JP2015208751A - Tig溶接装置及びtig溶接方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】2つの部材(母材)をクランプで保持して実施されるアーク溶接を高品質かつ安定確実に行えるようにする。
【解決手段】このTIG溶接装置の溶接ヘッド12は、板状のベース16に移動ステージ18とトーチスタンド20を併設し、トーチスタンド20にTIG溶接用のトーチ22およびクランプ電極24を昇降移動可能に搭載している。そして、移動ステージ18は、移動ステージ18の上に、XY面内で任意の方向にスライド可能なパッシブ型のコンプライアンス・デバイス26を介して、ワーク載置用のテーブル28を設けている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、互いに突き合わせた2つの部材をクランプで保持しながら溶接するTIG溶接装置およびTIG溶接方法に関する。
電気回路は、電気の供給源となる電源や電気を利用して一定の機能を果たす電気部品等を配線で接続して構成されており、電気回路の構築には配線接続または結線の作業が必ず必要になる。一般的に、ディスクリートな端子部材同士の溶接には、電気の放電現象(アーク放電)を利用するアーク溶接法が多く用いられている。特に、電気回路を構成する端子部材の溶接には、非消耗型のトーチ電極(タングステン電極棒)を使用するTIG溶接法が多く用いられている。
従来より、ロボット等の自動作業機械に搭載されるTIG溶接装置は、一方の電極を構成するトーチ電極と他方の電極を兼ねる固定治具たとえばクランプ(「チャック」とも称される。)を同一または共通のロボットアーム先端部に取り付け、クランプにより2つの端子部材(母材)の被溶接部を挟着しながら、トーチ電極の先端を被溶接部に接近させて両電極(トーチ電極とクランプ)間に電圧を印加して、トーチ電極と被溶接部との間でアークを生成し、アークの熱で被溶接部を溶かすようにしている。
この場合、トーチ電極とクランプはロボットアーム上で常に一定の位置関係にあるので、多数のワークないし被溶接部に対してクランプ挟着位置およびトーチ電極接近位置(アーク放電位置)を一定に管理することができる(たとえば特許文献1参照)。
特開2010−82674号公報
しかしながら、上記のようにトーチ電極とクランプが常に一定の位置関係にある従来のTIG溶接装置においては、トーチ電極と被溶接部との間でアークを安定確実に発生させることが難しく、場合によってはトーチ電極とクランプとの間でアークが発生してクランプを溶融または焼損してしまうことがある。
このようなアークの不所望な飛火は、クランプをトーチ電極から十分遠い位置に配置することで、一応回避することができる。しかし、クランプの被溶接部を挟着する位置をトーチ電極から遠ざけると、被溶接部の先端部付近で密着性が保証されなくなり、つまりクランプの機能が弱められる結果、所望のアーク溶接品質が得られなくなる。
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、互いに突き合わせた2つの部材(母材)をクランプで保持して実施されるアーク溶接を高品質かつ安定に行えるようにしたTIG溶接装置およびTIG溶接方法を提供する。
本発明のTIG溶接装置は、XY面に平行なステージと、前記ステージの上に設けられ、XY面内で任意の方向にスライド可能なパッシブ型のコンプライアンス・デバイスと、前記コンプライアンス・デバイスの上に母材として載置される第1および第2の部材を被溶接部にて密着させて保持可能なクランプ電極と、トーチ電極を着脱可能に装着して保持するトーチボディと、前記トーチ電極と前記被溶接部とを含む閉回路内で電流を流すための溶接電源とを有し、前記クランプ電極により前記被溶接部に加圧力を加え、かつ前記トーチ電極の先端を前記被溶接部に接触させた状態で、前記溶接電源により前記トーチ電極と前記被溶接部との間に電圧を印加して前記閉回路内で通電を開始し、前記被溶接部に対する加圧と前記閉回路内の通電を継続しながら前記トーチ電極の先端を前記被溶接部から離して、前記トーチ電極と前記被溶接部との間でアークを発生させ、前記アークの熱によって前記被溶接部を溶接する。
本発明のTIG溶接方法は、母材としての第1および第2の端子部材をXY面内で任意の方向にスライド可能なパッシブ型のコンプライアンス・デバイスの上に載置する工程と、前記コンプライアンス・デバイスの上に載置されている前記第1および第2の端子部材を被溶接部にて密着させて保持する工程と、トーチ電極の先端を前記被溶接部に接触させる工程と、前記被溶接部に密着固定のための加圧力を加え、かつ前記トーチ電極の先端を前記被溶接部に接触させた状態で、前記トーチ電極と前記被溶接部との間に電圧を印加して、前記トーチ電極と前記被溶接部とを含む閉回路内で通電を開始する工程と、前記被溶接部に対する加圧と前記閉回路内の通電を継続しながら、前記トーチ電極の先端を前記被溶接部から離して、前記トーチ電極と前記被溶接部との間でアークを発生させ、前記アークの熱によって前記被溶接部を溶かす工程と、前記閉回路内の通電を止め、前記被溶接部に対する加圧を解除する工程とを有する。
本発明においては、両端子部材(母材)の被溶接部に密着固定用の加圧力を加えながら、トーチ電極の先端を被溶接部に接触させた状態で通電を開始した後にトーチ電極を引き離してアーク放電を発生させる。これにより、確実に被溶接部にアークを集中させることが可能であり、クランプ電極をトーチ電極に可及的に近づけて所望の溶接品質を安定確実に得ることができる。さらに、第1および第2の部材を被溶接部にて密着させて保持する動作(クランプ動作)の際に、コンプライアンス・デバイスがクランプ力の作用する方向に追従して摺動する。その結果、トーチ電極の先端が被溶接部の中心部あるいは両端子部材の接触位置に正確に対向するようになる。このため、位置合わせの誤差が生じた場合でも、タッチスタート方式においてトーチ電極の先端が被溶接部の中心部またはその近傍あるいは両端子部材の接触位置またはその近傍に接触するので、確実に被溶接部の中心部付近あるいは両端子部材の接触位置付近にアークを集中させることができる。このことにより、被溶接部の中心部をアーク熱で確実に溶かして良好な溶接強度を得ることができる。
本発明の好適な一態様で用いられるコンプライアンス・デバイスは、ステージに固定されるベース部と、このベース部の上にボールガイドを介して摺動可能に取り付けられる可動部とを有する。
本発明の好適な一態様として、クランプ電極は、被溶接部のトーチ電極と対向する部位の近傍で第1および第2の部材を電磁気力または空気圧もしくは油圧の圧力で挟着して固定するクランプを有する。
別の好適な一態様によれば、第1および第2の端子部材を被溶接部にて密着させて保持する工程では、第1および第2の端子部材をクランプ電極によって挟持することにより、トーチ電極の中心軸と第1および第2の端子部材の接触位置とを対向させ、あるいはトーチ電極の中心軸と第1および第2の端子部材の重ね合わせ方向の中心部とを対向させる。
本発明のTIG溶接装置またはTIG溶接方法によれば、上記のような構成により、2つの部材(母材)をクランプで保持して実施されるアーク溶接を高品質かつ安定に行うことができる。
本発明の一実施形態におけるTIG溶接装置の全体構成を示す図である。 実施形態における母材および被溶接部の形態と上記TIG溶接装置の要部の構成とを示す斜視図である。 上記TIG溶接装置に備えられる移動ステージの具体的な構成例を示す図である。 上記TIG溶接装置で用いられるパッシブ型コンプライアンス・デバイスの外観構成および機能を示す斜視図である。 実施形態におけるTIG溶接の手順(途中までの工程)を示すフローチャートである。 TIG溶接の手順(残りの工程)を示すフローチャートである。 上記TIG溶接装置におけるトーチおよびクランプ電極の昇降動作の一段階を示す図である。 上記トーチおよびクランプ電極の昇降動作の一段階を示す図である。 上記トーチおよびクランプ電極の昇降動作の一段階を示す図である。 上記トーチおよびクランプ電極の昇降動作の一段階を示す図である。 上記トーチおよびクランプ電極の昇降動作の一段階を示す図である。 上記トーチおよびクランプ電極の昇降動作の一段階を示す図である。 上記TIG溶接装置におけるクランプ動作および通電動作の一段階を示す図である。 上記クランプ動作および通電動作の一段階を示す図である。 上記クランプ動作および通電動作の一段階を示す図である。 上記クランプ動作および通電動作の一段階を示す図である。 上記クランプ動作および通電動作の一段階を示す図である。 従来のTIG溶接装置においてクランプ稼働位置(挟着位置)をトーチ電極から遠く離してアーク放電を発生させる手法を示す図である。 実施形態のTIG溶接装置において移動ステージにパッシブ型のコンプライアンス・デバイスが組み込まれていない場合の課題の1つを示す図である。 実施形態における直進駆動部材回りの一変形例を示す図である。 実施形態における直進駆動部材回りの別の変形例を示す図である。 一変形例における位置合わせ動作およびクランプ動作の第1の形態を示す図である。 変形例における位置合わせ動作およびクランプ動作の第2の形態を示す図である。
以下、添付図を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
図1に、本発明の一実施形態におけるTIG溶接装置の全体構成を示す。このTIG溶接装置は、特に拝み溶接(突き合わせ溶接)に好適に対応できる据置型の装置構成となっており、直流式の溶接電源回路、制御回路および各種駆動回路等を内蔵したユニット形態の装置本体10と、この装置本体10からの用力の供給と制御の下で電気部品支持体(たとえばアッセンブリまたは回路基板)S上の被溶接材(母材)にTIG溶接を施す溶接ヘッド12と、シールドガスたとえばアルゴンガスの供給源であるガスボンベ14とを有する。
溶接ヘッド12は、板状のベース16にステージ18とトーチスタンド20を併設し、トーチスタンド20にTIG溶接用のトーチ22およびクランプ電極24を昇降移動可能に搭載している。
より詳しくは、ステージ18は、ベース16上で水平なXY面内で移動可能なXYステージ25を有している。溶接ヘッド12は、このXYステージ25の上に、XY面内で任意の方向にスライド可能なパッシブ型のコンプライアンス・デバイス26を介して、ワークを載置する水平なテーブル28を設けている。ステージ18およびコンプライアンス・デバイス26の構成および作用については、後に詳細に説明する。
一方、トーチスタンド20は、固定台29の上にたとえばサーボモータを駆動源とする昇降駆動部(図示せず)を内蔵した昇降タワー30を設けている。この昇降タワー30の昇降駆動部に昇降支持軸32を介して直進駆動部材34が結合され、この直進駆動部材34にトーチ22およびクランプ電極24が鉛直方向で一体移動可能かつ分離可能に取り付けられている。直進駆動部材34とトーチ22およびクランプ電極24とを連結する機構については、後に詳細に説明する。
トーチ22は、水平方向では固定されている。装置本体10よりケーブル36を介して送られてくる制御信号の下でXYステージ26がXY方向の移動動作を行うことにより、テーブル28に載置されている電気部品支持体S上でTIG溶接の対象となる被溶接材の被溶接部WJをトーチ22の直下に位置決めすることができる。
トーチ22は、装置本体10よりトーチケーブル内蔵のホース38を介してTIG溶接用の電力とシールドガスSGの供給を受けるようになっており、絶縁体たとえば樹脂からなる円筒状のトーチボディ40とこのトーチボディ40の先端(下端)部に取り付けられる円筒状または円錐状のトーチノズル42とを有し、トーチボディ40およびトーチノズル42の中にペンシル形のトーチ電極(タングステン電極棒)44を着脱自在に装着し、トーチノズル42の下端よりわずかに(通常2〜3mm)トーチ電極44の先端を突出させている。
装置本体10は、ユニット正面に表示器46、操作ボタン48および電源スイッチ50等を配設し、ユニット側面または背面に外部接続端子またはコネクタ類52を配設している。ガスボンベ14よりホース15に送出されるシールドガスSGは、装置本体10およびホース38を経由してトーチ22に供給されるようになっている。なお、ホース15をトーチ22に直接接続してもよい。
図2に、この実施形態における溶接ヘッド12の要部の構成と被溶接材(母材)の一例とを示す。図示の例では、たとえば銅からなる2つの細長い棒状または板状の金属部材たとえばバスバーW1,W2を被溶接材(母材)とし、両金属部材W1,W2のそれぞれの上端面(頂面)を略面一に揃えてそれぞれの上端部を一体に合わせている。この一体に合わさった金属部材W1,W2の上端部が被溶接部WJを形成する。各金属部材W1,W2の他端(図示せず)は、たとえば、電気部品支持体S上に搭載されている電気部品(図示せず)に通じている。あるいは、一方の金属部材W1は電気部品支持体S上に搭載され、他の金属部材W2の他端は別の電気部品支持体(図示せず)上に搭載されている電気部品(図示せず)に通じている。
通常の被溶接部WJにおいては、両金属部材W1,W2の接触界面に必ず幾らか(たとえば0.1mm程度)の隙間gが存在する。また、両金属部材W1,W2のそれぞれの上端面または頂面は厳密に面一に揃っているのが好ましいが、通常は誤差または段差が0.1mm以下であれば実用上十分である。
なお、図1および図2では、図解を容易にするために、電気部品支持体S上の1箇所の被溶接部WJ(W1,W2)を誇張して大きく示している。一般に、電気配線にバスバーを用いる電気部品支持体は、複数箇所たとえば10箇所以上に被溶接部WJ(W1,W2)を有している。
クランプ電極24は、図1および図2に示すように、直進駆動部材34に対して鉛直方向で一体移動可能かつ分離可能な昇降棒56の下端部に取り付けられ、モータ、プランジャまたはシリンダ等の駆動源(図示せず)を収容または装備するクランプ本体58と、このクランプ本体58から平行に突出して延在する一対の開閉可能なクランプアーム60とを有している。クランプ本体58内の駆動源は、装置本体10よりケーブルまたは配管62を介して所要の用力(電力、圧縮空気または作動油)を供給され、電磁気力または空気圧もしくは油圧の圧力に基づいて所要の挟着力ないし加圧力を発生する。クランプアーム60は、該駆動源に結合されており、被溶接部WJを端子部材W1,W2の板厚方向で挟着固定できるようになっている。クランプアーム60が被溶接部WJを最適な高さ位置で挟着固定できるように、つまりクランプ電極24の稼働位置を調整できるように、昇降棒56上でクランプ電極24の位置あるいは後述する連結部(68)の位置を調整する機構(図示せず)を備えることができる。
クランプアーム60は、導体たとえば真鍮からなり、アースケーブル64を介して装置本体10内の溶接電源に電気的に接続されている。この実施形態では、溶接電源の正極にクランプアーム60が電気的に接続される。溶接電源の負極には、ホース38に内蔵されているトーチケーブルを介してトーチ電極44が電気的に接続される。
図3に、ステージ18の具体的な構成を示す。ステージ18のXYステージ25は、ベース16の上で水平な一方向つまりX方向に移動可能なXステージ25Xと、このXステージ25Xの上に搭載され、X方向と直交する一水平方向つまりY方向に移動可能なYステージ25Yとで構成されている。Xステージ25XおよびYステージ25Yは、モータ90X,90Yを駆動源とする直進駆動機構たとえばボールネジ機構を備えている。図中、92X,92Yはケーブルキャリアである。
コンプライアンス・デバイス26は、ステージ18のYステージ25Yの上面に固定される円盤形状のベース部26aと、このベース部26aと略同じ形状(円盤形状)を有し、ベース部26aの上にボールガイド(図示せず)を介して摺動可能に取り付けられる可動部26bとを有している。
図4に示すように、このコンプライアンス・デバイス26は、圧縮空気発生源(図示せず)より配管94を介して一定圧力の圧縮空気を導入し、可動部26bに水平な任意の方向(XY方向またはねじれ方向)の外力Fが加えられると、その外力Fの作用する方向に可動部26bが追従して摺動し、その外力Fが解除されると圧縮空気の圧力によって可動部26bが原点位置(ベース部26aと同軸になる位置)に復帰するようになっている。この実施形態においては、可動部26bの上にテーブル28が固着されているので、テーブル28に水平な任意の方向(XY方向またはねじれ方向)の外力Fが加えられると、その外力Fの作用する方向に可動部26bがテーブル28と一体に摺動するようになっている。このような構成および機能を有するパッシブ型のコンプライアンス・デバイスは、市場で入手可能であり、たとえば近藤製作所製の超低摺動クイックアジャスタ(商品名)を好適に使用することができる。
次に、図6A〜図6Fにつき、この実施形態のTIG溶接装置において、直進駆動部材34とトーチ22およびクランプ電極24とを連結する機構について説明する。図示のように、板状の直進駆動部材34の貫通孔34a,34bにトーチボディ40および昇降棒56がそれぞれ通され、トーチボディ40および昇降棒56の上部ないし中間部に固定された鍔状またはフランジ状の連結部材66,68が直進駆動部材34の上面に載るようにして、トーチボディ40および昇降棒56が直進駆動部材34に連結される。昇降棒56の下端部には、上述したようにクランプ電極24が取り付けられている。
かかる構成のトーチおよびクランプ昇降機構においては、トーチ電極44の下端(先端)および昇降棒56の下端がそれぞれ空中に浮いている間は(図6A,図6B)、昇降タワー30(図1)が直進駆動部材34を下降させると、連結部材66,68が直進駆動部材34の上面に載った状態でトーチ22およびクランプ電極24が直進駆動部材34と一体に下降移動する。そして、クランプ電極24が稼働位置に着くと、直ちにクランプ動作を開始して、母材(W1,W2)の被溶接部WJを挟着する。直進駆動部材34がさらに下降すると、昇降棒56の連結部材68が直進駆動部材34から分離する(図6C)。そして、トーチ電極44の下端が母材(W1,W2)の被溶接部WJの上面に接触してからは、トーチボディ40の連結部66が直進駆動部材34から分離して、トーチボディ40は直進駆動部材34から独立して被溶接部WJ上で起立するようになる(図6D)。この時、被溶接部WJにはトーチ22の自重が加わる。
なお、図示の構成例では、昇降棒56の連結部材68が直進駆動部材34から分離すると、昇降棒56およびクランプ電極24の自重が母材(W1,W2)に加わるようになっている。しかし、後述するように、連結部材68と直進駆動部材34との間に圧縮コイルばね(86)を介在させることによって、母材(W1,W2)に加わる荷重を可及的に軽減することができる。
また、トーチ電極44の下端が母材(W1,W2)の被溶接部WJに接触している状態(図6E)から、直進駆動部材34を元の高さ位置まで上昇移動させると、その途中で先ずトーチボディ40の連結部材66が直進駆動部材34の上に載ってトーチボディ40も直進駆動部材34と一体に上昇移動し、次いで昇降棒56の連結部材68が直進駆動部材34の上に載って昇降棒56およびクランプ電極24も直進駆動部材34と一体に上昇移動するようになっている(図6F)。
この実施形態では、トーチボディ40の連結部材66と直進駆動部材34との間の連結または分離状態を検出するためのセンサ70が備わっている。図示のセンサ70は、垂直リニアスケールからなり、連結部材66の側面に取り付けられている鉛直方向に延びる目盛部72と、この目盛部72を直進駆動部材34の相対的な高さ位置に応じたレベルで光学的に読み取るように直進駆動部材34に取り付けられている目盛読取部74とを有している。目盛読取部74は、反射式の光学センサからなり、電気ケーブル(図示せず)を介して装置本体10内の制御回路に電気的に接続されている。
このセンサ70においては、トーチボディ40の連結部材66が直進駆動部材34の上に載っている限り、直進駆動部材34が任意の高さ位置で昇降移動しても目盛読取部74の出力信号(読取値)は一定値を保つ。しかし、直進駆動部材34がトーチボディ40の連結部材66から分離すると、目盛部72と目盛読取部74との相対位置が変化し、目盛読取部74の出力信号(読取値)が変化する。装置本体10内の制御部は、目盛読取部74からの出力信号に基づいて直進駆動部材34とトーチボディ40との相対的な位置関係を監視できるとともに、直進駆動部材34が往動(下降移動)する途中でトーチ電極44の下端が母材(W1,W2)の被溶接部WJに接触したときは、そのことを検出できる。なお、このような目盛を用いる光学式のセンサに代えて、近接センサ等の他の方式のセンサを用いることも可能である。
次に、図5A〜図5B、図6A〜図6Fおよび図7A〜図7Eを参照して、この実施形態におけるTIG溶接装置の動作および作用(TIG溶接方法)を説明する。なお、図5Aおよび図5Bのフローチャートは、この実施形態におけるTIG溶接方法の手順を示す。また、図7A〜図7Eは、このTIG溶接装置におけるクランプ動作および通電動作の各段階を示す。
先ず、ワーク搬送装置たとえばロボットハンド(図示せず)により、あるいはマニュアルにより、母材(W1,W2)を搭載する電気部品支持体Sが溶接ヘッド12のテーブル28の上に載置される(ステップS1)。しかる後、装置本体10内の制御部による制御の下で、ステージ18による水平面内の位置合わせが行われる(ステップS2)。この位置合わせ動作により、母材(W1,W2)の被溶接部WJがトーチ電極44の直下に位置するようになる。もっとも、電気部品支持体S上に多数の被溶接部WJが搭載されていて、タクト時間の短縮化のために上記の位置合わせ動作が高速に行われる場合は、トーチ電極44と被溶接部WJとの間で位置合わせが常に正確に行われずに、トーチ電極44の中心軸Z44が被溶接部WJの中心部(特に両金属部材W1,W2間の隙間g)から幾らかずれることがある。
上記のような水平面内の位置合わせとは別に、高さ方向においても装置本体10内の制御部による制御の下で昇降タワー30によりトーチ22のスタート位置が適当な高さ位置に調整される。もっとも、同一種類の複数の被溶接材に対して同一条件のアーク溶接を続けて行う場合は、アーク溶接の終了後にトーチ22を前回と同じスタート位置に戻すことによって、次回のアーク溶接のための初期高さ位置調整を省くこともできる。
上記のような位置合わせないし初期高さ位置の調整が済んでいる状態(図6A)から、装置本体10内の制御部による制御の下で、テーブル28上の母材(W1,W2)に対するTIG溶接が溶接ヘッド12で実行される。
先ず、制御部は、昇降タワー30の昇降駆動部を作動させて、直進駆動部材34の下降移動を開始する(ステップS3)。トーチ電極44の下端(先端)および昇降棒56の下端はそれぞれ空中に浮いているので(図6A)、直進駆動部材34の下降移動が開始されると、連結部材66,68が直進駆動部材34の上面に載った状態でトーチ22およびクランプ電極24も直進駆動部材34と一体に下降移動する。
直進駆動部材34が下降移動を開始してから間もなくして、クランプ電極24は鉛直方向の予め設定された位置つまり稼働位置に着く(ステップS4)。この稼働位置で、クランプ電極24は、クランプ動作を開始し(ステップS5)、クランプアーム60を閉じる方向に駆動して母材(W1,W2)の被溶接部WJの上端部を挟着する(図7A)。
このとき、トーチ電極44の中心軸Z44が被溶接部WJの中心部(特に両金属部材W1,W2間の隙間g)からずれている場合は、クランプ電極24の被溶接部WJに加えるクランプ力(挟着力)が、母材(W1,W2)と電気部品支持体Sとテーブル28とを介してコンプライアンス・デバイス26の可動部26bにXY方向またはねじれ方向の外力Fとして作用する。そうすると、コンプライアンス・デバイス26の可動部26bがベース部26aの上で外力Fの作用する方向に追従して摺動する結果、クランプ電極24のクランプ動作を通じてトーチ電極44の先端(中心軸Z44)が被溶接部WJの中心部に対向するようになる。このように、ステージ18によるトーチ電極44と被溶接部WJとの間の位置合わせに誤差(位置ずれ)が生じても、その後に行われるクランプ電極24のクランプ動作の際にその位置ずれが補正される。
一方、トーチ22は昇降棒56の下降移動が終了した後も直進駆動部材34と一体に下降移動し(ステップS6)、トーチ電極44の下端(先端)が母材(W1,W2)の被溶接部WJに漸近する。そして、トーチ電極44の下端が被溶接部WJの上面に接触すると(ステップS7)、トーチ22の下降移動がそこで終了し(図6C)、その直後に直進駆動部材34がトーチボディ40の連結部材66から分離し(図6D)、制御部がセンサ70の出力信号に応答して直進駆動部材34の下降移動を止める(ステップS8)。
なお、制御部は、トーチ22の下降移動の途中で、あるいは下降移動の終了直後に、シールドガスSGの供給を開始する。シールドガスSGは、ボンベ14から装置本体10およびホース38を介してトーチ22に供給される。トーチ22は、トーチボディ40の上部にシールドガスSGを導入し、導入したシールドガスSGをトーチノズル42の開口から噴出する。
こうしてトーチ電極44の先端が母材(W1,W2)の被溶接部WJに接触している状態の下で、制御部は通電を開始する(ステップS9)。すなわち、装置本体10内で溶接電源回路EDCのスイッチSWをそれまでのオフ状態からオン状態に切り換える。そうすると、溶接電源回路EDCより直流電圧がトーチ電極44と被溶接部WJとの間に印加される。これにより、溶接電源回路EDCの正極端子→オン状態のスイッチSW→アースケーブル64→クランプアーム60→被溶接部WJ→トーチ電極44→ホース38内のトーチケーブル39→溶接電源回路EDCの負極端子の経路(閉回路)96で、通電開始の直流電流つまりスタート電流i1が流れる(図7C)。
この時、トーチ電極44の先端が母材(W1,W2)の被溶接部WJに接触しているので、電流i1の大きさに関係なくアークはまだ発生しない。しかし、この実施形態では、溶接電源回路EDCの出力電圧または出力電流を制御することにより、スタート電流i1の電流値を一定範囲に制御する。すなわち、トーチ電極44の寿命を延ばすには、そのままトーチ電極44の先端を被溶接部WJから引き離した時に被溶接部WJを溶かさない程度の弱い放電しか起こさない小さな電流値(通常20A以下)が好ましい。一方で、トーチ電極44の先端を被溶接部WJから引き離してアーク溶接にふさわしい高熱のアーク放電を安定確実に発生させるには、この段階(接触状態)の通電において被溶接部WJに相当のジュール熱を発生させておく必要がある。この実施形態では、これら両面の観点から、スタート電流i1の電流値を10〜20Aの範囲に制御する。
こうして、トーチ電極44の先端が母材(W1,W2)の被溶接部WJに接触した状態で上記閉回路96内をスタート電流i1が所定の電流値で流れることにより、トーチ電極44(特にその先端付近)および被溶接部WJでかなりのジュール熱が発生する。
制御部は、通電開始から所定時間T1が経過すると(ステップS10)、直進駆動部材34を幾らか上昇移動させて、トーチ電極44の先端を被溶接部WJから設定離間距離(たとえば1mm)だけ上方に引き離し(ステップS11)、その高さ位置で静止させる。そして、このトーチ電極44の引き離しと同時に、または引き離しが完了した後に、溶接電源回路EDCの出力電圧を一段上げて、上記閉回路内で流れる電流をそれまでのスタート電流i1よりも一段と大きいアーク放電用の正規の直流電流または主電流i2に切り換える(ステップS12)。この主電流i2の電流値は、被溶接部WJを溶かすのに十分な高熱のアークを発生させる値(通常30A以上)に選ばれる。
こうして主電流i2が流れている間は、トーチ電極44(特にその先端付近)と被溶接部WJとの間でアークACが持続し、被溶接部WJはアークACの熱によって溶融する(図7D)。なお、主電流i2の電流値を始終一定値に保ってもよいが、被溶接部WJの溶融を促進するために、途中で主電流i2の電流値をさらにステップ的または漸次的に増大させるような電流波形制御(あるいは逆にダウンスロープの電流波形制御)を用いることも可能である。
制御部は、通電開始から所定の時間T2(通常2〜3sec)が経過すると(ステップS13)、スイッチSWをオフ状態に切り換えて、通電を止める(ステップS14)。直後にシールドガスSGの供給も止める。通電が止まり、主電流i2が切られると、その瞬間にアークは消滅する。アークが消滅すると、被溶接部WJの溶融部分が大気中の自然冷却によって直ぐに凝固する。こうして、母材(W1,W2)の被溶接部WJにて一体またはひと固まりに溶接接合される。
この後、制御部は、クランプ電極24を復動させて、被溶接部WJに対する加圧または挟着固定を解除する(ステップS15,図7E)。次いで、昇降タワー30の昇降駆動部を通じて直進駆動部材34を上昇移動させ、トーチ22およびクランプ電極24をスタート位置に戻す(ステップS16)。
上述したように、この実施形態においては、クランプ電極24により母材(W1,W2)の被溶接部WJの先端部近くに密着固定用の加圧力を加えながら、トーチ電極44の先端を被溶接部WJに接触させた状態で通電を開始した後に引き離してアーク放電を発生させるので(タッチスタート方式またはリフトスタート方式)、被溶接部WJ(特にその中央部)にアークACを安定確実に集中させ、所望の溶接品質(接合強度、外観仕上がり)を得ることができる。
この点に関して、従来のこの種のTIG溶接装置では、トーチ電極とクランプが常に一定の位置関係にあるため、タッチスタート方式を採ることができず、最初からトーチ電極の先端を被溶接部WJから離した状態で通電を開始し、アーク放電を発生させるようにしていた。しかし、その場合は、高価な高周波電源や高圧直流電源を必要とするだけでなく、アークが必ず被溶接部(特にその中央部)に集中するようにアーク放電を発生させることが非常に難しく、正極側ではアークが不定な位置で着火し、場合によっては図7Dにおいて仮想線(一点鎖線)AC'で示すようにクランプアーム60に飛火することもある。このため、図8Aに示すように、クランプの稼働位置(挟着固定位置)をトーチ電極から十分遠い位置に設定することで、対処するほかなかった。しかし、このようにクランプの稼働位置(挟着固定位置)をトーチ電極から遠ざけると、被溶接部WJの先端部付近で密着性が保証されなくなり、所望のアーク溶接品質を安定確実に得ることは困難であった。この実施形態では、上記のように、この従来技術の課題を解決している。
また、タッチスタート方式を用いても、移動ステージにパッシブ型のコンプライアンス・デバイスが組み込まれていない場合は、移動ステージによる位置合わせに誤差を生じたときは、その後に行われるクランプ電極24のクランプ動作によっても位置合わせの誤差を補正するのが難しい。その結果、トーチ電極44の先端(中心軸Z44)が被溶接部WJの中心部からずれた状態でタッチスタート方式のTIG溶接が行われる。そうすると、図8Bに示すように、被溶接部WJの中心部からずれた部位(トーチ電極44の先端が当接した部位)にアークが集中して、被溶接部WJの中心部(隙間g付近)が十分に溶けないために、所期の溶接強度が得られず、溶接品質の再現性および信頼性が低い。この実施形態では、上記のようにステージ18にパッシブ型コンプライアンス・デバイス26を組み込むことにより、このようなタッチスタート方式の課題も解決している。
特に、この実施形態におけるTIG溶接装置は、クランプ電極24およびトーチボディ40と連結してトーチ電極44の軸方向と平行に直進移動可能な直進駆動部材34を備え、クランプ電極24およびトーチ電極44を母材(W1,W2)の被溶接部WJから上方に遠ざけるための第1の位置(図6A)と、クランプ電極24を稼働位置に着かせるための第2の位置(図6B)と、トーチ電極44の先端を被溶接部WJに接触させるための第3の位置(図6D)と、トーチ電極44の先端をアークの生成に適した所定距離だけ被溶接部WJから離すための第4の位置(図6E)との間で、直進駆動部材34を直進移動させる構成としているので、1軸の直進駆動機構によりトーチ電極とクランプを被溶接部WJに対して効率よく連携移動させることが可能であり、上記従来技術の課題を低コストで効率的な解決している。もちろん、高価な高周波電源や高圧直流電源は不要であり、溶接電源回路EDCは低出力の安価な直流電圧源または直流電流源で済ますことができる。

[他の実施形態又は変形例]
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明を限定するものではない。当業者にあっては、具体的な実施態様において本発明の技術思想および技術範囲から逸脱せずに種々の変形・変更を加えることが可能である。
たとえば、上述した実施形態では、トーチ電極44の先端が母材(W1,W2)の被溶接部WJに接触する前に、クランプ電極24が被溶接部WJに対する加圧(挟着固定)を開始するようにしている。この場合は、クランプ電極24による被溶接部WJの位置補正が行われた後にトーチ電極44の下端が被溶接部WJに接触するので、その接触位置を精確に制御することが可能であり、たとえばトーチ電極44の先端を母材(W1,W2)の隙間に精確に差し込むことができる。もっとも、一変形例として、トーチ電極44の先端が母材(W1,W2)の被溶接部WJに接触した後に、クランプ電極24が被溶接部WJに対する加圧(挟着固定)を開始することも可能である。
別の実施例(変形例)として、図9に示すように、直進駆動部材34とトーチボディ40の一部(たとえばトーチボディ40に固定された鍔状のばね受け部80)との間に、直進駆動部材34の移動する方向で弾性変形可能なばね部材たとえばコイルばね82を設けることも可能である。この場合、コイルばね82に圧縮コイルばねを用いることで、トーチ電極44が被溶接部WJに接触したときに被溶接部WJの受ける荷重をトーチボディ40の自重より任意に軽くすることができる。母材(W1,W2)が小型精密電子部品の端子部材である場合に有利な形態である。あるいは、コイルばね82に引っ張りコイルばねを用いることで、トーチ電極44が被溶接部WJに接触したときに被溶接部WJの受ける荷重をトーチボディ40の自重より任意に重くすることもできる。なお、ばね受け部80の位置を調整する機構(図示せず)を備えることで、コイルばね82のばね力を調整することもできる。
同様に、直進駆動部材34と昇降棒56の一部(たとえば昇降棒56に固定された鍔状のばね受け部84)との間に、直進駆動部材34の移動する方向で弾性変形可能なばね部材たとえばコイルばね86を設けることも可能である。特に、コイルばね86に圧縮コイルばねを用いることで、クランプ電極24が被溶接部WJを挟着したときに母材(W1,W2)の受ける荷重を可及的に軽くして、母材(W1,W2)の損傷を防止することができる。
このように直進駆動部材34にコイルばね82,86を介してトーチボディ40および昇降棒56を取り付ける構成においては、直進駆動部材34を斜め方向または水平方向で直進移動させ、トーチ電極44およびクランプ電極24を同方向に直進移動させることも可能である。
上述した実施形態における直進駆動部材34の板状の形態は一例であり、直進駆動部材34は任意の形状の板体、ブロック、筒体または筺体の構造を採ることが可能である。同様に、連結部材66,68も任意の形態を採ることができる。
また、上述した実施形態では、直進駆動部材34にトーチ22を直接取り付けた。しかし、図10に示すように、直進駆動部材34にたとえば昇降棒のような直進可動部材88を鉛直方向で一体移動可能かつ分離可能に取り付け、この直進可動部材88に結合されたホルダ89にトーチ22を着脱可能に取り付ける構成も可能である。
上記実施形態においては、母材の金属部材W1,W2の板厚が略同じであるため、図7Bに示したように、トーチ電極44の先端または中心軸Z44が金属部材W1,W2の板厚方向(重ね合わせ方向)の中心部つまり隙間g(金属部材W1,W2の接触位置)と対向するように、トーチ電極44の中心軸Z44と被溶接部WJとの間の位置合わせが行われる。この場合は、トーチ電極44の中心軸Z44とクランプ60の中心とが略重なる。しかし、金属部材W1,W2の板厚が異なる場合は、トーチ電極44の中心軸Z44が金属部材W1,W2の板厚方向(重ね合わせ方向)の中心部(隙間gからずれた位置)と対向するように(図11A)、もしくはトーチ電極44の中心軸Z44が金属部材W1,W2の隙間g(金属部材W1,W2の接触位置)と対向するように(図11B)、トーチ電極44の中心軸Z44と被溶接部WJとの間の位置合わせが行われる。本発明によれば、後者(図11B)の場合は、トーチ電極44の中心軸Z44とクランプ60の中心とをずらして設定することができる。
上記実施形態におけるTIG溶接装置は据置型であったが、ロボットに搭載する形態も可能である。その場合は、直進駆動部材34または昇降支持軸32をロボットアームに結合すればよい。
上記実施形態における溶接ヘッド12のステージ18は、ベース16上で水平なXY面内で移動可能なXYステージ25を有した。しかし、ステージ18は、XYステージ25に加えて回転(θ)方向に移動可能なθステージを備えてもよく、さらには上下(Z)方向に移動可能なZステージを備えることも可能である。
あるいは、ステージ18を移動ステージに代えて水平面内で固定された固定ステージで構成し、この固定ステージの上にワーク(電気部品支持体Sないし金属部材W1,W2)を載置し、トーチ電極44およびクランプ電極24と被溶接部WJとの間の位置合わせをトーチ電極44およびクランプ電極24を支持するトーチスタンド20あるいはロボット側で行うことも可能である。この場合も、固定ステージとテーブル28との間にパッシブ型コンプライアンス・デバイスが設けられる。
被溶接部WJにおいて、金属部材または端子部材W1,W2の材質は銅または銅合金に限定されず、たとえばアルミニウムまたはアルミニウム金合や真鍮等の導体であってもよく、端子部材W1の材質と端子部材W2の材質が異なっていてもよい。また、端子部材W1,W2の形状も任意でよく、たとえば断面が矩形の棒体または板体に限らず断面が円形の棒体または板体であってもよい。
10 装置本体
12 溶接ヘッド
18 ステージ
22 トーチ
24 クランプ電極
26 パッシブ型コンプライアンス・デバイス
28 テーブル
30 昇降タワー
34 直進駆動部材
40 トーチボディ
44 トーチ電極
56 昇降棒
66,68 連結部材
70 センサ
80,84 ばね受け部
82,86 コイルばね
1,W2 端子部材(母材)
WJ 被溶接部

Claims (11)

  1. XY面に平行なステージと、
    前記ステージの上に設けられ、XY面内で任意の方向にスライド可能なパッシブ型のコンプライアンス・デバイスと、
    前記コンプライアンス・デバイスの上に母材として載置される第1および第2の部材を被溶接部にて密着させて保持可能なクランプ電極と、
    トーチ電極を着脱可能に装着して保持するトーチボディと、
    前記トーチ電極と前記被溶接部とを含む閉回路内で電流を流すための溶接電源と、
    を有し、
    前記クランプ電極により前記被溶接部に加圧力を加え、かつ前記トーチ電極の先端を前記被溶接部に接触させた状態で、前記溶接電源により前記トーチ電極と前記被溶接部との間に電圧を印加して前記閉回路内で通電を開始し、前記被溶接部に対する加圧と前記閉回路内の通電を継続しながら前記トーチ電極の先端を前記被溶接部から離して、前記トーチ電極と前記被溶接部との間でアークを発生させ、前記アークの熱によって前記被溶接部を溶接するTIG溶接装置。
  2. 前記コンプライアンス・デバイスは、前記ステージに固定されるベース部と、前記ベース部の上にボールガイドを介して摺動可能に取り付けられる可動部とを有する、請求項1に記載のTIG溶接装置。
  3. 前記ステージは、少なくともXY面内で移動可能な移動ステージである、請求項1または請求項2に記載のTIG溶接装置。
  4. 前記クランプ電極は、前記被溶接部の前記トーチ電極と対向する部位の近傍で前記第1および第2の部材を電磁気力または空気圧もしくは油圧の圧力で挟着して固定するクランプを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のTIG溶接装置。
  5. 前記クランプ電極の前記被溶接部に接触する部分は、前記溶接電源に電気的に接続される導体であり、前記導体は前記閉回路内で前記電流が流れる時に前記閉回路の一部を構成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のTIG溶接装置。
  6. 前記クランプ電極および前記トーチボディを支持して前記トーチ電極の軸方向と平行に直進移動可能な直進駆動部材を備え、
    前記クランプ電極および前記トーチ電極を前記被溶接部から遠ざけるための第1の位置と、前記クランプ電極を稼働位置に着かせるための第2の位置と、前記トーチ電極の先端を前記被溶接部に接触させるための第3の位置と、前記トーチ電極の先端をアークの生成に適した所定距離だけ前記被溶接部から離すための第4の位置との間で、前記直進駆動部材を直進移動させる、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載のTIG溶接装置。
  7. 前記溶接電源は、前記閉回路内で流す電流を、前記トーチ電極の先端が前記被溶接部に接触している時は第1の電流値以下に制御し、前記トーチ電極の先端が前記被溶接部から離れてから前記第1の電流値よりも大きな第2の電流値以上に制御する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のTIG溶接装置。
  8. 前記第1の電流値は20A以下であり、前記第2の電流値は30A以上である、請求項7に記載のTIG溶接装置。
  9. 母材としての第1および第2の端子部材をXY面内で任意の方向にスライド可能なパッシブ型のコンプライアンス・デバイスの上に載置する工程と、
    前記コンプライアンス・デバイスの上に載置されている前記第1および第2の端子部材を被溶接部にて密着させて保持する工程と、
    トーチ電極の先端を前記被溶接部に接触させる工程と、
    前記被溶接部に密着固定のための加圧力を加え、かつ前記トーチ電極の先端を前記被溶接部に接触させた状態で、前記トーチ電極と前記被溶接部との間に電圧を印加して、前記トーチ電極と前記被溶接部とを含む閉回路内で通電を開始する工程と、
    前記被溶接部に対する加圧と前記閉回路内の通電を継続しながら、前記トーチ電極の先端を前記被溶接部から離して、前記トーチ電極と前記被溶接部との間でアークを発生させ、前記アークの熱によって前記被溶接部を溶かす工程と、
    前記閉回路内の通電を止め、前記被溶接部に対する加圧を解除する工程と、
    を有するTIG溶接方法。
  10. 前記第1および第2の端子部材を被溶接部にて密着させて保持する工程では、前記第1および第2の端子部材をクランプ電極によって挟持することにより、前記トーチ電極の中心軸と前記第1および第2の端子部材の接触位置とを対向させる、請求項9に記載のTIG溶接方法。
  11. 前記第1および第2の端子部材を被溶接部にて密着させて保持する工程では、前記第1および第2の端子部材をクランプ電極によって挟持することにより、前記トーチ電極の中心軸と前記第1および第2の端子部材の重ね合わせ方向の中心部とを対向させる、請求項9に記載のTIG溶接方法。
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