JP2016023776A - 車両用アブソーバシステム - Google Patents

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田畑 雅朗
Masaaki Tabata
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Abstract

【課題】実用性の高い車両用アブソーバシステムを提供する。
【解決手段】第1減衰力発生器24および第2減衰力発生器180を備え、ソレノイドを用いた第1減衰力発生器が、ロッド側室50からリザーバ54への作動液の流れを許容するとともにリザーバ54からロッド側室50への作動液の流れを禁止する第1流路56に設けられて、ロッド側室50からリザーバ54への作動液の流れに対する抵抗を変更可能に付与し、第2減衰力発生器180が、反ロッド側室52とリザーバ54との間の作動液の流れを許容する第2流路に設けられて、反ロッド側室52とリザーバ54との間の作動液の流れに対する抵抗を変更可能に付与するように構成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ばね上部とばね下部との相対動作に対する減衰力の大きさを変更可能に発生させる車両用アブソーバシステムに関する。
下記特許文献には、(A)作動液を収容するハウジングと、そのハウジング内に摺動可能に配設されたピストンと、一端部がピストンに連結されるとともに他端部がハウジングから延び出すロッドとを有し、車両のばね上部とばね下部と繋ぐようにして配設されてそれらばね上部とばね下部との相対移動によって伸縮するシリンダと、(B)そのシリンダの伸縮に伴う作動液の流れに対して抵抗を与えることで、シリンダの伸縮に対する減衰力を発生させるものであって、ソレノイドに供給される電流に応じた大きさの減衰力を発生させる減衰力発生器とを備えた車両用アブソーバシステムが記載されている。その減衰力発生器について詳しく言えば、(a)シリンダの伸縮に伴って作動液が流れる主体となる主流路と、(b)その主流路に設けられ、作動液の流れに対して抵抗を与えることで減衰力を発生させるメインバルブと、(c)そのメインバルブをバイパスするように設けられたバイパス路と、(d)そのバイパス路に設けられ、メインバルブに対してそれを閉弁させる方向の内圧を作用させるパイロット室と、(e)供給される電流に応じて前記パイロット室の内圧を変更することで前記メインバルブの開弁圧を調整するパイロットバルブとを有し、そのパイロットバルブによってメインバルブの開弁圧を変更することで発生させる減衰力の大きさを変更するように構成されている。
特開2011−007322号公報
ソレノイドを用いた減衰力発生器は、シリンダの伸縮速度が微低速な領域から高速な領域まで、換言すれば、シリンダの伸縮に伴う作動液の流れの流量の小さな領域から流量の大きな領域まで、シリンダの伸縮に対する減衰力を制御することが難しい。そのため、上記特許文献に記載のアブソーバは、中速域から高速域のシリンダの伸縮に対する減衰力を発生させるように構成されていた。つまり、微低速領域のシリンダの伸縮に対する減衰力を制御可能とすることで、ソレノイドを用いた減衰力発生器を含んで構成される車両用アブソーバシステムの実用性を向上させ得ると考えられる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い車両用アブソーバシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用アブソーバシステムは、第1減衰力発生器および第2減衰力発生器を備え、ソレノイドを用いた第1減衰力発生器が、ロッド側室と反ロッド側室との一方からリザーバへの作動液の流れを許容するとともにリザーバからその一方への作動液の流れを禁止する第1流路に設けられて、ロッド側室と反ロッド側室との一方からリザーバへの作動液の流れに対する抵抗を変更可能に付与し、第2減衰力発生器が、ロッド側室と反ロッド側室との他方とリザーバとの間の作動液の流れを許容する第2流路に設けられて、ロッド側室と反ロッド側室との他方とリザーバとの間の作動液の流れに対する抵抗を変更可能に付与するように構成される。
本発明の車両用アブソーバシステムによれば、2つの減衰力発生器を用い、幅広い速度領域において、シリンダの伸縮に対する減衰力を制御することが可能となる。そのような利点を有することで、本発明の車両用アブソーバシステムは、実用性の高いものとなる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、請求項1に(4)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項2に、請求項1または請求項2に(5)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項3に、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに(6)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項4に、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに(2)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項5に、請求項5に(3)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項6に、それぞれ相当する。
(1)作動液を収容するハウジングと、そのハウジング内に移動可能に配設されたピストンと、一端部が前記ピストンに連結されるとともに他端部が前記ハウジングから延び出すロッドと、前記ピストンによって前記ハウジングの内部が区画されて形成されたロッド側室および反ロッド側室とを有し、車両のばね上部とばね下部とを繋ぐようにして配設されてそれらばね上部とばね下部との相対移動によって伸縮するシリンダと、
前記ロッド側室および前記反ロッド側室に接続され、それらロッド側室および反ロッド側室の前記シリンダの伸縮に伴う容積変化を補償するためのリザーバと、
それぞれが、前記シリンダの伸縮に伴う作動液の流れに対する抵抗を変更可能に付与することで、そのシリンダの伸縮に対する減衰力を変更可能に発生させる第1減衰力発生器および第2減衰力発生器と
前記第1減衰力発生器および前記第2減衰力発生器を制御することで、前記シリンダの伸縮に対する減衰力を制御する制御装置と
を備えた車両用アブソーバシステムであって、
前記ロッド側室と前記反ロッド側室との一方から前記リザーバへの作動液の流れを許容するとともに、前記リザーバからその一方への作動液の流れを禁止する第1流路と、
前記ロッド側室と前記反ロッド側室との他方と前記リザーバとの間の作動液の流れを許容する第2流路と、
前記ピストンに設けられ、前記ロッド側室と反ロッド側室との他方から、前記ロッド側室と反ロッド側室との一方への流れを許容するピストン流路と
を備え、
前記第1減衰力発生器が、
前記第1流路に設けられ、ソレノイドを有してそのソレノイドに供給される電流に応じて発生させる減衰力の大きさを変更可能なものであり、前記ロッド側室と前記反ロッド側室との一方から前記リザーバへの作動液の流れに対して抵抗を付与するものとされ、
前記第2減衰力発生器が、
前記第2流路に設けられ、前記ロッド側室と前記反ロッド側室との他方と前記リザーバとの間の作動液の流れに対して抵抗を付与するものとされた車両用アブソーバシステム。
ソレノイドを用いた減衰力発生器は、シリンダの伸縮速度が微低速な領域から高速な領域まで、換言すれば、シリンダの伸縮に伴う作動液の流れの流量の小さな領域から流量の大きな領域まで、シリンダの伸縮に対する減衰力を制御することが難しい。さらに言えば、ソレノイドを用いた減衰力発生器1つのみで、シリンダの伸張時と収縮時の減衰力を発生させる車両用アブソーバシステムは、その単一の減衰力発生器で減衰力を制御するために、作動液が一方向に流れるような構成、つまり、2つの液室の一方から作動液を流出させ、2つの液室の他方に作動液を流入させるような構成が、一般的である。そして、ソレノイドを用いた減衰力発生器は、シリンダ内に収納するのが難しく、シリンダの外側に設けられることが一般的である。したがって、ソレノイドを用いた減衰力発生器までの流路が長くなるため、流量が小さな振動、つまり、振幅の小さな比較的周波数の高い振動(換言すれば、シリンダの伸縮速度の低い振動)に対して、適切な減衰力を発生させることが難しい。
本項に記載の車両用アブソーバシステムは、2つの減衰力発生器によって、シリンダの伸縮に対する減衰力を発生させるように構成されている。そのため、ソレノイドを用いた構成の第1減衰力発生器が制御することが難しい範囲の減衰力を、第2減衰力発生器によって制御することが可能である。したがって、本項の車両用アブソーバシステムによれば、幅広い速度領域において、シリンダの伸縮に対する減衰力を制御することが可能となる。なお、第2減衰力発生器は、その構造,構成が、特に限定されるものではない。ただし、上述したように、ソレノイドを用いた構成の第1減衰力発生器は、中速域から高速域のシリンダの伸縮に対する減衰力を制御可能とされることが一般的であり、そのような第1減衰力発生器を用いる場合、第2減衰力発生器は、低速域のシリンダの伸縮に対する減衰力を制御可能なものとされることが望ましい。
本項に記載の車両用アブソーバシステムは、第1流路には一方向に作動液が流れ、第1減衰力発生器がその流れに対して抵抗を付与するように構成される。つまり、シリンダの伸縮によって、第2流路が接続された上記ロッド側室と反ロッド側室との他方の体積が小さくなるような場合、第1減衰力発生器によって減衰力を発生させるためには、作動液が、上記ロッド側室と反ロッド側室との他方から、ピストン流路,上記ロッド側室と反ロッド側室との一方を経由して第1流路に流出するため、減衰力発生までの応答性が悪くなる。それに対して、第2流路には、両方向に作動液が流れ、第2減衰力発生器がその両方向の流れに対して抵抗を付与するように構成される。つまり、第2減衰力発生器は、第2流路が接続された上記ロッド側室と反ロッド側室との他方からの作動液の流出時、および、その他方への作動液の流入時の両方に対して、抵抗を付与するように構成されている。したがって、本項の車両用アブソーバシステムは、第2減衰力発生器の存在により、減衰力発生までの応答性が良好なものとなる。
なお、アブソーバシステムが発生させる減衰力Fは、ばね上部とばね下部との相対速度(以下、「ストローク速度」という場合がある)vstに依存しており、簡単には、次式のように、表すことができる。
F=ζ・vst ζ:減衰係数
したがって、ショックアブソーバが発生させる減衰力を比較する場合等においては、同じストローク速度vstであることが前提となる。そのことに鑑みて、本明細書における減衰力の大小は、減衰力発生特性の相違、具体的には、減衰係数の大小を意味することがあることとし、また、減衰力の変更は、減衰力発生特性の変更、具体的には、減衰係数の変更を意味することがあることとする。
(2)前記第1減衰力発生器が、
作動液の流れに抵抗を付与する弁機構を有し、前記ソレノイドが、その弁機構に電磁力に依拠した力を作用させることによりその弁機構の開弁圧を変更するものとされることで、発生させる減衰力の大きさを変更するように構成された(1)項に記載の車両用アブソーバシステム。
本項に記載の態様は、第1減衰力発生器の構成に限定を加えた態様である。本項に記載の「第1減衰力発生器」は、弁体の開弁圧を変更するために、ソレノイドが直接的に弁体に力を作用させるような構造のものであってもよく、弁体の前方側と後方側との差圧を調整するような構造のものであってもよい。
(3)前記第1減衰力発生器が、
(a)前記シリンダの伸縮時に作動液が流れる主流路と、(b)その主流路に設けられた前記弁機構としてのメインバルブと、(c)そのメインバルブをバイパスするように設けられたバイパス路と、(d)そのバイパス路に設けられ、前記メインバルブに対してそれを閉弁させる方向の内圧を作用させるパイロット室と、(e)前記ソレノイドを含んで構成されてそのソレノイドに供給される電流に応じて前記パイロット室の内圧を変更するパイロットバルブとを有し、
前記パイロットバルブによって前記パイロット室の内圧を変更することで前記メインバルブの開弁圧を変更するように構成された(2)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、第1減衰力発生器の構成に、さらなる限定を加えた態様であり、第1減衰力発生器が、いわゆるパイロット式の電磁弁を主体として構成されている。本項に記載の第1減衰力発生器は、弁体の前方側と後方側との差圧を調整するような構造のものであるため、本項に記載の車両用アブソーバシステムによれば、応答性の高い減衰力制御が可能となる。
(4)前記第2減衰力発生器が、
作動液の流れを絞ることでその作動液の流れに抵抗を与える絞りを有し、その絞りの流路面積を変更することで、発生させる減衰力の大きさを変更するように構成された(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の車両用アブソーバシステム。
本項に記載の態様は、第2減衰力発生器の構成に限定を加えた態様であり、第2減衰力発生器が、いわゆる可変オリフィスとされている。つまり、本項に記載の第2減衰力発生器は、流路面積を大きくすることで、減衰力を小さくし、流路面積を小さくすることで、減衰力を大きくすることができる。例えば、第1減衰力発生器が、先に述べた弁機構の開弁圧を変更することで減衰力を変更するような構成のものである場合、弁機構の開弁圧に達するまでの速度域の減衰力は制御することができない。本項に記載の態様によれば、第1減衰力発生器の開弁圧に達するまでの速度域においても、第2減衰力発生器によって、減衰力を制御することが可能となる。
(5)前記ハウジングが、
内筒および外筒と、前記内筒の一端部に設けられて前記反ロッド側室の端を区画する仕切部材とを有し、
前記内筒と前記外筒との間が、前記リザーバとされ、
前記仕切部材に、前記第2流路および前記第2減衰力発生器が設けられた(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の車両用アブソーバシステム。
本項に記載の態様は、第2減衰力発生器の配設箇所を限定した態様であり、反ロッド側室が第2流路に接続されるとともに、ロッド側室が第1流路に接続された態様である。なお、先にも述べたように、ソレノイドを用いた構成の第1減衰力発生器は、シリンダ内に収納するのが難しく、シリンダの外側に設けられるため、第1減衰力発生器までの流路が長くなる。そのため、第1減衰力発生器は、振幅の小さな比較的周波数の高い振動に対する応答性が悪くなる。本項の態様の車両用アブソーバシステムは、そのような高周波振動に対しても、シリンダ内の仕切部材に設けられた第2減衰力発生器によって、減衰力を発生させることができるため、減衰力応答性の高いものとなる。
(6)前記制御装置が、
ステアリング操作の程度が大きい場合に、小さい場合に比較して、前記第2減衰力発生器を、それが発生させる減衰力が大きくなるように制御する(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の車両用アブソーバシステム。
本項に記載の態様は、第2減衰力発生器の制御手法を限定した態様である。本項に記載の「ステアリング操作の程度」とは、例えば、ステアリングの操作量や、ステアリングの操作速度などを意味する文言である。なお、本項の態様において、「ステアリング操作の程度が小さい場合」には、ステアリング操作が行われていない状態も含まれる。また、本項に記載の態様は、例えば、ステアリング操作の程度が大きくなるほど、第2減衰力発生器が発生させる減衰力が大きくなるように制御する態様とすることが可能である。本項の態様は、例えば、第2減衰力発生器によって、車両が直進している場合に、減衰力を小さくして乗り心地を重視した状態とするとともに、ステアリング操作が行われた場合に、減衰力を大きくして操安性を重視した状態とすることができる。したがって、本項の態様によれば、第1減衰力発生器による減衰力制御とは別に、ステアリング操作に応じた第2減衰力発生器による減衰力制御が行われるため、車両の乗り心地と操安性との両者を向上させることが可能である。
請求可能発明の実施例である車両用アブソーバシステムを含んで構成される車両用サスペンションシステムを示す概略図である。 本実施例の車両用アブソーバシステムの構成要素であるショックアブソーバの概略断面図である。 図2に示す第1減衰力発生器の断面図である。 図2に示すシリンダの第2減衰力発生器として機能する部分を拡大して示す断面図である。 図2に示すショックアブソーバを概略的に示す回路図である。 シリンダの伸縮時および収縮時における作動液の流れを示す図である。 図2に示すショックアブソーバの減衰特性を示すグラフである。 基準供給電流と車速との関係を示すグラフである。 ステアリング操作角とモータ回転角(開口面積)との関係を示すグラフである。 図1に示す制御装置よって実行される減衰力制御プログラムを示すフローチャートである。
以下、請求可能発明を実施するための形態として、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。また、〔発明の態様〕の各項の説明に記載されている技術的事項を利用して、下記の実施例の変形例を構成することも可能である。
[A]車両用サスペンションシステムの構成
図1に、請求可能発明の実施例である車両用アブソーバシステムを含んで構成される車両用サスペンションシステム10を模式的に示す。本サスペンションシステム10は、独立懸架式の4つのサスペンション装置12を、前後左右の車輪14の各々に対応して備えており、それらサスペンション装置12の各々は、車輪14を保持してばね下部の一部分を構成するサスペンションロアアームと、車体に設けられてばね上部の一部分を構成するマウント部との間に、それらを連結するようにして配設されている。それらサスペンション装置12の各々は、サスペンションスプリングとしてのコイルスプリング16と、液圧式ショックアブソーバ20とを有しており、それらが互いに並列的に、ロアアームとマウント部との間に配設されている。車輪14,サスペンション装置12は総称であり、4つの車輪14のいずれに対応するものであるかを明確にする必要のある場合には、図に示すように、車輪位置を示す添え字として、左前輪,右前輪,左後輪,右後輪の各々に対応するものにFL,FR,RL,RRを付す場合がある。
上記の液圧式ショックアブソーバ20は、図2に示すように、シリンダ22と、第1減衰力発生器としてのリニアソレノイドユニット24とを主要構成要素として構成されている。シリンダ22は、ハウジング30と、ハウジング30の内部において上下方向に移動可能に配設されたピストン32と、一端部(下端部)がピストン32に連結されて他端部(上端部)がハウジング30から上方に延び出すロッド34とを含んで構成されている。ハウジング30は、ロアアームに、ロッド34の上端部は、マウント部に、それぞれ連結される。つまり、ばね上部とばね下部とが離間する方向に相対移動する場合(以下、「リバウンド動作時」若しくは「リバウンド時」と言う場合がある)に伸長し、接近する方向に相対移動する場合(以下、「バウンド動作時」若しくは「バウンド時」と言う場合がある)に収縮する。
ハウジング30は、有底の内筒としてのメインチューブ40と、それの外周側に付設された外筒としてのアウターチューブ42と、それらメインチューブ40とアウターチューブ42との間に設けられたインターチューブ44とを有しており、概して三重管構造をなしている。ピストン32は、メインチューブ40の内側に摺動可能に配設されている。そして、メインチューブ40の内部は、ピストン32によって、2つの液室であるロッド側室50および反ロッド側室52が区画形成されている。また、メインチューブ40とアウターチューブ42との間には、作動液を収容するリザーバとしてのバッファ室54が区画形成されている。また、インターチューブ44の内周面とメインチューブ40の外周面との間には、第1流路として機能する環状の液通路56が区画形成されている。また、メインチューブ40の内底部には、反ロッド側室52の底を区画する、換言すれば、反ロッド側室52とバッファ室54とを仕切る仕切部材としてのベースバルブ58が設けられている。
メインチューブ40の上部には、液通路56とロッド側室50との間の作動液の流通のために、流通穴70が設けられている。また、インターチューブ44の下部には、液通路56からリニアソレノイドユニット24への作動液の流出を許容する流出口74が設けられている。そして、アウターチューブ42には、リニアソレノイドユニット24からのバッファ室54への作動液の流入を許容する流入口76が設けられている。
リニアソレノイドユニット24は、上記の流出口74および流入口76を覆うようにして配設されており、ロッド側室52から流出して、液通路56を介してバッファ室54に流入する作動液の通過を許容するとともに、その作動液の流れに対して抵抗を与える機能を有している。以下に、そのリニアソレノイドユニット24の構成について、図3を参照しつつ説明する。なお、リニアソレノイドユニット24は、既知のもの(例えば、特開2011−132995号公報等に記載されたもの)であるため、それの説明は簡略に行うものとする。
リニアソレノイドユニット24は、自身を通過する作動液に抵抗を与えるためのメインバルブ90と、そのメインバルブ90の開弁圧を調整するためのパイロットバルブ92とを、主要構成要素とするものであり、いわゆるパイロット式の電磁弁を主体として構成されたものである。
上記のメインバルブ90およびパイロットバルブ92は、概して有蓋円筒形状のハウジング100内に設けられている。そのハウジング100内には、図3に破線の矢印で示すような、シリンダ22の伸縮時に作動液が流れる流路の主体となる主流路102が設けられている。その主流路102には、メインバルブ90が設けられており、そのメインバルブ90を構成する弁体104が圧縮コイルスプリング106によって着座する方向に付勢されている。そして、メインバルブ90は、開弁した場合に、主流路102の作動液の流れを許容するとともに、その作動液の流れに対して抵抗を与えるようになっている。
また、ハウジング100内には、図3に実線の矢印で示すような、メインバルブ90を迂回するバイパス路110が設けられている。そのバイパス路110には、上流側から順に、固定オリフィス112,パイロット室114,パイロットバルブ92が設けられている。パイロット室114は、メインバルブ90に対してそれを閉弁させる方向の内圧をさせるものである。つまり、上記のメインバルブ90は、自身の前方側(図3におけるメインバルブ90の左側)の液室である前方室116の液圧とパイロット室114の液圧との差圧によって作用する力が、スプリング106の付勢力を超えた場合に開弁するようになっているのである。固定オリフィス112は、メインバルブ90の弁体104を貫通するように設けられたものであり、前方室116からパイロット室114への作動液の流れに抵抗を与えるようになっている。
パイロットバルブ92は、弁可動体120と、励磁されることで弁可動体120を作動させるための電磁力を発生させるソレノイド122とを含んで構成され、バイパス路110におけるパイロット室114の下流側に設けられている。弁可動体120は、ポペット型の弁頭124を備えており、その弁頭124が弁座126に離着座することでパイロット室114を開閉することができるようになっている。その弁可動体120は、圧縮コイルスプリング128によって、弁頭124が離座する方向に付勢されている。一方、ソレノイド122が励磁されることで、弁可動体120には、弁頭124が着座する方向の付勢力が作用するようになっている。
パイロットバルブ92は、上記のような構成から、パイロット室114の開度、換言すれば、パイロット室114から下流側への流出量を調整することできる。つまり、パイロットバルブ92は、パイロット室114の液圧を調整して、メインバルブ90の開弁圧を調整することができるようになっているのである。なお、メインバルブ90の開弁圧は、パイロットバルブ92のソレノイド122に供給される電流の大きさに依存している。その電流が大きいほど、パイロットバルブ92の開度は小さく、パイロット室114の液圧が高くなり、メインバルブ90の開弁圧も高くなる。
シリンダ20の構成要素であるベースバルブ58は、反ロッド側室52とバッファ室54との間の作動液の流通を許容するとともに、その作動液の流通に対して抵抗を付与することが可能に構成されている。そのベースバルブ58について、図4を参照しつつ説明する。
ベースバルブ58のベースバルブ本体140には、反ロッド側室52とバッファ室54とを接続する接続通路142,144が、同心状に複数個ずつ設けられている(図4には、2つずつが図示されている)。ベースバルブ本体140の下面には、弾性材製の円形をなす弁板146が配設されており、その弁板146によって、ベースバルブ本体140の内周側の接続通路142が塞がれ、反ロッド側室52とバッファ室54との液圧差により弁板146が撓められると反ロッド側室52からバッファ室54への作動液の流れが許容されるようになっている。また、ベースバルブ本体140の上面には、弾性材製の円形をなす2枚の弁板148,150が配設されており、それら弁板148,150によって、それらに設けられた開口部によりベースバルブ本体140の内周側の接続通路142が常時塞がれずに、ベースバルブ本体140の外周側の接続通路144が塞がれ、反ロッド側室52とバッファ室54との液圧差により弁板148が撓められるとバッファ室54から反ロッド側室52への作動液の流れが許容されるようになっている。ただし、反ロッド側室52の液圧が高くなった場合には、ピストン32に設けられたチェック弁を有するピストン流路152を介して、ロッド側室50に作動液が流出する。そのため、ベースバルブ体58の内周側の接続通路142を介する反ロッド側室52からバッファ室54への作動液の流れは、実質的には行われない。
また、ベースバルブ本体140の下面とメインチューブ40の底面との間には、上記弁板146をベースバルブ本体140とによって挟み込むようにして、円筒部材160が固定されている。その円筒部材160の内部には、その円筒部材160内において回転可能な有底円筒形状の回転体162が挿入されている。なお、回転体162は、アウターチューブ42の底面外側に配設されたモータ164によって、軸線回りに回転可能とされている。
円筒部材160には、それの内側と外側とを貫通する貫通孔170が形成されている。また、回転体162には、それの内側と外側とを貫通し、周方向に延びるスリット172が形成されている。なお、そのスリット172は、その幅が徐々に狭められた形状とされている。それら円筒部材160の貫通孔170と回転体162のスリット172とは、径方向において重なり合うようになっており、重なり合った状態において、回転体162の内側と円筒部材160の外側とを連通させる。そして、ベースバルブ本体140には、それの中央に軸線方向に貫通する貫通孔174が形成されており、上端が反ロッド側室52に開口し、下端が円筒部材160の内側に開口している。つまり、円筒部材160の貫通孔170,回転体162のスリット172,回転体162の内側,円筒部材160の内側,ベースバルブ本体140の貫通孔174によって、反ロッド室52とバッファ室54とが連通させられるようになっている。したがって、円筒部材160の貫通孔170,回転体162のスリット172,回転体162の内側,円筒部材160の内側,ベースバルブ本体140の貫通孔174を含んで、反ロッド室52とバッファ室54との間の作動液の流通を許容する第2流路が形成されているのである。
そして、円筒部材160の貫通孔170と回転体162のスリット172とで、形成された隙間が、絞りとして機能し、反ロッド側室52とバッファ室54との間の、作動液の流通に対して抵抗を付与する。また、モータ164が回転体162を回転させ、円筒部材160の貫通孔170と回転体162のスリット172とで形成される開口面積Aを変更することで、作動液の流通に対する抵抗が変更されるようになっている。つまり、それら円筒部材160,回転体162,モータ164等を含んで、第2減衰力発生器としての可変オリフィス180が構成されているのである。なお、後で詳しく説明するが、可変オリフィス180は、開口面積Aが小さくされるほど、作動液の流通に対する抵抗が大きくなり、シリンダ伸縮に対する減衰力は大きくなる。
以上のように構成されたショックアブソーバ20は、図5および図6のような概略的な回路図で表すことができる。その図5をも参照しつつ、シリンダ22の伸縮時の作動液の流れと減衰力の発生について、説明することとする。
まず、図2および図6(a)を参照しつつ、ショックアブソーバ20のリバウンド動作時、つまり、シリンダ22の伸張時について説明する。シリンダ22の伸張時には、図2に実線の矢印で示すように、ロッド側室50から、流通穴70,液通路56,リニアソレノイドユニット24を介して、バッファ室54に作動液が流出する。その際、リニアソレノイドバルブ24によって、ロッド側室50から流出する作動液の流れに対して抵抗が与えられる。また、シリンダ22の反ロッド側室52には、図2に破線の矢印で示すように、バッファ室54から、ベースバルブ58を介して、作動液が流入するようになっている。詳しく言えば、シリンダ22の伸張する速度が低い場合には、可変オリフィス180のみを通過して、バッファ室54から反ロッド側室52に作動液が流入し、シリンダ22の伸張する速度がある速度より早くなると、弁板148が撓められ、可変オリフィス180および接続通路144を通過して、バッファ室54から反ロッド側室52へ作動液が流入するようになっている。その際、可変オリフィス180によって、反ロッド側室52に流入する作動液の流れに対して抵抗が与えられる。したがって、リニアソレノイドユニット24および可変オリフィス180によって与えられる抵抗により、シリンダ22の伸長に対する減衰力、つまり、リバウンド動作に対する減衰力が発生させられることになる。
次に、図2および図6(b)を参照しつつ、ショックアブソーバ20のバウンド動作時、つまり、シリンダ22が収縮時について説明する。まず、シリンダ22の反ロッド側室52からは、図2に二点鎖線の矢印で示すように、バッファ室54に、ベースバルブ58を介して、詳しくは、可変オリフィス180を通過して、作動液が流出するようになっている。その際、可変オリフィス180によって、反ロッド側室52から流出する作動液の流れに対して抵抗が与えられる。また、反ロッド側室52からは、ピストン32に設けられたピストン流路152を介して、ロッド側室50に作動液が流入し、リバウンド動作時時と同様に、そのロッド側室50から、流通穴70,液通路56を介しかつリニアソレノイドユニット24を通過して、バッファ室54に作動液が流出する。リニアソレノイドバルブ24によって、ロッド側室50から流出する作動液の流れに対して抵抗が与えられる。したがって、リニアソレノイドユニット24および可変オリフィス180によって与えられる抵抗により、シリンダ22の収縮に対する減衰力、つまり、リバウンド動作に対する減衰力が発生させられることになる。
以上のように構成されたショックアブソーバ20は、図7に示すような減衰特性を有するものとなっている。ばね上部とばね下部との相対動作の速度vst(以下、ストローク速度という場合がある。)が低い場合には、リニアソレノイドユニット24のメインバルブ90は開弁しておらず、減衰力Fは、メインバルブ90に設けられた固定オリフィス112を通過する作動液の流れに対する抵抗、および、可変オリフィス180を通過する作動液の流れに対する抵抗に依存したものとなる。そして、前方室116とパイロット室114との差圧が大きくなり、メインバルブ90が開弁すると、減衰力Fは、そのメインバルブ90を通過する作動液の流れに対する抵抗が主体となるのである。
そして、上述したように、可変オリフィス180は、開口面積Aが小さくされるほど、作動液の流通に対する抵抗が大きくなり、シリンダ22の伸縮に対する減衰力は大きくなる。また、ソレノイド122に供給される電流が大きくなるほど、メインバルブ90の開弁圧は高くなり、シリンダ22の伸縮に対する減衰力は大きくなるのである。
なお、可変オリフィス180の開口面積Aは、下限値AMINと上限値AMAXとの間で変更され、図7に示すように、ストローク速度vstが低い領域において、減衰力を制御することが可能とされている。一方、ソレノイド122への供給電流Iは、下限値IMINと上限値IMAXとの間で変更され、ストローク速度vstが中高速領域において、減衰力を制御することが可能とされている。
本サスペンションシステム10は、制御装置としてのサスペンション電子制御ユニット200(以下、「サスペンションECU200」という場合がある)によって、ショックアブソーバ20の制御が行われる。ECU200は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されたものである。そのECU200には、各ショックアブソーバ20が有するリニアソレノイドユニット24に対応して設けられて、それぞれが、対応するリニアソレノイドユニット24のソレノイド122への電流を調整可能な駆動回路202が接続されている。また、ECU200には、各ショックアブソーバ20が有する可変オリフィス180に対応して設けられて、それぞれが、対応する可変オリフィス180のモータ164への電流を調整可能な駆動回路204が接続されている。それら駆動回路202,204は、バッテリ[BAT]206に接続されており、各ショックアブソーバ20のリニアソレノイドユニット24および可変オリフィス180のモータ164には、そのバッテリ204から電流が供給される。
車両には、車両走行速度(以下、「車速」と略す場合がある)を検出するための車速センサ[V]210,各車輪14に対応する車体の各ばね上部の上下加速度を検出する4つのばね上加速度センサ[Gz]212,ステアリング操作部材の操作角δを検出するステアリングセンサ[δ]214等が設けられており、それらはECU200のコンピュータに接続されている。サスペンションECU200は、それらのセンサからの信号に基づいて、ショックアブソーバの制御を行うものとされている。ちなみに、[ ]の文字は、上記センサ等を図面において表わす場合に用いる符号である。また、サスペンションECU200のコンピュータが備えるROMには、ショックアブソーバ20の制御に関するプログラム,各種のデータ等が記憶されている。
[B]減衰力の制御
a)第1減衰力発生器の制御
サスペンションECU200は、リニアソレノイドユニット24のソレノイド122への供給電流Iを制御するとともに、可変オリフィス180のモータ164への供給電流Iを制御することで、減衰力発生器24が発生させる減衰力を制御する。まず、リニアソレノイドユニット24の制御は、基本的には、車速Vに応じた減衰力を発生させることで、車両に生じる振動を抑制するためのものである。詳しくは、車速Vが高くなるほど、減衰力Fが大きくなるように、つまり、メインバルブ90の開弁圧が高くなるように、供給電流Iが制御される。具体的には、ECU200のRAMには、図8に示したマップデータが格納されており、そのマップデータを参照して、車速センサ210により検出された車速Vに対して、ソレノイド122への供給電流の基準となる基準供給電流IBASEが決定される。
そして、本サスペンションシステム10においては、ばね上部の動作を抑えるべく、ばね上速度vに応じた成分を、上記の基準供給電流IBASEに加えて、ソレノイド122への供給電流の目標となる目標供給電流I が決定されるようになっている。詳しくは、ばね上部の動作がシリンダ22のストロークの方向と一致する場合には、ショックアブソーバ20の減衰力がばね上部の動作を抑制するものとなるため、ショックアブソーバ20が発生させる減衰力が大きくなるように、基準供給電流IBASEにばね上速度vSに応じた大きさの成分を足し合わせるようになっている。一方、ばね上部の動作がシリンダ22のストロークの方向と逆向きである場合には、ショックアブソーバ20の減衰力がばね上部の動作を助長するものとなるため、ショックアブソーバ20が発生させる減衰力が小さくなるように、基準供給電流IBASEからばね上速度vSに応じた大きさの成分を引くようになっている。
具体的には、まず、ばね上加速度センサ212の検出値に基づいて、ばね上部の上下方向の速度であるばね上速度vS、および、シリンダ22のストローク速度vstが推定される。そして、次式に従って、目標供給電流Iが決定されるのである。ちなみに、ばね上速度vSは、上向きが正,下向きが負とされ、ストローク速度vstは、リバウンド方向が正,バウンド方向が負とされている。
=IBASE+sgn(vS・vst)・G・|vS| (G:ゲイン)
ここで、sgn(x)は、符号関数であり、xの符号に応じて1,0,−1のいずれかを返す関数である。
b)第2減衰力発生器の制御
次に、可変オリフィス180の制御は、運転者のステアリング操作に基づいて行われるものである。詳しく言えば、ステアリングセンサ214によって検出されたステアリング操作角δが大きくなるほど、減衰力が大きくなるように、つまり、可変オリフィス180の開口面積Aが小さくなるように制御される。具体的には、まず、ECU200のRAMには、図9に示したマップデータが格納されており、そのマップデータを参照して、操作角δに対して、回転体162の回転位置、つまり、モータ164の回転角が定められており、目標モータ回転角θが決定される。そして、モータ164には、モータ回転角センサ216が設けられており、そのモータ回転センサ216により現時点でのモータ回転角を把握し、実際のモータ回転角が目標モータ回転角θとなるように、モータ164への供給電流Iが決定される。ちなみに、モータ164は、イグニッションがON状態とされた場合に、操作角δが0である場合に、開口面積Aが上限値AMAXとなる位置に調整されるようになっている。
[C]制御プログラム
本実施例の車両用サスペンションシステム10の制御は、ECU200が、図10にフローチャートを示す減衰力制御プログラムを、ショックアブソーバ20ごとに実行することによって行われる。なお、これらのプログラムは、短い時間ピッチ(例えば、数μsec〜数十μsec)で繰り返し実行される。
上記減衰力制御プログラムに従えば、まず、ステップ1(以下、「ステップ」を「S」と省略する)において、車速センサ210から車速Vが取得され、S2において、その車速Vに基づき、図8に示したマップデータを参照して、基準供給電流IBASEが決定される。次いで、S3において、ばね上加速度センサ212の検出値が取得され、S4において、ばね上速度vと、ストローク速度vstが推定される。次いで、S5において、基準供給電流IBASE,ばね上速度v,ストローク速度vstに基づいて、ソレノイド122への目標供給電流I が決定される。
続いて、S6において、ステアリングセンサ214から操作角δが取得されるとともに、モータ回転角センサ216から実モータ回転角θが取得される。次いで、S7において、操作角δに基づき、図9に示したマップデータを参照して、目標モータ回転角θが決定される。そして、S8において、目標モータ回転角θと実モータ回転角θとの偏差に基づいて、モータ164への目標供給電流I が決定される。
ソレノイド122への目標供給電流I およびモータ164への目標供給電流I が決定されれば、S9において、その決定された大きさの電流をソレノイド122に供給すべく、駆動回路202への指令が出力されるとともに、決定された大きさの電流をモータ164に供給すべく、駆動回路204への指令が出力される。以上で、減衰力制御プログラムの1回の実行が終了する。
[D]本車両用アブソーバシステムの効果
本実施例の車両用アブソーバシステムは、第1減衰力発生器としてのリニアソレノイドバルブ24および第2減衰力発生器としての可変オリフィス180を有する4つのショックアブソーバ20と、制御装置としてのサスペンションECU200とを含んで構成されている。本車両用アブソーバシステムは、リニアソレノイドユニット24が制御することが難しい範囲の減衰力を、可変オリフィス180によって制御することができる。したがって、本車両用アブソーバシステムによれば、幅広い速度領域において、シリンダ22の伸縮に対する減衰力を制御することが可能である。また、リニアソレノイドユニット24は、シリンダ22の外側に設けられており、リニアソレノイドユニット24までの液通路56が長くなる。そのため、リニアソレノイドユニット24は、振幅の小さな比較的周波数の高い振動に対する応答性が良好ではない。しかしながら、本車両用アブソーバシステムは、そのような高周波振動に対しても、シリンダ22内の仕切部材としてのベースバルブ58に設けられた可変オリフィス180によって、減衰力を発生させることができるため、減衰力応答性の高いものとっている。
10:車両用サスペンションシステム 12:サスペンション装置 14:車輪 16:サスペンションスプリング 20:液圧式ショックアブソーバ 22:シリンダ 24:リニアソレノイドユニット〔第1減衰力発生器〕 30:ハウジング 32:ピストン 34:ロッド 50:ロッド側室 52:反ロッド側室 54:バッファ室〔リザーバ〕 56:液通路〔第1流路〕 58:ベースバルブ〔仕切部材〕 90:メインバルブ 92:パイロットバルブ 100:ハウジング 102:主流路 104:弁体 106:圧縮コイルスプリング 110:バイパス路 112:固定オリフィス 114:パイロット室 116:前方室 120:弁可動体 122:ソレノイド 140:ベースバルブ本体 152:ピストン流路 160:円筒部材 162:回転体 164:モータ 170:貫通孔 172:スリット 174:貫通孔 180:可変オリフィス〔第2減衰力発生器〕 200:サスペンション電子制御ユニット[サスペンションECU]〔制御装置〕 210:車速センサ[V] 212:ばね上加速度センサ[Gz] 214:ステアリングセンサ[δ] 216:モータ回転角センサ[θ]

Claims (6)

  1. 作動液を収容するハウジングと、そのハウジング内に移動可能に配設されたピストンと、一端部が前記ピストンに連結されるとともに他端部が前記ハウジングから延び出すロッドと、前記ピストンによって前記ハウジングの内部が区画されて形成されたロッド側室および反ロッド側室とを有し、車両のばね上部とばね下部とを繋ぐようにして配設されてそれらばね上部とばね下部との相対移動によって伸縮するシリンダと、
    前記ロッド側室および前記反ロッド側室に接続され、それらロッド側室および反ロッド側室の前記シリンダの伸縮に伴う容積変化を補償するためのリザーバと、
    それぞれが、前記シリンダの伸縮に伴う作動液の流れに対する抵抗を変更可能に付与することで、そのシリンダの伸縮に対する減衰力を変更可能に発生させる第1減衰力発生器および第2減衰力発生器と
    前記第1減衰力発生器および前記第2減衰力発生器を制御することで、前記シリンダの伸縮に対する減衰力を制御する制御装置と
    を備えた車両用アブソーバシステムであって、
    前記ロッド側室と前記反ロッド側室との一方から前記リザーバへの作動液の流れを許容するとともに、前記リザーバからその一方への作動液の流れを禁止する第1流路と、
    前記ロッド側室と前記反ロッド側室との他方と前記リザーバとの間の作動液の流れを許容する第2流路と、
    前記ピストンに設けられ、前記ロッド側室と反ロッド側室との他方から、前記ロッド側室と反ロッド側室との一方への流れを許容するピストン流路と
    を備え、
    前記第1減衰力発生器が、
    前記第1流路に設けられ、ソレノイドを有してそのソレノイドに供給される電流に応じて発生させる減衰力の大きさを変更可能なものであり、前記ロッド側室と前記反ロッド側室との一方から前記リザーバへの作動液の流れに対して抵抗を付与するものとされ、
    前記第2減衰力発生器が、
    前記第2流路に設けられ、前記ロッド側室と前記反ロッド側室との他方と前記リザーバとの間の作動液の流れに対して抵抗を付与するものとされた車両用アブソーバシステム。
  2. 前記第2減衰力発生器が、
    作動液の流れを絞ることでその作動液の流れに抵抗を与える絞りを有し、その絞りの流路面積を変更することで、発生させる減衰力の大きさを変更するように構成された請求項1に記載の車両用アブソーバシステム。
  3. 前記ハウジングが、
    内筒および外筒と、前記内筒の一端部に設けられて前記反ロッド側室の端を区画する仕切部材とを有し、
    前記内筒と前記外筒との間が、前記リザーバとされ、
    前記仕切部材に、前記第2流路および前記第2減衰力発生器が設けられた請求項1または請求項2に記載の車両用アブソーバシステム。
  4. 前記制御装置が、
    ステアリング操作の程度が大きい場合に、小さい場合に比較して、前記第2減衰力発生器を、それが発生させる減衰力が大きくなるように制御する請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の車両用アブソーバシステム。
  5. 前記第1減衰力発生器が、
    作動液の流れに抵抗を付与する弁機構を有し、前記ソレノイドが、その弁機構に電磁力に依拠した力を作用させることによりその弁機構の開弁圧を変更するものとされることで、発生させる減衰力の大きさを変更するように構成された請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の車両用アブソーバシステム。
  6. 前記第1減衰力発生器が、
    (a)前記シリンダの伸縮時に作動液が流れる主流路と、(b)その主流路に設けられた前記弁機構としてのメインバルブと、(c)そのメインバルブをバイパスするように設けられたバイパス路と、(d)そのバイパス路に設けられ、前記メインバルブに対してそれを閉弁させる方向の内圧を作用させるパイロット室と、(e)前記ソレノイドを含んで構成されてそのソレノイドに供給される電流に応じて前記パイロット室の内圧を変更するパイロットバルブとを有し、
    前記パイロットバルブによって前記パイロット室の内圧を変更することで前記メインバルブの開弁圧を変更するように構成された請求項5に記載の車両用サスペンションシステム。
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