JP2008203640A - 電子写真感光体及びその製造法、それを用いた電子写真画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体及びその製造法、それを用いた電子写真画像形成装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】像流れしにくく、磨耗率の低い電子写真感光体及びその製造法、それを用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供すること。
【解決手段】本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に感光層を有し、前記感光層上に、導電性粒子と硬化性樹脂とを含む導電性粒子含有樹脂層を有する。前記導電性粒子含有樹脂層の膜厚方向では前記導電性粒子が一定濃度で分散されてなり、且つ面方向では前記導電性粒子の高濃度領域が独立して配置されてなる。前記電性粒子含有樹脂層は、導電性粒子の含有率が異なる2種類以上の塗布液を、吐出ノズルから液滴状に吐出して形成される。また、本発明の画像形成装置及びプロセスカートリッジは当該電子写真感光体を備える。
【選択図】なし

Description

本発明は電子写真感光体及びその製造法、それを用いた電子写真画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
帯電、露光、現像、転写などを含む電子写真プロセスによって画像を形成する画像形成装置では、帯電方式としては、コロトロン、スコロトロンなどの方式や、ローラ、ブレード、ブラシなどの方式が主流である。コロトロン、スコロトロンなどの方式は、被帯電体に対して非接触の方式であり、コロナ放電により被帯電体を帯電させる。ローラ、ブレード、ブラシなどの方式は、被帯電体に接触する方式であり、被帯電体と帯電器のギャップでコロナ放電により被帯電体を帯電させる。また、被帯電体に接触する方式であって、被帯電体に電荷を放電させるのではなく注入させる方式もある(例えば、特許文献1参照。)。
近年、画像形成装置の高速化・高画質化が進められる中、その一方で画像形成装置の長寿命化に対する要求も更に高まっている。そのため、画像形成装置を構成する各部材には、より高い耐久信頼性が求められている。
放電現象を用いる帯電器の場合、オゾンやNOxなどの放電生成物が発生する。放電生成物の発生量や発生比率は帯電方式により異なるが、この放電生成物によって被帯電体である電子写真感光体の表面が劣化する。
そこで、放電生成物の発生を抑える工夫や除去手段の工夫が幾つか考案されている。しかし、その工夫により、電子写真感光体の摩耗量が増加したり、摩擦係数が増加したり、高湿時の像が流れ易くなることがある。特に摩耗量と像流れの特性はトレードオフの関係にあり、電子写真感光体の長寿命化を困難にしている。
一方で、電荷注入による帯電方式を採用する場合には、放電生成物の発生はない。しかし、電荷注入を充分に行なうために、被帯電体である電子写真感光体の表面において電荷注入効率を高めるよう抵抗を低くする必要があるので、特に高湿時において像流れが発生し易くなる。
特開平6−3921号公報
本発明の課題は、像流れしにくく、磨耗率の低い電子写真感光体及びその製造法、それを用いた電子写真画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
請求項1に記載の発明は、導電性基体上に感光層を有し、
前記感光層上に、導電性粒子と硬化性樹脂とを含む導電性粒子含有樹脂層を有し、該導電性粒子含有樹脂層の膜厚方向では前記導電性粒子が一定濃度で分散されてなり、且つ面方向では前記導電性粒子の高濃度領域が独立して配置されてなることを特徴とする電子写真感光体である。
請求項2に記載の発明は、前記導電性粒子含有樹脂層の面方向では、前記導電性粒子の高濃度領域と該高濃度領域よりも導電性粒子の濃度の低い低濃度領域とが、格子状に配置されてなることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体である。
請求項3に記載の発明は、前記導電性粒子含有樹脂層の前記硬化性樹脂の少なくとも一種が、フェノール樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体である。
請求項4に記載の発明は、前記フェノール樹脂が、メチロール基を有するフェノール誘導体により合成されたフェノール樹脂であることを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体である。
請求項5に記載の発明は、前記フェノール樹脂のうち少なくとも1種は、レゾール性水酸基の少なくとも一部を、炭素数1〜10の有機基でエーテル変性化したフェノール樹脂であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の電子写真感光体である。
請求項6に記載の発明は、前記導電性粒子含有樹脂層の硬化性樹脂の少なくとも一種が、ヒドロキシ基を有する電荷輸送物質と、官能基数が3以上のイソシアネート化合物と、が三次元的に架橋重合した物質であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電子写真感光体である。
請求項7に記載の発明は、前記導電性粒子含有樹脂層が、更に、少なくとも一種の架橋性電荷輸送物質を含むことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電子写真感光体である。
請求項8に記載の発明は、前記導電性粒子含有樹脂層の前記架橋性電荷輸送物質が、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、カーボネート基、チオール基及びアミノ基から選択される少なくとも1種の官能基を有することを特徴とする請求項7に記載の電子写真感光体である。
請求項9に記載の発明は、前記導電性粒子含有樹脂層の前記架橋性電荷輸送物質の少なくとも一つが、下記一般式(I)〜(IV)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の電子写真感光体である。
一般式(I): F−((X(R−ZH)
一般式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を表し、Rはアルキレン基を表し、Zは酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを表し、mは1〜4の整数を示し、Xは、酸素原子又は硫黄原子を表し、nは0又は1を示し、kは0又は1を示す。
一般式(II): F−[(Xn1−(Rn2−(Zn3G]n4
一般式(II)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子を表し、Rはアルキレン基を表し、Zはアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを表し、Gはエポキシ基を表し、n1、n2及びn3は各々独立に0又は1を示し、n4は1〜4の整数を示す。
Figure 2008203640
一般式(III)中、Fは正孔輸送性を有するn5価の有機基を表し、Tは2価の連結基を表し、Yは酸素原子又は硫黄原子を表し、R、R及びRは各々独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Rは1価の有機基を表し、m1は0又は1を表し、n5は1〜4の整数を示す。但し、RとRは互いに結合してYをヘテロ原子とする複素環を形成してもよい。
Figure 2008203640
一般式(IV)中、Fは正孔輸送性を有するn6価の有機基を表し、Tは2価の連結基を表し、Rは1価の有機基を表し、m2は0又は1を示し、n6は1〜4の整数を示す。
請求項10に記載の発明は、前記一般式(I)〜(IV)で表される化合物が、下記一般式(V)で表される化合物であることを特徴とする請求項9に記載の電子写真感光体である。
Figure 2008203640
一般式(V)中、Ar〜Arは同一でも異なっていてもよく、各々独立に、置換又は未置換のアリール基を表し、Arは置換又は未置換のアリール基又はアリーレン基を表し、cは各々独立に0又は1を表し、kは0又は1を表し、Dは、下記式(VI)〜(IX)から選択される一価の連結基を表し、Dの総数は1〜4である。
一般式(VI): −(X(R−Z
一般式(VII): −(Xn1−(Rn2−(Zn3
Figure 2008203640
一般式(VI)〜(IX)におけるX、X、R、R、R、R、R、R、R、Z、Z、G、Y、T、T、n、n1、n2、n3、k、m1及びm2は、一般式(I)〜(IV)におけるX、X、R、R、R、R、R、R、R、Z、Z、G、Y、T、T、n、n1、n2、n3、k、m1及びm2とそれぞれ同義である。
請求項11に記載の発明は、前記導電性粒子含有樹脂層の前記導電性粒子の平均粒径が、0.005μm以上0.5μm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の電子写真感光体である。
請求項12に記載の発明は、導電性基体上の感光層上に、導電性粒子と硬化性樹脂とを含む塗布液を、吐出ノズルから液滴状に吐出して、導電性粒子含有樹脂層を形成することを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法である。
請求項13に記載の発明は、前記吐出ノズルから前記感光層上に、前記塗布液の液滴を、格子状に複数回吐出することを特徴とする請求項12に記載の電子写真感光体の製造方法である。
請求項14に記載の発明は、前記導電性粒子の含有率が異なる少なくとも2種類の前記塗布液を用い、第一の塗布液の液滴が着弾した位置の周囲を、第一の塗布液よりも導電性粒子の含有率が低い第二の塗布液の液滴が着弾するように、前記吐出ノズルから液滴状に吐出することを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の電子写真感光体の製造方法である。
請求項15に記載の発明は、前記吐出ノズルからの液滴の吐出方式が、インクジェット方式であることを特徴とする請求項12〜請求項14のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法である。
請求項16に記載の発明は、導電性粒子含有樹脂層を最表面に備える請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、前記導電性粒子含有樹脂層に接触し且つ帯電電圧を印加する接触型の帯電装置と、帯電した前記電子写真感光体に潜像を形成する潜像形成装置と、前記潜像をトナーにより現像する現像装置と、前記電子写真感光体上に現像されたトナー像を転写する転写装置と、転写したトナー像を定着する定着装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置である。
請求項17に記載の発明は、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置、帯電した前記電子写真感光体に潜像形成する潜像形成装置、前記潜像をトナーにより現像する現像装置、及び現像後の電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング装置、のうちの少なくとも1つと、を有することを特徴とするプロセスカートリッジである。
請求項1に記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、像流れしにくく、磨耗率の低い電子写真感光体を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、更に像流れしにくく、磨耗率の低い電子写真感光体を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、更に像流れしにくい電子写真感光体を提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、更に像流れしにくい電子写真感光体を提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、更に像流れしにくい電子写真感光体を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、光電特性と耐摩耗性に優れた電子写真感光体を提供することができる。
請求項7に記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、光電特性と耐摩耗性に優れた電子写真感光体を提供することができる。
請求項8に記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、更に光電特性と耐摩耗性に優れた電子写真感光体を提供することができる。
請求項9に記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、更に光電特性と耐摩耗性に優れた電子写真感光体を提供することができる。
請求項10に記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、更に光電特性と耐摩耗性に優れた電子写真感光体を提供することができる。
請求項11に記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、像流れしにくく且つ透明性の高い電子写真感光体を提供することができる。
請求項12に記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、像流れしにくく、磨耗率の低い電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
請求項13に記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、更に像流れしにくく、磨耗率の低い電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
請求項14に記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、更に像流れしにくく、磨耗率の低い電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
請求項15に記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、更に像流れしにくく、磨耗率の低い電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
請求項16に記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、像流れしにくく、磨耗率の低い画像形成装置を提供することができる。
請求項17に記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、像流れしにくく、磨耗率の低いプロセスカートリッジを提供することができる。
以下、図面を参照しつつ本実施態様の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
<電子写真感光体>
図1、2はそれぞれ電子写真感光体10の断面を示す模式図である。図1に示した電子写真感光体10は電荷発生層14と電荷輸送層15とが別個に設けられた感光層を有するもの(機能分離型電子写真感光体)である。また、図2に示した電子写真感光体10は電荷発生材料と電荷輸送材料との双方を含有する層17が設けられたもの(単層型感光層)である。
より具体的には、図1中、導電性支持体11上には下引き層13、電荷発生層14、電荷輸送層15、導電性粒子含有樹脂層16がこの順で設けられて感光層が構成されており、図2中、導電性支持体11上には下引き層13、電荷発生/電荷輸送層17、導電性粒子含有樹脂層16がこの順で設けられて感光層が構成されている。
以下電子写真感光体を構成する各層について、説明する。
1.導電性粒子含有樹脂層16
電子写真感光体の導電性粒子含有樹脂層16としては、硬化性樹脂と導電性粒子とを含有し、更に架橋性電荷輸送物質を含むことが好ましい。
硬化性樹脂と導電性粒子とが組み合わされて導電性粒子含有樹脂層16を形成することで、熱可塑性樹脂と導電性粒子との組み合わせでは実現できなかった、像流れの防止と磨耗率の低減効果の両立が図れることが明らかとなった。この理由については定かでないが、前記導電性粒子が膜厚方向では一定濃度で分散されてなり、且つ面方向では前記導電性粒子の高濃度領域が独立して配置されてなるような場合、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂では全体に均一に分散した場合よりも膜強度が強くなる導電性粒子による投錨効果の現れかたが違い、熱可塑性樹脂の場合よりも硬化性樹脂では導電性粒子による投錨効果が大きく現れ摩耗耐性が増加するからではないかと推測しているが本発明は当該推測に限定されない。
<硬化性樹脂>
−フェノール樹脂−
導電性粒子含有樹脂層16の硬化性樹脂としては、フェノール樹脂が好ましく、少なくともメチロール基を有するフェノール誘導体の1種以上を用いて合成されることがより好ましい。フェノール樹脂、更にはメチロール基を有するフェノール誘導体を用いて合成されたフェノール樹脂が、理由は定かではないが像流れの防止と磨耗率の低減に好適である。
メチロール基を有するフェノール誘導体としては、レゾルシン、ビスフェノールなど、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノールなどの水酸基を1個含む置換フェノール類、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンなどの水酸基を2個含む置換フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールZなどのビスフェノール類、ビフェノール類など、フェノール構造を有する化合物である。
フェノール樹脂は、前記フェノール構造を有する化合物とホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等を、酸あるいはアルカリ触媒下で反応させ、モノメチロールフェノール類、ジメチロールフェノール類、トリメチロールフェノール類のモノマー、及びそれらの混合物、又はそれらをオリゴマー化されたもの、およびモノマーとオリゴマーの混合物がある。分子の構造単位の繰り返しが2〜20程度の比較的大きな分子がオリゴマー、それ以下のものがモノマーである。
フェノール樹脂の合成に用いる触媒としては、硫酸、パラトルエンスルホン酸、リン酸などの酸触媒や、アルカリ触媒として、NaOH、KOH、Ca(OH)等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物やアミン系触媒が用いられる。アミン系触媒として、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等あるが、これらに限定されるものではない。
塩基性触媒を使用した場合には、酸で中和するか、シリカゲルなどの吸着剤や、イオン交換樹脂などと接触させることにより、塩基性触媒を不活性化、あるいは、除去することが好ましい。
−エーテル変性化されたフェノール樹脂−
さらに、導電性粒子含有樹脂層16の硬化性樹脂として、レゾール性水酸基の一部または全てが炭素数1〜10の有機基でエーテル変性化されたフェノール樹脂の少なくとも1種以上を用いることも好適である。
上記有機基としては特に限定しないが、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、メトキシメチル、メトキシエチル等のアルキル基、ベンジル、フェニル、ナフチル基等の芳香族基、シクロペンチル、シクロヘキシル等の脂環族基が挙げられ、メチル、エチル、プロピル、ブチルの低級アルキル基がより好ましい。
フェノール樹脂のレゾール性水酸基をエーテル変性化する方法としては、一般的な合成法を採用することができる。例えば、フェノール樹脂を目的の変性化に対応するアルコールの存在下で加熱する方法を挙げることができる。
また、アルコール中、硫酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、などの酸触媒をフェノール樹脂に対し、0.01質量部以上10質量部以下を添加し、アルコールの沸点以下の温度で反応させる方法は、より温和な条件で合成可能であるため好ましい。
上記エーテル変性化を行ったときには、樹脂中の触媒を除去するために、メタノール、エタノール、トルエン、酢酸エチル等の適当な溶剤に溶解させ、水洗、貧溶剤を用いた再沈殿等の処理を行うか、イオン交換樹脂、又は無機固体を用いて処理を行うことが望ましい。
例えば、イオン交換樹脂としては、アンバーライト15、アンバーライト200C、アンバーリスト15E(以上、ローム・アンド・ハース社製);ダウエックスMWC−1−H、ダウエックス88、ダウエックスHCR−W2(以上、ダウ・ケミカル社製);レバチットSPC−108、レバチットSPC−118(以上、バイエル社製);ダイヤイオンRCP−150H(三菱化成社製);スミカイオンKC−470、デュオライトC26−C、デュオライトC−433、デュオライト−464(以上、住友化学工業社製);ナフィオン−H(デュポン社製)等の陽イオン交換樹脂;アンバーライトIRA−400、アンバーライトIRA−45(以上、ローム・アンド・ハース社製)等の陰イオン交換樹脂が挙げられる。
また、前記無機固体としては、Zr(OPCHCHSOH),Th(OPCHCHCOOH)等のプロトン酸基を含有する基が表面に結合されている無機固体;スルホン酸基を有するポリオルガノシロキサン等のプロトン酸基を含有するポリオルガノシロキサン;コバルトタングステン酸、リンモリブデン酸等のヘテロポリ酸;ニオブ酸、タンタル酸、モリブデン酸等のイソポリ酸;シリカゲル、アルミナ、クロミア、ジルコニア、CaO、MgO等の単元系金属酸化物;シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、ゼオライト類等複合系金属酸化物;酸性白土、活性白土、モンモリロナイト、カオリナイト等の粘土鉱物;LiSO,MgSO等の金属硫酸塩;リン酸ジルコニア、リン酸ランタン等の金属リン酸塩;LiNO,Mn(NO等の金属硝酸塩;シリカゲル上にアミノプロピルトリエトキシシランを反応させて得られた固体等のアミノ基を含有する基が表面に結合されている無機固体;アミノ変性シリコーン樹脂等のアミノ基を含有するポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
更に、フェノール樹脂のレゾール性水酸基をエーテル変性化する方法としては、フェノール樹脂を塩化チオニル等のハロゲン化試薬を用いてクロロメチル化したのち、アルコールと反応させることによっても合成可能である。
この場合、ハロゲン化試薬は、フェノール樹脂に対し0.1質量%以上100質量%以下を添加し、0℃以上50℃以下で反応させることができ、より好適には10℃以上30℃以下がより好ましい。エーテル変性化の反応率は特に限定しないが、フェノール樹脂中のレゾール性水酸基に対し0.2モル当量以上とすることが好ましい。
−イソシアネート化合物で三次元的に架橋重合した電荷輸送物質−
また、導電性粒子含有樹脂層16の硬化性樹脂として、ヒドロキシ基を有する電荷輸送物質を用い、このヒドロキシ基を有する電荷輸送物質と、官能基数が3以上のイソシアネート化合物と、を三次元的に架橋重合させた物質(以下、「三次元的に架橋重合した電荷輸送物質」と称する場合がある。)を用いることも好適である。理由については明らかとなっていないが、三次元的に架橋重合した電荷輸送物質が像流れの防止と磨耗率の低減に好適である。
三次元的に架橋重合した電荷輸送物質は、その他の原料を含んで合成されていてもよい。三次元的に架橋重合した電荷輸送物質は、下記架橋性電荷輸送物質と併用して、あるいは、単独で用いることができる。
三次元的に架橋重合した電荷輸送物質に用いるヒドロキシ基を有する電荷輸送物質としては、下記構造式(A)〜(C)で表されるものが、特に好適である。
Figure 2008203640
構造式(A)中、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、または炭素数1又は2のアルキル基で置換されたアミノ基を表し、Tは、炭素数1〜10の枝分かれしてもよい2価の脂肪族炭化水素基を表し、nは0又は1である。
複数のR、R、R、T及びnは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2008203640

構造式(B)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェニル基、置換基としてハロゲン原子を有する置換アルキル基、又は、置換基として、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜5のアルキル基もしくは炭素数1〜5のアルコキシ基を有する置換フェニル基を表し、Tは、炭素数1〜10の枝分かれしてもよい2価の脂肪族炭化水素基を表し、nは0又は1を表す。
複数のT及びnは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2008203640
構造式(C)中、Rは、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、Xは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、置換基としてハロゲン原子を有する置換アルキル基、又は、置換基として、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜5のアルキル基もしくは炭素数1〜5のアルコキシ基を有する置換フェニル基を表し、Tは、炭素数1〜10の枝分かれしてもよい2価の脂肪族炭化水素基を表す。nは、0または1を表す。
Arはアリーレン基を表し、Ar及びArは、各々独立に、アリール基を表す。Ar、Ar及びArは、各々独立に、複数のハロゲン基、炭素数1〜5の複数のアルキル基、炭素数1〜5の複数のアルコキシ基で置換されていてもよい。構造式(C)中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基、又はアントラセニレン基であることが好ましく、Ar及びArは、各々独立に、フェニル基、ナフチル基、又はアントラセニル基であることが好ましい。
複数のR、T及びnは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記の構造式(A)の具体例を下記に示す。なお、下記具体例において、R、R、R、n及びTは、それぞれ構造式(A)におけるR、R、R、n及びTを表す。また、下記具体例において、置換基に付した数字(例えば、「4−CH」と記載されているときの「4」)は、置換位置を示す。
Figure 2008203640
Figure 2008203640
構造式(A)中の2価の結合部Tの具体例を下記に示す。
Figure 2008203640


上記の構造式(B)の具体例を下記に示す。なお、構造式(B)中の2価の結合部Tは上記構造式(A)の具体例で挙げたものを示す。
Figure 2008203640
上記の構造式(C)の具体例を下記に示す。また、構造式(C)中のArの具体例としてAr−1〜Ar−18を、Ar及びArの具体例としてAr−1〜Ar−21を示す。なお、Arの結合の方向はT,Nのいずれでもよい。
Figure 2008203640
Figure 2008203640


(注)具体例において、2本の結合手が、脂肪族炭化水素基T又は窒素原子と結合する方向は、いずれであってもよい。
Figure 2008203640


(注)ArはAr又はArを示す。
架橋して三次元網目状構造を形成するためには、イソシアネート化合物として3官能以上、即ち、反応可能なイソシアネート基を3個以上有するものを用いることが必要である。
3個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、イソシアネート単量体から得られる誘導体やプレポリマなどのポリイソシアネート変性体を用いることがより望ましい。
具体例としては、官能基数が3以上のポリオールにイソシアネートを付加したアダクト変性体、ウレア結合を有する化合物をイソシアネート化合物で変成したビューレット変性体、ウレタン基にイソシアネートを付加したアロファネート変性体、イソシアヌレート変性体などがより好ましく、他にもカルボジイミド変性体などを用いることができる。
更に好ましいイソシアネート化合物は、下記構造式(D)で表されるヘキサメチレンジイソシアネートのビューレット変性体、又は下記構造式(E)で表されるヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体である。
Figure 2008203640
また、3個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物として、上記の構造式(D)(E)以外の変性体の具体例を示すと下記のとおりである。
Figure 2008203640
上記イソシアネートと共に補助的に用いることができるイソシアネート化合物として、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソソアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、リジンイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−イソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートなどの一般的なイソシアネート単量体を挙げることができる。
前記ポリイソシアネート変性体に含まれるが、イソシアネート基の活性を一時的にマスクするためのブロッキング剤を反応させたブロックイソシアネートも好ましく用いることができる。これは、塗布液のポットライフを延長させる点からも好ましいものである。
導電性粒子含有樹脂層16中の(全ヒドロキシ基数):(全イソシアネート基数)の比が、2:1以上1:2以下の範囲、好適には1.5:1以上1:1.5以下の範囲、より好適には1.2:1以上1:1.2以下の範囲となるように調合することが望ましい。
また、イソシアネート化合物は、空気中の水分等で失活し、反応可能なイソシアネート基数が減少する場合があるので注意を要する。その場合、イソシアネート基が若干過剰になるように調合するとよい。
ヒドロキシ基を有する電荷輸送物質と、官能基数が3以上のイソシアネート化合物との架橋硬化反応を行う際には、無触媒で行なってもよいが、適切な触媒を用いてもよい。触媒としては、塩酸、硫酸、蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、等の酸触媒、アンモニア、トリエチルアミン等の塩基、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、オクエ酸第一錫等の有機錫化合物、テトラ-n-ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン化合物、有機カルボン酸の鉄塩、マンガン塩、コバルト塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩等が挙げられる。
また、架橋硬化反応の際の温度は、下地感光層に影響しなければ特に制限はないが、20℃以上150℃以下に設定するのが好ましい。
<導電性粒子>
導電性粒子含有樹脂層16の導電性粒子としては、金属、金属酸化物、ドープされた金属酸化物を用いることができるが、金属または金属酸化物がより好ましい。なお、「導電性」とは、体積抵抗率が、1Ω・cm以上1010Ω・cm以下のものをいう。
具体的には、金属粒子としては,亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属粒子、金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム等があげられる。また、ドープされた金属酸化物としてはスズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズおよびアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等が挙げられる。
より好適には、導電性粒子は、酸化スズにアンチモンをドープしたもの(酸化錫と酸化アンチモンが含まれるもの)であることが好ましい。
導電性粒子含有樹脂層16の導電性粒子の平均粒径(1次および2次粒子)は、0.005μm以上0.5μm以下とすることが好ましく、0.005μm以上0.3μm以下とすることがより好ましい。
導電性粒子の添加量は、粒子の組成や粒径によって異なるが、導電性粒子含有樹脂層16の表面抵抗率が10Ω/□以上1014Ω/□以下、好適には10Ω/□以上1012Ω/□以下、さらに好適には10Ω/□以上1012Ω/□以下の範囲になるように添加することが好ましい。
<架橋性電荷輸送物質>
導電性粒子含有樹脂層16の架橋性電荷輸送物質は、架橋性基を有する電化輸送材料であり、好適には、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、チオール基、アミノ基のから選択される少なくとも1種の官能基を有する電荷輸送材料である。
前記電荷輸送材料としては、例えば下記一般式(I)〜(IV)で示されるものが挙げられる。
一般式(I): F−((X(R−ZH)
式中Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基、Rはアルキレン基を表し、Zは酸素原子、硫黄原子又はNH、COOを表し、Xは酸素原子又は硫黄原子を表す。mは1以上4以下の整数を示し、nは0又は1を示し、kは0又は1を表す。
一般式(I)で表される電荷輸送材料の具体的な構造としては、例えば以下に挙げたものが使用できる。
Figure 2008203640
Figure 2008203640
Figure 2008203640
一般式(II):F−[(Xn1−(Rn2−(Zn3G]n4
一般式(II)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子を表し、Rはアルキレン基を表し、Zはアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを表し、Gはエポキシ基を表し、n1、n2及びn3はそれぞれ独立に0又は1を表し、n4は1以上4以下の整数を表す。
一般式(II)で表される電荷輸送材料の具体的な構造としては、例えば以下に挙げたものが使用できる。
Figure 2008203640
Figure 2008203640
Figure 2008203640
Figure 2008203640
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Figure 2008203640
Figure 2008203640
Figure 2008203640
一般式(III)中、Fは正孔輸送性を有するn5価の有機基を表し、Tは2価の連結基を表し、Yは酸素原子又は硫黄原子を表し、R、R及びRは、各々独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Rは1価の有機基を表し、m1は0又は1を表し、n5は1以上4以下の整数を表す。但し、RとRは互いに結合してYをヘテロ原子とする複素環を形成してもよい。
一般式(III)で表される電荷輸送材料の具体的な構造としては、例えば以下に挙げたものが使用できる。
Figure 2008203640
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Figure 2008203640
Figure 2008203640
Figure 2008203640
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Figure 2008203640
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Figure 2008203640
Figure 2008203640
Figure 2008203640
式(IV)中、Fは正孔輸送性を有するn6価の有機基を表し、Tは2価の連結基を表し、Rは1価の有機基を表し、m2は0又は1を表し、n6は1以上4以下の整数を表す。
一般式(IV)で表される電荷輸送材料の具体的な構造としては、例えば以下に挙げたものが使用できる。
Figure 2008203640
Figure 2008203640
Figure 2008203640
Figure 2008203640
前記一般式(I)〜(IV)で示される架橋性電荷輸送物質のなかでも、下記一般式(V)で表される化合物が好ましい。
Figure 2008203640
一般式(V)中、Ar〜Arは同一でも異なっていてもよく、各々独立に、置換又は未置換のアリール基を表し、Arは置換又は未置換のアリール基又はアリーレン基を表し、cはそれぞれ独立に0又は1を表し、kは0又は1を表し、Dは下記式(VI)〜(IX)から選択される一価の置換基を表し、Dの総数は1以上4以下である。
一般式(VI): −(X(R−Z
一般式(VII): −(Xn1−(Rn2−(Zn3
Figure 2008203640
一般式(VI)〜(IX)中の記号は、それぞれ一般式(I)〜(IV)中の記号とそれぞれ同義である。
前記一般式(V)におけるAr〜Arは、各々独立に下記式(V−1)〜(V−7)のうちのいずれかであることが好ましい。
Figure 2008203640
式(V−1)〜(V−7)中、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、及び炭素数7〜10のアラルキル基の群より選ばれる1種を表し、R〜R11は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、及びハロゲン原子の群より選ばれる1種を表し、Arは置換又は未置換のアリーレン基を表し、Dは前記式(VI)〜(IX)から選択され、Z’は2価の連結基を表し、c及びsは各々独立に0又は1を表し、tは1以上3以下の整数を表す。
ここで、式(V−7)中のArとしては、下記式(V−8)又は(V−9)で表されるものが好ましい。
Figure 2008203640
式(V−8)、(V−9)中、R12及びR13は、各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、及びハロゲン原子の群より選ばれる1種を表し、tは1以上3以下の整数を表す。
また、式(V−7)中のZ’としては、下記式(V−10)〜(V−17)のうちのいずれかで表されるものが好ましい。
−(CH− 式(V−10)
−(CHCHO)− 式(V−11)
Figure 2008203640
式(V−10)〜(V−17)中、R14及びR15は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、及びハロゲン原子の群より選ばれる1種を表し、Wは2価の連結基を表し、q及びrはそれぞれ1以上10以下の整数を表し、tはそれぞれ1以上3以下の整数を表す。
上記式(V−16)、(V−17)中のWとしては、下記(V−18)〜(V−26)で表される2価の連結基のうちのいずれかであることが好ましい。
−CH− 式(V−18)
−C(CH− 式(V−19)
−O− 式(V−20)
−S− 式(V−21)
−C(CF− 式(V−22)
−Si(CH− 式(V−23)
Figure 2008203640
式(V−25)中、uは0以上3以下の整数を表す。
また、一般式(V)中、Arは、k及びcが0のときはAr〜Arの説明で例示されたアリール基であり、k及びcの一方が1で他方が0のときは、かかるアリール基から2個の水素原子を除いたアリーレン基であり、k及びcが1のときは、かかるアリール基から3個の水素原子を除いた三価の基である。
硬化性樹脂が、前述の三次元的に架橋重合した電荷輸送物質ではない場合、例えば、フェノール樹脂などの場合には、導電性粒子含有樹脂層16における架橋性電荷輸送物質の含有率は、全固形分質量を基準として10質量%以上60質量%以下の範囲、好適には15質量%以上50質量%以下の範囲、より好適には20質量%以上40質量%以下の範囲が望ましい。
<その他添加剤>
導電性粒子含有樹脂層16において、必要に応じて、グリコール化合物、ビスフェノール化合物等のヒドロキシ基を2個以上有する化合物を加えることができる。これらの化合物は、上記の構造式(A)〜(C)の化合物と同様にイソシアネート化合物と付加重合反応して架橋構造を形成する。
これらのヒドロキシ基を有する化合物としては、分子内に2個以上のヒドロキシ基を有し、イソシアネートと付加重合可能なもののなかから自由に選択でき、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、及びビスフェノール化合物などを挙げることができる。これらの2個以上のヒドロキシ基を有する化合物の具体例をH−1〜H−16として示す。
ヒドロキシ基を有する他の例として、アクリルポリオール及びそのオリゴマー、ポリエステルポリオール及びそのオリゴマーなど、反応性ヒドロキシ基を有する各種ポリマー及びオリゴマーを用いることができる。
Figure 2008203640
導電性粒子含有樹脂層16には、1種以上の電子受容性物質を含有させることができる。本実施態様の電子写真感光体に使用可能な電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等を挙げることができる。
これらのうち、フルオレノン系、キノン系やCl、CN、NO等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
導電性粒子含有樹脂層16には、公知の塗膜形成に用いられるその他の添加剤を添加することも可能であり、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、界面活性剤、など公知のものを用いることができる。
更に、導電性粒子含有樹脂層16には、他のカップリング剤、フッ素化合物と混合して用いてもよい。当該化合物として、各種シランカップリング剤、および市販のシリコーン系ハードコート剤を用いることができる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、等を用いることができる。市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−40−2239(以上、信越化学工業社製)、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等を用いることができる。また、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン、等の含フッ素化合物を加えてもよい。
シランカップリング剤の使用量に制限は無いが、含フッ素化合物の量は、フッ素を含まない化合物に対して質量で0.25倍以下とすることが望ましい。
また、導電性粒子含有樹脂層16には、更に、上記フェノール樹脂以外の、アルコールに溶解する樹脂を含有させることもできる。
アルコール系溶剤に可溶な樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂などのポリビニルアセタール樹脂(たとえば積水化学社製エスレックB、K等)、ポリアミド樹脂、セルロ−ス樹脂、ポリビニルフェノール樹脂などがあげられる。
特に、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂が好ましい。当該樹脂の重量平均分子量は、2,000以上100,000以下が好ましく、5,000以上50,000以下がより好ましい。
また、当該樹脂の添加量は、全固形分質量から導電性粒子質量を差し引いた質量を基準として1質量%以上40質量%以下が好ましく、1質量%以上30質量%以下がより好ましく、5質量%以上20質量%以下が更に好ましい。
導電性粒子含有樹脂層16には、酸化防止剤を添加することもできる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。
酸化防止剤の添加量としては、全固形分質量を基準として、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
更に、導電性粒子含有樹脂層16に各種粒子を添加することもできる。
粒子の一例として、ケイ素含有粒子を挙げることができる。ケイ素含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリコーン粒子等が挙げられる。
ケイ素含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、平均粒径1nm以上100nm以下、好適には10nm以上30nm以下のシリカを、酸性もしくはアルカリ性の水分散液、あるいはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。
導電性粒子含有樹脂層16中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、導電性粒子含有樹脂層16の全固形分全量を基準として、0.1質量%以上50質量%以下、好適には0.1質量%以上30質量%以下の範囲で用いられる。
ケイ素含有粒子として用いられるシリコーン粒子は、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、シリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。これらのシリコーン粒子は球状で、その平均粒径は、好適には1nm以上500nm以下、より好適には10nm以上300nm以下である。
導電性粒子含有樹脂層16中のシリコーン粒子の含有量は、導電性粒子含有樹脂層16の全固形分全量を基準として、好適には0.1質量%以上30質量%以下、より好適には0.5質量%以上10質量%以下である。
その他の粒子としては、四フッ化エチレン、三フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のフッ素系粒子や「第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集89頁」に示される、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂の粒子、ZnO−Al、SnO−Sb、In−SnO、ZnO−TiO、ZnO−TiO、MgO−Al、FeO−TiO、TiO、SnO、In、ZnO、MgO等の金属酸化物が挙げられる。
また、シリコーンオイル等のオイルを添加することもできる。シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル;アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類;1,3,5−トリメチル−1.3.5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類;ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類;3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類;メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類;ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等が挙げられる。
(構成)
導電性粒子含有樹脂層16は、膜厚方向において前記導電性粒子が一定濃度で分散され、且つ面方向において前記導電性粒子の高濃度領域が独立して配置される。「膜厚方向において一定濃度」とは、面方向での導電性粒子の濃度差に比べて、濃度が一定であることを意味し、完全に濃度が一定であることを意味するものではない。
面方向で高濃度領域が独立して配置されていれば、その配置形状については特に制限されないが、高濃度領域と該高濃度領域よりも導電性粒子の濃度の低い低濃度領域とが、格子状に配置されることが好ましい。格子状は、直交格子(四角形)、斜め格子(三角形)、円形、多角形、ハニカム状などいずれの形状であってもよい。
高濃度領域とは、他方の低濃度領域に比べて導電性粒子の濃度が高い領域を意味し、導電性粒子の濃度範囲に特に制限はない。
導電性粒子含有樹脂層16が、膜厚方向において前記導電性粒子が一定濃度で分散され、且つ面方向において前記導電性粒子の高濃度領域が独立して配置されて形成されているかは、膜厚方向及び面方向での断面を電子顕微鏡で観察することで確認できる。
なお、「高濃度領域が独立して配置される」とは、高濃度領域の周囲に、それよりも導電性粒子の濃度の低い低濃度領域が配置されていることを意味する。1つの高濃度領域と他の高濃度領域とは接触していない状態で配置されることが望ましい
導電性粒子含有樹脂層16の膜厚は、1μm以上15μm以下とするのが好ましいが、3μm以上10μm以下程度とするのがさらに好ましい。
(塗布装置、製造方法)
本実施態様の電子写真感光体における導電性粒子含有樹脂層16を形成するには、硬化性樹脂および導電性粒子、さらに必要に応じて上述の各種化合物、添加剤、溶剤等を加えたものを混合して塗布液を作製し、これを感光層の上に塗工した後、加熱処理を行う。加熱処理により、強固な導電性粒子含有樹脂層16を形成できる。
これらの成分を含有する導電性粒子含有樹脂層16用の塗布液は、無溶媒とするか、必要に応じてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等の溶剤を用いることができる。かかる溶剤は1種を単独で又は2種以上を混合して使用する。溶剤量に特に制限はない。
また、上記成分を反応させて塗布液を得るときには、単純に混合、溶解させるだけでもよいが、20℃℃以上100℃以下、好適には、30℃以上80℃以下で10分以上100時間以下、好適には1時間以上50時間以下で加温してもよい。また、この際に超音波を照射することも好ましい。
導電性粒子を均等に分散するためには、公知の手段を用いることができ、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ダイノーミル等の分散手段を用いることができる。
前記導電性粒子含有樹脂層16は、導電性粒子含有樹脂層16用の前記塗布液を吐出する吐出ノズルが備えられた塗布装置を用いて形成されることが好ましい。
塗布装置は、塗布物表面に沿って吐出ノズルを相対的に移動する機構と、吐出ノズルから塗布液を液滴状に吐出させ塗着する塗布液吐出機構を有し、被塗布物(基体)と吐出ノズルとが相対的に移動しながら、吐出ノズルから塗布液を液滴状に吐出させ、被塗布物表面に塗布液を塗着させる。
塗布装置の一例を図3に示す。
図3の塗布装置では、吐出ノズルを相対的に移動する機構は、被塗布物(基体)22を保持すると共にその塗布物の基体の軸を回転軸として回転させる回転軸24を有する。塗布液吐出機構(吐出ヘッド)26は吐出ノズルを有し、吐出ノズルが前記被塗布物(基体)22の被塗布面に沿って移動するよう、レールなどの移動機構32を備える。
塗布液吐出機構26はそれ自身内にタンクを有していてもよいが、塗布液28を多量に必要とする製造機では、塗布液タンク30を分離し、送液管34で塗布液吐出機構26に連結し、塗布液吐出機構26の吐出ノズルから塗布液28を液滴状に吐出するように構成される。
基体22は、ACサーボモータによって回転が制御され、塗布液吐出機構26は、基体22の軸方向に沿って移動する。そして、単位時間における塗布液28の吐出の回数、液滴一滴分の吐出量、基体22の表面回転スピード、塗布液吐出機構26の軸方向への移動速度をコントロールすることにより、塗布量を容易かつ確実に制御することができる。塗布液28は液滴状となって各ノズルから一滴ずつ吐出され、各ノズルからの液滴の付着する位置を制御することも可能となる。
また、インクジェットノズルの孔径やノズルから液滴を吐出させるための振動数、ノズルの移動速度等は、塗布液の粘度、固形分比、塗布液溶媒等の特性、形成する塗布膜厚などにより決定される。
塗布液吐出機構26の構造としては、インクジェット方式の各種機構を使用することができ、吐出ノズル、塗布液タンク30及び送液管34は、それぞれ塗布液の種類の数に応じて併設してもよい。
図4に示す、塗布液の種類の数に応じて複数個の吐出ノズルが備えられた塗布装置の場合、二種以上の塗布液28を吐出し、かつ一種の塗布液着弾点の周りを他種の塗布液着弾点で囲むように格子状にパターン塗膜を形成することが容易となる。かつ液滴の形状やパターンを一定にして重ね塗りすることも可能となる。
塗布液28の格子状の吐出パターンとしては、直交格子(四角形)、斜め格子(三角形)、円形、多角形、ハニカム状などいずれであってもよい。
インクジェット法の塗布では、市販のインクジェットプリンターヘッドを塗布液吐出機構26に用いることができる。この場合、間欠的に吐出圧力を付与してノズルから直接液滴を吐出する、所謂、ドロップオンデマンド型の吐出方式である。
ドロップオンデマンド型の吐出方式の場合、吐出される塗布液の初速は、1m/秒以上50m/秒以下が好ましい。なお、塗布液の初速とは、吐出ノズルの噴出孔を通過する塗布液の平均速度であり、単位時間にノズルの噴出孔面を通過する塗布液の体積を噴出孔の断面積で割った値から求めることができる。
また、ドロップオンデマンド型の吐出方式の場合、塗布液28の粘度は、1mPa・s以上200mPa・s以下が好ましい。更に、吐出量は、0.1pl以上20pl以下であるのが好ましい。
ドロップオンデマンド型の吐出ノズルは、図5に示すように、被塗布物の周囲に円周状に配してもよい。これらの液滴を吐出するノズルとしてはインクジェットヘッドを使用することができる。
ドロップオンデマンド型の吐出方式では、図6に示す、円筒状支持体と同等の又はそれ以上の幅を有し、ノズル262が円筒状支持体軸全長に渡って配置されている液滴吐出ヘッドを採用することもでき、当該液滴吐出ヘッドを複数備えることもできる。
一方で、塗布液が高粘度の場合にも安定した吐出性能が得られる、所謂、連続型の吐出方式のインクジェット法を用いてもよい。連続型の吐出方式とは、塗布液を連続して加圧して、ノズルから液柱状の塗布液を吐出させ、その吐出した液柱状の塗布液を液滴化して、被塗布物へ塗布する方式である。
連続型の吐出方式の塗布装置(以下「連続型塗布装置」と称する場合がある。)は、塗布液を連続的に加圧して塗布液室に供給し、前記ノズルから当該塗布液を液柱状に吐出するための加圧手段と、ノズルから液柱状に吐出される塗布液を液滴化するための液滴化手段と、を備える。
前記液滴化手段は、前記塗布液室に供給される前記塗布液に対し振動を付与する振動付与手段であることがよい。
また、この場合、前記振動付与手段は、前記塗布液の吐出方向に対して直交方向から前記塗布液に対し振動を付与するように配置され、且つ前記振動付与手段により付与された振動を吸収する振動吸収手段であって、前記振動付与手段に対向して配設する振動吸収手段をさらに有することができる。
連続型の吐出方式の塗布装置において、前記塗布液の粘度を検知する粘度検知手段をさらに有することができる。
連続型の吐出方式の塗布装置では、前記粘度検知手段により検知された粘度に応じて、前記加圧手段による前記塗布液への加圧を変化させる加圧制御手段をさらに有することができる。また、前記粘度検知手段により検知された粘度に応じて、前記液滴化手段による前記塗布液への液滴化条件を変化させる液滴化制御手段も有することができる。
連続型の吐出方式の塗布装置において、液滴化された前記塗布液の間隔を検知する液滴間隔検知手段をさらに有することができる。
前記液滴間隔検知手段により検知された前記塗布液の液滴間隔に応じて、前記加圧手段による前記塗布液への加圧を変化させる加圧制御手段をさらに有することができる。また、前記液滴間隔検知手段により検知された前記塗布液の液滴間隔に応じて、前記液滴化手段による前記塗布液への液滴化条件を変化させる液滴化制御手段もさらに有することができる。また、前記液滴間隔検知手段により検知された前記塗布液の液滴間隔に応じて、前記塗布液の粘度を変化させる粘度制御手段を有することができる。
連続型の吐出方式の塗布装置において、前記機能性材料吐出ヘッドを複数備えることができる。また、この場合、当該複数の前記機能性材料吐出ヘッド毎に異なる塗布液を吐出することができる。
連続型の吐出方式の塗布装置において、前記記録材料吐出ヘッドは、前記被塗布物の塗布領域幅と同等或いはそれ以上の幅を有することができる。
図7は、連続型塗布装置の一例を示す斜視図である。
連続型塗布装置は、図7に示すように、機能性材料の塗布液28を被塗布物22へ吐出するための吐出ヘッド26と、当該吐出ヘッド26へ送液する塗布液28を貯留する塗布液タンク30と、を有している。
吐出ヘッド26の一端には、塗布液供給管34が連結され、他端には、塗布液排出管35が連結されている。塗布液供給管34及び塗布液排出管35の一端側(吐出ヘッド26と非連結側)は、塗布液タンク30と連結されている。
連続型塗布装置は、連続加圧しつつ吐出を行う連続型の吐出装置であるが、吐出した液滴の所望の位置に配置するためには、塗布液28の液滴に対し帯電・偏向制御を行うこともできる。但し、装置全体のコストを下げることに加え、塗布液28として油性液体を用いる場合には、帯電・偏向制御を用いない方が好ましい。なお、機能性材料の塗布液には油性液体が多い。
被塗布物22は、円筒体から構成されており、その両端を回転可能に支持体40により支持されている。また、被塗布物22は、被塗布物駆動装置42により回転可能に、具体的には駆動モータ42Aにより42Bを介して回転駆動可能に連結されている。また、被塗布物22の周囲には、非接触で乾燥用ヒータ46(焼成用ヒータ)が配設されている。
吐出ヘッド26と被塗布物22との間を遮蔽可能に、液受け48(吐出塗布液回収手段)が設けられている。液受け48は、図8(A)に示すように被塗布物22への塗布を停止するとき(即ち非塗布時)は、吐出ヘッド26と被塗布物22との間を遮って位置し、図8(B)に示すように、塗布時には吐出ヘッド26と被塗布物22との間と離間して位置するように液受け駆動装置(図示せず)により可動可能に配置されている。即ち、液受け48は、その可動により被塗布物22への塗布開始・停止を行う。
ここで、図8は、第1実施形態に係る塗布開始・停止機構を示す模式図である。なお、図8において、吐出ヘッド、被塗布物、液受け以外は、省略して示している。
なお、塗布開始・停止を行う機構は、上記液受け48を駆動する方式に限られず、例えば、図9に示すように、ファン50(送風装置)を塗布液28の液滴上方に設け、当該ファン50により塗布液28の液滴へ風圧を与え、当該液滴の吐出方向を変化させて、液受け48へぶつけるようにして塗布の停止し、当該風圧を解除することで塗布を開始する方式でもよい。なお、図9において、吐出ヘッド、被塗布物、液受け、ファン以外は、省略して示している。
以下、吐出ヘッド26について説明する。
吐出ヘッド26は、例えば、ステンレスやニッケル合金などで形成された筒状体で構成されている。そして、吐出ヘッド26には、長手方向に配列された複数のノズル(例えば、ノズル径25μm)と、各ノズルに共通して備えられた塗布液室と、塗布液室を介してノズルと対向して設けられた圧電素子(例えばPZTセラミック膜、ポリフッ化ビニリデン膜(PVF 2 膜))と、を有している。
ここで、圧電素子は、塗布液室に送液されてきた塗布液28に対し、所定の振動を付与し、ノズルから液柱状に吐出した塗布液28を液滴化するためのものである。圧電素子は、例えばPZTセラミック膜に電極から高周波電圧を印加して振動(音波)を発生せしめ、この振動を塗布液室の塗布液28へ伝達せしめる。
圧電素子は、ノズルと対向して設けられ、塗布液28の吐出方向と同一方向から、図示しない外部機器より増幅され例えばピーク間電圧(Vpp)50V程度までの電圧で出力する駆動正弦波が供給されると、定在波(進行波と反射波との混合した波:つまり、照射した進行波とノズル面に反射した反射波との混合波)による振動を付与して、ノズルから液柱状に吐出した塗布液28を液滴化する。
ここで、図10〜図11に、粘度約9mPa・s程度の塗布液28の吐出状態を示す。圧電素子を駆動させず、例えば、送液用ポンプにより0.9MPaで吐出ヘッド26から塗布液28を吐出した場合、図10に示すように、液柱状の塗布液28が吐出する。そして、圧電素子により塗布液28に振動を付与すると、図11に示すように、液柱状に吐出された塗布液28が液滴化される。
図10に示すように、液滴化せず、液柱状の状態で塗布液を塗布すると、吐出ヘッド26から離れた位置では、無秩序な噴流となるため、塗布膜の均一性が確保できない。よって、塗布液14の液滴化が必要である。
ここで、図10は、振動を付与しない場合における塗布液28の吐出状態を示す模式図である。図11は、振動を付与した場合における塗布液28の吐出状態を示す模式図である。
なお、塗布液14の液滴化の際、圧電素子が付与する振動の周波数は、圧電素子の振動特性、吐出ヘッド26の振動特性、塗布液の速度、ノズルの直径などの相関関係により決定される。例えば、塗布液の流体速度(吐出速度)は、下記式で示す関係で表すことができる。
式(1):
流体速度(μm/sec)=周波数(Hz)×粒子間隔(μm)(Velocity=fλ)
また、「Rayleigh/Theory of Sound」によると、最も液滴化しやすいのは(粒子を生成しやすいのは)、
式(2):
粒子間隔(μm)=4.51×ノズル径(μm)(λ=4.51×d)
である。
また、液滴化された液滴(粒子)の体積は、
式(3):
体積(μm)=ノズル面積(μm)×粒子間隔(μm)(Volume=Aλ)
となる。
なお、連続型塗布装置は、被塗布物22の長手方向に移動可能で、当該被塗布物の塗布領域幅よりも短い短尺な吐出ヘッド26を備えてもよい。連続型塗布装置においても、2以上の吐出ヘッド26を配設した形態でもよい。
また、連続型塗布装置では、吐出直後の塗布液の吐出速度よりも、被塗布物の着弾面における法線方向に沿った塗布液の着弾速度を遅くする方法を採用することができる。
本実施態様の連続型塗布装置において、被塗布物の着弾面における法線方向に沿った塗布液の着弾速度を遅くする形態としては、以下の形態が挙げられる。
・前記塗布液が前記被塗布物へ着弾する着弾面の法線方向と前記塗布液の吐出方向とが角度をなして、前記塗布液が被塗布物へ着弾するように、前記塗布液吐出ヘッドを配置する形態。
・水平方向よりも上方側に向かって前記塗布液が被塗布物へ吐出するように、前記塗布液吐出ヘッドを配置する形態。
・前記塗布液吐出ヘッドから吐出された前記塗布液の吐出速度を低減する吐出速度低減手段をさらに有する形態。この形態の場合、前記吐出速度低減手段は、吐出された前記塗布液に電界を付与する電界付与手段であることが好適である。
・少なくとも前記塗布液吐出ヘッドから前記塗布液を吐出する時、前記塗布液吐出ヘッドから遠ざかるように前記被塗布物における前記塗布液の着弾面を移動する着弾面移動手段をさらに有する形態。
ここで、図12及び図13に、塗布液28の液滴の着弾モデルを模式的に示す。図12は、着弾面(図中では、被塗布物22としての液体層の面を示す)に対し、当該面の法線方向から塗布液28の液滴が着弾する様子を示す。一方、図13には、着弾面(図中では、被塗布物22としての液体層の面を示す)に対し、当該面の法線方向と角度を持って塗布液28の液滴が着弾する様子を示す。
図13に示すように、着弾面に対し、当該面の法線方向と角度を持って塗布液28の液滴が着弾すると、着弾面の法線方向に沿った着弾速度が低減するので、跳ね返りが発生しない。
このように、吐出する塗布液28が被塗布物22へ着弾する着弾面の法線方向と塗布液28の吐出方向とが角度をなして、塗布液28が被塗布物22へ着弾するように、吐出ヘッド26を配置することで、吐出安定性を維持しつつ、着弾した塗布液28の跳ね返りが低減でき、形成される塗布膜の不均一性防止や例えば着弾面が他の塗布膜で構成された場合でも当該他の塗布膜を乱すことが抑制される。
ドロップオンデマンド型の吐出方式であっても、連続型の吐出方式であっても、インクジェット方式の場合には、塗布が開始されると、図14(A)に示すように、吐出ヘッド26から塗布液28の液滴が吐出され、当該液滴が被塗布物22上に塗布される。次に、図14(B)に示すように、被塗布物に塗布された塗布液28の膜が平滑化される。そして、図14(C)に示すように塗布液28の塗布膜281を形成することができる。
図15(A)に示すように、被塗布物22の所定領域に対して吐出ヘッド(図示せず)から塗布液28Aの液滴が吐出されてくると、当該液滴が被塗布物22の所定領域上に塗布される。次に、図15(B)に示すように、被塗布物22の所定領域(上記吐出ヘッド26による塗布液28の領域以外の領域)に対して吐出ヘッド(図示せず)から塗布液28Bの液滴が吐出されてくると、当該液滴が被塗布物22の所定領域上に塗布される。そして、図15(C)に示すように塗布液28A、28Bがそれぞれ所定の領域に塗布され、異なる材料で構成された機能性材料膜がパターニングされたものが得られる。
このように、前記吐出ノズルから前記感光層上に、前記塗布液の液滴を、格子状に複数回吐出し塗布すると、例えば、図16〜17に示すように、異なる機能性材料膜がパターニングされた膜を得ることができる。
具体的には、図16に示すように、第一の塗布液28Aの液滴が着弾した位置の周囲を、第一の塗布液28Aよりも導電性粒子の含有率が低い第二の塗布液28Bの液滴が着弾するように、吐出ノズルから液滴状に吐出すると、前記導電性粒子の高濃度領域の塗布膜281Aの周囲を、前記導電性粒子の低濃度領域の塗布膜281Bで囲い込んだパターンを得ることができる。その結果、導電性粒子の高濃度領域が独立して配された塗布膜を得ることができる。
また、一列ごとにピッチを半分ずらして塗布を行なった場合には、例えば図17に示すようなパターンの塗布膜を得ることができる。この場合においても、導電性粒子の高濃度領域が独立して配されたパターンを有する塗布膜を得ることができる。
2.導電性支持体
導電性支持体11としては、例えばドラム状、シート状、プレート状等の形状を有するアルミニウム基体が挙げられる。導電性支持体11には、陽極酸化処理、ベーマイト処理、ホーニング処理等を行ってもよい。ここで、導電性支持体における「導電性」とは、体積抵抗率が、10Ω・cm以下のものをいう。
3.下引き層
下引き層13の材料としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤などの有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤などの有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物の他、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコーンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物を用いることができる。
これらの中でも、有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物は、好ましく使用される。
また、これらの有機金属化合物にビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を配合して下引き層13を形成してもよい。
更に、従来より下引き層に用いられるポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の樹脂を用いることもできる。
これらの混合割合は、必要に応じて設定することができる。
下引き層13中には電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、特開昭47−30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。
これらの顔料の中ではペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が、好ましく使用される。また、顔料表面は各種表面処理を行うこともでき、表面処理としては、シリコンカップリング剤、チタネート系カップリング剤などが好ましく使用できる。電子輸送性顔料は、好適には、下引き層中の全固形分質量を基準として、95質量%以下、より好適には90質量%以下で使用される。
電子輸送性顔料の混合/分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等を用いる方法が適用される。混合/分散は有機溶剤中で行われるが、有機溶剤としては、有期金属化合物や樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであれば如何なるものでも使用できる。
例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独で又は2種以上混合して用いることができる。
下引き層13の厚みは、好適には0.1μm以上30μm以下、より好適には0.2μm以上25μm以下である。
下引き層11用塗布液を導電性支持体11を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いることができる。塗布したものを乾燥させて下引き層を得るが、通常、乾燥は溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。
特に、酸性溶液処理、ベーマイト処理を行った基材は、中間層を形成することが好ましい。
4.電荷発生層
電荷発生層14は電荷発生材料及び樹脂を含有する層である。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フラトシアニン顔料、酸化亜鉛、三方晶系セレン等が挙げられる。
これらの中でも、近赤外域のレーザー露光に対しては、金属及又は無金属フタロシアニン顔料が好ましく、特に、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報、特開平5−140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報、特開平5−43823号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより好ましい。また、近紫外域のレーザー露光に対してはジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、チオインジゴ系顔料、ポルフィラジン化合物、酸化亜鉛、三方晶系セレン等がより好ましい。
電荷発生層の樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択することもできる。
好ましい樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。電荷発生材料と樹脂の配合比は質量比で10:1〜1:10の範囲内であることが好ましい。
電荷発生層14の形成は、電荷発生材料及び樹脂を所定の溶剤中に分散した塗布液を用いて行うことができる。溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
電荷発生材料及び樹脂を溶剤中に分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いることができる。これらの分散方法により、分散による電荷発生材料の結晶型の変化を防止することができる。
この分散の際の電荷発生材料の平均粒径は、0.5μm以下、好適には0.3μm以下、更に好適には0.15μm以下である。
また、電荷発生層14を形成する際には、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いることができる。
電荷発生層14の厚みは、好適には0.1μm以上5μm以下、より好適には0.2μm以上2.0μm以下である。
5.電荷輸送層
電荷輸送層15は、電荷輸送材料と樹脂を含有して形成されるか、あるいは高分子電荷輸送材を含有して形成される。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物があげられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシランなどの電荷輸送性を有する公知のものを用いることができる。特に、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報等に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、高い電荷輸送性を有しており、特に好ましいものである。高分子電荷輸送材はそれだけでも成膜可能であるが、後述する樹脂と混合して成膜してもよい。
電荷輸送層に用いる樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。
また、上述のように、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送材等高分子電荷輸送材を用いることもできる。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は質量比で10:1〜1:5が好ましい。
電荷輸送層15の形成は、電荷輸送材料及び結着樹脂を所定の溶剤に分散した塗布液を用いて行うことができる。溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
電荷輸送層15の厚みは、好適には5μm以上50μm以下、より好適には10μm以上30μm以下である。塗布方法としては、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いることができる。
6.電荷発生/電荷輸送層
一方、電荷発生/電荷輸送層17は、電荷発生材料、電荷輸送材料及び結着樹脂を含有して形成される。これらの成分は電荷発生層14及び電荷輸送層15の説明で例示されたものと同様のものを用いることができる。
また、電荷発生/電荷輸送層17中の電荷発生材料の含有量は、電荷発生/電荷輸送層17中の全固形分質量を基準として、10質量%以上85質量%以下程度、好適には20質量%以上50質量%以下である。また、電荷輸送材料の含有量は全固形分質量を基準として、5質量%以上50質量%以下とすることが好ましい。
電荷発生/電荷輸送層17の形成方法は、電荷発生層14や電荷輸送層15の形成方法と同様である。電荷発生/電荷輸送層17の膜厚は5μm以上50μm以下程度が好ましく、10μm以上40μm以下とするのが更に好ましい。
図1〜2に示した電子写真感光体の感光層を構成する各層には、感光層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することができる。例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等があげられる。
光安定剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体が挙げられる。
また、図1〜2に示した電子写真感光体の感光層を構成する各層には、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させることができる。
本実施態様の電子写真感光体に使用可能な電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げられる。
これらの中でも、フルオレノン系、キノン系やCl−、CN−、NO−等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が好ましい。
<画像形成装置及びプロセスカートリッジ>
図18は、本発明の画像形成装置の好適な一実施形態を示す模式図である。図18に示す画像形成装置は、画像形成装置本体(図示せず)に、上述の本実施態様の電子写真感光体10を備え、矢印の方向に所定の回転速度で回転可能となっている。そして、電子写真感光体10の回転方向に沿って、帯電装置20と、露光装置(潜像形成装置)31と、現像装置41と、中間転写体52と、転写装置60と、クリーニング装置70とを備える。電子写真感光体10と、帯電装置20と、現像装置41と、クリーニング装置70は、プロセスカートリッジ80に収容される。
なお、画像形成装置100において、露光装置31はプロセスカートリッジ80の開口部から電子写真感光体10に露光可能な位置に配置されており、転写装置60は中間転写体52を介して電子写真感光体10に対向する位置に配置されており、中間転写体52は電子写真感光体10に突き当たった状態で接触できるように配置されている。
プロセスカートリッジ80は、ケース内に電子写真感光体10とともに、帯電装置20、現像装置41、クリーニング装置70及び繊維状部材(平ブラシ状)29を組み合わせて一体化し、画像形成装置本体に取り付けレールにより取り付けられるものである。なお、ケースには、露光のための開口部が設けられている。
プロセスカートリッジ80は、画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
図19は、本発明に係る画像形成装置の他の実施形態を示す模式図である。図19に示す画像形成装置110は、電子写真感光体10が画像形成装置本体に固定され、帯電装置20、現像装置41及びクリーニング装置70がそれぞれカートリッジ化されており、それぞれ帯電カートリッジ、現像カートリッジ、クリーニングカートリッジとして独立して備えられている。なお、帯電装置20は、コロナ放電方式により帯電させる帯電装置を備えている。
画像形成装置110においては、電子写真感光体10とそれ以外の各装置が分離されており、帯電装置20、現像装置41及びクリーニング装置70が画像形成装置本体に固定されることなく、例えば引き出し、押しこみによる操作にて脱着可能である。
本実施態様の電子写真感光体では、カートリッジ化することが不要となる場合がある。したがって、帯電装置20、現像装置41又はクリーニング装置70をそれぞれ本体に固定されることなく、引き出し、押しこみによる操作にて脱着可能な構成とすることで、1プリント当りの部材コストを低減することができる。また、これらの装置のうち2つ以上を一体化したカートリッジとして着脱可能とすることもできる。
なお、画像形成装置110は、帯電装置20、現像装置41及びクリーニング装置70がそれぞれカートリッジ化されている以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
図20は、本発明に係る画像形成装置の他の実施形態を示す模式図である。画像形成装置120は、プロセスカートリッジ80を4つ搭載したタンデム方式のフルカラー画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体52上に4つのプロセスカートリッジ80がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用できる構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の画像形成装置はイレーズ光照射装置等の除電装置を更に備えていてもよい。これにより、電子写真感光体が繰り返し使用される場合に、電子写真感光体の残留電位が次のサイクルに持ち込まれる現象が防止されるので、画像品質をより高めることができる。
また、前記のベルト方式でなく、中間転写体を使用したものなど、いかなる構成の画像形成装置であっても効果的に使用することができる。
以下に、画像形成装置及びプロセスカートリッジの各構成について説明する。
1.帯電装置
帯電装置20は、電子写真感光体10を帯電させるものである。帯電装置としては、帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電磁気ブラシ、帯電ブレード等が挙げられる。これら帯電部材が電子写真感光体表面に接触して、放電現象を用いず導電性粒子含有樹脂層16の導電性粒子に直接電荷注入を行い、印加電圧相当の電位に電子写真感光体を帯電させることができる。
2.露光装置(潜像形成装置)
露光装置(潜像形成装置)31としては、帯電した電子写真感光体10を露光して静電潜像を形成させるものであればよい。また、露光装置31の光源としては、マルチビーム方式の面発光レーザーを用いることが好ましい。
3.現像装置
現像装置41は、電子写真感光体10上の静電潜像を現像してトナー像を形成するものである。
現像装置41としては、一成分系、二成分系等の正規または反転現像剤を用いた公知の現像装置等を用いることができる。また、使用されるトナーの形状は特に制限されず、例えば粉砕法による不定形トナーや化学重合法による球形トナーが好適に使用される。
また、本発明の画像形成装置においては、平均形状係数が100以上150以下のトナーを用いた場合であっても、トナーが電子写真感光体10とスクレーパとの間をすり抜ける現象が防止される。従って、かかるトナーの使用により、クリーニング特性を損なわずに高画質の画像を得ることができる。
トナーの平均形状係数(ML/A)は、トナーを光学顕微鏡で観察し、その像を画像解析装置(LUZEXIII、ニレコ社製)に取り込んで、最大長。投影面積を測定した値から、下記式(4)によって算出し、個数平均(例えば100個について平均値を求める)することで算出する。
式(4):(ML/A)=(最大長)×π×100/[4×(投影面積)]
平均形状係数が100以上150以下のトナーは、例えば結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により得ることができる。また、上記方法で得られたトナーをコアにして、更に凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法なども適用可能である。
形状制御、粒度分布制御の観点からは、水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が好ましく、乳化重合凝集法が特に好ましい。トナー母材は結着樹脂と着色剤、離型剤とからなり、必要であれば、シリカや帯電制御剤を用いてもよい。トナーの平均粒径は1μm以上12μm以下、好適には3μm以上9μm以下である。
トナーに使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα―メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体および共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等をあげることができる。また、結晶性の低融点(融点100℃以下)樹脂、特に、ポリエステル樹脂を用いることもできる。
また、トナーの着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。
離型剤としては低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロピィシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして例示することができる。
また、トナーには必要に応じて帯電制御剤が添加されてもよい。帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。本発明におけるトナーは、磁性材料を内包する磁性トナーおよび磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
本発明で用いられるトナーは上記トナー粒子及び上記外添剤をヘンシェルミキサーあるいはVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、トナー粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
本発明で用いられるトナーに添加される滑性粒子としてはグラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪族アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス、ミツロウ等の動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物が使用でき、これらを単独で使用するか、あるいは併用してもよい。但し、平均粒径としては0.1μm以上10μm以下の範囲で、上記化学構造のものを粉砕して、粒径をそろえてもよい。
滑性粒子のトナーへの添加量は、好適には、トナーの全固形分質量を基準として、0.05質量%以上2.0質量%以下、より好適には0.1質量%以上1.5質量%以下の範囲である。
また、トナーには、酸化アルミニウム、酸化セリウム、硫酸バリウムなどの無機粒子を添加することができ、中でも酸化セリウムが好ましい。これらの無機粒子の平均粒径は、好適には0.1μm以上3.0μm以下、より好適には0.5μm以上2.0μm以下である。無機粒子を添加する場合には、トナーへの添加量は滑性粒子より多いことが好ましく、また、滑性粒子の添加量との和が0.6質量%以上であることが好ましい。
トナーには、1次粒径が40nm以下の小径無機酸化物を用い、更に付着力低減や帯電制御の為、それより大径の無機酸化物を添加することが好ましい。これらの無機酸化物粒子は公知のものを使用できるが、精密な帯電制御を行う為にはシリカと酸化チタンを併用することが好ましい。また、小径無機粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性をあげる効果が大きくなる。
また、電子写真用カラートナーはキャリアと混合して使用されるが、キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉またはそれ等の表面に樹脂被覆を施したものが使用される。また、キャリアとの混合割合は、特に限定されない。
4.転写装置
転写装置60としては、電子写真感光体10上のトナー像を被転写媒体(図18〜図20では被転写媒体として中間転写体52を示しているが、中間転写体52の代わりに用紙搬送ベルト(図示せず)を用い、その用紙搬送ベルトに保持された用紙や、中間転写体52を用いずに、直接転写するための用紙であってもよい。)に転写するものであればよく、例えば、ロール形状の通常使用されるものが使用される。
5.中間転写体
中間転写体52としては、体積抵抗率が10Ω・cm以上1011Ω・cm以下であり、構成成分にポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体52の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いることもできる。
本実施態様でいう被転写媒体とは、電子写真感光体10上に形成されたトナー像を転写する媒体であれば特に制限はない。例えば、電子写真感光体10から直接、紙等に転写する場合は紙等が被転写媒体であり、また、中間転写体52を用いる場合には中間転写体が被転写媒体になる。
6.クリーニング装置
クリーニング装置70は、繊維状部材(ロール形状)27aやクリーニングブレード(ブレード部材)27bを備える。図18〜図20に示すクリーニング装置70では、繊維状部材70a及びクリーニングブレード70bが設けられているが、クリーニング装置としてはどちらか一方を備えるものでもよい。繊維状部材70aとしては、ロール形状の他に歯ブラシ状としてもよい。また、繊維状部材70aは、クリーニング装置本体に固定してもよく、回転可能に支持されていてもよく、さらに電子写真感光体軸方向に往復動作可能に支持されていてもよい。
クリーニング装置70には、クリーニングブレード、クリーニングブラシで電子写真感光体表面の付着物(例えば、放電生成物)を除去することが求められ、繊維状部材70aに、金属石鹸、高級アルコール、ワックス、シリコーンオイルなどの潤滑性物質(潤滑成分)14を接触させ、電子写真感光体表面に潤滑成分を供給することが好適である。
クリーニングブレード70bとしては、通常のゴムブレードが用いられる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[電子写真感光体の作製]
(感光体1−1A,1−2A,1−3A)
−導電性支持体−
JIS A3003合金よりなる引き抜き管(直径:84mm、長さ:357mm)を用意し、センタレス研磨装置により研磨して表面粗さRを0.6μmとした。次に、この引き抜き管の外周面に脱脂処理、2質量%水酸化ナトリウム溶液で1分間エッチング処理、中和処理、更に純水洗浄を順に行った。
次に、陽極酸化処理工程として10質量%硫酸溶液によりシリンダ−表面に陽極酸化膜(電流密度1.0A/dm)を形成した。水洗後、1質量%酢酸ニッケル溶液80℃に20分間浸漬して封孔処理を行った。更に、純水洗浄、乾燥処理を行った。このようにして、引き抜き管の外周面に7μmの陽極酸化膜を形成して導電性支持体を得た。
−電荷発生層−
一方で、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強い回折ピークを持つヒドロキシガリウムフタロシアニン1質量部をポリビニルブチラール(エスレックBM−S、積水化学社製)1質量部及び酢酸n−ブチル80質量部と混合し、ガラスビーズと共にペイントシェーカーで1時間処理して分散して電荷発生層用塗布液を調製した。
得られた塗布液を、陽極酸化膜を形成した上記導電性支持体上に浸漬塗布し、100℃で10分間加熱乾燥して、膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。
−電荷輸送層−
下記式(27)で表されるベンジジン化合物2.5質量部、下記式(28)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物(粘度平均分子量:50,000)3質量部をクロロベンゼン25部に溶解させて電荷輸送層用塗布液を調製した。
得られた塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布法で塗布し、135℃で40分の加熱を行い、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 2008203640

−導電性粒子含有樹脂層−
前記(I−1)で表される化合物2質量部、レジトップPL−4852(群栄化学製)2質量部、酸化スズ(平均粒径:0.05μm)5質量部を、イソプロピルアルコール6質量部、メチルイソブチルケトン8質量部、並びに3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)0.1質量部を加えてボールミルにて分散し、その後、イソプロピルアルコール45質量部、メチルイソブチルケトン60質量部添加して希釈し、導電性粒子含有樹脂層用塗布液A−1Aを調製した。
また、酸化スズを入れずに分散なしで、前記(I−1)で表される化合物3質量部、レジトップPL−2211(群栄化学製)3質量部、イソプロピルアルコール30質量部、メチルイソブチルケトン40質量部、並びに3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)0.15質量部で調液した塗布液A−2Aも調整した。
そして、インクジェットヘッド(TRIDENT社製 PIXELJET 64)を2個用意し、塗布液A−1A,A−2Aをそれぞれ充填した。感光体1を水平に回転できる塗布装置に装着し、基材に向かって液滴が噴射するようにA−1A,A−2Aの塗布液を充填したヘッドを2つ並べた。
各ヘッドと感光体1の表面との距離を10mmにして、感光体1を180rpmで回転させ、ヘッドにある64個のノズルのうち32個から塗布液が噴射するように設定して2000Hzで噴射し、感光体1の端部から反対側の端部まで移動速度200mm/minで水平に移動させ、A−1A吐着部の周りをA−2A吐着部が囲み同一マトリックス状になるように、前述した電荷輸送層上に積層した。
その後150℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚約2μmの導電性粒子含有樹脂層を形成して感光体1−1Aを得た。
更に、感光体1−1Aの作製において、塗布液A−1A及びA−2Aを用いたところを、塗布液A−1Aだけ使用して、同様に積層し、2μmの導電性粒子含有樹脂層を設けた感光体1−2Aを作製した。
また、感光体1−1Aの作製において、塗布液A−1A及びA−2Aを用いたところを、塗布液A−2Aだけ使用して、同様に積層し、2μmの樹脂層を設けた感光体1−3Aを作製した。
(感光体2−1A)〜(感光体9−1A)
先ず、感光体1と同様にして電荷輸送層までを形成した。
次に、化合物(I−1)を、化合物(I−19)、化合物(I−25)、化合物(II−5)、化合物(II−15)、化合物(III−3)、化合物(III−29)、化合物(IV−4)、化合物(IV−10)、にそれぞれ替えた以外は感光体1−1Aと同様にして導電性粒子含有樹脂層付き感光体を作製した。これを感光体2−1A〜感光体9−1Aとする。
(感光体10−1A)
導電性粒子含有樹脂層用塗布液を調製する際にコロイダルシリカを0.2質量部加えたこと以外は感光体2−1Aと同様にして感光体10−1Aを作製した。
(感光体11−1A)
導電性粒子含有樹脂層用塗布液を調製する際にフッ素樹脂粒子(ルブロン、L−2:ダイキン製)0.2質量部を加えたこと以外は感光体8−1Aと同様にして感光体11−1Aを作製した。
(感光体12−1A,12−2A,12−3A)
導電性粒子含有樹脂層の導電性粒子を酸化亜鉛粒子(粒子径:0.07μm)に替えた導電性粒子含有樹脂層用塗布液A−3Aを調製し、これを導電性粒子含有樹脂層塗布液A−1Aの代わりに用いたこと以外は感光体6−1Aと同様にして感光体12−1Aを作製した。
更に、酸化亜鉛粒子含有を含有する導電性粒子含有樹脂層用塗布液A−3Aだけ使用して、同様に積層し2.5μmの導電性粒子含有樹脂層を設けた感光体12−2Aを作製した。
また、塗布液A−2のように酸化亜鉛粒子を抜いた樹脂層用だけ使用して、同様に積層し2.5μmの樹脂層を設けた感光体12−3Aを作製した
(感光体13−1A,13−2A,13−3A)
導電性粒子含有樹脂層の導電性粒子をアンチモンでドープした酸化スズ粒子(平均粒径:0.04μm)に替えた導電性粒子含有樹脂層用塗布液A−4Aを調製し、これを導電性粒子含有樹脂層塗布液A−1Aの代わりに用いたこと以外は感光体9−1Aと同様にして感光体13−1Aを作製した。
更に、アンチモンでドープした酸化スズ粒子を含有する導電性粒子含有樹脂層用塗布液A−4Aだけ使用して、同様に積層し3μmの導電性粒子含有樹脂層を設けた感光体13−2Aを作製した。
また、塗布液A−2のようにアンチモンをドープした酸化スズ粒子を抜いた樹脂層用だけ使用して、同様に積層し3μmの樹脂層を設けた感光体13−3Aを作製した。
(感光体14−1A)〜(感光体21−1A)
導電性粒子含有樹脂層用塗布液を調製する際に、ポリエーテル変性シリコーンオイル(KF354:信越化学工業社製)0.03質量部を加えた以外は感光体2−1A〜9−1Aと同様に感光体14−1A〜21−1Aを作製した。
〜(比較例)熱可塑性樹脂〜
(感光体22A)
導電性粒子含有樹脂層用塗布液A−1Aの調製において、前記(I−1)で表される化合物2質量部、レジトップPL−4852(群栄化学製)2質量部を、前述式(27)で表されるベンジジン化合物2質量部、前述式(28)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物(粘度平均分子量:50,000)2質量部に替え、クロロベンゼン25部に溶解させて、酸化スズ(平均粒径:0.05μm)5質量部、並びに3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)0.1質量部を加えてボールミルにて分散し、さらにその後THFを70質量部添加して希釈し、導電性粒子含有樹脂層用塗布液A−5Aを調製した。
また、酸化スズを入れずに分散なしで、前述式(27)で表されるベンジジン化合物2質量部、前述式(28)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物(粘度平均分子量:50,000)2質量部に替え、クロロベンゼン25質量部、並びにTHFを70質量部と3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)0.15質量部で調液した塗布液A−6Aも調整した。
感光体1−1Aの作製で、導電性粒子含有樹脂層用塗布液A−1AとA−2Aを用いたところを、上記塗布液A−5AとA−6Aに変更した以外は同様にして、感光体22Aを作製した。
[現像剤の作製]
以下の説明において、各物性値の測定は以下の方法にて行った。
−トナーおよび複合粒子の粒度分布−
マルチサイザー(日科機社製)を用い、アパーチャー径100μmのもので測定した。以下、D50とは、この方法で測定したときの体積平均粒径をいう。
−トナー及び複合粒子の平均形状係数ML/A−
トナー又は複合粒子を光学顕微鏡で観察し、その像を画像解析装置(LUZEXIII、ニレコ社製)に取り込んで円相当径を測定した。
次いで、トナー粒子又は複合粒子の最大長及び投影面積から、100個の粒子について下記式(4)に従って形状係数ML/Aを求め、平均値を算出した。
式(4): (ML/A)=(最大長)×π×100/[4×(投影面積)]
(現像剤−1)
−トナー母粒子の製造−
<樹脂粒子分散液の調製>
スチレン370g、n−ブチルアクリレート30g、アクリル酸8g、ドデカンチオール24g及び四臭化炭素4gを混合して溶解した溶液と、非イオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)社製)6g及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬(株)社製)10gをイオン交換水550gに溶解した溶液とを混合してフラスコ中で乳化重合を開始し、10分間ゆっくり混合しながら過硫酸アンモニウム4gを溶解したイオン交換水50gを投入した。
フラスコ内の窒素置換を行った後、混合溶液を攪拌しながら混合溶液の温度が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その結果、その結果、平均粒径150nm、ガラス転移温度(T)58℃、質量平均分子量(M)11,500の樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液が得られた。この分散液の固形分濃度は40質量%であった。
<着色剤分散液−1の調製>
カーボンブラック(モーガルL、キャボット製)60g、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成(株)製)6g及びイオン交換水240gを混合し、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌した。その後、アルティマイザーにて分散処理し、平均粒子径が250nmである着色剤(カーボンブラック)粒子が分散された着色剤分散液−1を調製した。
<着色剤分散液−2の調製>
シアン顔料(B15、大日精化製)360g、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成(株)製)5g及びイオン交換水 240gを混合し、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌した。その後、アルティマイザーにて分散処理して平均粒子径が250nmである着色剤(シアン顔料)粒子が分散された着色剤分散液−2を調製した。
<着色剤分散液−3の調製>
マジェンタ顔料(R122、大日精化製)60g、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成(株)製)5g及びイオン交換水240gを混合し、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌した。その後、アルティマイザーにて分散処理し、平均粒子径が250nmである着色剤(マジェンタ顔料)粒子が分散された着色剤分散液−3を調製した。
<着色分散液−4の調製>
イエロー顔料(Y180、クラリアント製)90g、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成(株)製)5g及びイオン交換水240gを混合し、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌した。その後、アルティマイザーにて分散処理し、平均粒子径が250nmである着色剤(イエロー顔料)粒子が分散された着色剤分散液−4を調製した。
<離型剤分散液の調製>
パラフィンワックス(HNP0190、日本精蝋(株)製、融点:85℃)100g、カチオン性界面活性剤(サニゾールB50:花王(株)製)5g及びイオン交換水240gを混合し、丸型ステンレス鋼製フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間分散した。その後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が550nmである離型剤粒子が分散された離型剤分散液を調製した。
<トナー母粒子K1の調製>
上記の樹脂粒子分散液を234質量部、着色剤分散液−1を30質量部、離型剤分散液を40質量部、ポリ水酸化アルミニウム(Paho2S、浅田化学社製)を0.5質量部、イオン交換水を600質量部、それぞれ丸型ステンレス鋼鉄フラスコに投入し、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて混合・分散した。
その後、加熱用オイルバス中で混合液を攪拌しながら加熱し、40℃で30分保持した。このとき、混合液中にD50vが4.5μmの凝集粒子が生成していることを確認した。更に加熱用オイルバスの温度を上げて56℃で1時間保持したところ、体積平均粒子径D50vは5.3μmとなった。
この凝集体粒子を含む分散液に26質量部の樹脂粒子分散液を追加した後、加熱用オイルバスを用いて50℃で30分間保持した。この凝集体粒子を含む分散液に1N水酸化ナトリウムを追加して分散液のpHを7.0に調整した後、フラスコを密閉し、磁気シールを用いて攪拌を継続しながら加熱して80℃で4時間保持した。分散液を冷却した後、分散液中に生成したトナー母粒子を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥してトナー母粒子K1を得た。トナー母粒子K1の体積平均粒子径D50vは5.9μm、平均形状係数ML/Lは132であった。
<トナー母粒子C1の調製>
着色粒子分散液−1の代わりに着色粒子分散液−2を用いたこと以外はトナー母粒子K1と同様にしてトナー母粒子C1を調製した。得られたトナー母粒子C1の体積平均粒子径D50vは5.8μm、平均形状係数ML/Aは131であった。
<トナー母粒子M1の調製>
着色粒子分散液−1の代わりに着色粒子分散液−3を用いたこと以外はトナー母粒子K1と同様にしてトナー母粒子M1を調製した。得られたトナー母粒子M1の体積平均粒子径D50vは5.5μm、平均形状係数ML/Aは135であった。
<トナー母粒子Y1の調製>
着色粒子分散液−1の代わりに着色粒子分散液−4を用いたこと以外はトナー母粒子K1と同様にしてトナー母粒子Y1を調製した。得られたトナー母粒子Y1の体積平均粒子径D50vは5.9μm、平均形状係数ML/Aは130であった。
−キャリアの製造−
トルエン14質量部、スチレン−メタクリレート共重合体(成分比:90/10)2質量部及びカーボンブラック(R330:キャボット社製)0.2部を混合し、10分間スターラーで撹拌して分散処理した被覆液を調製した。次に、この被覆液とフェライト粒子(平均粒径:50μm)100質量部を真空脱気型ニーダーに入れて、60℃で30分撹拌した後、更に加温しながら減圧して脱気し乾燥させることによりキャリアを得た。このキャリアは、1000V/cmの印加電界時の体積固有抵抗値が1011Ω・cmであった。
−トナー−1及び現像剤−1の調製−
上記トナー母粒子K1、C1、M1、Y1のそれぞれ100質量部と、ルチル型酸化チタン(粒径:20nm,n−デシルトリメトキシシラン処理したもの)1質量部、シリカ(粒径:40nm、気相酸化法により調製し、シリコーンオイル処理したもの)2.0質量部、酸化セリウム(平均粒径:0.7μm)1質量部、高級脂肪酸アルコール(分子量700の高級脂肪酸アルコールをジェットミルで粉砕し、平均粒径8.0μmとしたもの)0.3質量部を5Lヘンシェルミキサーで周速30m/sで15分間ブレンドした。その後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、トナー−1(ブラック、シアン、マジェンタ、イエローの4色)を得た。
また、キャリア100質量部とトナー−1の5質量部をV−ブレンダーを用いて40rpmで20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤−1(ブラック、シアン、マジェンタ、イエローの4色)を得た。
(現像剤−2)
<トナー母粒子K2の調製>
樹脂粒子分散液(現像剤−1の調製時に作製したもの)を234質量部、着色剤分散液−1を30質量部、離型剤分散液を40質量部、ポリ水酸化アルミニウム(Paho2S、浅田化学社製)を0.5質量部、イオン交換水を600質量部、それぞれ丸型ステンレス鋼鉄フラスコに入れて、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて混合・分散した。
その後、加熱用オイルバス中で混合液を攪拌しながら加熱し、40℃で30分保持した後、D50が4.5μmの凝集粒子が生成していることを確認した。更に加熱用オイルバスの温度を上げて56℃で1時間保持したところ、D50は5.3μmとなった。その後、この凝集体粒子を含む分散液に26質量部の樹脂粒子分散液を追加した後、加熱用オイルバスにより加熱して50℃で30分間保持した。
この凝集体粒子を含む分散液に1N水酸化ナトリウムを追加して系のpHを5.0に調整した後、フラスコを密閉し、磁気シールを用いて攪拌を継続しながら加熱して95℃で5時間保持した。分散液を冷却した後、分散液中に生成したトナー母粒子を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥してトナー母粒子K2を得た。トナー母粒子K2の体積平均粒子径D50vは5.8μm、平均形状係数ML/Aは103であった。
<トナー母粒子C2の調製>
着色粒子分散液−1の代わりに着色粒子分散液−2を用いたこと以外はトナー母粒子K2と同様にしてトナー母粒子C2を調製した。得られたトナー母粒子C2の体積平均粒子径D50vは5.7μm、平均形状係数ML/Lは104であった。
<トナー母粒子M2の調製>
着色粒子分散液−1の代わりに着色粒子分散液−3を用いたこと以外はトナー母粒子K2と同様にしてトナー母粒子M2を調製した。得られたトナー母粒子M2の体積平均粒子径D50vは5.6μm、平均形状係数ML/Aは106であった。
<トナー母粒子Y2の調製>
着色粒子分散液−1の代わりに着色粒子分散液−4を用いたこと以外はトナー母粒子K2と同様にしてトナー母粒子Y2を調製した。得られたトナー母粒子Y2の体積平均粒子径D50vは5.8μm、平均形状係数ML/Aは103であった。
<トナー−2及び現像剤−2の調製>
トナー母粒子K2、C2、M2、Y2をそれぞれ用い、酸化セリウム(平均粒径:0.7μm)の代わりに酸化アルミニウム(平均粒径:0.1μm)を用いたこと以外はトナー−1及び現像剤−1と同様にしてトナー−2及び現像剤−2(それぞれブラック、シアン、マジェンタ、イエローの4色)を調製した。
(現像剤−3)
<トナー母粒子K3の調製>
ポリエステル樹脂(テレフタル酸−ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物−シクロヘキサンジメタノールから得られた線状ポリエステル、T:62℃、M:12,000、M:32,000)100質量部、カーボンブラック(モーガルL、キャボット製)4質量部及びカルナウバワックス5質量部をエクストルーダで混練し、ジェットミルで粉砕した。得られた粉砕物を風力式分級機で分級してトナー母粒子K3を得た。得られたトナー母粒子K3の体積平均粒子径D50vは5.9μm、平均形状係数ML/Aは145であった。
<トナー母粒子C3の調製>
カーボンブラックの代わりにシアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3)を用いたこと以外はトナー母粒子K3と同様にしてトナー母粒子C3を調製した。得られたトナー母粒子C3の体積平均粒子径D50vは5.6μm、平均形状係数ML/Aは141であった。
<トナー母粒子M3の調製>
カーボンブラックの代わりにマジェンタ着色剤(R122)を用いたこと以外はトナー母粒子K3と同様にしてトナー母粒子M3を調製した。得られたトナー母粒子M3の体積平均粒子径D50vは5.9μm、平均形状係数ML/Aは149であった。
<トナー母粒子Y3の調製>
カーボンブラックの代わりにイエロー着色剤(Y180)を用いたこと以外はトナー母粒子K3と同様にしトナー母粒子Y3を調製した。得られたトナー母粒子Y3の体積平均粒子径D50vは5.8μm、平均形状係数ML/Aは144であった。
<トナー−3及び現像剤−3の調製>
トナー母粒子K3、C3、M3、Y3をそれぞれ用いたこと以外はトナー−2及び現像剤−2と同様にしてトナー−3及び現像剤−3(それぞれブラック、シアン、マジェンタ、イエローの4色)を調製した。
[実施例1A〜21A、比較例1A〜7A]
実施例1A〜21A及び比較例1A〜7Aの感光体の評価を、タンデム方式のカラー画像形成装置(富士ゼロックス製DocuCentre Color f450)で行った。具体的には、高温高湿(30℃、80%RH)の環境下で10万枚の画像形成を行い、次いで低温低湿(10℃、20%RH)の環境下で10万枚の画像形成を行った。
この画像形成テスト後の残留電位と、感光体の磨耗率(1,000サイクル当たりの磨耗量)、表面粗さ、感光体表面の付着物の有無、低温低湿環境下でのトナーのクリーニング性(クリーニング不良による帯電装置の汚れや画質劣化)、転写性及び画質を評価した。得られた結果を表1、表2に示す。
残留電位については、除電光後の電位を予め評価機に設置しておいた表面電位計で測定した。
表面粗さ(十点平均表面粗さ:Rz(μm))については、東京精密(株)製のサーフコム1400Aを用いて、JISB0601(1994)の規定に準拠して測定した。
なお、表1及び表2中、感光体表面の付着物の有無は、目視により観察し、以下の基準に基づいて評価したものである。
−評価基準−
○:付着無し
△:部分的(全体の30%程度以下)に付着あり
×:付着あり
また、クリーニング性は、目視により観察し、以下の基準に基づいて評価したものである。
−評価基準−
○:良好
△:部分的(全体の10%程度以下)にスジ等の画質欠陥あり
×:広範な領域に画質欠陥あり
また、転写性は、転写工程後に感光体表面に残存したトナーを粘着テープに付着させてその質量を測定し、下記式(5)により求めた転写効率を指標として、以下の基準に基づいて評価したものである。
Figure 2008203640
−評価基準−
○:転写効率90%以上
△:転写効率85〜90%
×:転写効率85%未満
また、画質は、目視にて観察し、良好であった場合は○、画質欠陥が認められた場合はその詳細を示した。
Figure 2008203640


Figure 2008203640


表中、「−」は、測定や評価ができなかったことを示す。
(感光体1−1Bの作製)
感光体1−1Aと同様にして、電荷輸送層までを形成した。
−メチルエーテル化変性フェノール樹脂の合成−
フェノール150g、37%ホルマリン258g、トリエチルアミン0.75gを混合し、85℃で5時間反応させた。その後、反応液を45℃まで冷却し、溶媒の水および未反応原料を減圧下で留去し、レゾール樹脂235gを得た。この樹脂の重量平均分子量はポリスチレン換算でMw820だった。
次に、この樹脂30gをメタノール100mlに溶解し、メタノール10mlで希釈した硫酸3gを加え、おだやかに加熱還流させた。5時間後、再びメタノール10mlで希釈した硫酸3gを追加し、さらに5時間還流させ反応を終了した。反応終了後、20℃まで冷却し、酢酸エチル200mlを加えた。この反応液を分液ロート中でよく水洗いしたのち、溶媒の酢酸エチルを減圧留去し、メチルエーテル化したフェノール樹脂1を24g得た。
この樹脂の重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1290だった。IRスペクトルから、1080cm−1にエーテル基のピークを確認した。この樹脂の、エーテル変性化率は、88%だった。
なお、エーテル変性化率は次式で定義し、H−NMRによって分析した。
エーテル変性化率=エーテル変性後のレゾールメチレン基/変性前のレゾールメチレン基×100(%)
上記、レゾールメチレン基の分析は、一般的な無水酢酸―ピリジン法を用い、H−NMRスペクトルから求めた。
実施例1Aの感光体1−1Aの作製における塗布液A−1A及びA−2Aの調製で、レジトップPL−4852(群栄化学製)の替わりに、上記メチルエーテル化変性フェノール樹脂1を用いた以外は同様にして、塗布液A−1B及びA−2Bを調製した。この塗布液A−1B及びA−2Bを用いた以外は実施例1Aの感光体1−1Aの作製と同様にして、感光体1−1Bを作製した。
(感光体2−1B〜感光体4−1Bの作製)
感光体1−1Bの作製において、塗布液A−1B及びA−2Bに化合物(I−1)を用いたところを、化合物(I−19)、化合物(I−25)、化合物(II−5)、にそれぞれ替えた以外は同様にして、感光体2−1B〜4−1Bを作製した。
実施例1B〜4Bの感光体の評価を、実施例1Aと同様に行なった。結果を表3に示す。
Figure 2008203640
[実施例1C]
(感光体1C)
感光体1−1Aと同様にして、電荷輸送層までを形成した。
ヒドロキシ基を有する電荷輸送物質として前記例示化合物(A−23)3.2部、上記構造式(D)で表されるビューレット変性ポリイソシアネート溶液(固形分67質量%)4部、前記例示化合物(H−7)で表されるビスフェノール化合物1.5部、酸化スズ(平均粒径:0.05μm)5部、及びシクロヘキサノン20部の混合物を、ペイントシェーカーで5時間分散して塗布液A−1Cを調製した。
また、酸化スズを入れずに分散なしで、ヒドロキシ基を有する電荷輸送物質として前記例示化合物(A−31)2.8部、上記構造式(D)で表されるビューレット変性ポリイソシアネート溶液(固形分67質量%)4部、前記例示化合物(H−7)で表されるビスフェノール化合物1.5部及びシクロヘキサノン20部の混合物を、ペイントシェーカーで5時間分散して塗布液A−2Cを調製した。
感光体1−1Aの導電性粒子含有樹脂層の作製において、塗布液A−1A及びA−2Aを用いたところを、上記A−1C及びA−2Cに変更した以外は同様にして、感光体1−1Cを得た。
[比較例1C]
感光体1Cの導電性粒子含有樹脂層の作製において、塗布液A−1C及びA−2Cを用いたところを、塗布液A−1Cだけ使用して、同様に積層し3μmの導電性粒子分散樹脂層を設けた感光体1−2Cを作製した。
[比較例2C]
感光体1Cの導電性粒子含有樹脂層の作製において、塗布液A−1C及びA−2Cを用いたところを、塗布液A−2Cだけ使用して、同様に積層し2μmの樹脂層を設けた感光体1−3Cを作製した
[実施例2C]〜[実施例3C]
先ず、感光体1Cと同様にして電荷輸送層までを形成した。
次に、化合物(A−23)を、化合物(B−10)又は化合物(C−21)に替えた以外は感光体1−1Cと同様にして感光体2−1C〜感光体3−1Cを作製した。
[実施例4C]
先ず、感光体1Cと同様にして電荷輸送層までを形成した。
次に前記構造式(D)で表されるビューレット変性ポリイソシアネート溶液(固形分67質量%)の代わりに、前記構造式(E)で表されるイソシアヌレート変性ポリイソシアネート溶液(固形分75質量%)を用いて感光体4−1Cを作製した。
[実施例5C]
導電性粒子含有樹脂層の導電性粒子を酸化亜鉛粒子(粒子径:0.07μm)に替えた導電性粒子含有樹脂層塗布液A−3Cを調製し、これを導電性粒子含有樹脂層塗布液A−1Cの代わりに用いた以外は感光体1−1Cと同様にして積層し、2.5μmの層を設けた感光体5−1Cを作製した。
[比較例3C]
感光体5−1Cの作製において、塗布液A−3C及びA−2Cを用いたところを、導電性粒子含有樹脂層塗布液A−3Cだけを使用して、同様に積層し、2.5μmの導電性粒子分散樹脂層を設けた感光体5−2Cを作製した。
[比較例4C]
感光体5−1Cの作製において、塗布液A−3C及びA−2Cを用いたところを、塗布液A−2Cだけ使用して、同様に積層し、2.5μmの樹脂層を設けた感光体5−3Cを作製した。
[実施例6C]
導電性粒子含有樹脂層の導電性粒子をアンチモンでドープした酸化スズ粒子(平均粒径:0.02μm)に替えた導電性粒子含有樹脂層塗布液A−4Cを調製し、これを導電性粒子含有樹脂層塗布液A−1Cの代わりに用いた以外は感光体2−1Cと同様にして,導電性粒子含有樹脂層の膜厚が5μmの感光体6−1Cを作製した。
[比較例5C]
感光体6−1Cの導電性粒子含有樹脂層の作製において、塗布液A−4C及びA−2Cを用いたところを、塗布液A−4Cだけ使用して、同様に積層し、5μmの導電性粒子分散樹脂層を設けた感光体6−2Cを作製した。
[比較例6C]
感光体6−1Cの導電性粒子含有樹脂層の作製において、塗布液A−4C及びA−2Cを用いたところを、塗布液A−2Cだけ使用して、同様に積層し、5μmの樹脂層を設けた感光体6−3Cを作製した
製した。
実施例1C〜6C及び比較例1C〜6Cの感光体の評価を、実施例1A〜21A及び比較例1A〜6Aと同様に行なった。結果を表4に示す。
Figure 2008203640


表中、「−」は、測定や評価ができなかったことを示す。
本発明で用いられる電子写真感光体の一例を示す模式断面図である。 本発明で用いられる電子写真感光体の他の例を示す模式断面図である。 本発明で用いられる塗布装置の模式図である。 本発明で用いられる塗布装置において、マトリクス状に複数並べた吐出ヘッドを用いるインクジェット方式の一例を示す模式図である。 本発明で用いられる塗布装置において、円筒状支持体円周を取り囲むように設計された吐出ヘッドを用いるインクジェット方式を示す模式図である。 本発明で用いられる塗布装置において、液滴吐出ヘッドが円筒状支持体と同等又はそれ以上の幅を有し、円筒状支持体軸全長を一度に塗布するインクジェット方式の一例を示す模式図である。 連続型塗布装置を示す斜視図である。 連続型塗布装置の塗布開始・停止機構を示す模式図である。 連続型塗布装置の他の塗布開始・停止機構を示す模式図である。 連続型塗布装置で、振動を付与しない場合における塗布液28の吐出状態を示す模式図である。 連続型塗布装置で、振動を付与した場合における塗布液28の吐出状態を示す模式図である。 連続型塗布装置によって、着弾面に対し、当該面の法線方向から塗布液の液滴が着弾する様子を示す模式図である。 連続型塗布装置によって、当該面の法線方向と角度を持って塗布液の液滴が着弾する様子を示す模式図である。 塗布装置による塗布膜の形成過程を説明する図である。 塗布装置による塗布膜の他の形成過程を示す工程図である。 表面から見た格子状の高濃度領域の一例を示す模式図である。 表面から見た格子状の高濃度領域の他の一例を示す模式図である。 本発明の画像形成装置の好適な一実施形態を示す模式図である。 本発明の画像形成装置の他の実施形態を示す模式図である。 本発明の画像形成装置の他の実施形態を示す模式図である。
符号の説明
10 電子写真感光体
11 導電性支持体
13 下引き層
14 電荷発生層
15 電荷輸送層
16 導電性粒子含有樹脂層
17 電荷発生層/電荷輸送層
20 帯電装置
22 被塗布物(基体)
31 露光装置(潜像形成装置)
41 現像装置
52 中間転写体
60 転写装置
70 クリーニング装置
80 プロセスカートリッジ
100,110,120 画像形成装置

Claims (17)

  1. 導電性基体上に感光層を有し、
    前記感光層上に、導電性粒子と硬化性樹脂とを含む導電性粒子含有樹脂層を有し、該導電性粒子含有樹脂層の膜厚方向では前記導電性粒子が一定濃度で分散されてなり、且つ面方向では前記導電性粒子の高濃度領域が独立して配置されてなることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記導電性粒子含有樹脂層の面方向では、前記導電性粒子の高濃度領域と該高濃度領域よりも導電性粒子の濃度の低い低濃度領域とが、格子状に配置されてなることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記導電性粒子含有樹脂層の前記硬化性樹脂の少なくとも一種が、フェノール樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記フェノール樹脂が、メチロール基を有するフェノール誘導体により合成されたフェノール樹脂であることを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体。
  5. 前記フェノール樹脂のうち少なくとも1種は、レゾール性水酸基の少なくとも一部を、炭素数1〜10の有機基でエーテル変性化したフェノール樹脂であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の電子写真感光体。
  6. 前記導電性粒子含有樹脂層の硬化性樹脂の少なくとも一種が、ヒドロキシ基を有する電荷輸送物質と、官能基数が3以上のイソシアネート化合物と、が三次元的に架橋重合した物質であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記導電性粒子含有樹脂層が、更に、少なくとも一種の架橋性電荷輸送物質を含むことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  8. 前記導電性粒子含有樹脂層の前記架橋性電荷輸送物質が、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、カーボネート基、チオール基及びアミノ基から選択される少なくとも1種の官能基を有することを特徴とする請求項7に記載の電子写真感光体。
  9. 前記導電性粒子含有樹脂層の前記架橋性電荷輸送物質の少なくとも一つが、下記一般式(I)〜(IV)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
    一般式(I): F−((X(R−ZH)
    〔一般式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を表し、Rはアルキレン基を表し、Zは酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを表し、mは1〜4の整数を示し、Xは、酸素原子又は硫黄原子を表し、nは0又は1を示し、kは0又は1を示す。)
    一般式(II): F−[(Xn1−(Rn2−(Zn3G]n4
    〔一般式(II)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子を表し、Rはアルキレン基を表し、Zはアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを表し、Gはエポキシ基を表し、n1、n2及びn3は各々独立に0又は1を示し、n4は1〜4の整数を示す。〕
    Figure 2008203640


    〔一般式(III)中、Fは正孔輸送性を有するn5価の有機基を表し、Tは2価の連結基を表し、Yは酸素原子又は硫黄原子を表し、R、R及びRは各々独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Rは1価の有機基を表し、m1は0又は1を表し、n5は1〜4の整数を示す。但し、RとRは互いに結合してYをヘテロ原子とする複素環を形成してもよい。〕
    Figure 2008203640

    〔一般式(IV)中、Fは正孔輸送性を有するn6価の有機基を表し、Tは2価の連結基を表し、Rは1価の有機基を表し、m2は0又は1を示し、n6は1〜4の整数を示す。〕
  10. 前記一般式(I)〜(IV)で表される化合物が、下記一般式(V)で表される化合物であることを特徴とする請求項9に記載の電子写真感光体。
    Figure 2008203640

    〔一般式(V)中、Ar〜Arは同一でも異なっていてもよく、各々独立に、置換又は未置換のアリール基を表し、Arは置換又は未置換のアリール基又はアリーレン基を表し、cは各々独立に0又は1を表し、kは0又は1を表し、Dは、下記式(VI)〜(IX)から選択される一価の連結基を表し、Dの総数は1〜4である。〕
    一般式(VI): −(X(R−Z
    一般式(VII): −(Xn1−(Rn2−(Zn3
    Figure 2008203640

    〔一般式(VI)〜(IX)におけるX、X、R、R、R、R、R、R、R、Z、Z、G、Y、T、T、n、n1、n2、n3、k、m1及びm2は、一般式(I)〜(IV)におけるX、X、R、R、R、R、R、R、R、Z、Z、G、Y、T、T、n、n1、n2、n3、k、m1及びm2とそれぞれ同義である。〕
  11. 前記導電性粒子含有樹脂層の前記導電性粒子の平均粒径が、0.005μm以上0.5μm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  12. 導電性基体上の感光層上に、導電性粒子と硬化性樹脂とを含む塗布液を、吐出ノズルから液滴状に吐出して、導電性粒子含有樹脂層を形成することを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  13. 前記吐出ノズルから前記感光層上に、前記塗布液の液滴を、格子状に複数回吐出することを特徴とする請求項12に記載の電子写真感光体の製造方法。
  14. 前記導電性粒子の含有率が異なる少なくとも2種類の前記塗布液を用い、第一の塗布液の液滴が着弾した位置の周囲を、第一の塗布液よりも導電性粒子の含有率が低い第二の塗布液の液滴が着弾するように、前記吐出ノズルから液滴状に吐出することを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の電子写真感光体の製造方法。
  15. 前記吐出ノズルからの前記液滴の吐出方式が、インクジェット方式であることを特徴とする請求項12〜請求項14のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  16. 導電性粒子含有樹脂層を最表面に備える請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
    前記導電性粒子含有樹脂層に接触し且つ帯電電圧を印加する接触型の帯電装置と、
    帯電した前記電子写真感光体に潜像を形成する潜像形成装置と、
    前記潜像をトナーにより現像する現像装置と、
    前記電子写真感光体上に現像されたトナー像を転写する転写装置と、
    転写したトナー像を定着する定着装置と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  17. 請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置、帯電した前記電子写真感光体に潜像形成する潜像形成装置、前記潜像をトナーにより現像する現像装置、及び現像後の電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング装置、のうちの少なくとも1つと、
    を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
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