JP2015221891A - 粘着剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】調製後の粘着剤組成物の粘度変化が抑制され、長時間低粘度で使用可能な粘着剤組成物、及びこの粘着剤組成物をシート状に形成した後、裁断等の加工が問題なく行えるようになるまでに必要な養生時間が短く、加工性に優れる粘着剤シートを提供する。またこの粘着剤シートを光学フィルムに適用した粘着剤付き光学フィルム、及びこの粘着剤付き光学フィルムを、液晶セルを代表例とするガラス基板に貼合してなる光学積層体を提供する。
【解決手段】下式(I)(式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数14以下のアルキル基を表す)で示される(メタ)アクリル酸エステル(A−1)を含む単量体の重合体であるアクリル樹脂(A)、架橋剤(B)、有機酸塩(C)、及び有機酸(D)を含有することを特徴とする粘着剤組成物とし、それをシート状に形成して粘着剤シートとする。
Figure 2015221891

【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルムに適用するのに好適な粘着剤組成物に関し、この粘着剤組成物から形成される粘着剤シート、及びこの粘着剤シートを光学フィルムに適用した粘着剤付き光学フィルムにも関するものである。本発明で対象とする光学フィルムには、例えば、偏光板や位相差フィルムなどがある。本発明はまた、この粘着剤付き光学フィルムがガラス基板に積層され、液晶表示装置に好適に用いられる光学積層体にも関係している。
偏光板は、液晶表示装置に装着されて広く使用されている。偏光板は一般に、偏光フィルムの両面又は片面に透明な保護フィルムが積層された構成を有しており、その液晶セルとの貼合面側に位相差フィルムが積層されることもある。そして、液晶セルに貼合される保護フィルム又は位相差フィルムの表面に粘着剤層/剥離フィルムがこの順で貼着されることがある。
この粘着剤層は、アクリル樹脂を主成分とし、そこに架橋剤を配合してなる粘着剤組成物から形成される。架橋剤によって、経時によりアクリル樹脂中に架橋構造が形成され、必要とされる凝集力が発現するとともに加工性も向上する。このような粘着剤に対し、架橋反応を促進させ、十分な加工性を示すまでに必要な時間を短縮する手法が開発されている。例えば、特開2009-173772 号公報(特許文献1)には、水酸基を有するアクリル樹脂に、アミノ基を有するシラン化合物及びイソシアネート系架橋剤を配合することで、架橋処理におけるエージング時間の短縮によって加工性を向上でき、また耐久性などを備える粘着剤層を形成する光学部材用粘着剤組成物について記載されている。
このような粘着剤層を光学フィルムの表面に設ける方法には、例えば、粘着剤組成物を適当な基材フィルム上に塗布し、これを乾燥させて粘着剤シートを得、その粘着剤層側で光学フィルム表面に貼合する方法がある。この粘着剤シートは、乾燥後、問題なく加工できる程度に架橋が進むまで養生されるのが一般的である。特許第3065922 号公報(特許文献2)には、架橋を完遂させるのに必要な養生時間を短縮することができるアクリル系感圧接着剤組成物について記載されており、アクリル系感圧接着剤組成物に架橋触媒としてメチルトリエチルアンモニウム・オクチル酸塩を配合した例が開示されている。この方法によれば、粘着剤シート作製後の架橋反応が促進されるものの、粘着剤組成物の調製直後(溶液状態)においても架橋反応が促進され、短期間で粘着剤組成物の粘度が大幅に上昇するため、粘着剤組成物の塗布性を保持しにくいという問題があった。
上記の問題に対し、粘着剤組成物の溶液状態における架橋反応の抑制と粘着剤シート形成後における架橋反応の促進を両立させる方法として、例えば、特開2013-129813 号公報(特許文献3)には、側鎖にカルボキシル基末端を含有するアクリル樹脂を用いた粘着剤組成物中に有機酸を添加するという方法が記載されている。しかしながら、同文献に記載のアクリル樹脂は、側鎖にカルボキシル基末端を含有するため、この粘着剤組成物から形成される粘着剤シートには未反応の酸成分が残存する懸念がある。近年では、静電容量式タッチパネルなど、粘着剤層が透明導電膜に直接接触して配置されることが少なくない。この透明電極は一般的に、酸化スズを添加した酸化インジウム(ITO)や酸化亜鉛、酸化スズなどが使用される。この場合、粘着剤層に残存する酸成分によって透明導電膜が腐食してしまい、導電膜の電気抵抗値が増加する問題があった。
特開2009−173772号公報 特許第3065922号公報(特開1997−157623号公報) 特開2013−129813号公報
本発明の課題は、調製後の粘着剤組成物の粘度変化が抑制され、長時間低粘度で使用可能な粘着剤組成物、及びこの粘着剤組成物をシート状に形成した後、裁断等の加工が問題なく行えるようになるまでに必要な養生時間が短く、加工性に優れる粘着剤シートを提供することにある。また本発明の課題は、この粘着剤シートを光学フィルムに適用した粘着剤付き光学フィルム、及びこの粘着剤付き光学フィルムを、液晶セルを代表例とするガラス基板に貼合してなる光学積層体を提供することにある。
すなわち本発明は、下式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステル(A−1)を含む単量体の重合体であるアクリル樹脂(A)、架橋剤(B)、有機酸塩(C)及び有機酸(D)を含有することを特徴とする粘着剤組成物である。下式(I)において、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数14以下のアルキル基を表す。
Figure 2015221891
上記のアクリル樹脂(A)は、上記の式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステル(A−1)に加え、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(A−2)を含む単量体混合物の共重合体であることができる。アクリル樹脂(A)は、さらに下式(II)で示される芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル(A−3)を含む単量体混合物の共重合体であることができる。下式(II)において、R3は水素原子又はメチル基を表し、R4はアリール基を表し、Xは単結合又は−(C24O)n−で示されるオキシエチレンを表し、ここにnは1〜4の整数を表す。
Figure 2015221891
上記の架橋剤(B)は、イソシアネート系化合物を含有することができる。また、上記の有機酸塩(C)は、カルボキシラートアニオンを少なくとも1つ含むものであることができる。上記の有機酸(D)は、カルボン酸であることが好ましい。
上記の粘着剤組成物は、さらにシラン化合物(E)を含有することができる。また、粘着剤組成物は、さらに帯電防止剤(F)を含有することができる。
本発明の粘着剤シートは、以上のいずれかに記載の粘着剤組成物からシート状に形成されているものであることができる。
本発明の粘着剤シートは、溶液状態にある上記粘着剤組成物を基材上に塗布し、乾燥させてなるものであってもよい。塗布後、乾燥させるので、この粘着剤シートは、実質的に有機酸(D)を含まないものとすることができる。本発明の粘着剤シートは、粘着剤層の少なくとも片面に剥離フィルムが貼着されていてもよい。
本発明の粘着剤シートは、光学フィルムに貼合されて粘着剤付き光学フィルムとすることができる。この光学フィルムは、偏光フィルム又は位相差フィルムであることが好ましい。この粘着剤付き光学フィルムは、その粘着剤層側でガラス基板に積層されて光学積層体とすることができる。
本発明によれば、粘着剤組成物を調製した後であってシート状に形成する前、すなわち溶液状態における架橋反応の進行を抑制することができるため、粘着剤組成物は塗布性に優れ、かつシート状に塗布した後は速やかに架橋反応が進行し、所定のゲル分率に達するまでの養生時間を短くすることができる。したがって、粘着剤シートの加工性を向上させることができる。
加えて、有機酸(D)は、粘着剤シート形成過程において粘着剤層より揮発するため、実質的に有機酸(D)を含まない粘着シートの作製が可能である。このことから、優れた加工性を有し、かつ静電容量式タッチパネルなど、粘着剤層が透明導電膜に直接接触する構成においても問題なく使用可能な粘着剤シートの提供が可能となる。
本発明に係る光学積層体の好適な層構成の例を示す断面模式図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[粘着剤組成物]
本発明の粘着剤組成物は、アクリル樹脂(A)、架橋剤(B)及び有機酸塩(C)、及び有機酸(D)を含有するものである。まず、粘着剤組成物を構成する各成分について説明する。
〈アクリル樹脂(A)〉
上記のアクリル樹脂(A)は、下式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステル(A−1)を含む単量体の重合体であり、(メタ)アクリル酸エステル(A−1)を含む単量体混合物の共重合体であってもよい。この(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸のいずれでもよいことを意味し、そのほか(メタ)アクリレートなどというときの「(メタ)」も同様の趣旨である。本明細書では、下式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステル(A−1)を、単に「単量体(A−1)」と呼ぶことがあり、同様に後述する水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(A−2)及び式(II)で示される芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル(A−3)を、単に「単量体(A−2)」及び「単量体(A−3)」とそれぞれ呼ぶことがある。
Figure 2015221891
上記式(I)において、R1 は水素原子又はメチル基であり、R2 は炭素数14以下のアルキル基を表す。
単量体(A−1)としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−オクチル、及びアクリル酸ラウリルの如きアクリル酸直鎖アルキルエステル;
アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸イソオクチルの如きアクリル酸分枝アルキルエステル;
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、及びメタクリル酸ラウリルの如きメタクリル酸直鎖アルキルエステル;
並びに、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸イソオクチルの如きメタクリル酸分枝アルキルエステルなどが挙げられる。
これらのなかでも、アクリル酸直鎖アルキルエステルであるアクリル酸n−ブチルが好ましく、アクリル樹脂(A)の共重合に用いる全単量体100重量%に対し、アクリル酸n−ブチルが、50重量%以上となるようにするのが好ましい。
これらの単量体(A−1)は、上記式(I)で示される化合物を単独で用いることができるほか、2種以上の化合物を併用してもよい。
粘着剤シートの接着力を高め、耐久性をより向上させるという観点から、アクリル樹脂(A)は、上記の(A−1)に加え、さらに水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(A−2)を含む単量体混合物の共重合体とすることができる。これにより、アクリル樹脂(A)中に存在する水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(A−2)に由来する構造と架橋剤(B)とが、相互に架橋することで粘着剤シートにより十分な接着力が付与され、耐久性が高められる。
水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(A−2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルなどが挙げられる。これらのなかでも、アクリル酸2−ヒドロキシエチルを、アクリル樹脂(A)を構成する単量体(A−2)の一つとして用いるのが好ましい。
本発明において、アクリル樹脂(A)の共重合に前記式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステル(A−1)及び水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(A−2)を併用する場合、単量体(A−1)の配合量は、単量体混合物の全単量体100重量%に対し、50重量%以上100重量%未満とすることが好ましく、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(A−2)の配合量を、50重量%未満とすることが好ましい。単量体(A−1)及び(A−2)を、このような割合で共重合させたアクリル樹脂を採用することによって、加工性により優れる粘着剤シートを与える粘着剤組成物とすることができる。単量体(A−1)の配合量は、60〜 99.9重量%であるのがより好ましく、70〜 99.5重量%であるのがさらに好ましい。なお、単量体(A−1)と(A−2)との配合量の合計量が100重量%を超えることはない。
本発明に用いるアクリル樹脂(A)は、上記した単量体(A−1)及び(A−2)以外の単量体を含む単量体混合物の共重合体であってもよい。単量体(A−1)及び(A−2)以外の単量体の例を挙げると、下式(II)で示される分子内に芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル(A−3)、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体、極性官能基を有する不飽和単量体、分子内に脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステル、スチレン系単量体、ビニル系単量体、(メタ)アクリルアミド誘導体、分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有する単量体などがある。
Figure 2015221891
式(II)において、R3は水素原子又はメチル基を表し、R4はアリール基を表し、Xは単結合又は−(C24O)n− で示されるオキシエチレンを表し、ここにnは1〜4の整数を表すが、とりわけ0、1又は2であることが好ましい。また、R4 としては、フェニル基やベンジル基、ナフチル基のほか、トリル基やキシリル基、エチルフェニル基などを包含する核アルキル置換フェニル基、ビフェニリル基、トリフェニル基などがある。
上記式(II)で示される分子内に芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル(A−3)としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−フェノキシエトキシ)エチル、エチレンオキサイド変性ノニルフェノールの(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸2−(4−ビフェニリル)エチルなどが挙げられる。これらのなかでも特に、(メタ)アクリル酸2−フェノキシエチル又は(メタ)アクリル酸2−(2−フェノキシエトキシ)エチルを、単量体(A−3)の一つとして用いるのが好ましい。また、単量体(A−3)としては、上記式(II)で示される化合物を単独で用いてもよいし、2種以上の化合物を併用してもよい。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−カルボキシブチルなどが挙げられる。
極性官能基を有する不飽和単量体とは、単量体(A−1)、単量体(A−2)及び上記のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体以外の化合物で、極性官能基を有する不飽和単量体のことである。その極性官能基としては、エポキシ環をはじめとする複素環基などが挙げられる。複素環基を有する不飽和単量体としては、例えば、アクリロイルモルホリン、ビニルカプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、ビニルカルバゾール、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
分子内に脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステルについて、その脂環式構造とは、炭素数が、通常5以上、好ましくは5〜7程度のシクロパラフィン構造である。脂環式構造を有するアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸シクロドデシル、アクリル酸メチルシクロヘキシル、アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸tert−ブチルシクロヘキシル、α−エトキシアクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシルフェニルなどが挙げられる。また、脂環式構造を有するメタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸シクロドデシル、メタクリル酸メチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸tert−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシルフェニルなどが挙げられる。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレンのほか、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、及びオクチルスチレンの如きアルキルスチレン;
フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、及びヨードスチレンの如きハロゲン化スチレン;
さらに、ニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
ビニル系単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、及びラウリン酸ビニルの如き脂肪酸ビニルエステル;
塩化ビニルや臭化ビニルの如きハロゲン化ビニル;
塩化ビニリデンの如きハロゲン化ビニリデン;
ビニルピリジン及びビニルピロリドンの如き含窒素芳香族ビニル;
ブタジエン、イソプレン、及びクロロプレンの如き共役ジエン単量体;
さらには、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド誘導体としては、例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(5−ヒドロキシペンチル)(メタ)アクリルアミド、N−(6−ヒドロキシヘキシル)(メタ)アクリルアミド、N−(メトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(エトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(プロポキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、 N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリルアミド、N−〔2−(2−オキソ−1−イミダゾリジニル)エチル〕(メタ)アクリルアミド、2−アクリロイルアミノ−2−メチル−1−プロパンスルホン酸などが挙げられる。
分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有する単量体としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの如き分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの如き分子内に3個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体などが挙げられる。
上記したとおり、アクリル樹脂(A)は特に、単量体(A−1)を50重量%以上含む単量体混合物の共重合体であることが好ましく、単量体混合物に配合される単量体(A−1)以外の単量体の合計量は、単量体混合物の全単量体を100重量%として50重量%未満とすることが好ましく、30重量%以下とするのがより好ましく、20重量%以下とするのが特に好ましい。単量体(A−3)を配合する場合、その配合量は、 0.5〜50重量%未満であることが好ましく、1〜30重量%の範囲であるのがより好ましく、5〜15重量%の範囲であるのがさらに好ましい。単量体(A−3)をこの範囲で添加することにより、光学積層体における白ヌケや色ムラの発生を効果的に抑制することが可能である。なお、アクリル樹脂(A)の共重合に供される単量体混合物が、単量体(A−1)に加えて単量体(A−1)以外の単量体を1種以上含む場合、全単量体の合計量が100重量%を超えることはない。
以上に説明した単量体を共重合させて得られるアクリル樹脂(A)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量 Mwが50万〜200万の範囲にあるものを採用することが好ましい。この重量平均分子量Mw は、50万〜180万であることがとりわけ好ましい。標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が50万以上であると、高温高湿下での接着性が向上し、ガラス基板と粘着剤シートとの間に浮きや剥れの発生する可能性が低くなる傾向にあり、しかもリワーク性も向上する傾向にあることから好ましい。また、この重量平均分子量が200万以下であると、その粘着剤シートに貼合される光学フィルムの寸法が変化しても、その寸法変化に粘着剤層が追随して変動するので、液晶セルの周縁部の明るさと中心部の明るさとの間に差がなくなり、白ヌケや色ムラが抑制される傾向にあることから好ましい。重量平均分子量Mw と数平均分子量Mn の比Mw/Mnで表される分子量分布は、限定されないが、3〜7程度の範囲にあることが好ましい。
また、このアクリル樹脂(A)は、粘着性発現のため、そのガラス転移温度が−10〜−60℃の範囲にあることが好ましい。樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。
アクリル樹脂(A)は、例えば、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法など、公知の各種方法によって製造することができる。このアクリル樹脂(A)の製造においては通常、重合開始剤が用いられる。重合開始剤は、アクリル樹脂の製造に用いられる全ての単量体の合計100重量部に対して、 0.001〜5重量部程度使用される。
重合開始剤としては、熱重合開始剤や光重合開始剤などが用いられる。光重合開始剤として、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトンなどを挙げることができる。熱重合開始剤として、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、及び2,2′−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)の如きアゾ化合物;
ラウリルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジプロピルパーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシピバレート、及び(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイドの如き有機過酸化物;
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、及び過酸化水素の如き無機過酸化物などを挙げることができる。また、過酸化物と還元剤を併用したレドックス開始剤なども、重合開始剤として使用しうる。
アクリル樹脂の製造方法としては、上に示した方法のなかでも溶液重合法が好ましい。溶液重合法の具体例を挙げて説明すると、所望の単量体及び有機溶媒を混合し、窒素雰囲気下にて、熱重合開始剤を添加して、40〜90℃程度、好ましくは50〜80℃程度にて3〜15時間程度攪拌する方法を挙げることができる。また、反応を制御するために、単量体や熱重合開始剤を重合中に連続的又は間歇的に添加したり、有機溶媒に溶解した状態で添加したりしてもよい。ここで、有機溶媒としては、例えば、トルエンやキシレンの如き芳香族炭化水素;
酢酸エチルや酢酸ブチルの如きエステル;
プロピルアルコールやイソプロピルアルコールの如き脂肪族アルコール;
アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンの如きケトンなどを用いることができる。
〈架橋剤(B)〉
粘着剤組成物に含有される架橋剤(B)は、その具体例を挙げると、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、金属キレート系化合物、アジリジン系化合物などがある。架橋剤(B)としては、アクリル樹脂を架橋し得る官能基を分子内に少なくとも2個有するものを配合することで、経時によりアクリル樹脂中の官能基が架橋剤中のイソシアナト基と反応して架橋構造が形成されるとともに加工性も向上する。
上記のイソシアネート系化合物としては、分子内に少なくとも2個のイソシアナト基(−NCO)を有する化合物を用いるのが好ましい。その例としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどが挙げられる。また、これらのイソシアネート化合物に、グリセロールやトリメチロールプロパンの如きポリオールを反応せしめたアダクト体や、イソシアネート化合物を二量体、三量体などにしたものも、粘着剤に用いられる架橋剤となりうる。2種以上のイソシアネート系化合物を混合して用いることもできる。
エポキシ系化合物は、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物であり、例えば、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミンなどが挙げられる。2種以上のエポキシ系化合物を混合して用いることもできる。
金属キレート化合物としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム及びジルコニウムの如き多価金属に、アセチルアセトンやアセト酢酸エチルが配位した化合物などが挙げられる。
アジリジン系化合物は、エチレンイミンとも呼ばれる1個の窒素原子と2個の炭素原子からなる3員環の骨格を分子内に少なくとも2個有する化合物であり、例えば、ジフェニルメタン−4,4′−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、イソフタロイルビス−1−(2−メチルアジリジン)、トリス−1−アジリジニルホスフィンオキサイド、ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリメチロールプロパン トリス−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン トリス−β−アジリジニルプロピオネートなどが挙げられる。
これらの架橋剤のなかでも、イソシアネート系化合物、とりわけ、トリレンジイソシアネートをポリオールに反応せしめたアダクト体、トリレンジイソシアネートの二量体、トリレンジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートをポリオールに反応せしめたアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートの二量体、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、キシレンジイソシアネートをポリオールに反応せしめたアダクト体、水添キシリレンジイソシアネートをポリオールに反応せしめたアダクト体、イソホロンジイソシアネート、及び/又はイソホロンジイソシアネートをポリオールに反応せしめたアダクト体にしたもの、これらのイソシアネート系化合物の混合物などが、好ましく用いられる。
架橋剤(B)は、アクリル樹脂(A)100重量部に対し、 0.01〜5重量部の割合で配合することができる。この配合量は、好ましくはアクリル樹脂(A)100重量部に対し、0.05〜3重量部程度、さらに好ましくは0.1〜2重量部程度である。アクリル樹脂(A)100重量部に対する架橋剤(B)の量が0.01重量部以上、特に0.1重量部以上であると、粘着剤シートの耐久性が向上する傾向にあることから好ましく、また5重量部以下であると、粘着剤付き光学フィルムを液晶表示装置に適用したときの白ヌケが目立たなくなることから好ましい。
〈有機酸塩(C)〉
本発明では、上記したアクリル樹脂(A)及び架橋剤(B)に加え、さらに有機酸塩(C)を配合して粘着剤組成物とする。この有機酸塩(C)は、カルボン酸末端を有する有機酸と塩基からなる塩、すなわち有機カルボン酸塩であることが好ましい。
有機酸塩(C)として有機カルボン酸塩を用いる場合は、カルボキシラートアニオンの対カチオンが3価以下の対カチオンであることが好ましい。
上記の対カチオンとしては、金属イオン、アンモニウムイオン、ヘテロ環式構造を有するカチオンなどを挙げることができる。金属イオンの好ましい例としては、アルカリ金属イオン、及びアルカリ土類金属イオンを挙げることができ、またヘテロ環式構造を有するカチオンの好ましい例としては、ピロリニウムイオン、イミダゾリウムイオン、トリアゾニウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピリジニウムイオン、及びピペリジニウムイオンを挙げることができる。
また、有機酸塩のカルボキシラートアニオンとしては、例えば、蟻酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、ヘプタン酸イオン、オクタン酸イオン及びラウリン酸イオンの如き直鎖飽和アルキルカルボキシラートイオン;
アクリル酸イオン及びオレイン酸イオンの如き直鎖不飽和アルキルカルボキシラートイオン;
安息香酸イオン及び桂皮酸イオンの如き芳香族カルボキシラートイオン;
ニコチン酸イオンの如きヘテロ環式構造を有するカルボキシラートイオン;
コハク酸イオン、フマル酸イオン及びフタル酸イオンの如きジカルボキシラートイオン;
2−(2−エトキシ)エトキシカルボキシラートイオンの如きオキシエチレン骨格を有するカルボキシラートのアニオンなどが挙げられる。
上記のようなアニオンとカチオンとから形成される有機酸塩は、1種のみを使用してもよいし、2種以上の塩を併用してもよい。
有機酸塩(C)の配合量は、求められる粘着剤シートの養生時間により任意に調整可能であるが、例えば、アクリル樹脂(A)100重量部に対し、好ましくは 0.0001〜3重量部、より好ましくは 0.001〜2重量部、さらに好ましくは0.001〜0.1重量部である。有機酸塩(C)の配合量が 0.0001重量部未満であると、有機酸塩(C)による触媒効果が得られにくく、養生時間を短縮する効果は低くなる。一方、有機酸塩(C)の配合量が3重量部を超えると、粘着剤組成物が粘着剤シートに加工される前に架橋反応が進行してしまい、粘度上昇により塗布性を阻害してしまう。
〈有機酸(D)〉
本発明の粘着剤組成物は、上記のカルボキシラートアニオンを少なくとも1つ有する有機酸塩(C)に加え、さらに有機酸(D)を含有する。有機酸(D)は、カルボン酸、スルホン酸、チオール、アルコール又はエノールのうち、少なくとも1つを含むことが好ましく、有機酸(D)はカルボン酸であることがより好ましい。有機酸の例としては、アクリル酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸及びオクタン酸の如き直鎖アルキル鎖を有する1価のカルボン酸、シュウ酸に代表される2価のカルボン酸、クエン酸に代表される3価のカルボン酸などが挙げられる。有機酸は、これら例示の化合物に限られるものではなく、これら以外の有機酸も添加することができる。また、複数の有機酸を併用することもできる。
有機酸は、粘着剤組成物を調製する時の扱いやすさの観点から、25℃において液体又は固体であるものが好ましい。さらに粘着剤シート中への酸成分の残留量を抑制する観点から、有機酸(D)は、20℃における蒸気圧が 0.001mmHg以上であるものが好ましく、0.003mmHg以上であることがより好ましい。また、この有機酸(D)の沸点は、300℃以下であることが好ましく、270℃以下であることがより好ましい。また、この沸点は、25℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。このような有機酸を採用することにより、粘着剤組成物を用いて粘着剤シートを作製する際に、粘着剤層が形成される工程において有機酸(D)が揮発するため、実質的に酸を含まない粘着剤シートを得ることが可能となる。
有機酸(D)の配合量は、架橋触媒としての有機酸塩(C)を中和するという観点から有機酸塩(C)の配合部数を考慮して、また粘着剤組成物の塗布性を持続させるという観点から粘着剤組成物の溶液状態に必要とされる保存時間を考慮して、任意に調整することができる。有機酸(D)の配合量は、アクリル樹脂(A)100重量部に対し、好ましくは0.001 〜3重量部、さらに好ましくは0.005 〜2重量部である。その配合量が0.001 重量部よりも少ないと、粘着剤組成物の粘度上昇を十分に抑制できない傾向にあり、その配合量が3重量部よりも多いと、粘着剤シート中に有機酸(D)が残存し、架橋剤のイソシアナト基と反応し、アクリル樹脂(A)の架橋反応を阻害することがある。
〈シラン化合物(E)〉
本発明の粘着剤組成物には、粘着剤シート又は粘着剤付き光学フィルムとした後、粘着剤層とガラス基板との密着性を向上させるため、シラン化合物(E)を含有させることが好ましい。
シラン化合物(E)としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−グリシドキシプロピルエトキシジメチルシランなどが挙げられる。2種以上のシラン化合物(E)を使用してもよい。
シラン化合物(E)は、シリコーンオリゴマータイプのものであってもよい。シリコーンオリゴマーを(モノマー)−(モノマー)コポリマーの形式で示すと、例えば、次のようなものが挙げられる。
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、及び3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマーの如きメルカプトプロピル基含有のコポリマー;
メルカプトメチルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、メルカプトメチルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、メルカプトメチルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、及びメルカプトメチルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマーの如きメルカプトメチル基含有のコポリマー;
3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、及び3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマーの如きメタクリロイルオキシプロピル基含有のコポリマー;
3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、及び3−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマーの如きアクリロイルオキシプロピル基含有のコポリマー;
ビニルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、ビニルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、ビニルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、ビニルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、ビニルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、ビニルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、ビニルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、及びビニルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマーの如きビニル基含有のコポリマーなど。
これらのシラン化合物は、室温(25℃)において液体であるものが多い。粘着剤組成物におけるシラン化合物(E)の配合量は、アクリル樹脂(A)100重量部に対して通常0.01〜10重量部程度であり、好ましくは 0.03〜2重量部、さらに好ましくは0.03〜1重量部の割合で使用される。アクリル樹脂(A)の固形分100重量部に対するシラン化合物の量が 0.01重量部以上、特に 0.03重量部以上であると、粘着剤シートとガラス基板との密着性が向上することから好ましい。また、その量が10重量部以下、特に2重量部以下又は1重量部以下であると、粘着剤シートからシラン化合物がブリードアウトすることが抑制される傾向にあるため好ましい。
〈その他の成分〉
本発明の粘着剤組成物には、以上に説明したものに加え、帯電防止剤、耐候安定剤、タッキファイヤー、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、無機フィラー、アクリル樹脂(A)以外の樹脂などを配合してもよい。また、この粘着剤組成物には、さらに紫外線硬化性化合物を配合することもできる。これは、粘着剤組成物から粘着剤シートを形成した後、これに紫外線を照射して硬化させることで、より硬い粘着剤層とすることができるため、有用な方法である。
以上説明した粘着剤組成物は、良好な性能を示すものであるが、特定の剥離フィルムと接触した場合、強固に接着してしまうことを避けるため、アミノ基を含有しないことが好ましい。特に第3級アミノ基を有しないことが好ましい。
[粘着剤シート]
本発明の粘着剤シートは、以上に説明した粘着剤組成物を構成する各成分を、任意の溶剤に溶かした状態で混合するなどして溶液状態にある粘着剤組成物を得た後、適当な基材フィルム上に塗布し、これを乾燥させることにより得られる。ここで用いる基材フィルムは、プラスチックフィルムであるのが一般的であり、その典型的な例として、離型処理が施された剥離フィルム(セパレーターと呼ぶこともある)を挙げることができる。剥離フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート等の各種樹脂からなるフィルムの粘着剤シートが形成される面に、シリコーン処理の如き離型処理が施されたものなどであることができる。そして、本発明の粘着剤シートは、シート状に塗工してから架橋反応が素早く進行し、比較的高いゲル分率の値を示すことに特徴がある。
ここでゲル分率は、以下の(1)〜(4)に従って測定される値である。
(1)約8cm×約8cmの面積の粘着剤シートと、約10cm×約10cmのSUS304からなる金属メッシュ(その重量をWm とする)とを貼合する。
(2)上記(1)で得られた貼合物を秤量して、その重量をWs とし、次に粘着剤シートを包み込むように4回折りたたんでホッチキス(ステープラー)で留めた後秤量して、その重量をWb とする。
(3)上記(2)でホッチキス留めしたメッシュを蓋付きのガラス容器に入れ、酢酸エチル60mLを加えて浸漬した後、このガラス容器を25℃で3日間保管する。
(4)ガラス容器からメッシュを取り出し、120℃で24時間乾燥した後秤量して、その重量をWa とし、次式に基づいてゲル分率を計算する。
ゲル分率(重量%)=〔{Wa−(Wb−Ws)−Wm}/(Ws−Wm)〕×100
粘着剤シートは上記のとおり、製造後ある程度の時間をかけて養生し、架橋反応を進行させてある程度のゲル分率を示す状態にして使用されることが多い。このように架橋反応が進行した状態、すなわち、養生が終了した状態でのゲル分率は、例えば、それを形成する粘着剤組成物の有効成分であるアクリル樹脂(A)の種類や架橋剤(B)の量によって調整することができる。具体的には、アクリル樹脂(A)の共重合に使用する単量体(A−2)及び/又はその他の極性官能基を有する単量体の量を多くするか、又は粘着剤組成物における架橋剤(B)の量を多くすれば、ゲル分率が高くなるので、これらの量を調節することによってゲル分率を調整すればよい。
[粘着剤付き光学フィルム]
本発明の粘着剤付き光学フィルムは、以上に説明した粘着剤シートが光学フィルムに貼合されてなるものである。ここで、光学フィルムとは、光学特性を有するフィルムであり、例えば、偏光板、位相差フィルムなどが挙げられる。粘着剤シートは、光学フィルムの一方の面にのみ貼合されてもよいし、両面に貼合されてもよい。粘着剤シートが光学フィルムに貼合されている本発明の粘着剤付き光学フィルムにおいて、光学フィルムと粘着剤シートを構成する基材フィルムとの間の層を、本明細書では単に「粘着剤層」と呼ぶこともある。
上記の偏光板とは、自然光などの入射光に対し、偏光を出射する機能を持つ光学フィルムである。偏光板には、ある方向の振動面を有する直線偏光を吸収し、それと直交する振動面を有する直線偏光を透過する性質を有する直線偏光板、ある方向の振動面を有する直線偏光を反射し、それと直交する振動面を有する直線偏光を透過する性質を有する偏光分離板、偏光板と後述する位相差フィルムを積層した楕円偏光板などがある。偏光板、特に直線偏光板の機能を発現する偏光フィルム(偏光子と呼ばれることもある)の好適な具体例として、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素や二色性染料などの二色性色素が吸着配向しているものが挙げられる。偏光板は通常、この偏光フィルムの片面又は両面に保護フィルムが貼合された構成を有する。
位相差フィルムとは、光学異方性を示す光学フィルムであって、例えば、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリイミド、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリサルホン、ポリプロピレン、ポリエーテルサルホン、ポリビニリデンフルオライド/ポリメチルメタクリレート、液晶ポリエステル、アセチルセルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリ塩化ビニルなどの高分子フィルムを 1.01〜6倍程度に延伸することにより得られる延伸フィルムなどが挙げられる。なかでも、ポリカーボネートフィルムや環状ポリオレフィン系フィルムを一軸延伸又は二軸延伸した高分子フィルムが好ましい。一軸性位相差フィルム、広視野角位相差フィルム、低光弾性率位相差フィルムなどと称されるものがあるが、いずれのフィルムも位相差フィルムとして使用することができる。
また、液晶性化合物の塗布・配向によって光学異方性を発現させたフィルムや、無機層状化合物の塗布によって光学異方性を発現させたフィルムも、位相差フィルムとして用いることができる。このような位相差フィルムには、温度補償型位相差フィルムと称されるもの、また、JX日鉱日石エネルギー(株)から“NHフィルム”の商品名で販売されている棒状液晶が傾斜配向したフィルム、富士フイルム(株)から“WVフィルム”の商品名で販売されている円盤状液晶が傾斜配向したフィルム、住友化学(株)から“VACフィルム”の商品名で販売されている完全二軸配向型のフィルム、同じく住友化学(株)から“new VAC フィルム”の商品名で販売されている二軸配向型のフィルムなどがある。
さらに、これら光学フィルムに保護フィルムが貼着されたものも、光学フィルムとして用いることができる。保護フィルムとしては、透明な樹脂フィルムが用いられ、その透明樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースに代表されるアセチルセルロース系樹脂、ポリメチルメタクリレートに代表されるメタクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリスルホン樹脂などが挙げられる。保護フィルムを構成する樹脂には、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩などの紫外線吸収剤が配合されていてもよい。保護フィルムとしては、トリアセチルセルロースフィルムなどのアセチルセルロース系樹脂フィルムが好適に用いられる。
上で説明した光学フィルムのなかでも、直線偏光板は、それを構成する偏光フィルム、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂から形成される偏光フィルムの片面又は両面に保護フィルムが貼着された状態で用いられることが多い。また、前述した楕円偏光板は、直線偏光板と位相差フィルムを積層したものであるが、その直線偏光板も、偏光フィルムの片面又は両面に保護フィルムが貼着された状態であることが多い。このような楕円偏光板に本発明による粘着剤シートを貼合する場合は通常、その位相差フィルム側に貼合される。
以上に説明した光学フィルムに粘着剤シートが設けられてなる粘着剤付き光学フィルムは、その粘着剤層の表面に、先述したような離型処理が施された剥離フィルムを貼着し、使用時まで粘着剤層表面を保護しておくのが好ましい。このように剥離フィルムが設けられた粘着剤付き光学フィルムは、例えば、剥離フィルムの離型処理面に上記の粘着剤組成物を塗布して粘着剤シートを形成し、得られた粘着剤シートを光学フィルムに積層する方法、光学フィルムの上に粘着剤組成物を塗布して粘着剤シートを形成し、その粘着剤面に剥離フィルムを貼り合わせて保護し、粘着剤付き光学フィルムとする方法などにより製造できる。
光学フィルム上に形成される粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、通常は 30μm以下であるのが好ましく、また10μm 以上であるのがより好ましく、15〜25μm であるのがさらに好ましい。粘着剤層の厚さが30μm 以下であると、高温高湿下での接着性が向上し、ガラス基板と粘着剤層との間に浮きや剥れの発生する可能性が低くなる傾向にあり、しかもリワーク性が向上する傾向にあることから好ましい。またその厚さが10μm 以上であると、そこに貼合されている光学フィルムの寸法が変化しても、その寸法変化に粘着剤層が追随して変動するので、液晶セルの周縁部の明るさと中心部の明るさとの間に差がなくなり、白ヌケや色ムラが抑制される傾向にあることから好ましい。
[光学積層体]
本発明の粘着剤付き光学フィルムは、その粘着剤層側をガラス基板に積層して、光学積層体とすることができる。粘着剤付き光学フィルムをガラス基板に積層して光学積層体とするには、例えば、上記の粘着剤付き光学フィルムから剥離フィルムを剥がし、露出した粘着剤層面をガラス基板の表面に貼り合わせればよい。ガラス基板としては、例えば、液晶セルを構成するガラス基板、防眩用ガラス、サングラス用ガラスなどを挙げることができる。なかでも、液晶セルの前面側(視認側)のガラス基板に粘着剤付き光学フィルム(上偏光板)を積層し、液晶セルの背面側のガラス基板にもう一つの粘着剤付き光学フィルム(下偏光板)を積層してなる光学積層体は、液晶表示装置のためのパネル(液晶パネル)として使用できることから好ましい。ガラス基板の材料としては、例えば、ソーダライムガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラスなどがあるが、液晶セルには無アルカリガラスが好適に用いられる。
本発明に係る光学積層体について、いくつかの好適な層構成の例を図1に断面模式図で示した。図1(A)に示す例では、偏光フィルム1の片面に、表面処理層2を有する保護フィルム3をその表面処理層2とは反対側の面で貼着して、偏光板5が構成されている。この例では、偏光板5が同時に、本発明でいう光学フィルム10ともなっている。偏光フィルム1の保護フィルム3と反対側の面には、粘着剤層20を設けて、粘着剤付き光学フィルム25が構成されている。そして、その粘着剤層20の偏光板5とは反対側の面を、ガラス基板である液晶セル30に貼合して、光学積層体40が構成されている。
図1(B)に示す例では、偏光フィルム1の片面に、表面処理層2を有する第一の保護フィルム3をその表面処理層2とは反対側の面で貼着し、偏光フィルム1の他面には、第二の保護フィルム4を貼着して、偏光板5が構成されている。この例でも、偏光板5が同時に、本発明でいう光学フィルム10となっている。偏光板5を構成する第二の保護フィルム4の外側には、粘着剤層20を設けて、粘着剤付き光学フィルム25が構成されている。そして、その粘着剤層20の偏光板5とは反対側の面を、ガラス基板である液晶セル30に貼合して、光学積層体40が構成されている。
図1(C)に示す例では、偏光フィルム1の片面に、表面処理層2を有する保護フィルム3をその表面処理層2とは反対側の面で貼着し、偏光板5が構成されている。偏光フィルム1の保護フィルム3と反対側の面には、層間粘着剤8を介して位相差フィルム7を貼着し、光学フィルム10が構成されている。光学フィルム10を構成する位相差フィルム7の外側には、粘着剤層20を設けて、粘着剤付き光学フィルム25が構成されている。そして、その粘着剤層20の光学フィルム10とは反対側の面を、ガラス基板である液晶セル30に貼合して、光学積層体40が構成されている。
また、図1(D)に示す例では、偏光フィルム1の片面に、表面処理層2を有する第一の保護フィルム3をその表面処理層2とは反対側の面で貼着し、偏光フィルム1の他面には、第二の保護フィルム4を貼着して、偏光板5が構成されている。偏光板5を構成する第二の保護フィルム4の外側には、層間粘着剤8を介して位相差フィルム7を貼着し、光学フィルム10が構成されている。光学フィルム10を構成する位相差フィルム7の外側には、粘着剤層20を設けて、粘着剤付き光学フィルム25が構成されている。そして、その粘着剤層20の光学フィルム10とは反対側の面を、ガラス基板である液晶セル30に貼合して、光学積層体40が構成されている。
これらの例において、第一の保護フィルム3及び第二の保護フィルム4は、トリアセチルセルロースフィルムで構成するのが一般的であるが、その他、先に述べた各種透明樹脂フィルムで構成することもできる。また、第一の保護フィルム3の表面に形成される表面処理層は、ハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層などであることができる。これらのうち複数の層を設けることも可能である。
図1の(C)及び(D)に示す例のように、偏光板5に位相差フィルム7を積層する場合、中小型の液晶表示装置であれば、この位相差フィルム7の好適な例として、1/4波長板を挙げることができる。この場合は、偏光板5の吸収軸と1/4波長板である位相差フィルム7の遅相軸とがほぼ45度で交差するように配置するのが一般的であるが、液晶セル30の特性に応じてその角度を45度からある程度ずらすこともある。一方、テレビなどの大型液晶表示装置であれば、液晶セル30の位相差補償や視野角補償を目的に、液晶セル30の特性に合わせて各種の位相差値を有する位相差フィルムが用いられる。この場合は、偏光板5の吸収軸と位相差フィルム7の遅相軸とがほぼ直交又はほぼ平行の関係となるように配置するのが一般的である。位相差フィルム7を1/4波長板で構成する場合は、一軸又は二軸の延伸フィルムが好適に用いられる。また、位相差フィルム7を液晶セル30の位相差補償や視野角補償の目的で設ける場合には、一軸又は二軸延伸フィルムのほか、一軸又は二軸延伸に加えて厚さ方向にも配向させたフィルム、支持フィルム上に液晶等の位相差発現物質を塗布して配向固定させたフィルムなど、光学補償フィルムと呼ばれるものを、位相差フィルム7として用いることもできる。
同じく図1の(C)及び(D)に示す例のように、偏光板5と位相差フィルム7とを、層間粘着剤8を介して貼合する場合、その層間粘着剤8には、一般的なアクリル系粘着剤を用いるのが通例であるが、ここに本発明で規定する粘着剤シートを用いることも、もちろん可能である。先に述べた大型液晶表示装置のように、偏光板5の吸収軸と位相差フィルム7の遅相軸とがほぼ直交又はほぼ平行の関係となるように配置する場合で、偏光板5と位相差フィルム7とをRoll to Roll貼合することができ、両者の間の再剥離性が要求されない用途においては、図1の(C)及び(D)に示す層間粘着剤8に代えて、一旦接着したら強固に接合し、剥離できなくなる接着剤を用いることも可能である。このような接着剤としては、例えば、水溶液又は水分散液で構成され、溶剤である水を蒸発させることによって接着力を発現する水系接着剤、紫外線照射によって硬化し、接着力を発現する紫外線硬化型接着剤などを挙げることができる。
なお、図1の(C)及び(D)に示した、位相差フィルム7に粘着剤層20が形成されたもの自体も、それ自身で流通させることができ、本発明でいう粘着剤付き光学フィルムとなりうる。粘着剤層を位相差フィルム上に形成した粘着剤付き光学フィルムは、その粘着剤層をガラス基板である液晶セルに貼合して光学積層体とできるほか、その位相差フィルム側に偏光板を貼合して、別の粘着剤付き光学フィルムとすることもできる。
図1には、粘着剤付き光学フィルム25を液晶セル30の視認側に配置する場合を想定した例を示したが、本発明に係る粘着剤付き光学フィルムは、液晶セルの背面側、すなわちバックライト側に配置することもできる。本発明の粘着剤付き光学フィルムを液晶セルの背面側に配置する場合は、図1に示した表面処理層2を有する保護フィルム3の代わりに、表面処理層を有しない保護フィルムを採用し、他は図1の(A)〜(D)と同様に構成することができる。またこの場合は、偏光板を構成する保護フィルムの外側に、輝度向上フィルム、集光フィルム、拡散フィルムなど、液晶セルの背面側に配置されることが知られている各種光学フィルムを設けることも可能である。
以上説明したように、本発明の光学積層体は、有機EL表示装置、液晶表示装置に好適に用いることができる。本発明の光学積層体から形成される液晶表示装置は、例えば、ノート型、デスクトップ型、PDA(Personal Digital Assistant)などを包含するパーソナルコンピュータ用液晶ディスプレイ、テレビ、車載用ディスプレイ、電子辞書、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、電子卓上計算機、時計などに用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、使用量ないし含有量を表す「部」及び「%」は、特に断りのない限り重量基準である。以下の例では、前記式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステル(A−1)を「単量体(A−1)」と、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(A−2)を「単量体(A−2)」と、前記式(II)で示される芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル(A−3)を「単量体(A−3)」と、それぞれ呼ぶ。
また以下の例において、重量平均分子量及び数平均分子量の測定は、GPC装置にカラムとして、東ソー(株)製の“TSK gel XL”を4本と昭和電工(株)製で昭光通商(株)から販売されている“Shodex GPC KF-802” を1本、計5本を直列につないで配置し、溶出液としてテトラヒドロフランを用いて、試料濃度5mg/mL、試料導入量100μl 、温度40℃、流速1mL/分の条件で、標準ポリスチレン換算により行った。
まず、本発明で規定するアクリル樹脂(A)を製造した重合例を示す。
[重合例1]
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えた反応容器に、溶媒としての酢酸エチル81.8部、単量体(A−1)としてのアクリル酸ブチル70.4部及びアクリル酸メチル20.0部、単量体(A−2)としてのアクリル酸2−ヒドロキシエチル1.0部、単量体(A−3)としてのアクリル酸2−フェノキシエチル 8.0部、並びにその他のモノマーとしてアクリル酸 0.6部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら内温を55℃に上げた。その後、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤) 0.14部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。開始剤を添加した後1時間この温度で保持し、次いで内温を54〜56℃に保ちながら酢酸エチルを添加速度17.3部/hr で反応容器内へ連続的に加え、アクリル樹脂の濃度が35%となった時点で酢酸エチルの添加を止め、さらに酢酸エチルの添加開始から12時間経過するまでこの温度で保温した。最後に酢酸エチルを加えてアクリル樹脂の濃度が20%となるように調節し、アクリル樹脂の酢酸エチル溶液を調製した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが148万、Mw/Mnが4.3であった。これをアクリル樹脂溶液Aとする。
[重合例2]
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えた反応容器に、溶媒としての酢酸エチル81.8部、単量体(A−1)としてのアクリル酸ブチル68.0部及びアクリル酸メチル20.0部、単量体(A−2)としてのアクリル酸2−ヒドロキシエチル4.0部並びに単量体(A−3)としてのアクリル酸2−フェノキシエチル 8.0部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら内温を55℃に上げた。その後、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤) 0.14部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。開始剤を添加した後1時間この温度で保持し、次に内温を54〜56℃に保ちながら酢酸エチルを添加速度17.3部/hr で反応容器内へ連続的に加え、アクリル樹脂の濃度が35%となった時点で酢酸エチルの添加を止め、さらに酢酸エチルの添加開始から12時間経過するまでこの温度で保温した。最後に酢酸エチルを加えてアクリル樹脂の濃度が20%となるように調節し、アクリル樹脂の酢酸エチル溶液を調製した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mw が140万、Mw/Mnが4.9であった。 これをアクリル樹脂溶液Bとする。
[重合例3]
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えた反応容器に、溶媒としての酢酸エチル81.8部、単量体(A−1)としてのアクリル酸ブチル54.0部及びアクリル酸メチル35.0部、単量体(A−2)としてのアクリル酸2−ヒドロキシエチル3.0部並びに単量体(A−3)としてのアクリル酸2−フェノキシエチル 8.0部の混合溶液を仕込んだこと以外は重合例1と同様の方法により、アクリル樹脂の酢酸エチル溶液を調製した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mw が147万、Mw/Mnが3.5であった。 これをアクリル樹脂溶液Cとする。
[重合例4]
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えた反応容器に、溶媒としての酢酸エチル81.8部、単量体(A−1)としてのアクリル酸ブチル46.0部及びアクリル酸メチル40.0部、単量体(A−2)としてのアクリル酸2−ヒドロキシエチル4.0部並びに単量体(A−3)としてのアクリル酸2−フェノキシエチル 8.0部、並びにその他のモノマーとしてアクリル酸 2.0部の混合溶液を仕込んだこと以外は重合例1と同様の方法により、アクリル樹脂の酢酸エチル溶液を調製した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mw が80万、Mw/Mnが6.0であった。 これをアクリル樹脂溶液Dとする。
以上の重合例1〜4における単量体組成、得られたアクリル樹脂の重量平均分子量及びMw/Mnの一覧を表1にまとめた。表中、単量体組成の欄にある符号は、それぞれ次の単量体を意味する。
〈単量体(A−1)〉
BA :アクリル酸ブチル
MA :アクリル酸メチル
〈単量体(A−2)〉
HEA :アクリル酸2−ヒドロキシエチル
〈単量体(A−3)〉
PEA :アクリル酸2−フェノキシエチル
〈その他モノマー〉
AA :アクリル酸
Figure 2015221891
次に、上で製造したアクリル樹脂を用いて粘着剤を調製し、光学フィルムに適用した実施例及び比較例を示す。架橋剤、シラン化合物及び帯電防止剤として、それぞれ次のものを使用した。
〈架橋剤(B)〉
コロネートL:トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の酢酸エチル溶液(固形分濃度75%)、日本ポリウレタン(株)から入手。以下、 “Cor-L”と略記する。
タケネートD−110N:キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物の
酢酸エチル溶液(固形分濃度75%)、三井化学(株)から入手。以下、 “D110N”と略記する。
〈有機酸塩(C)〉
酢酸ナトリウム:和光純薬工業(株)から入手。粘着剤組成物には、エチルアルコールに溶解して0.5wt%溶液を調製し、添加した。
オクタン酸ナトリウム:和光純薬工業(株)から入手。粘着剤組成物には、エチルアルコールに溶解して0.2wt%溶液を調製し、添加した。
酢酸テトラn−ブチルアンモニウム:東京化成工業(株)から入手。粘着剤組成物には、メチルエチルケトンに溶解させて1wt%溶液を調製し、添加した。
酢酸カリウム:和光純薬工業(株)から入手。粘着剤組成物には、同時に添加する酢酸に事前に溶解させて2.4wt%酢酸溶液として調製し、添加した。
p−tBu安息香酸ナトリウム:和光純薬工業(株)から入手。粘着剤組成物には、同時に添加する酢酸に事前に溶解させて2.4wt%酢酸溶液として調製し、添加した。
ニコチン酸ナトリウム:東京化成工業(株)から入手。粘着剤組成物には、同時に添加する酢酸に事前に溶解させて2.4wt%酢酸溶液として調製し、添加した。
酢酸セシウム:東京化成工業(株)から入手。粘着剤組成物には、同時に添加する酢酸に事前に溶解させて2.4wt%酢酸溶液として調製し、添加した。
酢酸バリウム:シグマアルドリッチジャパンから入手。粘着剤組成物には、同時に添加する酢酸に事前に溶解させて2.4wt%酢酸溶液として調製し、添加した。
〈有機酸(D)〉
酢酸 :蒸気圧11.4 mmHg(20℃)、沸点97℃、和光純薬工業(株)から入手。
アクリル酸:蒸気圧3.1 mmHg(20℃)、沸点142℃、(株)日本触媒から入手。
オクタン酸:蒸気圧0.004 mmHg(20℃)、沸点237℃、和光純薬工業(株)から入手。
〈シラン化合物(E)〉
KBM-403 :3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、液体、信越化学工業(株)から入手。以下、“KBM403”と略記する。
〈帯電防止剤(F)〉
N−ヘキシル−4−メチルピリジニウム6フッ化リン(下式の構造を有する)。
Figure 2015221891
[実施例1〜25、及び比較例1〜12]
(a)粘着剤組成物の調製
粘着剤組成物1〜37を、それぞれ以下の処方により調製した。なお、上記の通り、架橋剤は酢酸エチル溶液として、有機酸塩はエチルアルコール又はメチルエチルケトン溶液として添加するか、有機酸と有機酸塩をあらかじめ混合し、有機酸溶液とした上でアクリル樹脂溶液中に添加した。表2におけるこれらの添加量は、その固形分量である。
(a−1)粘着剤組成物1〜6の調製
重合例1で製造したアクリル樹脂溶液Aの固形分100部に対し、架橋剤(B)、有機酸塩(C)及び有機酸(D)を、表2に示すそれぞれの量、配合した。さらに固形分濃度が14%となるようにメチルエチルケトンを添加し、攪拌機〔ヤマト科学(株)製の“スリーワンモーター”〕を用いて、300rpm で30分間攪拌混合し、粘着剤組成物1〜6を調製した。
(a−2)粘着剤組成物12〜16の調製
アクリル樹脂溶液Aを、重合例2で製造したアクリル樹脂溶液Bに変更し、アクリル樹脂溶液Bの固形分100部に対し、架橋剤(B)、有機酸塩(C)、有機酸(D)、シラン化合物(E)及び帯電防止剤(F)を、表2に示すそれぞれの量、配合した以外は、上記の(a−1)と同じ処方、調製方法により、粘着剤組成物12〜16を調製した。
(a−3)粘着剤組成物17〜24の調製
アクリル樹脂溶液Aを、重合例3で製造したアクリル樹脂溶液Cに変更し、アクリル樹脂溶液Cの固形分100部に対し、架橋剤(B)、有機酸塩(C)、有機酸(D)、シラン化合物(E)及び帯電防止剤(F)を、表2に示すそれぞれの量、配合した以外は、上記の(a−1)と同じ処方、調製方法により、粘着剤組成物17〜24を調製した。
(a−4)粘着剤組成物7〜11及び25の調製
アクリル樹脂溶液Aを、重合例4で製造したアクリル樹脂溶液Dに変更し、アクリル樹脂溶液Dの固形分100部に対し、架橋剤(B)、有機酸塩(C)、有機酸(D)、シラン化合物(E)及び帯電防止剤(F)を、表2に示すそれぞれの量、配合した以外は、上記の(a−1)と同じ処方、調製方法により、粘着剤組成物7〜11及び25を調製した。
(a−5)粘着剤組成物26、27及び32の調製
粘着剤組成物の調製に有機酸塩(C)及び有機酸(D)を使用せず、アクリル樹脂溶液A又はBと架橋剤(B)を、表2に示すそれぞれの種類及び量を配合した。さらに固形分濃度が14%となるようにメチルエチルケトンを添加して、攪拌機〔ヤマト科学(株)製の“スリーワンモーター”〕を用いて、300rpm で30分間攪拌混合し、粘着剤組成物26、27及び32を調製した。なお、架橋剤(B)は、アクリル樹脂溶液中の固形分100部に対し、表2に示す量を配合したものである。
(a−6)粘着剤組成物28及び30の調製
粘着剤組成物の調製に有機酸(D)を使用せず、アクリル樹脂溶液Aの固形分100部に対し、架橋剤(B)及び有機酸塩(C)を、表2に示すそれぞれの種類及び量を配合した。さらに固形分濃度が14%となるようにメチルエチルケトンを添加して、攪拌機〔ヤマト科学(株)製の“スリーワンモーター”〕を用いて、300rpm で30分間攪拌混合し、粘着剤組成物28及び30を調製した。
(a−7)粘着剤組成物29、31及び33〜35の調製
アクリル樹脂溶液Aを、重合例2で製造したアクリル樹脂溶液Bに変更した以外は、上記の(a−6)と同じ処方、調製方法により、粘着剤組成物29、31及び33〜35を調製した。
(a−8)粘着剤組成物36の調製
アクリル樹脂溶液Bの固形分100部に対し、架橋剤(B)、有機酸塩(C)、シラン化合物(E)及び帯電防止剤(F)を、表2に示すそれぞれの種類及び量を配合した。さらに固形分濃度が14%となるようにメチルエチルケトンを添加して、攪拌機〔ヤマト科学(株)製の“スリーワンモーター”〕を用いて、300rpm で30分間攪拌混合し、粘着剤組成物36を調製した。
(a−9)粘着剤組成物37の調製
アクリル樹脂溶液Bをアクリル樹脂溶液Cに変更した以外は、上記の(a−8)と同じ処方、調製方法により、粘着剤組成物37を調製した。
Figure 2015221891
(b)粘着剤組成物の粘度測定
上記の(a)で調製した粘着剤組成物について、溶液状態における粘度の経時変化を確認した。粘度の経時変化は、粘着剤組成物の調製直後の粘度と、粘着剤組成物を23℃で24時間保管した後の粘度を、ブルックフィールド粘度計〔ブルックフィールド エンジニアリング ラボラトリーズ社製の製品名“MODEL LV T”)を用いて測定することにより行った。粘着剤組成物の調製直後の測定結果を表3の「粘度変化 初期粘度」の欄に、24時間保管した後の測定結果を表3の「粘度変化 24時間後粘度」の欄に、それぞれ示した。
粘着剤組成物は、粘着剤シートを作成する工程においてシート状に塗布されるため、粘着剤組成物の粘度が高すぎると塗工性が悪くなることから、粘着剤組成物の溶液状態での粘度変化を抑制することが必要である。実用的な粘着剤組成物の条件としては、粘着剤組成物調製直後の粘度をμ0(mPa・s)、及び24時間保管した後の粘度をμ1(mPa・s)としたときに、下式で示される調製後の初期24時間の粘度変化率(Δμ)が、10%以下であることが好ましい。上記の(a)で調製した粘着剤組成物について求めた初期24時間の粘度変化率を、表3の「初期24時間粘度変化率」の欄に示した。
初期24時間粘度変化率(Δμ)(%)=(μ1/μ0−1)×100
(c)粘着剤シートの作製
上記の(a)で調製したそれぞれの粘着剤組成物を、離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム〔リンテック(株)の商品名“SP-PLR382050”、セパレーターと呼ぶ〕の離型処理面に、アプリケーターを用いて乾燥後の粘着層の厚さが20μm となるように塗布し、100℃で1分間乾燥させて粘着剤シートを作製した。
(d)粘着剤シートのゲル分率測定
上記の(c)で作製した粘着剤シートを、温度23℃、相対湿度65%の条件下で保管し、養生させた。1日間養生した後、及び3日間養生した後のそれぞれについて、上記のゲル分率測定方法に従いゲル分率を測定した。1日間保管後の測定結果を表3の「ゲル分率変化 1日後」の欄に、3日間保管後の測定結果を表3の「ゲル分率変化 3日後」の欄に、それぞれ百分率で示した。
養生の完了は、ゲル分率が一定以上の数値に到達し、かつゲル分率の時間変化が十分に小さくなったことをもって判断した。その養生の進行度合いを判断する数値として、下式で示される架橋率比(T)を用いた。架橋率比(T)は、その値が1に近いほど、架橋反応が収束傾向であることを示しており、養生がより短時間で完結することから好ましい。上記の(c)で作製した粘着剤シートについて求めた架橋率比を、表3の「架橋率比」の欄に示した。
架橋率比(T)=3日間保管後のゲル分率/1日間保管後のゲル分率
Figure 2015221891
(e)粘着剤中の酸の残存量の定量
上記(c)実施例17及び実施例20〜21で作製した粘着剤シート中を温度23℃、相対湿度65%の条件下で7日間保管し、養生させた。続いて粘着剤シートより切り出した粘着剤シート片(8cm×8cm)をアセトニトリルに浸し、非架橋成分を抽出した。抽出成分を含むアセトニトリル溶液をフィルター(孔径0.45μm、PTFE、GE Healthcare Life Sciences社製)を通して濾過した後、該抽出液中の有機酸(D)量を高速液体クロマトグラフ((株)島津製作所製 LC−20A)を用いて定量し、粘着剤シート中に残存する有機酸(D)量を検量線法により算出した。
本分析により求められた粘着剤シート中の残留酸濃度を表4に示す。
Figure 2015221891
表中、単量体組成の欄にある符号は、それぞれ次の単量体を意味する。
AA :アクリル酸
CEA :アクリル酸2−カルボキシエチル
AcOH :酢酸
有機酸(D)としてアクリル酸を添加した実施例17では、アクリル酸自体の残存は検出下限値以下に抑えられているものの、アクリル酸中に初期から不純物成分として含有する微量の2−カルボキシエチルアクリレートが粘着剤シート中に残留し、70ppmの残存が確認されるのに対し、有機酸(D)をより高蒸気圧の酢酸に変更した実施例20及び21においては、粘着剤シート中の有機酸成分の残存は検出下限以下に抑えられ、実質的に酸を含まない粘着剤シートが得られる。なお、本評価法における検出下限値は0.001%である。
表2及び表3から、本願で規定するカルボキシラートアニオンを少なくとも1つ有する有機酸塩(C)及び有機酸(D)を共存させた粘着剤組成物を用いた実施例では、どちらか一方又は双方を配合していない比較例に比べ、初期24時間の粘度変化率(Δμ)及び架橋率比(T)の数値が、いずれも小さい値を示している。この結果から、これら粘着剤組成物では、溶液状態における架橋反応の進行が十分に抑制されており、これを調製した後、長期間にわたって粘度変化がない状態で保管することが可能であることがわかる。また、これらの粘着剤組成物は、粘着剤シート形成工程において有機酸(D)が除去され、その後、粘着剤シート中に存在する有機酸塩に由来する塩基によって架橋が促進され、養生時間の短縮を図ることも可能である。
また、主成分のアクリル樹脂(A)中にカルボキシル基を有するアクリル樹脂Aを使用した実施例1〜6、及びアクリル樹脂(A)中にカルボキシル基を有しないアクリル樹脂Bを使用した実施例12〜16において、粘着剤組成物の調製後の粘度上昇が抑制され、また粘着剤シート形成後の養生時間が短縮されていることから、本発明によれば、アクリル樹脂(A)が酸成分を含まない場合であっても粘着剤シートを効率的に作製することが可能であることがわかる。
(f)粘着剤付き偏光板の作製
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向している偏光フィルムの片方の面がトリアセチルセルロースからなる保護フィルムで、他方の面がシクロオレフィンからなる保護フィルムで挟まれている3層構造の偏光板のシクロオレフィンからなる保護フィルム面にコロナ処理を施し、上記(c)で作製した粘着剤シートのセパレーターと反対側の面(粘着剤面)をラミネーターにより貼り合わせたのち、温度23℃、相対湿度65%の条件で7日間養生して、粘着剤付き偏光板を作製した。
(g)粘着剤シートの耐熱試験、耐湿熱試験及び耐ヒートショック試験
上記の(f)で作製した粘着剤付き偏光板からセパレーターを剥がした後、その粘着剤面を液晶セル用ガラス基板〔商品名“EAGLE XG”、コーニング社から入手〕の両面にクロスニコルとなるように貼着し、光学積層体を作製した。この光学積層体につき、温度80℃の乾燥条件で500時間保管する耐熱試験を行った場合(表5では「耐熱」と表記)、温度60℃、相対湿度90%で500時間保管する耐湿熱試験を行った場合(表5では「耐湿熱」と表記)、及び、70℃に加熱した状態から−30℃に降温し、次いで70℃に昇温する過程を1サイクル(1時間)として、これを100サイクル繰り返す耐ヒートショック試験を行った場合(表5では「耐HS」と表記)のそれぞれについて、試験後の光学積層体を目視で観察した。結果を以下の基準で分類し、表5にまとめた。
〈耐熱試験、耐湿熱試験及び耐ヒートショック試験の評価基準〉
◎:浮き、剥れ、発泡等の外観変化が全くみられない。
○:浮き、剥れ、発泡等の外観変化がほとんどみられない。
△:浮き、剥れ、発泡等の外観変化がやや目立つ。
×:浮き、剥れ、発泡等の外観変化が顕著に認められる。
(h)光学積層体の粘着力評価
上記(f)で作製した粘着剤層が形成された偏光板を、25mm×150mmの大きさの試験片に裁断した。試験片からセパレーターを剥がし、その粘着剤面を貼付装置〔フジプラ(株)製の商品名“ラミパッカー”〕により、液晶セル用ガラス基板〔商品名“EAGLE XG”、コーニング社から入手〕に貼り付けた。得られたガラス基板が貼り付けられた試験片(ガラス基板が貼り付けられた光学積層体)を、オートクレーブ中、温度50℃、圧力5kgf/cm(490.3kPa)で、20分間加圧した。さらに、温度23℃、相対湿度55%の雰囲気中に24時間静置した。静置後サンプルを、引張試験機〔(株)島津製作所製のAUTOGRAPH AGS−X〕にチャッキングし、温度23℃、相対湿度55%の環境下において、引張速度300mm/分の条件で180°方向に剥離した。この際に測定される剥離強度を粘着力として評価した。結果を表5に示す。
Figure 2015221891
表5で示すように、本発明の処方により調製した粘着剤組成物から得られる粘着剤シートは、ガラス基材に対して高い粘着力を示すとともに、十分な耐熱、耐湿熱、耐HS特性が確保されている。
本発明の粘着剤組成物は、長期間粘度変化を抑制することができ、塗布性に優れる。また、この粘着剤組成物を用いた粘着剤シートは、シート状に形成した後、加工を行うことができるまでに必要な養生時間を短くすることができ、加工性に優れる。さらにこの粘着剤シートは、実質的に酸成分を含まないものとすることができるため、この粘着剤シートを貼合してなる光学フィルムは、液晶表示装置に好適に用いられる。
1……偏光フィルム、
2……表面処理層、
3……(第一の)保護フィルム、
4……第二の保護フィルム、
5……偏光板、
7……位相差フィルム、
8……層間粘着剤、
10……光学フィルム、
20……液晶セル(ガラス基板)に貼合される粘着剤層(粘着剤シート)、
25……粘着剤付き光学フィルム、
30……液晶セル(ガラス基板)、
40……光学積層体。

Claims (14)

  1. 下式(I)
    Figure 2015221891
    (式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数14以下のアルキル基を表す)
    で示される(メタ)アクリル酸エステル(A−1)を含む単量体の重合体であるアクリル樹脂(A)、架橋剤(B)、有機酸塩(C)、及び有機酸(D)を含有することを特徴とする粘着剤組成物。
  2. 前記アクリル樹脂(A)は、前記式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステル(A−1)に加え、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(A−2)を含む単量体混合物の共重合体である請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. 前記アクリル樹脂(A)は、さらに
    下式(II)
    Figure 2015221891
    (式中、R3は水素原子又はメチル基を表し、R4はアリール基を表し、Xは単結合又は−(C24O)n− で示されるオキシエチレンを表し、ここにnは1〜4の整数を表す)
    で示される(メタ)アクリル酸エステル(A−3)を含む単量体混合物の共重合体である請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
  4. 前記架橋剤(B)は、イソシアネート系化合物を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤組成物。
  5. 前記有機酸塩(C)は、カルボキシラートアニオンを少なくとも1つ含む有機カルボン酸塩である請求項1〜4のいずれかに記載の粘着剤組成物。
  6. 前記有機酸(D)がカルボン酸を含む請求項1〜5のいずれかに記載の粘着剤組成物。
  7. さらにシラン化合物(E)を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の粘着剤組成物。
  8. さらに帯電防止剤(F)を含有する請求項1〜7いずれかに記載の粘着剤組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の粘着剤組成物から形成されていることを特徴とする粘着剤シート。
  10. 溶液状態にある請求項1〜8のいずれかに記載の粘着剤組成物を基材上に塗布し、乾燥させてなる粘着剤シート。
  11. 少なくとも片面に剥離フィルムが貼着されている請求項9又は10のいずれかに記載の粘着剤シート。
  12. 請求項9又は10に記載の粘着剤シートが、光学フィルムに貼合されてなることを特徴とする粘着剤付き光学フィルム。
  13. 前記光学フィルムが、偏光フィルム又は位相差フィルムである請求項12に記載の粘着剤付き光学フィルム。
  14. 請求項12又は13に記載の粘着剤付き光学フィルムが、その粘着剤層側でガラス基板に積層されてなることを特徴とする光学積層体。
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