JP2015203452A - 振動低減装置及び免震構造物 - Google Patents

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磯田 和彦
Kazuhiko Isoda
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Abstract

【課題】想定を超えた変位で減衰係数増大させてリリーフ荷重まで軸力を増大させ、変位が復帰する際に速やかに軸力を低減させて最大変位近傍の加速度増大を抑制することを可能にする振動低減装置及びこれを備えた免震構造物を提供する。
【解決手段】相対振動する二部材の間の相対振動を低減させるための振動低減装置Aであって、シリンダー1と、シリンダー1の内部を第1隔室2と第2隔室3に区画するピストン4と、リリーフ弁9と、ピストン4に一端を接続し、他端5aを他方の部材に接続して配設されるピストンロッド5とを備え、且つ、第1隔室2と第2隔室3を連通させる第1連結管15及び第2連結管16を備える。また、第1隔室2と第2隔室3と1連結管15と第2連結管16に作動流体Rを充填して構成するとともに、第1連結管15と第2連結管16にそれぞれ、オリフィス17と圧力制御弁18を設けて構成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば建物に作用した振動エネルギーを吸収して変位を抑える振動低減装置及びこれを備えた免震構造物に関する。
例えば中高層建物が巨大地震を受けると、建物の最弱層に損傷が生じて耐力が低下し始め、この層に地震エネルギー(振動エネルギー)が集中して層崩壊が生じ、他の層は健全性が確保されているにもかかわらず、層崩壊モードによって建物が崩壊に至るという現象が発生する。また、崩壊に至らない場合においても、最弱層の被害が甚大となり、補修による復旧が困難になる。
これに対し、従来から、例えばオフィスビルなどの中・高層建物は、建物本体と基礎の間など、上部構造体と下部構造体の間の免震層に積層ゴムなどの免震装置を介設し、地震時に、上部構造体の固有周期を例えば地震動の卓越周期帯域から長周期側にずらし、応答加速度を小さくして揺れを抑えるように構築されている(例えば、特許文献1参照)。
また、建物の柱と梁で囲まれた架構面内などに種々の制振装置(制振ダンパー、エネルギー吸収機構)を設置することにより地震時や強風時の建物の応答を低減させる対策が多用されている(例えば、特許文献2参照)。
そして、このような免震装置や制振装置としてオイルダンパーが多用されている。オイルダンパーは、例えば、シリンダーの内部にピストンを設け、シリンダーの内部を一方の室と他方の室に区画し、ピストンロッドがその一端をピストンに接続しシリンダーと同軸上に設けられるとともにシリンダーの軸線方向一端から外部に延設されている。また、このようなオイルダンパーは、シリンダーの一方の室と他方の室にそれぞれ作動油が充填され、ピストンロッドの他端と、シリンダーの他端に設けられたクレビスなどを、適宜建物の架構に直接的に、又はブレース等を介して間接的に接続して設置される。
ここで、従来の免震建物では、建物の自重を支持しつつ大きな水平変位に対応できる免震装置が用いられており、設計上で想定した以上の地震動が入力されると免震層に過大な水平変位が生じ、免震装置が損傷したり、上部構造体と下部構造体同士が衝突したりするおそれがある。特に、2000年の建築基準法改正前に建設された免震建物においては、長周期地震動の影響が考慮されていないため、設計時に想定した免震層変位が小さく、免震クリアランス(免震層の上下に位置する構造体同士の隙間)が不足する可能性がある。
一方、免震層の変位を抑制する手段としては、免震層の水平剛性を増加したり、減衰を増大したりする方法がある。しかしながら、この方法を採用した場合、設計で想定されている通常の地震においても加速度が増大してしまい、免震性能が不足するという問題がある。
また、所定の変位を超えた場合のみに反力が生じる剛性部材(ゴム等のクッション材)を免震層の上下に位置する構造体同士の隙間に設置し、過大な変位が生じる場合のフェールセーフ機構とする方法も提案されている。しかしながら、この方法を採用した場合においても、剛性部材が圧縮に対してのみ効果を発揮するものであるため、設置数が多く必要になるという問題がある。
このようなことから、より合理的な免震層の過大変位を抑制可能な機構が強く望まれていた。さらに、免震に対してだけでなく、より合理的に変位を抑制可能な制振装置も求められている。
これに対し、本願の発明者(出願人)は、図6に示すように、一端を一方の部材(建物本体など)に接続して配設されるシリンダー1と、シリンダー1の内部を第1隔室2と第2隔室3に区画するピストン4と、ピストン4に一端を接続してシリンダー1の軸線O1方向外側に延設され、他端を他方の部材(免震基礎など)に接続して配設されるピストンロッド5とを備え、且つ、第1隔室2と第2隔室3を連通させる連結管6と、連結管6に設けられたオリフィス7とを備え、第1隔室2と第2隔室3と連結管6とに作動流体を充填して構成した振動低減装置10を発明し、既に特許出願を行っている(特願2014−046892)。
また、この振動低減装置10では、ピストン4に第1隔室2と第2隔室3を連通させる連通路8が形成され、この連通路8にリリーフ弁9が設けられている。さらに、ピストン4には第1隔室2と第2隔室3を連通させるようにオリフィス(微小オリフィス)14が設けられている。
そして、この振動低減装置10を免震層に設置すると、図7に示すように、変位が大きくなると減衰係数が増大し、シンプルな構成で免震層の過大変位を効果的に抑制することができる。
特開2009−97243号公報 特開2012−122228号公報
ここで、上記の振動低減装置10においては、図6及び図7に示すように、設計上で想定された地震動(免震層変位|x|≦a)では一般的なオイルダンパーと同様に挙動し、想定を超えた地震動(免震層変位|x|>a)では連結管6が塞がるため減衰係数が大きくなり、リリーフ荷重で頭打ちされた軸力となる。これにより、所定変位aを超える場合の免震層変位xは抑制されることになる。
しかしながら、図7に示した第2象限、第4象限において、変位が復帰する際にも、変位|x|=aとなるまでリリーフ荷重が作用することなる。この特性はダンパーでエネルギー吸収を図る際には好都合であるが、除荷時の加速度の増大を招くことにもなり得る。
このため、第1象限、第3象限でのみリリーフ荷重まで軸力を増加させ、第2象限、第4象限では速やかに軸力が低減して最大変位近傍の加速度増大を抑制できる特性(図7における破線Sのような特性)を備えることが望まれ、この点で改善の余地が残されていた。
上記事情に鑑み、本発明は、想定を超えた変位で減衰係数増大させてリリーフ荷重まで軸力を増大させ、変位が復帰する際に速やかに軸力を低減させて最大変位近傍の加速度増大を抑制することを可能にする振動低減装置及びこれを備えた免震構造物を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の振動低減装置は、相対振動する二部材の間の相対振動を低減させるための振動低減装置であって、一端を一方の部材に接続して配設されるシリンダーと、前記シリンダーの内部を第1隔室と第2隔室に区画するピストンと、前記ピストンに一端を接続して前記シリンダーの軸線方向外側に延設され、他端を他方の部材に接続して配設されるピストンロッドとを備え、且つ、前記第1隔室と前記第2隔室を連通させる第1連結管及び第2連結管を備え、前記第1隔室と前記第2隔室と前記1連結管と前記第2連結管に作動流体を充填して構成されるとともに、前記第1連結管と前記第2連結管にそれぞれ、オリフィスと圧力制御弁を設けて構成されていることを特徴とする。
また、本発明の振動低減装置においては、前記ピストンが、前記第1隔室と前記第2隔室を連通させる連通路を設け、且つ前記連通路にリリーフ弁を設けて構成されていることが望ましい。
さらに、本発明の振動低減装置においては、前記ピストンが前記シリンダーに対して予め設定した所定量で変位するとともに、前記第1連結管又は前記第2連結管と前記第1隔室又は前記第2隔室を連通させる連結孔を前記ピストンが閉塞し、前記第1連結管又は前記第2連結管への作動流体の流通が停止するように構成されていることがより望ましい。
本発明の免震構造物は、上記のいずれかの振動低減装置を、免震層に備えることを特徴とする。
本発明の振動低減装置においては、設計時に想定する通常の地震の場合、すなわち、変位|x|≦a(a:ピストンと各連結管の連結孔(連結部)の距離)の場合には、一般的なオイルダンパーと同じ減衰係数をもつので、加速度が増大して免震性能が低下することがない。
また、設計時に想定する通常の地震よりも大きな地震が発生し、変位|x|>aとなり、さらにその変位xが増大する場合には、一方の連結管がピストンで塞がりバイパス管として機能しなくなるので、且つ他方の連結管の圧力制御弁が作動するので、作動油がリリーフ弁を通過せざるを得なくなる。これにより、ダンパー軸力がリリーフ荷重まで増加するとともにリリーフ弁が作動してダンパー軸力が頭打ちされることになり、設計時に想定する通常の地震よりも大きな地震が発生した場合であっても振動低減装置が損傷することを防止できる。
一方、設計時に想定する通常の地震よりも大きな地震が発生し、変位|x|>aとなり、その変位xが減少する場合には、他方の連結管の圧力制御弁が開き、変位|x|≦aのときと同じ通常の減衰係数にすることができる。これにより、このときのダンパー軸力をリリーフ荷重より大幅に低下させることができ、最大変位近傍における加速度を抑制することが可能になる。
よって、本発明の振動低減装置Aにおいては、第1象限、第3象限でのみリリーフ荷重まで軸力を増加させ、第2象限、第4象限では速やかに軸力が低減して最大変位近傍の加速度増大を抑制できる特性を備えることが可能になる(図7参照)。
これにより、免震層に設置した場合に、設計時に想定する通常の地震時に免震装置の免震性能を十分に発揮させることができ、大きな地震が発生した際に免震層に過大な変位が生じることを防止でき、合理的な免震層の過大変位抑制機構を実現することが可能になる。
また、本発明の免震構造物においては、上記の振動低減装置を備えていることにより、上記の振動低減装置による作用効果を得ることができる。これにより、想定内地震での加速度を小さくしつつ想定外地震での免震層変位を抑制するという、優れた免震性能を備えた信頼性の高い建物(免震構造物)を実現することが可能になる。
本発明の一実施形態に係る免震構造物を示す図である。 本発明の一実施形態に係る振動低減装置を示す図である。 本発明の一実施形態に係る振動低減装置の変位xが−a〜aの範囲における荷重と変位の関係を示す図である。 本発明の一実施形態に係る振動低減装置の変位xが|x|>aとなった状態を示す図である。 本発明の一実施形態に係る振動低減装置の変位xが|x|>aとなる場合の荷重と変位の関係を示す図である。 振動低減装置を示す図である。 図6の振動低減装置の荷重と変位の関係を示す図である。
以下、図1から図5を参照し、本発明の一実施形態に係る振動低減装置及びこれを備えた免震構造物について説明する。
本実施形態の振動低減装置Aは、例えば、図1及び図2に示すように、建物本体と免震ピット11の間など、建物(免震構造物B)の上部構造体と下部構造体の間(相対振動する二部材の間)に免震装置(積層ゴムなど)12を設置して形成される免震層13に、一端1aを上部構造体(一方の部材)に、他端5aを下部構造体(他方の部材)にそれぞれ直接的及び/又は間接的に接続して設置されて、地震時に振動エネルギーを吸収し免震層13の過大な変位を抑制するために使用される。
そして、本実施形態の振動低減装置Aは、図2に示すように、一端1aをクレビス等を介して一方の部材に接続して配設されるシリンダー1と、シリンダー1の内部を第1隔室2と第2隔室3に区画するピストン4と、ピストン4に一端5bを接続してシリンダー1の軸線O1方向外側に延設され、他端5aを他方の部材に接続して配設されるピストンロッド5とを備えて構成されている。
さらに、振動低減装置Aは、シリンダー1の第1隔室2と第2隔室3を連通させる2つの連結管、第1連結管15及び第2連結管16を備えて構成されている。また、第1連結管15と第2連結管16にはそれぞれ、オリフィス17と圧力制御弁18が設けられている。
また、第1隔室2と第2隔室3と第1連結管15と第2連結管16に作動油(作動流体)Rが充填されている。そして、第1連結管15と第2連結管16にそれぞれ、オリフィス17と直列配置して設けられた圧力制御弁18は、作動油Rの流れを1方向(図2、図4における矢印P1、P2)に限定するためのものである。
さらに、静止位置(地震前の基準位置)におけるピストン4の端部と第1連結管15の第2隔室3に開口する連結孔(連結部)19との軸線O1方向の距離、及び静止位置におけるピストン4の端部と第2連結管16の第1隔室2に開口する連結孔(連結部)20との軸線O1方向の距離が、いずれも距離aとなるように構成されている。
すなわち、本実施形態の振動低減装置Aは、図3に示すように、ピストン4がシリンダー1に対して予め設定した所定量(−a〜a)を超えて変位すると、第1連結管15と第2隔室3、または第2連結管16と第1隔室2に開口する連結孔(連結部)19、20をピストン4が閉塞させ、第1連結管15や第2連結管16への作動油Rの流通が停止するように構成されている。
また、振動低減装置Aは、ピストン4に第1隔室2と第2隔室3を連通させる連通路8を設け、且つこの連通路8にリリーフ弁9を設けて構成されている。このリリーフ弁9は、振動低減装置Aの軸力(ダンパー軸力)を所定の荷重で頭打ちさせるためのものである。さらに、ピストン4には第1隔室2と第2隔室3を連通させるようにオリフィス(微小オリフィス)14が設けられている。
そして、上記構成からなる本実施形態の振動低減装置Aにおいては、図2及び図3に示すように、地震が発生して二部材が相対変位するとともに振動低減装置Aに荷重が作用した状態で、振動低減装置Aの変位xが±a以内の場合、作動油Rが第1隔室2と第2隔室3を連通させる第1連結管15あるいは第2連結管16のオリフィス17を通過する。このとき、図1において、ピストン4が右(紙面右)に移動する場合は矢印P1方向に、ピストン4が左に移動する場合は矢印P2方向に、それぞれ作動油Rが流れる。
このため、振動低減装置Aの変位xが±a以内の場合、本実施形態の振動低減装置Aは、一般的なオイルダンパーと同じ減衰係数Cをもつ速度比例型の減衰装置として機能する。また、振動低減装置Aに生じる速度が大きい場合には、ピストン4にあるリリーフ弁9が作動するため、過大な軸力が発生しない。
一方、図4及び図5に示すように、地震が発生して二部材が相対変位するとともに振動低減装置Aに荷重が作用した状態で、振動低減装置Aの変位xが±aを超える場合、シリンダー1に設けられた連結孔19(20)がピストン4で塞がる。そして、さらに変位xが増加すると(図4においてピストン4がさらに右に移動すると)、作動油Rがピストン4に設けられたリリーフ弁9を通過せざるを得なくなり、リリーフ荷重で振動低減装置Aの軸力が摩擦ダンパーのように頭打ちされ、変位xの増加を抑制することができる。
他方、この場合において、変位xが減少すると(図4においてピストン4が左に移動すると)、第2連結管16の圧力制御弁18が開き、オリフィス17を作動油Rが通過することになる。このため、この場合においても、一般的なオイルダンパーと同じ減衰係数Cをもつようになり、ダンパー軸力がリリーフ荷重に比べて大幅に低減する。
これにより、図5に示すように、変位xが第1象限または第3象限にある場合には、その変位xが±aを超えると軸力がリリーフ荷重まで増加するが、変位xが第2象限または第4象限にある場合には、その変位xが±aを超えても一般的なオイルダンパーと同じ減衰係数Cをもつ装置Aとなる。
したがって、本実施形態の振動低減装置Aにおいては、予め作用荷重と変位量の関係をオリフィス17、リリーフ弁9、圧力制御弁18などによって所望の状態に調節した振動低減装置Aを積層ゴムなどの免震装置12とともに免震層13に設置することで、設計時に想定する通常の地震よりも大きな地震が発生した際に、この振動低減装置Aによって免震層13に過大な変位が生じることを確実且つ効果的に抑止することができる。
また、設計時に想定する通常の地震の場合、すなわち、免震層13の変位|x|≦aの場合には、一般的なオイルダンパーと同じ減衰係数Cをもつので、加速度が増大して免震性能が低下することがない。
また、設計時に想定する通常の地震よりも大きな地震が発生し、免震層13の変位が変位|x|>aとなり、さらにその変位xが増大する場合には、一方の連結管15(16)がピストン4で塞がりバイパス管として機能しなくなるので、且つ他方の連結管16(15)の圧力制御弁18が作動するので、作動油Rがリリーフ弁9を通過せざるを得なくなる。これにより、ダンパー軸力がリリーフ荷重まで増加するとともにリリーフ弁9が作動してダンパー軸力が頭打ちされることになり、設計時に想定する通常の地震よりも大きな地震が発生した場合であっても振動低減装置Aが損傷することを防止できる。
一方、設計時に想定する通常の地震よりも大きな地震が発生し、免震層13の変位が変位|x|>aとなり、その変位xが減少する場合には、他方の連結管16(15)の圧力制御弁18が開き、免震層13の変位|x|≦aのときと同じ通常の減衰係数Cにすることができる。これにより、このときのダンパー軸力をリリーフ荷重より大幅に低下させることができ、最大変位近傍における加速度を抑制することが可能になる。
よって、本実施形態の振動低減装置Aにおいては、第1象限、第3象限でのみリリーフ荷重まで軸力を増加させ、第2象限、第4象限では速やかに軸力が低減して最大変位近傍の加速度増大を抑制できる特性を備えることが可能になる(図7、図5参照)。
これにより、免震層13に設置した場合に、設計時に想定する通常の地震時に免震装置12の免震性能を十分に発揮させることができ、大きな地震が発生した際に免震層13に過大な変位が生じることを防止でき、合理的な免震層13の過大変位抑制機構を実現することが可能になる。
また、本実施形態の振動低減装置Aにおいては、通常のオイルダンパーと同様に減衰機能を有するため、免震層13に設置する際に普通の減衰装置に加えて別途過大変位抑制機構を設けるためのスペースを用意する必要がない。
さらに、本実施形態の振動低減装置Aにおいては、免震層13のクリアランス(層厚)に対するピストン4と各連結管15、16の連結孔(連結部)19、20の距離aの比率を50〜75%程度に設定すると、通常地震時での免震性能を損なわず、大地震時における免震層13の過大変位をより確実且つ効果的に抑制することが可能になる。
さらに、圧縮にも引張りにも効くので、ゴムなどのクッション材のように圧縮のみに効くものと比較すると、吸収する振動エネルギーの量が大きく、設置数が少なくても免震層13の応答変位を効果的に抑制することが可能になる。
また、静的な剛性をもたないので、リリーフした場合でもピストン4に設けた微小オリフィス14により作動油Rが移動してピストン4が戻り、地震後に振動低減装置Aの軸力(ダンパー軸力)や変位をゼロにすることができる。さらに、構成が複雑でないため、過大変位抑制機能としての信頼性が高い装置を実現しつつ、安価に製造することができる。
また、本実施形態の免震構造物Bにおいては、上記の振動低減装置Aを備えていることにより、上記の振動低減装置Aによる作用効果を得ることができる。これにより、想定内地震での加速度を小さくしつつ想定外地震での免震層変位を抑制するという、優れた免震性能を備えた信頼性の高い建物(免震構造物)を実現することが可能になる。
以上、本発明に係る振動低減装置及びこれを備えた免震構造物の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、振動低減装置Aが建物の免震層に設置され、免震層の過大な変位を抑制するために使用されるものとして説明したが、本発明に係る振動低減装置は、必ずしも免震層に設置して使用することに限定されるものではなく、従来の制振装置としてのオイルダンパーのように建物の層間に設置しても勿論構わない。
また、本発明に係る作動流体は、作動油に限定しなくてもよく、あらゆる液体、気体を用いることができる。
1 シリンダー
1a 一端
2 第1隔室
3 第2隔室
4 ピストン
5 ピストンロッド
5a 他端
5b 一端
6 連結管
7 オリフィス
8 連通路
9 リリーフ弁
10 従来の振動低減装置
11 免震ピット
12 免震装置
13 免震層
14 オリフィス(微小オリフィス)
15 第1連結管
16 第2連結管
17 オリフィス
18 圧力制御弁
19 連結孔(連結部)
20 連結孔(連結部)
A 振動低減装置
B 免震構造物
O1 軸線
P1 作動油の流れ方向
P2 作動油の流れ方向
R 作動油(作動流体)

Claims (4)

  1. 相対振動する二部材の間の相対振動を低減させるための振動低減装置であって、
    一端を一方の部材に接続して配設されるシリンダーと、前記シリンダーの内部を第1隔室と第2隔室に区画するピストンと、前記ピストンに一端を接続して前記シリンダーの軸線方向外側に延設され、他端を他方の部材に接続して配設されるピストンロッドとを備え、
    且つ、前記第1隔室と前記第2隔室を連通させる第1連結管及び第2連結管を備え、
    前記第1隔室と前記第2隔室と前記1連結管と前記第2連結管に作動流体を充填して構成されるとともに、
    前記第1連結管と前記第2連結管にそれぞれ、オリフィスと圧力制御弁を設けて構成されていることを特徴とする振動低減装置。
  2. 請求項1記載の振動低減装置において、
    前記ピストンが、前記第1隔室と前記第2隔室を連通させる連通路を設け、且つ前記連通路にリリーフ弁を設けて構成されていることを特徴とする振動低減装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の振動低減装置において、
    前記ピストンが前記シリンダーに対して予め設定した所定量で変位するとともに、前記第1連結管又は前記第2連結管と前記第1隔室又は前記第2隔室を連通させる連結孔を前記ピストンが閉塞し、前記第1連結管又は前記第2連結管への作動流体の流通が停止するように構成されていることを特徴とする振動低減装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の振動低減装置を、免震層に備えることを特徴とする免震構造物。
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