JP5885104B2 - 積層多孔フィルム、非水電解液二次電池用セパレータ、及び非水電解液二次電池 - Google Patents

積層多孔フィルム、非水電解液二次電池用セパレータ、及び非水電解液二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、積層多孔フィルムに関し、包装用、衛生用、畜産用、農業用、建築用、医療用、分離膜、光拡散板、電池用セパレータとして利用でき、特に、非水電解電池用セパレータとして好適に利用できるものである。
多数の微細連通孔を有する高分子多孔体は、超純水の製造、薬液の精製、水処理などに使用する分離膜、衣類・衛生材料などに使用する防水透湿性フィルム、あるいは二次電池などに使用する電池セパレータなど各種の分野で利用されている。
二次電池はOA、FA、家庭用電器又は通信機器等のポータブル機器用電源として幅広く使用されている。特に機器に装備した場合に容積効率が良く、機器の小型化及び軽量化につながることからリチウムイオン二次電池を使用したポータブル機器が増加している。一方、大型の二次電池はロードレベリング、UPS、電気自動車をはじめ、エネルギー/環境問題に関連する多くの分野において研究開発が進められ、大容量、高出力、高電圧及び長期保存性に優れている点より非水電解液二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池の用途が拡がっている。
リチウムイオン二次電池の使用電圧は通常4.1Vから4.2Vを上限として設定されている。このような高電圧では水溶液は電気分解を起こすので電解液として用いることが出来ない。このため、高電圧でも耐えうる電解液として有機溶媒を使用したいわゆる非水電解液が用いられている。非水電解液溶媒としては、より多くのリチウムイオンを存在させることができる高誘電率有機溶媒が用いられ、該高誘電率有機溶媒としてプロピレンカーボネートやエチレンカーボネート等の有機炭酸エステル化合物が主に使用されている。溶媒中でリチウムイオン源となる支持電解液として、6フッ化リン酸リチウム等の反応性の高い電解液を溶媒中に溶解させて使用している。
リチウムイオン二次電池には内部短絡の防止の点からセパレータが正極と負極の間に介在されている。該セパレータにはその役割から当然絶縁性が要求される。また、リチウムイオンの通路となる通気性と電解液の拡散・保持機能を付与するために微細孔構造である必要がある。これらの要求を満たすセパレータとしては多孔フィルムが使用されている。
最近の電池の高容量化に伴い、電池の安全性に対する重要性が増してきている。電池用セパレータの安全に寄与する特性として、シャットダウン特性(以後、「SD特性」と称す場合がある)がある。このSD特性は、100〜150℃程度の高温状態になると微細孔が閉塞され、その結果電池内部のイオン伝導が遮断されるため、その後の電池内部の温度上昇を防止できるという機能である。この時、積層多孔フィルムの微細孔が閉塞される温度のうち最も低い温度をシャットダウン温度(以後、「SD温度」と称す)という。電池用セパレータとして使用する場合は、このSD特性を具備していることが必要である。
しかしながら、近年リチウムイオン二次電池の高エネルギー密度化、高容量化に伴い、通常のシャットダウン機能が十分に機能せず、電池内部の温度が150℃を超えセパレータの熱収縮に伴う破膜によって、両極が短絡し発火に至る事故が発生している。そこで安全性を確保するため、セパレータには現状のSD温度よりも高い耐熱性が求められている。
前記特性を有するフィルムを製膜する技術としては、下記に示すような種々の提案がなされている。たとえば特許文献1では無機フィラーを含有する高分子多孔膜で構成された非水系電解液二次電池用セパレータが提案されている。また、特許文献2〜5ではポリオレフィン樹脂多孔フィルムの少なくとも片面に、フィラーと無機バインダーとを含む多孔層を備えた多層多孔フィルムが提案されている。これらは、多孔フィルム上に無機等のフィラーを高充填されたコート層を設けることで、異常発熱を起こし、SD温度を越え、温度が上昇し続けた際においても、両極の短絡を防ぐことができ、非常に安全性に優れる方法とされている。
一方、リチウムイオン二次電池は、充放電に伴って正極と負極の活物質となるコバルト酸リチウムやカーボン等が膨張と収縮を繰り返すので、特に大型電池ではこれら正極と負極の膨張と収縮が非常に大きくなる。また、正極や負極が膨張と収縮を繰り返すことにより正極と負極の間に絶縁性確保の為に配されるセパレータが徐々にずれることがある。また、非水電解液二次電池では、充放電時の発熱量が特に大きいので、セパレータが高温によって収縮し易くなり、セパレータの端から正極や負極が飛び出し、それらが互いに接触して内部短絡を起こすおそれがあるといった問題があった。
前記問題を解決するためには、セパレータの寸法を正極及び負極の寸法よりも十分に大きくすることが挙げられるが、セパレータが大量に必要となるのでコストアップや電池のエネルギー密度が低下するといった問題が生じる。
特開2005−071979号公報 特開2004−227972号公報 特開2007−280911号公報 特開2008−186721号公報 特開2011−159434号公報
前記特許文献1〜5に記載の方法では、温度異常に伴う破膜や、熱収縮性の軽減などの耐熱性は得られるものの、充放電に伴って発生する正極や負極の膨張や収縮に伴う内部短絡などの問題に対しては十分な対策がなされているものとは言い難い。
本発明の課題は、前記問題点を解決することにある。すなわち、高い耐熱性を有すると共に良好な熱融着性を具備した積層多孔フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)の少なくとも片面に、フィラー(a)および樹脂バインダー(b)を含有する被覆層(II層)を有する積層多孔フィルムであって、2枚の該積層多孔フィルムの表面同士を熱融着したときのT型剥離強度が30gf/15mm以上であることを特徴とする積層多孔フィルムである。
このとき、2枚の積層多孔フィルムのうち、一方の前記I層側表面と、他方の前記II層側表面を熱融着した時のT型剥離強度が30gf/15mm以上であることが好ましい。
また、2枚の積層多孔フィルムのうち、一方の前記II層側表面と、他方の前記II層側表面を熱融着した時のT型剥離強度が30gf/15mm以上であることが好ましい。
また、前記II層側表面が、被覆領域と非被覆領域とを有することが好ましい。
また、前記II層側表面において被覆領域の占める割合が、前記I層の全表面積に対して85〜99%であることが好ましい。
また、本発明の積層多孔フィルムの長手方向における端部に、前記II層側表面の非被覆領域を有することが好ましい。
また、本発明の積層多孔フィルムは、前記II層側表面の被覆領域に該当する前記I層の表面の領域のみに表面処理を施した後、前記II層を積層してなるものであることが好ましい。
また、前記I層にポリプロピレン系樹脂が含まれていることが好ましい。
また、前記I層がβ晶活性を有することが好ましい。
本発明によれば、優れた耐熱性と熱融着性を具備し、非水電解液二次電池用セパレータとして用いた際に優れた特性を備えた積層多孔フィルムを得ることができる。
本発明の積層多孔フィルムを収容している電池の概略的断面図である。 耐熱性評価における積層多孔フィルムの固定方法を説明する図である。 T型剥離強度の測定方法を説明する図である。
以下、本発明について詳しく説明する。
なお、本発明において、「主成分」と表記した場合には、特にことわりのない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含し、特に当該主成分の含有割合を限定するものではないが、主成分とは例えば組成物中の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100質量%も含む)を占める意を包含するものである。
また、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表記した場合には、特にことわりのない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものとする。ここで、本発明における数値範囲の上限値及び下限値は、本発明が特定する数値範囲内から僅かに外れる場合であっても、当該数値範囲内と同様の作用効果を備えている限り本発明の均等範囲に包含する。
以下に、本発明の積層多孔フィルムを構成する各成分について説明する。
<ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)>
ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)に用いるポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィンを重合した単独重合体または共重合体が挙げられる。また、これらの単独重合体または共重合体を2種以上混合することもできる。中でもポリプロピレン系樹脂、または、ポリエチレン系樹脂を用いることが好ましく、特に、本発明の積層多孔フィルムの機械的強度、耐熱性などを維持する観点から、ポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。
(ポリプロピレン系樹脂)
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂としては、ホモプロピレン(プロピレン単独重合体)、または、プロピレンと、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィンとのランダム共重合体、もしくは、ブロック共重合体などが挙げられる。この中でも積層多孔フィルムの通気特性、機械強度、耐熱性などの観点からホモポリプロピレン、または、プロピレンと前記α−オレフィンとのブロック共重合体が好ましく、ホモプロピレンが特に好ましい。
また、ポリプロピレン系樹脂としては、立体規則性を示すアイソタクチックペンダッド分率(mmmm分率)が80〜99%であることが好ましく、より好ましくは83〜99%、更に好ましくは85〜99%であるものを使用する。アイソタクチックペンダッド分率が低すぎると得られる積層多孔フィルムの機械的強度が低下する恐れがある。尚、アイソタクチックペンダッド分率の上限については現時点において工業的に得られる上限値で規定しているが、将来的に工業レベルで更に規則性の高い樹脂が開発された場合にはこの限りでは無い。アイソタクチックペンダッド分率(mmmm分率)とは、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素−炭素結合による主鎖に対して側鎖である5つのメチル基が同方向に位置する立体構造の割合を意味する。メチル基領域のシグナルの帰属はA.Zambelli et at al (macromolecules 8、687、(1975))に準拠した。
また、ポリプロピレン系樹脂としては、分子量分布を示すパラメータであるMw/Mnが2.0〜10.0である事が好ましく、より好ましくは2.0〜8.0、更に好ましくは2.0〜6.0であるものが使用される。Mw/Mnが小さいほど分子量分布が狭いことを意味するが、Mw/Mnが2.0未満であると例えば溶融押出成形で製膜する場合には押出成形性が低下する可能性があり、工業的に生産することが困難である場合がある。一方Mw/Mnが10.0を越えた場合には、一般的に低分子量成分が多くなり、積層多孔フィルムの機械的強度が低下しやすい。尚、Mw/MnはGPC(ゲルパーミションクロマトグラフィー)法によって得られる。
また、ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は特に制限されるものではないが、通常0.5〜15g/10分であることが好ましく、1.0〜10g/10分であることがより好ましい。MFRが0.5g/10分以上であれば、例えば溶融押出成形で製膜する場合、成形加工時の背圧が高くなり過ぎることが無く十分な生産性を確保することができる。一方、15g/10分以下とすることで、得られる積層フィルムの機械的強度を十分に保持することができる。尚、MFRはJIS K7210に準拠し、温度230℃、加重2.16kgの条件で測定する。
なお、前記ポリプロピレン系樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えばチーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合、溶融重合法、塊状重合法、気相重合法、またラジカル開始剤を用いた塊状重合法などが挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、商品名「ノバテックPP」、「WINTEC」(以上、日本ポリプロ社製)、「ノティオ」、「タフマーXR」(以上、三井化学社製)、「ゼラス」、「サーモラン」(以上、三菱化学社製)、「住友ノーブレン」、「タフセレン」(以上、住友化学社製)、「プライムポリプロ」、「プライムTPO」(以上、プライムポリマー社製)、「Adflex」、「Adsyl」、「HMS−PP(PF814)」、「クオリア」(以上、サンアロマー社製)、「バーシファイ」、「インスパイア」(以上、ダウケミカル社製)など、市販されている商品を使用できる。
(ポリエチレン系樹脂)
本発明に用いるポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン及びエチレンを主成分とする共重合体、すなわち、エチレンとプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1などの炭素数3〜10のα−オレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステル、共役ジエンや非共役ジエンのような不飽和化合物の中から選ばれる1種または2種以上のコモノマーとの共重合体または多元共重合体あるいはその混合組成物が挙げられる。エチレン系重合体のエチレン単位の含有量は通常50質量%を超えるものである。
これらのポリエチレン系樹脂の中では、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンの中から選ばれる少なくとも1種のポリエチレン系樹脂が好ましく、高密度ポリエチレンがより好ましい。
前記ポリエチレン系樹脂の密度は、0.910〜0.970g/cmであることが好ましく、0.930〜0.970g/cmであることがより好ましく、0.940〜0.970g/cmであることが更に好ましい。密度が前記範囲内であれば、電池セパレータとして使用時に適度なシャットダウン温度を有することができる。尚、密度の測定は、密度勾配管法を用いてJIS K7112に準じて測定する。
前記ポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は特に制限されるものではないが、通常MFRは0.03〜30g/10分であることが好ましく、0.3〜10g/10分であることが好ましい。MFRが前記範囲であれば例えば溶融押出成形で製膜する場合には成形加工時の背圧が高くなり過ぎることが無く十分な生産性を確保することができる。尚、MFRはJIS K7210に準拠し、温度190℃、加重2.16kgの条件で測定する。
ポリエチレン系樹脂の製造方法は特に限定されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えば、チーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた重合方法が挙げられる。ポリエチレン系樹脂の重合方法として、一段重合、二段重合、もしくはそれ以上の多段重合等があり、いずれの方法のポリエチレン系樹脂も使用可能である。
(β晶活性)
本発明の積層多孔フィルムにおいて、前記I層はβ晶活性を有することが好ましい。β晶活性は、延伸前の膜状物にβ晶を生成したことを示す一指標として捕らえることができる。延伸前の膜状物中にβ晶を生成していれば、その後延伸を施すことで微細孔が形成されるため、通気特性を有する多孔フィルムを得ることができる。
本発明の積層多孔フィルムにおいて、「β晶活性」の有無は、後述する示差走査型熱量計によりβ晶に由来する結晶融解ピーク温度が検出された場合か、及び/又は後述する広角X線回折装置を用いた測定により、β晶に由来する回折ピークが検出された場合、「β晶活性」を有すると判断している。
以下、前記ポリオレフィン系樹脂が前記ポリプロピレン系樹脂である場合について具体的に例示する。
「β晶活性」の有無は、示差走査型熱量計で多孔フィルムを25℃から240℃まで走査速度10℃/分で昇温後1分間保持し、次に240℃から25℃まで走査速度10℃/分で降温後1分間保持し、更に25℃から240℃まで走査速度10℃/分で再昇温させた際に、前記ポリプロピレン系樹脂のβ晶に由来する結晶融解ピーク温度(Tmβ)が検出された場合、β晶活性を有すると判断する。
また、前記積層多孔フィルムのβ晶活性度は、検出される前記ポリプロピレン系樹脂のα晶由来の結晶融解熱量(ΔHmα)とβ晶由来の結晶融解熱量(ΔHmβ)を用いて下記式で計算している。
β晶活性度(%)=〔ΔHmβ/(ΔHmβ+ΔHmα)〕×100
例えば、前記ポリプロピレン系樹脂がホモポリプロピレンの場合は、主に145℃以上160℃未満の範囲で検出されるβ晶由来の結晶融解熱量(ΔHmβ)と、主に160℃以上170℃以下の範囲で検出されるα晶由来の結晶融解熱量(ΔHmα)から計算することができる。また、例えばエチレンが1〜5モル%共重合されているランダムポリプロピレンの場合は、主に120以上140℃未満の範囲で検出されるβ晶由来の結晶融解熱量(ΔHmβ)と、主に140℃以上165℃以下の範囲に検出されるα晶由来の結晶融解熱量(ΔHmα)から計算することができる。
前記I層のβ晶活性度は大きい方が好ましく、具体的には20%以上であることが好ましく、40%以上であることが更に好ましく、60%以上であることが特に好ましい。I層が20%以上のβ晶活性度を有すれば、延伸前の膜状物中においてもポリプロピレン系樹脂のβ晶が多く生成することができることを示し、延伸により微細かつ均一な孔が多く形成され、結果として機械的強度が高く、通気特性に優れた積層多孔フィルム、特に電池用セパレータとすることができる。
尚、β晶活性度の上限値は特に限定されないが、β晶活性度が高いほど前記効果がより有効に得られるので100%に近いほど好ましい。
また、前記β晶活性の有無は、特定の熱処理を施した積層多孔フィルムの広角X線回折測定により得られる回折プロファイルでも判断できる。
詳細には、前記ポリプロピレン系樹脂の融点を超える温度である170℃の熱処理を施し、徐冷してβ晶を生成・成長させた積層多孔フィルムについて、広角X線回折測定を行い、前記ポリプロピレン系樹脂のβ晶の(3,0,0)面に由来する回折ピークが2θ=16.0°から16.5°の範囲に検出された場合、β晶活性があると判断している。
ポリプロピレン系樹脂のβ晶構造と広角X線回折測定に関する詳細は、Macromol. Chem.187、643−652(1986)、Prog. Polym. Sci. Vol. 16、361−404(1991)、Macromol. Symp. 89、499−511(1995)、Macromol. Chem. 75、134(1964)及びこれらの文献中に挙げられた参考文献を参照することができる。広角X線回折を用いたβ晶活性の詳細な評価方法については、後述の実施例にて示す。
前記I層のβ晶活性を得る方法としては、前記ポリプロピレン系樹脂のα晶の生成を促進させる物質を添加しない方法や、特許第3739481号公報に記載されているように過酸化ラジカルを発生させる処理を施したポリプロピレンを添加する方法、及び組成物にβ晶核剤を添加する方法などが挙げられる。
(β晶核剤)
本発明においては、前記I層を構成するポリオレフィン系樹脂に、β晶核剤を含有することが好ましい。本発明で用いるβ晶核剤としては以下に示すものが挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂のβ晶の生成・成長を増加させるものであれば特に制限される訳ではなく、また2種以上を混合して用いても良い。
β晶核剤としては、例えば、アミド化合物;テトラオキサスピロ化合物;キナクリドン類;なのスケールのサイズを有する酸化鉄;1,2−ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウムもしくはコハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウムなどに代表されるカルボン酸のアルカリもしくはアルカリ土類金属塩;ベンゼンスルホン酸ナトリウムもしくはナフタレンスルホン酸ナトリウムなどに代表される芳香族スルホン酸化合物;二もしくは三塩基カルボン酸のジもしくはトリエステル類;フタロシアニンブルーなどに代表されるフタロシアニン系顔料;有機二塩基酸である成分Aと周期律表第IIA族金属の酸化物、水酸化物もしくは塩である成分Bとからなる二成分系化合物;環状リン化合物とマグネシウム化合物からなる組成物などが挙げられる。そのほか核剤の具体的な種類については、特開2003−306585号公報、特開平06−289566号公報、特開平09−194650号公報に記載されている。
β晶核剤の市販品としては、「エヌジェスターNU−100」(新日本理化社製)、「Bepol B−022SP」(Aristech社製)、「Beta(β)−PP BE60−7032」(Borealis社製)、「BNX BETAPP−LN」(Mayzo社製)等が挙げられる。
前記ポリオレフィン系樹脂に添加するβ晶核剤の割合は、β晶核剤の種類又は前記ポリオレフィン系樹脂の組成などにより適宜調整することが必要であるが、前記I層を構成するポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、0.0001質量部から5質量部の割合で配合されることが好ましい。また0.001質量部から3質量部がより好ましく、0.01質量部から2質量部が更に好ましい。0.0001質量部以上であれば、製膜時において十分に前記I層を構成するポリオレフィン系樹脂のβ晶を生成・成長させることができ、多孔フィルムとした際にも十分なβ晶活性が確保でき、所望の通気性能が得られる。また、5質量部以下の添加であれば、経済的にも有利になるほか、積層多孔フィルム表面へのβ晶核剤のブリードなどが無く好ましい。
(他の成分)
本発明においては、前述した成分のほか、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、一般に樹脂組成物に配合される添加剤をI層に適宜添加できる。前記添加剤としては、成形加工性、生産性および多孔フィルムの諸物性を改良・調整する目的で添加される、耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂やシリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤または着色剤などの添加剤が挙げられる。
また開孔を促進するためや、成形加工性を付与するために、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、変性ポリオレフィン系樹脂、脂肪族飽和炭化水素樹脂もしくはその変性体、エチレン系重合体、ワックス、または低分子量ポリプロピレンを添加しても構わない。
(ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)の層構成)
本発明において、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)は、単層でも積層でもよく、特に制限されるものではない。中でも、前記ポリオレフィン系樹脂を含む層(以下「A層」と称する場合がある)の単層、当該A層の機能を妨げない範囲で、当該A層と他の層(以降「B層」と称する場合がある)との積層が好ましい。例えば非水電解液二次電池用セパレータとして用いる際には、特開平04−181651号に記載されているような高温雰囲気化で孔閉塞し、電池の安全性を確保する低融点樹脂層を積層させることができる。
具体的には、A層の単層、A層/B層を積層した2層構造、A層/B層/A層、若しくは、B層/A層/B層として積層した3層構造などが例示できる。また、他の機能を持つ層と組み合わせて3層3層の様な形態も可能である。この場合、他の機能を持つそうとの積層順序は途に問わない。更に層数は4層、5層、6層、7層と必要に応じて増やしても良い。
なお、本発明に用いるポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの物性は、層構成や積層比、各層の組成、製造方法によって自由に調整できる。
(ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)の製造方法)
次に、本発明のポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)の製造方法について説明するが、本発明はかかる製造方法により製造されるポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)のみに限定されるものではない。
具体的には、前記ポリオレフィン系樹脂を用いて、溶融押出により無孔膜状物を作製し、当該無孔膜状物を延伸することにより厚さ方向に連通性を有する微細孔を多数形成した多孔フィルムを得ることができる。
無孔膜状物の作製方法は特に限定されず公知の方法を用いてよいが、例えば押出機を用いて熱可塑性樹脂組成物を溶融し、Tダイから押出し、キャストロールで冷却固化するという方法が挙げられる。またチューブラー法により製造した膜状物を切り開いて平面状とする方法も適用できる。
無孔膜状物の多孔化方法としては、特に限定されることなく、湿式による一軸以上の延伸多孔化、乾式による一軸以上の延伸多孔化など、公知の方法を用いてもよい。延伸方法については、ロール延伸法、圧延法、テンター延伸法、同時二軸延伸法などの手法があり、これらを単独あるいは2つ以上組み合わせて一軸延伸あるいは二軸延伸を行う。中でも、多孔構造制御の観点から逐次二軸延伸が好ましい。また必要に応じて、延伸の前後にポリオレフィン系樹脂組成物に含まれている可塑剤を溶剤によって抽出、乾燥させる方法も適用される。
また、本発明において、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)を積層にする場合、製造方法は、多孔化と積層の順序等によって以下の4つに大別される。
(i)各層を多孔化したのち、多孔化された各層をラミネートしたり接着剤等で接着したりして積層する方法
(ii)各層を積層して積層無孔膜状物を作製し、ついで当該無孔膜状物を多孔化する方法
(iii)各層のうちいずれか1層を多孔化したのち、もう1層の無孔膜状物と積層し、多孔化する方法
(iv)多孔層を作製した後、無機・有機粒子などのコーティング塗布や、金属粒子の蒸着などを行うことにより積層多孔フィルムとする方法
本発明においては、中でも2層の層間接着性を確保するため、前記(ii)のように共押出で積層無孔膜状物を作製した後、多孔化する方法が特に好ましい。
以下にポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)の製造方法の詳細を説明する。
まず、前記ポリオレフィン系樹脂と、必要であれば熱可塑性樹脂、添加剤の混合樹脂組成物を作製する。例えば、ポリプロピレン系樹脂、β晶核剤、及び所望によりその他添加剤等の原材料を、好ましくはヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー型ミキサー等を用いて、又は袋の中に全成分を入れてハンドブレンドにて混合した後、一軸あるいは二軸押出機、ニーダー等、好ましくは二軸押出機で溶融押出後カッティングしてペレットを得る。
前記のペレットを押出機に投入し、Tダイ押出用口金から押出して無孔膜状物を成形する。Tダイの種類としては特に限定されない。例えば本発明のポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)が2種3層の積層構造をとる場合、Tダイは2種3層用のマルチマニホールドタイプでも構わないし、2種3層用のフィードブロックタイプでも構わない。
使用するTダイのギャップは、最終的に必要なフィルムの厚み、延伸条件、ドラフト率、各種条件などから決定されるが、一般的には0.1〜3.0mm程度、好ましくは0.5〜1.0mmである。0.1mm以上であることにより、溶融押出時の背圧が高くなり過ぎず、メルトフラクチャー等の問題がおきにくいため、生産安定性の観点から好ましい。また、3.0mm以下であることにより、ドラフト率が大きくなり過ぎず、ドローレゾナンス等の問題が生じることがないため、生産安定性の観点から好ましい。
押出成形において、押出加工温度は樹脂組成物の流動特性や成形性などによって適宜調整されるが、概ね180〜350℃が好ましく、200〜330℃がより好ましく、200〜300℃が更に好ましい。前記範囲であれば生産性に優れ機械的強度の低下を抑制できる。
キャストロールによる冷却固化温度は本発明において非常に重要であり、無孔膜状物のポリオレフィン系樹脂のβ晶の比率を調整することができる。キャストロールの冷却固化温度は好ましくは80〜150℃、より好ましくは90〜140℃、更に好ましくは100〜130℃である。冷却固化温度を80℃以上とすることで、膜状物中のβ晶の比率を十分に増加させることができるため好ましい。また150℃以下とすることで押出された溶融樹脂がキャストロールへ粘着し巻きついてしまうなどのトラブルが起こりにくく、効率よく無孔膜状物とすることが可能であるので好ましい。
前記温度範囲にキャストロールを設定することで、延伸前の無孔膜状物のポリオレフィン系樹脂のβ晶比率は30〜100%に調整することが好ましい。40〜100%がより好ましく、50〜100%が更に好ましく、60〜100%が最も好ましい。延伸前の無孔膜状物のβ晶比率を30%以上とすることで、その後の延伸操作により多孔化が行われやすく、透気特性のよいポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを得ることができる。
延伸前の無孔膜状物のβ晶比率は、示差走査型熱量計を用いて、該無孔膜状物を25℃から240℃まで加熱速度10℃/分で昇温させた際に、検出されるポリオレフィン系樹脂のα晶由来の結晶融解熱量(ΔHmα)とβ晶由来の結晶融解熱量(ΔHmβ)を用いて下記式で計算される。
β晶比率(%)=〔ΔHmβ/(ΔHmα+ΔHmβ)〕×100
延伸工程においては、縦方向又は横方向に一軸延伸しても良いし、二軸延伸であってもよい。また、二軸延伸を行う場合は同時二軸延伸であっても良いし、逐次二軸延伸であってもよい。本発明のポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを作製する場合には、各延伸工程で延伸条件を選択でき、かつ多孔構造を制御しやすい逐次二軸延伸がより好ましい。
ついで、得られた無孔膜状物を少なくとも二軸延伸することがより好ましい。二軸延伸は同時二軸延伸であっても良いし、逐次二軸延伸であっても良いが、各延伸工程で延伸条件(倍率、温度)を簡便に選択でき、多孔構造を制御しやすい逐次二軸延伸がより好ましい。なお、無孔膜状物及びフィルムの長手方向を「縦方向」、長手方向に対して垂直方向を「横方向」と称する。また長手方向への延伸を「縦延伸」、長手方向に対して垂直方向への延伸を「横延伸」と称する。
逐次二軸延伸を用いる場合、延伸温度は用いる樹脂組成物の組成、結晶化状態によって適宜選択する必要があるが、下記条件の範囲内で選択することが好ましい。
逐次二軸延伸を用いる場合、延伸温度は用いる樹脂組成物の組成、結晶融解ピーク温度、結晶化温度、結晶化度等によって適宜変える必要があるが、縦延伸での延伸温度は概ね0〜130℃が好ましく、より好ましくは10〜120℃、更に好ましくは20〜120℃の範囲で制御される。また延伸倍率は2〜10倍が好ましく、より好ましくは3〜8倍、更に好ましくは4〜7倍である。前記範囲内で縦延伸を行うことで、延伸時の破断を制御しつつ、適度な空孔起点を発現させることができる。
一方、横延伸での延伸温度は概ね100〜160℃、好ましくは110〜150℃、更に好ましくは120〜140℃である。また、好ましい延伸倍率は1.2〜10倍であり、より好ましくは1.5〜8倍、更に好ましくは2〜7倍である。前記範囲内で横延伸することで、縦延伸により形成された空孔起点を適度に拡大させ、微細な多孔構造を発現させることができる。
前記延伸工程の延伸速度としては、50〜1200%/分が好ましく、100〜1000%/分が更に好ましく、150〜900%/分であることが更に好ましい。
こうして得られたポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)は、寸法安定性の改良を目的として熱処理を施すことが好ましい。この際、熱処理温度は好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは140℃以上とすることで、寸法安定性の効果が期待できる。一方、熱処理温度の上限として、好ましくは170℃以下、より好ましくは165℃以下、更に好ましくは160℃以下である。熱処理温度が前記範囲内であれば、熱処理によってポリオレフィン系樹脂の融解が起こりにくく、多孔構造を維持できるため好ましい。また、熱処理工程中には、必要に応じて1〜20%の弛緩処理を施しても良い。なお、熱処理後、均一に冷却して巻き取ることにより、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)が得られる。
<被覆層(II層)>
本発明の積層多孔フィルムは、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)の少なくとも片面に、フィラー(a)および樹脂バインダー(b)を含有する被覆層(II層)を有することが重要である。
また、前記被覆層(II層)側表面において被覆領域と非被覆領域とが存在することが好ましい。本発明の積層多孔フィルムは、被覆領域同士での熱融着が困難である。これに対し、非被覆領域が存在することによって、本発明の積層多孔フィルムを非水電解液二次電池用セパレータとして使用する際に、被覆領域と非被覆領域とで熱融着することや、非被覆領域同士で熱融着することが可能となる。その結果、セパレータと正極、負極などの電池部材とを固定することができるため好ましい。
なお、本発明の積層多孔フィルムのI層において、前記II層を有する片面に対して、もう一方の片面に関しては、前記II層を有していても、有していなくても良い。なお、前記II層を有する場合には、被覆領域と非被覆領域とを有していることが好ましい。
本発明の積層多孔フィルムを非水電解液二次電池用セパレータとして使用する場合において、当該セパレータを2枚以上使用して、正極及び負極と重ね合わせる場合がある。例えば、(セパレータ/正極/セパレータ/負極)という構成の積層体とした上で、当該積層体を巻回して非水電解液二次電池に組み込む場合がある。
この時、本発明の積層多孔フィルムにおいて、前記II層を前記I層の片面のみに有する場合には、最も近接するセパレータ同士について、1のセパレータの前記II層と他のセパレータの前記I層とが向かい合うように、重ね合わせるのが好ましい。
また、前記II層が前記I層の片面にある場合と両面にある場合のいずれにおいても、最も近接するセパレータ同士について、1のセパレータの前記II層と他のセパレータの前記II層とが向かい合うように重ね合わせても良いが、この場合、高い融着性を発現するために、少なくとも一方のセパレータの前記II層側表面に、被覆領域と非被覆領域とを有していることが必要であり、両方のセパレータの前記II層側表面に、被覆領域と非被覆領域とを有している態様が特に好ましい。
また後述するように、該セパレータの長手方向の端部に前記II層側表面の非被覆領域を有することが好ましい。
前記II層側表面において被覆領域の占める割合は、前記I層の全表面積の85%以上が好ましく、88%以上がより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。前記II層側表面における被覆領域の占める割合が、前記I層の全表面積の85%以上であることによって、本発明の積層多孔フィルムが十分な耐熱性を有することができる。
一方、前記II層側表面において被覆領域の占める割合は、前記I層の全表面積の99%以下が好ましく、98%以下がより好ましく、97%以下が更に好ましい。前記II層側表面の被覆領域の占める割合が、前記I層の全表面積の99%以下であることによって、本発明の積層多孔フィルムを非水電解液二次電池用セパレータとして使用する際に、前記II層側表面同士で熱融着させる場合であっても、二次電池の充放電時の正極や負極の膨張や収縮によるセパレータのずれを解消することができる。
前記被覆領域の占める割合を前記の範囲とする手段として、被覆領域の形状を各種の模様にすることが挙げられる。当該模様に関しては特に限定されないが、具体的には、帯状、三角形状、四角形状、円形状、斑点状などにすることが挙げられる。
本発明の積層多孔フィルムは、長手方向における端部について、前記非被覆領域を有することが好ましい。本発明の積層多孔フィルムを、例えば非水電解液二次電池用セパレータとして使用する場合、2枚の非水電解液二次電池用セパレータの端部をヒートシールによって互いに熱融着させることで、非水電解液二次電池の充放電時の正極や負極の膨張や収縮による非水電解液二次電池用セパレータのずれを解消することができる。
この際、熱融着による固着部分は、非水電解液二次電池の充放電時の正極や負極の膨張や収縮による変形に耐えられればよいため、前記端部の全領域が非被覆領域のみである必要は無い。具体的な例として、1点又は2点以上を点状に固着することもできる。なお、非水電解液二次電池用セパレータの熱融着は加熱融着、圧接、超音波融着等の任意の方法によって行うことができる。
(フィラー(a))
本発明に用いることができるフィラー(a)としては無機フィラー、有機フィラーなどが挙げられるが、特に制約されるものではない。
無機フィラーの例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩;塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどの塩化物;酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカなどの酸化物のほか、タルク、クレー、マイカなどのケイ酸塩等が挙げられる。これらの中でも、本発明の積層多孔フィルムを非水電解液二次電池用セパレータとして用いた場合における、耐電解液性やコストの観点から硫酸バリウム、酸化アルミニウムがより好ましい。
有機フィラーの例としては、超高分子量ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、メラミン、ベンゾクナミンなどの熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの中でも、本発明の積層多孔フィルムを非水電解液二次電池用セパレータとして用いた場合における、耐電解液膨潤性の観点より、架橋ポリスチレンなどが好ましい。
前記フィラー(a)の平均粒径の下限としては、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは0.2μm以上である。一方、上限として好ましくは3.0μm以下、より好ましくは1.5μm以下である。前記平均粒径を0.01μm以上とすることで、本発明の積層多孔フィルムが十分な耐熱性を発現することができるため好ましい。また、前記平均粒径を3.0μm以下とすることで、前記II層におけるフィラー(a)の分散性が向上するという観点から好ましい。
なお、本実施の形態において「フィラーの平均粒径」とは、SEMを用いる方法に準じて測定される値である。
(樹脂バインダー(b))
本発明に用いる樹脂バインダー(b)としては、前記フィラー(a)と、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)とを良好に接着でき、電気化学的に安定で、かつ積層多孔フィルムを非水電解液二次電池用セパレータとして使用する場合に有機電解液に対して安定であれば、特に制限されるものではない。具体的には、ポリエーテル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアラミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル由来の構造単位が0〜20モル%のもの)、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのエチレン−アクリル酸共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリフッ化ビニリデン−トリクロロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリメタクリル酸及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、シアノエチルセルロース、ポリビニルアルコール、シアノエチルポリビニルアルコール、ポリビニルブチラゾール、ポリビニルピロリドン、ポリN−ビニルアセトアミド、架橋アクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、マレイン酸変性ポリオレフィンなどが挙げられる。これらの樹脂バインダー(b)は1種単独で使用してもよく、2種以上を併用しても構わない。これらの樹脂バインダー(b)の中でもポリオキシエチレン、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル樹脂、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸及びその誘導体、マレイン酸変性ポリオレフィンが水中でも比較的安定であることからが好ましい。
前記被覆層(II層)において、前記フィラー(a)と前記樹脂バインダー(b)との総量に占めるフィラー(a)の含有率は92質量%以上であることが好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上が更に好ましい。前記フィラー(a)の含有率が92質量%以上であれば、連通性がある積層多孔フィルムを作製でき、優れた透気性能を示すことができるために好ましい。
(被覆層(II層)の製造方法)
本発明の積層多孔フィルムは、前記フィラー(a)と前記樹脂バインダー(b)とを溶媒に溶解又は分散させた分散液を、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)の少なくとも片面に塗布することによって、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)表面に被覆層(II層)を形成して製造することができる。
前記溶媒としては、前記フィラー(a)、前記樹脂バインダー(b)が均一かつ安定に溶解または分散可能な溶媒を用いることが好ましい。更に、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)に塗布した分散液から除去され得る溶媒であることが好ましい。
このような溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、水、エタノール、トルエン、熱キシレン、ヘキサンなどを挙げることができる。また、前記分散液を安定化するため、あるいはポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)の塗工性を向上させるために、前記分散液には界面活性剤等の分散剤、増粘剤、湿潤剤、消泡剤、酸やアルカリを含めたpH調整剤等の各種添加剤を加えても良い。前記添加剤は、溶媒除去や可塑剤抽出の際に除去できるものが好ましいが、非水電解液二次電池の使用範囲において電気化学的に安定で、電池反応を阻害せず、かつ200℃程度まで安定ならば、積層多孔フィルム内に残存しても良い。
前記フィラー(a)、前記樹脂バインダー(b)を溶媒に溶解または分散させる方法としては、例えば、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ロールミル、高速インペラー分散、ディスパーザー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、超音波分散、攪拌羽根等による機械攪拌法等が挙げられる。
前記分散液をポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)の表面に塗布する方法としては、前記押出成形の後であっても良いし、縦延伸工程の後であっても良いし、横延伸工程の後であってもよい。
前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)の表面に被覆層(II層)を積層する際に、予め表面処理を施すことが好ましい。表面処理を施すことによって、前記I層とII層との層間の接着性を十分に保持することができる。表面処理の具体的な方法として、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、グロー放電処理、オゾン処理などが挙げられる。
また、表面処理を施す際、前記II層側表面の被覆領域に該当する前記I層の表面の領域のみに対して表面処理を施すことが好ましい。一方で、前記II層の非被覆領域に該当する前記I層の表面の領域に対して表面処理を施さないことで、前記I層に対する損傷が小さくなるため、耐久性を維持することができるという観点で好ましい。
前記塗布工程における塗布方式としては、必要とする層厚や塗布面積を実現できる方式であれば特に制限されない。このような塗布方式としては、例えば、グラビアコーター方式、小径グラミアコーター方式、リバースロールコーター方式、トランスファーロールコーター方方式、キスコーター方式、ディップコーター方式、ナイフコーター方式、エアドクターコーター方式、ブレードコーター方式、ロッドコーター方式、スクイズコーター方式、キャストコーター方式、ダイコーター方式、スクリーン印刷方式、スプレー塗布方式等が挙げられる。
前記溶媒を除去する方法としては、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)に機械物性や通気特性を悪化させない方法であれば、特に制限することなく採用することができる。溶媒を除去する方法としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)を固定しながらその融点以下の温度にて乾燥する方法、低温で減圧乾燥する方法、前記樹脂バインダー(b)に対する貧溶媒に浸漬して樹脂バインダー(b)を凝固させると同時に溶媒を抽出する方法等が挙げられる。
(積層多孔フィルムの形状及び物性)
本発明の積層多孔フィルムは、2枚の該積層多孔フィルムの表面同士を熱融着した時のT型剥離強度が30gf/15mm以上であることが重要であり、好ましくは50gf/15mm以上、更に好ましくは100gf/15mm以上である。
前記T型剥離強度が30gf/15mm以上であることによって、本発明の積層多孔フィルムを非水電解液二次電池用セパレータとして使用する場合、ヒートシールによって互いに熱融着させることで、非水電解液二次電池の充放電時の正極や負極の膨張や収縮による非水電解液二次電池用セパレータのずれを十分に抑制することができる。
なお、上限に関しては特に限定しないが、1000gf/15mm以下であることが好ましい。
本発明の積層多孔フィルムの厚みは5〜100μmが好ましい。より好ましくは8〜50μm、更に好ましくは10〜30μmである。本発明の積層多孔フィルムを非水電解液二次電池用セパレータとして使用する場合、厚みが前記範囲内であれば、実質的に必要な電気絶縁性を得ることができ、例えば電極の突起部分に大きな力がかかった場合でも、積層多孔フィルムが破れて短絡するといった問題を生じることが無く、電気抵抗を実使用範囲内とすることができる。
被覆層(II層)の厚みとしては、耐熱性の観点から、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは3μm以上、特に好ましくは4μm以上である。一方で上限としては通気性の観点から、好ましくは90μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは30μm以下、特に好ましくは10μm以下である。
本発明の積層多孔フィルムにおいて、空孔率は30%以上が好ましく、35%以上がより好ましく、40%以上が更に好ましい。空孔率が30%以上であれば、連通性を確保し、通気性に優れた積層多孔フィルムとすることができる。
一方、上限については70%以下が好ましく、65%以下がより好ましく、60%以下が更に好ましい。空孔率が70%以下であれば、積層多孔フィルムの強度が低下しにくく、ハンドリングの観点からも好ましい。なお、本発明の空孔率は実施例に記載の方法で測定している。
本発明の積層多孔フィルムの透気度は2000秒/100ml以下が好ましく、10〜1000秒/100mlがより好ましく、50〜800秒/100mlが更に好ましい。透気度が2000秒/100ml以下であれば、積層多孔フィルムに連通性があることを示し、優れた通気性を示すことができる。
透気度はフィルム厚み方向の空気の抜け難さを表し、具体的には100mlの空気が当該フィルムを通過するのに必要な数で表現されている。そのため数値が小さい方が空気が通り抜け易く、数値が大きい方が通り抜け難いことを意味する。すなわち、その数値が小さい方がフィルムの厚み方向の連通性が良いことを意味する。連通性とは、フィルムの厚み方向の孔のつながり度合いである。本発明の積層多孔フィルムの透気度が低ければ様々な用途に使用することができる。例えば非水電解液二次電池用セパレータとして使用する場合、透気度が低いということはリチウムイオンの移動が容易であることを意味し、電池性能に優れるため好ましい。
本発明の積層多孔フィルムの150℃における収縮率は25%未満が好ましく、15%未満がより好ましく、10%未満であることが更に好ましい。前記150℃における収縮率が25%未満であれば、例えば、非電解液二次電池用セパレータとして使用した場合、異常発熱が発生した際においても寸法安定性に優れ、耐熱性を有することを示唆しており、破膜を防ぎ、内部短絡温度を向上することができる。下限としては特に限定しないが、0%以上がより好ましい。
(電池)
続いて、本発明の積層多孔フィルムを非水電解液二次電池用セパレータとして収容している非水電解液二次電池について説明する。
正極板、負極版の両極は非水電解液二次電池用セパレータを解して互いに重なるようにして配される。
電解液としては、リチウム塩を電解液とし、これを有機溶媒に溶解した電解液が用いられる。有機溶媒としては特に限定されるものではないが、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジメチルカーボネート、プロピオン酸メチル、もしくは酢酸ブチルなどのエステル類、アセトニトリル等のニトリル類、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシメタン、ジペトキシプロパン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、もしくは4−メチル−1,3−ジオキソランなどのエーテル類、またはスルホランなどが挙げられ、これらを単独でまたは二種類以上を混合して用いることができる。
中でも、エチレンカーボネート1質量%に対してメチルエチルカーボネートを2質量%混合した溶媒中に六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1.0mol/Lの割合で溶解した電解質が好ましい。
負極としてはアルカリ金属またはアルカリ金属を含む化合物をステンレス鋼製網などの終電材料と一体化させたものが用いられる。前記アルカリ金属としては、例えばリチウム、ナトリウムまたはカリウムなどが挙げられる。前記アルカリ金属を含む化合物としては、例えばアルカリ金属とアルミニウム、鉛、インジウム、カリウム、カドミウム、スズもしくはマグネシウムなどとの合金、さらにはアルカリ金属と炭素材料との化合物、低電位のアルカリ金属と金属酸化物もしくは硫化物との化合物などが挙げられる。
負極に炭素材料を用いる場合、炭素原料としてはリチウムイオンをドープ、脱ドープできるものであればよく、例えば黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭などを用いることができる。
本実施形態では、負極として、ポリフッ化ビニリデンをN−メチルピロリドンに溶解させた溶液に平均粒径10μmの炭素材料を混合してスラリーとし、この負極合剤スラリーを70メッシュの網を通過させて大きな粒子を取り除いた後、厚み18μmの帯状の銅箔からなる負極集電体の両面に均一に塗布して乾燥させ、その後、ロールプレス機により圧縮成形した後、切断したものを用いている。
正極としては、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、二酸化マンガン、五酸化バナジウム若しくはクロム酸化物などの金属酸化物、二硫化森ブテンなどの金属硫化物などが活物質として用いられ、これらの正極活物質に導電助剤やポリテトラフルオロエチレンなどの結着剤などを適宜添加した合剤を、ステンレス鋼製網などの集電材料を芯材として成形体に仕上げたものが用いられる。
本実施形態では、正極としては、下記のようにして作製される正極板を用いている。すなわち、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)に導電助剤としてリン状黒鉛を(リチウムコバルト酸化物:リン状黒鉛)の質量比95:5で加えて混合し、この混合物と、ポリフッ化ビニリデンをN−メチルピロリドンに溶解させた溶液とを混合してスラリーにする。この正極合剤スラリーを70メッシュの網を通過させて大きな粒子を取り除いた後、厚み20μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に均一に塗布して乾燥し、その後ロールプレス機により圧縮成形した後、切断し正極板としている。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の積層多孔フィルムについて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、積層多孔フィルムの長手方向を「縦方向」、長手方向に対して垂直方向を「横方向」と称する。
(1)フィラー(a)の含有率
分散液中のフィラー(a)と樹脂バインダー(b)の総量に占めるフィラー(a)の質量割合をフィラー(a)の含有率とした。
(2)厚み
1/1000mmのダイヤルゲージにて、面内においてポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)上に被覆層(II層)が形成されている領域(被覆領域)を不特定に30箇所測定し、その平均値を積層多孔フィルムの厚みとした
(3)透気度(ガーレー値)
JIS P8117に準拠して透気度(秒/100ml)を測定した。
(4)150℃における収縮率
積層多孔フィルムを150×10mm四方に切り出したサンプルをチャック間100mmとなるように印をいれ、150℃に設定したオーブン(タバイエスペック社製、タバイギヤオーブンGPH200)に該サンプルを入れ、1時間静置した。該サンプルをオーブンから取り出し冷却した後、長さを測定し、以下の式にて積層多孔フィルムの縦方向、横方向の収縮率をそれぞれ算出した。
収縮率(%)=[(100−加熱後の長さ)/100]×100
(5)耐熱性
耐熱性は、以下の評価基準において評価した。
○:150℃における収縮率が、縦方向および横方向で15%未満であり、耐熱性が十分である。
△:150℃における収縮率が、縦方向もしくは横方向で15%以上25%未満であり、耐熱性は実用範囲内である。
×:150℃における収縮率が、縦方向若しくは横方向で25%以上であり、実用上耐熱性に問題がある。
(6)T型剥離強度
T型剥離強度については、JIS K6854−3に準拠して、測定された最大応力をT型剥離強度とした。具体的には、融着した2枚のフィルムを幅15mmに切り出し、融着部が中央になるよう、非融着部を引張試験機(インテスコ社製、インテスコIM−20ST)の上下のチャックに固定し、引張速度300mm/分で測定した(図3)。測定後、得られた最大応力をT型剥離強度とした。
(7)示差走査型熱量測定(DSC)
得られた積層多孔フィルムをパーキンエルマー社製の示差走査型熱量計(DSC−7)を用いて、25〜240℃まで走査速度10℃/分で昇温後1分間保持し、次に240〜25℃まで走査速度10℃/分で降温後1分間保持し、次に25〜240℃まで走査速度10℃/分で再昇温させた。その再昇温後にポリプロピレン系樹脂のβ晶に由来する結晶融解ピーク温度(Tmβ)である145〜160℃にピークが検出されるか否かによりβ晶活性の有無を以下の基準にて評価した。
○:Tmβが145〜160℃の範囲内に検出された場合(β晶活性あり)
×:Tmβが145〜160℃の範囲内に検出されなかった場合(β晶活性無し)
なお、β晶活性の測定は、試料量10mgで、窒素雰囲気下にて行った。
(8)広角X線回折測定(XRD)
積層多孔フィルムを縦60mm×横60mm角に切り出し、図2(A)に示すように、中央部が40mmφの円状に穴の空いたアルミ板(材質:JIS A5052、サイズ:縦60mm、横60mm、厚み1mm)2枚の間に挟み、周囲四方をクリップで固定した。
積層多孔フィルムをアルミ板2枚に拘束した状態のサンプルを測定温度180度、表示温度180℃である送風定温恒温器(ヤマト科学株式会社製、型式:DKN602)に入れ3分間保持した後、設定温度を100℃に変更し、10分以上の温度を掛けて100℃まで徐冷を行った。表示温度が100℃になった時点でサンプルを取り出し、アルミ板2枚で拘束した状態のまま25℃の雰囲気下で5分間冷却してサンプルを得た。得られたサンプルについて、以下の測定条件下で、中央部の40mmφの円状の部分について広角X線回折測定を行った。
・装置:マックサイエンス社製、型番:XMP18A
・X線源:CuKα線、出力:40lV、200mA
・走査方法:2θ/θスキャン、2θ範囲:5〜25°
・走査間隔:0.05°
・走査速度:5°/分
得られた回折プロファイルについて、ポリプロピレン系樹脂のβ晶の(300)面に由来するピークより、β晶活性の有無を以下のように評価した。
○:ピークが2θ=16.0〜16.5°の範囲に検出された場合(β晶活性あり)
×:ピークが2θ=16.0〜16.5°の範囲に検出されなかった場合(β晶活性なし)
なお、積層多孔フィルム片が60mm×60mm角に切り出せない場合は、中央部に40mmφの円状の穴に積層多孔フィルムが設置されるように調整し、サンプルを作製しても構わない。
[製造例1]
(ポリオレフィン系樹脂フィルム(I層))
ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ製、ノバテックPP FY6HA、MFR:2.4g/10分)とβ晶核剤として、3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンを準備した。この試料のポリプロピレン系樹脂100質量%に対して、β晶核剤を0.1質量%の割合で各原料系をドライブレンドし、東芝機械社製の同方向2軸押出機(口径:400mmφ、L/D:32)に投入し、設定温度300℃で溶融混合後、水槽にてストランドを冷却固化し、ペレタイザーにてストランドをカットし、ポリプロピレン系樹脂のペレットを作製した。ポリプロピレン系樹脂組成物のβ晶活性度は80%であった。
前記ポリプロピレン系樹脂のペレットを用いて幅450mmのTダイより押出温度200℃で押出し、127℃のキャスティングロールで冷却固化させて無孔膜状物を作製した。前記無孔膜状物を縦延伸機を用いて105℃で縦方向に4.6倍延伸し、片面にコロナ処理を施した。その後横延伸機にて150℃で延伸速度1100%/分の条件で横方向に2.1倍延伸後、153℃で熱固定を行い、その後スリットすることで、幅350mm、厚みが20μmとなるポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層−a)を得た。
[製造例2]
(ポリオレフィン系樹脂フィルム(I層))
A層として、ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製、プライムポリプロ F300SV、密度:0.90g/cm、MFR:3.0g/10分)と、β晶核剤として、3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンを準備した。このポリプロピレン系樹脂100質量%に対して、β晶核剤を0.2質量%の割合で各原料をドライブレンドし、東芝機械株式会社製の同方向二軸押出機(口径:40mmφ、L/D:32)に投入し、設定温度300℃で溶融混練後、水槽にてストランドを冷却固化し、ペレタイザーにてストランドをカットし、ポリプロピレン系樹脂のペレットを作製した。
次に、B層を構成する樹脂組成物として、高密度ポリエチレン(日本ポリエチ社製、ノバテックHF560、MFR:7.0g/10分)100質量%に、グリセリンモノエステルを0.04質量%、及びマイクロスタリンワックス(日本精蝋社製、Hi−Mic1080)10質量%を加え、東芝機械株式会社製の同方向二軸押出機(口径:40mmφ、L/D:32)を用いて220℃にて溶融混練してペレット状に加工した樹脂組成物を得た。
前記2種類の原料を用いて、外層がA層、中間層がB層となるように別々の押出機を用いて、2種3層のフィードブロックを通じて積層成形用のTダイ口金より押出し、124℃のキャスティングロールで冷却固化させて、A層/B層/A層とした2種3層の無孔膜状物を得た。
前記無孔膜状物を縦延伸機を用いて縦方向に4.6倍延伸し、コロナ処理を施した。その後、横延伸機にて100℃で横方向に2倍延伸後、熱固定/弛緩処理を行うことでポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)(I層−bと略する場合がある)を得た。
[実施例1]
フィラー(a)として日本軽金属社製アルミナ LC−235C(平均粒径:0.5μm)19.7質量%、樹脂バインダー(b)としてクラレ社製ポリビニルアルコール PVA124(鹸化度:98.0〜99.0%、平均重合度:2400)0.3質量%を純水80.0%質量%にサーモジナイザーを用いて分散させた。この時、分散液中の固形分の含有率は、分散液100質量%に対し20質量%であった。
得られた分散液を、製造例1によって作製した前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層−a)に目付量#20のバーコーターを用いて片面に塗布面積割合が100%となるように塗布した後、温度60℃で2分間乾燥させ、厚みが5μmとなる被覆層(II層)(以下II層−aと略する場合がある)を片面に形成し積層多孔フィルムを得た。
得られた積層多孔フィルムを、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層−a)が表面となる面と、被覆層(II層−a)が表面となる面で重ね合わせ、それらを厚さ100μmのPTFEフィルムの間に挟み込み、温度180℃、圧力2.5kg/cm、圧着時間3秒の条件下にてヒートシール幅が15mmとなるように熱圧着を実施した。フィルムの評価結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1と同様の分散液を用い、目付量#20のバーコーターを用いてポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層−a)の片面中央に塗布面積割合が90%となるようにバーコーターの幅とフィルムの幅を調整し塗布したこと以外は実施例1と同様の方法で被覆層(II層)(以下II層−bと略する場合がある)を片面に形成し積層多孔フィルムを得た。得られた積層多孔フィルムをポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層−a)が表面となる面と、被覆層(II層−b)が表面となる面で重ね合わせ、実施例1と同様の方法で熱圧着を実施した。フィルムの評価結果を表1に示す。
[実施例3]
ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを“I層−b”に変更した以外は実施例1と同様の方法で積層多孔フィルムを得た。得られた積層多孔フィルムをポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層−b)が表面となる面と、被覆層(II層−a)が表面となる面で重ね合わせ、温度180℃、圧力2.5kg/cm、圧着時間3秒の条件下にてヒートシール幅が15mmとなるように熱圧着を実施した。フィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 0005885104
表1より明らかであるように、実施例1〜3に記載の本発明の積層多孔フィルムは、優れた熱融着性と耐熱性を有し、透気性能とβ晶活性も十分であった。
10 非水電解液二次電池用セパレータ
20 非水電解液二次電池
21 正極板
22 負極板
24 正極リード体
25 負極リード体
26 ガスケット
27 正極蓋
31 アルミ板
32 サンプル
33 クリップ
34 フィルム縦方向
35 フィルム横方向
41 上部チャック
42 サンプル(非溶着部)
43 サンプル(溶着部)
44 下部チャック

Claims (9)

  1. ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム(I層)の少なくとも片面に、フィラー(a)および樹脂バインダー(b)を含有する被覆層(II層)を有する積層多孔フィルムであって、該II層側表面が被覆領域と非被覆領域とを有し、かつ、該非被覆領域が積層多孔フィルムの長手方向における端部に存在し、2枚の該積層多孔フィルムの表面同士を熱融着した時のT型剥離強度が30gf/15mm以上であることを特徴とする積層多孔フィルム。
  2. 2枚の積層多孔フィルムのうち、一方の前記I層側表面と、他方の前記II層側表面を熱融着した時のT型剥離強度が30gf/15mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層多孔フィルム。
  3. 2枚の積層多孔フィルムのうち、一方の前記II層側表面と、他方の前記II層側表面を熱融着した時のT型剥離強度が30gf/15mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層多孔フィルム。
  4. 前記II層側表面において被覆領域の占める割合が、前記I層の全表面積に対して85〜99%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層多孔フィルム。
  5. 前記I層にポリプロピレン系樹脂が含まれていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の積層多孔フィルム。
  6. 前記I層がβ晶活性を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の積層多孔フィルム。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の積層多孔フィルムを用いた非水電解液二次電池用セパレータ。
  8. 請求項に記載の非水電解液二次電池用セパレータを用いた非水電解液二次電池。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層多孔フィルムの製造方法であって、前記II層側表面の被覆領域に該当する前記I層の表面の領域のみに表面処理を施した後、前記II層を積層ることを特徴とする製造方法
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