JP2015201389A - 積層多孔フィルム、非水電解液二次電池用セパレータ、及び非水電解液二次電池 - Google Patents

積層多孔フィルム、非水電解液二次電池用セパレータ、及び非水電解液二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 結晶融解ピーク温度の高い熱可塑性樹脂をバインダーとして用いた場合でも耐熱層の形成が容易で、延伸性に優れ、良好な透気性と耐熱性を有し、非水電解液二次電池用セパレータとして用いた際に優れた特性を発揮する積層多孔フィルムを得る。【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの少なくとも片面に、フィラーと、結晶融解ピーク温度が170℃以上の水溶性樹脂とを含む被覆層を有し、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム及び前記被覆層のいずれもが少なくとも一軸方向に延伸されており、前記フィラーを水に20体積%の割合で分散させた際の水温25℃における粘度(VW20)が、1mPa・s以上、500mPa・s以下である積層多孔フィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は、積層多孔フィルムに関し、包装用、衛生用、畜産用、農業用、建築用、医療用、分離膜、光拡散板、電池用セパレータとして利用でき、特に、非水電解液二次電池用セパレータとして好適に利用できる積層多孔フィルムに関する。本発明はまた、この積層多孔フィルムを用いた非水電解液二次電池用セパレータ及び非水電解液二次電池に関する。
多数の微細連通孔を有する高分子多孔体は、超純水の製造、薬液の精製、水処理などに使用する分離膜、衣類・衛生材料などに使用する防水透湿性フィルム、あるいは二次電池などに使用する電池用セパレータなど各種の分野で利用されている。
二次電池はOA、FA、家庭用電器または通信機器等のポータブル機器用電源として幅広く使用されている。特に機器に装備した場合に容積効率がよく機器の小型化および軽量化につながることからリチウムイオン二次電池を使用したポータブル機器が増加している。一方、大型の二次電池はロードレベリング、UPS、電気自動車をはじめ、エネルギー/環境問題に関連する多くの分野において研究開発が進められ、大容量、高出力、高電圧および長期保存性に優れている点より非水電解液二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池の用途が広がっている。
リチウムイオン二次電池の使用電圧は通常4.1Vから4.2Vを上限として設計されている。このような高電圧では水溶液は電気分解を起こすので電解液として使うことができない。そのため、高電圧でも耐えられる電解液として有機溶媒を使用したいわゆる非水電解液が用いられている。非水電解液用溶媒としては、より多くのリチウムイオンを存在させることができる高誘電率有機溶媒が用いられ、該高誘電率有機溶媒としてプロピレンカーボネートやエチレンカーボネート等の有機炭酸エステル化合物が主に使用されている。溶媒中でリチウムイオン源となる支持電解質として、6フッ化リン酸リチウム等の反応性の高い電解質を溶媒中に溶解させて使用している。
リチウムイオン二次電池には内部短絡の防止の点から、正極と負極の間にセパレータが介在されている。該セパレータにはその役割から当然絶縁性が要求される。また、リチウムイオンの通路となる透気性と電解液の拡散・保持機能を付与するために微細孔構造である必要がある。これらの要求を満たすため、セパレータとしては多孔性フィルムが使用されている。
最近の電池の高容量化に伴い、電池の安全性に対する重要度が増してきている。電池用セパレータの安全に寄与する特性として、シャットダウン特性(以後、「SD特性」と称す)がある。このSD特性は、100〜150℃程度の高温状態になると微細孔が閉塞され、その結果電池内部のイオン伝導が遮断されるため、その後の電池内部の温度上昇を防止できるという機能である。この時、多孔性フィルムの微細孔が閉塞される温度のうち最も低い温度をシャットダウン温度(以後、「SD温度」と称す)という。電池用セパレータとして使用する場合は、このSD特性を具備していることが必要となる。
しかしながら、近年リチウムイオン二次電池の高エネルギー密度化、高容量化に伴い、通常のシャットダウン機能が十分に機能せず、電池内部の温度がポリエチレンの融点である130℃前後を超え、さらに上昇し、セパレータの熱収縮に伴う破膜によって、両極が短絡するおそれがある。そこで、安全性を確保するため、セパレータには現在のSD特性よりもさらに高い耐熱性が求められている。
前記要望に対し、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの少なくとも片面に、金属酸化物と樹脂バインダーとを含む多孔層を備えた多層多孔フィルム(特許文献1〜4)が提案されている。これらは、多孔フィルム上にαアルミナ等の無機微粒子を高充填させたコート層を設けることで、異常発熱を起こし、SD温度を越え、温度が上昇し続けた際においても、両極の短絡を防ぐことができ、非常に安全性に優れる方法とされている。
特開2004−227972号公報 特開2008−186721号公報 国際公開2008/149986号パンフレット 特開2012−020437号公報
しかしながら、前記特許文献1〜3に記載の方法では、前記金属酸化物を含む多孔層において、フィラーの脱落による粉落ちの発生を抑えるために樹脂バインダーの含有量を増やす必要があるが、その反面、樹脂バインダーによる空孔の閉塞により、透気性が悪化するという問題があった。
これに対し、特許文献4では、ポリプロピレン系樹脂組成物の無孔膜状物を縦延伸し、続いて耐熱層を塗布乾燥法により形成し、一体化した後に横延伸する方法を採用しているが、耐熱層の延伸性付与のためにグリコール変性した熱可塑性樹脂をバインダーとして使用する必要があるとしている。
しかし、この変性熱可塑性樹脂は、結晶融解ピーク温度や軟化温度が低いことにより延伸性を付与することが容易である一方で、積層多孔フィルムを非水電解液二次電池用セパレータとして非水電解液二次電池に組み込んだ際に、その官能基により電池特性に影響を与える可能性も考えられることから、電池特性に影響を与える可能性をより一層小さくしながら、耐熱層の延伸性を向上させる必要が生じていた。
本発明者らは、上記の課題を鑑みて鋭意検討した結果、結晶融解ピーク温度の高い熱可塑性樹脂をバインダーとして用いた場合でも、使用するフィラーの溶媒分散時の粘度特性が、耐熱性の被覆層の形成容易性や延伸性の向上に寄与することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下の通りである。
[1]ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの少なくとも片面に、フィラーと、結晶融解ピーク温度が170℃以上の水溶性樹脂とを含む被覆層を有し、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム及び前記被覆層のいずれもが少なくとも一軸方向に延伸されており、前記フィラーを水に20体積%の割合で分散させた際の水温25℃における粘度(VW20)が、1mPa・s以上、500mPa・s以下である積層多孔フィルム。
[2]前記被覆層中における前記水溶性樹脂の割合が、5質量%以上50質量%以下である、[1]に記載の積層多孔フィルム。
[3]前記フィラーが金属酸化物を含んでなる、[1]又は[2]に記載の積層多孔フィルム。
[4]前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース又はそのナトリウム塩、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、及び、ポリアクリル酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載の積層多孔フィルム。
[5]前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムがポリプロピレンを含んでなる、[1]〜[4]のいずれかに記載の積層多孔フィルム。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の積層多孔フィルムの製造方法であって、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを形成するための無孔膜状物を一軸方向に延伸する工程と、該一軸方向に延伸されたフィルムに前記被覆層を積層する工程と、該被覆層を積層したフィルムを、さらに少なくとも一軸方向に延伸する工程とを含む製造方法。
[7][1]〜[5]のいずれかに記載の積層多孔フィルムを用いた非水電解液二次電池用セパレータ。
[8][7]に記載の非水電解液二次電池用セパレータを収容した非水電解液二次電池。
本発明によれば、結晶融解ピーク温度の高い熱可塑性樹脂をバインダーとして用いた場合でも耐熱層の形成が容易で、延伸性に優れ、良好な透気性と耐熱性を有し、特に非水電解液二次電池用セパレータとして用いた際に優れた特性を発揮する積層多孔フィルムを得ることができる。
本発明の積層多孔フィルムを収容している電池の概略的断面図である。
以下、本発明の積層多孔フィルム、非水電解液二次電池用セパレータ及び非水電解液二次電池の実施形態について詳細に説明する。
なお、本発明において、「主成分」と表現した場合には、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含し、特に当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分は組成物中の好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100質量%含む)を占める意を包含するものである。
また、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
[積層多孔フィルム]
以下に、本発明の積層多孔フィルムを構成する各成分について説明する。
<ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム>
ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムに用いるポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィンを重合した単独重合体または共重合体が挙げられる。また、これらの単独重合体または共重合体を2種以上混合することもできる。この中でもポリプロピレン系樹脂、または、ポリエチレン系樹脂を用いることが好ましく、特に、本発明の積層多孔フィルムの機械的強度、耐熱性などを維持する観点から、ポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。
(ポリプロピレン系樹脂)
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂としては、ホモプロピレン(プロピレン単独重合体)、またはプロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネンもしくは1−デセンなどα−オレフィンとのランダム共重合体またはブロック共重合体などが挙げられる。この中でも、本発明の積層多孔フィルムの機械的強度、耐熱性などを維持する観点から、ホモポリプロピレンがより好適に使用される。
前記ポリプロピレン系樹脂としては、立体規則性を示すアイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が80〜99%であることが好ましい。より好ましくは83〜98%、さらに好ましくは85〜97%であるものを使用する。アイソタクチックペンタッド分率が低すぎるとフィルムの機械的強度が低下するおそれがある。一方、アイソタクチックペンタッド分率の上限については現時点において工業的に得られる上限値で規定しているが、将来的に工業レベルでさらに規則性の高い樹脂が開発された場合についてはこの限りではない。 アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)とは、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素−炭素結合による主鎖に対して側鎖である5つのメチル基がいずれも同方向に位置する立体構造あるいはその割合を意味する。メチル基領域のシグナルの帰属は、A.Zambelli et al(Macromolecules8,687,(1975))に準拠する。
前記ポリプロピレン系樹脂としては、分子量分布を示すパラメータであるMw/Mnが2.0〜10.0であることが好ましい。より好ましくは2.0〜8.0、さらに好ましくは2.0〜6.0であるものが使用される。Mw/Mnが小さいほど分子量分布が狭いことを意味するが、Mw/Mnが2.0未満であると押出成形性が低下する等の問題が生じるほか、工業的に生産することも困難である。一方、Mw/Mnが10.0を超えた場合は低分子量成分が多くなり、積層多孔フィルムの機械的強度が低下しやすい。
ポリプロピレン系樹脂のMw/MnはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定される。
前記ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は特に制限されるものではないが、通常、MFRは0.5〜15g/10分であることが好ましく、1.0〜10g/10分であることがより好ましい。MFRが0.5g/10分以上とすることで、成形加工時の樹脂の溶融粘度が高く、十分な生産性を確保することができる。一方、15g/10分以下とすることで、得られる積層多孔フィルムの機械的強度を十分に保持することができる。
ポリプロピレン系樹脂のMFRはJIS K7210(1999年)に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定される。
前記ポリプロピレン系樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えばチーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、懸濁重合法、溶融重合法、塊状重合法、気相重合法、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法などが挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、商品名「ノバテックPP」、「WINTEC」(以上、日本ポリプロ社製)、「ノティオ」、「タフマーXR」(以上、三井化学社製)、「ゼラス」、「サーモラン」(以上、三菱化学社製)、「住友ノーブレン」、「タフセレン」(以上、住友化学社製)、「プライムポリプロ」、「プライムTPO」(以上、プライムポリマー社製)、「Adflex」、「Adsyl」、「HMS−PP(PF814)」(以上、サンアロマー社製)、「バーシファイ」、「インスパイア」(以上、ダウケミカル社製)など市販されている商品を使用できる。
(ポリエチレン系樹脂)
本発明に用いるポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン及びエチレンを主成分とする共重合体、すなわち、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどの炭素数3〜10のα−オレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステル、共役ジエンや非共役ジエンのような不飽和化合物の中から選ばれる1種または2種以上のコモノマーとの共重合体または多元共重合体あるいはその混合組成物が挙げられる。エチレン系重合体のエチレン単位の含有量は通常50質量%を超えるものである。
これらのポリエチレン系樹脂の中では、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンの中から選ばれる少なくとも1種のポリエチレン系樹脂が好ましく、高密度ポリエチレンがより好ましい。
前記ポリエチレン系樹脂の密度は、0.910〜0.970g/cmであることが好ましく、0.930〜0.970g/cmであることがより好ましく、0.940〜0.970g/cmであることがさらに好ましい。密度が0.910g/cm以上であれば適度なSD特性を有することができるため好ましい。一方、0.970g/cm以下であれば適度なSD特性を有することができるほか、延伸性が維持される点で好ましい。
ポリエチレン系樹脂の密度の測定は密度勾配管法を用いてJIS K7112(1999年)に準じて測定される。
前記ポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は特に制限されるものではないが、通常MFRは0.03〜30g/10分であることが好ましく、0.3〜10g/10分であることがより好ましい。MFRが0.03g/10分以上であれば成形加工時の樹脂の溶融粘度が十分に低いため生産性に優れ好ましい。一方、30g/10分以下であれば、十分な機械的強度を得ることができるために好ましい。
ポリエチレン系樹脂のMFRはJIS K7210(1999年)に従い、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定される。
ポリエチレン系樹脂の製造方法は特に限定されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えば、チーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた重合方法が挙げられる。ポリエチレン系樹脂の重合方法として、一段重合、二段重合、もしくはそれ以上の多段重合等があり、いずれの方法のポリエチレン系樹脂も使用可能である。
(他の成分)
本発明においては、前述した樹脂のほか、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、一般に樹脂組成物に配合される添加剤を前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムに適宜添加できる。前記添加剤としては、成形加工性、生産性およびポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの諸物性を改良・調整するものであれば特に制限されないが、例えば耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂や、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤または着色剤などの添加剤が挙げられる。
また開孔を促進するためや、成形加工性を付与するために、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、各種樹脂や、ワックス等の低分子量化合物を添加しても構わない。
(ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの層構成)
本発明において、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムは、単層でも積層でもよく、特に制限されるものではない。中でも、前記ポリオレフィン系樹脂を含む層(以下「A層」と称する場合がある)の単層、当該A層の機能を妨げない範囲で、当該A層と他の層(以降「B層」と称する場合がある)との積層が好ましい。なお、B層がA層と異なる前記ポリオレフィン系樹脂を含む層であっても構わない。
具体的にはA層/B層を積層した2層構造、A層/B層/A層、若しくは、B層/A層/B層として積層した3層構造などが例示できる。また、他の機能を持つ層と組み合わせて3種3層の様な形態も可能である。この場合、他の機能を持つ層との積層順序は特に問わない。さらに層数としては4層、5層、6層、7層と必要に応じて増やしても良い。
ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの製造方法は、従来公知の多孔性フィルムの製造方法を好適に用いることができ、特に限定されるものではないが、通常、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを形成するための前駆体である無孔膜状物を作製し、これを多孔化することによってポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを形成する方法が好ましく採用される。
ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを形成するための前駆体である無孔膜状物の作製方法は特に限定されず公知の方法を用いてよいが、例えば押出機を用いて熱可塑性樹脂組成物を溶融し、Tダイから押出し、キャストロールで冷却固化するという方法が挙げられる。またチューブラー法により製造した膜状物を切り開いて平面状とする方法も適用できる。
無孔膜状物の多孔化方法としては、特に限定されることなく、湿式による一軸以上の延伸多孔化、乾式による一軸以上の延伸多孔化など、公知の方法を用いてもよい。延伸方法については、ロール延伸法、圧延法、テンター延伸法、同時二軸延伸法などの手法があり、これらを単独あるいは2つ以上組み合わせて一軸延伸あるいは二軸延伸を行う。中でも、多孔構造制御の観点から逐次二軸延伸が好ましい。また必要に応じて、延伸の前後にポリオレフィン系樹脂組成物に含まれている可塑剤を溶剤によって抽出、乾燥させる方法も適用される。さらに、寸法安定性の改良を目的として、延伸の後に熱処理や弛緩処理を施すこともできる。
なお、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムにポリプロピレン系樹脂を用いる場合には、前記無孔膜状物にいわゆるβ晶を生成させることが好ましい。無孔膜状物中にβ晶を生成していれば、フィラー等の添加剤を使用しない場合においても、延伸を施すことで微細孔が容易に形成されるため、透気特性を有するポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを得ることができる。
ポリプロピレン系樹脂の無孔膜状物中にβ晶を生成させる方法としては、前記ポリプロピレン系樹脂のα晶の生成を促進させる物質を添加しない方法や、特許第3739481号公報に記載されているように過酸化ラジカルを発生させる処理を施したポリプロピレンを添加する方法、及び組成物にβ晶核剤を添加する方法などが挙げられる。
(β晶核剤)
本発明で用いるβ晶核剤としては以下に示すものが挙げられるが、ポリプロピレン系樹脂のβ晶の生成・成長を増加させるものであれば特に限定される訳ではなく、また2種類以上を混合して用いても良い。
β晶核剤としては、例えば、アミド化合物;テトラオキサスピロ化合物;キナクリドン類;ナノスケールのサイズを有する酸化鉄;1,2−ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウムもしくはコハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウムなどに代表されるカルボン酸のアルカリもしくはアルカリ土類金属塩;ベンゼンスルホン酸ナトリウムもしくはナフタレンスルホン酸ナトリウムなどに代表される芳香族スルホン酸化合物;二もしくは三塩基カルボン酸のジもしくはトリエステル類;フタロシアニンブルーなどに代表されるフタロシアニン系顔料;有機二塩基酸である成分Aと周期表第2族金属の酸化物、水酸化物もしくは塩である成分Bとからなる二成分系化合物;環状リン化合物とマグネシウム化合物からなる組成物などが挙げられる。そのほか核剤の具体的な種類については、特開2003−306585号公報、特開平08−144122号公報、特開平09−194650号公報に記載されている。
β晶核剤の市販品としては、新日本理化社製β晶核剤「エヌジェスターNU−100」、β晶核剤の添加されたポリプロピレン系樹脂の具体例としては、Aristech社製ポリプロピレン「Bepol B−022SP」、Borealis社製ポリプロピレン「Beta(β)−PP BE60−7032」、Mayzo社製ポリプロピレン「BNX BETAPP−LN」などが挙げられる。
前記ポリオレフィン系樹脂に添加するβ晶核剤の割合は、β晶核剤の種類またはポリオレフィン系樹脂の組成などにより適宜調整することが必要であるが、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを構成するポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、0.0001〜5質量部であることが好ましい。また、0.001〜3質量部がさらに好ましく、0.01〜1質量部が特に好ましい。
β晶核剤の割合がポリプロピレン系樹脂100質量部に対して0.0001質量部以上であれば、製造時において十分にポリプロピレン系樹脂のβ晶を生成・成長させることができ、所望の透気性能が得られる。また、β晶核剤の割合がポリプロピレン系樹脂100質量部に対して5質量部以下であれば、経済的にも有利になるほか、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム表面へのβ晶核剤のブリードなどがなく好ましい。
また、本発明において、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを積層にする場合、製造方法は、多孔化と積層の順序等によって以下の3つに大別される。
(i)各層を多孔化したのち、多孔化された各層をラミネートしたり接着剤等で接着したりして積層する方法。
(ii)各層を積層して積層無孔膜状物を作製し、ついで当該無孔膜状物を多孔化する方法。
(iii)各層のうちいずれか1層を多孔化したのち、もう1層の無孔膜状物と積層し、多孔化する方法。
本発明においては、その工程の簡略さ、生産性の観点から(ii)の方法を用いることが好ましく、なかでも2層の層間接着性を確保するために、共押出で積層無孔膜状物を作製した後、多孔化する方法が特に好ましい。
ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの厚みは、後述の本発明の被覆層の好適厚みを確保した上で、本発明の積層多孔フィルムの好適厚みが得られるように、適宜設定される。
また、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの透気度は、後述の本発明の積層多孔フィルムの好適な透気度が得られるように、適宜設定される。
<被覆層>
本発明の積層多孔フィルムは、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの少なくとも片面に、フィラーと、結晶融解ピーク温度が170℃以上の水溶性樹脂とを含む被覆層を有する。該被覆層は、少なくとも一軸方向に延伸されてなる。
(フィラー)
本発明に用いることができるフィラーとしては無機フィラー、有機フィラーなどが挙げられるが、耐熱性・放熱性の観点で無機フィラーが好ましい。
本発明に用いることができる無機フィラーの例としては、具体的には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムなどの金属炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウムなどの金属硫酸塩、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、酸化チタンなどの金属酸化物、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化銀、塩化カルシウムなどの金属塩化物、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイトなどの粘土鉱物が挙げられる。中でも電池用セパレータとして用いた場合、電池に組み込んだ際に化学的に不活性であるという観点で、金属酸化物がより好ましく、アルミナが特に好ましい。
本発明に用いることができる有機フィラーの例としては、超高分子量ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、メラミン、ベンゾグアナミンなどの熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの中でも、本発明の積層多孔フィルムを非水電解液二次電池用セパレータとして用いた場合における、耐電解液膨潤性の観点より、架橋ポリスチレンなどが好ましい。
本発明に用いるフィラーは、水に20体積%の割合で分散させた際の水温25℃における粘度(VW20)が、1mPa・s以上、500mPa・s以下であることが重要である。前記粘度は、400mPa・s以下であることがより好ましく、300mPa・s以下であることがさらに好ましい。また5mPa・s以上であることがより好ましく、10mPa・s以上であることがさらに好ましい。
W20は、後述する水溶性樹脂と、フィラーの相互作用の度合いと相関するものであり、値が大きい場合は、相互作用が大きく、延伸に追従しにくい強固な構造体を作りやすい。すなわち、VW20が500mPa・s以下であることで、被覆層の延伸時にポリオレフィン樹脂多孔フィルムの伸びに追従できるようになり、剥離・割れが抑制され延伸性が向上する。一方、VW20が1mPa・s以上であることで被覆層の形成容易性が向上する。
W20が上記範囲となるようなフィラーは、その不純物量や、平均円形度、粒径分布、平均粒径、比表面積などの要因が相互に影響していると考えられる。フィラーのVW20を低くするための手段としては、例えば、不純物量を少なくする、平均円形度を高く(真円・真球に近く)する、粒径分布を狭くする、平均粒径を大きくする、比表面積が小さくする、などが挙げられる。
前記フィラーの平均円形度は、0.6以上であることが好ましい。前記フィラーの平均円形度の下限としては、より好ましくは0.65以上、さらに好ましくは0.7以上である。前記フィラーの平均円形度を0.6以上とすることで、前記フィラーのVW20の上昇を抑えることができる。
一方、前記フィラーの平均円形度の上限としては、特に制限は無いが、実質1.0以下であることが好ましい。
なお、本発明において「フィラーの平均円形度」とは、例えば画像解析装置を用いて、縦方向・横方向それぞれ2方向から当該フィラーを投影した場合の二次元的な投影像の実際の外周長Lと、当該投影像と同一の面積を有する真円の外周長L’の比L’/Lの値を、各方向について算出した後に平均した値として算出される。
前記フィラーの平均粒径の下限としては、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.2μm以上である。一方、上限として好ましくは3.0μm以下、より好ましくは1.5μm以下である。前記平均粒径を0.01μm以上とすることで、本発明の積層多孔フィルムが十分な耐熱性を発現することができるため好ましい。また、前記平均粒径を3.0μm以下とすることで、前記フィラーの分散性が向上するという観点から好ましい。
なお、本実施の形態において「フィラーの平均粒径」とは、例えば画像解析装置を用いて、縦方向・横方向それぞれ2方向から当該フィラーを投影した場合の二次元的な投影像の短径と長径を平均した値を、各方向について算出した後にさらに平均した値として算出される。
前記フィラーの単位重量あたりの比表面積は、1m/g以上、30m/g未満であることが好ましい。フィラーの単位重量あたりの比表面積1m/g以上であれば、本発明の積層多孔フィルムを非水電解液二次電池にセパレータとして組み込む際に電解液の浸透が速くなり、生産性が良好となるため好ましい。また、フィラーの単位重量あたりの表面積が30m/g未満であれば、フィラーのVW20の上昇を抑えることができるため好ましい。また、本発明の積層多孔フィルムを非水電解液二次電池にセパレータとして組み込む際に電解液成分の吸着を抑えられるため好ましい。
なお、本実施の形態において「フィラーの単位重量あたりの比表面積」は定容量式ガス吸着法により測定される値である。
本発明における被覆層において、前記フィラーと後述する水溶性樹脂との総量に占めるフィラーの含有率は、20質量%以上95質量%以下の範囲であることが好ましい。フィラーの含有率は30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。前記被覆層においてフィラーの含有率がこの範囲内であることにより、前記被覆層が優れた透気性を有し、かつ、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムとの界面密着性を維持することができる。
(水溶性樹脂)
本発明に用いる水溶性樹脂は、被覆層において前記フィラー同士、又は前記フィラーと前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムとを接着する樹脂バインダーの役割を持つ。被覆層を前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの少なくとも片面に積層する際に塗布乾燥法を採用する場合、後述するように被覆層を形成するための塗工液の溶媒には水を用いることが好ましく、水溶性樹脂を用いることによって、樹脂バインダーの溶媒への分散性が良好となる。
また、前記水溶性樹脂の結晶融解ピーク温度は170℃以上であることが重要である。結晶融解ピーク温度が170℃以上であることによって、前記被覆層が耐熱性に優れる。前記水溶性樹脂の結晶融解ピーク温度は175℃以上であることがより好ましく、180℃以上であることがさらに好ましい。
一方、結晶融解ピーク温度の上限は特に制限はないが、被覆層を延伸する際の温度範囲を鑑みて、300℃以下であることが好ましく、280℃以下であることがより好ましく、250℃以下であることがさらに好ましい。
なお、前記水溶性樹脂の結晶融解ピーク温度は、JIS K7122(2012年)に準じて示差走査熱量計を用いて測定される。
本発明に用いる水溶性樹脂としては、前記フィラーと、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムとを良好に接着でき、電気化学的に安定で、かつ積層多孔フィルムを非水電解液二次電池用セパレータとして使用する場合に有機電解液に対して安定であることが好ましい。具体的には、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース又はそのナトリウム塩、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸などが挙げられる。これらの水溶性樹脂は1種単独で使用してもよく、2種以上を併用しても構わない。これらの水溶性樹脂の中でもポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース又はそのナトリウム塩が水中でも比較的安定であることからより好ましい。
前記被覆層には、製膜性付与のために、耐熱性を損なわない範囲で可塑剤・延伸助剤・密着剤等を必要に応じて添加してもよい。可塑剤・延伸助剤としては、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、N−メチルピロリドン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチル尿素などが挙げられる。密着剤としては、変性ポリオレフィン樹脂、変性ポリビニルアルコール、アクリル系樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
前記被覆層において、水溶性樹脂の含有率は、5質量%以上50質量%以下の範囲であることが好ましく、7質量%以上45質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。前記被覆層において水溶性樹脂の含有率がこの範囲内であることにより、前記被覆層が優れた透気性を有し、かつ、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムとの界面密着性を維持することができる。
(被覆層の形成方法)
本発明の積層多孔フィルムにおける被覆層は、溶融押出法、塗布乾燥法などの塗布法、ラミネート法などにより前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの少なくとも片面に形成可能であるが、生産安定性や量産性の点で塗布乾燥法により形成することが好ましい。
被覆層を塗布法で作成する場合において、用いる塗工液、即ち、被覆層形成用分散液の溶媒としては、フィラー、水溶性樹脂が適度に均一かつ安定に溶解または分散可能な溶媒を用いることが好ましい。このような溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、水、ジオキサン、アセトニトリル、低級アルコール、グリコール類、グリセリン、乳酸エステルなどが挙げられるが、中でもコスト面、環境負荷の点で水を主成分とすることが好ましく、とりわけ水を溶媒として用いることが好ましい。
前記フィラー及び前記水溶性樹脂を前記溶媒に溶解または分散させる方法としては、例えば、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ロールミル、高速インペラー分散、ディスパーザー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、超音波分散、撹拌羽根等による機械撹拌法等が挙げられる。
また、前記フィラー及び前記水溶性樹脂を前記溶媒に分散させる際に、塗工液の安定性を向上し、かつ、粘性の最適化をするために分散助剤、安定剤、増粘剤等を添加してもよい。
前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの表面に、前記塗工液を塗布する工程は、前記のポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの製造工程において、押出成形工程の後、延伸工程の前であってもよいし、縦延伸工程の後であってもよいし、横延伸工程の後であってもよい。
中でも、本発明において、被覆層を少なくとも一軸方向に延伸する工程を必須とすることや、生産ラインの短縮、生産性の向上の観点から、前記のポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの製造工程における縦延伸工程の後に前記塗工液を塗布することが好ましい。
前記塗布工程における塗布方式としては、必要とする層厚や塗布面積を実現できる方式であれば特に限定されない。このような塗布方法としては、例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法、等が挙げられる。また、また、前記塗工液は、その用途に照らし、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの片面だけに塗布されてもよいし、両面に塗布されてもよい。即ち、本発明の積層多孔フィルムにおいて、被覆層は、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの片面にのみ形成されていてもよく、両面に形成されていてもよい。
また、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムに前記塗工液を塗布した後、前記溶媒を除去するために乾燥して前記被覆層を形成する方法としては、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムに悪影響を及ぼさない方法であれば、特に限定することなく採用することができ、例えば、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを固定しながらその融点以下の温度にて乾燥する方法、低温で減圧乾燥する方法などが挙げられる。
<積層多孔フィルムの製造方法>
前記被覆層は、少なくとも一軸方向に延伸されてなることが重要である。被覆層が少なくとも一軸方向に延伸されてなることによって、透気性に優れる積層多孔体を得られるため好ましい。
前記被覆層は、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの少なくとも片面に積層する前に、被覆層のみのフィルム、又は、他の基材フィルムの少なくとも片面に被覆層を形成したフィルムを、各種の製造方法により作製した後、少なくとも一軸方向に延伸し、続いて、既に少なくとも一軸方向に延伸されてなる前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの少なくとも片面に、ラミネート法などにより積層しても良いが、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムと被覆層の界面密着性や、生産安定性の観点から、前記被覆層を前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの少なくとも片面に積層した後に、少なくとも一軸方向に延伸することが好ましい。
すなわち、本発明の積層多孔フィルムの製造方法のより好ましい態様は、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを形成するための無孔膜状物を一軸方向に延伸する工程と、該一軸方向に延伸されたフィルムに前記被覆層を積層する工程と、該被覆層を積層したフィルムを、さらに少なくとも一軸方向に延伸する工程とを含む。
係る製造方法であれば、前記被覆層と前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの界面密着性に優れ、かつ透気性にも優れる積層多孔フィルムを、高い生産安定性をもって製造することができる。
本発明の積層多孔フィルムにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムと前記被覆層の界面密着性を向上する目的で、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの表面に、コロナ処理、プラズマ処理、化学的酸化処理などの表面処理を施すことが好ましい。表面処理を行なう工程は、前記のポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの製造工程において、押出成形工程の後、延伸工程の前であってもよいし、縦延伸工程の後であってもよいし、横延伸工程の後であってもよい。中でも、前記被覆層を積層する工程との順序や、生産ラインの短縮、生産性の向上の観点から、前記のポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの製造工程において、縦延伸工程の後であることが好ましい。
<積層多孔フィルムの形状及び物性>
本発明の積層多孔フィルムの厚みは5〜100μmが好ましい。より好ましくは8〜50μm、さらに好ましくは10〜30μmである。電池用セパレータとして使用する場合、5μm以上であれば、実質的に必要な電気絶縁性を得ることができ、例えば電極の突起部分に大きな力がかかった場合でも、電池用セパレータを突き破って短絡しにくく安全性に優れる。また、厚みが100μm以下であれば、積層多孔フィルムの電気抵抗を小さくすることができるので、電池の性能が十分に確保することができる。
また、被覆層の厚みとしては、耐熱性の観点から、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは2μm以上、特に好ましくは3μm以上である。一方で上限としては、連通性の観点から、好ましくは90μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下、特に好ましくは10μm以下である。
本発明の積層多孔フィルムの全層における空孔率は30%以上が好ましく、35%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましい。空孔率が30%以上であれば、連通性を確保し透気特性に優れた積層多孔フィルムとすることができる。
一方、上限については70%以下が好ましく、65%以下がより好ましく、60%以下がさらに好ましい。空孔率が70%以下であれば、積層多孔フィルムの強度を十分に保持することができ、ハンドリングの観点からも好ましい。
本発明の積層多孔フィルムの透気度は500秒/100mL以下が好ましく、10〜400秒/100mLがより好ましく、50〜300秒/100mLがさらに好ましい。透気度が500秒/100mL以下であれば、積層多孔フィルムに連通性があることを示し、優れた透気性能を示すことができるため好ましい。
透気度はフィルム厚み方向の空気の通り抜け難さを表し、具体的には100mLの空気が当該フィルムを通過するのに必要な数で表現されている。そのため、数値が小さい方が通り抜け易く、数値が大きい方が通り抜け難いことを意味する。すなわち、その数値が小さい方がフィルムの厚み方向の連通性が良いことを意味し、その数値が大きい方がフィルム厚み方向の連通性が悪いことを意味する。連通性とはフィルム厚み方向の孔のつながり度合いである。本発明の積層多孔フィルムの透気度が低ければ様々な用途に使用することができる。例えば電池用セパレータとして使用する場合、透気度が低いということはリチウムイオンの移動が容易であることを意味し、電池性能に優れる。
積層多孔フィルムの透気度は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
本発明の積層多孔フィルムは、電池用セパレータとして使用時において、SD特性を有することが好ましい。具体的には、135℃で5秒間加熱後の透気度は10000秒/100mL以上であることが好ましく、より好ましくは25000秒/100mL以上、さらに好ましくは50000秒/100mL以上である。135℃で5秒間加熱後の透気度が10000秒/100mL以上とすることで、異常発熱時において空孔が速やかに閉塞し、電流が遮断されるため、電池の破裂等のトラブルを回避することができる。
本発明の積層多孔フィルムの200℃における加圧面収縮率は、25%未満が好ましく、20%未満がより好ましい。前記200℃における加圧面収縮率が25%未満であれば、SD温度を超えて異常発熱した際においても、寸法安定性がよく、耐熱性を有することを示唆しており、破膜を防ぎ、内部短絡温度を向上することができる。下限としては特に限定しないが、0%以上がより好ましい。
積層多孔フィルムの加圧面収縮率は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
[電池]
続いて、本発明の前記積層多孔フィルムを電池用セパレータとして収容している非水電解液二次電池について、図1を参照して説明する。
正極板21、負極板22の両極は電池用セパレータ10を介して互いに重なるようにして渦巻き状に捲回し、巻き止めテープで外側を止めて捲回体とされる。
前記捲回工程について詳しく説明する。電池用セパレータの片端をピンのスリット部の間に通し、ピンを少しだけ回転させて電池用セパレータの一端をピンに巻きつけておく。この時、ピンの表面と電池用セパレータの被覆層とが接触している。その後、電池用セパレータを間に挟むようにして正極と負極を配置し、捲回機によってピンを回転させて、正負極と電池用セパレータを捲回する。捲回後、ピンは捲回物から引き抜かれる。
前記正極板21、電池用セパレータ10および負極板22を一体的に巻き付けた捲回体を有底円筒状の電池ケース内に収容し、正極および負極のリード体24、25と溶接する。ついで、前記電解質を電池缶内に注入し、電池用セパレータ10などに十分に電解質が浸透した後、電池缶の開口周縁にガスケット26を介して正極蓋27を封口し、予備充電、エージングを行い、筒型の非水電解液二次電池を作製する。
電解液としては、リチウム塩を電解液とし、これを有機溶媒に溶解した電解液が用いられる。有機溶媒としては特に限定されるものではないが、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジメチルカーボネート、プロピオン酸メチルもしくは酢酸ブチルなどのエステル類、アセトニトリル等のニトリル類、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシメタン、ジメトキシプロパン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランもしくは4−メチル−1,3−ジオキソランなどのエーテル類、またはスルホランなどが挙げられ、これらを単独でまたは二種類以上を混合して用いることができる。なかでも、エチレンカーボネート1質量部に対してメチルエチルカーボネートを2質量部混合した溶媒中に六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1.0mol/Lの割合で溶解した電解質が好ましい。
負極としてはアルカリ金属またはアルカリ金属を含む化合物をステンレス鋼製網などの集電材料と一体化させたものが用いられる。前記アルカリ金属としては、例えばリチウム、ナトリウムまたはカリウムなどが挙げられる。前記アルカリ金属を含む化合物としては、例えばアルカリ金属とアルミニウム、鉛、インジウム、カリウム、カドミウム、スズもしくはマグネシウムなどとの合金、さらにはアルカリ金属と炭素材料との化合物、低電位のアルカリ金属と金属酸化物もしくは硫化物との化合物などが挙げられる。負極に炭素材料を用いる場合、炭素材料としてはリチウムイオンをドープ、脱ドープできるものであればよく、例えば黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭などを用いることができる。
正極としては、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、二酸化マンガン、五酸化バナジウムもしくはクロム酸化物などの金属酸化物、二硫化モリブデンなどの金属硫化物などが活物質として用いられ、これらの正極活物質に導電助剤やポリテトラフルオロエチレンなどの結着剤などを適宜添加した合剤を、ステンレス鋼製網などの集電材料を芯材として成形体に仕上げたものが用いられる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明の積層多孔フィルムについてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、積層多孔フィルムの長手方向を「縦方向」、長手方向に対して垂直方向を「横方向」と称する。
(1)フィラー含有率
被覆層中のフィラーと水溶性樹脂との総量に占めるフィラーの割合をフィラーの含有率とした。
(2)フィラーの水中粘度(VW20
フィラーを体積分率20%となるよう水に分散し、水温25℃の下、B型粘度計の回転数50rpmの条件にて粘度を測定し、これをフィラーの水中粘度(VW20)とした。
(3)水溶性樹脂の結晶融解ピーク温度
水溶性樹脂の結晶融解ピーク温度は、JIS K7122(2012年)に準じて示差走査熱量計を用いて測定した。
(4)水溶性樹脂の含有率
被覆層中のフィラーと水溶性樹脂との総量に占める水溶性樹脂の割合を水溶性樹脂の含有率とした。
(5)製膜性(被覆層の形成容易性と延伸性)
作製した積層多孔フィルムの被覆層を目視で観察し、製膜性(被覆層の形成容易性と延伸性)を以下の基準で判定した。
○:目視で欠陥・剥離が無く、被覆層の形成容易性や延伸性が高い。
×:目視で数センチ以上の大きな割れ・剥離があり、被覆層の形成・延伸が困難。
(6)総厚み
総厚みは、1/1000mmのダイアルゲージにて、積層多孔フィルムの面内を不特定に5箇所測定し、その平均値として算出した。
(7)透気度(ガーレ値)
透気度は、JIS P8117(2009年)に準拠して測定した。なお、透気性がほとんどなく、使用した王研式透気度計の測定限界に達した場合、透気度の値は99999秒/100mLとなる。
(8)200℃における加圧面収縮率
40℃に設定したホットプレート(アズワン社製「ND−2」)上に、115mm×140mmに切り出した耐水研磨紙#1000(理研コランダム社製)を研磨面が上になるよう乗せ、炭酸プロピレンと炭酸エチレンの混合液(重量比7:3)を0.5g滴下し、空気が入らないよう100mm×100mm四方に切り出した積層多孔フィルムを重ね合わせ、180℃で1時間熱処理したPETフィルム(三菱樹脂社製「ダイアホイル T100−38」)を200mm×200mm四方に切り出して上に乗せ、200mm×200mm×5mmの耐熱ガラス(東新理興社製)を更に2枚上に乗せ、ホットプレートの設定温度を200℃に設定し。200℃に到達後、常温まで冷却した後、当該サンプルを取り出した。
100mm×100mm四方に切り出したPETフィルム(三菱樹脂社製「ダイアホイル T100−38」)の重量を測定し(以下Wとする)、これを該サンプル上に重ね、該サンプルの形状を写し取り、PETフィルムを切り出し、その重量を測定した(以下Wとする)。なお、以下の式にて加圧面収縮率を算出した。

加圧面収縮率(%)={1−(W/W)}×100
(9)耐熱性
耐熱性は、以下の評価基準において評価した。
○:200℃における加圧面収縮率が、25%未満
×:200℃における加圧面収縮率が、25%以上
(ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム前駆体の作製)
ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ社製、ノバテックPP FY6HA、密度:0.90g/cm、MFR:2.4g/10分)と、β晶核剤として、3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンを準備した。このポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、β晶核剤を0.2質量部の割合で各原材料をブレンドし、東芝機械株式会社製の同方向二軸押出機(口径:40mmφ、L/D:32)に投入し、設定温度300℃で溶融混合後、水槽にてストランドを冷却固化し、ペレタイザーにてストランドをカットし、ポリプロピレン系樹脂のペレットを作製した。
前記の原料を用いて、口金より押出し、124℃のキャスティングロールで冷却固化させて無孔膜状物を作製した。前記無孔膜状物を、縦延伸機を用いて105℃で縦方向に4.6倍延伸した。続いてこれにVETAPHONE社製ジェネレータCP1を使用し、出力0.8kW、速度10m/minでコロナ表面処理を施した。これをポリオレフィン系樹脂多孔フィルム前駆体とした。
[実施例1]
アルミナ(住化アルケム社製「AA−03」、平均粒径:0.3μm、フィラーの水中粘度(VW20):50mPa・s)22質量部、と水17.6質量部、イソプロピルアルコール2.2質量部、20質量%の濃度のポリビニルアルコール(日本合成化学社製「OKS−8049」、結晶融解ピーク温度:185℃)水溶液15質量部を混合攪拌し、固形分44質量%のアルミナスラリーを得た。
前記アルミナスラリーを用い、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム前駆体の片面に目付け量#6のバーコーターを用いて塗布した後、60℃の乾燥炉にて2分間乾燥させた。その後、フィルム横延伸装置(京都機械製)にて、ライン速度5.3m/min、延伸温度145℃で横方向に2.5倍延伸し、続いて160℃で横方向に0.9倍熱弛緩することで積層多孔フィルムを得た。
得られた積層多孔フィルムの物性評価を行い、その結果を表1にまとめた。
[実施例2]
アルミナ(住化アルケム社製「AA−03」、平均粒径:0.3μm、フィラーの水中粘度(VW20):50mPa・s)19質量部、と水5.6質量部、イソプロピルアルコール2.2質量部、20質量%の濃度のポリビニルアルコール(日本合成化学社製「OKS−8049」、結晶融解ピーク温度:185℃)水溶液30質量部を混合攪拌し、固形分44質量%のアルミナスラリーを得た。
前記アルミナスラリーを用い、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム前駆体の片面に目付け量#6のバーコーターを用いて塗布した後、60℃の乾燥炉にて2分間乾燥させた。その後、フィルム横延伸装置(京都機械製)にて、ライン速度5.3m/min、延伸温度145℃で横方向に2.5倍延伸し、続いて160℃で横方向に0.9倍熱弛緩することで積層多孔フィルムを得た。
得られた積層多孔フィルムの物性評価を行い、その結果を表1にまとめた。
[実施例3]
フィラーとして別のアルミナ(住化アルケム社製「AA−06」、平均粒径:0.6μm、フィラーの水中粘度(VW20):30mPa・s)を使用した点以外は実施例1と同様にしてサンプルを得た。
得られた積層多孔フィルムの物性評価を行い、その結果を表1にまとめた。
[比較例1]
フィラーとして別のアルミナ(日本軽金属社製「LS−235C」、平均粒径:0.5μm、フィラーの水中粘度(VW20):2000mPa・s)を使用した以外は実施例1と同様にし、積層多孔フィルムを得た。なお、評価は後述する理由により製膜性のみについて行った。
[比較例2]
前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム前駆体を、フィルム横延伸装置(京都機械製)にて、ライン速度5.3m/min、延伸倍率145℃で横方向に2.5倍延伸し、続いて160℃で横方向に0.9倍熱弛緩することで、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを得た。
前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの片面に、実施例1で使用したアルミナスラリーを塗工し、60℃2分間乾燥することで積層多孔フィルムを得た。
得られた積層多孔フィルムの物性評価を行い、その結果を表1にまとめた。
[比較例3]
比較例2で作製したポリオレフィン系樹脂多孔フィルムのみの物性評価を行い、その結果を表1にまとめた。
Figure 2015201389
実施例1〜3で得た積層多孔フィルムは、優れた被覆層の形成容易性と延伸性を有し、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムと被覆層の界面密着性、耐熱性、透気性を良好に維持することができた。これは、フィラーの水中粘度が低く、すなわち、被覆層中において、水溶性樹脂の親水基とフィラーの相互作用が弱く、被覆層の粘度の上昇が抑えられることによって、延伸により容易に被覆層が開孔するためと考えられる。
一方、比較例1で得た積層多孔フィルムは、被覆層中のフィラーの水中粘度が高いため、水溶性樹脂とフィラーの相互作用が強く、結果的に被覆層の粘度が上昇してしまい、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの延伸に追従できず、被覆層の剥離・割れが起きた。その結果、製膜性以外の評価をすることができなかった。
比較例2で得た積層多孔フィルムは、被覆層が延伸されていない為、透気性が発現しなかった。
比較例3のポリオレフィン系樹脂多孔フィルムは、被覆層が積層されていなかったため、耐熱性が不十分であった。
本発明の積層多孔フィルムは、透気特性が要求される種々の用途に応用することができる。具体的には例えば、リチウムイオン二次電池用セパレータ;使い捨て紙オムツ、生理用品等の体液吸収用パットもしくはベッドシーツ等の衛生材料;手術衣もしくは温湿布用基材等の医療用材料;ジャンパー、スポーツウエアもしくは雨着等の衣料用材料;壁紙、屋根防水材、断熱材、吸音材等の建築用材料;乾燥剤;防湿剤;脱酸素剤;使い捨てカイロ;鮮度保持包装もしくは食品包装等の包装材料等の資材として極めて好適に利用できる。
10 非水電解液二次電池用セパレータ
20 二次電池
21 正極板
22 負極板
24 正極リード体
25 負極リード体
26 ガスケット
27 正極蓋

Claims (8)

  1. ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの少なくとも片面に、フィラーと、結晶融解ピーク温度が170℃以上の水溶性樹脂とを含む被覆層を有し、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム及び前記被覆層のいずれもが少なくとも一軸方向に延伸されており、前記フィラーを水に20体積%の割合で分散させた際の水温25℃における粘度(VW20)が、1mPa・s以上、500mPa・s以下である積層多孔フィルム。
  2. 前記被覆層中における前記水溶性樹脂の割合が、5質量%以上50質量%以下である、請求項1に記載の積層多孔フィルム。
  3. 前記フィラーが金属酸化物を含んでなる、請求項1又は2に記載の積層多孔フィルム。
  4. 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース又はそのナトリウム塩、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、及び、ポリアクリル酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層多孔フィルム。
  5. 前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムがポリプロピレンを含んでなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層多孔フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層多孔フィルムの製造方法であって、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを形成するための無孔膜状物を一軸方向に延伸する工程と、該一軸方向に延伸されたフィルムに前記被覆層を積層する工程と、該被覆層を積層したフィルムを、さらに少なくとも一軸方向に延伸する工程とを含む製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層多孔フィルムを用いた非水電解液二次電池用セパレータ。
  8. 請求項7に記載の非水電解液二次電池用セパレータを収容した非水電解液二次電池。
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