JP2015214103A - タイヤ形成用の剛性中子、及び空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生タイヤと中子本体との間のエアーを自在な位置で、スピューの発生を抑えながら排出し、中子の取外し作業効率を低下させることなく、エアー溜まりによる品質低下を抑制する。
【解決手段】中子セグメント9は、その内部を通って一端部24Eがタイヤ成形面Sで開口する複数のエアー通過孔24と、各一端部24Eに配されるベントピース25とを具える。ベントピース25は、軸心方向に穴を有しない柱状のピース本体31を具え、かつ該ピース本体31の外周面と前記エアー通過孔24の内周面との間に、エアー通過用の間隙部32を形成する。
【選択図】図2
【解決手段】中子セグメント9は、その内部を通って一端部24Eがタイヤ成形面Sで開口する複数のエアー通過孔24と、各一端部24Eに配されるベントピース25とを具える。ベントピース25は、軸心方向に穴を有しない柱状のピース本体31を具え、かつ該ピース本体31の外周面と前記エアー通過孔24の内周面との間に、エアー通過用の間隙部32を形成する。
【選択図】図2
Description
本発明は、生タイヤと中子本体との間のエアーを排出しうるタイヤ形成用の剛性中子、及び空気入りタイヤの製造方法に関する。
近年、タイヤの形成精度を高めるため、剛性中子を用いたタイヤ形成方法(以下、中子工法という場合がある。)が提案されている。前記剛性中子は、加硫済みタイヤの内腔形状に合った外形形状を有する中子本体を具え、この中子本体上でタイヤ構成部材を順次貼り付けることにより、生タイヤが形成される。そしてこの生タイヤを、剛性中子ごと加硫金型内に投入することにより、中子本体と加硫金型との間に挟まれて生タイヤが加硫される。なお中子本体は、加硫後にタイヤから分解して取り出せるように、タイヤ周方向に分割される複数の中子セグメントにより構成される。
他方、前記中子工法では、タイヤ形成精度をより高めるために、加硫時に、中子本体と生タイヤとの間のエアーを排出することが望まれる。そのため、下記の特許文献1には、図8に示すように、周方向で隣り合う中子セグメントaの合わせ面asに、排気溝bを形成することが提案されている。
しかしこの構造の場合、排気位置が中子本体の分割位置に限定されてしまうため、分割位置以外の位置にてエアー溜まりを招き、タイヤの品質低下を十分に抑えることは難しい。
そこで本発明者は、中子セグメントに、この中子セグメント内を通って一端部がタイヤ成形面で開口する複数のエアー通過孔を設けるとともに、各エアー通過孔の前記一端部(開口部)に、ベントピースを装着することを提案した。しかしこの場合、ベントピースの孔内に侵入するゴムによってスピューが発生してしまう。
中子工法では、加硫されたタイヤから中子セグメントを1つずつ半径方向内側に引き出して取り外す必要がある。しかしもし前記スピューがある場合、それが抵抗となって引き出しに大きな力が必要となり、中子の取外し作業効率を著しく低下させる、或いは取外し作業自体を困難にするという新たな問題が発生する。なおベントピースとして、所謂スプリングベント等の開閉機構付きのものも提案されているが、大型であり配置できる場所に制約が生じるため、複雑な外形形状を有する中子本体への使用は難しい。
本発明は、生タイヤと中子本体との間のエアーを、分割位置以外の自在な位置で、スピューの発生を抑えながら排出でき、中子の取外し作業効率を低下させることなく、エアー溜まりによる品質低下を抑制しうるタイヤ形成用の剛性中子、及び空気入りタイヤの製造方法を提供することを目的としている。
本願第1発明は、外表面にタイヤ成形面を有しかつこのタイヤ成形面上で生タイヤが形成される環状の中子本体を具え、かつ前記生タイヤごと加硫金型内に投入されることにより前記加硫金型と中子本体との間で生タイヤを挟んで加熱加硫する剛性中子であって、
前記中子本体は、タイヤ周方向に分割される複数の中子セグメントからなり、
かつ各前記中子セグメントは、該中子セグメント内を通って一端部が前記タイヤ成形面で開口する複数のエアー通過孔と、各エアー通過孔の前記一端部に配されるベントピースとを具えるとともに、
前記ベントピースは、軸心方向に穴を有しない柱状のピース本体を具え、かつ該ピース本体の外周面と前記エアー通過孔の内周面との間に、エアー通過用の間隙部を形成することを特徴としている。
前記中子本体は、タイヤ周方向に分割される複数の中子セグメントからなり、
かつ各前記中子セグメントは、該中子セグメント内を通って一端部が前記タイヤ成形面で開口する複数のエアー通過孔と、各エアー通過孔の前記一端部に配されるベントピースとを具えるとともに、
前記ベントピースは、軸心方向に穴を有しない柱状のピース本体を具え、かつ該ピース本体の外周面と前記エアー通過孔の内周面との間に、エアー通過用の間隙部を形成することを特徴としている。
本発明に係る前記剛性中子では、前記ベントピースは、前記ピース本体の外周面に、軸心方向にのびる溝状のソーカットを具えることが好ましい。
本発明に係る前記剛性中子では、前記ベントピースは、前記ピース本体の外周面に、周方向にのびる周溝状のベントラインを具えることが好ましい。
本発明に係る前記剛性中子では、前記ベントピースは、前記ピース本体の外周面の少なくとも一部に、アヤ目ローレットが形成されることが好ましい。
本願第2発明は、空気入りタイヤの製造方法であって、第1発明の剛性中子を用いて生タイヤを形成する生タイヤ形成工程と、形成された前記生タイヤを前記剛性中子の中子本体と加硫金型との間で挟んで加熱加硫する加硫工程と、加硫された空気入りタイヤから中子本体を取り外す中子取外し工程とを具えことを特徴としている。
本発明に係る前記空気入りタイヤの製造方法では、前記加硫工程は、生タイヤと中子本体との間に介在するエアーを、前記ベントピース及びエアー通過孔を介して排出する排気ステップを具えることが好ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤの製造方法では、前記中子取外し工程は、加硫された空気入りタイヤと中子本体との間に、前記ベントピース及びエアー通過孔を介してエアーを供給して空気入りタイヤを中子本体から剥離させる剥離ステップを具えることが好ましい。
本発明は叙上の如く、中子セグメントが、この中子セグメント内を通って一端部がタイヤ成形面で開口する複数のエアー通過孔と、各エアー通過孔の前記一端部に配されるベントピースとを具える。従って、中子本体における分割位置以外の自在な位置で、生タイヤと中子本体との間のエアーを排気でき、エアー溜まりによるタイヤの品質低下を抑制しうる。
しかも前記ベントピースが柱状なし、その外周面とエアー通過孔の内周面との間に、エアー通路用の環状の間隙部を形成している。そのため、排気性能を確保しながら前記間隙部のすき間を十分狭くすることができ、スピューの発生を抑え、該スピューに起因する中子の取外し作業効率の低下を抑制しうる。又ベントピースを、開閉機構付きのものに比して小型化しうるため、配置場所の制約を受けることがなく、外形形状が複雑な中子本体への使用を可能とする。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のタイヤ形成用の剛性中子1は、外表面にタイヤ成形面Sを有する環状の中子本体3を具える。
図1に示すように、本実施形態のタイヤ形成用の剛性中子1は、外表面にタイヤ成形面Sを有する環状の中子本体3を具える。
前記タイヤ成形面S上に、インナーライナ、カーカスプライ、ベルトプライ、サイドウォールゴム、トレッドゴム等のタイヤ構成部材が順次貼り付けられ、これにより生タイヤTが形成される。この生タイヤTは、前記剛性中子1ごと加硫金型50内に投入され、加硫金型50と中子本体3との間に挟まれて加熱加硫される。前記タイヤ成形面Sは、仕上がりタイヤ(加硫タイヤ)の内腔形状にほぼ一致した形状を有する。
図2に示すように、本例の剛性中子1は、前記中子本体3と、この中子本体3の中心孔3Hに内挿される円筒状のコア5と、前記コア5の軸心方向両側に同心に配される一対の側板体6L、6Uとを具える。
中子本体3は、分割面8によってタイヤ周方向に分割される複数(本例では8個)の中子セグメント9から形成される。この中子セグメント9は、周方向両端面(分割面8に相当する。)が半径方向内方に向かって周方向巾が減じる向きに傾斜する第1の中子セグメント9Aと、前記第1の中子セグメント9Aとは周方向に交互に配され、かつ周方向両端面が半径方向内方に向かって周方向巾が増す向きに傾斜する第2の中子セグメント9Bとから構成される。これにより中子本体3は、第2の中子セグメント9Bから一つずつ半径方向内方に引き出されて、タイヤビード孔から順次取り出すことができる。
前記コア5は、中子本体3の中心孔3Hに内挿されることにより各中子セグメント9の半径方向内側への移動を阻止する。コア5の軸心方向一端部には、一方の側板板6Lが固定されている。又他端部には、例えばコア5の内周面に設ける内ネジ5Aを介して他方の側板板6Uが着脱自在に取り付けられる。
コア5の外周面には、軸心方向にのびる蟻溝15a又は蟻ほぞ15bの一方からなる第1の蟻継ぎ部16が形成される。又各前記中子セグメント9の内周面には、軸心方向にのびかつ前記第1の蟻継ぎ部16に係合する蟻溝15aは蟻ほぞ15bの他方からなる第2の蟻継ぎ部17が形成される。この第1、2の蟻継ぎ部16、17により、各中子セグメント9を、軸心方向に案内しながらコア5の周囲に精度よく装着することができる。なお前記側板体6L、6Uにより、各中子セグメント9の軸心方向の移動、位置ずれが阻止される。側板体6L、6Uには、支持軸部13が同心に突設される。この支持軸部13は、剛性中子1を保持する保持装置14(図1に示す。)に脱着可能に連結される。
図3、4に示すように、中子セグメント9(図4には第2の中子セグメント9Bが代表して示される。)は、前記タイヤ成形面Sを有する半径方向外側の外セグメント部18と、その半径方向内側に取り付く内セグメント部19とを含む。本例の外セグメント部18の内部には、例えばスチーム等の熱流体が流入するチャンバー室20が凹設される。即ち、本例の外セグメント部18は、外殻状をなし、タイヤ成形面Sのうちサイド成形面部Saをなすタイヤ軸方向両側のサイド側壁部10、トレッド成形面部Sbをなす半径方向外側のトレッド側壁部11、及び分割面8をなす周方向両側の分割側壁部12によって構成される。
前記外セグメント部18は、内セグメント部19の半径方向内面側から挿入されるボルト21によって内セグメント部19の半径方向外面に着脱自在に取り付けられる。
外セグメント部18には、加硫時のエネルギー効率を高めるため、熱伝導率が高いアルミニウムやその合金(アルミニウム合金)が好適に採用される。これに対して内セグメント部19にはステンレス合金が好適に採用される。このステンレス合金は、硬さや強度が大でありかつ熱によっても変形しにくいため、内セグメント部19同士の接触やコア5との接触によっても摩耗や損傷が生じにくく耐久性の向上に役立つ。
前記内セグメント部19は、そのタイヤ軸心方向一方側の側面19Sに、熱流体の流出入口部23を具える。流出入口部23は、前記内セグメント部19の内部を通る流路22を介してチャンバー室20に導通する。本例では、流出入口部23として、流入口部23iと流出口部23oとが独立して設けられる。流入口部23iは、流入流路22iを介してチャンバー室20に熱流体を流入する。又流出口部23oは、流出流路22oを介してチャンバー室20から熱流体を流出させる。前記流入口部23i及び流出口部23oは、所謂自動脱着コネクターであり、加硫金型50への投入時及び取出し時、加硫金型50に設ける熱流体供給側及び熱流体排気側のコネクタ51i、51o(図1に示す。)と自動脱着される。
次に、前記図3に示すように、前記中子セグメント9には、複数のエアー通過孔24と、各エアー通過孔24の一端部24Eに挿入されるベントピース25とを具える。前記エアー通過孔24は、中子セグメント9内を通り、その一端部24Eが、前記タイヤ成形面Sで開口する。本例では、前記エアー通過孔24は、外セグメント部18に形成される外エアー通過孔26と、内セグメント部19に形成される内エアー通過孔27とから構成される。
具体的には、図4、5に示すように、本例の外エアー通過孔26は、サイド側壁部10内を半径方向に貫通してのびる縦エアー通過孔26Aと、トレッド側壁部11内をタイヤ軸方向に貫通してのびる横エアー通過孔26Bとを具える。本例の場合、各サイド側壁部10に、それぞれn本(例えば2本)の縦エアー通過孔26Aが配されるとともに、トレッド側壁部11にもn本(例えば2本)の横エアー通過孔26Bが配される。
縦エアー通過孔26Aの半径方向外端部は、トレッド成形面部Sbで開口し、この外端部(前記一端部24Eに相当する。)にベントピース25が取り付けられる。又横エアー通過孔26Bのタイヤ軸方向両端部は、サイド成形面部Saで開口し、この両端部(前記一端部24Eに相当する。)にベントピース25が取り付けられる。横エアー通過孔26Bは、縦エアー通過孔26Aと交差することで、互いに連通している。
又外エアー通過孔26には、横エアー通過孔26Bから半径方向外側にのび、かつ外端部がトレッド成形面部Sbで開口する補助の縦通過孔26A1、及び/又は縦エアー通過孔26Aからタイヤ軸方向外側にのび、かつ外端部がサイド成形面部Saで開口する補助の横通過孔26B1を含むことができる。補助の縦通過孔26A1、及び補助の横通過孔26B1の各外端部(前記一端部24Eに相当する。)にもベントピース25が取り付けられる。
又前記内エアー通過孔27は、本例では、前記内セグメント部19を半径方向に貫通してのび、その半径方向外端部は、前記縦エアー通過孔26Aの半径方向内端部とそれぞれ導通する。又各内エアー通過孔27の半径方向内端部は、本例では、図1、3に示すように、前記コア5、側板体6L、支持軸部13を通る導通路28に導通する。この導通路28は、例えば自動脱着コネクター29を介して前記保持装置14に設ける導通路30と接続しうる。なお前記導通路30は、例えばバキューム等の負圧源と加圧ポンプ等の加圧源とに切り換え可能に接続される。なお負圧のゲージ圧力は−0.03〜−0.08Mpa、加圧のゲージ圧力は0.02〜0.15Mpaの範囲が好ましい。
次に、図6に示すように、前記ベントピース25は、軸心方向に穴を有しない柱状のピース本体31を具え、該ピース本体31の外周面と前記エアー通過孔24(本例では外エアー通過孔26)の内周面との間に、エアー通過用の間隙部32を形成する。本明細書では便宜上、ベントピース25において、タイヤ成形面S側を「前」、その反対側を「後」とする。
前記ピース本体31は、外エアー通過孔26と略同径をなし、該外エアー通過孔26内に固定される固定部33と、この固定部33の前端側に配される頭部34とを少なくとも含む。前記頭部34の前端面は、タイヤ成形面Sと整一している。又頭部34は、固定部33よりも小径であり、これにより頭部34の外周面と外エアー通過孔26の内周面との間に、環状の間隙部分32Aが形成される。この環状の間隙部分32Aは、前記タイヤ成形面Sで開口する。本例では、前記固定部33の後端側に、該固定部33よりも小径の胴部36が連設される場合が示される。この胴部36は無くても良い。
又前記固定部33の外周面には、軸心方向にのびる溝状のソーカット37、及び/又はアヤ目ローレット38が形成される。これにより、固定部33の外周面と外エアー通過孔26の内周面との間には、前記ソーカット37による間隙部分32B、及び/又はアヤ目ローレット38の網目状凹部による間隙部分32Cが形成される。又前記胴部36が固定部33よりも小径をなすことにより、該胴部36の外周面と外エアー通過孔26の内周面との間には、環状の間隙部分32Dが形成される。そしてこの間隙部分32A〜32Dが互いに協働して、ベントピース25の全長に亘って連続してのびるエアー通過用の間隙部32を形成する。
本例では、固定部33と頭部34との間に、周方向にのびる周溝状のベントライン39を具える。この場合、環状の間隙部分32Aを通過したエアーが、ベントライン39を経由して間隙部分32B、32Cに導かれるため、エアーの流れが滑らかとなり、エアー抜き機能が向上する。又本例では、前記ソーカット37が胴部36を通ってベントピース25の後端まで連続してのびる。これにより、エアー流路をより十分確保することができる。なおソーカット37とアヤ目ローレット38との双方を設けることが、エアー流路をより十分確保する上で好ましい。
このように、ベントピース25によって形成される間隙部32は、タイヤ成形面Sで開口する環状の間隙部分32Aを含む。この間隙部分32Aは環状をなすため、その流路面積(間隙部分32Aの断面積に相当。)を十分に確保しながら、間隙部分32Aのすき間dを十分狭くすることができる。従って、排気性能を確保しながらゴムの侵入を抑えて、スピューの発生、ひいてはスピューに起因する中子の取外し作業効率の低下を抑制することが可能となる。又ベントピース25は構成簡易であるため小型化でき、配置場所の制約を受けることがなく、中子本体3への使用を可能とする。
ベントピース25の材質としては、ステンレス、鉄、アルミなどが好ましく、この内でも、ステンレスが特に好ましい。ベントピース25の形状としては、下穴である外エアー通過孔26を形成する際の加工のし易さなどを考慮すると円柱状が好ましく、具体的には、頭部34および胴部36の各直径は1.4〜2.6mm、全長は6〜14mmの円柱状のものが好ましい。なお上記した円柱状に限定されず、角柱状やその他の柱状であってもよい。
又ソーカット37およびベントライン39の具体的な断面形状としては、半径0.1〜0.4mmの半円状、又はそれに類似する形状の溝であることが好ましい。ソーカット37やベントライン39の形成は、1箇所に限定されず、2箇所以上の複数箇所に形成されていてもよい。
次に、前記剛性中子1を用いた空気入りタイヤの製造方法を説明する。
この製造方法は、生タイヤ形成工程と、加硫工程と、中子取外し工程とを具える。
この製造方法は、生タイヤ形成工程と、加硫工程と、中子取外し工程とを具える。
前記生タイヤ形成工程では、前述した如く、剛性中子1のタイヤ成形面S上に、インナーライナ、カーカスプライ、ベルトプライ、サイドウォールゴム、トレッドゴム等のタイヤ構成部材を順次貼り付けることにより生タイヤTを形成する。
又前記加硫工程では、生タイヤTを剛性中子1ごと加硫金型50内に投入し、加硫金型50と中子本体3との間で生タイヤTを挟んで加熱加硫する。このとき本例では、エアー通過孔24を負圧源に接続し、これによって生タイヤTと中子本体3との間に介在するエアーを外部に排出する。即ち、本例の加硫工程は、排気ステップを具える。その結果、エアー溜まりの発生を抑えることができ、タイヤの品質低下を抑制しうる。
又前記中子取外し工程では、加硫された空気入りタイヤから中子本体3を分解して取り外す。この取り外しは、第2の中子セグメント9Bから一つずつ半径方向内側に引き出し、タイヤビード孔から順次取り出すことで行われる。このとき本例では、エアー通過孔24を加圧源に接続し、加硫された空気入りタイヤと中子本体3との間にエアーを供給することにより、空気入りタイヤを中子本体3から剥離させる。即ち本例の中子取外し工程は、剥離ステップを具える。
ここで、加硫工程後、中子本体3は空気入りタイヤと密着しているため、中子セグメント9の引き出しに大きな力が必要となり、無理に引き出した場合には、タイヤに傷や変形を招きタイヤ品質を損ねる恐れが生じる。そのため、タイヤの変形状態を確認しながらゆっくりと引き出す必要があり、取り出し時間が長くなる。しかし前記剥離ステップを行うことにより、中子本体3を容易に引き出すことが可能となり、中子の取外し作業効率を向上させることができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
本発明の効果を確認するため、図1〜4に示す構造の剛性中子を作成するとともに、その剛性中子を用いて、空気入りタイヤ(245/40R18)を製造した。そして加硫品質(加硫工程におけるエアー溜まりによる不良タイヤ発生率、及びスピューの発生状況)、並びに中子取外し工程における中子の取外し作業性についてテストした。
ベントピースとしては図6、7に示す構造のものを使用した。ベントピースの仕様は以下の通りである。
<ベントピース>
・頭部34:直径(φ2.0mm)、長さ(1.0mm)、間隙部分のすき間d(0.05mm)、
・固定部33:直径(φ2.1mm)、長さ(3.0mm)、
・胴部36:直径(φ2.0mm)、長さ(6.0mm)、
・ソーカット37:断面半円形、半径(0.2mm)、深さ(0.2mm)、
・ベントライン39:断面半円形、半径(0.2mm)、深さ(0.2mm)、
・アヤ目ローレット38:ピッチ(0.5mm)、深さ(0.25mm)。
<ベントピース>
・頭部34:直径(φ2.0mm)、長さ(1.0mm)、間隙部分のすき間d(0.05mm)、
・固定部33:直径(φ2.1mm)、長さ(3.0mm)、
・胴部36:直径(φ2.0mm)、長さ(6.0mm)、
・ソーカット37:断面半円形、半径(0.2mm)、深さ(0.2mm)、
・ベントライン39:断面半円形、半径(0.2mm)、深さ(0.2mm)、
・アヤ目ローレット38:ピッチ(0.5mm)、深さ(0.25mm)。
(1)加硫品質:
加硫工程における不良タイヤ発生率、及びスピューの発生状況:
加硫成形した後のタイヤ内腔面を目視検査し、空気溜まりに起因する不良タイヤの発生率を比較例1を100とする指数で評価した。数値が小なほど不良タイヤ発生率が少なく良好である。又前記タイヤ内腔面の目視検査の際、スピューの発生状況を同時に確認した。
加硫工程における不良タイヤ発生率、及びスピューの発生状況:
加硫成形した後のタイヤ内腔面を目視検査し、空気溜まりに起因する不良タイヤの発生率を比較例1を100とする指数で評価した。数値が小なほど不良タイヤ発生率が少なく良好である。又前記タイヤ内腔面の目視検査の際、スピューの発生状況を同時に確認した。
(2)中子の取外し作業性:
中子取外し工程において、中子セグメントを空気入りタイヤから引き出す際の引き出し力を測定し、その平均値を比較例1を100とする指数で評価した。数値が小なほど引き出し力が小さく、中子の取外し作業性に優れている。又引き出し力が大き過ぎて引出し装置が停止してしまうトラブルの発生件数を、比較例1を100とする指数で評価した。数値が小なほどトラブルが少なく良好である。
中子取外し工程において、中子セグメントを空気入りタイヤから引き出す際の引き出し力を測定し、その平均値を比較例1を100とする指数で評価した。数値が小なほど引き出し力が小さく、中子の取外し作業性に優れている。又引き出し力が大き過ぎて引出し装置が停止してしまうトラブルの発生件数を、比較例1を100とする指数で評価した。数値が小なほどトラブルが少なく良好である。
表1の如く実施例は、生タイヤと中子本体との間のエアーを自在な位置で、スピューの発生を抑えながら排出しうるため、加硫品質を高めうるのが確認できる。又加硫された空気入りタイヤと中子本体との間にエアーを供給して剥離させうるため、中子セグメントの引き出し力を減じることができ、中子の取外し作業性を向上しうるのが確認できる。
1 剛性中子
3 中子本体
9 中子セグメント
24 エアー通過孔
25 ベントピース
31 ピース本体
32 間隙部
37 ソーカット
38 アヤ目ローレット
39 ベントライン
50 加硫金型
S タイヤ成形面
T 生タイヤ
3 中子本体
9 中子セグメント
24 エアー通過孔
25 ベントピース
31 ピース本体
32 間隙部
37 ソーカット
38 アヤ目ローレット
39 ベントライン
50 加硫金型
S タイヤ成形面
T 生タイヤ
Claims (7)
- 外表面にタイヤ成形面を有しかつこのタイヤ成形面上で生タイヤが形成される環状の中子本体を具え、かつ前記生タイヤごと加硫金型内に投入されることにより前記加硫金型と中子本体との間で生タイヤを挟んで加熱加硫する剛性中子であって、
前記中子本体は、タイヤ周方向に分割される複数の中子セグメントからなり、
かつ前記中子セグメントは、該中子セグメント内を通って一端部が前記タイヤ成形面で開口する複数のエアー通過孔と、各エアー通過孔の前記一端部に配されるベントピースとを具えるとともに、
前記ベントピースは、軸心方向に穴を有しない柱状のピース本体を具え、かつ該ピース本体の外周面と前記エアー通過孔の内周面との間に、エアー通過用の間隙部を形成することを特徴とするタイヤ形成用の剛性中子。 - 前記ベントピースは、前記ピース本体の外周面に、軸心方向にのびる溝状のソーカットを具えることを特徴とする請求項1記載のタイヤ形成用の剛性中子。
- 前記ベントピースは、前記ピース本体の外周面に、周方向にのびる周溝状のベントラインを具えることを特徴とする請求項2記載のタイヤ形成用の剛性中子。
- 前記ベントピースは、前記ピース本体の外周面の少なくとも一部に、アヤ目ローレットが形成ることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のタイヤ形成用の剛性中子。
- 請求項1〜4の何れかに記載の剛性中子を用いて生タイヤを形成する生タイヤ形成工程と、形成された前記生タイヤを前記剛性中子の中子本体と加硫金型との間で挟んで加熱加硫する加硫工程と、加硫された空気入りタイヤから中子本体を取り外す中子取外し工程とを具えことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
- 前記加硫工程は、生タイヤと中子本体との間に介在するエアーを、前記ベントピース及びエアー通過孔を介して排出する排気ステップを具えることを特徴とする請求項5記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記中子取外し工程は、加硫された空気入りタイヤと中子本体との間に、前記ベントピース及びエアー通過孔を介してエアーを供給して空気入りタイヤを中子本体から剥離させる剥離ステップを具えることを特徴とする請求項5又は6記載の空気入りタイヤの製造方法。
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JP2014098842A JP2015214103A (ja) | 2014-05-12 | 2014-05-12 | タイヤ形成用の剛性中子、及び空気入りタイヤの製造方法 |
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2014
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CN108437356A (zh) * | 2018-03-13 | 2018-08-24 | 苏州精锐精密机械有限公司 | 注塑模具 |
CN108437356B (zh) * | 2018-03-13 | 2024-03-08 | 苏州精锐精密机械有限公司 | 注塑模具 |
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