JP2015232352A - チェーン - Google Patents

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JP2015232352A
JP2015232352A JP2014118903A JP2014118903A JP2015232352A JP 2015232352 A JP2015232352 A JP 2015232352A JP 2014118903 A JP2014118903 A JP 2014118903A JP 2014118903 A JP2014118903 A JP 2014118903A JP 2015232352 A JP2015232352 A JP 2015232352A
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松本 浩二
Koji Matsumoto
浩二 松本
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Abstract

【課題】チェーンを構成する複数の部材のうち相対回動可能な少なくとも一組の部材間の隙間へ浸入した水に起因するエマルジョンの生成を抑制できるため、長寿命化が可能なチェーンを提供する。
【解決手段】外リンク15を構成する一対のリンクプレート14に挿入されたピン16は、内リンク13を構成する一対のリンクプレート12に嵌入されたブシュ20に挿通されている。ブシュ20にはローラ21が回転可能な状態で外挿されている。ピン16とブシュ20間、及びブシュ20とローラ21間の各摺動部31,32には、グリースと高吸水性ポリマー粉末とを含む混合物からなる混合グリース33が封入されている。混合グリース33はシール部材34,35により摺動部31,32に封入されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、一対の対向するリンクプレートを有するリンクを複数備え、複数のリンクがピンを介して直列に連結されたチェーンに関する。
この種のチェーンは、複数のリンクがピンを介して回動自在な状態で直列に連結されることで構成される。例えば一対のリンクプレート間にピンに外挿されたブシュを介してローラが回転可能に装着されたローラチェーンが知られている(例えば特許文献1〜3等)。
例えば特許文献1及び2には、ピンとブシュ間、及びブシュとローラ間に潤滑油が封入されたチェーンが開示されている。特許文献1に記載のチェーンでは、潤滑油を封入するためのシール部材が設けられている。また、特許文献2に記載のチェーンでは、シール部材を用いずに潤滑剤が封入されたラビリンス構造を有している。
また、例えば特許文献3に記載の走行ローラ付きチェーンは、外リンクプレートの外側にピンと同軸上に突出するローラ軸に軸受を介して回転自在に支持された走行ローラと、走行ローラの軸受への異物の侵入を防止するシール構造とを備えている。このシール構造は、外側シールと内側シールとの間に形成されたグリース溜まりにグリースが封入されてなるグリースシール部を有している。そして、外側シール、グリースシール部及び内側シールにより、軸受への水等の異物の浸入が防止される。
特開平8−219234号公報 特開2008−189408号公報 特開2014−12596号公報
しかし、特許文献1に記載のチェーンでは、ピンとブシュ、又はブシュとローラが相対回動するときに受ける外力によってシール部材が変形すると、その変形によってできた僅かな隙間から水が浸入する場合がある。また、特許文献2に記載のチェーンでは、潤滑油を封入しているラビリンス構造を構成する部材の隙間から水が浸入する場合がありうる。また、特許文献3に記載された走行ローラ付きチェーンにおいても、走行ローラの回転中に受ける外力によってシール部材が変形してできた僅かな隙間から水が浸入する場合がある。
これらの場合、浸入した水が潤滑油又はグリースと混じってエマルジョン(乳液)が形成される。例えば相対回動する少なくとも一組の部材間にエマルジョンが介在することになる。また、エマルジョンは流動性が高いので、シール部材が変形してできた隙間から漏出し易い。よって、少なくとも一組の部材間におけるエマルジョンの介在、あるいは一部漏出による潤滑油又はグリースの不足によって、部材間の摺動性の低下を招き、ひいてはチェーン寿命の短縮に繋がるという課題がある。なお、上記課題は、ローラチェーンや走行ローラ付きチェーンに限らず、相対回動可能な少なくとも一組の部材間の隙間に潤滑油又はグリースを封入して使用されるチェーンに概ね共通する。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、チェーンを構成する複数の部材のうち相対回動可能な少なくとも一組の部材間の隙間へ浸入した水によるエマルジョンの生成を抑制できるため、長寿命化が可能なチェーンを提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するチェーンは、一対の対向するリンクプレートを有するリンクを複数備え、複数の前記リンクがピンを介して回動自在な状態で直列に連結されたチェーンであって、チェーンを構成する複数の部材のうち相対回動可能に設けられた少なくとも一組の部材間の隙間のうち少なくとも一部にグリースと吸水性ポリマーとを含む混合物からなる混合グリースが封入されたグリース封入部と、前記混合グリースを前記隙間に封入された状態に封止するシール部とを備えている。なお、一組の部材の相対回動とは、1回転未満の範囲内での「回動」と、1回転以上の範囲での「回転」とを含む概念である。また、混合グリースの封入とは、封入空間に混合グリースが充填されている必要はなく、封入空間に隙間がある状態で混合グリースが収容されていてもよい。
この構成によれば、チェーンを構成する少なくとも一組の部材が相対回動するときなどにシール部の隙間から、少なくとも一組の部材間の隙間に水が浸入しても、その浸入した水は混合グリース中の吸水性ポリマーに吸収される。よって、浸入した水が隙間の奥方(例えば隙間の中央部側)へ至ることを抑制できる。この結果、少なくとも一組の部材間の隙間に浸入した水に起因するエマルジョンの生成を抑制できるため、例えばグリースのエマルジョン化に起因する漏出、又は部材間におけるエマルジョンの介在を抑えることで、チェーンを長寿命化することができる。
上記チェーンは、前記ピンを中心に回転可能に設けられたローラと、前記ピンと前記ローラとの間に介装された滑り軸受とを備え、前記グリース封入部は、前記混合グリースが、前記一組の部材である前記ピンと前記滑り軸受との間の摺動部と、前記一組の部材である前記滑り軸受と前記ローラとの間の摺動部とのうち少なくとも一方に封入されることで形成され、前記シール部は、前記グリース封入部の軸方向両側を封止することが好ましい。
この構成によれば、ピンと滑り軸受との間の摺動部と、滑り軸受とローラとの間の摺動部とのうち少なくとも一方の摺動部に混合グリースが封入されることでグリース封入部が形成される。グリース封入部の軸方向両側がシール部により封止されているので、摺動部への水の浸入が抑制される。仮にシール部の隙間から摺動部へ僅かな水が浸入してもその僅かな水は混合グリース中の吸水性ポリマーに吸収される。よって、浸入した水が摺動部の奥方(例えば摺動部の軸方向中央部)へ至ること、及び浸入した水に起因するグリースのエマルジョン化を抑制できるため、チェーンを長寿命化することができる。
上記チェーンは、前記少なくとも一組の部材の間に介装された転がり軸受と、前記少なくとも一組の部材の隙間を封止して前記転がり軸受への水の浸入を抑制するシール部とを備え、前記混合グリースは、前記少なくとも一組の部材の隙間において軸方向に少なくとも前記シール部と前記転がり軸受との間の領域に封入されていることが好ましい。
この構成によれば、少なくとも一組の部材が相対回動するときなどにシール部の隙間から水が部材間の隙間へ浸入しても、その浸入した水は混合グリース中の吸水性ポリマーに吸収される。よって、浸入した水が転がり軸受に至ることを抑制することができる。
上記チェーンにおいて、前記一組の部材は、前記ピンに外挿された円筒状のブシュと、当該ブシュに対して前記転がり軸受を介して回転可能に設けられたローラとであり、前記混合グリースは、前記ブシュと前記ローラとの隙間において軸方向に少なくとも前記シール部と前記転がり軸受との間の領域に封入されていることが好ましい。
この構成によれば、ローラが回転するときに受ける外力によってシール部にできた隙間を通じて水がブシュとローラ間の隙間に浸入しても、その浸入した水は混合グリース中の吸水性ポリマーに吸収される。よって、水が転がり軸受に浸入することを抑制できる。このため、ローラを長期に亘り回転し易い状態に維持できる。例えばスプロケットからチェーンへのローラを介した駆動力の伝達が長期に亘り効率よく行われる。
上記チェーンは、前記リンクの外側に前記ピンと同軸で突出したピン部に転がり軸受を介して回転自在に支持されたサイドローラを更に備え、前記一組の部材は、前記ピン部と前記サイドローラとであることが好ましい。
この構成によれば、サイドローラの回転中などにできたシール部の隙間からピン部とサイドローラとの隙間へ浸入した水は、混合グリース中の吸水性ポリマーに吸収される。よって、浸入した水が奥方の転がり軸受に至ることを抑制できる。
上記チェーンにおいて、前記ピン部と前記サイドローラとの隙間には前記シール部と前記転がり軸受との間の領域に、前記ピン部と前記サイドローラとの隙間が最小の部分よりも広くなった室が設けられ、前記混合グリースは少なくとも前記室に封入されていることが好ましい。
この構成によれば、シール部と転がり軸受との間の領域にある室には、相対的に多くの量の混合グリースが封入されるので、シール部の隙間から浸入した水を吸収できる量を多く確保できる。よって、シール部から浸入した水が転がり軸受に至ることを長期に亘り抑制できる。また、仮にチェーンを長期間使用するうちにシール部から浸入した水が転がり軸受に至ることがあっても、その時期を相対的に遅延させることができる。よって、サイドローラ付きのチェーンの寿命を延ばすことができる。
上記チェーンでは、前記シール部を第1のシール部とした場合、前記グリース封入部と前記転がり軸受との間で、前記一組の部材間の隙間を封止する第2のシール部を備えていることが好ましい。
この構成によれば、一組の部材間の隙間は、グリース封入部と転がり軸受との間で第2のシール部により封止されている。一組の部材間の隙間に浸入した水のうち仮に混合グリース中の吸水性ポリマーに吸収されなかった一部の水が隙間の奥方へ至ったとしても、第2のシール部の封止によって水の転がり軸受側への浸入は抑制される。また、水を吸収して膨潤した吸水性ポリマー粒子の転がり軸受への浸入も抑制できる。また、例えば転がり軸受が潤滑油で潤滑されている構成の場合において、混合グリースと潤滑油とが混ざることを抑制できたりする。
本発明によれば、チェーンを構成する複数の部材のうち相対回動可能な少なくとも一組の部材間の隙間へ浸入した水によるエマルジョンの生成を抑制できるため、チェーンを長寿命化することができる。
(a)は第1実施形態のチェーンの一部を示す一部破断した平面図、(b)は同じく側面図。 チェーンのローラ周辺部分を示す平断面図。 ローラ周辺部分を示す部分拡大断面図。 (a)は混合グリースが封入された摺動部の構造を示す模式断面図、(b)は摺動部に水が浸入した場合を説明する模式断面図。 第2実施形態におけるチェーンのローラ周辺部分を示す平断面図。 第3実施形態におけるサイドローラ付きのチェーンの一部を示す一部破断した平面図。 チェーンにおけるサイドローラの装着構造を示す部分断面図。 変形例におけるサイドローラの装着構造を示す部分断面図。 図8と異なる変形例におけるサイドローラの装着構造を示す部分断面図。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態のチェーンについて図面を参照しながら説明する。
図1(a),(b)に示すように、本実施形態のチェーン11はローラチェーンである。チェーン11は、その幅方向Yにおいて対向する一対のリンクプレート12を含んで構成される内リンク13と、同じく対向する一対のリンクプレート14を含んで構成される外リンク15とを備えている。内リンク13は対向する一対のリンクプレート12の間隔が外リンク15のそれよりも相対的に狭いリンクであり、外リンク15は対向する一対のリンクプレート14の間隔が内リンク13のそれよりも相対的に広いリンクである。そして、チェーン11は、これらの内リンク13と外リンク15が直列方向Xに交互に配置され、その直列方向Xで一部重なり合う状態で隣り合う互いの端部同士がピン16を介して回動自在に順次に連結されることで、所定長さに形成されている。
各リンク13,15を構成するリンクプレート12,14は、チェーン11がその長さ方向の一方側から引っ張られて移動する場合の移動方向ともなる直列方向Xに沿って長く延び、その長手方向の両端部が丸みを帯びた長尺の板形状をなしている。そして、リンクプレート12,14はそれぞれ対向する一対が互いに平行となるように配置されている。各リンク13,15の直列方向Xにおける一端側と他端側でリンクプレート12,14の対をなすもの同士の間隔が等しくなっている。リンクプレート12,14は、ステンレス又は鋼材等から打抜き加工により形成されている。内リンク13を構成するリンクプレート12の長手方向の両端部には、円筒状の挿入孔12a(図2参照)がリンクプレート12の厚さ方向に貫通するように形成されている。
図1(a)及び図2に示すように、一対の対向するリンクプレート12には、円筒状のブシュ20が、その両端部が挿入孔12aに嵌入された状態で組み付けられている。ブシュ20は、金属製又は合成樹脂製である。
図2に示すように、外リンク15のリンクプレート14の長手方向の両端部(図2では一端部のみ図示)には、それぞれ円柱状のピン16を挿嵌可能な円筒状のピン挿入孔14aがリンクプレート14の厚さ方向に貫通するように形成されている。外リンク15のリンクプレート14は、内リンク13のリンクプレート12の挿入孔12aに嵌入されたブシュ20内に挿通されたピン16を介して内リンク13のリンクプレート12に回動自在に連結されている。
ピン16の両端部は、外側の一対のリンクプレート14のピン挿入孔14aに嵌合されている。したがって、直列方向Xで隣り合う内リンク13の各リンクプレート12と外リンク15の各リンクプレート14とが端部同士でピン16によって回動自在に連結されている。
図1(a),(b)及び図2に示すように、ピン16は、その一端部に開口する孔に挿入された止めピン17により他方のリンクプレート14の外側で抜け止めされている。一対の内側のリンクプレート12間にその長手方向両側に配置された二つの円筒状のローラ21は、リンクプレート12に嵌入されたブシュ20が挿通されることでブシュ20に対して回転可能に支持されている。つまり、ローラ21は、ブシュ20に外挿された状態で、外側のリンクプレート14のピン挿入孔14a及びブシュ20内に挿入されたピン16を中心に自由回転可能な状態で支持されている。
図2に示すように、ピン16とブシュ20との間には、それぞれの外周面と内周面とが摺動できる程度の僅かな隙間により摺動部31が形成されている。また、ブシュ20とローラ21との間にはそれぞれの外周面と内周面とが摺動できる程度の僅かな隙間により摺動部32が形成されている。円筒状の摺動部31の軸方向(幅方向Yに同じ)両端部には、ピン16とブシュ20との隙間を周に亘って封止する一対のシール部材34が設けられている。一対のシール部材34は、ブシュ20の内周面における軸方向両端部の位置でピン16とブシュ20との隙間をシールする。また、円筒状の摺動部32の軸方向(幅方向Yに同じ)両端部には、ブシュ20とローラ21との隙間を周に亘って封止する一対のシール部材34が設けられている。一対のシール部材35は、ローラ21の内周面における軸方向両端部の位置でブシュ20とローラ21との隙間をシールする。
図3に示すように、ピン16とブシュ20との間の摺動部31には、グリースと、吸水性ポリマーの一例としての高吸水性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))の粉末とを含む混合物からなる混合グリース33(吸水性ポリマー入りグリース)が封入されている。摺動部31に混合グリース33が封入されることでグリース封入部G1が形成されている。また、ブシュ20とローラ21との間の摺動部32にも、混合グリース33が封入されている。摺動部32に混合グリース33が封入されることでグリース封入部G2が形成されている。
図2及び図3に示すように、摺動部31の軸方向両端部の位置でピン16とブシュ20との隙間をシールする一対のシール部材34は、例えばOリングにより構成される。摺動部31には、一対のシール部材34よりも内側となる領域に混合グリース33が封入されている。シール部材34は、摺動部31への水の浸入と、摺動部31からの混合グリース33の漏出とを抑制する機能を有する。なお、シール部材34として、Xリング、オイルシール、フェルトシール、ラビリンスシールなどを用いることもできる。
また、図2及び図3に示すように、摺動部32の軸方向両端部の位置でブシュ20とローラ21との隙間をシールする一対のシール部材35は、例えばOリングにより構成される。摺動部32には、一対のシール部材35よりも内側となる領域に混合グリース33が封入されている。シール部材35は、ブシュ20とローラ21との間の摺動部32への水の浸入と、摺動部32からの混合グリース33の漏出とを抑制する機能を有する。なお、シール部材35として、Xリング、オイルシール、フェルトシール、ラビリンスシールなどを用いることもできる。
図4(a)に示す混合グリース33は、グリースと高吸水性ポリマー粉末とを所定の重量比で均一に混合したものである。図4(a)に示すように、混合グリース33は、グリース40と、グリース40中にほぼ均一に分散した多数の吸水性ポリマー粒子41(高吸水性ポリマー粒子)とを含む。本実施形態で使用する吸水性ポリマー粒子41の単位質量当たりに吸収できる水(純水)の質量を表す吸水倍率(g/g)は、例えば100〜1000の範囲内の値である。また、吸水性ポリマー粒子41は油の吸収性が低いので、混合状態でもグリース40をほとんど吸収しない。
混合グリース33中の高吸水性ポリマー粉末の含有率(vol%)は、一例として2〜30vol%の範囲内が好ましい。この場合、吸水性ポリマー粒子41が水を吸収して膨張(膨潤)した際の体積を考慮して吸水性ポリマー粉末の含有率(vol%)を決めることが好ましい。すなわち、水と吸水性ポリマーとの接触確率を確保できる範囲が好ましく、吸水性ポリマー粉末の量が少なすぎると、浸入した水を十分に吸収することができず、また吸水性ポリマー粉末の量が多すぎると、グリースの潤滑性を損なってしまう。なお、高吸水性ポリマー粉末の含有率は、上記の一例の値に限定されず、例えば0.1vol%以上2vol%未満でもよいし、30vol%を超え90vol%以下でもよい。要するに高吸水性ポリマー粉末とグリースとの混合比率は任意に設定することができる。
ここで、グリース40はペースト状で、液状の油に比べ高粘度であるため、吸水性ポリマー粒子41がグリース40中に分散した混合状態を長期に亘り維持できる。例えばグリースに比べ低粘度の油と高吸水性ポリマー粉末とを混合した場合、混合直後は吸水性ポリマー粒子が油中に分散した状態にあるものの、時間の経過とともに両者の比重差により最終的に油と高吸水性ポリマー粉末とが分離してしまう。また、吸水性ポリマー粉末は固体潤滑剤としても機能するため、吸水性ポリマー粉末のみを封入する構成も考えられる。しかし、吸水性ポリマー粉末のみの場合、例えば摺動部31,32に潤滑油を注入した場合、吸水性ポリマー粉末が毛管現象により潤滑油を吸収してしまい、摺動部31,32に潤滑油が不足する事態を招く虞もある。このため、本実施形態では、吸水性ポリマー粉末をグリース40に混合した混合グリース33を使用している。
また、図3及び図4(a),(b)では、シール部材34,35により摺動部31,32の軸方向両端部が封止された空間(領域)内に混合グリース33が充填された状態で描いているが、その空間内に隙間がある状態で混合グリース33が封入されていてもよい。但し、隙間が存在する場合、シール部材34,35の混合グリース封入空間側の周辺に分布していることが好ましい。封入空間に隙間が存在する構成であると、吸水性ポリマー粒子41が水を吸収して体積膨張したときにその増加体積分を隙間で吸収できるので、混合グリース33の漏出の原因となる圧力の上昇を回避し易くなる。なお、図4(b)では、水を吸収した吸水性ポリマー粒子41を符号41Aで示している。
本実施形態では、高吸水性ポリマーとして、でん粉系、セルロース系、ポリビニルアルコール系、ポリアクリル酸塩系及びポリアクリルアミド系及びポリオキシエチレン系などを用いることができる。でん粉系としては、でん粉−アクリロニトリルグラフト共重合体、でん粉-アクリル酸グラフト共重合体及びでん粉−アクリルアミドグラフト共重合体などが挙げられる。セルロース系としては、セルロース−アクリロニトリルグラフト共重合体及びカルボキシメチルセルロース架橋体などが挙げられる。ポリビニルアルコール系としては、ポリビニルアルコール架橋体及びポリビニルアルコール吸水ゲル凍結・解凍エラストマーなどが挙げられる。ポリアクリル酸塩系としては、アクリル酸+ナトリウム・ビニルアルコール共重合体及びポリアクリル酸ナトリウム架橋体などが挙げられる。ポリアクリルアミド系としては、N−置換アクリルアミド架橋体などが挙げられる。
次に、上記のチェーン11の作用について説明する。
さて、本実施形態のチェーン11では、ピン16とブシュ20間の摺動部31に混合グリース33が封入されているので、ピン16とブシュ20間に介在するグリース40の作用及び固体潤滑剤として機能する吸水性ポリマー粒子41の作用により、ピン16とブシュ20間の摺動性が確保される。よって、チェーン11が駆動されているときは、ブシュ20がピン16に対して円滑に回動する。この結果、内リンク13と外リンク15との回動が円滑に行われる。また、本実施形態のチェーン11では、ブシュ20とローラ21間の摺動部32に混合グリース33が封入されているので、ブシュ20とローラ21間に介在するグリースの作用及び固体潤滑剤として機能する吸水性ポリマー粒子41の作用により、ブシュ20とローラ21間の摺動性が確保される。よって、チェーン11が駆動されているときは、ローラ21がブシュ20に対して円滑に回転する。例えば不図示のスプロケットからチェーン11へのローラ21を介した駆動力の伝達が効率よく行われる。また、ローラ21がレール(図示せず)上を転動する構成とした場合、ローラ21が円滑に回転することによりレールの摩耗を低減できる。
また、ピン16とブシュ20との間の摺動部31のその軸方向両端部が、シール部材34によりシールされることによって、混合グリース33は摺動部31に封入されている。このため、摺動部31への水の浸入及び摺動部31からの混合グリース33の漏出を抑制できる。
また、ブシュ20とローラ21との間の摺動部32のその軸方向両端部が、シール部材35によりシールされることによって、混合グリース33は摺動部32に封入されている。このため、摺動部32への水の浸入及び摺動部32からの混合グリース33の漏出を抑制できる。
そして、図4(b)に示すように、チェーン11の駆動中に受ける外力によってシール部材34,35が変形し、その変形によってできた僅かな隙間からシール部材34,35を越えて摺動部31,32内へ図4(b)に矢印で示すように仮に僅かな水が浸入しても、その浸入した水は混合グリース33中の吸水性ポリマー粒子41Aに吸収される。このため、摺動部31,32内へ浸入した僅かな水は、シール部材34,35の周辺に留まる。この結果、摺動部31,32内に浸入した水に起因するグリース40の一部のエマルジョン化を抑制できるうえ、摺動部31,32の奥方(中心部)への水の浸入が回避される。よって、エマルジョン化したグリースの一部が摺動部31,32から漏出することを抑制できる。また、図4(b)に示すように、浸入した水はシール部材34,35の周辺に留まるので、仮にエマルジョンが生成したとしても、そのエマルジョンはシール部材34,35の周辺に留まり、摺動部31,32の奥方(中心部側)の混合グリース33の一部がエマルジョン化することはない。この結果、チェーン11は長期に亘ってその摺動部31,32において円滑に動く。よって、チェーン11の寿命を延ばすことができる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)チェーン11を構成する複数の部材のうち相対回動可能に設けられた二組の部材の隙間である摺動部31,32に、グリース40と高吸水性ポリマー粉末とを含む混合物からなる混合グリース33を封入した。よって、チェーン11の走行時などにシール部材34,35が変形してできた隙間から摺動部31,32へ浸入した水は、混合グリース33中の吸水性ポリマー粒子41に吸収される。従って、水が摺動部31,32の奥方(例えば中央部側)へ浸入することを効果的に抑制できる。この結果、浸入した水の量の割に、生成されるエマルジョンの量を少なく抑えることができる。例えば摺動部31,32におけるエマルジョンの介在、あるいはエマルジョン化により流動性が高くなったグリース40の摺動部31,32からの漏出を効果的に抑制できる。このように摺動部31,32に浸入した水に起因するエマルジョンの生成を抑制できるため、チェーン11を長寿命化することができる。
(2)ピン16と、ピン16に外挿された円筒状のブシュ20との間の摺動部31に混合グリース33が封入されている。このため、ピン16とブシュ20との摺動部31へ浸入した水は混合グリース33中の吸水性ポリマー粒子41に吸収される。よって、ピン16とブシュ20との間の摺動部31の奥方(例えば中央部)への水の浸入を抑制できる。例えば浸入した水に起因してエマルジョンとなったグリースの一部が摺動部31から漏出することを抑制できるため、チェーン11を長寿命化することができる。
(3)ブシュ20とローラ21との間の摺動部32に混合グリース33が封入されている。よって、シール部材35の隙間から摺動部32へ浸入した水は混合グリース33中の吸水性ポリマー粒子41に吸収される。よって、水が摺動部32の奥方へ浸入することを抑制できる。例えば浸入した水に起因してエマルジョンとなったグリースの一部が摺動部32から漏出することを抑制できるため、チェーン11を長寿命化することができる。
(4)一組の部材としてピン16とブシュ20との摺動部31と、他の一組の部材としてブシュ20とローラ21との摺動部32とに、それぞれの軸方向両側を一対ずつのシール部材34,35で封止することで、混合グリース33が封入されている。よって、ピン16とブシュ20との相対回動と、ブシュ20とローラ21との相対回動とが共に長期に亘り円滑に行われる。
(第2実施形態)
この第2実施形態は、ローラを回転自在に支持する軸受の構造が前記第1実施形態と異なる例である。すなわち、図5に示すように、ローラ51がブシュ20に対して転がり軸受を介して回転自在に装着されている点が、前記第1実施形態と異なる。以下、内リンク13と外リンク15の構成など第1実施形態と基本的に同様の構成については説明を省略し、特に異なる点についてのみ説明する。
図5に示すように、チェーン11において第1実施形態と同様のブシュ20とローラ51との間には、ブシュ20に対してローラ51を回転自在に支持する転がり軸受の一例であるころ軸受52が設けられている。ローラ51は、ピン16に外挿されたブシュ20に対してころ軸受52を介して回転自在に支持されている。
図5に示すように、チェーン11において外リンク15のリンクプレート14のピン挿入孔14aに嵌入されたピン16に外挿されたブシュ20は、内リンク13のリンクプレート12の挿入孔12aに両端部が嵌入された状態にあり、その外周面にはころ軸受52を介してローラ51が回転自在に支持されている。ころ軸受52は、ローラ51の内周面の軸方向中央部に凹設された環状の凹部51a内に転動可能な状態で収容された複数個のころ53を備えている。複数個のころ53は、ブシュ20とローラ51との間に転動自在に支持された状態で、周方向に所定の間隔を開けて配置されている。ローラ51がブシュ20に対して回転する際は、複数のころ53がブシュ20の外周面上を転動することで、ブシュ20とローラ51との摩擦抵抗は極めて小さくなる。
ローラ51の内周面における軸方向両端部には、ゴム製の弾性変形可能なリップ部54aをブシュ20の外周面に当接させた状態にある一対の円環状のオイルシール54が装着されている。オイルシール54は、内側のリンクプレート12とローラ51との間に挟持された低摩擦材料からなるリング状のスペーサ55(規制板)とローラ51の内周面に形成された段部(図示せず)とによって、ローラ51の内周面における軸方向両端部の位置に保持されている。そして、オイルシール54のリップ部54aがブシュ20の外周面に当接することにより、ブシュ20とローラ51との隙間がシールされ、これによりローラ51の内側に収容されたころ軸受52への水の浸入が抑制されている。
オイルシール54ところ軸受52との間には、ころ軸受52が収容されている凹部51aよりも内周径の小さな円環状の室56(油溜り)が形成されている。この室56には、第1実施形態と同様の混合グリース33が封入されている。本実施形態では、一対のオイルシール54により室56内に混合グリース33が封入されることで、グリース封入部G3が形成されている。図5では、凹部51a内のころ53の隙間に混合グリース33を描いていないが、混合グリース33がころ53の隙間にも存在している。なお、ころ軸受52内の隙間に混合グリース33が存在しない構成も可能である。この場合、例えばシールド付きのころ軸受52を使用し、ころ軸受52内に吸水性ポリマー粉末が入っていないグリース又は潤滑油を注入してもよい。
また、図5に示すように、ピン16とブシュ20との間の摺動部31には、第1実施形態と同様に混合グリース33が封入されている。この実施形態では、摺動部31に混合グリース33を封入する一対のシール部材57が、内側のリンクプレート12と外側のリンクプレート14との間にブシュ20の外周面端部に当接する状態で介装されている。図5の例ではシール部材57としてOリングを用いているが、Xリング、オイルシール、フェルトシール、ラビリンスシールなどを用いてもよい。これら一対のシール部材57によって、ブシュ20の軸方向両端面と外側のリンクプレート14との隙間が外周側からシールされている。このように本例では、摺動部31への水の浸入経路がリンクプレート12,14間に介装されたシール部材57によりシールされている。
さて、本実施形態のチェーン11では、オイルシール54によってころ軸受52への水の浸入が抑制される。例えばチェーン11の走行中にローラ51の回転時に受ける外力でオイルシール54が変形し、仮にリップ部54aとブシュ20の外周面との間にできた僅かな隙間から水が僅かに浸入したとしても、その水は室56内の混合グリース33中の吸水性ポリマー粒子41(図4参照)に吸収される。このとき、浸入した水はオイルシール54近くに存在する吸水性ポリマー粒子41に吸収されるため、オイルシール54の近傍に留まり、それよりも奥方への水の浸入が抑制される。この結果、オイルシール54の内側へ浸入した水がころ軸受52に至ることがない。
以上詳述したように本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られるうえ、さらに以下の効果を得ることができる。
(5)ころ軸受52を軸方向に挟む両側にブシュ20とローラ51との隙間をシールするオイルシール54を設け、オイルシール54ところ軸受52との間に設けた室56内に混合グリース33を封入した。このため、オイルシール54によりころ軸受52側への水の浸入を抑制でき、仮にオイルシール54の隙間から僅かに水が浸入したとしても、その水は混合グリース33中の吸水性ポリマー粒子41に吸収される。よって、ころ軸受52への水の浸入を抑制することができ、ころ軸受52におけるエマルジョンの介在、あるいは浸入した水によるエマルジョン化したグリース40の一部の漏出を抑制することができる。従って、ころ軸受52の摺動性能の低下を長期に亘り回避できるため、チェーン11を長寿命化することができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態のチェーンを図6及び図7を参照して説明する。図6に示すチェーン61は、ピン16と同軸で内リンク13及び外リンク15の幅方向外側に突出するピン部16Aに回転自在に支持されたサイドローラ62(走行ローラ)を備えたタイプのサイドローラ付きチェーンである。そして、サイドローラ62の装着部分を構成する二つの部材の隙間に混合グリース33(図7参照)が封入された例である。サイドローラ62が装着された構成を除けば、内リンク13及び外リンク15等の他の構成については、第1実施形態及び第2実施形態と同様である。以下の説明では、サイドローラ62の装着部分の構成を中心に説明する。
図6に示すように、ピン16は、一対の内側のリンクプレート12の挿入孔12aに両端部が嵌入された状態にある円筒状のブシュ20内に挿通されている。ピン16は一対の外側のリンクプレート14の幅方向Y外側へ突出する一対のピン部16Aを軸方向両側に有する。各ピン部16Aにはサイドローラ62が回転自在に支持されている。チェーン61は、サイドローラ62が不図示のレール上を転動しながら走行する。ピン部16Aは、ピン16における外側のリンクプレート14の幅方向Y外側に突出した軸部(図示せず)に、例えば筒状の軸部材が外嵌された状態で固定されることで形成されている。なお、ピン部16Aは、ピン16と一体に形成されていてもよい。
図6に示すように、ローラ63は、前記各実施形態のローラ21,51よりもやや小さな外径の円筒状を有し、ブシュ20に外挿されている。このため、ローラ63はブシュ20の外周面と摺動しながら回転する。そして、本実施形態においても、ピン16とブシュ20との隙間となる摺動部31と、ブシュ20とローラ63との隙間となる摺動部32には、一対ずつのシール部材34,35(図7参照)により第1実施形態と同様の混合グリース33が封入されることでグリース封入部G1,G2(いずれも図3、図4を参照)が形成されている。なお、ローラ63は、第2実施形態と同様のころ軸受52等の転がり軸受を介してブシュ20に対して回転自在に支持された構成でもよい。この場合、ブシュ20とローラ63との隙間となる室56(図5参照)に混合グリース33が一対のオイルシール54により封入されることで、グリース封入部G3(いずれも図5参照)が形成される。
図7に示すように、ピン部16Aは、基部が大径で先端部が小径となる段差のある軸形状を有している。略円筒形状のサイドローラ62は、ピン部16Aに対して転がり軸受の一例としての玉軸受64(ボールベアリング)を介して回転自在に支持されている。本例では玉軸受64は軸方向に二つ(二列)設けられている。玉軸受64は、ピン部16Aの外周面に固定された内輪65(インナーレース)と、サイドローラ62の内周面62aに固定された外輪66(アウターレース)と、内輪65と外輪66との間に介在し周方向に所定の間隔を開けて一列に配列された状態で不図示の保持器により保持された複数個のボール67とを備えている。
一対の玉軸受64のうち一方側(図7では左側)の玉軸受64の内輪65がピン部16Aの段部に当接するとともにその外輪66がサイドローラ62の内周面62a上の角部に当接している。そして、一対の玉軸受64のうち他方側(図7では右側)の玉軸受64の外輪66がサイドローラ62の内周面62aに係止されたC型止め輪よりなる円環状の規制板68Aで抜け止めされている。さらに他方側の玉軸受64の内輪65が、ピン部16Aの断面略D形状を有する先端部が挿入された略D形状の孔を有する円環状の切欠座金よりなる規制板68Bにより抜け止めされている。規制板68Bは、ピン部16Aの端面に締結されたボルト69とピン部16Aの端面との間に介在する平座金よりなる円環状の座板70に当接することで抜け止めされている。さらにサイドローラ62の内周側先端部には、蓋部材71(キャップ部材)がその外周面を例えばOリングからなるシール部材72により封止された状態で嵌着されている。蓋部材71は、サイドローラ62の内周面62aに係止された例えば止め輪よりなる環状の規制板73によりサイドローラ62から抜け止めされている。
また、図7に示すように、サイドローラ62の内周面における基部側端部は、ピン部16Aの基部外周面に対してシール部材74を介して外嵌されている。シール部材74は例えばOリングにより構成される。また、ピン部16Aとサイドローラ62との隙間において、軸方向にシール部材74と玉軸受64との間の位置には、円環状の室75が形成されている。室75は、サイドローラ62の内周面にピン部16Aの基部の外径よりも所定長さだけ長い内径で凹設された環状の凹部62bと、ピン部16Aの基部外周面とにより区画形成されている。この室75には、混合グリース33が封入されている。
ここで、シール部材74は、サイドローラ62と外側のリンクプレート14との隙間及びピン部16Aとサイドローラ62との隙間を通って玉軸受64側へ浸入しようとする水の浸入経路を、軸方向において室75に対して玉軸受64と反対側となる位置で封止している。そして、混合グリース33が、軸方向においてシール部材74と玉軸受64との間の室75に封入されることで、グリース封入部G4が形成されている。本例では、玉軸受64への水の浸入経路がサイドローラ62の基部側にあるため、玉軸受64によりもサイドローラ62の基部側の位置にグリース封入部G4を形成している。そして、水の浸入がさほど心配されない規制板68A,68Bと蓋部材71との間の空間には、混合グリース33は注入されていない。
なお、規制板68A,68Bと蓋部材71との間の空間に、混合グリース33又は吸水性ポリマー粉末を含まないグリースを注入してもよい。また、混合グリース33は、玉軸受64内に注入されていてもよいし、シールド付きの玉軸受64とし、玉軸受64内に吸水性ポリマー粉末の入っていないグリース又は潤滑油が注入されていてもよい。要するにシール部材74と玉軸受64との間に混合グリース33が封入されていれば足りる。また、グリース封入部G4は、混合グリース33が充填されている必要はなく隙間があってもよい。
以上のように構成された第3実施形態のチェーン61によれば、以下の効果を得ることができる。
(6)ピン部16Aとサイドローラ62との隙間には混合グリース33がシール部材74により封入されている。よって、サイドローラ62の回転中に受けた外力でシール部材74が変形してできた隙間から浸入した水は混合グリース33中の吸水性ポリマー粒子41に吸収される。この結果、混合グリース33中のグリース40の一部のエマルジョン化を抑制できるうえ、ピン部16Aとサイドローラ62との隙間の奥方への水の浸入を抑制できる。よって、玉軸受64への水の浸入を効果的に抑制できるうえ、浸入した水に起因するエマルジョンの生成を抑制することができる。このため、エマルジョン化したグリース40の一部漏出、又は玉軸受64におけるエマルジョンの介在を抑制できるため、チェーン11を長寿命化することができる。
(7)混合グリース33を使用しない構成では、軸受への水の浸入経路上に複数のシール部材を設ける必要があるが、本実施形態の混合グリース33が封入されたグリース封入部G4を設けることで、必要なシール部材74の個数を減らすことができる。本例のようにシール部材74を一つにしても、浸入した水を吸水性ポリマー粒子41で吸収できるので、玉軸受64側への水の浸入を効果的に抑制できる。
(8)ピン16とサイドローラ62との隙間に、混合グリース33を封入する油溜り(グリース溜り)として機能する室75を設け、少なくとも室75に混合グリース33を封入した。よって、室75内に相対的に多く封入される混合グリース33によって水を吸収できる量を多く確保でき、長期に亘り玉軸受64への水の浸入を抑制することができる。仮にチェーン61を長期間使用するうちにシール部材74の隙間から浸入した水が玉軸受64に至ることがあっても、その時期を相対的に遅延させることができる。よって、サイドローラ付きのチェーン61の寿命を延ばすことができる。
なお、実施形態は、以下に示す態様でもよい。
・前記第3実施形態では、ピン部16Aとサイドローラ62との間における水の浸入経路を封止することで混合グリース33を封入するOリングからなるシール部材74を設けたが、例えば図8に示すようなオイルシールからなるシール部材81を設けてもよい。図8の例では、シール部材81のリップ部81aは、外側のリンクプレート14の外側面に当接することで、玉軸受64への水の浸入を抑制する。そして、第3実施形態と同様に、シール部材81よりも水の浸入経路上において玉軸受64側の領域に設けた室75に混合グリース33が封入されている。また、シール部材81の位置は水の浸入経路を封止可能な適宜な位置に変更でき、例えば第3実施形態におけるOリングからなるシール部材74と同様の位置にオイルシールからなるシール部材81を設けてもよい。すなわち、シール部材81をそのリップ部81aがピン部16Aの外周面に当接する状態に設け、シール部材81によってピン部16Aとサイドローラ62との隙間をシールすることで、室75内に混合グリース33を封入してもよい。なお、シール部材81は、オイルシールやOリングの他、Xリング、フェルトシール、ラビリンスシールなどでもよい。
・前記第3実施形態では、玉軸受64側への水の浸入経路を封止するシール部材74を一つとしたが、複数設けてもよい。例えば図9に示すように、複数のシール部材の一例として、玉軸受64への水の浸入経路上に図8に示したものと同様のオイルシールからなるシール部材81と、第3実施形態(図7)と同様のOリングからなるシール部材74とを設ける。さらに室75内において混合グリース33の封入領域と玉軸受64との間に玉軸受64への水の浸入を抑制する第2のシール部の一例としてオイルシールからなるシール部材82とを設ける。室75内に設けられたシール部材82は、ピン部16Aの外周面に当接させたリップ部82aにより、ピン部16Aとサイドローラ62との隙間を封止している。そして、室75内には、シール部材82に対して玉軸受64と反対側の領域に混合グリース33が封入されている。複数のシール部材74,81が設けられているので、混合グリース33の封入領域への水の浸入を抑制でき、仮にサイドローラ62の回転中に受ける外力でシール部材74,81が変形してできた僅かな隙間から水が僅かに浸入しても、その浸入した水は混合グリース33中の吸水性ポリマー粒子41(図4参照)に吸収される。このため、玉軸受64への水の浸入をより効果的に抑制できる。
また、チェーン11の長期使用等の理由で、混合グリース33中の吸水性ポリマー粒子41が水を吸収し切った状態にあり、吸収されなかった水が、万一、室75内の玉軸受64寄りの位置に至っても、シール部材82の存在により玉軸受64側への水の浸入を抑制できる。また、水を吸収して膨潤した吸水性ポリマー粒子41を含む混合グリース33が玉軸受64側へ浸入することも抑制できる。よって、チェーン61を長寿命化することができる。なお、複数のシール部材74,81,82は、Oリング、オイルシールの他、Xリング、フェルトシール、ラビリンスシールなどでもよい。
・第2実施形態において、ピン16とローラ51との間に介在する転がり軸受について、ころ軸受52ではなく、玉軸受(ボールベアリング)としてもよい。
・第3実施形態、図8、図9の変形例において、ピン部16Aとサイドローラ62との間に介装された軸受は、玉軸受64に限定されず、ころ軸受でもよい。また、玉軸受やころ軸受等の転がり軸受に限定されず、ブシュ等の滑り軸受としてもよい。このような軸受を用いても、ピン部16Aとサイドローラ62との隙間又は滑り軸受との摺動部に混合グリース33が封入されることで、同様の効果を得ることができる。
・サイドローラ62はピン16の軸方向両側に二つ設けられた構成に限定されない。例えばサイドローラ62はピン16の軸方向一端部のみに設けられていてもよい。この場合、ピン16の軸方向両側のうち同じ側だけにサイドローラ62が設けられていてもよいし、ピン16の軸方向両側のうちサイドローラ62を設ける一方の端部を交互に変えて平面視でサイドローラ62を千鳥状に配置してもよい。
・第1実施形態において、シール部材34は、ピン16とブシュ20との間の位置に替え、内側のリンクプレート12と外側のリンクプレート14との間におけるピン16の外周側となる位置に設けてもよい。また、シール部材34は、ブシュ20の軸方向両端面と外側のリンクプレート14との隙間をシールするように設けてもよい。また、シール部材35は、ブシュ20とローラ21との間の位置に替え、内側のリンクプレート12とローラ21との間におけるブシュ20の外周側となる位置に設けてもよい。
・ピン16とブシュ20との隙間である摺動部31と、ブシュ20とローラ21との隙間である摺動部32とのうち少なくとも一方に、混合グリース33が封入されていればよい。例えばピン16とブシュ20との間の摺動部31のみに混合グリース33が封入された構成でもよいし、ブシュ20とローラ21との間の摺動部32のみに混合グリース33が封入された構成でもよい。
・混合グリース中の吸水性ポリマーは粉末に限定されない。例えば吸水性ポリマーの繊維でもよい。また、室に混合グリースを封入する場合は、粒状の高吸水性ポリマーを使用してもよい。
・チェーン11の相対回動する一組の部材の隙間にグリースと吸水性ポリマー粉末とを別々に分離状態で封入し、チェーン11の使用による一組の部材の相対回動により、グリースと吸水性ポリマー粉末とを隙間内で混合させて混合グリースとしてもよい。この場合、吸水性ポリマー粉末はシール部寄りに注入しておくことが好ましい。こうすれば隙間においてシール部寄りに吸水性ポリマーが多く存在し易くなるので、浸入した水が隙間の奥方へ至ることを一層抑え易くなる。
・Oリングやオイルシール等のシール部材に替え、混合グリースをラビリンス構造のシール部により封入してもよい。また、シール部は、パッキン又は非接触式シールでもよい。さらにシール部は、例えばチェーンの合成樹脂製の構成部材にシールリップ部を一体形成したものでもよい。
・トップローラ付きチェーンにおけるトップローラとピン(回転軸)との間に介装された転がり軸受と、トップローラとピンとの隙間を封止するシール部との間に、混合グリース33を封入したグリース封入部を形成してもよい。また、蛇行防止等を目的とするガイドローラや、チェーンの重量を支持するトロリーローラ等のローラとピン(回転軸)との隙間におけるシール部と転がり軸受との間の領域に、混合グリース33を封入したグリース封入部を形成してもよい。
・ブシュとローラとの間に、スリーブを設けてもよい。この場合、ブシュとスリーブとの隙間と、スリーブとローラとの隙間とのうち少なくとも一方に混合グリースを封入してもよい。
・相対回動可能な少なくとも一組の部材間の隙間に混合グリース33を封入した構造を、フラットタイプのチェーン11,61に替え、一対のリンクプレートの幅が長手方向の両端部で異なる構成であるオフセットタイプのチェーンに適用してよい。
・チェーンは、合成樹脂製でも金属製でもよいし、さらに合成樹脂製の部材(部品)と金属製の部材とが混在する構成でもよい。また、チェーンの構成部材のうちの一部の部材がセラミック製であってもよい。
11,61…チェーン、12…リンクプレート、13…リンクの一例としての内リンク、14…リンクプレート、15…リンクの一例としての外リンク、16…ピン、16A…ピン部、20…滑り軸受の一例としてのブシュ、21…ローラ、31,32…摺動部、33…混合グリース、34,35…シール部の一例としてのシール部材、40…グリース、41…吸水性ポリマー粒子、51…ローラ、52…転がり軸受の一例としてのころ軸受、54…シール部の一例としてのオイルシール、56…隙間の一例としての室、62…サイドローラ、63…ローラ、64…転がり軸受の一例としての玉軸受、74…シール部の一例としてのシール部材、75…隙間の一例としての室、81…シール部の一例としてのシール部材、82…第2のシール部の一例としてのシール部材、X…直列方向、Y…幅方向、G1,G2,G3,G4…グリース封入部。

Claims (7)

  1. 一対の対向するリンクプレートを有するリンクを複数備え、複数の前記リンクがピンを介して回動自在な状態で直列に連結されたチェーンであって、
    チェーンを構成する複数の部材のうち相対回動可能に設けられた少なくとも一組の部材間の隙間のうち少なくとも一部に、グリースと吸水性ポリマーとを含む混合物からなる混合グリースが封入されたグリース封入部と、
    前記混合グリースを前記隙間に封入された状態に封止するシール部と
    を備えたことを特徴とするチェーン。
  2. 前記ピンを中心に回転可能に設けられたローラと、
    前記ピンと前記ローラとの間に介装された滑り軸受とを備え、
    前記グリース封入部は、前記混合グリースが、前記一組の部材である前記ピンと前記滑り軸受との間の摺動部と、前記一組の部材である前記滑り軸受と前記ローラとの間の摺動部とのうち少なくとも一方に封入されることで形成され、
    前記シール部は、前記グリース封入部の軸方向両側を封止することを特徴とする請求項1に記載のチェーン。
  3. 前記少なくとも一組の部材の間に介装された転がり軸受と、
    前記少なくとも一組の部材の隙間を封止して前記転がり軸受への水の浸入を抑制するシール部とを備え、
    前記混合グリースは、前記少なくとも一組の部材の隙間において軸方向に少なくとも前記シール部と前記転がり軸受との間の領域に封入されていることを特徴とする請求項1に記載のチェーン。
  4. 前記一組の部材は、前記ピンに外挿された円筒状のブシュと、当該ブシュに対して前記転がり軸受を介して回転可能に設けられたローラとであり、
    前記混合グリースは、前記ブシュと前記ローラとの隙間において軸方向に少なくとも前記シール部と前記転がり軸受との間の領域に封入されていることを特徴とする請求項3に記載のチェーン。
  5. 前記リンクの外側に前記ピンと同軸で突出したピン部に転がり軸受を介して回転自在に支持されたサイドローラを更に備え、
    前記一組の部材は、前記ピン部と前記サイドローラとであることを特徴とする請求項1又は3に記載のチェーン。
  6. 前記ピン部と前記サイドローラとの隙間には前記シール部と前記転がり軸受との間の領域に、前記ピン部と前記サイドローラとの隙間が最小の部分よりも広くなった室が設けられ、
    前記混合グリースは少なくとも前記室に封入されていることを特徴とする請求項5に記載のチェーン。
  7. 前記シール部を第1のシール部とした場合、
    前記グリース封入部と前記転がり軸受との間で、前記一組の部材間の隙間を封止する第2のシール部を備えたことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載のチェーン。
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