JP2015113588A - 制振用オイルダンパー、および、建築物 - Google Patents

制振用オイルダンパー、および、建築物 Download PDF

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佳彦 足立
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Abstract

【課題】制振動作によって架構が損傷する不都合を避けることができる制振用オイルダンパー、および、この制振用オイルダンパーを備えた建築物を提供する。
【解決手段】ピストン4がピストン原点位置に近づく方向に移動する場合、シリンダー室5内のオイル2を減衰流路8に通して絞り機構9により減衰力を付与し、ピストンがピストン原点位置から遠のく方向に移動する場合、減衰力変換位置に到達するまでは、逃し流路11のピストン原点位置側の開口部をピストンで閉塞し続け、シリンダー室内のオイルを減衰流路に通して絞り機構により減衰力を付与し、減衰力変換位置を越えると、ピストンによる逃し流路のピストン原点位置側の開口部の閉塞を解除して、オイルを逃し流路のピストン原点位置側の開口部から流出して減衰力を弱め、ピストンが外力の作用により移動し得る最大振幅位置に到達する前には減衰力をゼロにするようにした。
【選択図】図4

Description

本発明は、主としてビル等の建築物に使用する制振用オイルダンパー、および、この制振用オイルダンパーを備えた建築物に関するものである。
オイルダンパーは、地震や風などの外乱に対して受動的(パッシブ)に制御力を発揮するので、パッシブダンパーとも呼ばれており、温度・速度に影響され難くて減衰特性が安定しており、強い制振力の割に小型であり、経年変化による性能低下が少ないなどの理由により広く使用されている。
従来、この様な利点を有する制振用オイルダンパーは、ピストンにより区画したシリンダー内の第1シリンダー室と第2シリンダー室とにオイルを封入し、第1シリンダー室から第2シリンダー室にオイルを逃す流路の途中に減衰弁やオリフィス等の絞りを設けるとともに逆止弁を設け、同様に、第2シリンダー室から第1シリンダー室にオイルを逃す流路の途中にも減衰弁やオリフィス等の絞りを設けるとともに逆止弁を設け、ピストンロッドを通じて外力が入力した際に一方のシリンダー室から他方のシリンダー室にオイルが逃げるときに発生する絞り抵抗により反力を得て、振動を減衰している。このような制振用オイルダンパーとしては、ピストン内に減衰弁等を内蔵するとともに弁の数を減少して構造の簡素化を図り、信頼性の高いコンパクトなものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第3306399号公報
ところで、既存の建築物においては、制振用オイルダンパーにより制振補強を行うことを前提とせずに設計されたものがある。このような建築物に対して、柱と梁で構成された架構の強度不足を補わずに制振用オイルダンパーを取り付けた場合、大地震等により振幅が比較的大きな振動が作用すると、架構が制振用オイルダンパーの制振動作に耐えられず、却って損傷してしまう虞がある。
また、上記の不具合の対策として架構の強度を増す工事をした場合、建築物全体の重量が増加するため、これに応じて制振用オイルダンパーの減衰力を大きくする必要が生じる。このため、状況に応じて、減衰力を調整可能な機構を制振用オイルダンパーに付加することも考えられる。しかしながら、このような調整機構を付加することは、構造の複雑化とコストの上昇を招くため好ましくない。
そこで、本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、制振動作によって架構が損傷する不都合を避けることができる制振用オイルダンパー、および、この制振用オイルダンパーを備えた建築物を提供しようとするものである。
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、オイルを封入したシリンダーと、
該シリンダー内に移動可能に嵌装され、シリンダー内を第1のシリンダー室と第2シリンダー室とに区画するピストンと、
該ピストンに接続され、上記シリンダーから外部へと延出されたピストンロッドと、
上記ピストンの位置にかかわらず第1のシリンダー室と第2シリンダー室とを連通する減衰流路と、
該減衰流路に設けられ、通過するオイルの抵抗となる絞り機構と、
前記ピストンを貫通した状態でシリンダーの軸方向に沿って掛け渡された一対のシャフトと、
前記シャフトに形成され、ピストン原点位置におけるピストンで閉塞可能な範囲内であって第2シリンダー室寄りに一端が開口して他端が第1のシリンダー室に連通した第1逃し流路と、
前記シャフトに形成され、ピストン原点位置におけるピストンで閉塞可能な範囲内であって第1シリンダー室寄りに一端が開口して他端が第2シリンダー室に連通した第2逃し流路と、
各逃し流路に設けられ、ピストン原点位置側の開口部から流入したオイルの通過を阻止するがその逆方向の通過を許容する逆止弁と、
を備え、
ピストンロッドに外力が作用してピストンがピストン原点位置に近づく方向に移動する場合に、シリンダー室内のオイルを減衰流路に通して絞り機構により減衰力を付与し、
ピストンがピストン原点位置から遠のく方向に移動する場合においては、
予め設定された減衰力変換位置に到達するまでは、逃し流路のピストン原点位置側の開口部をピストンで閉塞し続け、シリンダー室内のオイルを減衰流路に通して絞り機構により減衰力を付与し、
前記減衰力変換位置を越えると、ピストンによる逃し流路のピストン原点位置側の開口部の閉塞を解除して、オイルを逃し流路のピストン原点位置側の開口部から流出して減衰力を弱め、ピストンが前記外力の作用により移動し得る最大振幅位置に到達する前には減衰力をゼロにするようにしたことを特徴とする制振用オイルダンパーである。
請求項2に記載のものは、オイルを封入したシリンダーと、
該シリンダー内に移動可能に嵌装され、シリンダー内を第1のシリンダー室と第2シリンダー室とに区画するピストンと、
該ピストンに接続され、上記シリンダーから外部へと延出されたピストンロッドと、
上記ピストンの位置にかかわらず第1のシリンダー室と第2シリンダー室とを連通する減衰流路と、
該減衰流路に設けられ、通過するオイルの抵抗となる絞り機構と、
前記ピストンを貫通した状態でシリンダーの軸方向に沿って掛け渡された一対のシャフトと、
前記シャフトに形成され、ピストン原点位置におけるピストンで閉塞可能な範囲内であって第2シリンダー室寄りに一端が開口して他端が第1のシリンダー室に連通した第1逃し流路と、
前記シャフトに形成され、ピストン原点位置におけるピストンで閉塞可能な範囲内であって第1シリンダー室寄りに一端が開口して他端が第2シリンダー室に連通した第2逃し流路と、
各逃し流路に設けられ、ピストン原点位置側の開口部から流入したオイルの通過を阻止するがその逆方向の通過を許容する逆止弁と、
を備え、
ピストンロッドに外力が作用してピストンがピストン原点位置に近づく方向に移動する場合に、シリンダー室内のオイルを減衰流路に通して絞り機構により減衰力を付与し、
ピストンがピストン原点位置から遠のく方向に移動する場合においては、
予め設定された減衰力変換位置に到達するまでは、逃し流路のピストン原点位置側の開口部をピストンで閉塞し続け、シリンダー室内のオイルを減衰流路に通して絞り機構により減衰力を付与し、
前記減衰力変換位置を越えると、ピストンによる逃し流路のピストン原点位置側の開口部の閉塞を解除して、オイルを逃し流路のピストン原点位置側の開口部から流出して減衰力を弱め、ピストンが前記外力の作用により移動し得る最大振幅位置に到達したときには、減衰力変換位置における減衰力よりも弱い振幅位置減衰力を付与するようにしたことを特徴とする制振用オイルダンパーである。
請求項3に記載のものは、前記第1逃し流路および第2逃し流路には、オイルの通過量を絞る逃し側絞り手段をそれぞれ備えたことを特徴とする請求項2に記載の制振用オイルダンパーである。
請求項4に記載のものは、前記ピストンロッドには、当該ピストンロッドを接続対象物へ接続する接続部材とピストンとの離間距離を調整可能なロッド調整機構を備え、該ロッド調整機構を調整することにより、ピストンの位置を調整可能としたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の制振用オイルダンパーである。
請求項5に記載のものは、前記請求項1から請求項4のいずれかに記載の制振用オイルダンパーを架構に備え、該架構の振動を減衰可能な建築物であって、
前記制振用オイルダンパーのシリンダーとピストンロッドとを前記架構へ接続するダンパー接続部材を備え、
前記制振用オイルダンパーは、
前記架構が地震等の外力による振動を受けて常態から歪むと、架構からダンパー接続部材を介してピストンロッドに負荷が掛かり、該負荷によりピストンをピストン原点位置から遠ざけ、
前記架構が振動による歪み状態から常態へ戻ると、架構からダンパー接続部材を介してピストンロッドに架構の復元力が掛かり、該復元力によりピストンをピストン原点位置に近づけることを特徴とする建築物である。
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、請求項1の発明によれば、ピストンロッドに外力が作用してピストンがピストン原点位置に近づく方向に移動する場合に、シリンダー室内のオイルを減衰流路に通して絞り機構により減衰力を付与し、ピストンがピストン原点位置から遠のく方向に移動する場合においては、予め設定された減衰力変換位置に到達するまでは、逃し流路のピストン原点位置側の開口部をピストンで閉塞し続け、シリンダー室内のオイルを減衰流路に通して絞り機構により減衰力を付与し、減衰力変換位置を越えると、ピストンによる逃し流路のピストン原点位置側の開口部の閉塞を解除して、オイルを逃し流路のピストン原点位置側の開口部から流出して減衰力を弱め、ピストンが外力の作用により移動し得る最大振幅位置に到達する前には減衰力をゼロにするようにしたので、架構が制振補強に耐える強度を備えていない建築物に制振用オイルダンパーを取り付けたとしても、架構が制振用オイルダンパーの制振動作に耐えられずに損傷してしまう不都合を抑制することができる。その一方で、ピストンが原点位置に近づく(戻る)際、或いは、原点位置と減衰力変換位置との間で移動する際には、減衰力が発生するので、架構に対する負担を軽減しつつも振動を抑制することが可能となる。したがって、請求項1の発明によれば、建築物の耐力によらず補強対策を必要とすることなく、また、制振用オイルダンパーに減衰力の調整機構を別途付加することなく、建築物に設置することができるので、汎用性の向上およびコストの削減に寄与することが可能となる。
また、請求項2の発明によれば、ピストンロッドに外力が作用してピストンがピストン原点位置に近づく方向に移動する場合に、シリンダー室内のオイルを減衰流路に通して絞り機構により減衰力を付与し、ピストンがピストン原点位置から遠のく方向に移動する場合においては、予め設定された減衰力変換位置に到達するまでは、逃し流路のピストン原点位置側の開口部をピストンで閉塞し続け、シリンダー室内のオイルを減衰流路に通して絞り機構により減衰力を付与し、減衰力変換位置を越えると、ピストンによる逃し流路のピストン原点位置側の開口部の閉塞を解除して、オイルを逃し流路のピストン原点位置側の開口部から流出して減衰力を弱め、ピストンが外力の作用により移動し得る最大振幅位置に到達したときには、減衰力変換位置における減衰力よりも弱い振幅位置減衰力を付与するようにしたので、原点位置から遠ざかるピストンが減衰力変換位置を越えた後において、減衰力を緩やかに弱めることで建造物の架構に対する負荷を抑制しつつも、より高い制振効果を得ることが可能となる。
さらに、請求項3の発明によれば、第1逃し流路および第2逃し流路には、オイルの通過量を絞る逃し側絞り手段をそれぞれ備えたので、ピストンが減衰力変換位置を越えた後の減衰力の弱まり方を所望の態様に設定することができる。
また、請求項4の発明によれば、ピストンロッドには、当該ピストンロッドを接続対象物へ接続する接続部材とピストンとの離間距離を調整可能なロッド調整機構を備え、該ロッド調整機構を調整することにより、ピストンの位置を調整可能としたので、接続対象物に対する取付状況によらずピストンの位置(建築物が振動せずに静止した状態(常態)におけるピストンの初期位置)を原点位置に調整することができる。これにより、制振用オイルダンパーを安定して動作させることができる。
そして、請求項5の発明によれば、補強対策を必要とすることなく、架構に対する負担を軽減しつつ振動を抑制することが可能な制振用オイルダンパーを設置することができるので、コストを抑えつつも安全性を確保することが可能となる。
制振用オイルダンパーの構成を説明する断面図である。 制振用オイルダンパーの構成を説明する模式図である。 制振用オイルダンパーを建築物の架構に接続した状態を例示する図である。 制振用オイルダンパーの作動状態(ピストン原点位置から右側(+側)へピストンが移動した状態)を示す概略図である。 制振用オイルダンパー1の作動状態(ピストン原点位置よりも左側(−側)へピストンが移動した状態)を示す概略図である。 制振用オイルダンパーの荷重特性(変位−減衰力特性)を示す図である。 第2の実施形態における制振用オイルダンパーの部分断面図である。 第2の実施形態における制振用オイルダンパーの荷重特性を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の制振用オイルダンパー1の構成を説明する断面図である。また、図2は、制振用オイルダンパー1の模式的な概略断面図であり、制振用オイルダンパー1の構造・動作原理をより分かりやすくするため簡略化して図示したものである。このため、図1の詳細な断面図とは部分的に異なっている(特に、減衰流路8および絞り機構9と、シャフト10との位置関係。)。また、この図2においては、後述する固定ロッド16および接続部材7bの図示は省略している。本実施形態の制振用オイルダンパー1は、内部に減衰流体としてのオイル2を封入するシリンダー3と、該シリンダー3内に移動可能に設けられてシリンダー3内を第1シリンダー室5aと第2シリンダー室5bとに区画するピストン4と、該ピストン4に接続されてシリンダー3の両端の蓋部材3a,3bから外部へと延出されたピストンロッド7などから概略構成されており、ピストン4の外周部には、シリンダー3の内周面との間に液密性をもたせるためにシール部材6aが設けられている。なお、ピストンロッド7が貫通する上記蓋部材3a,3bの中孔3c,3dにもシール部材6bを設けて、シリンダー3内のオイルが漏出しないように液密状にシールしてある。そして、シリンダー3内から外部へと延出したピストンロッド7の一方の端部(図1および図2における右端部)には、当該ピストンロッド7を構造物(建築物)の接続対象部(後述する架構)へ接続する接続部材7aを備え、図2に示すように、該接続部材7aとピストン4との離間距離をロッド調整機構15(おねじ部15a,めねじ部15b,ロックナット15c)により調整可能としている。具体的には、接続部材7aに形成されたおねじ部15aをピストンロッド7の端部に形成されためねじ部15bへ螺合して接続部材7aとピストン4との離間距離を所望の距離に設定し、おねじ部15aに予め螺合されたロックナット15cを締め付けて前記離間距離の設定を維持可能としている。
図1に示すように、シリンダー3の接続部材7a側とは反対側の端部(図1中、左端部)には、固定ロッド16が接続されている。この固定ロッド16は、シリンダー3との接続側が開口した円筒状の部材である。この固定ロッド16の内部には、ピストンロッド7が挿通可能な空間であって、当該ピストンロッド7の変位を阻害しない程度の内径および全長(軸方向の長さ)に設定されたロッド空部16aが形成されている。また、固定ロッド16のシリンダー3との接続側とは反対側の面には、接続部材7aと対となる接続部材7bが設けられている。
また、ピストン4には、これを貫通して第1シリンダー室5aと第2シリンダー室5bとを連通する減衰流路8a,8bが穿設されており、各減衰流路8a,8bには、それぞれ相反する方向に(第1シリンダー室5aから第2シリンダー室5bへ、第2シリンダー室5bから第1シリンダー室5aへ、)オイル2を通過させて抵抗力(減衰力)を付与する絞り機構9a,9bが設けられている。本実施形態では、絞り機構9a,9bとして減衰弁が採用されているが、これに限るものではなく、減衰機能を有する機構であれば適宜採用することができ、例えば、オリフィスを採用してもよい。また、減衰流路8a,8bは複数設けてもよい。
さらに、上記シリンダー3内には、その軸方向に沿って丸棒状の第1シャフト10aと第2シャフト10bが蓋部材3a,3b間に掛け渡されており、各シャフト10a,10bは上記ピストン4を貫通している。すなわち、各シャフト10a,10bはピストン4に穿設された貫通孔4a,4bに挿通されており、各シャフト10a,10bの外周面とピストン4に穿設された貫通孔4a,4bとの間隙は非常に小さく、その間隙を通過し得るオイル2は極微少となっている。なお、シャフト10a,10bの外周面もしくは貫通孔4a,4bの内周面の何れか一方に、オイル2の通過を阻止するシール部材(図示せず)を設け、上記の間隙を液密状にしてもよい。
第1シャフト10a内には、ストロークの中央であるピストン原点位置に一端が開口して他端が第1シリンダー室5aに連通した第1逃し流路11aが形成され、第2シャフト10b内には上記ピストン原点位置に一端が開口して他端が第2シリンダー室5bに連通した第2逃し流路11bが形成されている。そして、各逃し流路11a,11bには、ピストン原点位置側の開口部(以下、適宜、原点側開口部17と称する。)から流入したオイルはその通過を阻止するがその逆方向の通過を許容する逆止弁12a,12bが設けられている。すなわち、第1逃し流路11aには、原点側開口部17が第2シリンダー室5bに連通したときに、第1シリンダー室5aから第2シリンダー室5bへ向けてオイル2を通過させる逆止弁12aが設けられており、又、第2逃し流路11bには、この逃し流路11bの原点側開口部17が第1シリンダー室5aに連通したときに、第2シリンダー室5bから第1シリンダー室5aへ向けてオイル2を通過させる逆止弁12bが設けられている。
なお、本願におけるピストンの初期位置は、建築物が振動せずに静止した状態(常態)におけるピストン4の位置であり、理想的にはストロークの中央の原点位置である。但し、建築物の接続対象に対する取付状況によっては、ピストン4の初期位置が原点位置からずれる場合もある。この点に関し、本実施形態における制振用オイルダンパー1においては、建築物に対する取付状況に応じてロッド調整機構15によりピストン4の初期位置を原点位置に調整することができる。これにより、制振用オイルダンパー1を安定して動作させることができる。
図2に示すように、シリンダー3内においてピストン原点位置からストローク方向へずれた位置を減衰力変換位置として設定している。詳しくは、原点位置から第1シリンダー室5a側へ距離Δxだけずれた位置を第1減衰力変換位置とし、原点位置から第2シリンダー室5bへ距離Δxだけずれた位置を第2減衰力変換位置としている。さらに、第1逃し流路11aの原点側開口部17は、ピストン原点位置におけるピストン4により閉塞可能な範囲(図1および図2ではピストン4の軸方向の長さ)内で第2シリンダー室5b寄りに開設されている。より具体的には、シリンダー3内におけるストローク方向の中心よりも第2シリンダー室5b寄りであって、原点位置におけるピストン4の第2シリンダー室5b側の端から距離Δxだけ第1シリンダー室5a側へずれた位置に、第1逃し流路11aの原点側開口部17が開設されている。この原点側開口部17のストローク方向の位置が、第1減衰力変換位置を規定する。そして、ピストン4がシリンダー3内のうち第2シリンダー室5b側の端部からピストン原点位置までの間、およびピストン原点位置から第1減衰力変換位置までの間にある時には当該ピストン4によって原点側開口部17が塞がれ、第1逃し流路11a内のオイルが第2シリンダー室5bへ流出不能となる。さらに、ピストン4が原点位置から第1シリンダー室5a側に移動して、第1減衰力変換位置を越えたならば原点側開口部17が開放されて、第1逃し流路11a内のオイルが第2シリンダー室5bへ流出し得る状態になる。
また、第2逃し流路11bの原点側開口部17は、ピストン原点位置におけるピストンにより閉塞可能な範囲内で第1シリンダー室5a寄りに開設されている。より具体的には、シリンダー3内におけるストローク方向の中心よりも第1シリンダー室5a寄りであって、原点位置におけるピストン4の第1シリンダー室5a側の端から距離Δxだけ第2シリンダー室5b側へずれた位置に、第2逃し流路11bの原点側開口部17が開設されている。この原点側開口部17のストローク方向の位置が、第2減衰力変換位置を規定する。そして、ピストン4がシリンダー3内のうち第1シリンダー室5a側の端部からピストン原点位置までの間、およびピストン原点位置から第2減衰力変換位置までの間にある時には当該ピストン4によって塞がれ、第2逃し流路11b内のオイルが第1シリンダー室5aへ流出不能となる。さらに、ピストン4が原点位置から第2シリンダー室5b側に移動して、第2減衰力変換位置を越えたならば開放されて第2逃し流路11b内のオイルが第1シリンダー室5aへ流出し得る状態になる。
ここで、ピストン4のストローク方向の寸法Lは、第1シリンダー室5aおよび第2シリンダー室5bの同方向の寸法STよりも大きく設定されている。これにより、ピストン4が、シリンダー3内のうち一方のシリンダー室側の端部にある最大ストロークの状態(ピストン4がシリンダー3における何れか一の蓋部材3a,3bに当接した状態)で、他方のシリンダー室から一方のシリンダー室へ向かう逃し流路11の原点側開口部17がピストン4により閉塞される。つまり、ピストン4が一方のシリンダー室側に最大ストロークとなったときに他方のシリンダー室から一方のシリンダー室へ向かう逃し流路11の原点側開口部17が他方のシリンダー室側に開放されることが防止される。このため、ピストン4が最大振幅位置から原点位置に向けて移動(原点復帰動作)を開始した直後から減衰弁9による減衰力が生じるようになっている。
図3は、このような構成の制振用オイルダンパー1を建築物の架構19に接続した状態を例示する図である。図3(a)の例において、架構19は、柱19aと梁19bより枠状に組み合わされてなる構造物である。この例では、上側の梁19bとその両側の柱19aとで画成される隅角部にそれぞれ1つずつ、下側の梁19bの長手方向中央部に1つ、合計3つのガセットプレート20が、ダンパー接続部材として設けられている。そして、上記構成の制振用オイルダンパー1においては、シリンダー3およびピストンロッド7(接続部材7,7b)が、ガセットプレート20を介して建築物の架構19へ接続される。図3(a)においては、架構19の開口面内に2本の制振用オイルダンパー1が、略V字型を呈する状態で取り付けられている。より具体的には、上側の梁19bの一側(図3中右側)のガセットプレート20に、接続部材7bが回動可能に接続され、下側の梁19bのガセットプレート20に、接続部材7aが回動可能に接続されて、一方の制振用オイルダンパー1が取り付けられている。同様にして、上側の梁19bの他側(図3中左側)のガセットプレート20と下側の梁19bのガセットプレート20との間に他方の制振用オイルダンパー1が取り付けられている。このような構成においては、地震等により架構19が歪むことで制振用オイルダンパー1の両側のガセットプレート20間の距離が変化し、これにより制振用オイルダンパー1がストローク方向に沿って外力を受けることになる。
ここで、ダンパー接続部材は、図3(a)で例示したガセットプレート20に限られず、制振用オイルダンパー1を架構19へ接続可能であり、架構19が歪むことにより制振用オイルダンパー1がストローク方向に沿って外力を受けることになれば、どのような構造でもよい。例えば、図3(b)に示す他の例においては、ガセットプレート20およびアーム21をダンパー接続部材として介在させて架構19に制振オイルダンパー1を接続している。具体的には、架構19の四隅にそれぞれ1つずつ、下側の梁19bの長手方向中央部に1つ、合計5つのガセットプレート20を設け、上側の梁19bの両側のガセットプレート20と下側の梁19bの中央のガセットプレート20との間に、互いに連結された2本のアーム21を所定の角度を有する状態でそれぞれ接続している。そして、下側の梁19bの両側のガセットプレート20に、それぞれ制振用オイルダンパー1の一方の接続部材7aを接続し、他方の接続部材7bを2本のアーム21の連結部分に回動可能に接続している。この構成においては、地震等により架構19が歪むことでガセットプレート20およびアーム21を介して制振用オイルダンパー1がストローク方向に沿って外力を受ける。
また、図3(c)に示す例では、ガセットプレート20およびブレース22をダンパー接続部材として制振オイルダンパー1を接続している。具体的には、架構19の上側の梁19bの両隅角部に1つずつ合計2つのガセットプレート20を設け、架構19の開口内には、合計4本のブレース22を、M字状を呈するように連結した状態で当該架構19に直接溶接する等して設けている。M字型に連結されたブレース22の上側2つの頂部は、上側の梁部19bから少し離間している。そして、これらの頂部にそれぞれ制振用オイルダンパー1の一方の接続部材7aを接続し、他方の接続部材7bをガセットプレート20に接続している。この構成においては、地震等により架構19が歪むことでガセットプレート20およびブレース22を介して制振用オイルダンパー1がストローク方向に沿って外力を受ける。
また、架構19の柱19aおよび梁19bに沿って延在する矩形状のダンパー接続部材を備え、該ダンパー接続部材の筋交いとして制振用オイルダンパー1を接続することもできる。
次に、図1および図4から図6を用いて、以上のような構造を有する制振用オイルダンパー1の作用について説明する。図4は本実施形態の制振用オイルダンパー1の作動状態(ピストン原点位置から右側(+側)へピストンが移動した状態)を示す概略図であり、図5は本実施形態の制振用オイルダンパー1の作動状態(ピストン原点位置よりも左側(−側)へピストンが移動した状態)を示す概略図である。また図6は、本実施形態の制振用オイルダンパーの荷重特性(変位−減衰力特性)を示す説明図である。ここで、図6において、横軸は、原点位置からのピストン4の変位を示しており、+側が図1等において右側へ向かう変位に対応し、−側が左側へ向かう変位に対応している。また、縦軸は、ピストン4の変位に伴って生じる減衰力を示しており、+側はピストン4が−側から+側に移動するときの減衰力(減衰弁9bにより生じる減衰力)であり、−側はピストン4が+側から−側に移動するときの減衰力(減衰弁9aにより生じる減衰力)である。
本実施形態の制振用オイルダンパー1は、ピストン4の初期位置がシリンダー3内の中央部、すなわち原点位置となるようにロッド調整機構15により調整された状態(図1に示す状態)で、建築物の架構に取り付けられる。
まず、本実施形態の制振用オイルダンパー1において、例えば地震の最初の揺れで架構が振動を受けて常態から歪み、架構からダンパー接続部材を介してピストンロッド7に+方向の外力(入力)が加わって、ピストン4が原点位置から+側に移動して遠のく場合について説明する。図4(a)に示すように、当該外力によりピストン4が原点位置(初期位置)から+方向に移動する。これにより、第1シリンダー室5a内に収容されたオイル2は圧縮される。第1シリンダー室5a内の圧力が上昇すると、第1シリンダー室5a内のオイル2はピストン4に穿設された減衰流路8b、およびシャフト10aに形成された第1逃し流路11aを通り第2シリンダー室5bへと移動しようとするが、第1逃し流路11aの原点側開口部17は、ピストン4が第1減衰力変換位置(図4中のC1で示す位置に第2シリンダー室5b側のピストン4の端面が位置するときの当該ピストン4の位置)を越えるまではピストン4によって閉塞されているので、第1シリンダー室5a内のオイル2は減衰流路8bをのみを通過し(図4(a)中の破線矢印参照。)、その通過の際に該減衰流路8bに設けられた減衰弁9bにより流量が絞られて抵抗力、すなわちピストン4の速度に応じた大きさの減衰力を発生する。
そして、ピストン4が+側に移動し続けて第1減衰力変換位置を越えると、図4(b)に示すように、第1逃し流路11aの原点側開口部17が開かれる。これにより、第1シリンダー室5a内のオイルが迅速に第1逃し流路11aを通過して第2シリンダー室5bへ流出する(図4(b)中の実線矢印参照。)。このため、ピストン4が第1減衰力変換位置C1を越えた直後に減衰力が急激に弱まり、第1シリンダー室5a内のオイル2の圧力が元の圧力に戻って、減衰力がゼロになる。そして、前記した+方向の外力(揺れ)の作用によりピストンが移動し得る最大振幅位置に到達するまで、減衰力がゼロの状態が維持される。この行程における減衰力は、図6のAのように遷移する。
次に、ピストン4が+側の最大振幅位置から原点位置に向けて−側に変位する場合、ピストン4が第2シリンダー室5bを圧縮するので、第2シリンダー室5b内のオイル2の圧力が上昇する。これにより、第2シリンダー室5b内のオイル2は減衰流路8a、および第2逃し流路11bを通り第1シリンダー室5aへと移動しようとする。しかし、第2逃し流路11bの原点側開口部17はピストン4によって閉塞されているので、第2シリンダー室5b内のオイル2は、減衰流路8aのみを通過する。したがって、ピストン4が最大振幅位置から原点位置に向けて移動を開始した直後から減衰弁9aによってピストン4の速度に応じた減衰力が生じる。そして、ピストン4が原点位置に戻るまで、減衰力が発生し続ける。この行程における減衰力は、図6のBのようになる。
続いて、図5(a)に示すように、−方向の外力によりピストン4が原点位置から−側に遠のく場合、ピストン4が第2減衰力変換位置(図5中のC2で示す位置に第1シリンダー室5a側のピストン4の端面が位置するときの当該ピストン4の位置)を越えるまでは、第2逃し流路11bの原点側開口部17がピストン4によって閉塞されているので、第2シリンダー室5b内のオイル2は第2逃がし流路11bを通って第1シリンダー室5a側に移動することができない。したがって、第2シリンダー室5bのオイル2の圧力が急激に上昇し、これにより、第2シリンダー室5bのオイル2は、減衰流路8aに流入し、その途中の減衰弁9aを開いて第1シリンダー室5aに移動する(図5(a)中の破線矢印参照。)。その際に減衰弁9aによりピストン4の速度に応じた減衰力が発生される。そして、ピストン4が−側に移動し続けて第2減衰力変換位置C2を越えると、図5(b)に示すように、第2逃し流路11bの原点側開口部17が開かれる。これにより、第2シリンダー室5b内のオイル2が迅速に第2逃し流路11bを通過して第1シリンダー室5aへ流出する(図5(b)中の実線矢印参照。)。このため、ピストン4が第2減衰力変換位置C2を越えた直後に減衰力が急激に弱まり、第2シリンダー室5b内のオイル2の圧力が元の圧力に戻って減衰力がゼロになる。そして、ピストン4が−側の最大振幅位置に到達するまで、減衰力がゼロの状態が維持される。この行程における減衰力は、図6のCのように遷移する。
次に、ピストン4が−側の最大振幅位置から原点位置に向けて+側に変位する場合、ピストン4が第1シリンダー室5aを圧縮するので、第1シリンダー室5a内のオイル2の圧力が上昇する。これにより、第1シリンダー室5a内のオイル2は減衰流路8b、および第1逃し流路11aを通り第2シリンダー室5bへと移動しようとするが、第1逃し流路11aの原点側開口部17はピストン4によって閉塞されているので、第1シリンダー室5a内のオイル2は、減衰流路8bのみを通過する。したがって、ピストン4が最大振幅位置から原点位置に向けて移動を開始した直後から減衰弁9bによってピストン4の速度に応じた減衰力が生じる。そして、ピストン4が原点位置に戻るまで、減衰力が発生し続ける。この行程における減衰力は、図6のDのようになる。
なお、揺れ(外力)が小さくピストン4が減衰力変換位置を越えることがない場合には、ピストン4が移動している間に亘って減衰力が発生し続ける。そして、ピストンが減衰力変換位置よりもピストン原点位置に近い位置で停止すると、第1シリンダー室5a内のオイル2の圧力が元の圧力に戻って、減衰力がゼロになる。この場合における減衰力は、図6のEのように遷移する。
このように、本実施形態の制振用オイルダンパー1においては、上記行程を繰り返すことにより原点位置を中心に変位量を減少させながら、やがてピストン4が原点位置(初期位置)で停止する。これにより、建築物の揺れは抑制される。
本発明に係る制振用オイルダンパー1では、ピストン4が原点位置から遠ざかる動きをする振動の場合、原点位置から減衰力変換位置までは減衰力を発生するが当該減衰力変換位置を越えると減衰力が0となり、原点位置に近づく(戻る)動きをする振動の場合には減衰力を継続して発生させる。このように構成することで、地震等により振幅が比較的大きな振動による外力(ピストン4が減衰力変換位置を越える程度の大きさの力)が制振用オイルダンパー1に作用してピストン4が原点位置から遠ざかる場合に、入力直後は減衰力を発生して外力を弱めつつも、その後直ちに減衰力を開放することで当該外力を逃して架構の変形を許容するので、架構が制振用オイルダンパー1の制振動作に耐えられずに損傷してしまうことを抑制することができる。その一方で、ピストン4が原点位置に戻る際、或いは、原点位置と減衰力変換位置との間で変位する際には、減衰力が発生するので、架構に対する負担を軽減しつつも制振することが可能となる。したがって、本発明に係る制振用オイルダンパー1は、建築物の耐力によらず補強対策を必要とすることなく、また、制振用オイルダンパー1に減衰力の調整機構を別途付加することなく、建築物に設置することができるので、汎用性の向上およびコストの削減に寄与することが可能となる。
また、このような制振用オイルダンパー1を備えた建築物では、補強対策を必要とすることなく、架構に対する負担を軽減しつつ振動を抑制することができるので、コストを抑えつつも安全性を確保することが可能となる。
さらに、原点位置に対して前後(+側と−側)に減衰力変換位置をそれぞれ設けてあるので、ピストン4の初期位置が原点位置に対してばらついたとしても、この前後の減衰力変換位置の範囲内(原点位置に対して±Δxの範囲内であり、図6におけるラップ代。)でのばらつきを許容することができる。つまり、原点位置に対して上記ラップ代の範囲内で初期位置がばらついた場合においても、初期位置付近で減衰力を発生させることができる。そして、初期位置付近で減衰力を発生させることで、外力がピストンロッド7に最初に入力したときの当該外力を入力直後に僅かに弱めた後に逃すことができ、建築物(架構)に対する負担をより軽減することができる。上記ラップ代については、原点位置におけるピストン4のストローク方向の端面と逃し流路の原点側開口部17との距離Δxで定まり、制振用オイルダンパー1の設計段階において、ピストン4のストローク方向の寸法等により任意に設定することができる。
なお、上記の第1の実施形態では、ピストン4が減衰力変換位置を越えた直後に減衰力が急激に低下してゼロとなる構成を例示したが、これには限られるものではなく、ピストン4が減衰力変換位置を越えた後に減衰力が緩やかに減少する構成とすることも可能である。
図7は、第2の実施形態における制振用オイルダンパー1の部分断面図であり、主に、第1逃し流路11a側の構成を示している。図7に示す第2の実施形態では、逃し流路11a,11bにそれぞれオリフィス13(本発明における逃し側絞り手段に相当。)を設け、当該オリフィス13により逃し流路の流量を絞るように構成している。このとき、逃し流路11の流路径やオイル2の粘度に基づいてオリフィス13の流路抵抗が定められる。当該構成によれば、ピストン4が減衰力変換位置を越えた際に、第1の実施形態の場合と比較して減衰力が緩やかに減少していき、最大振幅位置に到達する前に減衰力がゼロになる。すなわち、この第2の実施形態における変位−減衰力特性は、図8に示すような遷移を示す。なお、最大振幅位置に到達した時点での減衰力(振幅位置減衰力)はゼロには限られず、減衰力変換位置における減衰力よりも弱い値であればよい。
この第2の実施形態における構成によれば、原点位置から遠ざかるピストン4が減衰力変換位置を越えた後において、減衰力を緩やかに弱めることで建造物の架構に対する負荷を抑制しつつも、より高い制振効果を得ることが可能となる。
なお、図3で例示した各構成では、架構19に補強材等による補強を施すことなく制振用オイルダンパー1を架構19に設置した構成を例示したが、架構19を補強した上で制振用オイルダンパー1を設定することも可能である。
1 制振用オイルダンパー
2 オイル
3 シリンダー
3a,3b 蓋部材
3c,3d 中孔
4 ピストン
4a,4b 貫通孔
5a 第1シリンダー室
5b 第2シリンダー室
6a,6b シール部材
7 ピストンロッド
8a,8b 減衰流路
9a,9b 絞り機構(減衰弁)
10a,10b シャフト
11a,11b 逃がし流路
12a,12b 逆止弁
13 オリフィス
15 ロッド調整機構
15a おねじ部
15b めねじ部
15c ロックナット
16 固定ロッド
19 架構
20 ガセットプレート
21 アーム
22 ブレース

Claims (5)

  1. オイルを封入したシリンダーと、
    該シリンダー内に移動可能に嵌装され、シリンダー内を第1のシリンダー室と第2シリンダー室とに区画するピストンと、
    該ピストンに接続され、上記シリンダーから外部へと延出されたピストンロッドと、
    上記ピストンの位置にかかわらず第1のシリンダー室と第2シリンダー室とを連通する減衰流路と、
    該減衰流路に設けられ、通過するオイルの抵抗となる絞り機構と、
    前記ピストンを貫通した状態でシリンダーの軸方向に沿って掛け渡された一対のシャフトと、
    前記シャフトに形成され、ピストン原点位置におけるピストンで閉塞可能な範囲内であって第2シリンダー室寄りに一端が開口して他端が第1のシリンダー室に連通した第1逃し流路と、
    前記シャフトに形成され、ピストン原点位置におけるピストンで閉塞可能な範囲内であって第1シリンダー室寄りに一端が開口して他端が第2シリンダー室に連通した第2逃し流路と、
    各逃し流路に設けられ、ピストン原点位置側の開口部から流入したオイルの通過を阻止するがその逆方向の通過を許容する逆止弁と、
    を備え、
    ピストンロッドに外力が作用してピストンがピストン原点位置に近づく方向に移動する場合に、シリンダー室内のオイルを減衰流路に通して絞り機構により減衰力を付与し、
    ピストンがピストン原点位置から遠のく方向に移動する場合においては、
    予め設定された減衰力変換位置に到達するまでは、逃し流路のピストン原点位置側の開口部をピストンで閉塞し続け、シリンダー室内のオイルを減衰流路に通して絞り機構により減衰力を付与し、
    前記減衰力変換位置を越えると、ピストンによる逃し流路のピストン原点位置側の開口部の閉塞を解除して、オイルを逃し流路のピストン原点位置側の開口部から流出して減衰力を弱め、ピストンが前記外力の作用により移動し得る最大振幅位置に到達する前には減衰力をゼロにするようにしたことを特徴とする制振用オイルダンパー。
  2. オイルを封入したシリンダーと、
    該シリンダー内に移動可能に嵌装され、シリンダー内を第1のシリンダー室と第2シリンダー室とに区画するピストンと、
    該ピストンに接続され、上記シリンダーから外部へと延出されたピストンロッドと、
    上記ピストンの位置にかかわらず第1のシリンダー室と第2シリンダー室とを連通する減衰流路と、
    該減衰流路に設けられ、通過するオイルの抵抗となる絞り機構と、
    前記ピストンを貫通した状態でシリンダーの軸方向に沿って掛け渡された一対のシャフトと、
    前記シャフトに形成され、ピストン原点位置におけるピストンで閉塞可能な範囲内であって第2シリンダー室寄りに一端が開口して他端が第1のシリンダー室に連通した第1逃し流路と、
    前記シャフトに形成され、ピストン原点位置におけるピストンで閉塞可能な範囲内であって第1シリンダー室寄りに一端が開口して他端が第2シリンダー室に連通した第2逃し流路と、
    各逃し流路に設けられ、ピストン原点位置側の開口部から流入したオイルの通過を阻止するがその逆方向の通過を許容する逆止弁と、
    を備え、
    ピストンロッドに外力が作用してピストンがピストン原点位置に近づく方向に移動する場合に、シリンダー室内のオイルを減衰流路に通して絞り機構により減衰力を付与し、
    ピストンがピストン原点位置から遠のく方向に移動する場合においては、
    予め設定された減衰力変換位置に到達するまでは、逃し流路のピストン原点位置側の開口部をピストンで閉塞し続け、シリンダー室内のオイルを減衰流路に通して絞り機構により減衰力を付与し、
    前記減衰力変換位置を越えると、ピストンによる逃し流路のピストン原点位置側の開口部の閉塞を解除して、オイルを逃し流路のピストン原点位置側の開口部から流出して減衰力を弱め、ピストンが前記外力の作用により移動し得る最大振幅位置に到達したときには、減衰力変換位置における減衰力よりも弱い振幅位置減衰力を付与するようにしたことを特徴とする制振用オイルダンパー。
  3. 前記第1逃し流路および第2逃し流路には、オイルの通過量を絞る逃し側絞り手段をそれぞれ備えたことを特徴とする請求項2に記載の制振用オイルダンパー。
  4. 前記ピストンロッドには、当該ピストンロッドを接続対象物へ接続する接続部材とピストンとの離間距離を調整可能なロッド調整機構を備え、該ロッド調整機構を調整することにより、ピストンの位置を調整可能としたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の制振用オイルダンパー。
  5. 前記請求項1から請求項4のいずれかに記載の制振用オイルダンパーを架構に備え、該架構の振動を減衰可能な建築物であって、
    前記制振用オイルダンパーのシリンダーとピストンロッドとを前記架構へ接続するダンパー接続部材を備え、
    前記制振用オイルダンパーは、
    前記架構が地震等の外力による振動を受けて常態から歪むと、架構からダンパー接続部材を介してピストンロッドに負荷が掛かり、該負荷によりピストンをピストン原点位置から遠ざけ、
    前記架構が振動による歪み状態から常態へ戻ると、架構からダンパー接続部材を介してピストンロッドに架構の復元力が掛かり、該復元力によりピストンをピストン原点位置に近づけることを特徴とする建築物。
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