JP2018089849A - タイヤ用モールド - Google Patents
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Abstract
【課題】エアーの排出性に優れ、スピューの形成が抑制されたタイヤ用モールドの提供。
【解決手段】このモールド2は、セグメントキャビティ面14を有するセグメント6と、タイヤのサイドウォール外面を成形するサイドキャビティ面18を有する一対のサイドプレート8とを備えている。軸方向においてセグメント6がセグメントキャビティ面14の軸方向外側に位置する一対の当接内周面16を有している。それぞれのサイドプレート8が当接内周面16に当接する当接外周面20を有している。セグメントキャビティ面14に、セグメントキャビティ面14から凹んで周方向に交差して延びるショルダー溝44が形成されている。ショルダー溝44は、セグメントキャビティ面14とサイドキャビティ面18との境界である割位置まで延びている。
【選択図】図1
【解決手段】このモールド2は、セグメントキャビティ面14を有するセグメント6と、タイヤのサイドウォール外面を成形するサイドキャビティ面18を有する一対のサイドプレート8とを備えている。軸方向においてセグメント6がセグメントキャビティ面14の軸方向外側に位置する一対の当接内周面16を有している。それぞれのサイドプレート8が当接内周面16に当接する当接外周面20を有している。セグメントキャビティ面14に、セグメントキャビティ面14から凹んで周方向に交差して延びるショルダー溝44が形成されている。ショルダー溝44は、セグメントキャビティ面14とサイドキャビティ面18との境界である割位置まで延びている。
【選択図】図1
Description
本発明は、タイヤの加硫工程に用いられるモールドに関する。
タイヤは、未加硫のローカバー(生タイヤ)が加硫工程で加硫されて得られる。この加硫工程では、ローカバーが、モールドに投入されて、加圧及び加熱される。この加硫工程では、モールド内からエアーが排出される。このエアーが残留すると、タイヤの表面にベアー等が発生する。このベアー等の発生は、タイヤの外観を損ねる。
特開2016−179730公報には、ベントホールが形成されたモールドが開示されている。モールド内のエアーは、このベントホールを通ってモールド外に排出される。このベントホールによって、ベアー等の発生が抑制される。
加硫工程では、ローカバーのゴム組成物がキャビティ内を流動する。ベントホールからエアーが排出されると共に、ベントホールにゴム組成物が流入する。この流入するゴム組成物によって、タイヤの表面にスピューが形成される。このスピューはタイヤの外観を損なう。このスピューの除去に、工数が掛かる。
本発明の目的は、エアーの排出性に優れると共にスピューの形成が抑制されたタイヤ用モールドの提供にある。
本発明に係るモールドは、タイヤのトレッド面を成形するセグメントキャビティ面を有するセグメントと、上記タイヤのサイドウォール外面を成形するサイドキャビティ面を有する一対のサイドプレートとを備えている。
軸方向において上記セグメントはセグメントキャビティ面の軸方向外側に位置する一対の当接内周面を有している。それぞれのサイドプレートは上記当接内周面に当接する当接外周面を有している。
上記セグメントキャビティ面に、上記セグメントキャビティ面から凹んで周方向に交差して延びるショルダー溝が形成されている。上記ショルダー溝は上記セグメントキャビティ面と上記サイドキャビティ面との境界である割位置まで延びている。
軸方向において上記セグメントはセグメントキャビティ面の軸方向外側に位置する一対の当接内周面を有している。それぞれのサイドプレートは上記当接内周面に当接する当接外周面を有している。
上記セグメントキャビティ面に、上記セグメントキャビティ面から凹んで周方向に交差して延びるショルダー溝が形成されている。上記ショルダー溝は上記セグメントキャビティ面と上記サイドキャビティ面との境界である割位置まで延びている。
好ましくは、周方向に垂直な断面において、上記セグメントキャビティ面の輪郭は、少なくとも2以上の複数の曲率半径の円弧が連続して形成されている。この複数の曲率半径の円弧のうち、最小曲率半径の円弧で形成された輪郭の軸方向内端をPsとし、軸方向外端をPfとし、この内端Psと外端Pfとの中間の輪郭上の頂点をPtとする。このときに、上記ショルダー溝は上記頂点Ptから上記割位置まで延びている。
好ましくは、上記セグメントキャビティ面において、上記頂点Ptより軸方向外側にベントホールが形成されていない。
好ましくは、このモールドは、ベントピースを備えている。上記ベントピースは、上記サイドキャビティ面に配置されている。上記サイドキャビティ面に、上記割位置から上記ベントピースに連通するサイド溝が形成されている。
このモールドでは、上記セグメントキャビティ面に周方向に延びる筋山状の周方向凸部と、この周方向凸部と交差して延びる筋山状の交差凸部と、この周方向凸部及び交差凸部によって区切られた凹部とが形成されている。この凹部は、周方向に複数並んで形成されている。好ましくは、それぞれの凹部に形成されている上記ショルダー溝の本数は、2本以上4本以下である。
好ましくは、上記ショルダー溝が延びる方向に垂直な断面において、上記溝の幅は1.0mm以上2.0mm以下である。上記溝の深さは0.5mm以上1.0mm以下である。
好ましくは、上記ショルダー溝の上記断面における輪郭は曲率半径Rgの円弧で形成されている。上記曲率半径Rgは0.5mm以上1.0mm以下である。
本発明に係るタイヤの製造方法は、タイヤの各部を形成する部材が組み合わされてローカバーが形成される予備成形工程と、このローカバーがモールドで加硫されてタイヤが得られる加硫工程とを備えている。
上記モールドは、タイヤのトレッド面を成形するセグメントキャビティ面を有するセグメントと、上記タイヤのサイドウォール外面を成形するサイドキャビティ面を有する一対のサイドプレートとを備えている。
軸方向において上記セグメントがセグメントキャビティ面の軸方向外側に位置する一対の当接内周面を有している。それぞれのサイドプレートは上記当接内周面に当接する当接外周面を有している。
上記セグメントキャビティ面に、上記セグメントキャビティ面から凹んで周方向に交差して延びるショルダー溝が形成されている。上記ショルダー溝は上記セグメントキャビティ面と上記サイドキャビティ面との境界である割位置まで延びている。
上記モールドは、タイヤのトレッド面を成形するセグメントキャビティ面を有するセグメントと、上記タイヤのサイドウォール外面を成形するサイドキャビティ面を有する一対のサイドプレートとを備えている。
軸方向において上記セグメントがセグメントキャビティ面の軸方向外側に位置する一対の当接内周面を有している。それぞれのサイドプレートは上記当接内周面に当接する当接外周面を有している。
上記セグメントキャビティ面に、上記セグメントキャビティ面から凹んで周方向に交差して延びるショルダー溝が形成されている。上記ショルダー溝は上記セグメントキャビティ面と上記サイドキャビティ面との境界である割位置まで延びている。
本発明に係るモールドでは、セグメントキャビティ面の軸方向端部に、ショルダー溝が形成されている。軸方向端部のエアーは、このショルダー溝に案内されて、割位置から排出される。これにより、スピューの形成が抑制されている。このモールドは、エアーの排出性に優れると共に、スピューの形成が抑制されている。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1は、本発明に係るモールド2の一部が、ローカバーT及びブラダー4と共に示されている。本発明に係る加硫装置は、モールド2及びブラダー4を備えている。この図1において、上下方向はモールド2(ローカバーT)の軸方向であり、左右方向は半径方向であり、紙面に垂直な方向は周方向である。図1の左向きが半径方向外向きである。図1の一点鎖線Lrは、ローカバーTの赤道面を示している。この赤道面は、モールド2の赤道面でもある。
このモールド2は、複数のセグメント6、一対のサイドプレート8、一対のビードリング10及び複数のベントピース12を備えている。
多数のセグメント6は、周方向に並べられている。それぞれのセグメント6は、周方向に隣接する他のセグメント6と当接している。多数のセグメント6は、互いに当接してリング状にされている。これらのセグメント6は、ローカバーTの外周面に当接するセグメントキャビティ面14を備えている。これらのセグメントキャビティ面14は、主にタイヤのトレッド面を成形する。セグメント6は、このセグメントキャビティ面14の軸方向外側に、一対の当接内周面としての一対の内周面16を備えている。この内周面16は、サイドプレート8に当接する。
それぞれのサイドプレート8は、セグメント6の内周面16の半径方向内側に位置している。サイドプレート8は、リング状の形状を備えている。サイドプレート8は、軸方向内側に、ローカバーTの軸方向外面に当接するサイドキャビティ面18を備えている。このサイドキャビティ面18は、主にタイヤのサイドウォール外面を成形する。サイドプレート8は、当接外周面としての外周面20と、内周面22とを備えている。この外周面20は、セグメント6の内周面16に当接する。内周面22は、ビードリング10に当接する。
それぞれのビードリング10は、サイドプレート8の内周面22の半径方向内側に位置している。ビードリング10は、リング状の形状を備えている。ビードリング10は、ローカバーTに当接するビードキャビティ面24を備えている。このビードキャビティ面24は、タイヤのビードの軸方向外側面及び底面を成形する。ビードリング10は、サイドプレート8の内周面22に当接する外周面26を備えている。
ブラダー4は、モールド2の内側に配置されている。ブラダー4は、その内部に加圧及び加熱のための媒体が充てんされることで膨張し、この媒体が排出されることで収縮しうる。図1には、膨張したブラダー4が示されている。このブラダー4は、多数のセグメント6、一対のサイドプレート8及び一対のビードリング10に沿って延在している。ブラダー4は、一対のビードリング10の軸方向内側面28に当接している。ブラダー4は、ローカバーTの内表面に当接する。
このブラダー4と、複数のセグメント6、一対のサイドプレート8及び一対のビードリング10とが、ローカバーTを収容するキャビティ30を形成している。このモールド2のキャビティ面32は、セグメントキャビティ面14、サイドキャビティ面18及びビードキャビティ面24からなっている。
図2には、セグメント6のセグメントキャビティ面14の一部及びサイドプレート8のサイドキャビティ面18の一部が示されている。図3は、図2の線分III−IIIに沿った断面図である。
図2に示される様に、セグメントキャビティ面14には、凸部34、凸部36、凸部38、凸部40、凹部42、ショルダー溝44及びベントホール46が形成されている。凸部34は、周方向に筋山状に延びている。この凸部34は、キャビティ面14の周方向に連続して一周している。
凸部36は、凸部34から軸方向外側に向かって延びている。キャビティ面14からの凸部36の突出量は、軸方向外側に向かって漸減している。この凸部36の突出量は、内周面16の近傍のセグメントキャビティ面14においてゼロになっている。複数の凸部36は、周方向に並べられ形成されている。
図2の二点鎖線Lbは、凸部36の軸方向外端を通って主方向に延びる仮想線を表している。このセグメントキャビティ面14に、凸部34とこの凸部34と交差する一対の凸部36と仮想線Lbとで区切られる凹部42が形成されている。この凹部42は、セグメントキャビティ面14の一部である。この凹部42は、周方向に並べられて複数形成されている。この凹部42は、タイヤのトレッドにおいて、軸方向外端のショルダーブロックを成形する。
この凹部42において、周方向に隣合う凸部36の間に、凸部38が形成されている。この凸部38は、軸方向に延びている。凸部38は、周方向に並べられて複数形成されている。更に、周方向に隣合う凸部36と凸部38との間に、凸部40が形成されている。凸部40は、軸方向に延びている。この凸部40は、周方向に並べられて複数形成されている。
ショルダー溝44は、凹部42から軸方向外側に延びて内周面16の縁まで延びている。ショルダー溝44は、周方向に交差する方向に延びている。このショルダー溝44は、セグメントキャビティ面14に沿って延びている。このため、ショルダー溝44は軸方向内側から外側に向かって、半径方向内向きにも延びている。図3に示される様に、このショルダー溝44は、一の凹部42に、4本形成されている。
このセグメントキャビティ面14では、複数のベントホール46が、凹部42に形成されている。ベントホール46は、凸部34、凸部36、凸部38及び凸部40の近傍に形成されている。言い換えると、ベントホール46は、凸部34、凸部36、凸部38及び凸部40に隣接するセグメントキャビティ面14に形成されている。ベントホール46は、セグメントキャビティ面14からセグメント6の外面まで貫通している。このベントホール46は、ショルダー溝44より軸方向内側に位置している。
周方向に垂直な断面において、このセグメントキャビティ面14のショルダー領域の輪郭は、曲率半径Rcの円弧と、曲率半径Rmの円弧と、曲率半径Reの円弧とが組み合わされて形成されている。このショルダー領域の輪郭は、路面に接地するトレッド面から軸方向外側に滑らかに連続して延びる面の輪郭であって、凸部34、凸部36、凸部38、凸部40及びショルダー溝44が形成されていない状態の基本輪郭として特定される。
このショルダー領域の輪郭では、内周面16の縁から点Pfまでが曲率半径Reの円弧で形成されている。この点Pfから点Psまでが曲率半径Rmの円弧で形成されている。この点Psより軸方向内側が曲率半径Rcの円弧で形成されている。点Ps及び点Pfにおいて、それぞれの円弧は滑らかに連続している。この曲率半径Rmは、曲率半径Rc及び曲率半径Reより小さい。この曲率半径Rmは、曲率半径Rc、曲率半径Rm及び曲率半径Reのうち、最小曲率半径である。この曲率半径Rmは、トレッド面の基本輪郭を形成する曲率半径の最小曲率半径である。
図3の符号Ptは、曲率半径Rmで形成された輪郭の内端Psと外端Pfとの中間の輪郭上の頂点を表している。図3の一点鎖線Lvは、内端Psと外端Pfとを通る仮想直線を表している。両矢印Dは、仮想直線Lvから頂点Ptまでの距離を表している。内端Psと外端Pfとの間の輪郭において、この距離Dは輪郭上から仮想直線Lvまでの距離の最大値である。
図2の実線Lsは、セグメント6の内周面16とサイドプレート8の外周面20との当接する位置を表す。この実線Lsは、セグメント6とサイドプレート8との割位置を表している。二点鎖線Ltは、頂点Ptを通って周方向に延びる仮想線を表している。
このモールド2では、ショルダー溝44が仮想線Ltから内周面16の縁まで形成されている。言い換えると、ショルダー溝44は、頂点Ptから割位置Lsまで形成されている。一方で、このセグメントキャビティ面14において、ベントホール46は、仮想線Ltより軸方向内側に形成されている。言い換えると、ベントホール46は、頂点Ptより軸方向外側に形成されていない。このセグメントキャビティ面14では、頂点Ptより軸方向外側に、ショルダー溝44以外に、セグメントキャビティ面14より凹んだ凹部が形成されていない。
図4に示される様に、ショルダー溝44は、その延びる方向に垂直な断面において、曲率半径Rgの円孔状の輪郭を備えている。ここでは、円弧状の輪郭が例示されるが、これに限られない。図4の両矢印Wgは、このショルダー溝44の幅を表している。両矢印Dgは、ショルダー溝44の深さを表している。
図2及び図3に示される様に、サイドプレート8のサイドキャビティ面18には、周溝48、複数のサイド溝50、ベントピース挿入室52及び貫通孔54が形成されている。周溝48は、周方向に延びている。この周溝48は、サイドキャビティ面18を周方向に一周している。この周溝48は、周方向に延びてベントピース挿入室52に連通していればよく、周方向に一周していなくてもよい。
サイド溝50は、外周面20の縁から周溝48まで延びている。言い換えると、サイド溝50は、割位置Lsから延びている。サイド溝50は、半径方向に延びている。このサイド溝50は、周溝48を介してベントピース挿入室52に連通している。図2に示される様に、サイド溝50は、直接にベントピース挿入室52に連通していてもよい。
このモールド2では、サイド溝50は、割位置Lsでショルダー溝44と連通している。図示されないが、このサイド溝50は、ショルダー溝44と同様の断面形状を備えている。サイド溝50は、ショルダー溝44と同様に、曲率半径Rgの円孔状の輪郭を備えている。サイド溝50の幅はWgであり、サイド溝50の深さはDgである。
ベントピース挿入室52は、円筒形状の孔である。このベントピース挿入室52は、サイドキャビティ面18に開口している。貫通孔54は、ベントピース挿入室52の底面からサイドプレート8の外面まで貫通している。このモールド2では、複数のベントピース挿入室52及び貫通孔54が周方向に所定の間隔で形成されている。前述のサイド溝50は、サイド溝50の半径方向外端から最も近いベントピース挿入室52に連通している。
図5に示される様に、それぞれのベントピース挿入室52に、ベントピース12が挿入されている。ベントピース12は、端面56、底面58、貫通孔60及び溝62を備えている。ベントピース12は、ベントピース挿入室52に挿入されて嵌合されている。端面56は、サイドキャビティ面18の一部を構成している。貫通孔60は、端面56から底面58まで貫通している。貫通孔60は、キャビティ30とサイドプレート8の貫通孔54とを連通している。この端面56には、周溝48及びサイド溝50と貫通孔60とを連通する溝62が形成されている。
このベントピース12の外径は例えば2mmから3mmであって、貫通孔60の直径は例えば0.6mmから0.8mmにされる。この圧入式のベントピース12は例示であって、本発明のベントピースはサイドキャビティ面18からサイドプレート8の外面にエアーを排出しうるものであればよい。例えば、ベントピースにエアー排出用の隙間を形成するものであってもよい。具体的には、ベントピースは、プラグと、プラグが挿入されるホルダーとからなって、このプラグとホルダーとの間にエアー排出用の隙間が形成されていてもよい。
このモールド2を用いたタイヤの製造方法が説明される。この製造方法は、予備成形工程及び加硫工程を備えている。この予備成形工程では、タイヤの各部を形成するゴム部材が組み合わされてローカバーTが形成される。
この加硫工程は、投入工程、モールド閉工程、加圧加熱工程、モールド開工程及び取出工程を備えている。この投入工程では、ブラダー4は収縮した状態にある。モールド2の多数のセグメント6、一対のサイドプレート8及び一対のビードリング10は、互いに離れた位置にある。このモールド2は開姿勢にある。図示されない搬送装置によって、ローカバーTは、開姿勢のモールド2の所定の位置に配置される。ブラダー4に媒体が充てんされて膨張する。ブラダー4がローカバーTを所定の位置に保持する。
モールド閉工程では、それぞれのセグメント6が周方向に隣合うセグメント6と当接する。多数のセグメント6はリング状にされる。これらのセグメント6の内周面16に、サイドプレート8の外周面20が当接する。サイドプレート8の内周面22がビードリング10の外周面26に当接する。図1に示される様に、モールド2は、閉姿勢にされる。ローカバーTは、モールド2のキャビティ30に収容される。
加圧加熱工程では、ブラダー4に加熱媒体が充てんされて、ローカバーTが加圧及び加熱される。モールド2は、図示されない加熱手段によって、外側から加熱される。この加圧及び加熱によって、ローカバーTのゴム組成物が加硫される。この加硫工程において、モールド2内のエアーは、ベントホール46と、セグメント6とサイドプレート8との間と、サイドプレート8とビードリング10との間と、ベントピース12とからモールド2の外へ排出される。
このモールド2では、頂点Pt近傍のエアーは、ショルダー溝44に案内されて内周面16と外周面20との間の割位置Lsから排出される。更に、このエアーは、サイド溝50及び周溝48に案内されてベントピース12からも排出される。このローカバーTは、モールド2のキャビティ面32の形状に倣って成形される。この加硫工程を経て、ローカバーTからタイヤが得られる。
モールド開工程では、ブラダー4が収縮する。モールド2は閉姿勢から開姿勢に変化する。取出工程では、モールド2からタイヤが取り出される。
このモールド2のセグメントキャビティ面14では、割位置Lsまで延びるショルダー溝44が形成されている。このショルダー溝44は、エアーを割位置Lsに向かって案内する。このモールド2では、エアーの残留が抑制されている。
このモールド2では、セグメントキャビティ面14に、頂点Ptから割位置Lsまで延びるショルダー溝44が形成されている。セグメントキャビティ面14では、最も曲率半径が小さい領域、即ち曲率半径Rmの円弧で形成された部分に、エアーが集まり易い。特に、頂点Ptの周辺にエアーが集まり易い。このショルダー溝44は、頂点Pt周辺のエアーを割位置Lsに案内する。これにより、エアーが残留することが抑制されている。
このセグメントキャビティ面14では、頂点Pt周辺に、ベントホールが形成されなくとも、頂点Ptの周辺のエアーの残留が抑制されている。頂点Pt周辺にベントホール46が形成されていないので、タイヤのトレッド面において、頂点Pt周辺にスピューが形成されない。更に、このモールド2では、それぞれの凹部42において、頂点Ptより軸方向外側にベントホール46が形成されていない。またベントピース12も設けられていない。タイヤのトレッド面において、頂点Pt周辺より軸方向外側にスピューが形成されない。軸方向において、頂点Ptの周辺でトレッド面は大きく屈曲している。一般に、トレッド面が大きく屈曲しているので、頂点Pt周辺ではスピューの除去に手間が掛かる。このモールド2では、頂点Pt周辺にスピューが形成されないので、スピューの除去が容易にされている。このモールド2を用いることで、スピューを除去に要する工数は低減されうる。
セグメントキャビティ面14では、凸部34から凸部40と、凹部42とが形成されている。このモールド2には、この凹部42に、ショルダー溝44が形成されている。これにより、凹部42のエアーが排出される。このエアーの残留を抑制する観点から、それぞれの凹部42において、ショルダー溝44の本数は、好ましくは2本以上である。一方で、この凸部42が少ないショルダー領域では、トレッド面が接地し易い。トレッド面が接地することで、タイヤは本来の性能を発揮する。この観点から、このショルダー溝44の本数は、好ましくは4本以下である。
このショルダー溝44は、周方向に間隔を空けて形成されることで、頂点Pt周辺のエアーの残留が、周方向に一様に抑制しうる。また、セグメントキャビティ面14では、凸部34から凸部40に隣接する部分に、エアーの残留が生じ易い。この凸部34、凸部36又は凸部40に隣接して、ショルダー溝44を形成することで、エアーを効果的に排出しうる。セグメントキャビティ面14において、ショルダー溝44は、凸部34、凸部36又は凸部40に隣接して形成されることが好ましい。
このモールド2では、サイドプレート8のサイドキャビティ面18に、ベントピース12が位置している。サイドキャビティ面18には、サイド溝50が形成されている。このサイド溝50を介して、割位置Lsに案内されたエアーが更にベントピース12に案内されうる。このモールド2は、ベントピース12及びサイド溝50によって、更にエアーの排出性に優れている。
幅Wg及び深さDgが大きいショルダー溝44は、エアーの排出性に優れている。この観点から、ショルダー溝44の幅Wgは、好ましくは1.0mm以上であり、更に好ましくは1.2mm以上である。同様の観点から、深さDgは、好ましくは0.5mm以上であり、更に好ましくは0.6mm以上である。一方で、幅Wg及び深さDgが小さいショルダー溝44は、タイヤのトレッド面の接地性に優れている。この観点から、幅Wgは、好ましくは2.0mm以下であり、更に好ましくは1.8mm以下である。同様の観点から、深さDgは、好ましくは1.0mm以下であり、更に好ましくは0.9mm以下である。
このモールド2では、ショルダー溝44の断面の輪郭は、曲率半径Rgで形成されている。これにより、溝加工が容易にされている。ショルダー溝44にゴム組成物が残留することが抑制されている。この曲率半径Rgは、幅Wg及び深さDgと同様の観点から、好ましくは0.5mm以上であり、更に好ましくは0.6mm以上である。一方でこの曲率半径Rgは、幅Wg及び深さDgと同様の観点から、好ましくは1.0mm以下であり、更に好ましくは0.9mm以下である。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例]
図1のモールドが準備された。このモールドを用いて、1500本のタイヤが連続製造された。この加硫温度は188℃であった。このタイヤサイズは、「175/65R15 84H」であった。
図1のモールドが準備された。このモールドを用いて、1500本のタイヤが連続製造された。この加硫温度は188℃であった。このタイヤサイズは、「175/65R15 84H」であった。
[比較例1]
従来のモールドが準備された。このモールドは、頂点Ptの周辺を含むセグメントキャビティ面全体にベントホールが形成されていた。その他の構成は、実施例と同様にしてタイヤが製造された。
従来のモールドが準備された。このモールドは、頂点Ptの周辺を含むセグメントキャビティ面全体にベントホールが形成されていた。その他の構成は、実施例と同様にしてタイヤが製造された。
[比較例2]
セグメントキャビティ面の頂点Pt周辺に、ベントホールに代えてスプリング式のベントピースが設けられたモールドが準備された。その他の構成は、比較例1と同様にしてタイヤが製造された。
セグメントキャビティ面の頂点Pt周辺に、ベントホールに代えてスプリング式のベントピースが設けられたモールドが準備された。その他の構成は、比較例1と同様にしてタイヤが製造された。
[外観疵]
タイヤのトレッド面のショルダーにおいて、ベア等の外観疵の有無が検査された。実施例および比較例1では、外観疵は確認されなかった。比較例2では、約300本を加硫した時点で、外観疵が確認された。このモールドでは、ベントピースの隙間にゴム組成物が詰まっていた。このゴム組成物の詰まりによって、スプリング式のベントピースの作動不良が発生した。この作動不良によって、外観疵が発生した。比較例2では、モールドの分解清掃が必要となったため、約300本でタイヤの製造を中止した。
タイヤのトレッド面のショルダーにおいて、ベア等の外観疵の有無が検査された。実施例および比較例1では、外観疵は確認されなかった。比較例2では、約300本を加硫した時点で、外観疵が確認された。このモールドでは、ベントピースの隙間にゴム組成物が詰まっていた。このゴム組成物の詰まりによって、スプリング式のベントピースの作動不良が発生した。この作動不良によって、外観疵が発生した。比較例2では、モールドの分解清掃が必要となったため、約300本でタイヤの製造を中止した。
[スピューの有無]
それぞれのタイヤについて、頂点Ptの周辺及び頂点Ptの軸方向外側でのトレッド面で、スピューの有無が検査された。実施例および比較例1では1500本のタイヤが検査され、比較例2では約300本のタイヤが検査された。実施例および比較例2では、スピューが形成されなかった。一方、比較例1では、全てのタイヤでスピューが確認された。
それぞれのタイヤについて、頂点Ptの周辺及び頂点Ptの軸方向外側でのトレッド面で、スピューの有無が検査された。実施例および比較例1では1500本のタイヤが検査され、比較例2では約300本のタイヤが検査された。実施例および比較例2では、スピューが形成されなかった。一方、比較例1では、全てのタイヤでスピューが確認された。
表1に示されるように、実施例のモールドでは、比較例のモールドに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明されたモールドは、モールドを用いて加硫成型される種々のタイヤの製造に適用されうる。
2・・・モールド
4・・・ブラダー
6・・・セグメント
8・・・サイドプレート
10・・・ビードリング
12・・・ベントピース
14・・・セグメントキャビティ面
16・・・内周面
18・・・サイドキャビティ面
20・・・外周面
30・・・キャビティ
32・・・キャビティ面
34、36、38、40・・・凸部
42・・・凹部
44・・・ショルダー溝
46・・・ベントホール
48・・・周溝
50・・・サイド溝
52・・・ベントピース挿入室
4・・・ブラダー
6・・・セグメント
8・・・サイドプレート
10・・・ビードリング
12・・・ベントピース
14・・・セグメントキャビティ面
16・・・内周面
18・・・サイドキャビティ面
20・・・外周面
30・・・キャビティ
32・・・キャビティ面
34、36、38、40・・・凸部
42・・・凹部
44・・・ショルダー溝
46・・・ベントホール
48・・・周溝
50・・・サイド溝
52・・・ベントピース挿入室
Claims (8)
- タイヤのトレッド面を成形するセグメントキャビティ面を有するセグメントと、上記タイヤのサイドウォール外面を成形するサイドキャビティ面を有する一対のサイドプレートとを備えており、
軸方向において上記セグメントがセグメントキャビティ面の軸方向外側に位置する一対の当接内周面を有しており、それぞれのサイドプレートが上記当接内周面に当接する当接外周面を有しており
上記セグメントキャビティ面に、上記セグメントキャビティ面から凹んで周方向に交差して延びるショルダー溝が形成されており、
上記ショルダー溝が上記セグメントキャビティ面と上記サイドキャビティ面との境界である割位置まで延びているモールド。 - 周方向に垂直な断面において、上記セグメントキャビティ面の輪郭が、少なくとも2以上の複数の曲率半径の円弧が連続して形成されており、
この複数の曲率半径の円弧のうち、最小曲率半径の円弧で形成された輪郭の軸方向内端をPsとし、軸方向外端をPfとし、この内端Psと外端Pfとの中間の輪郭上の頂点をPtとするときに、上記ショルダー溝が上記頂点Ptから上記割位置まで延びている請求項1に記載のモールド。 - 上記セグメントキャビティ面において、上記頂点Ptより軸方向外側にベントホールが形成されていない請求項2に記載のモールド。
- ベントピースを備えており、
上記ベントピースが上記サイドキャビティ面に配置されており、
上記サイドキャビティ面に上記割位置から上記ベントピースに連通するサイド溝が形成されている請求項1から3のいずれかに記載のモールド。 - 上記セグメントキャビティ面に周方向に延びる筋山状の周方向凸部と、この周方向凸部と交差して延びる筋山状の交差凸部と、この周方向凸部及び交差凸部によって区切られた凹部とが形成されており、この凹部が周方向に複数並んで形成されており、
それぞれの凹部に形成されている上記ショルダー溝の本数が2本以上4本以下である請求項1から4のいずれかに記載のモールド。 - 上記ショルダー溝が延びる方向に垂直な断面において、上記溝の幅が1.0mm以上2.0mm以下であり、上記溝の深さが0.5mm以上1.0mm以下である請求項1から5のいずれかに記載のモールド。
- 上記ショルダー溝の上記断面における輪郭が曲率半径Rgの円弧で形成されており、
上記曲率半径Rgが0.5mm以上1.0mm以下である請求項6に記載のモールド。 - タイヤの各部を形成する部材が組み合わされてローカバーが形成される予備成形工程と、このローカバーがモールドで加硫されてタイヤが得られる加硫工程とを備えており、
上記モールドが、タイヤのトレッド面を成形するセグメントキャビティ面を有するセグメントと、上記タイヤのサイドウォール外面を成形するサイドキャビティ面を有する一対のサイドプレートとを備えており、
軸方向において上記セグメントがセグメントキャビティ面の軸方向外側に位置する一対の当接内周面を有しており、それぞれのサイドプレートが上記当接内周面に当接する当接外周面を有しており
上記セグメントキャビティ面に、上記セグメントキャビティ面から凹んで周方向に交差して延びるショルダー溝が形成されており、
上記ショルダー溝が上記セグメントキャビティ面と上記サイドキャビティ面との境界である割位置まで延びているタイヤの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016234842A JP2018089849A (ja) | 2016-12-02 | 2016-12-02 | タイヤ用モールド |
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JP (1) | JP2018089849A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018103517A (ja) * | 2016-12-27 | 2018-07-05 | 東洋ゴム工業株式会社 | タイヤ加硫金型および空気入りタイヤ |
CN109514896A (zh) * | 2019-01-15 | 2019-03-26 | 三角轮胎股份有限公司 | 胎侧耐划伤防护型子午线轮胎高渗胶型模具侧板 |
JP2020104404A (ja) * | 2018-12-27 | 2020-07-09 | Toyo Tire株式会社 | タイヤ加硫金型、及びその製造方法 |
-
2016
- 2016-12-02 JP JP2016234842A patent/JP2018089849A/ja active Pending
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