JP2015223837A - 非水系インク用インクジェット記録媒体及びインクジェット印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この非水系インク用インクジェット記録媒体は、支持体上に、ポリビニルアルコール保護コロイド型アクリルポリマーを含む層を有する。この塗工層上に非水系インクを用いてインクジェット印刷する。例えば、支持体上に前処理液を塗工して塗工層を形成した後、色材および非水系溶剤を少なくとも含んでなる非水系インクを前記塗工層上へ吐出させることにより印刷を行う非水系インクジェット印刷方法において、前記前処理液として、ポリビニルアルコール保護コロイド型アクリルポリマーを含有するものを用いる。
【選択図】なし
Description
水系インクは、溶媒として水を含有するため、記録媒体として普通紙を用いた場合、溶媒が記録媒体に容易に浸透し、色材が記録媒体の表面に留まり易いため、高濃度・高画質の印刷画像が得られ易い一方で、記録媒体がカールやコックリングを起こし易く、記録媒体の搬送性に悪影響を及ぼし、高速印刷の弊害となるという欠点がある。
本発明で使用する非水系インクは、非水系溶剤及び色材から主として構成されるが、必要に応じて、その他の成分を含有してもよい。
非水系溶剤としては、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤の何れも使用できる。これらは、単独で使用してもよく、組み合わせて使用することもできる。なお、本発明において、非水系溶剤とは、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合しない有機溶剤をいう。
色材としては、顔料及び染料の何れも使用することができ、単独で使用しても両者を併用してもよい。印刷物の耐候性及び印刷濃度の点から、色材として顔料を使用することが好ましい。
色材は、非水系インク全量に対して0.01〜20質量%の範囲で含有されることが好ましい。
染料としては、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用でき、特に限定されない。具体的には、ナフトール染料、アゾ染料、金属錯塩染料、アントラキノン染料、キノイミン染料、インジゴ染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、カーボニウム染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、フタロシアニン染料、ペリニン染料などの油溶性染料が挙げられる。これらの染料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料及び染付レーキ顔料等の有機顔料並びに無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料等が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、金属フタロシアニン顔料及び無金属フタロシアニン顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキシサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。無機顔料としては、代表的にはカーボンブラック及び酸化チタン等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
非水系インク中における顔料の分散を良好にするために、非水系インクに顔料分散剤を添加することが好ましい。本発明で使用できる顔料分散剤としては、顔料を非水系溶剤中に安定して分散させるものであれば特に限定されない。顔料分散剤の含有量は、上記顔料を十分に上記非水系溶剤中に分散可能な量であれば足り、適宜設定できる。
本発明の非水系インクには、インクの性状に悪影響を与えない限り、上記非水系溶剤、色材、顔料分散剤以外に、例えば、界面活性剤、定着剤、防腐剤等の他の成分を添加できる。
本発明の非水系インクは、例えばビーズミル等の公知の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。例えば、予め非水系溶剤の一部と色材の全量を均一に混合させた混合液を調製して分散機にて分散させた後、この分散液に残りの成分を添加してろ過機を通すことにより調製することができる。
本発明で使用する前処理液は、ポリビニルアルコール(PVA)保護コロイド型アクリルポリマーを含有する液体であり、ポリビニルアルコール保護コロイド型アクリルポリマーの水系分散液であることが好ましく、ポリビニルアルコール保護コロイド型アクリルポリマーの水系エマルジョンであってもよい。前処理液は、前記ポリビニルアルコール保護コロイド型アクリルポリマー以外に、必要に応じて、その他の成分を含有してもよい。
本発明におけるポリビニルアルコール保護コロイド型アクリルポリマーは、ポリビニルアルコールを保護コロイドに使用したアクリルポリマーであり、具体的には、ポリビニルアルコールを保護コロイドに使用した(メタ)アクリル酸エステル系樹脂が挙げられる。ここで、保護コロイドを形成するポリビニルアルコールは、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂を包み込んで、水系媒体中では乳化剤として働いているものと考えられる。
支持体の非水系インク吸収性の被印刷面にポリビニルアルコール保護コロイド型アクリルポリマーの層を形成するためには、前処理液は、ポリビニルアルコール保護コロイド型アクリルポリマーを適当な水系溶媒に分散させた溶液の形態であることが好ましい。ポリビニルアルコール保護コロイド型アクリルポリマーは、通常、ポリビニルアルコール保護コロイドが乳化剤として作用するので、水系溶媒中では樹脂エマルションの形態となる。
本発明で使用する前処理液には、その性状に悪影響を与えない限り、上記ポリビニルアルコール保護コロイド型アクリルポリマー以外に、例えば、分散剤、定着剤、防腐剤等の他の成分を添加できる。
本発明のインクジェット印刷方法は、支持体上に前処理液を塗工して塗工層を形成した後、非水系インクを該塗工層上へ吐出させることにより行われる。前処理液の支持体上への塗工は、刷毛、ローラー、バーコーター、エアナイフコーター等を使用して行ってもよく、または、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷などの印刷手段によって画像を印刷することで行ってもよい。例えば、インクジェットプリンタを使用し、支持体上へ前処理液を吐出した後これに重ねて非水系インクを連続的に吐出させることにより印刷を行ってもよい。なお、本発明では、前処理液を支持体上に塗工した後、塗工された処理液が乾燥した後に非水系インクを吐出させることが好ましい。
表の重量はすべて、乾燥重量(固形分量)である。
(1)非水系インクの作製
表1に示す各成分を表1に示す割合で混合し、その後、ビーズミルで顔料を十分に分散し、得られた顔料分散液をメンブレンフィルター(開口径3μm)でろ過し、非水系インクを得た。
・カーボンブラック:コロンビアン・ケミカルズ社製ラーベン1000(商品名)。
・顔料分散剤:アイ・エス・ピー・ジャパン株式会社製アンタロンV−216(商品名)。
・オレイン酸メチル:花王株式会社製エキセパールM−OL(商品名)
・ミリスチン酸イソプロピル:花王株式会社製エキセパールIPM(商品名)
・石油系炭化水素溶剤:JX日鉱日石エネルギー株式会社製アイソゾール400(商品名)
グラビアミニ校正機CM型(商品名;株式会社日商グラビア製)(印刷スピード:30m/s、ベタ100%)により、理想用紙薄口(商品名;理想科学工業株式会社製普通紙)の片面に、表2に記載の処方(乾燥重量)からなるインク受理層を塗工し、100℃で1分間乾燥を行って支持体を作製した。さらに、インク受理層に表2に記載の処方(乾燥重量)からなる光沢層を塗工し、100℃で1分間乾燥を行い、記録媒体(インクジェット光沢紙)を作製した。なお、塗工に用いた処理液はすべて固形分30%の水溶液に調整したものを使用した。
光学濃度計(RD920:マクベス社製)を用い、印刷物を23℃、50%R.H.で1日放置した後のベタ画像の表側のOD値を測定し、以下の基準で評価した。
A:1.2≦OD値
B:1.15≦OD値<1.2
C:OD値<1.15
上記(3)で用いた印刷物のベタ画像を肉眼で観察し、以下の基準で評価した。
○:光沢あり
×:光沢なし
印刷直後の印刷物のローラーによる汚れを目視観察した。評価は以下の基準で行った。
AA:ローラー汚れが全くない
A:ローラー汚れがほぼない
B:ローラー汚れが若干あるものの、元画像を乱さないレベルである
C:ローラー汚れがある
理想用紙マットIJ(W)(商品名;理想科学工業株式会社製マット紙)のインク受理層に表2に記載の処方(乾燥重量)からなる光沢層を塗工し、100℃で1分間乾燥を行い、記録媒体(インクジェット光沢紙)を作製した。なお、前処理液は固形分30%の水溶液に調整したものを使用した。かくして得られた記録媒体を用いた以外、上記実施例1と同様にして、印刷を行い、印刷画像の表濃度、光沢度、及び、ローラー転写汚れを測定し評価した。結果を表2に示す。
PVA保護コロイド型アクリル酸エステル共重合体A:ビニブラン2680(商品名;日信化学工業製)、Tg=8℃、固形分:30%
PVA保護コロイド型アクリル酸エステル共重合体B:ビニブラン2685(商品名;日信化学工業製)、Tg=50℃、固形分:30%
カチオン変性PVA保護コロイド型アクリル酸エステル共重合体:ビニブラン2687(商品名;日信化学工業製)、Tg=20℃、固形分:30%
PVAグラフト型アクリル共重合体:PA−82(商品名;ダイセル化学製)、Tg=20℃、固形分:42%
アクリル酸エステル共重合体:ビニブラン2585(商品名;日信化学工業製)、Tg=20℃、固形分:45%
PVA:クラレポバール PVA117(商品名:クラレ製)
PVA保護コロイド型酢酸ビニル系樹脂:S−400(商品名;住化ケムテックス社製)、Tg=0℃、固形分:55%
合成非晶質シリカ:ミズカシル P−78A(商品名;水澤化学工業株式会社製)
バインダー:JMR−10Mとモビニール966Aの7:3混合液
JMR−10M(商品名):日本酢ビ・ポバール株式会社製のポリビニルアルコール(けん化度65.0mol%、重合度250、固形分:70%)。
モビニール966A(商品名):日本合成化学株式会社製のスチレン/アクリル系エマルション樹脂(固形分45%)。
ポリビニルアルコール保護コロイド型アクリルポリマーを被印刷面の最外層として積層した記録媒体を用いた実施例1〜8では、印刷濃度が高く、光沢もあり、ローラー転写汚れも低減され、特に、カチオン変性していないノニオン性ポリビニルアルコール保護コロイド型アクリルポリマーを用いた実施例3、4及び6ではローラー転写汚れが顕著に抑制された。
記録媒体として、理想用紙薄口(商品名;理想科学工業株式会社製普通紙)の片面に表3に記載の処方からなる上層を塗工し、100℃で1分間乾燥を行って作製したものを用い、その上層に印刷を行った以外、実施例1と同様にして試験を行った。なお、前処理液はすべて固形分30%の水溶液に調整したものを使用した。そして、印刷画像の表濃度及び裏抜けを下記方法で測定し評価した。ローラー転写汚れは実施例1と同様に測定し評価した。結果を表3に示す。
光学濃度計(RD920:マクベス社製)を用い、印刷物を23℃、50%R.H.で1日放置した後のベタ画像の表側のOD値を測定し、以下の基準で評価した。
A:1.15≦OD値
B:1.1≦OD値<1.15
C:OD値<1.1
上記(1)の印刷画像の表濃度の測定時に、同じ光学濃度計を用いてベタ画像の裏側のOD値を測定し、以下の基準で裏抜けを評価した。
AA:OD値≦0.15
A:0.15<OD値≦0.17
B:0.17<OD値≦0.2
C:0.2<OD値
ポリビニルアルコール保護コロイド型アクリルポリマーを被印刷面の最外層として積層した記録媒体を用いた実施例9〜14では、印刷濃度が高く、裏抜けも低減され、ローラー転写汚れも低減され、特に、カチオン変性していないノニオン性ポリビニルアルコール保護コロイド型アクリルポリマーを用いた実施例11、12及び14ではローラー転写汚れが顕著に抑制された。
Claims (5)
- 支持体上に、ポリビニルアルコール保護コロイド型アクリルポリマーを含む層を有することを特徴とする非水系インク用インクジェット記録媒体。
- 前記支持体は、普通紙である、請求項1に記載の非水系インク用インクジェット記録媒体。
- 前記支持体は、被印刷面にインク受理層を備えたコート紙である、請求項1に記載の非水系インク用インクジェット記録媒体。
- 前記ポリビニルアルコール保護コロイド型アクリルポリマーのガラス転移温度は、30〜55℃である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水系インク用インクジェット記録媒体。
- 支持体上に前処理液を塗工して塗工層を形成した後、色材および非水系溶剤を少なくとも含んでなる非水系インクを前記塗工層上へ吐出させることにより印刷を行うインクジェット印刷方法において、前記前処理液は、ポリビニルアルコール保護コロイド型アクリルポリマーを含有することを特徴とするインクジェット印刷方法。
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