JP2015201309A - 非水蓄電デバイス用電解液及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】電解液の正極への浸透性を高め、広い電圧領域で作動し、高いサイクル寿命を有し、ガスの発生が少ないリチウムイオン二次電池、及び、その電解液の提供。
【解決手段】非水溶媒;リチウム塩;P及び/又はBを有するプロトン酸、スルホン酸、及びカルボン酸から選ばれる酸のHの少なくとも1つが式(1)で表される置換基で置換された化合物(A);並びに非イオン性界面活性剤(B);を含有する非水蓄電デバイス用電解液であり、該非イオン性界面活性剤(B)の含有量は、該電解液の質量に対して、100ー2000ppm。
Figure 2015201309

{R〜Rは各々独立に、置換されていてもよいC1〜10の有機基}
【選択図】図1

Description

本発明は、非水蓄電デバイス用電解液及び該電解液を用いたリチウムイオン二次電池に関する。
近年の電子技術の発展又は環境技術への関心の高まりに伴い、様々な電気化学デバイスが用いられている。特に、省エネルギー化への要請が多くあり、それに貢献できるものへの期待はますます高くなっている。蓄電デバイスの例として、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池、カルシウムイオン二次電池及びリチウムイオンキャパシタ等が注目されている。中でも、蓄電デバイスの代表例であるリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高い二次電池であることから、従来、主として携帯機器用充電池として使用されている。また、最近ではハイブリッド自動車及び電気自動車用電池としての使用、定置用蓄電池としての使用なども開始されており、市場又は用途の更なる拡大が期待されている。
リチウムイオン二次電池を自動車用途等で使用するためにより一層高いエネルギー密度が求められている。高いエネルギー密度を達成するために、電池の高電圧化が有効な手段として検討されている。電池の高電圧化を達成するためには、高電位で作動する正極を用いる必要がある。このような正極として、例えば、4.4V(vsLi/Li)以上で作動する種々の正極活物質が提案されている(例えば、以下の特許文献1参照)。なお、(vsLi/Li)はリチウム基準の電位を示す。
ところが、満充電時の正極電位が4.25Vを上回る高電位で作動する正極活物質を含有する正極を備えたリチウムイオン二次電池(以下、「高電圧リチウムイオン二次電池」ともいう)においては、一般にリチウムイオン二次電池用電解液に含まれるカーボネート系溶媒が正極表面にて酸化分解し、電池のサイクル寿命が低下し、かつ、電池各部にガスが発生するという問題が生じることが分かってきた。そのため、従来の電解液を高電圧リチウムイオン二次電池で使用することは難しく、正極上での酸化分解が抑制された新たな電解液が望まれている。
従来、電池のサイクル寿命を改善する方法として、電解液に、ビニレンカーボネート等の不飽和環状カーボネート、フルオロエチレンカーボネート等のフッ素化環状カーボネート、又はエチレンサルファイト等の硫黄含有化合物を添加する方法などが提案されていた。これらの添加剤は、主に満充電時の電圧が4.2V以下の電池に使用され、当該電位の電池においては高い効果を示している(例えば、以下の特許文献2及び3参照)。
また、特許文献4では、非水電解液中に、特定のリン酸エステル化合物を含有させることで、正極側での非水電解液の分解を抑制させる方法が提案されている。具体的には、トリス(2−プロペニル)ホスフェートを非水電解液に対して5質量%添加することで、非水電解液の耐酸化性向上を図っている。
また、特許文献5では、非水電解液中に、特定の不飽和リン酸エステル化合物を含有させることで、リチウムイオン二次電池の高温サイクル特性を向上させる方法が提案されている。具体的には、トリス(2−プロピニル)ホスフェートを非水電解液に対して1質量%添加することで、高温サイクル特性が向上すると記載されている。
しかしながら、特許文献4に開示されているトリス(2−プロペニル)ホスフェートを5質量%添加した非水電解液、及び特許文献5に開示されているトリス(2−プロピニル)ホスフェートを1質量%添加した非水電解液は、いずれも、従来よりも高い正極電位を有するリチウムイオン二次電池に用いた場合において、ガス発生を抑制し、サイクル特性を向上させる効果が十分とはいえない。
また、最近では、種々の高電圧リチウムイオン二次電池用電解液の開発も行われている。中でも、以下の特許文献6に開示されている技術は、特定のケイ素化合物を添加すると、電池の満充電時の正極電位を4.95Vにしても、リチウムの吸蔵・放出を行うことができ、電池のサイクル寿命が改善するものであり、非常に有用である。しかしながら、当該ケイ素化合物を用いても、高電圧リチウムイオン二次電池用電解液を実用化するためには未だ改善の余地があった。
この一つの原因として、特許文献6に開示されている特定のケイ素化合物を添加した電解液は、電池中の正極、負極およびセパレータとの親和性が低く、各部材内、とりわけ正極内部に、当該電解液の成分が充分に浸透できない点が挙げられる。
電解液と正極、負極又はセパレータとの親和性を高める技術として、界面活性剤を用いることが知られている。このような界面活性剤の中で、非イオン性界面活性剤を用いた技術も提案されている(例えば特許文献7及び8)。しかし、これらの非イオン性界面活性剤を含む技術において、正極、負極およびセパレータ内、とりわけ正極内部への、電解液中の添加剤成分の浸透性を向上させるような技術は示されていない。
特表2000−515672号公報 特開2000−123867号公報 特開2006−004878号公報 特開2006−221972号公報 特開2011−77029号公報 国際公開第2012/170688号公報 特開2001−118578号公報 特開2004−186035号公報
上記の通り、正極電位が4.25V(vsLi/Li)を上回る高電位かつ広範な電圧領域で作動する正極活物質を含有する正極を備えた高電圧リチウムイオン二次電池が強く望まれているが、かかる高電圧領域で作動した際のサイクル寿命の低下、及びガスの発生に対する解決策は未だ提供されていない。
かかる技術の現状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、電解液の正極への浸透性を高め、広い電圧領域で作動し、高いサイクル寿命を有し、かつ、ガスの発生が少ないリチウムイオン二次電池などの非水蓄電デバイス、及び、そのような非水蓄電デバイス用電解液を提供することである。
本発明者は、上記課題を達成すべく鋭意検討し、実験を重ねた結果、非水溶媒と、リチウム塩と、特定の構造を有する化合物(A)と、非イオン性界面活性剤(B)を含有する非水蓄電デバイス用電解液を用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1] 非水溶媒;
リチウム塩;
リン原子及び/又はホウ素原子を有するプロトン酸、スルホン酸、及びカルボン酸から成る群より選ばれる酸の水素原子の少なくとも1つが下記式(1):
Figure 2015201309
{式中、R、R、及びRは、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の有機基を示す。}で表される置換基で置換された化合物(A);並びに
非イオン性界面活性剤(B);
を含有する非水蓄電デバイス用電解液であり、前記非イオン性界面活性剤(B)の含有量は、前記非水蓄電デバイス用電解液の質量に対して、100ppm以上2000ppm以下である、前記非水蓄電デバイス用電解液。
[2] 前記化合物(A)として、下記式(2):
Figure 2015201309
{式中、Mは、リン原子又はホウ素原子を示し、Mがリン原子のとき、wは0又は1であり、Mがホウ素原子のときwは0であり、R、R、及びRは、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の有機基を示し、そしてR及びRは、各々独立に、OH基、OLi基、置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数3〜10のシロキシ基、炭素数6〜15のアリール基、及び炭素数6〜15のアリールオキシ基から成る群より選ばれる基を示す。}で表される化合物、及び/又は下記式(3):
Figure 2015201309
{式中、R、R、及びRは、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の有機基を示し、そしてRは、置換されていてもよい炭素数1〜20の有機基を示す。}で表される化合物を含む、[1]に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
[3] 前記非イオン性界面活性剤(B)が、エーテル結合を有する化合物である、[1]又は[2]に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
[4] 前記非イオン性界面活性剤(B)が、下記一般式(4):
11−(OR12−R13−R14 (4)
{式中、nは、0又は正の整数であり、R11は、水素(H)及び/又は炭素(C)から成る基であり、R12は、水素(H)及び炭素(C)から成る基であり、R13は、R12側に結合する基であって酸素(O)、NH又はエステル結合(OCO)のいずれかであり、R14は、水素(H)ではなく水素(H)及び炭素(C)から成る基である}
で表される非イオン性界面活性剤を含む、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
[5] 前記一般式(4)におけるR11が水素である、[4]に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
[6] 前記一般式(4)における整数nが2以上60以下である、[4]又は[5]に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
[7] 前記一般式(4)におけるR14の炭素数が8以上である、[4]〜[6]のいずれか一項に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
[8] 前記一般式(4)におけるR12が、−CHCH−である、[4]〜[7]のいずれか一項に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
[9] 前記化合物(A)の含有量が、前記非水蓄電デバイス用電解液100質量%に対して、0.01質量%以上10質量%以下である、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
[10] ジフルオロリン酸リチウム及びモノフルオロリン酸リチウムから成る群より選ばれる1種以上をさらに含む、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
[11] 正極活物質を含有する正極と、
負極活物質を含有する負極と、
[1]〜[10]のいずれか一項に記載の非水蓄電デバイス用電解液と、
を備える、リチウムイオン二次電池。
[12] 前記正極活物質は、4.4V(vsLi/Li)以上の電位において10mAh/g以上の放電容量を有する、[11]に記載のリチウムイオン二次電池。
[13] 前記正極活物質は、下記式(6):
LiMn2−xMa (6)
{式中、Maは、遷移金属から成る群より選ばれる1種以上を示し、そしてxは、0.2≦x≦0.7である。}で表される酸化物、
下記式(7):
LiMn1−uMe (7)
{式中、Meは、Mnを除く遷移金属から成る群より選ばれる1種以上を示し、そしてuは、0≦u≦0.9である。}で表される酸化物、
下記式(8):
zLiMcO3−(1−z)LiMdO (8)
{式中、Mc及びMdは、各々独立に、遷移金属から成る群より選ばれる1種以上を示し、そしてzは、0.1≦z≦0.9である。}で表される複合酸化物、
下記式(9):
LiMb1−yFePO (9)
{式中、Mbは、遷移金属から成る群より選ばれる1種以上を示し、そしてyは、0≦y≦1.0である。}で表される化合物、及び
下記式(10):
LiMfPOF (10)
{式中、Mfは、遷移金属から成る群より選ばれる1種以上を示す。}で表される化合物から成る群より選ばれる1種以上である、[11]又は[12]に記載のリチウムイオン二次電池。
[14] 満充電時におけるリチウム基準の正極電位が、4.4V(vsLi/Li)以上である、[11]〜[13]のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
[15] 満充電時におけるリチウム基準の正極電位が、4.5V(vsLi/Li)以上である、[11]〜[14]のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
本発明によれば、高電圧かつ広範囲な電圧領域で、顕著な高いサイクル寿命を有し、かつ、ガスの発生が少ないリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本実施形態におけるリチウムイオン二次電池の一例を概略的に示す断面図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。なお、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
[非水蓄電デバイス用電解液]
本実施形態に係る非水蓄電デバイス用電解液(以下、単に「電解液」ともいう。)は、非水溶媒;リチウム塩;リン原子及び/又はホウ素原子を有するプロトン酸、スルホン酸、及びカルボン酸から成る群より選ばれる酸の水素原子の少なくとも1つが下記式(1):
Figure 2015201309
{式中、R、R、及びRは、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の有機基を示す。}で表される置換基で置換された化合物(A);並びに非イオン性界面活性剤(B)を含有する。
特定の構造を有する化合物(A)および非イオン性界面活性剤(B)を含有する電解液を用いることで、高電圧領域においても顕著な高いサイクル寿命を有し、かつガス発生の少ないリチウムイオン二次電池を提供することができる。
〔非水溶媒〕
本実施形態に係る電解液は、非水溶媒を含有する。非水溶媒としては、特に限定されないが、例えば、非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。非プロトン性極性溶媒としては、特に限定されないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン;スルホランなどの環状スルホン;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル;エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルトリフルオロエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;アセトニトリルなどのニトリル;ジメチルエーテルなどの鎖状エーテル;プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの鎖状カルボン酸エステル;ジメトキシエタンなどの鎖状ジエーテルが挙げられる。
(カーボネート)
非水溶媒としては、特に限定されないが、例えば、環状カーボネート、鎖状カーボネートなどのカーボネート系溶媒を用いることがより好ましい。また、カーボネート系溶媒として、環状カーボネートと鎖状カーボネートを組合せて用いることがさらに好ましい。このようなカーボネートを含むことにより、電解液のイオン伝導性により優れる傾向にある。
(環状カーボネート)
環状カーボネートとしては、特に限定されないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、上記環状カーボネートの一つ以上の水素原子をフッ素原子で置換したフッ素化環状カーボネート等が挙げられる。これらのなかでも、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートから成る群より選ばれる1種以上が好ましい。このような環状カーボネートを含むことにより、電解液のイオン伝導性により優れる傾向にある。
(鎖状カーボネート)
鎖状カーボネートとしては、特に限定されないが、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネート、上記鎖状カーボネートの一つ以上の水素原子をフッ素原子で置換したフッ素化鎖状カーボネートから成る群より選ばれる1種以上が好ましい。このような鎖状カーボネートを含むことにより、電解液のイオン伝導性により優れる傾向にある。
カーボネート系溶媒として、環状カーボネートと鎖状カーボネートを組合せて含む場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合比は、体積比(環状カーボネートの体積:鎖状カーボネートの体積)で、1:10〜5:1が好ましく、1:5〜3:1がより好ましく、1:5〜1:1がさらに好ましい。混合比が上記範囲内であることにより、リチウムイオン二次電池のイオン伝導性により優れる傾向にある。
カーボネート系溶媒を用いる場合、必要に応じて、アセトニトリル、スルホラン等の別の非水溶媒を電解液にさらに添加することができる。このような別の非水溶媒を用いることにより、リチウムイオン二次電池のイオン伝導性又はサイクル寿命がより改善する傾向にある。
上記で説明された非水溶媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
〔リチウム塩〕
本実施形態に係る電解液は、リチウム塩を含む。リチウム塩は、電解液のイオン伝導性を担う電解質としての機能を有しているものであれば、特に限定されない。なお、後述する添加剤としてのジフルオロリン酸リチウム又はモノフルオロリン酸リチウムは、リチウム塩には含まれないものとする。リチウム塩は正極又は負極、或いは両方に作用することにより電解液の酸化分解を抑制する機能を有していてもよい。
リチウム塩の電解液中の含有量は、電解液100質量%に対して、1質量%以上40質量%以下が好ましく、5質量%以上35質量%以下がより好ましく、7質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。リチウム塩の電解液中の含有量が1質量%以上であることにより、リチウムイオン二次電池のイオン伝導性により優れる傾向にある。また、リチウム塩の電解液中の含有量が40質量%以下であることにより、リチウム塩の低温における溶解性がより向上する傾向にある。これらのリチウム塩の電解液中の含有量は、11B−NMR、19F−NMR、31P−NMRなどのNMR測定により確認することができる。
リチウム塩の構造としては、特に限定されないが、例えば、LiPF、LiBF、LiB(C、LiBF(C)、LiClO、LiAsF、LiSiF、LiOSO2k+1〔kは1〜8の整数〕、LiN(SO2k+1〔kは1〜8の整数〕、LiPF(C2k+16−n[nは1〜5の整数、kは1〜8の整数〕、LiPF(C)、LiPF(Cが好ましく、LiPF、LiBF、LiB(C、LiOSO2k+1〔kは1〜8の整数〕、LiN(SO2k+1〔kは1〜8の整数〕、LiPF(C2k+16−n[nは1〜5の整数、kは1〜8の整数〕、LiPF(C)、LiPF(Cがより好ましく、LiPF、LiBF、LiB(Cがさらに好ましく、LiPFが最も好ましい。このようなリチウム塩を用いることにより、リチウムイオン二次電池のイオン伝導性により優れる傾向にある。
リチウム塩は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
〔化合物(A)〕
本実施形態に係る電解液は、リン原子及び/又はホウ素原子を有するプロトン酸、スルホン酸、及びカルボン酸から成る群より選ばれる酸の水素原子の少なくとも1つが下記式(1):
Figure 2015201309
{式中、R、R、及びRは、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の有機基を示す。}で表される置換基で置換された化合物(A)を含有する。
電解液において化合物(A)と非イオン性界面活性剤(B)を併用すると、正極及び/又は負極でそれらが酸化及び/又は還元分解されて、両極に緻密な皮膜を形成し、サイクル寿命特性の改善又はガス発生を抑制し得る点で優れる。
リン原子を有するプロトン酸としては、分子内にリン原子を有し、かつプロトンとして解離し得る水素原子を有する化合物であれば特に限定されない。リン原子を有するプロトン酸は、分子内にフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、又はアルコキシ基、アルキル基等の有機基だけでなく、Si、B、O、N等の異種原子を含有していてもよい。また、リン原子を有するプロトン酸は、ポリリン酸のように分子内にリン原子を複数個含有していてもよい。このようなリン原子を有するプロトン酸としては、特に限定されないが、例えば、リン酸、亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、ホスホン酸が好ましい。これらのなかでも、リン酸、亜リン酸、又はホスホン酸がより好ましい。このような化合物(A)を用いることにより、化学的安定性により優れる傾向にある。これらのプロトン酸は置換されていてもよい。
ホウ素原子を有するプロトン酸としては、分子内にホウ素原子を有し、かつプロトンとして解離し得る水素原子を有する化合物であれば特に限定されない。ホウ素原子を有するプロトン酸は、分子内にフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、又はアルコキシ基、アルキル基等の有機基だけでなく、Si、P、O、N等の異種原子を含有していてもよい。また、ホウ素原子を有するプロトン酸は、分子内にホウ素原子を複数個含有していてもよい。このようなホウ素原子を有するプロトン酸としては、特に限定されないが、例えば、ホウ酸、ボロン酸、又はボリン酸が挙げられる。これらのプロトン酸は置換されていてもよい。
スルホン酸としては、分子内に−SOH基(スルホン酸基)を有する化合物であれば特に限定されず、分子内に複数個のスルホン酸基を有していてもよい。また、本実施形態においては、スルホン酸には硫酸(HOSOH)が含まれる。スルホン酸としては、特に限定されないが、例えば、メチルスルホン酸、エチルスルホン酸、プロピルスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、トリフルオロメチルスルホン酸、フェニルスルホン酸、ベンジルスルホン酸、硫酸などを好ましく挙げることができる。
カルボン酸としては、分子内にCOH基(カルボン酸基)を有する化合物であれば特に限定されず、分子内に複数個のカルボン酸基を有していてもよい。カルボン酸としては特に限定されないが、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、及びイタコン酸が挙げられる。これらのなかでも、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、及びイタコン酸などのジカルボン酸が好ましく、アジピン酸、イタコン酸、コハク酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸がより好ましい。
上記式(1)において、R、R、及びRは、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1から10の有機基を示す。
置換されていてもよい炭素数1から10の有機基としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族炭化水素基、フェニル基などの芳香族炭化水素基、及び炭化水素基中の水素原子がフッ素原子に置換されたトリフルオロメチル基などのフッ素置換炭化水素基が挙げられる。尚、炭化水素基は、必要に応じて、官能基を有していてもよい。このような官能基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、及びニトリル基(−CN)、エーテル基(−O−)、カーボネート基(−OCO−)、エステル基(−CO−)、カルボニル基(−CO−)スルフィド基(−S−)、スルホキシド基(−SO−)、スルホン基(−SO−)、ウレタン基(−NHCO−)等が挙げられる。
、R、及びRの好ましい例としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、1−メチルビニル基、プロピル基、ブチル基、フルオロメチル基などの脂肪族炭化水素基;ベンジル基、フェニル基、ニトリル置換フェニル基、フルオロ化フェニル基などの芳香族炭化水素基が挙げられる。これらのなかでも、化学的安定性の観点から、メチル基、エチル基、ビニル基、1−メチルビニル基、又はフルオロメチル基がより好ましい。また、R、R、及びRの内の2つが互いに結合して環を形成していてもよい。環を形成するためには、例えば、R、R、及びRの2つは、置換又は無置換の飽和又は不飽和のアルキレン基で置換されることができる。
、R、及びRの炭素数は、1〜10であり、1〜8がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。炭素数が上記範囲内であることにより、非水溶媒との混和性により優れる傾向にある。
上記式(1)で表される置換基としては、特に限定されないが、例えば、−Si(CH、−Si(C、−Si(CHCH、−Si(CHCHCH、又は−Si(CFが好ましく、−Si(CHがより好ましい。式(1)で表される置換基が、このような構造を有することにより、リチウムイオン二次電池中での化学的耐久性がより向上する傾向にある。
リン原子及び/又はホウ素原子を有するプロトン酸、スルホン酸、カルボン酸から成る群より選ばれる酸が水素原子を複数個有している場合には、少なくとも1つの水素原子が上記式(1)で表される置換基で置換されていればよい。また、置換されていない残りの水素原子は、そのまま存在していてもよく、又は上記式(1)で表される置換基以外の官能基で置換されていてもよい。そのような官能基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン置換又は無置換の飽和又は不飽和の炭素数1〜20の炭化水素基を好ましく挙げることができる。ハロゲン置換又は無置換の、飽和又は不飽和の炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基、ビニル基等が挙げられる。また、2つの水素原子の置換基が結合して環を形成していてもよい。環を形成するためには、例えば、2つの水素原子の置換基が、置換又は無置換で飽和又は不飽和のアルキレン基で置換されることができる。
化合物(A)としては、特に限定されないが、例えば、下記式(2):
Figure 2015201309
{式中、Mは、リン原子又はホウ素原子を示し、Mがリン原子のとき、wは0又は1であり、Mがホウ素原子のときwは0であり、R、R、及びRは、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の有機基を示し、そしてR及びRは、各々独立に、OH基、OLi基、置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数3〜10のシロキシ基、炭素数6〜15のアリール基、及び炭素数6〜15のアリールオキシ基から成る群より選ばれる基を示す。}で表される化合物、及び/又は下記式(3):
Figure 2015201309
{式中、R、R、及びRは、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の有機基を示し、そしてRは、置換されていてもよい炭素数1〜20の有機基を示す。}で表される化合物が好ましい。
上記式(2)において、MがB原子でwが0のとき、化合物(A)は、ホウ酸構造となり、MがP原子でwが0のとき、化合物(A)は亜リン酸構造となり、MがP原子でwが1のとき化合物(A)はリン酸構造となる。化合物(A)を含有する電解液の安定性の観点から、MがP原子となる下記式(12):
Figure 2015201309
{式中、R、R、及びRは、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の有機基を示し、R及びRは、各々独立に、OH基、OLi基、置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数3〜10のシロキシ基、炭素数6〜15のアリール基、及び炭素数6〜15のアリールオキシ基から成る群より選ばれる基を示す。}で表される化合物がより好ましい。
上記式(2)のR又はRについて、置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル基は、炭素原子が直接M原子に結合した構造を示すものである。アルキル基としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族基、水素原子の少なくとも一部がフッ素原子に置換されたトリフルオロメチル基などのフッ素置換炭化水素基が挙げられる。アルキル基は、必要に応じて、種々の官能基で置換されていてもよい。このような官能基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、又はニトリル基(−CN)、エーテル基(−O−)、カーボネート基(−OCO−)、エステル基(−CO−)、カルボニル基(−CO−)スルフィド基(−S−)、スルホキシド基(−SO−)、スルホン基(−SO−)、ウレタン基(−NHCO−)、フェニル基、ベンジル基等の芳香族基が挙げられる。
及びRで表されるアルキル基の好ましい例としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、アリル基(allyl)、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、及びフルオロヘキシル基などの脂肪族アルキル基が挙げられる。これらのなかでも、化学的安定性の観点から、メチル基、エチル基、アリル基(allyl)、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、又はフルオロヘキシル基がより好ましい。
及びRで表されるアルキル基の炭素数は、1以上10以下であり、2以上10以下が好ましく、3以上8以下がより好ましい。炭素数が1以上であることにより、電池性能がより向上する傾向にある。また、炭素数が10以下であることにより、電解液との親和性がより向上する傾向にある。
上記式(2)のR又はRについて、置換されてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基は、炭素原子が酸素原子を介してM原子に結合した構造を示すものである。アルコキシ基としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族基を有するアルコキシ基、アルコキシ基中の水素原子がフッ素置換されたトリフルオロエチルオキシ基又はヘキサフルオロイソプロポキシ基などのフッ素置換アルコキシ基が挙げられる。アルコキシ基は、必要に応じて、種々の官能基で置換されていてもよい。このような官能基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、又はニトリル基(−CN)、エーテル基(−O−)、カーボネート基(−OCO−)、エステル基(−CO−)、カルボニル基(−CO−)スルフィド基(−S−)、スルホキシド基(−SO−)、スルホン基(−SO−)、ウレタン基(−NHCO−)、フェニル基及びベンジル基等の芳香族基が挙げられる。
及びRで表されるアルコキシ基の好ましい例としては、特に限定されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ビニロキシ基、アリロキシ基(allyloxy)、プロポキシ基、ブトキシ基、シアノヒドロキシ基、フルオロエトキシ基、フルオロプロポキシ基などの脂肪族アルコキシ基が挙げられる。これらのなかでも、化学的安定性の観点から、メトキシ基、エトキシ基、ビニロキシ基、アリロキシ基(allyloxy)、プロポキシ基、ブトキシ基、シアノヒドロキシ基、フルオロエトキシ基、又はフルオロプロポキシ基がより好ましい。
及びRで表されるアルコキシ基の炭素数は、1〜10であり、1以上8以下が好ましく、2以上8以下がより好ましい。炭素数が1以上であることにより、電池性能がより向上する傾向にある。また、炭素数が10以下であることにより、電解液との親和性がより向上する傾向にある。
上記式(2)のR又はRについて、炭素数3〜10のシロキシ基は、ケイ素原子が酸素原子を介してM原子に結合した構造を示すものである。シロキシ基は、Si−O−Si−などのシロキサン構造を含んでいてもよい。シロキシ基としては、特に限定されないが、例えば、化学的安定性の観点から、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、ジメチルエチルシロキシ基、ジエチルメチルシロキシ基などが好ましく挙げられる。より好ましくは、トリメチルシロキシ基である。
シロキシ基の炭素数は、3以上10以下であり、3以上8以下が好ましく、3以上6以下がより好ましい。シロキシ基の炭素数が3以上であることにより、電池性能がより向上する傾向にある。また、シロキシ基の炭素数が10以下であることにより、化学的安定性がより向上する傾向にある。
また、シロキシ基中のケイ素数は、特に制限されないが、1以上4以下が好ましく、1以上3以下がより好ましく、1以上2以下がさらに好ましく、1が特に好ましい。シロキシ基中のケイ素数が上記範囲内であることにより、化学的安定性及び電池性能がより向上する傾向にある。
上記式(2)のR又はRについて、アリール基とは、芳香族環の炭素原子が直接M原子に結合した構造を示すものである。アリール基は、必要に応じて、種々の官能基で置換されていてもよい。このような官能基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、又はニトリル基(−CN)、エーテル基(−O−)、カーボネート基(−OCO−)、エステル基(−CO−)、カルボニル基(−CO−)スルフィド基(−S−)、スルホキシド基(−SO−)、スルホン基(−SO−)、ウレタン基(−NHCO−)、アルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
アリール基の好ましい例としては、特に限定されないが、例えば、ベンジル基、フェニル基、ニトリル置換フェニル基、フルオロ化フェニル基などの芳香族アルキル基が挙げられる。
アリール基の炭素数は、6以上15以下であり、6以上12以下が好ましい。アリール基の炭素数が6以上であることにより、化合物の化学的安定性がより向上する傾向にある。また、アリール基の炭素数が15以下であることにより、電池性能がより向上する傾向にある。
上記式(2)のR又はRについて、アリールオキシ基とは、アリール基が酸素を介してM原子に結合した構造を示すものである。アリールオキシ基は、必要に応じて、種々の官能基で置換されていてもよい。このような官能基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、又はニトリル基(−CN)、エーテル基(−O−)、カーボネート基(−OCO−)、エステル基(−CO−)、カルボニル基(−CO−)スルフィド基(−S−)、スルホキシド基(−SO−)、スルホン基(−SO−)、ウレタン基(−NHCO−)、アルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基の好ましい例としては特に限定されないが、例えば、フェノキシ基、ベンジルアルコキシ基、ニトリル置換フェノキシ基、フルオロ化フェノキシ基などの芳香族アルコキシ基が挙げられる。
アリールオキシ基の炭素数は、6以上15以下であり、6以上12以下が好ましい。アリールオキシ基の炭素数が6以上であることにより、化合物の化学的安定性がより向上する傾向にある。また、アリールオキシ基の炭素数が15以下であることにより、電池性能がより向上する傾向にある。
及びRとしては、特に限定されないが、例えば、置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、又は炭素数3〜10のシロキシ基が好ましい。また、R及びRの少なくともいずれか1つは、置換されてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、及び炭素数3〜10のシロキシ基から成る群より選ばれる官能基であることがより好ましい。R及びRがこのような基であることにより、電解液への溶解性がより向上する傾向にある。
式(2)又は式(3)で表される化合物(A)において、R、R、及びRは、各々独立に、炭素数1〜10の炭化水素基を示す。R、R、及びRの好ましい構造は、前述した式(1)で表される置換基におけるR、R、及びRの好ましい構造と同じである。
上記式(3)で表される化合物(A)において、Rは置換されていてもよい炭素数1〜20の有機基を示す。Rで示される有機基としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族炭化水素基、フェニル基などの芳香族炭化水素基、及び炭化水素基中の水素原子がすべてフッ素原子に置換されたトリフルオロメチル基などのフッ素置換炭化水素基が挙げられる。また、炭化水素基は、必要に応じて、種々の官能基で置換されていてもよい。このような官能基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、又はニトリル基(−CN)、エーテル基(−O−)、カーボネート基(−OCO−)、エステル基(−CO−)、カルボニル基(−CO−)スルフィド基(−S−)、スルホキシド基(−SO−)、スルホン基(−SO−)、ウレタン基(−NHCO−)等が挙げられる。
ここで、Rで示される炭化水素基の炭素数は、1以上20以下であり、1以上16以下が好ましく、1以上14以下がより好ましい。
また、Rで示される有機基としては、特に限定されないが、下記式(13):
Figure 2015201309
{式中、R21は、置換されていてもよい炭素数1〜13の炭化水素基を示し、そしてR22は、置換されていてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、又は置換されもよい炭素数3〜6のトリアルキルシリル基を示す。}で表される構造が好ましい。この場合、化合物(A)の基本骨格は、ジカルボン酸誘導体構造となる。
上記式(13)中、R21としては、化合物(A)の化学的安定性の観点から、好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、フェニル基、フルオロメチレン基、フルオロエチレン基、フルオロプロピレン基、又はフルオロブチレン基が挙げられる。
また、上記式(13)中、R22としては、化合物(A)の化学的安定性の観点から、好ましくは、メチル基、エチル基、ビニル基、アリル基、又はトリメチルシリル基、トリエチルシリル基などのトリアルキルシリル基が挙げられる。より好ましくは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基などのトリアルキルシリル基が挙げられる。特に、R22がトリアルキルシリル基となる場合、化合物(A)は下記式(14):
Figure 2015201309
{式中、R、R、及びRは、各々独立に、炭素数1〜10の有機基を示し、そしてR21は、置換されていてもよい炭素数1〜13の炭化水素基を示す。}で表される構造となる。
化合物(A)の好ましい具体例としては、特に限定されないが、例えば、リン酸トリス(トリメチルシリル)、亜リン酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリエチルシリル)、ピロリン酸テトラキス(トリメチルシリル)、ポリリン酸トリメチルシリル、ブチルホスホン酸ビス(トリメチルシリル)、プロピルホスホン酸ビス(トリメチルシリル)、エチルホスホン酸ビス(トリメチルシリル)、メチルホスホン酸ビス(トリメチルシリル)、リン酸モノメチルビス(トリメチルシリル)、リン酸モノエチルビス(トリメチルシリル)、リン酸モノ(トリフルオロエチル)ビス(トリメチルシリル)、リン酸モノ(ヘキサフルオロイソプロピル)ビス(トリメチルシリル)、ホウ酸トリス(トリメチルシリル)、硫酸ビス(トリメチルシリル)、酢酸トリメチルシリル、シュウ酸ビス(トリメチルシリル)、マロン酸ビス(トリメチルシリル)、コハク酸ビス(トリメチルシリル)、イタコン酸ビス(トリメチルシリル)、アジピン酸ビス(トリメチルシリル)、フタル酸ビス(トリメチルシリル)、イソフタル酸ビス(トリメチルシリル)、テレフタル酸ビス(トリメチルシリル)が挙げられる。
これらのなかでもサイクル寿命及びガス発生抑制の視点から、リン酸トリス(トリメチルシリル)、亜リン酸トリス(トリメチルシリル)、ピロリン酸テトラキス(トリメチルシリル)、ポリリン酸トリメチルシリル、ブチルホスホン酸ビス(トリメチルシリル)、プロピルホスホン酸ビス(トリメチルシリル)、エチルホスホン酸ビス(トリメチルシリル)、メチルホスホン酸ビス(トリメチルシリル)、リン酸モノメチルビス(トリメチルシリル)、リン酸モノエチルビス(トリメチルシリル)、リン酸モノ(トリフルオロエチル)ビス(トリメチルシリル)、リン酸モノ(ヘキサフルオロイソプロピル)ビス(トリメチルシリル)、コハク酸ビス(トリメチルシリル)、イタコン酸ビス(トリメチルシリル)、アジピン酸ビス(トリメチルシリル)、及びイソフタル酸ビス(トリメチルシリル)がより好ましい。
化合物(A)の含有量は、電解液100質量%に対して、0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、0.02質量%以上10質量%以下がより好ましく、0.05質量%以上8質量%以下がさらに好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がさらにより好ましく、0.2質量%以上4質量%以下が特に好ましい。化合物(A)の含有量が0.01質量%以上であることにより、リチウムイオン二次電池においてサイクル寿命がより向上する傾向にある。また、化合物(A)の含有量が10質量%以下であることにより、電池出力がより向上する傾向にある。これらの化合物(A)の電解液中の含有量は、31P−NMR、11B−NMR、H−NMRなどのNMR測定により確認することができる。
〔非イオン性界面活性剤(B)〕
非イオン性界面活性剤(B)は、イオン性を有していない界面活性剤である。本実施形態に係る電解液は、上記化合物(A)とともに、非イオン性界面活性剤(B)を含有することにより、リチウムイオン二次電池のサイクル寿命を大幅に改善し、かつガス発生を大幅に抑制することができる。この理由は明らかではないが、非イオン性界面活性剤(B)を電解液に含有させることにより、正極に化合物(A)が充分に浸透し、良質な複合皮膜を形成し、リチウムイオン二次電池内での電解液の酸化分解及び還元分解を特異的に抑制するためと推察される。
一般に、非イオン性界面活性剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド等の脂肪酸系非イオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルグルコシド等の高級アルコール系非イオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル等のアルキルフェノール系非イオン性界面活性剤が挙げられる。
非イオン性界面活性剤(B)としては、エーテル結合を有する化合物が好ましい。
また、電解液は、非イオン性界面活性剤(B)として、下記一般式(4:)
11−(OR12−R13−R14 (4)
{式中、nは、0又は正の整数であり、R11は、水素(H)及び/又は炭素(C)から成る基であり、R12は、主に水素(H)及び炭素(C)から成る基であり、R13は、R12側に結合する基であって酸素(O)、NH又はエステル結合(OCO)のいずれかであり、そしてR14は、水素(H)ではなく主に水素(H)及び炭素(C)から成る基である}
で表される化合物を含むことが好ましい。
上記一般式(4)におけるR11としては、例えば、水素、置換されていてもよいアルキル基などが挙げられる。R11は、水素であることが好ましい。その場合、電解液は、非イオン性界面活性剤(B)として、下記一般式(5):
H−(OR12−R13−R14 (5)
{式中、nは、0又は正の整数であり、R12は、主に水素(H)及び炭素(C)から成る基であり、R13は、R12側に結合する基であって酸素(O)、NH又はエステル結合(OCO)のいずれかであり、そしてR14は、水素(H)ではなく主に水素(H)及び炭素(C)から成る基である}
で表される化合物を含むことが好ましい。
上記一般式(4)又は(5)における整数nは、2以上60以下であることが好ましく、2以上50以下であることがより好ましく、2以上40以下であることがさらに好ましい。
上記一般式(4)又は(5)におけるR12は、−CHCH−の基であることが好ましい。その場合、電解液は、非イオン性界面活性剤(B)として、ポリエチレングリコール誘導体を含むことが好ましい。なお、ポリエチレングリコール誘導体には、ポロエチレングリコールそのものは含まない。このようなポリエチレングリコール誘導体としては、具体的には、ポリエチレングリコールモノセチルエーテル、ポリエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−4−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール−4−オクチルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノオレイルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノステアリルアミン等が挙げられる。
上記一般式(4)又は(5)におけるR13は、−O−、−NH−、又は−OCO−でよい。
また、上記一般式(4)又は(5)におけるR14の炭素数が、8以上、9以上、10以上、又は12以上であることが好ましい。
上記で説明した非イオン性界面活性剤(B)は、それぞれ単独で使用してもよく、2種ないしは、それ以上のものを併用してもよい。
電解液中の非イオン性界面活性剤(B)の含有量は、電解液の質量に対して、100ppm以上、2000ppm以下が好ましく、100ppm以上、1500ppm以下がより好ましく、150ppm以上、1000ppm以下が特に好ましい。非イオン性界面活性剤(B)として2種或いはそれ以上の化合物を併用する場合には、合計の濃度がそれぞれ上記を満たすことが必要である。非イオン性界面活性剤(B)の含有量が100ppm未満であると、正極への浸透性向上効果が充分に発揮されず、リチウムイオン二次電池においてサイクル寿命が充分に期待できない。また、化合物(B)の含有量が2000ppmより多いと、特に電池初期の出力が低下する傾向にある。非イオン性界面活性剤(B)(B)の電解液中の含有量は、H−NMRなどのNMR測定等、又は、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー等の分析手法で確認することが出来る。
化合物(A)の含有量に対する非イオン性界面活性剤(B)の含有量の比は、質量で、1/200以上、1/10以下であることが好まく、1/100以上、1/20以下であることがより好ましい。化合物(A)の含有量に対する非イオン性界面活性剤(B)の含有量の比が、1/10より大きいと、浸透性向上効果を打ち消す程度の電池特性低下を引き起こす場合がある。また、この比が1/200未満では、浸透性向上効果が不十分となる。
〔添加剤〕
本実施形態に係る電解液には、必要に応じて、上述した非水溶媒、リチウム塩、化合物(A)、及び非イオン性界面活性剤(B)以外の添加剤を含有させてもよい。その他の添加剤としては、特に限定されないが、例えば、ジフルオロリン酸リチウム及びモノフルオロリン酸リチウムから成る群より選ばれる1種以上が挙げられる。その他の添加剤を用いることにより、リチウムイオン二次電池のサイクル寿命がより向上する傾向にある。
ジフルオロリン酸リチウム及びモノフルオロリン酸リチウムから成る群より選ばれる添加剤の含有量は、電解液100質量%に対して、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましい。この含有量が0.001質量%以上であることにより、リチウムイオン二次電池のサイクル寿命がより向上する傾向にある。また、ジフルオロリン酸リチウム及びモノフルオロリン酸リチウムから成る群より選ばれる添加剤の含有量は、電解液100質量%に対して、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。この含有量が3質量%以下であることにより、リチウムイオン二次電池のイオン伝導性がより向上する傾向にある。これらのジフルオロリン酸リチウム及びモノフルオロリン酸リチウムから成る群より選ばれる添加剤の電解液中の含有量は、31P−NMR、19F−NMRなどのNMR測定により確認することができる。
上述した添加剤の他には、特に限定されないが、例えば、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネートといったカーボネート類、スクシノニトリル、アジポニトリルといったニトリル系化合物、エチレンサルファイト等の含硫黄化合物、プロパンスルトン、ブタンスルトンといった環状スルホン系化合物、ホスファゼン類、リン酸エステル類といったリン系化合物などを電解液に添加することができる。このような添加剤を用いることにより、電池のサイクル寿命や安全性がより向上する傾向にある。
本実施形態に係る非水電解液は、水分を含まないことが好ましいが、本発明の課題を解決できる限り、ごく微量の水分を含有してもよい。そのような水分の含有量は、非水電解液の全質量に対して、0〜100ppmが好ましく、1〜50ppmがより好ましく、1〜30ppmがさらに好ましい。
また、本実施形態に係る非水電解液は、フッ酸を含有してもよい。フッ酸の含有量は、非水電解液の全質量に対して、0.5〜50ppmが好ましく、1〜30ppmがより好ましく、2〜20ppmがさらに好ましい。フッ酸の含有量が上記範囲であることにより、負極及び/又は正極上のSEI(solid electrolyte interface)膜の継続的な修復又は形成がより容易となる傾向にあり、サイクル寿命が向上する。
本実施形態に係る電解液は、非水蓄電デバイス用電解液として好適に用いられる。ここで非水蓄電デバイスとは、蓄電デバイス中の電解液に水溶液を用いない蓄電デバイスであり、一例として、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池、カルシウムイオン二次電池及びリチウムイオンキャパシタが挙げられる。これらのなかでも、実用性及び耐久性の観点から、非水蓄電デバイスとしてはリチウムイオン二次電池及びリチウムイオンキャパシタが好ましく、より好ましくはリチウムイオン二次電池である。
[リチウムイオン二次電池]
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」ともいう。)は、上記電解液と、正極活物質を含有する正極と、負極活物質を含有する負極とを備える。この電池は、上述の電解液を備える以外は、従来のリチウムイオン二次電池と同様の構成を有していてもよい。また、リチウムイオン二次電池は、セパレータも備えてよい。
〔正極〕
正極は、リチウムイオン二次電池の正極として作用するものであれば特に限定されず、既知のものを用いることができる。正極は、正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料から成る群より選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
(正極活物質)
正極活物質としては、特に限定されないが、例えば、下記式(6):
LiMn2−xMa (6)
{式中、Maは、遷移金属から成る群より選ばれる1種以上を示し、そしてxは、0.2≦x≦0.7である。}で表される酸化物、
下記式(7):
LiMn1−uMe (7)
{式中、Meは、Mnを除く遷移金属から成る群より選ばれる1種以上を示し、そしてuは、0≦u≦0.9である。}で表される酸化物、
下記式(8):
zLiMcO3−(1−z)LiMdO (8)
{式中、Mc及びMdは、各々独立に、遷移金属から成る群より選ばれる1種以上を示し、そしてzは、0.1≦z≦0.9である。}で表される複合酸化物、
下記式(9):
LiMb1−yFePO (9)
{式中、Mbは、遷移金属から成る群より選ばれる1種以上を示し、そしてyは、0≦y≦1.0である。}で表される化合物、及び
下記式(10):
LiMfPOF (10)
{式中、Mfは、遷移金属から成る群より選ばれる1種以上を示す。}で表される化合物から成る群より選ばれる1種以上であることが好ましい。このような正極活物質を用いることにより、正極活物質の構造安定性がより優れる傾向にある。
上記式(6)で表される酸化物であるスピネル型正極活物質としては、特に限定されないが、下記式(6a):
LiMn2−xNi (6a)
{式中、0.2≦x≦0.7である。}で表される酸化物が好ましく、下記式(6b):
LiMn2−xNi (6b)
{式中、0.3≦x≦0.6である。}で表される酸化物がより好ましい。
式(6a)又は式(6b)で表される酸化物としては、特に限定されないが、例えば、LiMn1.5Ni0.5及びLiMn1.6Ni0.4が挙げられる。このような式(7)で表されるスピネル型酸化物を用いることにより、安定性により優れる傾向にある。
ここで、上記式(6)で表されるスピネル型酸化物は、正極活物質の安定性、電子伝導性等の観点から、Mn原子のモル数に対して10モル%以下の範囲で、上記構造以外に、さらに遷移金属又は遷移金属酸化物を含有してもよい。上記式(6)で表される化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記式(7)で表される酸化物である層状酸化物正極活物質の一例としては、特に限定されないが、例えば、LiCoO、LiCoOにAl、Fe、Cr、Zn、Zrなどの添加元素を少なくとも一種以上含む酸化物、又は下記式(7a):
LiMn1−v−wCoNi (7a)
{式中、0.1≦v≦0.4であり、そして0.1≦w≦0.8である。}で表される酸化物であることが好ましい。
式(7a)で表される層状酸化物としては、特に限定されないが、例えば、LiMn1/3Co1/3Ni1/3、LiMn0.1Co0.1Ni0.8、LiMn0.3Co0.2Ni0.5などが挙げられる。このような式(8)で表される化合物を用いることにより安定性により優れる傾向にある。式(8)で表される化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記式(8)で表される複合酸化物である複合層状酸化物としては、特に限定されないが、例えば、下記式(8a):
zLiMnO3−(1−z)LiNiMnCo (8a)
{式中、0.3≦z≦0.7、a+b+c=1、0.2≦a≦0.6、0.2≦b≦0.6、そして0.05≦c≦0.4である。}で表される複合酸化物であることが好ましい。
上記式(8a)において、0.4≦z≦0.6、a+b+c=1、0.3≦a≦0.4、0.3≦b≦0.4、そして0.2≦c≦0.3である複合酸化物がより好ましい。このような式(8)で表される複合酸化物を用いることにより、安定性により優れる傾向にある。ここで、上記式(8)で表される複合層状酸化物は、正極活物質の安定性、電子伝導性等の観点から、Mn、Ni、Co原子のモル数の総和に対して10モル%以下の範囲で、上記構造以外に、さらに遷移金属又は遷移金属酸化物を含有してもよい。式(8)で表される複合酸化物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記式(9)で表される化合物であるオリビン型正極活物質としては、特に限定されないが、例えば、下記式(9a):
LiMn1−yFePO (9a)
{式中、0.05≦y≦0.8である。}で表される化合物、及び、下記式(9b):
LiCo1−yFePO (9b)
{式中、0.05≦y≦0.8である。}で表される化合物が好ましい。
このような式(9)で表される化合物を用いることにより、安定性及び電子伝導性により優れる傾向にある。ここで、上記式(9)で表される化合物は、正極活物質の安定性、電子伝導性等の観点から、Mn、Fe、Co原子のモル数の総和に対して10モル%以下の範囲で、上記構造以外に、さらに遷移金属又は遷移金属酸化物を含有してもよい。上記式(9)で表される化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記式(10)で表される化合物であるフッ化オリビン型正極活物質としては、特に限定されないが、例えば、LiFePOF、LiMnPOF及びLiCoPOFが好ましい。このような式(10)で表される化合物を用いることにより、安定性により優れる傾向にある。ここで、上記式(10)で表される化合物は、正極活物質の安定性、電子伝導性等の観点から、Mn、Fe、Co原子のモル数に対して10モル%以下の範囲で、上記構造以外に、さらに遷移金属又は遷移金属酸化物を含有してもよい。上記式(10)で表される化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態の電池は、より高い電圧を実現する観点から、4.4V(vsLi/Li)以上の電位で10mAh/g以上の放電容量を有する正極活物質を含有する正極を備えることがより好ましい。かかる正極を備えた場合であっても、本実施形態の電池は、リサイクル寿命の向上を可能にする点で有用である。ここで、4.4V(vsLi/Li)以上の電位で10mAh/g以上の放電容量を有する正極活物質とは、4.4V(vsLi/Li)以上の電位でリチウムイオン二次電池の正極として充電及び放電反応を起こし得る正極活物質であり、0.1Cの定電流放電時の放電容量が活物質の質量1gに対して10mAh以上であるものである。よって、正極活物質が、4.4V(vsLi/Li)以上の電位で10mAh/g以上の放電容量を有していればよく、4.4V(vsLi/Li)以下の電位において放電容量を有していても何ら差支えない。
本実施形態で用いる正極活物質の放電容量は、4.4V(vsLi/Li)以上の電位において、10mAh/g以上が好ましく、15mAh/g以上がより好ましく、20mAh/g以上がさらに好ましい。正極活物質の放電容量が上記範囲内であることにより、高電圧で駆動することで高いエネルギー密度を達成することができる。尚、正極活物質の放電容量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
上記4.4V(vsLi/Li)以上の電位で10mAh/g以上の放電容量を有する正極活物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、正極活物質として、4.4V(vsLi/Li)以上の電位で10mAh/g以上の放電容量を有する正極活物質と、4.4V(vsLi/Li)以上の電位で10mAh/g以上の放電容量を有しない正極活物質とを組み合わせて用いることもできる。4.4V(vsLi/Li)以上の電位で10mAh/g以上の放電容量を有しない正極活物質としては、特に限定されないが、例えば、LiFePOが挙げられる。
(満充電時におけるリチウム基準の正極電位)
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の満充電時におけるリチウム基準の正極電位は、4.4V(vsLi/Li)以上が好ましく、4.45V(vsLi/Li)以上がより好ましく、4.5V(vsLi/Li)以上がさらに好ましい。満充電時における正極電位が4.4V(vsLi/Li)以上であることにより、リチウムイオン二次電池の有する正極活物質の充放電容量を効率的に活用できる傾向にある。また、満充電時における正極電位が4.4V(vsLi/Li)以上であることにより、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度がより向上する傾向にある。尚、満充電時におけるリチウム基準の正極電位は、満充電時の電池の電圧を制御することにより制御することができる。
満充電時におけるリチウム基準の正極電位は、満充電状態のリチウムイオン二次電池をArグローブボックス中で解体し、正極を取り出し、対極に金属リチウムを用いて再度電池を組み、電圧を測定することで容易に測定することができる。また、負極に炭素負極活物質を用いる場合、満充電時の炭素負極活物質の電位が0.05V(vsLi/Li)であることから、満充電時におけるリチウムイオン二次電池の電圧(Va)に0.05Vを足すことで、容易に満充電時における正極の電位を算出することができる。例えば、負極に炭素負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池において、満充電時におけるリチウムイオン二次電池の電圧(Va)が4.4Vであった場合、満充電時の正極の電位は、4.4V+0.05V=4.45Vと算出することができる。
(正極活物質の製造方法)
正極活物質は、一般的な無機酸化物の製造方法と同様の方法で製造できる。正極活物質の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、所定の割合で金属塩(例えば硫酸塩及び/又は硝酸塩)を混合した混合物を、酸素を含む雰囲気環境下で焼成することで無機酸化物を含む正極活物質を得る方法が挙げられる。また、金属塩を溶解させた液に炭酸塩及び/又は水酸化物塩を作用させて難溶性の金属塩を析出させ、それを抽出分離したものに、リチウム源として炭酸リチウム及び/又は水酸化リチウムを混合した後、酸素を含む雰囲気環境下で焼成することで、無機酸化物を含む正極活物質を得る方法が挙げられる。
(正極の製造方法)
ここで、正極の製造方法の一例を以下に示す。まず、上記正極活物質に対して、必要に応じて、導電助剤、バインダー等を加えて混合した正極合剤を溶剤に分散させて正極合剤を含有するペーストを調製する。次いで、このペーストを正極集電体に塗布し、乾燥して正極合剤層を形成し、正極合剤層を必要に応じて加圧し、厚さを調整することによって、正極を作製することができる。
正極集電体としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム箔、又はステンレス箔などの金属箔により構成されるものが挙げられる。
〔負極〕
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、負極を有する。負極は、リチウムイオン二次電池の負極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。負極は、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料から成る群より選ばれる1種以上を含有することが好ましい。このような負極活物質としては、特に限定されないが、例えば、炭素負極活物質、ケイ素合金負極活物質及びスズ合金負極活物質に代表されるリチウムと合金形成が可能な元素を含む負極活物質;ケイ素酸化物負極活物質;スズ酸化物負極活物質;及びチタン酸リチウム負極活物質に代表されるリチウム含有化合物から成る群より選ばれる1種以上が挙げられる。これらの負極活物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
炭素負極活物質としては、特に限定されないが、例えば、ハードカーボン、ソフトカーボン、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛、熱分解炭素、コークス、ガラス状炭素、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、グラファイト、炭素コロイド、カーボンブラックが挙げられる。コークスとしては、特に限定されないが、例えば、ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークスが挙げられる。また、有機高分子化合物の焼成体としては、特に限定されないが、フェノール樹脂、フラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものが挙げられる。
リチウムと合金を形成可能な元素を含む負極活物質としては、特に限定されないが、例えば、金属又は半金属の単体であっても、合金又は化合物であってもよく、また、これらの1種又は2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものであってもよい。尚、「合金」には、2種以上の金属元素から成るものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを有するものも含まれる。また、合金には、全体として金属の性質を有するものであれば非金属元素が含まれていてもよい。
金属元素及び半金属元素としては、特に限定されないが、例えば、チタン(Ti)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、銀(Ag)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)及びイットリウム(Y)が挙げられる。これらの中でも、長周期型周期表における4族又は14族の金属元素及び半金属元素が好ましく、特に好ましくはチタン、ケイ素及びスズである。
(負極の製造方法)
負極は、例えば、下記のようにして得られる。まず、上記負極活物質に対して、必要に応じて、導電助剤、バインダー等を加えて混合した負極合剤を溶剤に分散させて負極合剤を含有するペーストを調製する。次いで、このペーストを負極集電体に塗布し、乾燥して負極合剤層を形成し、それを必要に応じて加圧し、厚みを調整することによって、負極を作製することができる。
負極集電体は、特に限定されないが、例えば、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔などの金属箔により構成されるものが挙げられる。
〔正極及び負極の作製に使用される導電助剤又はバインダー〕
正極及び負極の作製において、必要に応じて用いられる導電助剤としては、特に限定されないが、例えば、グラファイト、アセチレンブラック及びケッチェンブラックなどのカーボンブラック、並びに炭素繊維が挙げられる。
また、正極及び負極の作製において、必要に応じて用いられるバインダーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム及びフッ素ゴムが挙げられる。
〔セパレータ〕
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、正負極の短絡防止、シャットダウン等の安全性を電池に付与するという観点から、正極と負極との間にセパレータを備えることが好ましい。また、本実施形態に係る電解液は、セパレータに対する浸透性を有していてもよい。セパレータとしては、特に限定されないが、例えば、公知のリチウムイオン二次電池に備えられるものと同様のものを用いることができる。セパレータとしては、イオン透過性が大きく、機械的強度に優れる絶縁性の薄膜が好ましい。
セパレータとしては、特に限定されないが、例えば、織布、不織布、及び合成樹脂製微多孔膜が挙げられ、これらのなかでも、合成樹脂製微多孔膜が好ましい。また、不織布としては、特に限定されないが、例えば、セラミック製、ポリオレフィン製、ポリエステル製、ポリアミド製、液晶ポリエステル製、アラミド製などの耐熱樹脂製の多孔膜が挙げられる。さらに、合成樹脂製微多孔膜としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンを主成分として含有する微多孔膜、又はこれらのポリオレフィンを共に含有する微多孔膜等のポリオレフィン系微多孔膜が挙げられる。セパレータは、1種の微多孔膜を単層又は複数積層したものであってもよく、2種以上の微多孔膜を積層したものであってもよい。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、特に限定されないが、例えば、セパレータと、そのセパレータを両側から挟む正極と負極と、さらにそれらの積層体を挟む正極集電体(正極の外側に配置)と、負極集電体(負極の外側に配置)と、それらを収容する電池外装とを備える。正極とセパレータと負極とを積層した積層体は、本実施形態の電解液に含浸されている。
図1は、本実施形態におけるリチウムイオン二次電池の一例を示す概略断面図である。図1に示されるリチウムイオン二次電池100は、セパレータ110と、そのセパレータ110を両側から挟む正極120と負極130と、さらにそれらの積層体を挟む正極集電体140(正極の外側に配置)と、負極集電体150(負極の外側に配置)と、それらを収容する電池外装160とを備える。正極120とセパレータ110と負極130とを積層した積層体は、電解液に含浸されている。
[リチウムイオン二次電池の製造方法]
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、上述の電解液、正極、負極及び必要に応じてセパレータを用いて、公知の方法により作製することができる。例えば、正極と負極とを、その間にセパレータを介在させた積層状態で巻回して巻回構造の積層体に成形するか、又はそれらの折り曲げ、複数層の積層などによって、交互に積層した複数の正極と負極との間にセパレータが介在する積層体に成形し、次いで、電池ケース(外装)内にその積層体を収容して、本実施形態の電解液をケース内部に注液し、上記積層体をその電解液に浸漬して封印することによって、リチウムイオン二次電池を作製することができる。本実施形態におけるリチウムイオン二次電池の形状は、特に限定されず、例えば、円筒形、楕円形、角筒型、ボタン形、コイン形、扁平形及びラミネート形などが好適に採用される。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
(1)LiNi1/3Mn1/3Co1/3正極を用いたリチウムイオン二次電池による電池性能評価
<正極の作製>
正極活物質としてLiNi1/3Mn1/3Co1/3(日本化学工業社製)と、導電助剤としてアセチレンブラックの粉末(電気化学工業社製)と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン溶液(クレハ社製)とを、90:6:4の固形分質量比で混合し、分散溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを固形分40質量%となるように添加して更に混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延してシートを得た。シートを直径16mmの円盤状に打ち抜いて正極を得た。
<負極の作製>
負極活物質としてグラファイト粉末(大阪ガスケミカル社製、商品名「OMAC1.2H/SS」)及び別のグラファイト粉末(TIMCAL社製、商品名「SFG6」)と、バインダーとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)及びカルボキシメチルセルロース水溶液とを、90:10:1.5:1.8の固形分質量比で混合した。得られた混合物を、固形分濃度が45質量%となるように、分散溶媒としての水に添加して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延してシートを得た。シートを直径16mmの円盤状に打ち抜いて負極を得た。
<電池の作製>
上述のようにして得られた正極及び負極をポリプロピレン製の微多孔膜から成るセパレータ(膜厚25μm、空孔率50%、孔径0.1μm〜1μm)の両側に重ね合わせた積層体を、ステンレス製の円盤型電池ケース(外装体)に挿入した。次いで、そこに、下記実施例及び比較例に記載の電解液を0.2mL注入し、積層体を電解液に浸漬した後、電池ケースを密閉してリチウムイオン二次電池を作製した。
<正極浸透性評価>
上述のようにして得られた直径16mmの円盤状の正極を4cm×7cm×1cmのプラスチックケース内に置いた。その後、正極中央部に、電解液を1μl、マイクロシリンジ(ハミルトン製、10μl)を用いて滴下した。その後、電解液の揮発を防ぐためにプラスチックケースのふたを閉じ、電解液の電極への浸透の様子を目視で観察した。正極面上にシリンジから滴下した電解液の液滴が電極内に吸収され、液で濡れて濃く見える部分が喪失した時点を浸透完了と判断し、浸透が完了するまでの時間から浸透性を評価した。浸透が完了するまでの時間は、2回測定し、その平均値を採用した。
<電池性能評価>
得られたリチウムイオン二次電池を、25℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、商品名「PLM−73S」)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、商品名「ACD−01」)に接続し、20時間静置した。次いで、その電池を0.2Cの定電流で充電し、4.4Vに到達した後、4.4Vの定電圧で8時間充電し、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。
上記初期充放電後、50℃に設定した恒温槽中で、その電池を1.0Cの定電流で4.4Vまで充電し、1.0Cの定電流で3.0Vまで放電した。この一連の充放電を1サイクルとし、さらに99サイクル充放電を繰り返し、全体で100サイクルのサイクル充放電を行った。1サイクル目及び100サイクル目の正極活物質質量当たりの放電容量を確認した。また、100サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率を算出した。
[実施例1]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPFを1mol/L含有させた溶液(キシダ化学社製)10gに、化合物Aとしてリン酸トリス(トリメチルシリル)(PO(Si(CH、アルドリッチ社製)を0.05gと、非イオン性界面活性剤Bとしてポリオキシエチレンラウリルエーテルを10mg含有させ、電解液Aを得た。電解液A中のポリオキシエチレンモノラウリルエーテルの含有量は1000ppmであり、リン酸トリス(トリメチルシリル)の含有量は5000ppmであった。
上述の(1)に記載の方法で、電解液Aの正極に対する浸透性評価を行ったところ、147秒であった。
上述の(1)に記載の方法で、電解液Aを用いてリチウムイオン二次電池を作製し、電池性能評価を行ったところ、電解液Aを備えるリチウムイオン二次電池の1サイクル目の放電容量は、162mAh/gと高く、100サイクル目の放電容量は、133mAh/gと高く、100サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、82%と高い値を示した。尚、本実施例のリチウムイオン二次電池を4.4Vまで充電した後、Arグローブボックス中で解体し、正極を取り出し、対極に金属リチウムを用いて再度電池を組み、正極の電位を測定したところ、4.45V(vsLi/Li)であった。
[実施例2]
非イオン性界面活性剤(B)としてポリオキシエチレンモノラウリルエーテルを2000ppm用いた以外は実施例1と同様にして正極に対する浸透性評価と電池性能評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
非イオン性界面活性剤(B)としてポリオキシエチレンモノラウリルエーテルを100ppm用いた以外は実施例1と同様にして正極に対する浸透性評価と電池性能評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
非イオン性界面活性剤(B)としてポリオキシエチレンモノドデシルエーテルを1000ppm用いた以外は実施例1と同様にして正極に対する浸透性評価と電池性能評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
非イオン性界面活性剤(B)としてポリオキシエチレン−4−オキシルフェニルエーテルを1000ppm用いた以外は実施例1と同様にして正極に対する浸透性評価と電池性能評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPFを1mol/L含有させた溶液を電解液Bとした。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Bの正極に対する浸透性評価を行ったところ、150秒であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Bを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、158mAh/gであり、100サイクル目の放電容量は、95mAh/gであり、100サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、60%を示した。
[比較例2]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPFを1mol/L含有させた(キシダ化学社製)10gに、化合物Aとしてリン酸トリス(トリメチルシリル)(PO(Si(CH、アルドリッチ社製)を0.05g溶液を含有させた電解液Cとした。電解液C中のリン酸トリス(トリメチルシリル)の含有量は5000ppmであった。
上述の(1)に記載の方法で、電解液Cの正極に対する浸透性評価を行ったところ、224秒であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Cを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、160mAh/gであり、100サイクル目の放電容量は、112mAh/gであり、100サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、70%を示した。
[比較例3]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPFを1mol/L含有させた(キシダ化学社製)10gに、非イオン性界面活性剤(B)としてポリオキシエチレンモノラウリルエーテルを10mgを含有させた電解液Dとした。電解液D中のポリオキシエチレンモノラウリルエーテルの含有量は1000ppmであった。
上述の(1)に記載の方法で、電解液Dの正極に対する浸透性評価を行ったところ、163秒であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Dを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、158mAh/gであり、100サイクル目の放電容量は、93mAh/gであり、100サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、59%を示した。
[比較例4]
非イオン性界面活性剤(B)としてポリオキシエチレンモノラウリルエーテルを5000ppm用いた以外は実施例1と同様にして正極に対する浸透性評価と電池性能評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例5]
非イオン性界面活性剤(B)としてポリオキシエチレンモノラウリルエーテルを50ppm用いた以外は実施例1と同様にして正極に対する浸透性評価と電池性能評価を行った。結果を表1に示す。
上記実施例1〜実施例5、及び比較例1〜比較例5の結果を以下の表1に示す。
Figure 2015201309
表1から分かるように、特定の化合物(A)と非イオン性界面活性剤(B)を組み合せることによって、電解液の正極に対する浸透性が向上し、4.45V(vsLi/Li)の高電圧で駆動する正極を用いたリチウムイオン二次電池においても良好なサイクル寿命が得られた。
(2)LiCoO正極を用いたリチウムイオン二次電池による電池性能評価
<正極の作製>
正極活物質として電池電圧4.5Vで200mAh/gの容量を有するLiCoOと、導電助剤としてアセチレンブラックの粉末(電気化学工業社製)と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン溶液(クレハ社製)とを、92.6:3.7:3.7の固形分質量比で混合し、分散溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを固形分40質量%となるように添加して更に混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延してシートを得た。シートを直径16mmの円盤状に打ち抜いて正極を得た。
<負極の作製>
負極活物質としてグラファイト粉末(大阪ガスケミカル社製、商品名「OMAC1.2H/SS」)及び別のグラファイト粉末(TIMCAL社製、商品名「SFG6」)と、バインダーとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)及びカルボキシメチルセルロース水溶液とを、90:10:1.5:1.8の固形分質量比で混合した。得られた混合物を、固形分濃度が45質量%となるように、分散溶媒としての水に添加して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延してシートを得た。シートを直径16mmの円盤状に打ち抜いて負極を得た。
<電池の作製>
上述のようにして得られた正極及び負極をポリプロピレン製の微多孔膜から成るセパレータ(膜厚25μm、空孔率50%、孔径0.1μm〜1μm)の両側に重ね合わせた積層体を、ステンレス製の円盤型電池ケース(外装体)に挿入した。次いで、そこに、下記実施例及び比較例に記載の電解液を0.2mL注入し、積層体を電解液に浸漬した後、電池ケースを密閉してリチウムイオン二次電池を作製した。
<正極浸透性評価>
上述のようにして得られた直径16mmの円盤状の正極を4cm×7cm×1cmのプラスチックケース内に置いた。その後、正極中央部に、電解液を1μl、マイクロシリンジ(ハミルトン製、10μl)を用いて滴下した。その後、電解液の揮発を防ぐためにプラスチックケースのふたを閉じ、電解液の正極への浸透の様子を目視で観察した。正極面上にシリンジから滴下した電解液の液滴が電極内に吸収され、液で濡れて濃く見える部分が喪失した時点を浸透完了と判断し、浸透が完了するまでの時間から浸透性を評価した。浸透が完了するまでの時間は、2回測定し、その平均値を採用した。
<電池性能評価>
得られたリチウムイオン二次電池を、25℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、商品名「PLM−73S」)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、商品名「ACD−01」)に接続し、20時間静置した。次いで、その電池を0.2Cの定電流で充電し、4.5Vに到達した後、4.5Vの定電圧で8時間充電し、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。
上記初期充放電後、25℃に設定した恒温槽中で、その電池を1.0Cの定電流で4.5Vまで充電し、1.0Cの定電流で3.0Vまで放電した。この一連の充放電を1サイクルとし、さらに199サイクル充放電を繰り返し、全体で200サイクルのサイクル充放電を行った。1サイクル目及び200サイクル目の正極活物質質量当たりの放電容量を確認した。また、200サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率を算出した。
[実施例6]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPFを1mol/L含有させた溶液(キシダ化学社製)10gに、化合物(A)としてリン酸トリス(トリメチルシリル)(PO(Si(CH、アルドリッチ社製)を0.05gと、非イオン性界面活性剤(B)としてポリオキシエチレンラウリルエーテルを10mg含有させ、電解液Aを得た。電解液A中のポリオキシエチレンモノラウリルエーテルの含有量は1000ppmであり、リン酸トリス(トリメチルシリル)の含有量は5000ppmであった。
上述の(2)に記載の方法で、電解液Aの正極に対する浸透性評価を行ったところ、149秒であった。
上述の(2)に記載の方法で、電解液Aを用いてリチウムイオン二次電池を作製し、電池性能評価を行ったところ、電解液Aを備えるリチウムイオン二次電池の1サイクル目の放電容量は、193mAh/gと高く、200サイクル目の放電容量は、154mAh/gと高く、200サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、80%と高い値を示した。尚、本実施例のリチウムイオン二次電池を4.4Vまで充電した後、Arグローブボックス中で解体し、正極を取り出し、対極に金属リチウムを用いて再度電池を組み、正極の電位を測定したところ、4.55V(vsLi/Li)であった。
[実施例7]
非イオン性界面活性剤(B)としてポリオキシエチレンモノラウリルエーテルを2000ppm用いた以外は実施例6と同様にして正極に対する浸透性評価と電池性能評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例8]
非イオン性界面活性剤(B)としてポリオキシエチレンモノラウリルエーテルを100ppm用いた以外は実施例6と同様にして正極に対する浸透性評価と電池性能評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例9]
非イオン性界面活性剤(B)としてポリオキシエチレンモノドデシルエーテルを1000ppm用いた以外は実施例6と同様にして正極に対する浸透性評価と電池性能評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例10]
非イオン性界面活性剤(B)としてポリオキシエチレン−4−オキシルフェニルエーテルを1000ppm用いた以外は実施例6と同様にして正極に対する浸透性評価と電池性能評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例6]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPFを1mol/L含有させた溶液を電解液Bとした。
実施例6と同様にして、(2)に記載の方法で、電解液Bの正極に対する浸透性評価を行ったところ、147秒であった。
実施例6と同様にして、(2)に記載の方法で、電解液Bを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、190mAh/gであり、200サイクル目の放電容量は、119mAh/gであり、200サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、63%を示した。
[比較例7]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPFを1mol/L含有させた(キシダ化学社製)10gに、化合物(A)としてリン酸トリス(トリメチルシリル)(PO(Si(CH、アルドリッチ社製)を0.05g溶液を含有させた電解液Cとした。電解液C中のリン酸トリス(トリメチルシリル)の含有量は5000ppmであった。
上述の(2)に記載の方法で、電解液Cの正極に対する浸透性評価を行ったところ、227秒であった。
実施例6と同様にして、(2)に記載の方法で、電解液Cを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、193mAh/gであり、200サイクル目の放電容量は、135mAh/gであり、200サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、70%を示した。
[比較例8]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPFを1mol/L含有させた(キシダ化学社製)10gに、非イオン性界面活性剤(B)としてポリオキシエチレンモノラウリルエーテルを10mを含有させた電解液Dとした。電解液D中のポリオキシエチレンモノラウリルエーテルの含有量は1000ppmであった。
上述の(2)に記載の方法で、電解液Dの正極に対する浸透性評価を行ったところ、151秒であった。
実施例6と同様にして、(2)に記載の方法で、電解液Dを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、190mAh/gであり、200サイクル目の放電容量は、120mAh/gであり、200サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、63%を示した。
[比較例9]
非イオン性界面活性剤(B)としてポリオキシエチレンモノラウリルエーテルを5000ppm用いた以外は実施例6と同様にして正極に対する浸透性評価と電池性能評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例10]
非イオン性界面活性剤(B)としてポリオキシエチレンモノラウリルエーテルを50ppm用いた以外は実施例6と同様にして正極に対する浸透性評価と電池性能評価を行った。結果を表2に示す。
上記実施例6〜実施例10、及び比較例6〜比較例10の結果を以下の表2に示す。
Figure 2015201309
表2から分かるように、特定の化合物(A)と非イオン性界面活性剤(B)を組合せることによって、4.55V(vsLi/Li)の高電圧で駆動する正極を用いたリチウムイオン二次電池においても良好なサイクル寿命が得られた。
(3)LiNi0.5Mn1.5正極を用いたリチウムイオン二次電池による電池性能評価
<正極活物質の合成>
遷移金属元素のモル比として1:3の割合となる量の硫酸ニッケルと硫酸マンガンとを水に溶解し、金属イオン濃度の総和が2mol/Lになるようにニッケル−マンガン混合水溶液を調製した。次いで、このニッケル−マンガン混合水溶液を、70℃に加温した濃度2mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液1650mL中に、12.5mL/minの添加速度で120分間滴下した。尚、滴下中は、攪拌の下、200mL/minの流量の空気を水溶液中にバブリングしながら吹き込んだ。これにより、析出物質が発生し、得られた析出物質を蒸留水で十分洗浄し、乾燥して、ニッケルマンガン化合物を得た。得られたニッケルマンガン化合物と粒径2μmの炭酸リチウムとを、リチウム:ニッケル:マンガンのモル比が1:0.5:1.5になるように秤量し、1時間乾式混合した後、得られた混合物を酸素雰囲気下において1000℃で5時間焼成し、LiNi0.5Mn1.5で表される正極活物質を得た。
<正極シートの作製>
上述のようにして得られた正極活物質と、導電助剤としてグラファイトの粉末(TIMCAL社製、商品名「KS−6」)とアセチレンブラックの粉末(電気化学工業社製、商品名「HS−100」)と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン溶液(クレハ社製、商品名「L#7208」)とを、80:5:5:10の固形分質量比で混合した。得られた混合物に、分散溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを固形分35質量%となるように投入してさらに混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延し正極シートを得た。
尚、上記により得られた正極と金属Liを負極とし、電解液にエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF塩を1mol/L含有させた溶液を用いてハーフセルを作製し、0.02Cで4.85Vまで充電後、0.1Cで放電することにより、4.4V(vsLi/Li)以上の電位において111mAh/gの放電容量を有する正極活物質であることを確認した。
<負極シートの作製>
負極活物質としてグラファイト粉末(大阪ガスケミカル社製、商品名「OMAC1.2H/SS」)及び別のグラファイト粉末(TIMCAL社製、商品名「SFG6」)と、バインダーとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)及びカルボキシメチルセルロース水溶液とを、90:10:1.5:1.8の固形分質量比で混合した。得られた混合物を、固形分濃度が45質量%となるように、分散溶媒としての水に添加して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延し負極シートを得た。
<電池の作製>
上述のようにして作製した正極シート及び負極シートを直径16mmの円盤状に打ち抜いて正極及び負極を得た。得られた正極及び負極をポリプロピレン製の微多孔膜から成るセパレータ(膜厚25μm、空孔率50%、孔径0.1μm〜1μm)の両側に重ね合わせた積層体を、ステンレス製の円盤型電池ケース(外装体)に挿入した。次いで、そこに、下記実施例及び比較例に記載の電解液を0.2mL注入し、積層体を電解液に浸漬した後、電池ケースを密閉してリチウムイオン二次電池を作製した。
<正極浸透性評価>
上述のようにして得られた直径16mmの円盤状の正極を4cm×7cm×1cmのプラスチックケース内に置いた。その後、正極中央部に、電解液を1μl、マイクロシリンジ(ハミルトン製、10μl)を用いて滴下した。その後、電解液の揮発を防ぐためにプラスチックケースのふたを閉じ、電解液の電極への浸透の様子を目視で観察した。正極面上にシリンジから滴下した電解液の液滴が電極内に吸収され、液で濡れて濃く見える部分が喪失した時点を浸透完了と判断し、浸透が完了するまでの時間から浸透性を評価した。浸透が完了するまでの時間は、2回測定し、その平均値を採用した。
<電池性能評価>
得られたリチウムイオン二次電池を、25℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、商品名「PLM−73S」)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、商品名「ACD−01」)に接続し、20時間静置した。次いで、その電池を0.2Cの定電流で充電し、4.9Vに到達した後、4.9Vの定電圧で8時間充電し、その後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電する充放電を3回繰り返した。
上記初期充放電後、50℃に設定した恒温槽中で、その電池を1.0Cの定電流で4.9Vまで充電し、4.9Vの定電圧で2時間充電し、1.0Cの定電流で3.0Vまで放電した。この一連の充放電を1サイクルとし、さらに29サイクル充放電を繰り返し、全体で30サイクルのサイクル充放電を行った。1サイクル目及び30サイクル目の正極活物質質量当たりの放電容量を確認した。また、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率を算出した。
(4)LiNi0.5Mn1.5正極を用いたリチウムイオン二次電池のガス発生評価
上述の(3)と同様にして作製した正極シートと負極シートと角型に打ち抜き、これら正極及び負極をポリプロピレン製の微多孔膜から成るセパレータ(膜厚25μm、空孔率50%、孔径0.1μm〜1μm)の両側に重ね合わせた積層体を、アルミニウム箔(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムから成る袋内に正負極の端子を突設させながら挿入した後、下記実施例及び比較例に記載の電解液を0.5mL袋内に注入し、真空封止を行って、シート状リチウムイオン二次電池を作製した。
得られたシート状リチウムイオン二次電池を、25℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、商品名「PLM−73S」)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、商品名「ACD−01」)に接続し、20時間静置した。次いで、その電池を0.2Cの定電流で充電し、4.9Vに到達した後、4.9Vの定電圧で8時間充電し、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電する充放電を3回繰り返した。
上記初期充放電後、電池を水浴中に浸して体積を測定した後、50℃の環境下、1Cの定電流で4.9Vの電圧に達するまで充電後、4.9Vの定電圧で9日間連続充電し、1Cの定電流で3.0Vまで放電した。電池を室温まで冷却させた後、水浴中に浸して体積を測定し、連続充電前後の電池の体積変化から、電池運転後のガス発生量(mL)を求めた。
[実施例11]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPFを1mol/L含有させた溶液(キシダ化学社製)10gに、化合物(A)としてリン酸トリス(トリメチルシリル)(PO(Si(CH、アルドリッチ社製)を0.05gと、非イオン性界面活性剤(B)としてポリオキシエチレンラウリルエーテルを10mg含有させ、電解液Aを得た。電解液A中のポリオキシエチレンモノラウリルエーテルの含有量は1000ppmであり、リン酸トリス(トリメチルシリル)の含有量は5000ppmであった。
上述の(3)に記載の方法で、電解液Aの正極に対する浸透性評価を行ったところ、156秒であった。
上述の(3)に記載の方法で、電解液Aを用いてリチウムイオン二次電池を作製し、電池性能評価を行ったところ、電解液Aを備えるリチウムイオン二次電池の1サイクル目の放電容量は、117mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、88mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、75%と高い値を示した。尚、本実施例のリチウムイオン二次電池を4.4Vまで充電した後、Arグローブボックス中で解体し、正極を取り出し、対極に金属リチウムを用いて再度電池を組み、正極の電位を測定したところ、4.95V(vsLi/Li)であった。
また、上述の(4)に記載の方法で、実施例1で作製した電解液Aを用いてシート状リチウムイオン二次電池を作製し、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、1.9mLと低かった。
[実施例12]
非イオン性界面活性剤(B)としてポリオキシエチレンモノラウリルエーテルを2000ppm用いた以外は実施例11と同様にして正極に対する浸透性評価と電池性能評価を行った。結果を表3に示す。
[実施例13]
非イオン性界面活性剤(B)としてポリオキシエチレンモノラウリルエーテルを100ppm用いた以外は実施例11と同様にして正極に対する浸透性評価と電池性能評価を行った。結果を表3に示す。
[実施例14]
非イオン性界面活性剤(B)としてポリオキシエチレンモノドデシルエーテルを1000ppm用いた以外は実施例11と同様にして正極に対する浸透性評価と電池性能評価を行った。結果を表3に示す。
[実施例15]
非イオン性界面活性剤(B)としてポリオキシエチレン−4−オキシルフェニルエーテルを1000ppm用いた以外は実施例11と同様にして正極に対する浸透性評価と電池性能評価を行った。結果を表3に示す。
[比較例11]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPFを1mol/L含有させた溶液を電解液Bとした。
実施例11と同様にして、(3)に記載の方法で、電解液Bの正極に対する浸透性評価を行ったところ、162秒であった。
実施例1と同様にして、(3)に記載の方法で、電解液Bを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、107mAh/gであり、30サイクル目の放電容量は、63mAh/gであり、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、59%を示した。
また、上述の(4)に記載の方法で、比較例11で作製した電解液Bを用いてシート状リチウムイオン二次電池を作製し、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、4.7mLであった。
[比較例12]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPFを1mol/L含有させた(キシダ化学社製)10gに、化合物(A)としてリン酸トリス(トリメチルシリル)(PO(Si(CH、アルドリッチ社製)を0.05g溶液を含有させた電解液Cとした。電解液C中のリン酸トリス(トリメチルシリル)の含有量は5000ppmであった。
上述の(3)に記載の方法で、電解液Cの正極に対する浸透性評価を行ったところ、270秒であった。
実施例11と同様にして、(3)に記載の方法で、電解液Cを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、114mAh/gであり、30サイクル目の放電容量は、73mAh/gであり、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、64%を示した。
また、上述の(4)に記載の方法で、比較例12で作製した電解液Cを用いてシート状リチウムイオン二次電池を作製し、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、2.2mLであった。
[比較例13]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPFを1mol/L含有させた(キシダ化学社製)10gに、非イオン性界面活性剤(B)としてポリオキシエチレンモノラウリルエーテルを10mgを含有させた電解液Dとした。電解液D中のポリオキシエチレンモノラウリルエーテルの含有量は1000ppmであり
上述の(3)に記載の方法で、電解液Dの正極に対する浸透性評価を行ったところ、173秒であった。
実施例11と同様にして、(3)に記載の方法で、電解液Dを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、108mAh/gであり、30サイクル目の放電容量は、64mAh/gであり、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、59%を示した。
また、上述の(4)に記載の方法で、比較例13で作製した電解液Dを用いてシート状リチウムイオン二次電池を作製し、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、4.8mLであった。
[比較例14]
非イオン性界面活性剤(B)としてポリオキシエチレンモノラウリルエーテルを5000ppm用いた以外は実施例11と同様にして正極に対する浸透性評価と電池性能評価を行った。結果を表3に示す。
[比較例15]
非イオン性界面活性剤(B)としてポリオキシエチレンモノラウリルエーテルを50ppm用いた以外は実施例11と同様にして正極に対する浸透性評価と電池性能評価を行った。結果を表3に示す。
上記実施例11〜実施例15、及び比較例11〜比較例15の結果を以下の表3に示す。
Figure 2015201309
表3から分かるように、特定の化合物(A)と非イオン性界面活性剤(B)を組合せることによって、4.95V(vsLi/Li)の高電圧で駆動する正極を用いたリチウムイオン二次電池においても良好なサイクル寿命かつ良好なガス発生抑制効果が得られた。
100 リチウムイオン二次電池
110 セパレータ
120 正極
130 負極
140 正極集電体
150 負極集電体
160 電池外装

Claims (15)

  1. 非水溶媒;
    リチウム塩;
    リン原子及び/又はホウ素原子を有するプロトン酸、スルホン酸、及びカルボン酸から成る群より選ばれる酸の水素原子の少なくとも1つが下記式(1):
    Figure 2015201309
    {式中、R、R、及びRは、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の有機基を示す。}で表される置換基で置換された化合物(A);並びに
    非イオン性界面活性剤(B);
    を含有する非水蓄電デバイス用電解液であり、前記非イオン性界面活性剤(B)の含有量は、前記非水蓄電デバイス用電解液の質量に対して、100ppm以上2000ppm以下である、前記非水蓄電デバイス用電解液。
  2. 前記化合物(A)として、下記式(2):
    Figure 2015201309
    {式中、Mは、リン原子又はホウ素原子を示し、Mがリン原子のとき、wは0又は1であり、Mがホウ素原子のときwは0であり、R、R、及びRは、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の有機基を示し、そしてR及びRは、各々独立に、OH基、OLi基、置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数3〜10のシロキシ基、炭素数6〜15のアリール基、及び炭素数6〜15のアリールオキシ基から成る群より選ばれる基を示す。}で表される化合物、及び/又は下記式(3):
    Figure 2015201309
    {式中、R、R、及びRは、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の有機基を示し、そしてRは、置換されていてもよい炭素数1〜20の有機基を示す。}で表される化合物を含む、請求項1に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
  3. 前記非イオン性界面活性剤(B)が、エーテル結合を有する化合物である、請求項1又は2に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
  4. 前記非イオン性界面活性剤(B)が、下記一般式(4):
    11−(OR12−R13−R14 (4)
    {式中、nは、0又は正の整数であり、R11は、水素(H)及び/又は炭素(C)から成る基であり、R12は、水素(H)及び炭素(C)から成る基であり、R13は、R12側に結合する基であって酸素(O)、NH又はエステル結合(OCO)のいずれかであり、そしてR14は、水素(H)ではなく水素(H)及び炭素(C)から成る基である}
    で表される化合物を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
  5. 前記一般式(4)におけるR11が水素である、請求項4に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
  6. 前記一般式(4)における整数nが2以上60以下である、請求項4又は5に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
  7. 前記一般式(4)におけるR14の炭素数が8以上である、請求項4〜6のいずれか一項に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
  8. 前記一般式(4)におけるR12が、−CHCH−である、請求項4〜7のいずれか一項に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
  9. 前記化合物(A)の含有量が、前記非水蓄電デバイス用電解液100質量%に対して、0.01質量%以上10質量%以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
  10. ジフルオロリン酸リチウム及びモノフルオロリン酸リチウムから成る群より選ばれる1種以上をさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
  11. 正極活物質を含有する正極と、
    負極活物質を含有する負極と、
    請求項1〜10のいずれか一項に記載の非水蓄電デバイス用電解液と、
    を備える、リチウムイオン二次電池。
  12. 前記正極活物質は、4.4V(vsLi/Li)以上の電位において10mAh/g以上の放電容量を有する、請求項11に記載のリチウムイオン二次電池。
  13. 前記正極活物質は、下記式(6):
    LiMn2−xMa (6)
    {式中、Maは、遷移金属から成る群より選ばれる1種以上を示し、そしてxは、0.2≦x≦0.7である。}で表される酸化物、
    下記式(7):
    LiMn1−uMe (7)
    {式中、Meは、Mnを除く遷移金属から成る群より選ばれる1種以上を示し、そしてuは、0≦u≦0.9である。}で表される酸化物、
    下記式(8):
    zLiMcO3−(1−z)LiMdO (8)
    {式中、Mc及びMdは、各々独立に、遷移金属から成る群より選ばれる1種以上を示し、そしてzは、0.1≦z≦0.9である。}で表される複合酸化物、
    下記式(9):
    LiMb1−yFePO (9)
    {式中、Mbは、遷移金属から成る群より選ばれる1種以上を示し、そしてyは、0≦y≦1.0である。}で表される化合物、及び
    下記式(10):
    LiMfPOF (10)
    {式中、Mfは、遷移金属から成る群より選ばれる1種以上を示す。}で表される化合物から成る群より選ばれる1種以上である、請求項11又は12に記載のリチウムイオン二次電池。
  14. 満充電時におけるリチウム基準の正極電位が、4.4V(vsLi/Li)以上である、請求項11〜13のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
  15. 満充電時におけるリチウム基準の正極電位が、4.5V(vsLi/Li)以上である、請求項11〜14のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
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