JP2015221891A - 粘着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下式(I)(式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数14以下のアルキル基を表す)で示される(メタ)アクリル酸エステル(A−1)を含む単量体の重合体であるアクリル樹脂(A)、架橋剤(B)、有機酸塩(C)、及び有機酸(D)を含有することを特徴とする粘着剤組成物とし、それをシート状に形成して粘着剤シートとする。
【選択図】なし
Description
本発明の粘着剤組成物は、アクリル樹脂(A)、架橋剤(B)及び有機酸塩(C)、及び有機酸(D)を含有するものである。まず、粘着剤組成物を構成する各成分について説明する。
上記のアクリル樹脂(A)は、下式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステル(A−1)を含む単量体の重合体であり、(メタ)アクリル酸エステル(A−1)を含む単量体混合物の共重合体であってもよい。この(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸のいずれでもよいことを意味し、そのほか(メタ)アクリレートなどというときの「(メタ)」も同様の趣旨である。本明細書では、下式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステル(A−1)を、単に「単量体(A−1)」と呼ぶことがあり、同様に後述する水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(A−2)及び式(II)で示される芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル(A−3)を、単に「単量体(A−2)」及び「単量体(A−3)」とそれぞれ呼ぶことがある。
アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸イソオクチルの如きアクリル酸分枝アルキルエステル;
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、及びメタクリル酸ラウリルの如きメタクリル酸直鎖アルキルエステル;
並びに、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸イソオクチルの如きメタクリル酸分枝アルキルエステルなどが挙げられる。
フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、及びヨードスチレンの如きハロゲン化スチレン;
さらに、ニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
塩化ビニルや臭化ビニルの如きハロゲン化ビニル;
塩化ビニリデンの如きハロゲン化ビニリデン;
ビニルピリジン及びビニルピロリドンの如き含窒素芳香族ビニル;
ブタジエン、イソプレン、及びクロロプレンの如き共役ジエン単量体;
さらには、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの如き分子内に3個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体などが挙げられる。
ラウリルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジプロピルパーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシピバレート、及び(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイドの如き有機過酸化物;
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、及び過酸化水素の如き無機過酸化物などを挙げることができる。また、過酸化物と還元剤を併用したレドックス開始剤なども、重合開始剤として使用しうる。
酢酸エチルや酢酸ブチルの如きエステル;
プロピルアルコールやイソプロピルアルコールの如き脂肪族アルコール;
アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンの如きケトンなどを用いることができる。
粘着剤組成物に含有される架橋剤(B)は、その具体例を挙げると、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、金属キレート系化合物、アジリジン系化合物などがある。架橋剤(B)としては、アクリル樹脂を架橋し得る官能基を分子内に少なくとも2個有するものを配合することで、経時によりアクリル樹脂中の官能基が架橋剤中のイソシアナト基と反応して架橋構造が形成されるとともに加工性も向上する。
本発明では、上記したアクリル樹脂(A)及び架橋剤(B)に加え、さらに有機酸塩(C)を配合して粘着剤組成物とする。この有機酸塩(C)は、カルボン酸末端を有する有機酸と塩基からなる塩、すなわち有機カルボン酸塩であることが好ましい。
アクリル酸イオン及びオレイン酸イオンの如き直鎖不飽和アルキルカルボキシラートイオン;
安息香酸イオン及び桂皮酸イオンの如き芳香族カルボキシラートイオン;
ニコチン酸イオンの如きヘテロ環式構造を有するカルボキシラートイオン;
コハク酸イオン、フマル酸イオン及びフタル酸イオンの如きジカルボキシラートイオン;
2−(2−エトキシ)エトキシカルボキシラートイオンの如きオキシエチレン骨格を有するカルボキシラートのアニオンなどが挙げられる。
本発明の粘着剤組成物は、上記のカルボキシラートアニオンを少なくとも1つ有する有機酸塩(C)に加え、さらに有機酸(D)を含有する。有機酸(D)は、カルボン酸、スルホン酸、チオール、アルコール又はエノールのうち、少なくとも1つを含むことが好ましく、有機酸(D)はカルボン酸であることがより好ましい。有機酸の例としては、アクリル酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸及びオクタン酸の如き直鎖アルキル鎖を有する1価のカルボン酸、シュウ酸に代表される2価のカルボン酸、クエン酸に代表される3価のカルボン酸などが挙げられる。有機酸は、これら例示の化合物に限られるものではなく、これら以外の有機酸も添加することができる。また、複数の有機酸を併用することもできる。
本発明の粘着剤組成物には、粘着剤シート又は粘着剤付き光学フィルムとした後、粘着剤層とガラス基板との密着性を向上させるため、シラン化合物(E)を含有させることが好ましい。
本発明の粘着剤組成物には、以上に説明したものに加え、帯電防止剤、耐候安定剤、タッキファイヤー、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、無機フィラー、アクリル樹脂(A)以外の樹脂などを配合してもよい。また、この粘着剤組成物には、さらに紫外線硬化性化合物を配合することもできる。これは、粘着剤組成物から粘着剤シートを形成した後、これに紫外線を照射して硬化させることで、より硬い粘着剤層とすることができるため、有用な方法である。
本発明の粘着剤シートは、以上に説明した粘着剤組成物を構成する各成分を、任意の溶剤に溶かした状態で混合するなどして溶液状態にある粘着剤組成物を得た後、適当な基材フィルム上に塗布し、これを乾燥させることにより得られる。ここで用いる基材フィルムは、プラスチックフィルムであるのが一般的であり、その典型的な例として、離型処理が施された剥離フィルム(セパレーターと呼ぶこともある)を挙げることができる。剥離フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート等の各種樹脂からなるフィルムの粘着剤シートが形成される面に、シリコーン処理の如き離型処理が施されたものなどであることができる。そして、本発明の粘着剤シートは、シート状に塗工してから架橋反応が素早く進行し、比較的高いゲル分率の値を示すことに特徴がある。
(1)約8cm×約8cmの面積の粘着剤シートと、約10cm×約10cmのSUS304からなる金属メッシュ(その重量をWm とする)とを貼合する。
(2)上記(1)で得られた貼合物を秤量して、その重量をWs とし、次に粘着剤シートを包み込むように4回折りたたんでホッチキス(ステープラー)で留めた後秤量して、その重量をWb とする。
(3)上記(2)でホッチキス留めしたメッシュを蓋付きのガラス容器に入れ、酢酸エチル60mLを加えて浸漬した後、このガラス容器を25℃で3日間保管する。
(4)ガラス容器からメッシュを取り出し、120℃で24時間乾燥した後秤量して、その重量をWa とし、次式に基づいてゲル分率を計算する。
ゲル分率(重量%)=〔{Wa−(Wb−Ws)−Wm}/(Ws−Wm)〕×100
本発明の粘着剤付き光学フィルムは、以上に説明した粘着剤シートが光学フィルムに貼合されてなるものである。ここで、光学フィルムとは、光学特性を有するフィルムであり、例えば、偏光板、位相差フィルムなどが挙げられる。粘着剤シートは、光学フィルムの一方の面にのみ貼合されてもよいし、両面に貼合されてもよい。粘着剤シートが光学フィルムに貼合されている本発明の粘着剤付き光学フィルムにおいて、光学フィルムと粘着剤シートを構成する基材フィルムとの間の層を、本明細書では単に「粘着剤層」と呼ぶこともある。
本発明の粘着剤付き光学フィルムは、その粘着剤層側をガラス基板に積層して、光学積層体とすることができる。粘着剤付き光学フィルムをガラス基板に積層して光学積層体とするには、例えば、上記の粘着剤付き光学フィルムから剥離フィルムを剥がし、露出した粘着剤層面をガラス基板の表面に貼り合わせればよい。ガラス基板としては、例えば、液晶セルを構成するガラス基板、防眩用ガラス、サングラス用ガラスなどを挙げることができる。なかでも、液晶セルの前面側(視認側)のガラス基板に粘着剤付き光学フィルム(上偏光板)を積層し、液晶セルの背面側のガラス基板にもう一つの粘着剤付き光学フィルム(下偏光板)を積層してなる光学積層体は、液晶表示装置のためのパネル(液晶パネル)として使用できることから好ましい。ガラス基板の材料としては、例えば、ソーダライムガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラスなどがあるが、液晶セルには無アルカリガラスが好適に用いられる。
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えた反応容器に、溶媒としての酢酸エチル81.8部、単量体(A−1)としてのアクリル酸ブチル70.4部及びアクリル酸メチル20.0部、単量体(A−2)としてのアクリル酸2−ヒドロキシエチル1.0部、単量体(A−3)としてのアクリル酸2−フェノキシエチル 8.0部、並びにその他のモノマーとしてアクリル酸 0.6部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら内温を55℃に上げた。その後、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤) 0.14部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。開始剤を添加した後1時間この温度で保持し、次いで内温を54〜56℃に保ちながら酢酸エチルを添加速度17.3部/hr で反応容器内へ連続的に加え、アクリル樹脂の濃度が35%となった時点で酢酸エチルの添加を止め、さらに酢酸エチルの添加開始から12時間経過するまでこの温度で保温した。最後に酢酸エチルを加えてアクリル樹脂の濃度が20%となるように調節し、アクリル樹脂の酢酸エチル溶液を調製した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが148万、Mw/Mnが4.3であった。これをアクリル樹脂溶液Aとする。
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えた反応容器に、溶媒としての酢酸エチル81.8部、単量体(A−1)としてのアクリル酸ブチル68.0部及びアクリル酸メチル20.0部、単量体(A−2)としてのアクリル酸2−ヒドロキシエチル4.0部並びに単量体(A−3)としてのアクリル酸2−フェノキシエチル 8.0部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら内温を55℃に上げた。その後、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤) 0.14部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。開始剤を添加した後1時間この温度で保持し、次に内温を54〜56℃に保ちながら酢酸エチルを添加速度17.3部/hr で反応容器内へ連続的に加え、アクリル樹脂の濃度が35%となった時点で酢酸エチルの添加を止め、さらに酢酸エチルの添加開始から12時間経過するまでこの温度で保温した。最後に酢酸エチルを加えてアクリル樹脂の濃度が20%となるように調節し、アクリル樹脂の酢酸エチル溶液を調製した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mw が140万、Mw/Mnが4.9であった。 これをアクリル樹脂溶液Bとする。
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えた反応容器に、溶媒としての酢酸エチル81.8部、単量体(A−1)としてのアクリル酸ブチル54.0部及びアクリル酸メチル35.0部、単量体(A−2)としてのアクリル酸2−ヒドロキシエチル3.0部並びに単量体(A−3)としてのアクリル酸2−フェノキシエチル 8.0部の混合溶液を仕込んだこと以外は重合例1と同様の方法により、アクリル樹脂の酢酸エチル溶液を調製した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mw が147万、Mw/Mnが3.5であった。 これをアクリル樹脂溶液Cとする。
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えた反応容器に、溶媒としての酢酸エチル81.8部、単量体(A−1)としてのアクリル酸ブチル46.0部及びアクリル酸メチル40.0部、単量体(A−2)としてのアクリル酸2−ヒドロキシエチル4.0部並びに単量体(A−3)としてのアクリル酸2−フェノキシエチル 8.0部、並びにその他のモノマーとしてアクリル酸 2.0部の混合溶液を仕込んだこと以外は重合例1と同様の方法により、アクリル樹脂の酢酸エチル溶液を調製した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mw が80万、Mw/Mnが6.0であった。 これをアクリル樹脂溶液Dとする。
BA :アクリル酸ブチル
MA :アクリル酸メチル
〈単量体(A−2)〉
HEA :アクリル酸2−ヒドロキシエチル
〈単量体(A−3)〉
PEA :アクリル酸2−フェノキシエチル
〈その他モノマー〉
AA :アクリル酸
コロネートL:トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の酢酸エチル溶液(固形分濃度75%)、日本ポリウレタン(株)から入手。以下、 “Cor-L”と略記する。
タケネートD−110N:キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物の
酢酸エチル溶液(固形分濃度75%)、三井化学(株)から入手。以下、 “D110N”と略記する。
酢酸ナトリウム:和光純薬工業(株)から入手。粘着剤組成物には、エチルアルコールに溶解して0.5wt%溶液を調製し、添加した。
オクタン酸ナトリウム:和光純薬工業(株)から入手。粘着剤組成物には、エチルアルコールに溶解して0.2wt%溶液を調製し、添加した。
酢酸テトラn−ブチルアンモニウム:東京化成工業(株)から入手。粘着剤組成物には、メチルエチルケトンに溶解させて1wt%溶液を調製し、添加した。
酢酸カリウム:和光純薬工業(株)から入手。粘着剤組成物には、同時に添加する酢酸に事前に溶解させて2.4wt%酢酸溶液として調製し、添加した。
p−tBu安息香酸ナトリウム:和光純薬工業(株)から入手。粘着剤組成物には、同時に添加する酢酸に事前に溶解させて2.4wt%酢酸溶液として調製し、添加した。
ニコチン酸ナトリウム:東京化成工業(株)から入手。粘着剤組成物には、同時に添加する酢酸に事前に溶解させて2.4wt%酢酸溶液として調製し、添加した。
酢酸セシウム:東京化成工業(株)から入手。粘着剤組成物には、同時に添加する酢酸に事前に溶解させて2.4wt%酢酸溶液として調製し、添加した。
酢酸バリウム:シグマアルドリッチジャパンから入手。粘着剤組成物には、同時に添加する酢酸に事前に溶解させて2.4wt%酢酸溶液として調製し、添加した。
酢酸 :蒸気圧11.4 mmHg(20℃)、沸点97℃、和光純薬工業(株)から入手。
アクリル酸:蒸気圧3.1 mmHg(20℃)、沸点142℃、(株)日本触媒から入手。
オクタン酸:蒸気圧0.004 mmHg(20℃)、沸点237℃、和光純薬工業(株)から入手。
KBM-403 :3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、液体、信越化学工業(株)から入手。以下、“KBM403”と略記する。
(a)粘着剤組成物の調製
粘着剤組成物1〜37を、それぞれ以下の処方により調製した。なお、上記の通り、架橋剤は酢酸エチル溶液として、有機酸塩はエチルアルコール又はメチルエチルケトン溶液として添加するか、有機酸と有機酸塩をあらかじめ混合し、有機酸溶液とした上でアクリル樹脂溶液中に添加した。表2におけるこれらの添加量は、その固形分量である。
重合例1で製造したアクリル樹脂溶液Aの固形分100部に対し、架橋剤(B)、有機酸塩(C)及び有機酸(D)を、表2に示すそれぞれの量、配合した。さらに固形分濃度が14%となるようにメチルエチルケトンを添加し、攪拌機〔ヤマト科学(株)製の“スリーワンモーター”〕を用いて、300rpm で30分間攪拌混合し、粘着剤組成物1〜6を調製した。
アクリル樹脂溶液Aを、重合例2で製造したアクリル樹脂溶液Bに変更し、アクリル樹脂溶液Bの固形分100部に対し、架橋剤(B)、有機酸塩(C)、有機酸(D)、シラン化合物(E)及び帯電防止剤(F)を、表2に示すそれぞれの量、配合した以外は、上記の(a−1)と同じ処方、調製方法により、粘着剤組成物12〜16を調製した。
アクリル樹脂溶液Aを、重合例3で製造したアクリル樹脂溶液Cに変更し、アクリル樹脂溶液Cの固形分100部に対し、架橋剤(B)、有機酸塩(C)、有機酸(D)、シラン化合物(E)及び帯電防止剤(F)を、表2に示すそれぞれの量、配合した以外は、上記の(a−1)と同じ処方、調製方法により、粘着剤組成物17〜24を調製した。
アクリル樹脂溶液Aを、重合例4で製造したアクリル樹脂溶液Dに変更し、アクリル樹脂溶液Dの固形分100部に対し、架橋剤(B)、有機酸塩(C)、有機酸(D)、シラン化合物(E)及び帯電防止剤(F)を、表2に示すそれぞれの量、配合した以外は、上記の(a−1)と同じ処方、調製方法により、粘着剤組成物7〜11及び25を調製した。
粘着剤組成物の調製に有機酸塩(C)及び有機酸(D)を使用せず、アクリル樹脂溶液A又はBと架橋剤(B)を、表2に示すそれぞれの種類及び量を配合した。さらに固形分濃度が14%となるようにメチルエチルケトンを添加して、攪拌機〔ヤマト科学(株)製の“スリーワンモーター”〕を用いて、300rpm で30分間攪拌混合し、粘着剤組成物26、27及び32を調製した。なお、架橋剤(B)は、アクリル樹脂溶液中の固形分100部に対し、表2に示す量を配合したものである。
粘着剤組成物の調製に有機酸(D)を使用せず、アクリル樹脂溶液Aの固形分100部に対し、架橋剤(B)及び有機酸塩(C)を、表2に示すそれぞれの種類及び量を配合した。さらに固形分濃度が14%となるようにメチルエチルケトンを添加して、攪拌機〔ヤマト科学(株)製の“スリーワンモーター”〕を用いて、300rpm で30分間攪拌混合し、粘着剤組成物28及び30を調製した。
アクリル樹脂溶液Aを、重合例2で製造したアクリル樹脂溶液Bに変更した以外は、上記の(a−6)と同じ処方、調製方法により、粘着剤組成物29、31及び33〜35を調製した。
アクリル樹脂溶液Bの固形分100部に対し、架橋剤(B)、有機酸塩(C)、シラン化合物(E)及び帯電防止剤(F)を、表2に示すそれぞれの種類及び量を配合した。さらに固形分濃度が14%となるようにメチルエチルケトンを添加して、攪拌機〔ヤマト科学(株)製の“スリーワンモーター”〕を用いて、300rpm で30分間攪拌混合し、粘着剤組成物36を調製した。
アクリル樹脂溶液Bをアクリル樹脂溶液Cに変更した以外は、上記の(a−8)と同じ処方、調製方法により、粘着剤組成物37を調製した。
上記の(a)で調製した粘着剤組成物について、溶液状態における粘度の経時変化を確認した。粘度の経時変化は、粘着剤組成物の調製直後の粘度と、粘着剤組成物を23℃で24時間保管した後の粘度を、ブルックフィールド粘度計〔ブルックフィールド エンジニアリング ラボラトリーズ社製の製品名“MODEL LV T”)を用いて測定することにより行った。粘着剤組成物の調製直後の測定結果を表3の「粘度変化 初期粘度」の欄に、24時間保管した後の測定結果を表3の「粘度変化 24時間後粘度」の欄に、それぞれ示した。
初期24時間粘度変化率(Δμ)(%)=(μ1/μ0−1)×100
上記の(a)で調製したそれぞれの粘着剤組成物を、離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム〔リンテック(株)の商品名“SP-PLR382050”、セパレーターと呼ぶ〕の離型処理面に、アプリケーターを用いて乾燥後の粘着層の厚さが20μm となるように塗布し、100℃で1分間乾燥させて粘着剤シートを作製した。
上記の(c)で作製した粘着剤シートを、温度23℃、相対湿度65%の条件下で保管し、養生させた。1日間養生した後、及び3日間養生した後のそれぞれについて、上記のゲル分率測定方法に従いゲル分率を測定した。1日間保管後の測定結果を表3の「ゲル分率変化 1日後」の欄に、3日間保管後の測定結果を表3の「ゲル分率変化 3日後」の欄に、それぞれ百分率で示した。
架橋率比(T)=3日間保管後のゲル分率/1日間保管後のゲル分率
上記(c)実施例17及び実施例20〜21で作製した粘着剤シート中を温度23℃、相対湿度65%の条件下で7日間保管し、養生させた。続いて粘着剤シートより切り出した粘着剤シート片(8cm×8cm)をアセトニトリルに浸し、非架橋成分を抽出した。抽出成分を含むアセトニトリル溶液をフィルター(孔径0.45μm、PTFE、GE Healthcare Life Sciences社製)を通して濾過した後、該抽出液中の有機酸(D)量を高速液体クロマトグラフ((株)島津製作所製 LC−20A)を用いて定量し、粘着剤シート中に残存する有機酸(D)量を検量線法により算出した。
本分析により求められた粘着剤シート中の残留酸濃度を表4に示す。
CEA :アクリル酸2−カルボキシエチル
AcOH :酢酸
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向している偏光フィルムの片方の面がトリアセチルセルロースからなる保護フィルムで、他方の面がシクロオレフィンからなる保護フィルムで挟まれている3層構造の偏光板のシクロオレフィンからなる保護フィルム面にコロナ処理を施し、上記(c)で作製した粘着剤シートのセパレーターと反対側の面(粘着剤面)をラミネーターにより貼り合わせたのち、温度23℃、相対湿度65%の条件で7日間養生して、粘着剤付き偏光板を作製した。
上記の(f)で作製した粘着剤付き偏光板からセパレーターを剥がした後、その粘着剤面を液晶セル用ガラス基板〔商品名“EAGLE XG”、コーニング社から入手〕の両面にクロスニコルとなるように貼着し、光学積層体を作製した。この光学積層体につき、温度80℃の乾燥条件で500時間保管する耐熱試験を行った場合(表5では「耐熱」と表記)、温度60℃、相対湿度90%で500時間保管する耐湿熱試験を行った場合(表5では「耐湿熱」と表記)、及び、70℃に加熱した状態から−30℃に降温し、次いで70℃に昇温する過程を1サイクル(1時間)として、これを100サイクル繰り返す耐ヒートショック試験を行った場合(表5では「耐HS」と表記)のそれぞれについて、試験後の光学積層体を目視で観察した。結果を以下の基準で分類し、表5にまとめた。
◎:浮き、剥れ、発泡等の外観変化が全くみられない。
○:浮き、剥れ、発泡等の外観変化がほとんどみられない。
△:浮き、剥れ、発泡等の外観変化がやや目立つ。
×:浮き、剥れ、発泡等の外観変化が顕著に認められる。
上記(f)で作製した粘着剤層が形成された偏光板を、25mm×150mmの大きさの試験片に裁断した。試験片からセパレーターを剥がし、その粘着剤面を貼付装置〔フジプラ(株)製の商品名“ラミパッカー”〕により、液晶セル用ガラス基板〔商品名“EAGLE XG”、コーニング社から入手〕に貼り付けた。得られたガラス基板が貼り付けられた試験片(ガラス基板が貼り付けられた光学積層体)を、オートクレーブ中、温度50℃、圧力5kgf/cm2(490.3kPa)で、20分間加圧した。さらに、温度23℃、相対湿度55%の雰囲気中に24時間静置した。静置後サンプルを、引張試験機〔(株)島津製作所製のAUTOGRAPH AGS−X〕にチャッキングし、温度23℃、相対湿度55%の環境下において、引張速度300mm/分の条件で180°方向に剥離した。この際に測定される剥離強度を粘着力として評価した。結果を表5に示す。
2……表面処理層、
3……(第一の)保護フィルム、
4……第二の保護フィルム、
5……偏光板、
7……位相差フィルム、
8……層間粘着剤、
10……光学フィルム、
20……液晶セル(ガラス基板)に貼合される粘着剤層(粘着剤シート)、
25……粘着剤付き光学フィルム、
30……液晶セル(ガラス基板)、
40……光学積層体。
Claims (14)
- 前記アクリル樹脂(A)は、前記式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステル(A−1)に加え、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(A−2)を含む単量体混合物の共重合体である請求項1に記載の粘着剤組成物。
- 前記架橋剤(B)は、イソシアネート系化合物を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤組成物。
- 前記有機酸塩(C)は、カルボキシラートアニオンを少なくとも1つ含む有機カルボン酸塩である請求項1〜4のいずれかに記載の粘着剤組成物。
- 前記有機酸(D)がカルボン酸を含む請求項1〜5のいずれかに記載の粘着剤組成物。
- さらにシラン化合物(E)を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の粘着剤組成物。
- さらに帯電防止剤(F)を含有する請求項1〜7いずれかに記載の粘着剤組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の粘着剤組成物から形成されていることを特徴とする粘着剤シート。
- 溶液状態にある請求項1〜8のいずれかに記載の粘着剤組成物を基材上に塗布し、乾燥させてなる粘着剤シート。
- 少なくとも片面に剥離フィルムが貼着されている請求項9又は10のいずれかに記載の粘着剤シート。
- 請求項9又は10に記載の粘着剤シートが、光学フィルムに貼合されてなることを特徴とする粘着剤付き光学フィルム。
- 前記光学フィルムが、偏光フィルム又は位相差フィルムである請求項12に記載の粘着剤付き光学フィルム。
- 請求項12又は13に記載の粘着剤付き光学フィルムが、その粘着剤層側でガラス基板に積層されてなることを特徴とする光学積層体。
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