JP2015227541A - 外壁タイル剥落防止構造及び外壁タイル剥落防止工法及びこれらに使用する脂環式ポリアミン - Google Patents
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【解決手段】外壁タイル面または目地にアンカーピンを打ち込んでアンカーピンをコンクリート躯体に固着し、該アンカーピンの頭部及び外壁タイル面及び目地にアミノ基含有アクリル樹脂とエポキシシランを含むシリコンアクリル樹脂プライマーを塗付して透明プライマー層を形成し、該透明プライマー層の上に、無黄変イソシアネートプレポリマーと脂環式ポリアミンと補強短繊維と光安定剤と紫外線吸収剤を含む透明なポリウレア樹脂塗材を塗付して透明補強層を形成し、該透明補強層の上に、光安定剤と紫外線吸収剤とを含むアクリルシリコン樹脂塗材を塗付して透明保護層を形成したことを特徴とする外壁タイル剥落防止構造である。
【選択図】図1
Description
(式中Xはイソシアネート基に対して不活性であり、脂環式炭化水素に結合したm個の第1級アミノ基を含む数平均分子量88〜400の有機ポリアミンから第1級アミノ基を除去することにより得られるm価基であり、R1及びR2は同一または異なっていて、炭素原子数1〜18の有機基であり、mは少なくとも2の整数である)で表される1種以上のポリアミンであることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の外壁タイル剥落防止構造を提供する。
本願発明に使用される透明プライマー層を形成するシリコンアクリル樹脂プライマーの、アミノ基含有アクリル樹脂としては、主鎖または側鎖の一部がアミン変性されたアクリル樹脂を使用することが好ましい。アミン変性されたアクリル樹脂の酸価は1.0〜10.0mgKOH/gであり、アミン価は10〜50mgKOH/gであることが好ましい。アミン価が10mg未満では、上層にくるポリウレア樹脂塗材との付着性が不十分となり、アミン価が50mg超では硬化剤となるエポキシシランの配合量が増えてコスト高となる。なお、酸価とは、ポリマー(固形分)1g中のカルボキシル基とモル当量となる水酸化カリウムのミリグラム数の実測値を意味し、また、アミン価とは、ポリマー(固形分)1g中のアミノ基とモル当量となる水酸化カリウムのミリグラム数の実測値を意味する。
本願発明に使用される透明補強層を形成するポリウレア樹脂塗材は、無黄変イソシアネートプレポリマーと脂環式ポリアミンと補強短繊維と光安定剤と紫外線吸収剤を含み、無黄変イソシアネートプレポリマーにはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族2官能イソシアネートや、イソホロンジイソシアネート(IPDA)等の脂環式2官能イソシアネートや、4,4´―ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)や4,4´―メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水素化MDI)等を多価アルコールでプレポリマー化したものを使用することができる。
本願発明に係る透明保護層を形成する際に使用されるアクリルシリコン樹脂塗材は、アルコキシシリル基を有するアクリルシリコンオリゴマーを主剤とし、硬化剤にスズ系の硬化触媒を使用することができ、既に形成された透明補強層の上に該アクリルシリコン樹脂塗材を塗付する直前に主剤と硬化剤を均一に混合してローラ刷毛等により塗付する。主剤のアルコキシシリル基は硬化剤のスズ系の硬化触媒により架橋されて安定なシロキサン結合を形成し、優れた耐久性を発現する。
透明プライマー層を形成するシリコンアクリル樹脂プライマーのアミノ基含有アクリル樹脂としてACRYDIC A−9521を、エポキシシランとしてACRYDIC A−9585を使用して表1に示す配合にて主剤と硬化剤とした。主剤と硬化剤の重量配合比は13:1であり、主剤と硬化剤を均一に混合してシリコンアクリル樹脂プライマーとした。
比較例の透明プライマー層を形成する塗材として上記実施例のシリコンアクリル樹脂プライマーを使用し、比較例の透明補強層を形成する塗材として、樹脂固形分が50%の透明アクリルエマルション(ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体、粘度50Pa・s/20℃、T.I値(JIS A 6024 チキソトロピックインデックス:5.7)、ナイロン短繊維(繊維長5mm)2重量%含有)を使用した。
23℃、RH50%条件下にて、透明補強層を形成する実施例及び比較例の塗材を厚さ2mmでシート状に塗り広げ7日間養生後JIS K 6251加硫ゴムの引張試験方法規定の2号ダンベル片形状に成型した。その後、同試験方法に従い引張速度500mm/分で引っ張り、破断時の強度を引張強度(MPa)とした。試験は23℃及び60℃にて行なった。
23℃、RH50%下にて、70mm×70mm×20mmのモルタル試験板(JIS R 5201 10.4規定)の表面をサンディング処理し、その処理面に対し、実施例の場合は、シリコンアクリル樹脂プライマー0.08kg/m2を塗布し乾燥後ポリウレア樹脂塗材0.7kg/m2を2回塗りし、乾燥後さらにアクリルシリコン樹脂塗材を0.08kg/m2で2回塗りして、7日間養生したのちに、JIS A 6909 7.9 付着強さ試験に準拠して付着強さを測定した。比較例の場合は、シリコンアクリル樹脂プライマーを0.08kg/m2で塗布し乾燥後、透明アクリルエマルションを0.5kg/m2で塗り広げ、乾燥後、同一の材料を0.8kg/m2で塗り広げ、さらに乾燥後、同一の材料を0.8kg/m2で塗り広げて乾燥させ、次にアクリルシリコン樹脂塗材を0.1kg/m2で2回(層)塗布し7日間養生したのちに、JIS A 6909 7.9 付着強さ試験に準拠して付着強さを測定した。すべての試験体でモルタル板が破壊したため、その付着強さをモルタル付着強度(MPa)とした。試験は23℃にて行なった。
23℃、RH50%条件下にて、実施例の場合はポリウレア樹脂塗材を厚さ2mmでシート状に塗り広げ、乾燥後さらにアクリルシリコン樹脂塗材を0.08kg/m2で2回塗りして、7日間養生する。比較例の場合は透明アクリルエマルションを厚さ2mm、0.5kg/m2で塗り広げて乾燥させ、乾燥後、同一の材料を0.8kg/m2で塗り広げ、さらに乾燥後、同一の材料を0.8kg/m2で塗り広げて乾燥させ、次にアクリルシリコン樹脂塗材を0.1kg/m2で2回(層)塗布し7日間養生する。これらのシート状の硬化物をスーパーUVテスター(型式:SUV−W151、岩崎電気製、照射条件:水冷式メタルハライドランプ使用、温度63℃、湿度50%、照度100mW/cm2)にて180時間連続照射した後、JIS K 6251加硫ゴムの引張試験方法規定のダンベル2号片形状に成型した。その後、外観を目視にて確認すると同時に、同試験方法に従い引張速度500mm/分で引っ張り、破断時の強度を引張強度(MPa)とした。試験は23℃にて行なった。
JIS R 5201 10.4に規定のモルタル板(100mm×200mm×30mm)を長手方向の中心部に載荷して2分割する。その破断面をつき合わせて固定した表面をサンディング処理し、その処理面に対し、実施例の場合は、シリコンアクリル樹脂プライマー0.08kg/m2で塗布し乾燥後ポリウレア樹脂塗材0.7kg/m2を2回塗りし、乾燥後さらにアクリルシリコン樹脂塗材を0.08kg/m2で2回塗りして、7日間養生したのちに、載荷速度を1.67mm/分で、4点曲げ方式にて曲げ試験を行い曲げ強度(N)を測定した。上側の荷重スパンは50mm、下側の荷重スパンは150mmとした。比較例の場合は、シリコンアクリル樹脂プライマーを0.08kg/m2で塗布し乾燥後、透明アクリルエマルションを0.5kg/m2で塗り広げ、乾燥後、同一の材料を0.8kg/m2で塗り広げ、さらに乾燥後、同一の材料を0.8kg/m2で塗り広げて乾燥させ、次にアクリルシリコン樹脂塗材を0.1kg/m2で2回(層)塗布し7日間養生したのちに、同様の試験を行い曲げ強度(N)を測定した。
JIS A 5372(プレキャスト鉄筋コンクリート製品)付属書5に規定する上ぶた式U形側溝(ふた)の1種呼び名300(400×600×60mm)(以下、「U形ふた」という。)のコンクリート中央部裏面を、φ100mmの形状かつ55mm±3mmの深さで、コンクリート用コアカッターにより切り込みを入れた。表面を、サンディング処理し、この処理面に対し実施例については、上記実施例記載のシリコンアクリル樹脂プライマーをローラ刷毛にて0.08?kg/m2塗付し乾燥させる。次に上記実施例記載のポリウレア樹脂塗材を金鏝にて0.7kg/m2均一に塗付し、さらに上記実施例記載のポリウレア樹脂塗材を金鏝にて0.7kg/m2均一に塗付する。次に上記実施例記載のアクリルシリコン樹脂塗材を0.08kg/m2塗付し、指触乾燥後さらに上記実施例記載のアクリルシリコン樹脂塗材を0.08kg/m2塗付する。23℃、RH50%条件下にて7日間養生して、押し抜き最大荷重測定用試験体を得た。その後、JHS 424−2004 はく落防止の押し抜き試験方法に準じて試験を行ない、最大荷重を押し抜き最大荷重(KN)とした。
比較例については、シリコンアクリル樹脂プライマーをローラ刷毛にて0.08kg/m2で塗布し乾燥後、透明アクリルエマルションを0.5kg/m2で塗り広げ、乾燥後、同一の材料を0.8kg/m2で塗り広げ、さらに乾燥後、同一の材料を0.8kg/m2で塗り広げて乾燥させ、次にアクリルシリコン樹脂塗材を0.1kg/m2で2回(層)塗布し23℃、RH50%条件下にて7日間養生したのちに、同様の試験を行った。
実施例のポリウレア樹脂塗材について、主剤と硬化剤をそれぞれ23℃に調製し、主剤と硬化剤を混合直後にB型回転粘度計7号ローター20rpmで粘度を測定して初期粘度とし、その後5分毎に粘度を測定し、初期粘度の2倍の粘度に到達するまでの時間を可使時間として算出した。
タイル固着用アンカーピンJB−TA(商品名、SUS304製、アイカ工業株式会社製)に固着する頭部キャップの平面部(アクリルシリコン樹脂塗膜)にシリコンアクリル樹脂プライマーを0.08kg/m2で塗布し乾燥後7日間23℃にて養生後、カッターナイフの刃の先端を頭部フランジ部と硬化したシリコンアクリル樹脂プライマー層の界面に沿って入り込ませ、その際のシリコンアクリル樹脂プライマー層の剥離の状態を評価した。評価は以下によって行なった。
○:入り込ませたカッターナイフの刃の先端の周囲に剥離が生じない。
△:入り込ませたカッターナイフの刃の先端に周囲にわずかに剥離部分がある。
×:入り込ませたカッターナイフの刃の先端の周囲の全体に剥離が生じている。
市販磁器タイル オーロラペール50・2T PL−100(商品名、95×45mm、厚さ7mm、I類(磁器質)、株式会社 Danto社製)に上記シリコンアクリル樹脂プライマー0.08kg/m2を塗布し、乾燥後ポリウレア樹脂塗材0.7kg/m2を1回塗りし、23℃7日間乾燥後、磁器タイルとポリウレア樹脂塗材との間に皮スキを挿入して該ポリウレア樹脂塗材を強制的に分離剥離させた。剥離したポリウレア樹脂塗材と磁器タイル表面を目視で観察することにより、タイルとシリコンアクリル樹脂プライマー(プライマー層)との付着性及びシリコンアクリル樹脂プライマー(プライマー層)とポリウレア樹脂塗材(透明補強層)との付着性を判定した。付着性が良好であるものを○、それ以外を×と判断した。
評価結果を表2に示す。
2 貼付モルタル
3 外壁タイル
4 アンカーピン
4a 足部
4b 頭部
4c 圧入部
4d フランジ
5 アンカー孔
6 エポキシ樹脂接着剤
7 目地
8 透明プライマー層
9 透明補強層
10 透明保護層
20 外壁タイル剥落防止構造
Claims (8)
- 外壁タイル面または目地にアンカーピンを打ち込んでアンカーピンをコンクリート躯体に固着し、該アンカーピンの頭部及び外壁タイル面及び目地に、アミノ基含有アクリル樹脂とエポキシシランを含むシリコンアクリル樹脂プライマーを塗付して透明プライマー層を形成し、該透明プライマー層の上に、無黄変イソシアネートプレポリマーと脂環式ポリアミンと補強短繊維と光安定剤と紫外線吸収剤を含む透明なポリウレア樹脂塗材を塗付して透明補強層を形成し、該透明補強層の上に、光安定剤と紫外線吸収剤を含むアクリルシリコン樹脂塗材を塗付して透明保護層を形成したことを特徴とする外壁タイル剥落防止構造。
- 外壁タイル面または目地にアンカーピンを打ち込んでアンカーピンをコンクリート躯体に固着し、該アンカーピンの頭部及び外壁タイル面及び目地に、アミノ基含有アクリル樹脂とエポキシシランを含むシリコンアクリル樹脂プライマーを塗付して透明プライマー層を形成し、該透明プライマー層の上に、無黄変イソシアネートプレポリマーと脂環式ポリアミンと補強短繊維と光安定剤と紫外線吸収剤を含む透明なポリウレア樹脂塗材を塗付して透明補強層を形成し、該透明補強層の上に、光安定剤と紫外線吸収剤を含むアクリルシリコン樹脂塗材を塗付して透明保護層を形成することを特徴とする外壁タイル剥落防止工法。
- 請求項1記載の外壁タイル剥落防止構造の光安定剤はヒンダードアミン系光安定剤であり、紫外線吸収剤はヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤であることを特徴とする請求項1記載の外壁タイル剥落防止構造。
- 請求項2記載の外壁タイル剥落防止工法の光安定剤はヒンダードアミン系光安定剤であり、紫外線吸収剤はヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤であることを特徴とする請求項2記載の外壁タイル剥落防止工法。
- 脂環式ポリアミンは前記式Iで表される1種以上のポリアミンであることを特徴とする請求項2または請求項4記載の外壁タイル剥落防止工法。
- 請求項1または請求項3記載の外壁タイル剥落防止構造に使用する脂環式ポリアミンであって、前記式Iで表される1種以上のポリアミンであることを特徴とする脂環式ポリアミン。
- 請求項2または請求項4記載の外壁タイル剥落防止工法に使用する脂環式ポリアミンであって、前記式Iで表される1種以上のポリアミンであることを特徴とする脂環式ポリアミン。
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