JP2009098199A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性が優れると共に、像流れを抑制した電子写真感光体、並びに、それを適用したプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】円筒状支持体1上に、該円筒状支持体1側から順に、感光層2と最表面層5とを積層した電子写真感光体10において、最表面層5が正孔輸送性の層であり、且つ前記最表面層における厚み方向の正孔移動度が沿面方向の正孔移動度よりも大きくする。最表面層5の正孔が沿面方向の正孔移動度が抑制されて、潜像領域が崩れることなく維持される。結果、耐久性が優れると共に、像流れが抑制される。また、潜像領域が崩れることなく維持されることから、潜像をシャープ、即ち、微細な潜像を形成しても、精度良く現像・画像形成がなされる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
いわゆるゼログラフィー方式の画像形成装置は、電子写真感光体(以下「感光体」と称する場合がある。)、帯電装置、露光装置、現像装置及び転写装置を備え、それらを用いた電子写真プロセスにより画像形成を行う。
近年、ゼログラフィー方式の画像形成装置は、各部材、システムの技術進展により一層の高速化、長寿命化が図られている。これに伴い、各サブシステムの高速対応性、高信頼性に対する要求が従来に増して高くなっている。特に、画像書き込みに使用される感光体や、感光体をクリーニングするクリーナーは、摺動によるストレスを多く受け、傷、磨耗、欠けなどによる画像欠陥を生じやすく、高速対応性、高信頼性に対する要求が一層強い。
一方、高画質化に対する要求も強く、トナーの小粒径化、粒度分布の狭化、球形化などが図られ、この品質を満たすトナーの製法として、水を主成分とする溶剤中で製造されたいわゆるケミカルトナーの開発が盛んに行われている。この結果、最近では写真画質のものも得られるようになってきた。
また、画像形成装置の長寿命化に対する要求も高まっている。画像形成装置の長寿命化を実現するために、感光体の耐久性の向上が図られており、架橋型樹脂材料を使用した保護層を備える感光体が提案されている。例えば、特許文献1〜3の技術によれば、従来の感光体に比べて、熱的及び機械的な強度に優れるため、保護層の摩耗等による劣化を減少させることができるとしている。
一方で、上記如く保護層として、正孔輸送性を有する保護層が用いられることも提案されている。(特許文献4)。この特許文献4では、導電性基体上に直接または下引き層を介して、結着剤中に粒子状に分散された電荷発生物質と分子状に分散された電荷輸送物質とを含有してなる単層感光層を設け、該感光層上に正孔輸送物質と結着剤を主成分とし正孔輸送物質と結着剤との重量組成比が1/100乃至5/1である保護層を設けることが開示されている。
特開2002−6527公報 特開2002−82469公報 特開2003−186234公報 特開平9−319108号公報
しかしながら、保護層として、正孔輸送性を有する保護層を適用すると、帯電・露光後において潜像が形成された際、正孔が層の沿面方向に流れてしまい、結果、デリーションと呼ばれる像流れが生じることがある。一方で、負帯電極性で感光体を帯電すると、オゾン等の活性物質が放出されると、当該活性物質により感光体の表面が酸化され、やはり、像流れが生じてしまう。これを改善するためには、感光体表面を研磨する等の処理を施す方法が知られているが、研磨処理を施すと、感光体の耐久性(寿命)が低下するといった問題もある。
そこで、本発明の課題は、耐久性が優れると共に、像流れを抑制した電子写真感光体、並びに、それを適用したプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
円筒状支持体上に、該円筒状支持体側から順に、感光層と最表面層とを積層してなり、
前記最表面層が正孔輸送性の層であり、且つ前記最表面層における厚み方向の正孔移動度が沿面方向の正孔移動度よりも大きいことを特徴とする電子写真感光体である。
請求項2に係る発明は、
前記最表面層が、少なくとも正孔輸送性材料と硬化性樹脂を用いた硬化層であり、
且つ当該正孔輸送性材料の濃度が、前記最表面層の沿面方向に分布を持つことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体である。
請求項3に係る発明は、
前記最表面層が、少なくとも第1正孔輸送性材料と第1正孔輸送性材料とは異なる第2正孔輸送性材料と硬化性樹脂とを用いた硬化層であり、
且つ当該第1正孔輸送性材料と当該第2正孔輸送性材料との濃度比が、前記最表面層の沿面方向に分布を持つことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体である。
請求項4に係る発明は、
前記最表面層が、少なくとも導電性粒子と硬化性樹脂とを用いた硬化層であり、
且つ当該導電性粒子の濃度が、前記最表面層の沿面方向に分布を持つことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体である。
請求項5に係る発明は、
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置、帯電した前記電子写真感光体に潜像形成する潜像形成装置、トナーにより前記潜像をトナー像に現像する現像装置、及び現像後の電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング装置、のうちの少なくとも1つと、 を有し、
画像形成本体に脱着されることを特徴とするプロセスカートリッジである。
請求項6に係る発明は、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、
帯電した前記電子写真感光体に潜像形成する潜像形成装置と、
トナーにより前記潜像をトナー像に現像する現像装置と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置である。
本発明によれば、耐久性が優れると共に、像流れを抑制した電子写真感光体、並びに、それを適用したプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、実質的に同一の機能を有する部材には、全図面同じ符号を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
(電子写真感光体)
図1は、実施形態に係る電子写真感光体を示す概略断面図である。図2は、実施形態に係る電子写真感光体の最表面層を示す部分拡大図であり、(A)が平面図であり、(B)が断面図である。なお、図2(B)は図2(A)のA−A断面図である。また、図3は、他の実施形態に係る電子写真感光体の最表面層を示す部分拡大図であり、(A)が平面図であり、(B)が断面図である。なお、図3(B)は図3(A)のB−B断面図である。
実施形態に係る電子写真感光体10は、図1に示すように、円筒状支持体1上に感光層2として電荷輸送層3及び電荷発生層4が順次設けられ、さらに当該感光層2上に最表面層5が設けられる。本実施形態では、円筒状支持体1と感光層2との間に下引き層を付設してもよい。本実施形態では、電荷輸送層3と電荷発生層4とに機能を分離した構成となっているが、電荷発生/電荷輸送機能とを一つの層にして、所謂単層型の感光層2としてもよい。電荷輸送層3と電荷発生層4とに機能を分離した構成では、それぞれの層にそれぞれの機能を分離することができるため、より様々な機能を発揮できるので好適である。本実施形態の電子写真感光体の層構成は特に限定されるものではないが、少なくとも感光層2と、感光層2上に最表面層5を設ける。
以下、各層構成について説明する。
−円筒状支持体−
円筒状支持体1としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いた金属板、金属ドラム、金属ベルト、あるいは、体積抵抗率が10−5Ω・cm以下であるポリマー、酸化インジウム等の化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着、あるいはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等が挙げられる。
円筒状支持体1の体積抵抗率は、10−5Ω・cm以下であることが好ましい。
また、レーザー光を照射する際に生じる干渉縞を防止するために、支持体表面は、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下となるように粗面化することが好ましい。
粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、あるいは、回転する砥石に支持体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化などが好ましく、また、支持体表面そのものを粗面化することなく体積抵抗率が10−5Ω・cm以下の粉体を樹脂層中に分散させた層を支持体表面上に形成し、該層中に分散させる粒子により粗面化する方法も好ましく用いられる。
なお非干渉光を光源に用いる場合には、干渉縞防止の粗面化は特に必要がない。
粗面化の方法の一つである陽極酸化処理は、アルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。更に好適には、陽極酸化膜の細孔をふさぐ。
陽極酸化膜の膜厚については0.3μm以上15μm以下が好適である。
リン酸、クロム酸及びフッ酸などの酸性処理液による処理は以下の様に実施される。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、リン酸が、10重量%以上11重量%の範囲、クロム酸が3重量%以上5重量%以下の範囲、フッ酸が0.5重量%以上2重量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は、13.5重量%以上18重量%以下の範囲が好ましい。処理温度は、42℃以上48℃以下であることが好適である。
被膜の膜厚については0.3μm以上15μm以下が好適である。
ベーマイト処理は、90℃以上100℃以下の純水中に5分間以上60分間浸漬するか、90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分間以上60分間以下接触させることにより行うことができる。被膜の膜厚については0.1μm以上5μm以下が好適である。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩などの皮膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
−下引き層−
下引き層に用いられる材料としては、例えばジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤などの有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤などの有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物のほか、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物、とくに有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物は、好ましく使用される。
また、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。
さらに、一般的に下引き層に用いられる別の構成成分としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の樹脂を用いることもできる。
これらは、混合して用いることができ、その混合割合は、必要に応じて設定することができる。
また、下引き層中には電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、例えば特開昭47−30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が上げられる。
これらの顔料の中ではペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料、酸化亜鉛、酸化チタンが、好ましく使用される。
また、これらの顔料の表面は、上記カップリング剤や、樹脂などで表面処理してもよい。電子輸送性顔料は95重量%以下、好適には90重量%以下で使用される。
下引き層の構成成分の混合/分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等を用いることができる。混合/分散は有機溶剤中で行われる。この有機溶剤としては、有機金属化合物や樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであれば如何なるものでも使用できる。
例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
下引き層中には、各種の有機化合物の粉末もしくは無機化合物の粉末を添加することができる。特に、酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料やアルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料やテフロン(登録商標)樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子などが有効である。
添加粉末の粒径は体積平均粒子径で0.01μm以上2μm以下のものが用いられる。粉末は必要に応じて添加されるが、その添加量は下引き層の固形分の総重量に対して、重量比で10重量%以上90重量%以下であることが好ましく、30重量%以上80重量%以下であることがより好ましい。
また、下引き層中には、電子輸送性物質、電子輸送性顔料等を含有させることもできる。
下引き層の厚みは、0.01μm以上30μm以下、好適には0.05μm以上25μm以下が好適である。また、下引き層を形成するための塗布液を調製する際に、粉末状の物質を添加する場合には樹脂成分を溶解した溶液中に添加して分散処理が行われる。
この分散処理方法としては、例えばロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の方法を用いることができる。更に、この下引き層は、円筒状支持体1上に下引き層を形成するための塗布液を塗布し、乾燥させることにより形成することができる。
このときの塗布方法としては、例えばブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
−電荷輸送層−
電荷輸送層3としては、正孔輸送性の層であることが望ましく、公知の技術によって形成されたものを使用できる。それらの電荷輸送層3は、電荷輸送性材料(正孔輸送性材料)と樹脂を含有して形成されるか、あるいは高分子電荷輸送材(高分子正孔輸送性材料)を含有して形成される。
電荷輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性材料があげられる。
これらの電荷輸送材料は単独又は2種以上混合して用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの電荷輸送材料は単独あるいは2種以上混合して用いることができるが、以下の構造のものが好適である。
Figure 2009098199

式中、R14は、水素原子又はメチル基を示す。また、nは1又は2を意味する。Ar及びArは置換又は未置換のアリール基あるいは、−C−C(R18)=C(R19)(R20)、−C−CH=CH−CH=C(Ar)を表し、置換基としてはハロゲン原子、炭素数が1以上5以下の範囲のアルキル基、炭素数が1以上5以下の範囲のアルコキシ基、又は炭素数が1以上3以下の範囲のアルキル基で置換された置換アミノ基を示す。Arは、置換又は未置換のアリール基を表す。なお、R18、R19及びR20は、各々独立に、水素原子、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基を表す。
Figure 2009098199

式中R15、R15’は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、を表わす。R16、R16’、R17、R17’は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換又は未置換のアリール基、あるいは、−C(R18)=C(R19)(R20)、−CH=CH−CH=C(Ar)を表わし、R18、R19、R20は、各々独立に、水素原子、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基を表す。Arは、置換又は未置換のアリール基を表す。m及びnは、各々独立に、0以上2以下の整数である。
Figure 2009098199

式中、R21は水素原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、置換又は未置換のアリール基、又は、―CH=CH―CH=C(Ar)を表す。Arは、置換又は未置換のアリール基を表す。R22、R23は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1又は2のアルキル基で置換されたアミノ基、置換又は未置換のアリール基を表す。
さらに電荷輸送層3に用いる樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材など高分子電荷輸送材を用いることもできる。これらの樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
電荷輸送材料と樹脂との配合比(重量比)は10:1以上1:5以下が好適である。
また、高分子電荷輸送材を単独で用いることもできる。
高分子電荷輸送材としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシランなどの電荷輸送性を有する公知のものを用いることができる。特に、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、とくに好適である。高分子電荷輸送材はそれだけでも電荷輸送層3として使用可能であるが、上記樹脂と混合して成膜してもよい。
本実施形態で用いる電荷輸送層3の厚みは、一般的には5μm以上50μm以下、好適には10μm以上40μm以下が適当である。
塗布方法としては、例えば、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
電荷輸送層3を設けるときに用いる溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
また、感光層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することができる。
例えば、酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等があげられる。光安定剤の例としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体があげられる。
また、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させることができる。本実施形態の感光体に使用可能な電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等をあげることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系やCl,CN,NO等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好適である。
−電荷発生層−
電荷発生層4は、例えば電荷発生材料と樹脂とを少なくとも含んで構成される。
電荷発生材料は、例えばビスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料、ジブロモアントアントロンなどの縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料などの有機顔料や三方晶セレン、酸化亜鉛などの無機顔料など公知のものを使用することができるが、特に380nm以上500nm以下の露光波長を用いる場合には、金属及び無金属フタロシアニン顔料、三方晶セレン、ジブロモアントアントロンなどが好ましい。
その中でも、特開平5−263007号公報及び特開平5−279591号公報に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報及び特開平5−140473号公報に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報及び特開平5ー43813号公報に開示されたチタニルフタロシアニンが特に好ましい。
樹脂としては、広範な種類の樹脂から選択することができ、好ましい樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等をあげることができるが、これらに限定されるものではない。
これらの樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
また、上記樹脂として、樹脂の機能と電荷発生材料の機能とを兼ね備えるポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの材料を適用することもできる。
電荷発生材料と樹脂の配合比は(重量比)は10:1以上1:10以下の範囲が好ましい。またこれらを分散させる方法としては、例えばボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いることができる。
さらにこの分散の際、粒子を0.5μm以下、好適には0.3μm以下、さらに好適には0.15μm以下の粒子サイズにすることが有効である。またこれらの分散に用いる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
また、電荷発生層4の厚みは、一般的には0.1μm以上5μm以下、好適には0.2μm以上2.0μm以下が適当である。
電荷発生層4を設けるときに用いる塗布方法としては、例えば、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
−最表面層−
最表面層5は、正孔輸送性の層であり、その厚み方向の正孔移動度が沿面方向の正孔移動度よりも大きくなるように構成されている。最表面層5は、例えば、図2に示すように、第1正孔輸送性領域5A(高易動度の領域)と、第1正孔輸送性領域5Aよりも正孔移動度が低い第2正孔輸送性領域5B(低易動度の領域)とを持ち、これら領域が最表面層5沿面方向にマトリクス状に配列されて構成されている。具体的には、最表面層5は、例えば、断面矩形の第1正孔輸送性領域5Aと断面矩形の第2正孔輸送性領域5Bとが、感光体軸方向及び感光体周方向にそれぞれ交互に配列して構成されている。
また、最表面層5は、例えば、図3に示すように、第1正孔輸送性領域5A(高易動度の領域)と、第1正孔輸送性領域5Aよりも正孔移動度が低い第2正孔輸送性領域5B(低易動度の領域)とを持ち、下層上にドット状(つぶ状)の第1正孔輸送性領域5Aが格子状に配列され、第2正孔輸送性領域5Bが第1正孔輸送性領域5Aを覆って設けられて構成された形態であってもよい。
なお、この形態において、第1正孔輸送性領域5Aの配列状態も格子状である必要ななく、千鳥状などマトリクス状に配列されてれいばよい。また、第1正孔輸送性領域5Aと第2正孔輸送性領域5Bとが逆の構成、つまり、下層上にドット状(つぶ状)の第2正孔輸送性領域5Bが格子状に配列され、第1正孔輸送性領域5Aが第1正孔輸送性領域5Bを覆って設けられて構成された形態であってもよい。得に、残留電位を小さくする観点から第2正孔輸送性領域5B(低易動度の領域)が第1正孔輸送性領域(高易動度の領域)よりも最表面に露出する面積比が小さい方が望ましいことから、本形態が望ましい。
ここで、最表面層5の厚み方向の正孔移動度は次のように測定される。正孔移動度は、「キャリア易動度」として求められる。キャリア易動度は、電荷キャリアの移動量について過渡光電流波形を測定し、その時の印加電圧と測定サンプルの厚さとから求めるものである。これは、当該技術分野において、いわゆるタイムオブフライト法(ETOF法)として、普通に知られた電荷キャリア易動度の測定方法である。
具体的には、真空蒸着法により、市販のスライドガラス上にITO膜を形成して電荷輸送性物質のキャリア易動度測定用基体とする。次に、最表面層形成用の塗布液を前記基体上に浸漬法により塗布後、加熱乾燥させて、膜厚10μmの膜を形成し、次いで、その上に真空蒸着法により、Auを約30オングストローム真空蒸着によって上部電極を設けることにより測定用試料を作製する。得られた試料を、光源としてN 2 レーザー(337.1nm)を用いたタイム−オブ−フライト(ETOF)法により、電界強度が1×10 5 V/cm以下の膜のキャリア易動度を測定する。これにより、最表面層5の厚み方向の正孔移動度が求められる。
一方、最表面層5の沿面方向の正孔移動度は次のように測定される。
1)絶縁フィルム上に最表面層5のサンプル層を形成する。
2)サンプル層の表面に一対のくし型電極をその互いの凸部が所定間隔で互い違いになるように、一方のくし型電極の凸部間に他方のくし型電極の凸部を入り込ませて配置する(図12参照)。このくし型電極は、くし型に穴のあいたマスクをのせて金蒸着を行うことで形成される。なお、図12中、70はサンプル層を示し、72はくし型電極を示し、72Aはくし型電極の凸部を示す。
3)くし型電極の一方を、電流計を介して接地する。
4)くし型電極の一方にバイアス電圧を印加する。電界強度は1×10V/cm以下になるように調整する。
5)サンプル層の電極形成面に紫外線レーザ(Nレーザ337.1nm)をパルス露光する。
6)露光時間からの電流変化をオシロスコープで観測する。
7)電流値のピークとなる平均到達時間(図13参照)を電極間距離(一対のくし型電極の凸部同士の距離:図12中、R1で示す距離)の半分で割って正孔移動度を算出する。
最表面層5の厚み方向の正孔移動度(キャリア昜動度)は、10−5cm/Vs以下であることが望ましい。この正孔移動度がこれより遅いと残留電荷が残ってしまうことがある。この厚み方向の正孔移動度は、沿面方向の正孔移動度の100倍以上10000倍以下が望ましい。厚み方向の正孔移動度が、沿面方向の正孔移動度に対して大きすぎると、除電過程での像にじみが顕著になることがある。逆に、小さすぎると除電できなくなることがあり、露光後の電位(残留電位)が高くなってしまうことがある。
なお、最表面層5の沿面方向の正孔移動度(キャリア昜動度)は、小さいほど好ましい。
また、最表面層における正孔移動度が異なる第1正孔輸送性領域5Aと第2正孔輸送性領域5Bと配列ピッチ(他の実施形態では第1正孔輸送性領域5Aの配列ピッチ)は、領域中心間距離で15μm以下であることが望ましい。この配列ピッチが、上記範囲とすることで、容易に175線の網点で100階調が実現される。
一方、最表面層5としては、例えば、1)少なくとも正孔輸送性材料と硬化性樹脂を用いた硬化層、2)第1正孔輸送性材料と第1正孔輸送性材料とは異なる第2正孔輸送性材料と硬化性樹脂とを用いた硬化層、3)少なくとも導電性粒子と硬化性樹脂とを用いた硬化層が挙げられる。ここで、1)、2)の硬化層には必要に応じて導電性粒子を用いてもよいし、3)の硬化層でも必要に応じて正孔輸送性材料を用いてもよい。
そして、最表面層5の厚み方向の正孔移動度が沿面方向の正孔移動度よりも大きくなるように、即ち、例えば、正孔移動度が異なる第1正孔輸送性領域5Aと第2正孔輸送性領域5Bを配列させるためには、次のような形態が挙げられる。
1)少なくとも正孔輸送性材料と硬化性樹脂を用いた硬化層の場合、正孔輸送性材料の濃度を沿面方向で分布を持たせる。具体的には、例えば、上記第1正孔輸送性領域5Aよりも上記第2正孔輸送性領域5Bの方が、正孔輸送性材料の濃度が低くなるように分布を持たせる。
2)第1正孔輸送性材料と第1正孔輸送性材料とは異なる第2正孔輸送性材料と硬化性樹脂とを用いた硬化層の場合、第1正孔輸送性材料と第1正孔輸送性材料とは異なる第2正孔輸送性材料との濃度比を沿面方向で分布を持たせる。具体的には、例えば、上記第1正孔輸送性領域5Aでは第1正孔輸送性材料の濃度が第2輸送性材料の濃度よりも高くなり、上記第2正孔輸送性領域5Bでは第2正孔輸送性材料の濃度が第1輸送性材料の濃度よりも高くなるように、当該濃度比に分布を持たせる。無論、例えば、第1正孔輸送性領域において第2輸送性材料の濃度が0で、第2正孔輸送性領域において第1正孔輸送性材料の濃度が0でとなる濃度比の分布であってもよい。
3)少なくとも導電性粒子と硬化性樹脂とを用いた硬化層の場合、導電性粒子の濃度を沿面方向で分布を持たせる。具体的には、例えば、上記第1正孔輸送性領域5Aよりも上記第2正孔輸送性領域5Bの方が、導電性粒子の濃度が低くなるように分布を持たせる。
この如く正孔移動度が異なる第1正孔輸送性領域5Aと第2正孔輸送性領域5Bを配列されると、最表面層5全体でその厚み方向の正孔移動度が沿面方向の正孔移動度よりも大きくなる。本実施形態では、最表面層5の沿面方向のうち、感光体軸方向及び感光体周方向のいずれの方向でも、最表面層5の厚み方向に比べて正孔移動度が低くなるように構成されている。
なお、正孔移動度が異なる第1正孔輸送性領域5Aと第2正孔輸送性領域5Bとは、実際には明確な界面は存在せず、当該領域内に正孔移動度の極大値又は極小値が存在する領域であることを意味している。また、正孔移動度が異なる領域の配列形態は、上記に限られず、例えば、千鳥状、ストライプ状、ハニカム状等であってもよい。また、正孔移動度が異なる領域が2種の場合を説明したが、これに限られず、3種以上であってもよい。
次に、最表面層5の各構成材料について説明する。
−硬化性樹脂−
硬化性樹脂としては、熱硬化性、光硬化性(紫外線などを含む。)、放射線硬化性などの外部刺激により硬化する樹脂のいずれであってもよい。
具体的に硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、シロキサン樹脂などを挙げることができ、この中で特に好適なものは電荷輸送性を有するフェノール性水酸基を有する樹脂で、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、フェノール性水酸基を有するエポキシ樹脂などが好適であり、より好適には、少なくともメチロール基を有するフェノール誘導体(例えば、レゾール型フェノール樹脂)である。
メチロール基を有するフェノール誘導体は、レゾルシン、ビスフェノールなど、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノールなどの水酸基を1個含む置換フェノール類、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンなどの水酸基を2個含む置換フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールZなどのビスフェノール類、ビフェノール類など、フェノール性水酸基を有する化合物とホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等を、酸あるいはアルカリ触媒下で反応させ、モノメチロールフェノール類、ジメチロールフェノール類、トリメチロールフェノール類のモノマー、及びそれらの混合物、又はそれらをオリゴマー化されたもの、及びモノマーとオリゴマーの混合物である。なお、分子の構造単位の繰り返しが2以上20以下の分子がオリゴマー、それ以下のものがモノマーである。
この酸触媒としては、例えば、硫酸、パラトルエンスルホン酸、リン酸などが用いられ、また、アルカリ触媒として、NaOH、KOH、Ca(OH)等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物やアミン系触媒が用いられる。アミン系触媒として、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等あるが、これらに限定されるものではない。塩基性触媒を使用した場合には、酸で中和するか、シリカゲルなどの吸着剤や、イオン交換樹脂などと接触させることにより不活性化、あるいは、除去することが好適である。また、塗布液作製の際に硬化を促進させるために触媒を使用してもよい。硬化時も上記の触媒を使用してもよいが、添加量は最表面層における全固形分全量を基準として5重量%以下であることが好適である。
フェノール性水酸基を有する硬化性樹脂を最表面層5に使用すると、耐酸化性に優れた最表面層5となり、帯電によって発生したオゾンによる感光層表面の劣化を防ぐことができる。表面が劣化すると、感光体表面の電荷が移動し易くなり、特に高温高湿下では電荷が移動し易くなってしまうことから像流れが発生し易くなる。しかし、フェノール性水酸基を有する硬化性樹脂を最表面層5に使用すれば、耐酸化性に優れるので、像流れを抑制することができる。
−正孔輸送性材料−
正孔輸送性材料としては、正孔輸送能を有する物質であれば特に限定されず適用することができ、例えば、ヒドラゾン系化合物、ベンジジン系化合物、アミン系化合物、スチルベン系化合物等の電荷輸送能に優れた低分子化合物であってもよいが、正孔輸送性材料についても架橋反応が可能な構造であると、長期使用での最表面層5の機械強度を確保できるので好適である。
架橋反応が可能な正孔輸送性材料としては、下記一般式(I)〜(V)で示されるものが挙げられ、具体的な構造としては、例えば以下に挙げたものが使用できる。
一般式(I): F−((X−R−A)
一般式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を表し、Rはアルキレン基を表し、mは1以上4以下の整数を表す。Xは酸素又は硫黄を表し、nは0又は1を表す。Aは水酸基、カルボキシル基、又はチオール基を表す。
一般式(II): F−[(Xn1−(Rn2−(Zn3−G]n4
一般式(II)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子を表し、Rはアルキレン基を表し、Zはアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを表し、Gはエポキシ基を表し、n1、n2及びn3はそれぞれ独立に0又は1を表し、n4は1以上4以下の整数を表す。
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一般式(III)中、Fは正孔輸送性を有するn5価の有機基を表し、Tは2価の基を表し、Yは酸素原子又は硫黄原子を表し、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Rは1価の有機基を表し、m1は0又は1を表し、n5は1以上4以下の整数を表す。但し、RとRは互いに結合してYをヘテロ原子とする複素環を形成してもよい。
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一般式(IV)中、Fは正孔輸送性を有するn6価の有機基を表し、Tは2価の基を表し、Rは1価の有機基を表し、m2は0又は1を表し、n6は1以上4以下の整数を表す。
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一般式(V)中、Fは正孔輸送性を有するn7価の有機基を表し、Tは2価のアルキレン基を表し、Rは1価の有機基を表し、n7は1以上4以下の整数を表す。
具体的な化合物を以下に示すが、これらに限るものではない。
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−導電性粒子−
導電性粒子としては、金属、金属酸化物、ドープされた金属酸化物を用いることができるが、金属又は金属酸化物がより好ましい。なお、「導電性」とは、体積抵抗率が、1Ω・cm以上1010Ω・cm以下のものをいう。
具体的には、金属粒子としては,亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属粒子、金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム等があげられる。また、ドープされた金属酸化物としてはスズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ及びアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等が挙げられる。
より好適には、導電性粒子は、酸化スズにアンチモンをドープしたもの(酸化錫と酸化アンチモンが含まれるもの)であることが好ましい。
最表面層5の導電性粒子の平均粒径(1次及び2次粒子)は、0.005μm以上0.5μm以下とすることが好ましく、0.005μm以上0.3μm以下とすることがより好ましい。
導電性粒子は、粒子の組成や粒径によって異なるが、最表面層5の表面抵抗率が10Ω/□以上1014Ω/□以下の範囲、好適には10Ω/□以上1012Ω/□以下の範囲、さらに好適には10Ω/□以上1012Ω/□以下の範囲で添加することが好ましい。
−その他の添加剤−
さらに、最表面層5には、他のカップリング剤、フッ素化合物と混合して用いてもよく、具体的には、各種シランカップリング剤、及び市販のシリコーン系ハードコート剤を用いることができる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、等を用いることができる。
市販のハードコート剤としては、例えば、KP−85、X−40−9740、X−40−2239(以上、信越化学工業社製)、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等を用いることができる。また、撥水性等の付与のために、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン、等の含フッ素化合物を加えてもよい。
シランカップリング剤はいずれの量でも使用できるが、含フッ素化合物の量は、フッ素を含まない化合物に対して重量で0.25倍以下とすることが望ましい。
また、アルコールに溶解する樹脂を最表面層5に加えることもできる。
アルコール系溶剤に可溶な樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂などのポリビニルアセタール樹脂(たとえば積水化学社製エスレックB、K等)、ポリアミド樹脂、セルロ−ス樹脂、ポリビニルフェノール樹脂などがあげられる。特に、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂が好適である。
当該樹脂の重量平均分子量は2,000以上100,000以下が好適であり、5,000以上50,000以下がより好適である。
また、当該樹脂の添加量は最表面層5の全固形分全量を基準として1重量%以上20重量%以下が好適であり、1重量%以上15重量%以下がより好適であり、2重量%以上10重量%以下がさらに好適である。
最表面層5には、酸化防止剤を添加することが好適である。感光体表面の機械的強度を高め、感光体が長寿命になると、感光体が酸化性ガスに長い時間接触することになるため、従来より強い酸化耐性が要求される。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の添加量としては20重量%以下が好適であり、10重量%以下がより好適である。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
更に、最表面層5に各種粒子を添加することもできる。粒子の一例として、ケイ素含有粒子を挙げることができる。ケイ素含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリコーン粒子等が挙げられる。
ケイ素含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、平均粒径1nm以上100nm以下、好適には10nm以上30nm以下のシリカを、酸性もしくはアルカリ性の水分散液、あるいはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。
最表面層5中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、製膜性、電気特性、強度の面から、最表面層5の全固形分全量を基準として、0.1重量%以上50重量%以下、好適には0.1重量%以上30重量%以下の範囲で用いられる。
ケイ素含有粒子として用いられるシリコーン粒子は、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、シリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。これらのシリコーン粒子は球状で、その平均粒径は好適には1nm以上500nm以下、より好適には10nm以上100nm以下である。
最表面層5中のシリコーン粒子の含有量は、最表面層5の全固形分全量を基準として、好適には0.1重量%以上30重量%以下、より好適には0.5重量%以上10重量%以下である。
また、その他の粒子としては、四フッ化エチレン、三フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のフッ素系粒子や「第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集p89」に示される、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂の粒子、ZnO−Al、SnO−Sb、In−SnO、ZnO−TiO、ZnO−TiO、MgO−Al、FeO−TiO、TiO、SnO、In、ZnO、MgO等の金属酸化物が挙げられる。
また、最表面層5には、シリコーンオイル等のオイルを添加することもできる。シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル;アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類;1,3,5−トリメチル−1.3.5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類;ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類;3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類;メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類;ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等が挙げられる。これらは単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着の形にしてもよい。
粒子の平均粒径は最表面層5の透明性の点で0.3μm以下、特に0.1μm以下が好適である。
ここで、以下、最表面層5の形成方法について説明する。
最表面層5を形成するには、硬化性樹脂と、必要に応じて正孔輸送性材料、導電性粒子、その他添加剤を溶剤等を加えたものを混合して塗布液を作製し、これを感光層の上に塗布した後、加熱処理を行う。加熱処理により、硬化され最表面層5が形成される。
但し、本実施形態では、最表面層5の厚み方向の正孔移動度が沿面方向の正孔移動度よりも大きくなるように、即ち、例えば、正孔移動度が異なる第1正孔輸送性領域5Aと第2正孔輸送性領域5Bを配列させるために、形成される層の領域の正孔移動度が互いに異なるように組成を変えた2種の塗布液を用いる。そして、当該2種の塗布液を感光層上の所定領域(図2及び図3参照)ごとに塗布し、最表面層5を形成する。
2種の塗布液としては、具体的には、例えば、以下のものが挙げられる。
1)少なくとも正孔輸送性材料と硬化性樹脂を用いた硬化層の場合、正孔輸送性材料の濃度が異なる2種の塗布液を用いる。
2)2)第1正孔輸送性材料と第1正孔輸送性材料とは異なる第2正孔輸送性材料と硬化性樹脂とを用いた硬化層の場合、種類(正孔移動度)が異なる2種の正孔輸送性材料の濃度比が異なる塗布液を用いる。
3)3)少なくとも導電性粒子と硬化性樹脂とを用いた硬化層の場合、導電性粒子の濃度が異なる2種の塗布液を用いる。
これらの成分を含有する最表面層5用の塗布液は、無溶媒とするか、必要に応じてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等の溶剤を用いることができる。かかる溶剤は1種を単独で又は2種以上を混合して使用する。溶剤量に特に制限はない。
また、上記成分を反応させて塗布液を得るときには、単純に混合、溶解させるだけでもよいが、20℃℃以上100℃以下、好適には、30℃以上80℃以下で10分以上100時間以下、好適には1時間以上50時間以下で加温してもよい。また、この際に超音波を照射することも好ましい。
塗布液の配合物を均等に分散するためには、公知の手段を用いることができ、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ダイノーミル等の分散手段を用いることができる。
最表面層5は、最表面層5用の塗布液を吐出する吐出ノズルが備えられた塗布装置を用いて形成されることがよい。
ここで、図4は、実施形態に係る塗布装置の主要部を示す概略斜視図ある。なお、図4で、主要部のみを示し、他の構成は省略している。
実施形態に係る塗布装置60は、図4に示すように、第1塗布液64Aを被塗布物62(感光層2が形成された円筒状支持体1)に吐出するための第1吐出ヘッド66Aと、塗布液62Bを被塗布物62に吐出するための第2吐出ヘッド66Bと、を有している。この第1塗布液64A及び塗布液62Bが、上記2種の塗布液に該当する。なお、図4中、64は塗布液による塗布膜を示し、66はノズルを示す。
被塗布物62は、その両端を回転可能(周方向)に支持体(図示せず)により支持されている。また、被塗布物62は、被塗布物駆動装置(図示せず)により回転可能に、例えば駆動モータ(図示せず)によりベルト(図示せず)を介して回転駆動可能に連結されている。
第1吐出ヘッド66A乃至第2吐出ヘッド66Bは、被塗布物62の幅(軸方向長さ)と同等若しくはそれ以上の長さを持つ。また第1吐出ヘッド66A乃至第2吐出ヘッド66Bは、その長手方向が被塗布物62の幅方向(軸方向)と平行(ここで平行とは厳密に平行である必要はない。以下同様である)で、かつ、第1吐出ヘッド66Aから吐出された第1塗布液64Aと第2吐出ヘッド66Bから吐出された塗布液62Bとが、それぞれ被塗布物62の外面に着弾するように配置されている。
第1吐出ヘッド66A乃至第2吐出ヘッド66Bの塗布機構は、間欠的に吐出圧力を付与してノズルから直接塗布液の液滴を吐出する、所謂、間欠型(ドロップオンデマンド型)の吐出方式であってもよいし、連続的に吐出圧力を付与しノズルから液柱状に塗布液を吐出し、振動等の付与により液滴化する、所謂、連続型の吐出方式であってもよい。ただし、比較的高粘度の塗布液を吐出する場合は、連続型吐出ヘッドであることがよい。
なお、本実施形態では、第1吐出ヘッド66A乃至第2吐出ヘッド66Bが、その長手方向が被塗布物62の幅方向(軸方向)と平行で配置されているが、この平行配置に限られず、第1吐出ヘッド66A乃至第2吐出ヘッド66Bの長手方向と被塗布物62の幅方向(軸方向)が交差するように配置してもよい。
また、本実施形態では、第1塗布液64A乃至第2塗布液64Bが、それぞれ別個の吐出ヘッド(第1吐出ヘッド66A乃至第2吐出ヘッド66B)のノズル66から吐出されているが、第1塗布液64Aを吐出する吐出ヘッドと第2塗布液64Bを吐出する吐出ヘッドとが共通であってもよい。即ち、例えば、第1塗布液64Aを吐出するノズル群、及び第2塗布液64Bを吐出するノズル群を吐出するノズル群を、1つの吐出ヘッドに備える形態であってもよい。
また、本実施形態では、第1吐出ヘッド66A乃至第2吐出ヘッド66Bは、被塗布物62の幅(軸方向長さ)と同等若しくはそれ以上の長さを持つヘッドに限られず、図5に示すように、短尺ヘッドを適用し、当該ヘッド又は被塗布物62を相対的に移動させて塗布する形態であってもよい。
以上の構成の塗布装置60では、例えば、次のように塗布が行われる。
まず、被塗布物駆動装置(図示せず)を駆動し、被塗布物62を回転駆動する(例えば、被塗布物62の回転速度を1回転/1秒(1rps)とする)。第1吐出ヘッド66A及び第2吐出ヘッド66Bから、第1塗布液64A乃至塗布液62Bの液滴を当該液滴が被塗布物62表面の所定の領域ごとに着弾するように吐出する。
ここで、第1塗布液64A乃至塗布液62Bの吐出量は、例えば、ノズル66の口径、吐出圧、塗布液の粘度、塗布液の固形分率や濃度などによって決定される。塗工を安定に行うために、上記吐出される塗布液量を、それぞれ別個に調整することができる。
そして、図6(A)に示すように、被塗布物62の所定領域に対して第1吐出ヘッド66Aから第1塗布液64Aの液滴が吐出されてくると、当該液滴が被塗布物62の所定領域上に塗布され、次に、図6(B)に示すように、被塗布物62の所定領域(上記第1吐出ヘッド66Aによる第1塗布液64Aの領域以外の領域)に対して第2吐出ヘッド66Bから第2塗布液64Bの液滴が吐出されてくると、当該液滴が被塗布物62の所定領域上に塗布される。そして、図6(C)に示すように第1塗布液64A、第2塗布液64Bがそれぞれ所定の領域に塗布され、第1塗布液64Aによる塗布膜641Aと第2塗布液64Bによる塗布膜641Bとからなる異なる材料で構成された塗布膜64(機能性材料膜)がパターニングされたものが得られる。
このように、第1吐出ヘッド66A及び第2吐出ヘッド66Bから被塗布物62(感光層)上に、互いに異なる第1塗布液64A及び塗布液62Bの液滴を、それぞれ所定領域に吐出し塗布すると、異なる塗布液の塗布膜がパターニングされた膜が得られる。
なお、第1塗布液64A乃至塗布液62Bの被塗布物62表面への着弾は必ずしも全面にわたるものではなく、着弾した液滴間には隙間が存在する。また、ジェットはノズル加工の精度に起因する僅かな曲がりを有する場合がある。このため、第1塗布液64A乃至塗布液62Bは被塗布物62表面に着弾後、当初、粘度が高いほど、液滴の形状を反映して半球に近い形状で存在する。このため、均一な塗布膜を形成するためには、塗布終了後、被塗布物62を回転させる、即ち平滑化工程における時間管理が重要である。また、被塗布物62を回転させながら塗布膜の平滑化を行うと、その遠心力により、第1塗布液64A乃至塗布液62Bが被塗布物62に対して凸状の形状を守る方向に働くため、液だれを起こさない程度に回転速度を低下させることが、望ましい。被塗布物62表面との親和性により第1塗布液64A乃至塗布液62Bは広がり、被塗布物62の回転時間と共に隣接着弾滴と引き合いながら、塗布膜は平坦化していくことになる。
また、第1塗布液64A乃至塗布液62Bの液滴の着弾位置は、液滴が着弾したあとに液滴が拡がって隣接する液滴と接触し、最終的には膜として均一につながるように吐出の解像度等を調整することが好ましく、被塗布物62の表面張力や、着弾した時の液滴の広がり方、吐出時の液滴の大きさ、塗布溶剤濃度や塗布溶媒種などに起因した溶剤蒸発速度等を考慮して塗布すればよい。これらの条件は塗布液の材料種及び材料組成と被塗布物表面の物性により決まるものであり、調整することがよい。
その後、例えば、乾燥・硬化処理(加熱処理)等を施す。これら手法を利用することで図2に示す如く、厚み方向の正孔移動度が沿面方向の正孔移動度よりも大きくなるように、例えば、第1正孔輸送性領域5Aと、第1正孔輸送性領域5Aよりも正孔移動度が低い第2正孔輸送性領域5Bとを持ち、これら領域が最表面層5沿面方向にマトリクス状に配列されて構成された最表面層5が形成される。
一方、図3に示す形態の最表面層の場合、図7(A)に示すように、被塗布物62の所定領域に対して第1吐出ヘッド66Aから第1塗布液64Aの液滴を吐出させて、当該液滴が被塗布物62の所定領域上に塗布して、ドット状(つぶ状)の塗布膜641Aが格子状に形成させる。この際、上記とは異なり、第1塗布液64Aの液滴が被塗布物62へ着弾した後、液架橋力を考慮して、隣合って着弾した液滴が被塗布物62上でつながらないように、第1塗布液64Aの液滴を被塗布物62へ着弾させることがよい。
次に、図7(B)に示すように、被塗布物62の所定領域(例えば、上記第1吐出ヘッド66Aによる第1塗布液64Aの領域以外の領域)に対して第2吐出ヘッド66Bから第2塗布液64Bの液滴を吐出して、格子状に配列された塗布膜641Aを覆うと共に、塗布膜641A間を埋めるようにして、第2塗布液64Bからなる塗布膜641Bが形成される。この際、上述したように、第2塗布液64Bの液滴が被塗布物62上へ着弾した後、液架橋力を考慮して、隣合って着弾した液滴が拡がって接触し、最終的には膜として均一につながるように、第2塗布液64Bの液滴を被塗布物62へ着弾させることがよい。
そして、図7(C)に示すように、ドット状(つぶ状)の塗布膜641Aが格子状に配列され、塗布膜641Bがドット状(つぶ状)の塗布膜641Aを覆って設けられ、第1塗布液64Aによる塗布膜641Aと第2塗布液64Bによる塗布膜641Bとからなる異なる材料で構成された塗布膜64(機能性材料膜)がパターニングされたものが得られる。
その後、例えば、乾燥・硬化処理(加熱処理)等を施すことで、図3に示す如く、厚み方向の正孔移動度が沿面方向の正孔移動度よりも大きくなるように、例えば、第1正孔輸送性領域5Aと、第1正孔輸送性領域5Aよりも正孔移動度が低い第2正孔輸送性領域5Bとを持ち、ドット状(つぶ状)の第1正孔輸送性領域5Aが格子状に配列され、第2正孔輸送性領域5Bが第1正孔輸送性領域5Aを覆って設けられて構成された最表面層5が形成される。
以上説明した本実施形態に係る電子写真感光体10では、図8(A)に示すように、その表面(最表面層5の表面)に正帯電が施されると、最表面層5の表面が正帯電されると共に、円筒状支持体1(その電荷輸送層3との界面付近)が負帯電となる。そして、これに伴い、図8(B)に示すように、正孔輸送性を持つ最表面層5内でその厚み方向に正孔が電荷発生層との界面付近へと輸送されると共に、電荷輸送層3(その円筒状支持体1との界面付近)に電子が移動する。
そして、図8(C)に示すように、露光が施されると、露光領域における電荷発生層4において電荷が発生する。すると、図8(D)に示すように、発生した電荷のうち電子が最表面層5の正孔と打ち消し合うと共に、電荷輸送層3内でその厚み方向に正孔が輸送され電荷輸送層3の電子と打ち消し合い、当該露光領域が非帯電となる。
このようにして、図8(E)に示すように、潜像が形成され、電子写真感光体10(正帯電領域)の正帯電領域に負に帯電されたトナーTが静電力による載ることで、現像が施される。ここで、図8は、本実施形態に係る電子写真感光体を利用した帯電・露光・現像を説明するための模式図である。
このように、本実施形態では、電子写真感光体10の表面(最表面層5表面)を酸化させる活性物質が生成し難い正帯電処理により、潜像が形成され、現像が施される。これに加え、潜像が形成されたとき、電子写真感光体10の最表面層5における厚み方向の正孔移動度が沿面方向の正孔移動度よりも大きくしていることから、最表面層5の正孔が沿面方向の正孔移動度が抑制されて、潜像領域が崩れることなく維持される。結果、耐久性が優れると共に、像流れが抑制される。また、潜像領域が崩れることなく維持されることから、潜像をシャープ、即ち、微細な潜像を形成しても、精度良く現像・画像形成がなされる。
また、本実施形態では、電子写真感光体の層構成を、円筒状支持体1上に感光層2として電荷輸送層3及び電荷発生層4が順次設けられ、さらに当該感光層2上に最表面層5が設けられた形態をとることで、電荷輸送層、及び最表面層を正孔輸送性を持つ層とされ、即ち、電子輸送性材料を利用することなく、正孔輸送材料を利用した電子写真感光体となる。
(画像形成装置)
図9は、実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。本実施形態に係る画像形成装置は、図9に示すように、画像形成装置本体(図示せず)に、上述した本実施形態に係る電子写真感光体10を備えるプロセスカートリッジ20と、露光装置(潜像形成装置)30と、転写装置40と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置30はプロセスカートリッジ20の開口部から電子写真感光体10に露光可能な位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体10に対向する位置に配置されており、中間転写体50は電子写真感光体10に突き当たった状態で接触できるように配置されている。
プロセスカートリッジ20は、ケース内に電子写真感光体10とともに、帯電装置21、現像装置25、クリーニング装置27及び繊維状部材(平ブラシ状)29を組み合わせて一体化し、画像形成装置本体に取り付けレールにより取り付けられるものである。なお、ケースには、露光のための開口部が設けられている。
ここで、帯電装置21は、電子写真感光体10を接触方式により正帯電させるものである。また、現像装置25は、負帯電のトナーを用い、電子写真感光体10上の静電潜像を現像してトナー像を形成するものである。
クリーニング装置27は、繊維状部材(ロール形状)27aやクリーニングブレード(ブレード部材)27bを備える。クリーニング装置27では、繊維状部材27a及びクリーニングブレード27bが設けられているが、クリーニング装置としてはどちらか一方を備えるものでもよい。繊維状部材27aとしては、ロール形状の他に歯ブラシ状としてもよい。また、繊維状部材27aは、クリーニング装置本体に固定してもよく、回転可能に支持されていてもよく、さらに感光体軸方向に往復動作可能に支持されていてもよい。
クリーニング装置27には、クリーニングブレード、クリーニングブラシで感光体表面の付着物(例えば、放電生成物)を除去することが求められ、繊維状部材27aに、金属石鹸、高級アルコール、ワックス、シリコーンオイルなどの潤滑性物質(潤滑成分)を接触させ、電子写真感光体表面に潤滑成分を供給することが好適である。
クリーニングブレード27bとしては、通常のゴムブレードが用いられる。
以上説明したプロセスカートリッジ20は、画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
露光装置30としては、帯電した電子写真感光体10を露光して静電潜像を形成させるものであればよい。また、露光装置30の光源としては、マルチビーム方式の面発光レーザーを用いることが好ましい。特に、BKG(バックグラウンドライディング)方式、即ち電子写真感光体10表面の露光領域の電荷を消去して潜像を形成する方式(つまり、当該露光領域以外の領域がトナーにより現像される方式)の露光装置であることがよい。
転写装置40としては、電子写真感光体10上のトナー像を被転写媒体(図9では被転写媒体として中間転写体50を示しているが、中間転写体50の代わりに用紙搬送ベルト(図示せず)を用い、その用紙搬送ベルトに保持された用紙や、中間転写体50を用いずに、直接転写するための用紙であってもよい。)に転写するものであればよく、例えば、ロール形状の通常使用されるものが使用される。
中間転写体50としては、体積抵抗率が10Ω・cm以上1011Ω・cm以下であり、構成成分にポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体50の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いることもできる。
本実施態様でいう被転写媒体とは、電子写真感光体10上に形成されたトナー像を転写する媒体であれば特に制限はない。例えば、電子写真感光体10から直接、紙等に転写する場合は紙等が被転写媒体であり、また、中間転写体50を用いる場合には中間転写体が被転写媒体になる。
図10は、他の実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。他の実施形態に係る画像形成装置110は、図10に示すように、電子写真感光体10が画像形成装置本体に固定され、帯電装置22、現像装置25及びクリーニング装置27がそれぞれカートリッジ化されており、それぞれ帯電カートリッジ、現像カートリッジ、クリーニングカートリッジとして独立して備えられている。なお、帯電装置22は、コロナ放電方式により帯電させる帯電装置を備えている。
画像形成装置110においては、電子写真感光体10とそれ以外の各装置が分離されており、帯電装置22、現像装置25及びクリーニング装置27が画像形成装置本体に固定せずに、例えば引き出し、押しこみによる操作にて脱着してもよい。
本実施態様の電子写真感光体は、カートリッジ化することが不要となる場合がある。したがって、帯電装置22、現像装置25又はクリーニング装置27をそれぞれ本体に固定せずに、引き出し、押しこみによる操作にて脱着可能な構成としてもよい。また、これらの装置のうち2つ以上を一体化したカートリッジとして着脱してもよい。
なお、画像形成装置110は、帯電装置22、現像装置25及びクリーニング装置27がそれぞれカートリッジ化されている以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
図11は、他の実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。他の実施形態に係る画像形成装置120は、図11に示すように、プロセスカートリッジ20を4つ搭載したタンデム方式のフルカラー画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ20がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用できる構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
(ベース感光体Aの準備)
ホーニング処理を施した30mmφの円筒状のアルミニウム基材上にジルコニウム化合物(商品名:オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)100重量部、シラン化合物(商品名:A1100、日本ユニカー社製)10重量部、イソプロパノール400重量部、及びブタノール200重量部を含む溶液を浸せき塗布し、150℃にて、10分間加熱乾燥し、0.1μmの下引き層を形成した。
この下引き層が形成されたこのアルミニウム基材上に、下記構造化合物1のベンジジン化合物2.5重量部、化合物2の高分子化合物(粘度平均分子量39,000)3重量部をクロロベンゼン20部に溶解させた塗布液を前記電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布し、130℃、40分の加熱を行なって膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 2009098199
次に、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強い回折ピークを持つヒドロキシガリウムフタロシアニンの10重量部をポリビニルブチラール(エスレックBM−S、積水化学社製)10重量部、及び酢酸n−ブチル1000部と混合し、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散した後、得られた塗布液を前記電荷輸送層上に浸漬コートし、100℃で10分間加熱乾燥して平均膜厚が0.15μmの電荷発生層を形成した。これをベース感光体Aとした。
[実施例1]
(感光体1の作製)
−最表面層用塗布液1−1の調製−
フェノールを100重量部、ホルマリンを175重量部、Ba(OH)・8HOを2重量部用意し、枝付きフラスコ内に入れ、窒素置換して100℃3時間加熱攪拌した。その後減圧して溶剤を除去した。これによりフェノール樹脂(1)を得た。
次に、正孔輸送性材料(I−1)3.5重量部と、熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂(1)3.0重量部と、ポリエーテル変性シリコーンオイル(TSF 4452、東芝シリコン社製)0.05重量部、NACURE5225(楠本化成社製:有機スルフォン酸をアミンブロックした構造の酸硬化触媒)0.05重量部、n−ブタノール3.0重量部を混合して、最表面層用塗布液1−1を調整した。
−最表面層用塗布液1−2の調製−
正孔輸送性材料(I−1)2.5重量部と、熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂(1)3.5重量部と、ポリエーテル変性シリコーンオイル(TSF 4452、東芝シリコン社製)0.05重量部、NACURE5225(楠本化成社製:有機スルフォン酸をアミンブロックした構造の酸硬化触媒)0.05重量部、n−ブタノール3.0重量部を混合して、最表面層用塗布液1−2を調整した。
Figure 2009098199


(I−1)
−最表面層の形成−
2個のインクジェット液滴吐出ヘッド(TRIDENT社製 PIXELJET 64)を用意し、最表面層用塗布液1−1、1−2を、それぞれ充填した。ベース感光体Aの円筒軸を水平にし、この軸を中心にベース感光体Aを回転できる装置に装着し、ベース感光体Aの鉛直上方からベース感光体Aに向かって鉛直下方に液滴が噴射するように液滴吐出ヘッドを2つ並べた。
各液滴吐出ヘッドにある64個のノズルのうち1列の10個から塗布液が噴射するように設定した。また、先行して塗布する塗布液1−2の液滴による着弾領域がφ8μmの円形に、塗布液1−1の液滴による着弾領域がφ8μmの円形となるように、感光体軸方向及び感光体周方向にそれぞれ交互に配列(領域中心間距離10μmで配列)するように設定した。また、各液滴吐出ヘッドとベース感光体Aの表面との距離は1mmとなるように各液滴吐出ヘッドを設置した。
そして、ベース感光体Aを180rpmで回転させ、各液滴吐出ヘッドのノズルから塗布液を2000Hzで噴射し、ベース感光体Aの端部から反対側の端部まで移動速度220mm/minで水平に移動させつつ、塗布を行った。これにより、ベース感光体A表面に、塗布液1−1の液滴による着弾領域と塗布液1−2の液滴による着弾領域とが感光体軸方向及び感光体周方向にそれぞれ交互に配列したマトリックス状の塗膜を形成した。
その後、160度で40分乾燥させて、正孔移動度が異なる2つの領域がマトリックス状に配列され、厚さ5μmの最表面層を形成し、感光体1を得た。
(評価)
得られた感光体1について以下の評価を行った。結果を表1に示す。
−感光体の最表面層の沿面方向の正孔移動度、厚み方向の正孔移動度の測定−
上記に従って、最表面層の沿面方向の正孔移動度、厚み方向の正孔移動度の測定を測定した。
−像流れの評価−
感光体を富士ゼロックス製プリンターDocuCentre Color f450(帯電器を正帯電が行えるよう改造)に装着した。30℃、85%RHの環境下と10℃、20%RHの環境下でぞれぞれ1枚目、1万枚目、さらに一日(24時間)プリンター内で放置後のハーフトーン濃度20%画質を出力し、画像濃度低下濃度を官能評価によって評価した。評価基準は以下の通りである。
A:良好
B:若干目立つ程度
C:はっきり確認できる
−耐久性の評価−
感光体を富士ゼロックス製プリンターDocuCentre Color f450(帯電器を正帯電が行えるよう改造)に装着した。10℃、20%RHの環境下で、ハーフトーン濃度20%画質を100000枚出力し、使用前後の最表面層5の膜厚を測定し、1000回転あたりの磨耗率を求めた。
[実施例2]
−最表面層用塗布液2−1の調製−
正孔輸送性材料(I−1)3.5重量部と、熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂(1)3.0重量部と、ポリエーテル変性シリコーンオイル(TSF 4452、東芝シリコン社製)0.05重量部、NACURE5225(楠本化成社製:有機スルフォン酸をアミンブロックした構造の酸硬化触媒)0.05重量部、n−ブタノール3.0重量部を混合して、最表面層用塗布液2−1を調整した。
−最表面層用塗布液2−2の調製−
正孔輸送性材料(IV−9)2.5重量部と、熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂(1)3.0重量部と、ポリエーテル変性シリコーンオイル(TSF 4452、東芝シリコン社製)0.05重量部、NACURE5225(楠本化成社製:有機スルフォン酸をアミンブロックした構造の酸硬化触媒)0.05重量部、n−ブタノール3.0重量部を混合して、最表面層用塗布液2−2を調整した。
Figure 2009098199


(IV−9)
上記最表面層用塗布液2−1、2−2を用いた以外は、実施例1と同様にして最表面層を形成し、感光体2を得た。そして、得られた感光体2について、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
−最表面層用塗布液3−1の調製−
正孔輸送性材料(I−1)2.0重量部と、レジトップPL−4852(群栄化学製)2重量部、酸化スズ(平均粒径:0.05μm)5重量部を、イソプロピルアルコール6重量部、メチルイソブチルケトン8重量部、並びに3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)0.1重量部を加えてボールミルにて分散し、その後、イソプロピルアルコール45重量部、メチルイソブチルケトン60重量部添加して希釈し、最表面層用塗布液3−1を調整した。
−最表面層用塗布液3−2の調製−
正孔輸送性材料(I−1)2.0重量部と、レジトップPL−4852(群栄化学製)2重量部、酸化スズ(平均粒径:0.05μm)3重量部を、イソプロピルアルコール6重量部、メチルイソブチルケトン8重量部、並びに3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)0.1重量部を加えてボールミルにて分散し、その後、イソプロピルアルコール45重量部、メチルイソブチルケトン60重量部添加して希釈し、
上記最表面層用塗布液3−1、3−2を用いた以外は、実施例1と同様にして最表面層を形成し、感光体3を得た。そして、得られた感光体3について、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
上記最表面層用塗布液1−1のみを用い、最表面層を形成した以外は実施例1と同様にして比較感光体を得た。そして、比較感光体について、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2009098199
表1の結果から、本実施例では、比較例に比べ、像流れ、耐久性ともに良好であることがわかる。
実施形態に係る電子写真感光体を示す概略断面図である。 実施形態に係る電子写真感光体の最表面層を示す部分拡大図であり、(A)が平面図であり、(B)が断面図である。 他の実施形態に係る電子写真感光体の最表面層を示す部分拡大図であり、(A)が平面図であり、(B)が断面図である。 実施形態に係る塗布装置の主要部を示す概略斜視図ある。 他の実施形態に係る塗布装置の主要部を示す概略斜視図ある。 実施形態に係る塗布装置による塗布膜の形成過程を示す工程図である。 他の実施形態に係る塗布装置による塗布膜の形成過程を示す工程図である。 実施形態に係る電子写真感光体を利用した帯電・露光・現像を説明するための模式図である。 実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。 他の実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。 他の実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。 最表面層の沿面方向の正孔移動度の測定を説明するための模式図である。 最表面層の沿面方向の正孔移動度の測定において、サンプル層(最表面層)へ露光した後の電流値変化の一例を示す模式図である。
符号の説明
1 円筒状支持体
2 感光層
3 電荷輸送層
4 電荷発生層
5 最表面層
5A 第1正孔輸送性領域
5B 第2正孔輸送性領域
10 電子写真感光体
20 プロセスカートリッジ
21、22 帯電装置
25 現像装置
27 クリーニング装置
27a 繊維状部材
27b クリーニングブレード
30 露光装置
40 転写装置
50 中間転写体
60 塗布装置
62 被塗布物
64A 第1塗布液
64B 第2塗布液
66A 第1吐出ヘッド
66B 第2吐出ヘッド
100 画像形成装置
110 画像形成装置
120 画像形成装置
641A、641B 塗布膜
T トナー

Claims (6)

  1. 円筒状支持体上に、該円筒状支持体側から順に、感光層と最表面層とを積層してなり、
    前記最表面層が正孔輸送性の層であり、且つ前記最表面層における厚み方向の正孔移動度が沿面方向の正孔移動度よりも大きいことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記最表面層が、少なくとも正孔輸送性材料と硬化性樹脂を用いた硬化層であり、
    且つ当該正孔輸送性材料の濃度が、前記最表面層の沿面方向に分布を持つことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記最表面層が、少なくとも第1正孔輸送性材料と第1正孔輸送性材料とは異なる第2正孔輸送性材料と硬化性樹脂とを用いた硬化層であり、
    且つ当該第1正孔輸送性材料と当該第2正孔輸送性材料との濃度比が、前記最表面層の沿面方向に分布を持つことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  4. 前記最表面層が、少なくとも導電性粒子と硬化性樹脂とを用いた硬化層であり、
    且つ当該導電性粒子の濃度が、前記最表面層の沿面方向に分布を持つことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置、帯電した前記電子写真感光体に潜像形成する潜像形成装置、トナーにより前記潜像をトナー像に現像する現像装置、及び現像後の電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング装置、のうちの少なくとも1つと、 を有し、
    画像形成本体に脱着されることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  6. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
    該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、
    帯電した前記電子写真感光体に潜像形成する潜像形成装置と、
    トナーにより前記潜像をトナー像に現像する現像装置と、
    前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
    を有することを特徴とする画像形成装置。
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