JP5996372B2 - 端子部材溶接方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電気回路の配線接続に使用される端子部材の溶接方法に係り、特にTIG溶接法を用いる端子部材溶接方法に関する。
電気回路は、電気の供給源となる電源や電気を利用して一定の機能を果たす電気部品等を配線で接続して構成されており、電気回路の構築には配線接続または結線の作業が必ず必要になる。一般に、ディスクリートな端子部材同士の接続には、溶接、ハンダ付け、圧着、圧接等が用いられている。これらの結線方法の中で安定性、信頼性、永久性に最も優れているのは溶接である。
従来より、この種の端子部材の溶接には、アーク溶接、抵抗溶接およびYAGレーザ溶接が多く用いられている。もっとも、端子部材の材質が銅または銅合金である場合は、銅の抵抗率が低い(したがって抵抗発熱が低い)ために抵抗溶接の適用は難しく、またYAGレーザの基本波長(1064nm)に対して銅の反射率が高い(したがってレーザエネルギーの吸収が少ない)ためにYAGレーザの適用も難しいことから、電気の放電現象(アーク放電)を利用するアーク溶接法が多く用いられている。特に、小型の電気部品が含まれる電気回路の端子部材溶接では、非消耗型のトーチ電極(タングステン電極棒)を使用するTIG溶接法が主流になっている。
国際公開WO2010/018778号公報
非消耗型のトーチ電極を使用するTIG溶接法において、アーク放電を開始させる手法には、スタート時に高周波放電によって絶縁破壊を起こしてアークに移行させる高周波発生方式と、スタート時だけトーチ電極と母材との間に10kV以上の高電圧を印加して絶縁破壊を起こしアークに移行させる直流高電圧印加方式と、高周波を使わずにトーチ電極を母材に接触させて通電を開始した後引き離してアーク放電を発生させるタッチスタート(または、リフトスタート)方式の3種類がある。高周波発生方式や直流高電圧印加方法は、高周波または高電圧を発生する電源を必要とするために溶接機のコストが高くつくことや、高周波または高電圧のノイズが当該電気回路の電気部品や周囲の電子機器に悪い影響を及ぼすことが、多くの溶接現場で嫌がられている。この点、タッチスタート方式は、高周波電源を使用しないため、溶接機のコストを下げることができるうえ、高周波ノイズの問題がない。
しかしながら、タッチスタート方式のTIG溶接法を用いる従来の端子部材溶接方法においては、トーチ電極の先端が母材とのタッチ(当接)を繰り返すうち丸く変形しやすい。トーチ電極の先端が丸く変形すると、アークの集中性が劣化して、母材の溶け込み深さが減少し、溶接品質が低下する。そこで、溶接現場では、トーチ電極の先端形状を予め規定したシャープな円錐形状に研磨するための専用の電極研磨機を備えており、この電極研磨機を用いて電極先端部の研磨を短い周期で頻繁に実施することにより、溶接品質を維持する生産管理が行われている。しかし、トーチ電極の研磨が頻繁に行われることで、トーチ電極(タングステン電極棒)が早く消耗し、ランニングコストが嵩むことや、電極研磨の度に溶接作業が中断して生産効率の低下を来すことが、現実の課題となっている。
本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決するものであり、タッチスタート方式のTIG溶接法を適用しつつ、トーチ電極の先端形状の変形を少なくして、トーチ電極の研磨または消耗を抑制し、ランニングコストの低減と溶接品質および生産性の安定維持管理を実現する端子部材溶接方法を提供する。
本発明の端子部材溶接方法は、電気回路を結線するための第1および第2の端子部材をTIG溶接法で溶接する端子部材溶接方法であって、前記第1および第2の端子部材を合わせて母材継手を形成する第1の工程と、前記母材継手の隙間にトーチ電極の先端を差し込む第2の工程と、前記母材継手の隙間に前記トーチ電極の先端が差し込まれた状態の下で、前記トーチ電極の周囲にシールドガスを供給しながら、前記トーチ電極と前記第1および第2の端子部材との間に電源電圧を印加して通電を開始する第3の工程と、前記シールドガスの供給と前記通電を継続しながら、前記トーチ電極の先端を前記母材継手の隙間から抜いて、前記トーチ電極と前記母材継手との間でアークを発生させ、前記アークの熱によって前記母材継手を溶かす第4の工程と、前記アークを消滅させて前記母材継手の溶融部を凝固させる第5の工程とを有する。
本発明の端子部材溶接方法においては、トーチ電極の先端を溶接継手の隙間に差し込み、シールドガス供給しながら、この状態で通電を開始し、それからトーチ電極の先端を溶接継手の隙間から抜くことによって、アークを発生させる。このようなタッチスタート方式によれば、トーチ電極は溶接継手の表面に当接するのではなくて隙間に出入りするので、タッチスタートが繰り返し行われても電極の先端が簡単に潰れることなく(丸く変形せずに)シャープな円錐形状を長い間保つことができる。このことにより、トーチ電極の消耗を少なくし、ランニングコストを下げることができる。また、トーチ電極の先端を頻繁に研磨しなくて済むので、電極研磨のために溶接作業を中断する回数が減り、端子部材溶接または結線作業の効率を向上させることができる。さらには、トーチ電極の先端が溶接継手の隙間に出入りする際に擦れてその表面が磨かれるため、アークの集中性が良好に維持されるとともに、いわゆる這い上がりが抑制され、溶接品質の安定維持も図れる。
本発明の好適な一態様によれば、第2の工程において、トーチ電極の先端がトーチ電極の自重を利用して溶接継手の隙間に無理なく差し込まれる。
また、別の好適な一態様においては、トーチ電極側から見て溶接継手の隙間の入口付近に、トーチ電極の先端を隙間に案内するための溝部が形成される。好ましくは、この溝部の幅はトーチ電極の直径よりも小さくて溶接継手の隙間の5倍以下であり、この溝部の深さは溝部の幅の3倍以下である。
本発明の端子部材溶接方法によれば、上記のような構成および作用を有することにより、タッチスタート方式のTIG溶接法を適用しつつ、トーチ電極の先端形状の変形を少なくして、電極の研磨または消耗を抑制し、ランニングコストの低減と溶接品質および生産性の安定維持管理を実現することができる。
本発明の端子部材溶接方法を実施するために使用可能なTIG溶接機の全体構成を示す斜視図である。 実施形態における母材の一例を示す斜視図である。 実施形態におけるトーチ電極および母材の好適な条件を説明するための側面図である。 実施形態におけるトーチの要部の構成を示す部分断面図である。 実施形態におけるトーチ支持機構の構成および作用を示す一部断面側面図である。 一変形例におけるトーチ支持機構の構成および作用を示す一部断面側面図である。 実施形態におけるTIG溶接機の各部の動作を説明するためのタイミング図である。 実施形態における端子部材溶接方法の各段階の状態を示す図である。 実施形態における端子部材溶接方法の各段階の状態を示す図である。 実施形態において溶接継手の隙間の入口に設けられる溝部の一例を示す側面図である。 上記溝部の別の例を示す側面図である。
以下、添付図を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
図1に、本発明の端子部材溶接方法を実施するために使用可能なTIG溶接機の全体構成を示す。
このTIG溶接機は、直流式の溶接電源回路および制御回路等を内蔵したユニット形態の装置本体10と、この装置本体10からの用力の供給と制御の下で電気部品支持体(たとえばアッセンブリまたは回路基板)S上の被溶接材または母材WにTIG溶接を施す溶接ヘッド12と、シールドガスまたは不活性ガス(たとえばアルゴンガス)の供給源たとえばガスボンベ14とを有する。
溶接ヘッド12は、板状のベース16にステージ18とトーチスタンド20を併設し、トーチスタンド20にTIG溶接用のトーチ22を昇降可能に搭載している。より詳しくは、ステージ18は、電気部品支持体Sを水平面内のXY方向で移動させるためのXYステージ24と、電気部品支持体Sを水平面内の方位角方向(θ方向)で移動させるためのθステージ26とを有している。トーチスタンド20に固定されている台28の上に昇降機構(図示せず)を内蔵した昇降タワー30が設けられ、この昇降タワー30に昇降駆動軸32およびトーチ支持体34を介して棒状のトーチ22が鉛直方向に起立した姿勢で上下移動可能に取り付けられている。
水平方向においてトーチ22の位置は固定されている。装置本体10よりケーブル25を介して送られてくる制御信号の下でXYステージ24およびθステージ26がXY方向の移動動作およびθ方向の移動(回転)動作をそれぞれ行うことにより、ステージ18に載置されている電気部品支持体S上でTIG溶接の対象となる母材Wをトーチ22の直下に高い精度で位置決めすることができる。
トーチ22は、装置本体10よりトーチケーブル内蔵のホース36を介してTIG溶接用の電力と不活性ガスの供給を受けるようになっており、絶縁体たとえば樹脂からなる円筒状のトーチボディ38とこのトーチボディ38の下端部に着脱自在に取り付けられる円筒状または円錐状のトーチノズル40とを有し、トーチボディ38およびトーチノズル40の中にトーチ電極(タングステン電極棒)42を着脱自在に装着し、トーチノズル40の下端よりわずかに(通常2〜3mm)トーチ電極42の先端部42aを突出させている。トーチ22の構成については、後に詳しく説明する。
装置本体10は、ユニット正面に表示器44、操作ボタン46および電源スイッチ48等をタッチパネル形式で配置し、ユニット側面または背面に外部接続端子またはコネクタ類50を配置している。ガスボンベ14よりホース15に送出されるシールドガスは、装置本体10を経由してトーチ22に供給されるようになっている。
図2に、この実施形態における母材Wの一例を示す。この母材Wは、たとえば銅または銅合金からなる2つの棒状または板状の端子部材W1,W2を電気部品支持体S(図1)上で水平方向に延びている絶縁体(たとえば樹脂製)の電極支持体52の貫通孔52aに通し、両端子部材W1,W2のそれぞれの上端面(頂面)を略面一に揃えてそれぞれの上端部を一体に合わせたものである。この一体に合わさった端子部材W1,W2の上端部が、溶接継手WJを形成する。各端子部材W1,W2の他端(図示せず)は、電気部品支持体S上に搭載されている電気部品(図示せず)に通じている。
なお、溶接継手WJを避けて、端子部材W1,W2には、アース電極を構成する一対の接触子(コンタクト)C1,C2が左右両側から着脱可能に接触する。これらの接触子C1,C2は、アースケーブル54を介して装置本体10内の電源回路に接続されている。
通常の母材Wにおいては、図3に示すように、両端子部材W1,W2の接触界面に必ず幾らかの隙間gが存在する。この実施形態において、直径φが1mm〜3mmで、先端のテーパ角αが60°以下のトーチ電極42を使用する場合は、好ましくは0.03mm〜0.2mmの隙間gが形成されるように、両端子部材W1,W2を合わせるのが望ましい。
また、両端子部材W1,W2のそれぞれの上端面は厳密に面一に揃っているのが好ましいが、通常は誤差または段差hが0.1mm以下であれば実用上十分である。
図4に、トーチ22の要部(下端部)の構成を示す。トーチボディ38内には、タングステンまたはタングステン合金からなる棒状のトーチ電極42を中心部つまりトーチ22の軸心で保持するためのすり割り付きのコレット56が設けられている。このコレット56は、コレットボディ58に内挿されている。コレット56は、コレットボディ58の反対側の端部に設けられた締め付けネジ(図示せず)を締めることによって、すり割り部がコレットボディ58内部のテーパ部に押し付けられる。これにより、すり割り部が口径を狭める方向に変形してトーチ電極42を狭着(保持)するようになっている。また、コレットボディ58の外周面にはネジ山58aが形成されている。このネジ山58aは、トーチノズル40の内周面に形成されているネジ山40aと螺合する。
コレット56とコレットボディ58との間には、ホース36よりトーチボディ38の上部に導入されたシールドガスSGを下方に導く円筒状のガス通路60が形成されている。そして、コレットボディ58の下端部には周回方向に所定の間隔を置いて複数の通孔58bが形成されている。ガス通路60を下ってきたシールドガスSGは、通孔58bを通ってトーチ電極42とトーチノズル40との間の空間またはノズル室62に出て、このノズル室62の下端の出口つまり噴出口64から外に噴出するようになっている。トーチノズル40は、好ましくはセラミック(たとえばアルミナ)からなり、その内周面に失火防止用の薄板状または箔状の導体66を貼付している。
なお、この実施形態のトーチ22においては、図1および図5に示すように、板状のトーチ支持体34の貫通孔34aにコレットボディ38が通され、コレットボディ58の上部ないし中間部に固定された鍔状のフランジ68が支持体34の上面に載るようにして、コレットボディ38がトーチ支持体34に取り付けられる。このようなトーチ支持構造によれば、トーチ電極42の先端42aが空中に浮いている間は、昇降タワー30がトーチ支持体34を昇降移動させると、トーチ22はトーチ支持体34と一体に昇降移動する(図1)。しかし、トーチ電極42の先端42aが母材Wに着いてから、トーチ支持体34を下ろすと、図5に示すように、コレットボディ58のフランジ68がトーチ支持体34から分離して、トーチ22がトーチ支持体34から独立して母材W上で起立するようになる(図5)。この時、母材W側にはトーチ22の自重が加わる。このトーチ自重加圧方式は、後述するようにタッチスタートを行う際にトーチ電極42の先端42aを溶接継手WJの隙間gに無理なく安全に差し込めるという利点があり、この実施形態のようにトーチ22を鉛直方向で移動させる場合に有利である。
別の構成例として、図6に示すように、圧縮コイルバネ70を介して上下方向で弾力的に変位可能に結合される一対の平行支持板つまり上部支持板34Uおよび下部支持板34Lでトーチ支持体34を構成してもよい。この場合、上部支持板34Uは昇降駆動軸32に固定され、下部支持板34Lにコレットボディ58のフランジ68が固定される。このようなトーチ支持構造においては、トーチ電極42の先端42aが母材Wに着いてからも、トーチ22はトーチ支持体34(下部支持体34L)に結合されたままであり、昇降タワー30側より下向きの加圧力が加えられると、圧縮コイルバネ70のバネ力がトーチ22を介して母材Wに加えられる。このバネ加圧方式は、トーチ22を鉛直方向で移動させる場合はもちろん、斜め方向または横方向で移動させる場合にも使える。
次に、図7および図8を参照して、この実施形態におけるTIG溶接機の動作および端子部材溶接方法の作用を説明する。なお、図7において、トーチ電極先端の高さ位置の「0」は、溶接継手WJ(W1,W2)の上面の高さ位置に対応している。
先ず、溶接対象の母材W(W1,W2)を搭載している電気部品支持体Sがステージ18上に載置されている状態で、XYステージ24およびθステージ26が上記のように装置本体10の制御の下で位置合わせ動作を行う。この位置合わせ動作により、母材W(W1,W2)がトーチ電極42の真下に位置し、より正確には溶接継手WJ(W1,W2)の隙間gがトーチ電極42の先端42aと対向する(その真下に位置する)ようになる。通常は、電気部品支持体S上で溶接対象となっている全ての溶接継手WJにXY座標が割り当てられるので、オープンループ制御の位置合わせ動作を行ってよい。しかし、モニタカメラ等を用いてフィードバック制御の位置合わせ動作を行うことも可能である。
上記のような位置合わせが済むと、装置本体10の制御の下で、昇降タワー30の昇降機構が作動し、トーチ22を待機用の高さ位置(初期位置)HCから垂直下方に下ろす(t=t0〜t2)。そして、トーチ22を下ろしている最中に、シールドガスSGの供給が開始される(t=t1)。やがてトーチ電極42の先端42aが溶接継手WJの隙間gに触れると、その後もトーチ支持体34がさらに一定距離だけ下がることにより、トーチ22が支持体34から分離して溶接継手WJの隙間gに自重を加える。これによって、トーチ電極42の先端42aが溶接継手WJの隙間gに食い込んで程良い深さ(好ましくは0.1mm〜0.4mm)まで差し込まれる。この差し込み深さdは、トーチ22に付ける重り(図示せず)によって調整できる。
このようにトーチ電極42の先端42aが溶接継手WJの隙間gに食い込んでから(t=t3)、装置本体10内で直流溶接電源回路EDCの出力のスイッチSWがそれまでのオフ状態からオン状態に切り換えられる(t=t4)。これにより、直流溶接電源回路EDCの出力電圧がトーチ電極42と母材Wとの間に印加され、直流溶接電源回路EDC→ホース36内のトーチケーブル→トーチ電極42→溶接継手WJ→端子部材W1,W2→接触子C1,C2→アースケーブル25→オン状態のスイッチSW→直流溶接電源回路EDCの経路(閉ループ回路)で直流の電流(アーク電流)iDCが流れる。ただし、トーチ電極42の先端42aが溶接継手WJの隙間gに食い込んで接触しているので、この状態ではアークは発生しない。たとえば、直流溶接電源回路EDCの出力電圧を30Vに設定すると、30A程度のアーク電流iDCが流れる。
こうして、トーチ電極42の先端42aが溶接継手WJの隙間gに食い込んだ状態でアーク電流iDCが所定の電流値I1で流れることにより、トーチ電極42(特に先端42a付近)および溶接継手WJでかなりのジュール熱が発生する。
次に、所定のタイミングで(t=t5)、昇降タワー30の昇降機構がトーチ電極42を垂直上方に引き上げる。これにより、トーチ電極42が上昇し、その先端42aが溶接継手WJの隙間gから抜け出てギャップが形成されると(t=t6)、そのギャップでアーク(放電)ACが発生する。トーチ電極42が上昇するにつれて、つまりギャップが増大するにつれて、アークACは周囲に拡大する。トーチ電極42は、その先端42aが溶接継手WJから一定の距離(通常1mm〜2mm)を隔てる高さ位置HSまで引き上げられると(t=t7)、その位置で静止させられる。
こうして、トーチ電極42(特に先端42a付近)と溶接継手WJとの間でアークが持続し、溶接継手WJはアークACの熱によって溶融する。ここで、アーク電流iDCの電流値を始終一定値I1に保ってもよいが、溶接継手WJの溶融を促進するために、通電の途中(t=t8)でアーク電流iDCの電流値を第1の設定値I1(30A)から第2の設定値I2(たとえば100〜200A)へとステップ的に増大させるような電流波形制御を好適に使える。
そして、所定の通電時間(通常100〜200msec)が経過すると、装置本体10内でスイッチSWがオフ状態に切り換えられ(t=t9)、アーク電流iDCが切られると、その瞬間にアークは消滅する。直後にシールドガスSGの供給も止められる(t=t10)。この後、溶接ヘッド12において、昇降タワー30の昇降機構がトーチ電極42を待機用の高さ位置HCまで戻す(t=t11〜t12)。
アークが消滅すると、溶接継手WJの溶融部分が大気中の自然冷却によって直ぐに凝固する。こうして、端子部材W1,W2は溶接継手WJにて一体またはひと固まりに溶接接合される。
この実施形態においては、上記のように、トーチ電極42の先端42aを溶接継手WJの隙間gに差し込んで接触させ、シールドガスSGを供給しながら、この状態で通電を開始し、それからトーチ電極42の先端42aを溶接継手WJの隙間gから抜くことによって、アークACを発生させるようにしている。このようなタッチスタート方式によれば、トーチ電極42は溶接継手WJの表面に当接するのではなくて隙間gに出入りするので、タッチスタートが繰り返し行われても電極先端42aが簡単に潰れることなく(丸く変形せずに)シャープな円錐形状を長い間保つことができる。このことにより、トーチ電極42の消耗を少なくし、ランニングコストを下げることができる。また、トーチ電極42の先端42aを頻繁に研磨しなくて済むので、電極研磨のために溶接作業を中断する回数が減り、端子部材溶接または結線作業の効率を向上させることができる。さらには、トーチ電極42の先端42aが溶接継手WJの隙間gに出入りする際に擦れてその表面が磨かれるため、アークの集中性が良好に維持されるとともに、いわゆる這い上がりが抑制され、溶接品質の安定維持も図れる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明を限定するものではない。当業者にあっては、具体的な実施態様において本発明の技術思想および技術範囲から逸脱せずに種々の変形・変更を加えることが可能である。
たとえば、上記実施形態のTIG溶接機は、溶接ヘッド12のステージ18に自動位置合わせ機構(XYステージ24、θステージ26)を備える。しかし、ステージ18を手動式の可動ステージに構成することや、あるいは固定式のステージ18上でワークまたは電気部品支持体Sの位置合わせを手動で行うことも可能である。
また、ワーク位置合わせの精度がある程度低くても、本発明によるタッチスタート方式のTIG溶接を安定確実に行えるようにするために、溶接継手WJの隙間gの入口付近に溝部Mを形成する構成を好適に採ることができる。この溝部Mは、好ましくは図9Aに示すような"V“形状または図9Bに示すような”\“形状(もしくは”/“形状)等のテーパ形状を有する。通常は、端子部材W1,W2の両方または片方に面取り加工を施すことによって、このようなテーパ形状の溝部Mを形成することができる。
この溝部Mは、タッチスタートを行う際にトーチ電極42の先端42aを溶接継手WJの隙間gに案内する(導き入れる)ためのものであり、いわゆる盛金または肉盛をするための開先とはサイズ的にも機能的にも全く異なる。したがって、溝部Mの幅Kは、トーチ電極42の直径φより小さいのが望ましく、トーチ電極42の先端42aが溝部M内で必ず擦るようなサイズ(好ましくは隙間gの5倍以下)に選ばれるのが望ましい。一方、溝部Mの深さDは、任意のサイズでよいが、通常は幅Kの3倍以下に選ばれる。
溶接継手WJにおいて、端子部材W1,W2の材質は銅または銅合金に限定されず、たとえばアルミニウムまたはアルミニウム金合や真鍮等の導体であってもよく、端子部材W1の材質と端子部材W2の材質が異なっていてもよい。また、端子部材W1,W2の形状も任意でよく、たとえば断面が矩形の棒体または板体に限らず断面が円形の棒体または板体であってもよい。
10 装置本体
12 溶接ヘッド
14 ボンベ
18 ステージ
22 トーチ
30 昇降タワー
38 トーチボディ
40 トーチノズル
42 トーチ電極
42a (トーチ電極の)先端
W 母材
WJ 溶接継手
1,W2 端子部材

Claims (9)

  1. 電気回路を結線するための第1および第2の端子部材をTIG溶接法で溶接する端子部材溶接方法であって、
    前記第1および第2の端子部材を合わせて溶接継手を形成する第1の工程と、
    前記溶接継手の隙間にトーチ電極の先端を差し込む第2の工程と、
    前記溶接継手の隙間に前記トーチ電極の先端が差し込まれた状態の下で、前記トーチ電極の周囲にシールドガスを供給しながら、前記トーチ電極と前記第1および第2の端子部材との間に電源電圧を印加して通電を開始する第3の工程と、
    前記シールドガスの供給と前記通電を継続しながら、前記トーチ電極の先端を前記溶接継手の隙間から抜いて、前記トーチ電極と前記溶接継手との間でアークを発生させ、前記アークの熱によって前記溶接継手を溶かす第4の工程と、
    前記アークを消滅させて前記溶接継手の溶融部を凝固させる第5の工程と
    を有する端子部材溶接方法。
  2. 前記第1および第2の端子部材の前記トーチ電極の先端と対向するそれぞれの面が略面一になるように、前記第1の工程において前記第1および第2の端子部材を合わせる、請求項1に記載の端子部材溶接方法。
  3. 前記第2の工程に先立って、前記トーチ電極の先端と前記溶接継手の隙間が対向するように、前記トーチ電極と前記溶接継手との間で位置合わせを行う、請求項1または2に記載の端子部材溶接方法。
  4. 前記第2の工程において、前記トーチ電極の先端は前記トーチ電極の自重によって前記溶接継手の隙間に差し込まれる、請求項1〜3のいずれか一項記載の端子部材溶接方法。
  5. 前記トーチ電極側から見て前記溶接継手の隙間の入口付近に、前記トーチ電極の先端を前記隙間に案内するための溝部が形成される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の端子部材溶接方法。
  6. 前記溝部の幅は、前記トーチ電極の直径よりも小さい、請求項5に記載の端子部材溶接方法。
  7. 前記溝部は、前記第1および第2の端子部材の少なくとも一方に対する面取り加工によって与えられる、請求項5または6に記載の端子部材溶接方法。
  8. 前記第1および第2の端子部材の材質は銅または銅合金である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の端子部材溶接方法。
  9. 前記第1および第2の端子部材は、断面が矩形または円形の棒体または板体であり、それらの先端部が前記溶接継手を構成する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の端子部材溶接方法。
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