JP2004068289A - 耐震架構 - Google Patents

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Ikuo Shimoda
下田 郁夫
Kazuaki Shiki
志気 一顕
Takeshi Tanaka
田中 剛
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Abstract

【課題】最適な引っ張り力にダンパを設定できてこの引っ張り力を構造物の上部及び下部間に予め与えることができる結果、振動の弱い場合には剛体のように作用して構造物の上部に対して構造物の下部を相対的に振動させないようにでき、しかも、簡単な作業でもって設置できる上に、ダンパの引っ張り力を再設定又は調整できる耐震架構を提供すること。
【解決手段】耐震架構1は、柱6の上部と、柱6の上部に対して相対的に水平方向Hに移動可能であって柱6の上部の下方に配された床側の横部材8と、これら柱6の上部及び横部材8間に直列となって介在されたダンパ2、斜材9及び緊張設定手段10からなる二組の組み合わせ体とを具備している。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造物の上部及び下部間に介在されて上部に対する下部の相対的振動を減衰させるダンパを用いた耐震架構に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
例えば耐震性のために柔構造とされた事業用ビル、事務所ビル、集合住宅、橋梁等の建築物では、風圧又は弱い地震動等により容易に撓み、その床側の構造物の下部に対して天井側の構造物の上部が水平方向に振動(揺動)し、しかも、それが長く続く場合がある。風圧又は弱い地震では斯かる振動が生じないようにし、また強い地震に起因するものをも含めてその振動を早期に減衰させるために例えば制振壁が用いられるが、このような制振壁としては、粘性体を収容すると共に、床等に固定された容器と、この容器内の粘性体に大部分が浸漬されると共に、上部が天井等に固定された抵抗板とからなるダンパを壁内に配置して、風又は地震による水平方向の床側に対する天井側の移動に基づく容器に対する抵抗板の移動で粘性体を剪断させ、この剪断における粘性剪断抵抗により振動を生じさせないように又は低減して、しかも、振動が生じた場合にはその振動エネルギを吸収して早期にそれを減衰させるようにしたものが知られている。
【0003】
斯かるダンパを用いた制振壁では、その振動の阻止又は低減と減衰とが粘性体の粘度に依存するために、粘度が低い場合には、所望の振動の低減と減衰とを得られ難いのであるが、粘度を高くすると、容器への粘性体の充填が困難となり、充填時間を多く必要とする。
【0004】
また上記のダンパでは、容器内の粘性体に抵抗板の大部分を単に浸漬させたものであるために、床側の構造物の下部と天井側の構造物の上部とを元の位置に復帰させる原点復帰機能をそれ自体が有していないために、粘性体の粘度が極めて高いと、振動が収まった後に、床側の構造物の下部と天井側の構造物の上部との位置がずれてしまう虞がある。
【0005】
そこで、本出願人は、特開2001−336572号公報に記載されているような、振動の弱い場合には剛体のように作用して一方の構造物に対して他方の構造物を振動させないようにでき、一定以上の振動では伸縮変形して振動エネルギを吸収すると共に振動エネルギの吸収後に他方の構造物を一方の構造物に対して元の位置に戻すように動作するダンパ、特に、構造物の上部及び下部間に介在されて上部に対する下部の相対的振動を早期に減衰させるために用いて好適なダンパを提案した。
【0006】
本出願人の提案に係る斯かるダンパは上記の効果を得ることができて極めて有用なものであるが、このようなダンパで最適な引っ張り力と動作範囲とを得るためには、この引っ張り力と動作範囲とから決定された所定の長さ等をもったダンパ及び場合により斜材等を準備する必要があり、また引っ張り力を生じさせた状態での設置となるために設置作業が面倒となる虞がある上に、設置後において引っ張り力を再設定又は調整するには、斜材の付加、交換、場合によりダンパの交換等を必要とし、これまた作業が面倒となる虞がある。
【0007】
なお、斯かる問題は、上記公報に記載のダンパに限って生じるものではなく、シリンダ本体と、このシリンダ本体を二室に画成するように、このシリンダ本体内に配されているピストンと、シリンダ本体の二室を連通する通路と、シリンダ本体の二室に充填された流体とを具備していると共に、復元性を有して引っ張り力を発生するいわゆる流体ダンパでも生じ得るのである。
【0008】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、最適な引っ張り力にダンパを設定できてこの引っ張り力を構造物の上部及び下部間に予め与えることができる結果、振動の弱い場合には剛体のように作用して構造物の上部に対して構造物の下部を相対的に振動させないようにでき、しかも、簡単な作業でもって設置できる上に、ダンパの引っ張り力を再設定又は調整できる耐震架構を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の態様の耐震架構は、構造物の上部と、この構造物の上部に対して相対的に水平方向に移動可能であって構造物の上部の下方に配された構造物の下部と、これら構造物の上部及び下部間に直列となって介在されたダンパ及び緊張設定手段とを具備しており、ダンパは、構造物の上部に対して下部を相対的に引き寄せるように引っ張り力を生じるようになっており、ここで、緊張設定手段は、ダンパの引っ張り力に抗してダンパを伸長させている。
【0010】
第一の態様の耐震架構によれば、ダンパが緊張設定手段により引っ張り力(縮み力)に抗して伸長されているために、縮み力以上の伸長力が外部からダンパに付加されない限りダンパは剛体のように振る舞い、したがって構造物をダンパによってしっかりと保持できる一方、縮み力以上の伸長力が外部からダンパに付加されると、ダンパにより外部からの運動エネルギを可及的速やかに吸収して構造物の運動を減衰させることができ、しかも、緊張設定手段がダンパの引っ張り力に抗してダンパを伸長させているために、ダンパの引っ張り力を再設定又は調整できる上に、設置にあたっては緊張設定手段によりダンパの引っ張り力を低減でき、而して、大きな引っ張り力が生じた状態でダンパを設置する必要がない結果、簡単な作業でもってダンパを設置できる。
【0011】
本発明の第二の態様の耐震架構では、第一の態様の耐震架構において、ダンパは、シリンダ本体と、このシリンダ本体を二室に画成するように、このシリンダ本体内に配されているピストンと、シリンダ本体の二室を連通する通路と、シリンダ本体の二室に充填された流体とを具備しており、緊張設定手段は、シリンダ本体に対するピストンの軸方向位置を可変設定できるようになっている。
【0012】
本発明の第三の態様の耐震架構では、第二の態様の耐震架構において、ダンパは、一端部がピストンに連結されていると共に、シリンダ本体の一端部を貫通してシリンダ本体外に突出された大径のピストンロッドと、一端部がピストンに連結されていると共に、シリンダ本体の他端部を貫通してシリンダ本体外に突出された小径のピストンロッドとを更に具備しており、流体は圧縮性を有しており、緊張設定手段は、シリンダ本体に内圧を生じさせてこの内圧に起因するダンパの引っ張り力に抗してダンパを伸長させている。
【0013】
第三の態様の耐震架構において、圧縮性の流体は、好ましくは本発明の第四の態様の耐震架構のように、シリコン系の液体からなるが、これに限定されず、その他の流体、例えばビンガム流体の挙動を示す液体であってもよい。
【0014】
第三又は第四の態様の耐震架構において、緊張設定手段は、本発明の第五の態様の耐震架構のように、小径のピストンロッドの他端部及びシリンダ本体のうちの一方と構造物の上部との間に介在されていても、本発明の第六の態様の耐震架構のように、小径のピストンロッドの他端部及びシリンダ本体のうちの一方と構造物の下部との間に介在されていてもよく、前者の場合には、小径のピストンロッドの他端部及びシリンダ本体のうちの他方は構造物の下部に連結されており、後者の場合には、小径のピストンロッドの他端部及びシリンダ本体のうちの他方は構造物の上部に連結されているとよい。
【0015】
第二から第六のいずれかの態様の耐震架構において、緊張設定手段は、好ましくは本発明の第七の態様の耐震架構のように、ピストンを軸方向に関してシリンダ本体の略中央に位置するようにダンパを伸長させている。
【0016】
第二から第七のいずれかの態様の耐震架構において、通路は、本発明の第八の態様の耐震架構のように、シリンダ本体とピストンとの間の隙間からなっていても、本発明の第九の態様の耐震架構のように、ピストンに設けられた貫通孔からなっていてもよい。
【0017】
緊張設定手段は、好ましくは本発明の第十の態様の耐震架構のように、構造物の上部及び構造物の下部のうちの一方とダンパとの間に介在されており、また本発明の第十一の態様の耐震架構のように、ターンバックルを具備している。
【0018】
なお、緊張設定手段を二個設けてもよく、この場合、例えば、一方の緊張設定手段を小径のピストンロッドの他端部及びシリンダ本体のうちの一方と構造物の上部との間に介在させ、他方の緊張設定手段を小径のピストンロッドの他端部及びシリンダ本体のうちの他方と構造物の下部との間に介在させてもよい。
【0019】
本発明の第十二の態様の耐震架構のように、構造物の上部は、柱の上部又は天井側の横部材で、構造物の下部は床側の横部材であってもよく、また本発明の第十三の態様の耐震架構のように、構造物の上部は、天井側の横部材で、構造物の下部は、柱の下部又は床側の横部材であってもよい。
【0020】
本発明の第十四の態様の耐震架構では、構造物の上部と構造物の下部とは、ダンパ及び緊張設定手段を介して連結されており、本発明の第十五の態様の耐震架構では、構造物の上部と構造物の下部とは、ダンパ及び緊張設定手段に加えて、これらダンパ及び緊張設定手段に直列に配された斜材を介して連結されている。
【0021】
斜材としては、ダンパの伸縮の両方にダンパのエネルギ消散作用を利用する場合には撓まない剛性をもったものが好ましいが、引っ張りにおけるダンパの伸長においてダンパのエネルギ消散作用を利用する場合には、可撓性を有したワイヤーであってもよい。
【0022】
次に本発明及びその実施の形態を、図を参照して更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何等限定されないのである。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1及び図2において、本例の耐震架構1は、二個のダンパ2が壁に組み込まれた制振壁3を夫々有した下階4と上階5とを具備している多層階の建築物に適用されており、下階4と上階5とは同様に構成されているので、以下、下階4について説明する。
【0024】
耐震架構1は、構造物の上部としての柱6の上部及び柱6に隣接する柱7の上部と、柱6の上部及び柱7の上部に対して相対的に水平方向Hに移動可能であって柱6の上部及び柱7の上部の下方に配された構造物の下部としての床側の横部材8と、これら柱6の上部及び柱7の上部並びに床側の横部材8間に直列となって介在されたダンパ2、斜材9及び緊張設定手段10からなる二組の組み合わせ体とを具備している。
【0025】
復元特性を有する各ダンパ2は、シリンダ本体11と、シリンダ本体11を二室12及び13に画成するように、シリンダ本体11内に配されているピストン14と、二室12及び13を連通すると共に、シリンダ本体11とピストン14との間の隙間からなる通路15と、一端部16がピストン14に連結されていると共に、シリンダ本体11の一端部17を摺動自在に貫通してシリンダ本体11外に突出された大径のピストンロッド18と、一端部19がピストン14に連結されていると共に、シリンダ本体11の他端部20を摺動自在に貫通してシリンダ本体11外に突出されており、ピストンロッド18の径よりも小径のピストンロッド21と、シリンダ本体11の二室12及び13に充填された例えばシリコンオイル等のシリコン系の液体からなる圧縮性を有した、即ち可圧縮性の流体22と、ピストンロッド21の他端部23に固着された環状の連結部材24と、シリンダ本体11に固着された有底の円筒部材25と、円筒部材25の底部26に固着されたねじ棒27とを具備しており、ピストンロッド18及び21の伸びる方向である方向Zに伸縮変形自在である。
【0026】
剛性の鋼材からなる各斜材9は、長尺の斜材本体31と、斜材本体31の一端部32に固着された環状の連結部材33と、斜材本体31の他端部34に固着されたねじ棒35とを一体的に具備している。
【0027】
柱6の上部及び柱7の上部と各ダンパ2との間に夫々介在されている各緊張設定手段10は、一方ではねじ棒27に螺合しており、他方ではねじ棒35に螺合しているターンバックル41を具備しており、これにより、一方の緊張設定手段10は、一方のシリンダ本体11と柱6の上部との間に介在されており、他方の緊張設定手段10は、他方のシリンダ本体11と柱7の上部との間に介在されている。
【0028】
各ダンパ2は、その環状の連結部材24で軸51を介して横部材8に夫々壁面内で回動自在に連結されており、而して、小径のピストンロッド21の他端部23は建物の下部である横部材8に連結されており、各斜材9は、その環状の連結部材33で軸52を介して柱6の上部及び柱7の上部に夫々壁面内で回動自在に連結されており、而して、構造物の上部である柱6の上部と構造物の下部である横部材8とは、一方のダンパ2及びターンバックル41に加えて、これらダンパ2及びターンバックル41に直列に配された一方の斜材9を介して連結されており、構造物の他の上部である柱7の上部と横部材8とは、他方のダンパ2及びターンバックル41に加えて、これら他方のダンパ2及びターンバックル41に直列に配された他方の斜材9を介して連結されている。
【0029】
各ターンバックル41は、ねじ棒27とねじ棒35とが互いに接近するように軸心Xの周りでR方向に回転されて、各シリンダ本体11に内圧を生じさせてこの内圧に起因する各ダンパ2の引っ張り力に抗して、しかも、ピストン14を軸方向、即ち軸心Xに沿う方向Zに関してシリンダ本体11の略中央に位置させるように各ダンパ2を伸長させている。また、各ターンバックル41は、各シリンダ本体11に対する対応のピストン14の方向Zの位置を可変設定できるようになっている。
【0030】
以上の耐震架構1では、ダンパ2は、連結部材24又は連結部材33にZ方向の引っ張り外力が加わらない場合には、換言すれば、連結部材24と連結部材33とをZ方向に関して互いに引き離そうとする外力が加わらない場合には、二室12及び13における受圧面積の相違によるピストン14に加わる一端部17に向かう自身の力、すなわちZ方向に関する自身の引っ張り力により、Z方向に関して可能な最小に縮められた状態になる。そして、連結部材24と連結部材33とをZ方向に関して互いに引き離そうとする外力が、二室12及び13における受圧面積の相違によるピストン14に加わる一端部17に向かう自身の力よりも大きくなると、連結部材24と連結部材33とは、Z方向に関して互いに引き離されるようになり、ダンパ2は、Z方向に関して伸張されることになる一方、伸張後に連結部材24と連結部材33とをZ方向に関して互いに引き離そうとする外力が自身の引っ張り力よりも小さくなると、ダンパ2は、Z方向に関して縮むことになる。この伸縮において、ダンパ2は、通路15を介する流体22の室12と室13との間の移動により可及的速やかにダンパ2に加わる運動エネルギを減衰させることになる。
【0031】
そして、耐震架構1では、大径のピストンロッド18と小径のピストンロッド21との面積差と流体22の圧力とに基づく力以上の伸長力が外部から付加されない限りダンパ2が剛体のように振る舞い、したがって例えば連結部材33に取り付けられた構造体である柱6及び7をしっかり保持でき、地震などによりそれ以上の伸長力が外部から付加されると、通路15を介する流体22により斯かる柱6及び7の運動エネルギを可及的速やかに吸収して地震などによる柱6及び7の運動を減衰させることができる上に、ダンパ2でもって大径のピストンロッド18と小径のピストンロッド21との面積差と流体22の圧力とに基づく力、すなわち自身の引っ張り力が柱6及び7に印加されるために、移動後の柱6及び7を元の位置に戻すことができる。
【0032】
即ち、耐震架構1では、常時においては、二室12及び13におけるピストン14の受圧面積の相違による各ダンパ2のZ方向の縮小力により斜材9は引っ張られている。そして、風等により多少の水平力が耐震架構1に付加されても又は小さな地震等により多少の水平力が耐震架構1に付加されても、二室12及び13におけるピストン14の受圧面積の相違による両ダンパ2の釣り合った引っ張り力により、横部材8に対して天井側の横部材55が水平方向Hに相対的に振動することがないようになっている。
【0033】
耐震架構1において、地震動等により大きな水平力が横部材8に対して横部材55に相対的に付加されて、横部材8に対して横部材55が相対的に水平方向Hに振動すると、各ダンパ2は交互にZ方向に関して伸縮変形されて、斯かるダンパ2の伸縮変形において、通路15を介する流体22の室12と室13との間の移動により下階4における横部材8に対する横部材55の水平方向Hの振動を可及的速やかに減衰させることになる。横部材55に地震に基づく水平方向Hの力が加わらなくなると、両ダンパ2の釣り合った引っ張り力により横部材55は、横部材8に対して元の位置に復帰される。
【0034】
また、耐震架構1においては、ターンバックル41をR方向に回転してシリンダ本体11に対するピストン14の方向Zの位置を変化させてダンパ2の引っ張り力を再設定又は調整することにより、耐震架構1に最適な引っ張り力をダンパ2によって与えることができる。
【0035】
加えて、制振壁3を構成するためにダンパ2を壁に設置するにあたっては、図3に示すように、ピストン14がシリンダ本体11の一端部17に当接してダンパ2に引っ張り力が生じないようにすると共に、ターンバックル41をR方向に回転させてねじ棒27とねじ棒35とを相互に離反させ、連結部材24と連結部材33との間の距離(長さ)を、設置すべき柱6及び7の上部と横部材8の部位との距離に実質的に等しくし、この状態で、連結部材24を軸51を介して横部材8に、連結部材33を軸52を介して例えば柱6の上部に夫々回転自在に連結して、その後、ターンバックル41をR方向に回転してねじ棒27とねじ棒35とを相互に接近させて最適な引っ張り力をダンパ2から生じさせるようにする。斯かる設置方法によれば、大きな引っ張り力を生じさせない状態でダンパ2を壁に設置することができて、簡単な作業でもってダンパ2を設置できる。
【0036】
上記の例では、連結部材24を横部材8に、連結部材33を柱6の上部及び柱7の上部に連結したが、これに代えて、連結部材24を柱6の上部及び柱7の上部に、連結部材33を横部材8に連結してもよく、また連結部材24を構造物の上部としての天井側の横部材55に、連結部材33を構造物の下部としての柱6の下部及び柱7の下部に連結してもよく、加えて、ターンバックル41をシリンダ本体11と柱6の上部及び柱7の上部との間に介在させたが、これに代えて、ターンバックル41をピストンロッド21の他端部23と横部材8との間に介在させてもよく、更には、斜材9をシリンダ本体11と柱6の上部及び柱7の上部に介在させたが、これに代えて、斜材9をターンバックル41を間にしてピストンロッド21の他端部23と横部材8との間に介在させてもよい。
【0037】
加えて、軸51及び52を球面継手に代えて図1の紙面に直交する方向の振動においても作動し得るようにしてもよい。また、通路15に代えて又は通路15と共に、ピストン14に二室12及び13を連通する通路を設けてもよい。
【0038】
更に上記の例ではダンパ2を壁に設置して制振壁に関しての耐震架構について説明したが、本発明は、斯かる制振壁に関しての耐震架構に限らないのであり、また、ダンパとしては、シリンダ本体と、このシリンダ本体を二室に画成するように、このシリンダ本体内に配されているピストンと、シリンダ本体の二室を連通する通路と、シリンダ本体の二室に充填された非圧縮性の流体とを具備していると共に、復元性を有して引っ張り力を発生するいわゆる通常の流体ダンパでもよい。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、最適な引っ張り力にダンパを設定できてこの引っ張り力を構造物の上部及び下部間に予め与えることができる結果、振動の弱い場合には剛体のように作用して構造物の上部に対して構造物の下部を相対的に振動させないようにでき、しかも、簡単な作業でもって設置できる上に、ダンパの引っ張り力を再設定又は調整できる耐震架構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様の好ましい例の説明図である。
【図2】図1に示す例に適用したダンパ等の詳細説明図である。
【図3】図1に示す例に適用したダンパ等の設置説明図である。
【符号の説明】
1 耐震架構
2 ダンパ
6、7 柱
8 横部材
10 緊張設定手段
11 シリンダ本体
12、13 室
14 ピストン
15 通路
18、21 ピストンロッド
22 流体

Claims (17)

  1. 構造物の上部と、この構造物の上部に対して相対的に水平方向に移動可能であって構造物の上部の下方に配された構造物の下部と、これら構造物の上部及び下部間に直列となって介在されたダンパ及び緊張設定手段とを具備しており、ダンパは、構造物の上部に対して下部を相対的に引き寄せるように引っ張り力を生じるようになっており、緊張設定手段は、ダンパの引っ張り力に抗してダンパを伸長させている耐震架構。
  2. ダンパは、シリンダ本体と、このシリンダ本体を二室に画成するように、このシリンダ本体内に配されているピストンと、シリンダ本体の二室を連通する通路と、シリンダ本体の二室に充填された流体とを具備しており、緊張設定手段は、シリンダ本体に対するピストンの軸方向位置を可変設定できるようになっている請求項1に記載の耐震架構。
  3. ダンパは、一端部がピストンに連結されていると共に、シリンダ本体の一端部を貫通してシリンダ本体外に突出された大径のピストンロッドと、一端部がピストンに連結されていると共に、シリンダ本体の他端部を貫通してシリンダ本体外に突出された小径のピストンロッドとを更に具備しており、流体は圧縮性を有しており、緊張設定手段は、シリンダ本体に内圧を生じさせてこの内圧に起因するダンパの引っ張り力に抗してダンパを伸長させている請求項2に記載の耐震架構。
  4. 圧縮性の流体は、シリコン系の液体からなる請求項3に記載の耐震架構。
  5. 緊張設定手段は、小径のピストンロッドの他端部及びシリンダ本体のうちの一方と構造物の上部との間に介在されており、小径のピストンロッドの他端部及びシリンダ本体のうちの他方は構造物の下部に連結されている請求項3又は4に記載の耐震架構。
  6. 緊張設定手段は、小径のピストンロッドの他端部及びシリンダ本体のうちの一方と構造物の下部との間に介在されており、小径のピストンロッドの他端部及びシリンダ本体のうちの他方は構造物の上部に連結されている請求項3又は4に記載の耐震架構。
  7. 緊張設定手段は、ピストンを軸方向に関してシリンダ本体の略中央に位置するようにダンパを伸長させている請求項2から6のいずれか一項に記載の耐震架構。
  8. 通路は、シリンダ本体とピストンとの間の隙間からなる請求項2から7のいずれか一項に記載の耐震架構。
  9. 通路は、ピストンに設けられた貫通孔からなる請求項1から8のいずれか一項に記載の耐震架構。
  10. 緊張設定手段は、構造物の上部及び構造物の下部のうちの一方とダンパとの間に介在されている請求項1から9のいずれか一項に記載の耐震架構。
  11. 緊張設定手段は、ターンバックルを具備している請求項1から10のいずれか一項に記載の耐震架構。
  12. 構造物の上部は、柱の上部又は天井側の横部材であり、構造物の下部は、床側の横部材である請求項1から11のいずれか一項に記載の耐震架構。
  13. 構造物の上部は、天井側の横部材であり、構造物の下部は、柱の下部又は床側の横部材である請求項1から11のいずれか一項に記載の耐震架構。
  14. 構造物の上部と構造物の下部とは、ダンパ及び緊張設定手段を介して連結されている請求項1から13のいずれか一項に記載の耐震架構。
  15. 構造物の上部と構造物の下部とは、ダンパ及び緊張設定手段に加えて、これらダンパ及び緊張設定手段に直列に配された斜材を介して連結されている請求項1から14のいずれか一項に記載の耐震架構。
  16. 請求項1から15のいずれか一項に記載の耐震架構に用いるためのダンパと緊張設定手段との組み合わせ体であって、緊張設定手段がターンバックルを具備している組み合わせ体。
  17. 請求項1から15のいずれか一項に記載の耐震架構に用いるためのダンパ。
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