JP2023094859A - 外壁タイル剥落防止構造及び外壁タイル剥落防止工法 - Google Patents

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Atsushi Miyata
拓弥 川島
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Abstract

【課題】建築物に貼付けられたタイルの意匠性を損なうことなく剥落を防止する外壁タイル剥落防止構造、及び外壁タイル剥落防止工法を提供する。【解決手段】外壁タイル3面又は目地7にアンカーピン4を打ち込んでアンカーピン4をコンクリート躯体1に固着し、該アンカーピン4の頭部4b及び外壁タイル3面及び目地7に、シリコンアクリル樹脂プライマーを塗付して透明プライマー層8を形成し、無黄変イソシアネートプレポリマーと、第2級アミノ基のみを有する脂環式ポリアミンと、親水性微粉シリカと、レオロジーコントロール剤と、光安定剤と、紫外線吸収剤と、1分子中にケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物と、を含む透明なポリウレア樹脂塗材を塗付して透明補強層9を形成し、アクリルシリコン樹脂塗材を塗付して透明保護層10を形成した外壁タイル剥落防止構造20である。【選択図】図1

Description

本発明は、既存の建築物に施工された外壁タイルの意匠性を損なうことなく、該外壁タイルが地震等の振動や接着層の経年劣化により躯体から剥離して地上等に落下することを防止する外壁タイル剥落防止構造及び外壁タイル剥落防止工法に関する。
従来、コンクリート建築物には、コンクリートの中性化の効果的防止や、意匠性の付与等を目的としてコンクリート外皮面にタイルを貼り付ける場合がある。しかし、タイルのコンクリート外皮への貼り付けはセメントモルタルを主体とした貼付けモルタルを使用することが多いため、自動車の通行や地震、風による振動や貼付けモルタルの冷熱繰り返しや水分による経年劣化等により、タイルがコンクリート外皮より剥離して地上等に落下することがある。
これを防止するため、建築物用外壁の施工方法及びその外壁が提案されている(特許文献1)。該建築物用外壁の施工方法は、基礎外壁の表面にタイルを配設した建築物用外壁において、前記タイルの浮きによる剥離のある部位の表面に下地材としてのラテックスモルタルを薄く塗布し、その後、その表面にネットを配置し、次に該ネットの上から前記基礎外壁にピンを打ち込み、その頭部の周囲に広がる一枚のフランジで前記ネットを押えると共に、該ネットの面と前記ピンの頭部とを略面一にし、次いで、該ピンおよび前記ネットの上面に、該ネットおよび前記ピンがかくれるように、再度、ラテックスモルタルを塗布することを特徴とするものである。また、特許文献1のその外壁とは、基礎外壁の表面にタイルを配設した建築物用外壁において、前記タイルの表面にラテックスモルタルの薄い層を形成し、該ラテックスモルタルの上面にネットを配設すると共に、該配設したネットの複数箇所を、頭部に、周囲に広がる一枚のフランジを備えたピンによって押え、該ピンを前記基礎外壁に固定し、該ピンの頭部と前記ネットの面とを略面一に配置し、該ネットの上にラテックスモルタルの層を形成したことを特徴する建築物用外壁である。しかしながら、該建築物用外壁の施工方法及びその外壁は、タイル表面にラテックスモルタルを少なくとも2層塗布するため、意匠性を有するタイルがラテックスモルタルで覆われることになってタイルによって付与された意匠性が損なわれるという課題があり、またネットを捩れや弛みの無いように全面に配置する必要があるため、その施工が難しい、という課題があった。
また、既存外装タイル壁面の持つ色調や色合いの外観を残したまま、タイル片の剥落防止効果を効果的に付与し、意匠性を回復し、汚れ防止機能を付与し、防水性の強化を図ることが可能な、既存外装タイル壁面の補修方法が提案されている(特許文献2)。かかる既存外装タイル壁面の補修方法は、既存外装タイル壁面に透明性プライマーを塗付してプライマー層を形成し、該プライマー層に透明アクリル系樹脂エマルションを主成分とする主材塗料を複数回塗布して主材層を形成し、該主材層に透明性トップコート塗料を塗布してトップコート層を形成する既存外装タイル壁面の補修方法であって、前記主材塗料には、補強繊維が配合され、粘度が20000~70000mPa・sであり、チキソトロピー指数が4.0~10.0であることを特徴とする既存外装タイル壁面の補修方法である。しかしながら、該既存外装タイル壁面の補修方法は、透明アクリル系樹脂エマルションを主成分とする主材塗料を複数回塗布して主材層を形成するため、施工工程が多いという課題があり、また施工温度で造膜させることが必要な一液型のアクリル系樹脂エマルションを塗布するため、該アクリル系樹脂のガラス転移温度Tgは低く、建物の南面等で直射日光が当たる部位において補修面が50℃以上となる場合は、その温度における引張強度は低いものとなり、仮に塗布厚みが薄い部分があると、その部分では剥落しようとするタイルを十分に保持する剛性が不足する場合があるという課題がある。また補修面の温度上昇がない場合であっても、主材層は複数回塗布されたアクリル系樹脂エマルションが乾燥成膜した層であるため、初期の引張強度を高くすることは難しく、結果として長期間による紫外線の影響で、剥落状態にあるタイルを十分に保持する剛性が不足する場合があるという課題があった。
これらの課題を解決するため本出願人は、新たな外壁タイル剥落防止構造(特許文献3乃至特許文献6)を提案していて、例えば特許文献6における該外壁タイル剥落防止構造は、外壁タイル面または目地にアンカーピンを打ち込んでアンカーピンをコンクリート躯体に固着し、該アンカーピンの頭部及び外壁タイル面及び目地に、アミノ基含有アクリル樹脂とエポキシシランを含むシリコンアクリル樹脂プライマーを塗付して透明プライマー層を形成し、該透明プライマー層の上に、NCO重量%が5~10重量%の無黄変イソシアネートプレポリマーと脂環式ポリアミンと透明補強短繊維と親水性微粉シリカとレオロジーコントロール剤と光安定剤と紫外線吸収剤を含む透明なポリウレア樹脂塗材を塗付して透明補強層を形成し、該透明補強層の上に、光安定剤と紫外線吸収剤を含むアクリルシリコン樹脂塗材を塗付して透明保護層を形成したことを特徴とする外壁タイル剥落防止構造である。
特公平8-14182号公報 特開2007-247279号公報 特開2014-141817号公報 特開2015-227541号公報 特開2016-011529号公報 特開2016-030974号公報
しかしながら、特許文献3乃至特許文献6に係る外壁タイル剥落防止構造は、いずれも特許文献1及び特許文献2に係る課題を解決する優れた効果を有するものの、下地のタイル面または目地の表面状態が平滑でなく凹凸が激しい際等に透明補強層の厚みが局所的に一定以上となるなど、施工条件によっては局所的に白く曇った状態となる場合があり、その結果タイルの意匠性が損なわれる場合がある、という課題がある。
そこで本発明が解決しようとする課題は、下地のタイル面または目地の表面状態の影響を受けて透明補強層の厚みが局所的に厚くなる場合があっても、透明補強層に曇りが発生せず建築物のコンクリート外皮に貼付けられたタイルの意匠性を損なうことなく、該タイルの剥落を防止し、施工工程数が従来よりも少なく、また透明補強層の初期の強度を高くすることによって、建築物の外壁面の温度が上昇したり、紫外線により透明補強層の劣化が生じたりした場合であっても、十分にタイルの剥落を防止することができる外壁タイル剥落防止構造、及び外壁タイル剥落防止工法を提供することにある。
上記課題を解決するために請求項1記載の発明は、外壁タイル面または目地にアンカーピンを打ち込んでアンカーピンをコンクリート躯体に固着し、
該アンカーピンの頭部、外壁タイル面、及び目地に、アミン価が10~50mgKOH/gであってガラス転移温度が10℃以上50℃未満のアミノ基含有アクリル樹脂と、エポキシシランと、を含むシリコンアクリル樹脂プライマーを塗付して透明プライマー層を形成し、
該透明プライマー層の上に、無黄変イソシアネートプレポリマーと、第2級アミノ基のみを有する脂環式ポリアミンと、親水性微粉シリカと、レオロジーコントロール剤と、光安定剤と、紫外線吸収剤と、1分子中にケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物と、を含む透明なポリウレア樹脂塗材を塗付して透明補強層を形成し、
該透明補強層の上に、光安定剤と、紫外線吸収剤と、を含むアクリルシリコン樹脂塗材を塗付して透明保護層を形成したことを特徴とする外壁タイル剥落防止構造を提供する。
請求項2記載の発明は、1分子中にケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物は、1分子中1個のケイ素原子を有し、ケイ素原子にアルコキシ基が2個以上結合している化合物であることを特徴とする請求項1記載の外壁タイル剥落防止構造を提供する。
請求項3記載の発明は、光安定剤はヒンダードアミン系光安定剤であり、紫外線吸収剤はヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の外壁タイル剥落防止構造を提供する。
請求項4記載の発明は、脂環式ポリアミンは式I:
Figure 2023094859000002

(式中Xはイソシアネート基に対して不活性であり、脂環式炭化水素に結合したm個の第1級アミノ基を含む数平均分子量88~400の有機ポリアミンから第1級アミノ基を除去することにより得られるm価基であり、R及びRは同一または異なっていて、炭素原子数1~18の有機基であり、mは少なくとも2の整数である)で表される1種以上のポリアミンであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の外壁タイル剥落防止構造を提供する。
請求項5記載の発明は、外壁タイル面または目地にアンカーピンを打ち込んでアンカーピンをコンクリート躯体に固着し、
該アンカーピンの頭部、外壁タイル面、及び目地に、アミン価が10~50mgKOH/gであってガラス転移温度が10℃以上50℃未満のアミノ基含有アクリル樹脂とエポキシシランと、を含むシリコンアクリル樹脂プライマーを塗付して透明プライマー層を形成し、
該透明プライマー層の上に、無黄変イソシアネートプレポリマーと、第2級アミノ基のみを有する脂環式ポリアミンと、親水性微粉シリカと、レオロジーコントロール剤と、光安定剤と、紫外線吸収剤と、1分子中にケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物と、を含む透明なポリウレア樹脂塗材を塗付して透明補強層を形成し、
該透明補強層の上に、光安定剤と、紫外線吸収剤と、を含むアクリルシリコン樹脂塗材を塗付して透明保護層を形成することを特徴とする外壁タイル剥落防止工法を提供する。
請求項6記載の発明は、1分子中にケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物は、1分子中1個のケイ素原子を有し、ケイ素原子にアルコキシ基が2個以上結合している化合物であることを特徴とする請求項5記載の外壁タイル剥落防止工法を提供する。
請求項7記載の発明は、光安定剤はヒンダードアミン系光安定剤であり、紫外線吸収剤はヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることを特徴とする請求項5または請求項6記載の外壁タイル剥落防止工法を提供する。
請求項8記載の発明は、脂環式ポリアミンは式I:
Figure 2023094859000003

(式中Xはイソシアネート基に対して不活性であり、脂環式炭化水素に結合したm個の第1級アミノ基を含む数平均分子量88~400の有機ポリアミンから第1級アミノ基を除去することにより得られるm価基であり、R及びRは同一または異なっていて、炭素原子数1~18の有機基であり、mは少なくとも2の整数である)で表される1種以上のポリアミンであることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか一つに記載の外壁タイル剥落防止工法を提供する。
本発明の請求項1乃至請求項4記載の外壁タイル剥落防止構造は、外壁タイル面または目地にアンカーピンを打ち込んでアンカーピンをコンクリート躯体に固着するため、外壁タイルは直接アンカーピンでコンクリート躯体に固定されるか目地を介してコンクリート躯体に固定される効果がある。また、アンカーピンの頭部、外壁タイル面、及び目地にアミノ基含有アクリル樹脂とエポキシシランを含むシリコンアクリル樹脂プライマーを塗付して透明プライマー層を形成し、該透明プライマー層の上には透明なポリウレア樹脂塗材が塗付されて透明補強層が形成されるため、透明補強層は透明プライマー層とアンカーピン頭部とアンカーピンを介してコンクリート躯体と一体化する効果がある。特に透明補強層を形成しているポリウレア樹脂塗材は従来のアクリル系樹脂エマルションと比較してより高強度であるため、壁面の温度が上昇して透明補強層の温度が上昇しても高い剛性を保持し、確実に外壁タイルの剥落を防止する効果がある。
また、透明補強層には1分子中にケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物を含むため、極微量な水分が透明補強層に含まれていても該水分は該シラン化合物によって安定的に取り除かれ、このため、透明補強層が下地の外壁タイル面及び目地の凹凸が激しい部分で局所的に塗膜厚が厚く塗付された状態となっても、塗膜中の微量水分によって微細な発泡が生じて塗膜に曇りが生じることが無く、外壁タイル面及び目地を透明補強層で覆った後も、建築物のコンクリート外皮に貼付けられたタイルの意匠性が損なわれることがないという効果がある。加えて、微細な発泡が生じることによる塗膜強度の低下がないという効果がある。
また、透明補強層を形成するポリウレア樹脂塗材は、無黄変イソシアネートと第2級アミノ基のみを有する脂環式ポリアミンの反応により成膜し、本発明で使用する脂環式ポリアミンは超速硬化である脂肪族アミンと比較して反応が遅いため鏝やローラー刷毛等で施工できるという効果がある。また、一般的に可使時間を確保するために使用される硬化反応が遅い芳香族アミンと比較して、硬化塗膜は黄変することが少ないという効果がある。
また、透明補強層の上にはアクリルシリコン樹脂塗材を塗付して形成された透明保護層を有し、透明補強層及び透明保護層に光安定剤及び紫外線吸収剤を含むため、該透明補強層と該透明保護層は紫外線等の劣化を受けにくく、長期にわたって強度の低下が少ないという効果があり、長期にわたって確実に外壁タイルの剥落を防止する効果がある。
また、タイルの上に施工される透明プライマー層、透明補強層、透明保護層はすべて透明であるため、意匠性を有する外壁タイルの該意匠性を保ったまま、外壁タイルの剥落を防止することができるという効果がある。
また、本発明の請求項5乃至請求項8記載の外壁タイル剥落防止工法は、上記請求項1記載の外壁タイル剥落防止構造が有する効果のほか、透明プライマー層上の透明補強層を形成する塗材は、無黄変イソシアネートプレポリマーと第2級アミノ基のみを有する脂環式ポリアミンから成るポリウレア樹脂塗材であるため、鏝やローラー刷毛等で施工できるという効果があり、また、硬化塗膜は黄変することが少ないという効果がある。
また、本発明の請求項2記載の外壁タイル剥落防止構造は、特に、請求項1記載の外壁タイル剥落防止構造の1分子中にケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物が、1分子中1個のケイ素原子を有し、ケイ素原子にアルコキシ基が2個以上結合している化合物であることにより、透明補強層中の極微量な水分をより効果的に取り除く効果がある。その結果、よりタイルの意匠性が損なわれることがないという効果がある。
また、本発明の請求項6記載の外壁タイル剥落防止工法は、特に、請求項5記載の外壁タイル剥落防止工法の1分子中にケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物が、1分子中1個のケイ素原子を有し、ケイ素原子にアルコキシ基が2個以上結合している化合物であることにより、透明補強層中の極微量な水分をより効果的に取り除く効果がある。その結果、よりタイルの意匠性が損なわれることがないという効果がある。
また、本発明の請求項3記載の外壁タイル剥落防止構造は、特に、請求項1または請求項2記載の外壁タイル剥落防止構造の光安定剤がヒンダードアミン系光安定剤であり、紫外線吸収剤はヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることにより、長期にわたって透明補強層及び透明保護層の黄変と強度低下を防止する効果がある。
また、本発明の請求項7記載の外壁タイル剥落防止工法は、特に、請求項5または請求項6記載の外壁タイル剥落防止工法の光安定剤がヒンダードアミン系光安定剤であり、紫外線吸収剤はヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることにより、長期にわたって透明補強層及び透明保護層の黄変と強度低下を防止する効果がある。
本発明に係る外壁タイル剥落防止構造の断面状態図である。
以下本発明について詳細に説明する。
図1は、請求項1乃至請求項4に記載の外壁タイル剥落防止構造20の断面状態図である。1は外壁タイルが貼り付けられているコンクリート建築物の外皮であるコンクリート躯体であり、該コンクリート躯体1には貼付モルタル2により外壁タイル3が貼り付けられている。外壁タイル3のタイル面の略中央部にはアンカーピン4が打ち込まれている。
アンカーピン4は、外壁タイル3と貼付モルタル2とコンクリート躯体1に連続して穿孔されたアンカー孔5に圧入され、アンカーピン4の螺子状の足部4aが貼付モルタル2とコンクリート躯体1部分にあるアンカー孔5に配設されている。該足部4aの周囲にはエポキシ樹脂接着剤6が充填されて固化することで、アンカーピン4はコンクリート躯体1に固着されている。
アンカーピン4には薄いフランジ状の頭部4bが形成され、該頭部4bのフランジ部分の裏側が外壁タイル3のタイル面と当接して外壁タイル3をコンクリート躯体1側に押さえるように固着保持している。
アンカーピン4の頭部4bと足部4aとの中間部分には、足部4aの軸径より太く頭部4bのフランジ径より細い径のタイル圧入部4cが形成され、該タイル圧入部4cには、複数の小さなフランジ4dが設けられていて、アンカー孔5にアンカーピン4を圧入することで該フランジ4dが変形し潰されることで外壁タイル3にアンカーピン4が固着されるように成っている。
アンカーピン4の頭部4b及び外壁タイル3のタイル面及び目地7には、シリコンアクリル樹脂プライマーが塗付されて透明プライマー層8が形成され、該透明プライマー層8の上には、ポリウレア樹脂塗材が塗付されて透明補強層9が形成されている。
透明補強層9の上には、アクリルシリコン樹脂塗材が塗付されて透明保護層10が形成されている。
請求項1乃至請求項4記載の外壁タイル剥落防止構造20は上記のように形成されているが、請求項5乃至請求項8記載の外壁タイル剥落防止工法は、該外壁タイル剥落防止構造20を形成するための施工方法に係る工法である。
次に、請求項1乃至請求項4記載の外壁タイル剥落防止構造及び請求項5乃至請求項8記載の外壁タイル剥落防止工法に使用されるシリコンアクリル樹脂プライマー、ポリウレア樹脂塗材、及びアクリルシリコン樹脂塗材について詳しく説明する。
<シリコンアクリル樹脂プライマー>
本願発明に使用される透明プライマー層を形成するシリコンアクリル樹脂プライマーの、アミノ基含有アクリル樹脂としては、主鎖または側鎖の一部がアミン変性されたアクリル樹脂を使用することが好ましい。アミン変性されたアクリル樹脂の酸価は1.0~10.0mgKOH/gであり、アミン価は10~50mgKOH/gであることが好ましい。アミン価が10mgKOH/g未満では、上層にくるポリウレア樹脂塗材との付着性が不十分となり、アミン価が50mgKOH/g超では硬化剤となるエポキシシランの配合量が増えてコスト高となる。尚、酸価とは、ポリマー(固形分)1g中のカルボキシル基とモル当量となる水酸化カリウムのミリグラム数の実測値を意味し、また、アミン価とは、ポリマー(固形分)1g中のアミノ基とモル当量となる水酸化カリウムのミリグラム数の実測値を意味する。
上記したアミノ基含有アクリル樹脂のガラス転移温度は、10℃以上50℃未満であることが好ましい。ガラス転移温度が10℃未満では耐熱性が不十分となって透明補強層や下地タイルの温度が夏季に高温になると接着性が低下し、50℃超ではタイルとの密着性が低下する。ここでいうガラス転移温度は、示差走査熱量計(Differential scanning calorimetry、DSC)を用いて、JIS K 7121-1987に準拠して測定された値を意味する。このような市販の樹脂としては、ACRYDIC A-9521(酸価:3mgKOH/g以下、アミン価:20mgKOH/g、ガラス転移温度:15℃、DIC株式会社製、商品名)がある。
また、本願発明に使用される透明プライマー層を形成するシリコンアクリル樹脂プライマーのアミノ基含有アクリル樹脂に併用して用いられるエポキシシランは、硬化剤として機能するものである。このようなエポキシシラン硬化剤のエポキシ当量は、固形分換算で210~740g/eqの範囲であることが好ましい。なお、エポキシ当量とは、官能基(エポキシ基)1個あたりのエポキシシランの分子量の理論値である。エポキシ当量が210未満では硬化反応が早くなって施工性が低下し、740超では耐熱性が不十分となって透明補強層や下地タイルの温度が夏季に高温になると接着性が低下する。このような市販のエポキシシランとしては、ACRYDICA-9585(エポキシ当量:560g/eq、DIC株式会社製、商品名)、ACRYDIC A-9585-BA(A-9585の溶剤のみを変更した製品、DIC株式会社製、商品名)、ACRYDICFZ-521(エポキシ当量:590g/eq、DIC株式会社製、商品名)、ACRYDIC FZ-523(エポキシ当量:680~740g/eq、DIC株式会社製、商品名)等がある。
アミノ基含有アクリル樹脂に対するエポキシシランの配合割合は、次のようにして決定する。まず、アミノ基含有アクリル樹脂1gに含まれるアミノ基の数を、上記アミン価(mg)と酸価(mg)の合計数(mg)をKOHの分子量(mg)で除して求め、次にエポキシシラン1gに含まれるエポキシ基の数を、該1gをエポキシ当量で除して求め、アミノ基数とエポキシ基数の比が1:1となるようにそれぞれのおおよその配合部数を決定する。その上で、下地とするタイルやアンカーピンに対する付着性及び本シリコンアクリル樹脂プライマーと後述の透明補強層との付着性を実験的に確認した上で最適なエポキシシランの配合重量部数を決定する。本発明では求められたエポキシシランの配合重量部数の50%~100%がアミノ基含有アクリル樹脂100重量部に対する配合部数として好ましい。
<ポリウレア樹脂塗材>
本願発明に使用される透明補強層を形成するポリウレア樹脂塗材は、無黄変イソシアネートプレポリマーと、第2級アミノ基のみを有する脂環式ポリアミンと、親水性微粉シリカと、レオロジーコントロール剤と、光安定剤と、紫外線吸収剤と、1分子中にケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物と、を含むことを特徴とする。
無黄変イソシアネートプレポリマーにはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族2官能イソシアネートや、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環式2官能イソシアネートや、4,4´―ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)や4,4´―メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水素添加MDI)等を多価アルコールでプレポリマー化したもの(アダクト体)や、環化三量体としたもの(イソシアヌレート体)を使用することができる。
無黄変イソシアネートプレポリマーのNCO重量%は、5~20重量%が好ましく、より好ましくは10~15重量%である。5重量%未満では塗膜強度が不十分となり、20重量%超では塗膜の伸びが低下する。10重量%未満では塗膜強度が不十分となる傾向があり、15重量%超では塗膜の伸びが低下する傾向があり、また、本材料を夏場に使用するときの可使時間が短くなる傾向がある。尚、NCO重量%は無黄変イソシアネートプレポリマーを単体で使用する際にはその無黄変イソシアネートプレポリマーのNCO重量%が、2つ以上を混合して使用する際にはその混合物のNCO重量%が前記範囲内であればよく、単体のNCO重量%が前記範囲外の無黄変イソシアネートプレポリマーを使用してもよい。市販の無黄変イソシアネートプレポリマーとしては、デュラネートTSE-100(HDI系イソシアヌレート体プレポリマー、粘度:1650mPa・s/25℃、NCO重量%:12.0%、重量平均分子量(Mw):7890、旭化成株式会社製、商品名)、デュラネートE402-100(HDI系アダクト体プレポリマー、粘度6000mPa・s/25℃、NCO重量%:8.5%、重量平均分子量(Mw):3970、旭化成株式会社製、商品名)、デュラネートTSA-100(HDI系イソシアヌレート体プレポリマー、粘度:500mPa・s/25℃、NCO重量%:20.6%、重量平均分子量(Mw):1360、旭化成株式会社製、商品名)等を使用することができる。
脂環式ポリアミンは、イソホロンジアミン等の少なくとも一つのアミノ基がシクロヘキサン環等に直接結合しているポリアミンであり、第1級アミノ基を含まない第2級アミノ基のみを有するアミンが使用される。重量平均分子量(Mw、理論値)は300~1000が好ましい。300未満では可使時間が短くなって施工性が不良となり、1000超では反応速度が低下し、指触乾燥までの時間および塗膜強度の立ち上がりが遅延する。第2級アミノ基のみを有する脂環式ポリアミンを使用することによって初めて、ポリウレア樹脂塗材を鏝やローラー刷毛等で塗付することが可能な可使時間を十分に確保することができ、さらには無黄変イソシアネートプレポリマーと組み合わせて使用することにより、硬化塗膜が紫外線で黄変することが無い。
脂環式ポリアミンは前記式Iで表され、X、R、R、mが上記のとおりの1種以上のポリアミンである。この脂環式ポリアミンはポリアスパラギン酸エステルまたはポリアスパルテートであり、mは2が好ましい。Xが炭素数6~30の2価の炭化水素基、たとえば4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(4,4’メチレンビス(シクロヘキシルアミン))、3,3’-ジメチルー4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(4,4’メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン))、1-アミノー3,3,5-トリメチルー5-アミノメチルシクロヘキサン、ヘキサヒドロ-(少なくとも2,4-ジアミノトルエンまたは2,6-ジアミノトルエンのいずれかを含む)、異性C-モノメチルジアミノジシクロヘキシルメタン及び3(4)-アミノメチルー1-メチルシクロヘキシルアミンから1級アミノ基を除去することにより得られる基を表すポリアスパラギン酸エステルを好適に使用することができる。特にはXが4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(4,4’メチレンビス(シクロヘキシルアミン))または3,3’-ジメチルー4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(4,4’メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン))から1級アミノ基を除くことにより得ることができる2価の炭化水素基を表す式Iの化合物がより好ましい。
式Iで表される脂環式ポリアミンはR及びRがメチル、エチル、n-ブチルまたは2-エチルヘキシルが好ましく、式X-(-NH)mで表される1級ポリアミンを式ROOC-CH=CH-COORで表されるマレイン酸エステルまたはフマル酸エステルと反応させることにより製造される。
4,4’メチレンビスシクロヘキシルアミン1モルをマレイン酸ジエチル2モルと反応させて得られる脂環式ポリアミンは、4,4’-メチレンビスシクロヘキシルアミン・マレイン酸ジエチル付加物として市場に供給され、その重量平均分子量(Mw)は548(理論値)、粘度2000mPa・s/23℃である。また、4,4’メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)1モルをマレイン酸ジエチル2モルと反応させて得られる脂環式ポリアミンは、4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)・マレイン酸ジエチル付加物として市場に供給され、その重量平均分子量(Mw)は578(理論値)、粘度;2000mPa・s/23℃である。
無黄変イソシアネートプレポリマーのNCO基と脂環式ポリアミンの活性水素基の当量比(NCO基/活性水素基)は0.8~1.2が好ましく、0.8未満では主剤と硬化剤を混合後の粘度上昇が速くなって可使時間が短くなる場合があり、1.2超では指触乾燥までの時間および塗膜強度の立ち上がりが遅延する場合がある。
無黄変イソシアネートプレポリマーと脂環式ポリアミンは、既に形成された透明プライマー層の上に該ポリウレア樹脂塗材を塗付する直前に十分に混合して使用する。
親水性微粉シリカは、非結晶性の微粉末の親水性ヒュームドシリカであり、BET法による比表面積は150~500m/gのものを使用することが出来る。比表面積が150m/g未満のものでは十分な揺変性が付与されず、500m/g超では透明補強層をローラー刷毛で塗付する際の作業性が低下する。また親水性微粉シリカのシラノール基密度は2SiOH/nm以上であることが望ましい。これらを満足する親水性微粉シリカとしては、HDK-N20(比表面積(BET法):170~230g/m、シラノール基密度:2SiOH/nm、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製、商品名)がある。
またレオロジーコントロール剤は、親水性微粉シリカの粒子表面のシラノール基と水素結合を形成し、該水素結合によりシリカ粒子と3次元構造を形成するフリーのOH基を有したチキソトロピック性促進剤であり、特にはポリヒドロキシカルボン酸アミドを好適に使用することが出来る。市販のレオロジーコントロール剤としては、BYK-405(ポリヒドロキシカルボン酸アミド含有量:51%、株式会社ビックケミー製、商品名)がある。
本願発明に係るポリウレア樹脂塗材は、さらに光安定剤と紫外線吸収剤を含むことにより、長期間紫外線に曝されても透明補強層の強度の低下が生じない。光安定剤にはヒンダードアミン系光安定剤を使用することができ、紫外線吸収剤にはヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を使用することができる。市販のヒンダードアミン系光安定剤としては、TINUVIN292(化学名;ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、BASF社製、商品名)が、市販のヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤としては、TINUVIN400(化学名;2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヒドロキシフェニルとオキシランとの反応生成物、BASF社製、商品名)が、市販のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、TINUVIN928(化学名;2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、BASF社製、商品名)がある。
また、ポリウレア樹脂塗材には、1分子中にケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物を含む。
1分子中にケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物は、1分子中1個のケイ素原子を有し、ケイ素原子にアルコキシ基が2個以上結合している化合物の他、1分子中2個以上のケイ素原子を有し、骨格がポリシロキサン骨格であり、ケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するオルガノポリシロキサン化合物のどちらであっても良いが、どちらかと言うと前者のシラン化合物が好ましい。
1分子中1個のケイ素原子を有し、ケイ素原子にアルコキシ基が2個以上結合しているシラン化合物としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランのようなジアルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランのようなトリアルコキシシラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロピルオキシシランの様なテトラアルコキシシラン;トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランの加水分解物;γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシランのような(メタ)アクリロキシアルキルトリアルコキシシランを挙げることが出来る。これらの中では入手の容易性、加水分解性等からビニルトリメトキシシランが好ましい。ビニルトリメトキシシランを使用した場合の配合量は、ポリウレア樹脂塗材全体100重量部中0.5重量部超5重量部未満が好ましいが、他のシラン化合物を使用する場合は、ポリウレア樹脂塗材が下地のタイル面、目地、及びアンカーピンの頭部に塗付され硬化した状態の透明補強層の、下地のタイル面の意匠性と塗付作業性からその配合量を決定することが出来る。
また、本発明におけるポリウレア樹脂塗材においては、シラノール縮合触媒を含まないことにより、下地タイルの意匠性が損なわれることをより防ぐことができる。該シラノール縮合触媒とは、例えばオクチル酸錫、ネオデカン酸錫、ナフテン酸錫、ステアリン酸錫、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジブチル錫ジオレイルマレート、ジブチル錫ジアセテート、1,1,3,3-テトラブチル-1,3-ジラウリルオキシカルボニル-ジスタノキサン、ジブチル錫オキシビスエトキシシリケート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫塩と正珪酸エチルとの反応生成物、ジブチル錫塩と正珪酸エチルとの反応生成物、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応生成物、ジブチル錫オキサイドとマレイン酸ジエステルとの反応生成物、ジブチル錫ジアセチルアセトナートなどの有機錫化合物が挙げられる。
シラノール縮合触媒が含まれると、上記シラン化合物が水分によって分解されて生成されるシラノール基同士を縮合させて再び水を生成することになり、該水の存在により透明補強層が部分的に白く曇った状態となり、下地のタイルの意匠性が損なわれる場合がある。
また、本発明におけるポリウレア樹脂塗材においては、補強短繊維を含まないことにより、下地タイルの意匠性が損なわれることをより防ぐことができる。該補強短繊維とは、例えば平均繊維長25~20000μm、繊維径1~150μmのビニロン、ナイロン、ガラス製の短繊維が挙げられ、市販品として例えば、ミルドファイバーEFDE-50-31(ガラス短繊維、平均繊維長:50μm、繊維径:6μm、表面処理:シラン系、セントラルグラスファイバー株式会社製、商品名)や、タフバインダー(ナイロン繊維、平均繊維長:3mm、平均繊維径:28μm、東レ・アムテック株式会社製、商品名)等がある。
補強短繊維が含まれると、施工現場にてポリウレア樹脂塗材の主剤と硬化剤を混合攪拌する際の具合は作業者によって異なるので、仮に巻き込み泡が多量に生じた場合には該補強短繊維が該泡を捉え、塗膜中に泡が残存することとなり、結果として透明補強層が白く曇った状態となり下地のタイルの意匠性が損なわれる場合がある。また、この場合には補強短繊維を含まない場合と比較して、塗膜中に泡が多量に残存するため塗膜強度が低くなる場合がある。加えて、補強短繊維を含むと夏場における可使時間の低減がより大きくなる場合がある。
<アクリルシリコン樹脂塗材>
本願発明に係る透明保護層を形成する際に使用されるアクリルシリコン樹脂塗材は、アルコキシシリル基を有するアクリルシリコンオリゴマーを主剤とし、硬化剤にスズ系の硬化触媒を使用することができ、既に形成された透明補強層の上に該アクリルシリコン樹脂塗材を塗付する直前に主剤と硬化剤を均一に混合してローラー刷毛等により塗付する。主剤のアルコキシシリル基は硬化剤のスズ系の硬化触媒により架橋されて安定なシロキサン結合を形成し、優れた耐久性を発現する。
アルコキシシリル基の含有量は、2重量%~30重量%が好ましい。2重量%未満では耐候性が低下し、30重量%超では粘度増加により作業性が低下する。市販のアルコキシシリル基を有するアクリルシリコンオリゴマーとしては、カネカゼムラックYC4383(シロキサン架橋形反応性ポリマー、粘度:4000mP・s/23℃、アルコキシリル基含有量:15重量%、株式会社カネカ製、商品名)がある。市販のスズ系の硬化触媒としては、カネカゼムラックBT405Z(有機錫化合物、有効錫含有量:1~2重量%、株式会社カネカ製、商品名)、カネカゼムラックZT406Z(有機錫化合物、有効錫含有量:1~2重量%、株式会社カネカ製、商品名)がある。
本願発明のアクリルシリコン樹脂塗材には光安定剤及び紫外線吸収剤が含まれ、長期間紫外線に曝されても透明補強層の強度の低下が生じない。光安定剤にはヒンダードアミン系光安定剤を使用することができ、市販のヒンダードアミン系光安定剤としては、TINUVIN292(ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、BASF社製、商品名)があり、紫外線吸収剤にはヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を使用することができ、市販のヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤としては、TINUVIN400(2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヒドロキシフェニルとオキシランとの反応生成物、BASF社製、商品名)が、市販のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、TINUVIN928(化学名;2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、BASF社製、商品名)がある。
以下、実施例及び比較例にて具体的に説明する。
<実施例及び比較例1乃至比較例5>
透明プライマー層を形成するシリコンアクリル樹脂プライマーのアミノ基含有アクリル樹脂としてACRYDIC A-9521を、エポキシシランとしてACRYDIC A-9585を使用し、表1に示す配合にて主剤と硬化剤とした。主剤と硬化剤の重量配合比は13:1であり、これらの主剤と硬化剤を均一に混合して実施例及び比較例1乃至比較例5のシリコンアクリル樹脂プライマーを得た。
透明補強層を形成するポリウレア樹脂塗材の脂環式ポリアミンAとして上記4,4’-メチレンビスシクロヘキシルアミン・マレイン酸ジエチル付加物(重量平均分子量(Mw):548(理論値)、粘度:2000mP・s/23℃)を、脂環式ポリアミンBとして上記4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)・マレイン酸ジエチル付加物(重量平均分子量(Mw):578(理論値)、粘度:2000mP・s/23℃)を、親水性微粉シリカとしてHDK-N20を、レオロジーコントロール剤としてBYK-405を、光安定剤としてTINUBIN292を使用し、紫外線吸収剤としてTINUVIN400を、1分子中にケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物としてGENIOSILXL-10(ビニルトリメトキシシラン、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製、商品名)を、無黄変イソシアネートプレポリマーAとしてデュラネートTSE-100を、無黄変イソシアネートプレポリマーBとしてデュラネートTSA-100を使用し、その他に補強短繊維としてミルドファイバーEFDE-50-31を、脱水剤としてモレキュラーシーブ5Aパウダー(平均粒子径D50:6μm、ユニオン昭和社製、商品名)を、消泡剤としてアクリル系消泡剤を使用し、表1に示す配合にて主材と硬化剤とした。主剤と硬化剤の重量配合比は1:1であり、これらの主剤と硬化剤とで実施例及び比較例1乃至比較例5のポリウレア樹脂塗材を得た。
透明保護層を形成するアクリルシリコン樹脂塗材のアルコキシシリル基を有するアクリルシリコンオリゴマーとしてカネカゼムラックYC4383を、光安定剤としてTINUBIN292を、紫外線吸収剤としてTINUVIN928を、消泡剤としてシリコン系消泡剤を、硬化触媒としてカネカゼムラックZT406Zを、希釈剤として石油系希釈剤ターペンシンナー#50を使用し、表1に示す配合にて主剤と硬化剤とした。主剤と硬化剤の重量配合比は2:1であり、これらの主剤と硬化剤とで実施例及び比較例1乃至比較例5のアクリルシリコン樹脂塗材を得た。
<比較例6>
透明プライマー層を形成する塗材として上記実施例のシリコンアクリル樹脂プライマーを、透明補強層を形成する塗材として上記実施例のアクリルシリコン樹脂塗材を使用し、透明補強層を形成する塗材として、樹脂固形分が50%の透明アクリルエマルション(ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体、粘度50Pa・s/20℃、T.I値(JISA 6024 チキソトロピックインデックス:5.7)、ナイロン短繊維(繊維長5mm)2重量%含有)を使用した。
Figure 2023094859000004
<評価方法>
上記の実施例及び比較例について、以下の評価を行った。尚、特に記載のない限り、試験体の作製、養生、評価試験は23℃、50%RHの環境下にて行った。
<引張強度>
透明補強層を形成する実施例及び比較例のポリウレア樹脂塗材を厚さ2mmでシート状に塗り広げ7日間養生後、JISK 6251加硫ゴムの引張試験方法規定の2号ダンベル片形状に成型した。その後、同試験方法に準じて引張速度500mm/分で引っ張り、破断時の強度を引張強度(MPa)とした。試験は23℃と60℃の条件にて行なった。
<モルタル付着強度>
JIS R 5201 10.4規定のモルタル試験板(70×70mm、厚さ20mm)の表面をサンディング処理し、その処理面に対し、実施例及び比較例のシリコンアクリル樹脂プライマーを塗付量0.12kg/mにて塗付し乾燥させた。その後、実施例及び比較例1乃至比較例5については、ポリウレア樹脂塗材を塗付量0.4kg/mにて塗付して24時間養生した後、さらに同様のポリウレア樹脂塗材を塗付量0.3kg/mにて塗付して24時間養生し、さらにアクリルシリコン樹脂塗材を塗付量0.08kg/mで2回塗りして、7日間養生し試験体とした。比較例6については、乾燥したシリコンアクリル樹脂プライマーの上に透明アクリルエマルションを塗付量0.5kg/mにて塗付し、乾燥後、同材料を塗付量0.8kg/mにて塗付し、乾燥後、再度同材料を塗付量0.8kg/mにて塗付して乾燥させ、次にアクリルシリコン樹脂塗材を塗付量0.08kg/mで2回塗りして、7日間養生し試験体とした。各試験体をJISA 6909 7.9 付着強さ試験 に準じて付着強さを測定した。全ての試験体でモルタル試験板が破壊したため、その付着強さをモルタル付着強度(MPa)とした。
<耐紫外線性>
実施例及び比較例1乃至比較例5については、ポリウレア樹脂塗材を厚さ2mmでシート状に塗り広げ24時間養生した後、アクリルシリコン樹脂塗材を塗付量0.08kg/mで2回塗りして、7日間養生し試験体とした。比較例6については、透明アクリルエマルションを厚さ2mmのシートとなるように、まず塗付量0.5kg/mにて塗付し、乾燥後、同材料を塗付量0.8kg/mにて塗付し、乾燥後、再度同材料を塗付量0.8kg/mにて塗付して乾燥させ、次にアクリルシリコン樹脂塗材を塗付量0.08kg/mで2回塗りして、7日間養生し試験体とした。各試験体をスーパーUVテスター(型式:SUV-W151、岩崎電気株式会社製、照射条件:水冷式メタルハライドランプ使用、温度63℃、湿度50%、照度100mW/cm)にて180時間連続照射した後、JISK 6251加硫ゴムの引張試験方法規定のダンベル2号片形状に成型した。その後、外観を目視にて確認すると同時に、同試験方法に従い引張速度500mm/分で引っ張り、破断時の強度を引張強度(MPa)とした。
<曲げ強度>
JIS R 5201 10.4に規定のモルタル板(100×200mm、厚さ30mm)を長手方向の中心部に載荷して2分割する。その破断面をつき合わせて固定した表面をサンディング処理し、その処理面に対し、実施例及び比較例のシリコンアクリル樹脂プライマーを塗付量0.12kg/mにて塗付し乾燥させた。その後、実施例及び比較例1乃至比較例5については、ポリウレア樹脂塗材を塗付量0.4kg/mにて塗付して24時間養生した後、さらに同様のポリウレア樹脂塗材を塗付量0.3kg/mにて塗付して24時間養生し、さらにアクリルシリコン樹脂塗材を塗付量0.08kg/mで2回塗りして、7日間養生し試験体とした。比較例6については、乾燥したシリコンアクリル樹脂プライマーの上に透明アクリルエマルションを塗付量0.5kg/mにて塗付し、乾燥後、同材料を塗付量0.8kg/mにて塗付し、乾燥後、再度同材料を塗付量0.8kg/mにて塗付して乾燥させ、次にアクリルシリコン樹脂塗材を塗付量0.08kg/mで2回塗りして、7日間養生し試験体とした。各試験体を載荷速度1.67mm/分で、4点曲げ方式にて曲げ試験を行い曲げ強度(N)を測定した。上側の荷重スパンは50mm、下側の荷重スパンは150mmとした。
<押し抜き最大荷重>
JIS A 5372(プレキャスト鉄筋コンクリート製品)付属書5に規定する上ぶた式U形側溝(ふた)の1種呼び名300(400×600×60mm)(以下、「U形ふた」という。)のコンクリート中央部裏面を、φ100mmの形状かつ55mm±3mmの深さで、コンクリート用コアカッターにより切り込みを入れた。表面を、サンディング処理し、この処理面に対し実施例及び比較例のシリコンアクリル樹脂プライマーを塗付量0.12kg/mにて塗付し乾燥させた。その後、実施例及び比較例1乃至比較例5については、ポリウレア樹脂塗材を塗付量0.4kg/mにて塗付して24時間養生した後、さらに同様のポリウレア樹脂塗材を塗付量0.3kg/mにて塗付して24時間養生し、さらにアクリルシリコン樹脂塗材を塗付量0.08kg/mで2回塗りして、7日間養生し試験体とした。比較例6については、乾燥したシリコンアクリル樹脂プライマーの上に透明アクリルエマルションを塗付量0.5kg/mにて塗付し、乾燥後、同材料を塗付量0.8kg/mにて塗付し、乾燥後、再度同材料を塗付量0.8kg/mにて塗付して乾燥させ、次にアクリルシリコン樹脂塗材を塗付量0.08kg/mで2回塗りして、7日間養生し試験体とした。JHS424-2004 はく落防止の押し抜き試験方法に準じて試験を行ない、最大荷重を押し抜き最大荷重(kN)とした。
<可使時間>
実施例及び比較例1乃至比較例5のポリウレア樹脂塗材について、主剤と硬化剤をそれぞれ23℃に調製し、主剤と硬化剤を混合直後にB型回転粘度計5号ローター20rpmで粘度を測定して初期粘度とし、その後5分毎に粘度を測定し、初期粘度の2倍の粘度に到達するまでの時間を可使時間として算出した。
<アンカーピン付着性>
実施例及び比較例1乃至比較例5について、タイル固着用アンカーピンJB-TA(SUS304製、アイカ工業株式会社製、商品名)に固着する頭部キャップの平面部(アクリルシリコン樹脂塗膜)にシリコンアクリル樹脂プライマーを塗付量0.08kg/mで塗付し7日間養生した後、カッターナイフの刃の先端を頭部フランジ部と硬化したシリコンアクリル樹脂プライマー層の界面に沿って入り込ませ、その際のシリコンアクリル樹脂プライマー層の剥離の状態を評価した。評価は以下によって行なった。
○:入り込ませたカッターナイフの刃の先端の周囲に剥離が生じない。
△:入り込ませたカッターナイフの刃の先端に周囲にわずかに剥離部分がある。
×:入り込ませたカッターナイフの刃の先端の周囲の全体に剥離が生じている。
<タイル/透明補強層の付着性>
実施例及び比較例1乃至比較例5について、市販磁器タイル オーロラペール50・2T PL-100(95×45mm、厚さ7mm、I類(磁器質)、株式会社Danto社製、商品名)にシリコンアクリル樹脂プライマーを塗付量0.12kg/mにて塗付し乾燥させた後、ポリウレア樹脂塗材を塗付量0.4kg/mにて塗付し、7日間養生後、磁器タイルとポリウレア樹脂塗材との間に皮スキを挿入して該ポリウレア樹脂塗材を強制的に分離剥離させた。剥離したポリウレア樹脂塗材と磁器タイル表面を目視で観察することにより、タイルとシリコンアクリル樹脂プライマー(プライマー層)との付着性、及びシリコンアクリル樹脂プライマー(プライマー層)とポリウレア樹脂塗材(透明補強層)との付着性を判定した。付着性が良好であるものを○と、それ以外を×と評価した。
<タレ止まり性>
市販磁器タイル オーロラペール 50-2T PL-100(95×45mm、厚さ7mm、I類(磁器質)、株式会社Danto社製、商品名)を予めJISA 5371の乾燥したコンクリート平板(300×300mm、厚さ60mm)の表面に市販エポキシ樹脂接着剤で貼り付けて、該コンクリート平板を垂直に保持する。実施例及び比較例1乃至比較例5のシリコンアクリル樹脂プライマーを塗付量0.12kg/mにて塗付し乾燥させた後、ポリウレア樹脂塗材を塗付量0.5kg/mにて磁器タイル表面に塗付し、塗材のタレ止まりの状態を目視にて評価した。評価は、タレが発生しないものを○と、わずかにタレが発生したものを△と、タレが全体に発生しているものを×と評価した。
<透明性>
ガラス板(150×150mm、厚さ2mm)に実施例及び比較例1乃至比較例5のポリウレア樹脂塗材を0.5kg/m又は1.0kg/mにて塗付し、硬化後の塗膜の透明性を目視にて評価した。塗膜の透明性が高いものを○と、塗膜に多少の白濁があるものを△と、塗膜が不透明なものを×と評価した。
<塗付作業性>
市販磁器タイル オーロラペール 50-2T PL-100(95×45mm、厚さ7mm、I類(磁器質)、株式会社Danto社製、商品名)を予めJISA 5371の乾燥したコンクリート平板(300×300mm、厚さ60mm)の表面に市販エポキシ樹脂接着剤で貼り付ける。磁器タイル表面に実施例及び比較例1乃至比較例5のシリコンアクリル樹脂プライマーを0.12kg/mで塗付し乾燥させた後、ポリウレア樹脂塗材を鏝及びローラー刷毛にて塗付量0.5kg/mで塗付し、その際の塗付作業性を評価した。評価は、金鏝及びローラー刷毛を用いて用意に塗付できたものを○と、金鏝による塗付は出来るがローラー刷毛による塗付が出来ないものを△と、金鏝及びローラー刷毛による塗付が出来ないものを×と評価した。
<評価結果>
評価結果を表2に示す。
Figure 2023094859000005
1 コンクリート躯体
2 貼付モルタル
3 外壁タイル
4 アンカーピン
4a 足部
4b 頭部
4c 圧入部
4d フランジ
5 アンカー孔
6 エポキシ樹脂接着剤
7 目地
8 透明プライマー層
9 透明補強層
10 透明保護層
20 外壁タイル剥落防止構造

Claims (8)

  1. 外壁タイル面または目地にアンカーピンを打ち込んでアンカーピンをコンクリート躯体に固着し、
    該アンカーピンの頭部、外壁タイル面、及び目地に、アミン価が10~50mgKOH/gであってガラス転移温度が10℃以上50℃未満のアミノ基含有アクリル樹脂と、エポキシシランと、を含むシリコンアクリル樹脂プライマーを塗付して透明プライマー層を形成し、
    該透明プライマー層の上に、無黄変イソシアネートプレポリマーと、第2級アミノ基のみを有する脂環式ポリアミンと、親水性微粉シリカと、レオロジーコントロール剤と、光安定剤と、紫外線吸収剤と、1分子中にケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物と、を含む透明なポリウレア樹脂塗材を塗付して透明補強層を形成し、
    該透明補強層の上に、光安定剤と、紫外線吸収剤と、を含むアクリルシリコン樹脂塗材を塗付して透明保護層を形成したことを特徴とする外壁タイル剥落防止構造。
  2. 1分子中にケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物は、1分子中1個のケイ素原子を有し、ケイ素原子にアルコキシ基が2個以上結合している化合物であることを特徴とする請求項1記載の外壁タイル剥落防止構造。
  3. 光安定剤はヒンダードアミン系光安定剤であり、紫外線吸収剤はヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の外壁タイル剥落防止構造。
  4. 脂環式ポリアミンは式I:
    Figure 2023094859000006

    (式中Xはイソシアネート基に対して不活性であり、脂環式炭化水素に結合したm個の第1級アミノ基を含む数平均分子量88~400の有機ポリアミンから第1級アミノ基を除去することにより得られるm価基であり、R及びRは同一または異なっていて、炭素原子数1~18の有機基であり、mは少なくとも2の整数である)で表される1種以上のポリアミンであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の外壁タイル剥落防止構造。
  5. 外壁タイル面または目地にアンカーピンを打ち込んでアンカーピンをコンクリート躯体に固着し、
    該アンカーピンの頭部、外壁タイル面、及び目地に、アミン価が10~50mgKOH/gであってガラス転移温度が10℃以上50℃未満のアミノ基含有アクリル樹脂とエポキシシランと、を含むシリコンアクリル樹脂プライマーを塗付して透明プライマー層を形成し、
    該透明プライマー層の上に、無黄変イソシアネートプレポリマーと、第2級アミノ基のみを有する脂環式ポリアミンと、親水性微粉シリカと、レオロジーコントロール剤と、光安定剤と、紫外線吸収剤と、1分子中にケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物と、を含む透明なポリウレア樹脂塗材を塗付して透明補強層を形成し、
    該透明補強層の上に、光安定剤と、紫外線吸収剤と、を含むアクリルシリコン樹脂塗材を塗付して透明保護層を形成することを特徴とする外壁タイル剥落防止工法。
  6. 1分子中にケイ素原子に結合しているアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物は、1分子中1個のケイ素原子を有し、ケイ素原子にアルコキシ基が2個以上結合している化合物であることを特徴とする請求項5記載の外壁タイル剥落防止工法。
  7. 光安定剤はヒンダードアミン系光安定剤であり、紫外線吸収剤はヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることを特徴とする請求項5または請求項6記載の外壁タイル剥落防止工法。
  8. 脂環式ポリアミンは式I:
    Figure 2023094859000007

    (式中Xはイソシアネート基に対して不活性であり、脂環式炭化水素に結合したm個の第1級アミノ基を含む数平均分子量88~400の有機ポリアミンから第1級アミノ基を除去することにより得られるm価基であり、R及びRは同一または異なっていて、炭素原子数1~18の有機基であり、mは少なくとも2の整数である)で表される1種以上のポリアミンであることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか一つに記載の外壁タイル剥落防止工法。


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