので、2つの間の重複が容易に観察される。図11(A〜B)は、どのように二色を近位に沈着させて視覚的に異なる第3の色を作り出すことができるかをさらに示している。特に、図11(A)は、文字「y」で示される黄色シグナルを、文字「m」で示されるマゼンタシグナルと組み合わせて、文字「r」で示される鮮やかなチェリーレッド色を作り出すこと示している。図11(B)は、文字「m」で示されるマゼンタシグナルと文字「t」で示されるターコイズシグナルを組み合わせて文字「b」で示される暗青シグナルを作り出すことを示している。
照明
特定の開示実施態様では、伝統的な白色源及びフィルターシステム、例えば、当業者により典型的に使用されているものを使用することができる。他の開示実施態様では、より狭い照明光を産生するためにLED光源を検出ステップで使用することができる。1種又は複数の異なるシグナリングコンジュゲートを使用する実施態様、特に、3種以上の異なるコンジュゲートを使用する場合にこのような光源を使用することができる。
本明細書に開示される方法は、産生されるシグナル並びにシグナルを検出する手段の点で改善した検出をもたらす。伝統的な検出技術は、典型的にはスペクトルフィルタリングと共に狭い吸収染料を使用することを含み、染料が特定の波長を有する狭い範囲の光のみを吸収し、フィルターが小さい範囲の波長のみを通す。したがって、フィルターとこのような吸光度を組み合わせることにより異なる明視野で黒色スポットが産生される、又は他の発色体は、フィルターのスペクトル吸光度範囲内の吸光度を有し得るので、明視野検出下でいっそう明らかでない。この種の検出技術は、典型的には分離画像に畳み込みを解かれる、又は誤った着色を有する積層画像をさらに使用するおそれがある。本明細書に開示される方法の実施態様を使用すると、この特定の技術に典型的に関連する課題なしに、明視野検出を発色シグナルの分析に使用することができる。本開示により熟慮されるシグナリングコンジュゲートの多様性により、明視野で生体試料を分析し、さらなる操作なしに発せられる色シグナル(複数可)を視覚的に検出する能力が提供される。さらに、開示方法によりLED光源を使用する能力は、開示シグナリングコンジュゲートにより吸収され得る波長の範囲の柔軟性をもたらす。特定の開示実施態様では、標本に発色体が吸収する波長の光を照射し、したがって、発色体を明るい背景に対して暗く見せることにより(光が発色体により吸収され、そのスポットでの光の強度を低下させる)、シグナリングコンジュゲートを独立して可視化することができる。特定の開示実施態様では、光の強度は発色体スポットを通過する際に変化しない(吸収されない)ので、標本に発色体によって吸収されない光を照射することにより、発色体を「消滅」させる。単なる例として、生体試料スライドに緑色光を照射することによりローダミン発色体を暗く見せる一方で、Cy5発色体は消滅する。逆に、スライドに赤色光を照射することにより、Cy5発色体を暗く見せ、ローダミン発色体を消滅させる。
特定の開示シグナリングコンジュゲートを使用して染色したスライドを、Olympus BX−51光学顕微鏡に適合したマルチLED照明器を使用して照明した。2つのLED照明器を使用した:1)オンオフ制御と赤、緑及び青LED強度の変動を独立に可能にする電位差計及びスイッチを有する3LEDdynamics BuckPlus電流調整駆動器を備えたLamina RGB照明エンジン(EZ−43F0−0431)を含む自作3−LED照明器、及び2)手動LED切替用に修正した正立型顕微鏡用のTOFRA,Inc.RGBA Computer−Controlled LED Illuminator。チラミド発色体のみを可視化するために、標本に発色体が吸収する波長の光を照射することにより、発色体を明るい背景に対して暗く見せる(光が発色体により吸収され、そのスポットでの光の強度を低下させる)。光の強度は発色体スポットを通過する際に変化しない(吸収されない)ので、標本に発色体によって吸収されない光を照射することにより、発色体を「消滅」させる。
図12(A〜B)は、(A)白色光照明。(B)緑色光照明及び(C)赤色光照明下で、ターコイズ及びマゼンタシグナリングコンジュゲートで二重染色した試料の顕微鏡写真である。スライドに緑色光を照射することにより、ターコイズシグナリングコンジュゲートを暗く見せる一方で、マゼンタシグナリングコンジュゲートは消滅する。逆に、スライドに赤色光を照射することにより、マゼンタシグナリングコンジュゲートを暗く見せ、ターコイズシグナリングコンジュゲートを消滅させる。マゼンタとターコイズシグナリングコンジュゲートとの間の重複は、白色光照明、緑色光照明及び赤色光照明中で暗い。蛍光顕微鏡法の認知される利点の1つは、個々のプローブシグナル同士を切り替えるためにフィルターを使用することができることである。本明細書に記載するシグナリングコンジュゲートを使用すると、発色化合物を使用した切替を可能にすることができる。LED発光波長をチラミド染料の吸光度波長と調和させることにより、調和した発色体シグナルが「消滅」させられる。LED電力源は、コンデンサを交換することにより、光学顕微鏡に容易に加えることができる。LEDの発光波長は、ボタンを押すことで使用者が色の間で切り替えることができる。
チロシン増強
本明細書に記載するチラミドシグナル増幅及びシグナリングコンジュゲートは、試料から入手可能なチロシン残基並びに/又は標的を検出及び標識するために使用する分子/コンジュゲートと反応する。検出すべきバイオマーカーを囲むタンパク質の量は、組織試料間の自然変動に基づいて可変性である。高レベルで存在するバイオマーカーを検出する場合又は複数のバイオマーカーの共局在化を検出する場合、チラミド分子が付着することができるタンパク質の量は、沈着プロセスでの限界反応物質となり得る。組織中のタンパク質量が不十分であると、チラミド系検出が拡散する、バイオマーカーの発現レベルを過小予測する(under−call)可能性、及び共局在化バイオマーカーを検出することができないことになり得る。これらの課題の1つの解決策は、タンパク質性溶液で組織をコーティングし、ホルマリン又は他の固定液を使用してタンパク質を組織と持続的に架橋することにより、より多くのタンパク質結合部位(すなわち、チロシン)を得ることである。
TSAによる仕事の大部分が蛍光検出と関連して行われている。蛍光TSA検出は、発蛍光団の単一チラミド沈着により達成され、蛍光検出の感度が高いために沈着時間は典型的には極めて短い一方で、伝統的TSAに関連する背景が、より長い沈着時間で問題となる。対照的に、発色TSA検出は長い沈着時間でチラミドコンジュゲートの複数の沈着を含み得る。よって、課題の性質があまりに異なるために、蛍光TSAの分野は発色TSAの課題に解決策を示さない。特に、チラミド反応性種による試料のチロシン結合部位の飽和は、本明細書に記載する検出化学に特有の独特の課題であると考えられる。典型的には、TSA蛍光研究に由来するTSAに対する増強が、反応性チラミド部分の拡散及びTSAシグナルの欠如に対処した。これらの課題の解決策が当技術分野で記載されてきた。例えば、拡散を減少させるために、可溶性ポリマーの添加を通した反応溶液の粘度の増加が記載され、バニリン及び/又はヨードフェノールの添加を通してHRP活性が増強された。これらの解決策は、本明細書に記載する検出化学について観察される課題のいくつかに対処するには不十分であった。
種々の研究を通して、同定された課題の重大度が使用する試料に応じて変化することが分かった。例えば、乳がん組織及び前立腺がん組織は、異なるレベルの利用可能なチラミド結合部位を含むことが分かった。種々のIHC及び/又はISH試験で標的化される細胞内区画(核、細胞膜、細胞質等)中のタンパク質含量に差があることも知られている。したがって、TSA共局在化に必要であることに加えて、提案する発明は、タンパク質含量(例えば、チラミド結合部位)を正規化し、試料間及び試料中の変動を減少させる。実例となる実施態様では、チロシン増強剤を添加することにより、本明細書に記載するアッセイの試料間及び試料内再現性が増加し得る。
本明細書に記載するように、特に本明細書に記載するシグナリングコンジュゲートと併せて増幅コンジュゲートを使用すると、標的(複数可)を囲むタンパク質の量が不十分になり得る。高レベルで存在するバイオマーカーを検出する場合又は複数のバイオマーカーの共局在化を検出する場合、チラミド系検出試薬が付着することができる試料中のタンパク質の量が限界試薬となり得る。チラミド結合部位が不十分であると、反応速度が低下し、チラミド反応性分子が標的から離れて拡散することが可能になり、標的の近くで反応するシグナリングコンジュゲートの量が少ないために概して弱い反応がもたらされる。試料により多くの結合部位を提供することにより、本明細書に記載する検出が増強されることが発見された。利用可能な結合部位を増強するための1つの手法は、タンパク質溶液を試料に導入することであった。タンパク質が種々の洗浄を通して残り、その後の検出ステップ中又は後でタンパク質が拡散しないように、固定液(例えば、ホルマリン)を使用してタンパク質を試料に架橋した。
実例となる実施態様では、追加の量のチロシン含有試薬、例えば、タンパク質を、生体試料と共にインキュベートし、これに固定して、多重化又は増幅などにおける複数のシグナル又は増幅コンジュゲートのための追加の結合部位を提供することができる。例えば、転座プローブを使用する場合、追加の量のタンパク質を生体試料に添加することにより、より明らかな三色染色を得ることができる。さらに、この追加のステップを使用して、非特異的プローブ結合を減少させることができる。代表的な実施態様は、BSAを生体試料に添加し、引き続いて、固定液(例えば、10%NBF)などの架橋剤を使用してタンパク質を固定することに関する。
溶液の有効性を証明するために、外因性タンパク質を試料(例えば、組織学的に調製したパラフィン包埋組織試料)に固定することができることを最初に確立した。追加のタンパク質をパラフィン組織切片に共有結合的に付着させることができることを証明するために、ウシ血清アルブミン(BSA)をハプテン(2,1,3−ベンゾキサジアゾール−カルバミド、「BF」)を用いて官能化した。プローブを添加しなかったハイブリダイゼーションステップ後に、BSA−BFを組織に添加し、全ての実験をBenchmark XT自動化スライド染色器(Ventana Medical Systems、Tucson AZ)で完了した。BSA−BFコンジュゲート10μgをスライドに添加し、16分間インキュベートした。次いで、4%パラホルムアルデヒド100μlを添加し、16分間インキュベートすることにより、BF標識BSAタンパク質を組織に共有結合的に固定した。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)酵素を用いて官能化した抗BFモノクローナル抗体を添加することにより、共有結合的に付着したBSA−BFの存在を検出した。図13(A〜B)は、BSA−BFを添加しなかった対照スライドの顕微鏡写真(図13(A))を示し、図13(B)はBSA−BFを使用したスライドの顕微鏡写真である。HRP酵素は、ピンク色発色体でスライドを染色するチラミド−TAMRAの沈着を触媒し、ここではBSA−BFが組織に付着していた。BSA−BFの存在がないと、同じ実験条件下でピンク色発色体は沈着せず(図13(A))、外因的に添加したBSAタンパク質がパラフィン包埋組織切片中に持続的に固定され得ることを示唆している。
特定の実施態様について本明細書に記載するように、非染色チラミド沈着サイクル後にチロシン増強剤を使用すると、シグナリングコンジュゲートの適用がより効率的になることが発見された。この仮説を確かめるために、組織試料をチラミド−ハプテンコンジュゲートを用いた複数回のTSAに供した。図14(A〜B)は、本明細書に記載するようにシグナリングコンジュゲートが沈着した第1の試料(図14(A))の顕微鏡写真であり、図14(B)はシグナリングコンジュゲートを用いた検出前にチロシン増強溶液を使用した第2の試料である。図14(A)と図14(B)との間の違いは、試料中のタンパク質の利用率がTSA沈着により減少するという仮説と、チロシン含有増強剤を添加することにより堅牢な染色を得ることができるという仮説を支持する。タンパク質固定がないと(図14(A))、シグナリングコンジュゲートのその後の沈着により、低レベルの発色シグナルが産生された。パラホルムアルデヒドを使用して外因性タンパク質を組織切片に固定すると(図14(B))、シグナリングコンジュゲートは有意に激しく、多数のシグナルを産生した。このデータは、チラミド試薬が共有結合的に付着するための追加のタンパク質結合部位を提供することにより、外因性タンパク質を組織切片に固定することでチラミドシグナル増幅が増強することを示唆している。
試料中の標的を検出する方法の1つの開示実施態様は、試料を標的に特異的な検出プローブと接触させることと;試料をチロシン増強剤と接触させることと;試料を架橋剤と接触させることと;試料をチラミド系検出試薬と接触させることと;試料中の標的を検出することとを含み、架橋試薬はチロシン増強剤を試料に共有結合的に付着させる。一実施態様では、本方法は、試料をラベリングコンジュゲートと接触させることをさらに含む。別の実施態様では、本方法は、試料を増幅コンジュゲートと接触させることをさらに含む。一実施態様では、本方法は、第2の標的を検出することをさらに含み、試料をチロシン増強剤と接触させることは試料を第1の標的のためのチラミド系検出試薬と接触させることの後及び試料を第2の標的のためのチラミド系検出試薬と接触させることの前に起こる。一実施態様では、チロシン増強剤はタンパク質を含む。別の実施態様では、チロシン増強剤はチロシン残基を含有するポリマーである。一実施態様では、架橋剤はホルマリン又はホルムアルデヒドである。別の実施態様では、架橋剤は中性緩衝ホルマリン(NBF)である。別の実施態様では、架橋剤はイミドエステル、スベルイミノ酸ジメチル又はN−ヒドロキシスクシンイミド−エステル(NHSエステル)である。別の実施態様では、架橋剤は光放射である。一実施態様では、架橋剤はUV光又はX線放射である。一実施態様では、試料中の標的を検出することは、チラミド系検出試薬の少なくとも1つを画像化することを含む。別の実施態様では、標的を検出することは、チラミド系検出試薬の少なくとも1つを蛍光画像化することを含む。別の実施態様では、標的を検出することは、明視野光学顕微鏡を使用して検出可能な発色シグナルを産生するチラミド系検出試薬の少なくとも1つを画像化することを含む。別の実施態様では、標的を検出することは、シグナリングコンジュゲートを画像化することを含む。別の実施態様では、標的を検出することは、チラミド系検出試薬の少なくとも1つの近くに沈着した発色体を画像化することを含む。
対比染色
対比染色は、顕微鏡下で構造をより容易に可視化することができるように、試料を一又は複数の標的を検出するために薬剤で染色した後に後処理する方法である。例えば、対比染色は、場合により免疫組織化学染色をより明確にするためにカバーガラスで覆う前に使用される。対比染色は一次染色とは色が異なる。ヘマトキシリン、エオシン、メチルグリーン、メチレンブルー、ギムザ、アルシアンブルー及びNuclear Fast Redなどの多数の対比染色が周知である。いくつかの例では、2種以上の染色を混合して対比染色をすることができる。これにより柔軟性及び染色を選択する能力が提供される。例えば、第1の染色を特定の属性を有するが異なる所望の属性を有さない混合物のために選択することができる。所望の属性を欠いていることを示す混合物に第2の染色を添加することができる。例えば、トルイジンブルー、DAPI及びポンタミンスカイブルーを混合して対比染色を形成することができる。本開示の一態様は、染色した試料が読み取り装置で容易に解釈されるように、当技術分野で既知の対比染色法を開示方法及び組成物と組み合わせることができるものである。
III.コンジュゲート
本明細書では開示方法に使用するのに適した種々の異なるコンジュゲートを開示する。本開示により熟慮される種々のクラスのコンジュゲートを以下に記載する。
A.検出プローブ
本開示は、試料、例えば、生体試料中の標的を検出するために使用され得る特定の検出プローブに関する。検出プローブは、標的と特異的に結合することができる特異的結合部分を含む。検出プローブは、ラベリングコンジュゲートを通した検出を可能にする一又は複数の特徴を含む。代表的な検出プローブには核酸プローブ及び一次抗体プローブが含まれる。
実例となる実施態様では、検出プローブはオリゴヌクレオチドプローブ又は抗体プローブである。本明細書に記載するように、検出プローブは間接検出プローブであり得る。間接検出プローブは直接検出されるように構成されていない。特に、プローブは、直接可視化の目的のために構成されたものではない。代わりに、検出プローブは、一般的に、相互排他的型ではないが2つの型の一方であり得る。第1の型の検出プローブはハプテン化され、第2の型の検出プローブは特定の種の抗体に基づく。他の型の検出プローブ、例えば、アプタマーラベリングプローブ又は抗体、核酸タグ化プローブ又は抗体、(例えば、カップリング技術又は融合タンパク質を通して)他の抗体と共有結合して二重結合能力をもたらす抗体が当技術分野で知られており、本開示の範囲内にあるが、これらはあまり一般的に実施されない。そういうものとして構成されたものではないが、検出プローブのいくつかは直接検出を可能にする特性を有し得る。例えば、ハプテン発蛍光団を使用することは本開示の範囲内にある。一実施態様によると、検出プローブにはハプテン標識が含まれる。当業者であれば、種々の手法を使用して一又は複数のハプテンで検出プローブを標識することができることを認識するだろう。検出プローブには、オキサゾールハプテン、ピラゾールハプテン、チアゾールハプテン、ニトロアリールハプテン、ベンゾフランハプテン、トリテルペンハプテン、尿素ハプテン、チオ尿素ハプテン、ロテノイドハプテン、クマリンハプテン、シクロリグナンハプテン、ジニトロフェニルハプテン、ビオチンハプテン、ジゴキシゲニンハプテン、フルオレセインハプテン及びローダミンハプテンからなる群から選択されるハプテンが含まれ得る。他の例では、検出プローブは、ヤギ、ウサギ、マウスなどの第2の種由来のモノクローナル抗体である。ハプテンラベリング検出プローブを標識するために、ラベリングコンジュゲートは、抗ハプテン抗体を含むだろう。種系検出プローブを標識するために、ラベリングコンジュゲートは、抗種抗体で構成され得る。
実例となる実施態様では、本開示は、一又は複数の標的核酸配列にハイブリダイズする核酸プローブを記載する。核酸プローブは、好ましくはインサイツハイブリダイゼーション、サザンブロット法又はノーザンブロット法に適した条件などのハイブリダイゼーションに適した条件下で標的核酸配列にハイブリダイズする。好ましくは、検出プローブ部分は、RNA、DNA、LNA、PNA又はこれらの組み合わせなどの任意の適当な核酸を含み、リボヌクレオチド及びデオキシリボヌクレオチドなどの標準的なヌクレオチド並びにヌクレオチド類似体の両方を含むことができる。LNA及びPNAは、DNAとDNA又はDNAとRNAとの間で形成されるものよりも安定な(すなわち、Tmが増加した)ハイブリダイゼーション複合体を形成する核酸類似体の2つの例である。LNA及びPNA類似体を化学合成中に伝統的なDNA及びRNAヌクレオシドと組み合わせて、プローブとして使用することができるハイブリッド核酸分子を得ることができる。LNA及びPNA類似体を使用することにより、ハイブリダイゼーション複合体のTmなどのハイブリダイゼーションパラメータの修正が可能になる。これにより、標的プローブ部分と標的核酸配列のハイブリダイゼーションに要する条件と同じ又は類似の条件下で標的核酸プローブの検出標的配列にハイブリダイズする検出プローブの設計が可能になる。
適当な核酸プローブは手動で又は温度、長さ、GC含量等などの所望のパラメータに基づいてプローブ選択を最適化するコンピュータ実行アルゴリズムの助けを借りて選択することができる。インターネットを通して又はパーソナルコンピュータ上で使用するための多数のコンピュータ実行アルゴリズム又はプログラムが利用可能である。例えば、標的核酸配列(例えば、ゲノム標的核酸配列)から複数の結合領域を産生するために、反復性(又は他の望ましくない、例えば、背景産生)核酸配列を欠く配列の領域を、例えば手動で又はRepeatMasterなどのコンピュータアルゴリズムを使用して同定する。反復のない独特に特異的なプローブを作成する方法は、例えば、米国特許出願公開第2012/0070862号に見出される。数〜数百キロベースに及ぶ標的核酸配列(例えば、ゲノム標的核酸配列)内に、典型的には反復性(又は他の望ましくない、例えば、背景産生)核酸配列を実質的に又は好ましくは完全に含まない多数の結合領域を同定する。
いくつかの実施態様では、ハプテンを例えば、ハプテニル化(haptenylated)ヌクレオシドを使用して核酸プローブに組み込む。(例えば、ラベリングプローブへの組み込みを容易にするために)ハプテン及び他の標識をdNTPに結合させる方法は、当技術分野で周知である。実際、多数のラベリングdNTPが例えば、Invitrogen Detection Technologies(Molecular Probes、Eugene、Oreg.)から市販されている。標識をリン酸(例えば、α、βもしくはγリン酸)又は糖などのdNTP上の任意の位置でdNTPに直接的に又は間接的に付着させることができる。プローブは、任意の適当な既知の核酸合成法により合成することができる。いくつかの実施態様では、ホスホロアミダイトヌクレオシド及び/又はホスホロアミダイトヌクレオシド類似体を使用して検出プローブを化学合成する。例えば、いくつかの実施態様では、標準的RNA又はDNAホスホロアミダイトヌクレオシドを使用してプローブを合成する。いくつかの実施態様では、単独で又は標準的ホスホロアミダイトヌクレオシドと組み合わせてLNAホスホロアミダイト又はPNAホスホロアミダイトのいずれかを使用してプローブを合成する。いくつかの実施態様では、ハプテンを所望の検出可能な部分を含有する脱塩基ホスホロアミダイトに導入する。検出プローブ合成のために他の方法を使用することもできる。例えば、プローブの残りの転写にLNA類似体又はLNA類似体と標準的ヌクレオシドの組み合わせでできたプライマーを使用することができる。別の例として、プローブの残りの転写に検出可能な部分を含むプライマーを利用する。さらに他の実施態様では、例えば、転写又は化学合成により製造したプローブのセグメントを酵素的又は化学的ライゲーションにより接合することができる。
種々のハプテンを検出プローブの検出可能な部分に使用することができる。このようなハプテンには、それだけに限らないが、ピラゾール、特にニトロピラゾール;ニトロフェニル化合物;ベンゾフラザン;トリテルペン;尿素及びチオ尿素、特にフェニル尿素、さらにより具体的にはフェニルチオ尿素;本明細書でロテノイドとも呼ばれる、ロテノン及びロテノン誘導体;オキサゾール及びチアゾール、特にオキサゾール及びチアゾールスルホンアミド;クマリン及びクマリン誘導体;ポドフィロトキシン及びポドフィロトキシン誘導体に代表されるシクロリグナン;並びにこれらの組み合わせが含まれる。フルオレセイン誘導体(FITC、TAMRA、Texas Red等)、ジゴキシゲニン(DIG)、5−ニトロ−3−ピラゾールカルバミド(ニトロピラゾール、NP)、4,5−ジメトキシ−2−ニトロシンナミド(ニトロシンナミド、NCA)、2−(3,4−ジメトキシフェニル)−キノリン−4−カルバミド(フェニルキノロン、DPQ)、2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−カルバミド(ベンゾフラザン、BF)、3−ヒドロキシ−2−キノキサリンカルバミド(ヒドロキシキノキサリン、HQ)、4−(ジメチルアミノ)アゾベンゼン−4’−スルホンアミド(DABSYL)、ロテノンイソキサゾリン(Rot)、(E)−2−(2−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b][1,4]ジアゼピン−4−イル)フェノキシ)アセトアミド(ベンゾジアゼピン、BD)、7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−クロメン−3−カルボン酸(クマリン343、CDO)、2−アセトアミド−4−メチル−5−チアゾールスルホンアミド(チアゾールスルホンアミド、TS)及びp−メトキシフェニルピラゾポドフィルアミド(Podo)。これらのハプテン及びプローブへのその使用は米国特許第7695929号により詳細に記載されている。
B.ラベリングコンジュゲート及び二次ラベリングコンジュゲート
実例となる実施態様では、ラベリングコンジュゲートは検出プローブに特異的に結合し、酵素により標的を標識するように構成されている。上記のように、第2の種から又はハプテンを含むように構成された検出プローブは、抗種抗体又は抗ハプテン抗体のいずれかにより検出することができる。ラベリングコンジュゲートを構成する1つの手法は、酵素を抗種抗体又は抗ハプテン抗体に直接カップリングすることであった。この種のコンジュゲート(種々のリンカーを含んでいても含んでいなくてもよい)も米国特許第7695929号に記載されている。ラベリングコンジュゲートは1種又は複数の酵素を含む。代表的な酵素には、酸化還元酵素又はペルオキシダーゼが含まれる。シグナリングコンジュゲートは潜在的反応性部分及び発色部分を含む。酵素は潜在的反応性部分の反応性部分への変換を触媒し、反応性部分が生体試料と、標的の近位で又は標的上で直接共有結合する。
二次ラベリングコンジュゲートを、本明細書に記載するように増幅コンジュゲートに関連して使用する。二次ラベリングコンジュゲートは、検出コンジュゲートに結合したハプテンの代わりに、増幅プロセスを通して沈着したハプテンを標識するように構成されていることを除いて、ラベリングコンジュゲートと同様に構成される。実例となる実施態様では、二次ラベリングコンジュゲートは、酵素に結合した抗ハプテン抗体を含む。一実施態様では、酵素は酸化還元酵素又はペルオキシダーゼである。
C.シグナリングコンジュゲート
本明細書に開示される別の型のコンジュゲートはシグナリングコンジュゲートである。シグナリングコンジュゲートは、本明細書に開示される方法にしたがって、標的を検出するために使用する検出可能なシグナルを提供する。特定の開示実施態様では、シグナリングコンジュゲートは、潜在的反応性部分及び発色団部分を含む。
本開示の一態様は、シグナリングコンジュゲートが、伝統的に利用可能な発色体よりも選択的に光を吸収するように構成され得るというものである。シグナリングコンジュゲートによる前記光の吸光度により検出が実現し、例えば、入射光の少なくとも約5%の吸光度が標的の検出を促進するだろう。他のより暗い染色では、入射光の少なくとも約20%が吸収されるだろう。可視スペクトル内の光の不均一な吸光度により、着色して見える発色団部分が得られる。本明細書に開示される発色体コンジュゲートは、その吸光度により着色して見え得る。発色体コンジュゲートは、発色団部分に関連するスペクトル吸光度に応じて赤、橙、黄、緑、藍又は紫に見え得る。別の態様によると、発色団部分は、伝統的に使用されている発色体(例えば、DAB、Fast Red、Fast Blue)の吸光度よりも狭いスペクトル吸光度を有し得る。実例となる実施態様では、第1のシグナリングコンジュゲートの第1の発色団部分に関連するスペクトル吸光度は、約30nm〜約250nmの間、約30nm〜約150nmの間、約30nm〜約100nmの間又は約20nm〜約60nmの間の半値全幅(FWHM)を有する。
狭いスペクトル吸光度により、シグナリングコンジュゲート発色団部分を伝統的な発色体とは異なって分析することが可能になる。伝統的な発色体と比べて増強した特徴を有しながらも、シグナリングコンジュゲートを検出することは単純なままである。実例となる実施態様では、検出することは、明視野顕微鏡又は同等のデジタルスキャナーを使用することを含む。
開示するシグナリングコンジュゲートの実施態様を図2(A)及び図2(B)に示す。図2(A〜B)を参照すると、シグナリングコンジュゲート12は、潜在的反応性部分4及び発色団部分6を含む。別の実施態様では、代替シグナリングコンジュゲート14は、発色団部分6を潜在的反応性部分4と結合するためのリンカー8を含み得る。特定の開示実施態様では、シグナリングコンジュゲートは、以下の一般式1を有する:
Figure 2015514214
開示するシグナリングコンジュゲートは、典型的には本明細書に記載する潜在的反応性部分を含む。例えば、潜在的反応性部分は、開示する増幅コンジュゲートのものと同じであっても異なっていてもよいが、各潜在的反応性部分が反応性ラジカル種を形成することができ、本明細書で提供する一般式を有する。式1に示すように、シグナリングコンジュゲートは任意のリンカーを含んでもよい。リンカーを使用する場合、これを本明細書に開示されるリンカーのいずれかから選択することができる。特定の開示実施態様では、シグナリングコンジュゲートの親水性溶液溶解度を改善する及び/又は生体試料上のコンジュゲート官能性を改善するようにリンカーを選択する。特定の開示実施態様では、リンカーはポリエチレングリコールリンカーなどのアルキレンオキシドリンカーであるが、本明細書に開示されるリンカーのいずれをシグナリングコンジュゲートに使用してもよい。
1.発色団部分
発色団部分は、その色を担う分子の一部として一般的に記載される。分子が特定の波長の可視光を吸収し、他を透過又は反射すると色が生じる。発色団は、2つの異なる分子軌道の間のエネルギー差が可視スペクトルの範囲内に入り、その領域と相互作用する可視光が吸収され得る分子の領域である。吸光度は通常、基底状態から励起状態までの電子遷移に関連する。可視スペクトル内に基底状態から励起状態までのエネルギー差を有する分子は、しばしば共役炭素構造である。これらの化合物では、しばしば芳香族系の一連の交互の単結合及び二重結合により作られる、拡張π軌道であるエネルギーレベル間の電子遷移。一般的な例としては、種々の食品着色料、織物染料(アゾ化合物)、pH指示薬、リコペン、β−カロテン及びアントシアニンが挙げられる。分子の構造は、エネルギーレベルをもたらすπ軌道の特徴を与える。典型的には、分子中により多くの不飽和(多重)結合を有する共役系を延長又は拡張することにより、吸収がより長波長にシフトする傾向がある。Woodward−Fieser則を使用して共役π結合系を有する有機化合物の紫外−可視最大吸収波長を概算することができる。
実例となる実施態様では、金属錯体が発色団となり得る。例えば、配位子との配位錯体中の金属は、しばしば可視光を吸収する。例えば、クロロフィル及びヘモグロビン(脊椎動物の血液中の酸素運搬体)は、金属錯体を含む発色団である。これらの2つの例で、金属はポルフィリン環の中心で錯化している:金属はヘモグロビンのヘム基中の鉄、又はクロロフィルの場合マグネシウムである。ポルフィリン環の高度共役π結合系は可視光を吸収する。中心金属の性質もメタロポルフィリン錯体の吸収スペクトル又は励起状態寿命などの特性に影響を及ぼし得る。
実例となる実施態様では、発色団部分はクマリン又はクマリン誘導体である。クマリン及びクマリン誘導体についての一般式を以下に提供する。
Figure 2015514214
式2に関して、R〜Rは本明細書に定義される。R〜R置換基の少なくとも1つはまた、典型的にはリンカー又は潜在的反応性部分(例えば、チラミドもしくはチラミド誘導体)に結合している。特定の作業実施態様は、リンカー又は潜在的反応性部分(例えば、チラミドもしくはチラミド誘導体)とカップリングするためのR置換基を有するものとして示される位置を使用している。4位の水素以外の置換基は、蛍光を消すと考えられるが、本開示の範囲内で有用である。Yは酸素、窒素又は硫黄から選択される。このような化合物を形成するために利用可能なR〜R置換基の2つ以上はまた、例示する一般式を有する化合物に結合又は縮合した環系の原子、典型的には炭素原子であってもよい。これらの型の化合物の代表的な実施態様には、
Figure 2015514214
が含まれる。
当業者であれば、環が複素環及び/又はヘテロアリールであってもよいことを認識するだろう。
作業実施態様は、典型的には少なくとも1つのリンカー、チラミド又はチラミド誘導体カップリング位置を有する縮合A〜D環系を含み、1つの可能なカップリング位置を以下に示す:
Figure 2015514214
式3に関して、R及びY可変基は本明細書に明言する通りである。最も典型的には、R〜R14は独立に、水素又は低級アルキルである。クマリン系発色団の特定の実施態様には、2,3,6,7−テトラヒドロ−11−オキソ−1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−10−カルボン酸
Figure 2015514214
及び7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸
Figure 2015514214
が含まれる。
本明細書で使用するのに適した別のクラスの発色部分には、ジアゾ含有発色体が含まれる。これらの特定の発色団は、以下に示す式を有し得る。
Figure 2015514214
この式に関して、環Eはフェニル、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾールなどから選択され得る。各Rは独立に、本明細書に列挙する基から選択され得る。特定の開示実施態様では、各Rは独立に、アミン、置換アミン、フェニル、ヒドロキシル、塩化スルホニル、スルホネート、カルボキシレート及びこれらの組み合わせから選択され;nは0〜5に及び得る。特定の開示実施態様は、以下のジアゾ発色団から選択され得る:約436nmのλmaxを有し、以下の化学構造
Figure 2015514214
を有するDABSYL、及び約427nmのλmaxを有し、以下の化学構造
Figure 2015514214
を有するタートラジン。
さらに他の実施態様では、発色団はトリアリールメタン化合物であり得る。本開示の範囲内のトリアリールメタン化合物は以下の式を有し得る。
Figure 2015514214
式4に関して、各Rは独立に、水素、脂肪族、アリール及びアルキルアリールから選択され;各R24はアミン、置換アミン、ヒドロキシル、アルコキシ及びこれらの組み合わせから選択され;各nは独立に、0〜5に及び得る。代表的な発色団を以下に提供する:
Figure 2015514214
他の開示実施態様では、発色団部分は以下の式
Figure 2015514214
(式中、各Rは独立に、水素、脂肪族、アリール及びアルキルアリールから選択され;各R24は独立に、本明細書に開示されるR〜R23のいずれか1つから選択される一又は複数の基で置換されたアリール基を含む置換アリールを含む、本明細書に提供する基から選択され;Yは窒素又は炭素であり;Zは窒素又は酸素であり;nは0〜4に及び得る)
を有し得る。特定の開示実施態様では、Zは窒素であり、各Rは脂肪族であり、Rを含むアミンが付着している環の炭素原子と縮合している、又は各Raは結合して、さらに置換されていてもよい4もしくは6員脂肪族又は芳香環を形成し得る。代表的な実施態様を以下の通り提供する:
Figure 2015514214
並びに他のローダミン誘導体、例えば、テトラメチルローダミン(TMR、TAMRA及び反応性イソチオシアネート誘導体を含む)並びにジアリールローダミン誘導体、例えば、QSY7、QSY9及びQSY21染料。
代表的な発色団は、DAB;AEC;CN;BCIP/NBT;fast red;fast blue;フクシン;NBT;ALK GOLD;Cascade Blueアセチルアジド;ダポキシルスルホン酸/カルボン酸スクシンイミジルエステル;DY−405;Alexa Fluor 405スクシンイミジルエステル;Cascade Yellowスクシンイミジルエステル;ピリジルオキサゾールスクシンイミジルエステル(PyMPO);Pacific Blueスクシンイミジルエステル;DY−415;7−ヒドロキシクマリン−3−カルボン酸スクシンイミジルエステル;DYQ−425;6−FAMホスホロアミダイト;Lucifer Yellow;インドアセトアミド;Alexa Fluor 430スクシンイミジルエステル;Dabcylスクシンイミジルエステル;NBDクロリド/フルオライド;QSY35スクシンイミジルエステル;DY−485XL;Cy2スクシンイミジルエステル;DY−490;Oregon Green488カルボン酸スクシンイミジルエステル;Alexa Fluor 488スクシンイミジルエステル;BODIPY493/503C3スクシンイミジルエステル;DY−480XL;BODIPY FL C3スクシンイミジルエステル;BODIPY FL C5スクシンイミジルエステル;BODIPY FL−Xスクシンイミジルエステル;DYQ−505;Oregon Green514カルボン酸スクシンイミジルエステル;DY−510XL;DY−481XL;6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(JOE);DY−520XL;DY−521XL;BODIPY R6G C3スクシンイミジルエステル;エリスロシンイソチオシアネート;5−カルボキシ−2’,4’,5’,7’−テトラブロモスルホンフルオレセインスクシンイミジルエステル;Alexa Fluor 532スクシンイミジルエステル;6−カルボキシ−2’,4,4’,5’,7,7’−ヘキサクロロフルオレセインスクシンイミジルエステル(HEX);BODIPY530/550 C3スクシンイミジルエステル;DY−530;BODIPY TMR−Xスクシンイミジルエステル;DY−555;DYQ−1;DY−556;Cy3スクシンイミジルエステル;DY−547;DY−549;DY−550;Alexa Fluor 555スクシンイミジルエステル;Alexa Fluor 546スクシンイミジルエステル;DY−548;BODIPY558/568 C3スクシンイミジルエステル;ローダミンred−Xスクシンイミジルエステル;QSY7スクシンイミジルエステル;BODIPY564/570 C3スクシンイミジルエステル;BODIPY576/589 C3スクシンイミジルエステル;カルボキシ−X−ローダミン(ROX);スクシンイミジルエステル;Alexa Fluor 568スクシンイミジルエステル;DY−590;BODIPY581/591 C3スクシンイミジルエステル;DY−591;BODIPY TR−Xスクシンイミジルエステル;Alexa Fluor 594スクシンイミジルエステル;DY−594;カルボキシナフトフルオレセインスクシンイミジルエステル;DY−605;DY−610;Alexa Fluor 610スクシンイミジルエステル;DY−615;BODIPY630/650−Xスクシンイミジルエステル;エリオグラウシン;Alexa Fluor 633スクシンイミジルエステル;Alexa Fluor 635スクシンイミジルエステル;DY−634;DY−630;DY−631;DY−632;DY−633;DYQ−2;DY−636;BODIPY650/665−Xスクシンイミジルエステル;DY−635;Cy5スクシンイミジルエステル;Alexa Fluor 647スクシンイミジルエステル;DY−647;DY−648;DY−650;DY−654;DY−652;DY−649;DY−651;DYQ−660;DYQ−661;Alexa Fluor 660スクシンイミジルエステル;Cy5.5スクシンイミジルエステル;DY−677;DY−675;DY−676;DY−678;Alexa Fluor 680スクシンイミジルエステル;DY−679;DY−680;DY−682;DY−681;DYQ−3;DYQ−700;Alexa Fluor 700スクシンイミジルエステル;DY−703;DY−701;DY−704;DY−700;DY−730;DY−731;DY−732;DY−734;DY−750;Cy7スクシンイミジルエステル;DY−749;DYQ−4;及びCy7.5スクシンイミジルエステルからなる群から選択される。
特定の開示実施態様では、発色団部分は、タートラジン、7−ジエチルアミノクマリン−3−カルボン酸、スクシンイミジルエステル、Dabsyl塩化スルホニル、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)カルボキシスクシンイミジルエステル(DY−495)、Rhodamine Greenカルボン酸スクシンイミジルエステル(DY−505)、エオシンイソチオシアネート(EITC)、6−カルボキシ−2’,4,7,7’−テトラクロロフルオレセインスクシンイミジルエステル(TET)、カルボキシローダミン6Gスクシンイミジルエステル、カルボキシテトラメチルローダミンスクシンイミジルエステル(TMR、TAMRA)(DY−554)、QSY9スクシンイミジルエステル、スルホローダミンB塩化スルホニル(DY−560)、Texas Red(スルホローダミン101)、ガロシアニン、Fast Green FCF、マラカイトグリーン、イソチオシアネート及びQSY21スクシンイミジルエステルから選択され得る。特定の開示実施態様では、シグナリングコンジュゲートの発色団部分は、Dabsyl塩化スルホニル、FITC、7−ジエチルアミノクマリン−3−カルボン酸、スクシンイミジルエステル、Rhodamine Greenカルボン酸スクシンイミジルエステル(DY−505)、エオシンイソチオシアネート(EITC)、6−カルボキシ−2’,4,7,7’−テトラクロロフルオレセインスクシンイミジルエステル(TET)、カルボキシテトラメチルローダミンスクシンイミジルエステル(TMR、TAMRA)(DY−554)、スルホローダミンB塩化スルホニル(DY−560)、Texas Red(スルホローダミン101)及びガロシアニン以外である。
シグナリングコンジュゲートに使用されるさらなる代表的な発色部分を以下に提供する:
Figure 2015514214
本開示の実例となる実施態様では、シグナリングコンジュゲートは、生体試料中の標的の明視野画像化に特に適した吸収極大及び吸収幅を有する。一実施態様では、シグナリングコンジュゲートは、約350nm〜約800nmの間、約400nm〜約750nmの間又は約400nm〜約700nmの間のλmaxを有する吸光度ピークを提供するように構成される。これらの波長範囲は、ヒトに見える色に変換するので、特に対象となる。しかしながら、本明細書に記載する手法を、近赤外線(NIR)、赤外線(IR)又は紫外線(UV)診断方法論に有用な発色団部分に適用することもできるだろう。
一実施態様では、シグナリングコンジュゲートは、赤、橙、黄、緑、藍、紫又はこれらの混合からなる群から選択される着色シグナルを産生するように構成される。一実施態様では、シグナリングコンジュゲートは約400nm〜430nmの間のλmaxを有する。別の実施態様では、シグナリングコンジュゲートは黄色シグナルを産生する。一実施態様では、シグナリングコンジュゲートは約430nm〜490nmの間のλmaxを有する。別の実施態様では、シグナリングコンジュゲートは橙色シグナルを産生する。一実施態様では、シグナリングコンジュゲートは約490nm〜560nmの間のλmaxを有する。別の実施態様では、シグナリングコンジュゲートは赤色シグナルを産生する。一実施態様では、シグナリングコンジュゲートは約560nm〜570nmの間のλmaxを有する。別の実施態様では、シグナリングコンジュゲートは紫色シグナルを産生する。一実施態様では、シグナリングコンジュゲートは約570nm〜580nmの間のλmaxを有する。別の実施態様では、シグナリングコンジュゲートは藍色シグナルを産生する。一実施態様では、シグナリングコンジュゲートは約580nm〜620nmの間のλmaxを有する。別の実施態様では、シグナリングコンジュゲートは青色シグナルを産生する。一実施態様では、シグナリングコンジュゲートは約620nm〜約800nmの間のλmaxを有する。別の実施態様では、シグナリングコンジュゲートは緑色シグナルを産生する。
一実施態様では、シグナリングコンジュゲートは、約20nm〜約60nmの間、約30〜約100nmの間、約30〜約150nmの間又は約30〜約250nmの間の半値全幅(FWHM)を有するように構成される。特定の開示実施態様では、FWHMは約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約50nm未満である。実例となる実施態様では、約150nm未満のFWHMを有するシグナリングコンジュゲートを記載する。一実施態様では、FWHMは約150nm未満、約120nm未満、約100nm未満、約80nm未満、約60nm未満、約50nm未満、約40nm未満、約30nm未満、約10nm〜150nmの間、約10nm〜120nmの間、約10nm〜100nmの間、約10nm〜80nmの間、約10nm〜60nmの間、約10nm〜50nmの間又は約10nm〜40nmの間である。
別の実施態様では、シグナリングコンジュゲートは、約5000M−1cm−1超〜約90000M−1cm−1の平均モル吸光係数を有する。例えば、約5000M−1cm−1超、約10000M−1cm−1超、約20000M−1cm−1超、約40000M−1cm−1超又は約80000M−1cm−1超の平均モル吸光係数である。さらに別の実施態様では、シグナリングコンジュゲートは、少なくとも約0.1mM〜約1Mの水への溶解度を有する。例えば、シグナリングコンジュゲートは、少なくとも約0.1mM、少なくとも約1mM、少なくとも約10mM、少なくとも約100mM又は少なくとも約1Mの水への溶解度を有する。一実施態様では、シグナリングコンジュゲートは、約1カ月〜約30カ月超の間水性緩衝液中での沈殿に対して安定である。例えば、シグナリングコンジュゲートは、約1カ月超、約3カ月超、約6カ月超、約12カ月超、約18カ月超又は約24カ月超の間水性緩衝液中での沈殿に対して安定である。
本明細書に記載するように、吸光度ピークのFWHMは、シグナリングコンジュゲートの観察される色に有意に寄与する。図6(A〜B)を参照すると、比較的小さいスパンの波長にわたって観察される光について数色が観察される。特に、黄色光は20nmという比較的狭いスパンにわたってのみ明らかである。黄色を物質に与えるためには、比較的狭いスパンの可視波長が吸収されなければならない(400〜430nm)。図7(A)及び図7(B)を参照すると、ここに示されているシグナリングコンジュゲートは約40nmのFWHMを有する。図15(A)は図16に示す吸収スペクトルを有するシグナリングコンジュゲートを使用して染色したタンパク質(Calu−3異種移植片のHER2(4B5)IHC)の第1の顕微鏡写真であり、図15(B)は第2の顕微鏡写真である。トレースAは図15(A)に使用するシグナリングコンジュゲートに対応し、トレースBは図15(B)に使用するシグナリングコンジュゲートに対応する。各シグナリングコンジュゲートを、染色前に溶液中で、及びHER2検出後にスライド上で(破線のトレースは組織上で得られたスペクトルを表す)分光法により分析したことに留意する。図15(A)に示す組織を染色するために使用したシグナリングコンジュゲートは、約456nmのλmax及び約111nmのFWHMを有する。図15(B)に示す組織を染色するために使用したシグナリングコンジュゲートは、約628nmのλmax及び約70nmのFWHMを有する。
表3は、本開示の実例となる実施態様による種々のシグナリングコンジュゲートのスペクトル特性についての分類系を示している。この分類系によると、特定の発色体が分類され得る6つの異なる色、ローマ数字1〜6(すなわち、I〜VI)の番号を付けられたシリーズが存在する。各色分類について、5つのバンド幅分類が存在し、これらのバンド幅分類はより広いFWHM測定にしたがってなされる。したがって、バンド幅分類(a)は最も狭く、約10と約40nmとの間のFWHM幅を有するシグナリングコンジュゲートを含む。バンド幅分類(e)は最も広く、約130〜160nmの間のFWHM幅を有するシグナリングコンジュゲートを含む。約530nmのλmax及び約115nmのFWHMを有する赤色シグナリングコンジュゲートは、シリーズIII(d)シグナリングコンジュゲートとして分類され得る。
Figure 2015514214
図17(A〜D)は、異なる発色部分を有するシグナリングコンジュゲートにより染色した組織の顕微鏡写真である。図17(E)は、シグナリングコンジュゲートの吸光度に対応するトレース、関連する顕微鏡写真に対応するトレースによるUV−Visスペクトルを示している。よって、図17(E)のトレース(A)は図17(A)に示すシグナリングコンジュゲートに対応する。他のトレースも同様に対応する顕微鏡写真に関連する。スライド上で明らかな青色は、市販の青色発色溶液である。図17(A)及び図17(E)のトレース「A」はマラカイトグリーンシグナリングコンジュゲートを示している。これは、表3によるとI(b)シグナリングコンジュゲートとして分類可能である。図17(B)及び図17(E)のトレース「B」はタートラジンシグナリングコンジュゲートを示している。これは、表3によるとI(c)シグナリングコンジュゲートとして分類可能である。図17(C)及び図17(E)のトレース「C」はスルホローダミンBシグナリングコンジュゲートを示している。これは、表3によるとIV(b)シグナリングコンジュゲートとして分類可能である。図17(D)及び図17(E)のトレース「D」はVictoria Blueシグナリングコンジュゲートを示している。これは、表3によるとVI(c)シグナリングコンジュゲートとして分類可能である。
図18(A〜D)は、異なる発色部分を有するシグナリングコンジュゲートにより染色した組織の顕微鏡写真である。図18(E)はシグナリングコンジュゲートの吸光度に対応するトレース、関連する顕微鏡写真に対応するトレースによるUV−Visスペクトルを示している。図18(A)及び図18(E)のトレース「A」はクマリン(4−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−クロメン−3−カルボン酸)シグナリングコンジュゲートを示している。これは、表3によるとI(b)シグナリングコンジュゲートとして分類可能である。図18(B)及び図18(E)のトレース「B」はDabsyl(ジメチルアミノアゾベンゼンスルホン酸)シグナリングコンジュゲートを示している。これは、表3によるとII(b)シグナリングコンジュゲートとして分類可能である。図18(C)及び図18(E)のトレース「C」はTAMRAシグナリングコンジュゲートを示している。これは、図3によるとIII(b)シグナリングコンジュゲートとして分類可能である。図18(D)及び図18(E)のトレース「D」は5(及び6)−カルボキシローダミン110シグナリングコンジュゲートを示している。これは、表3によるとV(a)シグナリングコンジュゲートとして分類可能である。
図19(A〜D)は、異なる発色部分を有するシグナリングコンジュゲートにより染色した組織の顕微鏡写真である。図19(E)はシグナリングコンジュゲートの吸光度に対応するトレース、関連する顕微鏡写真に対応するトレースによるUV−Visスペクトルを示している。図19(A)及び図19(E)のトレース「A」はFITC(1−(3’,6’−ジヒドロキシ−3−オキソスピロ(イソベンゾフラン−1(3H),9’−(9H)キサンテン−5−イル)シグナリングコンジュゲートを示している。これは、表3によるとIII(b)シグナリングコンジュゲートとして分類可能である。図19(B)及び図19(E)のトレース「B」はローダミン6Gシグナリングコンジュゲートを示している。これは、表3によるとIII(c)シグナリングコンジュゲートとして分類可能である。図19(C)及び図19(E)のトレース「C」はTexas Red(スルホローダミン101)シグナリングコンジュゲートを示している。これは、表3によるとIV(c)シグナリングコンジュゲートとして分類可能である。図19(D)及び図19(E)のトレース「D」はcy5シグナリングコンジュゲートを示している。これは、表3によるとVI(c)シグナリングコンジュゲートとして分類可能である。
図20(A〜D)は、異なる発色部分を有するシグナリングコンジュゲートにより染色した組織の顕微鏡写真である。図20(E)はシグナリングコンジュゲートの吸光度に対応するトレース、関連する顕微鏡写真に対応するトレースによるUV−Visスペクトルを示している。図20(A)及び図20(E)のトレース「A」はローダミン110シグナリングコンジュゲートを示している。これは、表3によるとIII(b)シグナリングコンジュゲートとして分類可能である。図20(B)及び図20(E)のトレース「B」はJOE(6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン、スクシンイミジルエステル)シグナリングコンジュゲートを示している。これは、表3によるとIII(c)シグナリングコンジュゲートとして分類可能である。図20(C)及び図20(E)のトレース「C」はガロシアニンシグナリングコンジュゲートを示している。これは、表3によるとIII(c)シグナリングコンジュゲートとして分類可能である。図19(D)及び図19(E)のトレース「D」はカルボキシローダミンBシグナリングコンジュゲートを示している。これも、表3によるとIII(c)シグナリングコンジュゲートとして分類可能である。
実例となる実施態様では、スペクトル的に別個のシグナリングコンジュゲートを使用して試料中の複数の標的を検出する方法を開示する。一実施態様では、本方法は、表3に示す分類から選択される2種以上のシグナリングコンジュゲートを使用することを含む。別の実施態様では、本方法は、表3に示す分類から選択される3種以上のシグナリングコンジュゲートを使用することを含む。別の実施態様では、本方法は、第1の分類I〜VIの第1のシグナリングコンジュゲート及び第2の分類I〜VIから選択される第2のシグナリングコンジュゲートを使用することを含み、第1及び第2の分類は同じではない。別の実施態様では、本方法は、第1の分類I〜VIの第1のシグナリングコンジュゲート、第2の分類I〜VIの第2のシグナリングコンジュゲート及び第3の分類I〜VIの第3のシグナリングコンジュゲートを使用することを含み、第1、第2及び第3の分類は同じではない。別の実施態様では、シグナリングコンジュゲートの少なくとも1つが(e)又はより狭いFWHM分類を有する。別の実施態様では、シグナリングコンジュゲートの少なくとも1つが(d)又はより狭いFWHM分類を有する。別の実施態様では、シグナリングコンジュゲートの少なくとも1つが(c)又はより狭いFWHM分類を有する。別の実施態様では、シグナリングコンジュゲートの少なくとも1つが(b)又はより狭いFWHM分類を有する。別の実施態様では、少なくとも2つのシグナリングコンジュゲートが(e)又はより狭いFWHM分類を有する。別の実施態様では、少なくとも3つのシグナリングコンジュゲートが(e)又はより狭いFWHM分類を有する。
2.潜在的反応性部分
潜在的反応性部分は、触媒活性化を受けて、試料又は他の検出成分と共有結合することができる反応性種を形成するように構成される。触媒活性化は、1種又は複数の酵素(例えば、酸化還元酵素及びペルオキシダーゼ酵素、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)により駆動される。これらの酵素は、過酸化物の存在下で、反応性種の形成を触媒することができる。これらの反応性種、例えば、フリーラジカルは、その産生に近位の、すなわち、酵素の近くのフェノール化合物と反応することができる。試料中の利用可能なフェノール化合物は、ほとんどの場合タンパク質内のチロシル残基である。よって、潜在的反応性部分を、ラジカル形成を触媒し、その後反応性部分に生体試料との共有結合を形成させることができるペルオキシダーゼ酵素及び過酸化物(例えば、過酸化水素)の存在下でタンパク質含有試料に添加することができる。
特定の開示実施態様では、潜在的反応性部分は少なくとも1つの芳香族部分を含む。代表的な実施態様では、潜在的反応性部分はフェノール部分を含み、チロシンアミノ酸のフェノール基に結合する。しかしながら、所望の標的の又はそのすぐそばの潜在的反応部分を介してラベリングコンジュゲートを試料と特異的に結合させることが望ましい。本明細書に記載するように酵素を標的領域に固定することにより、この目的を達成することができる。固定化酵素のすぐそばの潜在的反応性部分のみが、酵素自体のチロシン残基、酵素が結合する抗体中のチロシン残基、及び/又は固定化酵素に近位の試料中のチロシン残基を含む、固定化酵素の近く又はすぐそばのチロシン残基と反応し、結合を形成するだろう。特定の開示実施態様では、ラベリングコンジュゲートは、固定化酵素の近位に、例えば、約100nm以内、約50nm以内、約10nm以内又は約5nm以内に結合することができる。例えば、チロシン残基は、固定化酵素から約10Å〜約100nm、約10Å〜約50nm、約10Å〜約10nm又は約10Å〜約5nmの距離以内にあり得る。このような近位結合により、本明細書に開示する検出法で使用する従来の染色法と少なくとも同程度の特異性で標的を検出することが可能になる。例えば、開示方法の実施態様により、細胞下構造、例えば、核膜対核領域、細胞膜対細胞質領域等を識別することが可能になる。
特定の開示実施態様では、潜在的反応性部分は以下に示す一般式を有する。
Figure 2015514214
式5に関して、R25はヒドロキシル、エーテル、アミン及び置換アミンからなる群から選択され;R26はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−OR、−NR及び−SR(mは1〜20である)からなる群から選択され;nは1〜20であり;Zは酸素、硫黄及びNR(Rは水素、脂肪族、アリール及びアルキルアリールからなる群から選択される)からなる群から選択される。潜在的反応性部分の代表的な実施態様はチラミン(又は検出可能な標識及び/もしくは任意のリンカーと結合したチラミン分子に与えられる名称であるチラミド)、又はその誘導体である。
特定の開示実施態様では、シグナリングコンジュゲートは、試料上に共有結合的に沈着すると、生体試料1cm・μm当たり約1×1011個超の分子又は約1×1013個超の分子の最小濃度を有する。特定の開示実施態様では、沈着したシグナリングコンジュゲートの濃度は、1cm・μm当たり約1×1011個の分子〜1cm・μm当たり約1×1016個の分子に及ぶ。
開示シグナリングコンジュゲートの実施態様は、スキーム1に示す一般的手順を使用して製造することができる。特定の開示実施態様では、コンジュゲートを任意のリンカーを用いずに形成する。例えば、最初にカルボン酸を活性化エステルに変換し、次いで、発色団とチラミン分子又はチラミン誘導体との間にアミド結合を形成することにより、発色団のカルボン酸部分をチラミン分子又はチラミン誘導体とカップリングすることができる。リンカーを用いずにシグナリングコンジュゲートを製造する代表的な方法をスキーム2で以下に示す。
Figure 2015514214
リンカーが存在する実施態様では、最初にカルボン酸を活性化エステルに変換し、次いで、発色団とアミン末端リンカーとの間にアミド結合を形成することにより、発色団のカルボン酸部分をアミン末端リンカー(例えば、アルキレンオキシド)とカップリングすることができる。次いで、リンカーの残りの末端を活性化し、その後チラミン分子又はチラミン誘導体とカップリングすることができる。シグナリングコンジュゲートを製造する代表的な方法をスキーム2で以下に示す。
Figure 2015514214
代表的なシグナリングコンジュゲートを以下に提供する。
Figure 2015514214
Figure 2015514214
Figure 2015514214
Figure 2015514214
Figure 2015514214
D.増幅コンジュゲート
本明細書では本明細書に開示される方法を実施することにより得られるシグナルを増幅するのに適したコンジュゲートも開示する。増幅コンジュゲートは、典型的には潜在的反応性部分、検出可能な標識及び任意のリンカーを含む。
増幅コンジュゲートの検出可能な標識は、本明細書に提供する任意の検出可能な標識であり得る。特定の開示実施態様では、検出可能な標識はハプテン、例えば、本明細書に開示するハプテンのいずれかである。増幅コンジュゲート及びその対応する特異抗体を製造するための構造及び合成手法を開示している米国特許第7695929号が参照される。特定の開示実施態様では、求電子性官能基を有する(又は求電子性官能基に変換することができる官能基を有する)ハプテンを潜在的反応性部分又はリンカー(例えば、脂肪族又はポリ(アルキレンオキシド)リンカー)に結合する。特定の実施態様では、ハプテンは、それだけに限らないが、ハロゲン化アシル、エステル(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)又は無水物などの活性化求電子性カルボニル含有官能基に変換されるカルボン酸官能基を含む。潜在的反応性部分は、ハプテンの活性化求電子性官能基と反応することができる求核性官能基(例えば、アミノ、ヒドロキシル、チオール又はそこから形成したアニオン)を含む。有機化学合成の当業者に知られている有機カップリング技術を使用して、ハプテンの求電子基を潜在的反応性部分の求核基にカップリングすることができる。コンジュゲートがリンカーを含む実施態様では、リンカーは、典型的には一端に求核性官能基及び他端に求電子性官能基を有する。有機化学合成の当業者に知られている有機カップリング技術を使用して、リンカーの求核基をハプテンの求電子基にカップリングすることができ、リンカーの求電子基を活性化し、潜在的反応性部分の求核基にカップリングすることができる。
さらなる実例となる実施態様では、シグナリングコンジュゲートを増幅コンジュゲートとして使用する。発色団部分が有効な標識部分である場合に、シグナリングコンジュゲートを増幅コンジュゲートとして使用することができる。実例となる実施態様では、発色団部分に特異的な抗体により、発色団部分がシグナル及びラベリングコンジュゲートとして働くことが可能になる。別の見方から、有効な発色団部分のための本明細書に開示する物理的属性を有するハプテンを発色団部分とハプテンの両方として使用してもよい。シグナリングコンジュゲートを増幅コンジュゲートとして使用する特定の利点が存在する。特に、増幅ステップにより、有意な、例えば、潜在的に検出可能な量の発色団部分の沈着が得られるだろう。よって、その後の発色検出がより強力となり得る。同様に、異なる分類の発色体を混合することに関して本明細書に記載するように、2種以上の発色団部分の吸光度の重複を使用することにより固有色を産生することができるだろう。
IV.組成物
本開示による実例となる組成物は、生体試料及び複数のシグナリングコンジュゲートを含む。特定の開示実施態様では、組成物は、一又は複数の酵素ラベリング標的を含む生体試料を含む。標的を標識するために使用する酵素は、酵素コンジュゲートなどのラベリングコンジュゲートに由来し得る。組成物はまた、1種又は複数の検出プローブをさらに含んでもよい。複数のシグナリングコンジュゲートは本明細書に開示する通りであり、明視野シグナルを提供するように構成される。複数のシグナリングコンジュゲートは、一又は複数の標的の近位で又は標的上で直接共有結合している。特定の開示実施態様では、入射光の約5%以上を吸収することができるシグナリングコンジュゲートのために特定の発色部分を選択することを含む明視野シグナルを提供するように構成される。特定の開示実施態様では、入射光の約20%が吸収され得る。
追加の開示実施態様では、組成物は、シグナリングコンジュゲートの発色部分に本明細書に開示する特定の波長極大を提供するように構成されたシグナリングコンジュゲートを含む。単なる例として、シグナリングコンジュゲートは、吸光度ピークが本明細書に開示するようなλmaxを有するように明視野シグナルを提供するように構成される。異なるシグナリングコンジュゲートを、本明細書に開示するような異なるλmax値の吸光度ピークを有する異なる発色部分を含むように構成することによって2つの異なる吸光度ピークを得てもよい。組成物はまた、特定のFWHM値を有するものとして選択されることにより明視野シグナルを提供するように構成された複数のシグナリングコンジュゲートを含んでもよい。適当なFWHM値を本明細書に開示している。他の開示実施態様では、複数のシグナリングコンジュゲートの少なくとも一部は、本明細書に提供する特定の値から選択される平均モル吸光係数を有する。
組成物の特定の開示実施態様はまた、本明細書に提供する値などの特定の水への溶解度を有する複数のシグナリングコンジュゲートに関する。さらに、複数のシグナリングコンジュゲートはまた、本明細書に提供する期間、水性緩衝液中で安定であり得る。
特定の開示実施態様では、組成物は、赤、橙、黄、緑、藍又は紫などの、明視野照明下で光学的に明らかな色を与えるように構成された複数のシグナリングコンジュゲートを含む。光学的に明らかな色は、第1の光学的に別個の色、第2の光学的に別個の色、第3の光学的に別個の色、第4の光学的に別個の色、及び第5の光学的に別個の色さえ得ることができ、可視化することができるように混合であってもよい。
開示組成物中に存在する生体試料は、本明細書に開示するように組織又は細胞学試料であり得る。特定の開示実施態様では、生体試料は2つの標的、第1の標的及び第2の標的を含んでよく、組成物は第1の標的に特異的な第1の検出プローブ及び第2の標的に特異的な第2の検出プローブをさらに含んでもよい。
V.キット
本明細書では、本明細書に開示するシグナリングコンジュゲートを含むキットの実施態様も開示する。別の実施態様では、キットは検出プローブを含む。別の実施態様では、キットはラベリングコンジュゲートを含む。別の実施態様では、キットは増幅コンジュゲート及び二次ラベリングコンジュゲートを含む。別の実施態様では、キットは過酸化物溶液をさらに含んでもよい。実例となる実施態様では、キットは検出プローブを含む。実例となる実施態様では、キットの試薬を自動化スライド染色プラットホーム上で使用するように構成された容器に入れる。例えば、容器は、使用するように構成されたディスペンサー及びBENCHMARK Series自動化スライド染色器であってよい。
実例となる実施態様では、キットは、特定のアッセイを行うために共に働くように構成された異なる容器に含有された一連の試薬を含む。一実施態様では、キットは、第1の容器中に緩衝液中のラベリングコンジュゲートを含む。緩衝液は、試薬を冷蔵環境下及び機器に入れて保管している間に、安定性を維持し、ラベリングコンジュゲートの特異的結合能力を維持するように構成されている。別の実施態様では、キットは、第2の容器中に水溶液中のシグナリングコンジュゲートを含む。別の実施態様では、キットは、シグナリングコンジュゲートと試料に同時に使用するための第3の容器中の過酸化水素溶液を含む。第2又は第3の容器中、酵素が潜在的反応性種を反応性種に活性化する効率を高めるための種々の増強剤(例えば、ピリミジン)を見出すことができる。さらなる実施態様では、キットは増幅コンジュゲートを含む。
VI.作業実施態様
一般的手順及び調製
全ISH検出をVentana Benchmark XTで行った。DNP又はDIGラベリング(0.25ng/ml最終濃度)プローブを1〜3時間ホルムアミド含有緩衝液中でハイブリダイズし、引き続いて2×SSCでストリンジェンシー洗浄(stringency washing)した。西洋ワサビペルオキシダーゼと結合させた抗DNP又は抗DIGモノクローナル抗体(2.5ng/ml最終濃度)によりプローブ検出を媒介した。H(0.003%の最終百分率)を添加してシグナリングコンジュゲート(12.5μM最終濃度)の沈着を触媒した。
中間増幅ステップを利用するアッセイについては、Hを添加することにより、プローブと結合したHRP結合抗DNP又は抗DIGモノクローナル抗体が増幅コンジュゲート(6.25μM最終濃度)の沈着を触媒する。組織中の共有結合増幅コンジュゲートは、モノクローナル酵素コンジュゲート(2.5ng/ml最終濃度)のための結合部位として働き、シグナリングコンジュゲート(25μM最終濃度)及びHを添加することにより、シグナリングコンジュゲートの沈着を触媒した。
シグナリングコンジュゲート試験:
各チラミド染料溶液を、Superfrostスライド上にマウントしたホルマリン固定パラフィン包埋Calu−3、ZR75−1及びMCF−7異種移植片組織上のHer2タンパク質に対して、免疫組織化学モデルを使用してマイクロモルからミリモル濃度の範囲で機能性について試験した。Benchmark XT Ventana自動化スライド染色装置を使用して組織を染色した。試験に必要な試薬には、VMSI Her2(4B5)Primary Antibody VMSI製品番号790−2991、UltraMap抗Rb HRP番号760−4315、TSA番号760−121のAmpMap Detection Kit、Hematoxylin II番号790−2208及びBluing Reagent番号760−2037が含まれる。スライドを脱パラフィンし、次いで、細胞調整1溶液(番号950−124)を使用して抗原を回収し、引き続いて一次抗体を37℃で16分間、二次抗体を37℃で16分間添加し、TSA−H(VMSI番号760−4141)を添加してTSA Diluent(番号60900)又はリン酸緩衝食塩水中の単一チラミド溶液を使用及び20分間反応物をインキュベートして増幅した。Hematoxylinの4分間のインキュベーション、引き続いてBluing溶液の4分間のインキュベーションにより各スライドを対比染色し、勾配アルコールを使用して脱水し、カバーガラスで覆った。
シグナリングコンジュゲート評価:
明視野白色光顕微鏡を使用して、チラミドシグナルの評価を可視化した。各スライドは、Her2タンパク質高発現についての陽性対照(Calu−3異種移植片)、中間タンパク質レベル対照(ZR75−1異種移植片)及びHer2タンパク質発現についての陰性対照(MCF7異種移植片)で構成されていた。組織染色をヌクレオチド標的に対して行う前に、上記アッセイで特異的染色を有するチラミド溶液を最適染料強度についてさらに試験した。
シグナリングコンジュゲート溶解度及びpH:溶解度及びpHは、各チラミド染料に特有に可変性であることが分かった。例えば、マラカイトグリーンチラミドは、塩基性、pH8.5、TSA Diluent(VMSI製品番号60900)に不溶性であることが分かったが、中性pH7.4、リン酸緩衝食塩水を使用すると優れた溶解度を示し、色特性の変化はなかった。マラカイトグリーンチラミドについては、6.0未満のいずれのpH範囲も元の緑色溶液を望ましくない黄色に変えた。チラミド染料を明視野白色光様式で可視化するためには、組織スライド上で十分な着色した物質を産生するために、蛍光に使用するよりも10〜20倍程度高い、極めて高濃度を達成する必要があることも分かった。ストック溶液をミリモル以上の濃度で配合し、ワーキング溶液を各特有のチラミド染料にとって最適のpH及び溶解度で水性緩衝液に希釈した。
実施例1
患者の腫瘍再発の可能性を分類し、特定の療法から利益を得ることができる患者を同定するために、PCR又はマイクロアレイを使用した組織切片の遺伝子発現の照合がうまく使用されてきた。しかしながら、組織ベースのアッセイの値を改善する組織特異性及び細胞状況は、mRNA抽出中に失われてしまう。さらに、切片中に「混入」非腫瘍細胞が存在するために、偽陽性又は陰性結果が生じるおそれがある。よって、組織状況及び特異性並びに細胞−細胞関係を保護しながら、バイオマーカー発現の堅牢で再現性のある評価を可能にするmRNAを標的にする自動化インサイツハイブリダイゼーションアッセイ(mRNA−ISH)が必要とされている。細胞が2つのバイオマーカーのいずれか一方を発現しているが、両方は決して発現していない細胞クローン性を照合する試験に、状況の保護及び細胞−細胞核酸(RNA)混入を最小化する能力が望まれている。
mRNA標的の発現について試料を分析する方法を記載する。実例となる実施態様では、本方法は、試料をラベリング核酸プローブと接触させることを含む。ラベリングプローブの検出により、mRNA標的の発現に対応するシグナルが作り出される。本開示は、ヒトがん試料の細胞クローン性を決定するための組成物、キット及び方法をさらに記載する。具体的には、κ又はλmRNAのいずれかを発現している特定のB細胞集団のクローン増殖から生じるB細胞リンパ腫を記載する。
実例となる実施態様では、2つのmRNA標的の発現について試料を同時に分析する方法は、試料を第1のハプテンで標識されたmRNA標的プローブと接触させることと、試料を第2のハプテンで標識された内部mRNA標準プローブと接触させることと、試料を第1の発色検出試薬と接触させることと、試料を第2の発色検出試薬と接触させることと、内部mRNA標準の発現を提供する第2の発色検出試薬からの第2のシグナルを検出することと、mRNA標的の発現を提供する第1の発色検出試薬からの第1のシグナルを検出することとを含む。一実施態様では、所定のシグナルレベルより低い第2のシグナルを検出することは、試料がmRNA標的の分析のための完全性を欠いていることを示している。
がんは、細胞集団の無制御増殖から生じる。この集団は、単一変異体親細胞から生じるので、クローン集団を含み得る。クローン集団由来のがんの例には、B細胞のモノクローナル増殖から生じるB細胞非ホジキンリンパ腫(B−NHL)がある。κ又はλ軽鎖mRNAのいずれか及びそのB細胞受容体抗体の一部としてのタンパク質の唯一の発現により特定のB細胞集団のクローン増殖を検出することができる。B細胞のモノクローナル増殖を同定するための1つの手法は、κ及びλmRNAの発色二重染色である。図21(A〜B)を参照すると、代表的な発色二重染色手法が示されている。
悪性B細胞によるいずれかの軽鎖の均一な発現により、モノクローナルB細胞リンパ腫を正常な免疫応答中に得られるB細胞集団を発現しているポリクローナルκ及びλ軽鎖と差別化することが可能になる。軽鎖mRNA発現パターンを決定することは、種々のB細胞期由来のB細胞新生物が発現する軽鎖mRNA及び抗体タンパク質のコピー数範囲(ナイーブ及び記憶細胞:10〜100コピー/細胞;形質細胞:約100000コピー/細胞)により複雑にされる。図22は、異なる型の非ホジキンB細胞リンパ腫に関連する予測κ/λコピー数を示す概略図である。
本開示は、特に、一定範囲の軽鎖mRNAコピー数を発現している組織試料においてκ及びλmRNAを使用して試料を分析する高感度法を記載しているが、本明細書に記載する手法は一般的であり、特定の細胞集団が独特に発現している種々の有用なバイオマーカーに適用可能である。追加の標的及び標準的mRNAプローブへの開示技術の適用は、本開示の範囲内にある。開示技術をこのように適用することによって、本方法は、追加の疾患状態の照合、並びにがん患者のための改善した予測及び診断分析の開発、並びに新規なコンパニオン診断を可能にする。さらに、本開示は二色mRNA ISH分析を記載しているが、本発明の範囲は追加の色(例えば、三色、四色等)を含む。
実例となる実施態様では、特定の細胞集団が独特に発現しているmRNA標的の発現について試料を分析することにより細胞クローン性を決定する方法は、試料を第1のハプテンで標識された第1のmRNA標的プローブと接触させることと、試料を第2のハプテンで標識された第2のmRNA標的プローブと接触させることと、試料を第1の発色検出試薬と接触させることと、試料を第2の発色検出試薬と接触させることと、第1のmRNA標的の発現を提供する第1の発色検出試薬からの第1のシグナルを検出することと、第2のmRNA標的の発現を提供する第2の発色検出試薬からの第2のシグナルを検出することとを含む。一実施態様では、第1及び第2のシグナルは、試料についての細胞クローン性を示す。別の実施態様では、試料は特定のB細胞集団であり、第1及び第2のシグナルはκ又はλmRNAに対応する。
プローブ調製及び配合:相補(アンチセンス)及び非相補(センス)κ並びにλリボプローブを、T7プロモーターを含有するPCR増幅dsDNA鋳型からインビトロ転写した。製造業者(Label IT(登録商標)Technology、Mirus Bio LLC、Madison、WI)により指示されたように調製したリンカーアーム及びNHS−PEG8−ハプテンを使用して、核酸を異なるハプテン(DIG、DNP)により化学標識した。各プローブ25ngをハイブリダイゼーション緩衝液(Ribohybe(商標)、VMSI番号760−104)1mLに懸濁し、自動化スライド染色装置(VMSI、Discovery XT番号F−DISXT−750000)との互換性があるディスペンサー(VMSI、番号760−205)に入れた。
mRNAインサイツハイブリダイゼーション及び検出:mRNA ISH試薬(RiboMap、VMSI番号760−102)を使用して試料を染色した。ホルマリン固定パラフィン包埋臨床的扁桃及びリンパ腫組織試料をスライド(Super−Frost Ultra Plus(登録商標)、Menzel Glaser)上にマウントし、脱パラフィンし、細胞調整試薬(Cell Conditioning 1、VMSI番号950−124及びプロテアーゼ3、VMSI番号760−2020)を使用して抗原を回収した。回収後、カクテルハプテンラベリングHER2及びACTBアンチセンス鎖プローブ1滴(100μL)をスライド上に分配し、80℃で8分間変性させ、65℃で6時間ハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーション後、ストリンジェンシー緩衝液(0.1×SSC VMSI番号950−110)を使用して3回75℃で8分間スライドを洗浄して非特異的にハイブリダイズしたプローブを除去した。
二段増幅手順を使用して結合事象の各々についてのシグナルを増幅させた。試薬は、後で(3)第2のHRP−結合抗ハプテン抗体を結合させる(2)チラミド−ハプテンコンジュゲートの沈着を触媒するための(1)HRP−結合抗ハプテン抗体を含んでいた。HRPを使用して発色団並びにλについてはチラミドコンジュゲート及びκについてはDABの沈着を触媒した。
阻害剤(PO阻害剤、VMSI番号760−4143)1滴を分配し、12分間反応物をインキュベートすることにより、内因性組織ペルオキシダーゼ活性を不活性化した。数回の洗浄後、第2の増幅遮断試薬(TSAブロック、VMSI番号760−4142)1滴をスライド上に分配し、4分間インキュベートした。次に、HRP結合抗ハプテンモノクローナル抗体溶液1滴を分配した(アビジン希釈液+B5ブロッカーに調製した2.5μg/mlコンジュゲート、VMSI番号90040)。混合物を28分間インキュベートした。チラミド−ハプテンコンジュゲート1滴をスライド上に分配し、引き続いて過酸化水素溶液(TSA−H2O2、VMSI番号760−4141)1滴を分配し、反応物を20分間インキュベートさせることにより、チラミド媒介ハプテン増幅を行った。
この手順を繰り返してプローブカクテル中での第2のハプテンのチラミド媒介増幅を目指した。対照の研究により、過酸化物阻害剤の3回の連続適用を使用して前のHRP結合抗ハプテン抗体を不活性化することが好ましいことが示された。不活性化ステップを省略すると、シグナルの共局在化及び非特異的mRNAシグナルがもたらされた。次いで、過酸化物阻害剤の3回適用、同族抗ハプテンモノクローナル抗体の適用並びにチラミド−発色団コンジュゲート及び過酸化物の適用を含む同様の増幅戦略を使用してλ増幅ハプテンを順次検出した。DAB検出試薬(OptiView DAB、VMSI番号760−700)を使用して、κを示すハプテンを検出した。
次いで、ヘマトキシリン溶液及び青色発色試薬(VMSI、Hematoxylin II、番号790−2208 Bluing Reagent、番号760−2037)を使用して組織核を染色した。次いで、勾配アルコールを使用してスライドを脱水し、カバーガラスで覆った。
上記手順にしたがって処理した組織試料の代表的な顕微鏡写真を図23(A〜B)に示す。これらの写真は、(A)λmRNAを発現している細胞が極めて少ないことを示している、κmRNA(茶色)及びλmRNA(紫色、最小限で観察される)の二重染色を示す第1のリンパ腫組織試料、及び(B)κmRNAを発現している細胞が極めて少ないことを示している、κmRNA(茶色、最小限で観察される)及びλmRNA(紫色)の二重染色を示す第2のリンパ腫組織試料の顕微鏡写真である。観察されるほとんどモノクローナルの集団はがんを示している。
図24(A〜B)は、組織についての二重発色mRNA ISHκ(茶色)及びλ(紫)アッセイの顕微鏡写真である。図24(A)では、ポリクローナルB細胞集団が紫又は茶のいずれかで明らかに染色されており、細胞がλ又はκmRNAのいずれかを発現していることを示している。試料は、κとλmRNAの両方について高レベルの発現を示している。図24(B)は、がんを示すモノクローナル細胞集団を示す試料の一部を示している。κとλmRNA発現間の差が最小であるので、試料中のκ及びλmRNA発現の高い発現が、全体として、試料の分子分析を混乱させるだろう。しかしながら、病理組織学的分析を通してκ及びλmRNAの発現が可視化されるので、本明細書に記載する二重染色手法によりモノクローナル集団の検出が可能になる。
二色mRNA−ISHは、既存の及びまだ発見されていないISH及びIHC分析の代替として又はこれらを補足するものとして、大多数の試料に技術的に実行可能である。二色検出系により、非クローン性反応プロセスからのクローン性リンパ腫試料の差別化の権限が与えられる。さらに、種々のリンパ腫事例で、高感度検出及び低コピーmRNA標的の識別についてのアッセイの有用性が証明された。まとめると、これらの知見により、この手法が特定の集団が独特に発現しているmRNAバイオマーカーを使用して細胞クローン性を決定するのに有用であることが示されている。
さらに、発色団及びチラミドコンジュゲートを使用することにより、新規なクラスの二色発色分析が可能になる。コンジュゲートは、その狭いバンド幅(例えば、FWHM)のために多重化に修正可能である。コンジュゲートは、長期間試薬として安定である。コンジュゲートは、沈殿する伝統的な発色体システムと対照的に組織に共有結合するので、コンジュゲートは染色後処理又はその後の染色ステップによる悪影響を受けない。標的の劇的な増幅により、明視野検出及び標的の近位に局在化した有意な濃度の発色団が可能になる。これらの高濃度により、特に蛍光検出に適した濃度と比べて、光退色に関連する多くの懸念が克服される。新規な発色団及びチラミドコンジュゲートを使用することにより、重要な新規なクラスの分析方法論−発色mRNA ISHが可能になった。
実施例2
生体試料(例えば、ホルマリン固定パラフィン包埋組織、「FFPE組織」)におけるmRNA−ISHアッセイ有用性の障害には、試料mRNA完全性/到達性及びアッセイ性能に影響を及ぼす試料調製(例えば、組織固定)の変動が含まれる。本開示の一態様は、アッセイ性能及び試料完全性を監視するためにバイオマーカー発現と内部対照遺伝子発現の同時分析を可能にする、FFPE試料のための自動化mRNA−ISHアッセイを開発したというものである。1つの具体的な例によると、臨床的乳がんFFPE組織塊を、INFORM HER2 Dual ISH及びIHCアッセイ(Ventana Medical Systems,Inc.)をそれぞれ使用してHER2遺伝子コピー数及びHer2タンパク質発現について特徴づけた。既知の方法にしたがってqPCRを使用して、ACTB(β−アクチン)に対するHER2 mRNA発現レベルを決定した。遺伝子コピー、タンパク質発現及びqPCR分析の結果を、FFPE試料においてHER2及びACTB mRNAのmRNA−ISH検出を通して得られた結果(図27)と比較した。様々な組織回収条件を使用して、mRNA完全性が損なわれる、試料を同定するための内部mRNA標準の有用性を試験した。
本開示は、特に、HER2及びACTB mRNAを使用して試料を分析する方法を記載しているが、本明細書に記載する手法は一般的であり、種々の有用なバイオマーカーに適用可能である。追加の標的及び標準的mRNAプローブへの開示技術の適用は、本開示の範囲内にある。
実例となる実施態様では、mRNA標的及び内部mRNA標準の発現について試料を分析する方法は、試料を第1のハプテンで標識されたmRNA標的プローブと接触させることと、試料を第2のハプテンで標識された内部mRNA標準プローブと接触させることと、試料を第1のシグナリングコンジュゲートと接触させることと、試料を第2のシグナリングコンジュゲートと接触させることと、内部mRNA標準の発現を提供する第2のシグナリングコンジュゲートからの第2のシグナルを検出することと、mRNA標的の発現を提供する第1のシグナリングコンジュゲートからの第1のシグナルを検出することとを含む。一実施態様では、所定のシグナルレベルより低い第2のシグナルを検出することは、試料がmRNA標的を分析するための適合性を欠いていることを示している。別の実施態様では、第1のシグナルを検出することは、mRNAの発現を半定量的に決定することを含む。
実例となる実施態様では、試料を第1のシグナリングコンジュゲートと接触させることは、試料を第1のハプテンに特異的な第1の抗ハプテン抗体及び酵素コンジュゲートと接触させることと、試料を第3のハプテン及びチラミド誘導体コンジュゲートと接触させることと、試料を第3のハプテンに特異的な第3の抗ハプテン抗体及び酵素コンジュゲートと接触させることと、試料を第1の発色体と接触させることとを含む。さらなる実例となる実施態様では、試料を第2のシグナリングコンジュゲートと接触させることは、試料を第2のハプテンに特異的な第2の抗ハプテン抗体及び酵素コンジュゲートと接触させることと、試料を第4のハプテン及びチラミド誘導体コンジュゲートと接触させることと、試料を第4のハプテンに特異的な第4の抗ハプテン抗体及び酵素コンジュゲートと接触させることと、試料を第2の発色体と接触させることとを含む。一実施態様では、第1の発色体は、DAB、AEC、CN、BCIP/NBT、fast red、fast blue、フクシン、NBT及びALK GOLDからなる群から選択される。別の実施態様では、第2の発色体は、発色団及びチラミドコンジュゲートを含む。一実施態様では、第2の発色体は、DAB、AEC、CN、BCIP/NBT、fast red、fast blue、フクシン、NBT及びALK GOLDからなる群から選択される。さらに別の実施態様では、第1の発色体は、発色団及びチラミドコンジュゲートを含む。
プローブ調製及び配合:相補(アンチセンス)及び非相補(センス)HER2並びにACTBリボプローブを、T7プロモーターを含有するPCR増幅dsDNA鋳型からインビトロ転写した。製造業者(Label IT(登録商標)Technology、Mirus Bio LLC、Madison、WI)により指示されたように調製したリンカーアーム及びNHS−PEG8−ハプテンを使用して、核酸を異なるハプテン(DIG、DNP)により化学標識した。各プローブ25ngをハイブリダイゼーション緩衝液(Ribohybe(商標)、VMSI番号760−104)1mLに懸濁し、自動化スライド染色装置(VMSI、Discovery XT番号F−DISXT−750000)との互換性があるディスペンサー(VMSI、番号760−205)に入れた。
mRNAインサイツハイブリダイゼーション及び検出:mRNA ISH試薬(RiboMap、VMSI番号760−102)を使用して試料を染色した。ホルマリン固定パラフィン包埋臨床乳房組織試料をスライド(Super−Frost Ultra Plus(登録商標)、Menzel Glaser)上にマウントし、脱パラフィンし、細胞調整試薬(Cell Conditioning 1、VMSI番号950−124及びプロテアーゼ3、VMSI番号760−2020)を使用して抗原を回収した。回収後、カクテルハプテンラベリングHER2及びACTBアンチセンス鎖プローブ1滴(100μL)をスライド上に分配し、80℃で8分間変性させ、65℃で6時間ハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーション後、ストリンジェンシー緩衝液(0.1×SSC VMSI番号950−110)を使用して3回75℃で8分間スライドを洗浄して非特異的にハイブリダイズしたプローブを除去した。
二段増幅手順を使用して結合事象の各々についてのシグナルを増幅させた。試薬は、後で(3)第2のHRP−結合抗ハプテン抗体を結合させる(2)チラミド−ハプテンコンジュゲートの沈着を触媒するための(1)HRP−結合抗ハプテン抗体を含んでいた。HRPを使用して発色団並びにACTBについてはチラミドコンジュゲート及びHERについてはDABの沈着を触媒した。
阻害剤(PO阻害剤、VMSI番号760−4143)1滴を分配し、12分間反応物をインキュベートすることにより、内因性組織ペルオキシダーゼ活性を不活性化した。数回の洗浄後、第2の増幅遮断試薬(TSAブロック、VMSI番号760−4142)1滴をスライド上に分配し、4分間インキュベートした。次に、HRP結合抗ハプテンモノクローナル抗体溶液1滴を分配した(アビジン希釈液+B5ブロッカーに調製した2.5μg/mlコンジュゲート、VMSI番号90040)。混合物を28分間インキュベートした。チラミド−ハプテンコンジュゲート1滴をスライド上に分配し、引き続いて過酸化水素溶液(TSA−H2O2、VMSI番号760−4141)1滴を分配し、反応物を20分間インキュベートさせることにより、チラミド媒介ハプテン増幅を行った。
この手順を繰り返してプローブカクテル中での第2のハプテンのチラミド媒介増幅を目指した。対照の研究により、過酸化物阻害剤の3回の連続適用を使用して前のHRP結合抗ハプテン抗体を不活性化することが好ましいことが示された。不活性化ステップを省略すると、シグナルの共局在化及び非特異的mRNAシグナルがもたらされた。次いで、過酸化物阻害剤の3回適用、同族抗ハプテンモノクローナル抗体の適用並びにチラミド−発色団コンジュゲート及び過酸化物の適用を含む同様の増幅戦略を使用してACTB増幅ハプテンを順次検出した。DAB検出試薬(OptiView DAB、VMSI番号760−700)を使用して、HER2を示すハプテンを検出した。
次いで、ヘマトキシリン溶液及び青色発色試薬(VMSI、Hematoxylin II、番号790−2208 Bluing Reagent、番号760−2037)を使用して組織核を染色した。次いで、勾配アルコールを使用してスライドを脱水し、カバーガラスで覆った。
上記手順にしたがって処理した組織試料の代表的な顕微鏡写真を図25(A〜B)に示す。図25(A)は(A)4時間固定した組織試料及び(B)24時間固定した組織試料に行ったACTB分析の顕微鏡写真を示している。第1の試料(図25(A))は、不適当な固定条件のために試料完全性を欠いていると分類された弱いACTB染色を含んでいる。第2の試料(図25(B))は、強いACTB染色を含み、HER2評価に適していると分類された(図25(A〜B)は単一色しか含まない)。図26(A〜C)は、ACTB mRNAの二色mRNA ISH染色並びに(A)陰性(0+)HER2 mRNA ISH染色、(B)陽性(1/2+)HER2 mRNA ISH染色及び(C)陽性(3+)HER2 mRNA ISH染色を示す臨床的組織試料の例を示している。図28は、HER2 ISH分析(VENTANA INFORM HER2 Dual ISHアッセイ、VMSI)、HER2 IHC分析(PATHWAY HER−2/neu、OptiView DAB、VMSI)及びHER2 mRNA二色ISHの結果を含む20個の組織塊からのデータである。
mRNA ACTBシグナルは、アッセイプレハイブリダイゼーション処理によって影響されるので、アッセイ性能の評価及び適当なアッセイ条件の決定に有用であることが分かった。HER2 mRNA−ISHシグナルは主に、調和したコピー数及びタンパク質レベルを有する試料中のコピー数及びタンパク質発現と相関し、調和しない試料(正常なコピー数と増加したタンパク質発現又は増加したコピー数とわずかに検出可能なタンパク質発現)では、HER2 mRNA−ISHシグナルが大いに上昇した。まとめると、これらの知見は、mRNA−ISHアッセイが、調和しないHER2遺伝子コピー数及びタンパク質レベルを抱える試料を明らかにするためのコンパニオンアッセイとして役立ち得ることを示唆している。さらに、これらの研究により、FFPE組織の細胞状態を保護する遺伝子発現のための到達可能な明視野アッセイプラットホームの有用性が示されている。
上記及び図4に含まれるデータから、以下の結論が出された。二色mRNA−ISHは、既存の及びまだ発見されていないISH及びIHC分析の代替として又はこれらを補うものとして大多数の試料に技術的に実行可能である。ACTB内部対照又は同様の内部対照を含めることにより、分析に適さない組織及び/又はアッセイ失敗の同定が可能になる。したがって、本開示は、試料の不適切性又はアッセイ失敗による偽陰性率を減少させる新規な手法を記載している。HER2 mRNA−ISHシグナルを確立した従来のHer2タンパク質レベルと大いに調和した3つの発現パターンに分類することができる。ここでは、HER2 DNA−ISH及びIHCはそれぞれ試料の10%及び5%で調和しない。遺伝子発現分析(qPCR及びmRNA−ISH)は、調和しない試料のDNAコピー数又はタンパク質レベルのいずれかと相関する。二色明視野HER2/ACTB mRNA−ISHアッセイは、調和しない試料を明らかにするためのコンパニオン試験として役立ち得る。
さらに、発色団及びチラミドコンジュゲートを使用することにより、新規なクラスの二色発色分析が可能になる。コンジュゲートは、その狭いバンド幅(例えば、FWHM)のために多重化に修正可能である。コンジュゲートは、長期間試薬として安定である。コンジュゲートは、沈殿する伝統的な発色体システムと対照的に組織に共有結合するので、コンジュゲートは染色後処理又はその後の染色ステップによる悪影響を受けない。標的の劇的な増幅により、明視野検出及び標的の近位に局在化した有意な濃度の発色団が可能になる。これらの高濃度により、特に蛍光検出に適した濃度と比べて、光退色に関連する多くの懸念が克服される。新規な発色団及びチラミドコンジュゲートを使用することにより、重要な新規なクラスの分析方法論−発色mRNA ISHが可能になった。
実施例3
DNP又はDIGラベリング(0.25ng/ml最終濃度)PTEN DNA ISHプローブを1〜3時間ホルムアミド含有緩衝液中でハイブリダイズし、引き続いて2×SSC中でストリンジェンシー洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼと結合させた抗DNP又は抗DIGモノクローナル抗体(2.5ng/ml最終濃度)によりプローブ検出を媒介した。H(0.003%の最終百分率)を添加することにより、ローダミン−チラミド(12.5μM最終濃度)の沈着を触媒した。図28(A〜B)は、VCAP異種移植片腫瘍細胞中のPTEN DNA ISHプローブを検出するためにこの実施態様を使用して得られた結果を示している。図28(A)は40倍倍率で撮影した画像であり、図28(B)は63倍倍率で撮影した組織の別の領域の画像である。
実施例4
DNP又はDIGラベリング(0.25ng/ml最終濃度)ERG5’ DNA ISHプローブを1〜3時間ホルムアミド含有緩衝液中でハイブリダイズし、引き続いて2×SSC中でストリンジェンシー洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼと結合させた抗DNP又は抗DIGモノクローナル抗体(2.5ng/ml最終濃度)によりプローブ検出を媒介した。H(0.003%の最終百分率)を添加することにより、ローダミン−チラミド(12.5μM最終濃度)の沈着を触媒した。
さらに、プローブと結合したHRP結合抗DNP又は抗DIGモノクローナル抗体を使用して、Hを添加することによりチラミド−BF沈着(6.25μM最終濃度)を触媒する。組織中の共有結合増幅コンジュゲートは、HRP(2.5ng/ml最終濃度)と結合したモノクローナル抗BF抗体のための結合部位として働き、シグナリングコンジュゲート(25μM最終濃度)及びHを添加することによりシグナリングコンジュゲートの沈着を触媒した。
図29は、MCF7異種移植片腫瘍細胞中のERG5’DNA ISHプローブを検出するためにこの実施態様を使用して得られた結果を示している。
実施例5
DNP又はDIGラベリング(0.25ng/ml最終濃度)ERG3’ DNA ISHプローブを1〜3時間ホルムアミド含有緩衝液中でハイブリダイズし、引き続いて2×SSC中でストリンジェンシー洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼと結合させた抗DNP又は抗DIGモノクローナル抗体(2.5ng/ml最終濃度)によりプローブ検出を媒介した。H(0.003%の最終百分率)を添加することにより、Dabsyl−チラミド(12.5μM最終濃度)の沈着を触媒した。
さらに、プローブと結合したHRP結合抗DNP又は抗DIGモノクローナル抗体を使用して、Hを添加することにより増幅コンジュゲート沈着(6.25μM最終濃度)を触媒する。組織中の共有結合増幅コンジュゲートは、HRP(2.5ng/ml最終濃度)と結合したモノクローナル抗NP抗体のための結合部位として働き、シグナリングコンジュゲート(25μM最終濃度)及びHを添加することによりシグナリングコンジュゲートの沈着を触媒した。
図30は、MCF7異種移植片腫瘍細胞中のERG3’DNA ISHプローブを検出するためにこの実施態様を使用して得られた結果を示している。
実施例6
DNP又はDIGラベリング(0.25ng/ml最終濃度)ERG3’及びERG5’DNA ISHプローブを1〜3時間ホルムアミド含有緩衝液中でハイブリダイズし、引き続いて2×SSC中でストリンジェンシー洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼと結合させた抗DNP又は抗DIGモノクローナル抗体(2.5ng/ml最終濃度)によりプローブ検出を媒介した。H(0.003%の最終百分率)を添加することにより、ローダミン−チラミド及びDabsyl−チラミドコンジュゲート(12.5μM最終濃度)の沈着を触媒した。
さらに、プローブと結合したHRP結合抗DNP又は抗DIGモノクローナル抗体を使用して、Hを添加することにより増幅コンジュゲート沈着(6.25μM最終濃度)を触媒する。組織中の共有結合増幅コンジュゲートは、HRP(2.5ng/ml最終濃度)と結合したモノクローナル抗BF及び抗NP抗体のための結合部位として働き、シグナリングコンジュゲート(25μM最終濃度)及びHを添加することによりシグナリングコンジュゲートの沈着を触媒した。
図31は、MCF7異種移植片腫瘍細胞中のERG3’とERG5’DNA ISHプローブの両方を検出するためにこの実施態様を使用して得られた結果を示している。ERG5’−ローダミンシグナルとERG3’Dabsylシグナルの複合検出から赤色プローブシグナルが産生される。
実施例7
この実施態様は、複数のシグナリングコンジュゲートを使用して前立腺癌細胞におけるERG遺伝子再配列を検出することに関する。
DNP又はDIGラベリング(0.25ng/ml最終濃度)ERG3’及びERG5’DNA ISHプローブを1〜3時間ホルムアミド含有緩衝液中でハイブリダイズし、引き続いて2×SSC中でストリンジェンシー洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼと結合させた抗DNP又は抗DIGモノクローナル抗体(2.5ng/ml最終濃度)によりプローブ検出を媒介した。H(0.003%の最終百分率)を添加することにより、ローダミン−チラミド及びDabsyl−チラミドコンジュゲート(12.5μM最終濃度)の沈着を触媒した。
さらに、プローブと結合したHRP結合抗DNP又は抗DIGモノクローナル抗体を使用して、Hを添加することにより増幅コンジュゲート沈着(6.25μM最終濃度)を触媒する。組織中の共有結合増幅コンジュゲートは、HRP(2.5ng/ml最終濃度)と結合したモノクローナル抗BF及び抗NP抗体のための結合部位として働き、シグナリングコンジュゲート(25μM最終濃度)及びHを添加することによりシグナリングコンジュゲートの沈着を触媒した。
図32は、VCAP異種移植片腫瘍細胞中のERG3’とERG5’DNA ISHプローブの両方を検出するためにこの実施態様を使用して得られた結果を示している。個々の及び融合したプローブシグナルを矢印で示している:融合したERG5’−ローダミン及びERG3’−Dabsylシグナル(矢印での赤色シグナル)は、別の紫色ERG5’−ローダミンシグナル(矢頭)及び別の黄色ERG3’−Dabsylシグナル(厚いブロック矢印)に分かれている。
実施例8
この実施態様は、複数のシグナリングコンジュゲートを使用してCARPUS癌細胞におけるALK遺伝子再配列を検出することに関する。
DNP又はDIGラベリング(0.25ng/ml最終濃度)Alk3’及びAlk5’DNA ISHプローブを1〜3時間ホルムアミド含有緩衝液中でハイブリダイズし、引き続いて2×SSC中でストリンジェンシー洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼと結合させた抗DNP又は抗DIGモノクローナル抗体(2.5ng/ml最終濃度)によりプローブ検出を媒介した。H(0.003%の最終百分率)を添加することにより、ローダミン−チラミド及びDabsyl−チラミドコンジュゲート(12.5μM最終濃度)の沈着を触媒した。
さらに、プローブと結合したHRP結合抗DNP又は抗DIGモノクローナル抗体を使用して、Hを添加することにより増幅コンジュゲート沈着(6.25μM最終濃度)を触媒する。組織中の共有結合増幅コンジュゲートは、HRP(2.5ng/ml最終濃度)と結合したモノクローナル抗BF及び抗NP抗体のための結合部位として働き、シグナリングコンジュゲート(25μM最終濃度)及びHを添加することによりシグナリングコンジュゲートの沈着を触媒した。
図33は、CARPUS細胞ペレット中のAlk3’とAlk5’DNA ISHプローブの両方を検出するためにこの実施態様を使用して得られた結果を示している。ALK遺伝子再配列を有する2つの細胞中のプローブシグナルを矢印で示した;融合したAlk5’−ローダミン及びAlk3’−Dabsylシグナル(矢印での赤色シグナル)は、別の紫色Alk5’−ローダミンシグナル(矢頭)及び別の黄色Alk3’−Dabsylシグナル(厚いブロック矢印)に分かれている。
実施例9
この実施態様は、複数のシグナリングコンジュゲートを使用してヒト肺がん組織におけるALK遺伝子再配列を検出することに関する。
DNP又はDIGラベリング(0.25ng/ml最終濃度)Alk3’及びAlk5’DNA ISHプローブを1〜3時間ホルムアミド含有緩衝液中でハイブリダイズし、引き続いて2×SSC中でストリンジェンシー洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼと結合させた抗DNP又は抗DIGモノクローナル抗体(2.5ng/ml最終濃度)によりプローブ検出を媒介した。H(0.003%の最終百分率)を添加することにより、ローダミン−チラミド及びDabsyl−チラミドコンジュゲート(12.5μM最終濃度)の沈着を触媒した。
さらに、プローブと結合したHRP結合抗DNP又は抗DIGモノクローナル抗体を使用して、Hを添加することにより増幅コンジュゲート沈着(6.25μM最終濃度)を触媒する。組織中の共有結合増幅コンジュゲートは、HRP(2.5ng/ml最終濃度)と結合したモノクローナル抗BF及び抗NP抗体のための結合部位として働き、シグナリングコンジュゲート(25μM最終濃度)及びHを添加することによりシグナリングコンジュゲートの沈着を触媒した。
図34は、肺腺癌の4ミクロン切片中のAlk3’とAlk5’DNA ISHプローブの両方を検出するためにこの実施態様を使用して得られた結果を示している。ボックス内の領域は、ALK遺伝子の1コピーが再配列した腫瘍細胞を示しており、複合型Alk5’−ローダミン及びAlk3’−Dabsylシグナル(矢印での赤色シグナル)を、別の紫色Alk5’−ローダミンシグナル(矢頭)及び別の黄色Alk3’−Dabsylシグナル(厚いブロック矢印)に分けている。
実施例10
この実施態様は、第3の色を作成するために、同時に2つの異なる色のシグナリングコンジュゲートを使用して18S RNA標的を検出することに関する。図35(A〜C)は、mRNA ISHアッセイを使用したCalu−3細胞中の遺伝子標的の直接検出を示す顕微鏡写真である。図35(A)はローダミン−チラミドコンジュゲートを使用した18S RNA標的の検出を示している。図35(B)はDABSYL−チラミドコンジュゲートの直接沈着を使用した18S RNA標的の検出を示している。図35(C)はDABSYL−チラミドコンジュゲートとRhod−チラミドコンジュゲートの両方を使用した検出を示している。図35(A)で観察されるシグナルは紫に見え、図35(B)のシグナルは橙に見え、図35(C)のシグナルは赤に見える。図36は、多重化IHCアッセイを使用してCalu−3細胞中のHER2及びP53タンパク質を直接検出することを示す顕微鏡写真である。HER2はDABSYL−チラミドコンジュゲートの直接沈着により検出される。P53はローダミン−チラミドコンジュゲートの直接沈着により検出される。図35(A〜B)に示す2つのシグナリングコンジュゲートを共に使用して第3の組み合わせ、色を産生することができるが、これらの2つの発色体を、各色を特定の標的に割り当てることができる多重化フォーマットで使用することもできる。
開示する発明の原理を適用することができる多くの可能な実施態様に照らして、示す実施態様は本発明の単なる好ましい例に過ぎず、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではないことを認識すべきである。それどころか、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲により定義される。そのため、本発明者らは、これらの特許請求の範囲の範囲及び精神に入るもの全てを発明として主張する。

Claims (28)

  1. 生体試料を第1の検出プローブと接触させることと;
    前記生体試料を、第1の酵素を含む第1のラベリングコンジュゲートと接触させることと;
    前記生体試料を、第1の潜在的反応性部分及び第1の発色部分を含む第1のシグナリングコンジュゲートと接触させることと;
    前記生体試料に光を照射することと;
    前記第1のシグナリングコンジュゲートの前記第1の発色部分による前記光の吸光度を通して第1の標的を検出することと
    を含む、生体試料中の第1の標的を検出する方法であって、
    前記酵素が、前記第1の標的の近位で又は前記第1の標的上で直接的に前記生体試料と共有結合する第1の反応性部分への前記第1の潜在的反応性部分の変換を触媒する、方法。
  2. 前記第1の検出プローブがオリゴヌクレオチド断片又は抗体を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  3. 前記第1のラベリングコンジュゲートが前記酵素とカップリングした抗体を含み、前記酵素が酸化還元酵素又はペルオキシダーゼである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記抗体が抗種抗体又は抗ハプテン抗体である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記第1の反応性部分が、前記生体試料のチロシン残基、前記第1のラベリングコンジュゲート、前記第1の検出プローブ、又はこれらの組み合わせと反応する、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記第1の検出プローブが、オキサゾールハプテン、ピラゾールハプテン、チアゾールハプテン、ニトロアリールハプテン、ベンゾフランハプテン、トリテルペンハプテン、尿素ハプテン、チオ尿素ハプテン、ロテノイドハプテン、クマリンハプテン、シクロリグナンハプテン、ジニトロフェニルハプテン、ビオチンハプテン、ジゴキシゲニンハプテン、フルオレセインハプテン、及びローダミンハプテンからなる群から選択されるハプテンを含む、請求項2に記載の方法。
  7. 前記シグナリングコンジュゲートによる前記光の吸光度が、入射光の少なくとも約5%又は入射光の少なくとも約20%の吸光度を含む、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記第1のシグナリングコンジュゲートによる前記光の吸光度を通して前記標的を検出することが、赤、橙、黄、緑、藍又は紫から選択される第1の着色シグナルを検出することを含み、前記第1の着色シグナルが前記第1のシグナリングコンジュゲートの前記第1の発色部分に関連するスペクトル吸光度に関連する、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記第1のシグナリング化合物の前記第1の発色部分に関連する前記スペクトル吸光度が、約30nm〜約250nmの間、約30nm〜約150nmの間、約30nm〜約100nmの間又は約20nm〜約60nmの間の半値全幅(FWHM)を有する、請求項8に記載の方法。
  10. 検出が、明視野顕微鏡又は同等のデジタルスキャナーを使用することを含む、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記生体試料に光を照射することが、前記生体試料にスペクトルが狭い光源を照射することを含み、前記スペクトルが狭い光源が約30nm〜約250nmの間、約30nm〜約150nmの間、約30nm〜約100nmの間又は約20nm〜約60nmの間の第2の半値全幅(FWHM)を有するスペクトル放射を有する、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記生体試料に光を照射することが、前記生体試料にLED光源を照射することを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記生体試料に光を照射することが、前記生体試料にフィルタリングした光源を照射することを含む、請求項11に記載の方法。
  14. 前記生体試料を、前記第1のラベリングコンジュゲートの近位に又は前記第1のラベリングコンジュゲート上に直接的に共有結合により沈着した第1の増幅コンジュゲートと接触させることをさらに含む、請求項1ないし13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記生体試料を過酸化物と接触させることをさらに含む、請求項1ないし14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記生体試料を第1の増幅コンジュゲートと接触させることと;
    前記生体試料を二次ラベリングコンジュゲートと接触させることと
    をさらに含む、請求項1ないし15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記生体試料を酵素阻害剤と接触させることと;
    前記生体試料を第2の検出プローブと接触させることと;
    前記生体試料を、第2の酵素を含む第2のラベリングコンジュゲートと接触させることと;
    前記生体試料を、第2の潜在的反応性部分及び第2の発色部分を含む第2のシグナリングコンジュゲートと接触させることと
    をさらに含み、前記第2の酵素が、前記第2の標的の近位で又は前記第2の標的上で直接的に生体試料と共有結合する第2の反応性部分への前記第2の潜在的反応性部分の変換を触媒する、請求項1ないし16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記生体試料を第2の増幅コンジュゲートと接触させることと;
    前記生体試料を第2の二次ラベリングコンジュゲートと接触させることと
    をさらに含む、請求項17に記載の方法。
  19. 前記第1の酵素と前記第2の酵素が同じである、請求項17又は18に記載の方法。
  20. 第3、第4、第5又は第6の標的をさらに検出する、請求項17ないし19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記第3、第4、第5又は第6の標的を検出することが、
    前記生体試料を合計3〜6個の検出プローブと接触させることと;
    前記生体試料を、酵素を含む合計3〜6個のラベリングコンジュゲートと接触させることと;
    前記生体試料を、潜在的反応性部分及び発色部分を含む合計3〜6個のシグナリングコンジュゲートと接触させることと
    を含み、前記酵素が、それぞれ前記第3、第4、第5又は第6の標的の近位で又は前記第3、第4、第5又は第6の標的上で直接的に前記生体試料と共有結合する3〜6個の反応性部分への前記3〜6個の潜在的反応性部分の変換を触媒する、請求項20に記載の方法。
  22. 前記生体試料を合計3〜6個の増幅コンジュゲートと接触させることと;
    前記生体試料を合計3〜6個の二次ラベリングコンジュゲートと接触させることと
    をさらに含む、請求項20又は21に記載の方法。
  23. 前記第1、第2、第3、第4、第5及び第6の増幅コンジュゲートが、存在する場合、互いに異なる、請求項22に記載の方法。
  24. 前記生体試料を前記3〜6個のシグナリングコンジュゲートの1つと接触させる前に、前記生体試料を酵素阻害剤と接触させることをさらに含む、請求項21ないし23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記3〜6個の標的を検出することが、赤、橙、黄、緑、藍又は紫から選択される合計3〜6個の着色シグナルを検出することにより、前記3〜6個のシグナリングコンジュゲートによる光の吸光度を検出することを含み、前記合計3〜6個の着色シグナルが前記3〜6個のシグナリングコンジュゲートの前記合計3〜6個の発色部分に関連するスペクトル吸光度に関連し、前記3〜6個の発色部分の前記スペクトル吸光度が互いに異なる、請求項24に記載の方法。
  26. 前記第1の標的及び前記第2の標的が遺伝子核酸であり、
    前記第1のシグナリングコンジュゲートによる前記光の吸光度を通して前記第1の標的を検出することが、前記第1のシグナリングコンジュゲートの前記第1の発色部分に関連するスペクトル吸光度に関連する、赤、橙、黄、緑、藍又は紫から選択される第1の着色シグナルを検出することを含み;
    前記第2のシグナリングコンジュゲートによる前記光の吸光度を通して前記第2の標的を検出することが、前記第2のシグナリングコンジュゲートの前記第2の発色部分に関連するスペクトル吸光度に関連する、赤、橙、黄、緑、藍又は紫から選択される第2の着色シグナルを検出することを含み;
    前記第2のシグナリングコンジュゲートに近接して重複する前記第1のシグナリングコンジュゲートによる前記光の吸光度を通して近接した重複を検出して、前記第1のスペクトル吸光度及び前記第2のスペクトル吸光度の重複スペクトル吸光度に関連する第3の着色シグナルを生じさせる、
    請求項17ないし19のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記第3の色が正常な遺伝子配列を示し、前記第1及び第2の色が遺伝子再配列又は転座を示す、請求項26に記載の方法。
  28. 前記生体試料をチロシン含有試薬と接触させることと;
    前記生体試料を、前記チロシン含有試薬を前記生体試料に結合させる架橋試薬と接触させることと
    をさらに含み、前記チロシン含有試薬が各シグナリングコンジュゲートのための追加の共有結合部位を提供する、請求項1ないし27のいずれか一項に記載の方法。
JP2015503414A 2012-03-27 2013-03-22 シグナリングコンジュゲート及び使用法 Active JP6101782B2 (ja)

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201261616330P 2012-03-27 2012-03-27
US61/616,330 2012-03-27
US201261710607P 2012-10-05 2012-10-05
US61/710,607 2012-10-05
US201361778093P 2013-03-12 2013-03-12
US61/778,093 2013-03-12
PCT/US2013/033462 WO2013148498A1 (en) 2012-03-27 2013-03-22 Signaling conjugates and methods of use

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2015514214A true JP2015514214A (ja) 2015-05-18
JP2015514214A5 JP2015514214A5 (ja) 2015-08-20
JP6101782B2 JP6101782B2 (ja) 2017-03-22

Family

ID=48050324

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015503414A Active JP6101782B2 (ja) 2012-03-27 2013-03-22 シグナリングコンジュゲート及び使用法

Country Status (8)

Country Link
US (8) US10041950B2 (ja)
EP (1) EP2831587B1 (ja)
JP (1) JP6101782B2 (ja)
AU (1) AU2013240090B2 (ja)
CA (1) CA2867144C (ja)
DK (1) DK2831587T3 (ja)
ES (1) ES2678211T3 (ja)
WO (1) WO2013148498A1 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019523000A (ja) * 2016-07-18 2019-08-22 セル アイディーエックス, インコーポレイテッド 抗原をカップリングさせたハイブリダイゼーション試薬
JP2020514701A (ja) * 2016-12-19 2020-05-21 ヴェンタナ メディカル システムズ, インク. 定量的免疫組織化学のための方法及びシステム
US10778913B2 (en) 2013-03-12 2020-09-15 Ventana Medical Systems, Inc. Digitally enhanced microscopy for multiplexed histology
JP7455816B2 (ja) 2018-09-20 2024-03-26 ヴェンタナ メディカル システムズ, インク. クマリン系架橋試薬

Families Citing this family (32)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ES2678211T3 (es) 2012-03-27 2018-08-09 Ventana Medical Systems, Inc. Conjugados de señalización y procedimientos de uso
EP2971064B1 (en) 2013-03-12 2019-10-16 Ventana Medical Systems, Inc. Proximity assay for in situ detection of targets
EP3110966A1 (en) * 2014-02-24 2017-01-04 Ventana Medical Systems, Inc. Automated rna detection using labeled 2'-o-methyl rna oligonucleotide probes and signal amplification systems
AU2015220783B2 (en) 2014-02-24 2021-02-04 Ventana Medical Systems, Inc. Methods, kits, and systems for scoring the immune response to cancer by simultaneous detection of CD3, CD8, CD20, and FoxP3
WO2015184144A1 (en) * 2014-05-28 2015-12-03 Siemens Healthcare Diagnostics Inc. Rare molecule signal amplification
DK3152577T3 (en) 2014-06-06 2018-10-01 Ventana Med Syst Inc SIGNIFICANCE OF INTRATUMORAL HER2 HETEROGENITY IN BREAST CANCER AND APPLICATIONS HEFAR
US20160009805A1 (en) 2014-07-11 2016-01-14 Genentech, Inc. Anti-pd-l1 antibodies and diagnostic uses thereof
WO2016050913A2 (en) 2014-10-02 2016-04-07 Ventana Medical Systems, Inc. Polymers and conjugates comprising the same
JP6492501B2 (ja) * 2014-10-03 2019-04-03 ニプロ株式会社 判定装置、判定方法及びコンピュータプログラム
WO2016061460A1 (en) * 2014-10-17 2016-04-21 Carnegie Mellon University Enhanced biomolecule detection assays based on tyramide signal amplification and gammapna probes
EP3224621B1 (en) 2014-11-25 2019-06-12 Ventana Medical Systems, Inc. Proximity assays using chemical ligation and hapten transfer
IL282614B2 (en) 2015-02-06 2024-02-01 Cell Idx Inc Antigen-conjugated immune reagents
AU2016261279B2 (en) 2015-05-10 2020-12-10 Ventana Medical Systems, Inc. Compositions and methods for simultaneous inactivation of alkaline phosphatase and peroxidase enzymes during automated multiplex tissue staining assays
CN107923915B (zh) 2015-08-28 2021-05-04 文塔纳医疗系统公司 使用经掩蔽的半抗原在福尔马林固定石蜡包埋的组织中的蛋白质邻近测定
AU2016357478B2 (en) * 2015-11-22 2023-07-06 Ventana Medical Systems, Inc. Methods of identifying immune cells in PD-L1 positive tumor tissue
EP3475291A1 (en) 2016-06-28 2019-05-01 Ventana Medical Systems, Inc. Application of click chemistry for signal amplification in ihc and ish assays
WO2018118759A1 (en) 2016-12-19 2018-06-28 Ventana Medical Systems, Inc. Peptide nucleic acid conjugates
EP3559672B1 (en) 2016-12-21 2021-10-13 Ventana Medical Systems, Inc. Methods and systems for reagent delivery
US10280445B2 (en) 2017-03-09 2019-05-07 Diagnostic Biosystems Chromogen layering for color generation
US10379015B2 (en) * 2017-06-04 2019-08-13 Diagnostic Biosystems Method for labeling concentration density differentials of an analyte in a biological sample
WO2019106973A1 (ja) * 2017-11-29 2019-06-06 ソニー株式会社 標識選択支援システム、標識選択支援装置、標識選択支援方法、及び標識選択支援用プログラム
JP2021507695A (ja) 2017-12-18 2021-02-25 ヴェンタナ メディカル システムズ, インク. ペプチド核酸コンジュゲート
WO2019224153A1 (en) 2018-05-21 2019-11-28 Genentech, Inc. Her2 heterogeneity as a biomarker in cancer
CN114729391A (zh) * 2019-09-30 2022-07-08 阿科亚生物科学股份有限公司 用酶介导的放大的多路复用成像
WO2021226516A2 (en) * 2020-05-07 2021-11-11 The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University Oligonucleotide-tyramide conjugate and use of the same in tyramide-signal amplification (tsa)-based detection methods
CN111929293A (zh) * 2020-07-08 2020-11-13 吉林省农业科学院 食药用真菌中总三萜含量的测定方法
JP2024504944A (ja) 2021-01-15 2024-02-02 ヴェンタナ メディカル システムズ, インク. 保存安定なケージドハプテン
WO2022156920A1 (en) * 2021-01-25 2022-07-28 Ventana Medical Systems, Inc. Stained biological specimens including one or more biomarkers labeled with one or more detectable moieties
JP2024516380A (ja) 2021-04-18 2024-04-15 ヴェンタナ メディカル システムズ, インク. 形態学的マーカー染色
CN113537555B (zh) * 2021-06-03 2023-04-11 太原理工大学 一种考虑扰动的交通子区模型预测滑模边界控制方法
CN113899731B (zh) * 2021-08-17 2022-06-14 广东省科学院测试分析研究所(中国广州分析测试中心) 一种基于核酸适配体对靶标菌和金纳米簇亲和力差异的副溶血性弧菌一步检测方法
WO2023192946A1 (en) 2022-03-31 2023-10-05 Ventana Medical Systems, Inc. Methods and systems for predicting response to pd-1 axis directed therapeutics in colorectal tumors with deficient mismatch repair

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04504206A (ja) * 1989-03-29 1992-07-30 エヌ・イー・エヌ・ライフ・サイエンス・プロダクツ・インコーポレイテツド 触媒されたレポーター沈着
US5583001A (en) * 1989-03-29 1996-12-10 E. I. Du Pont De Nemours And Company Method for detection or quantitation of an analyte using an analyte dependent enzyme activation system
WO2008128352A1 (en) * 2007-04-19 2008-10-30 Axela, Inc. Methods and compositions for signal amplification
WO2009012140A2 (en) * 2007-07-13 2009-01-22 Prometheus Laboratories, Inc. Drug selection for lung cancer therapy using antibody-based arrays
US20100075862A1 (en) * 2008-09-23 2010-03-25 Quanterix Corporation High sensitivity determination of the concentration of analyte molecules or particles in a fluid sample
WO2010094283A1 (en) * 2009-02-19 2010-08-26 Dako Denmark A/S Conjugate molecules
WO2012003476A2 (en) * 2010-07-02 2012-01-05 Ventana Medical Systems, Inc. Hapten conjugates for target detection

Family Cites Families (118)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5772150A (en) 1980-10-23 1982-05-06 Ishihara Sangyo Kaisha Ltd Electrophotographic sensitive material
US5268486A (en) 1986-04-18 1993-12-07 Carnegie-Mellon Unversity Method for labeling and detecting materials employing arylsulfonate cyanine dyes
US5569587A (en) 1986-04-18 1996-10-29 Carnegie Mellon University Method for labeling and detecting materials employing luminescent arysulfonate cyanine dyes
JPH02500329A (ja) 1987-05-21 1990-02-08 クリエイテイブ・バイオマリキユールズ・インコーポレーテツド ターゲット化多機能蛋白質
JP3771253B2 (ja) 1988-09-02 2006-04-26 ダイアックス コープ. 新規な結合タンパク質の生成と選択
AU634186B2 (en) 1988-11-11 1993-02-18 Medical Research Council Single domain ligands, receptors comprising said ligands, methods for their production, and use of said ligands and receptors
US5530101A (en) 1988-12-28 1996-06-25 Protein Design Labs, Inc. Humanized immunoglobulins
US5595707A (en) 1990-03-02 1997-01-21 Ventana Medical Systems, Inc. Automated biological reaction apparatus
GB9015198D0 (en) 1990-07-10 1990-08-29 Brien Caroline J O Binding substance
DK1087013T3 (da) 1992-08-21 2009-05-11 Univ Bruxelles Immunoglobuliner uden lette kæder
US6005079A (en) 1992-08-21 1999-12-21 Vrije Universiteit Brussels Immunoglobulins devoid of light chains
US6008373A (en) 1995-06-07 1999-12-28 Carnegie Mellon University Fluorescent labeling complexes with large stokes shift formed by coupling together cyanine and other fluorochromes capable of resonance energy transfer
DE69624623T2 (de) 1995-06-07 2003-07-24 Univ Pittsburgh Carnegie Mello Versteifte Monomethin-Cyaninfarbstoffe
US5688966A (en) 1996-07-26 1997-11-18 E. I. Du Pont De Nemours And Company Compounds and method for synthesizing sulfoindocyanine dyes
US5902727A (en) 1996-09-04 1999-05-11 Washington University Method for localization and quantitation of a substance in a biological sample
US5839091A (en) 1996-10-07 1998-11-17 Lab Vision Corporation Method and apparatus for automatic tissue staining
US5863748A (en) 1997-03-14 1999-01-26 New Life Science Products, Inc. p-Hydroxycinnamoyl-containing substrates for an analyte dependent enzyme activation system
US5948359A (en) 1997-03-21 1999-09-07 Biogenex Laboratories Automated staining apparatus
US6686145B1 (en) 1997-12-17 2004-02-03 Carnegie Mellon University Rigidized trimethine cyanine dyes
IL123451A (en) 1998-02-25 2003-07-06 Ehud Keinan Method and kit for the detection of peroxide-based explosives
US6183693B1 (en) 1998-02-27 2001-02-06 Cytologix Corporation Random access slide stainer with independent slide heating regulation
EP1105539A2 (en) 1998-08-21 2001-06-13 Naxcor Assays using crosslinkable immobilized nucleic acids
US6372937B1 (en) 1998-11-09 2002-04-16 Mark Norman Bobrow Enhanced catalyzed reporter deposition
ATE343785T1 (de) 1999-05-04 2006-11-15 Dan A Pankowsky Produkte und verfahren für einzelwert- und vielfachwert-phänotypisierung von zellen
JP2003501540A (ja) 1999-06-09 2003-01-14 カーネギー メロン ユニヴァーシティ 反応性蛍光試薬としてのpH官能性シアニン染料
WO2001002861A1 (en) 1999-06-29 2001-01-11 Dako A/S Detection using dendrimers bearing labels and probes
US6531319B1 (en) 2000-05-10 2003-03-11 Keshab D. Pant Method of detecting colon cancer
EP1978110B1 (en) 2000-09-06 2010-05-26 Transnetyx, Inc. Computer-based method and system for screening genomic DNA
EP2325263B1 (en) 2000-09-29 2013-01-23 Life Technologies Corporation Modified carbocyanine dyes and their conjugates
JP2004510767A (ja) 2000-10-02 2004-04-08 モレキュラー・プロウブズ・インコーポレーテッド アルデヒド部分またはケトン部分を有する生物分子を標識するための試薬
JP2005501217A (ja) 2000-10-10 2005-01-13 ディベルサ コーポレーション 生体活性または生体分子のハイスループットスクリーニングまたはキャピラリーに基づくスクリーニング
DE10106370B4 (de) * 2001-02-12 2005-01-27 Vermicon Ag Oligonukleotidsonden zur Detektion von parodontopathogenen Bakterien mittels in situ-Hybridisierung
AUPR311601A0 (en) 2001-02-15 2001-03-08 Adp Pharmaceutical Pty Limited Matrix gene expression in chondrogenesis
US6670113B2 (en) 2001-03-30 2003-12-30 Nanoprobes Enzymatic deposition and alteration of metals
US7691598B2 (en) 2001-03-30 2010-04-06 Nanoprobes, Inc. Method for detecting a target molecule by metal deposition
US7888060B2 (en) 2001-03-30 2011-02-15 Nanoprobes, Inc. Method for detecting a target using enzyme directed deposition of elemental metal
US7892781B2 (en) 2001-03-30 2011-02-22 Nanoprobes, Inc. Detecting a target using a composite probe comprising a directing agent, a metal nanoparticle and an enzyme
US7219016B2 (en) * 2001-04-20 2007-05-15 Yale University Systems and methods for automated analysis of cells and tissues
AU2002345746A1 (en) * 2001-06-21 2003-01-08 The Regents Of The University Of California Electrochemical detection of mismatch nucleic acids
US6617125B2 (en) 2001-06-29 2003-09-09 Perkinelmer Life Sciences, Inc. Compositions for enhanced catalyzed reporter deposition
WO2003014375A2 (en) 2001-08-09 2003-02-20 Archemix Corporation Nucleic acid sensor molecules and methods of using same
US8323903B2 (en) 2001-10-12 2012-12-04 Life Technologies Corporation Antibody complexes and methods for immunolabeling
US20050069962A1 (en) 2001-10-12 2005-03-31 Archer Robert M Antibody complexes and methods for immunolabeling
US6972326B2 (en) 2001-12-03 2005-12-06 Molecular Probes, Inc. Labeling of immobilized proteins using dipyrrometheneboron difluoride dyes
EP1481090A4 (en) 2002-02-15 2006-08-09 Somalogic Inc METHOD AND REAGENTS FOR DETECTING BINDING OF TARGET MOLECULES BY NUCLEIC ACID ELECTRODES
WO2003076949A2 (en) 2002-03-08 2003-09-18 The Babraham Institute Tagging and recovery of elements associated with target molecules
WO2004042347A2 (en) 2002-05-03 2004-05-21 Molecular Probes, Inc. Compositions and methods for detection and isolation of phosphorylated molecules
US20040171034A1 (en) 2002-05-03 2004-09-02 Brian Agnew Compositions and methods for detection and isolation of phosphorylated molecules
WO2004029578A2 (en) 2002-09-25 2004-04-08 Amersham Biosciences Corp Energy transfer dyes, terminators and use thereof
AU2003295863A1 (en) 2002-11-22 2004-06-18 Marligen Biosciences, Inc. Detection of protease enzymes
US7648678B2 (en) 2002-12-20 2010-01-19 Dako Denmark A/S Method and system for pretreatment of tissue slides
CA2507995A1 (en) 2002-12-20 2004-07-08 Dakocytomation Denmark A/S An automated sample processing apparatus and a method of automated treating of samples and use of such apparatus
CA2514131A1 (en) 2003-01-24 2004-08-05 Schering Ag Hydrophilic, thiol-reactive cyanine dyes and conjugates thereof with biomolecules for fluorescence diagnosis
ATE349010T1 (de) 2003-02-27 2007-01-15 Dako Denmark As Standard für immunhistochemie, immunzytologie und molekulare zytogenetika
WO2004106926A1 (en) 2003-06-02 2004-12-09 Gyros Patent Ab Microfluidic affinity assays with improved performance
WO2005012579A2 (en) 2003-07-31 2005-02-10 Molecular Probes, Inc. Homodimeric cyanine dye dimer comprising aromatic, heteroaromatic, cyclic or heterocyclic linker moiety in nucleic acid reporter molecules
US7341837B2 (en) 2003-09-02 2008-03-11 Lawton Robert L Soluble analyte detection and amplification
EP1673480B1 (en) 2003-09-09 2010-04-14 The Regents Of The University Of Colorado, A Body Corporate Use of photopolymerization for amplification and detection of a molecular recognition event
WO2005047242A2 (en) 2003-11-07 2005-05-26 Molecular Probes, Inc. Compounds containing thiosulfate moieties
EP2607431B1 (en) 2003-12-05 2016-08-24 Life Technologies Corporation Cyanine dye compounds
EP2610315B1 (en) 2003-12-05 2016-08-31 Life Technologies Corporation Methine-substituted cyanine dye compounds
EP1766076B1 (en) 2004-06-09 2015-12-02 PerkinElmer LAS, Inc. Methods for target molecule detection using siderophores and related compositions
US7465810B2 (en) 2004-10-25 2008-12-16 Anaspec, Inc. Reactive 1,3′-crosslinked carbocyanine
WO2006031248A2 (en) 2004-09-09 2006-03-23 The Regents Of The University Of Colorado, A Body Corporate Use of photopolymerization for amplification and detection of a molecular recognition event
JP4504206B2 (ja) 2005-01-11 2010-07-14 マスプロ電工株式会社 混合器
WO2007015168A2 (en) 2005-07-01 2007-02-08 Dako Denmark A/S Monomeric and polymeric linkers useful for conjugating biological molecules and other substances
WO2007030521A1 (en) 2005-09-06 2007-03-15 Invitrogen Corporation Control of chemical modification
PT1934607E (pt) 2005-10-13 2013-11-13 Fundacao D Anna Sommer Champalimaud E Dr Carlos Montez Champalimaud Análise imuno-histoquímica in situ multiplex
US7842823B2 (en) 2005-10-27 2010-11-30 The Regents Of The University Of California Fluorogenic probes for reactive oxygen species
WO2007050810A2 (en) 2005-10-27 2007-05-03 The Regents Of The University Of California Fluorogenic probes for reactive oxygen species
WO2007053837A1 (en) 2005-10-31 2007-05-10 Invitrogen Corporation An immunosorbent assay support and method of use
EP1954763B1 (en) 2005-11-28 2016-11-16 Dako Denmark A/S Cyanine dyes and methods for detecting a target using said dyes
EP1969337A4 (en) 2005-12-23 2010-01-27 Perkinelmer Las Inc MULTIPLEX ANALYSIS CARRIED OUT BY MEANS OF MAGNETIC PARTICLES AND NON-MAGNETIC PARTICLES
US8551408B2 (en) 2006-01-24 2013-10-08 Life Technologies Corporation Device and methods for quantifying analytes
WO2008029281A2 (en) 2006-02-10 2008-03-13 Invitrogen Corporation Labeling and detection of post translationally modified proteins
US8114636B2 (en) 2006-02-10 2012-02-14 Life Technologies Corporation Labeling and detection of nucleic acids
JP2010500867A (ja) 2006-06-30 2010-01-14 ロゼッタ ジノミクス リミテッド 核酸の検出方法
WO2008011157A2 (en) 2006-07-20 2008-01-24 The General Hospital Corporation Methods, compositions, and kits for the selective activation of protoxins through combinatorial targeting
CA2858359C (en) 2006-11-01 2018-04-03 Ventana Medical Systems, Inc. Haptens, hapten conjugates, compositions thereof and method for their preparation and use
US7629125B2 (en) 2006-11-16 2009-12-08 General Electric Company Sequential analysis of biological samples
US9201063B2 (en) 2006-11-16 2015-12-01 General Electric Company Sequential analysis of biological samples
US8305579B2 (en) 2006-11-16 2012-11-06 Thomas Pirrie Treynor Sequential analysis of biological samples
US7741045B2 (en) 2006-11-16 2010-06-22 General Electric Company Sequential analysis of biological samples
US8244021B2 (en) 2006-12-20 2012-08-14 Ventana Medical Systems, Inc. Quantitative, multispectral image analysis of tissue specimens stained with quantum dots
US8586743B2 (en) 2007-01-30 2013-11-19 Life Technologies Corporation Labeling reagents and methods of their use
US8436843B2 (en) 2007-04-10 2013-05-07 John Pietrasik Color imaging system
EP3032259B1 (en) 2007-05-01 2020-04-15 Tel Hashomer Medical Research Infrastructure and Services Ltd. Methods for detecting trophoblast cells in maternal blood based on cytokeratin-7
US20100248231A1 (en) 2007-05-31 2010-09-30 The Regents Of The University Of California High specificity and high sensitivity detection based on steric hindrance & enzyme-related signal amplification
WO2009015359A2 (en) 2007-07-26 2009-01-29 Cellay, Llc Highly visible chromosome-specific probes and related methods
CN101952719A (zh) 2007-07-27 2011-01-19 通信改革公司 检测测定法及其用途
WO2009026651A1 (en) 2007-08-30 2009-03-05 Commonwealth Scientific And Industrial Research Organisation A method of detecting a nucleic acid
EP2225600A2 (en) 2007-09-05 2010-09-08 Chroma Technology Corporation Light source
CN101159702B (zh) 2007-09-17 2010-07-21 腾讯科技(深圳)有限公司 电话用户与pc用户进行语音沟通的方法、系统及设备
CN101836117B (zh) 2007-09-18 2014-07-23 丹麦达科有限公司 用于检测生物靶点的快速和灵敏的方法
WO2009058867A2 (en) 2007-10-29 2009-05-07 Primorigen Biosciences, Llc Affinity measurements using frameless multiplexed microarrays
WO2009074882A2 (en) 2007-11-02 2009-06-18 Luminex Molecular Diagnostics, Inc. One-step target detection assay
US20090286286A1 (en) 2007-11-06 2009-11-19 Ambergen , Inc. Methods for controlling amplification
US8932879B2 (en) 2007-11-06 2015-01-13 Ambergen, Inc. Methods and compounds for phototransfer
WO2009067603A1 (en) 2007-11-21 2009-05-28 Bio-Rad Laboratories, Inc. Photoluminescent metal complexes for protein staining
WO2009117138A2 (en) 2008-03-21 2009-09-24 Spring Bioscience Corporation Counterstaining method for dual-stain in situ hybridization
US20090246788A1 (en) 2008-04-01 2009-10-01 Roche Nimblegen, Inc. Methods and Assays for Capture of Nucleic Acids
US8791258B2 (en) 2008-06-10 2014-07-29 The Regents Of The University Of California Pro-fluorescent probes
US8021850B2 (en) 2008-07-14 2011-09-20 Ribo Guo Universal tandem solid-phases based immunoassay
FR2941418B1 (fr) 2009-01-23 2015-05-15 Renault Sas Vehicule automobile comportant un pare choc avant qui presente une partie centrale s'etendant jusqu'au capot dudit vehicule
US20120052499A1 (en) 2009-05-20 2012-03-01 Advandx, Inc. Methods For Whole-Cell Analysis Of Gram-Positive Bacteria
EP2473563B1 (en) 2009-08-31 2019-06-19 Promega Corporation Reactive cyanine compounds
WO2011047680A1 (en) 2009-10-20 2011-04-28 Dako Denmark A/S Immunochemical detection of single target entities
CA2777934A1 (en) 2009-10-20 2011-04-28 Prometheus Laboratories Inc. Proximity-mediated assays for detecting oncogenic fusion proteins
US20120070862A1 (en) 2009-12-31 2012-03-22 Ventana Medical Systems, Inc. Methods for producing uniquely distinct nucleic acid tags
US20140147838A1 (en) 2010-07-20 2014-05-29 Trustees Of Dartmouth College Method for multicolor codetection of microrna and proteins
US8623324B2 (en) 2010-07-21 2014-01-07 Aat Bioquest Inc. Luminescent dyes with a water-soluble intramolecular bridge and their biological conjugates
ES2648564T3 (es) 2010-10-21 2018-01-04 Advanced Cell Diagnostics, Inc. Método ultrasensible para la detección in situ de ácidos nucleicos
US10180426B2 (en) 2010-11-08 2019-01-15 Dako Denmark A/S Quantification of single target molecules in histological samples
WO2012092322A1 (en) 2010-12-30 2012-07-05 Ventana Medical Systems, Inc. Enhanced deposition of chromogens utilizing pyrimidine analogs
GB2490652A (en) 2011-04-18 2012-11-14 Microtest Matrices Ltd Methods of quantifying antibodies, especially IgE antibodies in a sample
EP2699691B1 (en) 2011-04-19 2017-10-18 Dako Denmark A/S New method for enzyme-mediated signal amplification
US20140273088A1 (en) 2011-10-17 2014-09-18 Victorious Medical Systems Aps Method, apparatus and system for staining of biological samples
ES2678211T3 (es) 2012-03-27 2018-08-09 Ventana Medical Systems, Inc. Conjugados de señalización y procedimientos de uso

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04504206A (ja) * 1989-03-29 1992-07-30 エヌ・イー・エヌ・ライフ・サイエンス・プロダクツ・インコーポレイテツド 触媒されたレポーター沈着
US5583001A (en) * 1989-03-29 1996-12-10 E. I. Du Pont De Nemours And Company Method for detection or quantitation of an analyte using an analyte dependent enzyme activation system
WO2008128352A1 (en) * 2007-04-19 2008-10-30 Axela, Inc. Methods and compositions for signal amplification
WO2009012140A2 (en) * 2007-07-13 2009-01-22 Prometheus Laboratories, Inc. Drug selection for lung cancer therapy using antibody-based arrays
JP2010533842A (ja) * 2007-07-13 2010-10-28 プロメテウス ラボラトリーズ インコーポレイテッド 抗体アレイを用いた肺癌治療のための薬剤選択
US20100075862A1 (en) * 2008-09-23 2010-03-25 Quanterix Corporation High sensitivity determination of the concentration of analyte molecules or particles in a fluid sample
WO2010094283A1 (en) * 2009-02-19 2010-08-26 Dako Denmark A/S Conjugate molecules
JP2012517814A (ja) * 2009-02-19 2012-08-09 ダコ・デンマーク・エー/エス コンジュゲート分子
WO2012003476A2 (en) * 2010-07-02 2012-01-05 Ventana Medical Systems, Inc. Hapten conjugates for target detection
JP2013531801A (ja) * 2010-07-02 2013-08-08 ヴェンタナ メディカル システムズ, インク. 標的検出のためのハプテンコンジュゲート

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10778913B2 (en) 2013-03-12 2020-09-15 Ventana Medical Systems, Inc. Digitally enhanced microscopy for multiplexed histology
US11070750B2 (en) 2013-03-12 2021-07-20 Ventana Medical Systems, Inc. Digitally enhanced microscopy for multiplexed histology
JP2019523000A (ja) * 2016-07-18 2019-08-22 セル アイディーエックス, インコーポレイテッド 抗原をカップリングさせたハイブリダイゼーション試薬
JP2020514701A (ja) * 2016-12-19 2020-05-21 ヴェンタナ メディカル システムズ, インク. 定量的免疫組織化学のための方法及びシステム
JP7455816B2 (ja) 2018-09-20 2024-03-26 ヴェンタナ メディカル システムズ, インク. クマリン系架橋試薬

Also Published As

Publication number Publication date
US20200249238A1 (en) 2020-08-06
JP6101782B2 (ja) 2017-03-22
CA2867144C (en) 2019-07-02
US10557851B2 (en) 2020-02-11
EP2831587A1 (en) 2015-02-04
DK2831587T3 (en) 2018-07-23
CA2867144A1 (en) 2013-10-03
US20200326345A1 (en) 2020-10-15
WO2013148498A1 (en) 2013-10-03
AU2013240090B2 (en) 2017-01-05
US10041950B2 (en) 2018-08-07
US20130260379A1 (en) 2013-10-03
US20200333349A1 (en) 2020-10-22
US20200319193A1 (en) 2020-10-08
ES2678211T3 (es) 2018-08-09
AU2013240090A1 (en) 2014-08-28
US11906523B2 (en) 2024-02-20
US20180328932A1 (en) 2018-11-15
US20220178934A1 (en) 2022-06-09
EP2831587B1 (en) 2018-05-16
US20190018018A1 (en) 2019-01-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11906523B2 (en) Signaling conjugates and methods of use
US11070750B2 (en) Digitally enhanced microscopy for multiplexed histology
EP3727470A1 (en) Peptide nucleic acid conjugates
JP2022046522A (ja) ペプチド核酸コンジュゲート

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150626

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150626

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160420

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160517

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20160816

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161017

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170214

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170227

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6101782

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250