JP2015199718A - 抗ウイルス性部材 - Google Patents

抗ウイルス性部材 Download PDF

Info

Publication number
JP2015199718A
JP2015199718A JP2015071432A JP2015071432A JP2015199718A JP 2015199718 A JP2015199718 A JP 2015199718A JP 2015071432 A JP2015071432 A JP 2015071432A JP 2015071432 A JP2015071432 A JP 2015071432A JP 2015199718 A JP2015199718 A JP 2015199718A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
virus
acidic functional
functional group
antiviral
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015071432A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6475059B2 (ja
Inventor
洋平 直原
Yohei Naohara
洋平 直原
大志 早田
Daishi Hayata
大志 早田
朋和 長尾
Tomokazu Nagao
朋和 長尾
中山 鶴雄
Tsuruo Nakayama
鶴雄 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NBC Meshtec Inc
Original Assignee
NBC Meshtec Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NBC Meshtec Inc filed Critical NBC Meshtec Inc
Priority to JP2015071432A priority Critical patent/JP6475059B2/ja
Publication of JP2015199718A publication Critical patent/JP2015199718A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6475059B2 publication Critical patent/JP6475059B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Disinfection, Sterilisation Or Deodorisation Of Air (AREA)
  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)

Abstract

【課題】脱落などの心配がなく、かつ形状の制約が少ない新規な抗ウイルス性部材を提供する。【解決手段】その表面の少なくとも一部がポリマーによって構成されている基体と、基体が有するポリマーの少なくとも一部に0.03meq/g以上、3meq/g以下の導入量で導入された遊離型酸性官能基と、を有することを特徴とする抗ウイルス性部材に関する。また、遊離型酸性官能基は、例えば、スルホン基、リン酸基、およびカルボキシ基からなる群から少なくとも1種選択することができる。【選択図】なし

Description

本発明は酸性を示す遊離型酸性官能基を基体表面に導入した抗ウイルス性部材に関するものである。
近年、SARS(重症急性呼吸器症候群)やノロウイルス、鳥インフルエンザなどウイルス感染による死者が報告されている。さらに病院、介護老人ホームなどの施設内におけるノロウイルスやインフルエンザの感染症、またMRSAなどの薬剤耐性菌による院内感染などが流行し、それに対する早急な対処策が求められている。これらの背景から、ウイルスや細菌に対する高い不活化機能を有する部材の開発が望まれている。
このような事態に対応するために、抗ウイルス性能を有する無機微粒子を部材表面に固定する技術が開発されている(特許文献1)。
国際公開第2011/040048号
しかし特許文献1のように、無機微粒子を部材表面に固定する場合、効果は高いものの、脱落などの問題があった。また、部材が複雑な形状になった場合、均一な加工が難しかったり、チューブなどの内面に加工し難いなどの問題があった。
そこで本発明は、上記課題を解決するために、脱落などの心配がなく、かつ形状の制約が少ない新規な抗ウイルス性部材を提供するものである。
すなわち第1の発明は、その表面の少なくとも一部がポリマーによって構成されている基体と、前記基体が有する前記ポリマーの少なくとも一部に0.03meq/g以上、3meq/g以下の導入量で導入された遊離型酸性官能基と、を有することを特徴とする抗ウイルス性部材である。
また、第2の発明は、上記第1の発明において、遊離型酸性官能基がグラフト重合法にて導入されたことを特徴とする抗ウイルス性部材である。
また、第3の発明は、上記第2の発明において、前記グラフト重合法が放射線グラフト重合法であることを特徴とする抗ウイルス性部材である。
さらにまた、第4の発明は、上記第1から第3の発明において、前記遊離型酸性官能基がスルホン基、リン酸基、およびカルボキシ基からなる群から少なくとも1種選択されることを特徴とする抗ウイルス性部材である。
さらにまた、第5の発明は、上記第1から第4の発明において、前記基体が繊維構造体であることを特徴とする抗ウイルス性部材である。
さらにまた、第6の発明は、上記第1から第4の発明において、前記基体が樹脂成形体であることを特徴とする抗ウイルス性部材である。
さらにまた、第7の発明は、上記第1から第4の発明において、前記基体がフィルムまたはシートであることを特徴とする抗ウイルス性部材である。
本発明によれば、脱落などの心配がなく、かつ形状の制約が少ない新規な抗ウイルス性部材を提供することができる。酸性を示す遊離型酸性官能基を導入する事で、当該遊離型酸性官能基が導入された箇所、例えば基体のポリマー表面を酸性にし、その結果、当該抗ウイルス性部材に付着したウイルスを不活化することができる。
以下、本発明の実施形態について詳述する。本発明に係る実施形態の抗ウイルス性部材は、基体と、基体の表面の少なくとも一部を構成するポリマー(の少なくとも一部)に導入された遊離型酸性官能基と、を備えており、基体(より具体的には基体のポリマー部分)に付着したウイルスを不活化する抗ウイルス性部材である。
本実施形態の抗ウイルス性部材の基体は、抗ウイルス性を付与する基体である。当該基体に用いられる材料としては、特に限定されないが、表面の少なくとも一部がポリマーであることが好ましい。アルミニウムやステンレスなどの金属材料や、ガラスおよびセラミックなどの無機材料の場合、その表面に塗膜などによりポリマー層が形成されていれば本実施形態の基体として利用できる。ポリマーの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリル酸、ポリメチルメタアクリレート、ポリウレタン、ABS、SBC、ラテックスなどが挙げられる。
本実施形態の抗ウイルス性部材に用いられる基体の形状、形態は特に限定されず、織物、編物、不織布、シート、フィルムなどのシート状のものに加え、成形体などの樹脂製品なども使用可能である。したがって、本実施形態の抗ウイルス性部材を用いて、マスク、キャップ(帽子)、シューズカバー、カーテン、ブラインド、エアコン用フィルタ、空気清浄機用フィルタ、掃除機用フィルタ、換気扇用フィルタ、車両用空調フィルタ、空調用フィルタ、人工呼吸器用フィルタ、チューブ、人工鼻、医療用ドレープ(医療用覆布、医療用シート)、使い捨て手袋、医療用手袋、創傷部被覆用部材、インサイズドレープ、サージカルテープ、ガーゼ、壁紙、衣類、寝具、網戸用ネット、鶏舎用ネット、蚊屋などのネット類、などを構成することができる。
さらに、本実施形態の抗ウイルス性部材には、他の部材、例えばフィルムやシートが積層されるようにしてもよい。例えば、防水性を有するフィルムやシートを積層することで抗ウイルス性部材に防水性を付与することができる。当該防水性を備えるシート状の抗ウイルス性部材を用いて、該シートを例えば縫い合わせたり接着したりすることにより、ウイルスや血液が透過するのを防止できる高性能防護服や医療用手袋、また病院や介護用のシーツなどを構成することができる。
積層するフィルムやシートとしては、使用者が快適に過ごせるように、水を遮蔽し、空気(湿気)を透過させる透湿性を備えたものが好適に用いられる。具体的には、一般に市販されているものを使用目的に合わせて選定し使用すればよい。
さらにまた、本実施形態の抗ウイルス性部材に接着剤などを積層し、使用者が任意にマスクや壁や床に簡単に接着できるようにすることもできる。具体的には、手持ちのマスクの表面に本実施形態の抗ウイルス性部材を貼付けることで、ウイルス不活化マスクにすることができる。
また、本実施形態の抗ウイルス性部材に係る基体は、通気性を有する構造体に係らず、空気を透過させない、言い換えれば遮気性を備えていてもよい。具体的には基体を、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリテトラフルオロエチレン、四フッ化エチレン−エチレン共重合体などの樹脂からなるシート、ポリカーボネート樹脂シート・フィルム、塩化ビニルシート、フッ素樹脂シート、ポリエチレンシート、シリコーン樹脂シート、ナイロンシート、ABSシート、ウレタンシートなどの高分子からなるシート、に構成してもよい。また、基体の表面は、塗装や印刷などが施されてあっても良い。
本実施形態の抗ウイルス性部材のうち遮気性を有する部材は、例えば、壁紙やシャワーカーテン、ブラインド、デスクマット、食品用保存袋、食品用ラップフィルム、キーボードカバー、タッチパネル、タッチパネルカバー、医療用ドレープ、インサイズドレープ、病院内などのビル用内装材、電車や自動車などの内装材、車両用シート、椅子やソファーのカバー、ウイルスを扱う設備、ドアや床板の防汚シート、人工呼吸器用マスク、人工呼吸器用部品など、様々な分野に利用できる。
次に、本実施形態の抗ウイルス性部材が有する遊離型酸性官能基について説明する。酸性官能基にはプロトンを放出する酸性の強い遊離型と、塩化ナトリウム水溶液などでプロトンがナトリウムと置換され中和された中性のナトリウム型とが存在する。本実施形態の抗ウイルス性部材は、ポリマーの少なくとも一部に酸性を示す遊離型の酸性官能基を備えることを特徴とする。また、ポリマーの少なくとも一部とは、ウイルスに接触可能な部分であればよく、ポリマーの表面でもよいし、ポリマーの内部でもよい。
本実施形態の抗ウイルス性部材は、酸性を示す遊離型の酸性官能基をポリマーに導入する事により、遊離型酸性官能基が導入されたポリマーの表面または内部が酸性となり、その結果、付着したウイルスを不活化することができるものと思われる。遊離型酸性官能基としてはスルホン基、リン酸基、カルボキシ基などが挙げられ、これらのうちいずれか一種または二種以上がポリマーに導入されるようにすることができる。
これらの遊離型酸性官能基を基体(ポリマーの少なくとも一部)に導入する方法としては、後述のグラフト重合が好適に用いられる。ポリマーの表面または内部を酸性にするためには、相当量(多量)の酸性官能基を導入する事が重要となる。例えばスルホン基を導入する場合を例にすると、無水硫酸、濃硫酸、クロロスルホン酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、スルファミン酸、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムまたはこれらを組み合わせたものに接触させるだけで、基体表面にスルホン基を導入できるが、導入量が少ないため、ウイルスを不活化させるのに充分な酸性環境下にすることが難しい(当該方法で導入量を多くしようとすると、基材が着色したり強度が損なわれたりする)。
本実施形態において、ポリマーへの酸性官能基の導入量は、好ましくは0.03meq/g以上、3meq/g以下、より好ましくは0.1meq/g以上、3meq/g以下となる量の導入量とすることができる。これは、酸性官能基導入量が0.03meq/g未満であると、範囲内と比較して抗ウイルス性が不十分であり、3meq/gより多くなると、範囲内と比較して基体の強度が劣化してしまうからである。酸性官能基の導入量[meq/g]は以下の(1)として表される式にて算出される。導入される酸性官能基モル数は、中和滴定により求めることができる。官能基を導入するポリマーの重量は、遊離型酸性官能基の導入処理を行った部分の重量である。

酸性官能基の導入量(Iex)=n/S (1)
n:ポリマーに導入される酸性官能基モル数(mmol)
S:官能基を導入したポリマーの重量(g)
ここで、グラフト重合法について説明する。グラフト重合法とは、基体のポリマー部分に放射線を照射するなどしてラジカルを形成させ、この発生したラジカル部分にビニルモノマーなどの重合性単量体をグラフト反応させた後、目的の官能基を含む物質(本実施形態の場合、遊離型酸性官能基を含む物質)と接触させ、固定するというものである。当該方法は、様々な形状の高分子に多くの機能性官能基を導入することができるので、分離機能性材などで使われている手法である。
基体(具体的にはポリマー部分の少なくとも一部)にラジカルを生成させる方法としては、放射線照射法、紫外線(UV)法、コロナ放電法、プラズマ法、あるいは、これらを組み合わせた方法などを挙げることができる。
放射線照射法とは、窒素、アルゴン、ヘリウムガスなどの不活性ガス中で、基体へ、α線や、β線や、γ線や、電子線等の放射線を照射する方法である。また、基体をイソプロピルアルコール(IPA)などのアルコール類に含浸させた状態で基体に放射線を照射するようにしてもよい。
紫外線(UV)法は、光開始剤の存在下で紫外線を基体に照射する方法である。当該紫外線照射法も、放射線照射法と同様に、不活性ガス雰囲気下で、あるいはアルコール類に基体を含浸させた状態で、基体に紫外線を照射するようにしてもよい。
光開始剤としてはベンゾフェノン、アントラキノンなどがある。光開始剤が吸収した光のエネルギーが、ポリマーへ移動してラジカルを作る場合と、光開始剤ラジカルがポリマーの水素を引き抜いて、ポリマーにラジカルを作る場合とがある。
コロナ放電法は、コロナ放電を基体に照射する方法である。
プラズマ法は、グロー放電により発生するプラズマを基体に照射する方法である。プラズマ法では、プラズマ中の電子がポリマーにラジカルをつくる場合と、ラジカルを酸素と反応させて過酸化ラジカルとする方法とがある。
UV法とプラズマ法とコロナ放電法の特徴は基体の表面近傍のみにラジカル発生が制限される点である。
基体にラジカルを生成させる方法には、上述した放射線照射法や紫外線法(UV法)やコロナ放電法、プラズマ法などに加えて化学開始剤法がある。化学開始剤法には、連鎖移動法、乳化重合法、セリウム塩法などがある。連鎖移動法では、過酸化ベンゾイルのような過酸化物やアゾイソブチロニトリル(AIBN)などが化学開始剤として使用されている。
本実施形態の抗ウイルス性部材の製造においてグラフト重合を用いる場合は、目的、用途に応じて、ラジカル生成方法として、放射線照射法、UV法、プラズマ法、及び、コロナ放電法を適宜選択すれば良いが、エネルギー量の高いα線や、β線や、γ線や、電子線を照射する放射線照射法が好適に用いられる。該放射線照射法には、同時照射法と前照射法がある。同時照射法はポリマーと反応物質の共存下で照射する方法で、前照射法は捕捉ラジカル法ともいわれ、放射線を照射して、ラジカルが生成した後から反応物質と接触させる方法である。放射線照射法の特徴としては、より多様な形状の基体に活用できる点、ポリマー内部までラジカルを生成させることができ、より多くの遊離型酸性官能基を導入できる点、開始剤等の残存がない点、大量生産できる点等が挙げられる。したがって、本実施形態において用いることのできるラジカル重合法としては、放射線照射を用いたラジカル重合方法(放射線ラジカル重合法)が好ましい。
上述のラジカル生成方法により生成されるラジカルについては例えばポリエチレンでは多くの報告があり、放射線照射によってアルキル、アリル、ポリエニル、過酸化ラジカルが生成する。ラジカルは結晶部と非晶部に生成するが、分子鎖の運動が激しい非晶部では、ただちに再結合等の反応で消滅する。観察されるのは結晶部内のラジカルである。アルキルラジカルは反応性がきわめて高く、水素を引き抜きながら結晶部を移動し、非晶部で再結合(橋かけ)や酸化反応、グラフト反応で消費される。
本実施形態において、基体への放射線照射直後、例えば1〜2分以内に、遊離型酸性官能基を導入するような場合には、放射線を照射する際の温度および、照射後に基体を保存する温度については特に制限はない。しかし、ラジカルを生成した後、時間をおいて遊離型酸性官能基を導入する場合などにはラジカルを保存するために、照射も保存も低温で行うことが望ましい。−5℃程度に低温保存すれば、照射20日経過後でも支障なくポリマーラジカルを用いた反応が可能である。
本実施形態の抗ウイルス性部材の基体にラジカルを生成させる際に放射線を照射する方法を用いる場合において、放射線の照射線量は、遊離型酸性官能基を導入させるのに十分なラジカルの生成量が得られ、不必要な架橋や部分的な分解が起こらない経済的な照射線量であれば特に制限はない。ラジカルが均一に生成し、本実施形態の抗ウイルス性部材を構成する基体の剛性や耐薬品性に及ぼす影響も少ないことから、放射線の照射線量は1kGy〜1000kGyの範囲にあることが好ましく、5kGy〜500kGyの範囲にあることがより好ましく、10kGy〜300kGyの範囲にあることが特に好ましい。
上述のように、基体表面に放射線を照射してラジカルを発生させた後、ビニルモノマーなどのモノマー(重合性単量体)を接触させ、基体表面にモノマーを重合体(グラフト鎖)として導入するか、基体表面を、ビニルモノマーなどのモノマー(重合性単量体)と接触させた状態で放射線を照射してラジカルを発生させ、基体表面にモノマーを重合体(グラフト鎖)として導入することができる。そして、導入されたグラフト鎖と遊離型酸性官能基を含む物質とを接触させることで、遊離型酸性官能基がグラフト鎖を構成する各モノマーに導入される。その結果、このグラフト重合法によって生成される遊離型酸性官能基を多数有するポリマーが本実施形態の抗ウイルス性部材を構成する基体表面に導入されることとなる。
この場合にグラフト重合に用いられるモノマー(重合性単量体)としては、アクリロニトリル、アクロレイン、ビニルピリジン、スチレン、クロロメチルスチレン、メタクリル酸グリシジルなどが挙げられる。また、遊離型酸性官能基を有する物質としては、例えば、カルボキシ基を導入できるものとしては、アクリル酸やメタクリル酸が挙げられ、スルホン基を導入できるものとしては、無水硫酸、濃硫酸、クロロスルホン酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、スルファミン酸、などが挙げられる。また、スチレンスルホン酸ナトリウムやメタリルスルホン酸ナトリウムやアリルスルホン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどを用いた場合にはナトリウム型酸性官能基が導入される。ナトリウム型の酸性基を導入した場合は、酸性溶液の中でナトリウムイオンと水素イオンを置換することで遊離型の酸性官能基を得ることができる。例えば、モノマーとして、メタクリル酸グリシジルを放射線グラフト重合によって基体(たとえば不織布基体)に導入し、次に、亜硫酸ナトリウムなどのスルホン化剤をメタクリル酸グリシジルのエポキシ基と反応させてナトリウム型スルホン基を導入したのち、塩酸などに浸漬することにより、遊離型酸性官能基を導入した抗ウイルス性を有する基体(たとえば不織布)を得ることができる。
本実施形態の抗ウイルス性部材において不活性化できるウイルスについては特に限定されず、ゲノムの種類や、エンベロープの有無等に係ることなく、様々なウイルスを不活化することができる。例えば、ライノウイルス・ポリオウイルス・口蹄疫ウイルス・ロタウイルス・ノロウイルス・エンテロウイルス・ヘパトウイルス・アストロウイルス・サポウイルス・E型肝炎ウイルス・A型、B型、C型インフルエンザウイルス・パラインフルエンザウイルス・ムンプスウイルス(おたふくかぜ)・麻疹ウイルス・ヒトメタニューモウイルス・RSウイルス・ニパウイルス・ヘンドラウイルス・黄熱ウイルス・デングウイルス・日本脳炎ウイルス・ウエストナイルウイルス・B型、C型肝炎ウイルス・東部および西部馬脳炎ウイルス・オニョンニョンウイルス・風疹ウイルス・ラッサウイルス・フニンウイルス・マチュポウイルス・グアナリトウイルス・サビアウイルス・クリミアコンゴ出血熱ウイルス・スナバエ熱・ハンタウイルス・シンノンブレウイルス・狂犬病ウイルス・エボラウイルス・マーブルグウイルス・コウモリリッサウイルス・ヒトT細胞白血病ウイルス・ヒト免疫不全ウイルス・ヒトコロナウイルス・SARSコロナウイルス・ヒトポルボウイルス・ポリオーマウイルス・ヒトパピローマウイルス・アデノウイルス・ヘルペスウイルス・水痘帯状発疹ウイルス・EBウイルス・サイトメガロウイルス・天然痘ウイルス・サル痘ウイルス・牛痘ウイルス・モラシポックスウイルス・パラポックスウイルスなどを挙げることができる。
以上の本実施形態の抗ウイルス性部材によれば、脱落などの心配がなく、かつ形状の制約が少ない新規な抗ウイルス性部材を提供することができる。そして、本実施形態によれば、導入する遊離型酸性官能基の種類や導入量などにもよってその効果の程度が異なるが、非常に短時間でウイルスを不活化できる即効性の高い抗ウイルス性部材を提供することができるという効果が得られる。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<殺菌・抗ウイルス性部材の作製>
以下、実施例の電子線照射には、エレクトロカーテン型電子線照射装置(岩崎電気(株)製 CB250/15/180L)を用いた。抗ウイルス性部材の実施例および比較例は以下の通り作製した。
(実施例1)
PP(ポリプロピレン)基体のメルトブロー不織布(東レ・ファインケミカル(株)製 EM05010)に、窒素雰囲気下にて、電子線を200kVの加速電圧で20Mrad照射した。ついでこの不織布を10%のメタクリル酸グリシジル溶液に浸漬し、グラフト重合反応を行い、さらに、亜硫酸水素ナトリウム水溶液でスルホン化を行った後、塩酸溶液中に浸漬することで遊離型のスルホン基を導入した部材を得た。このサンプルの酸性官能基導入量は0.6meq/gであった。
(実施例2)
実施例1と同じ不織布に電子線を照射したあと、20%メタクリル酸グリシジルメタノール溶液に浸漬し、40℃で5時間反応させた。その後、亜硫酸ナトリウムとイソプロピルアルコールの混合水溶液に浸漬して、80℃で8時間反応させてスルホン化を行った後、塩酸溶液中に浸漬することで遊離型のスルホン基を導入した部材を得た。このサンプルの酸性官能基導入量は2.4meq/gであった。
(実施例3)
PP(ポリプロピレン)基材のメルトブロー不織布(東レ・ファインケミカル(株)製 EM05010)に、窒素雰囲気下にて、電子線を200kVの加速電圧で20Mrad照射した。ついでこの不織布を50%アクリル酸水溶液に浸漬し、グラフト重合反応を行い、基体のカルボキシル化を行った。このとき、ホモポリマーの生成を防ぐためアクリル酸水溶液にはモール塩を2.5%添加した。洗浄して、遊離型のカルボキシ基を導入した部材を得た。このサンプルの酸性官能基導入量は0.9meq/gであった。
(実施例4)
実施例1と同じPP(ポリプロピレン)基体のメルトブロー不織布を、窒素雰囲気下にて、電子線を200kVの加速電圧で5Mrad照射した。ついでこの不織布を、60℃の0.5%発煙硫酸に15分浸漬してスルホン化を行い、洗浄後、遊離型スルホン基を導入した部材を得た。このサンプルの酸性官能基導入量は0.05meq/gであった。
(比較例1)
実施例1と同じPP(ポリプロピレン)基体のメルトブロー不織布を、窒素雰囲気下にて、電子線を200kVの加速電圧で5Mrad照射した。ついでこの不織布を、窒素雰囲気下にて、30%発煙硫酸に1時間さらし、スルホン化を行い、遊離型スルホン基を導入した部材を得た。このサンプルの酸性官能基導入量は0.01meq/gであった。
(比較例2)
実施例1と同じPP(ポリプロピレン)基体のメルトブロー不織布に、窒素雰囲気下にて、電子線を200kVの加速電圧で20Mrad照射した。ついでこの不織布を10%のメタクリル酸グリシジル溶液に浸漬し、グラフト重合反応を行い、さらに、亜硫酸水素ナトリウム水溶液でスルホン化を行い、水洗後、ナトリウム型のスルホン基を導入した部材を得た。このサンプルの酸性官能基導入量は0.9meq/gであった。
<抗ウイルス性の評価>
実施例1から4、比較例1および2の各サンプルの抗ウイルス性評価は、MDCK細胞を用いて培養したインフルエンザウイルス(influenza A/北九州/159/93(H3N2))を用いた。ウイルスの懸濁液100μLをプラスチックシャーレ上に滴下し、その上から2cm×2cmに切り取った各サンプルを載せて、懸濁液をサンプル全面に延ばした後、室温で5分間作用させた。5分後、SCDLP培地1900μLを添加し、ピペッティングによりウイルスを洗い出し、上清液を回収した。次に、細胞培養培地(MEM)を用いて、回収した上清液の10倍段階希釈系列を作製した。回収した上清液と各希釈段階液0.1mLをMDCK細胞を培養した6穴細胞培養プレートに接種した。60分間静置しウイルスを細胞へ吸着させた後、0.7%寒天培地を重層し、48時間、34℃、5%CO2インキュベータにて培養した。その後、ホルマリン固定、メチレンブルー染色を行い、形成されたプラーク数をカウントして、ウイルスの感染価(PFU/0.1mL,Log10);(PFU:plaque-forming units)を算出した。その試験結果を表1に示す。
Figure 2015199718
以上の結果より、酸性を示す遊離型酸性基であるスルホン基またはカルボキシ基を放射線グラフト重合にて充分量導入した実施例1から3では、ウイルスとの接触時間が5分という短時間でも検出限界値以下という高い抗ウイルス性効果が確認された。発煙硫酸で導入した実施例4でも、99.99%以上と非常に高い効果を示したが、不織布に若干の着色が見られた。それに対し、比較例1では、多少の抗ウイルス効果があったものの、実施例1に比べ、スルホン基の導入量が少ないため、充分な効果は見られなかった。また中和された比較例2のナトリウム型のスルホン基は、放射線グラフト重合にて官能基を充分量導入したにも関わらず、抗ウイルス効果は見られなかった。これらの結果から、本発明の抗ウイルス性部材を用いる事で、様々な抗ウイルス製品を提供できることが確認できた。

Claims (7)

  1. その表面の少なくとも一部がポリマーによって構成されている基体と、
    前記基体が有する前記ポリマーの少なくとも一部に0.03meq/g以上、3meq/g以下の導入量で導入された遊離型酸性官能基と、を有することを特徴とする抗ウイルス性部材。
  2. 前記遊離型酸性官能基がグラフト重合法にて導入されたことを特徴とする請求項1に記載の抗ウイルス性部材。
  3. 前記グラフト重合法が放射線グラフト重合法であることを特徴とする請求項2に記載の抗ウイルス性部材。
  4. 前記遊離型酸性官能基がスルホン基、リン酸基、およびカルボキシ基からなる群から少なくとも1種選択されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の抗ウイルス性部材。
  5. 前記基体が繊維構造体であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の抗ウイルス性部材。
  6. 前記基体が樹脂成形体であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の抗ウイルス性部材。
  7. 前記基体がフィルムまたはシートであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の抗ウイルス性部材。
JP2015071432A 2014-03-31 2015-03-31 抗ウイルス性部材 Active JP6475059B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015071432A JP6475059B2 (ja) 2014-03-31 2015-03-31 抗ウイルス性部材

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014073933 2014-03-31
JP2014073933 2014-03-31
JP2015071432A JP6475059B2 (ja) 2014-03-31 2015-03-31 抗ウイルス性部材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015199718A true JP2015199718A (ja) 2015-11-12
JP6475059B2 JP6475059B2 (ja) 2019-02-27

Family

ID=54551351

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015071432A Active JP6475059B2 (ja) 2014-03-31 2015-03-31 抗ウイルス性部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6475059B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017186555A (ja) * 2016-03-31 2017-10-12 株式会社Nbcメッシュテック 抗ウイルス性を有するポリマー粒子およびその製造方法
JP2018031088A (ja) * 2016-08-24 2018-03-01 株式会社Nbcメッシュテック 抗ウイルス性及び抗菌性繊維加工剤
JP7031785B1 (ja) 2020-12-11 2022-03-08 東亞合成株式会社 活性エネルギー線硬化型抗ウイルス用組成物

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003520809A (ja) * 2000-01-20 2003-07-08 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー 抗細菌性組成物
JP2008523064A (ja) * 2004-12-09 2008-07-03 ザ ダイアル コーポレイション 優れた抗ウィルス作用と抗菌作用を示す組成物
WO2015015671A1 (ja) * 2013-08-01 2015-02-05 株式会社Nbcメッシュテック 空気清浄機
JP2015047202A (ja) * 2013-08-30 2015-03-16 株式会社Nbcメッシュテック 創傷部感染防止用部材
JP2015195826A (ja) * 2014-03-31 2015-11-09 株式会社Nbcメッシュテック 殺菌・抗ウイルス性部材
JP2015195827A (ja) * 2014-03-31 2015-11-09 株式会社Nbcメッシュテック 抗ウイルス性部材

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003520809A (ja) * 2000-01-20 2003-07-08 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー 抗細菌性組成物
JP2008523064A (ja) * 2004-12-09 2008-07-03 ザ ダイアル コーポレイション 優れた抗ウィルス作用と抗菌作用を示す組成物
WO2015015671A1 (ja) * 2013-08-01 2015-02-05 株式会社Nbcメッシュテック 空気清浄機
JP2015047202A (ja) * 2013-08-30 2015-03-16 株式会社Nbcメッシュテック 創傷部感染防止用部材
JP2015195826A (ja) * 2014-03-31 2015-11-09 株式会社Nbcメッシュテック 殺菌・抗ウイルス性部材
JP2015195827A (ja) * 2014-03-31 2015-11-09 株式会社Nbcメッシュテック 抗ウイルス性部材

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017186555A (ja) * 2016-03-31 2017-10-12 株式会社Nbcメッシュテック 抗ウイルス性を有するポリマー粒子およびその製造方法
JP2018031088A (ja) * 2016-08-24 2018-03-01 株式会社Nbcメッシュテック 抗ウイルス性及び抗菌性繊維加工剤
JP7031785B1 (ja) 2020-12-11 2022-03-08 東亞合成株式会社 活性エネルギー線硬化型抗ウイルス用組成物
JP2022093256A (ja) * 2020-12-11 2022-06-23 東亞合成株式会社 活性エネルギー線硬化型抗ウイルス用組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP6475059B2 (ja) 2019-02-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6727713B2 (ja) 殺菌・抗ウイルス性を有するセルロースナノファイバー
JP6290891B2 (ja) 空気清浄機
JP2015195827A (ja) 抗ウイルス性部材
JP6475059B2 (ja) 抗ウイルス性部材
KR101675585B1 (ko) 항바이러스성을 지닌 부재
US10039856B2 (en) Absorbent articles and methods of making
JP5196234B2 (ja) 陰イオン交換膜及びその製造方法
JP2011522090A (ja) リガンド官能化基材の製造方法
JP2011523965A (ja) リガンド官能化基材
JP2011178720A (ja) 無機系抗ウイルス剤及びこの無機系抗ウイルス剤を含有した抗ウイルス部材
JP6290688B2 (ja) 殺菌・抗ウイルス性部材
Sorci et al. Virucidal N95 respirator face masks via ultrathin surface-grafted quaternary ammonium polymer coatings
JP5196236B2 (ja) 陽イオン交換膜及びその製造方法
JP3885099B2 (ja) 有機高分子殺菌材料
JP5986780B2 (ja) 抗ウイルス材
EP3160412B1 (en) Absorbent articles and methods of making
JP6646469B2 (ja) 抗ウイルス性を有する吸水性高分子
JP2023523385A (ja) 生物病原体の伝播を阻害するためのプラズマコーティング処理方法
JP2017186555A (ja) 抗ウイルス性を有するポリマー粒子およびその製造方法
JP2013087064A (ja) ウイルス不活化シート
JP5912273B2 (ja) 抗ウイルス剤及びその製造方法
JP6174946B2 (ja) 創傷部感染防止用部材
JP5837288B2 (ja) 抗ウイルス剤
JP2018031088A (ja) 抗ウイルス性及び抗菌性繊維加工剤
CN105308106B (zh) 亲水性氟塑料基底

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180904

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180831

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20181101

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181226

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190122

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190131

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6475059

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250