JP7126153B2 - ビニル系モノマーの重合抑制方法 - Google Patents
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Description
本開示は、アルキルイミダゾリン等の含窒素複素環を有する化合物を、トパノール又はメトキノン等の重合防止剤と併用することによって、これらの重合防止剤によるビニル系モノマーの重合抑制効果を大幅に向上できるという知見に基づく。
フェノール系重合防止剤としては、一又は複数の実施形態において、トパノール(2-(tert-ブチル)-4,6-ジメチルフェノール)、メトキノン(MQ、4-メトキシフェノール)、ハイドロキノン(HQ、1,4-ベンゼンジオール)、クレゾール(メチルフェノール)、フェノール、2,4-ジ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、4-tert-ブチルカテコール、及び2-オキシジフェニルアミン等が挙げられる。
フェノチアジン系重合防止剤としては、一又は複数の実施形態において、フェノチアジン(PZ、2,3:5,6-ジベンゾ-1,4-チアジン)、及びメチレンブルー(3,7-ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジニウムクロリド)等が挙げられる。
フェニレンジアミン系重合防止剤としては、一又は複数の実施形態において、N,N’-ジ-sec-ブチル-1,4-フェニレンジアミン(PDA)、又はN,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-1,4-フェニレンジアミン等が挙げられる。
ヒドロキシルアミン系重合防止剤としては、一又は複数の実施形態において、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン(DEHA)又はN,N-ジメチルヒドロキシルアミン等が挙げられる。
テトラメチルピペリジン系重合防止剤としては、一又は複数の実施形態において、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(4-Hydroxy-TEMPO、HTEMPO)、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)、又は1,4-ジヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(TEMPOL-H)等が挙げられる。
その他のビニル系モノマーの重合防止剤としては、一又は複数の実施形態において、ジフェニルアミン、又は4-アミノジフェニルアミン等が挙げられる。
本開示は、一態様において、ビニル系モノマーに、ビニル系モノマーの重合防止剤及び含窒素複素環を有する化合物を共存させることを含む、ビニル系モノマーの重合を抑制する方法(本開示の重合抑制方法)に関する。
よって、本開示は、その他の態様として、ビニル系モノマーに、ビニル系モノマーの重合防止剤及び含窒素複素環を有する化合物を共存させることを含む、ビニル系モノマーを製造する方法(本開示の製造方法)に関する。
本開示は、その他の態様として、ビニル系モノマーの重合防止剤と、含窒素複素環を有する化合物とを含む重合抑制用組成物に関する。本開示の重合抑制用組成物は、一又は複数の実施形態において、有効成分として、ビニル系モノマーの重合防止剤と、含窒素複素環を有する化合物とを含有する。
よって、本開示は、その他の態様として、ビニル系モノマーの製造プロセスにおけるプロセス流体に、ビニル系モノマーの重合防止剤と、含窒素複素環を有する化合物を存在させることを含む。
〔1〕 ビニル系モノマーに、ビニル系モノマーの重合防止剤及び含窒素複素環を有する化合物を共存させることを含む、ビニル系モノマーの重合を抑制する方法。
〔2〕 前記重合防止剤は、フェノール系重合防止剤、フェノチアジン系重合防止剤、フェニレンジアミン系重合防止剤、ヒドロキシルアミン系重合防止剤、及びテトラメチルピペリジン系重合防止剤からなる群から選択される、〔1〕記載の重合抑制方法。
〔3〕 前記重合防止剤は、トパノール、メトキノン、フェノチアジン、ハイドロキノン、クレゾール、フェノール、4-tert-ブチルカテコール、2-オキシジフェニルアミン、2,4-ジ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、メチレンブルー、N,N’-ジ-sec-ブチル-1,4-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-1,4-フェニレンジアミン、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン、N,N-ジメチルヒドロキシルアミン、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、及び1,4-ジヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンからなる群から選択される、〔1〕又は〔2〕に記載の重合抑制方法。
〔4〕 前記含窒素複素環を有する化合物は、イミダゾリン環を有する化合物である、〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の重合抑制方法。
〔5〕 前記ビニル系モノマーは、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸、アクリル酸エステル、スチレン、メチルビニルケトン、アクリロニトリル、カルボン酸ビニルエステル、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、クロロプレン、ブロモプレン、1-クロロブタジエン、塩化ビニル、1,3-ペンタジエン、シクロペンタジエン、及び、ジシクロペンタジエンからなる群から選択される、〔1〕から〔4〕のいずれかに記載の重合抑制方法。
〔6〕 ビニル系モノマーに、ビニル系モノマーの重合防止剤及び含窒素複素環を有する化合物を共存させることを含む、ビニル系モノマーを製造する方法。
〔7〕 ビニル系モノマーの重合防止剤と、含窒素複素環を有する化合物とを含む、ビニル系モノマーの重合を抑制するための組成物。
[モノマー:メタクリル酸メチル(MMA)]
市販品(東京化成工業株式会社, Methyl Methacrylate (安定剤:6-tert-ブチル-2,4-キシレノール))を減圧蒸留することにより、安定剤を除去したものをモノマーとして用いた。
[重合防止剤及び含窒素複素環を有する化合物]
重合防止剤としてトパノール(東京化成工業株式会社製)を使用し、含窒素複素環を有する化合物としてアルキルイミダゾリン(トール油ヒドロキシエチルイミダゾリン、花王株式会社製、製品名:KAOAMIN TO65)を使用し、これらは、安定剤除去後のMMAであらかじめ適当な濃度に希釈して使用した。
[MMAに対する重合防止効果確認試験]
温度コントローラーつき熱電対、冷却管及びガス吹き込み用ガラスチューブを備えた100mL三つ首フラスコに、安定剤除去後のMMA(100g)、トパノール(9ppm)及びアルキルイミダゾリン(1ppm)を添加してMMA試験液を得た。
次に、酸素濃度100ppmである酸素と窒素との混合ガスを200ml/分の速度でMMA試験液中に30分間注入(ガスパージング)した。このガスパージングは試験が終了するまで継続した。
つづいて40℃のオイルバスに、前記ガスパージング後の試験液入り三つ首フラスコを浸漬させ、マグネティックスターラー及び撹拌子で溶液を撹拌しながら、試験液の温度が30分で90℃に到達するように加熱した。三つ首フラスコに取り付けた冷却管には温度20℃に保った冷却水を常時循環させ、気体となったMMAを還流させた。
MMA試験液が90℃に到達してから90分経過後に、冷却管上部からテフロン(登録商標)チューブを挿入し、余分な酸素が混入しないように注意しながら、三つ首フラスコ中のMMA試験液からサンプルを約0.5ml採取した。
採取したサンプル(MMAポリマーを含むMMA試験液)は、液体クロマトグラフィー(ELSD検出器)にてそのポリマー強度面積を測定した。予め標準MMAポリマー溶液により作成した濃度とポリマー強度面積との検量線を用いて、採取したMMA試験液におけるポリマー濃度(ppm)を求めた。その結果を表1に示す。
トパノールの濃度を7ppm及びアルキルイミダゾリンを3ppmとした以外は、実施例1と同様に重合防止効果確認試験及びポリマー濃度の測定を行った。その結果を表1に示す。
トパノールの濃度を5ppm及びアルキルイミダゾリンの濃度を5ppmとした以外は、実施例1と同様に重合防止効果確認試験及びポリマー濃度の測定を行った。その結果を表1に示す。
アルキルイミダゾリンに代えて2-メチル-2―イミダゾリン(東京化成工業株式会社製)を使用した以外は、実施例1と同様に重合防止効果確認試験及びポリマー濃度の測定を行った。その結果を表1に示す。
アルキルイミダゾリンに代えてアミノアルキルイミダゾリン(1-アミノエチル-2-C17アルキレン-2-イミダゾリン)を使用した以外は、実施例1と同様に重合防止効果確認試験及びポリマー濃度の測定を行った。その結果を表1に示す。
表1に示すようにアルキルイミダゾリン単独とし、MMA試験液が90℃に到達してから60分後にサンプルを採取した以外は、実施例1と同様に重合防止効果確認試験及びポリマー濃度の測定を行った。その結果を表1に示す。
表1に示すようにトパノール単独とした以外は、実施例1と同様に重合防止効果確認試験及びポリマー濃度の測定を行った。その結果を表1に示す。
MMA試験液に代えて、安定剤除去後のMMA(100g)を使用し、サンプルを60分後に採取した以外は、実施例1と同様に重合防止効果確認試験及びポリマー濃度の測定を行った。その結果を表1に示す。
つまり、ビニル系モノマーの重合防止剤と、含窒素複素環を有する化合物とを併用することにより、メタクリル酸メチルの重合を効果的に抑制できるといえる。
トパノールに代えてメトキノン(4-メトキシフェノール、東京化成工業株式会社製)を使用した以外は、実施例1と同様に重合防止効果確認試験及びポリマー濃度の測定を行った。その結果を表2に示す。
メトキノン単独で試験を行った以外は、実施例6と同様に行った。その結果を表2に示す。
トパノールに代えてフェノチアジン(東京化成工業株式会社製)を使用した以外は、実施例1と同様に重合防止試験及びポリマー濃度の測定を行った。その結果を表3に示す。
(実施例8)
トパノールに代えてHTEMPO(2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジン-1-オキシル、東京化成工業株式会社製)を使用した以外は、実施例1と同様に重合防止試験及びポリマー濃度の測定を行った。その結果を表3に示す。
フェノチアジン単独又はHTEMPO単独で試験を行った以外は、実施例7又は8と同様に行った。その結果を表3に示す。
[モノマー:メタクリル酸(MAA)]
市販品(東京化成工業株式会社,メタクリル酸(安定剤:4-メトキシフェノール))を減圧蒸留することにより、安定剤を除去したものをモノマーとして用いた。
[重合防止剤及び含窒素複素環を有する化合物]
重合防止剤としてフェノチアジン(東京化成工業株式会社製)を使用し、含窒素複素環を有する化合物としてアルキルイミダゾリン(トール油ヒドロキシエチルイミダゾリン、花王株式会社製、製品名:KAOAMIN TO65)を使用し、これらは、安定剤除去後のMAAであらかじめ適当な濃度に希釈して使用した。
[メタクリル酸(MAA)に対する重合防止効果確認試験]
温度コントローラーつき熱電対、冷却管及びガス吹き込み用ガラスチューブを備えた100mL三つ首フラスコに、安定剤除去後のMAA(100g)、フェノチアジン(9ppm)及びアルキルイミダゾリン(1ppm)を添加し、MAA試験液を得た。
次に、酸素濃度100ppmである酸素と窒素の混合ガスを200ml/分の速度でMAA試験液中に30分間注入(ガスパージング)した。このガスパージングは試験が終了するまで継続した。
つづいて110℃のオイルバスに、前記ガスパージング後の試験液入り三つ首フラスコを浸漬させ、マグネティックスターラー及び撹拌子で溶液を撹拌しながら、試験液の温度が30分で110℃に到達するように加熱した。三つ首フラスコに取り付けた冷却管には温度20℃に保った冷却水を常時循環させ、気体となったMAAを還流させた。
MAA試験液が110℃に到達してから90分経過後に、冷却管上部からテフロン(登録商標)チューブを挿入し、余分な酸素が混入しないように注意しながら、三つ首フラスコ中のMMA試験液からサンプルを約0.5ml採取した。
[ポリマー(p-MAA)濃度の測定]
採取したサンプル(MAAポリマーを含むMAA試験液)は、液体クロマトグラフィー(ELSD検出器)にてそのポリマー強度面積を測定した。予め標準MMAポリマー溶液により作成した濃度とポリマー強度面積との検量線を用いて、採取したMAA試験液におけるポリマー濃度(ppm)をMMAポリマー濃度換算で求めた。その結果を下記表4に示す。
Claims (6)
- ビニル系モノマーに、ビニル系モノマーの重合防止剤及び含窒素複素環を有する化合物を共存させることを含む、ビニル系モノマーの重合を抑制する方法であって、
前記含窒素複素環を有する化合物は、イミダゾリン環を有する化合物であり、
ビニル系モノマーの重合防止剤と含窒素複素環を有する化合物との添加割合(重量比)は、1:1~100:1である、方法。 - 前記重合防止剤は、フェノール系重合防止剤、フェノチアジン系重合防止剤、フェニレンジアミン系重合防止剤、ヒドロキシルアミン系重合防止剤、及びテトラメチルピペリジン系重合防止剤からなる群から選択される、請求項1記載の重合抑制方法。
- 前記重合防止剤は、トパノール、メトキノン、フェノチアジン、ハイドロキノン、クレゾール、フェノール、4-tert-ブチルカテコール、2-オキシジフェニルアミン、2,4-ジ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、メチレンブルー、N,N'-ジ-sec-ブチル-1,4-フェニレンジアミン、N,N'-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-1,4-フェニレンジアミン、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン、N,N-ジメチルヒドロキシルアミン、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、及び1,4-ジヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の重合抑制方法。
- 前記ビニル系モノマーは、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸、アクリル酸エステル、スチレン、メチルビニルケトン、アクリロニトリル、カルボン酸ビニルエステル、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、クロロプレン、ブロモプレン、1-クロロブタジエン、塩化ビニル、1,3-ペンタジエン、シクロペンタジエン、及び、ジシクロペンタジエンからなる群から選択される、請求項1から3のいずれかに記載の重合抑制方法。
- ビニル系モノマーに、ビニル系モノマーの重合防止剤及び含窒素複素環を有する化合物を共存させることを含む、ビニル系モノマーを製造する方法であって、
前記含窒素複素環を有する化合物は、イミダゾリン環を有する化合物であり、
ビニル系モノマーの重合防止剤と含窒素複素環を有する化合物との添加割合(重量比)は、1:1~100:1である、方法。 - ビニル系モノマーの重合防止剤と、含窒素複素環を有する化合物とを含む、ビニル系モノマーの重合を抑制するための組成物であって、
前記含窒素複素環を有する化合物は、イミダゾリン環を有する化合物であり、
ビニル系モノマーの重合防止剤と含窒素複素環を有する化合物との割合(重量比)は、1:1~100:1である、組成物。
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