[(メタ)アクリレート化合物(I)]
本発明のフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物(I)は、下記式(1)で表される。
(式中、環Zはアレーン環、R1及びR2はそれぞれ同一又は異なる非反応性置換基、R3は水素原子又はメチル基を示し、kは0〜4の整数、pは0又は1以上の整数、qは1以上の整数を示し、A1は下記式(2)又は下記式(3)で表される基
(R4は直鎖状アルキレン基、R5は分岐鎖状アルキレン基、m1は0又は1〜5の整数、n1は1〜10の整数を示す。)を示し、A2は下記式(4)又は下記式(5)で表される基
(m2は0又は1〜5の整数、n2は1〜10の整数、R4及びR5は前記に同じ。)を示し、m1+m2の平均値は0〜10、n1+n2の平均値は2〜20である。)
上記式(1)において、環Zで表されるアレーン環として、ベンゼン環などの単環式アレーン環、多環式アレーン環などが挙げられ、多環式アレーン環には、縮合多環式アレーン環(縮合多環式炭化水素環)、環集合アレーン環(環集合芳香族炭化水素環)などが含まれる。
環集合アレーン環としては、ビアレーン環、例えば、ビフェニル環、ビナフチル環、フェニルナフタレン環(1−フェニルナフタレン環、2−フェニルナフタレン環など)などのビC6−12アレーン環、テルアレーン環、例えば、テルフェニレン環などのテルC6−12アレーン環などが例示できる。好ましい環集合アレーン環は、ビC6−10アレーン環、特にビフェニル環などが挙げられる。
縮合多環式アレーン環としては、例えば、縮合二環式アレーン(例えば、ナフタレンなどの縮合二環式C10−16アレーン)環、縮合三環式アレーン(例えば、アントラセン、フェナントレンなど)環などの縮合二乃至四環式アレーン環などが挙げられる。好ましい縮合多環式アレーン環としては、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられ、特に、ナフタレン環が好ましい。なお、2つの環Zは同一の又は異なる環であってもよい。
前記式(1)において、基R1として、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、カルボキシル基、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基)、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)などが挙げられる。
これらの基R1のうち、メチル基などのC1−4アルキル基(特に、メチル基)が好ましい。置換数kは0〜4、好ましくは0〜1、特に0である。なお、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよく、kが2以上である場合、基R1の種類は互いに同一又は異なっていてもよく、フルオレン環の2つのベンゼン環に置換する基R1の種類は同一又は異なっていてもよい。また、基R1の置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレン環の2−位乃至7−位(2−位、7−位、2−及び7−位など)であってもよい。
前記式(1)において、非反応性置換基R2としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−10アルキル基、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基、さらに好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基など)、アリール基[フェニル基、アルキルフェニル基(メチルフェニル(トリル)基、ジメチルフェニル(キシリル)基など)、ビフェニル基、ナフチル基などのC6−12アリール基、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−10アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロへキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基など)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基など)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基などのC1−10アルキルチオ基など)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロへキシルチオ基などのC5−10シクロアルキルチオ基など)、アリールチオ基(例えば、チオフェノキシ基などのC6−10アリールチオ基など)、アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルチオ基など)、アシル基(例えば、アセチル基などのC1−6アシル基など)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など)、ニトロ基、シアノ基、ジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのジC1−4アルキルアミノ基など)、ジアルキルカルボニルアミノ基(例えば、ジアセチルアミノ基などのジC1−4アルキル−カルボニルアミノ基など)などが例示できる。
これらの基R2のうち、代表的には、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基などが挙げられる。好ましい基R2としては、アルキル基(メチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基など)、アリール基、アルコキシ基(メトキシ基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルコキシ基など)など、特にアルキル基(特に、メチル基)が好ましい。なお、基R2がアリール基であるとき、基R2は、それぞれ、環Zとともに、前記環集合アレーン環を形成してもよい。R2の種類は、同一の又は異なる環Zにおいて、同一又は異なっていてもよい。
置換数pの数は、環Zの種類やpの数などに応じて適宜選択でき、例えば、0〜8程度であってもよく、0〜4(例えば、0〜2)、好ましくは0又は1であってもよい。特に、pが1である場合、環Zがベンゼン環、ナフタレン環又はビフェニル環、R2がメチル基であってもよい。
前記式(1)において、A1は前記式(2)又は(3)で表される基のいずれであってもよく、A2は前記式(4)又は(5)で表される基のいずれであってもよい。好ましい態様では、A1が前記式(2)で表される基及びA2が前記式(4)で表される基、若しくはA1が前記式(3)で表される基及びA2が前記式(5)で表される基である。特に、A1が前記式(2)で表される基及びA2が前記式(4)で表される基であるのが好ましい。
前記式(1)において、オキシ直鎖状アルキレン基(OR4)を構成する直鎖状アルキレン基R4としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基などのC2−6アルキレン基などが例示でき、好ましくは直鎖状C2−4アルキレン基、さらに好ましくは直鎖状C2−3アルキレン基、特にエチレン基が挙げられる。なお、m1及びm2が2以上であるときは、R4は同一又は異なる種類のアルキレン基で構成してもよく、通常、同一である場合が多い。
オキシ直鎖状アルキレン基(OR4)の数(付加モル数)m1及びm2は同一又は異なって、それぞれ0〜5の整数から選択でき、例えば、1〜4の整数、好ましくは1〜3の整数、さらに好ましくは1又は2の整数であってもよい。また、m1+m2の平均値は0〜10程度の範囲から選択でき、例えば、2〜8、好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4、特に2又は3であってもよい。
前記式(1)において、オキシ分岐鎖状アルキレン基(OR5)を構成する分岐鎖状アルキレン基R5としては、例えば、プロピレン基、1,2−ブタンジイル基、1,3−ブタンジイル基などの分岐鎖状C3−6アルキレン基、好ましくは分岐鎖状C3−4アルキレン基、特にプロピレン基が挙げられる。なお、n1及びn2が2以上であるときは、R5は同一又は異なる種類のアルキレン基で構成されていてもよく、通常、同一である場合が多い。
オキシ分岐鎖状アルキレン基(OR5)の数(付加モル数)n1及びn2は同一又は異なって、それぞれ1〜10の整数から選択でき、例えば、1〜9、好ましくは2〜8、さらに好ましくは3〜7の整数、特に4〜6の整数であってもよい。また、n1+n2の平均値は2〜20程度の範囲から選択でき、例えば、2〜18、好ましくは4〜16、さらに好ましくは6〜14、特に8〜12(例えば、9〜11)であってもよい。
本発明の(メタ)アクリレート化合物(I)は、m1+m2の平均値に対して、n1+n2の平均値が大きくなるほど、意外にも、粘度が低下し、ハンドリング性が向上する。また、m1+m2の平均値に対して、n1+n2の平均値が大きくなっても、高屈折率及び優れた耐スクラッチ性を維持できる。すなわち、直鎖状アルキレン基に対して、分岐鎖状アルキレン基の割合が高くなるほど、上記のように、優れた特性が得られる。
前記式(1)において、基[CH2=C(R3)−CO−A1−O−]又は基[CH2=C(R3)−CO−A2−O−][(メタ)アクリロイルオキシ基含有基という場合がある]の置換数qは同一又は異なって1以上の整数であればよく、例えば、1〜4、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2、特に1であってもよい。なお、置換数qは、それぞれの環Zにおいて、同一又は異なっていてもよい。なお、(メタ)アクリロイルオキシ基含有基は、環Zの適当な位置に置換でき、例えば、環Zがベンゼン環である場合には、フェニル基の2−,3−,4−位(特に、3−位及び/又は4−位)に置換している場合が多く、環Zがナフタレン環である場合には、ナフチル基の5〜8位である場合が多く、例えば、フルオレンの9−位に対して、1−,5−位、2−,6−位などの関係(特にqが1である場合、2−,6−位の関係)である場合が多い。また、qが2以上である場合、置換位置は、特に限定されない。また、環集合アレーン環Zにおいて、(メタ)アクリロイルオキシ基含有基の置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレンの9−位に結合したアレーン環及び/又はこのアレーン環に隣接するアレーン環に置換していてもよい。例えば、ビフェニル環Zの3−位又は4−位がフルオレンの9−位に結合していてもよく、ビフェニル環Zの4−位がフルオレンの9−位に結合しているとき、(メタ)アクリロイルオキシ基含有基の置換位置は、2−,3−,5−,6−,2’−,3’−,4’−,5’−,6’−位のいずれであってもよく、通常、2−,6−,3’−,4’−,5’−、好ましくは、2−,6−,4’−位(特に、2−位,6−位)に置換していてもよい。
前記式(1)において代表的な化合物は、9,9−ビス[(メタ)アクリロイル−(モノ又はポリ)オキシ分岐鎖状アルコキシ−(モノ又はポリ)直鎖状オキシアルコキシ(モノ又はビ)アリール]フルオレン、例えば、9,9−ビス[(メタ)アクリロイル−(モノ又はポリ)オキシ分岐鎖状C3−6アルコキシ−(モノ又はポリ)直鎖状C2−6オキシアルコキシ(モノ又はビ)C6−10アリール]フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス[(メタ)アクリロイル−(モノ又はポリ)オキシ分岐鎖状C3−4アルコキシ−(モノ又はポリ)直鎖状C2−3オキシアルコキシ(モノ又はビ)C6−10アリール]フルオレンなどが挙げられる。
なお、環Zがベンゼン環であるとき、フルオレンの9−位に置換するフェニル基の3−位又は4−位(特に、4−位)に(メタ)アクリロイルオキシ基含有基が置換している場合が多い。また、環Zがナフタレン環であるとき、(メタ)アクリロイルオキシ基含有基は、フルオレンの9位に対して、1,5位又は2,6位の位置関係(特に、2,6位)にある場合が多い。さらに、環Zがビフェニル環である場合、例えば、ビフェニル環Zの3−位又は4−位(特に、4−位)がフルオレンの9−位に結合している場合が多く、ビフェニル環Zの4−位がフルオレンの9−位に結合しているとき、(メタ)アクリロイルオキシ基含有基の置換位置は、2−位、6−位、4’−位(特に、2−位,6−位)に置換している場合が多い。
式(1)中、A1が式(2)で表される基及びA2が式(4)で表される基であり、R3が水素原子又はメチル基、k=0、p=0、q=1である具体的な化合物を表1に例示し、式(1)中、A1が式(2)で表される基及びA2が式(4)で表される基であり、R2がメチル基、R3が水素原子又はメチル基、k=0、p=1、q=1である具体的な化合物を表2に例示する。なお、表1及び2中、置換位置は、環Zに対する(メタ)アクリロイルオキシ基含有基の置換位置を示し、m1+m2、n1+n2は、それぞれ平均値を示す。また、表2中、R2の置換位置は、環Zに対する置換位置を示す。
本発明の式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(I)は、オキシアルキレン基が、直鎖状オキシアルキレン基(例えば、オキシエチレン基)と分岐鎖状オキシアルキレン基(例えば、オキシプロピレン基)とを組み合わせて構成されているため、分子量が大きくても低粘度であり、希釈剤を使用しなくてもハンドリング性に優れている。
式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(I)の粘度(温度25℃)は、例えば、100〜10000mPa・s(例えば、500〜8000mPa・s)、好ましくは1000〜7000mPa・s、さらに好ましくは2000〜5000mPa・s程度であってもよい。
また、本発明の式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(I)は、比較的高い屈折率を有している。式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(I)の屈折率(波長589nm、温度25℃)は、例えば、1.50〜1.70(例えば、1.505〜1.67)、好ましくは1.51〜1.65(例えば、1.515〜1.63)、さらに好ましくは1.52〜1.61(例えば、1.55〜1.60)程度であってもよい。
[(メタ)アクリレート化合物(I)の製造方法]
本発明の(メタ)アクリレート化合物(I)は、下記式(6)で表される化合物と下記式(7)で表される化合物とのエステル化反応により製造できる。下記式(6)で表される化合物は下記式(8)で表される化合物と基OR4又は基OR5に対応するアルキレンオキシド、アルキレンカーボネート及び/又はハロアルカノール(塩化アルカノール、臭化アルカノールなど)との付加反応により得ることができる。また、式(8)で表される化合物は、市販品を使用してもよいが、慣用の方法、例えば、9−フルオレノン類と、環Zに基[HO−B2−O−]及び[HO−B1−O−]が置換したヒドロキシ基含有アレーン環化合物(例えば、2−フェノキシエタノールなどのフェノキシアルカノール類など)とを酸触媒の存在下で反応させる方法、フルオレン類の9−位にヒドロキシアリール基が置換したフルオレン化合物[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなど]と、基OR4又は基OR5に対応するアルキレンオキシド、アルキレンカーボネート及び/又はハロアルカノールとを反応させる方法で合成してもよい。
(式中、R6はヒドロキシル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示し、B1は下記式(9)又は下記式(10)で表される基
(R4、R5、m1、n1は前記に同じ。)を示し、B2は下記式(11)又は下記式(12)で表される基
(R4、R5、m2、n2は前記に同じ。)を示し、環Z、R1、R2、R3、A1、A2、k、p、qは前記に同じ。)
前記式(6)で表される化合物としては、前記式(1)に対応する化合物[例えば、表1及び2に対応する式(6)の化合物]が例示できる。
前記式(7)において、基R6で表されるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基などのC1−4アルコキシ基などが例示でき、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが例示できる。式(7)で表される具体的な化合物としては、(メタ)アクリル酸又はその誘導体(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどのC1−4アルキル(メタ)アクリレートなど)、(メタ)アクリル酸ハライド(例えば、(メタ)アクリル酸クロライドなど)などが例示できる。
式(7)で表される化合物の割合は、式(6)で表される化合物のヒドロキシル基1モルに対して、例えば、1モル以上(例えば、1.2モル〜5モル)、好ましくは1.5〜3モル程度であってもよい。
また、エステル化反応では触媒を使用してもよい。触媒は、酸触媒を使用しても、塩基触媒を使用してもよい。特に、式(7)においてR6が水素原子及び低級アルキル基である場合には、酸触媒を好適に使用できる。酸触媒としては、特に限定されず、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸などの無機酸、スルホン酸(メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのアルカンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのアレーンスルホン酸など)などの有機酸、陽イオン交換樹脂などの固体酸触媒が挙げられる。酸触媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
前記触媒の割合は、特に限定されず、式(6)の化合物1モルに対して、例えば、0.001モル〜1モル、好ましくは0.01〜0.5モル程度であってもよい。
式(7)においてR6がハロゲン原子である(メタ)アクリル酸ハライド(特に、R6が塩素原子である(メタ)アクリル酸クロライド)を用いる場合には、反応で生成するハロゲン化水素をトラップするため、塩基の存在下で反応させてもよい。塩基としては、例えば、金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物など)、金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの炭酸アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩など)などの無機塩基、アミン類(トリエチルアミンなどのトリアルキルアミン、ベンジルジメチルアミンなどの芳香族第3級アミン、ピリジンなどの複素環式第3級アミンなど)などの有機塩基などが挙げられる。塩基は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
塩基の使用量は、特に限定されないが、例えば、前記式(6)で表される化合物のヒドロキシル基1モルに対して、例えば、0.8〜20モル(例えば、1〜10モル)、好ましくは1.2〜5モル、さらに好ましくは1.5〜3モル程度であってもよい。
反応では、重合禁止剤を好適に使用できる。重合禁止剤としては、ベンゾキノン、ヒドロキノン類(例えば、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール、p−tert−ブチルヒドロキノンなど)、カテコール類(例えば、p−tert−ブチルカテコールなど)、アミン類(例えば、N,N−ジエチルヒドロキシルアミンなど)、1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル、トリ−p−ニトロフェニルメチルなどが例示できる。重合禁止剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
重合禁止剤の割合は、式(7)で表される化合物100重量部に対して、例えば、0.01〜1重量部程度であってもよい。
反応では、溶媒を使用してもよい。溶媒は、例えば、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類など)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素など)、エーテル類(ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル類、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、エステル類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)などが挙げられる。溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
反応温度や反応時間は、使用する原料の種類に応じて適宜選択できる。反応温度は、特に限定されず、例えば、0〜120℃、好ましくは25〜100℃、さらに好ましくは50〜80℃程度であってもよい。
反応は、還流しながら行ってもよい。また、反応は、空気中又は不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中、攪拌しながら行うことができ、常圧下、加圧下又は減圧下で行ってもよい。
なお、生成した化合物(前記式(1)で表される化合物(I))は、慣用の方法、例えば、濾過、貧溶媒での再沈、濃縮、抽出などの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製してもよい。
式(6)で表される化合物は式(8)で表される化合物とアルキレンオキサイド、アルキレンカーボネート及び/又はハロアルカノールとの付加反応により得ることができる。
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、トリメチレンオキシドなどの直鎖状C2−6アルキレン基など;1,2−エポキシプロパン、1,2−エポキシブタンなどの分岐鎖状C3−6アルキレンオキシドなどが例示できる。特に、エチレンオキシド、1,2−エポキシプロパンなどが好ましい。なお、アルキレンオキシドとともに、又はアルキレンオキシドに代えて、アルキレンカーボネート(例えば、エチレンカーボネートなどの直鎖状アルキレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの分岐鎖状アルキレンカーボネート)を使用してもよい。
ハロアルカノールとしては、2−ハロエタノール、3−ハロ−1−プロパノールなどのハロ直鎖状C2−6アルカノールなど:1−ハロ−2−プロパノール、2−ハロ−1−プロパノール、2−ハロ−1−ブタノールなどのハロ分岐鎖状C3−6アルカノールなどが例示できる。特に、2−ハロエタノール、1−ハロ−2−プロパノール、2−ハロ−1−プロパノールなどが好ましい。
式(8)の化合物に直鎖状オキシアルキレン基OR4を導入する場合には、直鎖状アルキレンオキシド又はハロ直鎖状アルカノールを使用し、式(8)の化合物に分岐鎖状オキシアルキレン基OR5を導入する場合には、分岐鎖状アルキレンオキシド又はハロ分岐鎖状アルカノールを使用できる。
基OR4又は基OR5に対応するアルキレンオキシド又はハロアルカノール使用量は、前記式(1)におけるm1+m2又はn1+n2の値に応じて調整できる。例えば、前記式(6)の化合物を合成する場合には、前記式(8)の化合物1モルに対して、例えば、理論上は、(m1+m2)×(n1+n2)モルのアルキレンオキシド又はハロアルカノールを用いればよい。
式(8)の化合物とアルキレンオキシドとの反応は、塩基の存在下で行ってもよい。塩基としては、前記エステル化反応において例示した塩基(例えば、アルカリ金属水酸化物など)などが使用できる。
式(8)の化合物とハロアルカノールとの反応は、触媒を用いてもよく、また、反応により生じるハロゲン化水素をトラップするため、塩基(例えば、アルカリ金属水酸化物など)の存在下で行ってもよい。
触媒としては、第4級アンモニウム塩(テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチルアミンボラン、クラウンエーテル、ホスホニウム塩、ピリジニウム塩など)などが挙げられる。触媒は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
触媒の使用量は、特に限定されないが、前記式(8)で表される化合物1モルに対して、例えば、0.001〜1モル(例えば、0.005〜0.5モル)、好ましくは0.01〜0.2モル、さらに好ましくは0.05〜0.1モル程度であってもよい。
式(8)の化合物と、アルキレンオキシド及び/又はハロアルカノールとの反応温度は、例えば、0〜200℃、好ましくは25〜150℃、さらに好ましくは50〜100℃程度であってもよく、反応は還流しながら行ってもよい。また、空気中又は不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中、攪拌しながら行ってもよく、常圧下、加圧下又は減圧下で行ってもよい。さらに、反応は不活性な溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、例えば、前記エステル化反応で用いた溶媒が挙げられる。また、生成した化合物(前記式(6)で表される化合物)は、濾過、抽出、晶析などの慣用の方法により精製してもよい。
[硬化性組成物]
式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(I)[又は(メタ)アクリレート樹脂]は、硬化剤(熱硬化剤、光硬化剤など)などを含む硬化性組成物を構成していてもよい。前記硬化性組成物は、式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(I)以外の他の(メタ)アクリレート(II)を含んでいてもよい。
他の(メタ)アクリレート(II)は、単官能性(メタ)アクリレート(A)と多官能性(メタ)アクリレート(B)に大別できる。ハンドリング性及び屈折率の観点からは、これらのうち、単官能性(メタ)アクリレート(A)を含むことが好ましい。
<単官能性(メタ)アクリレート(A)>
単官能性(メタ)アクリレート(A)としては、例えば、アリール基を有する単官能性(メタ)アクリレート(A1)[例えば、下記式(13)
(式中、R7は水素原子又はメチル基、R8はアルキレン基、R9はアルキル基、Arは縮合多環式アレーン環又は環集合アレーン環、aは1〜4の整数、bは0又は1以上の整数を示す。)
で表される単官能性(メタ)アクリレート(A1−1);アリール基と硫黄原子とを含有する単官能性(メタ)アクリレート(A1−2);前記単官能性(メタ)アクリレート(A1−1)及び単官能性(メタ)アクリレート(A1−2)以外のアリール基を有する単官能性(メタ)アクリレート(A1−3)、例えば、アリール(メタ)アクリレート(例えば、(メタ)アクリル酸フェニルなど)、フェノキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなど)、アラルキル(メタ)アクリレート(例えば、ベンジル(メタ)アクリレートなど)、フェノキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなど)、フェノキシ(ポリ)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレートなど)、アルキルフェノキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートなど)、アルキルフェノキシ(ポリ)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ノニルフェノキシ(ポリ)エトキシエチル(メタ)アクリレートなど)、アリールオキシアリールアルキル(メタ)アクリレート(例えば、フェノキシベンジル(メタ)アクリレートなど)、アリールオキシアリールアルコキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、フェノキシベンジルオキシエトキシ(メタ)アクリレートなど)、アリールオキシアリールアルコキシ(ポリ)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、フェノキシベンジルオキシ(ポリ)エトキシ(メタ)アクリレートなど)、ビスフェノール類又はそのアルキレンオキシド付加体のモノ(メタ)アクリレート(例えば、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体のモノ(メタ)アクリレートなど)、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート(例えば、9−(メタ)アクリロイルオキシメチルフルオレンなど)など];アリール基を有していない単官能性(メタ)アクリレート(A2)、例えば、(メタ)アクリル酸アルキル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸C1−20アルキルなど]、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、アルキルチオ(メタ)アクリレート(例えば、メチルチオ(メタ)アクリレートなど)、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなど)、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど)などが例示できる。これらの単官能性(メタ)アクリレート(A)は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの単官能性(メタ)アクリレート(A)のうち、アリール基を有する単官能性(メタ)アクリレート(A1)を含むことが好ましい。中でも、前記式(13)で表される単官能性(メタ)アクリレート(A1−1)、及びアリール基と硫黄原子とを含有する単官能性(メタ)アクリレート(A1−2)から選択された少なくとも1種、特に、双方を含むのが好ましい。
<単官能性(メタ)アクリレート(A1−1)>
前記式(13)で表される単官能性(メタ)アクリレート(A1−1)において、R7は水素原子又はメチル基のいずれであってもよい。
R8のアルキレン基としては、前記式(2)〜(5)におけるR4及びR5と同様の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基が例示でき、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、1,3−ブタンジイル基、テトラメチレン基などの直鎖状又は分岐鎖状C2−6アルキレン基、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレン基、さらに好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C2−3アルキレン基(例えば、エチレン基)などが挙げられる。
基(R8O)の繰り返し単位数aは1〜4の整数、例えば1〜3の整数、好ましくは1又は2、さらに好ましく1であってもよい。なお、aが2以上である場合、R8はそれぞれ同一又は異なっていてもよい。
また、環Arは縮合多環式アレーン環又は環集合アレーン環のいずれであってもよく、代表的な縮合多環式アレーン環及び環集合アレーン環としては、前記[(メタ)アクリレート化合物(I)]の項にて、前記式(1)における環Zの例示部分に記載の多環式アレーン環(縮合多環式アレーン環及び環集合アレーン環)と同様のアレーン環が例示できる。これらの環Arのうち、ナフタレン環、ビフェニル環が好ましく、特にナフタレン環が好ましい。
前記式(13)において、環Arに対する基[−O−(R8O)−CO−C(R7)=CH2](基Yという場合がある)の結合位置は特に制限されず、例えば、環Arがナフタレン環である場合には、1−位、2−位のいずれの位置に結合していてもよいが、2−位に結合しているのが好ましい。また、環Arがビフェニル環である場合には、2−位、3−位、4−位のいずれの位置に結合していてもよいが、2−位に結合しているのが好ましい。
R9のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−12アルキル基、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C1−9アルキル基、さらに好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基などが挙げられる。
アルキル基R9の置換数bは0又は1以上の整数であればよく、例えば0〜4の整数、好ましくは0〜2の整数、さらに好ましくは0又は1、特に0であってもよい。なお、bが2以上である場合、アルキル基R9の種類はそれぞれ同一又は異なっていてもよい。また、アルキル基R9の置換位置は特に制限されず、例えば、環Arがナフタレン環であり、基Yが2−位に結合しているとき、2−ナフチル基の1−位及び3−乃至8−位のうちのいずれの位置に置換していてもよく、環Arがビフェニル環であり、基Yが2−位に結合しているとき、2−ビフェニル基の3−乃至6−位、及び2’−乃至6’−位のうちのいずれの位置に置換していてもよい。
前記式(13)で表される単官能性(メタ)アクリレート(A1−1)の代表例としては、例えば、前記式(13)において、環Arが縮合多環式アレーン環、a=1及びb=0である縮合多環式アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2−(2−ナフトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(1−ナフトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレートなどの縮合多環式C10−16アリールオキシC2−4アルキル(メタ)アクリレートなど);前記式(13)において、環Arが縮合多環式アレーン環、a≧2及びb=0である縮合多環式アリールオキシ(ポリ)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2−(2−(2−ナフトキシ)エトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−(2−ナフトキシ)プロポキシ)プロピル(メタ)アクリレートなどの縮合多環式C10−16アリールオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC2−4アルキル(メタ)アクリレートなど);前記式(13)において、環Arが縮合多環式アレーン環、a=1及びb=1であるアルキル縮合多環式アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ノニルナフトキシエチル(メタ)アクリレートなどのC1−12アルキル縮合多環式C10−16アリールオキシC2−4アルキル(メタ)アクリレートなど);前記式(13)において、環Arが縮合多環式アレーン環、a≧2及びb=1であるアルキル縮合多環式アリールオキシ(ポリ)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ノニルナフトキシ(ポリ)エトキシエチル(メタ)アクリレートなどのC1−12アルキル縮合多環式C10−16アリールオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC2−4アルキル(メタ)アクリレートなど);前記式(13)において、環Arが環集合アレーン環、a=1及びb=0である環集合アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2−(o−フェニルフェノキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(m−フェニルフェノキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(p−フェニルフェノキシ)エチル(メタ)アクリレートなどのC6−10アリールC6−10アリールオキシC2−4アルキル(メタ)アクリレートなど);前記式(13)において、環Arが環集合アレーン環、a≧2及びb=0である環集合アリールオキシ(ポリ)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、フェニルフェノキシ(ポリ)エトキシエチル(メタ)アクリレートなどのC6−10アリールC6−10アリールオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC2−4アルキル(メタ)アクリレートなど)などが挙げられる。これらの前記式(13)で表される単官能性(メタ)アクリレート(A1−1)は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましい単官能性(メタ)アクリレート(A1−1)としては、前記式(13)において、a=1及びb=0である化合物、さらに好ましくは、フェニルフェノキシC2−4アルキル(メタ)アクリレート(例えば、2−(o−フェニルフェノキシ)エチル(メタ)アクリレートなど)であってもよい。このような単官能性(メタ)アクリレート(A1−1)は、粘度低減効果が高く、さらに耐スクラッチ性及び屈折率を保持又は向上できる。なかでも、a=1及びb=0、かつ環Arが縮合多環式アレーン環である化合物、例えば、ナフトキシC2−4アルキル(メタ)アクリレート(例えば、2−(2−ナフトキシ)エチル(メタ)アクリレートなど)などが特に好ましい。このような環Arが縮合多環式アレーン環である化合物は、粘度低減効果と、屈折率及び耐スクラッチ性の改善効果とをさらにバランスよく向上できる。
なお、式(13)で表される化合物は、市販品を使用してもよく、公知の方法、例えば、特開2012−226040号公報に記載の方法又はこの方法に準じた方法などによって製造することができる。
<単官能性(メタ)アクリレート(A1−2)>
前記アリール基と硫黄原子とを含有する単官能性(メタ)アクリレート(A1−2)としては、例えば、アリールチオ(メタ)アクリレート(例えば、フェニルチオ(メタ)アクリレートなど)、アラルキルチオ(メタ)アクリレート(例えば、ベンジルチオ(メタ)アクリレートなど)、アリールチオアルキル(メタ)アクリレート(例えば、フェニルチオエチル(メタ)アクリレートなど)などが挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレート(A1−2)は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
アリール基と硫黄原子とを含有する単官能性(メタ)アクリレート(A1−2)の中でもアリールチオアルキル(メタ)アクリレート(例えば、フェニルチオエチル(メタ)アクリレートなど)は、耐スクラッチ性の維持又は改善効果が高く、かつ高屈折率であり、ハンドリング性、屈折率、耐スクラッチ性を高いレベルでバランスよく付与することができるため好ましい。
このようなアリール基を有する単官能性(メタ)アクリレート(A1)(又はそれらを組み合わせた混合物)と、式(1)で表される化合物(I)とを組み合わせると、硬化性組成物のハンドリング性をより向上(有効に低粘度化)でき、高屈折率及び優れた耐スクラッチ性を有する硬化物が得られる。
式(1)で表される化合物(I)と、前記アリール基を有する単官能性(メタ)アクリレート(A1)との割合は、前者/後者(重量比)=100/0〜10/90(例えば、95/5〜10/90)程度の範囲から選択でき、好ましくは80/20〜15/85(例えば、70/30〜20/80)、さらに好ましくは60/40〜25/75(例えば、50/50〜30/70)程度であってもよい。
また、アリール基を有する単官能性(メタ)アクリレート(A1)において、前記式(13)で表される単官能性(メタ)アクリレート(A1−1)と、アリール基と硫黄原子とを含有する単官能性(メタ)アクリレート(A1−2)との割合は、前者/後者(重量比)=100/0〜30/70(例えば、99/1〜30/70)程度の範囲から選択でき、好ましくは80/20〜30/70(例えば、75/25〜35/65)、さらに好ましくは60/40〜40/60(例えば、50/50〜40/60)程度であってもよい。前記式(13)で表される単官能性(メタ)アクリレート(A1−1)の割合が少なすぎると、ハンドリング性、屈折率、耐スクラッチ性をバランスよく付与できなくなるおそれがある。
<多官能性(メタ)アクリレート(B)>
多官能性(メタ)アクリレート(B)としては、式(1)で表される化合物(I)以外の、他の多官能性(メタ)アクリレート、例えば、二官能性(メタ)アクリレート[例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレートなどのC2−10アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA(又はそのアルキレンオキシド付加体)のジ(メタ)アクリレート]、三官能性以上の(メタ)アクリレート[例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどのトリオール又はテトラオールのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート]、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、前記式(1)以外のフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート{例えば、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンなど}などが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレート(B)は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
硬化性組成物は、本発明の効果(ハンドリング性の改善)を害しない範囲で、式(1)で表される化合物(I)及びアリール基を有する単官能性(メタ)アクリレート(A1)に加えて、他の多官能性(メタ)アクリレート(B)を含んでいてもよい。これらの成分を組み合わせることで、ある程度のハンドリング性、屈折率、耐スクラッチ性を維持しつつ、用途に応じて前記特性のバランスを調整することができる。
中でも二官能性(メタ)アクリレート、例えば、芳香族骨格を有する二官能性(メタ)アクリレート[例えば、芳香族骨格を有する二官能性(メタ)アクリレート、特に、ビスフェノールA又はそのC2−3アルキレンオキシド付加体(例えば、ビスフェノールA 1モルに対して1〜20モル、好ましくは2〜18モル、さらに好ましくは3〜15モルのC2−3アルキレンオキシド付加体)のジ(メタ)アクリレート;二官能性オリゴマー(特に、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン(メタ)アクリレート)など]などと好適に組み合わせることができる。
また、多官能性(メタ)アクリレート(B)[例えば、二官能性(メタ)アクリレート(例えば、ビスフェノールA又はそのC2−3アルキレンオキシド付加体の二官能性(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレートなどの二官能性オリゴマーなど)など]は、アリール基を有する単官能性(メタ)アクリレート(A1)(例えば、ナフトキシエチル(メタ)アクリレートなどの縮合多環式アリールオキシアルキル(メタ)アクリレートなど)とともに組み合わされることが好ましい。アリール基を有する単官能性(メタ)アクリレート(A1)と、多官能性(メタ)アクリレート(B)との割合は、前者/後者(重量比)=100/0〜10/90(例えば、99/1〜15/85)程度の範囲から選択でき、好ましくは90/10〜20/80(例えば、70/30〜25/75)、さらに好ましくは50/50〜30/70(例えば、45/55〜35/65)程度であってもよい。アリール基を有する単官能性(メタ)アクリレート(A1)の割合が少なすぎると、ある程度のハンドリング性及び屈折率が維持できなくなるおそれがある。
高屈折率及び高耐熱性の観点からは、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有している式(1)で表される化合物(I)が多く含まれていることが好ましく、式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(I)の割合は、(メタ)アクリレート成分[式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(I)と他の(メタ)アクリレート(II)]の総量100重量部に対して、例えば、50〜100重量部、好ましくは70〜100重量部(例えば、75〜95重量部)、さらに好ましくは80〜100重量部(例えば、80〜95重量部)程度であってもよい。
また、ある程度のハンドリング性、屈折率、耐スクラッチ性を維持しつつ、用途に応じて前記特性のバランスを調整する場合、式(1)で表される化合物(I)の割合は、前記(メタ)アクリレート成分[(I)及び(II)]の総量100重量部に対して、例えば、10〜100重量部(例えば、10〜99重量部)程度の範囲から選択でき、好ましくは15〜99重量部(例えば、20〜98重量部)、さらに好ましくは25〜95重量部(例えば、30〜90重量部)程度であってもよい。式(1)で表される化合物(I)の割合が少なすぎると、耐スクラッチ性が低下するおそれがある。
前記硬化性組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。この重合開始剤は熱重合開始剤(熱ラジカル発生剤)であってもよく、光重合開始剤(光ラジカル発生剤)であってもよい。
熱重合開始剤としては、有機過酸化物[ジアルキルパーオキサイド類(例えば、ジ−tert−ブチルパーオキサイドなど)、ジアシルパーオキサイド類(例えば、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなど)、過酸(又は過酸エステル)類(例えば、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、過酢酸tert−ブチルなど)ケトンパーオキサイド類、パーオキシカーボネート類、パーオキシケタール類]、アゾ化合物[例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)などのアゾニトリル化合物、アゾアミド化合物、アゾアミジン化合物など]などが例示できる。これらの熱重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン類(ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類など)、アセトフェノン類(アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなど)、アミノアセトフェノン類{2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノアミノプロパノン−1など}、アントラキノン類(アントラキノン、2−メチルアントラキノンなど)、チオキサントン類(2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなど)、ケタール類(アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなど)、ベンゾフェノン類(ベンゾフェノンなど)、キサントン類などが例示できる。これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
重合開始剤(熱又は光重合開始剤)の使用量は、(メタ)アクリレート成分の総量100重量部に対して0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部(例えば、1〜8重量部)、さらに好ましくは2〜5重量部程度であってもよい。
光重合開始剤は、光増感剤と組み合わせてもよい。光増感剤としては、第3級アミン類{例えば、トリアルキルアミン、トリアルカノールアミン(トリエタノールアミンなど)、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル[p−(ジメチルアミノ)安息香酸エチルなど]、N,N−ジメチルアミノ安息香酸アミル[p−(ジメチルアミノ)安息香酸アミルなど]などのジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、4−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンなどのジアルキルアミノベンゾフェノンなど}などの慣用の光増感剤などが挙げられる。これらの光増感剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
光増感剤の使用量は、前記重合開始剤100重量部に対して、1〜200重量部、好ましくは5〜150重量部、さらに好ましくは10〜100重量部程度であってもよい。
また、前記硬化性組成物は溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、特に限定されず、前記例示の溶媒の他、エステル類(例えば、酢酸エチル)、ニトリル類(例えば、アセトニトリルなど)などが例示できる。
さらに、前記硬化性組成物は、慣用の添加剤、例えば、着色剤、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、充填剤、帯電防止剤、難燃剤、界面活性剤、可塑剤、硬化剤、重合禁止剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
[硬化物]
本発明の式(1)で表される化合物(I)又は前記硬化性組成物は、活性エネルギー(活性エネルギー線)を付与することで容易に硬化し、硬化物を生成する。前記活性化エネルギーは、熱エネルギー及び/又は光エネルギー(紫外線、X線など)が有用である。
熱エネルギーを利用して加熱処理する場合加熱温度としては、例えば、50〜200℃、好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは70〜120℃程度であってもよい。
また、紫外線光照射する場合、光照射エネルギー量は、用途に応じて適宜選択でき、例えば、50〜10000mJ/cm2、好ましくは70〜8000mJ/cm2、さらに好ましくは100〜5000mJ/cm2(例えば、500〜3000mJ/cm2)程度であってもよい。
前記硬化物は、式(1)で表される化合物(I)が所定のオキシアルキレン基で構成されているため、耐スクラッチ性に優れているとともに、フルオレン骨格由来の高屈折率などの光学的特性も有している。
なお、前記硬化物の有する耐スクラッチ性とは、傷つきにくさのみならず、傷が付いたとしても傷を修繕、回復させる特性を意味する。
前記硬化物の屈折率(波長589nm、温度25℃)は、例えば、1.50〜1.70、好ましくは1.52〜1.65、さらに好ましくは1.54〜1.61(例えば、1.55〜1.60)程度であってもよい。
また、前記硬化物は、式(1)で表される化合物(I)が親水性の高いオキシアルキレン基の繰り返し単位を有しているにもかかわらず、低吸水性(耐水性)に優れている。前記硬化物は、オキシアルキレン基の繰り返し単位により耐スクラッチ性を向上させているが、親水性の高いオキシアルキレン基の影響で吸水率が上昇しやすいため、耐スクラッチ性と低吸水性(耐水性)とはトレードオフの関係にある。さらに、前記硬化物は、オキシアルキレン基の繰り返し単位によって架橋密度が低下するため、水分子が内部により浸入しやすい状態となる。そのため、耐スクラッチ性と低吸水性(耐水性)とを両立するのは極めて困難である。しかし、本発明では、分岐鎖状オキシアルキレン基を有するためか、直鎖状オキシアルキレン基のみで前記繰り返し単位を構成する場合に比べて、優れた低吸水性(耐水性)を有している。従って、オキシアルキレン基の繰り返し単位の総数(式(1)で表される化合物(I)におけるm1、m2、n1及びn2の総和)が大きくても、低吸水性(耐水性)と耐スクラッチ性との両立ができる。
前記硬化物の吸水率(水温25℃、24時間浸漬時)は、例えば0.2〜1.2重量%、好ましくは0.4〜1.0重量%(例えば、0.5〜0.9重量%)、さらに好ましくは0.6〜0.8重量%(例えば、0.7〜0.8重量%)程度であってもよい。
また、前記硬化物の飽和吸水率(水温25℃)は、例えば0.5〜2.5重量%、好ましくは1.0〜2.0重量%(例えば、1.3〜1.8重量%)、さらに好ましくは1.4〜1.7重量%(例えば、1.5〜1.6重量%)程度であってもよい。なお、吸水率は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
硬化物は三次構造の硬化物(例えば、レンズなど)であってもよく、硬化膜(例えば、フィルムなど)であってもよい。
硬化物の製造方法は、特に限定されず、例えば、三次構造の硬化物の製造方法としては、硬化物の形状に応じて、前記硬化性組成物を成形又は所定の型内に注型(注入)した後、硬化処理(加熱及び/又は光照射)して製造してもよい。また、硬化膜の製造方法としては、例えば、前記硬化性組成物を基材又は基板[例えば、金属(アルミニウムなど)、セラミックス(酸化チタン、ガラス、石英など)などの無機材料、プラスチック(環状オレフィン系樹脂、ポリカーボネートなど)などの有機材料、木材などの多孔質体]に塗布してフィルム状の塗膜(又は薄膜)を形成させた後、硬化処理を施すことで製造してもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(粘度)
25℃における粘度を、TV−22形粘度計(コーンプレートタイプ、東機産業(株)製「TVE−22L」)を用い、測定粘度に応じたオプションロータ(01:1゜34×R24、07:3゜×R7.7)を選択し、回転数0.5〜20rpmで測定した。
(屈折率)
屈折計(アタゴ製、DR−M2<循環式恒温水槽60−C3>)を用いて、温度25℃、589nmでの屈折率を測定した。
(耐スクラッチ性)
表面性測定器 HEIDN−14DR(新東科学(株)製)を用いて、スチールウール♯0000を鉛筆硬度計の先端に装着し、硬化物(50mm×15mm×2mm)に荷重250gを垂直負荷させ、速度1mm/sで硬化物上を移動させ、傷の有無を目視にて確認した。この操作を5本の硬化物について行い、以下の基準で耐スクラッチ性を評価した。
○:すべての硬化物に傷が付かない
△:1本でも傷付く硬化物があるが、回復性が確認できる。
×:傷が付き、回復を確認できない。
(吸水率)
硬化物(50mm×15mm×2mm)を試験片として、オーブンで50℃、24時間乾燥し、試験片をデシケーターに移した。デシケーター内をダイヤフラムポンプで減圧しながら、試験片を1時間かけて常温まで放冷した。試験片の重量を測定し、水温25℃の水中に浸漬して、24時間後に取り出して重量を測定した。浸漬前後における試験片の重量増加率を24時間後の吸水率とした。その後、試験片を再度浸漬し、吸水が飽和状態に到達するまで、重量測定と浸漬を繰り返し、飽和吸水率を測定した。
(実施例1)
特開2001−139651号公報の実施例1と同様の方法にて、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製、以下BPEFという)1モルに対してプロピレンオキシド(PO)10モルが付加した化合物(以下、BPEF−10POという)を得た。
ディーンスタークを付けた500mL三口フラスコにBPEF−10PO 73.6g(0.07mol)、アクリル酸13.5g(0.19mol)、2−メトキシフェノール0.15g(0.0013mol)及びトルエン94gを加えた。系内を窒素置換し、60℃まで昇温させ、前記成分を溶解させた後、p−トルエンスルホン酸一水和物1.72g(0.009mol)を添加した。再度窒素置換後、115℃まで昇温させ、10時間還流脱水させた。
得られた溶液をトルエン251g及び20%食塩水で洗浄後、10%苛性ソーダ水と20%食塩水で中和させ、水層がpH10以上であることを確認した。その後、有機層に500ppmの2−メトキシフェノールを添加し、溶液を均一化させた。この溶液を20%食塩水で2回、蒸留水で2回洗浄し、水層がpH7であることを確認した後、有機層を濃縮し、セライト濾過を行った。濾過後、濾液を濃縮乾燥し、下記式で表される化合物(BPEF−10POAという)を得た。
(式中、m1及びm2はそれぞれ1、n1+n2の平均値は10である。)
得られたエポキシ化合物の固形分濃度は99.9重量%、屈折率は1.52、25℃における粘度は5000mPa・sであった。
(合成例1)
BPEF−10POAを褐色瓶に採取し、光重合開始剤としてイルガキュア184(BASFジャパン(株)製。後述の実施例2〜8及び比較例1においても、同様の光重合開始剤を使用した。)をBPEF−10POA 100重量部に対して3重量部添加し、加熱溶解して硬化性組成物を得た。離型剤をスプレー付着させたガラスに金型を載せ、この金型に得られた硬化性組成物を流し込み、もう一方を同じ処理を施したガラスで挟み、UV照射(500mJ/cm2)を4回繰り返し、硬化物を作製した。
得られた硬化物の屈折率は1.54、耐スクラッチ性は○であった。
(比較例1)
特開2001−139651号公報の実施例1と同様の方法にて、BPEF 1モルに対してエチレンオキシド(EO)9モルが付加した化合物(BPEF−9EOという)を得た。
BPEF−10POに代えて、BPEF−9EOを使用したこと以外は実施例1と同一の方法で合成し、下記式で表される化合物(BPEF−9EOAという)を得た。
(式中、m1及びm2はそれぞれ1、n1+n2の平均値は9である。)
得られたエポキシ化合物の固形分濃度は100重量%、屈折率は1.56、25℃における粘度は7000mPa・sであった。
(比較合成例1)
BPEF−10POAに代えて、BPEF−9EOAを使用したこと以外は合成例1と同一の方法で合成し、硬化物を作製した。
得られた硬化物の屈折率は1.57、耐スクラッチ性は△であった。
(実施例2)
実施例1で得られたBPEF−10POA 90重量部、2−(2−ナフトキシ)エチルアクリレート(大阪ガスケミカル(株)製、以下、NEOAという)10重量部を混合し、硬化性組成物を得た。
なお、光重合開始剤を含まない組成物の25℃、波長589nmでの屈折率は1.53、25℃での粘度は3600mPa・sであった。
硬化性組成物100重量部に対して、光重合開始剤3重量部を混合し、合成例1と同様の方法で作成した硬化物の耐スクラッチ性の評価は○であった。
(合成例2)
硬化性組成物100重量部に対して、光重合開始剤3重量部を混合し、TAC(酢酸セルロース)フィルム上に、アプリケーターにて膜厚200μmに塗布後、UV照射(500mJ/cm2)を1回照射して硬化物を作成した。
得られた硬化物は、膜厚100μmのフィルム状で、25℃、波長589nmでの屈折率は1.55であった。
(実施例3)
実施例1で得られたBPEF−10POA 40重量部、NEOA 30重量部、フェニルチオエチルアクリレート(Miwon Specialty Chemical Co.,Ltd製、以下、PTEAという)30重量部を混合し、硬化性組成物を得た。
なお、光重合開始剤を含まない組成物の25℃、波長589nmでの屈折率は1.56、25℃での粘度は200mPa・sであった。
硬化性組成物100重量部に対して、光重合開始剤3重量部を混合し、合成例1と同様の方法で作成した硬化物の耐スクラッチ性の評価は○であった。
また、硬化性組成物100重量部に対して、光重合開始剤3重量部を混合し、合成例2と同様の方法で作成した硬化物は、膜厚100μmのフィルム状で、25℃、波長589nmでの屈折率は1.57であった。
(実施例4)
実施例1で得られたBPEF−10POA 30重量部、NEOA 30重量部、PTEA 40重量部を混合し、硬化性組成物を得た。
なお、光重合開始剤を含まない組成物の25℃、波長589nmでの屈折率は1.56、25℃での粘度は70mPa・sであった。
硬化性組成物100重量部に対して、光重合開始剤3重量部を混合し、合成例1と同様の方法で作成した硬化物の耐スクラッチ性の評価は○であった。
また、硬化性組成物100重量部に対して、光重合開始剤3重量部を混合し、合成例2と同様の方法で作成した硬化物は、膜厚100μmのフィルム状で、25℃、波長589nmでの屈折率は1.58であった。
(実施例5)
実施例1で得られたBPEF−10POA 40重量部、NEOA 30重量部、2−(o−フェニルフェノキシ)エチルアクリレート(日本化薬(株)製、以下、OPPEOAという)30重量部を混合し、硬化性組成物を得た。
なお、光重合開始剤を含まない組成物の25℃、波長589nmでの屈折率は1.56、25℃での粘度は700mPa・sであった。
また、硬化性組成物100重量部に対して、光重合開始剤3重量部を混合し、合成例2と同様の方法で作成した硬化物は、膜厚100μmのフィルム状で、25℃、波長589nmでの屈折率は1.58であった。
(実施例6)
実施例1で得られたBPEF−10POA 30重量部、NEOA 30重量部、OPPEOA 40重量部を混合し、硬化性組成物を得た。
なお、光重合開始剤を含まない組成物の25℃、波長589nmでの屈折率は1.57、25℃での粘度は500mPa・sであった。
また、硬化性組成物100重量部に対して、光重合開始剤3重量部を混合し、合成例2と同様の方法で作成した硬化物は、膜厚100μmのフィルム状で、25℃、波長589nmでの屈折率は1.59であった。
(実施例7)
実施例1で得られたBPEF−10POA 50重量部、NEOA 20重量部、ウレタンアクリレート(日本合成化学工業(株)製、粘度:40000〜60000(mPa・s、60℃)、以下、UV−3200Bという)30重量部を混合し、硬化性組成物を得た。
なお、光重合開始剤を含まない組成物の25℃、波長589nmでの屈折率は1.53、25℃での粘度は19600mPa・sであった。
硬化性組成物100重量部に対して、光重合開始剤3重量部を混合し、合成例1と同様の方法で作成した硬化物の耐スクラッチ性の評価は○であった。
また、硬化性組成物100重量部に対して、光重合開始剤3重量部を混合し、合成例2と同様の方法で作成した硬化物は、膜厚100μmのフィルム状で、25℃、波長589nmでの屈折率は1.55であった。
(実施例8)
実施例1で得られたBPEF−10POA 50重量部、NEOA 20重量部、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(ビスフェノールA/エチレンオキシド(モル比)=1/10)のジアクリレート(日立化成工業(株)製、以下、FA−321Aという)30重量部を混合し、硬化性組成物を得た。
なお、光重合開始剤を含まない組成物の25℃、波長589nmでの屈折率は1.54、25℃での粘度は1200mPa・sであった。
硬化性組成物100重量部に対して、光重合開始剤3重量部を混合し、合成例1と同様の方法で作成した硬化物の耐スクラッチ性の評価は○であった。
また、硬化性組成物100重量部に対して、光重合開始剤3重量部を混合し、合成例2と同様の方法で作成した硬化物は、膜厚100μmのフィルム状で、25℃、波長589nmでの屈折率は1.55であった。
得られた評価結果を表3に示す。
表3の結果より、実施例1の(メタ)アクリレート化合物は比較例1の(メタ)アクリレート化合物と比較し、硬化物において同等の屈折率及び耐スクラッチ性を有するにもかかわらず、分子量が大きくても低粘度であり、ハンドリング性に優れている。すなわち、オキシアルキレン基として、直鎖状アルキレン基(オキシエチレン基など)と分岐鎖状(オキシプロピレン基など)とを組み合わせて構成すると、高屈折率及び耐スクラッチ性を維持しつつ、粘度を低下させ、ハンドリング性を向上できる。
また、実施例2〜8では、NEOAなどの他の(メタ)アクリレートを組み合わせることにより、屈折率・耐スクラッチ性を維持又は向上しつつ、粘度を大きく低減し、よりハンドリング性を向上できる。
また、実施例1(合成例1)及び比較例1(比較合成例1)で得られた硬化物の吸水率を評価した。結果を表4に示す。
表4から明らかなように、実施例1では、比較例1に比べて、オキシアルキレン基数が多いにもかかわらず、低吸水性である。