JP2015210201A - 熱式空気流量センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】計測誤差を低減した熱式空気流量センサを提供する。
【解決手段】半導体基板と、半導体基板上に形成された発熱抵抗体8と測温抵抗体7と、発熱抵抗体8および測温抵抗体7の上層および下層に形成されたシリコン酸化膜およびシリコンナイトライド膜と、半導体基板の一部を除去して形成したダイヤフラム部14と、を有し、発熱抵抗体8及び測温抵抗体7がダイヤフラム部14上に形成された熱式空気流量センサにおいて、発熱抵抗体8と測温抵抗体7は、金属膜で形成され、ダイヤフラム部14は、凹状の形状からなり、発熱抵抗体8および測温抵抗体7の上層に堆積されたシリコンナイトライド膜とシリコン酸化膜との平均応力をσupとし、発熱抵抗体8と測温抵抗体7の下層に堆積されたシリコンナイトライド膜とシリコン酸化膜との平均応力をσdownとしたとき、σdowm−σupを−100〜300MPaの範囲内となるように設定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、空気流量計に用いられる測定素子であって、発熱抵抗体と測温抵抗体とを備えて空気流量を測定する熱式空気流量センサに関する。
空気流量計として、空気量を直接検知できる熱式の空気流量計が主流になっている。特に、半導体マイクロマシニング技術により製造された測定素子を備えた熱式の空気流量計は、コストが低減できることや、低電力で駆動できることなどから注目されている。このような熱式の空気流量計に用いられる測定素子(熱式空気流量センサ)としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。この公報に記載されている熱式空気流量センサは、半導体基板上に電気絶縁膜が形成され、この電気絶縁膜上に発熱抵抗体や測温抵抗体が形成されており、さらに発熱抵抗体、測温抵抗体の上には電気絶縁体が形成されている。また、発熱抵抗体や測温抵抗体が形成された領域は、半導体基板の裏面側から異方性エッチングすることにより半導体基板の一部が除去されてダイヤフラム構造となっている。
特開平11−271123号公報
特許文献1に記載されている熱式空気流量センサは、例えば、図6に示すように、発熱抵抗体8や測温抵抗体7が形成されている領域がダイヤフラム構造となっており、前記両抵抗体の表面、裏面には、圧縮応力を有するシリコン酸化膜18,19や引っ張り応力を有するシリコンナイトライド膜17,20が積層され、さらに、前記両抵抗体の表面側に存在する膜の平均応力((Σ(膜厚×膜応力))/表面側の全膜厚)σupと、裏面側に存在する膜の平均応力((Σ(膜厚×膜応力))/裏面側の全膜厚)σdownをほぼゼロとし(結果的にσdown−σup=0)、さらに、発熱抵抗体8や測温抵抗体7を膜全体の中立軸16に配置させるようにしている。これはダイヤフラム14の反り無くし、発熱抵抗体8や測温抵抗体7に、この反りによるにひずみ発生を極力生させないようにしたものであるが、上記に示したシリコン酸化膜18,19やシリコンナイトライド膜17、20は製造時に約20%程度の膜厚ばらつきが生じる。圧縮応力を保有するシリコン酸化膜18,19の膜厚がばらつきにより増加した場合、この圧縮応力を開放するように、ダイヤフラム14には大きな反りが発生する。ダイヤフラム14に反りが発生すると、その変形により前記発熱抵抗体8や測温抵抗体7にひずみが発生し、上記ひずみはピエゾ抵抗効果により、前記発熱抵抗体8や測温抵抗体7の抵抗変化を引き起こすので測定精度の低下をもたらす。そのため、ダイヤフラム14全体の膜の平均応力を、膜厚のばらつきを考慮し、ダイヤフラムに破壊を生じさせない程度の強い引っ張り応力とすることが好ましい。しかし、特許文献1に記載されている熱式空気流量センサでは、前記両抵抗体の表面側に存在する膜の平均応力σupと、裏面側に存在する膜の平均応力σdownをほぼゼロとしているため、膜厚の製造ばらつきによる考慮がされていなかった。
一方でダイヤフラム14全体を強い引っ張り応力にすることで膜厚ばらつきによる反りは抑制できるが、発熱抵抗体8のセンサ感度を向上させるため数百度の高温にした場合、製造上の課題及び、膜の強度から発熱抵抗体や測温抵抗体は膜全体の中立軸16に配置することが難しい(理由は実施例で説明)。そのため、前記両抵抗体の表面側に存在する膜の平均応力((Σ(膜厚×膜応力))/表面側の全膜厚)σupと裏面側に存在する膜の平均応力((Σ(膜厚×膜応力))/裏面側の全膜厚)σdownの差が大きくなり、これによって金属膜となる発熱抵抗体8や測温抵抗体7に加わる応力が大きくなり、前記両抵抗体の抵抗値に変化を与え、計測誤差が大きくなってしまう。
本発明の目的は、計測誤差を低減した熱式空気流量センサを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の熱式空気流量センサは、半導体基板と、前記半導体基板上に形成された発熱抵抗体と測温抵抗体と、前記発熱抵抗体および前記測温抵抗体の上層および下層に形成されたシリコン酸化膜およびシリコンナイトライド膜と、半導体基板の一部を除去して形成したダイヤフラム部と、を有し、前記発熱抵抗体及び前記測温抵抗体が前記ダイヤフラム部上に形成された熱式空気流量センサにおいて、前記発熱抵抗体と前記測温抵抗体は、金属膜で形成され、前記ダイヤフラム部は、凹状の形状からなり、前記発熱抵抗体および前記測温抵抗体の上層に堆積されたシリコンナイトライド膜とシリコン酸化膜との平均応力をσupとし、前記発熱抵抗体と前記測温抵抗体の下層に堆積されたシリコンナイトライド膜とシリコン酸化膜との平均応力をσdownとしたとき、σdowm−σupを−100〜300MPaの範囲内となるように設定した。
本発明によれば、計測誤差を低減した熱式空気流量センサを提供することが可能となる。
本願に係る第一実施例における測定素子の概略平面図である。 本願に係る第一実施例の断面図である。 本願に係る第一実施例の製造工程を示す断面図である。 本願に係る第一実施例において中立軸から金属膜がずれた様子を示す断面図である。 本願に係る第一実施例における応力差と抵抗変化率を示した図である。 本願に係る課題の説明を表した断面図である。
以下、本発明の実施例を説明する。
まず初めに、本発明の第一の実施例である熱式空気流量センサを図1と図2を用いて説明する。図1は熱式空気流量センサの概略平面図、図2は図1のA−A位置における断面図である。
本実施例の熱式空気流量センサ(熱式空気流量計に用いられる測定素子)は、図1に示すように、シリコン基板1、発熱抵抗体8、空気温度を測定するための測温抵抗体7、端子電極15、ダイヤフラム部14を備えている。なお、12はダイヤフラム部14の端部である。
次に図3を用いて本実施例の製造方法を説明する。
シリコン基板1を熱酸化して熱酸化膜2を200nmの厚さで形成し、熱酸化膜2の上に、熱によって材料を分解し、減圧下で化学気相成長法(CVD法)によって作製したLP−SiN膜3を150nm堆積し、次に熱によって材料を分解し、CVD法で製作したCVDシリコン酸化膜4を200nm、LP−SiN膜5を150nm、CVDシリコン酸化膜6を200nmを順次堆積する(図3(a))。次に堆積した膜の焼きしめを行うため、800℃以上、好ましくは1000℃で熱処理を行う。次にモリブデン(Mo)膜をスパッタ法により、厚さ150nmほど堆積し、1000℃で熱処理してパターニングを行うことにより、発熱抵抗体8、測温抵抗体7を形成する(図3(b))。ここで、発熱抵抗体8、測温抵抗体7としてモリブデン膜を堆積したが、モリブデン膜ではなくプラチナ(Pt)膜、チタン(Ti)膜、タングステン(W)膜等の温度変化によって抵抗変化が大きい金属膜であればその他の膜でも良い。次にプラズマによって材料を分解して、CVD法により製作したシリコン酸化膜(P−SiO2)9を500nm、次にプラズマによって材料を分解して、CVD法により製作したシリコンナイトライド膜(P−SiN膜)10を150nm、シリコン酸化膜(P−SiO2)11を厚さ200nm順次堆積し(図3(c))、その後、堆積した膜の焼きしめを行うため、800℃以上、好ましくは1000℃で熱処理を行う。
1000℃の熱処理後の上記各膜の内部応力(室温)は熱酸化膜2で約−200MPa、LP−SiN膜3,5は約1200MPa、P−SiN膜10は約1500MPa、CVDシリコン膜4,6やP−SiO2膜9,11は約−200MPaである。そのため、発熱抵抗体8、測温抵抗体7の表面側に存在する膜(P−SiO2膜9、P−SiN膜10、P−SiO2膜11)の平均応力((Σ(膜厚×膜応力))/表面側の全膜厚)σupと裏面側に存在する膜(熱酸化膜2、LP−SiN膜3、CVD酸化膜4、LP−SiN膜5、CVD酸化膜6)の平均応力((Σ(膜厚×膜応力))/裏面側の全膜厚)σdownの差(σdown−σup)は約150MPaとなっている。
図1に示す端子電極15はシリコン酸化膜P−SiO2、11を形成後、上部電気絶縁膜にコンタクト用の穴を開けてアルミニウムや金等を堆積して形成する(図示せず)。最後に、裏面よりシリコン酸化膜等をマスク材として、KOHなどのエッチング液を用いてダイヤフラム部14を形成する(図3(d))。ダイヤフラム部14は、ドライエッチング法を用いて形成しても良い。図3の符号13は、マスク材であるエッチングマスク端部の位置を示しており、符号13で示すエッチングマスク端部から外側をマスク材で覆い、エッチングを行うことにより、ダイヤフラム部14の部分のシリコン基板材が除去される。
次に、本実施例の作用効果について説明する。
ダイヤフラム全体を強い引っ張り応力とするには、引っ張り応力を有するシリコンナイトライド膜の多層膜化、厚膜化が有効と考えられる。しかし、800〜1000℃のアニールをした場合、膜の厚膜化は、シリコンナイトライド膜の内部応力の影響で膜剥がれが生じるので適用が難しい。そのため、シリコンナイトライド膜をシリコン酸化膜で挟んで多層膜化することが有効となる。
センサの感度を高めるために、前記発熱抵抗体8を数百度の高温で熱式空気流量センサを動作させた場合、この熱により、シリコン酸化膜やシリコンナイトライド膜の内部応力が除々に変化する。そのため、長時間、熱式空気流量センサを動作させた場合には、前記発熱抵抗体8や測温抵抗体7にひずみによる抵抗変化が生じる。これを抑制するため、本実施例ではシリコン酸化膜やシリコンナイトライド膜を800℃以上、好ましくは1000℃程度で熱処理している。
シリコンナイトライド膜はその製造方法により、材料を熱で分解し、減圧下で化学気相成長法(CVD法)により作製したLP−SiN膜や、プラズマで原料を分解してCVD法で製作したP−SiN膜がある。上記P−SiN膜を1000℃程度で熱処理した場合、強い収縮が発生し、高い応力を発生させる。また、このP−SiN膜はLP−SiN膜に対して強度が約60〜70%と低い。一般的に、前記発熱抵抗体8や測温抵抗体7にPt、Ti、W、Moなどの金属膜を使用した場合には、プロセス上の関係から、前記発熱抵抗体8や測温抵抗体7上にLP−SiN膜は堆積することは出来ない。そのため、前記発熱抵抗体8や測温抵抗体7上には強度の低いP−SiN膜が堆積されることになる。ダイヤフラム全体を強い引っ張り応力とするには、破壊強度が低く、膜収縮量が大きいP−SiN膜を使用するよりも、破壊強度が高く、熱処理による収縮量が小さいLP−SiN膜を使用し、膜を多層膜化した方がよい。そのため、前記発熱抵抗体8や測温抵抗体7の上下に存在するシリコンナイトライド膜の膜数が上下で異なることになり、前記発熱抵抗体や測温抵抗体の上のシリコンナイトライド膜よりも、下に配置されるシリコンナイトライド膜の膜数が多くなる。
前記発熱抵抗体8や測温抵抗体7の上下に存在するシリコンナイトライド膜の膜数が異なることによって、発熱抵抗体8や測温抵抗体7の位置が図3に示すように中立軸からずれ、前記発熱抵抗体8や測温抵抗体7は中立軸から上方側(表面側)に配置される。スパッタ法で作製した前記発熱抵抗体や測温抵抗体に使われる金属膜は密度が低いため、熱処理により膜収縮を生じる。そのため、ダイヤフラムは微小ながら凹状に反ることになる。また、前記発熱抵抗体や測温抵抗体が中立軸からずれることで、前記発熱抵抗体8や測温抵抗体7の金属膜表面側に存在する膜の平均応力σupと裏面側に存在する膜の平均応力σdownの差が大きくなる。図5は発熱抵抗体を数百度に加熱させ、熱式空気流量センサを動作させて、2000時間の耐久試験を実施したものであるが、σdownとσupの差がある範囲を超えると、測温抵抗体の抵抗変化率に大きな変化が生じることが分かった。この測温抵抗体の抵抗変化は流量測定誤差を大きくさせる。抵抗値の変化量は流量測定誤差の上限から約0.03%以下が好ましい。そのため、抵抗値の変化を0.03%とするには、σdown−σupの差は図5より、−100〜300MPaの範囲とすることが必要である。また、抵抗値の変化を極力抑制するため、好ましくは、σdown−σupの差を−50〜200MPa範囲とすることが必要である。
前記発熱抵抗体8や測温抵抗体7下に存在する引っ張り応力が有するシリコンナイトライド膜(LP−SiN膜)を、CVD酸化膜を介して多層膜とすることにより、ダイヤフラム全体を従来よりも強い引っ張り応力(本実施例では約200MPa、圧縮応力を有する酸化膜厚が20%増加しても約150MPa)とすることができるので、膜厚のばらつきによるダイヤフラムの大きな反りを抑制することができる。これにより、発熱抵抗体や測温抵抗体に加わるひずみ(応力)を抑制し、計測誤差を低減した熱式空気流量センサを提供することが可能となる。
本実施例では圧縮応力を有する膜にシリコン酸化膜、引っ張り応力を有する膜にシリコンナイトライド膜を想定し記載したが、σdown−σupの差の応力範囲は上記、シリコン酸化膜、シリコンナイトライド膜に限定した膜ではないことは言うまでもない。
1…シリコン基板、2…熱酸化膜、3…LP−SiN膜、4…CVDシリコン酸化膜、5…LP−SiN膜、6…CVDシリコン酸化膜、7…測温抵抗体、8…発熱抵抗体、9…シリコン酸化膜P−SiO2、10…シリコンナイトライド膜P−SiN、11…シリコン酸化膜P−SiO2、12…ダイヤフラム端部、13…エッチングマスク端部、14…ダイヤフラム部、15…端子電極、16…中立軸、17…シリコンナイトライド膜、18…シリコン酸化膜、19…シリコンナイトライド膜、20…シリコン酸化膜

Claims (7)

  1. 半導体基板と、前記半導体基板上に形成された発熱抵抗体と測温抵抗体と、前記発熱抵抗体および前記測温抵抗体の上層および下層に形成されたシリコン酸化膜およびシリコンナイトライド膜と、半導体基板の一部を除去して形成したダイヤフラム部と、を有し、前記発熱抵抗体及び前記測温抵抗体が前記ダイヤフラム部上に形成された熱式空気流量センサにおいて、
    前記発熱抵抗体と前記測温抵抗体は、金属膜で形成され、
    前記ダイヤフラム部は、凹状の形状からなり、
    前記発熱抵抗体および前記測温抵抗体の上層に堆積されたシリコンナイトライド膜とシリコン酸化膜との平均応力をσupとし、前記発熱抵抗体と前記測温抵抗体の下層に堆積されたシリコンナイトライド膜とシリコン酸化膜との平均応力をσdownとしたとき、σdowm−σupを−100〜300MPaの範囲内となるように設定したことを特徴とする熱式空気流量センサ。
  2. 半導体基板と、前記半導体基板上に形成された発熱抵抗体と測温抵抗体と、前記発熱抵抗体および前記測温抵抗体の上層および下層に形成されたシリコン酸化膜およびシリコンナイトライド膜と、半導体基板の一部を除去して形成したダイヤフラム部と、を有し、前記発熱抵抗体及び前記測温抵抗体が前記ダイヤフラム部上に形成された熱式空気流量センサにおいて、
    前記発熱抵抗体と前記測温抵抗体は、金属膜で形成され、
    前記発熱抵抗体と前記測温抵抗体はダイヤフラムの中立軸より表面側にあり、
    前記発熱抵抗体および前記測温抵抗体の上層に堆積されたシリコンナイトライド膜とシリコン酸化膜との平均応力をσupとし、前記発熱抵抗体と前記測温抵抗体の下層に堆積されたシリコンナイトライド膜とシリコン酸化膜との平均応力をσdownとしたとき、σdowm−σupを−100〜300MPaの範囲内となるように設定したことを特徴とする熱式空気流量センサ。
  3. 請求項1に記載の熱式空気流量センサにおいて、
    σdowm−σupを50〜200MPaの範囲内となるように設定したことを特徴とする熱式空気流量センサ。
  4. 請求項2に記載の熱式空気流量センサにおいて、
    σdowm−σupを−50〜200MPaの範囲内となるように設定したことを特徴とする熱式空気流量センサ。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の熱式空気流量センサにおいて、
    前記発熱抵抗体および前記測温抵抗体の上層側よりも下層側のシリコンナイトライド膜の膜数が多いことを特徴とする熱式空気流量センサ。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載の熱式空気流量センサにおいて、
    前記発熱抵抗体および前記測温抵抗体の下層側の前記シリコンナイトライド膜をLP−SiN膜とし、
    前記発熱抵抗体および前記測温抵抗体の上層側の前記シリコンナイトライド膜をP−SiN膜としたことを特徴する熱式空気流量センサ。
  7. 請求項1乃至4のいずれかに記載の熱式空気流量センサにおいて、
    前記金属膜はモリブデン膜であることを特徴とする熱式空気流量センサ。
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