JP2015229645A - 重合禁止効果の長期安定性が改善されたピペリジン−1−オキシル類含有重合禁止剤組成物及びそれを用いた重合禁止方法 - Google Patents

重合禁止効果の長期安定性が改善されたピペリジン−1−オキシル類含有重合禁止剤組成物及びそれを用いた重合禁止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶液状態では失活しやすいピペリジン−1−オキシル類の長期安定性を改善し、長期にわたって安定した重合禁止効果が得られるピペリジン−1−オキシル類含有重合禁止剤組成物及びそれを用いた重合性オレフィン類の重合禁止方法を提供する。
【解決手段】一般式(1)又は一般式(2)で表されるピペリジン−1−オキシル類の1種以上に、水溶性金属塩の1種以上を共存させること特徴とする重合禁止剤組成物及びそれを用いた重合性オレフィン類の重合禁止方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、溶液状態では失活しやすいピペリジン−1−オキシル類の長期安定性を改善し、長期にわたって安定した重合禁止効果が得られるピペリジン−1−オキシル類含有重合禁止剤組成物及びそれを用いた重合性オレフィン類の重合禁止方法に関する。
重合性オレフィン類を製造する工程、精製する工程及び貯蔵する工程においては、製造装置内や貯蔵装置内で熱や過酸化物などが該オレフィン類に作用しラジカル重合を促進する。この重合反応の結果、発生した重合物が装置内に堆積すると、工程内での熱の移動が阻害され、またプロセス流体の流量が低下するなどの運転上の支障が生じ、ついには操業を緊急停止するなど、重合性オレフィン類製造工場や貯蔵施設における安定操業上の大きな障害となる。
その対策として、重合禁止剤を用いる方法が提案されており、例えば、石油化学のエチレン製造工程ではフェノール類、ヒドロキシルアミン類(特許文献1参照)、フェニレンジアミン類、ニトロソフェノール類(特許文献2参照)、さらにピペリジン−1−オキシル類(特許文献3参照)などの重合禁止剤が提案されている。また、スチレン、アクリル酸、アクリルアミド、ブタジエンなど各種不飽和モノマーの製造、精製工程に対してはニトロフェノール類(特許文献4参照)、ヒンダードニトロキシル化合物と芳香族ニトロ化合物との組み合わせ(特許文献5参照)、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソピペラジン−1−オキシル等の環状アミン誘導体(特許文献6参照)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−ニトロキシド(特許文献7参照)などの重合禁止剤が提案されている。
中でも、ピペリジン−1−オキシル類は優れた重合禁止能を有している。この優れた重合禁止能は、ピペリジン−1−オキシル類の酸素原子上に存在する、安定ラジカル(SFR)により与えられる。SFRは他の重合禁止剤と比較して反応性が非常に高く、加熱などにより発生するオレフィン上のラジカルを瞬時に捕捉し、ラジカル重合を抑制する効果が知られている。
しかしながら、溶液状態のピペリジン−1−オキシル類のSFRは失活しやすく、そのため、融点が低いピペリジン−1−オキシル類は周囲温度の上昇によって融解し液化して溶液状態となって、その重合禁止効果が経時的に低下する。また、ピペリジン−1−オキシル類を溶解した溶液の重合禁止剤組成物においても、その重合禁止効果が経時的に低下する。このため、溶液状態のピペリジン−1−オキシル類では長期的に安定した重合禁止効果を得ることができず、その優れた重合禁止効果を維持するためには、固体の形態で低温環境に保管するなど取り扱いが煩雑であり、また、薬注管理などが不便であった。このように、優れた重合禁止効果を有しているにもかかわらず、その効果が失活しやすい溶液状態のピペリジン−1−オキシル類においては、その重合禁止効果の長期安定性改善が望まれていた。
米国特許第4434307号公報 特開平5−156233号公報 特公平4−26639号公報 特開昭63−316745号公報 特開平6−166636号公報 特公昭51−15001号公報 英国特許第1218456号公報
本発明の課題は、溶液状態における重合禁止効果の長期安定性が改善されたピペリジン−1−オキシル類含有重合禁止剤組成物及びそれを用いた重合性オレフィン類の重合禁止方法を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、溶液状態のピペリジン−1−オキシル類における重合禁止効果の安定性改善について研究を重ねた結果、ピペリジン−1−オキシル類に水溶性の金属塩を共存させることによって、溶液状態においても、ピペリジン−1−オキシル類の重合禁止効果が長期にわたって低下せず維持されるという驚くべき効果を見出し、この知見に基づいて、重合禁止効果の長期安定性が改善されたピペリジン−1−オキシル類含有重合禁止剤組成物を作成し、また、それを用いた重合性オレフィン類の重合禁止方法を確立して、本発明を完成した。
ピペリジン−1−オキシル類に水溶性金属塩を共存させることによる上記効果の理由は解明されていないが、ピペリジン−1−オキシル類が溶液状態となる時、共存する水溶性金属塩から金属イオンが生成してピペリジン−1−オキシル類の分子との間で何らかの相互作用を生じ、ピペリジン−1−オキシル類の重合禁止能の低下を抑制していると推測される。
すなわち、請求項1に係る発明は、一般式(1)〔式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基、R2は水素、OH基、O−(R3)基(R3は炭素数1〜3のアルキル基、又はフェニル基)、又はCOO−(R4)基(R4は水素又は炭素数1〜3のアルキル基)のいずれか1種を示す〕、又は一般式(2)〔式中、R5は炭素数1〜3のアルキル基を示す〕で表されるピペリジン−1−オキシル類の1種以上に、水溶性金属塩の1種以上を共存させること特徴とする重合禁止剤組成物である。
Figure 2015229645
Figure 2015229645
請求項2に係る発明は、前記ピペリジン−1−オキシル類が、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−メトキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−フェノキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−カルボキシピペリジン−1−オキシルである請求項1記載の重合禁止剤組成物である。
請求項3に係る発明は、前記の水溶性金属塩が、アルカリ金属の水溶性金属塩及び/又はアルカリ土類金属の水溶性金属塩である請求項1又は2記載の重合禁止剤組成物である。
請求項4に係る発明は、前記のアルカリ金属の水溶性金属塩が、ナトリウム塩及び/又はカリウム塩であり、前記のアルカリ土類金属の水溶性金属塩が、マグネシウム塩及び/又はカルシウム塩である請求項3記載の重合禁止剤組成物である。
請求項5に係る発明は、前記の水溶性金属塩を、前記ピペリジン−1−オキシル類1重量部に対して、金属換算で0.000001〜0.01重量部共存させる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の重合禁止剤組成物である。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の重合禁止剤組成物を、重合性オレフィン類を含む流体に添加することを特徴とする重合性オレフィン類の重合禁止方法である。
重合性オレフィンの製造工程や貯蔵工程に本発明の重合禁止剤組成物及び重合禁止方法を適用することによって、長期的に安定した重合禁止効果が得られ、重合性オレフィン類製造工場や貯蔵施設における安定操業に大きく寄与する
本発明に用いられる一般式(1)で表されるピペリジン−1−オキシル類における、一般式(1)のR1は炭素数1〜3のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、及びイソプロピル基である。また、R2は水素、OH基、O−(R3)基(R3は炭素数1〜3のアルキル基、又はフェニル基)、又はCOO−(R4)基(R4は水素又は炭素数1〜3のアルキル基)のいずれか1種であり、R3、R4における炭素数1〜3のアルキル基は、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、及びイソプロピル基である。
本発明に用いられる一般式(1)で示されるピペリジン−1−オキシル類としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−メトキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラエチルピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラエチル−4−メトキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラ−n−プロピル−4−メトキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトライソプロピル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−フェノキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−カルボキシピペリジン−1−オキシル、及び2,2,6,6−テトラメチル−4−(カルボキシメチル)ピペリジン−1−オキシルなどが挙げられる。中でも、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−メトキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−フェノキシピペリジン−1−オキシル、及び2,2,6,6−テトラメチル−4−カルボキシピペリジン−1−オキシルが好ましい。
本発明に用いられる一般式(2)で表されるピペリジン−1−オキシル類における、一般式(2)のR5は炭素数1〜3のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基である。
本発明に用いられる一般式(2)で示されるピペリジン−1−オキシル類としては、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラエチル−4−オキソピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラ−n−プロピル−4−オキソピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトライソプロピル−4−オキソピペリジン−1−オキシルが挙げられる。中でも、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソピペリジン−1−オキシルが好ましい。
本発明における水溶性金属塩は、水に溶解する無機金属塩、有機金属塩、及び錯塩を含み、pH中性の水以外にpH酸性やpHアルカリ性の水に溶解する金属塩も含む。その具体的な例としては、塩化リチウム、臭化リチウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硝酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムフェノラート、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA−4Na)、塩化カリウム、水酸化カリウム、シュウ酸カリウム、リン酸水素(二)カリウム、炭酸ルビジウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、酢酸バリウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化鉄(II)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、硫酸銅(II)などが挙げられる。中でも、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム等のアルカリ金属の水溶性金属塩、及びマグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属の水溶性金属塩が好ましく、更に、アルカリ金属の水溶性金属塩の中でもナトリウム塩、カリウム塩が特に好ましく、また、アルカリ土類金属の水溶性金属塩の中でもマグネシウム塩、カルシウム塩が特に好ましい。その具体的な例としては、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。
本発明の重合禁止剤組成物の形態は、固体又は液体であり、固体の場合は、例えば、粉体のピペリジン−1−オキシル類に粉体の水溶性金属塩を混合して調製し、液体の場合は、例えば、水にピペリジン−1−オキシル類と水溶性金属塩を溶解して調製する。液体形態の該重合禁止剤組成物に使用可能な水以外の溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールやそのエーテル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の窒素や硫黄を含む化合物;ベンゼン、フェノール等の芳香族化合物が挙げられ、水やこれらの溶媒を任意に混合して用いても良い。また、本発明の重合禁止剤組成物の調製において、更に、酸やアルカリを加える、加温するなどの製造上の工夫について何ら制限は無く、その他公知の重合禁止剤類、酸化防止剤、分散剤などを混合して用いることにも制限が無い。
本発明の重合禁止剤組成物において共存させるピペリジン−1−オキシル類と水溶性金属塩の比率は、ピペリジン−1−オキシル類1重量部に対して水溶性金属塩が金属換算で0.000001重量部以上の比率が一般的であり、好ましくは0.0001重量部以上、更に好ましくは0.001重量部以上である。ピペリジン−1−オキシル類1重量部に対して水溶性金属塩が金属換算で0.000001重量部未満では、溶液調製時のピペリジン−1−オキシル類の重合禁止効果の長期安定性が充分でない場合があり、また、ピペリジン−1−オキシル類1重量部に対して水溶性金属塩が金属換算で0.01重量部を越える場合は、水溶性金属塩の比率の増加に見合うだけのピペリジン−1−オキシル類の重合禁止効果の長期安定性の向上が得られないため、経済的でない。
本発明の重合性オレフィン類の重合禁止方法は、一般式(1)又は一般式(2)で表されるピペリジン−1−オキシル類の1種以上に、水溶性金属塩の1種以上を共存させること特徴とする本発明の重合禁止剤組成物を、重合性オレフィン類を含む流体に添加することを特徴とする。
本発明の重合禁止剤方法の対象となる重合性オレフィン類は、化学構造上に炭素と炭素の二重結合を有して自己又は他の化合物と重合反応を生じる化合物を指し、例えば、ブタジエン、イソプレン、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル等が挙げられる。
本発明の重合禁止剤組成物を、重合性オレフィン類を含む流体に添加する場合、添加対象が重合性オレフィン類を製造する工程や精製する工程の場合は重合物が生成する個所の上流のプロセス流体に添加し、また、重合性オレフィン類を貯蔵する工程の場合は貯蔵施設に流入する重合性オレフィン類や貯蔵タンク内の重合性オレフィン類に添加することが一般的である。
重合性オレフィン類を含む流体に対する本発明の重合禁止剤組成物の添加方法は、該重合禁止剤組成物が固体の形態の場合は、添加対象工程のプロセス液又は適当な溶媒で溶解して該流体に添加し、該重合禁止剤組成物が液体の形態の場合は、直接該流体に添加するか、又は添加対象工程のプロセス液又は適当な溶媒で希釈して該流体に添加する。この添加は、通常、薬注ポンプで連続的に行われ、その添加量はプロセス条件により異なるので一律に決めることができないが、ピペリジン−1−オキシル類を、重合性オレフィン類を含む流体中に0.1〜1000mg/Lの濃度で維持できるように添加するのが一般的である。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。また、特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
(試験1〜3に用いた化合物)
[ピペリジン−1−オキシル類]
(1)2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル(H−TEMPO)、融点:67〜70℃
(2)2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソピペリジン−1−オキシル(Oxo−TEMPO)、融点:37℃
(3)2,2,6,6−テトラメチル−4−メトキシピペリジン−1−オキシル(MeO−TEMPO)、融点:43℃
[水溶性金属塩]
(4)塩化ナトリウム
(5)硫酸ナトリウム
(6)酢酸ナトリウム
(7)エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA−4Na)
(8)塩化カリウム
(9)塩化カルシウム
(10)塩化マグネシウム
(11)塩化リチウム
(12)酢酸バリウム
(13)硫酸銅(II)
(14)塩化鉄(II)
(15)塩化アルミニウム
[溶媒]
(16)超純水(金属イオンを含まない)
(17)アセトン
(18)ベンゼン
[重合性オレフィン類]
(19)スチレン(ST)
(20)ブタジエン(BD)
(21)メタクリル酸(MA)
(22)メタクリル酸メチル(MMA)
(23)酢酸ビニル(VA)
(試験1−固体形態の重合禁止剤組成物の安定性試験)
表1に示した組成の固体形態の重合禁止剤組成物を調製した。実施例の重合禁止剤組成物は、粉体のピペリジン−1−オキシル類と粉体の水溶性金属塩を所定の重量部比率で混合して調製し、比較例の重合禁止剤組成物は、粉体のピペリジン−1−オキシル類をそのまま用いた。表1に示した実施例と比較例の重合禁止剤組成物を25℃と50℃の恒温器中に30日間それぞれ放置した後、該組成物中のピペリジン−1−オキシル類の濃度をガスクロマトグラフィーで測定し、組成物を作成した時の濃度と比較して有効成分であるピペリジン−1−オキシル類の残存率(%)を求めた。その結果を表1に示した。
Figure 2015229645
表1において、H−TEMPOは2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシルの略号であり、Oxo−TEMPOは2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソピペリジン−1−オキシルの略号であり、MeO−TEMPOは2,2,6,6−テトラメチル−4−メトキシピペリジン−1−オキシルの略号である。
表1の結果によると、25℃条件では実施例、比較例共に高いピペリジン−1−オキシル類の残存率(%)を示したが、50℃条件では融点が50℃以下のOxo−TEMPOやMeO−TEMPOは融解液化して溶液状態となるため、水溶性金属塩が共存しないOxo−TEMPOやMeO−TEMPOの比較例ではピペリジン−1−オキシル類の残存率(%)が25℃条件に比して大幅に低下した。一方、水溶性金属塩を共存させたOxo−TEMPOやMeO−TEMPOの実施例では、ピペリジン−1−オキシル類の残存率(%)の低下は少なかった。また、融点が50℃より高いH−TEMPOの50℃条件での実施例、比較例では、高いピペリジン−1−オキシル類の残存率(%)を示した。この結果から、ピペリジン−1−オキシル類に水溶性金属塩を共存させることによって、融解して溶液状態となったピペリジン−1−オキシル類においても、有効成分であるピペリジン−1−オキシル類の残存率(%)を長期にわたり高く維持できることが明らかになった。
(試験2−液体形態の重合禁止剤組成物の安定性試験)
表2に示した組成の液体形態の重合禁止剤組成物を調製した。実施例の重合禁止剤組成物は、所定の重量部比率の粉体のピペリジン−1−オキシル類と粉体の水溶性金属塩を溶媒に溶解して調製し、比較例の重合禁止剤組成物は、所定の重量部比率の粉体のピペリジン−1−オキシル類を溶媒に溶解して調製した。尚、表2の溶媒の重量部の欄の「残部」とは、ピペリジン−1−オキシル類と水溶性金属塩と溶媒の重量部を合計して100重量部にするための残重量部という意味である。即ち、実施例及び比較例の重合禁止剤組成物は調製後で100重量部の組成になっている。表2に示した実施例と比較例の重合禁止剤組成物を50℃の恒温器中で30日間、90日間、180日間それぞれ放置した後、該組成物中のピペリジン−1−オキシル類の濃度をガスクロマトグラフィーで測定し、組成物を作成した時の濃度と比較して有効成分であるピペリジン−1−オキシル類の残存率(%)を求めた。その結果を表2に示した。
Figure 2015229645
表2において、ピペリジン−1−オキシル類の略号は表1と同じであり、EDTA―4Naはエチレンジアミン四酢酸四ナトリウムの略号である。
表2の実施例と比較例の結果を比較することにより、ピペリジン−1−オキシル類を溶解した溶液である液体形態の重合禁止剤組成物において、その溶液中に水溶性金属塩を共存させることによって、有効成分であるピペリジン−1−オキシル類の残存率(%)を長期にわたり高く維持できることが明らかになった。
(試験3−液体形態の重合禁止剤組成物を用いた重合禁止試験)
この試験は、重合禁止剤組成物を重合性オレフィン類に添加して、その重合禁止効果を確認するものである。試験に用いた重合性オレフィン類は、スチレン、ブタジエン、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、及び酢酸ビニルであり、以下、それぞれST、BD、MA、MMA、及びVAの略号で示す。
また、本試験には、上記の試験2で調製し50℃で180日間放置した重合禁止剤組成物の試料を用いた。その試料A〜Fを以下に示した。
[試験に用いた重合禁止剤組成物]
A:50℃で180日間放置した後の、実施例7の組成の重合禁止剤組成物試料。
B:50℃で180日間放置した後の、実施例10の組成の重合禁止剤組成物試料。
C:50℃で180日間放置した後の、実施例14の組成の重合禁止剤組成物試料。
D:50℃で180日間放置した後の、実施例16の組成の重合禁止剤組成物試料。
E:50℃で180日間放置した後の、実施例19の組成の重合禁止剤組成物試料。
F:50℃で180日間放置した後の、比較例4の組成の重合禁止剤組成物試料。
表3に示した重合性オレフィン類と重合禁止剤組成物の組み合わせについて試験した。その方法は、ステンレス製のオートクレーブに、指定の重合性オレフィン類100gと、組み合わせる重合禁止剤組成物試料をピペリジン−1−オキシル類濃度換算で50mg/Kg(対重合性オレフィン類重量)を加えた後、窒素ガスの注入、放出を3回繰り返して系内の空気と置換した。次いでこれを窒素雰囲気下で100℃に保持した。一定時間毎にオートクレーブの内容物の一部を採取し、採取した試料を真空乾燥させ残った残渣の重さを測定してポリマー生成重量とした。得られたポリマー生成重量から重合性オレフィン類100g中に生成したポリマー量の割合(パーセント)を算出した。その結果を表3に示した。尚、本実験を始める前に、供試する重合性オレフィン類は減圧蒸留またはアルカリ洗浄にてオレフィン中に含まれる重合抑制剤を除いた。
Figure 2015229645
表3の結果から次のことが明らかになった。即ち、ピペリジン−1−オキシル類と水溶性金属塩を共存させた溶液状態の重合禁止剤組成物は長期にわたってピペリジン−1−オキシル類が残存しており、その重合禁止効果も高い。一方、ピペリジン−1−オキシル類に水溶性金属塩を共存させない溶液状態の重合禁止剤組成物はピペリジン−1−オキシル類の残存割合が低く、その重合禁止効果も低い。故に、ピペリジン−1−オキシル類に水溶性金属塩を共存させる本発明の重合禁止剤組成物は、溶液状態においても、ピペリジン−1−オキシル類の重合禁止効果が失活せずに長期にわたって維持され、その重合禁止剤組成物を用いた重合性オレフィン類の重合禁止方法が非常に有効であることが示された。
本発明の重合禁止剤組成物及び重合禁止方法は、重合性オレフィンの製造工程や貯蔵工程において、安定操業上の障害となる重合物の生成を効果的に且つ安定的に抑制するために利用できる。

Claims (6)

  1. 一般式(1)〔式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基、R2は水素、OH基、O−(R3)基(R3は炭素数1〜3のアルキル基、又はフェニル基)、又はCOO−(R4)基(R4は水素又は炭素数1〜3のアルキル基)のいずれか1種を示す〕、又は一般式(2)〔式中、R5は炭素数1〜3のアルキル基を示す〕で表されるピペリジン−1−オキシル類の1種以上に、水溶性金属塩の1種以上を共存させること特徴とする重合禁止剤組成物。

    Figure 2015229645
    Figure 2015229645
  2. 前記ピペリジン−1−オキシル類が、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−メトキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−フェノキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−カルボキシピペリジン−1−オキシルである請求項1記載の重合禁止剤組成物。
  3. 前記の水溶性金属塩が、アルカリ金属の水溶性金属塩及び/又はアルカリ土類金属の水溶性金属塩である請求項1又は2記載の重合禁止剤組成物。
  4. 前記のアルカリ金属の水溶性金属塩が、ナトリウム塩及び/又はカリウム塩であり、前記のアルカリ土類金属の水溶性金属塩が、マグネシウム塩及び/又はカルシウム塩である請求項3記載の重合禁止剤組成物。
  5. 前記の水溶性金属塩を、前記ピペリジン−1−オキシル類1重量部に対して、金属換算で0.000001〜0.01重量部共存させる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の重合禁止剤組成物。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の重合禁止剤組成物を、重合性オレフィン類を含む流体に添加することを特徴とする重合性オレフィン類の重合禁止方法。

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