JP6097715B2 - ロータ製造方法 - Google Patents
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Description
ここで、樹脂材料は、熱硬化性樹脂材料と熱可塑性樹脂材料とに大別されるが、一般に熱硬化性樹脂材料のほうが熱可塑性樹脂材料よりも粘性が低い。したがって、IPMロータの磁石の固定には、粘性が低く、スロットの内壁と磁石の外面との間に浸透しやすい熱硬化性樹脂材料が広く採用されている。
しかしながら、熱硬化性樹脂材料を固化させるためには、スロットに樹脂材料を充填した後、ロータを例えば恒温槽等の加熱器に投入して、所定温度になるまで所定時間加熱する必要がある。したがって、製造工程の時間の短縮という点で改善の余地があった。
このように、従来技術にあっては、ロータの製造時間を短縮しつつ熱可塑性樹脂材料を確実に充填するという点で改善の余地がある。
また、恒温槽等の加熱器が必要ないので、従来技術と比較して、製造設備の小型化および低コスト化ができる。
また、恒温槽等の加熱器が必要ないので、従来技術と比較して、製造設備の小型化および低コスト化ができる。
図1は、モータユニット1の概略断面図である。
図1に示すように、モータユニット1は、モータ4と、モータ4を収容するハウジング5と、を備えている。なお、以下の説明では、モータ4の中心軸Oに沿う方向を軸方向といい、中心軸Oと直交する方向を径方向といい、中心軸O周りに周回する方向を周方向という。
ステータ2は、電磁鋼板が軸方向に沿って複数積層されることにより形成されたステータコア20を有している。ステータコア20は、径方向の内側に向かって延びるティース21を備えている。ティース21には、インシュレータ22を介してコイル23が巻装されている。
図2に示すように、ロータ3は、電磁鋼板が軸方向に沿って複数積層されることにより形成されたロータコア30を有している。
ロータコア30の中央部には、貫通孔30aが形成されている。ロータコア30の中央部には、貫通孔30aにシャフト6(図1参照)が挿入されて圧入固定される。また、ロータコア30は、貫通孔30aの周囲に複数の肉抜き部30bを有している。
スロット群35は、第一スロット31、第二スロット32および第三スロット33(いずれも請求項における「スロット」に相当。)により構成されている。第一スロット31、第二スロット32および第三スロット33には、それぞれ後述の磁石36が挿入される。
図3に示すように、スロット群35は、第一スロット31と、第一スロット31を挟んで周方向の両側に形成された第二スロット32および第三スロット33と、により形成されている。
第一スロット31は、平面視で等脚台形状をしており、長手方向が径方向と直交するように設けられている。
第一スロット31の径方向の外側における内壁(以下、「外側壁31a」という。)には、長手方向の中間部において径方向の外側に窪むとともに、軸方向に沿うように充填溝31Aが形成されている。充填溝31Aに対応する位置には、後述のロータ3の製造工程において第一スロット31に熱可塑性樹脂材料を充填するときに、充填用金型53の充填孔53a(図6参照)が配置される。
磁石36の径方向に沿う厚さは、第一スロット31の径方向に沿う幅よりも薄くなっている。磁石36は、第一スロット31の径方向における内側の内壁(以下、「内側壁31b」という。)に当接した状態で配されている。これにより、磁石36の径方向の外側面と第一スロット31の外側壁31aとの間には、間隙31cが形成される。
モータハウジング5Aには、ステータ2のステータコア20が例えば不図示のボルト等により固定されている。
センサハウジングには、ロータ3の回転角度を検出可能な例えばレゾルバ等の不図示の回転センサが、ロータ3と同軸となるように取り付けられている。また、センサハウジングには、ロータ3のシャフト6の一端を回転自在に支持する不図示のベアリングが設けられている。なお、ロータ3のシャフト6の他端は、不図示のミッションハウジング等に設けられたベアリングにより回転自在に支持されている。これにより、ロータ3は、ステータ2の内側において回転可能となっている。
続いて、上述したロータ3の製造工程(請求項の「ロータ製造方法」に相当。)について説明する。なお、以下の説明において、各部品の符号については、必要に応じて図1から図3を参照されたい。
図4は、ロータ3の製造工程S10のフローチャートである。
図4に示すように、本実施形態のロータ3の製造工程S10は、主に、磁石挿入工程S11と、充填工程S13と、固化工程S15と、を含む。以下に、各工程の詳細について、図面を用いて説明をする。なお、以下で述べる工程は、ロータコア30の第一スロット31から第三スロット33の各スロットに対して、それぞれ同様に同一のタイミングで行われる。したがって、以下では、ロータコア30の第一スロット31に対して磁石36を挿入して固定する工程について説明をし、第二スロット32および第三スロット33に対して磁石36を挿入して固定する工程については説明を省略する。
図5は、磁石挿入工程S11の説明図であって、ロータコア30の第一スロット31を含む側面断面模式図である。
図5に示すように、本実施形態のロータ3の製造工程では、まず磁石挿入工程S11を行う。
磁石挿入工程S11では、ロータコア30の貫通孔30aに台座治具51の位置決め部51aを挿通し、台座治具51の台座部51bにロータコア30の軸方向端面を当接させることにより、ロータコア30を軸方向および径方向に位置決めした状態でセットする。続いて、ロータコア30の第一スロット31に対して、磁石36を軸方向に沿って挿入して配置する。以上で、磁石挿入工程S11が終了する。
続いて、充填工程S13を行う。以下では、充填工程S13で使用されるインジェクション装置50の概要について図面を用いて説明をした後、充填工程S13の詳細について説明をする。
図6に示すように、充填工程S13は、主に前述の台座治具51と、充填孔53aが形成された充填用金型53と、シリンダ61およびピストン62を有するインジェクションノズル60と、加熱型70(請求項の「加熱装置」に相当。)と、を備えたインジェクション装置50を用いて行われる。
充填用金型53の充填孔53aは、ロータコア30の第一スロット31に形成された充填溝31Aに対応する位置に形成されている。
また、充填用金型53の外面における中央には、インジェクションノズル60が接続される接続孔53bが設けられている。接続孔53bと充填孔53aとは、熱可塑性樹脂材料が通流する通流路53cを通じて連通している。
シリンダ61は、筒状の形状を成して所定の容積を有しており、不図示の供給路を通じて内部に熱可塑性樹脂材料が供給される。
ピストン62は、例えば不図示の油圧アクチュエータ等によりシリンダ61の内部をシリンダ61の軸方向に沿ってスライド移動可能とされる。
インジェクションノズル60は、ピストン62がシリンダ61内をロータコア30側に向かってスライド移動することにより、熱可塑性樹脂材料を射出する。
図7に示すように、加熱型70は、全体として平面視で略矩形状に形成されたブロック状の部材であり、中央部にロータコア30を配置可能となっている。本実施形態の加熱型70は、同一形状をした4個のスライドコア型71により4分割されて構成されている。
充填工程S13では、まず型締め工程S13Aを行う。図8に示すように、型締め工程S13Aでは、不図示の油圧アクチュエータを駆動して充填用金型53をロータコア30に向かって移動させ、ロータコア30の軸方向端面に接触させる。また、油圧アクチュエータ75を駆動して各スライドコア型71をロータコア30に向かって移動させ、ロータコア30の外周面に接触させる。そして、充填用金型53および各スライドコア型71を所定の押圧力でロータコア30に対して押圧することにより、いわゆる型締めを行う。これにより、ロータコア30は、軸方向において、台座治具51の台座部51bと充填用金型53とにより挟持される。また、ロータコア30は、ロータコア30の外周面の全面に対して加熱型70のスライドコア型71が接触した状態で、各スライドコア型71により囲繞される。
以上で、型締め工程S13Aが終了する。
加熱工程S13Bでは、ロータコア30の径方向の外側からロータコア30の外周面に対して加熱型70の各スライドコア型71を接触させた状態で、ロータコア30を加熱する。ロータコア30の加熱は、各スライドコア型71の内部に設けられた熱源73に電流を通電し、各スライドコア型71を発熱させることで行う。ここで、加熱型70の各スライドコア型71は、ロータコア30の外周面に対して接触していることから、ロータコア30の温度が瞬時に上昇して目標温度(例えば120℃)に到達する。
続いて、充填工程S13では、射出工程S13Cを行う。射出工程S13Cでは、加熱型70をロータコア30に接触させた状態で、加熱型70によりロータコア30を加熱しつつ、熱可塑性樹脂材料を射出する。
具体的には、図9に示すように、まず、インジェクションノズル60を充填用金型53に向かって移動させて、インジェクションノズル60の先端の射出口60aを充填用金型53の接続孔53bに挿入する。
射出工程S13Cにより、第一スロット31内に熱可塑性樹脂材料を充填した時点で、充填工程S13が終了する。
第一スロット31から第三スロット33の各スロット内に充填された熱可塑性樹脂材料が固化した時点で固化工程S15が終了するとともに、ロータ3の製造工程S10が終了する。
また、恒温槽等の加熱器が必要ないので、従来技術と比較して、製造設備の小型化および低コスト化ができる。
図10は、他の実施形態に係るインジェクション装置150の側面断面模式図である。
インジェクション装置50は、上述の実施形態に限定されることはなく、図10に示すようなインジェクション装置150を採用してもよい。なお、上述の実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
充填用金型53は、例えば不図示の油圧アクチュエータにより、ロータコア30の軸方向に沿って移動可能となっている。充填用金型53は、テーパブロック56と、テーパピン58と、を備えている。
テーパブロック56は、加熱型70に向かって突出するように設けられている。テーパブロック56の端部には、上方から下方に向かって、径方向の内側から外側に傾斜するようにテーパ面56aが設けられている。
テーパピン58は、テーパブロック56よりも径方向の外側において、加熱型70に向かって突出するように設けられている。テーパピン58は、上方から下方に向かって、径方向の内側から外側に傾斜するように設けられている。
スライドコア型71には、テーパブロック56のテーパ面56aと当接可能なテーパ面71aが形成されている。スライドコア型71のテーパ面71aは、テーパブロック56のテーパ面56aに対応するように、上方から下方に向かって、径方向の内側から外側に傾斜するように設けられている。
また、スライドコア型71には、テーパピン58が挿通可能な挿通孔71bが形成されている。スライドコア型71の挿通孔71bは、テーパピン58に対応するように、径方向の内側から外側に傾斜するように設けられている。
上述の他の実施形態によれば、一個の油圧アクチュエータで充填用金型53を移動させることにより、スライドコア型71を連動させ、ロータコア30に対して接近離反させることができる。したがって、スライドコア型71を駆動するための油圧アクチュエータが不要となるので、低コストなインジェクション装置150とすることができる。
30 ロータコア
31 第一スロット(スロット)
32 第二スロット(スロット)
33 第三スロット(スロット)
36 磁石
70 加熱型(加熱装置)
S13 充填工程
S13B 加熱工程
S13C 射出工程
Claims (5)
- 磁石挿入用のスロットを複数備えたロータコアを有するロータを製造するためのロータ製造方法であって、
前記ロータコアの前記スロットに磁石を挿入する磁石挿入工程と、
前記スロットの内壁と前記磁石の外面との間に熱可塑性樹脂材料を射出して充填する充填工程と、
を含み、
前記充填工程は、
前記ロータコアの径方向の外側から前記ロータコアの外周面に対して加熱装置を接触させて、前記加熱装置により前記ロータコアを加熱する加熱工程と、
前記加熱装置を前記ロータコアに接触させた状態で、前記加熱装置により前記ロータコアを加熱しつつ、前記熱可塑性樹脂材料を射出する射出工程と、
を含み、
前記射出工程では、前記スロットの前記内壁と前記磁石の前記外面との間であって、前記磁石よりも前記径方向の外側の位置から、前記熱可塑性樹脂材料を射出することを特徴とするロータ製造方法。 - 請求項1に記載のロータ製造方法であって、
前記射出工程では、複数の前記スロットの全てに対して、同一のタイミングで前記熱可塑性樹脂材料を射出することを特徴とするロータ製造方法。 - 請求項1または2に記載のロータ製造方法であって、
前記加熱工程では、前記ロータコアの外周面の全面に対して前記加熱装置を接触させることを特徴とするロータ製造方法。 - 請求項3に記載のロータ製造方法であって、
前記射出工程では、前記加熱装置が前記ロータコアを前記径方向の外側から内側に向かって、所定の押圧力により押圧した状態で行うことを特徴とするロータ製造方法。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載のロータ製造方法であって、
前記充填工程で充填される前記熱可塑性樹脂材料は、液晶ポリマーであることを特徴とするロータ製造方法。
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