JP2017170722A - 非水系インクジェット印刷用光沢紙 - Google Patents

非水系インクジェット印刷用光沢紙 Download PDF

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健一 坂井
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健一 坂井
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Abstract

【課題】インク吸収性及びインク定着性に優れ、転写汚れを防ぐ非水系インクジェット印刷用光沢紙を提供する。【解決手段】支持体、支持体の少なくとも一方面側に形成され、ガラス転移温度が65℃〜90℃である塩化ビニル系重合体を、第1層全体に対し30質量%以上で含む第1層、及び第1層の上に形成され、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド系カチオン性樹脂及びポリアミン系カチオン性樹脂のうち1種以上のカチオン性樹脂を含む第2層を有し、第1層及び第2層が形成された面のJISP8142に従い測定される75度鏡面光沢度が30%〜60%である、非水系インクジェット印刷用光沢紙である。【選択図】なし

Description

本発明は、非水系インクジェット印刷用光沢紙に関する。
インクジェット用インクは、溶媒として水を含む水性インクと、実質的に水を含まず非水系溶剤を主溶媒とした非水系インクに大別される。非水系インクは、印字後に用紙がカールしにくい等の利点から、特に高速インクジェットプリンター用のインクとして近年普及しており、所定の極性溶剤系を含むことで顔料の分散安定性に優れ、保存安定性、機上安定性共に優れたインクが開発されている(特許文献1)。ところが、非水系インクで印字を行うと、インクが用紙に吸液され難く、また定着性も十分に得られないという問題がある。
この問題を解決する方法として、支持体上に、ガラス転移温度が20〜55℃の塩化ビニル系共重合体を主体とする油性インク受容光沢層を設けた記録シートが提案されている(特許文献2)。かかる光沢層を備えた記録シートは、広告・ポスター等の印刷に適するものの、高速インクジェットプリンターで通常の書類を印刷すると、インク吸収性が不十分で、印刷直後に画像を擦ると画像が擦れてしまうことがある。その一方で、時間が経つと、インクが紙の中まで浸透して、インクの裏抜けが生じる場合がある。
特許文献3では、非水系インクを用いた高速インクジェットプリンターに適する光沢紙として、ガラス転移温度が70〜90℃の塩化ビニル系重合体を含有するインク受理層を設けた光沢紙を用いることで、インク吸収性及びインク定着性に優れ、インクの裏抜けが少なく、画像濃度が高く、鮮明な画像を得られるという提案がなされている。
特許第4616570号公報 特開2010−234677号公報 特開2013−67129号公報
非水系インクに、より画像濃度が高いインクを用いる場合に、高画像濃度の印刷物が得られる一方で、印刷物へのインクの定着性が低下するという問題がある。
また、プリンター内で印刷物を搬送する際に搬送ローラにインクが付着し、後続の印刷物に搬送ローラからインクが転写され、後続の印刷物が汚れるという問題がある。また、プリンターから印刷物を排出後に、複数の印刷物を重ねて保管する際に、一方の印刷物の表面上の画像から他方の印刷物の裏面にインクが裏移りするという問題がある。
このような搬送時の転写や、保管時の裏移りは、インク吸収性が低下することでも生じることがある。
本発明の一目的としては、インク吸収性及びインク定着性に優れ、転写汚れを防ぐ非水系インクジェット印刷用光沢紙を提供することである。
本発明は、以下の構成を要旨とする。
(1)支持体、
前記支持体の少なくとも一方面側に形成され、ガラス転移温度が65℃〜90℃である塩化ビニル系重合体を、第1層全体に対し30質量%以上で含む第1層、及び
前記第1層の上に形成され、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド系カチオン性樹脂及びポリアミン系カチオン性樹脂のうち1種以上のカチオン性樹脂を含む第2層を有し、
前記第1層及び前記第2層が形成された面のJISP8142に従い測定される75度鏡面光沢度が30%〜60%である、非水系インクジェット印刷用光沢紙。
(2)前記第1層は、平均粒子径10μm〜20μmの非晶質シリカを、第1層全体に対し1〜10質量%でさらに含む、(1)記載の非水系インクジェット印刷用光沢紙。
(3)前記第2層は、ノニオン性フッ素系界面活性剤及び/またはカチオン性フッ素系界面活性剤を、第2層全体に対し0.5〜10質量%でさらに含む、(1)または(2)に記載の非水系インクジェット印刷用光沢紙。
(4)前記第1層に対する前記第2層の質量比(第2層/第1層)は0.5/99.5〜15/85である、(1)から(3)のいずれか1項に記載の非水系インクジェット印刷用光沢紙。
本発明によれば、インク吸収性及びインク定着性に優れ、転写汚れを防ぐ非水系インクジェット印刷用光沢紙を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
本発明の一実施形態である非水系インクジェット印刷用光沢紙(以下、単に「光沢紙」と称することがある。)としては、支持体、支持体の少なくとも一方面側に形成され、ガラス転移温度が65℃〜90℃である塩化ビニル系重合体を、第1層全体に対し30質量%以上で含む第1層、及び第1層の上に形成され、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド系カチオン性樹脂及びポリアミン系カチオン性樹脂のうち1種以上のカチオン性樹脂を含む第2層を有し、第1層及び第2層が形成された面のJISP8142に従い測定される75度鏡面光沢度が30%〜60%であることを特徴とする。
本実施形態によれば、インク吸収性及びインク定着性に優れ、転写汚れを防ぐ非水系インクジェット印刷用光沢紙を提供することができる。
さらに、本実施形態によれば、裏抜けを低減して画像濃度を高くし、鮮明な画像を形成することができる。
以下の説明では、ガラス転移温度が65℃〜90℃である塩化ビニル系重合体を単に「塩化ビニル系重合体(A)」と称することがあり、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド系カチオン性樹脂及びポリアミン系カチオン性樹脂のうち1種以上のカチオン性樹脂を単に「カチオン性樹脂(E)」と称することがあり、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドを「DADMAC」と称することがある。
本実施形態によれば、塩化ビニル系重合体(A)を含む第1層としてインク吸収層を設けることで、光沢紙にインクを塗布後にインク吸収性を高めることができる。
さらに、カチオン性樹脂(E)を含む第2層としてインク定着層を設けることで、光沢紙にインクを塗布後に長期にわたってインク定着性を高めることができる。
本実施形態によれば、印刷速度を高め、画像鮮明性を改善したインクに対しても、インク吸収性とともにインク定着性を十分に得ることができる。
本発明では、非水系インク、特に顔料を用いた非水系インク用の光沢紙において、定着性向上のため、特定のカチオン性樹脂を用いることが有効であることを見出した。
各種カチオン性樹脂のなかでも、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC)系カチオン性樹脂及びポリアミン系カチオン性樹脂のうち1種以上をインク定着層に用いることで、塩化ビニル系重合体(A)を用いたインク吸収層と併用する場合に、印刷物のインク定着性をより高めることができる。
本実施形態による光沢紙は、支持体上に、第1層としてインク吸収層及び第2層としてインク定着層がこの順で形成される。支持体、インク吸収層、インク定着層の各層の間には、任意の層が介在していてもよい。
第1層としてのインク吸収層は、ガラス転移温度が65℃〜90℃の塩化ビニル系重合体(A)を、インク吸収層全体に対し30質量%以上で含む。
塩化ビニル系重合体(A)は、塩化ビニルモノマーを主成分とする重合体である。塩化ビニル系重合体(A)には、塩化ビニルモノマー以外のコモノマー由来の単位が含まれてもよい。
塩化ビニル系重合体(A)に塩化ビニルモノマー以外のコモノマー由来の単位が含まれた場合でも、ガラス転移温度は65℃〜90℃であることが好ましい。
塩化ビニル系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)としては、65℃〜90℃である。
このTgが65℃以上であることで、印刷直後のインク吸収性を高めて、搬送時の転写汚れを防ぐことができる。さらに、Tgが65℃以上であることで、裏抜けを防いで画像濃度を高め、画像のにじみを防いでより鮮明な画像を得ることができる。より好ましくはTgは70℃以上であり、さらに好ましくは73℃以上である。
このTgが90℃以下であることで、光沢紙作製工程において支持体に塩化ビニル系重合体(A)をより均一に塗工することができ、インク吸収層のムラの発生を防ぐことができる。より好ましくはTgは87℃以下であり、さらに好ましくは80℃以下である。
ここで、ガラス転移温度は、示差走査熱量計、または粘弾性測定装置を用いて測定することができる。または、各モノマー成分の重量分率と、各モノマー成分の単独重合体のガラス転移温度から、計算によって求めてもよい。
従来、塩化ビニル系重合体のガラス転移温度が高いと、層形成工程で、塗工、乾燥の熱で軟化しにくく、粒子状のままで層が形成されるため、インク吸収性が低下すると考えられてきた。しかし、非水系インクを用いたインクジェット印刷、特に高速のライン印刷では、塩化ビニル系重合体(A)を用いたインク吸収層を設けることで、印刷直後のインク吸収性を高めることができる。さらに、鎖状エステル溶剤等の極性溶剤を含む非水系インクを用いた場合であっても、裏抜けを低減するとともに、画像鮮明性に優れた画像を得ることができる。
塩化ビニル系重合体(A)の一例としては、塩化ビニルモノマーと、所望によりコモノマーとの混合物に、乳化剤、重合開始剤を加えて、乳化重合して得られる重合体を用いることができる。コモノマーとしては、エチレン性不飽和モノマーを用いることができ、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、モノアルケニルアリール化合物等を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。乳化剤としては、アルキル硫酸塩等のアニオン性乳化剤、トリアルキルアンモニウムクロライド等のカチオン性乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン性乳化剤を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩を用いることができる。
塩化ビニル系重合体は、粒子状の高分子粒子を溶媒に分散させて、エマルジョンの形態で支持体に塗工することができる。
塩化ビニル系重合体(A)の例としては、ビニブラン747(Tg66℃)、700(Tg70℃)、900(Tg70℃)、701(Tg73℃)、985(Tg80℃)(日信化学工業株式会社製)等を挙げることができる。
塩化ビニル系重合体(A)は、インク吸収層全体に対し30質量%以上で含まれ、好ましくは33質量%以上である。これによって、印刷直後のインク吸収性を十分に得て、搬送時の転写汚れを防ぐことができる。
塩化ビニル系重合体(A)の含有量の上限値は特に制限されず、100質量%であってもよい。
ここで、塩化ビニル系重合体の質量割合は、インク吸収層を塗工後に乾燥した割合であり、揮発分を含まない不揮発分量で換算される。
インク吸収層は、ガラス転移温度が20℃〜60℃の塩化ビニル系重合体(以下、単に塩化ビニル系重合体(B)と称することがある。)をさらに含むことができる。これによって、画像濃度を高めることができる。
塩化ビニル系重合体(B)のガラス転移温度(Tg)としては、20℃以上であることが好ましく、より好ましくは25℃以上である。
塩化ビニル系重合体(B)のガラス転移温度(Tg)としては、60℃以下であることが好ましく、より好ましくは50℃以下である。
塩化ビニル系重合体(B)としては、塩化ビニルモノマーを主成分とする重合体である。塩化ビニル系重合体(B)には、ガラス転移温度が20℃〜60℃となる範囲であれば、塩化ビニルモノマー以外のコモノマー由来の単位が含まれてもよい。コモノマーは、塩化ビニル系重合体(B)全体に対し、好ましくは15〜40モル%、より好ましくは20〜30モル%で含まれる。
このコモノマーとしては、例えばエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。
塩化ビニル系重合体(B)は、上記した塩化ビニル系重合体(A)と同様にエマルジョンの形態で支持体に塗工することが好ましい。
塩化ビニル系重合体(B)の例としては、ビニブラン278(Tg33℃)、690(Tg46℃)、902(Tg60℃)、711(Tg30℃)(日信化学工業株式会社製)、SE−1320(Tg30℃)(住化ケムテックス社製)等を挙げることができる。
塩化ビニル系重合体(B)は、インク吸収層全体に対し10質量%以上、より好ましくは15質量%以上で含まれることが好ましい。これによって、画像濃度をより高めることができる。
塩化ビニル系重合体(B)は、インク吸収層全体に対し50質量%以下、より好ましくは40質量%以下で含まれることが好ましい。これによって、インク吸収性及び細字再現性の低下を防ぐことができる。
ここで、塩化ビニル系重合体(B)の質量割合は、インク吸収層を塗工後に乾燥した割合であり、揮発分を含まない不揮発分量で換算される。
インク吸収層は、平均粒子径1μm未満のシリカ微粒子(C)をさらに含むことができる。
この平均粒子径が1μm未満であることで、光沢紙に光沢を十分に付与することができる。この平均粒子径はより好ましくは10〜500nmである。
この粒子径は、電子顕微鏡観察により面積基準の平均値として測定することができる。
シリカ微粒子(C)は、上記粒径範囲のコロイダルシリカをインク吸収層に配合することによって得ることができる。コロイダルシリカは、上記粒径を満たすのであれば、球状であっても、球状コロイダルシリカが複数個連結した非球状コロイダルシリカであってもよい。
また、シリカ微粒子(C)として、平均粒子径1μm未満の合成非晶質シリカの分散体を用いることもできる。例えば、市販品としてはSYLOJET A−30X(GRACE社製)等を挙げることができる。
シリカ微粒子(C)が30質量%以上、より好ましくは34質量%以上であることで、画像、特に細字画像の滲みの発生を低減することができる。以下、細字画像の滲みの低減の程度を細字再現性と称することがある。
シリカ粒子(C)が70質量%以下、より好ましくは67質量%以下であることで、インク吸収性の低下を防ぐことができる。
なお、インク吸収層が上記した塩化ビニル系重合体(B)を含む場合は、シリカ微粒子(C)の量は、インク吸収層全体に対し50質量%以下にすることが好ましい。
ここで、シリカ微粒子(C)の質量割合は、インク吸収層を塗工後に乾燥した割合であり、揮発分を含まない不揮発分量で換算される。
インク吸収層は、平均粒子径10μm〜20μmの非晶質シリカ(D)をさらに含むことができる。これによって、印刷物搬送時の搬送ローラからの転写汚れ、特に連続印刷時の転写汚れを低減することができる。
非晶質シリカ(D)の平均粒子径が10μm以上、より好ましくは12μm以上であることで、印刷物搬送時の転写汚れをより低減することができる。
非晶質シリカ(D)の平均粒子径が20μm以下、より好ましくは18μm以下であることで、光沢度の低下を防ぐことができる。
ここで、非晶質シリカ(D)の平均粒子径は、マイクロトラックによるレーザー回折・散乱法(体積基準:メジアン径)によって測定した値である。
非晶質シリカ(D)は、インク吸収層全体に対し、好ましくは1質量%以上であることで、印刷物搬送時の転写汚れをより低減することができる。
非晶質シリカ(D)は、インク吸収層全体に対し、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下であることで、光沢度の低下を防ぐことができる。
インク吸収層の乾燥後の厚さは、3μm以上が好ましく、より好ましくは5μm以上である。これによって、十分な光沢度を得るとともに、インクの裏抜けを防いで画像濃度を高めることができる。
インク吸収層の乾燥後の厚さは、15μ以下が好ましく、より好ましくは10μm以下である。これによって、インク吸収性の低下を防止することができる。
インク吸収層に、上記した非晶質シリカ(D)が含まれる場合は、以下の関係を満たすことが好ましい。
インク吸収層の乾燥後の厚さ<非晶質シリカ(D)の平均粒子径
これによって、インク吸収層の表面が非晶質シリカによって凹凸形状となって、印刷後に、光沢紙上のインクが搬送ローラ等に密着することを防止して、搬送時の転写汚れを防止することができる。
非晶質シリカ(D)の平均粒子径(μm)からインク吸収層の乾燥後の厚さ(μm)を引いた差は、1μm以上であることが好ましく、より好ましくは2μm以上である。また、この差は、過剰な凹凸形状を形成しないように、17μm以下であることが好ましく、より好ましくは15μm以下である。
インク吸収層の乾燥後の単位面積当たりの塗工量としては、1g/m以上であることが好ましく、より好ましくは2g/m以上である。
インク吸収層の乾燥後の単位面積当たりの塗工量としては、20g/m以下であることが好ましく、より好ましくは18g/m以下である。
単位面積当たりの塗工量が上記範囲であることで、インク吸収層の厚さを適正な範囲にして、インク吸収性、インク定着性とともに、画像特性を十分に得ることができる。
第2層としてのインク定着層は、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC)系カチオン性樹脂及びポリアミン系カチオン性樹脂のうち1種以上のカチオン性樹脂(E)を含む。
DADMAC系カチオン性樹脂としては、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドの重合体であるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドを用いることができる。
また、DADMAC系カチオン性樹脂としては、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドを有する単位と、それ以外の単位とを含む共重合体を用いることができる。
ポリアミン系カチオン性樹脂としては、各種樹脂をポリアミン化合物によってカチオン化した樹脂を用いることができる。
ポリアミン化合物としては、アミノ基が少なくとも2つ以上結合した脂肪族炭化水素を用いることができる。
カチオン性樹脂(E)としては、DADMACに由来する単位と、ポリアミン化合物に由来する単位とを含む共重合体を用いてもよい。
また、カチオン性樹脂(E)としては、DADMAC系カチオン性樹脂及びポリアミン系カチオン性樹脂をそれぞれ単独で用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
カチオン性樹脂(E)の重量平均分子量としては、10000〜500000であることが好ましく、より好ましくは30000〜300000であり、さらに好ましくは50000〜150000である。
ここで、重量平均分子量は、GPC法により、標準ポリスチレン換算により求めることができる。以下同じである。
カチオン性樹脂(E)のカチオン当量としては、0.1〜10meq/gであることが好ましく、より好ましくは1〜8meq/gである。
また、カチオン当量は、ポリビニル硫酸カリウム溶液を用いて、コロイド滴定法によって測定した値である。
カチオン性樹脂(E)としては、以下の市販品を用いることができる。
DADMAC系カチオン性樹脂として、ハイモ株式会社製「ハイマックスSC−600L」、「ハイマックスSC−100」、「ハイマックスSC−607」等、センカ株式会社製「パピオゲンP−113」等を挙げることができる。
ポリアミン系カチオン性樹脂として、星光PMC株式会社製「DK6852」、「DK6853」、「DK6854」等を挙げることができる。
カチオン性樹脂(E)は、溶媒に分散または溶解させて、インク吸収層に塗工し、その後乾燥することで、インク定着層として形成することができる。
カチオン性樹脂(E)は、インク定着層全体に対し、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。これによって、インク定着性を十分に得て、搬送時の転写汚れをより防止することができる。
カチオン性樹脂(E)の含有量の上限値は特に制限されず、100質量%であってもよい。すなわち、インク定着層をカチオン性樹脂(E)のみで構成してもよい。
ここで、カチオン性樹脂(E)の質量割合は、インク定着層を塗工後に乾燥した割合であり、揮発分を含まない不揮発分量で換算される。
カチオン性樹脂(E)として、DADMAC系カチオン性樹脂と、ポリアミン系カチオン性樹脂とを組み合わせて用いる場合は、その質量比は、5:95〜95:5であることが好ましく、より好ましくは40:60〜60:40である。
インク定着層は、フッ素系界面活性剤(F)をさらに含むことができる。これによって、印刷物に対するインク定着性を長時間にわたって高めることができる。
このフッ素系界面活性剤(F)は、ノニオン性またはカチオン性であることが好ましい。
フッ素系界面活性剤(F)としては、特に制限されないが、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキル4級アンモニウム塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物、パーフルオロアルケニルリン酸エステル、パーフルオロアルケニル4級アンモニウム塩、パーフルオロアルケニルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルケニルベタイン、パーフルオロアルケニルアミンオキサイド化合物等を、単独で、または組み合わせて用いることができる。これらのフッ素系界面活性剤(F)のなかでも、4級アンモニウム塩やアミンオキサイド化合物をより好ましく用いることができる。
フッ素系界面活性剤(F)は、インク定着層全体に対し、0.5質量%以上であることが好ましい。これによって、インク定着性を十分に得ることができる。
フッ素系界面活性剤(F)は、インク定着層全体に対し、10質量%以下であることが好ましい。これによって、印刷物の画像濃度の低下を防ぐことができる。
インク定着層の乾燥後の厚さは、0.1μm以上が好ましく、より好ましくは0.2μm以上である。一方、インク定着層の乾燥後の厚さは、3μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以下である。
インク定着層の乾燥後の単位面積当たりの塗工量としては、0.005g/m以上であることが好ましく、より好ましくは0.01g/m以上である。
インク定着層の乾燥後の単位面積当たりの塗工量としては、2.2g/m以下であることが好ましく、より好ましくは2g/m以下である。
単位面積当たりの塗工量が上記範囲であることで、インク定着層の厚さを適正な範囲にして、インク吸収性、インク定着性とともに、画像特性を十分に得ることができる。
インク吸収層及びインク定着層は、それぞれ独立して、本発明の効果を損なわない範囲で、通常用いられる添加物を含むことができる。添加物としては、分散剤、酸化防止剤、pH調整剤、消泡剤等を、単独で、または組み合わせて用いることができる。
インク吸収層に対するインク定着層の質量比「インク定着層/インク吸収層(第2層/第1層)」としては、0.5/99.5〜15/85であることが好ましく、より好ましくは2/98〜10/90である。
この質量比が15/85以下であることで、インク吸収性をより高めることができる。また、この質量比が0.5/99.5以上であることで、インク定着性をより高めることができる。
また、吸収層の塩化ビニル系重合体(A)に対する定着層のカチオン性樹脂(E)の質量比「(E)/(A)」としては、上記した観点から、69/31〜0.5/99.5であることが好ましい。
本実施形態では、支持体と、インク吸収層との間に、中間層を形成することができる。
シリカ粒子を含む中間層を設けることで、裏抜けをより低減することができ、さらにベタ画像の均一性を高めることができる。
中間層のシリカ粒子としては、沈降法、ゲル法等いずれの製法により調製されたものを用いることができる。
シリカ粒子の平均分子量としては、1μm以上であることが好ましく、より好ましくは3μm以上である。これによって、インク吸収性をより十分に得ることができる。
シリカ粒子の平均分子量としては、20μm以下であることが好ましく、より好ましくは15μm以下である。これによって、光沢紙の光沢度をより十分に得ることができる。
ここで、シリカ粒子の平均粒子径は、電子顕微鏡観察によって面積基準の平均値で求めることができる。
中間層には、シリカ粒子とともに水溶性高分子が含まれてもよい。
中間層を形成する際に、シリカ粒子とともに水溶性高分子を水に添加した混合物を、支持体上に塗工して乾燥することで、水溶性高分子がバインダーとして作用して、シリカ粒子を支持体により強固に定着することができる。
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、カゼイン等の蛋白質、デンプンおよびその誘導体、カゼイン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド系重合体、ポリビニルブチラール系重合体、あるいはこれらの各種重合体に親水性官能基を付与したもの等を挙げることができる。これらは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのうちポリビニルアルコール、ビニル系重合体、ポリビニルピロリドンが好ましく、ポリビニルアルコール、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体がより好ましい。
中間層において、水溶性高分子のシリカ粒子に対する質量比(水溶性高分子/シリカ粒子)は、好ましくは20/80〜60/40であり、より好ましくは30/70〜50/50である。水溶性高分子の比率が、この上限値よりも大きい場合はインク吸収性が悪化する傾向がある。また、水溶性高分子の比率が、この下限値よりも小さい場合は中間層の塗膜強度が低下する傾向がある。
中間層は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記したインク吸収層及びインク定着層と同様に、通常用いられる添加物を含むことができる。
中間層の乾燥後の厚さは、2μm〜15μmであることが好ましく、より好ましくは3μm〜10μmである。
中間層の乾燥後の単位面積当たりの塗工量は、0.5g/m〜20g/mであることが好ましく、より好ましくは1g/m〜15g/mである。
また、インク吸収層及びインク定着層の総量に対する中間層の質量比(インク中間層/(インク吸収層及びインク定着層の総量))は、10/90〜60/40であることが好ましく、より好ましくは15/85〜50/50である。
本実施形態において、光沢紙の支持体としては、特に制限されず、インクジェット印刷用光沢紙に用いることができる支持体であればよく、通常の原紙を用いることができる。
原紙の原料パルプとしては、通常抄紙に使用されている任意のものを用いることができ、例えば広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)等の化学パルプや、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプといった木材パルプや、古紙パルプ(DIP)を挙げることができる。さらには、コットンパルプや麻、バガス、ケナフ、エスパルト、楮、三椏、雁皮等の非木材パルプも用いることができる。好ましくは、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)を用いることができる。
原紙への内填剤としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、ゼオライト、アルミナ等を用いることができ、好ましくは、炭酸カルシウム、タルク、またはこれらの組合わせを用いることができる。さらに、原紙には、澱粉、ロジン等のサイズ剤、紙力増強剤、消泡剤、pH調整剤、色相を調整するための染料や有色顔料、視覚的白さを向上させるための蛍光染料等の抄紙用内添薬品を配合することができる。
原紙を抄造する抄紙機としては、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、ヤンキー抄紙機などの公知の装置を適宣使用することができる。原紙は、好ましくは、JIS P8177:2009「紙及び板紙−透気度及び透気抵抗度試験方法(中間領域)ガーレー法」に従い測定される透気抵抗度(ガーレー試験機法)が2.0〜30秒、より好ましくは5.0〜27秒であり、JIS P8118:1998「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に従い測定される密度が0.60〜0.80g/cm、より好ましくは0.65〜0.80g/cmであり、且つJIS P8251:2003「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に従い測定される灰分が15〜25%、より好ましくは16〜23%である。
これらの特性を備える原紙を用いることで、本発明の効果を損なうことなく、非水系インクジェット印刷用光沢紙を提供することができる。これらの特性は、内添剤の量、ジェットワイヤー比、プロファイル、プレス、カレンダーなどの抄造条件を調整し、また抄紙機のドライヤーでの蒸気圧および通気方法等の乾燥条件を調整することによって達成することができる。
本実施形態による光沢紙は、JISP8142:2005「75度鏡面光沢度の測定方法」に従い測定される75度鏡面光沢度が30%〜60%である。この範囲であることで、インクジェット印刷用の光沢紙として好ましく用いることができる。
光沢紙の光沢度は、支持体にインク吸収層及びインク定着層を形成した後に、カレンダー処理などの紙加工を施した後に、インク吸収層及びインク定着層の形成面の表面を測定した値である。
光沢紙の光沢度が60%以下、より好ましくは50%以下であることで、インク吸収性及びインク定着性をより十分に得ることができるとともに、画像特性をより改善することができる。
光沢紙の光沢度が30%以上であることで、光沢紙に光沢度を十分に付与することができる。
光沢紙の光沢度は、塩化ビニル系重合体(A)をインク吸収層全体に対し30質量%以上で用いることによって、上記範囲にすることができる。
さらに、インク吸収層にシリカ微粒子(C)を配合する量や、各層形成後のカレンダー処理の圧力に応じて、光沢紙の光沢度を調整することができる。すなわち、シリカ微粒子(C)の含有量が多いほど、また、カレンダー処理の圧力が高いほど、光沢紙の光沢度は高くなる傾向にある。ただし、カレンダー処理による圧力が高すぎる場合、インク吸収性が低下する傾向があるので、シリカ微粒子(C)の含有量による調整を併用することが好ましい。
本実施形態による非水系インクジェット印刷用光沢紙の製造方法としては、これに限定されないが、支持体上に、インク吸収層形成用液体組成物を塗工または含浸させて乾燥し、次いで、インク定着層形成用液体組成物を塗工または含浸させて乾燥し、光沢紙を得る方法がある。
中間層を形成する場合は、中間層を形成する面に、中間層形成用液体組成物を塗工または含浸させて乾燥して、中間層を得ることができる。
インク吸収層形成用液体組成物、インク定着層形成用液体組成物、中間層形成用液体組成物は、それぞれ上記した各種成分を混合し、必要であれば加熱した状態で支持体に塗工または含浸させることができる。さらに必要であれば、有機溶剤や水性溶剤と各種成分を混合して液体状またはエマルジョン状として用いてもよい。
含浸方法としては、例えば、含浸式サイズプレス装置を用いて行うことができる。
塗工方法としては、例えば、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、ゲートロールコーター等の塗工装置を用いて行うことができる。
乾燥方法としては、例えば、蒸気加熱ヒーター、ガスヒーター、赤外線ヒーター、電気ヒーター、熱風加熱ヒーター、マイクロウェーブ、シリンダードライヤー等を用いた通常の方法を行うことができる。
乾燥後、必要に応じて、後加工であるマシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等の仕上げ工程を行い、所定の光沢度の範囲となるように光沢紙に平滑性を付与することができる。さらに、その他の一般的な紙加工手段を用いてもよい。
本実施形態による光沢紙は、少なくとも色材と非水系溶剤を含む非水系インク(以下、単に「インク」と称する場合がある。)を用いるインクジェット印刷に好ましく用いることができる。
非水系インクに用いる色材としては、顔料、染料、またはこれらの組み合わせを用いることができる。
顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料及び染付レーキ顔料等の有機顔料並びに無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料等が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、金属フタロシアニン顔料及び無金属フタロシアニン顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキシサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。無機顔料としては、代表的にはカーボンブラック及び酸化チタン等が挙げられる。
染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料等の油溶性染料を挙げることができる。
これらの色材は単独で用いてもよいし、2種以を組み合わせて用いてもよい。
色材は、インク全体に対し0.01〜20質量%で配合されることが好ましく、より好ましくは1〜15質量%であり、さらに好ましくは5〜10質量%である。
非水系溶剤としては、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤のいずれも用いることができる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用することもできる。なお、本発明において、非水系溶剤としては、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合しない非水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
非極性有機溶剤としては、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素溶剤、芳香族炭化水素溶剤等の石油系炭化水素溶剤を好ましく挙げることができる。脂肪族炭化水素溶剤及び脂環式炭化水素溶剤としては、パラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系等の非水系溶剤を挙げることができ、市販品としては、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、カクタスノルマルパラフィンN−10、カクタスノルマルパラフィンN−11、カクタスノルマルパラフィンN−12、カクタスノルマルパラフィンN−13、カクタスノルマルパラフィンN−14、カクタスノルマルパラフィンN−15H、カクタスノルマルパラフィンYHNP、カクタスノルマルパラフィンSHNP、アイソゾール300、アイソゾール400、テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号、ナフテゾール160、ナフテゾール200、ナフテゾール220(いずれもJX日鉱日石エネルギー株式会社製);アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、エクソールD40、エクソールD60、エクソールD80、エクソールD95、エクソールD110、エクソールD130(いずれも東燃ゼネラル石油株式会社製)等を好ましく挙げることができる。芳香族炭化水素溶剤としては、グレードアルケンL、グレードアルケン200P(いずれもJX日鉱日石エネルギー株式会社製)、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200、ソルベッソ200ND(いずれも東燃ゼネラル石油株式会社製)等を好ましく挙げることができる。石油系炭化水素溶剤の蒸留初留点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがいっそう好ましい。蒸留初留点はJIS K0066「化学製品の蒸留試験方法」に従って測定することができる。
極性有機溶剤としては、脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等を好ましく挙げることができる。例えば、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ヘキシル、リノール酸メチル、リノール酸エチル、リノール酸イソブチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソオクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ピバリン酸2−オクチルデシル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、大豆油オクチル、トール油メチル、トール油イソブチル等の1分子中の炭素数が13以上、好ましくは16〜30の脂肪酸エステル系溶剤;イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソエイコシルアルコール、デシルテトラデカノール等の1分子中の炭素数が6以上、好ましくは12〜20の高級アルコール系溶剤;ラウリン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、α−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の1分子中の炭素数が12以上、好ましくは14〜20の高級脂肪酸系溶剤等が挙げられる。脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等の極性有機溶剤の沸点は、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさらに好ましい。なお、沸点が250℃以上の非水系溶剤には、沸点を示さない非水系溶剤も含まれる。
上記した非水系溶剤は、単独で使用してもよく、単一の相を形成する限り2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、使用する非水系溶剤と単一相を形成できる範囲で他の有機溶剤を含ませてもよい。
インクに顔料が含まれる場合は、顔料分散剤を含むことが好ましい。
顔料分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテート等を使用できるが、好ましくはエステル基を有する顔料分散剤を用いるのがよい。
顔料分散剤は有効成分量でインク中に0.01〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜5質量%の範囲で含まれる。
顔料分散剤の具体例としては、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース13940、ソルスパース28000(いずれも商品名、日本ルーブリゾール社製);フローレンDOPA−15B(商品名、共栄社化学社製);DA−703−50、DA−7300、DA234(いずれも商品名、楠本化成社製);Disperbyk−101(商品名、BykChemie社製)、ヒノアクト(商品名、川研ファインケミカル社製)等が挙げられる。これらのうち、ポリエステルアミン構造を有する顔料分散剤が特に好ましく使用でき、具体的には上記ソルスパース18000、ソルスパース13940、ソルスパース28000(いずれも商品名、日本ルーブリゾール社製)等が挙げられる。
さらに、本願出願人による特願2010−125785に記載のウレタン化油、特開2010−1452号記載のウレタン基を有する(メタ)アクリレート系ポリマー、本願出願人による特願2009−262702号記載のアルキル(メタ)アクリレート共重合体等を使用することもできる。
さらに、顔料骨格中に極性基を導入した、顔料誘導体であるシナジストを含んでもよい。顔料骨格としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、イソインドリン顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ピランスロン顔料、チオインジゴ顔料、及びキノフタロン顔料等の骨格が挙げられる。極性基としては、アルキルアミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、及びフタルイミド基等が挙げられる。これらのうち、フタロシアニン顔料、特に銅フタロシアニンブルーの骨格に、スルホン酸基、アミノ基等を導入したものが好ましく、例えば銅フタロシアニンスルホネート(ソルスパース5000、ソルスパース12000、ソルスパース22000;いずれも日本ルーブリゾール社製)が挙げられる。
非水系インクは、ビーズミル等の分散機に、顔料、非水系溶剤、及び、顔料分散剤、所望により、酸化防止剤、粘度調整剤等の任意成分、を一括又は分割して加えて攪拌・混合し、所望により、メンブレンフィルター等によりろ過することによって得られる。
インクの粘度は、インクジェット記録システムの吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において5〜30mPa・sであることが好ましく、5〜15mPa・sであることがより好ましく、約10mPa・s程度であることが、最も好ましい。
インクジェット印刷方法としては、特に限定されず、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよい。インクジェット記録装置を用いる場合は、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドから本実施形態によるインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を記録媒体に付着させるようにすることが好ましい。
本実施形態による光沢紙は、ライン印刷式のインクジェット印刷にも好ましく用いることができる。ライン印刷は、複数のノズルを主走査方向となるラインに沿って配列させた複数のインクジェットヘッドを用い、複数のインクジェットヘッドに対して光沢紙を主走査方向と直交する副走査方向に搬送することにより、印刷データを光沢紙上で少なくとも1ライン以上一括してフルライン印刷する方法である。ライン毎に印刷するので、高速印刷が可能である。
本実施形態による光沢紙は、印刷直後のインク吸収性に優れ、搬送時の転写汚れを防止することができるため、高速印刷のライン印刷式のインクジェット印刷に適する。
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の成分の割合について「%」は「質量%」、「部」は「質量部」を示す。
<原紙の作製>
広葉樹晒クラフトパルプを、フリーネス470ccまで叩解したパルプスラリー中の絶乾パルプ100部に対し、炭酸カルシウム(タマパールTP−121、奥多摩工業株式会社製)10部、タルク(タルクNTL、日本タルク社製) 4部、カチオン化澱粉(ケート308、日本NSC社製)0.8部、中性ロジンサイズ剤(NT−85、荒川化学工業社製)0.2部を配合したものを抄紙した後、ソフトキャレンダー加工を施し、秤量82.9g/mの原紙を得た。
<インク吸収層及びインク定着層の形成>
得られた原紙に、以下の手順でインク吸収層及びインク定着層を形成し、光沢紙を得た。インク吸収層形成用の塗工液及びインク定着層形成用の塗工液の処方、各層の乾燥塗工量、各層の乾燥厚さ、質量比「インク定着層/インク吸収層」を表1〜表4に示す。
各表において、インク吸収層形成用の塗工液及びインク定着層形成用の塗工液の各成分の質量割合は、乾燥後の質量割合であり、不揮発分量で換算した値である。
各工程において用いた成分は以下の通りである。
(インク吸収層)
塩化ビニル系重合体(A1):Tg80℃、樹脂エマルジョン形態、日信化学工業株式会社製「ビニブラン985」。
塩化ビニル系重合体(A2):Tg73℃、樹脂エマルジョン形態、日信化学工業社製「ビニブラン701」。
塩化ビニル系重合体(B):Tg33℃、樹脂エマルジョン形態、日信化学工業株式会社製「ビニブラン278」。
シリカ微粒子(C):コロイダルシリカ、粒径18.7nm、日本化学工業株式会社製「シリカドール40」。
合成非晶質シリカ(D1):平均粒子径16μm、東ソー・シリカ株式会社製「ニップジェルBY−001」。
合成非晶質シリカ(D2):平均粒子径19μm、水澤化学工業株式会社製「ミズカシルP−78F」。
合成非晶質シリカ(D3):平均粒子径2.7μm、東ソー・シリカ社製「ニップジェルBY−200」。
(インク定着層)
カチオン性樹脂(E1):ジアリルジメチルアンモニウムクロライド系カチオン性樹脂、分子量10万、カチオン当量5.5meq/g、ハイモ株式会社製「ハイマックスSC−600L」。
カチオン性樹脂(E2):ジアリルジメチルアンモニウムクロライド系カチオン性樹脂、分子量12万、カチオン当量2.2meq/g、センカ株式会社製「パピオゲンP−113」。
カチオン性樹脂(E3):ポリアミン系カチオン性樹脂、分子量5.5万、カチオン当量6.4meq/g、星光PMC株式会社製「DK6852」。
エピクロルヒドリン系カチオン性樹脂:分子量2万、カチオン当量4.4meq/g、センカ社製「パピオゲンP−105」。
カチオン性フッ素系活性剤(F1):パーフルオロアルケニル4級アンモニウム塩、ネオス社製「フタージェント320」。
ノニオン性フッ素系活性剤(F2):パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物、AGCセイミケミカル社製「サーフロンS−241」。
ここで、シリカ微粒子の粒径は、電子顕微鏡観察により測定した面積基準の平均値である。
また、非晶質シリカの平均粒子径は、マイクロトラックによるレーザー回折・散乱法(体積基準:メジアン径)によって測定した値である。
また、カチオン当量は、ポリビニル硫酸カリウム溶液を用いて、コロイド滴定法によって測定した値である。
また、分子量は、重量平均分子量である。
(実施例1)
原紙の片面に、塩化ビニル系重合体(A1)を、エアーナイフコーターによって、乾燥塗布量7g/mとなるように塗布した後、120℃で乾燥して、インク吸収層を形成した。塩化ビニル系重合体は、樹脂エマルジョンの形態で塗布した。以下同じである。
このインク吸収層の上に、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド系カチオン性樹脂(E1)100部と水を加え固形分濃度5.0%としたカチオン性樹脂(E1)水溶液をエアーナイフコーターによって、乾燥塗布量0.5g/mとなるように塗布した後、100℃で乾燥してインク定着層を形成し、光沢紙を得た。
(実施例2)
インク定着層形成用の塗工液として、カチオン性樹脂を、実施例1とは別のジアリルジメチルアンモニウムクロライド系カチオン性樹脂(E2)としたことを除き、実施例1と同様にして、インク吸収層及びインク定着層を形成し、光沢紙を得た。
(実施例3)
インク吸収層形成用の塗工液として、塩化ビニル系重合体を、実施例1とは別の塩化ビニル系重合体(A2)としたことを除き、実施例1と同様にして、インク吸収層及びインク定着層を形成し、光沢紙を得た。
(実施例4)
インク定着層形成用の塗工液として、カチオン性樹脂を、ポリアミン系カチオン性樹脂(E3)としたことを除き、実施例1と同様にして、インク吸収層及びインク定着層を形成し、光沢紙を得た。
(実施例5)
インク吸収層形成用の塗工液として、塩化ビニル系重合体(A1)33部と、シリカ微粒子(C)としてコロイダルシリカ67部との混合物を用いたことを除き、実施例1と同様にして、インク吸収層及びインク定着層を形成し、光沢紙を得た。
(実施例6)
インク吸収層形成用の塗工液として、塩化ビニル系重合体(A1)30部と、塩化ビニル系重合体(B)30部と、シリカ微粒子(C)40部との混合物を用いたことを除き、実施例1と同様にして、インク吸収層及びインク定着層を形成し、光沢紙を得た。
(実施例7)
インク吸収層形成用の塗工液として、塩化ビニル系重合体(A1)33部と、塩化ビニル系重合体(B)33部と、シリカ微粒子(C)34部との混合物を用いたことを除き、実施例1と同様にして、インク吸収層及びインク定着層を形成し、光沢紙を得た。
(実施例8)
インク吸収層形成用の塗工液として、塩化ビニル系重合体(A1)95部中に、合成非晶質シリカ(D1)5部を加え、カウレス分散機で分散した分散液を用いたことを除き、実施例1と同様にして、インク吸収層及びインク定着層を形成し、光沢紙を得た。
(実施例9)
インク吸収層形成用の塗工液として、塩化ビニル系重合体(A1)95部中に、合成非晶質シリカ(D2)5部加え、カウレス分散機で分散した分散液を用いたことを除き、実施例1と同様にして、インク吸収層及びインク定着層を形成し、光沢紙を得た。
(実施例10)
インク定着層形成用の塗工液として、カチオン性樹脂(E1)98部中に、カチオン性フッ素系界面活性剤(F1)2部との混合物を用いたことを除き、実施例1と同様にして、インク吸収層及びインク定着層を形成し、光沢紙を得た。
(実施例11)
インク定着層形成用の塗工液として、カチオン性樹脂(E1)98部中に、ノニオン性フッ素系界面活性剤(F2)2部との混合物を用いたことを除き、実施例1と同様にして、インク吸収層及びインク定着層を形成し、光沢紙を得た。
(実施例12)
原紙の片面に、塩化ビニル系重合体(A1)47部と、シリカ微粒子(C)50部と、合成非晶質シリカ(D1)3部の混合物を、エアーナイフコーターによって、乾燥塗布量10g/mとなるように塗布した後、120℃で乾燥して、インク吸収層を形成した。
このインク吸収層の上に、カチオン性樹脂(E1)98部中に、カチオン性フッ素系界面活性剤(F1)2部を加えた混合物と水を加え固形分濃度5.0%としたカチオン性樹脂(E1)水溶液をエアーナイフコーターによって、乾燥塗布量0.5g/mとなるように塗布した後、100℃で乾燥してインク定着層を形成し、光沢紙を得た。
(実施例13)
インク吸収層形成用の塗工液として、塩化ビニル系重合体(A1)39部と、塩化ビニル系重合体(B)19部と、シリカ微粒子(C)39部と、合成非晶質シリカ(D1)3部の混合物を用いた他は、実施例12と同様にしてインク吸収層を得た。
このインク吸収層の上にインク定着層形成用の塗工液として、DADMAC系カチオン性樹脂(E1)49部と、ポリアミン系カチオン性樹脂(E3)49部とを混合した中に、カチオン性フッ素系界面活性剤(F1)2部を加えた混合物と水とを加え固形分濃度5.0%としたカチオン性樹脂水溶液を用いた他は、実施例12と同様にしてインク定着層を形成し、光沢紙を得た。
(実施例14:中間層の例)
原紙の片面に、中間層を形成し、次いでインク吸収層及びインク定着層を形成した。
まず、合成非晶質シリカ(平均粒子径6.5μm、ミズカシルP−78A、水澤化学工業社製)100部と水を加え、カウレス分散機で固形分濃度20%になるようにシリカスラリーを調整した。このシリカスラリーに、バインダーとして、ポリビニルアルコール(クラレポバール28−98、クラレ社製)40部と、エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン(ポリゾールEVA AD−10、昭和電工社製)15部とを加え、さらに水を加えて、固形分7.5%の混合液を得た。これを、エアーナイフコーターによって、乾燥塗布量1.95g/mとなるように、原紙の片面に塗布した後、120℃で乾燥して、中間層を得た。
この中間層の上に、実施例13と同様のインク吸収層及びインク定着層を実施例13と同様に形成し、光沢紙を得た。
(実施例15)
原紙の両面に、それぞれ実施例13と同様にしてインク吸収層及びインク定着層を形成し、光沢紙を得た。
(比較例1)
インク吸収層の上にインク定着層を設けず、インク吸収層のみとしたことを除き、実施例1と同様にして、光沢紙を得た。
(比較例2)
塩化ビニル系重合体(A1)に代えて塩化ビニル系重合体(B)を用いたことを除き、実施例1と同様にして、光沢紙を得た。
(比較例3)
実施例1と同様に塩化ビニル系重合体(A1)によるインク吸収層を塗布乾燥後、インク吸収層の上に、カチオン性樹脂(E1)によるインク定着層を塗布して乾燥した後、80℃の熱カレンダー処理を行い、光沢度70%の光沢紙を得た。
(比較例4)
原紙の片面に、シリカ微粒子(C)のみを乾燥塗布量7g/mとなるように塗布した後、120℃で乾燥し、インク吸収層としたことを除き、実施例1と同様にして、光沢紙を得た。
(比較例5)
インク定着層中に含まれるカチオン性樹脂を、エピクロルヒドリン系カチオン性樹脂としたことを除き、実施例1と同様にして、インク吸収層及びインク定着層を形成し、光沢紙を得た。
(比較例6)
実施例8に記載のインク吸収層形成用の塗工液について、塗工液中に含まれる合成非晶質シリカ(D1)を平均粒子径2.7μmの合成非晶質シリカ(D3)としたことを除き、実施例8と同様にして、インク吸収層及びインク定着層を形成し、シートを得た。
(参考例)
実施例1で得られた光沢紙を、水系のインク(キヤノン株式会社製「BCI−7eシリーズ」)を搭載したパーソナルインクジェットプリンター(キヤノン株式会社製「PIXUS iP7500」)で印刷し、オルフィスEX9050で印刷した時と同様の試験を実施した。
(75度鏡面光沢度)
得られた各光沢紙について、JIS P8142に従い、白紙部の75度鏡面光沢度(%)を測定した。結果を各表に併せて示す。
Figure 2017170722
Figure 2017170722
Figure 2017170722
Figure 2017170722
<非水系インクの調製>
表5にブラックインクの処方、シアンインクの処方、マゼンタインクの処方、イエローインクの処方を示す。
各表に示す成分を各表に示す割合で混合して調合液を作製し、得られた調合液をビーズミルで十分に分散して、各色の非水系インクを調整した。
Figure 2017170722
<評価>
各光沢紙に、上記各インクを用いて印刷し、下記の方法で評価した。結果を各表に併せて示す。
(表面画像濃度)
インクジェットプリンター(理想科学工業株式会社製「オルフィスEX9050」、以下同じ)を用い、普通紙設定で、1.5cmD5cm角の黒ベタ画像を印刷した。得られたベタ画像を24時間室温で放置後、その黒ベタ箇所の表面画像濃度(表面OD値)を光学濃度計(RD−19i、マクベス社製)で測定して、以下の基準で表面画像濃度を評価した。
A:表面OD値が1.06以上。
B:表面OD値が1.00〜1.05。
C:表面OD値が0.95〜0.99。
D:表面OD値が0.94以下。
(裏抜け)
裏抜けを評価するために、上記表面画像濃度の評価と同様の印刷物を用いて、同様に24時間室温で放置後に、黒ベタ箇所の裏面画像濃度(裏面OD値)と、印刷されていない白部のOD値とを測定し、その差「裏ΔOD値」を求め、以下の基準で裏抜けを評価した。裏抜けの評価は、裏面OD値が白部のOD値と近いことが、裏面にインクが裏抜けていないことを示すため、裏ΔOD値が0に近いことが好ましい。
A:裏面ΔOD値が0.06以下。
B:裏面ΔOD値が0.07〜0.10。
C:裏面ΔOD値が0.11〜0.14。
D:裏面ΔOD値が0.15以上。
(細字再現性)
インクジェットプリンターの普通紙設定でカラーチャート(JEITA標準パターンJ6)を印字し、パターン画像の細字部分の滲み具合を目視観察して、下記基準で評価した。
A:滲みが無く文字がシャープである。
B:滲みが無い。
C:若干滲みがある。
D:滲みが顕著である。
(ベタ均一性)
インクジェットプリンターを用い、光沢紙に、普通紙設定で、1.5cmD5cm角の黒ベタで印刷して、ベタ画像の均一性を目視観察して、下記基準により評価した。
A:黒ベタ箇所が均一である。
B:黒ベタ箇所がやや不均一である。
C:黒ベタ箇所が不均一である。
D:黒ベタ箇所が明らかに不均一である。
(インク吸収性)
インクジェットプリンターを用い、光沢紙に、普通紙設定で、1.5cmD5cm角の黒ベタを印刷して、得られたベタ画像を5秒間放置した後、JIS L0849「摩擦に対する染色堅ろう度試験方法」に準拠した、摩擦試験機I形(クロックメーター)を用いて、荷重約9Nで、1往復擦り、ベタ部の変化を目視観察して、下記基準により評価した。
A:黒ベタ箇所が擦れにより変化していない。
B:黒ベタ箇所が擦れによりわずかに変化している。
C:黒ベタ箇所が擦れにより変化している。
D:黒ベタ箇所が擦れにより顕著に変化している。
(インク定着性)
上記したインク吸収性の評価において、黒ベタ画像を24時間放置したこと及び5往復擦ったことを除き、その他は同様にして、ベタ部の変化を目視観察して、下記基準により評価した。
A:黒ベタ箇所が擦れにより変化していない。
B:黒ベタ箇所が擦れによりわずかに変化している。
C:黒ベタ箇所が擦れにより変化している。
D:黒ベタ箇所が擦れにより顕著に変化している。
(連続印刷時の転写汚れ)
インクジェットプリンターの普通紙設定でカラーチャート(JEITA標準パターンJ6)をA4横セットにて連続100枚印刷し、100枚目の印刷画像の転写汚れによる不具合を目視観察して、下記基準で評価した。
A:全く転写汚れが無い。
B:軽微な汚れがあるが印刷物として問題ない。
C:転写汚れがあり、印刷物として問題あり。
D:転写汚れが顕著である。
各表に示すとおり、各実施例の光沢紙は、いずれもインク吸収性及びインク定着性が良好で、連続印刷時の転写汚れを防止することができた。また、各実施例の光沢紙は、画像特性も良好であった。
実施例1〜4では、インク吸収層の塩化ビニル系重合体と、インク定着層のカチオン性樹脂との組み合わせが異なるものの、良好な結果が得られた。
実施例5〜7では、インク吸収層がシリカ微粒子を含み、細字再現性がさらに改善された。実施例5〜7から、シリカ微粒子の含有量が多いと表面画像濃度をより高くすることができ、シリカ微粒子の含有量が少ないとインク定着性をより改善することができることがわかる。
実施例8及び9では、インク吸収層が大粒径の合成非晶質シリカを含み、連続印刷自転車汚れがさらに改善された。
実施例10及び11では、インク定着層にカチオン性またはノニオン性のフッ素系活性剤を用いており、インク定着性がより改善された。
比較例6では、実施例1と共通の成分でインク吸収層が小粒径の合成非晶質シリカをさらに含むものであり、実施例1と同様に良好な結果が得られた。
実施例12〜15では、インク定着層にカチオン性フッ素系活性剤を用いており、インク吸収層が大粒径の合成非晶質シリカをさらに含み、インク定着性が改善されるとともに、インク吸収性及び連続印刷時の転写汚れ、さらに画像特性がより改善された。
実施例13〜15では、インク吸収層の塩化ビニル系重合体及びインク定着層のカチオン性樹脂に、それぞれ2種の混合物を用いたものであり、実施例12と同様に効果を得ることができた。
実施例14では、中間層を設けた例であり、光沢度がより好ましい範囲であり、裏抜けがさらに改善された。
実施例15では、光沢紙の両面に同じインク吸収層及びインク定着層を形成したものであり、光沢紙の一方面に印刷した場合に裏抜けがさらに改善された。
各比較例の光沢紙では、連続印刷時の転写汚れを十分に防止することができなかった。
比較例1では、インク定着層を設けずインク吸収層のみであり、さらにインク定着性が低下した。
比較例2では、インク吸収層の塩化ビニル系重合体のTgが低く、連続印刷時の転写汚れがさらに発生した。また、比較例2では、インク吸収が遅い反面、24時間後の裏抜け評価が悪く、表面画像濃度も低下した。
比較例3では、実施例と共通するインク吸収層及びインク定着層を用いているが、75%光沢度が大きく、インク吸収が遅く、連続印刷時の転写汚れがさらに発生した。
比較例4では、インク吸収層がシリカ微粒子のみからなり、画像特性は良好であるものの、インク吸収が遅く、連続印刷時の転写汚れがさらに発生した。
比較例5では、インク定着層のカチオン性樹脂がエピクロルヒドリン系であり、インク吸収性及びインク定着性がさらに低下した。また、比較例5では、細字再現性及びべた均一性も低下した。
実施例6では、小粒径の非晶質シリカを用いて光沢度を低下させたものであり、光沢度が不十分であった。
参考例では、実施例1と同じ光沢紙に水系インクを用いて印刷したものであり、画像特性が低下した。これより、本実施例の光沢紙は非水系インクに適することがわかる。
本発明に係る非水系インクジェット印刷用光沢紙は、インクが速く吸収され、定着性に優れて裏抜けを低減し、連続印刷時の転写汚れを低減し、画像濃度が高く、鮮明な画像を形成することができる。本発明に係る非水系インクジェット印刷用光沢紙は、非水系インクを用いた高速インクジェット印刷用に好適である。

Claims (4)

  1. 支持体、
    前記支持体の少なくとも一方面側に形成され、ガラス転移温度が65℃〜90℃である塩化ビニル系重合体を、第1層全体に対し30質量%以上で含む第1層、及び
    前記第1層の上に形成され、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド系カチオン性樹脂及びポリアミン系カチオン性樹脂のうち1種以上のカチオン性樹脂を含む第2層を有し、
    前記第1層及び前記第2層が形成された面のJISP8142に従い測定される75度鏡面光沢度が30%〜60%である、非水系インクジェット印刷用光沢紙。
  2. 前記第1層は、平均粒子径10μm〜20μmの非晶質シリカを、第1層全体に対し1〜10質量%でさらに含む、請求項1に記載の非水系インクジェット印刷用光沢紙。
  3. 前記第2層は、ノニオン性フッ素系界面活性剤及び/またはカチオン性フッ素系界面活性剤を、第2層全体に対し0.5〜10質量%でさらに含む、請求項1または2に記載の非水系インクジェット印刷用光沢紙。
  4. 前記第1層に対する前記第2層の質量比(第2層/第1層)は0.5/99.5〜15/85である、請求項1から3のいずれか1項に記載の非水系インクジェット印刷用光沢紙。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111501405A (zh) * 2020-04-28 2020-08-07 安徽集友纸业包装有限公司 防伪烟用接装纸及其制备方法、过滤元件和吸烟产品

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