JP2015210356A - 電子写真感光体及び電子写真画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
また、表面処理剤が正孔輸送性基を有することで、表面保護層の電荷(正孔)移動が阻害されないため、感度特性も低下しない利点を有する。しかし、高温高湿条件下で画像メモリー(感光体周期による画像濃度差)が発生するという問題があった。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
一般式(3):CuMO2
(ただし、式中Mは周期律表第13族の元素を表す。)
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層及び表面保護層を順次積層した電子写真感光体であって、当該表面保護層が、バインダー樹脂と、前記一般式(1)で表される構造を有する正孔輸送性化合物で表面修飾したp型半導体微粒子とを含有していることを特徴とする。
(1)導電性支持体上に、電荷発生層と電荷輸送層及び表面保護層を順次積層した層構成
(2)導電性支持体上に、電荷輸送物質と電荷発生物質とを含有する単層の感光層及び表面保護層を順次積層した層構成
(3)導電性支持体上に、中間層、電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層を順次積層した層構成
(4)導電性支持体上に、中間層、電荷輸送物質と電荷発生物質とを含有する単層の感光層、及び表面保護層を順次積層した層構成
本発明の感光体は、上記(1)〜(4)いずれの層構成のものでもよく、これらの中でも、導電性支持体上に、中間層、電荷発生層、電荷輸送層、表面保護層を順次設けて作製された層構成のものが特に好ましい。
本発明に係る表面保護層は、酸性基を有する正孔輸送性化合物で表面修飾したp型半導体微粒子及びバインダー樹脂とを含有する。表面保護層を構成する材料について順次説明する。
本発明に係る表面保護層は、バインダー樹脂と、下記一般式(1)で表される構造を有する正孔輸送性化合物で表面修飾したp型半導体微粒子とを含有する。
Q2及びQ3は、同じでも異なっていてもよく、酸性基を表す。酸性基としては、カルボキシ基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基又はスルホン酸基を表す。m、n、p及びqは、0又は1を表す。pが0のとき、Ar3は置換若しくは無置換のアリール基を表す。Ar3の置換基としては、炭素原子数1〜5個のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換のアルケニレン基を表す。アリール基及びアルケニレン基の置換基としては、炭素原子数1〜5個のアルキル基並びに置換及び無置換のアリール基が挙げられる。
(合成例(1):化合物例[HTM−1]の合成方法)
上記化合物は、核磁気共鳴法(1H−NMR)によって、[HTM−1]であることを確認した。
1H−NMR(300MHz、DMSO)δ ppm:6.27(d、2H)、7.00−7.45(m、19H)、7.89(d、2H)12.05(d、1H)
上記化合物は、核磁気共鳴法(1H−NMR)によって、[HTM−39]であることを確認した。
1H−NMR(300MHz、DMSO)δ ppm:2.94(d、2H)、4.80(s、2H)、7.00−7.24(m、16H)、7.71(d、2H)、7.89(d、2H)
上記化合物は、核磁気共鳴法(1H−NMR)によって、[HTM−42]であることを確認した。
1H−NMR(300MHz、DMSO)δ ppm:4.29(s、1H)、7.00−7.24(m、16H)、7.71(d、2H)、7.89(d、2H)、8.5(s、1H)
本発明の電子写真感光体の表面保護層に用いられるp型半導体微粒子について説明する。
(ただし、式中Mは周期律表第13族の元素を表す。)
第13族の元素としては、具体的には、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)が挙げられる。本発明において好ましく用いられる第13族元素としては、アルミニウム、ガリウム、インジウムであり、一般式(3)で表される好ましいp型半導体微粒子としては、例えば、CuAlO2、CuGaO2、CuInO2等の微粒子が挙げられる。これらのp型半導体微粒子を電子写真感光体の表面保護層に添加することにより、耐摩耗性に優れ、画像ボケ及び画像メモリーの発生しない高画質の電子写真感光体とすることができる。
本発明に係るp型半導体微粒子は、以下の方法により作製することができる。
上記p型半導体微粒子の個数平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)を自動画像処理解析装置「ルーゼックス AP(LUZEX(登録商標)AP)」((株)ニレコ製)ソフトウエアVer.1.32を使用して、2値化処理し、それぞれ水平方向フェレ径を算出、その平均値を個数平均一次粒径としてを算出する。ここで水平方向フェレ径とは、p型半導体微粒子の画像を2値化処理したときの外接長方形の、x軸に平行な辺の長さをいう。
次に、正孔輸送性化合物で表面修飾したp型半導体微粒子について説明する。
本発明に係るp型半導体微粒子に用いられる重合性反応基を有するカップリング剤としては、p型半導体微粒子の表面に存在するヒドロキシ基等と反応するカップリング剤が好ましい。さらに表面保護層の硬度を更に高くする目的で、重合性反応基を有するシランカップリング剤が好ましい。重合性反応基を有するシランカップリング剤としては、ラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤が好ましい。これらのラジカル重合性反応基は、本発明に係る架橋性の重合性化合物とも反応して強固な保護膜を形成することができる。ラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤としては、ビニル基、アクリロイル基又はメタクリロイル基などのラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤が好ましく、このようなラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤としては、下記に記すような公知の化合物が例示される。
S−2:CH2=CHSi(OCH3)3
S−3:CH2=CHSiCl3
S−4:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
S−5:CH2=CHCOO(CH2)2Si(OCH3)3
S−6:CH2=CHCOO(CH2)2Si(OC2H5)(OCH3)2
S−7:CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)3
S−8:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)Cl2
S−9:CH2=CHCOO(CH2)2SiCl3
S−10:CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)Cl2
S−11:CH2=CHCOO(CH2)3SiCl3
S−12:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
S−13:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(OCH3)3
S−14:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2
S−15:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3
S−16:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)Cl2
S−17:CH2=C(CH3)COO(CH2)2SiCl3
S−18:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)Cl2
S−19:CH2=C(CH3)COO(CH2)3SiCl3
S−20:CH2=CHSi(C2H5)(OCH3)2
S−21:CH2=C(CH3)Si(OCH3)3
S−22:CH2=C(CH3)Si(OC2H5)3
S−23:CH2=CHSi(OCH3)3
S−24:CH2=C(CH3)Si(CH3)(OCH3)2
S−25:CH2=CHSi(CH3)Cl2
S−26:CH2=CHCOOSi(OCH3)3
S−27:CH2=CHCOOSi(OC2H5)3
S−28:CH2=C(CH3)COOSi(OCH3)3
S−29:CH2=C(CH3)COOSi(OC2H5)3
S−30:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OC2H5)3
S−31:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)2(OCH3)
S−32:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OCOCH3)2
S−33:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(ONHCH3)2
S−34:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OC6H5)2
S−35:CH2=CHCOO(CH2)2Si(C10H21)(OCH3)2
S−36:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH2C6H5)(OCH3)2
また、シランカップリング剤としては、前記S−1からS−36以外でも、ラジカル重合可能な反応性有機基を有するシラン化合物を用いてもよい。これらのシランカップリング剤は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
p型半導体微粒子の表面修飾においては、湿式メディア分散型装置を用いて、p型半導体微粒子100質量部に対して、酸性基を有する正孔輸送性化合物0.1〜100質量部を添加し分散処理することが好ましい。この範囲内であると表面保護層を設けることによる電気特性の低下がなく、また画像メモリー改善の効果が得られる。また、p型半導体微粒子100質量部に対して、溶媒50〜5000質量部を用いて処理することが好ましい。
表面保護層のバインダー樹脂は、ポリカーボネートやポリアリレート等の硬度の高いポリマーを用いてもよいが、より好ましくは、架橋性の重合性化合物を用いて硬化形成された樹脂が好ましい。
架橋性の重合性化合物は、紫外線や電子線等の活性線照射により重合(硬化)して、ポリスチレン、ポリアクリレート等、一般に感光体のバインダー樹脂として用いられる樹脂となるモノマーが好適であり、特に、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタアクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N−ビニルピロリドン系モノマーが好ましい。これらの中でも、少ない光量あるいは短い時間での硬化が可能であることからアクリロイル基(CH2=CHCO−)又はメタクリロイル基(CH2=CCH3CO−)を有するラジカル重合性化合物が特に好ましい。
また、本発明に係る表面保護層には、さらに各種の電荷輸送物質や酸化防止剤を含有させることもできる。また、各種の滑剤粒子を加えることができる。滑剤粒子としては、例えば、フッ素原子含有樹脂粒子を加えることができる。フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、及びこれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂及びフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。表面保護層中の滑剤粒子の割合は、バインダー樹脂100質量部に対して、好ましくは5〜70質量部、より好ましくは10〜60質量%である。滑剤粒子の粒径は、個数平均一次粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。特に好ましくは、0.05〜0.5μmのものである。樹脂の分子量は適宜選択することができ、特に制限されるものではない。
表面保護層は、架橋性の重合性化合物、酸性基を有する正孔輸送性化合物で表面修飾したp型半導体微粒子、必要に応じて、その他のバインダー樹脂、重合開始剤、滑剤粒子等を添加して調製した塗布液を、公知の方法により感光層表面に塗布し、自然乾燥又は熱乾燥を行い、硬化処理して作製することができる。表面保護層の膜厚は、0.2〜10μmが好ましく、0.5〜6μmがより好ましい。
表面保護層の形成に使用される溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、ベンジルアルコール、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、酢酸エチル、酢酸ブチル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明に係る表面保護層に使用可能な架橋性の重合性化合物を重合反応させる方法としては、電子線開裂反応を利用する方法やラジカル重合開始剤の存在下で光や熱を利用する方法等により重合反応を行うことができる。ラジカル重合開始剤を用いて重合反応を行う場合、重合開始剤として光重合開始剤、熱重合開始剤のいずれも使用することができる。また、光、熱の両方の開始剤を併用することもできる。
本発明では、表面保護層の重合反応は、塗布膜に活性線を照射してラジカルを発生して重合し、かつ分子間及び分子内で架橋反応による架橋結合を形成して硬化し、硬化樹脂を生成することが好ましい。活性線としては、紫外線、可視光などの光や電子線が好ましく、使いやすさ等の見地から紫外線が特に好ましい。
本発明で用いる支持体は導電性を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレスなどの金属をドラム又はシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又はバインダー樹脂とともに塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙などが挙げられる。
本発明においては、導電性支持体と感光層の中間にバリアー機能と接着機能をもつ中間層を設けることもできる。
本発明に用いられる電荷発生層は、電荷発生物質とバインダー樹脂を含有し、電荷発生物質をバインダー樹脂溶液中に分散、塗布して形成したものが好ましい。
本発明の感光体に用いられる電荷輸送層は、電荷輸送物質(CTM)とバインダー樹脂を含有し、電荷輸送物質をバインダー樹脂溶液中に溶解、塗布して形成される。
本発明の感光体を構成する中間層、電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層等の各層は公知の塗布方法により形成することができる。具体的には、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法及び円形量規制型塗布法(円形スライドホッパー塗布方法)等が挙げられる。なお、円形量規制型塗布方法については、例えば、特開昭58−189061号公報及び特開2005−275373号公報に記載されている。
電子写真感光体の表面保護層の強度(硬さ)はユニバーサル硬さ(HU)で評価することができる。
本発明の感光体の表面保護層の硬度は、ユニバーサル硬さ(HU)で評価することができる。ユニバーサル硬さ(HU)は、200N/mm2以上、350N/mm2以下であることが、耐摩耗性向上の観点から好ましい。
このユニバーサル硬さの測定は、市販の硬度測定装置を用いて行うことができ、例えば、超微小硬度計「H−100V」(フィッシャー・インストルメンツ社製)を用いて測定することができる。
測定機:超微小硬度計「H−100V」(フィッシャー・インストルメンツ社製)
圧子形状:ビッカース圧子(a=136°)
測定環境:20℃・60%RH
最大試験荷重:2mN
荷重速度:2mN/10sec
最大荷重クリープ時間:5sec
除荷速度:2mN/10sec
なお、測定は各試料とも感光体の軸方向に均等間隔で5点、周方向に均等角度で3点の合計15点測定し、その平均値を本発明で定義するユニバーサル硬さ(HU)とする。
本発明の感光体は、当該感光体の表面保護層の弾性変形率が、40〜70%の範囲内であることが好ましい。より好ましくは55〜65%の範囲内とされる。表面保護層の弾性変形率が上記範囲内であることにより、表面保護層に優れた耐傷性が得られ、画像ノイズなどの画像不良の発生を抑制することができる。
弾性変形率(%)=(We/Wtot)×100
次に、本発明の有機感光体を用いた電子写真画像形成装置について説明する。図2は、本発明の実施形態の一例を示すフルカラーの電子写真画像形成装置の断面構成図である。
本発明の電子写真画像形成装置としては、本発明の感光体と、帯電手段(帯電器)、露光手段(露光器)又は現像手段(現像器)の少なくとも一つとを一体として有したプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)として構成し、この画像形成ユニットを電子写真画像形成装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。また、帯電手段、露光手段、現像手段の他、転写手段(転写器)、分離手段(分離器)又はクリーニング手段(クリーニング器)の少なくとも一つを感光体とともに一体として有したプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)を形成し、装置本体に着脱自在の単一画像形成ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
<表面修飾p型半導体微粒子〔1〕の作製>
p型半導体微粒子として個数平均一次粒径20nmの「CuAlO2」100質量部、酸性基を有する正孔輸送性化合物[HTM−2]10質量部、メチルエチルケトン1000質量部を湿式サンドミル(粒径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃にて回転速度1000rpmで1時間撹拌混合し、その後、メチルエチルケトンとアルミナビーズを濾別し、遠心分離機にてメチルエチルケトンとCuAlO2微粒子を分離し、80℃にて乾燥し、p型半導体微粒子「CuAlO2」を酸性基を有する正孔輸送性化合物[HTM−2]で表面修飾した表面修飾p型半導体微粒子〔1〕を作製した。
p型半導体微粒子として個数平均一次粒径20nmの「CuAlO2」100質量部、酸性基を有する正孔輸送性化合物[HTM−24]10質量部、メチルエチルケトン1000質量部を湿式サンドミル(粒径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃にて回転速度1000rpmで1時間撹拌混合し、その後、メチルエチルケトンとアルミナビーズを濾別し、遠心分離機にてメチルエチルケトンと正孔輸送性化合物[HTM−24]で処理したCuAlO2微粒子を分離し、80℃にて乾燥した。次に、シランカップリング剤として「3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−503:信越シリコーン(株)製」(例示化合物:S−15)5質量部、メチルエチルケトン1000質量部を湿式サンドミル(径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃にて6時間混合、その後、メチルエチルケトンとアルミナビーズを濾別し、60℃にて乾燥し、p型半導体微粒子「CuAlO2」を酸性基を有する正孔輸送性化合物[HTM−24]と重合性反応基を有するシランカップリング剤(S−15)で表面修飾した表面修飾p型半導体微粒子〔3〕を作製した。
表面修飾p型半導体微粒子〔1〕の作製において、p型半導体微粒子、酸性基を有する正孔輸送性化合物及び重合性反応基を有するシランカップリング剤の種類と添加量を表1のようにして、表面修飾p型半導体微粒子〔2〕、〔4〕〜〔13〕を作製した。
下記のようにして感光体1を作製した。
円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工した導電性支持体を用意した。
下記組成の中間層塗布液を調製した。
バインダー樹脂:ポリアミド樹脂「X1010」(ダイセル・エボニック(株)製)
1.0質量部
金属酸化物微粒子:二酸化チタン「SMT500SAS」(テイカ社製)
1.1質量部
溶媒:エタノール 20質量部
分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行った。
上記塗布液を用いて前記支持体上に、110℃で20分乾燥後の膜厚2μmとなるようにして浸漬塗布法で塗布した。
電荷発生物質:チタニルフタロシアニン顔料(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料
) 20質量部
バインダー樹脂:ポリビニルブチラール樹脂「#6000−C」(電気化学工業社製)
10質量部
溶媒:酢酸t−ブチル 700質量部
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300質量部
を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
電荷輸送物質:下記「CTM−A」 150質量部
バインダー:ポリカーボネート「Z300」(三菱ガス化学社製)
300質量部
酸化防止剤:「Irganox(登録商標)1010」(BASFジャパン社製)
6質量部
溶媒:トルエン/テトラヒドロフラン=1/9体積% 2000質量部
添加剤:シリコンオイル「KF−54」(信越化学社製) 1質量部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法を用いて、110℃で60分乾燥後膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
酸性基を有する正孔輸送性化合物で表面修飾したp型半導体微粒子:表面修飾p型半導体微粒子〔1〕 100質量部
重合性化合物:例示化合物「Mc−1」 100質量部
溶媒:イソプロピルアルコール 500質量部
上記成分をサンドミルを用いて10時間分散した後、重合開始剤〔1〕、(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド:「イルガキュア819」(BASFジャパン社製))8.0質量部を加え、遮光下で混合撹拌して溶解し表面保護層塗布液を調製した(保存中は遮光)。該塗布液を先に電荷輸送層まで作製した感光体上に円形スライドホッパー塗布機を用いて、表面保護層を塗布した。塗布後、室温で20分乾燥後(溶媒乾燥工程)、メタルハライドランプ(500W)を用いて100mmの位置で感光体を回転させながら1分間照射して(紫外線硬化工程)、膜厚3μmの表面保護層を得た。
重合開始剤〔1〕:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド
重合開始剤〔2〕:1−(4−モルホリノフェニル)−2−(ジメチルアミノ)−2−(4−メチルベンジル)−1−ブタノン
重合開始剤〔3〕:2−エチルペルオキシヘキサン酸tert−ブチル
重合開始剤〔4〕:N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ノルボルナ−5−エン−2,3−ジカルボキシミド
重合開始剤〔5〕:1−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン
感光体1の表面保護層に使用する材料、重合条件を表2のように変更した以外は、同様にして感光体2〜13を作製した。
感光体1の作製において、表面保護層に含有される表面修飾p型半導体微粒子〔1〕の添加量を180質量部とし、バインダー樹脂として、架橋性の重合性化合物の代わりにポリカーボネート「Z300」(三菱ガス化学社製)100質量部を用い、重合開始剤を添加しなかったほかは同様にして感光体14を作製した。
感光体1の作製において、表面保護層の表面修飾p型半導体微粒子〔1〕を、表面修飾していないCuAlO2に換え、重合開始剤の種類と添加量を表2のように変更したほかは同様にして感光体15を作製した。
感光体1の作製において、表面保護層の表面修飾p型半導体微粒子〔1〕を、表面修飾していないCuAlO2に換え、電荷輸送物質(正孔輸送性化合物ともいう。)として下記構造を有するCTM−Bを10質量部を用い、重合開始剤を表2のように変更したほかは同様にして感光体16を作製した。
感光体1の作製において、表面保護層に表面修飾p型半導体微粒子〔1〕を添加しなかったほかは表2のようにして感光体17を作製した。
以上のようにして得た感光体を、図2に示す画像形成装置の構成と同様の評価機であるデジタルフルカラー複合機「bizhub PRO C6501」(コニカミノルタ(株)製)に搭載した。光源としては、780nmの半導体レーザーの露光光を使用した。高温高湿環境下(30℃・85%RH)で、Y、M、C、Bk各色印字率2.5%のフルカラーA4画像をA4サイズの中性紙に70万枚の画像出し耐刷試験を行い、その後、画像メモリー、画像ボケ、減耗量及び表面耐傷性について評価した。
高温高湿環境下(30℃・85%RH)で70万枚の画像出し耐刷試験後に、通紙方向に対して左半分がベタ黒画像部、右半分がベタ白画像部の画像をA4サイズの上質紙上に、横送りで10枚連続してプリントし、続いて、均一なハーフトーン画像をプリントし、このプリントされたハーフトーン画像中にベタ黒画像部とベタ白画像部の履歴が現れているか否かを、当該ハーフトーン画像中のベタ黒画像部に対応する領域の反射濃度と、当該ハーフトーン画像中のベタ白画像部に対応する領域の反射濃度との差(ΔID)を算出し、下記の評価基準に従って評価した。
反射濃度は、マクベス反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)を用いて測定した。
◎:ΔIDが、0.05以下(良好)
○:ΔIDが、0.05より大きく0.10以下(実用上問題なし)
×:ΔIDが、0.10より大きい(実用上問題あり)
高温高湿環境下(30℃・85%RH)で70万枚の画像出し耐刷試験後に、直ぐに実機の主電源を停止した。停止12時間後に電源を入れ画像出し可能状態になった後、直ちにA3中性紙全面にハーフトーン画像(マクベス濃度計で相対反射濃度0.4)とA3全面の6dot格子画像を印字した。
(評価基準)
◎:ハーフトーン、格子画像とも画像ボケ発生なし(良好)
○:ハーフトーン画像のみに感光体長軸方向の薄い帯状濃度低下が認められる(実用上問題なし)
×:画像ボケによる格子画像の欠損若しくは線幅の細りが発生(実用上問題あり)
高温高湿環境下(30℃・85%RH)で70万枚の画像出し耐刷試験の前後の膜厚差で評価した。感光体の膜厚は均一膜厚部分(感光体の両端は膜厚が不均一になりやすいので、少なくとも両端3cmは除く)をランダムに10か所測定し、その平均値を感光層の膜厚とする。膜厚測定器は渦電流方式の膜厚測定器「EDDY560C」(HELMUT FISCHER GmbH社製)を用いて行い、耐刷試験前後の感光体膜厚の差を膜厚減耗量とする。
◎:減耗量が、0.7μm以下(極めて良好)
○:減耗量が、0.7μmより大きく、1.6μm以下(良好)
△:減耗量が、1.6μmより大きく、2.0μm以下(実用上問題なし)
×:減耗量が、2.0μmより大きい(実用上問題あり)
高温高湿環境下(30℃・85%RH)で70万枚の画像出し耐刷試験の前後に評価した。以下のように、感光体の表面状態を観察し傷の状態を評価した。評価した感光体はシアン位置に設置された感光体である。
◎:70万枚印字後に表面傷なし(極めて良好)
○:70万枚印字後に表面傷1〜3か所発生(良好)
△:70万枚印字後に表面傷4〜5か所発生(実用上問題なし)
×:70万枚印字後に表面傷6か所以上発生(実用上問題あり)
<5.ユニバーサル硬さ>
前記のようにして作製された感光体の表面保護層の硬さを微小硬度計「H−100V」(フィッシャー・インストルメンツ社製)を用いて、前述の方法で以下の条件で測定した。
測定機:超微小硬度計「H−100V」(フィッシャー・インストルメンツ社製)
圧子形状:ビッカース圧子(a=136°)
測定環境:20℃・60%RH
最大試験荷重:2mN
荷重速度:2mN/10sec
最大荷重クリープ時間:5sec
除荷速度:2mN/10sec
なお、測定は各試料とも感光体の軸方向に均等間隔で5点、周方向に均等角度で3点の合計15点測定し、その平均値を本発明で定義するユニバーサル硬さ(HU)とした。
同様に弾性変形率について、微小硬度計「H−100V」(フィッシャー・インストルメンツ社製)を用いて、前述の方法で上記ユニバーサル硬さ測定条件で測定した。
2 感光層
3 中間層
4 電荷発生層
5 電荷輸送層
6 表面保護層
7 表面修飾p型半導体微粒子
1Y、1M、1C、1Bk 感光体
2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
6Y、6M、6C、6Bk クリーニング手段
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成部(画像形成ユニット)
Claims (10)
- 前記一般式(1)で表される構造を有する正孔輸送性化合物が、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記一般式(2)におけるQ2及びQ3で表される酸性基が、カルボキシ基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基又はスルホン酸基であることを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体。
- 前記p型半導体微粒子が、下記一般式(3)で表される化合物からなる粒子であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
一般式(3):CuMO2
(ただし、式中Mは周期律表第13族の元素を表す。) - 前記p型半導体微粒子が、前記一般式(1)で表される正孔輸送性化合物及び重合性反応基を有するカップリング剤で表面修飾したものであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記重合性反応基を有するカップリング剤が、重合性反応基を有するシランカップリング剤であることを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体。
- 前記バインダー樹脂が、架橋性の重合性化合物を重合して得られた樹脂を含有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記表面保護層が、前記一般式(1)で表される構造を有する正孔輸送性化合物及び前記重合性反応基を有するシランカップリング剤とで表面修飾したp型半導体微粒子並びに前記架橋性の重合性化合物とを重合して得られた重合生成物を含有することを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記架橋性の重合性化合物が、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する重合性化合物であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の電子写真感光体。
- 電子写真感光体を帯電する帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を少なくとも有する電子写真画像形成装置であって、当該電子写真感光体が、請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真画像形成装置。
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