JP2011106562A - 密封軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シール空間部に排出されたグリースを固定輪側に留めることが可能であって、回転輪の回転によるグリースの飛散を抑制し、軸受内に封入したグリースによる安定的な潤滑を実現し、低発熱で長寿命な密封軸受装置を提供する。
【解決手段】密封軸受装置10の密封機構24A〜24Eには、シール空間部Sを内輪2側と外輪3側に分けてグリースを外輪3側に留めるための環状の仕切り壁43が回転中心軸Qと同心状に平行に延設されており、内輪2と仕切り壁43との距離は、ラビリンス隙間より大きい。
【選択図】図1
【解決手段】密封軸受装置10の密封機構24A〜24Eには、シール空間部Sを内輪2側と外輪3側に分けてグリースを外輪3側に留めるための環状の仕切り壁43が回転中心軸Qと同心状に平行に延設されており、内輪2と仕切り壁43との距離は、ラビリンス隙間より大きい。
【選択図】図1
Description
本発明は、密封軸受装置、特にグリースで潤滑される密封軸受装置に関する。
従来、鉄道車両車軸には、各種の円すいころ軸受が用いられている。その一例として図8に示された円すいころ軸受1は、2つの内輪2が背面同士を環状の間座15に当て付けた状態で嵌合されており、これら2つの内輪2の外径側に対向して単体の外輪3がハウジング(図示しない)に嵌合されている。この場合、それぞれの内輪2の対向面には、間座15側から離間する方向に沿って末広がり状に傾斜した環状の内輪軌道面2sが形成されており、一方、外輪3の対向面には、各内輪2の内輪軌道面2sに沿って傾斜した2つの環状の外輪軌道面3sが形成されている。
このような構成を成す2つの内輪2の両側には、それぞれ、内輪2のアキシャル方向の移動を規制する環状の油きり17、19が鉄道車両車軸13に嵌合されており、その一方側(図1中向って左側)の油きり17に対して押圧体21をアキシャル方向に当て付けてボルト23で締め付けることで、円すいころ軸受1に所定の予圧を付与することができる。この状態において、鉄道車両車軸13を回転させると、内外輪2、3が回転中心軸Q回りに相対回転する間(軸受回転中)に、当該内外輪 2、3の軌道面2s、3s間に保持器11と共に組み込まれた複数の転動体5は、各鍔部 7、9の案内面7s、9sによって保持・案内されながら軌道面2s、3sに沿って転動する。
また、軸受回転中における潤滑性能を一定に維持するために、グリースが軸受内部に封入されている。この場合、グリースの軸受外部への漏洩防止を図ると共に、異物(例えば、水、塵埃)の軸受内部への浸入防止を図るために、内外輪2、3の両側には、軸受内部を軸受外部から密封するための密封機構24が設けられている。なお、内外輪 2、3の両側に設けられた密封機構24は、互いに同一の構成を成しているため、その一方側(図1中向って右側)の密封機構24について、図9を参照して説明する。以下、密封機構を備えた軸受を密封軸受装置と呼ぶ。
図9に示すように、密封軸受装置100の密封機構24は、基端部25eが外輪3の内周面に固定され、その先端部25tが油きり19に非接触状態に位置決めされた環状のシールケース25と、当該シールケース25と油きり19との間に介在されたシール部27とを備えて構成されている。
かかる密封機構24において、シールケース25は、基端部25eから軸受のラジアル方向(回転中心軸Qに直交する方向)内側に屈曲しながらアキシャル方向(回転中心軸Qに平行な方向)外側に延出し、先端部25tが油きり19との間でラビリンスシールを構成している。
また、シール部27は、シールケース25の内側面25s(油きり19に対向する側面)に固定され且つラジアル方向に延出した環状の外径側スリンガ29と、油きり19に固定され外径側スリンガ29と対向する内径側スリンガ28と、外径側スリンガ29の内側に固定され且つ油きり19方向に延出した環状の心金31と、心金31の延出端に取り付けられた環状のゴム製リップ33とを備えている。リップ33の一部には、環状の押えリング(不図示)が掛け渡されており、当該押えリングの弾性的な絞付力によってリップ33を内径側スリンガ28に摺接させている。また、外径側スリンガ29の延出端は、油きり19に対して非接触状態に位置決めされており、当該外径側スリンガ29の延出端と油きり19との間には、ラビリンスシールが構成されている。
このような密封機構24によれば、軸受内部の密封性が高められ、軸受回転中における潤滑性能が一定に維持される。このとき、内外輪2、3間に保持器11と共に組み込まれた複数の転動体5は、保持器11によりそれぞれ回転自在に保持されながら、グリースにより保持器11や軌道面2s、3sとの間の摩擦抵抗が低減されつつ軌道面2s、3sに沿って転動する。
また、円すいころ軸受1に封入されたグリースは、軸受回転中(内外輪2、3の相対回転中)、回転に伴う遠心力とポンプ作用によりシールケース25側に排出された後、当該シールケース25で覆われたシール空間部Sにおいて、シールケース25及び外径側スリンガ29上に堆積するようになっている。
そして、シール空間部Sに排出されるグリース量が多くなるにつれて、シール空間部Sのグリースは、外径側スリンガ29をつたってシール空間部Sの回転輪側(以下、内輪2と油きり19を含めて回転輪側と呼ぶことがある。)へと押しやられる(図9の矢印A参照)。これは円すいころ軸受1の外部で生じる振動に助長され、シール空間部Sのグリースは一層シール空間部Sの回転輪側へと移動する。
また、特許文献1の密封軸受装置200は、図10に示すように、シールケース225に取り付ける遮蔽板240に内輪外周面に向かって傾斜したグリース案内部241を設け、グリースがシールケース225内の空所に押し出されるのを防止している。
特許文献2の密封軸受装置300は、図11に示すように、内輪302と油きり319とが当接する当接部310が転動体305と異なる領域に位置するようにシール空間部Sを分割する分割壁340を設け、分割壁340と内輪302との間にラビリンスシールを形成して、当接部310で発生した摩耗粉の軸受空間部への流入とグリースのシール部327への流出を防止している。
特許文献3の密封軸受装置400は、図12に示すように、内輪402と油きり419との間に環状スペーサ440を設け、環状スペーサ440とシールケース425との間にラビリンスシールを形成して、グリースのシール部427への流出を防止している。
しかしながら、シール空間部Sに堆積したグリースを回転輪側へ再度流動させることは軸受の温度上昇とグリース漏れの観点から好ましくない場合があることが分かった。即ち、図8及び図9に示す密封軸受装置100では、シール空間部Sの内輪2側へ流動したグリースは内輪2の遠心力によって飛散し、転動体空間部に流入する(図9の矢印B参照)。また、内輪2側へ押しやられた一部のグリースは、油きり19と外径側スリンガ29との隙間を通じて、シール部27に流出する(図9の矢印C参照)。転動体空間部に流入したグリースは転動体5に掻きこまれることで回転トルクの上昇をもたらし、急激な軸受温度の上昇が生じる。また、シール部27内に流出したグリースは軸受の潤滑に寄与しない上、リップ33を通過して軸受外部へと排出される。その結果、軸受の急激な温度上昇によるグリースの劣化や、シール空間部Sでのグリースの枯渇により安定的な潤滑が困難になるという問題があった。
図10に示す密封軸受装置200では、グリース案内部241を経由して固定輪である外輪203から回転輪である内輪202及び転動体205へグリースが流動しやくすく、転動体205に掻きこまれることで軸受の温度上昇をもたらすおそれがあった。また、グリース案内部241によりシール空間部が狭められているため、シール空間部の空間容積が減少し、多量のグリースがシール空間部に流入する際、保持器211によりグリースが攪拌され、その攪拌抵抗により軸受の温度上昇をもたらすおそれがあった。
図11及び図12に示す密封軸受装置300、400では、分割壁340や環状スペーサ440が内輪302やシールケース425との間でラビリンスシールを形成するため、シール部327、427へのグリースの流出を抑制することはできるが、固定輪である外輪303、403側から回転輪である内輪302、402側へグリースが流動しやいという問題があるとともに、加工に手間がかかり製造コストが増加するという問題があった。さらに、密封軸受装置300、400のラビリンスシールでの発熱により、また密封軸受装置400の環状スペーサ440によるグリースの攪拌により、温度上昇をもたらす懸念があった。
即ち、これら従来の密封軸受装置100、200、300、400によれば、グリースが転動体空間部に戻るとき、グリースが内輪と接触して飛散するため、グリースの供給が不規則になって、上述したように回転トルクの上昇、軸受の温度上昇をもたらすという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、シール空間部に堆積したグリースを固定輪側に留めることが可能であって、回転輪の回転によるグリースの飛散を抑制し、軸受内に封入したグリースによる安定的な潤滑を実現し、低発熱で長寿命な密封軸受装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(1)回転輪と固定輪との間に転動自在に配設された転動体を備える軸受と、
前記回転輪の少なくとも軸方向一方側から前記回転輪のアキシャル方向の移動を規制する環状固定部材と、
前記固定輪の少なくとも軸方向一方側に取り付けられるシールケースと、
シールケース側に取り付けられる心金と、該心金に取り付けられ前記環状固定部材又は前記環状固定部材に対して固定した部分に摺接するシールリップを構成する弾性体と、前記シールケース側に取り付けられ前記シールリップより軸方向内側で前記環状固定部材又は前記環状固定部材に対して固定した部分とラビリンスシールを構成するスリンガと、を有し、前記環状固定部と前記シールケースとの間を密封する密封機構と、
を備え、軸受内部を密封してグリース潤滑で使用される密封軸受装置であって、
前記密封機構には、シール空間部を回転輪側と固定輪側に分けてグリースを前記固定輪側に留めるための環状の仕切り壁が回転中心軸と同心状に平行に延設されており、前記回転輪と前記仕切り壁との距離は、ラビリンス隙間より大きいことを特徴とする密封軸受装置。
(2)前記仕切り壁は、前記シールケースに取り付けられた仕切板に形成されるか、又は、前記スリンガと一体に形成されることを特徴とする(1)に記載の密封軸受装置。
(3)前記仕切り壁は、全周に亘って形成されるか、又は周方向に所定の間隔で複数形成されることを特徴とする(1)又は(2)に記載の密封軸受装置。
(1)回転輪と固定輪との間に転動自在に配設された転動体を備える軸受と、
前記回転輪の少なくとも軸方向一方側から前記回転輪のアキシャル方向の移動を規制する環状固定部材と、
前記固定輪の少なくとも軸方向一方側に取り付けられるシールケースと、
シールケース側に取り付けられる心金と、該心金に取り付けられ前記環状固定部材又は前記環状固定部材に対して固定した部分に摺接するシールリップを構成する弾性体と、前記シールケース側に取り付けられ前記シールリップより軸方向内側で前記環状固定部材又は前記環状固定部材に対して固定した部分とラビリンスシールを構成するスリンガと、を有し、前記環状固定部と前記シールケースとの間を密封する密封機構と、
を備え、軸受内部を密封してグリース潤滑で使用される密封軸受装置であって、
前記密封機構には、シール空間部を回転輪側と固定輪側に分けてグリースを前記固定輪側に留めるための環状の仕切り壁が回転中心軸と同心状に平行に延設されており、前記回転輪と前記仕切り壁との距離は、ラビリンス隙間より大きいことを特徴とする密封軸受装置。
(2)前記仕切り壁は、前記シールケースに取り付けられた仕切板に形成されるか、又は、前記スリンガと一体に形成されることを特徴とする(1)に記載の密封軸受装置。
(3)前記仕切り壁は、全周に亘って形成されるか、又は周方向に所定の間隔で複数形成されることを特徴とする(1)又は(2)に記載の密封軸受装置。
本発明に記載の密封軸受装置によれば、回転中心軸と同心状に平行に設けられた環状の仕切り壁がシール空間部を回転輪側と固定輪側に分けるとともに、回転輪と仕切り壁との距離がラビリンス隙間より大きいので、シール空間部に堆積したグリースを固定輪側に留めることが可能であって、回転輪でのグリースの飛散を抑制し、軸受内に封入したグリースによる安定的な潤滑を実現することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の各実施形態の密封軸受装置について説明する。なお、各実施形態の密封軸受装置は、図8及び図9に示された密封軸受装置の密封機構の改良であり、他の構成は、同図の構成と同一であるため、同一又は同等部分には同一符号又は相当符号を付して説明を簡略化又は省略し、改良された密封機構を中心に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る密封軸受装置の密封機構の断面図である。
密封軸受装置10の密封機構24Aは、基端部25eが外輪3に固定され、その先端部25tが油きり19に非接触状態に位置決めされた環状のシールケース25と、当該シールケース25と油きり19との間に介在されたシール部27とを備えて構成されている。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る密封軸受装置の密封機構の断面図である。
密封軸受装置10の密封機構24Aは、基端部25eが外輪3に固定され、その先端部25tが油きり19に非接触状態に位置決めされた環状のシールケース25と、当該シールケース25と油きり19との間に介在されたシール部27とを備えて構成されている。
より具体的に説明すると、シールケース25は、基端部25eから軸受のラジアル方向(回転中心軸Qに直交する方向)内側に延出した環状の第1ラジアル延出部25aと、当該第1ラジアル延出部25aから折り返されてアキシャル方向(回転中心軸Qに平行な方向)外側に延出した環状のアキシャル延出部25bと、当該アキシャル延出部25bから折り返されてラジアル方向内側に延出した環状の第2ラジアル延出部25cと、当該第2ラジアル延出部25cから折り返されてアキシャル方向外側に延出した環状の先端部25tと、が連続して構成されている。
また、シール部27は、アキシャル延出部25bの内側面25s(油きり19に対向する側面)に後述する仕切板40を介して固定された外側円筒部29aからラジアル方向内側に遮断板部29bが延出して断面略L字形状をなす外径側スリンガ29と、油きり19に固定され外径側スリンガ29と対向する内径側スリンガ28と、外径側スリンガ29の内側に固定され且つ外径側スリンガ29、内径側スリンガ28、シールケース25の第2ラジアル延出部25cにより形成された空間内を油きり19方向に延出した環状の心金31と、心金31の延出端に取り付けられた環状のゴム製リップ33と、を備えている。リップ33の一部には、環状の押えリング(不図示)が掛け渡されており、当該押えリングの弾性的な絞付力によってリップ33を内径側スリンガ28に摺接させてシールリップを構成している。また、外径側スリンガ29の遮断板部29bの延出端は、油きり19に対して非接触状態に位置決めされており、当該外径側スリンガ29の遮断板部29bの延出端と油きり19との間には、ラビリンスシール(狭いすきま)が形成されている。さらに、シールケース25の先端部25tと油きり19との間にも、ラビリンスシールが形成されている。
仕切板40は、シールケース25のアキシャル延出部25bと外径側スリンガ29の外側円筒部29a間に嵌め込まれる円筒状基部41と、円筒状基部41の内径側端部から折り返されて外径側スリンガ29の遮断板部29bに沿ってラジアル方向内側に延出した円板部42と、円板部42の内径側端部から回転中心軸Q(図8参照)と同心状に軸受空間側に全周に亘って平行に延出する環状の仕切り壁43と、を備えて構成される。
仕切り壁43の先端は、内輪2と外輪3の軸方向端部より軸方向内側且つ保持器11の軸方向端部より外側に位置し、仕切り壁43が、保持器11との接触を回避しつつシール空間部Sを内輪2側と外輪3側に分けるように構成される。また、内輪2の外周面と仕切り壁43との距離はラビリンスシールを形成しない、即ちラビリンス隙間より大きくなるように設定され、これによりシール空間部Sに堆積したグリースが仕切り壁43を伝って回転輪である内輪2側に流動することを防止している。
従って、シール空間部Sに堆積したグリースは固定輪である外輪3側、即ち、シールケース25の基端部25eとラジアル延出部25a及び仕切板40の円板部42と仕切り壁43により形成されたグリース溜り部Gに留めることができる。そして、シール空間部Sに堆積したグリースは内輪2と接触することなく転動体空間部に戻る。従って、グリースの供給が安定するため、グリースが内輪2の回転に伴って転動体空間部に流入して転動体5に掻きこまれることによる温度上昇や回転トルクの上昇、不安定化を回避することができる。また、グリースがシール部27内に流出することが抑制され、安定的な潤滑を確保することができる。
<第2実施形態>
図2は、本発明の第2実施形態に係る密封軸受装置の密封機構の断面図である。なお、第2実施形態を含め以下に示す実施形態において、第1実施形態の密封機構24Aと同一又は同等部分には同一符号又は相当符号を付して説明を簡略化又は省略する。
本実施形態の密封機構24Bの仕切板40は、第1実施形態の仕切り壁43の先端が外径側に僅かに屈曲することにより、仕切り壁43に流動防止部44が形成されたものである。これにより、仕切り壁43の外周面から内周面へのグリースの回り込みをより確実に防止し、グリースをシールケース25の基端部25eとラジアル延出部25a及び仕切板40の円板部42と仕切り壁43と流動防止部44により形成されたグリース溜り部Gに留めることができる。
図2は、本発明の第2実施形態に係る密封軸受装置の密封機構の断面図である。なお、第2実施形態を含め以下に示す実施形態において、第1実施形態の密封機構24Aと同一又は同等部分には同一符号又は相当符号を付して説明を簡略化又は省略する。
本実施形態の密封機構24Bの仕切板40は、第1実施形態の仕切り壁43の先端が外径側に僅かに屈曲することにより、仕切り壁43に流動防止部44が形成されたものである。これにより、仕切り壁43の外周面から内周面へのグリースの回り込みをより確実に防止し、グリースをシールケース25の基端部25eとラジアル延出部25a及び仕切板40の円板部42と仕切り壁43と流動防止部44により形成されたグリース溜り部Gに留めることができる。
<第3実施形態>
図3は、本発明の第3実施形態に係る密封軸受装置の密封機構の断面図である。
本実施形態の密封機構24Cでは、外径側スリンガ29が直接シールケース25のアキシャル延出部25bの内側面25sに内嵌される。また、仕切板40の円筒状基部41は、軸方向内側に延出して形成され、仕切板40もシールケース25のアキシャル延出部25bの内側面25sに内嵌される。そして、仕切板40と外径側スリンガ29は、円板部42と遮断板部29bのみが接着又は当接した状態で軸方向に沿って並列に配置される。これにより、シール空間部Sのグリースを固定輪である外輪3側に留めることができ、さらに外径側スリンガ29を仕切板40に嵌め込む必要がなくなり、嵌め合い部が少なくなることにより軸受外部の水分が軸受内部に流入することを防止できる。
図3は、本発明の第3実施形態に係る密封軸受装置の密封機構の断面図である。
本実施形態の密封機構24Cでは、外径側スリンガ29が直接シールケース25のアキシャル延出部25bの内側面25sに内嵌される。また、仕切板40の円筒状基部41は、軸方向内側に延出して形成され、仕切板40もシールケース25のアキシャル延出部25bの内側面25sに内嵌される。そして、仕切板40と外径側スリンガ29は、円板部42と遮断板部29bのみが接着又は当接した状態で軸方向に沿って並列に配置される。これにより、シール空間部Sのグリースを固定輪である外輪3側に留めることができ、さらに外径側スリンガ29を仕切板40に嵌め込む必要がなくなり、嵌め合い部が少なくなることにより軸受外部の水分が軸受内部に流入することを防止できる。
<第4実施形態>
図4は、本発明の第4実施形態に係る密封軸受装置の密封機構の断面図である。
本実施形態の密封機構24Dでは、仕切板40が設けられておらず、外径側スリンガ29が直接シールケース25のアキシャル延出部25bの内側面25sに内嵌され、外径側スリンガ29の遮断板部29bから全周に亘って環状の仕切り壁43が回転中心軸Q(図8参照)と同心状に軸受空間側に平行に突出するように一体形成される。これにより、シール空間部Sの空間容積を減少させることなくシール空間部Sを内輪2側と外輪3側に分けることができ、シール空間部Sのグリースは固定輪である外輪3側に留めることができる。
図4は、本発明の第4実施形態に係る密封軸受装置の密封機構の断面図である。
本実施形態の密封機構24Dでは、仕切板40が設けられておらず、外径側スリンガ29が直接シールケース25のアキシャル延出部25bの内側面25sに内嵌され、外径側スリンガ29の遮断板部29bから全周に亘って環状の仕切り壁43が回転中心軸Q(図8参照)と同心状に軸受空間側に平行に突出するように一体形成される。これにより、シール空間部Sの空間容積を減少させることなくシール空間部Sを内輪2側と外輪3側に分けることができ、シール空間部Sのグリースは固定輪である外輪3側に留めることができる。
<第5実施形態>
図5は、本発明の第5実施形態に係る密封軸受装置の密封機構の断面図である。
本実施形態の密封機構24Eでは、仕切板40が設けられておらず、外径側スリンガ29が直接シールケース25のアキシャル延出部25bの内側面25sに内嵌され、外径側スリンガ29の遮断板部29bから仕切り壁43が回転中心軸Q(図8参照)と同心状に軸受空間側に平行に突出するように一体形成される点で第4実施形態と共通する。
しかしながら、本実施形態では、仕切り壁43が2枚の薄板部をプレス成形により圧接することで全周に亘って環状に形成される。これにより、シール空間部Sの空間容積を減少させることなくシール空間部Sを内輪2側と外輪3側に分けることができ、且つ、仕切り壁43の加工性を向上させることができる。
図5は、本発明の第5実施形態に係る密封軸受装置の密封機構の断面図である。
本実施形態の密封機構24Eでは、仕切板40が設けられておらず、外径側スリンガ29が直接シールケース25のアキシャル延出部25bの内側面25sに内嵌され、外径側スリンガ29の遮断板部29bから仕切り壁43が回転中心軸Q(図8参照)と同心状に軸受空間側に平行に突出するように一体形成される点で第4実施形態と共通する。
しかしながら、本実施形態では、仕切り壁43が2枚の薄板部をプレス成形により圧接することで全周に亘って環状に形成される。これにより、シール空間部Sの空間容積を減少させることなくシール空間部Sを内輪2側と外輪3側に分けることができ、且つ、仕切り壁43の加工性を向上させることができる。
<第6実施形態>
図6は、本発明の第6実施形態に係る密封軸受装置の密封機構の断面図である。
本実施形態の密封機構24Fでは、仕切板40が設けられておらず、外径側スリンガ29が直接シールケース25のアキシャル延出部25bの内側面25sに内嵌され、外径側スリンガ29の遮断板部29bから仕切り壁43が回転中心軸Q(図8参照)と同心状に軸受空間側に平行に突出するように一体形成される点で第4実施形態と共通する。
しかしながら、本実施形態では、遮断板部29bを90°内側にアキシャル方向に屈曲させシール空間部Sに突出させて全周に亘って環状に仕切り壁43を形成した後、さらにラジアル方向内径側に屈曲させ、外径側スリンガ29の延出端と油きり19との間にラビリンスシールを形成したものである。ここで、仕切り壁43は、外輪3の軸方向端部より外側に位置するが、回転中心軸Q(図8参照)と平行に仕切り壁43を通る仮想線を引いたときに、内輪2の外周面と仕切り壁43の仮想線との距離がラビリンスシールを形成しない、即ちラビリンス隙間より大きくなるように設定される。これにより仕切板40を設けることなく、少ない部品点数でシール空間部Sに堆積したグリースを固定輪である外輪3側に留めることができる。
図6は、本発明の第6実施形態に係る密封軸受装置の密封機構の断面図である。
本実施形態の密封機構24Fでは、仕切板40が設けられておらず、外径側スリンガ29が直接シールケース25のアキシャル延出部25bの内側面25sに内嵌され、外径側スリンガ29の遮断板部29bから仕切り壁43が回転中心軸Q(図8参照)と同心状に軸受空間側に平行に突出するように一体形成される点で第4実施形態と共通する。
しかしながら、本実施形態では、遮断板部29bを90°内側にアキシャル方向に屈曲させシール空間部Sに突出させて全周に亘って環状に仕切り壁43を形成した後、さらにラジアル方向内径側に屈曲させ、外径側スリンガ29の延出端と油きり19との間にラビリンスシールを形成したものである。ここで、仕切り壁43は、外輪3の軸方向端部より外側に位置するが、回転中心軸Q(図8参照)と平行に仕切り壁43を通る仮想線を引いたときに、内輪2の外周面と仕切り壁43の仮想線との距離がラビリンスシールを形成しない、即ちラビリンス隙間より大きくなるように設定される。これにより仕切板40を設けることなく、少ない部品点数でシール空間部Sに堆積したグリースを固定輪である外輪3側に留めることができる。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、図7(a)に示すように、図4及び図5に示す第4及び第5実施形態の密封軸受装置の密封機構24D、24Eを構成する外径側スリンガ29に仕切り壁43を周方向に間欠的に形成してもよい。即ち、隣り合う仕切り壁43間にスリット45を設け、複数(本例では8個)の仕切り壁43が周方向に所定の間隔で形成されるようにしたものである。これにより、グリース溜り部Gに大量のグリースが流入した場合にのみグリースを回転輪である内輪2側に流動させ、過剰なグリースが転動体空間部に戻ることを防止することができる。
例えば、図7(a)に示すように、図4及び図5に示す第4及び第5実施形態の密封軸受装置の密封機構24D、24Eを構成する外径側スリンガ29に仕切り壁43を周方向に間欠的に形成してもよい。即ち、隣り合う仕切り壁43間にスリット45を設け、複数(本例では8個)の仕切り壁43が周方向に所定の間隔で形成されるようにしたものである。これにより、グリース溜り部Gに大量のグリースが流入した場合にのみグリースを回転輪である内輪2側に流動させ、過剰なグリースが転動体空間部に戻ることを防止することができる。
同様に、図1〜図3に示す第1〜第3実施形態の密封軸受装置の密封機構を構成する仕切板40に仕切り壁43を周方向に間欠的に形成してもよい。図7(b)は、図1に示す第1実施形態の密封軸受装置の密封機構24Aを構成する仕切板40に仕切り壁43を間欠的に形成した例を代表して示したものであり、これによってもグリース溜り部Gに大量のグリースが流入した場合にのみグリースを回転輪である内輪2側に流動させ、過剰なグリースが転動体空間部に戻ることを防止することができる。
なお、本実施形態の密封型軸受装置は、鉄道車両車軸に限らず種々の機構に適用することができる。
1 円すいころ軸受(軸受)
2 内輪(回転輪)
3 外輪(固定輪)
5 転動体
10 密封軸受装置
13 鉄道車両車軸(車軸)
19 油きり(環状固定部材)
25 シールケース
28 内径側スリンガ
29 外径側スリンガ(スリンガ)
43 仕切り壁
S シール空間部
Q 回転中心軸
2 内輪(回転輪)
3 外輪(固定輪)
5 転動体
10 密封軸受装置
13 鉄道車両車軸(車軸)
19 油きり(環状固定部材)
25 シールケース
28 内径側スリンガ
29 外径側スリンガ(スリンガ)
43 仕切り壁
S シール空間部
Q 回転中心軸
Claims (3)
- 回転輪と固定輪との間に転動自在に配設された転動体を備える軸受と、
前記回転輪の少なくとも軸方向一方側から前記回転輪のアキシャル方向の移動を規制する環状固定部材と、
前記固定輪の少なくとも軸方向一方側に取り付けられるシールケースと、
シールケース側に取り付けられる心金と、該心金に取り付けられ前記環状固定部材又は前記環状固定部材に対して固定した部分に摺接するシールリップを構成する弾性体と、前記シールケース側に取り付けられ前記シールリップより軸方向内側で前記環状固定部材又は前記環状固定部材に対して固定した部分とラビリンスシールを構成するスリンガと、を有し、前記環状固定部と前記シールケースとの間を密封する密封機構と、
を備え、軸受内部を密封してグリース潤滑で使用される密封軸受装置であって、
前記密封機構には、シール空間部を回転輪側と固定輪側に分けてグリースを前記固定輪側に留めるための環状の仕切り壁が回転中心軸と同心状に平行に延設されており、前記回転輪と前記仕切り壁との距離は、ラビリンス隙間より大きいことを特徴とする密封軸受装置。 - 前記仕切り壁は、前記シールケースに取り付けられた仕切板に形成されるか、又は、前記スリンガと一体に形成されることを特徴とする請求項1に記載の密封軸受装置。
- 前記仕切り壁は、全周に亘って形成されるか、又は周方向に所定の間隔で複数形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の密封軸受装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009261842A JP2011106562A (ja) | 2009-11-17 | 2009-11-17 | 密封軸受装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009261842A JP2011106562A (ja) | 2009-11-17 | 2009-11-17 | 密封軸受装置 |
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JP2011106562A true JP2011106562A (ja) | 2011-06-02 |
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ID=44230263
Family Applications (1)
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JP2009261842A Pending JP2011106562A (ja) | 2009-11-17 | 2009-11-17 | 密封軸受装置 |
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JP (1) | JP2011106562A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013024353A (ja) * | 2011-07-23 | 2013-02-04 | Jtekt Corp | 回転軸装置 |
-
2009
- 2009-11-17 JP JP2009261842A patent/JP2011106562A/ja active Pending
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