JP2015214629A - 非イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
末端に一般式(1)で示される構造を有することを特徴とする非イオン性界面活性剤。
[化1]
(式中、R1は水素原子またはアルキル基、R2及びR3はエーテル結合を含んでもよい炭化水素基であり、R2とR3は環を形成していてもよく、(AO)nは、オキシエチレン基、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基からなる群から選択された少なくとも2種のオキシアルキレン基がランダム重合してなるポリオキシアルキレン鎖であり、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、3〜400の数である。)
【選択図】図1
Description
なお、本明細書においてオキシエチレン基(CH2CH2O)をEO、オキシプロピレン基(CH2CH(CH3)O)をPO、オキシブチレン基(CH2CH(CH2CH3)O)をBOと表示することもある。
また、自動食器洗浄機で使用するためには泡立ちを抑制することが必要であるところ、特許文献1及び2に記載された界面活性剤では泡立ち抑制が不充分であり、改善の余地があった。
アセタール構造を形成する2つの酸素原子の1つは、アルキレンオキサイド末端に存在していたヒドロキシル基に由来する酸素原子であり、上記一般式(1)では(AO)nの末端に存在する酸素原子である。アセタール構造を形成するもう1つの酸素原子は一般式(1)において炭化水素基R3と結合している酸素原子である。
このアセタール構造は、アルキレンオキサイド末端のヒドロキシル基に対する付加反応により生成させることができる。界面活性剤の末端がヒドロキシル基であると塩素剤と共存させた場合の塩素安定性が低く、泡立ちが多いが、末端をアセタール構造にすることにより塩素安定性が高くなり、泡立ちが抑制される。
末端をアセタール構造にすることによる高い塩素安定性及び泡立ち抑制効果は、(AO)nをオキシエチレン基、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基からなる群から選択された少なくとも2種のオキシアルキレン基がランダム重合してなるポリオキシアルキレン鎖とすることでより好適に発揮される。
本発明の非イオン性界面活性剤による高い塩素安定性及び泡立ち抑制効果は、オキシエチレン基、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基からなる群から選択された少なくとも2種のオキシアルキレン基がブロック重合してなるポリオキシアルキレン鎖を有する界面活性剤における塩素安定性及び低泡性と比べて際立って優れている。
なお、本明細書におけるアセタール構造とは、R1が水素原子であるアセタール、R1がアルキル基であるケタールの両方を含む概念である。
そのため、副生成物が生じることがなく、末端にヒドロキシル基が残存していない非イオン性界面活性剤を製造することができる。また、硫酸ジメチルのような危険な化合物を使用することなく、高い塩素安定性及び泡立ち抑制効果を有する非イオン性界面活性剤を製造することができる。
また、本発明の非イオン性界面活性剤の製造方法は、副生成物が生じることがなく、かつ、安全に、泡立ち抑制効果が高く塩素安定性に優れた非イオン性界面活性剤を製造することができる。
AOが複数個結合してなるポリオキシアルキレン鎖[(AO)n]は、オキシエチレン基、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基からなる群から選択された少なくとも2種のオキシアルキレン基がランダム重合してなる。
ランダム重合界面活性剤は、ポリオキシアルキレン鎖の構造が制御されておらず、オキシアルキレン基に含まれるオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基の並び方の順序が異なる複数の化合物の混合物である。
本明細書において、オキシアルキレン基がブロック重合してなるポリオキシアルキレン鎖を有する界面活性剤を、ブロック重合界面活性剤ともいう。
−(EO)x−(PO)y− (a)
−(PO)y−(EO)x− (b)
−(EO)x−(BO)z− (c)
−(BO)z−(EO)x− (d)
−(PO)y−(BO)z− (e)
−(BO)z−(PO)y− (f)
−(EO)x−(PO)y−(BO)z− (g)
−(EO)x−(BO)z−(PO)y− (h)
−(PO)y−(EO)x−(BO)z− (i)
−(PO)y−(BO)z−(EO)x− (j)
−(BO)z−(EO)x−(PO)y− (k)
−(BO)z−(PO)y−(EO)x− (l)
(上記式(a)〜(l)において、(EO)x、(PO)y、(BO)zはそれぞれオキシエチレン基xモルが連続してブロック重合してなる構造、オキシプロピレン基yモルが連続してブロック重合してなる構造、オキシブチレン基zモルが連続してブロック重合してなる構造をそれぞれ表す。)
また、一般式(1)に示す構造においてポリオキシアルキレン鎖[(AO)n]が上記式(a)〜(l)のような構造を有するブロック重合界面活性剤のみが複数種類混合されてなる界面活性剤も、ブロック重合界面活性剤に分類され、本発明の界面活性剤(ランダム重合界面活性剤)には該当しない。
ただし、ランダム重合界面活性剤の中に、ブロック重合界面活性剤が含まれている場合は、本発明の界面活性剤(ランダム重合界面活性剤)に該当する。
通常、本発明の非イオン性界面活性剤は、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基の付加モル数の合計n、すなわちAOの付加モル数nが異なる複数の化合物の混合物である。
非イオン性界面活性剤の分子のそれぞれに含まれるAOの付加モル数は整数値であるが、AOの付加モル数を測定した場合の測定値は、非イオン性界面活性剤の分子のそれぞれに含まれるAOの付加モル数の平均値(平均付加モル数)として測定される。本発明の対象物である非イオン性界面活性剤のAOの平均付加モル数を測定して、測定値が3〜400の間に入っていることを確認できれば、AOの付加モル数nは3〜400の数であると判断できる。
また、本発明の非イオン性界面活性剤は、AOの種類が異なる複数の化合物の混合物であってもよい。具体的には、AOとしてオキシエチレン基とオキシプロピレン基を含む化合物、オキシエチレン基とオキシブチレン基を含む化合物、オキシプロピレン基とオキシブチレン基を含む化合物、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とオキシブチレン基を含む化合物の4種類が考えられるが、これら4種類のうちの2種類又は3種類が界面活性剤に含まれていてもよい。
これらの中では、AOとしてオキシエチレン基とオキシプロピレン基を含む界面活性剤が望ましく、ポリオキシアルキレン鎖がオキシエチレン基及びオキシプロピレン基がランダム重合してなる構造を有する界面活性剤が望ましい。
オキシエチレン基の割合が50モル%以上であると、オキシアルキレン基部分の親水性が高まり、親水基部分の構造として適した構造となる。
R1がアルキル基である場合、直鎖又は分岐鎖のアルキル基であれば特に限定されるものではなく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
アセタール構造は、ヒドロキシル基の保護基として用いられる構造であり、ヒドロキシル基末端をアセタール構造とすることでヒドロキシル基が塩素剤と反応することによる塩素剤の失活を防止することができる。
また、アセタール構造は、アルキレンオキサイド末端のヒドロキシル基に対する付加反応により生成させることができる。この付加反応は反応率が高いため、アルキレンオキサイド末端のヒドロキシル基が残存しないように末端を封鎖させることができる。
すなわち、アセタール構造は、「中性及びアルカリ性環境下での安定性が高い」という特徴と「付加反応により形成されるためヒドロキシル基が残存しない」という特徴を有する。
はじめに、環状アセタール構造を有する本発明の非イオン性界面活性剤について説明する。
R2自体に環状構造が含まれる場合は、一般式(8)で示される構造の末端が縮合環となっていてもよい。また、R4は環構造を形成する炭素原子のいずれかに結合する水素原子又は置換基であって、R4は複数個存在していてもよい。
R1は水素原子またはアルキル基、(AO)nは、オキシエチレン基、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基からなる群から選択された少なくとも2種のオキシアルキレン基がランダム重合してなるポリオキシアルキレン鎖であり、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、3〜400の数である。
また、R1が水素原子であることが望ましい。
具体的な例としては、下記一般式(2)に示される6員環構造、又は、下記一般式(3)に示される5員環構造であることが望ましい。
この構造は、後述するように、酸触媒下でヒドロキシル基にジヒドロピランを付加させることにより得られる。
なお、本明細書におけるジヒドロピランとは3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(DHP)を意味する。
式(12)で示す構造は、一般式(8)において、R2がR2自体に環状構造を含む構造であり、一般式(8)で示される構造の末端が縮合環となる構造の一例である。
この構造は、酸触媒下でヒドロキシル基に2,3−ベンゾフランを付加させることにより得られる。
例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。
また、R2及びR3は、エーテル結合を含む炭化水素基であってもよい。
上記構造は、酸触媒下でヒドロキシル基にエチルイソプロぺニルエーテルを付加させることにより得られる。
上記構造は、酸触媒下でヒドロキシル基にシクロヘキシルイソプロぺニルエーテルを付加させることにより得られる。
上記構造は、酸触媒下でヒドロキシル基にエチルビニルエーテルを付加させることにより得られる。
上記構造は、酸触媒下でヒドロキシル基に2−メトキシ−1−ブテンを付加させることにより得られる。
上記構造は、酸触媒下でヒドロキシル基に2−メトキシ−1−ヘプテンを付加させることにより得られる。
アルコールの望ましい例としては、オクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、イソデシルアルコール、ラウリルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、イソヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オクタデシルアルコール、イソステアリルアルコール、エライジルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、エライドリノレイルアルコール、リノレニルアルコール、エライドリノレニルアルコール、リシノレイルアルコール、ノナデシルアルコール、アラキジルアルコール(エイコサノール)、2−オクチルドデカン−1−オール、ヘンエイコサノール、ベヘニルアルコール(1−ドコサノール)、エルシルアルコール、トリコサノール、リグノセリルアルコール(1−テトラコサノール)、ペンタコサノール、セリルアルコール、1−ヘプタコサノール、モンタニルアルコール(1−オクタコサノール)、1−ノナコサノール、ミリシルアルコール(1−トリアコンタノール)、1−ヘントリアコンタノール、1−ドトリアコンタノール、ゲジルアルコール(1−テトラトリアコンタノール)等が挙げられる。
アルキルフェノールの望ましい例としては、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、オクチルフェノール、オクチルクレゾール等が挙げられる。
まず、出発物質として、末端に下記一般式(7)で示される構造を有する非イオン性界面活性剤を準備する。
付加反応の具体的な手順は、ヒドロキシル基に付加反応させて得るアセタール構造によって異なるが、例えば、一般式(9)で示される構造(テトラヒドロピラニルエーテル)は、非イオン性界面活性剤のヒドロキシル基末端にジヒドロピラン(DHP)を酸触媒と共に有機溶媒下で反応させることにより得ることができる。
洗浄剤組成物には、例えば、(A)本発明の非イオン性界面活性剤、(B)塩素剤を配合することができる。アルカリ性の洗浄剤組成物とする場合は、(C)アルカリ剤を含有することができる。
界面活性剤が複数種類用いられている場合、界面活性剤の濃度は各界面活性剤の濃度の合計値として定められる。
また、これらの塩素剤のうちの1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の非イオン性界面活性剤はその末端にヒドロキシル基を有さず、アセタール構造を有しており、アセタール構造は塩素剤(B)と反応しないので、洗浄剤組成物中の塩素剤(B)の失活が防止される。その結果、界面活性剤による洗浄効果と塩素剤による漂白、殺菌効果をともに発揮することのできる洗浄剤組成物となる。
洗浄剤組成物中における塩素剤の濃度は、特に限定されるものではないが、洗浄剤組成物100重量%中、純分で0.1〜30重量%であることが望ましく、4.0〜20重量%であることがより望ましい。
塩素剤が複数種類用いられている場合、塩素剤の濃度は各塩素剤の濃度の合計値として定められる。
これらのアルカリ剤は、水和物となっていてもよい。
これらの中でも、水酸化カリウム、オルソケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム及びこれらの水和物からなる群から選択された少なくとも1種が望ましい。これらのアルカリ剤を使用するとpHを12を超えて高くしやすくなるためである。
また、これらのアルカリ剤のうちの1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の洗浄剤組成物中におけるアルカリ剤(C)の濃度は、特に限定されるものではないが、2〜90重量%であることが望ましく、5〜80重量%であることがより望ましく、12〜80重量%であることがさらに望ましい。
アルカリ剤が複数種類用いられている場合、アルカリ剤の濃度は各アルカリ剤の濃度の合計値として定められる。
pHが12以上と高い洗浄剤組成物は、アルカリ性洗浄剤として油汚れ等の除去に特に効果的である。洗浄剤組成物に含まれる本発明の非イオン性界面活性剤の末端のアセタール構造は、このような高いpHの下においても安定であるため、塩素安定性が高く、泡立ち抑制効果の高いアルカリ性の洗浄剤組成物とすることができる。また、非イオン性界面活性剤と塩素剤が高いpHの下で共に安定に存在するため、界面活性剤による油汚れ等に対する洗浄効果と塩素剤による漂白、殺菌効果をともに発揮させることができる。
pHの測定は、市販のpHメーター等を用いて行えばよいが、例えば、株式会社堀場製作所製、D−21型を用いて測定することができる。
高分子分散剤(D)としては、ポリアクリル酸、ポリアコニット酸、ポリイタコン酸、ポリシトラコン酸、ポリフマル酸、ポリマレイン酸、ポリメタコン酸、ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸、ポリビニルホスホン酸、スルホン化ポリマレイン酸、オレフィン−マレイン酸共重合体、無水マレイン酸ジイソブチレン共重合体、無水マレイン酸スチレン共重合体、無水マレイン酸メチルビニルエーテル共重合体、無水マレイン酸エチレン共重合体、無水マレイン酸エチレンクロスリンク共重合体、無水マレイン酸酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸アクリロニトリル共重合体、無水マレイン酸アクリル酸エステル共重合体、無水マレイン酸ブタジエン共重合体、無水マレイン酸イソプレン共重合体、無水マレイン酸と一酸化炭素から誘導されるポリ−β−ケトカルボン酸、イタコン酸、エチレン共重合体、イタコン酸アコニット酸共重合体、イタコン酸マレイン酸共重合体、イタコン酸アクリル酸共重合体、マロン酸メチレン共重合体、イタコン酸フマール酸共重合体、エチレングリコールエチレンテレフタレート共重合体、ビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体、これらの金属塩等があげられる。なかでも、コスト面、経済性の点から、ポリアクリル酸ナトリウム(平均分子量Mw=3,000〜30,000)、ポリマレイン酸−アクリル酸ナトリウム、オレフィン−マレイン酸ナトリウム共重合体等が好適に用いられる。
キレート剤(E)としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、アスパラギン酸二酢酸(ASDA)、トリポリリン酸、ポリアクリル酸及びこれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、並びに、下記式(25)で示されるポリアスパラギン酸系化合物、下記式(26)で示されるイミノジコハク酸系化合物、下記式(27)で示されるイミノジ酢酸系化合物が挙げられる。
溶媒(F)としては、水や一般的に用いられる有機溶媒が挙げられる。工程剤(F)は、剤形が固体の場合の増量剤であり、pHが中性であるものが望ましく、硫酸ナトリウム、粉末シリカ等が挙げられる。
可溶化剤(G)としては、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、カプリル酸、オクチル酸及びこれらの塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩等が挙げられる。
洗浄剤組成物が固体であり、洗浄剤組成物のpHを直接測定できない場合、洗浄剤組成物のpHは、洗浄剤組成物10gを水90gと混合した状態(洗浄剤組成物の濃度が10重量%)で測定したpHと定める。
原料としての非イオン性界面活性剤として、青木油脂工業株式会社製ワンダーサーフRL100(30g)を準備し、上記非イオン性界面活性剤の塩化メチレン溶液(50ml)に10gのジヒドロピラン(DHP)と、触媒として1mol%のp−トルエンスルホン酸を加えて、終夜(10時間)、室温にて撹拌した。炭酸水素ナトリウムを加えて反応を終了させ、ろ過したのち、溶媒を留去して目的生成物を得た。
原料としての非イオン性界面活性剤は、オキシアルキレン基としてオキシエチレン基とオキシプロピレン基をモル比率EO:PO=9:2.5で含み、オキシエチレン基とオキシプロピレン基がランダム重合してなるポリオキシアルキレン鎖を有している。オキシアルキレン基の平均付加モル数は11.5である。
また、アルコール残基(一般式(6)のX)としてドデシルアルコール及びテトラデシルアルコールの残基を有している。
得られた生成物は、上記非イオン性界面活性剤の末端のヒドロキシル基とDHPが反応してなる、末端に環状アセタール構造を有する非イオン性界面活性剤である。
なお、上記のオキシエチレン基とオキシプロピレン基のモル比率及びアルコール残基は、非イオン性界面活性剤をエーテル結合開裂試薬で処理した後、ガスクロマトグラフィー分析を行い、得られたクロマトグラムのピーク面積及び保持時間から決定した(参考文献:「小西一生,油化学,22(9),549(1973)」)。また、オキシアルキレン基の平均付加モル数は、非イオン性界面活性剤の平均分子量、オキシエチレン基とオキシプロピレン基のモル比率及びアルコール残基の平均分子量から逆算して決定した。
例えば平均分子量1000、ドデシルアルコール残基(分子量=185)、オキシエチレン基とオキシプロピレン基のモル比率が5/1の非イオン性界面活性剤の場合、オキシアルキレン基部分の平均分子量=1000−185=815だから、オキシエチレン基の平均付加モル数をx、オキシプロピレン基の平均付加モル数をyとすると、44(オキシエチレン基分子量)×x+58(オキシプロピレン基分子量)×y=815、x/y=5/1という連立方程式が得られる。これを解くと、x=15、y=3となり、オキシアルキレン基の平均付加モル数は18となる。
実施例1において、非イオン性界面活性剤の末端のヒドロキシル基に付加させる物質として、2,3−ジヒドロフラン又はエチルビニルエーテルを用いた他は実施例1と同様にして末端にアセタール構造を有する非イオン性界面活性剤を得た。
後述する評価試験で使用する非イオン性界面活性剤として、実施例1で用いた、末端にヒドロキシル基を有する原料としての非イオン性界面活性剤(青木油脂工業株式会社製ワンダーサーフRL100)を比較例1とした。
原料としての非イオン性界面活性剤を以下のように調製した。
出発物質としての青木油脂工業株式会社製ブラウノンEL1509(120g)に、100gのプロピレンオキサイドと、触媒として10mol%のカリウムtert−ブトキシドを加えて、4日間室温にて撹拌した。オキシエチレン基とオキシプロピレン基のモル比率がEO:PO=9:2.5になるまでプロピレンオキサイドが付加されたことを確認し、硫酸を加えて反応を終了させ、濾過した後、余剰のプロピレンオキサイドを留去して非イオン性界面活性剤を得た。
オキシエチレン基とオキシプロピレン基のモル比率の確認は、上記したガスクロマトグラフィー分析を行い、得られたクロマトグラムのピーク面積及び保持時間から決定する方法により行った。
出発物質である青木油脂工業株式会社製ブラウノンEL1509はオキシアルキレン基としてオキシエチレン基のみを有しており、これにプロピレンオキサイドを付加しているため、非イオン性界面活性剤のポリオキシアルキレン鎖の構造は、オキシエチレン基のブロックとオキシプロピレン基のブロックを有する構造(式(a)で示す構造)となる。そのため、この非イオン性界面活性剤はEO−POブロック重合界面活性剤である。
また、オキシアルキレン基の平均付加モル数は11.5である。
また、得られたブロック重合界面活性剤はアルコール残基(一般式(6)のX)としてドデシルアルコール及びテトラデシルアルコールの残基を有している。
比較例2で得た非イオン性界面活性剤と、実施例1で得た非イオン性界面活性剤は、ポリオキシアルキレン鎖の構造がブロック重合であるかランダム重合であるか以外は、ほぼ同様の構造を有する非イオン性界面活性剤である。
比較例1において、非イオン性界面活性剤の末端のヒドロキシル基に付加させる物質として、2,3−ジヒドロフラン又はエチルビニルエーテルを用いた他は比較例1と同様にして末端にアセタール構造を有する非イオン性界面活性剤を得た。
比較例3、4で得た非イオン性界面活性剤と、実施例2、3で得た非イオン性界面活性剤は、ポリオキシアルキレン鎖の構造がブロック重合であるかランダム重合であるか以外は、ほぼ同様の構造を有する非イオン性界面活性剤である。
非イオン性界面活性剤として、比較例2で用いた、末端にヒドロキシル基を有する原料としてのEO−POブロック重合界面活性剤である非イオン性界面活性剤を比較例5とした。
表1に示す非イオン性界面活性剤は、オキシエチレン基の平均付加モル数x、オキシプロピレン基の平均付加モル数y、オキシアルキレン基の平均付加モル数nは全て同程度の界面活性剤である。
泡立ち性試験は、ロスマイルス法(JIS K3362に準拠)を用いて、各非イオン性界面活性剤について25℃における0分後の泡立ち性を評価することにより行った。
泡高さが低いほど、泡立ちが少ないといえる。
ロスマイルステストの結果を表1に示した。
実施例1において、原料としての非イオン性界面活性剤として、青木油脂工業株式会社製ワンダーサーフID50を使用した他は実施例1と同様にして、非イオン性界面活性剤の末端のヒドロキシル基とDHPが反応してなる、末端に環状アセタール構造を有する非イオン性界面活性剤を製造した。
原料としての非イオン性界面活性剤は、オキシアルキレン基としてオキシエチレン基とオキシプロピレン基をモル比率EO:PO=3.5:1で含み、オキシエチレン基とオキシプロピレン基がランダム重合してなるポリオキシアルキレン鎖を有している。オキシアルキレン基の平均付加モル数は4.5である。
また、アルコール残基(一般式(6)のX)としてデシルアルコールの残基を有している。
得られた生成物は、上記非イオン性界面活性剤の末端のヒドロキシル基とDHPが反応してなる、末端に環状アセタール構造を有する非イオン性界面活性剤である。
オキシエチレン基とオキシプロピレン基のモル比率、アルコール残基、オキシアルキレン基の平均付加モル数の決定法は、実施例1に記載した方法と同様である。
非イオン性界面活性剤として、実施例4で用いた、末端にヒドロキシル基を有する原料としての非イオン性界面活性剤(青木油脂工業株式会社製ワンダーサーフID50)を比較例6とした。
原料としての非イオン性界面活性剤を以下のように調製した。
比較例2において、加えるプロピレンオキサイドの重量及びプロピレンオキサイドとの反応時間を変更し、出発物質としての非イオン性界面活性剤を青木油脂工業株式会社製ファインサーフD35に変更した他は比較例2と同様にして非イオン性界面活性剤を得た。
出発物質である青木油脂工業株式会社製ファインサーフD35はオキシアルキレン基としてオキシエチレン基のみを有しており、これにプロピレンオキサイドを付加しているため、非イオン性界面活性剤のポリオキシアルキレン鎖の構造は、オキシエチレン基のブロックとオキシプロピレン基のブロックを有する構造(式(a)で示す構造)となる。そのため、この非イオン性界面活性剤はEO−POブロック重合界面活性剤である。
また、オキシアルキレン基の平均付加モル数は4.5である。
また、得られたブロック重合界面活性剤はアルコール残基(一般式(6)のX)としてデシルアルコールの残基を有している。
比較例7で得た非イオン性界面活性剤と、実施例4で得た非イオン性界面活性剤は、ポリオキシアルキレン鎖の構造がブロック重合であるかランダム重合であるか以外は、ほぼ同様の構造を有する非イオン性界面活性剤である。
非イオン性界面活性剤として、比較例7で用いた、末端にヒドロキシル基を有する原料としてのEO−POブロック重合界面活性剤である非イオン性界面活性剤を比較例8とした。
表2に示す非イオン性界面活性剤は、オキシエチレン基の平均付加モル数x、オキシプロピレン基の平均付加モル数y、オキシアルキレン基の平均付加モル数nは全て同程度の界面活性剤である。
ロスマイルステストは実施例1等と同様の方法により行った。
実施例1において、原料としての非イオン性界面活性剤として、青木油脂工業株式会社製ワンダーサーフS1400を使用した他は実施例1と同様にして、非イオン性界面活性剤の末端のヒドロキシル基とDHPが反応してなる、末端に環状アセタール構造を有する非イオン性界面活性剤を製造した。
原料としての非イオン性界面活性剤は、オキシアルキレン基としてオキシエチレン基とオキシプロピレン基をモル比率EO:PO=10:1で含み、オキシエチレン基とオキシプロピレン基がランダム重合してなるポリオキシアルキレン鎖を有している。オキシアルキレン基の平均付加モル数は11である。
また、アルコール残基(一般式(6)のX)としてトリデシルアルコールの残基を有している。
得られた生成物は、上記非イオン性界面活性剤の末端のヒドロキシル基とDHPが反応してなる、末端に環状アセタール構造を有する非イオン性界面活性剤である。
オキシエチレン基とオキシプロピレン基のモル比率、アルコール残基、オキシアルキレン基の平均付加モル数の決定法は、実施例1に記載した方法と同様である。
非イオン性界面活性剤として、実施例5で用いた、末端にヒドロキシル基を有する原料としての非イオン性界面活性剤(青木油脂工業株式会社製ワンダーサーフS1400)を比較例9とした。
原料としての非イオン性界面活性剤を以下のように調製した。
比較例2において、加えるプロピレンオキサイドの重量及びプロピレンオキサイドとの反応時間を変更し、出発物質としての非イオン性界面活性剤を青木油脂工業株式会社製ファインサーフTD100に変更した他は比較例2と同様にして非イオン性界面活性剤を得た。
出発物質である青木油脂工業株式会社製ファインサーフTD100はオキシアルキレン基としてオキシエチレン基のみを有しており、これにプロピレンオキサイドを付加しているため、非イオン性界面活性剤のポリオキシアルキレン鎖の構造は、オキシエチレン基のブロックとオキシプロピレン基のブロックを有する構造(式(a)で示す構造)となる。そのため、この非イオン性界面活性剤はEO−POブロック重合界面活性剤である。
また、オキシアルキレン基の平均付加モル数は11である。
また、得られたブロック重合界面活性剤はアルコール残基(一般式(6)のX)としてトリデシルアルコールの残基を有している。
比較例10で得た非イオン性界面活性剤と、実施例5で得た非イオン性界面活性剤は、ポリオキシアルキレン鎖の構造がブロック重合であるかランダム重合であるか以外は、ほぼ同様の構造を有する非イオン性界面活性剤である。
非イオン性界面活性剤として、比較例10で用いた、末端にヒドロキシル基を有する原料としてのEO−POブロック重合界面活性剤である非イオン性界面活性剤を比較例11とした。
表3に示す非イオン性界面活性剤は、オキシエチレン基の平均付加モル数x、オキシプロピレン基の平均付加モル数y、オキシアルキレン基の平均付加モル数nは全て同程度の界面活性剤である。
ロスマイルステストは実施例1等と同様の方法により行った。
塩素安定性試験1では、実施例1、実施例2、実施例3、比較例1、比較例2及び比較例5の非イオン性界面活性剤のいずれかを含む洗浄剤組成物を調製し、各洗浄剤組成物について塩素安定性を評価した。
洗浄剤組成物の組成は、非イオン性界面活性剤を1.3重量%、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度12%)を44.2重量%、水酸化ナトリウム水溶液(濃度48重量%)を10.0重量%、可溶化剤(キシレンスルホン酸塩水溶液(濃度40重量%))を30.0重量%、水を14.5重量%とした。
塩素安定性試験2では、実施例4、比較例6、比較例7及び比較例8の非イオン性界面活性剤いずれかを含む洗浄剤組成物を調製し、各洗浄剤組成物について塩素安定性を評価した。
洗浄剤組成物の組成は、非イオン性界面活性剤を2.0重量%、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度12%)を44.2重量%、水酸化ナトリウム水溶液(濃度48重量%)を2.0重量%、水酸化カリウム水溶液(濃度48重量%)を8.0重量%、可溶化剤(キシレンスルホン酸塩水溶液(濃度40重量%))を30.0重量%、水を13.8重量%とした。
上記洗浄剤組成物約1gに、ヨウ化カリウム水溶液(濃度約2重量%)50mL及び酢酸10mLを添加して充分に混合することにより混合液を作製した。次に、0.1Mのチオ硫酸ナトリウム水溶液で混合液を滴定し、褐色が消えて無色になった点を終点とした。その時のチオ硫酸ナトリウム水溶液の滴下量に基づき、次式(1)によって有効塩素濃度を算出した。
有効塩素濃度[%]=チオ硫酸ナトリウム水溶液の滴下量[mL]×0.3546/洗浄剤組成物採取量[g]・・・(1)
洗浄剤組成物は、45℃のインキュベータ内で所定日数保管した。
洗浄剤組成物の調製直後の有効塩素濃度を100(%)とし、洗浄剤組成物の調製直後の有効塩素濃度に対する、3日、7日、10日経過後の有効塩素濃度の割合(%)を有効塩素残存率(%)として求めた。
塩素安定性試験1における有効塩素濃度の残存率を表4に、塩素安定性試験2における有効塩素濃度の残存率を表5にそれぞれ示した。
図1には、塩素安定性試験1における有効塩素残存率の経時変化を示すグラフを示した。
図2には、塩素安定性試験2における有効塩素残存率の経時変化を示すグラフを示した。
Claims (9)
- 前記ポリオキシアルキレン鎖は、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基がランダム重合してなる、請求項1に記載の非イオン性界面活性剤。
- 前記付加反応は、酸触媒下でヒドロキシル基にジヒドロピラン、2,3−ジヒドロフラン、アルキルビニルエーテル又はアルキルプロペニルエーテルを付加させる反応である請求項8に記載の非イオン性界面活性剤の製造方法。
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