JP2015192574A - ロータ製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、樹脂材料は、熱硬化性樹脂材料と熱可塑性樹脂材料とに大別されるが、一般に熱硬化性樹脂材料のほうが熱可塑性樹脂材料よりも粘性が低い。したがって、IPMロータの磁石の固定には、粘性が低く、スロットの内壁と磁石の外面との間に浸透しやすい熱硬化性樹脂材料が広く採用されている。
しかしながら、熱硬化性樹脂材料を固化させるためには、スロットに樹脂材料を充填した後、ロータを例えば恒温槽等の加熱器に投入して、所定温度になるまで所定時間加熱する必要がある。したがって、製造工程の時間の短縮という点で改善の余地があった。
また、充填工程は、熱可塑性樹脂材料の射出速度を制御しつつ熱可塑性樹脂材料を充填する第一充填工程と、第一充填工程の後、熱可塑性樹脂材料の内部圧力を制御しつつ熱可塑性樹脂材料を充填する第二充填工程と、を含むので、第一充填工程により所定の充填量となるまで熱可塑性樹脂材料を素早く充填することができるとともに、第二充填工程により所定の内部圧力となるように制御しつつ熱可塑性樹脂材料を充填して、ロータコアの変形を防止できる。したがって、製造装置の大型化や高コスト化をすることなくロータコアの変形を防止して熱可塑性樹脂材料を素早く充填することができる。
また、充填工程は、熱可塑性樹脂材料の射出速度を制御しつつ熱可塑性樹脂材料を充填する第一充填工程と、第一充填工程の後、熱可塑性樹脂材料の内部圧力を制御しつつ熱可塑性樹脂材料を充填する第二充填工程と、を含むので、第一充填工程により所定の充填量となるまで熱可塑性樹脂材料を素早く充填することができるとともに、第二充填工程により所定の内部圧力となるように制御しつつ熱可塑性樹脂材料を充填して、ロータコアの変形を防止できる。したがって、製造装置の大型化や高コスト化をすることなくロータコアの変形を防止して熱可塑性樹脂材料を素早く充填することができる。
図1は、モータユニット1の概略断面図である。
図1に示すように、モータユニット1は、モータ4と、モータ4を収容するハウジング5と、を備えている。なお、以下の説明では、モータ4の中心軸Oに沿う方向を軸方向といい、中心軸Oと直交する方向を径方向といい、中心軸O周りに周回する方向を周方向という。
ステータ2は、電磁鋼板が軸方向に沿って複数積層されることにより形成されたステータコア20を有している。ステータコア20は、径方向の内側に向かって延びるティース21を備えている。ティース21には、インシュレータ22を介してコイル23が巻装されている。
図2に示すように、ロータ3は、電磁鋼板が軸方向に沿って複数積層されることにより形成されたロータコア30を有している。
ロータコア30の中央部には、貫通孔30aが形成されている。ロータコア30の中央部には、貫通孔30aにシャフト6(図1参照)が挿入されて圧入固定される。また、ロータコア30は、貫通孔30aの周囲に複数の肉抜き部30bを有している。
スロット群35は、第一スロット31、第二スロット32および第三スロット33(いずれも請求項における「スロット」に相当。)により構成されている。第一スロット31、第二スロット32および第三スロット33には、それぞれ後述の磁石36が挿入される。
図3に示すように、スロット群35は、第一スロット31と、第一スロット31を挟んで周方向の両側に形成された第二スロット32および第三スロット33と、により形成されている。
第一スロット31は、平面視で等脚台形状をしており、長手方向が径方向と直交するように設けられている。
第一スロット31の径方向の外側における内壁(以下、「外側壁31a」という。)には、長手方向の中間部において径方向の外側に窪むとともに、軸方向に沿うように充填溝31Aが形成されている。充填溝31Aに対応する位置には、後述のロータ3の製造工程において第一スロット31に熱可塑性樹脂材料を充填するときに、充填用金型53の充填孔53a(図6参照)が配置される。
磁石36の径方向に沿う厚さは、第一スロット31の径方向に沿う幅よりも薄くなっている。磁石36は、第一スロット31の径方向における内側の内壁(以下、「内側壁31b」という。)に当接した状態で配されている。これにより、磁石36の径方向の外側面と第一スロット31の外側壁31aとの間には、間隙31cが形成される。
モータハウジング5Aには、ステータ2のステータコア20が例えば不図示のボルト等により固定されている。
センサハウジングには、ロータ3の回転角度を検出可能な例えばレゾルバ等の不図示の回転センサが、ロータ3と同軸となるように取り付けられている。また、センサハウジングには、ロータ3のシャフト6の一端を回転自在に支持する不図示のベアリングが設けられている。なお、ロータ3のシャフト6の他端は、不図示のミッションハウジング等に設けられたベアリングにより回転自在に支持されている。これにより、ロータ3は、ステータ2の内側において回転可能となっている。
続いて、上述したロータ3の製造工程(請求項の「ロータ製造方法」に相当。)について説明する。なお、以下の説明において、各部品の符号については、必要に応じて図1から図3を参照されたい。
図4は、ロータ3の製造工程S10のフローチャートである。
図4に示すように、本実施形態のロータ3の製造工程S10は、主に、磁石挿入工程S11と、充填工程S13と、固化工程S15と、を含む。以下に、各工程の詳細について、図面を用いて説明をする。なお、以下で述べる工程は、ロータコア30の第一スロット31から第三スロット33の各スロットに対して、それぞれ同様に同一のタイミングで行われる。したがって、以下では、ロータコア30の第一スロット31に対して磁石36を挿入して固定するまでの工程について説明をし、第二スロット32および第三スロット33に対して磁石36を挿入して固定するまでの工程については説明を省略する。
図5は、磁石挿入工程S11の説明図であって、ロータコア30の第一スロット31を含む側面断面模式図である。
図5に示すように、本実施形態のロータ3の製造工程では、まず磁石挿入工程S11を行う。
磁石挿入工程S11では、ロータコア30の貫通孔30aに台座治具51の位置決め部51aを挿通し、台座治具51の台座部51bにロータコア30の軸方向端面を当接させることにより、ロータコア30を軸方向および径方向に位置決めした状態でセットする。続いて、ロータコア30の第一スロット31に対して、磁石36を軸方向に沿って挿入して配置する。以上で、磁石挿入工程S11が終了する。
図6は、充填工程S13の説明図であって、ロータコア30の第一スロット31を含む側面断面模式図である。
続いて、図6に示すように、充填工程S13を行う。以下では、充填工程S13で使用されるインジェクション装置50の概要について説明をした後、充填工程S13について説明をする。
充填工程S13は、主に前述の台座治具51と、充填孔53aが形成された充填用金型53と、シリンダ61およびピストン62を有するインジェクションノズル60と、内部圧力測定用圧力センサ65と、を備えたインジェクション装置50を用いて行われる。
充填用金型53の充填孔53aは、ロータコア30の第一スロット31に形成された充填溝31Aに対応する位置に形成されている。
また、充填用金型53の外面における中央には、インジェクションノズル60が接続される接続孔53bが設けられている。接続孔53bと充填孔53aとは、熱可塑性樹脂材料が通流する通流路53cを通じて連通している。
シリンダ61は、筒状の形状を成して所定の容積を有しており、不図示の供給路を通じて内部に熱可塑性樹脂材料が供給される。
ピストン62は、例えば不図示の油圧アクチュエータ等によりシリンダ61の内部をシリンダ61の軸方向に沿ってスライド移動可能とされる。
インジェクションノズル60は、ピストン62がシリンダ61内をロータコア30側に向かってスライド移動することにより、熱可塑性樹脂材料の射出速度が所定の速度となるように、または第一スロット31から第三スロット33の各スロット内の熱可塑性樹脂材料の圧力(以下、「内部圧力」という。)が所定の圧力となるように熱可塑性樹脂材料を射出する。
ピストン62には、射出時における熱可塑性樹脂材料のシリンダ61内の圧力を検出可能なシリンダ用圧力センサ63が設けられている。
図8は、縦軸を熱可塑性樹脂材料の射出速度または内部圧力とし、横軸を熱可塑性樹脂材料の射出量としたときの、第一充填工程S13Aおよび第二充填工程S13Bにおける熱可塑性樹脂材料の射出速度および内部圧力の推移を表すグラフである。なお、図8における実線は、熱可塑性樹脂材料の射出速度を示すグラフであり、一点鎖線は内部圧力測定用圧力センサ65により測定された熱可塑性樹脂材料の内部圧力を示すグラフである。また、後述の切替ポイントD以降におけるシリンダ61内の熱可塑性樹脂材料の圧力(以下、「シリンダ内圧力Ps」という。)を二点鎖線で図示している。
続いて、図7および図8に示すように、第一充填工程S13Aにより、熱可塑性樹脂材料の射出速度が所定の一定値となるように熱可塑性樹脂材料の射出速度を制御しつつ、第一スロット31に対して熱可塑性樹脂材料を充填する。ここで、ロータコア30の第一スロット31に形成された充填溝31Aに対応した位置には、充填用金型53の充填孔53aが配置される。したがって、第一スロット31内に配置された磁石36は、第一スロット31の充填溝31Aに充填された熱可塑性樹脂材料の内部圧力により径方向の内側に押圧されて、第一スロット31の内側壁31bに当接する。
さらに、第一充填工程S13Aにより熱可塑性樹脂材料を第一スロット31内に充填すると、第一スロット31内における熱可塑性樹脂材料の内部圧力が急激に上昇し始める(図8参照)。そして、内部圧力測定用圧力センサ65により検出された熱可塑性樹脂材料の内部圧力が所定値Pに達したときに、第一充填工程S13Aから第二充填工程S13Bに工程を切り替える。ここで、所定値Pは、例えばロータコア30が変形する所定上限圧力(図8における所定上限圧力P1、破線で図示)よりも十分低くなるように設定されている。所定値Pおよび所定上限圧力P1は、ロータコア30の大きさや、ロータコア30を形成する電磁鋼板の強度等に応じて設定される。なお、以下、第一充填工程S13Aから第二充填工程S13Bに工程を切り替えるポイントを切替ポイントDという(図7参照)。
第二充填工程S13Bにより、第一スロット31内に熱可塑性樹脂材料を充填した時点で、充填工程S13が終了する。
第一スロット31から第三スロット33の各スロット内に充填された熱可塑性樹脂材料が固化した時点で固化工程S15が終了するとともに、ロータ3の製造工程S10が終了する。
また、充填工程S13は、熱可塑性樹脂材料の射出速度を制御しつつ熱可塑性樹脂材料を充填する第一充填工程S13Aと、第一充填工程S13Aの後、熱可塑性樹脂材料の内部圧力を制御しつつ熱可塑性樹脂材料を充填する第二充填工程S13Bと、を含むので、第一充填工程S13Aにより所定の充填量となるまで熱可塑性樹脂材料を素早く充填することができるとともに、第二充填工程S13Bにより所定の内部圧力となるように制御しつつ熱可塑性樹脂材料を充填して、ロータコア30の変形を防止できる。したがって、インジェクション装置50の大型化や高コスト化をすることなくロータコア30の変形を防止して熱可塑性樹脂材料を素早く充填することができる。
上述の実施形態におけるロータ3の製造工程S10では、第一スロット31内に熱可塑性樹脂材料を充填する場合について説明をしたが、第二スロット32および第三スロット33内に熱可塑性樹脂材料を充填する場合についても同様に行うことができる。ここで、インジェクション装置50を構成するインジェクションノズル60や充填用金型53等の形状は、上述の実施形態に限定されない。
そこで、図9に示すように、第二スロット32の内壁と磁石36の外面との間における熱可塑性樹脂材料を充填し難い部分に対して、熱可塑性樹脂材料を容易に導入するための連通路(以下、「フローリーダ55」という。)を設けてもよい。
インジェクションノズル60から充填溝32Aに向かって射出された熱可塑性樹脂材料は、磁石36の径方向の外側面と第二スロット32の外側壁32aとの間隙32cが流路となり、空洞部32dおよび空洞部32eに充填される。ここで、間隙32cのうち、充填溝32Aと空洞部32eとの間の領域は、充填溝32Aと空洞部32dとの間の領域よりも離間距離が長くなるため、熱可塑性樹脂材料の流動抵抗が高くなっている。すなわち、本実施形態においては、空洞部32eが、熱可塑性樹脂材料を充填し難い部分となっている。
30 ロータコア
31 第一スロット(スロット)
32 第二スロット(スロット)
33 第三スロット(スロット)
36 磁石
S11 磁石挿入工程
S13 充填工程
S13A 第一充填工程
S13B 第二充填工程
Claims (3)
- 磁石挿入用のスロットを備えたロータコアを有するロータを製造するためロータ製造方法であって、
前記ロータコアの前記スロットに磁石を挿入する磁石挿入工程と、
前記スロットの内壁と前記磁石の外面との間に熱可塑性樹脂材料を射出して充填する充填工程と、
を含み、
前記充填工程は、
前記熱可塑性樹脂材料の射出速度を制御しつつ前記熱可塑性樹脂材料を充填する第一充填工程と、
前記第一充填工程の後、前記熱可塑性樹脂材料の内部圧力を制御しつつ前記熱可塑性樹脂材料を充填する第二充填工程と、
を含むことを特徴とするロータ製造方法。 - 請求項1に記載のロータ製造方法であって、
前記充填工程において、前記第一充填工程と前記第二充填工程との切替は、前記内部圧力が所定値となったときに行われることを特徴とするロータ製造方法。 - 請求項1または2に記載のロータ製造方法であって、
前記充填工程で充填される前記熱可塑性樹脂材料は、液晶ポリマーであることを特徴とするロータ製造方法。
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