JP6704228B2 - 複層塗膜 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート基材の表面に形成される複層塗膜に関する。
従来、コンクリート構造物の表面に硬化性(塗料)組成物によって塗膜を形成することで、風雨や塩害によるコンクリート構造物の経年劣化の進行を抑える技術、すなわち耐候性を付与する技術が知られている。更に、コンクリート構造物の保全の観点からは、コンクリートの経年劣化に伴い表面に生じる亀裂や膨れ及び欠損等を早期に発見する必要があり、コンクリート構造物の表面が目視で確認可能であることが要請される。一方でコンクリート構造物の意匠性確保等の要請もあり、これらを総合するとコンクリート構造物の表面に形成される塗膜はコンクリート構造物の経年劣化の進行を抑える効果を有すると共に、透明であることが望ましい。
そこで、十分な補強効果と視認性を併せ持つコンクリート補強層として、エポキシ系樹脂からなるプライマー層と、可視光硬化型ビニルエステル樹脂からなる樹脂層と、補強ネット及び補強シートからなるコンクリート補強層をコンクリート構造物の表面上に形成する技術が知られている(例えば、後述の特許文献1参照)。
更に、撥水系の防水材による下塗りと、エマルション系樹脂による中塗りと、樹脂防水材からなる上塗りを含むコンクリート表面仕上げ方法において、エマルション系樹脂が弾性を有することでコンクリート表面のひび割れに伴う防水材の破断を防止する技術が知られている(例えば、後述の特許文献2参照)。
特開2007−2514号公報 特開2002−89006号公報
ところで、コンクリート構造物の表面に透明塗膜を形成する際、コンクリート基材表面の巣穴由来の発泡を抑える事等を目的としてシーラー等により下塗層(プライマー層)を形成する方法が従来から知られている。しかしプライマー層の塗布を行った箇所の明度が塗布を行っていない箇所と比較して低くなる現象、すなわち基材表面が濡れ色になる現象が生じるため、このような状態のプライマー層に透明な塗膜層を形成してもコンクリート基材表面に生じる亀裂等を目視で確認することが困難になる問題が生じる。よってプライマー層を有する複層塗膜により被覆されたコンクリート構造物において、保全のための目視検査作業をより容易なものとするためには、塗膜層が透明であるだけではなく、プライマー層の形成によりコンクリート基材表面が濡れ色にならないことが必要である。
特許文献1に記載された発明は、樹脂層の全光線透過率を少なくとも30%以上とし、更に樹脂層の屈折率をプライマー層及び補強シートとして用いられるガラスクロスと同等とすることで透明度を十分に確保している。しかしながらプライマー層を塗布する際コンクリート表面が濡れ色となることは防止できないため、コンクリート表面の視認性は十分なものではなかった。
特許文献2に記載された発明は、上塗層の樹脂防水材がコンクリート表面へ直接浸透することがないため、上塗層の樹脂防止材の浸透による、濡れ色や材料の浸透率の違いによる色むらが防止される。しかしながらプライマー層を塗布する際にコンクリート表面が濡れ色となることは防止できない。また特許文献2における濡れ色の防止は意匠性の維持を目的としたものであり、コンクリート構造物の保全のための目視検査作業を行う際の視認性が十分に確保されるものではなかった。
このように、コンクリート基材の表面を被覆する透明で且つ耐候性を有する複層塗膜において、塗膜形成時にコンクリート表面が濡れ色にならないような複層塗膜については十分に検討がなされていないのが現状である。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、コンクリート基材の表面を被覆する複層塗膜であって、高い透明性を有し且つ塗布によりコンクリート表面が濡れ色にならない複層塗膜を提供することを目的とする。
本発明は、コンクリート基材の表面に形成された透明な複層塗膜であって、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂及びこれらの樹脂の変性物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む下塗塗料組成物により形成された下塗層と、中塗塗料組成物により形成された中塗層と、上塗塗料組成物により形成された上塗層と、を含み、前記複層塗膜を形成する前の前記コンクリート基材表面のL*a*b*表色系におけるL値(明度)と、前記複層塗膜表面のL値との差が−2.0〜4.0である複層塗膜に関する。
また、前記複層塗膜の膜厚が300μm〜1,500μmであることが好ましい。
また、前記上塗塗料組成物は、芳香環を有さないエポキシ樹脂(a1)と、変性脂肪族アミン化合物(b1)と、扁平状の無機粒子(c1)と、を含むことが好ましい。
また、前記上塗塗料組成物は、架橋性シリル基を少なくとも1個有する(メタ)アクリル樹脂(d1)と、シランカップリング剤(e1)と、を更に含むことが好ましい。
また、前記無機粒子(c1)は、マイカ及びガラスフレークの少なくとも一方からなり、前記無機粒子(c)の平均アスペクト比は、20〜1,000であることが好ましい。
また、前記中塗塗料組成物は、芳香環を有さないエポキシ樹脂(a2)と、変性脂肪族アミン化合物(b2)と、を含むことが好ましい。
本発明によれば、コンクリート基材の表面を被覆する、耐候性及び高い透明性を有し且つ塗布によりコンクリート表面が濡れ色にならない透明複層塗膜を提供できる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
<複層塗膜>
本実施形態に係る複層塗膜は、コンクリート基材の表面に形成される透明なコンクリート防食用複層塗膜である。本実施形態において、被塗物であるコンクリート基材は、コンクリート構造物であってもよい。コンクリート構造物としては橋梁、トンネル、高架道路、建築物等が挙げられる。複層塗膜は下塗層、中塗層、及び上塗層を順次配設することにより形成される。具体的には、下塗塗料組成物をコンクリート表面に塗装し硬化させた後、更に中塗塗料組成物を塗装し硬化させ、更に上塗塗料組成物を塗装し硬化させることで複層塗膜は形成される。
また、本実施形態に係る複層塗膜は、複層塗膜形成前のコンクリート基材表面上のL*a*b*表色系におけるL値(明度)と、複層塗膜を形成した後の複層塗膜表面上のL値との差が−2.0〜4.0となる。
以下、下塗層、中塗層、上塗層それぞれの塗膜層で用いられる各塗料組成物について順次説明する。
<下塗塗料組成物>
本実施形態に係る下塗塗料組成物は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、又はこれらの樹脂の変性組成物のうち少なくともいずれか1種を含む。また、下塗塗料組成物にはエポキシ樹脂が含まれないことが好ましい。エポキシ樹脂が含まれないことで、下塗層を形成しても基材が濡れ色とならない。
本実施形態における下塗塗料組成物に含まれるアクリル樹脂は、アクリル系モノマーの共重合体、あるいは、アクリル系モノマーと他のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体である。アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、フェニル、ベンジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル等のエステル化物類;アクリル酸又はメタクリル酸2−ヒドロキシエチルのカプロラクトンの開環付加物類等が挙げられる。これらと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、イタコン酸、マレイン酸、酢酸ビニル等が挙げられる。
本実施形態におけるアクリル樹脂は、乳化重合したアクリルエマルジョン樹脂や、水性アクリル樹脂等の水系樹脂であってもよい。アクリルエマルジョン樹脂としてはアクリル系エマルジョン、アクリルスチレンエマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン等が挙げられる。水性アクリル樹脂としては、1液型の水性樹脂や、水性アクリルポリオールと水分散性ポリイソシアネートからなる2液硬化型水性アクリルウレタン樹脂等が挙げられる。
本実施形態における下塗塗料組成物に含まれるウレタン樹脂は、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等の各種ポリオール成分とイソシアネート化合物との反応によって得られるウレタン結合を有する樹脂である。イソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート及びこれらの混合物、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、及びこれらの混合物、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
本実施形態における下塗塗料組成物に含まれるウレア樹脂は、アミン化合物とイソシアネート化合物との反応によって得られる、分子中に尿素基(−NH・CO・NH−)を有する樹脂である。イソシアネート化合物としては前述のウレタン樹脂に用いられるものと同様のイソシアネート化合物が用いられる。アミン化合物としては例えばエーテルアミン及び一級アミン等が用いられる。例えば、2−メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、3−メトキシ−1−プロピルアミン、エタノールアミン、6−アミノヘキサノール、p−メトキシベンジルアミン等が挙げられる。
上記化合物が含まれる下塗塗料組成物は、有機溶剤形塗料、エマルジョン塗料を含む水性塗料又は無溶剤形のいずれの形態であってもよい。有機溶液形塗料又は水性塗料としては、一液形塗料を用いてもよいし、主剤及び硬化剤からなる二液混合形塗料を用いてもよい。
本実施形態において、これらの下塗塗料組成物を用いて下塗層を形成しても、コンクリート基材が濡れ色とならないため、コンクリート基材表面の良好な視認性が確保できる。
この理由として詳細は不明であるが、上記の下塗塗料組成物はコンクリート基材への浸透性及び形成された下塗層の屈折率が、エポキシ樹脂を含む塗料組成物と異なるためと考えられる。
<中塗、上塗塗料組成物>
本実施形態に係る中塗層の形成に用いられる中塗塗料組成物は、芳香環を有さないエポキシ樹脂(a2)と、変性脂肪族アミン化合物(b2)を含むことが好ましい。また、上塗層の形成に用いられる上塗塗料組成物は、芳香環を有さないエポキシ樹脂(a1)と、変性脂肪族アミン化合物(b1)と、扁平状の無機粒子(c1)と、を含むことが好ましく、架橋性シリル基を少なくとも1個有する(メタ)アクリル樹脂(d1)と、シランカップリング剤(e1)とを更に含むことがより好ましい。
本実施形態に係るエポキシ樹脂(a)は、芳香環を有さない。エポキシ樹脂(a)が芳香環を有さないことで、耐候性の高い透明塗膜を形成することができる。芳香環を有さないエポキシ樹脂(a)としては、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンジルグリコールジグリシジルエーテル、グレセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等を例示することができる。
水添ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ビスフェノールC型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂に水素原子を付加して得られる水添ビスフェノール型ジグリシジルエーテル(例えば水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂)が挙げられる。水添ビスフェノール型エポキシ樹脂として、具体的には、エポライト4000(共栄社化学株式会社)、EPICLON EXA−7015(DIC株式会社製)、ST−3000(新日鉄住金化学株式会社製)等を挙げることができる。
エポキシ樹脂(a)としては、エポキシ基を一分子中に少なくとも2個有するものが、後述の変性脂肪族アミン化合物(b)との反応性が高く、硬化物が3次元的網目を作りやすいことから好ましい。また、本実施形態に係る塗料組成物を硬化させた時の硬化物が透明であるためには、エポキシ樹脂(a)の他の成分との相溶性が高いことが好ましい。例えば、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、他の成分との相溶性が高く、透明な硬化物を得やすい上に、得られる硬化塗膜が耐候性に優れることから好ましい。
なお、上塗塗料組成物に用いるエポキシ樹脂(a1)と、中塗塗料組成物に用いるエポキシ樹脂(a2)とは、同じエポキシ樹脂を用いても良く、異なるエポキシ樹脂を用いても良い。
本実施形態に係る塗料組成物の固形分におけるエポキシ樹脂(a)の含有量は、25〜70質量%であることが好ましい。塗料組成物の固形分におけるエポキシ樹脂(a)の含有量が、25質量%未満の場合、形成される塗膜の強度や、コンクリート構造物への接着性が低下する傾向にある。塗料組成物の固形分におけるエポキシ樹脂(a)の含有量が、70質量%よりも高い場合、形成される塗膜の耐候性が低下し、黄変しやすくなる傾向にある。
本実施形態における変性脂肪族アミン化合物(b)は、エポキシ樹脂(a)と反応して耐候性の高い透明塗膜を形成する。変性脂肪族アミン化合物(b)は、エポキシ樹脂(a)との反応性が高く、後述の(メタ)アクリル樹脂(d)との相溶性も高い。
変性脂肪族アミン化合物(b)としては、脂肪族ポリアミンのエポキシ付加物、脂環族(脂環式)ポリアミン、ポリアミドアミン等が挙げられる。変性脂肪族アミン化合物(b)としては、例えば、トーマイド225X、フジキュアーFXU870、フジキュアー5420F(以上、株式会社T&K TOKA社製)や、アンカマイド500(エアプロダクツジャパン株式会社製)が挙げられる。
なお、上塗塗料組成物に用いる変性脂肪族アミン化合物(b1)と、中塗塗料組成物に用いる変性脂肪族アミン化合物(b2)とは、同じ変性脂肪族アミン化合物を用いても良く、異なる変性脂肪族アミン化合物を用いても良い。
本実施形態に係る塗料組成物の固形分における変性脂肪族アミン化合物(b)の固形分含有量は、2〜26質量%であることが好ましい。塗料組成物の固形分における変性脂肪族アミン化合物(b)の含有量が、2質量%未満の場合、形成される塗膜の強度や、コンクリート構造物への接着性が低下する傾向にある。塗料組成物の固形分における変性脂肪族アミン化合物(b)の含有量が、26質量%よりも高い場合、形成される塗膜の耐候性が低下し、黄変しやすくなる傾向にある。
本実施形態における無機粒子(c1)は、扁平状である。また、無機粒子(c1)は、マイカ及びガラスフレークの少なくとも一方からなることが好ましく、その平均アスペクト比は、20〜1,000であることが好ましい。無機粒子(c1)として平均アスペクト比が上記範囲のマイカ及びガラスフレークを用いることで、形成される塗膜の酸素遮断性が向上し、塗膜の耐候性を向上させることができる。無機粒子(c1)の平均アスペクト比が、20未満の場合には形成される塗膜の酸素遮断性が低下し、1,000を超える場合には塗料組成物の取り扱いが難しくなる。また、無機粒子(c1)の平均アスペクト比は、20〜200であることがより好ましく、32〜150であることが更に好ましい。また、形成される塗膜の隠ぺい率を低下させることで、塗膜の透明性を向上させる観点から、無機粒子(c1)はガラスフレークであることが好ましい。
なお、無機粒子(c1)の平均アスペクト比は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(LMS−30;株式会社セイシン企業製)による50%平均粒子径(L)、及び透過型電子顕微鏡による面間隔の平均厚さ(a)から、平均アスペクト比=L/aとして算出することが出来る。
無機粒子(c1)の平均粒子径は、10〜1,000μmであることが好ましい。無機粒子(c1)の平均粒子径が、10μm未満であると形成される塗膜の耐候性が低下する傾向にあり、1,000μmを超えると形成される塗膜の透明性が低下する傾向にある。
無機粒子(c1)の平均粒子径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置(SALD−3100:株式会社島津製作所製)によって測定することが可能である。
無機粒子(c1)として用いられるマイカとしては、例えば、A−21S(平均アスペクト比70、平均粒子径23μm)、A−41S(平均アスペクト比80、平均粒子径47μm)、SYA−21RS(平均アスペクト比90、平均粒子径27μm)、B−82(平均アスペクト比100、平均粒子径180μm、以上全て株式会社ヤマグチマイカ製)が挙げられる。
また、無機粒子(c1)として用いられるガラスフレークとしては、例えば、RCF−600(平均アスペクト比120、平均厚さ5μm、粒子径150〜1,700μmの成分が占める割合が80%以上)、RCF−2300(平均アスペクト比1150、平均厚さ2μm、粒子径150〜1,700μmの成分が占める割合が85%以下)、RCF−160(平均アスペクト比32、平均厚さ5μm、粒子径45〜300μmの成分が占める割合が65%以上)、(以上、全て日本板硝子株式会社製)等が挙げられる。
本実施形態に係る塗料組成物の全固形分における無機粒子(c1)の含有量は、6〜28質量%であることが好ましい。塗料組成物の全固形分における無機粒子(c1)の含有量が、6質量%未満の場合、形成される塗膜の耐候性が低下する。塗料組成物の全固形分における無機粒子(c1)の含有量が、28質量%よりも高い場合、形成される塗膜の透明性が失われる。無機粒子(c1)の含有量は、8〜22質量%であることがより好ましく、10〜20質量%であることが更に好ましい。
本実施形態に係る架橋性シリル基を少なくとも1個有する(メタ)アクリル樹脂(d1)は、いわゆるアクリルシリコン樹脂である。
(メタ)アクリル樹脂(d1)は、架橋性シリル基含有エチレン性不飽和モノマーと、他のエチレン性不飽和モノマーとを共重合させることにより得られるものであってもよく、すでに重合体として存在するアクリル樹脂を、架橋性シリル基を有するシリケートオリゴマーで変性して得られるものであってもよい。架橋性シリル基を有するシリケートオリゴマーとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン又はテトラフェノキシシランもしくはこれらの加水分解縮合物が用いられる。
架橋性シリル基含有エチレン性不飽和モノマーの具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリブトキシシラン及びγ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
他のエチレン性不飽和モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル等が挙げられる。
架橋性シリル基を有するシリケートオリゴマーでアクリル樹脂を変性する方法は特に限定されないが、通常のラジカル重合法を挙げることができる。そのときに使用される有機溶剤としては、上記シリケートオリゴマーと(メタ)アクリル樹脂を溶解するものであれば適宜選択できる。その具体例としては、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、キシレン等が挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂(d1)の有する架橋性シリル基としては、式(1)で表される官能基が挙げられる。
[化1]
−[Si(R2−b(Y)O]−Si(R3−a(Y) (1)

{式中、R、Rは、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又は(R’)SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R又はRが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基又は加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,又は3を、また、bは0,1,又は2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。}
加水分解性基としては、例えば、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等の官能基が挙げられる。これらのうちでも、アルコキシ基、アミド基、アミノオキシ基が好ましいが、温和な条件で加水分解されることから取り扱いやすいという点で、アルコキシ基がとくに好ましい。アルコキシ基の中では炭素数の少ないものほど反応性が高くなる。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基の順に反応性が低くなるので、目的や用途に応じてこれらの官能基を選択できる。
加水分解性基や水酸基は、1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、(a+Σb)は1〜5個の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が架橋性シリル基中に2個以上結合する場合には、それらは同じであってもよいし、異なってもよい。架橋性シリル基を形成するケイ素原子は1個以上であるが、シロキサン結合等により連結されたケイ素原子の場合には、20個以下であることが好ましい。特に、一般式(2)で表される架橋性シリル基が、入手が容易である点で好ましい。
[化2]
−Si(R3−c(Y) (2)

(式中、R、Yは前記と同じ、cは1〜3の整数)
(メタ)アクリル樹脂(d1)は、架橋性シリル基のケイ素同士がシロキサン結合を形成することで縮合する。本実施形態に係る塗料組成物が(メタ)アクリル樹脂(d1)を更に含有することで、より耐候性の高い硬化塗膜を形成することができる。
本実施形態に係る塗料組成物の固形分における(メタ)アクリル樹脂(d1)の含有量は、30〜70質量%であることが好ましく、50〜60質量%であることがより好ましい。塗料組成物の固形分における(メタ)アクリル樹脂(d)の含有量が、30質量%未満の場合、形成される塗膜の耐候性が低下し、黄変しやすくなる傾向にある。塗料組成物の固形分における(メタ)アクリル樹脂(d1)の含有量が、70質量%よりも高い場合、相対的に架橋性シリル基の量が大きくなるので、得られる塗料組成物の貯蔵安定性が低下しやすくなる傾向にある。(メタ)アクリル樹脂(d1)として、具体的には、TAポリマーSA120S、TAポリマーSA110S、TAポリマーSA100S(以上、株式会社カネカ製)、ARUFON US−66170、ARUFON US−6170(以上、東亞合成株式会社製)等を挙げることができる。
本実施形態に係るシランカップリング剤(e1)は、塗料組成物が塗膜を形成する際に、(メタ)アクリル樹脂(d1)の重合体と、エポキシ樹脂(a)及び変性脂肪族アミン化合物(b)の反応物との相溶性を高め、形成される塗膜の強度を更に向上させる。
シランカップリング剤(e1)としては、アミノ基含有シランカップリング剤及びエポキシ基含有シランカップリング剤の少なくとも一方を含有することが好ましい。アミノ基含有シランカップリング剤を用いた場合には、アミノ基含有シランカップリング剤のアミノ基がエポキシ樹脂(a)のエポキシ基と反応し、アミノ基含有シランカップリング剤に由来するシラノール基が(メタ)アクリル樹脂(d1)の架橋性シリル基と反応する。エポキシ基含有シランカップリング剤を用いた場合には、エポキシ基含有シランカップリング剤のエポキシ基が変性脂肪族アミン化合物(b)のアミノ基と反応し、エポキシ基含有シランカップリング剤に由来するシラノール基が(メタ)アクリル樹脂(d1)の架橋性シリル基と反応する。このような反応によって、(メタ)アクリル樹脂(d1)の重合体と、エポキシ樹脂(a)及び変性脂肪族アミン化合物(b)の反応物とが架橋され、形成される塗膜の強度が更に向上する。
アミノ基含有シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
アミノ基含有シランカップリング剤の具体例としては、KBE−903(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、KBM−602(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)及びKBM−603(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)(以上、全て信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。
エポキシ基含有シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
エポキシ基含有シランカップリング剤の具体例としては、KBM−403(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、KBE−403(3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)、KBE−402(3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン)、KBM−303(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)、KBM−402(3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン)(以上、全て信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。
本実施形態に係る塗料組成物の固形分におけるシランカップリング剤(e1)の含有量は、0.1〜20質量%であることが好ましい。塗料組成物の固形分におけるシランカップリング剤(e)の含有量が、0.1質量%未満の場合、形成される塗膜の透明性が低下する傾向にある。塗料組成物の固形分におけるシランカップリング剤(e1)の含有量が、20質量%を超える場合、塗料組成物の硬化性が低下する傾向にある。
本実施形態に係る塗料組成物は、その機能を阻害しない範囲内で、必要に応じて上記成分以外の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、粘性調整剤、縮合触媒、紫外線吸収性化合物、酸化防止剤、硬化性調整剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、有色粒子、消泡剤、発泡剤、防蟻剤、防かび剤等が挙げられる。
本実施形態に係る中塗塗料組成物及び上塗塗料組成物は、エポキシ樹脂(a)を含有する主剤と変性脂肪族アミン化合物(b)を含有する硬化剤とを含む二液混合形の塗料組成物である。二液混合形塗料組成物であることで、塗り替えを実施する現場での作業性が向上する。
なお、上塗塗料組成物において、シランカップリング剤(e1)は、シランカップリング剤の有する官能基の種類に応じて、主剤と硬化剤の一方に適宜配合される。具体的には、シランカップリング剤(e1)としてエポキシ含有シランカップリング剤を用いる場合、変性脂肪族アミン化合物(b)とシランカップリング剤(e1)とが硬化剤中で反応してしまうのを避けるために、シランカップリング剤(e1)は主剤に配合される。一方、シランカップリング剤(e1)としてアミノ基含有シランカップリング剤を用いる場合、エポキシ樹脂(a)とシランカップリング剤(e1)とが主剤中で反応してしまうのを避けるため、シランカップリング剤(e1)は硬化剤に配合される。
上記二液混合形の塗料組成物における、主剤及び硬化剤の調製方法としては、特別の方法を必要とせず、当業者において通常用いられる方法を使用することができる。
例えば主剤の調製方法としては、樹脂ビヒクル成分、すなわち、架橋性シリル基を少なくとも1個を有する(メタ)アクリル樹脂(d1)とエポキシ樹脂(a)を予めワニスにしたものに、上記添加剤等のその他の成分を混入し、ディスパー、ボールミル、S.G.ミル、ロールミル等の分散機で分散することにより調製する方法を挙げることができる。
また、例えば硬化剤の調製方法としては、変性脂肪族アミン化合物(b)と、シランカップリング剤(e1)と、更に必要に応じて有機溶媒を混入し、ディスパー、ボールミル、S.G.ミル、ロールミル等の分散機で分散することにより調製する方法を挙げることができる。
<下塗層、中塗層、上塗層の形成>
本実施形態に係る下塗層、中塗層及び上塗層は、それぞれ混合工程と、塗装工程と、硬化工程と、を有する。なお、下塗工程において一液形塗料を用いる場合、混合工程は有さない。
混合工程では、上記実施形態における主剤及び硬化剤を混合して混合塗料組成物(塗料組成物)を得る。
混合工程における上記二液混合形の塗料組成物の主剤及び硬化剤の混合方法は特に限定されない。混合方法としては、主剤及び硬化剤を配合し、ハンドミキサーやスタティックミキサーで混合する方法が挙げられる。
主剤及び硬化剤の配合比は、全固形分換算で70/30〜90/10とすることが好ましい。このような配合比とすることで、塗膜の形成が円滑に進行する。
なお、主剤及び硬化剤以外の第三成分を必要に応じて添加してもよい。
本実施形態において、塗料組成物の全固形分濃度は、80〜100質量%であることが好ましい。塗料組成物の全固形分濃度が、80質量%未満であると、混合塗料組成物の構造粘性が低下する傾向にある。また、塗料組成物が(メタ)アクリル樹脂(d1)を含有する場合には、(メタ)アクリル樹脂(d1)のシリル基と反応する官能基を有さない有機溶剤を、混合塗料組成物に添加して、適正な粘度に調整することも可能である。その具体例としては、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、キシレン等が挙げられる。
塗装工程では、各塗料組成物を、コテ又はローラーを用いて、硬化後の合計複層膜厚(目標乾燥膜厚)が300μm〜1,500μmとなるように、コンクリート構造物の表面に塗装する。本実施形態において、コテ又はローラーを用いて手塗りによって塗装するので、コンクリート構造物の設置された現場においても簡便に作業を行うことができる。本実施形態では、下塗塗料組成物の塗装工程においては刷毛又はローラーを用い、中塗塗料組成物及び上塗塗料組成物の塗装工程においてはコテを用いることが好ましい。
塗装工程において、各塗料組成物を、硬化後の合計膜厚が300μm未満となるように塗装した場合、コンクリート構造物の防食及び保護効果が低くなってしまう。一方、混合塗料組成物を、硬化後の膜厚が1,500μmを超えるように塗装した場合、塗膜の形成のために使用する塗料組成物の量が多くなるのでコストが高くなる上に、塗膜の透明性が低下する。更に、垂直面において塗料流れ(ダレ)が生じるため、塗装作業性が著しく低下する。硬化後の合計膜厚が700μm〜1,300μmとなるように塗装することがより好ましい。
硬化工程では、コンクリート構造物の表面に塗装された各塗料組成物を硬化させて透明塗膜を形成させる。硬化工程における、混合塗料組成物の硬化方法は特に限定されないが、通常コンクリート構造物は屋外に設置されているので、自然条件で放置することにより塗膜を形成させる。
本実施形態においては、下塗塗料組成物の塗装及び硬化を行うことで下塗層を形成し、その後更に中塗塗料組成物の塗装及び硬化を行うことで中塗層を形成し、その後更に上塗塗料組成物の塗装及び硬化を行うことで上塗層を形成して複層塗膜を形成する。
また、本実施形態においては、複層塗膜形成前の前記コンクリート基材表面上のL値と、基材表面上に複層塗膜を形成した後の複層塗膜表面上のL値との差(△L)が−2.0〜4.0となるように、複層塗膜を形成する。△Lが上記範囲内にあることで、コンクリート表面に生じた亀裂や膨れ及び欠損等を、複層塗膜形成後であっても目視で発見することが容易となる。△Lが4.0を超えると白色度が増して複層塗膜がコンクリート基材を隠ぺいしてしまい、基材表面に生じた亀裂や膨れ及び欠損等の状態を目視で判定することが困難になる。また、△Lが−2.0を超えると、基材表面が濡れ色になる現象が生じるため、基材表面に生じた亀裂や膨れ及び欠損等の状態を目視で確認することが困難になる。△Lは、−0.5〜2.0の範囲内であることがより好ましい。
本実施形態に係る複層塗膜は、予防保全をする目的で、建造直後のコンクリート構造物に対して適用してもよいし、補修をする目的で、既に亀裂の入ってしまったコンクリート構造物に対して適用してもよい。また、工場等で予め製造されたいわゆるプレキャストコンクリート製品に適用してもよい。
上記の塗料組成物を用いて形成され且つ硬化後の膜厚が1,000μmである複層塗膜の酸素透過度は、0.05mg/(cm2・day)以下である。硬化後の膜厚が1000μmである複層塗膜の酸素透過度が0.05mg/(cm2・day)を超える場合、無機粒子(c1)の含有量が多くなるので形成される塗膜の透明性が損なわれる。
酸素透過度の測定は、製科研式フィルム酸素透過率計を用いて行うことができる。
上記の塗料組成物を用いて形成され且つ硬化後の膜厚が300μmである複層塗膜の隠ぺい率は、45%以下である。硬化後の膜厚が300μmである複層塗膜の隠ぺい率が45%を超える場合には、塗膜の透明性が損なわれるので、コンクリート構造物の表面の状態を観察するのが困難になる。なお、硬化後の膜厚が300μmである塗膜の隠ぺい率は5〜45%であることが好ましい。硬化後の膜厚が300μmである塗膜の隠ぺい率が5%未満である場合には、実質的に無機粒子(c1)の配合量が少なくなるため、塗膜の酸素透過度が大きくなる傾向にある。
塗膜の隠ぺい率は以下のような方法で求めることができる。
まず、JIS K 5600−4−1 (b)に準拠した、塗料の一般的な試験方法に用いる隠ぺい率試験紙(日本テストパネル株式会社製)に、塗料組成物を塗装する。次いで、23℃で7日間室温放置した試験体について、色彩色差計(コニカミノルタ社製、CR―400)を用いて、白色部(Y)と黒色部(Y)における三刺激値Yを測定し、隠ぺい率Y/Yを百分率で算出する。
なお、本実施形態における透明塗膜の「透明」とは、塗膜を介して一方の側から、他方側の状態や物体を認識できるものであればよく、他方側が鮮明に認識できることを必要とするものではない。透明塗膜は、それを介して一方側から他方側の物体の状態を視認できるものであれば、着色していてもよいし、濁っていてもよい。
以上、本実施形態における複層塗膜によれば、以下の効果が奏される。
(1)本実施形態の下塗層は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、又はこれらの樹脂の変性組成物のうち少なくともいずれか1種を含む下塗塗料組成物により形成するものであるため、下塗層の形成によってコンクリート表面が濡れ色とならない。また、基材表面上のL値と、コンクリート基材表面上に複層塗膜を形成した後の複層塗膜表面上のL値との差が−2.0〜4.0、好ましくは−0.5〜2.0となるように複層塗膜が形成されるため、コンクリート基材表面が濡れ色とならず、良好な視認性が確保される。
(2)本実施形態の複層塗膜は、膜厚が300μm〜1,500μm、好ましくは700μm〜1,300μmとなるように形成されるため、コンクリート基材の保護効果を維持しつつ、十分な透明性が得られる。
(3)本実施形態の上塗層は、芳香環を有さないエポキシ樹脂(a1)と、変性脂肪族アミン化合物(b1)と、扁平状の無機粒子(c1)と、好ましくは架橋性シリル基を少なくとも1個有する(メタ)アクリル樹脂(d1)と、シランカップリング剤(e1)と、を更に含む上塗塗料組成物により形成されるため、上塗層は良好な酸素遮断性及び透明性を有する。
(4)本実施形態の上塗層に用いられる無機粒子(c1)の平均アスペクト比は、20〜1,000であるため、形成される上塗層はより良好な酸素遮断性及び透明性を有する。
(5)本実施形態の中塗層は、芳香環を有さないエポキシ樹脂(a2)と、変性脂肪族アミン化合物(b2)と、を含む中塗塗料組成物により形成されるため、形成される中塗層は良好な透明性を有する。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[実施例1〜27、比較例1〜3、参考例1〜4]
下塗塗料組成物として、それぞれ表1に示す樹脂を水系樹脂(例えばVONCOAT 40−418EF(DIC社製))であれば希釈液として水を、溶剤系樹脂であればキシレンを用いて、樹脂:希釈液=1:1にて希釈し、卓上ディスパーで十分に攪拌したものを用いた。
エポキシ樹脂(a2)としてのエポライト4000(共栄社化学株式会社製)を、それぞれ表1に示した固形分含有量(単位:質量部)用いた。更に、キシレンを添加して全体の固形分濃度が90質量%となるように調整して、卓上ディスパーで十分に攪拌することで中塗塗料組成物の主剤を得た。
変性脂肪族アミン化合物(b2)としてのトーマイド225X(株式会社T&K TOKA製)に、キシレンを添加することで固形分濃度が90質量%となるように調整して、卓上ディスパーで十分に攪拌することで中塗塗料組成物の硬化剤を得た。
エポキシ樹脂(a1)としてのエポライト4000(共栄社化学株式会社製)と、無機粒子(c1)としてのRCF−600(ガラスフレーク、平均アスペクト比120、日本板硝子社製)とを、それぞれ表1に示した固形分含有量(単位:質量部)となるように配合した。更に、キシレンを添加して全体の固形分濃度が90質量%となるように調整して、卓上ディスパーで十分に攪拌することで上塗塗料組成物の主剤を得た。
変性脂肪族アミン化合物(b1)としてのトーマイド225X(株式会社T&K TOKA製)に、キシレンを添加することで固形分濃度が90質量%となるように調整して、卓上ディスパーで十分に攪拌することで上塗塗料組成物の硬化剤を得た。
なお、実施例9〜11においてはシランカップリング剤(e1)を表1に示した固形分含有量(単位:質量部)となるように更に配合した。シランカップリング剤(e1)のうち、アミノ基含有シランカップリング剤は硬化剤に配合し、エポキシ基含有シランカップリング剤は主剤に配合した。
Figure 0006704228
実施例及び比較例及び参考例においては、エポキシ樹脂(a)として、エポライト4000(共栄社化学株式会社製)、ST−3000(新日鉄住金化学株式会社製)を用いた。また、芳香族部分を含むエポキシ樹脂として、エピコート1001 X75(ジャパンエポキシレジン株式会社製)を用いた。また、(メタ)アクリル樹脂(d1)として、TAポリマーSA120S(株式会社カネカ製)、を用いた。また、変性脂肪族アミン化合物(b)として、フジキュアー5420F(株式会社T&K TOKA製)を用いた。また、変性芳香族アミン化合物として、JERキュアW(三菱化学株式会社社製)を用いた。また、無機粒子(c1)として、ガラスフレークA(RCF−600、平均アスペクト比120、平均厚さ5μm、粒子径150〜1,700μmの成分が占める割合が80%以上)、ガラスフレークB(RCF−2300、平均アスペクト比150、平均厚さ2μm、粒子径150〜1,700μmの成分が占める割合が85%以下)、ガラスフレークC(RCF−160、平均アスペクト比32、平均厚さ5μm、粒子径45〜300μmの成分が占める割合が65%以上)、ガラスフレークD(RCF−015、平均アスペクト比3、平均厚さ5μm、粒子径45μm以下の成分が占める割合が88%以上)(以上、全て日本板硝子株式会社製)、を用いた。また、二酸化チタン(TI−PURE R−706、デュポン社製)を用いた。また、シランカップリング剤(e1)として、KBM−602(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)、KBM−603(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、KBM−402(3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン)を用いた。
続いて、表1中の実施例1〜27及び比較例1〜3及び参考例1〜4に記載された各塗料組成物(主剤及び硬化剤を混合した試験塗液)を用い、以下の方法で複層塗膜を作成した。
縦70mm×横70mm×厚み20mmのモルタル板(ISO準拠,日本テストパネル株式会社製)に、実施例1〜27及び比較例1〜3及び参考例1〜4で得られた混合塗料組成物(試験塗液)を、複層膜厚が目標となる乾燥膜厚となるように、下塗層は刷毛、中塗層及び上塗層はコテにて塗装した。また、それぞれの層の塗装間隔を1日として塗装した。
実施例1〜5、12〜14、17〜27、参考例1〜4及び比較例1〜3の混合塗料組成物によって得られた硬化後の複層塗膜の膜厚は表1に示したように1000μmであった。
実施例6〜11、15及び16の混合塗料組成物によって得られた硬化後の複層塗膜の膜厚は、表1に示したように350μm、1450μm、650μm、750μm、1250μm、1350μm、250μm、1600μmであった。
上記方法で得られた塗料組成物又は形成した複層塗膜を用いて下記の評価を行った。結果を表1に示す。
<濡れ色評価(△L、目視)>
複層塗膜が形成された試験体を、23℃で7日間室温養生、及び、5℃で7日間室温養生したのち、それぞれの試験体の濡れ色をL*a*b*表色系における明度の差(△L値)により評価した。
具体的には、塗膜形成前の基材表面(非塗装部分)のL値(Y0)と、塗膜形成後の基材表面(複層塗膜表面)上のL値(Y1)を測定し、塗膜形成前L値と塗膜形成後L値との差を求めることにより△Lを算出した(△L=Y1−Y0)。明度(L値)測定には色彩色差計(コニカミノルタ社製、CR―400)を用いた。
△Lが−2.0〜4.0の範囲内にあるものはコンクリート基材表面が濡れ色とならず、良好な視認性が確保されるため合格とした。
<塗装時の隠ぺい率(塗膜の透明性)>
JIS K 5600−4−1 (b)に準拠した、塗料の一般的な試験方法に用いる隠ぺい率試験紙(日本テストパネル株式会社製)に、実施例1〜27及び比較例1〜3及び参考例1〜4で得られた混合塗料組成物(試験塗液)を、ローラー及びコテにて塗装した。なお、塗装する混合塗料組成物の量は、複層塗膜の乾燥膜厚(硬化後の膜厚)がそれぞれ表1に示す膜厚となる量とした。
次いで、23℃で7日間室温放置することで複層塗膜を形成させた試験体について、色彩色差計(コニカミノルタ社製、CR―400)を用いて、白色部(YW)と黒色部(YB)における三刺激値Yを測定し、隠ぺい率YB/YWを百分率で算出した。当該隠ぺい率の結果を塗膜の透明性として評価した。結果を表1に示す。
YB/YWの値が小さいほど塗膜の透明性が高い。YB/YWは、55以下が好ましく、45以下がより好ましい。一方、YB/YWが55を超える塗膜は透明性が不良で、コンクリート構造物の表面の状態の変化(亀裂の発生等)を目視で観察することが困難である。
<酸素透過度>
テフロン(登録商標)板上に離型紙を敷き、実施例1〜27及び比較例1〜3及び参考例1〜4で得られた混合塗料組成物を複層塗膜の乾燥膜厚(硬化後の膜厚)がそれぞれ表1に示す膜厚となるよう塗装し、乾燥後、離型紙を剥がすことで遊離塗膜を得た。上記遊離塗膜は塗装後、28日間、温度23℃、相対湿度50%で養生した。酸素透過度の測定は、製科研式フィルム酸素透過率計を用いて、下記の手順で行なった。算出された酸素透過度を表1に示す。
1.遊離塗膜の表面側に白金電極(陰極)を密着させた。
2.電極セル中に0.5N塩化カルシウム溶液を5mL入れた電極を、蒸留水を満たしたビーカーの中に入れた。
3.蒸留水を満たしたビーカーの中へ電極を入れた。
4.蒸留水中に窒素ガスを200mL/minの流速で吹き込み、酸素ガスを完全に追い出すことで記録計電流を安定させた後、記録計のゼロ点を合わせた。
5.蒸留水中に酸素ガスを200mL/minの流速で吹き込み、酸素の透過量が一定となった時の電流値を読み取り、酸素透過度(単位:mg/(cm2・day))を算出した。
<ひび割れ視認性(ひび割れ目視評価)>
40mm×120mm×10mmのU溝ありモルタル板(ISO準拠,日本テストパネル株式会社製)をU字に沿って1/2に切断した。次いで、1/2に割った板を鋼あるいはステンレス板上で突合せ、側面全周を粘着テープで巻いて固定し試験体を作成した。これらの試験体に実施例1〜27及び比較例1〜3及び参考例1〜4で得られた混合塗料組成物を複層塗膜の乾燥膜厚(硬化後の膜厚)がそれぞれ表1に示す膜厚となるよう塗装した。塗膜乾燥後、サンプル表面を以下の基準に従って目視により評価した。塗装後、コンクリート躯体の表面素地を目視で確認するためには、下記評価が2以上である必要がある。容易に目視点検を行うためには3であることが好ましく、4であることが更に好ましい。1となると、コンクリート構造物の表面の状態の変化(亀裂の発生等)を目視で観察することが困難となる。従って2以上を合格とした。結果を表1に示す。
(評価基準)
4:無塗装の時と同様に容易に素地、ひびを目視できる。
3:完全に透明ではないが、容易に素地、ひびを目視できる。
2:塗膜による隠ぺいは多少発生するが、素地、ひびを目視できる。
1:塗膜の隠ぺい、プライマー塗装後の濡れ色によって、素地、ひびの目視が非常に困難。
<耐候性試験(色差)>
試験板(70mm×70mm×20mmのモルタル、水:セメント:砂=0.6:1:2)に、実施例1〜27及び比較例1〜3及び参考例1〜4で得られた混合塗料組成物(試験塗液)を、コテにて塗装した。なお、塗装する混合塗料組成物の量は、表1に記載された目標となる乾燥膜厚(硬化後の膜厚)となる量とした。続いて、試験板表面の塗膜にスーパーUV試験機(アイスーパーテスターSUV−W151、岩崎電気株式会社製)を用いて、波長295〜450nm、照度100mW/cm、ブラックパネル温度63±3℃の紫外線を、光源から240nmの距離で照射した。紫外線の照射4時間、結露(イオン交換水シャワーリング)4時間、休止0.1時間のサイクルを、紫外線の照射時間が合計100時間となるまで繰り返した。紫外線を100時間照射した後の、塗膜の黄変度を確認した。
黄変度は、JIS K 5600 4−1 B法に準拠した隠ぺい率試験紙の白色部に塗膜をあわせ、b値をJIS K 7105(2004年度)にしたがって反射法で測定し、反射前のb値と反射後のb値との差(色差Δb)を求めた。結果を表1に示す。Δbが25未満を合格とした。その中でも20未満が好ましく、10未満であることがより好ましい。
実施例1〜27と、比較例1、2との比較から、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、又はウレア樹脂を下塗層に用いた実施例1〜27の複層塗膜は、これらの樹脂を下塗層に用いていない比較例1、2の複層塗膜よりも、複層塗膜形成後の△L値を−2.0〜4.0の範囲内とする、すなわち基材が濡れ色とならないようにするために好ましいことが確認された。
また、実施例1〜27と、比較例1〜3との比較から、実施例1〜27の複層塗膜の方が、比較例1〜3の複層塗膜よりも複層塗膜形成後の基材の視認性が良いことが分かった。この結果から、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、又はウレア樹脂を下塗塗料組成物に含有させ、且つ複層塗膜形成後の△L値を−2.0〜4.0の範囲内とすることで、複層塗膜形成後の基材の視認性が良くなることが確認された。
実施例1と、参考例1との比較から、実施例1の塗料組成物の方が、参考例1の塗料組成物よりも形成される塗膜の耐候性が高いことが分かった。この結果から、エポキシ樹脂として芳香環を有さないエポキシ樹脂を上塗塗料組成物に含有させることで、形成される塗膜の耐候性が向上することが確認された。
実施例1と、参考例2との比較から、実施例1の塗料組成物の方が、参考例2の塗料組成物よりも形成される塗膜の耐候性が高いことが分かった。この結果から、アミン化合物として変性脂肪族アミン化合物を上塗塗料組成物に含有させることで、形成される塗膜の耐候性が向上することが確認された。
実施例1と、実施例23との比較から、実施例1の塗料組成物の方が、実施例23の塗料組成物よりも形成される塗膜の酸素遮断性が高いことが分かった。この結果から、特定のアスペクト比(20〜1,000)を有する無機粒子を上塗塗料組成物に含有させることで、形成される塗膜の酸素遮断性が向上することが確認された。
実施例1と、参考例3との比較から、実施例1の塗料組成物の方が、参考例3の塗料組成物よりも形成される塗膜の耐候性が高いことが分かった。この結果から、エポキシ樹脂として芳香環を有さないエポキシ樹脂を中塗塗料組成物に含有させることで、形成される塗膜の耐候性が向上することが確認された。
実施例1と、参考例4との比較から、実施例1の塗料組成物の方が、参考例4の塗料組成物よりも形成される塗膜の耐候性が高いことが分かった。この結果から、アミン化合物として変性脂肪族アミン化合物を中塗塗料組成物に含有させることで、形成される塗膜の耐候性が向上することが確認された。
更に、膜厚の異なる塗膜を形成した実施例6と実施例15との比較から、実施例6の塗料組成物を用いて形成された膜厚が350μmの塗膜は、実施例15の塗料組成物を用いて形成された膜厚が250μmの塗膜よりも酸素遮断性が高いことが分かった。
一方、膜厚の異なる塗膜を形成した実施例7実施例16との比較から、実施例7の塗料組成物を用いて形成された膜厚が1,450μmの塗膜は、実施例16の塗料組成物を用いて形成された膜厚が1,600μmの塗膜よりも隠ぺい率が低いことが分かった。
これらの結果から、コンクリート構造物の表面に本実施形態に係る塗料組成物を塗布する場合には、硬化後の膜厚を300μm〜1,500μmとすることで、高い透明性及び酸素遮断性を備えた塗膜を形成できることが確認された。

Claims (5)

  1. コンクリート基材の表面に形成された透明な複層塗膜であって、
    アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂及びこれらの樹脂の変性物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む下塗塗料組成物により形成された下塗層と、
    中塗塗料組成物により形成された中塗層と、
    上塗塗料組成物により形成された上塗層と、を含み、
    前記上塗塗料組成物は、芳香環を有さないエポキシ樹脂(a1)と、変性脂肪族アミン化合物(b1)と、扁平状の無機粒子(c1)と、を含み、
    前記複層塗膜を形成する前の前記コンクリート基材表面のL値と、前記複層塗膜表面のL値との差が−2.0〜4.0であ複層塗膜。
  2. 前記複層塗膜の膜厚が300μm〜1,500μmである請求項1に記載の複層塗膜。
  3. 前記上塗塗料組成物は、架橋性シリル基を少なくとも1個有する(メタ)アクリル樹脂(d1)と、シランカップリング剤(e1)と、を更に含む請求項に記載の複層塗膜。
  4. 前記無機粒子(c1)は、マイカ及びガラスフレークの少なくとも一方からなり、
    前記無機粒子(c1)の平均アスペクト比は、20〜1,000である請求項又は3に記載の複層塗膜。
  5. 前記中塗塗料組成物は、芳香環を有さないエポキシ樹脂(a2)と、変性脂肪族アミン化合物(b2)と、を含む請求項1から4いずれかに記載の複層塗膜。
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