JP2015213981A - 球体研削における球体支持方法、球体支持装置および球体研削装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】球体のワークWを回転させて表面研削するときワークを下方から支持する方法である。主ボール14の略下半分と凹状に略半球湾曲する保持面21との間に、複数の保持ボール13を一層で介在させる。主ボールの上方をカバー12に設けられた円形の保持孔28から露出させて、主ボールの大部分、保持面および保持ボールを、カバーにより覆って主ボールを回転自在とする。保持孔から露出する主ボールにワークの下方を支持させ、カバーに覆われた主ボールと保持面との間にクーラントCLを供給して、主ボールと保持孔との間からクーラントを外部に排出する。
【選択図】図7
Description
回転軸等を支持するボールベアリングで生ずる運動エネルギーのロスは、内輪、外輪および保持器と球体との摩擦の程度に相関し、球体表面の平滑性が高いほど摩擦によるエネルギーのロスが低下する。
特許文献1記載の研削装置における球体とベアリング外周面との摩擦、および生ずるおそれがあるベアリングの回転不良は、極端な場合には、球体の回転軸の傾斜を設定から狂わせ、研削後のボール表面に研削ムラを生じさせるおそれがある。
その方法は、以下のようなものである。
すなわち、球である主ボールの略下半分と凹状の略半球湾曲面である保持面との間に球である保持ボール複数を一層で介在させる。そして、主ボールの球心よりも上方の一部をカバーに設けられた円形の保持孔から露出させた状態で、主ボールの大部分、保持面および保持ボールを、カバーにより覆って主ボールを回転自在とする。
本発明に係る球体支持装置は、球体であるワークを回転させながらその表面を研削するときにワークを下方から支持する装置である。
ボールユニットは、ワークの下方に接してこれを直接に支持する球状の主ボールと、凹状の略半球湾曲面である保持面を備えたケースと、主ボールの直径よりも小さな直径の円形貫通孔である保持孔を備えたカバーと、主ボールよりも直径が小さな複数の保持ボールと、を有する。
クーラント導入手段は、ボールユニットにおける主ボールのカバーに覆われた部分と保持面との間にクーラントを供給可能に形成されている。
球体支持装置は、主ボールにおける保持孔から露出する部分にワークを支持させてワークの表面を研削するとき、供給されるクーラントが主ボールと保持孔との間から外部に排出されるように形成されている。
本発明に係る球体研削装置は、ワークを回転可能にその下方から支持する装置として前述の球体支持装置を備えた、球体であるワークを回転させながらその表面を研削する球体研削装置である。
球体支持装置1は、ワークである球体Wの表面を研削または研磨するとき、球体Wの自由な回転を許容しながら球体Wからの荷重の大半を支える。
球体支持装置1は、ボールユニット2およびクーラント導入部3からなる。
ケース11は、外観が略円柱状であり、その一方の底面の大部分が、凹状に湾曲する保持面21となっている。保持面21は、半球の表面に類似し、中心を含むすべての平面に対して面対称である。保持面21の端縁と最深部との間には、その曲率半径が、保持ボール13の直径に主ボール14の半径を加えた値の、端縁と平行に一巡する帯である遷移帯22を有する
保持面21における遷移帯22に対して端縁側の部分23および最深部の側部分24の曲率は、いずれも遷移帯22の曲率よりも大きい。
ケース11は、保持面21の最深部近傍から凹状孔25に貫通する複数の連通孔26,…,26を有する。
カバー12は、形状が全体として円筒であり、一方の開口にはフランジ27が設けられている。円筒の他方の端は主ボール14の直径よりも小さな径の円形の開口(以下「保持
孔28」)を備える。カバー12における円筒軸方向の長さは、ケース11における円柱形状の高さよりも大きい。カバー12のフランジ27側の内周は、略円柱状のケース11の外周と凹凸関係を有する形状である。カバー12の内周における保持孔28側は、段が形成されて内径が小さくなっている。この部分の内径は、ケース11の保持面21における開口部分の内径より僅かに大きい。
主ボール14は、保持ボール13よりも大きな球であり(例えば、その直径が保持ボール13の直径の10倍弱)、金属、セラミックスまたは硬質の樹脂等で形成される。
ボールユニット2には、ケース11の保持面21に保持ボール13,…,13が一層に並ぶ。一層に並ぶ保持ボール13,…,13の上に、主ボール14が載せられている。保持ボール13,…,13は、主ボール14の略下半分の周りに配される。
ボールユニット2は、その内部と外部とが、主ボール14と保持孔28との隙間、および連通孔26,…,26によってのみ連通する。
クーラント導入部3は、外観が直方体の金属塊である。クーラント導入部3は、直方体の1つの面の中央に、ケース11の凹状孔25と断面形状が同一で凹凸の関係となる、外方に突出する凸部31を備える。凸部31の端面は平面であり、その高さは凹状孔25の深さよりも小さい。クーラント導入部3は、凸部31の端面の開口から奥に延び、内方で直角に折れて他の端面32に達する、クーラントを流すための導入路33を備える。他の端面32における導入路33の開口部分には、雌ネジが設けられてチューブ継手34が取り付けられている。導入路33の開口部分およびチューブ継手34の取り付けは、他の端面に行ってもよい。
図5は球体研削装置7における球体支持装置1周辺の側面図、図6は図5におけるB−B矢視図である。
球体研削装置7は、球体の表面研削等に使用される装置である。球体研削装置7は、研削対象の球体Wの下方を支える下方支持装置15、球体Wを回転させる一対のテーパローラ16,16、および球体Wをテーパローラ16,16に押しつける押圧装置17等を有する。
球体支持装置1は、その中心軸を垂直方向に対し傾斜させて、下方支持装置15の上端に固定されている。球体支持装置1の「中心軸」とは、円柱状であるケース11の軸であ
り、これに一致する円筒状のカバー12の軸である。「中心軸」は、主ボール14の中心および保持面21の中心(すべての対称面に含まれる)を含む。
球体支持装置1のチューブ継手34は、樹脂チューブ36によってクーラント供給装置に連結される。
一対のテーパローラ16,16は、それぞれの回転軸の軸心が一致するようにかつ互いに間隔を有して配され、個別に回転駆動装置に連結されて異なる回転数での制御が可能である。テーパローラ16,16は、いずれも回転軸方向の一方の側が端に向かって徐々に径が小さくなった台形の回転体形状である。一対のテーパローラ16,16は、同一の形状であって、径が小さい側の端面を対向させ、距離をおいて面対称に配されている。
押圧装置17は、プレッシャローラ42、およびプレッシャローラ42を回転自在に保持する保持装置43を有する。プレッシャローラ42は、外観が径に比べて高さが小さな円柱状であり、ボールベアリングが用いられている。プレッシャローラ42は、球体支持装置1を挟んでテーパローラ16,16の反対側に配される。
球体Wを研削するための砥石44は、真上から球体Wに押しつけられる。砥石44の押しつけは、エアシリンダにより行われ、作動流体である空気の圧力制御によってその押圧力が調整される。
図5,6をも参照して、球体研削装置7による球体Wの研削では、初めに球体Wが、球体支持装置1の主ボール14および2つのテーパローラ16,16の3点(「支持点」という)P1,P2,PCに支持させて球体研削装置7に取り付けられる。球体Wの球心(重心)C1は、平面視において、支持点P1,P2,PCで形成される三角形の中に存在する(図5)。
一対のテーパローラ16,16は、それぞれが設定された回転数で、回転軸AR1周りに回転する。テーパローラ16,16の回転に伴い、点P1,P2でテーパローラ16,16に接する球体Wが回転する。球体Wの回転は、例えば、図7における左側のテーパローラ16が右側のテーパローラ16よりも速く回転する場合、図7において、球体Wは左側が速く回転し、見掛け上、球体Wの回転軸AR2は、右側に比べて左側がテーパローラ16,16の回転軸AR1から遠くなる。
球体支持装置1における主ボール14は、その球心C2と球体Wの球心C1とを結ぶ線上の支持点PCで球体Wを支持する。一方、主ボール14は、構造上任意な回転軸周りに回転可能であるので、球体Wの回転軸AR2に平行な回転軸AR3周りに、球体Wの回転に伴って受動的に回転する。
限に抑えられる。
一般に、研削処理では、研削環境に冷却液(「クーラント」)が供給され、発熱によるワークWの昇温を防ぐことがなされる。これに倣い、球体研削装置7においても、球体Wの砥石44に当たる部分近傍に、ノズル45からクーラントCLが供給される。ノズル45から供給されるクーラントCLは、球体Wの過熱を防止するとともに、同時に、研削により発生する砥石および球体W由来の粉塵を研削環境から除去する役割を有する。
球体支持装置1に供給されるクーラントCLの量は、実際に研削処理を行って粉塵の進入が防止される供給量を見極めて決定するのが好ましい。この他に、例えば、砥石および球体W由来の粉塵の真比重、大きさおよび供給されるクーラントCLの比重、粘度を用いて、ストークスの式により導出することができる。すなわち、静止状態のクーラント中を沈降する代表粉塵の終末速度をストークスの式を用いて求め、これに、主ボール14に荷重が加わったとき(主ボール14が保持面21側に押し込まれたとき)の主ボール14と保持孔28との間隙の面積を掛け合わせた数値が、クーラントCLの最少供給量または供給量の目安となる。「代表粉塵」とは、一例として、研削により生じた粉塵のうち、砥石44由来の最大粒子径を有する粉塵または球体W由来の最大粒子径を有する粉塵のいずれかである。
2 ボールユニット
3 クーラント導入部(クーラント導入手段)
7 球体研削装置
11 ケース
12 カバー
13 複数の保持ボール
14 主ボール
21 保持面
26 連通孔(最深部に開口する孔)
28 保持孔
33 導入路(クーラント導入手段)
W 球体(ワーク)
CL クーラント
Claims (4)
- 球体であるワークを回転させながらその表面を研削するときに前記ワークを下方から支持する球体支持方法であって、
球である主ボールの略下半分と凹状の略半球湾曲面である保持面との間に球である保持ボール複数を一層で介在させ、前記主ボールの球心よりも上方の一部をカバーに設けられた円形の保持孔から露出させた状態で、前記主ボールの大部分、前記保持面および前記保持ボールを前記カバーにより覆って前記主ボールを回転自在とし、
前記保持孔から露出する前記主ボールに前記ワークの下方を支持させ、
前記カバーに覆われた前記主ボールと前記保持面との間にクーラントを供給して前記主ボールと前記保持孔との間から前記クーラントを外部に排出する
ことを特徴とする球体研削における球体支持方法。 - 球体であるワークを回転させながらその表面を研削するときに前記ワークを下方から支持する球体支持装置であって、
ボールユニットと、
クーラント導入手段と、を有し、
前記ボールユニットは、
前記ワークの下方に接してこれを直接に支持する球状の主ボールと、
凹状の略半球湾曲面である保持面を備えたケースと、
前記主ボールの直径よりも小さな直径の円形貫通孔である保持孔を備えたカバーと、
前記主ボールよりも直径が小さな複数の保持ボールと、を有し、
前記主ボールが、前記保持面に一層に並ぶ複数の前記保持ボールに保持され、その一部を前記保持孔から露出させて前記保持面および前記保持ボールとともに回転自在に前記カバーに覆われており、
前記クーラント導入手段は、
前記ボールユニットにおける前記主ボールの前記カバーに覆われた部分と前記保持面との間にクーラントを供給可能に形成されており、
前記主ボールにおける前記保持孔から露出する部分に前記ワークを支持させて前記ワークの表面を研削するとき、供給される前記クーラントが前記主ボールと前記保持孔との間から外部に排出されるように形成された
ことを特徴とする球体支持装置。 - 前記クーラント導入手段は、
前記半球湾曲面である保持面の最深部に、前記クーラントを供給するために開口する孔を備えた
請求項2に記載の球体支持装置。 - 球体であるワークを回転させながらその表面を研削する球体研削装置であって、
前記ワークを回転可能にその下方から支持する装置として請求項2または請求項3に記載の球体支持装置を備えた
球体研削装置。
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