JP2015221845A - 複合体の製造方法、及び複合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(工程1)天然セルロースを、N−オキシル化合物を用いて35℃以上50℃以下の温度で酸化反応を行い、酸化セルロースを得る酸化工程と、(工程2)前記酸化セルロースを解繊して微細化セルロースの分散液を得る分散化工程と、(工程3)微細化工程により得られた微細化セルロース分散液中に金属塩を添加して還元することで、平板状金属微粒子を成長させるとともに、前記平板状金属微粒子と微細化セルロースとの複合体を形成する複合体形成工程とを含む、複合体の製造方法とする。
【選択図】図2
Description
このような理由から、高粘度なCSNFを用いる場合は、低濃度で用いる必要がある。しかし、この場合、複合組成物や積層体形成用組成物として用いるには溶媒過多となって作業効率の低下や乾燥エネルギーの増加といった問題が生じ、経済性を損なってしまう。
前記複合体を含有する分散液を、
金属微粒子の濃度が2.5×10−4mol/lになるように調整し、
光路長1cmにおいて分散媒をリファレンスとしたときに、
500nm以上2500nm以下の波長領域に透過率が極小となる極小波長を有し、
かつ前記極小波長における透過率が30%以下であることを特徴とする複合体である。
(工程1)天然セルロースを原料とし、N−オキシル化合物を用いて35℃以上50℃以下の温度で酸化反応を行い、酸化セルロースを得る、酸化工程と、
(工程2)前記酸化セルロースを軽微な機械処理によって解繊して微細化セルロースの水分散液を得る、分散化工程と、
(工程3)微細化工程により得られた微細化セルロース分散液中に金属イオンを含有させ、還元することで、平板状金属微粒子を成長させるとともに、前記平板状金属微粒子と微細化セルロースとを複合化する、複合体形成工程と、を含む方法で製造される。
このように結晶表面に導入されたカルボキシ基を有する酸化セルロースを(工程2)にて機械処理によって微細化すると、微細化セルロース間に静電的な反発力が働くため、水性媒体中でミクロフィブリル単位(短軸径約3nm)にまで分散したCSNFを得ることができる。
続いて、(工程3)では、結晶表面に規則正しく導入されたカルボキシ基を有する微細化セルロースの分散液に金属塩を添加し、カルボキシ基に金属イオンが配位し、還元すると、微細化セルロースが金属微粒子と相互作用して金属微粒子の形態や凝集に影響を及ぼし、形状やサイズの制御された複合体が得られると考えられる。
特に、(工程1)にてN−オキシル化合物を用いて35℃以上50以下の温度で酸化反応を行うことで、工程を増やすことなく、結晶構造を維持したまま低粘度なCSNFを得ることができる。低粘度なCSNFを用いることで、(工程3)にてより高い濃度のCSNFを用いて複合体を形成でき、また作業性が良いため生産性が向上する。また、低粘度なCSNFを用いることで安定的に生産性よく複合体を製造できる。
本発明によって、環境調和型材料を用い、環境負荷が低く、また簡便な操作で、低エネルギー、低コストで、煩雑な工程を含まずに、分散性が良好な形状やサイズが制御された複合体を製造できる。
本発明によって製造される複合体においても平板状金属微粒子の形状やサイズを制御することで、特定の波長領域に吸収を有し、光学フィルター、遮熱フィルム、色材等に応用できる。また、複合体を形成する金属微粒子の特性によって、触媒、抗菌剤等にも利用できる。
本発明において原料として用いる天然セルロースとしては、機械パルプ、化学パルプ、セミケミカルパルプ等の木材パルプ、具体的には漂白及び未漂白クラフト木材パルプ、加水分解済みクラフト木材パルプ、亜硫酸木材パルプ等をはじめ、古紙、バクテリアセルロース、バロニアセルロース、ホヤセルロース、綿セルロース、麻セルロース並びにこれらの混合物を用いることができ、これらを物理的、化学的処理した物質の何れを用いてもよい。材料調達の容易さおよび価格の面から各種木材パルプを原料とすることが好ましい。
微細化工程は、前記酸化セルロースを軽微な機械処理によって解繊して微細化セルロースの分散液を得る工程である。
微細化セルロースの分散液を得る方法としてはまず、セルロースに水性媒体を加えて懸濁させる。水性媒体としては、前記と同様のものが挙げられ、水が特に好ましい。必要に応じて、セルロースや生成する微細化セルロースの分散性を上げるために、懸濁液のpH調整を行ってもよい。pH調整に用いられるアルカリ水溶液としては、前記酸化工程の説明で挙げたアルカリ水溶液と同様のものが挙げられる。続いて該懸濁液に物理的解繊処理を施して、微細化セルロースの分散液を得る。
物理的解繊処理としては、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突などの機械的処理が挙げられる。このような物理的解繊処理を例えば前記TEMPO酸化セルロースに行うことで、懸濁液中のセルロースが微細化され、繊維表面にカルボキシ基を有するCSNFの分散液を得ることができる。
また、微細化セルロースを含む分散液は低粘度であるため、作業性がよく、高濃度の状態でも流動性が良好であるため、微細化セルロースを高濃度で用いることができ、複合体の生産性が向上する。
微細化セルロースを低粘度化する方法は、特許文献5から特許文献8に記載であるが、いずれもTEMPO酸化以外に新たな工程を設けるものであり、それに伴う新たな洗浄工程や廃液処理工程を設ける必要が生じるため、結局のところ経済性を損なってしまう。本発明では、新たにTEMPO酸化以外の工程を設けずに、低粘度で、結晶構造が維持された微細化セルロースを得られる。
本発明の(工程1)と(工程2)を含有する方法で得られた微細化セルロースについて説明する。(工程1)、(工程2)にて得られた微細化セルロースを用いることで、環境負荷が低く、また簡便な操作で、低エネルギー、低コストで形状やサイズが制御された複合体を製造することができる。また、本発明により製造された複合体は、溶媒への分散性が良好である。
複合体は、微細化セルロースの分散液中に、金属イオン源である金属塩を添加し、還元析出させることで複合体を製造できる。還元されて生成する金属原子またはクラスターと微細化セルロースが相互作用を及ぼすことで複合体が生成すると考えられる。
サイズや形状を均一にするために、微細化セルロースは繊維状であることが好ましく、短軸径が均一であるCSNFは、複合体のサイズや形状の制御に好適である。また、CSNFは、繊維表面に規則的にカルボキシ基を有する。このカルボキシ基は、複合体を製造する際、金属イオンが配位して複合体生成の起点となると考えられるため、CSNFは複合体製造に好適である。
より好ましくは、0.5質量%分散液の粘度(25℃)が、せん断速度が1s−1のときに100mPa・s以上1000mPa・s以下であり、せん断速度が10s−1のときに30mPa・s以上80mPa・s以下であることが好ましい。
また、得られる複合体の形状やサイズは、微細化セルロースの長軸の径により影響を受ける。(工程1)、(工程2)を経て、繊維を短繊維化することで、複合体の形成に適した長軸径を有する微細化セルロースを得ることができる。
一般に、短軸や長軸の径を求める場合、透過型電子顕微鏡や原子間力顕微鏡により軸径を測定し、平均値を得る方法が知られる。しかし、上記の方法は煩雑な作業を必要とする。粘度特性は長軸径や短軸径の軸径を反映し、より簡便に評価できる。このため、粘度特性を制御することで、複合体の形成に適した微細化セルロースを得ることができる。
複合体形成工程は、微細化工程により得られた微細化セルロース分散液に、金属塩を添加して還元析出させることで複合体を形成する。金属表面と溶媒は、強い親和力は無く、そのままでは粒子は凝集沈殿してしまう。微細化セルロースの存在により金属微粒子の特徴が大きく変化する。
微細化セルロースの存在下で前駆体金属イオンを還元すると金属原子が生成し、核発生、成長を経て金属微粒子が生成する。この過程で金属微粒子と微細化セルロースが相互作用し、金属微粒子の形態や凝集に影響を及ぼし、形状やサイズの制御された複合体が得られると考えられる。前駆体金属イオンは微細化セルロースのカルボキシ基に配位し、還元析出することで、カルボキシ基を起点に相互作用を及ぼすと考えられる。
例えば、球状の銀微粒子は通常400 nm付近に吸収を有するが、銀と微細化セルロースとを含有する複合体は、その異方性により、500nm以上の波長領域に吸収を有する。
次に、前記混合溶液中の金属イオンを還元して平板状金属微粒子を成長させるとともに、平板状金属微粒子と微細化セルロースとを複合化する。
本実施形態の製造方法の複合体形成工程では、特に限定されないが、先ず、混合溶液中への還元剤の添加により、微細化セルロース12に設けたカルボキシ基を起点に金属の析出が開始する。そして、析出した金属は金属微粒子の一次粒子11aを形成する(図1中の左図を参照)。さらに反応が進むと、これらの一次粒子11a同士が凝集して、平板状の金属微粒子(すなわち、平板状金属微粒子)11を形成する。この際、微細化セルロース12の一部12aが巻き込まれるとともに残部12bが露出した状態で複合化する(図1中の右図を参照)。
以上の工程により、本実施形態の平板状金属微粒子11と微細化セルロース12との複合体1を得ることができる。
分散液中の金属イオン量は、特に限定されないが、微細化セルロース表面にカルボキシ基が存在する場合、カルボキシ基量未満となるように調製することが好ましい。分散液中の金属イオン量が微細化セルロース表面に存在するカルボキシ基量を上回ってしまうと微細化セルロースが凝集する場合がある。
本発明を適用した一実施形態である複合体について説明する。
図2は、本発明を適用した一実施形態である複合体の構成を模式的に示す図である。図2に示すように、本実施形態の複合体1は、平板状の金属微粒子(平板状金属微粒子)11と、少なくとも一つ以上の微細化されたセルロース12とが複合化された、平板状金属微粒子と微細化セルロースとの複合体であり、それぞれの微細化セルロース12について少なくとも一部(一部分)又は全部が平板状金属微粒子11の内部に取り込まれており、残部が平板状金属微粒子11の表面に露出するように複合化されたものである。
このようにして得られた複合体において、前記微細化セルロース12のそれぞれは、少なくとも一部又は全部が前記平板状金属微粒子11の内部に取り込まれるとともに、残部が当該平板状金属微粒子11の表面に露出する。本発明の複合体は、分散安定性の面から、前記金属微粒子と前記微細化セルロースとが不可分であることが好ましい。
平板状金属微粒子11の粒子径dの平均値は、2nm以上1000nm以下であることが好ましく、より好ましくは20以上500nm以下、20以上400nm以下が更に好ましい。
平板状金属微粒子11の粒子厚みhの平均値、すなわち表面13と裏面14の距離hは、1以上100nm以下が好ましく、5nm以上50nm以下がより好ましい。
アスペクト比d/hの平均値は、2.0以上が好ましく、2.0以上100以下がより好ましく、2.0以上50以下が更に好ましい。
平均値は100個の粒子を測定して求める。本発明の複合体は、直径dを任意に変化させ、粒子径d/厚みhのアスペクト比を制御することで、光学特性を制御できる。
特に、本発明の複合体は、500nm以上2500nm以下の波長領域で、透過率が極小となる極小波長を有するように制御しやすく、また遮熱フィルムや色材へ応用できる。そのため、本発明の複合体を含有する分散液は、500nm以上2500nm以下の波長領域が極小となる極小波長を有することが好ましい。
複合体は、平板状金属微粒子11と微細化セルロース12を含んでいればよく、他の成分を含んでも構わない。
平板状金属微粒子の粒子径及び厚みの測定方法、ならびにアスペクト比の算出方法としては、具体的には、例えば、以下の方法が挙げられる。
(1)粒子径の測定法
複合体を含む分散液をTEM観察用支持膜付き銅グリッド上にキャストして風乾したのち、透過型電子顕微鏡観察を行う。得られた画像中の平板状金属微粒子を、円で近似した際の径を平面方向の粒子径として算出する。
(2)厚みの測定法
図6のように複合体を含む分散液をPETフィルム上にキャストして風乾し包埋樹脂で固定したものをミクロトームで断面方向に切削し、透過型電子顕微鏡観察を行う。得られた画像中の平板状金属微粒子の厚みを平面方向の粒子径として算出する。
(3)アスペクト比の算出方法
上述のようにして求めた粒子径dを粒子厚みhで割った値を、アスペクト比=d/hとして算出する。
粒子径、厚み、アスペクト比の平均値は100個の粒子の平均として算出できる。なお、上述した測定方法および算出方法は一例であり、特にこれらに限定されるものではない。
複合体の光学特性は、例えば分光光度計UV−3600(株式会社島津製作所)を用いて以下の方法で評価することができる。
複合体を含有する分散液を、金属微粒子の濃度が2.5×10−4mol/lになるように調整し、光路長1cmにおいて分散媒をリファレンスとして200nmから2600nmの波長領域の分光透過率を測定する。得られた透過スペクトルより、透過率が極小となったときの波長を極小波長(λmax)とする。
本発明の複合体に含有される金属種は、特に限定されず、用途に合わせて任意の金属種を用いることができる。例えば、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、白金、亜鉛、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウムなどの金属、金属塩、金属錯体およびこれらの合金、または酸化物、複酸化物等が挙げられる。特に、赤外線を遮蔽する目的では、少なくとも銀を含む1種類以上が好ましい。複合体中に含まれる金属の割合は特に限定されない。
(複合体の利用方法)
成形の方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、射出成形法、圧縮成形法、積層成形法、トランスファ成形法、押出成形法、インフレーション成形法、Tダイ成形法、押出ラミネート、ブロー成形法、真空成形法、スプラッシュ成形法、低圧積層成形法が挙げられる。
複合体と成形材料の複合組成物や複合体を含有するコーティング層は、成形性の向上や劣化抑制、複合体の分散性の向上等の目的で、公知の添加剤を混合することができる。例えば、熱安定剤、安定化助剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤を含んでも構わない。
(酸化工程)
針葉樹クラフトパルプ70gを蒸留水3500gに懸濁し、蒸留水350gにTEMPOを0.7g、臭化ナトリウムを7g溶解させた溶液を加え、20℃まで冷却した。ここに2mol/L、密度1.15g/mLの次亜塩素酸ナトリウム水溶液450gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。系内の温度は常に35℃に保ち、反応中のpHの低下は0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加することでpH10に保ち続けた。セルロースの質量に対して、水酸化ナトリウムが2.0mmol/gになった時点で、過剰量のエタノールを添加し反応を停止させた。その後、ガラスフィルターを用いて蒸留水によるろ過洗浄を繰り返し、酸化セルロースを得た。
前記TEMPO酸化で得た酸化セルロース1gを99gの蒸留水に分散させ、ジューサーミキサーで30分間微細化処理し、1質量%の微細化セルロース水分散液を得た。
硝酸銀を蒸留水50mLに溶解させ、硝酸銀水溶液を調製した。水素化ホウ素ナトリウムを蒸留水50mLに溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム水溶液を調製した。前記1%微細化セルロース水分散液50g対し、前記硝酸銀水溶液0.5gを室温(25℃)で攪拌しながら添加した。30分攪拌を続けたのち、硝酸銀水溶液を添加し、更に水素化ホウ素ナトリウム水溶液を添加して銀と微細化セルロースとを含有する複合体を製造した。
実施例1の酸化工程において、TEMPO酸化反応中に系内の温度を常に40℃に保ったこと以外は、実施例1と同様の条件で複合体を形成した。
実施例1の酸化工程において、TEMPO酸化反応中に系内の温度を常に45℃に保ったこと以外は、実施例1と同様の条件で複合体を形成した。
実施例1の酸化工程において、セルロースの質量に対して、水酸化ナトリウムが3.0mmol/gになった時点で、過剰量のエタノールを添加しTEMPO酸化反応を停止させた以外は、実施例1と同様の条件で複合体を形成した。
実施例1の酸化工程において、セルロースの質量に対して、水酸化ナトリウムが4.0mmol/gになった時点で、過剰量のエタノールを添加しTEMPO酸化反応を停止させた以外は、実施例1と同様の条件で複合体を形成した。
実施例1の微細化工程において、前記TEMPO酸化で得た酸化セルロース2gを98gのの蒸留水に分散させ、ジューサーミキサーで30分間微細化処理し、2質量%の微細化セルロース水分散液を得た。複合体形成工程においては、前記2%微細化セルロース水分散液50g対し、前記硝酸銀水溶液1.0gを室温(25℃)で攪拌しながら添加した。30分攪拌を続けたのち、硝酸銀水溶液を添加し、更に水素化ホウ素ナトリウム水溶液を添加して銀と微細化セルロースとを含有する複合体を製造した。上記以外は実施例1と同様に複合体を形成した。
実施例1の酸化工程において、TEMPO酸化反応中に系内の温度を常に15℃に保ったこと以外は、実施例1と同様の条件で複合体を形成した。
実施例1の酸化工程において、TEMPO酸化反応中に系内の温度を常に20℃に保ったこと以外は、実施例1と同様の条件で複合体を形成した。
実施例1の酸化工程において、TEMPO酸化反応中に系内の温度を常に20℃に保ち、
セルロースの質量に対して、水酸化ナトリウムが4.0mmol/gになった時点で、過剰量のエタノールを添加しTEMPO酸化反応を停止させた以外は、実施例1と同様の条件で複合体を形成した。
実施例1の酸化工程において、TEMPO酸化反応中に系内の温度を常に55℃に保ち、
セルロースの質量に対して、水酸化ナトリウムが4.0mmol/gになった時点で、過剰量のエタノールを添加しTEMPO酸化反応を停止させた以外は、実施例1と同様の条件で複合体を形成した。
実施例1から実施例6及び比較例1から比較例4で得られた酸化セルロース、微細化セルロースについて、カルボキシ基量、分子量、分散液の光線透過率及びレオロジー測定を次のように行い、複合体を含有する分散液の透過率の極小値における波長(λmax)を以下のように行った。
分散処理前の酸化セルロースについて、含有されるカルボキシ基量は以下の方法にて算出した。酸化セルロースの乾燥重量換算0.2gをビーカーにとり、イオン交換水80mlを添加する。そこに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mlを加え、攪拌させながら0.1M塩酸を加えて全体がpH2.8となるように調整した。ここに自動滴定装置(東亜ディーケーケー株式会社、AUT−701)を用いて0.1M水酸化ナトリウム水溶液を0.05ml/30秒で注入し、30秒毎の電導度とpH値を測定し、pH11まで測定を続けた。得られた電導度曲線から水酸化ナトリウムの滴定量を求め、カルボキシ基の含有量を算出した。
TEMPO酸化セルロースの結晶化度を算出した。測定には試料水平型多目的X線回折装置(UltimaIII、株式会社リガク製)を用い、X線出力:(40kv、40mA)の条件で、5°≦2θ≦35°の範囲でX線回折パターンを測定した。得られるX線回折パターンはセルロースI型結晶構造に由来するものであるため、以下に示す手法によって結晶化度を算出した。
結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100
ただし、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、及びI18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。
原子間力顕微鏡を用いて微細化セルロースの数平均短軸長を算出した。まず微細化セルロースの分散液を0.001%となるように希釈したのち、マイカ板上に20μLずつキャストして風乾した。乾燥後に原子間力顕微鏡(AFM5400L、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用い、DFMモードで微細化セルロースの形状を観察した。微細化セルロースの数平均短軸径は、原子間力顕微鏡による観察画像から100本の繊維の長軸径(最大径)を測定し、その平均値として求めた。
微細化セルロースの分散液について、光線透過率を測定した。石英製のサンプルセルの一方にはリファレンスとして水を入れ、もう一方には気泡が混入しないように分散液を入れ、光路長1cmにおける波長660nmの光透過率を分光光度計(日本分光株式会社製、NRS−1000)にて測定した。
微細化セルロース0.5質量%の分散液のレオロジーをレオメータ(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製、AR2000ex)傾斜角1°のコーンプレートにて測定した。測定部を25℃に温調し、せん断速度を0.01s−1から100s−1について連続的にせん断粘度を測定し、1s−1及び100s−1のときの値を求めた。
複合体形成工程を経た分散液を、高速冷却遠心機にて75,600g(30分×5セット)の条件で遠心し、複合体を精製・分画した。前記精製済み複合体を含む分散液をシリコンウェハ板上にキャストし、白金蒸着処理を施した後、走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800)を用いて垂直方向から観察することで、複合化を確認した。複合体が観察された場合を『○』、観察されなかった場合を『×』とした。
複合体の光学特性は、例えば分光光度計UV−3600(株式会社島津製作所製)を用いて以下の方法で評価することができる。
複合体を含有する分散液を、金属微粒子の濃度が2.5×10−4mol/lになるように調整し、気泡が混入しないように複合体を含有する分散液を石英サンプルセル(光路長1cm)に入れて200nmから2600nmの波長領域の分光透過率を測定した。リファレンスには分散媒を用いた。
得られた光線透過率から、複合体由来の吸収により、500nm以上で光線透過率が極小となった波長(λmax)と、λmaxにおける透過率を得た。
11 金属微粒子(銀微粒子)
11a 金属微粒子の一次粒子
12 微細化セルロース(CSNF)
12a 微細化セルロースが金属微粒子の内部に取り込まれている部分
12b 微細化セルロースが金属微粒子表面に露出している部分
13 表面
14 裏面
15 側面
16 PETフィルム
17 包埋樹脂
d 粒子径
h 厚み
Claims (25)
- (工程1)天然セルロースを、N−オキシル化合物を用いて35℃以上50℃以下の温度で酸化反応を行い、酸化セルロースを得る酸化工程と、
(工程2)前記酸化セルロースを解繊して微細化セルロースの分散液を得る分散化工程と、
(工程3)微細化工程により得られた微細化セルロース分散液中に金属塩を添加して還元することで、平板状金属微粒子を成長させるとともに、前記平板状金属微粒子と微細化セルロースとの複合体を形成する複合体形成工程と
を含む、複合体の製造方法。 - 前記天然セルロースが漂白クラフトパルプであることを特徴とする、請求項1に記載の複合体の製造方法。
- 前記酸化セルロース形成工程における、水酸化ナトリウムの添加量は、前記天然セルロースの乾燥重量当たり1.0mmol以上5.0mmol以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の複合体の製造方法。
- 前記微細化セルロースの短軸の数平均軸径は1nm以上50nm以下であり、かつ長軸の数平均軸径は0.1μm以上10μm以下であり、前記微細化セルロースが含むカルボキシ基量は0.1mmol/g以上3.0mmol/gであることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の複合体の製造方法。
- 前記微細化セルロースを0.5質量%含む分散液の粘度は、25℃における、せん断速度が1s−1のときに30mPa・s以上2000mPa・s以下であり、
かつ、せん断速度が100s−1のときに20mPa・s以上200mPa・s以下であることを特徴とする、請求項1記載から4のいずれかに記載の複合体の製造方法。 - 前記微細化セルロースを1.0質量%含む分散液が有する、貯蔵弾性率G’および損失弾性率G’’は、25℃において、各周波数ωが10−1以上102以下の範囲において、共に100Pa以上102Pa以下であり、かつG’はG’’より大きいことを特徴とする、
請求項1から5のいずれかに記載の複合体の製造方法。 - 前記微細化セルロースを1.0質量%含む分散液が有する、
弾性応力の最大値は0.5Pa以上であり、粘性応力の最大値が4Pa以上であることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の複合体の製造方法。 - 前記微細化セルロースの結晶化度が70%以上であることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の複合体の製造方法。
- 前記微細化セルロースを、固形分濃度1%含む分散体において、光路長1cmにおける、660nmの波長の光線透過率は、分散媒に対して、80%以上であることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の複合体の製造方法。
- 前記金属塩が、硝酸銀、塩化銀、酸化銀、硫酸銀、酢酸銀、亜硝酸銀、塩素酸銀、塩化金酸、塩化金ナトリウム、塩化金カリウム、塩化白金、酸化白金のいずれかを少なくとも1種類以上含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の複合体の製造方法。
- 前記複合体が含む前記平板状金属微粒子は、少なくとも1種類以上の金属又はそれらの化合物であり、
前記複合体が含む前記微細化セルロースのそれぞれは、少なくとも一部又は全部が前記平板状金属微粒子の内部に取り込まれるとともに、残部が当該平板状金属微粒子の表面に露出することを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の複合体の製造方法。 - 前記複合体に含まれる、前記平板状金属微粒子と前記微細化セルロースとが不可分であることを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載の複合体の製造方法。
- 請求項1から12のいずれかに記載の複合体の製造方法によって製造された、複合体。
- 前記平板状金属微粒子の厚みhの平均値は、1nm以上100nm以下の範囲であり、
前記平板状金属微粒子の粒子径dの平均値は、2nm以上1000nm以下の範囲であり、
アスペクト比d/hの平均値は、2.0以上100以下である
ことを特徴とする、請求項13に記載の複合体。 - 前記平板状金属微粒子が、少なくとも銀を含む1種類以上の金属またはそれらの化合物を含むことを特徴とする、請求項13または14のいずれかに記載の複合体。
- 前記複合体を含有する分散液が、500nm以上2500nm以下の波長領域で、透過率が極小となる極小波長を有することを特徴とする、請求項13から15のいずれかに記載の複合体。
- 平板状金属微粒子と少なくとも一つ以上の微細化されたセルロースとが複合化され、
平板状金属微粒子は、少なくとも1種類以上の金属又はそれらの化合物であり、
前記微細化セルロースのそれぞれは、少なくとも一部又は全部が前記平板状金属微粒子の内部に取り込まれるとともに、残部が当該平板状金属微粒子の表面に露出した複合体であって、
前記平板状金属微粒子の濃度が2.5×10−4mol/lである分散液において、
光路長1cmにおける光線透過率は、500nm以上2500nm以下の波長領域に前記光線透過率が極小となる極小波長を有し、かつ前記極小波長における前記光線透過率は、分散媒に対して、30%以下であることを特徴とする、複合体。 - 前記平板状金属微粒子と前記微細化セルロースとが不可分であることを特徴とする請求項17に記載の複合体。
- 前記平板状金属微粒子が、銀であることを特徴とする請求項17又は18に記載の複合体。
- 前記平板状金属微粒子の厚みhの平均値は、1nm以上100nm以下の範囲であり、
前記平板状金属微粒子の粒子径dの平均値は、2nm以上1000nm以下の範囲であり、
アスペクト比d/hの平均値は、2.0以上100以下である
ことを特徴とする請求項17から19のいずれかに記載の複合体。 - 前記微細化セルロースが、結晶表面にカルボキシ基を有することを特徴とする、請求項17から20のいずれかに記載の複合体。
- 前記カルボキシ基の含有量が、セルロース1g当たり0.1mmol以上3.0mmol以下であることを特徴とする、請求項17から21のいずれかに記載の複合体。
- 前記微細化セルロースの結晶構造が、セルロースI型であることを特徴とする、請求項17から22のいずれかに記載の複合体。
- 前記微細化セルロースの形状が、天然セルロースのミクロフィブリル構造由来の繊維状であることを特徴とする、請求項17から23のいずれかに記載の複合体。
- 前記微細化セルロースの短軸の数平均軸径は1nm以上50nm以下であり、かつ長軸の数平均軸径は0.1μm以上10μm以下であり、かつ数平均長軸径が数平均短軸径の10倍以上であることを特徴とする、請求項17から24のいずれかに記載の複合体。
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