JP2015193600A - 錠剤及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、NSAIDsを30質量%以上配合する層を有する錠剤を製造する際に生じる打錠時の杵付着が抑えられた錠剤を目的とする。
【解決手段】本発明の錠剤は、非ステロイド性抗炎症薬(A)及び着色料(B)を含有する薬物層を有し、前記薬物層における前記非ステロイド性抗炎症薬(A)の配合割合は30質量%以上であり、「10000×(B)成分/薬物層」で表される質量比は、0.01以上3以下であることよりなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、錠剤及びその製造方法に関する。
ロキソプロフェンナトリウムやイブプロフェン等の非ステロイド性抗炎症薬(以下、「NSAIDs」という。)は、付着性が強いため、NSAIDsを含む粉体を打錠すると、粉体が打錠機の杵に付着する現象(以下、「杵付着」という。)等が生じやすい。
これまで、杵付着を防ぐ方法の一つとして、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤を多量に配合する方法が採用されてきた。
しかし、滑沢剤を増量すると、錠剤強度が低下し、製造工程中や輸送中に割れ、欠けが生じやすくなり、また、崩壊性、溶出性が低下しやすい。
杵付着を防ぐ他の方法としては、トウモロコシデンプンや糖類等の賦型剤とともにNSAIDsを造粒する方法が挙げられる。
例えば、特許文献1には、ロキソプロフェンナトリウムとトウモロコシデンプンとを混和して混和物を得るステップ、該混和物をセルロース含有水溶液と練合して、造粒、乾燥して顆粒を得るステップ、並びに、該顆粒を軽質無水ケイ酸及び滑沢剤と混合して圧縮製剤製造用組成物を得るステップの後、該圧縮製剤製造用組成物を圧縮成型するステップを経て錠剤を得る方法が開示されている。
また、特許文献2には、ロキソプロフェンナトリウムと糖類を含む粒状物に、セルロース系製剤原料を含有する溶液を噴霧し、乾燥し、打錠して錠剤を得る方法が開示されている。
しかし、トウモロコシデンプンや糖類等の賦型剤とともにロキソプロフェンナトリウムを造粒する方法を採用する場合、製造工程数が増えるため、製造効率が低下し、コストが増加する。
さらに、特許文献3には、ロキソプロフェンナトリウム等の付着性の高い薬物に、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムや低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等の吸水性添加剤とα化デンプンとを所定量で混合した粉体を混合し、回転式打錠機に供給して打錠する、錠剤の製造方法が開示されている。この製造方法によれば、製造工程が簡略化され、打錠障害が抑えられた錠剤が得られる。
特開平10−182448号公報 特開2000−16936号公報 特開2006−143650号公報
しかしながら、特許文献3に記載の発明によっても、NSAIDsを含む粉体を打錠する際に生じる杵付着は充分に抑えられず、さらなる改善が望まれている。特に、NSAIDsを含有する層における該NSAIDsの配合割合を30質量%以上にする場合、打錠時の杵付着を抑えることは困難であった。
そこで、本発明は、NSAIDsを30質量%以上配合する層を有する錠剤を製造する際に生じる打錠時の杵付着が抑えられた錠剤を目的とする。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、NSAIDsを30質量%以上含む薬物層に、着色料(B)を含有させることにより、NSAIDsを30質量%以上配合する層を有する錠剤を製造する際に生じる打錠時の杵付着が抑えられることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[7]の態様を有する。
[1]非ステロイド性抗炎症薬(A)及び着色料(B)を含有する薬物層を有し、前記薬物層における前記非ステロイド性抗炎症薬(A)の配合割合は30質量%以上であり、「10000×(B)成分/薬物層」で表される質量比は、0.01以上3以下である錠剤。
[2]前記(A)成分は、ロキソプロフェンナトリウム、イブプロフェン及びアスピリンから選ばれる1種以上である、[1]に記載の錠剤。
[3]前記薬物層と、制酸剤及び該制酸剤以外の無機塩を含有する層とを有する多層錠である、[1]又は[2]に記載の錠剤。
[4]臼と杵とを有する打錠機を用い、前記薬物層を構成する粉体を前記臼に充填し、打錠する、[1]又は[2]に記載の錠剤の製造方法。
[5]臼と杵とを有する打錠機を用い、前記薬物層を構成する粉体を前記の制酸剤及び該制酸剤以外の無機塩を含有する層を構成する粉体よりも後に前記臼に充填し、打錠する、[3]に記載の錠剤の製造方法。
[6]前記の薬物層を構成する粉体は、前記(A)〜(B)成分以外の粉体(C)を含み、粉体の前記(B)成分と前記(C)成分の一部との混合粉体と、粉体の前記(A)成分及び前記(C)成分の残部とを混合して、前記の薬物層を構成する粉体を得る工程を有する、[4]又は[5]に記載の錠剤の製造方法。
[7]前記の薬物層を構成する粉体は、前記(A)〜(B)成分以外の粉体(C)を含み、粉体の前記(B)成分と前記(C)成分との混合粉体と、粉体の前記(A)成分とを混合して、前記の薬物層を構成する粉体を得る工程を有する、[4]又は[5]に記載の錠剤の製造方法。
[8]前記(C)成分は、結合剤、賦形剤及び崩壊剤から選ばれる1種以上である、請求項[6]又は[7]に記載の錠剤の製造方法。
本発明によれば、NSAIDsを30質量%以上配合する層を有する錠剤を製造する際に生じる打錠時の杵付着が抑えられた錠剤を提供できる。
<錠剤>
本発明の錠剤は、NSAIDs(A)(以下、「(A)成分」という。)及び着色料(B)(以下「(B)成分」という。)を含有する薬物層を有し、前記薬物層における前記(A)成分の配合割合は30質量%以上である。
錠剤は、前記薬物層を有すれば、単層錠でもよく、多層錠でもよい。
NSAIDsを含む錠剤において、NSAIDsによる胃腸障害を抑える点から、通常、前記錠剤は、制酸剤を併用することが多い。しかし、NSAIDsと制酸剤とは、製剤中で接触すると互いに干渉し合い、経時的にNSAIDsの含有量が低下したり製剤が変色したりする等の問題を生じる。そこで、NSAIDsと制酸剤とを含む錠剤とする場合、該錠剤は、NSAIDsを含む層と制酸剤を含む層とに分けた多層錠とされることが多い。NSAIDsと制酸剤とを含む錠剤を多層錠とした場合、錠剤あたりのNSAIDsの含有量を維持する点から、NSAIDsを含む層における該NSAIDsの配合割合を高くする必要がある。そのため、NSAIDsと制酸剤とを含む錠剤を多層錠とした場合には、単層錠に比べ、杵付着が発生しやすくなる。したがって、本発明の錠剤は、本発明の効果を享受しやすい点から、多層錠であることが好ましい。
また、前記錠剤は、解熱鎮痛薬や風邪薬として用いやすい点及び飲みやすい点から、胃の中で崩壊する胃内崩壊性錠剤であることが好ましい。
錠剤の大きさは特に限定されないが、錠剤の取り扱いやすさと嚥下性の観点から、錠剤の直径は6〜13mmが好ましく、7〜10mmがより好ましく、7〜9mmがさらに好ましい。また、多層錠の厚さは3.0〜7.5mmが好ましく、3.5〜7.0mmがより好ましく、4.0〜6.5mmがさらに好ましい。
また、錠剤1錠あたりの質量は、150〜550mgが好ましい
[薬物層]
薬物層は、(A)成分及び(B)成分を含有する。また、前記薬物層における前記(A)成分の配合割合は30質量%以上である。
((A)成分)
(A)成分は、NSAIDsである。
NSAIDsは、特に限定されない。NSAIDsとしては、ロキソプロフェン、イブプロフェン、アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸(アスピリン)、ナプロキセン、ケトプロフェン、インドメタシン、ブフェキサマック、ジクロフェナック、アルクロフェナック、フェンクロフェナック、エトドラック、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メフェナミック、メクロフェナミック、ピロキシカム等が挙げられる。中でも、本発明による効果を享受しやすい点から、ロキソプロフェン、イブプロフェン、アセトアミノフェン、アスピリンが好ましい。
これらのNSAIDsは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
薬物層における(A)成分の配合割合は、30質量%以上である。薬物層における(A)成分の配合割合は、32質量%以上90質量%以下であることが好ましく、35質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
薬物層における(A)成分の配合割合が前記下限値以上であれば、一回当たりの服用錠剤数を減らすことができ、一方、前記上限値以下であれば、薬物層に(B)成分を充分に含有させることができ、打錠中の杵付着が抑えられる。
((B)成分)
着色料としては、食用着色料、食用着色料以外の有機顔料及び無機顔料、動植物抽出物等が挙げられる。
食用着色料としては、オレンジエッセンス、カラメル、カルミン、β−カロテン、食用青色1号、食用黄色4号、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用黄色5号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号等が挙げられる。
有機顔料としては、銅クロロフイリンナトリウム、銅クロロフィル、リボフラビン等が挙げられる。
無機顔料としては、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、タルク、酸化亜鉛、酸化チタン、金箔、薬用炭等が挙げられる。
動植物抽出物としては、カンゾウエキス、アセンヤクタンニン末、ウコン抽出液、緑茶末等が挙げられる。
中でも、杵付着がより抑えられる点から、無機顔料が好ましく、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、黒酸化鉄等の鉄を主成分とする無機顔料がより好ましく、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄が最も好ましい。
着色料は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
薬物層における(B)成分の配合割合は、特に限定されないが、例えば、「10000×(B)成分/薬物層」で表される質量比で、0.01以上3以下であることが好ましい。
(A)成分がロキソプロフェン若しくはイブプロフェン又はこれらの塩である場合、「10000×(B)成分/薬物層」の下限は、0.05以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましく、0.4以上であることがさらに好ましく、0.5以上であることが最も好ましい。
(A)成分がアスピリン若しくはアセトアミノフェン又はこれらの塩である場合、「10000×(B)成分/薬物層」の下限は、0.01以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.2以上であることが最も好ましい。
薬物層における(B)成分の配合割合が前記範囲内であれば、付着抑制効果が得られ、薬物層の色の濃さが適度になり、錠剤硬度が良好になる。
薬物層における(A)成分に対する(B)成分の配合割合は、特に限定されないが、例えば、「10000×(B)成分/(A)成分」で表される質量比で、0.03以上8以下であることが好ましい。
(A)成分がロキソプロフェンナトリウム又はその塩である場合、「10000×(B)成分/(A)成分」の下限は、0.1以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、1.0以上であることがさらに好ましく、1.4以上であることが最も好ましい。
(A)成分がイブプロフェン又はその塩である場合、「10000×(B)成分/(A)成分」の下限は、0.1以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.9以上であることが最も好ましい。
(A)成分がアセトアミノフェン又はその塩である場合、「10000×(B)成分/(A)成分」の下限は、0.05以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましく、0.4以上であることが最も好ましい。
(A)成分がアスピリン又はその塩である場合、「10000×(B)成分/(A)成分」の下限は、0.03以上であることが好ましく、0.15以上であることがより好ましく、0.25以上であることが最も好ましい。
(A)成分に対する(B)成分の配合割合が前記範囲内であれば、付着抑制効果が得られ、薬物層の色の濃さが適度になり、錠剤硬度が良好になる。
(任意成分)
薬物層には、(A)成分及び(B)成分以外に、本発明による効果を損なわない範囲で、生理活性成分及び添加剤等の任意成分を配合してもよい。
生理活性成分:
生理活性成分としては、例えば、(A)成分以外の解熱鎮痛成分(例えば、ピロキシカム、メロキシカム、アンピロキシカム、セロコキシブ、ロフェコキシブ、チアラミド、アセトアミノフェン、エテンザミド、スルピリン等)、鎮静催眠成分(例えば、アリルイソプロピルアセチル尿素、ブロムワレリル尿素等)、抗ヒスタミン成分(例えば、塩酸イソチペンジル、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェテロール、塩酸トリプロリジン、塩酸トリペレナミン、塩酸トンジルアミン、塩酸フェネタジン、塩酸メトジラジン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、ジフェニルジスルホン酸カルビノキサミン、酒石酸アリメマジン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、テオクル酸ジフェニルピラリン、ナパジシル酸メブヒドロリン、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、マレイン酸カルビノキサミン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン、d−マレイン酸クロルフェニラミン、リン酸ジフェテロール等)、中枢興奮成分(例えば、安息香酸ナトリウムカフェイン、カフェイン、無水カフェイン等)、鎮咳去痰成分(コデインリン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、ジメモルファンリン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩、メトキシフェナミン塩酸塩、トリメトキノール塩酸塩、カルボシステイン、アセチルシステイン、エチルシステイン、dl−メチルエフェドリン、ブロムヘキシン塩酸塩、セラペプターゼ、塩化リゾチーム、アンブロキソール、テオフィリン、アミノフィリン等)、ビタミン成分(例えば、ビタミンB1及びその誘導体並びにそれらの塩類、ビタミンB2及びその誘導体並びにそれらの塩類、ビタミンC及びその誘導体並びにそれらの塩類、ヘスペリジン及びその誘導体並びにそれらの塩類等)等が挙げられる。
これらの生理活性成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
添加剤:
添加剤としては、例えば、(B)成分以外の、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、香料、甘味剤、酸味料、及びコーティング剤等が挙げられる。
結合剤としては、澱粉、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリン等が挙げられる。
賦形剤としては、結晶セルロース、乳糖(水和物)、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)、粉糖、マンニトール、L−システイン等が挙げられ、中でも、結晶性セルロース、乳糖(水和物)、粉糖、マンニトール、L−システインが好適である。
崩壊剤としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、部分α化デンプン等が挙げられる。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル酸等が挙げられる。
香料としては、メントール、リモネン、植物精油(ハッカ油、ミント油、ライチ油、オレンジ油、レモン油等)等が挙げられる。
甘味料としては、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビア、グリチルリチン酸二カリウム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、スクラロース等が挙げられる。
酸味料としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、乳酸又はそれらの塩等が挙げられる。
これら添加剤の中でも、打錠中の杵付着をより良好に抑える点から、結晶セルロース、ショ糖脂肪酸エステル、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
これらの添加剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
薬物層における任意成分の配合割合(質量%)は、本発明による効果及び錠剤の崩壊性、溶出性等の特性を損なわない範囲であれば特に限定されない。また、薬物層における任意成分の配合割合は、70質量%未満が好ましく、60質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
特に、薬物層に滑沢剤を含ませる場合の該薬物層における滑沢剤の配合割合は、錠剤強度の低下、製造工程中や輸送中における割れや欠け、及び崩壊性や溶出性の低下を抑える点から、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。
[任意層]
錠剤を多層錠とする場合、前記薬物層以外の層(以下「任意層」という。)は、任意に設定される。任意層は、1層であってもよく、2層以上あってもよい。
任意層に配合する成分は、適宜設定され、例えば、上記生理活性成分、上記添加剤、制酸剤、及び該制酸剤以外の無機塩等が挙げられる。
中でも、(A)成分による胃酸分泌過多を抑える点から、任意層は、制酸剤を含有することが好ましい。また、杵付着をより抑える点から、任意層は、制酸剤及び該制酸剤以外の無機塩を含有することが好ましい。
制酸剤としては、アミノ酢酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、アルミニウムグリシネート、無水リン酸水素カルシウム、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、合成ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウムの混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、スクラルファート、ケイ酸マグネシウム等が挙げられる。中でも、アルミニウムを含むものが好ましい。
制酸剤以外の無機塩としては、含水二酸化ケイ素やタルク、カオリン、酸化亜鉛、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄等の無機顔料等が挙げられる。中でも、含水二酸化ケイ素、鉄を主成分とするもの(三二酸化鉄、黒酸化鉄、黄色三二酸化鉄)が好ましく、三二酸化鉄がより好ましい。
任意層に含ませる成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
[コーティング]
本発明の錠剤は、コーティング剤によりコーティングされていてもよい。
コーティング剤としては、崩壊性、溶解性を著しく損なわないものが好ましい。具体的には、水溶性高分子化合物、可塑剤が挙げられる。
水溶性高分子化合物としては、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース類;アラビアゴム、カルボキシビニルポリマー、ポビドン、クロスポビドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、単糖類、二糖類以上の多糖類(砂糖(グラニュー糖)等)、乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖等)、糖アルコール(パラチニット、ソルビトール、ラクチトール、エリスリトール、キシリトール、還元澱粉糖化物、マルチトール、マンニトール等)、水飴、異性化糖類、オリゴ糖、スクロース、トレハロース、還元澱粉糖化物(還元澱粉分解物)等が挙げられる。
可塑剤としては、クエン酸トリエチル、トリアセチン等の日本薬局方(広川書店)及び医薬品添加物規格((株)薬事日報社)等の公定書に記載されているものが挙げられる。
コーティング剤の被覆量は、本発明による効果及び錠剤の崩壊性、溶出性等の特性を損なわない範囲で適宜設定される。
<錠剤の製造方法>
錠剤は、公知の打錠方法により製造される。錠剤の製造方法としては、例えば、臼と杵とを有する打錠機を用いて、薬物層を構成する粉体(薬物含有粉体ということがある)を打錠して錠剤を得る工程(成形工程)を有するものが挙げられる。
薬物含有粉体は、(A)〜(B)成分を含有する粉体であればよく、必要に応じて任意成分を含有してもよい。
薬物含有粉体は、例えば、粉体の(A)成分と、粉体の(B)成分との粉体混合物でもよいし、(A)〜(B)成分を含む造粒物でもよく、中でも、より簡便に錠剤を製造できる点で、粉体混合物が好ましい。
薬物含有粉体は、予め混合されたものでもよく、新たに調製されてもよい。即ち、錠剤の製造方法は、粉体の各成分を混合して薬物含有粉体を調製する工程(粉体調製工程)を有してもよい。
粉体調製工程は、粉体の(A)〜(B)成分を混合して薬物含有粉体を得る。
粉体調製工程における混合方法としては、特に限定されず、従来公知の粉体混合方法が挙げられる。
粉体調製工程に用いられる各成分は、公知の製造方法により得られたものでもよく、市販のものを用いてもよい。各成分は、原末がそのまま用いられてもよく、造粒されたものでもよい。より簡便に錠剤を製造する点から、原末をそのまま用いるのが好ましい。
造粒したものを用いる場合、造粒方法は公知の造粒方法を採用できる。造粒方法としては、例えば、乾式造粒法、流動層造粒法等が挙げられる。
粉体である各成分の体積平均粒子径は、10〜2000μmが好ましく、100〜1500μmがより好ましい。
粉体調製工程における混合方法としては、粉体の(A)〜(B)成分及び必要に応じて任意成分を粉体混合機に一括して仕込み、粉体混合して薬物含有粉体を得る方法(一括混合法)が挙げられる。
また例えば、粉体調製工程における混合方法としては、粉体の(A)〜(B)成分及び必要に応じて任意成分を粉体混合機に順次投入しつつ、これらを混合する方法が挙げられる(順次混合法)。
薬物含有粉体が(A)〜(B)成分以外の粉体(C)(即ち、粉体の任意成分。以下、(C)成分ということがある。)を含む場合、粉体調製工程における混合方法としては、(B)成分と(C)成分の一部との混合粉体(混合粉体i)と、(A)成分及び(C)成分の残部とを混合する方法(分割混合法I)、(B)成分と(C)成分との混合粉体(混合粉体ii)と、(A)成分とを混合する方法(分割混合法II)が挙げられる。
中でも、薬物含有粉体及び錠剤中における(B)成分の分散状態を高め、打錠時における杵付着をより抑制できる点で、粉体調製工程における混合方法としては、分割混合法I又はIIが好ましい。
混合粉体i及びiiに含まれる(C)成分(以下、混合粉体i又はiiに用いられる(C)成分を倍散粉体ということがある。)としては、上述した生理活性成分、添加剤の内、粉体のものが挙げられる。中でも、倍散粉体としては、結合剤、賦形剤、崩壊剤が好ましく、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、乳糖水和物及びトウモロコシデンプンから選ばれる1種以上がより好ましい。これらの倍散粉体であれば、薬物含有粉体及び錠剤中における(B)成分の分散状態のさらなる向上を図れる。
混合粉体iは、予め混合されたものでもよいし、新たに調製されたものでもよい。
混合粉体iの調製方法としては、(B)成分と(C)成分の一部とを高速攪拌装置、石臼式粉砕機、乳鉢等で混合する方法が挙げられる。また、例えば、粉体の(B)成分を任意の目開きの篩で篩過し、篩過された(B)成分と、(C)成分の一部とを混合する方法が挙げられる。中でも、より均一に混合でき、かつ生産性を高められる点で、高速攪拌装置、石臼式粉砕機で混合する方法が好ましい。
混合粉体i中、(B)成分と倍散媒体との配合比は、倍散粉体の種類等を勘案して決定され、例えば、1000×(B)成分/倍散粉体で表される質量比は、1〜10が好ましく、2〜8がより好ましく、3〜6がさらに好ましい。上記下限値以上であれば、薬物含有粉体及び錠剤中における(B)成分の分散状態のさらなる向上を図れる。上記上限値以下であれば、倍散粉体以外の成分を適切な量にしやすい。
混合粉体iiは、予め混合されたものでもよいし、新たに調製されたものでもよい。
混合粉体iiの調製方法としては、(B)成分と(C)成分の全部とを高速攪拌装置、石臼式粉砕機、乳鉢等で混合する方法が挙げられる。また、例えば、粉体の(B)成分を任意の目開きの篩で篩過し、篩過された(B)成分と、(C)成分の全部とを混合する方法が挙げられる。中でも、より均一に混合でき、かつ生産性を高められる点で、高速攪拌装置、石臼式粉砕機で混合する方法が好ましい。
混合粉体ii中、(B)成分と倍散媒体との配合比は、混合粉体iと同様である。
粉体調製工程において、分割混合法I又はIIのいずれを採用するかは、(B)成分及び(C)成分の配合量に応じて適宜決定される。
成形工程で用いられる打錠機としては、例えば、ロータリー打錠機((株)菊水製作所製:LIBRA2)等が挙げられる。
打錠圧、回転盤の回転速度等の打錠条件は適宜設定される。例えば、打錠圧は、錠剤の硬度が5〜500Nとなるように適宜設定される。
錠剤が多層錠である場合、薬物含有粉体は、臼に、最初に充填されてもよく、薬物層以外の何れかの層(任意層)を構成する粉体よりも後に充填されてもよい。杵付着をより抑制する観点から、薬物含有粉体は、任意層を構成する粉体よりも後に、臼に充填されることが好ましい。
<作用効果>
本発明によれば、NSAIDsを30質量%以上配合する層を有する錠剤を製造する際に生じる打錠時の杵付着が抑えられた錠剤を提供できる。
加えて、薬物層を適度に着色することができるため、錠剤の識別性に優れる。
さらに、本発明の錠剤は、滑沢剤を多量に用いなくても杵付着を抑制できるため、錠剤強度が高く、輸送中に割れ、欠けが生じにくく、高品質である。
また、本発明の製造方法によれば、造粒や噴霧等の製造工程を行わなくてもよいため、製造時間やランニングコストが抑えられる。また、打錠障害が抑えられるため、無駄な製造コストが抑えられる。
加えて、分割混合法を採用することで、杵付着をさらに良好に抑制できる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
<原料>
本実施例で用いる原料を、以下にまとめる。
[(A)成分]
LOX−Na・2HO:ロキソプロフェンナトリウム二水和物(大和薬品(株)製)
IBP:イブプロフェン(BASF社製)
ASP:アスピリン(ノバシル社製)
APAP:アセトアミノフェン(岩城製薬(株)製)
[(B)成分]
(B)−1:三二酸化鉄(癸巳化成(株)製)
(B)−2:黄色三二酸化鉄(癸巳化成(株)製)
(B)−3:タルク(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)
(B)−4:酸化亜鉛(堺化学工業(株)製)
(B)−5:酸化チタン(堺化学工業(株)製)
[倍散粉体]
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)(LH−31(製品名)、信越化学工業(株)製)
カルメロース(五徳薬品(株)製)
結晶セルロース(PH−302(製品名)、旭化成ケミカル(株)製)
乳糖水和物(DFE Pharma製)
トウモロコシデンプン(松谷化学工業(株)製)
[任意成分]
乳糖造粒物(フロイント産業(株)製)
ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株)製)
酸化マグネシウム(富田製薬(株)製)
乾燥水酸化アルミニウムゲル(SNグレード、協和化学工業(株)製)
<評価>
[杵付着試験]
後に説明する各実施例及び各比較例の打錠における杵付着の評価は、以下の基準に従って行った。なお、3点以上を合格とした。
6:2時間連続打錠しても、杵付着を生じない。
5:1時間30分以上2時間未満の連続打錠で、杵付着を生じる。
4:1時間以上1時間30分未満の連続打錠で、杵付着を生じる。
3:30分以上1時間未満の連続打錠で、杵付着を生じる。
2:20分以上30分未満の打錠で、杵付着を生じる。
1:20分未満の打錠で、杵付着を生じる。
[薬物含有粉体の内部摩擦角]
粉体層せん断力測定装置(NS−500、ナノシーズ社製)を用いて、薬物含有粉体の内部摩擦角を測定した。各例の薬物含有粉体1.2gをφ15mmのセルに入れ、ハードクロムメッキ面に対する内部摩擦角(°)を測定した。内部摩擦角が小さいほどハードクロムメッキへの付着性が小さいと判断できる。
なお、下記実施例で用いられた臼及び杵は、ハードクロムメッキが施されたものである。即ち、本評価による内部摩擦角(°)が小さいほど、臼又は杵に対する付着性が小さいと判断できる。
<実施例1〜9及び比較例1〜4>
実施例1〜9及び比較例1〜4では、以下のように打錠を行い、杵付着の評価を行った。
1錠あたりの各成分の含有量が表1に示す質量(mg)となるように、(A)成分と(B)成分と任意成分とを一括混合法で粉体混合して、薬物層を構成する粉体(薬物含有粉体)を得た。
ロータリー打錠機((株)菊水製作所製:LIBRA3L)を用いて、得られた薬物含有粉体を打錠して単層錠を製造した。
杵臼として、以下に示すものを用いた。打錠は、以下に示す打錠圧及び回転盤の回転速度の条件で行われた。実施例1〜9及び比較例1〜4の評価結果を同表に示す。なお、実施例1〜9及び比較例1〜4は単層錠であるため、錠剤そのものが薬物層である。
[杵臼]
LOX−Na・2HO又はIBP配合錠:直径8.0mm(2段R)×12本
ASP又はAPAP配合錠:直径10.0mm(2段R)×12本
[打錠圧]
10kN
[回転盤の回転速度]
単層錠:40rpm
Figure 2015193600
表1に示すとおり、実施例1〜9では、打錠開始から30分未満では、杵付着は生じなかった。中でも、(B)成分として三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄を配合した場合には、打錠開始から2時間打錠しても杵付着が生じなかった。
一方、錠剤中に(B)成分を含まない比較例1〜4では、打錠開始から30分未満で杵付着が生じた。
なお、実施例1〜9及び比較例1〜4のいずれの錠剤とも、識別性に優れていた。
<実施例10〜18及び比較例5〜8>
各成分が以下の表2に示す1錠あたりの質量(mg)となるように、薬物層の各成分を一括混合法で粉体混合して、薬物含有粉体を得た。また、各成分が以下の表2に示す1錠当たりの質量(mg)となるように、任意層の各成分を一括混合法で粉体混合して、任意層を構成する粉体を得た。
任意層を構成する粉体と、薬物含有粉体とをこの順で臼に充填し、打錠して、2層錠を得た。
打錠は、以下の回転盤の回転速度で行われたこと以外は、上述の実施例1〜9及び比較例1〜4と同様の条件で行われた。実施例10〜18及び比較例5〜8における杵付着の評価結果を同表に示す。
[回転盤の回転速度]
LOX−Na・2HO配合の2層錠:15rpm
IBP配合の2層錠:20rpm
ASP又はAPAP配合の2層錠:30rpm
<実施例19>
実施例19では、薬物含有粉体と、任意層を構成する粉体とをこの順で臼に充填した以外は、実施例10と同様にして2層錠を得た。実施例19における杵付着の評価結果を同表に示す。
Figure 2015193600
表2に示すとおり、実施例10〜19は、打錠開始から30分未満で、杵付着は生じなかった。中でも、(B)成分として三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄を配合した場合には、打錠開始から2時間打錠しても杵付着が生じなかった。
また、組成とその配合割合が同じである実施例10と実施例19を比較すると、打錠の際、任意層を構成する粉体、薬物含有粉体の順に臼に充填した。実施例10は、薬物含有粉体、任意層を構成する粉体の順に充填した実施例19に比べ、杵付着がより生じにくかった。
一方、(A)薬物層中に(B)成分を含まない比較例5〜8では、打錠開始から30分未満で杵付着が生じた。
なお、実施例10〜19及び比較例5〜8のいずれの錠剤とも、識別性に優れていた。
<実施例20〜36>
実施例20〜36では、各成分が以下の表3に示す1錠あたりの質量(mg)となるように、薬物含有粉体を得た以外は、実施例1〜9及び比較例1〜4と同様にして錠剤を得た。実施例20〜36における杵付着の評価結果を同表に示す。なお、実施例20〜36は単層錠であるため、錠剤そのものが薬物層である。
Figure 2015193600
表3の実施例20〜24に示すとおり、薬物層にLOX−Na・2HOを配合する場合、10000×(B)成分/薬物層が0.06以上であれば、打錠開始から30分未満において、杵付着が生じなかった。特に、10000×(B)成分/薬物層が0.59以上であれば、打錠開始から2時間打錠しても杵付着が生じなかった。
同表の実施例25〜28に示すとおり、薬物層にIBPを配合する場合、10000×(B)成分/薬物層が0.06以上であれば、打錠開始から1時間未満において、杵付着が生じなかった。特に、10000×(B)成分/薬物層が0.4以上であれば、打錠開始から2時間打錠しても杵付着が生じなかった。
同表の実施例29〜32に示すとおり、薬物層にASPを配合する場合、10000×(B)成分/薬物層が0.02以上であれば、打錠開始から1時間未満において、杵付着が生じなかった。特に、10000×(B)成分/薬物層が0.21以上であれば、打錠開始から2時間打錠しても杵付着が生じなかった。
同表の実施例33〜36に示すとおり、薬物層にAPAPを配合する場合、10000×(B)成分/薬物層が0.04以上であれば、打錠開始から1時間未満において、杵付着が生じなかった。特に、10000×(B)成分/薬物層が0.28以上であれば、打錠開始から2時間打錠しても杵付着が生じなかった。
なお、実施例20〜36のいずれの錠剤とも、識別性に優れていた。
<実施例37〜53>
実施例37〜53では、各成分が以下の表4に示す1錠あたりの質量(mg)となるように、薬物含有粉体及び任意層を構成する粉体を得た以外は、実施例10〜18及び比較例5〜8と同様にして錠剤を得た。実施例37〜53における杵付着の評価結果を同表に示す。
Figure 2015193600
表4の実施例37〜41に示すとおり、薬物層にLOX−Na・2HOを配合する場合、10000×(B)成分/薬物層が0.06以上であれば、打錠開始から30分未満において、杵付着が生じなかった。特に、10000×(B)成分/薬物層が0.59以上であれば、打錠開始から2時間打錠しても杵付着が生じなかった。
同表の実施例42〜45に示すとおり、薬物層にIBPを配合する場合、10000×(B)成分/薬物層が0.06以上であれば、打錠開始から1時間未満において、杵付着が生じなかった。特に、10000×(B)成分/薬物層が0.4以上であれば、打錠開始から2時間打錠しても杵付着が生じなかった。
同表の実施例46〜49に示すとおり、薬物層にASPを配合する場合、10000×(B)成分/薬物層が0.02以上であれば、打錠開始から1時間未満において、杵付着が生じなかった。特に、10000×(B)成分/薬物層が0.21以上であれば、打錠開始から2時間打錠しても杵付着が生じなかった。
同表の実施例50〜53に示すとおり、薬物層にAPAPを配合する場合、10000×(B)成分/薬物層が0.04以上であれば、打錠開始から1時間未満において、杵付着が生じなかった。特に、10000×(B)成分/薬物層が0.28以上であれば、打錠開始から2時間打錠しても杵付着が生じなかった。
なお、実施例37〜53のいずれの錠剤とも、識別性に優れていた。
<実施例54>
以下の表5に示す1錠あたりの質量(mg)となるように、(A)成分と(B)成分と任意成分とをポリエチレン袋に入れた。ポリエチレン袋を振って、内容物を粉体混合して、薬物含有粉体を得た(一括混合法)。(B)成分は目開き250μmの篩で篩過されたものである。また、以下の表5に示す1錠あたりの質量(mg)となるように、任意層の成分を一括混合法で粉体混合して、任意層を構成する粉体を得た。
得られた薬物含有粉体及び任意層を構成する粉体を用い、実施例10〜18と同様にして、錠剤を得た。実施例54における杵付着の評価結果及び薬物含有粉体の内部摩擦角を表中に示す。
<実施例55〜61>
表5に示す1錠あたりの質量(mg)となるように、(B)成分と(C)成分の一部(表中、倍散粉体と記載)とをハイスピードミキサー2L型((株)アーステクニカ製)に予め仕込んだ。仕込まれた(B)成分と倍散粉体とを下記混合条件にて混合して、混合粉体を得た。
得られた混合粉体と(C)成分の残部(表中の任意成分)とをポリエチレン袋に入れた。ポリエチレン袋を振って、内容物を粉体混合して、薬物含有粉体を得た。
得られた薬物含有粉体を用いた以外は、実施例54と同様にして錠剤を得た。実施例55〜61における杵付着の評価結果及び薬物含有粉体の内部摩擦角を表中に示す。表中、本例の混合粉体の調製方法を「高速攪拌」と記載した。
[混合条件]
アジテーター回転数:400rpm
チョッパー回転数:2000rpm
攪拌時間:5分
<比較例9>
ハイスピードミキサー2L型を用いて、倍散粉体を下記攪拌条件にて攪拌した(攪拌処理)。
表5に示す1錠あたりの質量(mg)となるように、(A)成分と、攪拌処理が施された倍散粉体と任意成分とをポリエチレン袋に入れた。ポリエチレン袋を振って、内容物を粉体混合して、薬物含有粉体を得た。
得られた薬物含有粉体を用いた以外は、実施例54と同様にして錠剤を得た。
[攪拌条件]
アジテーター回転数:400rpm
チョッパー回転数:2000rpm
攪拌時間:5分
<実施例62>
ハイスピードミキサー2L型に代えて、乳鉢を用い、(B)成分と倍散粉体とを磨り潰すように5分間混合して混合粉体を得た以外は、実施例55と同様にして、錠剤を得た。実施例62における杵付着の評価結果及び薬物含有粉体の内部摩擦角を表中に示す。表中、本例の混合粉体の調製方法を「乳鉢」と記載した。
<実施例63>
ハイスピードミキサー2L型に代えて、石臼式粉砕機((株)ウェスト製)を用い、下記混合条件で(B)成分と倍散粉体とを混合して混合粉体を得た以外は、実施例55と同様にして、錠剤を得た。実施例63における杵付着の評価結果及び薬物含有粉体の内部摩擦角を表中に示す。表中、本例の混合粉体の調製方法を「石臼粉砕」と記載した。
[混合条件]
クリアランス:120μm
チョッパー回転数:2000rpm
攪拌時間:5分間
<実施例64>
(B)成分を目開き250μmの篩で篩過した。篩過された(B)成分と倍散粉体とをポリエチレン袋に仕込んだ。ポリエチレン袋を振って、内容物を粉体混合して、(B)成分と倍散粉体との混合粉体を得た。得られた混合粉体を用いた以外は、実施例55と同様にして、錠剤を得た。実施例64における杵付着の評価結果及び薬物含有粉体の内部摩擦角を表中に示す。表中、本例の混合粉体の調製方法を「袋混合」と記載した。
Figure 2015193600
表5に示すとおり、本発明を適用した実施例54〜64は、打錠開始から1時間未満では、杵付着を生じなかった。加えて、実施例54〜64は、薬物含有粉体の内部摩擦角が14.91°以下であった。
実施例54、55、62〜64の比較において、(B)成分と倍散粉体とを混合し、次いで(A)成分及び任意成分を混合して薬物含有粉体を得た実施例55、62〜64は、実施例54に比べて、薬物含有粉体の内部摩擦角が小さかった。
(B)成分を含有しない比較例9は、打錠開始から30分間未満で杵付着を生じた。また、比較例9は、薬物含有粉体の内部摩擦角が18.67°であった。

Claims (8)

  1. 非ステロイド性抗炎症薬(A)及び着色料(B)を含有する薬物層を有し、
    前記薬物層における前記非ステロイド性抗炎症薬(A)の配合割合は30質量%以上であり、
    「10000×(B)成分/薬物層」で表される質量比は、0.01以上3以下である錠剤。
  2. 前記(A)成分は、ロキソプロフェンナトリウム、イブプロフェン及びアスピリンから選ばれる1種以上である、請求項1に記載の錠剤。
  3. 前記薬物層と、制酸剤及び該制酸剤以外の無機塩を含有する層とを有する多層錠である、請求項1又は2に記載の錠剤。
  4. 臼と杵とを有する打錠機を用い、前記薬物層を構成する粉体を前記臼に充填し、打錠する、請求項1又は2に記載の錠剤の製造方法。
  5. 臼と杵とを有する打錠機を用い、前記薬物層を構成する粉体を、前記の制酸剤及び該制酸剤以外の無機塩を含有する層を構成する粉体よりも後に前記臼に充填し、打錠する、請求項3に記載の錠剤の製造方法。
  6. 前記の薬物層を構成する粉体は、前記(A)〜(B)成分以外の粉体(C)を含み、
    粉体の前記(B)成分と前記(C)成分の一部との混合粉体と、粉体の前記(A)成分及び前記(C)成分の残部とを混合して、前記の薬物層を構成する粉体を得る工程を有する、請求項4又は5に記載の錠剤の製造方法。
  7. 前記の薬物層を構成する粉体は、前記(A)〜(B)成分以外の粉体(C)を含み、
    粉体の前記(B)成分と前記(C)成分との混合粉体と、粉体の前記(A)成分とを混合して、前記の薬物層を構成する粉体を得る工程を有する、請求項4又は5に記載の錠剤の製造方法。
  8. 前記(C)成分は、結合剤、賦形剤及び崩壊剤から選ばれる1種以上である、請求項6又は7に記載の錠剤の製造方法。
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