JP2015201389A - 積層多孔フィルム、非水電解液二次電池用セパレータ、及び非水電解液二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、この変性熱可塑性樹脂は、結晶融解ピーク温度や軟化温度が低いことにより延伸性を付与することが容易である一方で、積層多孔フィルムを非水電解液二次電池用セパレータとして非水電解液二次電池に組み込んだ際に、その官能基により電池特性に影響を与える可能性も考えられることから、電池特性に影響を与える可能性をより一層小さくしながら、耐熱層の延伸性を向上させる必要が生じていた。
すなわち本発明は以下の通りである。
[2]前記被覆層中における前記水溶性樹脂の割合が、5質量%以上50質量%以下である、[1]に記載の積層多孔フィルム。
[3]前記フィラーが金属酸化物を含んでなる、[1]又は[2]に記載の積層多孔フィルム。
[4]前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース又はそのナトリウム塩、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、及び、ポリアクリル酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載の積層多孔フィルム。
[5]前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムがポリプロピレンを含んでなる、[1]〜[4]のいずれかに記載の積層多孔フィルム。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の積層多孔フィルムの製造方法であって、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを形成するための無孔膜状物を一軸方向に延伸する工程と、該一軸方向に延伸されたフィルムに前記被覆層を積層する工程と、該被覆層を積層したフィルムを、さらに少なくとも一軸方向に延伸する工程とを含む製造方法。
[7][1]〜[5]のいずれかに記載の積層多孔フィルムを用いた非水電解液二次電池用セパレータ。
[8][7]に記載の非水電解液二次電池用セパレータを収容した非水電解液二次電池。
なお、本発明において、「主成分」と表現した場合には、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含し、特に当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分は組成物中の好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100質量%含む)を占める意を包含するものである。
また、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
以下に、本発明の積層多孔フィルムを構成する各成分について説明する。
ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムに用いるポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィンを重合した単独重合体または共重合体が挙げられる。また、これらの単独重合体または共重合体を2種以上混合することもできる。この中でもポリプロピレン系樹脂、または、ポリエチレン系樹脂を用いることが好ましく、特に、本発明の積層多孔フィルムの機械的強度、耐熱性などを維持する観点から、ポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂としては、ホモプロピレン(プロピレン単独重合体)、またはプロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネンもしくは1−デセンなどα−オレフィンとのランダム共重合体またはブロック共重合体などが挙げられる。この中でも、本発明の積層多孔フィルムの機械的強度、耐熱性などを維持する観点から、ホモポリプロピレンがより好適に使用される。
ポリプロピレン系樹脂のMw/MnはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定される。
ポリプロピレン系樹脂のMFRはJIS K7210(1999年)に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定される。
本発明に用いるポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン及びエチレンを主成分とする共重合体、すなわち、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどの炭素数3〜10のα−オレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステル、共役ジエンや非共役ジエンのような不飽和化合物の中から選ばれる1種または2種以上のコモノマーとの共重合体または多元共重合体あるいはその混合組成物が挙げられる。エチレン系重合体のエチレン単位の含有量は通常50質量%を超えるものである。
ポリエチレン系樹脂の密度の測定は密度勾配管法を用いてJIS K7112(1999年)に準じて測定される。
ポリエチレン系樹脂のMFRはJIS K7210(1999年)に従い、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定される。
本発明においては、前述した樹脂のほか、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、一般に樹脂組成物に配合される添加剤を前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムに適宜添加できる。前記添加剤としては、成形加工性、生産性およびポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの諸物性を改良・調整するものであれば特に制限されないが、例えば耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂や、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤または着色剤などの添加剤が挙げられる。
また開孔を促進するためや、成形加工性を付与するために、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、各種樹脂や、ワックス等の低分子量化合物を添加しても構わない。
本発明において、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムは、単層でも積層でもよく、特に制限されるものではない。中でも、前記ポリオレフィン系樹脂を含む層(以下「A層」と称する場合がある)の単層、当該A層の機能を妨げない範囲で、当該A層と他の層(以降「B層」と称する場合がある)との積層が好ましい。なお、B層がA層と異なる前記ポリオレフィン系樹脂を含む層であっても構わない。
具体的にはA層/B層を積層した2層構造、A層/B層/A層、若しくは、B層/A層/B層として積層した3層構造などが例示できる。また、他の機能を持つ層と組み合わせて3種3層の様な形態も可能である。この場合、他の機能を持つ層との積層順序は特に問わない。さらに層数としては4層、5層、6層、7層と必要に応じて増やしても良い。
ポリプロピレン系樹脂の無孔膜状物中にβ晶を生成させる方法としては、前記ポリプロピレン系樹脂のα晶の生成を促進させる物質を添加しない方法や、特許第3739481号公報に記載されているように過酸化ラジカルを発生させる処理を施したポリプロピレンを添加する方法、及び組成物にβ晶核剤を添加する方法などが挙げられる。
本発明で用いるβ晶核剤としては以下に示すものが挙げられるが、ポリプロピレン系樹脂のβ晶の生成・成長を増加させるものであれば特に限定される訳ではなく、また2種類以上を混合して用いても良い。
β晶核剤としては、例えば、アミド化合物;テトラオキサスピロ化合物;キナクリドン類;ナノスケールのサイズを有する酸化鉄;1,2−ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウムもしくはコハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウムなどに代表されるカルボン酸のアルカリもしくはアルカリ土類金属塩;ベンゼンスルホン酸ナトリウムもしくはナフタレンスルホン酸ナトリウムなどに代表される芳香族スルホン酸化合物;二もしくは三塩基カルボン酸のジもしくはトリエステル類;フタロシアニンブルーなどに代表されるフタロシアニン系顔料;有機二塩基酸である成分Aと周期表第2族金属の酸化物、水酸化物もしくは塩である成分Bとからなる二成分系化合物;環状リン化合物とマグネシウム化合物からなる組成物などが挙げられる。そのほか核剤の具体的な種類については、特開2003−306585号公報、特開平08−144122号公報、特開平09−194650号公報に記載されている。
β晶核剤の割合がポリプロピレン系樹脂100質量部に対して0.0001質量部以上であれば、製造時において十分にポリプロピレン系樹脂のβ晶を生成・成長させることができ、所望の透気性能が得られる。また、β晶核剤の割合がポリプロピレン系樹脂100質量部に対して5質量部以下であれば、経済的にも有利になるほか、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム表面へのβ晶核剤のブリードなどがなく好ましい。
(i)各層を多孔化したのち、多孔化された各層をラミネートしたり接着剤等で接着したりして積層する方法。
(ii)各層を積層して積層無孔膜状物を作製し、ついで当該無孔膜状物を多孔化する方法。
(iii)各層のうちいずれか1層を多孔化したのち、もう1層の無孔膜状物と積層し、多孔化する方法。
本発明においては、その工程の簡略さ、生産性の観点から(ii)の方法を用いることが好ましく、なかでも2層の層間接着性を確保するために、共押出で積層無孔膜状物を作製した後、多孔化する方法が特に好ましい。
また、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの透気度は、後述の本発明の積層多孔フィルムの好適な透気度が得られるように、適宜設定される。
本発明の積層多孔フィルムは、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの少なくとも片面に、フィラーと、結晶融解ピーク温度が170℃以上の水溶性樹脂とを含む被覆層を有する。該被覆層は、少なくとも一軸方向に延伸されてなる。
本発明に用いることができるフィラーとしては無機フィラー、有機フィラーなどが挙げられるが、耐熱性・放熱性の観点で無機フィラーが好ましい。
VW20は、後述する水溶性樹脂と、フィラーの相互作用の度合いと相関するものであり、値が大きい場合は、相互作用が大きく、延伸に追従しにくい強固な構造体を作りやすい。すなわち、VW20が500mPa・s以下であることで、被覆層の延伸時にポリオレフィン樹脂多孔フィルムの伸びに追従できるようになり、剥離・割れが抑制され延伸性が向上する。一方、VW20が1mPa・s以上であることで被覆層の形成容易性が向上する。
一方、前記フィラーの平均円形度の上限としては、特に制限は無いが、実質1.0以下であることが好ましい。
なお、本発明において「フィラーの平均円形度」とは、例えば画像解析装置を用いて、縦方向・横方向それぞれ2方向から当該フィラーを投影した場合の二次元的な投影像の実際の外周長Lと、当該投影像と同一の面積を有する真円の外周長L’の比L’/Lの値を、各方向について算出した後に平均した値として算出される。
なお、本実施の形態において「フィラーの平均粒径」とは、例えば画像解析装置を用いて、縦方向・横方向それぞれ2方向から当該フィラーを投影した場合の二次元的な投影像の短径と長径を平均した値を、各方向について算出した後にさらに平均した値として算出される。
なお、本実施の形態において「フィラーの単位重量あたりの比表面積」は定容量式ガス吸着法により測定される値である。
本発明に用いる水溶性樹脂は、被覆層において前記フィラー同士、又は前記フィラーと前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムとを接着する樹脂バインダーの役割を持つ。被覆層を前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの少なくとも片面に積層する際に塗布乾燥法を採用する場合、後述するように被覆層を形成するための塗工液の溶媒には水を用いることが好ましく、水溶性樹脂を用いることによって、樹脂バインダーの溶媒への分散性が良好となる。
一方、結晶融解ピーク温度の上限は特に制限はないが、被覆層を延伸する際の温度範囲を鑑みて、300℃以下であることが好ましく、280℃以下であることがより好ましく、250℃以下であることがさらに好ましい。
なお、前記水溶性樹脂の結晶融解ピーク温度は、JIS K7122(2012年)に準じて示差走査熱量計を用いて測定される。
本発明の積層多孔フィルムにおける被覆層は、溶融押出法、塗布乾燥法などの塗布法、ラミネート法などにより前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの少なくとも片面に形成可能であるが、生産安定性や量産性の点で塗布乾燥法により形成することが好ましい。
中でも、本発明において、被覆層を少なくとも一軸方向に延伸する工程を必須とすることや、生産ラインの短縮、生産性の向上の観点から、前記のポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの製造工程における縦延伸工程の後に前記塗工液を塗布することが好ましい。
前記被覆層は、少なくとも一軸方向に延伸されてなることが重要である。被覆層が少なくとも一軸方向に延伸されてなることによって、透気性に優れる積層多孔体を得られるため好ましい。
前記被覆層は、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの少なくとも片面に積層する前に、被覆層のみのフィルム、又は、他の基材フィルムの少なくとも片面に被覆層を形成したフィルムを、各種の製造方法により作製した後、少なくとも一軸方向に延伸し、続いて、既に少なくとも一軸方向に延伸されてなる前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの少なくとも片面に、ラミネート法などにより積層しても良いが、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムと被覆層の界面密着性や、生産安定性の観点から、前記被覆層を前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの少なくとも片面に積層した後に、少なくとも一軸方向に延伸することが好ましい。
係る製造方法であれば、前記被覆層と前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの界面密着性に優れ、かつ透気性にも優れる積層多孔フィルムを、高い生産安定性をもって製造することができる。
本発明の積層多孔フィルムの厚みは5〜100μmが好ましい。より好ましくは8〜50μm、さらに好ましくは10〜30μmである。電池用セパレータとして使用する場合、5μm以上であれば、実質的に必要な電気絶縁性を得ることができ、例えば電極の突起部分に大きな力がかかった場合でも、電池用セパレータを突き破って短絡しにくく安全性に優れる。また、厚みが100μm以下であれば、積層多孔フィルムの電気抵抗を小さくすることができるので、電池の性能が十分に確保することができる。
一方、上限については70%以下が好ましく、65%以下がより好ましく、60%以下がさらに好ましい。空孔率が70%以下であれば、積層多孔フィルムの強度を十分に保持することができ、ハンドリングの観点からも好ましい。
透気度はフィルム厚み方向の空気の通り抜け難さを表し、具体的には100mLの空気が当該フィルムを通過するのに必要な数で表現されている。そのため、数値が小さい方が通り抜け易く、数値が大きい方が通り抜け難いことを意味する。すなわち、その数値が小さい方がフィルムの厚み方向の連通性が良いことを意味し、その数値が大きい方がフィルム厚み方向の連通性が悪いことを意味する。連通性とはフィルム厚み方向の孔のつながり度合いである。本発明の積層多孔フィルムの透気度が低ければ様々な用途に使用することができる。例えば電池用セパレータとして使用する場合、透気度が低いということはリチウムイオンの移動が容易であることを意味し、電池性能に優れる。
積層多孔フィルムの透気度は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
積層多孔フィルムの加圧面収縮率は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
続いて、本発明の前記積層多孔フィルムを電池用セパレータとして収容している非水電解液二次電池について、図1を参照して説明する。
正極板21、負極板22の両極は電池用セパレータ10を介して互いに重なるようにして渦巻き状に捲回し、巻き止めテープで外側を止めて捲回体とされる。
前記捲回工程について詳しく説明する。電池用セパレータの片端をピンのスリット部の間に通し、ピンを少しだけ回転させて電池用セパレータの一端をピンに巻きつけておく。この時、ピンの表面と電池用セパレータの被覆層とが接触している。その後、電池用セパレータを間に挟むようにして正極と負極を配置し、捲回機によってピンを回転させて、正負極と電池用セパレータを捲回する。捲回後、ピンは捲回物から引き抜かれる。
被覆層中のフィラーと水溶性樹脂との総量に占めるフィラーの割合をフィラーの含有率とした。
フィラーを体積分率20%となるよう水に分散し、水温25℃の下、B型粘度計の回転数50rpmの条件にて粘度を測定し、これをフィラーの水中粘度(VW20)とした。
水溶性樹脂の結晶融解ピーク温度は、JIS K7122(2012年)に準じて示差走査熱量計を用いて測定した。
被覆層中のフィラーと水溶性樹脂との総量に占める水溶性樹脂の割合を水溶性樹脂の含有率とした。
作製した積層多孔フィルムの被覆層を目視で観察し、製膜性(被覆層の形成容易性と延伸性)を以下の基準で判定した。
○:目視で欠陥・剥離が無く、被覆層の形成容易性や延伸性が高い。
×:目視で数センチ以上の大きな割れ・剥離があり、被覆層の形成・延伸が困難。
総厚みは、1/1000mmのダイアルゲージにて、積層多孔フィルムの面内を不特定に5箇所測定し、その平均値として算出した。
透気度は、JIS P8117(2009年)に準拠して測定した。なお、透気性がほとんどなく、使用した王研式透気度計の測定限界に達した場合、透気度の値は99999秒/100mLとなる。
40℃に設定したホットプレート(アズワン社製「ND−2」)上に、115mm×140mmに切り出した耐水研磨紙#1000(理研コランダム社製)を研磨面が上になるよう乗せ、炭酸プロピレンと炭酸エチレンの混合液(重量比7:3)を0.5g滴下し、空気が入らないよう100mm×100mm四方に切り出した積層多孔フィルムを重ね合わせ、180℃で1時間熱処理したPETフィルム(三菱樹脂社製「ダイアホイル T100−38」)を200mm×200mm四方に切り出して上に乗せ、200mm×200mm×5mmの耐熱ガラス(東新理興社製)を更に2枚上に乗せ、ホットプレートの設定温度を200℃に設定し。200℃に到達後、常温まで冷却した後、当該サンプルを取り出した。
100mm×100mm四方に切り出したPETフィルム(三菱樹脂社製「ダイアホイル T100−38」)の重量を測定し(以下W1とする)、これを該サンプル上に重ね、該サンプルの形状を写し取り、PETフィルムを切り出し、その重量を測定した(以下W2とする)。なお、以下の式にて加圧面収縮率を算出した。
加圧面収縮率(%)={1−(W2/W1)}×100
耐熱性は、以下の評価基準において評価した。
○:200℃における加圧面収縮率が、25%未満
×:200℃における加圧面収縮率が、25%以上
ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ社製、ノバテックPP FY6HA、密度:0.90g/cm3、MFR:2.4g/10分)と、β晶核剤として、3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンを準備した。このポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、β晶核剤を0.2質量部の割合で各原材料をブレンドし、東芝機械株式会社製の同方向二軸押出機(口径:40mmφ、L/D:32)に投入し、設定温度300℃で溶融混合後、水槽にてストランドを冷却固化し、ペレタイザーにてストランドをカットし、ポリプロピレン系樹脂のペレットを作製した。
アルミナ(住化アルケム社製「AA−03」、平均粒径:0.3μm、フィラーの水中粘度(VW20):50mPa・s)22質量部、と水17.6質量部、イソプロピルアルコール2.2質量部、20質量%の濃度のポリビニルアルコール(日本合成化学社製「OKS−8049」、結晶融解ピーク温度:185℃)水溶液15質量部を混合攪拌し、固形分44質量%のアルミナスラリーを得た。
前記アルミナスラリーを用い、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム前駆体の片面に目付け量#6のバーコーターを用いて塗布した後、60℃の乾燥炉にて2分間乾燥させた。その後、フィルム横延伸装置(京都機械製)にて、ライン速度5.3m/min、延伸温度145℃で横方向に2.5倍延伸し、続いて160℃で横方向に0.9倍熱弛緩することで積層多孔フィルムを得た。
得られた積層多孔フィルムの物性評価を行い、その結果を表1にまとめた。
アルミナ(住化アルケム社製「AA−03」、平均粒径:0.3μm、フィラーの水中粘度(VW20):50mPa・s)19質量部、と水5.6質量部、イソプロピルアルコール2.2質量部、20質量%の濃度のポリビニルアルコール(日本合成化学社製「OKS−8049」、結晶融解ピーク温度:185℃)水溶液30質量部を混合攪拌し、固形分44質量%のアルミナスラリーを得た。
前記アルミナスラリーを用い、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム前駆体の片面に目付け量#6のバーコーターを用いて塗布した後、60℃の乾燥炉にて2分間乾燥させた。その後、フィルム横延伸装置(京都機械製)にて、ライン速度5.3m/min、延伸温度145℃で横方向に2.5倍延伸し、続いて160℃で横方向に0.9倍熱弛緩することで積層多孔フィルムを得た。
得られた積層多孔フィルムの物性評価を行い、その結果を表1にまとめた。
フィラーとして別のアルミナ(住化アルケム社製「AA−06」、平均粒径:0.6μm、フィラーの水中粘度(VW20):30mPa・s)を使用した点以外は実施例1と同様にしてサンプルを得た。
得られた積層多孔フィルムの物性評価を行い、その結果を表1にまとめた。
フィラーとして別のアルミナ(日本軽金属社製「LS−235C」、平均粒径:0.5μm、フィラーの水中粘度(VW20):2000mPa・s)を使用した以外は実施例1と同様にし、積層多孔フィルムを得た。なお、評価は後述する理由により製膜性のみについて行った。
前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム前駆体を、フィルム横延伸装置(京都機械製)にて、ライン速度5.3m/min、延伸倍率145℃で横方向に2.5倍延伸し、続いて160℃で横方向に0.9倍熱弛緩することで、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを得た。
前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの片面に、実施例1で使用したアルミナスラリーを塗工し、60℃2分間乾燥することで積層多孔フィルムを得た。
得られた積層多孔フィルムの物性評価を行い、その結果を表1にまとめた。
比較例2で作製したポリオレフィン系樹脂多孔フィルムのみの物性評価を行い、その結果を表1にまとめた。
比較例2で得た積層多孔フィルムは、被覆層が延伸されていない為、透気性が発現しなかった。
比較例3のポリオレフィン系樹脂多孔フィルムは、被覆層が積層されていなかったため、耐熱性が不十分であった。
20 二次電池
21 正極板
22 負極板
24 正極リード体
25 負極リード体
26 ガスケット
27 正極蓋
Claims (8)
- ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの少なくとも片面に、フィラーと、結晶融解ピーク温度が170℃以上の水溶性樹脂とを含む被覆層を有し、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム及び前記被覆層のいずれもが少なくとも一軸方向に延伸されており、前記フィラーを水に20体積%の割合で分散させた際の水温25℃における粘度(VW20)が、1mPa・s以上、500mPa・s以下である積層多孔フィルム。
- 前記被覆層中における前記水溶性樹脂の割合が、5質量%以上50質量%以下である、請求項1に記載の積層多孔フィルム。
- 前記フィラーが金属酸化物を含んでなる、請求項1又は2に記載の積層多孔フィルム。
- 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース又はそのナトリウム塩、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、及び、ポリアクリル酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層多孔フィルム。
- 前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムがポリプロピレンを含んでなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層多孔フィルム。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層多孔フィルムの製造方法であって、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを形成するための無孔膜状物を一軸方向に延伸する工程と、該一軸方向に延伸されたフィルムに前記被覆層を積層する工程と、該被覆層を積層したフィルムを、さらに少なくとも一軸方向に延伸する工程とを含む製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層多孔フィルムを用いた非水電解液二次電池用セパレータ。
- 請求項7に記載の非水電解液二次電池用セパレータを収容した非水電解液二次電池。
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JP2012020437A (ja) * | 2010-07-13 | 2012-02-02 | Mitsubishi Plastics Inc | 積層多孔フィルム、非水電解液二次電池用セパレータ、および非水電解液二次電池 |
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