JP2011006963A - 建築物の外壁構造及び建築物の外壁の施工方法 - Google Patents

建築物の外壁構造及び建築物の外壁の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】既設のタイル壁面の持つ色調や色合いの外観を残したまま、タイルの剥離・脱落防止効果を付与することのできる建築物の外壁構造を提供する。
【解決手段】建築物の外壁構造は、コンクリート躯体1に下地モルタル2を介して貼り付けられた複数のタイル3からなるタイル壁面4と、タイル壁面4を覆うようにして形成された透明な防水プライマー層と、前記防水プライマー層の表面を覆うようにして形成され、透明な補強材6が埋設された透明な樹脂塗膜5と、頭部が樹脂塗膜5に固定されていると共に、タイル壁面4を貫いてコンクリート躯体1に打ち込まれたアンカーピン7とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、建築物の外壁構造及び建築物の外壁の施工方法に関する。特に、本発明は、建築物の外壁面から既設タイルが剥離・脱落する恐れのない建築物の外壁構造、及び、そのような建築物の外壁構造を実現するための建築物の外壁の施工方法に関する。
建築物の外壁面のタイル施工部分が経時的に劣化し、躯体と下地モルタル(「貼付けモルタル」を含む)との間、あるいは、下地モルタルとタイルとの間に浮きが発生することがしばしばあった。そして、最悪の場合には、建築物の外壁面からタイルが剥離・脱落し、人身事故に繋がる恐れがあった。一方、タイルは、その色調や色合いの美しさから、建築物の外壁面の表面仕上げ材として根強い人気がある。
従来、このような躯体からの下地モルタルの浮きや貼付けモルタルからのタイルの浮きを補修するために、次のような工法が採られていた。すなわち、タイル施工面に樹脂注入用のパイプ状のピン(パイプアンカーピン)を打ち込み、当該ピンを介してエポキシ樹脂を注入することにより、躯体と下地モルタルとの間隙、あるいは、下地モルタルとタイルとの間隙にエポキシ樹脂を充填する工法(注入工法)が採られていた(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−256792号公報
しかし、上記従来の工法では、注入されるエポキシ樹脂と躯体、下地モルタル及びタイルとの材質の相違により、経時的にエポキシ樹脂の剥離現象が起こり、タイル等の浮きが再発するという問題があった。そして、上記のように補修をした後も、このように経年劣化が進むので、タイルが剥離・脱落する恐れは残ってしまう。
ところで、最近、上記のようなタイルの剥離・脱落による人身事故を防止する観点から法令の改正が行われ、建築物の所有者は以下のような義務を負うこととなった。
[義務の内容]
3年ごとに手の届く範囲を打診、その他を目視によって調査し、異常があれば、全面打診等によって調査し、それを特定行政庁に報告する。そして、状況により大規模な補修を行う。加えて、竣工・外壁改修等から10年を経過した最初の調査の際に、全面打診等によって調査し、それを特定行政庁に報告する。そして、状況により大規模な補修を行う。
従って、上記従来の工法では、3年ごとの打診調査、補修、報告が義務づけられることとなり、長期的に見た場合に建築物のライフサイクルコストが大幅に増大してしまう。
そこで、本発明者は、建築物の外壁面の表面仕上げ材としてのタイルがいまだ根強い人気があることに鑑み、既設のタイル壁面の持つ色調や色合いの外観を残したまま、タイルの剥離・脱落防止効果を付与することのできる建築物の外壁構造を得るために鋭意研究を重ね、本発明をするに至った。
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、既設のタイル壁面の持つ色調や色合いの外観を残したまま、タイルの剥離・脱落防止効果を付与することのできる建築物の外壁構造、及び、そのような建築物の外壁構造を実現するための建築物の外壁の施工方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明に係る建築物の外壁構造の構成は、躯体に下地モルタルを介して貼り付けられた複数のタイルからなるタイル壁面と、前記タイル壁面を覆うようにして形成された透明な防水プライマー層と、前記防水プライマー層の表面を覆うようにして形成され、透明な補強材が埋設された透明な樹脂塗膜と、頭部が前記樹脂塗膜に固定されていると共に、前記タイル壁面を貫いて前記躯体に打ち込まれたアンカーピンとを備えたことを特徴とする。
この建築物の外壁構造の構成によれば、補強材が埋設された樹脂塗膜(引っ張り強度の高い樹脂塗膜)と当該樹脂塗膜を躯体に強固に固定するアンカーピンとにより、建築物の外壁面にタイルの剥離・脱落防止効果を付与することが可能となる。また、防水プライマー層、補強材及び樹脂塗膜は全て透明であり、さらに、タイル壁面と樹脂塗膜との間に防水プライマー層を介在させることにより、コンクリート躯体からタイルの目地部を通って染み出してくる水分を遮断して、樹脂塗膜が白化するのを防止するようにしたので、タイル壁面の持つ色調や色合いの外観を残したままの状態にすることができる。すなわち、本発明によれば、タイル壁面の持つ色調や色合いの外観を残したまま、タイルの剥離・脱落防止効果を付与することのできる建築物の外壁構造を提供することができる。そして、このような外壁構造とすることにより、タイル壁面としての3年ごとの打診調査、補修、報告が不要となり、長期的に見た場合に建築物のライフサイクルコストを大幅に低減することが可能となる。
前記本発明の建築物の外壁構造の構成においては、前記樹脂塗膜の表面に透明性トップコートがさらに塗布されているのが好ましい。この好ましい例によれば、建築物の外壁面の耐久性及び耐候性を向上させることができると共に、汚染を防止することもできる。また、この場合には、前記トップコートの材料が、アクリル−シリコン系塗料又はフッ素系塗料であるのが好ましい。尚、このように、トップコートの材料として親水性の材質のものを使用すれば、塵埃が付着し難く、一旦付着した塵埃も雨水等によって容易に洗い流すことができる。
また、前記本発明の建築物の外壁構造の構成においては、前記アンカーピンの頭部が前記タイルと同色であるのが好ましい。この好ましい例によれば、アンカーピンを目立たなくして、タイル壁面の持つ色調や色合いの外観を損なうことがないようにすることができる。
また、前記本発明の建築物の外壁構造の構成においては、前記防水プライマー層の材料がアクリル系塗料であるのが好ましい。また、この場合には、前記アクリル系塗料が、アクリル−シリコン系塗料又はアクリル−ウレタン系塗料であるのが好ましい。
また、前記本発明の建築物の外壁構造の構成においては、前記樹脂塗膜の材料が、ポリエステル系樹脂エマルション、ポリカーボネート系樹脂エマルション、ポリアミド系樹脂エマルション、ポリイミド系樹脂エマルション、ポリエーテルスルホン系樹脂エマルション、ポリスルホン系樹脂エマルション、ポリスチレン系樹脂エマルション、ポリノルボルネン系樹脂エマルション、ポリオレフィン系樹脂エマルション、アクリル系樹脂エマルション及びアセテート系樹脂エマルションから選ばれる少なくとも1つを主成分として含むのが好ましい。そして、中でも、比較的低温で硬化し、かつ、良好な耐候性、耐水性、耐酸性、高い平滑性、及び、高い硬度などの塗膜特性が容易に得られる点で、ポリエステル−ウレタン樹脂エマルションなどのポリエステル系樹脂エマルション、あるいは、アクリル−シリコン樹脂エマルション又はアクリル−ウレタン樹脂エマルションなどのアクリル系樹脂エマルションが好ましい。
また、前記本発明の建築物の外壁構造の構成においては、前記補強材が、ネット状に形成されているのが好ましく、織布あるいは不織布を用いることができる。
また、前記本発明の建築物の外壁構造の構成においては、前記補強材の材料が、ポリビニルアルコール、ナイロン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)及びポリエチレンから選ばれる少なくとも1つであるのが好ましい。
また、前記本発明の建築物の外壁構造の構成においては、前記防水プライマー層、及び、前記補強材が埋設された前記樹脂塗膜の透光率がそれぞれ80%以上であるのが好ましい。ここで、透光率は、JIS Z 8722に準拠した方法で測定される(以下、同様)。
また、前記トップコートの透光率も80%以上であるのが好ましい。
また、前記本発明の建築物の外壁構造の構成においては、前記樹脂塗膜の材料に、第2の補強材として透明なフィラーが分散されているのが好ましい。この好ましい例によれば、樹脂塗膜の引っ張り強度をさらに向上させることができるので、タイルの剥離・脱落防止効果をより確実に達成することができる。また、この場合には、前記フィラーの材料が、ナイロン及び/又はガラスであるのが好ましい。また、この場合には、前記フィラーが分散され、かつ、前記補強材が埋設された前記樹脂塗膜の透光率が80%以上であるのが好ましい。
また、本発明に係る建築物の外壁の施工方法は、躯体に下地モルタルを介して貼り付けられた複数のタイルからなるタイル壁面に、透明性プライマーを塗布して透明な防水プライマー層を形成する工程と、前記防水プライマー層が乾燥した後に、当該防水プライマー層の表面に、透明な樹脂塗膜を形成するための第1層目の樹脂塗膜材料を塗布する工程と、前記第1層目の樹脂塗膜材料の上に、透明な補強材を貼り付ける工程と、前記第1層目の樹脂塗膜材料が乾燥した後に、前記透明な補強材、前記第1層目の樹脂塗膜材料及び前記タイル壁面を貫いて前記躯体にアンカーピンを打ち込む工程と、前記透明な補強材を貼り付けた後の前記第1層目の樹脂塗膜材料の上に、前記透明な樹脂塗膜を形成するための第2層目の樹脂塗膜材料を塗布する工程とを備えたことを特徴とする。
この建築物の外壁の施工方法によれば、前記本発明の建築物の外壁構造を容易に実現することができる。すなわち、本発明によれば、タイル壁面の持つ色調や色合いの外観を残したまま、タイルの剥離・脱落防止効果を付与することのできる建築物の外壁の施工方法を提供することができる。
また、前記本発明の建築物の外壁の施工方法においては、前記透明な補強材を貼り付けた後に、当該補強材を前記第1層目の樹脂塗膜材料に埋め込む工程をさらに備えているのが好ましい。
また、前記本発明の建築物の外壁の施工方法においては、前記第2層目の樹脂塗膜材料の上に、前記透明な樹脂塗膜を形成するための第3層目の樹脂塗膜材料を塗布する工程をさらに備えているのが好ましい。
また、前記本発明の建築物の外壁の施工方法においては、前記アンカーピンを打ち込んだ後、前記第2層目の樹脂塗膜材料を塗布する前に、前記アンカーピンの頭部及びその周辺に前記透明な樹脂塗膜の材料を用いて下塗りする工程をさらに備えているのが好ましい。この好ましい例によれば、アンカーピンの頭部及びその周辺に樹脂塗膜の材料を十分に行き渡らせることができる。
また、前記本発明の建築物の外壁の施工方法においては、前記第1層目の樹脂塗膜材料が乾燥した後に、前記アンカーピン用の穴を穿孔する工程をさらに備えているのが好ましい。
また、前記本発明の建築物の外壁の施工方法においては、前記樹脂塗膜が乾燥した後に、当該樹脂塗膜の表面に透明性トップコートを塗布する工程をさらに備えているのが好ましい。また、この場合には、前記トップコートの材料が、アクリル−シリコン系塗料又はフッ素系塗料であるのが好ましい。
また、前記本発明の建築物の外壁の施工方法においては、前記アンカーピンとして、その頭部が前記タイルと同色のものを用いるのが好ましい。
また、前記本発明の建築物の外壁の施工方法においては、前記防水プライマー層の材料がアクリル系塗料であるのが好ましい。また、この場合には、前記アクリル系塗料が、アクリル−シリコン系塗料又はアクリル−ウレタン系塗料であるのが好ましい。
また、前記本発明の建築物の外壁の施工方法においては、前記樹脂塗膜の材料が、ポリエステル系樹脂エマルション、ポリカーボネート系樹脂エマルション、ポリアミド系樹脂エマルション、ポリイミド系樹脂エマルション、ポリエーテルスルホン系樹脂エマルション、ポリスルホン系樹脂エマルション、ポリスチレン系樹脂エマルション、ポリノルボルネン系樹脂エマルション、ポリオレフィン系樹脂エマルション、アクリル系樹脂エマルション及びアセテート系樹脂エマルションから選ばれる少なくとも1つを主成分として含むのが好ましい。そして、中でも、比較的低温で硬化し、かつ、良好な耐候性、耐水性、耐酸性、高い平滑性、及び、高い硬度などの塗膜特性が容易に得られる点で、ポリエステル−ウレタン樹脂エマルションなどのポリエステル系樹脂エマルション、あるいは、アクリル−シリコン樹脂エマルション又はアクリル−ウレタン樹脂エマルションなどのアクリル系樹脂エマルションが好ましい。
また、前記本発明の建築物の外壁の施工方法においては、前記補強材として、ネット状に形成したものを用いるのが好ましい。この好ましい例によれば、当該補強材を樹脂塗膜材料中に十分絡めて、補強材と樹脂塗膜とを一体化することができる。
また、前記本発明の建築物の外壁の施工方法においては、前記補強材の材料が、ポリビニルアルコール、ナイロン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)及びポリエチレンから選ばれる少なくとも1つであるのが好ましい。
また、前記本発明の建築物の外壁の施工方法においては、前記樹脂塗膜の材料に、第2の補強材として透明なフィラーが分散されているのが好ましく、この場合には、前記フィラーの材料が、ナイロン及び/又はガラスであるのが好ましい。
本発明によれば、タイル壁面の持つ色調や色合いの外観を残したまま、タイルの剥離・脱落防止効果を付与することのできる建築物の外壁構造、及び、そのような建築物の外壁構造を実現するための建築物の外壁の施工方法を提供することができる。その結果、本発明によれば、タイル壁面としての3年ごとの打診調査、補修、報告が不要となり、長期的に見た場合に建築物のライフサイクルコストを大幅に低減することが可能となる。
図1は、本発明の一実施の形態における建築物の外壁構造を示す断面図である。 図2は、本発明の一実施の形態における、下地モルタル等の浮きが発生している場合の補修方法を示す断面図である。 図3は、本発明の一実施の形態における建築物の外壁の施工方法の一部を示す工程断面図である。 図4は、本発明の一実施の形態における建築物の外壁の施工方法を示すフローチャートである。 図5は、本発明の一実施の形態における建築物の外壁の施工方法に用いるアンカーピンの打込み位置(アンカーピン用の穴の位置)を示す概略正面図である。 図6は、本発明の一実施の形態における樹脂塗膜(樹脂+フィラー+ネット)の引っ張り強度を、フィラーのみを含む場合(樹脂+フィラー)、及び、フィラーもネットも含まない場合(樹脂のみ)と比較して示したグラフである。
以下、実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
〈建築物の外壁構造〉
まず、本発明に係る建築物の外壁構造について、図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施の形態における建築物の外壁構造を示す断面図である。
図1に示すように、コンクリート躯体1には、下地モルタル(「貼付けモルタル」を含む)2を介して複数のタイル3が縦横に貼り付けられており、これによりタイル壁面4が形成されている。タイル壁面4には、当該タイル壁面4を覆うようにして透明な防水プライマー層(図示せず)が形成されている。この防水プライマー層は、コンクリート躯体1からタイル3の目地部を通って染み出してくる水分を遮断するためのものである。また、防水プライマー層の表面には、当該防水プライマー層の表面を覆うようにして透明な樹脂塗膜5が形成されている。尚、樹脂塗膜5には透明な補強材6が埋設されており、これにより引っ張り強度の高い樹脂塗膜が実現されている。コンクリート躯体1には、タイル壁面4を貫いて、ワッシャ8が取り付けられた状態のアンカーピン7が打ち込まれている。ここで、アンカーピン7の頭部及びワッシャ8は、樹脂塗膜5に固定されている。また、アンカーピン7としては、引抜き強度が高くなるように、下端部分(コンクリート躯体1に打ち込まれる部分)が湾曲した、ステンレス鋼(SUS304)製の、いわゆる『コブラアンカーピン』(日本パワーファスニング株式会社製)が用いられている。尚、図1においては、タイル3を貫いてアンカーピン7が打ち込まれているが、タイルの目地部を貫いてアンカーピン7を打ち込んでもよい。
以上の建築物の外壁構造の構成によれば、補強材6が埋設された樹脂塗膜5(引っ張り強度の高い樹脂塗膜)と当該樹脂塗膜5をコンクリート躯体1に強固に固定するアンカーピン7とにより、建築物の外壁面にタイル3の剥離・脱落防止効果を付与することが可能となる。また、防水プライマー層、補強材6及び樹脂塗膜5は全て透明であり、さらに、タイル壁面4と樹脂塗膜5との間に防水プライマー層を介在させることにより、コンクリート躯体1からタイル3の目地部を通って染み出してくる水分を遮断して、樹脂塗膜5が白化するのを防止するようにしたので、タイル壁面4の持つ色調や色合いの外観を残したままの状態にすることができる。すなわち、本実施の形態の建築物の外壁構造の構成によれば、タイル壁面4の持つ色調や色合いの外観を残したまま、タイル3の剥離・脱落防止効果を付与することのできる建築物の外壁構造を提供することができる。そして、このような外壁構造とすることにより、タイル壁面としての3年ごとの打診調査、補修、報告が不要となり、長期的に見た場合に建築物のライフサイクルコストを大幅に低減することが可能となる。この場合、アンカーピン7の頭部及びワッシャ8をタイル3の色と同一の色に塗装しておけば、アンカーピン7の頭部及びワッシャ8を目立たなくして、タイル壁面4の持つ色調や色合いの外観を損なうことがないようにすることができる。
さらに、樹脂塗膜5の表面には透明性トップコート(図示せず)が塗布されている。このように樹脂塗膜5の表面にトップコートを塗布すれば、建築物の外壁面の耐久性及び耐候性を向上させることができると共に、汚染を防止することもできる。
防水プライマー層の材料としては、アクリル系塗料等を用いることができる。中でも、アクリル−シリコン系塗料又はアクリル−ウレタン系塗料が、防水プライマー層の材料として好ましい。アクリル−シリコン系塗料としては、例えば、神東塗料株式会社製の『マイルドハイテンクリヤー』等を用いることができ、アクリル−ウレタン系塗料としては、例えば、セラスター塗料株式会社製の二液反応硬化形アクリルウレタン系塗材である『フォック・LC185クリア』等を用いることができる。尚、防水プライマー層の材料としては透光率の高いもの(透明であるもの)が好ましいが、透明にこだわらなければ、アクリル−ウレタン系塗料としてセラスター塗料株式会社製の二液反応硬化形アクリルウレタン系塗材である『フォック・LC185各色』等を使用することもできる。
樹脂塗膜5の材料としては、ポリエステル系樹脂エマルション、ポリカーボネート系樹脂エマルション、ポリアミド系樹脂エマルション、ポリイミド系樹脂エマルション、ポリエーテルスルホン系樹脂エマルション、ポリスルホン系樹脂エマルション、ポリスチレン系樹脂エマルション、ポリノルボルネン系樹脂エマルション、ポリオレフィン系樹脂エマルション、アクリル系樹脂エマルション及びアセテート系樹脂エマルション等を主成分として含むものを用いることができる。中でも、ポリエステル−ウレタン樹脂エマルションなどのポリエステル系樹脂エマルション、あるいは、アクリル−シリコン樹脂エマルション又はアクリル−ウレタン樹脂エマルションなどのアクリル系樹脂エマルションは、比較的低温で硬化し、かつ、良好な耐候性、耐水性、耐酸性、高い平滑性、及び、高い硬度などの塗膜特性が容易に得られる点で、樹脂塗膜5の材料として好ましい。特に、シリコン含有量7〜30%のアクリル−シリコン樹脂エマルション(アクリル組成=メタクリル酸メチル(MMA)/アクリル酸2エチルヘキシル(2EHA))が好ましく、旭化成ケミカルズ株式会社製の『水性無機用ラテックスH7600シリーズ』又は『ポリトロンE−2050』等を用いることができる。この場合のエマルションの透明造膜の温度を下げるための造膜助剤としては、協和発酵ケミカル株式会社製のブチルセロソルブ約10phr、チッソ株式会社製のテキサノール20phr等が使用される。以上のような組成の樹脂塗膜5の材料は、タイル面に対する接着性も良好である(タイル面に対する付着強さは、約0.82〜1.75N/mm2)。また、水系のエマルションであるため、臭気も殆ど無く、環境に優しい材料である。
補強材6は、ネット状に形成されており、その材料としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ナイロン、ポリプロピレン(PP)、テフロン(登録商標)及びポリエチレン等を用いることができる。補強材6としては、特に、ポリビニルアルコール(PVA)の割布を用いてネット状に形成したもの(ケン化率98%)(以下単に『PVA割布ネット』という)(透光率約85%)、ポリエチレン製、ナイロン製又はポリプロピレン(PP)製のネット(目開き1〜15mm)が好ましい。PVA割布ネットは、格子目を構成した低伸度の構造体であり、樹脂塗膜5に対して縦方向、横方向の安定性と強度補強効果とを与える。PVA割布ネットとしては、例えば、ダイオ化成株式会社製のPVA系変性透明割布ネット・DT550を用いることができる。尚、補強材6としては透光率の高いもの(透明であるもの)が好ましいが、透明にこだわらなければ、補強材6の材料としてビニロン、カーボン等を使用することもできる。補強材6として、ネット状に形成したものを用いることにより、当該補強材6を樹脂塗膜5の材料中に十分絡めて、補強材6と樹脂塗膜5とを一体化することができる。
トップコートの材料としては、神東塗料株式会社製のハイテントップ半艶クリヤー等のアクリル−シリコン系塗料やフッ素系塗料等を用いることができる。このように、トップコートの材料として親水性の材質のものを使用すれば、塵埃が付着し難く、一旦付着した塵埃も雨水等によって容易に洗い流すことができる。
また、樹脂塗膜5の材料に、第2の補強材として透明なフィラー(図示せず)を分散すれば、樹脂塗膜5の引っ張り強度をさらに向上させることができる。そして、これによれば、タイルの剥離・脱落防止効果をより確実に達成することが可能となる。
透明なフィラーの材料としては、ナイロン6、ナイロン66等からなるナイロン繊維及び/又はガラス繊維等を用いることができる。繊維の太さは1〜3デニール、長さは3〜6mmであるのが好ましい。尚、フィラーとしては透光率の高いもの(透明であるもの)が好ましいが、透明にこだわらなければ、フィラーの材料としてビニロン繊維等を使用することもできる。
防水プライマー層、補強材6が埋設された樹脂塗膜5、及び、トップコートの透光率は、それぞれ80%以上であるのが好ましく、さらには95%以上であるのが好ましい。ここで、透光率は、JIS Z 8722に準拠した方法で測定される。
フィラーが分散され、かつ、補強材6が埋設された樹脂塗膜5の透光率は、80%以上であるのが好ましく、さらには95%以上であるのが好ましい。
下地モルタル2とそれに貼り付けられたタイル3との合計厚みは約60mm、防水プライマー層の厚みは30〜100μm、樹脂塗膜5の塗布量は0.7〜1.9kg/m2、トップコートの塗布量は0.2〜0.3kg/m2である。
アンカーピン7としてのコブラアンカーピンは、下地モルタル2とそれに貼り付けられたタイル3との合計厚みが約60mmの場合、その大きさが直径6.0mm×長さ95mmであり、埋め込み深さ(コンクリート躯体1に打ち込まれる部分の長さ)は35mmである。
〈建築物の外壁の施工方法〉
次に、本発明に係る建築物の外壁の施工方法について、図2〜図5を参照しながら説明する。ここでは、既設タイル壁面の補修方法を例に挙げて説明する。
図2は、本発明の一実施の形態における、下地モルタル等の浮きが発生している場合の補修方法を示す断面図、図3は、本発明の一実施の形態における建築物の外壁の施工方法の一部を示す工程断面図、図4は、本発明の一実施の形態における建築物の外壁の施工方法を示すフローチャート、図5は、本発明の一実施の形態における建築物の外壁の施工方法に用いるアンカーピンの打込み位置(アンカーピン用の穴の位置)を示す概略正面図である。
まず、事前調査として、タイル3の欠落、浮き部等の調査、付着力の測定などを行う(図4のステップ1)。
次に、事前調査によってタイル3の欠落が発見された場合には、タイル欠落部の補修を行い、下地モルタル2等の浮きが発生していることが発見された場合には、エポキシ樹脂の注入を行う(図4のステップ2)。例えば、下地モルタル2の浮きが発生している場合には、図2に示すように、タイル壁面4を貫いて、電気ドリルでコンクリート躯体1にパイプアンカーピン用の穴を穿孔し、ワッシャ13が取り付けられた状態の樹脂注入用のパイプアンカーピン9(ステンレス鋼(SUS304)製)(吉野精機株式会社製)を前記穴に挿入する。そして、パイプアンカーピン9にエポキシ樹脂10を注入することにより、パイプアンカーピン9に設けられた吐出口11を介して、コンクリート躯体1と下地モルタル2との間隙14にエポキシ樹脂10を充填する。尚、パイプアンカーピン9の頭部及びワッシャ13は、タイル3の色と同一の色に塗装しておく。パイプアンカーピン9は、ロックピン15を打ち込んでコンクリート躯体1に固定する開脚型のピンである。パイプアンカーピン9は、その大きさが直径6.0mm×長さ40〜90mmであり、埋め込み深さ(コンクリート躯体1に打ち込まれる部分の長さ)は30mm以上である。尚、図2中、16はキャップを示している。
次に、タイル壁面4を低圧洗浄して、タイル壁面4の汚れを除去する(図4のステップ3)。
次に、タイル壁面4に、ローラを用いて、透明性プライマーとしての神東塗料株式会社製の『マイルドハイテンクリヤー』を塗布することにより、透明な防水プライマー層(厚み約50μm)(図示せず)(透光率約90%以上)を形成する(図4のステップ4)。ここで、透明性プライマーの塗布量は、約0.2kg/m2である。
次に、図3(a)に示すように、防水プライマー層が乾燥した後に、当該防水プライマー層の表面に、コテやローラを用いて、透明な樹脂塗膜5(図1参照)を形成するための第1層目の樹脂塗膜材料5a(塗布量約0.5kg/m2)を塗布する(図4のステップ5)。第1層目の樹脂塗膜材料5aとしては、第2の補強材として繊維の太さ1.7デニール、長さ約3mmのナイロン繊維が1〜5質量%の割合で均一に分散された旭化成ケミカルズ株式会社製の『ポリトロンE−2050』を用いる。
次に、図3(b)に示すように、第1層目の樹脂塗膜材料5aを塗布した後、直ちに、当該第1層目の樹脂塗膜材料5aの上に、ダイオ化成株式会社製のPVA系変性透明割布ネット・DT550からなる複数枚の補強材6(各補強材6の大きさ1.05m×1.05m)を、50mmずつ重ねた状態で縦横に貼り付け、金ゴテでしごいて、当該補強材6を第1層目の樹脂塗膜材料5aに埋め込む(図4のステップ6)。
次に、図3(c)に示すように、第1層目の樹脂塗膜材料5aが乾燥した後に、第1層目の樹脂塗膜材料5a、補強材6、タイル3、下地モルタル2を貫いて、電気ドリルでコンクリート躯体1に直径6.5mmのアンカーピン用の穴12を穿孔し(図4のステップ7)、穴12に残っている削粉を清掃する。図5に示すように、アンカーピン用の穴12は1m2当たり4個穿孔され、隣接する穴12の間隔は縦、横共に500mmである。
次に、図3(d)に示すように、アンカーピン用の穴12に、ワッシャ8が取り付けられた状態のアンカーピン7をハンマードリル又はハンマーで打ち込み(図4のステップ8)、ワッシャ8で補強材6を押え付ける。すなわち、補強材6、第1層目の樹脂塗膜材料5a及びタイル壁面4を貫いてコンクリート躯体1にアンカーピン7を打ち込む。アンカーピン7の頭部及びワッシャ8は、タイル3の色と同一の色に塗装しておく。
次に、コンクリート躯体1に打ち込んだアンカーピン7の頭部、ワッシャ8及びその周辺に透明な樹脂塗膜5(図1参照)の材料(第2の補強材として繊維の太さ1.7デニール、長さ約3mmのナイロン繊維が1〜5質量%の割合で均一に分散された旭化成ケミカルズ株式会社製の『ポリトロンE−2050』)を用いて下塗りする(図4のステップ9)。このように下塗りするのは、アンカーピン7の頭部、ワッシャ8及びその周辺にも透明な樹脂塗膜5の材料を十分に行き渡らせるためである。
次に、図3(e)に示すように、補強材6を貼り付けた後の第1層目の樹脂塗膜材料5aの上に、コテやローラを用いて、透明な樹脂塗膜5(図1参照)を形成するための第2層目の樹脂塗膜材料5b(塗布量約0.4kg/m2)を塗布する(図4のステップ10)。第2層目の樹脂塗膜材料5bは、第1層目の樹脂塗膜材料5aと同じものである。また、図示は省略するが、第2層目の樹脂塗膜材料5bの上に、コテやローラを用いて、透明な樹脂塗膜5を形成するための第3層目の樹脂塗膜材料(塗布量約0.4kg/m2)を塗布する(図4のステップ11)。第3層目の樹脂塗膜材料は、第1層目の樹脂塗膜材料5aと同じものである。以上により、第2の補強材(フィラー)として繊維の太さ1.7デニール、長さ約3mmのナイロン繊維が1〜5質量%の割合で均一に分散され、かつ、PVA系変性透明割布ネット・DT550が埋設された、旭化成ケミカルズ株式会社製の『ポリトロンE−2050』からなる塗布量約1.3kg/m2の樹脂塗膜5が得られる。このようにして得られた樹脂塗膜5の透光率は約80%である。そして、アンカーピン7の頭部及びワッシャ8は、樹脂塗膜5中に固定された状態となる。
以上の施工方法によれば、上述した建築物の外壁構造を容易に実現することができる。すなわち、タイル壁面の持つ色調や色合いの外観を残したまま、タイルの剥離・脱落防止効果を付与することのできる建築物の外壁の施工方法を提供することが可能となる。
最後に、第2層目の樹脂塗膜材料5b及び第3層目の樹脂塗膜材料が乾燥した後、樹脂塗膜5の表面に、ローラ又はエアーレススプレーを用いて、透明なアクリル−シリコン系塗料からなる超耐候性トップコートを2回に分けて塗布した(塗布量0.2〜0.3kg/m2)(図4のステップ12)。アクリル−シリコン系塗料としては、神東塗料株式会社製のハイテントップ半艶クリヤーを用いた。このように、樹脂塗膜5の表面を超耐候性トップコート仕上げによって被覆したことにより、建築物の外壁面の耐久性及び耐候性を向上させることができると共に、汚染を防止することもできる。尚、トップコートとしてアクリル−シリコン系塗料を用いているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、透明な樹脂であればよい。例えば、トップコートとしてフッ素系塗料を用いることもできる。このように、トップコートとして親水性の材質のものを使用すれば、塵埃が付着し難く、一旦付着した塵埃も雨水等によって容易に洗い流すことができる。
図6に、上記のようにして得られた樹脂塗膜5(樹脂+フィラー+ネット)の引っ張り強度を、フィラーのみを含む場合(樹脂+フィラー)、及び、フィラーもネットも含まない場合(樹脂のみ)と比較して示す。引っ張り強度は、インストロン社製の"インストロン万能材料試験機"を用いて測定した。図6に示すように、樹脂+フィラー+ネットからなる樹脂塗膜は、樹脂のみからなる樹脂塗膜の場合に比較して(樹脂+フィラーからなる樹脂塗膜の場合と比較しても)引っ張り強度がかなり向上していることが分かる。
また、本工法における、タイルの剥離・脱落を防止するために設けられた樹脂塗膜5(樹脂+フィラー+ネット)及びコブラアンカーピンが、建築物の外壁全体を支持する強度について計算すると、以下のようになる。
まず、下地モルタル2とそれに貼り付けられたタイル3との合計厚みが60mm(ここでは、比重2.2とする)、樹脂塗膜5(樹脂+フィラー+ネット)の塗布量が約1.3kg/m2(比重1.0)の場合、壁面全体の自重は133.5kg/m2=1.31kN/m2となる。
一方、安全性を考慮したコブラアンカーピン(直径6.0mm、埋め込み深さ35mm、コンクリート躯体1のコンクリート圧縮強度22.8N/mm2)の引抜き強度は1.52kN/本となる。そして、1m2当たり4本のコブラアンカーピンが使用されるので、コブラアンカーピンの1m2当たりの引抜き強度は1.52kN/本×(4本/m2)=6.08kN/m2となる。
従って、本工法によれば、タイルの剥離・脱落を確実に防止することができる。また、(樹脂+フィラー+ネット)の引っ張り強度は最大450N/45mm幅であり(図6参照)、1m幅当たり10000N(1020kgf/1m幅)の強度があり、タイルの脱落の予防保全効果がある。
尚、本実施の形態においては、既設タイル壁面を補修する場合を例に挙げて説明したが、本発明は、タイル壁面を備えた建築物を新しく造る場合にも有用である。
〈トップコートの具体例〉
以下に、本発明に好適なトップコートのより具体的な例を挙げ、その塗布方法についても説明する。
樹脂塗膜5の表面に、まず、艶消し剤を加えないシロキサン架橋型アクリル−シリコン(珪素)重合体を含む下塗りコーティング剤を塗布して、下塗りコーティング層を形成する。この下塗りコーティング剤を塗布すると、下塗りコーティング剤の一部は樹脂塗膜5に浸入するが、浸入しても下塗りコーティング剤の塗料組成及び塗膜組成の均一性は保たれ、耐久性の高いコーティング層となる。加えて、下塗りコーティング層は樹脂塗膜5とシロキサン結合によって化学結合するため、強固な密着となり、長期間美装状態を保ち、かつ、メンテナンスが不要で耐久性の高いコーティング層となる。
下塗りコーティング剤が艶消し剤を含むと、下塗りコーティング剤の一部が樹脂塗膜5に浸入する際に、艶消し剤は下塗りコーティング層に残されてしまい、艶消し剤の濃度が高い部分が生じるために、長期間経過したときに剥離し易くなる。
次に、下塗りコーティング層の上に、艶消し剤を加えたシロキサン架橋型アクリル−シリコン重合体を含む上塗りコーティング剤を塗布して、上塗りコーティング層を形成する。この場合、隣り合うコーティング層同士もシロキサン結合によって化学結合するため、強固な密着となり、耐久性の高いコーティング層となる。また、塗膜は親水性であるため、塵埃が付着し難く、一旦付着した塵埃も雨水等によって容易に洗い流すことができる。その結果、長期間美装状態を保ち、かつ、メンテナンスが不要で耐久性の高い建築物の外壁面が得られる。すなわち、20年を越え、好ましくは30年を越え、さらに好ましくは40年を越える耐久性の高い非汚染仕上げ面が得られる。
下塗りコーティング層の上に、上塗りコーティング層よりも相対的に少ない量の艶消し剤を加えたシロキサン架橋型アクリル−シリコン重合体を含む中塗りコーティング剤を塗布して、中塗りコーティング層をさらに形成するのも好ましい。この場合、下塗りコーティング層と中塗りコーティング層、及び、中塗りコーティング層と上塗りコーティング層とが、シロキサン結合によって化学結合するため、強固な密着となり、耐久性の高いコーティング層となる。また、塗膜は親水性であるため、塵埃が付着し難く、一旦付着した塵埃も雨水等によって容易に洗い流すことができる。その結果、長期間美装状態を保ち、かつ、メンテナンスが不要で耐久性の高い建築物の外壁面が得られる。すなわち、20年を越え、好ましくは30年を越え、さらに好ましくは40年を越える耐久性の高い非汚染仕上げ面が得られる。
以下においては、下塗りコーティング層を「クリヤー」、中塗りコーティング層を「半艶」、上塗りコーティング層を「艶消し」という場合がある。クリヤーはコーティング剤に艶消し剤を含まず、半艶はコーティング剤100重量部に0を越え6重量部以下の艶消し剤を含み、艶消しはコーティング剤100重量部に6重量部を越え10重量部以下の艶消し剤を含むのが好ましい。
コーティング剤に含まれるシロキサン架橋型アクリル−シリコン重合体は、好適には、下記(化1)で示されるモノマーを必須成分として重合して得られる、アルコキシシリル基含有のビニル重合体である。
Figure 2011006963
上記(化1)において、R1は水素原子、メチル基、炭素数6〜25のアリール基及び炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれた1価の有機基、R2は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基及び炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれた1価の有機基、R3は炭素数1〜3のアルキル基、aは0〜2の整数、mは1〜10の整数を示す。
一例として、下記のモノマーを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
(1)CH2=CHCOO(CH23Si(OCH33
(2)CH2=C(CH3)COO(CH23Si(OCH33
(3)CH2=C(CH3)COO(CH23Si(CH3)(OCH32
(4)CH2=CHCOO(CH23Si(OC253
(5)CH2=CHCOO(CH23Si(CH3)(OC252
(6)CH2=C(CH3)COO(CH23Si(OC253
(7)CH2=C(CH3)COO(CH23Si(CH3)(OC252
前記モノマーは1種でもよいし、2種以上を混合して使用することもできる。
また、前記モノマーと共重合可能なモノマーとしては、アクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル、あるいは他のビニルモノマー及びアミド系モノマーを用いることができる。具体的な化合物としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ヘプチルアクリレート、ヘプチルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルモノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチロールアクリルアミド、メチロールメタクリルアミド、メトキシメチルアクリルアミド、n−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド等のアミド系モノマーを挙げることができる。これらは1種でもよいし、2種以上を混合して使用することもできる。
これらのモノマーをラジカル重合させると、ビニル基が壊裂して重合し、これが主鎖を形成し、好適なアルコキシシリル基含有のビニル重合体を得ることができる。この重合体の好ましい数平均分子量は3000〜100000である。
好適なビニル重合体は側鎖にアルコキシシリル基を有するため、触媒によって常温(室温)でも反応が進む。すなわち、脱アルコール反応により、シラノール基同士又は他の水酸基(−OH基)と反応してシロキサン結合(−SiO−、Siは4価であるが2価を省略。以下も同様。)が形成される。あるいは、アルコキシシリル基が加水分解され、シラノール基(−SiOH基)となり、シラノール基同士又は他の水酸基(−OH基)と反応してシロキサン結合(−SiO−)が形成される。このシロキサン結合によって架橋構造となる。このことから、「シロキサン架橋型」という。また、このようにして形成された塗膜は親水性であるため、塵埃が付着し難く、一旦付着した塵埃も雨水等によって容易に洗い流すことができる。
中塗り及び/又は上塗りコーティング剤に含まれる艶消し剤は、平均粒子径が1〜20μmの範囲の無機粉体であるのが好ましい。前記平均粒子径は、市販の粒度分布計によって測定することができる。例えば、堀場製作所製のレーザ回折粒度測定器(LA920)、島津製作所製のレーザ回折粒度測定器(SALD2100)などを用いて測定することができる。艶消し剤は、例えば、シリカ、タルク、クレイ、アルミナなどの無機粉体から選択することができる。
本発明方法においては、下塗りコーティング剤を塗布して硬化させ(下塗りコーティング層の形成)、その上に上塗りコーティング剤を塗装して硬化させる(上塗りコーティング層の形成)。好ましくは、下塗りコーティング層と上塗りコーティング層との間に中塗りコーティング剤を塗布して硬化させる(中塗りコーティング層の形成)。前記下塗り、中塗り、上塗りの各コーティング剤には、シロキサン架橋型アクリル−シリコン重合体と共に、触媒、溶剤、その他の添加剤を加えることもできる。触媒としては、酸、塩基、有機金属を使用することができる。中でも有機錫が好ましく、有機錫としては、ジオクチル錫ビス(2−エチルヘキシルマレ−ト)、ジオクチル錫オキサイド又はジブチル錫オキサイドとシリケ−トとの縮合物、ジブチル錫ジオクトエ−ト、ジブチル錫ジラウレ−ト、ジブチル錫ジステアレ−ト、ジブチル錫ジアセチルアセトナ−ト、ジブチル錫ビス(エチルマレ−ト)、ジブチル錫ビス(ブチルマレ−ト)、ジブチル錫ビス(2−エチルヘキシルマレ−ト)、ジブチル錫ビス(オレイルマレ−ト)、スタナスオクトエ−ト、ステアリン酸錫、ジ−n−ブチル錫ラルレ−トオキサイド等が挙げられる。また、分子内にS原子を有する錫化合物としては、ジブチル錫ビスイソノニル−3―メルカプトプロピオネ−ト、ジオクチル錫ビスイソノニル−3−メルカプトプロピオネ−ト、オクチルブチル錫ビスイソノニル−3−メルカプトプロピオネ−ト、ジブチル錫ビスイソオクチルチオグルコレ−ト、ジオクチル錫ビスイソオクチルチオグルコレ−ト、オクチルブチル錫ビスイソオクチルチオグルコレ−ト等が挙げられる。触媒は単独でもよく、また、2種類以上併用してもよい。有機錫を使用する場合、触媒の使用量は、シロキサン架橋型アクリル−シリコン重合体成分100重量部に対して0.01重量部以上1重量部以下であるのが好ましく、さらに好ましくは0.1重量部以上0.2重量部以下である。
溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のエーテル類;メチルエチルケトン、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、メチルイソブチルケトン、アセトン等のケトン類等が挙げられる。これらの溶剤のうち特に好ましい溶剤は、安全性の観点から、キシレンである。溶剤の使用量は、シロキサン架橋型アクリル−シリコン重合体成分100重量部に対して50重量部以上200重量部以下、好ましくは70重量部以上150重量部以下、さらに好ましくは80重量部以上120重量部以下である。
添加剤としては、シリコーンオイル等の消泡剤、ヒンダードフェノール等の紫外線吸収剤、光安定剤、アマイドワックス等のタレ防止剤、レベリング剤等が挙げられる。
本発明方法においては、さらに耐久性を上げるために、中塗りコーティング剤を2回塗りするのが好ましい。
以下、実施例を用いて、トップコートについてさらに詳細に説明する。尚、下記の実施例に限定されるものではない。
(各特性の測定試験方法)
(1)サンシャインウェザーメーターによる促進試験
試験機:スガ試験機社製、型番“WE−SUN−HC−DC”
光源:1灯式・セリウム入り有芯カーボンを上下各4本組み合わせ
光線波長:280〜400nm
放射照度:フィルター付き255±45W/m2、フィルターなし285±50W/m2
光フィルター:耐熱性光学ガラス板使用・8枚1組、255nm以下の短波長成分をカット、355nmまでの成分を10〜50%透過
放出電力:50V、60A(3000W)
雰囲気温度:63±3℃
シャワー:120分中18分間降雨先降り運転
スプレー水量:2100±100ml/min(pH6.0〜8.0、水温16±5℃)試料枚数:70×150mm、76枚
運転サイクル:60Hr
(2)光沢
目視により観察し、次のように評価した。
A:落ち着いた光沢
B:やや艶が目立つ
(3)ひび割れ有無
サンシャインウェザーメーターによる促進試験後の試料表面を目視により観察し、次のように評価した。
A:ひび割れなし
B:僅かにひび割れあり、補修必要
C:大きなひび割れあり、補修必要
(4)変色
サンシャインウェザーメーターによる促進試験後の試料表面を目視により観察し、次のように評価した。
A:変色なし
B:変色あるが実用的に問題ない程度で目立たない、補修不要
C:やや目立つ変色、補修必要
D:明らかに変色しており、補修必要
(実施例1)
樹脂塗膜5の表面に、コーティング剤用のスプレーノズルを用いて、下塗りコーティング剤と上塗りコーティング剤を順番に塗布した。
(1)下塗りコーティング剤(クリヤー)
ハマトップFCクリヤー(基剤)
アルコキシシリル基含有ビニル重合体(数平均分子量15000) 43重量部
添加剤(消泡剤+光安定剤+顔料分散剤) 1重量部
溶剤(酢酸エチル) 2重量部
溶剤(酢酸ブチル) 2重量部
溶剤(キシレン) 45重量部
基剤 計93重量部
ハマトップFCクリヤー(硬化剤)
有機錫(ジブチル錫ジラウレ−ト)の混合物 1重量部(有機錫は0.1重量部)
溶剤(キシレン) 6重量部
硬化剤 計7重量部
合計100重量部
塗布量100g/m2(乾燥重量(固形分)で50g/m2)1回塗り
(2)上塗りコーティング剤(艶消し)
ハマトップFC艶消しクリヤー(基剤)
アルコキシシリル基含有ビニル重合体(数平均分子量15000) 40重量部
添加剤(消泡剤+光安定剤+顔料分散剤) 1重量部
溶剤(酢酸エチル) 2重量部
溶剤(酢酸ブチル) 2重量部
溶剤(キシレン) 41重量部
艶消し剤(平均粒子径8μmのシリカ)7重量部
基剤 計93重量部
ハマトップFC艶消しクリヤー(硬化剤)
有機錫(ジブチル錫ジラウレ−ト)の混合物 2重量部(有機錫は0.2重量部)
溶剤(キシレン) 5重量部
硬化剤 計7重量部
合計100重量部
塗布量100g/m2(乾燥重量(固形分)で50g/m2)1回塗り
得られた美装仕上げの建築物の外壁面に対してサンシャインウェザーメーターによる促進試験を行ったところ、8000時間後(40年に相当)でもひび割れやクラック、及び変色は無く、耐久性のあることが確認できた。
(実施例2)
実施例1において、下塗りコーティング剤を1回塗りして硬化させ、その上に中塗りコーティング剤を2回塗りした以外は、実施例1と同様にスプレー塗装した。
(3)中塗りコーティング剤(半艶)
ハマトップFC半艶クリヤー(基剤)
アルコキシシリル基含有ビニル重合体(数平均分子量15000) 41重量部
添加剤(消泡剤+光安定剤+顔料分散剤) 1重量部
溶剤(酢酸エチル) 2重量部
溶剤(酢酸ブチル) 2重量部
溶剤(キシレン) 42重量部
艶消し剤(平均粒子径8μmのシリカ)5重量部
基剤 計93重量部
ハマトップFC半艶クリヤー(硬化剤)
有機錫(ジブチル錫ジラウレ−ト)の混合物 2重量部(有機錫は0.2重量部)
溶剤(キシレン) 5重量部
硬化剤 計7重量部
合計100重量部
塗布量100g/m2(乾燥重量(固形分)で50g/m2)2回塗り
得られた美装仕上げの建築物の外壁面に対してサンシャインウェザーメーターによる促進試験を行ったところ、7000時間(35年に相当)までは、ひび割れやクラック、及び変色は無く、耐久性のあることが確認できた。
(実施例3)
実施例1において、下塗りコーティング剤を1回塗りして硬化させ、その上に中塗りコーティング剤を1回塗りした以外は、実施例1と同様にスプレー塗装した。
得られた美装仕上げの建築物の外壁面に対してサンシャインウェザーメーターによる促進試験を行ったところ、7000時間(35年に相当)までは、ひび割れやクラック、及び変色は無く、耐久性のあることが確認できた。
(実施例4)
実施例1において、下塗りコーティング剤を塗布しなかった以外は、実施例1と同様にスプレー塗装した。
得られた美装仕上げの建築物の外壁面に対してサンシャインウェザーメーターによる促進試験を行ったところ、4000時間(20年に相当)までは、ひび割れやクラック、及び変色は無く、耐久性のあることが確認できた。
(実施例5)
実施例2において、下塗りコーティング剤を塗布しなかった以外は、実施例2と同様にスプレー塗装した。
得られた美装仕上げの建築物の外壁面に対してサンシャインウェザーメーターによる促進試験を行ったところ、4000時間(20年に相当)までは、ひび割れやクラック、及び変色は無く、耐久性のあることが確認できた。
(実施例6)
実施例2において、下塗り及び中塗りコーティング剤を塗布せず、上塗りコーティング剤を2回塗りした以外は、実施例2と同様にスプレー塗装した。
得られた美装仕上げの建築物の外壁面に対してサンシャインウェザーメーターによる促進試験を行ったところ、2000時間(10年に相当)までは、ひび割れやクラック、及び変色は無く、耐久性のあることが確認できた。
以上の結果を下記(表1)にまとめて示す。
Figure 2011006963
上記(表1)から明らかな通り、実施例1〜3においては、下塗りコーティング剤として艶消し剤を加えないシロキサン架橋型アクリル−シリコン重合体を含むものを塗布したため、耐久性が高くなっている。また、最外層に半艶ないしは艶消し層を形成したため、落ち着いた光沢を有していた。
また、実施例4〜6においては、吹き付け層の上に直接半艶ないしは艶消し層を形成したため、耐久性は多少低く、光沢も強すぎるという傾向があった。
本発明は、タイル壁面の持つ色調や色合いの外観を残したまま、タイルの剥離・脱落防止効果を付与することのできる建築物の外壁構造及び建築物の外壁の施工方法を提供することができるので、建築物の外壁面の仕上げに対して有用である。
1 コンクリート躯体
2 下地モルタル(貼付けモルタルを含む)
3 タイル
4 タイル壁面
5 樹脂塗膜
5a 第1層目の樹脂塗膜材料
5b 第2層目の樹脂塗膜材料
6 補強材
7 アンカーピン
8、13 ワッシャ
9 パイプアンカーピン
10 エポキシ樹脂
11 吐出口
12 アンカーピン用の穴

Claims (33)

  1. 躯体に下地モルタルを介して貼り付けられた複数のタイルからなるタイル壁面と、
    前記タイル壁面を覆うようにして形成された透明な防水プライマー層と、
    前記防水プライマー層の表面を覆うようにして形成され、透明な補強材が埋設された透明な樹脂塗膜と、
    頭部が前記樹脂塗膜に固定されていると共に、前記タイル壁面を貫いて前記躯体に打ち込まれたアンカーピンとを備えた建築物の外壁構造。
  2. 前記樹脂塗膜の表面に透明性トップコートがさらに塗布されている、請求項1に記載の建築物の外壁構造。
  3. 前記トップコートの材料が、アクリル−シリコン系塗料又はフッ素系塗料である、請求項2に記載の建築物の外壁構造。
  4. 前記アンカーピンの頭部が前記タイルと同色である、請求項1〜3のいずれかに記載の建築物の外壁構造。
  5. 前記防水プライマー層の材料がアクリル系塗料である、請求項1〜4のいずれかに記載の建築物の外壁構造。
  6. 前記アクリル系塗料が、アクリル−シリコン系塗料又はアクリル−ウレタン系塗料である、請求項5に記載の建築物の外壁構造。
  7. 前記樹脂塗膜の材料が、ポリエステル系樹脂エマルション、ポリカーボネート系樹脂エマルション、ポリアミド系樹脂エマルション、ポリイミド系樹脂エマルション、ポリエーテルスルホン系樹脂エマルション、ポリスルホン系樹脂エマルション、ポリスチレン系樹脂エマルション、ポリノルボルネン系樹脂エマルション、ポリオレフィン系樹脂エマルション、アクリル系樹脂エマルション及びアセテート系樹脂エマルションから選ばれる少なくとも1つを主成分として含む、請求項1〜6のいずれかに記載の建築物の外壁構造。
  8. 前記ポリエステル系樹脂エマルションがポリエステル−ウレタン樹脂エマルションである、請求項7に記載の建築物の外壁構造。
  9. 前記アクリル系樹脂エマルションが、アクリル−シリコン樹脂エマルション又はアクリル−ウレタン樹脂エマルションである、請求項7に記載の建築物の外壁構造。
  10. 前記補強材が、ネット状に形成されている、請求項1〜9のいずれかに記載の建築物の外壁構造。
  11. 前記補強材の材料が、ポリビニルアルコール、ナイロン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)及びポリエチレンから選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜10のいずれかに記載の建築物の外壁構造。
  12. 前記樹脂塗膜の材料に、第2の補強材として透明なフィラーが分散されている、請求項1〜11のいずれかに記載の建築物の外壁構造。
  13. 前記フィラーの材料が、ナイロン及び/又はガラスである、請求項12に記載の建築物の外壁構造。
  14. 前記防水プライマー層、及び、前記補強材が埋設された前記樹脂塗膜の透光率がそれぞれ80%以上である、請求項1〜13のいずれかに記載の建築物の外壁構造。
  15. 前記トップコートの透光率が80%以上である、請求項2〜14のいずれかに記載の建築物の外壁構造。
  16. 前記フィラーが分散され、かつ、前記補強材が埋設された前記樹脂塗膜の透光率が80%以上である、請求項12〜15のいずれかに記載の建築物の外壁構造。
  17. 躯体に下地モルタルを介して貼り付けられた複数のタイルからなるタイル壁面に、透明性プライマーを塗布して透明な防水プライマー層を形成する工程と、
    前記防水プライマー層が乾燥した後に、当該防水プライマー層の表面に、透明な樹脂塗膜を形成するための第1層目の樹脂塗膜材料を塗布する工程と、
    前記第1層目の樹脂塗膜材料の上に、透明な補強材を貼り付ける工程と、
    前記第1層目の樹脂塗膜材料が乾燥した後に、前記透明な補強材、前記第1層目の樹脂塗膜材料及び前記タイル壁面を貫いて前記躯体にアンカーピンを打ち込む工程と、
    前記透明な補強材を貼り付けた後の前記第1層目の樹脂塗膜材料の上に、前記透明な樹脂塗膜を形成するための第2層目の樹脂塗膜材料を塗布する工程とを備えた建築物の外壁の施工方法。
  18. 前記透明な補強材を貼り付けた後に、当該補強材を前記第1層目の樹脂塗膜材料に埋め込む工程をさらに備えた、請求項17に記載の建築物の外壁の施工方法。
  19. 前記第2層目の樹脂塗膜材料の上に、前記透明な樹脂塗膜を形成するための第3層目の樹脂塗膜材料を塗布する工程をさらに備えた、請求項17又は18に記載の建築物の外壁の施工方法。
  20. 前記アンカーピンを打ち込んだ後、前記第2層目の樹脂塗膜材料を塗布する前に、前記アンカーピンの頭部及びその周辺に前記透明な樹脂塗膜の材料を用いて下塗りする工程をさらに備えた、請求項17〜19のいずれかに記載の建築物の外壁の施工方法。
  21. 前記第1層目の樹脂塗膜材料が乾燥した後に、前記アンカーピン用の穴を穿孔する工程をさらに備えた、請求項17〜20のいずれかに記載の建築物の外壁の施工方法。
  22. 前記樹脂塗膜が乾燥した後に、当該樹脂塗膜の表面に透明性トップコートを塗布する工程をさらに備えた、請求項17〜21のいずれかに記載の建築物の外壁の施工方法。
  23. 前記トップコートの材料が、アクリル−シリコン系塗料又はフッ素系塗料である、請求項22に記載の建築物の外壁の施工方法。
  24. 前記アンカーピンとして、その頭部が前記タイルと同色のものを用いる、請求項17〜23のいずれかに記載の建築物の外壁の施工方法。
  25. 前記防水プライマー層の材料がアクリル系塗料である、請求項17〜24のいずれかに記載の建築物の外壁の施工方法。
  26. 前記アクリル系塗料が、アクリル−シリコン系塗料又はアクリル−ウレタン系塗料である、請求項25に記載の建築物の外壁の施工方法。
  27. 前記樹脂塗膜の材料が、ポリエステル系樹脂エマルション、ポリカーボネート系樹脂エマルション、ポリアミド系樹脂エマルション、ポリイミド系樹脂エマルション、ポリエーテルスルホン系樹脂エマルション、ポリスルホン系樹脂エマルション、ポリスチレン系樹脂エマルション、ポリノルボルネン系樹脂エマルション、ポリオレフィン系樹脂エマルション、アクリル系樹脂エマルション及びアセテート系樹脂エマルションから選ばれる少なくとも1つを主成分として含む、請求項17〜26のいずれかに記載の建築物の外壁の施工方法。
  28. 前記ポリエステル系樹脂エマルションがポリエステル−ウレタン樹脂エマルションである、請求項27に記載の建築物の外壁の施工方法。
  29. 前記アクリル系樹脂エマルションが、アクリル−シリコン樹脂エマルション又はアクリル−ウレタン樹脂エマルションである、請求項27に記載の建築物の外壁の施工方法。
  30. 前記補強材として、ネット状に形成したものを用いる、請求項17〜29のいずれかに記載の建築物の外壁の施工方法。
  31. 前記補強材の材料が、ポリビニルアルコール、ナイロン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)及びポリエチレンから選ばれる少なくとも1つである、請求項17〜30のいずれかに記載の建築物の外壁の施工方法。
  32. 前記樹脂塗膜の材料に、第2の補強材として透明なフィラーが分散されている、請求項17〜31のいずれかに記載の建築物の外壁の施工方法。
  33. 前記フィラーの材料が、ナイロン及び/又はガラスである、請求項32に記載の建築物の外壁の施工方法。
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