JP2015217885A - 車両用アブソーバシステム - Google Patents

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一平 山崎
Ippei Yamazaki
一平 山崎
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Abstract

【課題】実用性の高い車両用アブソーバシステムを提供する。
【解決手段】通常、減衰力発生器が発生させる減衰力を、シリンダのストロークの方向に応じて伸張時と収縮時とで異ならせるように制御し(S5,S6,S7)、シリンダのストローク速度が設定ストローク速度以下である場合に(S4)、シリンダが伸張しているか・収縮しているかに依らずに、(i)車両の操縦安定性が良好であることを重視すべき状況下にあるか否か、または、(ii) 車両の乗り心地が良好であることを重視すべき状況下にあるか否かに基づいて(S8、S9)、シリンダの伸縮に対する減衰力を、伸張時に設定された減衰力(S6)と収縮時に設定された減衰力(S7)との間で選択的に切り換えるように制御する。
【選択図】図5

Description

本発明は、ばね上部とばね下部との相対動作に対する減衰力の大きさを変更可能に発生させる車両用アブソーバシステムに関する。
下記特許文献には、(A)作動液を収容するハウジングと、そのハウジング内に摺動可能に配設されたピストンと、一端部がピストンに連結されるとともに他端部がハウジングから延び出すロッドとを有し、車両のばね上部とばね下部と繋ぐようにして配設されてそれらばね上部とばね下部との相対移動によって伸縮するシリンダと、(B)そのシリンダの伸縮に伴う作動液の流れに対して抵抗を与えることで、シリンダの伸縮に対する減衰力を発生させるものであって、ソレノイドを有してそのソレノイドに供給される電流に応じた大きさの減衰力を発生させる減衰力発生器とを備えたショックアブソーバが記載されている。
特開2011−007322号公報
一般的に、ショックアブソーバが発生させる減衰力は、シリンダが伸張する場合と収縮する場合とで異ならせることが望ましい。上記特許文献1に記載されたショックアブソーバは、シリンダの伸張時と収縮時との両者において、単一の減衰力発生器を通過するように構成されている。そのため、上記特許文献1に記載されたショックアブソーバを備えた車両用アブソーバシステムにおいては、減衰力発生器が発生させる減衰力を伸張時と収縮時とで異ならせるために、シリンダのストロークの方向を判断する必要がある。しかしながら、シリンダの伸縮する速度が0に近い場合、シリンダのストロークの方向を判断するのは困難である。そして、そのようにストローク方向の判断が難しく、伸張時の減衰力と収縮時の減衰力との切り替えが適切に行われないことで、車両の操縦安定性、あるいは、車両の乗り心地を悪化させる虞がある。つまり、微低速領域のシリンダの伸縮に対する減衰力を適切化することで、上述のような減衰力発生器を含んで構成される車両用アブソーバシステムの実用性を向上させ得ると考えられる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い車両用アブソーバシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用アブソーバシステムは、シリンダのストローク速度が設定ストローク速度以下である場合に、シリンダが伸張しているか・収縮しているかに依らずに、(i)車両の操縦安定性が良好であることを重視すべき状況下にあるか否か、または、(ii) 車両の乗り心地が良好であることを重視すべき状況下にあるか否かに基づいて、シリンダの伸縮に対する減衰力を、伸張時に設定された減衰力と収縮時に設定された減衰力との間で選択的に切り換えるように制御することを特徴とする。
本発明の車両用アブソーバシステムは、シリンダのストローク速度が微低速領域にある場合において、車両が現在置かれている状況や車両の乗員の意思に応じて、操安性を高めること、あるいは、乗り心地を高めることが可能である。つまり、本発明の車両用アブソーバシステムによれば、微低速領域のシリンダの伸縮に対する減衰力を適切化することが可能である。そのような利点を有することで、本発明の車両用アブソーバシステムは、実用性の高いものとなる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、請求項1に(2)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項2に、請求項2に(6)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項3に、請求項1に(7)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項4に、請求項4に(10)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項5に、請求項1ないし請求項5のいずれか1つに(13)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項6に、請求項13に(14)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項7に、請求項1ないし請求項7のいずれか1つに(15)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項8に、それぞれ相当する。
(1)作動液を収容するハウジングと、そのハウジング内に摺動可能に配設されたピストンと、一端部がピストンに連結されるとともに他端部がハウジングから延び出すロッドとを有し、車両のばね上部とばね下部と繋ぐようにして配設されてそれらばね上部とばね下部との相対移動によって伸縮するシリンダと、
そのシリンダの伸縮に伴う作動液の流れに対して抵抗を与えることで、シリンダの伸縮に対する減衰力を発生させるものであって、ソレノイドを有してそのソレノイドに供給される電流に応じた大きさの減衰力を発生させる減衰力発生器と
前記ソレノイドへの供給電流を制御することで、前記シリンダの伸縮に対する減衰力を制御する制御装置と
を備えた車両用アブソーバシステムであって、
前記制御装置が、
前記シリンダが伸張している場合に、そのシリンダの伸張に対して設定された減衰力である伸張時減衰力となるように、前記シリンダが収縮している場合に、そのシリンダの収縮に対して前記伸張時減衰力より小さくなるように設定された減衰力である収縮時減衰力となるように、前記シリンダの伸縮に対する減衰力を制御するストローク方向依拠減衰力制御部と、
前記シリンダの伸縮する速度であるストローク速度が設定ストローク速度以下である場合に、前記シリンダの伸張・収縮に依らずに、(i)車両の操縦安定性が良好であることを重視すべき状況下である操安性重視状況下にあるか否か、または、(ii) 車両の乗り心地が良好であることを重視すべき状況下である乗り心地重視状況下にあるか否かに基づいて、前記シリンダの伸縮に対する減衰力の大きさを、前記伸張時減衰力の大きさと前記収縮時減衰力の大きさとの間で選択的に切り換えるように制御する操安乗り心地依拠減衰力制御部と
を含んで構成された車両用アブソーバシステム。
本項に記載の車両用アブソーバシステムは、単一の減衰力発生器が、シリンダの伸張時と収縮時との両者において減衰力を発生させるものとされ、その単一の減衰力発生器によって、シリンダの伸張時の減衰力と収縮時の減衰力とを別々に制御する構成のものを前提としている。そのような構成の車両用アブソーバシステムにおいては、シリンダの伸張時の減衰力と収縮時の減衰力とを別々に制御するために、シリンダのストロークの方向を判断する必要がある。そのストロークの方向は、一般的に、ストローク速度に基づいて判断されるのであるが、ストローク速度を取得する際に、演算誤差等が生じ得るため、ストローク速度が0に近い場合には、その誤差による減衰力への影響が大きく、ストロークの方向が逆向きに判断される虞もある。
本項に記載の車両用アブソーバシステムは、ストローク速度が0に近い微低速領域にある場合には、シリンダのストロークの方向に依らず、操安性または乗り心地を重視するために減衰力を制御する構成とされている。したがって、本項の車両用アブソーバシステムによれば、上記のように、ストロークの方向の判断が困難であるような場合に、車両が現在置かれている状況下や車両の乗員の意志に応じて、操安性あるいは乗り心地を重視すべく、減衰力を適切な大きさとすることができるのである。
本項に記載の車両用アブソーバシステムにおいて、伸張時減衰力、および、収縮時減衰力は、収縮時減衰力が伸張時減衰力より小さくなるように設定されればよく、それぞれが、固定的な減衰特性から定まる値であっても、ある定められた制御規則に従って決定される値であってもよい。なお、その定められた制御規則には、例えば、ばね上部の振動を抑制するためにばね上部の加速度に基づいて減衰力を決定するような規則や、車速に応じて減衰力を決定するような規則など、種々の規則を採用可能である。
なお、上記減衰力発生器が発生させる減衰力Fは、ばね上部とばね下部との相対速度(以下、「ストローク速度」という場合がある)vstに依存しており、簡単には、次式のように、表すことができる。
F=ζ・vst ζ:減衰係数
したがって、減衰力発生器が発生させる減衰力を比較する場合等においては、同じストローク速度vstであることが前提となる。そのことに鑑みて、本明細書における減衰力の大小は、減衰力発生特性の相違、具体的には、減衰係数の大小を意味することがあることとし、また、減衰力の変更は、減衰力発生特性の変更、具体的には、減衰係数の変更を意味することがあることとする。
(2)前記操安乗り心地依拠減衰力制御部が、
前記操安性重視状況下にある場合において、前記シリンダが収縮している場合であっても、前記伸張時減衰力と同じ大きさの減衰力となるように、前記シリンダの伸縮に対する減衰力を制御する(1)項に記載の車両用アブソーバシステム。
本項に記載の態様は、まず、操安性重視状況下にあるか否かが判断され、操安性重視状況下にある場合には、シリンダが収縮している場合も、発生させる減衰力が、伸張時と同じ減衰力の大きさとされるようになっている。つまり、本項の態様によれば、操安性を重視する必要がある場合には、比較的大きな減衰力を確実に発生させ、車両の安定性を確保することが可能となる。
(3)前記操安乗り心地依拠減衰力制御部が、
操舵速度が設定速度より高い場合に、前記操安性重視状況下にあるとして、前記シリンダの収縮時においても前記伸張時減衰力と同じ大きさの減衰力となるように、前記シリンダの伸縮に対する減衰力を制御する(2)項に記載の車両用アブソーバシステム。
(4)前記操安乗り心地依拠減衰力制御部が、
車両の走行速度が設定速度より高い場合に、前記操安性重視状況下にあるとして、前記シリンダの収縮時においても前記伸張時減衰力と同じ大きさの減衰力となるように、前記シリンダの伸縮に対する減衰力を制御する(2)項または(3)項に記載の車両用アブソーバシステム。
(5)当該車両用アブソーバシステムが搭載された車両に、旋回時の横滑りを抑えて車両の安定性を確保するためのシステムである横滑り防止システムが搭載されており、
前記操安乗り心地依拠減衰力制御部が、
前記横滑り防止システムが作動している場合に、前記操安性重視状況下にあるとして、前記シリンダの収縮時においても前記伸張時減衰力と同じ大きさの減衰力となるように、前記シリンダの伸縮に対する減衰力を制御する(2)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の車両用アブソーバシステム。
上記3つの項に記載の態様は、操安性重視状況下あるか否かを判断する条件を具体化した態様である。それらの態様によれば、操安性重視状況化にあるか否かを適切に判断することが可能である。
(6)前記操安乗り心地依拠減衰力制御部が、
前記操安性重視状況下にない場合に、前記シリンダが伸張している場合であっても、前記収縮時減衰力と同じ大きさの減衰力となるように、前記シリンダの伸縮に対する減衰力を制御する(2)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の車両用アブソーバシステム。
本項に記載の態様は、操安性重視状況下を除いて、減衰力の比較的小さな収縮時減衰力とされる。つまり、本項に記載の態様によれば、乗り心地を優先し、必要な場合にのみ操安性を高めることができる。
(7)前記操安乗り心地依拠減衰力制御部が、
前記乗り心地重視状況下にある場合において、前記シリンダが伸張している場合であっても、前記収縮時減衰力と同じ大きさの減衰力となるように、前記シリンダの伸縮に対する減衰力を制御する(1)項に記載の車両用アブソーバシステム。
本項に記載の態様は、まず、乗り心地重視状況下にあるか否かが判断され、乗り心地重視状況下にある場合には、シリンダが伸張している場合も、発生させる減衰力が、収縮時と同じ減衰力の大きさとされるようになっている。つまり、本項の態様によれば、乗り心地が良好な状態を優先し、必要な場合のみ車両の安定性を確保するようにすることができる。
(8)前記操安乗り心地依拠減衰力制御部が、
車両の走行速度が設定速度より低い場合に、前記乗り心地重視状況下にあるとして、前記シリンダの伸張時においても前記収縮時減衰力と同じ大きさの減衰力となるように、前記シリンダの伸縮に対する減衰力を制御する(7)項に記載の車両用アブソーバシステム。
(9)前記操安乗り心地依拠減衰力制御部が、
ばね上部の振動の強度が設定された程度より高い場合に、前記乗り心地重視状況下にあるとして、前記シリンダの伸張時においても前記収縮時減衰力と同じ大きさの減衰力となるように、前記シリンダの伸縮に対する減衰力を制御する(7)項または(8)項に記載の車両用アブソーバシステム。
上記2つの項に記載の態様は、乗り心地重視状況下にあるか否かを判断する条件を具体化した態様である。それらの態様によれば、乗り心地重視状況化にあるか否かを適切に判断することが可能である。なお、後者の態様における「振動の強度」は、振動の激しさの程度をいい、後者の態様においては、例えば、振幅、ばね上部の動作の速度,加速度等が比較的高い状況である場合に、上記乗り心地重視状況下にあると判断することができる。なお、後者の態様は、ばね上振動のうちの特に乗り心地に影響のある特定の周波数成分(例えば、8Hz程度)の強度を用いることが望ましい。
(10)前記操安乗り心地依拠減衰力制御部が、
前記乗り心地重視状況下にない場合に、前記シリンダが収縮している場合であっても、前記伸張時減衰力と同じ大きさの減衰力となるように、前記シリンダの伸縮に対する減衰力を制御する(7)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の車両用アブソーバシステム。
本項に記載の態様は、乗り心地重視状況下を除いて、減衰力の比較的大きな伸張時減衰力とされる。つまり、本項に記載の態様によれば、操安性を優先し、乗り心地が特に悪化することを抑えることが可能となっている。
(11)当該車両用アブソーバシステムが、車両の操縦安定性を重視するために車両の乗員によってON・OFFされる操安性重視スイッチを備え、
前記操安乗り心地依拠減衰力制御部が、
前記操安性重視スイッチがON状態とされている場合に、前記操安性重視状況下にあるとして、前記シリンダが収縮している場合であっても、前記伸張時減衰力と同じ大きさの減衰力となるように、前記シリンダの伸縮に対する減衰力を制御する(1)項に記載の車両用アブソーバシステム。
(12)当該車両用アブソーバシステムが、車両の乗り心地を重視するために車両の乗員によってON・OFFされる乗り心地重視スイッチを備え、
前記操安乗り心地依拠減衰力制御部が、
前記乗り心地重視スイッチがON状態とされている場合に、前記乗り心地重視状況下にあるとして、前記シリンダが伸張している場合であっても、前記収縮時減衰力と同じ大きさの減衰力となるように、前記シリンダの伸縮に対する減衰力を制御する(1)項に記載の車両用アブソーバシステム。
上記2つの項に記載の態様は、乗員の望む乗車感覚を実現することが可能である。
(13)前記制御装置が、
前記シリンダのストローク速度を、(a)ばね上部とばね下部との間の距離であるばね上ばね下間距離と(b)ばね上部の上下方向の加速度であるばね上加速度との少なくとも一方から推定するストローク速度推定部を含んで構成され、
前記ストローク方向依拠減衰力制御部が、
そのストローク速度推定部によって推定されたストローク速度に基づいて、前記シリンダが伸張しているか、収縮しているかを判断するように構成された(1)項ないし(12)項のいずれか1つに記載の車両用アブソーバシステム。
ストローク速度は、ストロークセンサやばね上加速度センサの検出値に基づいて推定される場合がある。そして、その推定されたストローク速度には、誤差が含まれてしまうため、ストローク速度が小さい場合には、ストロークの方向を判断するのが困難である。つまり、本項に記載の態様においては、車両走行状態依拠減衰力制御部による制御が、特に有効である。
(14)前記設定ストローク速度が、前記ストローク速度推定部によるストローク速度の推定時に生じ得る誤差の大きさに基づいて設定された(13)項に記載の車両用アブソーバシステム。
本項に記載の態様は、例えば、設定ストローク速度を、ストローク速度の推定時に生じ得る誤差の最大値より大きな値に設定することで、ストロークの方向を逆向きに判断してしまう虞がある場合に、操安乗り心地依拠制御部による制御を確実に実行するようにすることが可能である。
(15)前記減衰力発生器が、
前記シリンダの伸縮に伴って流れる作動液を通過させることでその作動液の流れに抵抗を与える弁機構を有し、前記ソレノイドが発生させる電磁力に依拠した力を前記弁機構に作用させることにより前記弁機構の開弁圧が変更されるように構成されることで、前記ソレノイドに供給される電流に応じた減衰力を発生させるように構成された(1)項ないし(14)項のいずれか1つに記載の車両用アブソーバシステム。
本項に記載の態様は、減衰力発生器を具体化した態様である。本項に記載の「減衰力発生器」は、弁体の開弁圧を変更するために、ソレノイドが直接的に弁体に力を作用させるような構造のものであってもよく、弁体の前方側と後方側との差圧を調整するような構造のものであってもよい。
(16)前記減衰力発生器が、
(a)前記シリンダの伸縮時に作動液が流れる主流路と、(b)その主流路に設けられた前記弁機構としてのメインバルブと、(c)そのメインバルブをバイパスするように設けられたバイパス路と、(d)そのバイパス路に設けられ、前記メインバルブに対してそれを閉弁させる方向の内圧を作用させるパイロット室と、(e)前記ソレノイドを含んで構成されてそのソレノイドに供給される電流に応じて前記パイロット室の内圧を変更するパイロットバルブとを有し、
前記パイロットバルブによって前記パイロット室の内圧を変更することで前記メインバルブの開弁圧を変更するように構成された(15)項に記載の車両用アブソーバシステム。
本項に記載の態様は、減衰力発生器をさらに具体化した態様であり、減衰力発生器が、いわゆるパイロット式の電磁弁を主体として構成されている。
請求可能発明の第1実施例である車両用アブソーバシステムを含んで構成される車両用サスペンションシステムを示す概略図である。 本実施例の車両用アブソーバシステムの構成要素であるショックアブソーバの概略断面図である。 図2に示す減衰力発生器の断面図である。 図3に示す減衰力発生器の減衰特性を示すグラフである。 図1に示す制御装置よって実行される減衰力制御プログラムを示すフローチャートである。 図5に示す減衰力制御プログラムにおいて実行される操安・乗り心地判別処理サブルーチンを表すフローチャートである。 図1に示す制御装置の機能を示すブロック図である。 第2実施例の車両用アブソーバシステムにおいて実行される操安・乗り心地判別処理サブルーチンを表すフローチャートである。
以下、請求可能発明を実施するための形態として、請求可能発明のいくつかの実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。また、〔発明の態様〕の各項の説明に記載されている技術的事項を利用して、下記の実施例の変形例を構成することも可能である。
第1実施例
[A]車両用アブソーバシステムの構成
図1に、請求可能発明の第1実施例である車両用アブソーバシステムを含んで構成される車両用サスペンションシステム10を模式的に示す。本サスペンションシステム10は、前後左右の車輪14の各々に対応する独立懸架式の4つのサスペンション装置12を備えており、それらサスペンション装置12の各々は、車輪14を保持してばね下部の一部分を構成するサスペンションロアアームと、車体に設けられてばね上部の一部分を構成するマウント部との間に、それらを連結するようにして配設されている。それらサスペンション装置12の各々は、サスペンションスプリングとしてのコイルスプリング16と、液圧式ショックアブソーバ20とを有しており、それらが互いに並列的に、ロアアームとマウント部との間に配設されている。車輪14,サスペンション装置12は総称であり、4つの車輪14のいずれに対応するものであるかを明確にする必要のある場合には、図に示すように、車輪位置を示す添え字として、左前輪,右前輪,左後輪,右後輪の各々に対応するものにFL,FR,RL,RRを付す場合がある。
上記の液圧式ショックアブソーバ20は、図2に示すように、シリンダ22と、減衰力発生器24とを主要構成要素として構成されている。シリンダ22は、ハウジング30と、ハウジング30の内部において上下方向に移動可能に配設されたピストン32と、一端部(下端部)がピストン32に連結されて他端部(上端部)がハウジング30から上方に延び出すロッド34とを含んで構成されている。ハウジング30は、ロアアームに、ロッド34の上端部は、マウント部に、それぞれ連結される。つまり、ばね上部とばね下部とが離間する方向に相対移動する場合(以下、「リバウンド動作時」若しくは「リバウンド時」と言う場合がある)に伸長し、接近する方向に相対移動する場合(以下、「バウンド動作時」若しくは「バウンド時」と言う場合がある)に収縮する。
ハウジング30は、有底のメインチューブ40と、それの外周側に付設されたアウターチューブ42と、それらメインチューブ40とアウターチューブ42との間に設けられたインターチューブ44とを有しており、概して三重管構造をなしている。ピストン32は、メインチューブ40の内側に摺動可能に配設されている。そして、メインチューブ40の内部は、ピストン32によって、2つの液室であるロッド側室50および反ロッド側室52が区画形成されている。また、メインチューブ40とアウターチューブ42との間には、作動液を収容するバッファ室(「リザーバ」と呼ぶこともできる)54が区画形成されている。また、インターチューブ44の内周面とメインチューブ40の外周面との間には、環状の液通路56が区画形成されている。また、メインチューブ40の内底部には、反ロッド側室52の底を区画する仕切部材58が設けられており、仕切部材58とメインチューブ40の底壁との間には、底部液通路60が形成されている。
メインチューブ40の上部には、液通路56とロッド側室50との間の作動液の流通のために、流通穴70が設けられている。また、メインチューブ40の下端に近い部分には、バッファ室54と底部液通路60との間の作動液の流通のために、底部流通穴72が設けられている。インターチューブ44の下部には、液通路56から減衰力発生器24への作動液の流出を許容する流出口74が設けられている。そして、アウターチューブ42には、減衰力発生器24からのバッファ室54への作動液の流入を許容する流入口76が設けられている。
後に詳しく説明するが、減衰力発生器24は、上記の流出口74および流入口76を覆うようにして配設されており、ロッド側室52から流出して、液通路56を介してバッファ室54に流入する作動液の通過を許容するとともに、その作動液の流れに対して抵抗を与える機能を有している。
シリンダ22において、バウンド動作時には、図2に実線の矢印で示すように、まず、ロッド側室50に、反ロッド側室52から、ピストン32に設けられたチェック弁80を介して、作動液が流入する。そして、そのロッド側室50に流入する作動液の量は、ロッド側室50のピストン32の動作に伴って増加する容積よりも多いため、そのロッド側室50から、流通穴70,液通路56を介しかつ減衰力発生器24を通過して、バッファ室54に作動液が流出する。その際、減衰力発生器24によって作動液の流れに対して与えられる抵抗により、シリンダ22の収縮に対する減衰力、つまり、バウンド動作に対する減衰力が発生させられることになる。
一方、リバウンド動作時には、バウンド動作時と同様に、ロッド側室50から、流通穴70,液通路56,減衰力発生器24を介して、バッファ室54に作動液が流出する。その際、減衰力発生器24によって作動液の流れに対して与えられる抵抗により、シリンダ22の伸長に対する減衰力、つまり、リバウンド動作に対する減衰力が発生させられることになる。なお、シリンダ22の反ロッド側室52には、図2に破線の矢印で示すように、バッファ室54から、底部流通穴60,底部液通路60,仕切部材58に設けられたチェック弁82を介して、作動液が流入するようになっている。
以下に、減衰力発生器24の構成および作用について、図3を参照しつつ説明する。なお、減衰力発生器24は、既知のもの(例えば、特開2011−132995号公報等に記載されたもの)であるため、それの説明は簡略に行うものとする。その減衰力発生器24は、自身を通過する作動液に抵抗を与えるためのメインバルブ90と、そのメインバルブ90の開弁圧を調整するためのパイロットバルブ92とを、主要構成要素とするものであり、いわゆるパイロット式の電磁弁を主体として構成されたものである。
上記のメインバルブ90およびパイロットバルブ92は、概して有蓋円筒形状のハウジング100内に設けられている。そのハウジング100内には、図3に破線の矢印で示すような、シリンダ22の伸縮時に作動液が流れる流路の主体となる主流路102が設けられている。その主流路102には、メインバルブ90が設けられており、そのメインバルブ90を構成する弁体104が圧縮コイルスプリング106によって着座する方向に付勢されている。そして、メインバルブ90は、開弁した場合に、主流路102の作動液の流れを許容するとともに、その作動液の流れに対して抵抗を与えるようになっている。
また、ハウジング100内には、図3に実線の矢印で示すような、メインバルブ90を迂回するバイパス路110が設けられている。そのバイパス路110には、上流側から順に、固定オリフィス112,パイロット室114,パイロットバルブ92が設けられている。パイロット室114は、メインバルブ90に対してそれを閉弁させる方向の内圧を発生させるものである。つまり、上記のメインバルブ90は、自身の前方側(図3におけるメインバルブ90の左側)の液室である前方室116の液圧とパイロット室114の液圧との差圧によって作用する力が、スプリング106の付勢力を超えた場合に開弁するようになっているのである。固定オリフィス112は、メインバルブ90の弁体104を貫通するように設けられたものであり、前方室116からパイロット室114への作動液の流れに抵抗を与えるようになっている。
パイロットバルブ92は、弁可動体120と、励磁されることで弁可動体120を作動させるための電磁力を発生させるソレノイド122とを含んで構成され、バイパス路110におけるパイロット室114の下流側に設けられている。弁可動体120は、ポペット型の弁頭124を備えており、その弁頭124が弁座126に離着座することでパイロット室114を開閉することができるようになっている。その弁可動体120は、圧縮コイルスプリング128によって、弁頭124が離座する方向に付勢されている。一方、ソレノイド122が励磁されることで、弁可動体120には、弁頭124が着座する方向の付勢力が作用するようになっている。
パイロットバルブ92は、上記のような構成から、パイロット室114の開度、換言すれば、パイロット室114から下流側への流出量を調整することできる。つまり、パイロットバルブ92は、パイロット室114の液圧を調整して、メインバルブ90の開弁圧を調整することができるようになっているのである。なお、メインバルブ90の開弁圧は、パイロットバルブ92のソレノイド122に供給される電流の大きさに依存している。その電流が大きいほど、パイロット室114の開度は小さく、パイロット室114の液圧が高くなり、メインバルブ90の開弁圧も高くなる。
以上のように構成された減衰力発生器24は、図4に示すような減衰特性を有するものとなっている。ばね上部とばね下部との相対動作の速度vst(以下、ストローク速度という場合がある。)が低い場合には、メインバルブ90は開弁しておらず、減衰力Fは、メインバルブ90に設けられた固定オリフィス112を通過する作動液の流れに対する抵抗に依存したものとなる。そして、前方室116とパイロット室114との差圧が大きくなり、メインバルブ90が開弁すると、減衰力Fは、そのメインバルブ90を通過する作動液の流れに対する抵抗に依存したものとなるのである。上述したように、ソレノイド122に供給される電流が大きくなるほど、メインバルブ90の開弁圧は高くなるのである。
本サスペンションシステム10は、制御装置としてのサスペンション電子制御ユニット200(以下、「サスペンションECU200」という場合がある)によって、ショックアブソーバ20の制御が行われる。ECU200は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されたものである。そのECU200には、各ショックアブソーバ20が有する減衰力発生器24に対応して設けられて、それぞれが、対応する減衰力発生器24への電流を調整可能な駆動回路202が接続されている。それら駆動回路202は、バッテリ[BAT]204に接続されており、各ショックアブソーバ20の減衰力発生器24には、そのバッテリ204から電流が供給される。
車両には、車両走行速度(以下、「車速」と略す場合がある)を検出するための車速センサ[V]210,各車輪12に対応する車体の各ばね上部の上下加速度を検出する4つのばね上加速度センサ[Gz]212,ステアリング操作部材の操作角を検出する操舵角センサ[δ]214等が設けられており、それらはECU200のコンピュータに接続されている。また、車両には、乗員によって操作されるモード選択スイッチ216が設けられており、そのモード選択スイッチ216の操作によって、(i)操安性を重視する操安性重視モードと(ii)乗り心地を重視する乗り心地重視モードとの一方をON状態とすること、あるいは、両者とも選択しないOFF状態とすることが可能となっている。サスペンションECU200は、それらのセンサからの信号に基づいて、ショックアブソーバの制御を行うものとされている。ちなみに、[ ]の文字は、上記センサ等を図面において表わす場合に用いる符号である。また、サスペンションECU200のコンピュータが備えるROMには、ショックアブソーバ20の制御に関するプログラム,各種のデータ等が記憶されている。
さらに、車両には、旋回時の横滑りを抑えて車両の安定性を確保するためのシステムであるVSC(Vehicle Stability Control)システムが搭載されており、そのシステムの制御を司るVSC−ECU220は、サスペンションECU200と接続されている。そして、サスペンションECU200は、そのVSC−ECU220から情報を取得することが可能となっている。
[B]減衰力の制御
(a)ストローク方向依拠減衰力制御
本サスペンションシステム10においては、通常、ばね上部の振動を抑制する制御が主体として実行される。つまり、ばね上部の上下方向の動作速度であるばね上速度vに基づいて、ばね上部の振動の抑制に適切な減衰力が得られるように、減衰力発生器への供給電流が制御される。
具体的には、まず、ばね上加速度センサ212の検出値に基づいて、(例えば、特開平9−309315号公報に記載の方法により、)各シリンダ22の実際のストローク速度であるストローク速度vstが推定される。その推定されたストローク速度vstによって、リバウンド動作かバウンド動作かが判断される。ちなみに、ストローク速度は、ばね上部とばね下部との間の距離を検出するばね上ばね下間距離センサ(ストロークセンサ)の検出値に基づいて推定されるようにしてもよく、また、そのばね上ばね下間距離センサの検出値とばね上加速度センサの検出値との両者に基づいて推定されるようにしてもよい。
そして、リバウンド動作である場合には、リバウンド動作時の基準となるソレノイド122への供給電流である伸張時基準電流IE-BASEが定められており、その伸張時基準電流IE-BASEが、ばね上加速度センサ212の検出値から推定されたばね上速度vに応じて、補正される。つまり、リバウンド動作時における目標供給電流Iが、次式に従って決定されるようになっている。
=IE-BASE+G・v (G:伸張時ゲイン) ・・・(1)
なお、リバウンド動作においては、ばね上速度vが上向きである場合には、そのばね上速度vの大きさが大きいほど、目標供給電流が大きくされ、ばね上速度vが下向きである場合には、そのばね上速度vの大きさが大きいほど、小さくされるようになっている。
一方、バウンド動作である場合には、リバウンド動作時と同様に、バウンド動作時の基準となるソレノイド92への供給電流である収縮時基準電流IC-BASEが定められており、その収縮時基準電流IC-BASEが、ばね上加速度センサ212の検出値から推定されたばね上速度vに応じて、補正される。つまり、バウンド動作時における目標供給電流Iが、次式に従って決定されるようになっている。
=IC-BASE+G・v (GC:収縮時ゲイン) ・・・(2)
なお、バウンド動作においては、ばね上速度vが下向きである場合には、そのばね上速度vの大きさが大きいほど、目標供給電流が大きくされ、ばね上速度vが上向きである場合には、そのばね上速度vの大きさが大きいほど、小さくされるようになっている。
つまり、本サスペンションシステム10においては、シリンダ22の伸張時の減衰特性と、収縮時の減衰特性と、それぞれが設定されており、シリンダ22のストロークの方向に応じて、減衰特性が切り換えられるようになっている。なお、図4からも分かるように、収縮時の減衰力が、伸張時の減衰力より小さくなるよう、伸張時基準電流IE-BASE,伸張時ゲインG,収縮時基準電流IC-BASE,収縮時ゲインGCが設定されている。
(b)操安乗り心地依拠減衰力制御
しかしながら、ストローク速度がほぼ0に近い場合には、ストロークの方向を判断するのが困難である。上述したように、本サスペンションシステム10においては、ばね上加速度センサ212の検出値から推定されたストローク速度に基づいて、ストロークの方向が判断され、ストローク速度vstには、その推定時の誤差が含まれる。そのため、本サスペンションシステム10においては、ストローク速度がほぼ0に近い領域でストロークの方向を正確に判断することが、より困難である。
そこで、本サスペンションシステム10は、推定されたストローク速度vstの大きさが、設定ストローク速度vstoより小さい場合に、ストロークの方向に依らず、車両の操安性を重視するか、乗り心地を重視するかによって、伸張時の減衰特性を用いるか、収縮時の減衰特性を用いるかを、切り換える制御である操安乗り心地依拠減衰力制御が実行されるように構成される。なお、設定ストローク速度vstoは、ストローク速度vstの推定の際に生じ得る誤差の最大値より大きな値に設定されており、本サスペンションシステム10においては、ストロークの方向が逆向きに判断されることがないようになっている。
操安乗り心地依拠減衰力制御では、まず、モード選択スイッチ216が操作されているか否かが確認される。操安性重視モードがON状態とされている場合、推定されたストローク速度vstの大きさが設定ストローク速度vstoより小さい状態においては、常に、上記(1)式に従ってリバウンド時の目標供給電流とされる。一方、乗り心地重視モードがON状態とされている場合、推定されたストローク速度vstの大きさが設定ストローク速度vstoより小さい状態においては、常に、上記(2)式に従ってバウンド時の目標供給電流とされる。
また、モード選択スイッチ216がOFF状態とされている場合には、操安性重視状態にあるか否かが判断される。具体的には、VSC−ECU220からVSC作動中であることを受信した場合、操舵角センサ214の検出値から推定された操舵速度δ’が設定操舵速度δ’を超えた場合、車速センサ210によって検出された車速Vが設定速度Vを超えた場合のうちのいずれか1つが満たされた場合には、操安性重視状態にあると判断される。そして、操安性重視状態にあると判断された場合に、上記(1)式に従ってリバウンド時の目標供給電流とされる。なお、上記の3つの条件のいずれをも満たさなかった場合には、上記(2)式に従ってバウンド時の目標供給電流とされる。
[C]制御プログラム
本実施例の車両用アブソーバシステム10の制御は、ECU200が、図5にフローチャートを示す減衰力制御プログラムをショックアブソーバ20ごとに実行することによって行われる。なお、このプログラムは、短い時間ピッチ(例えば、数μsec〜数十μsec)で繰り返し実行される。
上記減衰力制御プログラムに従えば、まず、ステップ1(以下、「ステップ」を「S」と省略する)において、ばね上加速度センサ112の検出値が取得され、S2において、ばね上速度vSが推定されるとともに、S3において、ストローク速度vstが推定される。次いで、S4において、推定されたストローク速度vstの大きさが設定ストローク速度vst0より低いか否かが判定される。推定されたストローク速度vstが設定ストローク速度vst0以上である場合には、S5以下において、ストローク方向依拠減衰力制御が実行され、推定されたストローク速度vstが設定ストローク速度vst0より低い場合には、S8以下において、操安乗り心地依拠減衰力制御が実行される。
S5以下におけるストローク方向依拠減衰力制御では、まず、S5において、推定されたストローク速度vstの正負に基づいて、ストロークの方向が判断される。そして、ストローク速度vstが正でリバウンド動作している場合には、S6において、上記(1)式に従って、ソレノイド122への目標供給電流Iが決定される。一方、ストローク速度vstが負でバウンド動作している場合には、S7において、上記(2)式に従って、ソレノイド122への目標供給電流Iが決定される。
また、S8以下における操安乗り心地依拠減衰力制御では、まず、S8において、操安性と乗り心地とのいずれを重視するかの判別が、図6にフローチャートを示す操安・乗り心地判別処理サブルーチンが実行されることによって行われる。このサブルーチンでは、重視状態フラグFLのフラグ値が決定される。操安性を重視したい場合に、重視状態フラグFLのフラグ値が0とされ、乗り心地を重視したい場合に、フラグ値が1とされる。
操安・乗り心地判別処理サブルーチンでは、まず、S11において、モード選択スイッチ216において乗り心地重視モードがON状態とされているか否かが判断され、ON状態とされている場合には、S16において、重視状態フラグFLのフラグ値が1とされる。また、S12において、モード選択スイッチ216において操安性重視モードがON状態とされているか否かが判断され、ON状態とされている場合には、S17において、重視状態フラグFLのフラグ値が0とされる。
さらに、モード選択スイッチ216がOFF状態である場合には、S13〜S15において、操安性を重視する状況下にあるか否かの判断が行われる。具体的には、S13において、VSCが作動しているか否かが判断され、S14において、操舵速度δ’が設定操舵速度δ’より高いか否かが判断され、S15において、車速Vが設定速度Vより高いか否が判断される。VSCが作動していること,操舵速度δ’が設定操舵速度δ’より高いこと,車速Vが設定速度Vより高いことのいずれかの状態にある場合には、操安性を重視する必要があるため、S17において、重視状態フラグFLのフラグ値が0とされる。一方、VSCが作動していること,操舵速度δ’が設定操舵速度δ’より高いこと,車速Vが設定速度Vより高いことのいずれにも該当しない場合には、S16において、重視状態フラグFLのフラグ値が1とされる。
上記のサブルーチンにおいて、重視状態フラグFLのフラグ値が決定された後、減衰力制御プログラムのS9において、その重視状態フラグFLのフラグ値が確認される。そして、重視状態フラグFLのフラグ値が0である場合には、S6において、リバウンド動作時の減衰特性に基づいて、ソレノイド122への目標供給電流Iが決定され、フラグ値が1である場合には、S7において、バウンド動作時の減衰特性に基づいて、ソレノイド122への目標供給電流Iが決定される。
ソレノイド122への目標供給電流Iが決定されれば、S10において、その決定された大きさの電流をソレノイド122に供給すべく、駆動回路202への指令が出力される。以上で、減衰力制御プログラムの1回の実行が終了する。
[D]サスペンションECUの機能構成
上述したような制御を実行する制御装置としてのサスペンションECU200は、前述した各種の処理を実行する各種の機能部を有していると考えることができる。詳しく言えば、図7に示すように、サスペンションECU200は、ばね上加速度センサ212の検出値に基づいてばね上速度を推定するばね上速度推定部250と、ばね上加速度センサ212の検出値に基づいてストローク速度を推定するストローク速度推定部252と、その推定されたストローク速度に基づいてシリンダ22のストロークの方向を判定するストローク方向判定部254とを有している。そのばね上速度推定部250は、減衰力制御プログラムのS1およびS2の処理を実行する部分を含んで構成され、ストローク速度推定部252は、減衰力制御プログラムのS1およびS3の処理を実行する部分を含んで構成され、ストローク方向判定部254は、減衰力制御プログラムのS5の処理を実行する部分を含んで構成される。
また、サスペンションECU200は、リバウンド動作時の減衰特性あるいはバウンド動作時の減衰特性に基づいてソレノイド122への目標供給電流を決定する目標供給電流決定部256を有しており、その目標供給電流決定部256は、減衰力制御プログラムのS6およびS7の処理を実行する部分を含んで構成される。さらに、サスペンションECU20は、操安性を重視する状態か乗り心地を重視する状態かを判別する操安・乗り心地判別部258を有しており、その操安・乗り心地判別部258は、減衰力制御プログラムのS4,S8(操安・乗り心地判別処理サブルーチン),S9の処理を実行する部分を含んで構成される。
そして、本実施例の車両用アブソーバシステムは、ばね上速度推定部250,ストローク速度推定部252,ストローク方向判定部254,目標供給電流決定部256を含んで、シリンダ22のストロークの方向に応じてシリンダ22の伸縮に対する減衰力を制御するストローク方向依拠制御部が構成されている。また、本実施例の車両用アブソーバシステムは、ばね上速度推定部250,操安・乗り心地判別部258,目標供給電流決定部256を含んで、シリンダ22のストロークの方向に依らず、車輪の操縦安定性が良好であることを重視すべき状況下にあるか否かに基づいて、シリンダ22の伸縮に対する減衰力を、伸張時に設定された減衰力と収縮時に設定された減衰力との間で選択的に切り換える操安乗り心地依拠制御部が構成されているのである。
第2実施例
上述したように、第1実施例の車両用アブソーバシステムは、操安乗り心地依拠制御部が、車両の操縦安定性が良好であることを重視すべき状況下にあるか否かに基づいて、シリンダ22の伸縮に対する減衰力を、伸張時に設定された減衰力と収縮時に設定された減衰力との間で選択的に切り換えるように構成されていた。それに対して、第2実施例の車両用アブソーバシステムは、操安乗り心地依拠制御部が、車両の乗り心地が良好であることを重視すべき状況下にあるか否かに基づいて、シリンダ22の伸縮に対する減衰力を、伸張時に設定された減衰力と収縮時に設定された減衰力との間で選択的に切り換えるように構成されている。
第2実施例の車両用アブソーバシステムは、第1実施例の車両用アブソーバシステムとは、図5に示した減衰力制御プログラムにおいて実行される操安・乗り心地判別処理サブルーチンのみが異なるため、第2実施例の車両用アブソーバシステムについては、その操安・乗り心地判別処理サブルーチンのみ説明することとする。第2実施例の車両用アブソーバシステムにおいて実行される操安・乗り心地判別処理サブルーチンのフローチャートを図8に示す。
本実施例における操安・乗り心地判別処理サブルーチンでは、第1実施例と同様に、まず、S21およびS22において、モード選択スイッチ216がON状態にあるか否かが確認され、操安性重視モードがON状態とされている場合には、S25において、重視状態フラグFLのフラグ値が0とされ、乗り心地重視モードがON状態とされている場合には、S26において、重視状態フラグFLのフラグ値が1とされる。
そして、モード選択スイッチ216がOFF状態である場合には、S23およびS24において、乗り心地を重視する状況下にあるか否かの判断が行われる。具体的には、S23においては、ばね上加速度センサに210により検出されたばね上加速度にフィルタ処理が施され、車両の乗り心地に影響の大きい周波数域(8Hz程度)の成分が抽出される。そして、その抽出された周波数成分の振幅aが取得され、その特定周波数成分の振幅aが設定振幅aより大きいか否かが判定される。そして、特定周波数成分の振幅aが設定振幅aより大きい場合には、乗り心地重視状況下にあるとして、S26において、重視状態フラグFLのフラグ値が1とされる。
また、特定周波数成分の振幅aが設定振幅a以下である場合には、S24において、車速Vが設定速度Vより低いか否かが判定される。そして、車速Vが設定速度Vより低い場合には、乗り心地重視状況下にあるとして、S26において、重視状態フラグFLのフラグ値が1とされる。つまり、減衰力制御プログラムにおいて、バウンド動作時の減衰特性に基づいて、ソレノイド122への目標供給電流が決定されるのである。
一方、S23およびS24において、乗り心地重視状況下にないと判定された場合には、S25において、重視状態フラグFLのフラグ値が0とされるようになっている。つまり、減衰力制御プログラムにおいて、リバウンド動作時の減衰特性に基づいて、ソレノイド122への目標供給電流が決定される。
10:車両用サスペンションシステム 12:サスペンション装置 14:車輪
16:サスペンションスプリング 20:液圧式ショックアブソーバ 22:シリンダ 24:減衰力発生器 30:ハウジング 32:ピストン 34:ロッド4 90:メインバルブ 92:パイロットバルブ 100:ハウジング 102:主流路 104:弁体 106:圧縮コイルスプリング 110:バイパス路 112:固定オリフィス 114:パイロット室 116:前方室 120:弁可動体 122:ソレノイド 200:サスペンション電子制御ユニット[サスペンションECU]〔制御装置〕 210:車速センサ[V] 212:ばね上加速度センサ[Gz] 214:操舵角センサ[δ] 216:モード選択スイッチ[Sw]〔操安性重視スイッチ,乗り心地重視スイッチ〕 220:VSC−ECU 250:ばね上速度推定部 252:ストローク速度推定部 254:ストローク方向判定部 256:目標供給電流決定部 258:操安・乗り心地判別処部

Claims (8)

  1. 作動液を収容するハウジングと、そのハウジング内に摺動可能に配設されたピストンと、一端部がピストンに連結されるとともに他端部がハウジングから延び出すロッドとを有し、車両のばね上部とばね下部と繋ぐようにして配設されてそれらばね上部とばね下部との相対移動によって伸縮するシリンダと、
    そのシリンダの伸縮に伴う作動液の流れに対して抵抗を与えることで、シリンダの伸縮に対する減衰力を発生させるものであって、ソレノイドを有してそのソレノイドに供給される電流に応じた大きさの減衰力を発生させる減衰力発生器と
    前記ソレノイドへの供給電流を制御することで、前記シリンダの伸縮に対する減衰力を制御する制御装置と
    を備えた車両用アブソーバシステムであって、
    前記制御装置が、
    前記シリンダが伸張している場合に、そのシリンダの伸張に対して設定された減衰力である伸張時減衰力となるように、前記シリンダが収縮している場合に、そのシリンダの収縮に対して前記伸張時減衰力より小さくなるように設定された減衰力である収縮時減衰力となるように、前記シリンダの伸縮に対する減衰力を制御するストローク方向依拠減衰力制御部と、
    前記シリンダの伸縮する速度であるストローク速度が設定ストローク速度以下である場合に、前記シリンダの伸張・収縮に依らずに、(i)車両の操縦安定性が良好であることを重視すべき状況下である操安性重視状況下にあるか否か、または、(ii) 車両の乗り心地が良好であることを重視すべき状況下である乗り心地重視状況下にあるか否かに基づいて、前記シリンダの伸縮に対する減衰力の大きさを、前記伸張時減衰力の大きさと前記収縮時減衰力の大きさとの間で選択的に切り換えるように制御する操安乗り心地依拠減衰力制御部と
    を含んで構成された車両用アブソーバシステム。
  2. 前記操安乗り心地依拠減衰力制御部が、
    前記操安性重視状況下にある場合において、前記シリンダが収縮している場合であっても、前記伸張時減衰力と同じ大きさの減衰力となるように、前記シリンダの伸縮に対する減衰力を制御する請求項1に記載の車両用アブソーバシステム。
  3. 前記操安乗り心地依拠減衰力制御部が、
    前記操安性重視状況下にない場合に、前記シリンダが伸張している場合であっても、前記収縮時減衰力と同じ大きさの減衰力となるように、前記シリンダの伸縮に対する減衰力を制御する請求項2に記載の車両用アブソーバシステム。
  4. 前記操安乗り心地依拠減衰力制御部が、
    前記乗り心地重視状況下にある場合において、前記シリンダが伸張している場合であっても、前記収縮時減衰力と同じ大きさの減衰力となるように、前記シリンダの伸縮に対する減衰力を制御する請求項1に記載の車両用アブソーバシステム。
  5. 前記操安乗り心地依拠減衰力制御部が、
    前記乗り心地重視状況下にない場合に、前記シリンダが収縮している場合であっても、前記伸張時減衰力と同じ大きさの減衰力となるように、前記シリンダの伸縮に対する減衰力を制御する請求項4に記載の車両用アブソーバシステム。
  6. 前記制御装置が、
    前記シリンダのストローク速度を、(a)ばね上部とばね下部との間の距離であるばね上ばね下間距離と(b)ばね上部の上下方向の加速度であるばね上加速度との少なくとも一方から推定するストローク速度推定部を含んで構成され、
    前記ストローク方向依拠減衰力制御部が、
    そのストローク速度推定部によって推定されたストローク速度に基づいて、前記シリンダが伸張しているか、収縮しているかを判断するように構成された請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の車両用アブソーバシステム。
  7. 前記設定ストローク速度が、前記ストローク速度推定部によるストローク速度の推定時に生じ得る誤差の大きさに基づいて設定された請求項6に記載の車両用アブソーバシステム。
  8. 前記減衰力発生器が、
    前記シリンダの伸縮に伴って流れる作動液を通過させることでその作動液の流れに抵抗を与える弁機構を有し、前記ソレノイドが発生させる電磁力に依拠した力を前記弁機構に作用させることにより前記弁機構の開弁圧が変更されるように構成されることで、前記ソレノイドに供給される電流に応じた減衰力を発生させるように構成された請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の車両用アブソーバシステム。
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