以下、添付図を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
[実施形態1]
図1に、本発明の第1の実施形態におけるTIG溶接装置の全体構成を示す。このTIG溶接装置は、特に拝み溶接(突き合わせ溶接)に好適に対応できる装置構成となっており、直流式の溶接電源回路、制御回路および各種駆動回路等を内蔵したユニット形態の装置本体10と、この装置本体10からの用力の供給と制御の下で電気部品支持体(たとえばアッセンブリまたは回路基板)S上の被溶接材(母材)Wにタッチスタート方式でTIG溶接を施す溶接ヘッド12と、シールドガスたとえばアルゴンガスの供給源であるガスボンベ14とを有する。
溶接ヘッド12は、板状のベース16にステージ18とトーチスタンド20を併設し、トーチスタンド20にTIG溶接用のトーチ22を昇降可能に搭載している。より詳しくは、ステージ18は、電気部品支持体Sを水平面内のXY方向で移動させるためのXYステージ24と、電気部品支持体Sを水平面内の方位角方向(θ方向)で移動させるためのθステージ26とを有している。一方、トーチスタンド20に固定されている台28の上にたとえばサーボモータを駆動源とする昇降駆動部(図示せず)を内蔵した昇降タワー30が設けられ、この昇降タワー30に昇降支持軸32、直進可動部材34、コイルバネ35およびばね受け部64を介して棒状のトーチ22が鉛直方向に起立した姿勢で上下移動可能に取り付けられている。
水平方向においてトーチ22の位置は固定されている。装置本体10よりケーブル25を介して送られてくる制御信号の下でXYステージ24およびθステージ26がXY方向の移動動作およびθ方向の移動(回転)動作をそれぞれ行うことにより、ステージ18に載置されている電気部品支持体S上でTIG溶接の対象となる被溶接材Wの溶接ポイントをトーチ22の直下に位置決めすることができる。
トーチ22は、装置本体10よりトーチケーブル内蔵のホース36を介してTIG溶接用の電力とシールドガスの供給を受けるようになっており、絶縁体たとえば樹脂からなる円筒状のトーチボディ38とこのトーチボディ38の先端(下端)部に取り付けられる円筒状または円錐状のトーチノズル40とを有し、トーチボディ38およびトーチノズル40の中にペンシル形のトーチ電極(タングステン電極棒)42を着脱自在に装着し、トーチノズル40の下端よりわずかに(通常2〜3mm)トーチ電極42の先端42aを突出させている。トーチ22の構成については、後に詳しく説明する。
装置本体10は、ユニット正面に表示器44、操作ボタン46および電源スイッチ48等をタッチパネル形式で配設し、ユニット側面または背面に外部接続端子またはコネクタ類50を配設している。ガスボンベ14よりホース15に送出されるシールドガスは、装置本体10を経由してトーチ22に供給されるようになっている。
図2に、この実施形態における被溶接材(母材)Wの一例を示す。この被溶接材Wは、たとえば銅または銅合金からなる2つの棒状または板状の端子部材W1,W2を電気部品支持体S(図1)上で水平方向に延びている絶縁体(たとえば樹脂製)の電極支持体52の貫通孔52aに通し、両端子部材W1,W2のそれぞれの上端面(頂面)を略面一に揃えてそれぞれの上端部を一体に合わせたものである。この一体に合わさった端子部材W1,W2の上端部が、溶接継手WJを形成する。各端子部材W1,W2の他端(図示せず)は、電気部品支持体S上に搭載されている電気部品(図示せず)に通じている。
溶接継手WJを避けて、端子部材W1,W2には、アース電極を構成する一対の接触子(コンタクト)C1,C2が左右両側から着脱可能に接続される。これらの接触子C1,C2は、アースケーブル54を介して装置本体10内の溶接電源回路に接続されている。
図3に、この実施形態においてトーチ22を上下方向で移動させる昇降機構の要部の構成を示す。この昇降機構において、昇降支持軸32は、水平に延びていて、その基端部が昇降タワー30(図1)内で上記昇降駆動部に結合され、その先端部が直進可動部材34に結合されている。直進可動部材34は、樹脂または金属等の剛性部材からなる板体、ブロックまたは筺体として構成されている。直進可動部材34の中心部には、トーチ22のトーチボディ38をその軸方向で移動可能に通す貫通孔56が形成されている。そして、貫通孔56の内壁面には、軸対象に一対(または複数対)のソレノイド58,60が埋め込まれている。
これらのソレノイド58,60は、たとえばプッシュ形のプランジャソレノイドであり、それぞれの可動鉄心58a,60aの先端を対向させて貫通孔56に臨ませ、協働して固定部を構成する。装置本体10(図1)内のソレノイド駆動回路(図示せず)よりケーブル61,62を介して励磁電流を供給されると、プランジャソレノイド58,60の可動鉄心58a,60aが前進移動または往動してそれぞれの先端をトーチボディ38の側面に左右両側から押し付け(つまりトーチボディ38を挟み付け)、コイルばね35に抗してトーチボディ38を直進可動部材34に任意の高さ位置で、つまりトーチボディ38と直進可動部材34間の任意の相対的位置関係(または距離関係)で固定するようになっている。
コイルばね35は、トーチボディ38と同軸でそれよりも大きな内径を有し、直進可動部材34とそれよりも低い位置でトーチボディ38に固着または一体形成されている鍔状またはフランジ状のバネ受け部64との間に設けられ、トーチボディ38の軸方向で弾性変形するようになっている。コイルばね35の上端は直進可動部材34の下面に固定または結合され、下端はバネ受け部64の上面に固定または結合されている。
トーチ電極42の先端42aが空中に浮いている時は、トーチ22の重力がコイルばね35に加わる。この時、コイルばね35は、フックの法則により、トーチ22の重力をそのばね定数で除した値だけ自然長より伸びている。しかし、後述するように、タッチスタート方式においてトーチ電極42の先端42aが被溶接材Wに接触する時は、昇降駆動部の下降駆動力が昇降支持軸32および直進可動部材34を介してコイルばね35に加わり、コイルばね35は直進可動部材34からの押圧力をそのばね定数で除した値だけ収縮変形する。
コイルばね35の長さは、直進可動部材34とバネ受け部64との間の距離間隔と同一または一体の関係にある。すなわち、外力によりコイルばね35の長さがたとえばLx(図示せず)だけ変化すると、直進可動部材34とバネ受け部64との間の距離間隔もLxだけ変化する。逆に、外力により直進可動部材34とバネ受け部64との間の距離間隔がLxだけ変化すると、コイルばね35の長さもLxだけ変化する。そして、直進可動部材34とバネ受け部64との間の距離間隔か、またはコイルばね35の長さのいずれかが一定値に固定されると、他方も一定値に固定されるようになっている。
また、固定部のプランジャソレノイド58,60が往動してトーチボディ38を挟み付けている時は、その挟着力ないし静止摩擦力がトーチ22の重力とコイルばね35の抗力(弾性復帰力)とが足し合わさった力よりも勝るようになっている。したがって、トーチ電極42の先端42aが空中に浮いていても、直進可動部材34とバネ受け部64との距離間隔およびコイルばね35の長さがそれぞれ一定値に保たれたまま、トーチボディ38は直進可動部材34と一体に上下移動するようになっている。
図4に、トーチ22の要部(下端部)の構成を示す。トーチボディ38内には、タングステンまたはタングステン合金からなるペンシル形のトーチ電極42を中心部つまりトーチ22の軸心で保持するためのすり割り付きのコレット66が設けられている。このコレット66は、コレットボディ68に内挿されている。コレット66は、コレットボディ68の反対側の端部に設けられた締め付けネジ(図示せず)を締めることによって、すり割り部がコレットボディ68内部のテーパ部に押し付けられる。これにより、すり割り部が口径を狭める方向に変形してトーチ電極42を狭着(保持)するようになっている。また、コレットボディ68の外周面にはねじ山(雄ねじ)68aが形成されている。このねじ山68aは、トーチノズル40の内周面に形成されているねじ山(雌ねじ)40aと螺合する。
コレット66とコレットボディ68との間には、ホース36よりトーチボディ38の上部に導入されたシールドガスSGを下方に導く円筒状のガス通路70が形成されている。そして、コレットボディ68の下端部には周回方向に所定の間隔を置いて複数の通孔68bが形成されている。ガス通路70を下ってきたシールドガスSGは、通孔68bを通ってトーチ電極42とトーチノズル40との間の空間またはノズル室72に出て、このノズル室72の下端の出口つまり噴出口74から外に噴出するようになっている。トーチノズル40は、たとえばセラミック(たとえばアルミナ)からなり、その内周面に失火防止用の薄板状または箔状の導体76を貼付している。
次に、図5A、図5Bおよび図6を参照して、この実施形態におけるTIG溶接装置の動作を説明する。なお、図6において、トーチ電極先端42aの高さ位置の「0」は、被溶接材W(W1,W2)の上面の高さ位置に対応している。
先ず、溶接対象の被溶接材Wを搭載している電気部品支持体Sがステージ18上に載置されている状態で、XYステージ24およびθステージ26が上記のように装置本体10内の制御部の制御の下で水平面内の位置合わせを行う。この位置合わせ動作により、被溶接材Wの溶接継手WJまたは溶接ポイントがトーチ電極42の真下に位置するようになる。通常は、電気部品支持体S上で溶接対象となっている全ての溶接継手WJにXY座標が割り当てられるので、オープンループ制御の位置合わせ動作を行ってよい。しかし、モニタカメラ等を用いてフィードバック制御の位置合わせ動作を行うことも可能である。
上記のような水平面内の位置合わせとは別に、高さ方向においても装置本体10内の制御部の制御の下で昇降タワー30によりトーチ22のスタート位置が調整される。このスタート位置の高さ調整により、トーチ電極42の先端42aの初期高さ位置(被溶接材Wからの初期離間距離)Hcは、ある一定の範囲[Ha〜Hb]内に収められる。
すなわち、トーチボディ38におけるトーチ電極42の装着具合、トーチ電極42の先端42aの摩耗具合、トーチ22の重量の変動、コイルばね35の経時変化といった種種の要因により、トーチ電極42の先端42aの初期高さ位置Hcを毎回同一の値に制御することは殆ど不可能なほど困難であり、ある程度の誤差は避けられない。そこで、このTIG溶接装置では、初期高さ位置Hcを一定の範囲[Ha〜Hb]内で許容する。そして、タッチスタートにおいて、トーチ電極42の先端42aを被溶接材Wに接触させる時は、初期高さ位置Hcよりも確実に大きい一定のストロークHM(Hb<HM)だけトーチ22を下ろし、コイルばね35を弾性変形させることで、初期高さ位置Hcの誤差を吸収または補償するようにしている。
なお、同一種類の複数の被溶接材Wに対して同一条件のアーク溶接を続けて行う場合は、アーク溶接の終了後にトーチ22を前回と同じスタート位置に戻すことによって、次回のアーク溶接のための初期高さ位置調整を省くこともできる。
上記のような位置合わせないし初期高さ位置調整が済むと(図5Aの(a))、装置本体10内の制御部の制御の下で、昇降タワー30の昇降駆動部が作動して、直進可動部材34をスタート位置から上記ストロークHMだけ垂直に下ろす(t=t0〜t2)。
こうしてトーチ22が下降し、その途中でシールドガスSGの供給が開始される(t=t1)。そして、トーチ22がトーチ電極42の先端42aの初期高さ位置Hcに等しい距離だけ下降すると(t=t2)、トーチ電極42の先端42aが被溶接材Wに当接し、トーチボディ38の下降移動はここで止まる(図5Aの(b))。しかし、昇降駆動部の下降駆動はさらに続いて、直進可動部材34はコイルばね35を収縮変形させながらさらに下降する。そして、直進可動部材34の下降移動量が設定値HMに達すると(t=t3)、昇降駆動部の下降駆動が停止し、直進可動部材34の下降移動も止まる。
このように、トーチ電極42の先端42aの初期高さ位置Hcと直進可動部材34の下降ストロークHMとの差δH(δH=HM−Hc)が、コイルばね35の収縮変形によって補償される。このため、トーチ電極42の先端42aは、その初期高さ位置Hcにばらつきがあっても、安定確実に被溶接材Wに当接することができる。
こうしてトーチ電極42の先端42aが被溶接材Wに加圧接触している状態の下で、装置本体10内で溶接電源回路EDCのスイッチSWがそれまでのオフ状態からオン状態に切り換えられる(t=t4)。そうすると、溶接電源回路EDCより直流電圧がトーチ電極42と被溶接材Wとの間に印加される。これにより、溶接電源回路EDC→ホース36内のトーチケーブル37→トーチ電極42→溶接継手WJ→端子部材W1,W2→接触子C1,C2→アースケーブル54→オン状態のスイッチSW→溶接電源回路EDCの経路(閉回路)で、通電開始の直流電流つまりスタート電流i1が流れる(図5Aの(c))。なお、溶接電源回路EDCは、その正極の出力端子がアースケーブル54および接触子C1,C2を介して被溶接材(W1,W2)に接続され、負極の出力端子がトーチケーブル37を介してトーチ電極42に接続されている。
この時、トーチ電極42の先端42aが被溶接材Wに接触しているので、電流i1の大きさに関係なくアークはまだ発生しない。しかし、この実施形態では、溶接電源回路EDCの出力電圧を制御することにより、スタート電流i1の電流値を一定範囲に制御する。すなわち、トーチ電極42の寿命を延ばすには、そのままトーチ電極42の先端42aを被溶接材Wから引き離した時に被溶接材Wを溶かさない程度の弱い放電しか起こさない小さな電流値(通常20A以下)が好ましい。一方で、トーチ電極42の先端42aを被溶接材Wから引き離してアーク溶接にふさわしい高熱のアーク放電を安定確実に発生させるには、この段階(接触状態)の通電において被溶接材Wの溶接継手WJに相当のジュール熱を発生させておく必要がある。この実施形態では、これら両面の観点から、スタート電流i1の電流値を10〜20Aの範囲に制御する。
こうしてトーチ電極42の先端42aが被溶接材Wに加圧接触している状態の下で通電を開始した後に、装置本体10より直進可動部材34のプランジャソレノイド58,60に励磁電流が供給される(t=t5)。そうすると、両プランジャソレノイド58,60が作動(往動)し、トーチボディ38を挟み付けて直進可動部材34に固定する。このような両者(34,38)の固定または一体化により、直進可動部材34とばね受け部64との距離間隔はコイルばね35に抗してその時の値LSに固定され(図5Bの(d))、コイルばね35の長さもその時の値に固定される。
こうして、スタート電流i1を流したまま、かつトーチボディ38を直進可動部材34に固定したまま、昇降タワー30内の昇降駆動部が上昇駆動を開始し(t=t6)、昇降支持軸32および直進可動部材34をアーク放電用の設定離間距離HS(たとえば1mm)に等しいストロークだけ上方に移動させる。すると、トーチボディ38も直進可動部材34と一体に同じストロークだけ上方に移動する結果、トーチ電極42の先端42aは被溶接材Wから設定離間距離HSだけ引き離され、その高さ位置で静止する(t=t7)。
そして、このトーチ電極42の引き離しと同時に(t=t6〜)、または引き離しが完了した後に(t=t8)、溶接電源回路EDCの出力電圧が上昇して、上記閉回路内で流れる電流をそれまでのスタート電流i1よりも一段と大きいアーク放電用の正規の直流電流または主電流i2に切り換える。この主電流i2の電流値は、溶接継手WJを溶かすのに十分な高熱のアークを発生させる値(通常30A以上)に選ばれる。
こうして、主電流i2が流れている間は、トーチ電極42(特に先端42a付近)と溶接継手WJとの間でアークACが持続し、溶接継手WJはアークACの熱によって溶融する(図5Bの(e))。なお、主電流i2の電流値を始終一定値に保ってもよいが、溶接継手WJの溶融を促進するために、途中で主電流i2の電流値をさらにステップ的または漸次的に増大させるような電流波形制御(あるいは逆にダウンスロープの電流波形制御)を用いることも可能である。
そして、通電開始から所定の時間(通常2〜3sec)が経過すると、装置本体10内でスイッチSWがオフ状態に切り換えられる(t=t9)。スイッチSWがオフして主電流i2が切られると、その瞬間にアークは消滅する。直後にシールドガスSGの供給も止められる(t=t10)。アークが消滅すると、溶接継手WJの溶融部分が大気中の自然冷却によって直ぐに凝固する。こうして、端子部材W1,W2は溶接継手WJにて一体またはひと固まりに溶接接合される(図5Bの(f))。
溶接ヘッド12においては、アークが消滅した直後(t=t11)、昇降駆動部の上昇駆動により、直進可動部材34がスタンバイ用の高さ位置または次回のスタート位置まで上昇する。この時、トーチボディ38も直進可動部材34と同じ距離だけ上昇し、トーチ電極42の先端42aは初期高さ位置Hcよりも幾らか高い位置HGまで移動する。この直後、プランジャソレノイド58,60の励磁電流が切られる(t=t12)。すると、両プランジャソレノイド58,60が復動して、トーチボディ38から離れる。これにより、トーチボディ38は、直進可動部材34に一体に固定されていた拘束状態から開放され、コイルばね35の弾性復元力(伸長)により幾らか下降する。こうして、トーチ電極42の先端42aが一定範囲内の誤差を伴って初期高さ位置Hcにセットされる(t=t13)。
上述したように、この実施形態におけるTIG溶接装置は、昇降タワー30の昇降駆動部に結合されている直進可動部材34とトーチ電極42を保持するトーチボディ38との間に、トーチボディ38の軸方向で伸縮変形可能なコイルばね35を設けている。タッチスタート方式のTIG溶接を行うときは、昇降駆動部により直進可動部材34を一定のストローク(トーチ電極42の先端42aの初期高さ位置Hcよりも確実に大きいストローク)HMだけ下降させて、コイルばね35をその差分δH(δH=HM−Hc)だけ収縮変形させることにより、初期高さ位置Hcのばらつきに関係なく、トーチ電極42の先端42aを被溶接材Wに安定確実に加圧接触させるようにしている。
そして、その加圧接触状態の下で通電を開始し、直後(または直前)に固定部のプランジャソレノイド58,60を作動(往動)させることによって、トーチボディ38をコイルばね35に抗してその時の相対的位置関係で直進可動部材34に固定する。次いで、通電を持続したまま、トーチボディ38を直進可動部材34と一体に所望のストロークつまりアーク放電に最適な離間距離HSに等しいストロークだけ引き上げることで、トーチ電極42の先端42aを確実に同距離HSだけ被溶接材Wから引き離すことができる。これにより、アークの長さおよび集中性を常に設定通りに制御することが可能であり、アーク溶接の再現性および溶接品質を向上させることができる。
さらに、この実施形態では、トーチ電極42の先端42aを被溶接材Wに接触させている時に流すスタート電流i1を小さめの電流値(10〜20A)に制御し、トーチ電極42の先端42aを被溶接材Wから引き離してから流す主電流i2をアーク溶接に適した比較的大きめの電流値(30A以上)に制御するので、タッチスタートを繰り返し行うことに因るトーチ電極42の損傷や消耗を少なくし、電極寿命を延ばすことができる。
なお、この実施形態におけるトーチ昇降機構は、トーチ22を上述したように鉛直方向で移動させる場合はもちろん、斜め方向または横方向で移動させる場合にも使える。
[実施形態2]
次に、図7Aおよび図7Bを参照して、本発明の第2の実施形態におけるTIG溶接装置について説明する。この第2の実施形態において、上述した第1の実施形態と異なるのは、主にトーチ22を上下方向で移動させる昇降機構の構成および作用である。そのほかは、上述した第1の実施形態と大体同じである。
この実施形態における直進可動部材34'は、上記第1の実施形態と同様にトーチボディ38を鉛直方向で移動可動に通す貫通孔56を有しているが、ソレノイド(58,60)を備えていない。
一方、トーチボディ38には、直進可動部材34'よりも高い位置でそれと分離可能に連結する鍔状またはフランジ状の連結部80が固着または一体形成されている。トーチボディ38は、トーチ電極42の先端42aが空中に浮いている限り、連結部80を介して直進可動部材34'の上に乗り掛かり、直進可動部材34'と一体に上下移動する。しかし、トーチ電極42の先端42aが物体(特に被溶接材W)に載っている時は、直進可動部材34'が下降してもトーチボディ38はそれに追従せずに該物体の上で不動の姿勢を保つことができる。この時、直進可動部材34'は連結部80から下方に離れることができる。
さらに、この実施形態では、連結部80と直進可動部材34'との間の相対的な位置または距離を測定するためのセンサ82が備わっている。図示のセンサ82は、垂直リニアスケールからなり、連結部80の側面に取り付けられている鉛直方向に延びる目盛部84と、この目盛部84を直進可動部材34'の高さ位置に応じたレベルで光学的に読み取るように昇降支持軸32に取り付けられている目盛読取部86とを有している。目盛読取部86は、反射式の光学センサからなり、電気ケーブル(図示せず)を介して装置本体10内の制御回路に電気的に接続されている。
この実施形態においても、アーク溶接を開始する前に、XYステージ24およびθステージ26(図1)により水平面内の位置合わせが行われ、被溶接材W(W1,W2)の溶接継手WJまたは溶接ポイントがトーチ電極42の真下に位置決めされる。また、高さ方向においては昇降タワー30(図1)によりトーチ22のスタート位置が調整され、トーチ電極42の先端42aの初期高さ位置(被溶接材Wからの初期離間距離)Hcが一定の範囲[Ha〜Hb]内に収められる。この時、直進可動部材34'は、その上面を連結部80の下面に付けた状態でトーチボディ38を坦持している(図7Aの(a))。
そして、アーク溶接を実行する時は、始めにタッチスタートを行うために、昇降タワー30の昇降駆動部が作動して、初期高さ位置Hcよりも確実に大きい一定のストロークHM(Hb<HM)だけ直進可動部材34'を下ろす。これによって、トーチ22が下降し、その途中でシールドガスSGの供給が開始される。そして、トーチ電極42の先端42aの初期高さ位置Hcに等しい距離だけトーチ22が下降すると、トーチ電極42の先端42aが被溶接材W(W1,W2)に当接し、トーチボディ38の下降はここで止まる。しかし、昇降駆動部の下降駆動はさらに続き、直進可動部材34'が連結部80から分離してさらに下降する。そして、直進可動部材34'の下降移動量が設定値HMに達した時に、昇降駆動部の下降駆動が停止し、直進可動部材34'の下降も止まる。装置本体10内の制御部は、センサ82を通じて、下降終了後の直進可動部材34'と連結部80との離間距離DEを測定することができる。この離間距離DEは、トーチ電極42の先端42aの初期高さ位置Hcと下降ストロークの設定値HMとの差δH(δH=HM−Hc)に等しい。
こうして、トーチボディ38が直進可動部材34'から独立(分離)して被溶接材W上で起立するようになる(図7Aの(b))。この時、被溶接材Wにはトーチ22の自重が加わる。
このように、トーチ電極42の先端42aの初期高さ位置Hcと直進可動部材34の下降ストロークHMとの差δH(δH=HM−Hc)が、直進可動部材34'のトーチボディ38からの離間下降によって補償される。このため、トーチ電極42の先端42aは、その初期高さ位置Hcにばらつきがあっても、安定確実に被溶接材Wに当接することになる。
こうしてトーチ電極42の先端42aが被溶接材Wに接触している状態の下で、上述した第1の実施形態と同様に、装置本体10内で溶接電源回路EDCのスイッチSWがそれまでのオフ状態からオン状態に切り換えられ、トーチ電極42および溶接継手WJを含む閉回路内で通電開始の直流電流つまりスタート電流i1が流れる。この場合も、スタート電流i1の電流値は10〜20Aの範囲に制御される。
そして、スタート電流i1を流したまま、装置本体10内の制御部の制御の下で、昇降タワー30内の昇降駆動部が上昇駆動を開始し、昇降支持軸32および直進可動部材34'を所定のストロークHFだけ上方に移動させる。ここで、このストロークHFは、直前にセンサ82により測定された直進可動部材34'および連結部80間の離間距離DEと、アーク放電のためのトーチ電極42の先端42aおよび被溶接材W間の設定離間距離HSとを足し合わせた距離に等しい。すなわち、HF=DE+HSである。直進可動部材34'は、上記離間距離DEだけ上昇したところで連結部80に下から当接し、その後はトーチボディ38を担いだまま設定離間距離HSに等しい距離だけ上昇して止まる。
こうして、スタート電流i1を流したままトーチ電極42の先端42aを被溶接材Wから設定距離HSだけ引き離した後に(または引き離しながら)、上述した第1の実施形態と同様に、溶接電源回路EDCの出力電圧が上昇して、上記閉回路内で流れる電流をそれまでのスタート電流i1よりも一段と大きい主電流i2に切り換える。この場合も、主電流i2は、溶接継手WJを溶かすのに十分な高熱のアークを発生させる電流値(通常30A以上)に制御される。
こうして、主電流i2が流れている間は、トーチ電極42(特に先端42a付近)と溶接継手WJとの間でアークACが持続し、溶接継手WJはアークACの熱によって溶融する(図7Bの(c))。
そして、通電開始から所定の時間が経過すると、装置本体10内でスイッチSWがオフ状態に切り換えられ、アークが消滅する。直後にシールドガスSGの供給も止められる。アークが消滅すると、溶接継手WJの溶融部分が大気中の自然冷却によって直ぐに凝固する。こうして、端子部材W1,W2は溶接継手WJにて一体またはひと固まりに溶接接合される(図7Bの(d))。
溶接ヘッド12においては、アークが消滅した直後に、昇降駆動部の上昇駆動により、直進可動部材34'がスタンバイ用の高さ位置または次回のスタート位置まで上昇する。トーチボディ38は直進可動部材34と同じ距離だけ上昇し、トーチ電極42の先端42aが一定範囲内の誤差を伴って初期高さ位置Hcにセットされる。
上述したように、この実施形態におけるTIG溶接装置は、トーチ電極42を保持するトーチボディ38を昇降駆動部に結合されている直進可動部材34'の貫通孔56にトーチボディ38の軸方向(鉛直方向)で移動可能に通し、直進可動部材34'よりも高い位置でそれと分離可能に連結する連結部80をトーチボディ38に固着または一体形成している。また、タッチスタート方式においてトーチ電極42と被溶接材Wとの間で通電を開始するためにトーチ電極42の先端42aを被溶接材Wに接触させているときの連結部80と直進可動部材34'との間の相対的な位置または距離DEを測定するセンサ82を備えている。
タッチスタート方式のTIG溶接を行うときは、昇降駆動部により直進可動部材34'を一定のストローク(トーチ電極42の先端42aの初期高さ位置Hcよりも確実に大きいストローク)HMだけ下降させて、直進可動部材34'をその差分δH(δH=HM−Hc)だけトーチボディ38よりも余分に降下させることにより、初期高さ位置Hcのばらつきに関係なく、トーチ電極42の先端42aを被溶接材Wに自重で接触させるようにしている。
そして、その接触状態の下で通電を開始してから、直進可動部材34'を一定のストローク(直前にセンサ82により測定された直進可動部材34'および連結部80間の離間距離DEと、アーク放電のためのトーチ電極42の先端42aおよび被溶接材W間の設定離間距離HSとを足し合わせた距離)HFだけ上昇させることで、トーチ電極42の先端42aを確実に設定離間距離HSだけ被溶接材Wから引き離すことができる。これにより、アークの長さおよび集中性を常に設定通りに制御することが可能であり、アーク溶接の再現性および溶接品質を向上させることができる。
さらに、この実施形態でも、トーチ電極42の先端42aを被溶接材Wに接触させて通電を開始する時に流すスタート電流i1を小さめの電流値(10〜20A)に制御し、トーチ電極42の先端42aを被溶接材Wから引き離してから流す主電流i2をアーク溶接に適した比較的大きめの電流値(30A以上)に制御するので、タッチスタートを繰り返し行うことに因るトーチ電極42の損傷や消耗を少なくし、電極寿命を延ばすことができる。
なお、この実施形態におけるトーチ昇降機構は、トーチ22の自重を利用して被溶接材Wに接触させるので、トーチ22を鉛直方向で移動させる場合でしか使えない。
[実施形態3]
次に、図8A〜図9を参照して、本発明の第3の実施形態におけるTIG溶接装置について説明する。この第3の実施形態において、上述した第1の実施形態と異なるのは、被溶接材W(W1,W2)が重ね合わせの継手形態を有することと、溶接ヘッド(特にトーチノズルおよびその回り)の構成および作用である。そのほかは、上述した第1の実施形態と大体同じである。
この実施形態では、図8Aに示すように、トーチボディ38の先端部に、導体たとえば銅からなる円筒状または円錐状のトーチノズル88をトーチボディ38の軸方向で移動可動に取り付けている。より詳しくは、トーチノズル88は、その上端部ないし中間部にてトーチボディ38の下端部に軸方向で摺動可能に嵌まっている。一方、トーチボディ38にはトーチノズル88より高い位置に鍔状またはフランジ状の上部ノズルばね受け部90が固着または一体形成されている。トーチノズル88の上端部には円筒状のノズル支持部材92の下端が結合されている。このノズル支持部材92の上端に下部ノズルばね受け部94が固定または一体形成合され、この下部ノズルばね受け部94と上部ノズルばね受け部90との間に第2コイルばね96がトーチボディ38と同軸に設けられている。第2コイルばね96の上端は上部ノズルばね受け部90に固定され、下端は下部ノズルばね受け部94に固定されている。
トーチノズル88の外周面には端子98が取り付けられている。この端子98は、アースケーブル54を介して装置本体10内の溶接電源回路EDCの正極出力端子に接続されている。トーチボディ38内では、トーチボディ38の円筒下端部38aの内壁に雌ネジ38bが形成され、この雌ネジ38bにコレットボディ68の雄ネジ68aが螺合している。図8Aに示すように、トーチ22がスタート位置で待機している時は、トーチ電極42の先端42aがトーチノズル88の先端よりも所定値HRだけ内奥(上方)に位置している。この高低差HRは、アーク放電用の離間距離HSよりも大きな値に設定される。
この実施形態においても、アーク溶接を開始する前に、XYステージ24およびθステージ26(図1)により水平面内の位置合わせが行われ、被溶接材W(W1,W2)の溶接継手WJまたは溶接ポイントがトーチ電極42の真下に位置決めされる。また、スタート位置の高さ調整により、トーチ電極42の先端42aの初期高さ位置(被溶接材Wからの初期離間距離)Hcが一定の範囲[Ha〜Hb]内に収められる。
そして、アーク溶接を実行する時は、装置本体10内の制御部の制御の下で、昇降タワー30の昇降駆動部が上述した第1の実施形態と同じ下降駆動を行い、直進可動部材34を一定のストローク(トーチ電極42の先端42aの初期高さ位置Hcよりも確実に大きいストローク)HMだけ下降させる。そうすると、第1の実施形態と同様に、トーチ電極42の先端42aが被溶接材Wに着いた後も直進可動部材34が第1コイルばね35を収縮変形させながらさらにδH(δH=HM−Hc)だけ下降する。これにより、初期高さ位置Hcのばらつきに関係なく、トーチ電極42の先端42aが被溶接材Wに安定確実に加圧接触する。
ただし、この実施形態では、直進可動部材34が上記一定ストロークHMの下降移動を行う時は、トーチ電極42の先端42aよりも先にトーチノズル88の先端が被溶接材Wに当接し、この時から直進可動部材34の下降が止まる時まで第2コイルばね96が収縮変形する。この間に、トーチ電極42の先端42aが被溶接材Wに当接し、直進可動部材34は第1コイルばね35を収縮変形させながらさらに下降する。そして、直進可動部材34の下降ストロークが設定値HMに達した時に、昇降駆動部の下降駆動が停止し、直進可動部材34の下降も止まる。
こうして、トーチ電極42の先端42aが被溶接材Wに接触している状態の下で、上述した第1の実施形態と同様に、装置本体10内で溶接電源回路EDCのスイッチSWがそれまでのオフ状態からオン状態に切り換えられ、溶接電源回路EDC→ホース36内のトーチケーブル37→トーチ電極42→溶接継手WJ→トーチノズル88→端子98→アースケーブル54→オン状態のスイッチSW→溶接電源回路EDCの経路(閉回路)で通電開始の直流電流つまりスタート電流i1が流れる(図8B)。この場合も、スタート電流i1の電流値は10〜20Aの範囲に制御される。そして、通電開始後に、直進可動部材34のプランジャソレノイド58,60が作動(往動)して、トーチボディ38を直進可動部材34に固定する。
こうして、スタート電流i1を流したまま、かつトーチボディ38を直進可動部材34に固定したまま、昇降タワー30内の昇降駆動部が上昇駆動を開始し、昇降支持軸32および直進可動部材34をアーク放電用の設定離間距離HSに等しいストロークだけ上方に移動させる。そうすると、トーチボディ38も直進可動部材34と一体に同じストロークだけ上方に移動する結果、トーチ電極42の先端42aは被溶接材Wから設定離間距離HSだけ引き離される。
この時、トーチボディ38の上昇ストローク(HS)は、トーチ電極42の先端42aとトーチノズル88の先端との間の初期高低差HRを超えない。このため、第2コイルばね96はまだ収縮状態にあり、したがってトーチノズル88の先端はまだ被溶接材Wに接触している。
こうしてトーチ電極42の先端を被溶接材Wから引き離した後(または引き離しながら)、第1の実施形態と同様に、溶接電源回路EDCの出力電圧が上昇して、上記閉回路内で流れる電流をそれまでのスタート電流i1よりも一段と大きいアーク放電用の正規の直流電流または主電流i2に切り換える。この場合も、主電流i2は、溶接継手WJを溶かすのに十分な高熱のアークを発生させる電流値(通常30A以上)に選ばれる。
こうして、主電流i2が流れている間は、トーチ電極42(特に先端42a付近)と溶接継手WJとの間でアークACが持続し、溶接継手WJはアークACの熱によって溶融する(図8C)。
この実施形態では、トーチノズル88がトーチ電極42の周囲で被溶接材Wの溶接継手WJにシールドガスを噴射するだけでなく、そのリング状の下端が通電用の接触子として溶接継手WJに接触するので、通電中はトーチ電極42の下端42aの周りで放射状(または逆放射状)に電流i(i1,i2)が流れる。これにより、トーチ電極42の下端42aを溶接継手WJから引き離した時に、トーチ電極42の下端42aと接触点(溶接ポイント)付近との間で縦方向に流れる電流に対して、溶接継手WJを横方向に流れる電流の作る磁界が与える磁気力は、周回(θ)方向において全方位均一で偏りがない。このため、アークACが所望の溶接ポイントから横にずれることや曲がるようなことがない。このことによって、重ね継手の溶接に際して、アークを所望の溶接ポイントで安定確実に発生させて、アーク溶接のばらつきを少なくし、溶接品質を向上させることができる。
そして、通電開始から所定の時間が経過すると、装置本体10内でスイッチSWがオフ状態に切り換えられ、アークが消滅する。直後にシールドガスSGの供給も止められる。アークが消滅すると、溶接継手WJの溶融部分が大気中の自然冷却によって直ぐに凝固する。こうして、端子部材W1,W2は溶接継手WJにて一体またはひと固まりに溶接接合される。
溶接ヘッド12においては、第1の実施形態と同様に、アークが消滅した直後に、昇降駆動部の上昇駆動により、直進可動部材34がスタンバイ用の高さ位置または次回のスタート位置まで上昇する。その際、直進可動部材34の上昇移動中に、トーチノズル88の先端が溶接継手WJから引き離され、トーチノズル88は第2コイルばね96を介してトーチボディ38と一体に上昇する。そして、直進可動部材34の上昇移動が終了し、固定部のプランジャソレノイド58,60が復動した後は、溶接ヘッド12の各部、特にトーチ22の下端部の各部は図8Aに示す状態に戻る。
この第3の実施形態におけるトーチノズル88およびその回りの構成(90〜96)は、第1の実施形態から独立して種種のTIG溶接装置に適用可能であり、たとえば直動可動部材34に固定部(ソレノイド)を備えないTIG溶接装置にも適用可能である。
[他の実施形態又は変形例]
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明を限定するものではない。当業者にあっては、具体的な実施態様において本発明の技術思想および技術範囲から逸脱せずに種々の変形・変更を加えることが可能である。
たとえば、上記実施形態のTIG溶接機は、溶接ヘッド12のステージ18に自動位置合わせ機構(XYステージ24、θステージ26)を備える。しかし、ステージ18を手動式の可動ステージに構成することや、あるいは固定式のステージ18上でワークまたは電気部品支持体Sの位置合わせを手動で行うことも可能である。
上記実施形態における各コイルばね35,96を実質的に同一の機能を奏する複数のコイルばねあるいは他の種類のばね部材に置き換えることも可能であり、ばね部材として空気ばねを使用してもよい。また、上記実施形態における固定部のプランジャソレノイド58,60を実質的に同一の機能を奏する別構造のプランジャソレノイドあるいは他の種類のソレノイドに置き換えることも可能である。
溶接継手WJにおいて、端子部材W1,W2の材質は銅または銅合金に限定されず、たとえばアルミニウムまたはアルミニウム金合や真鍮等の導体であってもよく、端子部材W1の材質と端子部材W2の材質が異なっていてもよい。また、端子部材W1,W2の形状も任意でよく、たとえば断面が矩形の棒体または板体に限らず断面が円形の棒体または板体であってもよい。