JP2017093188A - 回転電機用ロータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロータコアの外周部から永久磁石近傍への押圧力を軽減して永久磁石の樹脂封止を行うことにより、高トルクを出力可能な磁石埋込型の回転電機用ロータの製造方法を提供する。【解決手段】ロータコア2は固定台13に配置され、ゲート7がロータコア2の上面に配置され、ロータコア2とゲート7との間に弾性部材14が嵌め込まれてロータコア2を押圧挟持する。ゲート7に上面と下面とを連通し樹脂12を流通させる複数の流路10が形成され、上面中央に樹脂12を注入するためのプランジャー11が挿入昇降できるように注入孔8が形成されている。ゲート7および固定台13の内部には加熱手段が設けられており、ロータコア2を加熱する永久磁石3は、永久磁石3の上面と磁石取付孔4の上端面、および磁石取付孔4の外径側と永久磁石3の外径側側面との隙間が確保され、磁石取付孔4の外周側に均一に寄った状態でモールドされロータコア2に固定される。【選択図】図2
Description
本発明は、電動モータおよび発電機として用いられる回転電機用ロータの製造方法に関し、特に、ロータコアに永久磁石を樹脂部材により固定する回転電機用ロータの製造方法に関するものである。
従来、回転電機には、ロータコアに永久磁石を埋め込み固定した、いわゆる埋込磁石型のロータを備えたものがある。この回転電機用ロータは、例えば電磁鋼板を積層したロータコアに形成された軸線方向に延出する一字形やU字形の磁石取付孔(スロット)に、永久磁石を挿入または成形して径方向と直交するように配置したものが知られている。このような埋込磁石型のロータを備えた回転電機(IPMモータ)では、永久磁石によるマグネットトルクのみならず、リラクタンストルクが発生するため、ロータコアの表面に永久磁石を固着した、いわゆる表面磁石型のロータを備えた回転電機(SPMモータ)に比べ、高いトルクが得られる。
そして、IPMモータのロータに用いられる永久磁石として、例えば磁気特性が高く耐熱性にも優れることから、希土類系の焼結磁石が用いられる場合がある。このIPMモータは、永久磁石をロ−タコアに確実に固定できるように、永久磁石を埋め込む磁石取付孔の内部に永久磁石を挿入した後に、磁石取付孔の永久磁石との間に確保した隙間に樹脂部材を流し込み硬化させて、永久磁石を磁石取付孔内に固定するロータの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1によれば、ロータコアに形成された複数の磁石取付孔に挿入された永久磁石を固定する際に、上型および下型によりロータコアを押圧し、溶融した樹脂部材を上型で加熱しながら磁石取付孔に充填することにより、永久磁石の樹脂封止(モールド)を行い永久磁石をロータコアに固定している。
上記のような樹脂封止を用いた方法では、積層してロータコアを形成する電磁鋼板の隙間に樹脂部材が漏れ出すのを防止するため、ロータコアに大きな荷重で加圧する必要がある。通常、電磁鋼板を積層してロータコアを形成する場合、打ち抜かれた電磁鋼板の外周縁部が加工硬化することにより、比透磁率が低下し、ロータの磁気特性が悪化する。しかしながら、磁束が通過する磁路となるロータコアの外周縁部より径方向内側の永久磁石近傍が大きな荷重で押圧されると、さらにロータコアの内側まで比透磁率が低下することになり、ロータの磁気特性が悪化し、ロータの磁路形成に悪影響を与えるおそれがある。これにより、高いモータトルクが得られ難くなり、電動モータの性能が低下する可能性がある。
上記のような樹脂封止を用いた方法では、積層してロータコアを形成する電磁鋼板の隙間に樹脂部材が漏れ出すのを防止するため、ロータコアに大きな荷重で加圧する必要がある。通常、電磁鋼板を積層してロータコアを形成する場合、打ち抜かれた電磁鋼板の外周縁部が加工硬化することにより、比透磁率が低下し、ロータの磁気特性が悪化する。しかしながら、磁束が通過する磁路となるロータコアの外周縁部より径方向内側の永久磁石近傍が大きな荷重で押圧されると、さらにロータコアの内側まで比透磁率が低下することになり、ロータの磁気特性が悪化し、ロータの磁路形成に悪影響を与えるおそれがある。これにより、高いモータトルクが得られ難くなり、電動モータの性能が低下する可能性がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ロータコアの磁路である外周部から永久磁石近傍への押圧力を軽減して永久磁石の樹脂封止を行うことにより、高トルクを出力可能な磁石埋込型の回転電機用ロータの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、回転軸に一体回転可能に固定され、中央に前記回転軸が挿入される挿入孔を有し、周方向に間隔をおいて複数の磁石取付孔が軸線方向に延びて形成された積層鋼板からなるロータコアと、前記各磁石取付孔内に埋め込まれて固定された永久磁石と、を備えた回転電機用ロータの製造方法であって、前記ロータコアを加熱する上型と下型とを有し、前記各磁石取付孔に前記永久磁石が挿入された前記ロータコアの下面を前記下型に配置し、前記上型を前記ロータコアの上面に配置し、前記ロータコアを前記上型と前記下型とで前記軸線方向両側から挟持する挟持工程と、前記上型の上面と下面とを連通する複数の流路を通して、溶融した樹脂部材を前記磁石取付孔に充填する充填工程と、充填された前記樹脂部材を前記上型と前記下型とで加熱しながら、前記永久磁石を前記樹脂部材でモールドして固定する固定工程と、を備え、前記挟持工程では、弾性部材が前記上型の下面に前記軸線方向に圧縮された状態で配置され、前記弾性部材の押圧力が前記ロータコアの外周縁近傍に作用しないようにして、前記上型の下面と前記ロータコアの上面とを当接させたことを要旨とする。
上記構成によれば、ロータコアは、ロータコアを加熱する上型、下型および上型の下面に圧縮されて配置された弾性部材により挟持される(挟持工程)。そして、永久磁石が挿入されたロータコアの複数の磁石取付孔に対して、上型内に設けられた各流路を通して溶融した樹脂部材を注入し磁石取付孔内に充填する(充填工程)。その後、永久磁石が樹脂部材でモールドされてロータコアに固定され(固定工程)、ロータが形成される。このため、磁路を形成するロータコアの外周縁の近傍部分は、上型と当接した状態で配置されているので、押圧されることがなく、比透磁率の低下によるロータの磁気特性の悪化を抑制することができる。これにより、電動モータの性能低下を防止し、高トルクを出力する電動モータを得ることが可能になる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転電機用ロータの製造方法において、前記挟持工程では、略円柱状に形成された前記弾性部材が前記上型の下面の中央に形成された収容孔に収容され、前記ロータコア中央の前記挿入孔周辺を押圧することを要旨とする。
上記構成によれば、ロータコアと上型との間に嵌め込まれた弾性部材がロータコア中央を押圧し、磁路を形成するロータコアの径方向外側を押圧しないので、比透磁率の低下によるロータの磁気特性の悪化を抑制することができる。これにより、電動モータの性能低下を防止し、高トルクを出力する電動モータを得ることが可能になる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の回転電機用ロータの製造方法において、前記弾性部材は、前記収容孔に収容される大径部と径が前記挿入孔の径より小さい小径部とからなる段差を有し、前記収容孔と前記挿入孔との間に嵌め込まれ、前記大径部の前記軸線方向の厚みは、前記収容孔の深さより大きく設定されるとともに、前記大径部の径方向長さは、径方向に対向して配置された前記磁石取付孔間の内径側の最小距離より小さく設定されることを要旨とする。
上記構成によれば、弾性部材は、上型の収容孔に収容される大径部の厚みが収容孔の深さより厚く、径方向長さは対向する磁石取付孔間の内径側の最小距離より小さく設定されているので、ロータの磁路を形成するロータコアの外周縁から径方向内側の永久磁石近傍部分が弾性部材に押圧されることがなく、比透磁率の低下によるロータの磁気特性の悪化を抑制することができる。これにより、電動モータの性能低下を防止し、高トルクを出力する電動モータを得ることが可能になる。
本発明によれば、ロータコアの磁路である外周部から永久磁石近傍への押圧力を軽減して永久磁石の樹脂封止を行うことにより、高トルクを出力可能な磁石埋込型の回転電機用ロータの製造方法を提供できる。
以下に、本発明の実施形態の回転電機に用いられる回転電機用ロータ1について、IPMモータのロータの図に基づいて説明する。なお、以下の説明において、径方向および軸線方向とは、回転電機用ロータ1(ロータコア2)の半径方向および軸方向を指す。
図1は、本発明の一実施形態に係る回転電機用ロータ(以下、ロータという)1の概略構成を示す断面図である。
回転電機は、例えば車両に搭載され、ステアリング操作を補助する電動パワーステアリング装置や油圧を発生させる電動オイルポンプ装置の駆動源用の電動モータ(例えば、3相のブラシレスモータ等)として用いられる。
回転電機は、例えば車両に搭載され、ステアリング操作を補助する電動パワーステアリング装置や油圧を発生させる電動オイルポンプ装置の駆動源用の電動モータ(例えば、3相のブラシレスモータ等)として用いられる。
図1に示すように、ロータ1は、回転電機(本実施形態では、IPMモータ)の回転軸6と一体回転可能に固定される円柱状のロータコア2と、永久磁石3とから構成されている。ロータコア2には、複数(本実施形態では、12個)の永久磁石3がロータコア2内にそれぞれ埋設されて固定されている。すなわち、本実施形態のロータ1は、いわゆる埋込磁石型のロータとして構成されている。このように構成されたIPMモータは、図示しないステータの各コイルに駆動電力が供給されることにより形成される磁界と、永久磁石3の磁束との間に発生する磁気的な吸引力および反発力によりロータ1が回転する構成となっている。
ロータコア2は、電磁鋼板等の軟磁性材料(積層鋼板、例えば、珪素鋼等)を積層して円柱状に成形されており、IPMモータの回転軸6が挿入される挿入孔5を有している。ロータコア2には、永久磁石3がそれぞれ内部に配置される複数(本実施形態では、12個)の略長方形板状の磁石取付孔4が形成されている。なお、本実施形態の磁石取付孔4は、それぞれ永久磁石3の断面形状と略同一の断面形状を有する孔(空洞)状に形成されている。そして、ロータコア2は、磁石取付孔4内に永久磁石3が樹脂により永久磁石3の表面を覆った状態にモールドされ固定された状態で回転軸6に嵌合されている。
各永久磁石3は、ロータコア2の外周縁の近傍部分に等間隔で軸線方向に貫通形成された12個の略長方形板状の磁石取付孔4にそれぞれ挿入され、ロータコア2に固定保持されている。なお、本実施形態の永久磁石3には、焼結磁石(例えば、ネオジム焼結磁石等)が用いられており、永久磁石3は、磁石取付孔4内に挿入され固定された後に着磁(磁化)されるようになっていてもよいし、先に着磁したものを磁石取付孔4内に挿入し固定してもよい。
また、永久磁石3は、周方向において一方の極性(例えば、N極)同士の永久磁石3が対向するように着磁されている。そして、周方向において他方の極性(例えば、S極)の永久磁石3と隣り合うように着磁されている。
また、永久磁石3は、周方向において一方の極性(例えば、N極)同士の永久磁石3が対向するように着磁されている。そして、周方向において他方の極性(例えば、S極)の永久磁石3と隣り合うように着磁されている。
<第1の実施形態>
次に、本発明の第1の実施形態に係る永久磁石3の樹脂封止方法について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る永久磁石3の樹脂封止方法を示す概略図である。
図2に示すように、ロータコア2は、鉄製の略直方体状の固定台(下型)13の上に配置され、磁石取付孔4の底面開口が塞がれている。このとき、永久磁石3は磁石取付孔4のほぼ中央に配置されている(図示せず)。
次に、本発明の第1の実施形態に係る永久磁石3の樹脂封止方法について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る永久磁石3の樹脂封止方法を示す概略図である。
図2に示すように、ロータコア2は、鉄製の略直方体状の固定台(下型)13の上に配置され、磁石取付孔4の底面開口が塞がれている。このとき、永久磁石3は磁石取付孔4のほぼ中央に配置されている(図示せず)。
ロータコア2の上面に、底面が略正方形状の直方体からなる鉄製のゲート(上型)7が配置されている。ここで、ロータコア2とゲート7との間には略円柱形状の耐熱性のゴムからなる弾性部材14が嵌め込まれている。弾性部材14は、収容孔15に収容される大径部16と径が挿入孔5の径より小さい小径部17とからなる段差を有している。ゲート7には、上面と下面とを連通して樹脂(樹脂部材)12を流通させる流路10が形成され、上面中央部分には樹脂12を注入するためのプランジャー11が挿入できるよう大径の注入孔8が形成されている。プランジャー11は、図示しない油圧またはサーボモータの駆動装置により注入孔8内を昇降し、溶解した樹脂12を下方に押し出す。樹脂12としては、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂等)が使用される。なお、ゲート7および固定台13の内部には図示しない加熱手段が設けられており、ロータコア2を加熱(例えば、180℃)して樹脂封止を容易にしている。
また、永久磁石3は、磁石取付孔4の内径側に均一に寄った状態でモールドされてロータコア2に固定され、永久磁石3の上端面とロータコア2の上面との軸線方向の隙間(例えば、1mm以下)、および磁石取付孔4の外径側側壁と永久磁石3の外径側側面との径方向の隙間(例えば、1mm以下)が確保されて固定されている。
図3は、図2のゲート7を下方(ロータコア2側)から見た概略図である。
図3に示すように、ゲート7には下面のロータコア2の中央の挿入孔5に対向する位置に円形状の収容孔15が設けられている。また、下面のロータコア2の各磁石取付孔4に符合した位置に対向して、円周上に等間隔で複数(本実施形態では、12個)の円形状の小径の注入孔9が、磁石取付孔4の外径側に寄った位置に設けられている。さらに、ゲート7の上面中央に設けられた円形状の大径の注入孔8から径方向に屈曲して延びて、小径の注入孔9と連通する複数(本実施形態では、12本)の流路10が形成されている。これにより、1個の注入孔8から各流路10および各注入孔9を通して各磁石取付孔4に樹脂12が充填される。
図3に示すように、ゲート7には下面のロータコア2の中央の挿入孔5に対向する位置に円形状の収容孔15が設けられている。また、下面のロータコア2の各磁石取付孔4に符合した位置に対向して、円周上に等間隔で複数(本実施形態では、12個)の円形状の小径の注入孔9が、磁石取付孔4の外径側に寄った位置に設けられている。さらに、ゲート7の上面中央に設けられた円形状の大径の注入孔8から径方向に屈曲して延びて、小径の注入孔9と連通する複数(本実施形態では、12本)の流路10が形成されている。これにより、1個の注入孔8から各流路10および各注入孔9を通して各磁石取付孔4に樹脂12が充填される。
次に、永久磁石3の樹脂封止方法について説明する。
図4は、永久磁石3を樹脂封止する各工程を示す図、図5(a),(b)は、ロータコア2にゲート7を配置する工程を説明する概略図であり、図5(a)は、ロータコア2に弾性部材14を配置した状態を示す図、図5(b)は、ロータコア2にゲート7を配置した状態を示す図である。
図4は、永久磁石3を樹脂封止する各工程を示す図、図5(a),(b)は、ロータコア2にゲート7を配置する工程を説明する概略図であり、図5(a)は、ロータコア2に弾性部材14を配置した状態を示す図、図5(b)は、ロータコア2にゲート7を配置した状態を示す図である。
まず、各磁石取付孔4に永久磁石3が挿入されたロータコア2を固定台13の上に配置する(ステップS401)。このとき、ロータコア2の下面が固定台13の上面に接触するように固定される。次に、ロータコア2に弾性部材14を配置する(ステップS402)。具体的には、ロータコア2の中央の挿入孔5に弾性部材14下側の小径部17を嵌め合わせる。
続いて、磁石取付孔4(ロータコア2)の上面と永久磁石3の上端面、および磁石取付孔4の外径側側壁と永久磁石3の外径側側面との隙間を確保した状態で、ゲート7の下面側の各注入孔9の位置を各磁石取付孔4の円周上の中央に合わせた上で、ロータコア2の上面にゲート7を配置する(ステップS403、挟持工程)。このとき、ゲート7の下側に設けられた収容孔15に弾性部材14上側の大径部16が嵌め合わされ、弾性部材14が軸線方向に圧縮される。
次いで、ゲート7上面の注入孔8から樹脂12が注入され、注入孔8内にプランジャー11が挿入される(ステップS404)。そして、プランジャー11を下降させると、プランジャー11による高い注入圧力で、樹脂12がゲート7内の各流路10に押し出された後、永久磁石3が挿入されている各磁石取付孔4内に流れ込む(充填工程)。その後、樹脂12は永久磁石3を磁石取付孔4の内径側に押圧しながら隙間に充填されて、永久磁石3はモールドされてロータコア2に固定される(ステップS405、固定工程)。このとき、樹脂12を充填する際(モールド時)には、ゲート7と固定台13とにより挟持されたロータコア2は、弾性部材14の大きな押圧力(荷重、例えば、10t程度)で押圧されている。そして、樹脂12が硬化した後にゲート7、固定台13および弾性部材14が取り除かれてロータ1が形成される。
ここで、図5(a)に示すように、圧縮される弾性部材14の大径部16の厚みt1は、ゲート7の弾性部材14が嵌合される収容孔15の深さt2より大きく(t1>t2)設定されている。そして、図5(b)に示すように、大径部16の径方向長さd1は、対向する磁石取付孔4間の内径側の最小距離d2より小さく(d1<d2)設定され、大径部16は周方向に配置された磁石取付孔4の内側に配置されている。したがって、ゲート7がロータコア2に配置されると、ロータコア2の中央の挿入孔5周辺部分は弾性部材14により押圧されるが、外周縁の近傍部分においてゲート7の下面とロータコア2の上面とは当接した状態で配置されている。
以上のように、ロータコア2の中央に弾性部材14を嵌合してゲート7を配置することにより、磁路を形成するロータコア2の外径側の外周縁から径方向内側の永久磁石3近傍部分がゲート7によって押圧されることなく、永久磁石3を樹脂封止することができる。
<第2の実施形態>
次に、図6は、本発明の第2の実施形態に係る永久磁石3の樹脂封止方法を示す概略図である。なお、第1の実施形態と構成、動作が異なる部分についてのみ記載し、同一の部分については説明を省略する。
図6に示すように、ロータコア2の中央の挿入孔5に回転軸6(図1参照)と略同一の断面形状を有する金属製の固定治具20が挿入され、略円柱状の弾性部材19が固定治具20と接触して固定治具20の上端面に配置されている。このとき、弾性部材19にはゲート(上型)18により大きな荷重が加えられ、ロータコア2上面には大きな押圧力が加わらない状態で樹脂封止が行われるので、ロータコア2(ロータ1)の磁気特性の悪化を抑制することができる。
次に、図6は、本発明の第2の実施形態に係る永久磁石3の樹脂封止方法を示す概略図である。なお、第1の実施形態と構成、動作が異なる部分についてのみ記載し、同一の部分については説明を省略する。
図6に示すように、ロータコア2の中央の挿入孔5に回転軸6(図1参照)と略同一の断面形状を有する金属製の固定治具20が挿入され、略円柱状の弾性部材19が固定治具20と接触して固定治具20の上端面に配置されている。このとき、弾性部材19にはゲート(上型)18により大きな荷重が加えられ、ロータコア2上面には大きな押圧力が加わらない状態で樹脂封止が行われるので、ロータコア2(ロータ1)の磁気特性の悪化を抑制することができる。
<第3の実施形態>
また、図7は、本発明の第3の実施形態に係る永久磁石3の樹脂封止方法を示す概略図である。なお、第1の実施形態と構成、動作が異なる部分についてのみ記載し、同一の部分については説明を省略する。
図7に示すように、ロータコア2の外周に円筒状の金属製の拘束治具22が配置され、円環状の弾性部材21が拘束治具22と接触して拘束治具22の上端面に配置されている。このとき、弾性部材21にはゲート18により大きな荷重が加えられ、ロータコア2上面には大きな押圧力が加わらない状態で樹脂封止が行われるので、ロータコア2(ロータ1)の磁気特性の悪化を抑制することができる。
また、図7は、本発明の第3の実施形態に係る永久磁石3の樹脂封止方法を示す概略図である。なお、第1の実施形態と構成、動作が異なる部分についてのみ記載し、同一の部分については説明を省略する。
図7に示すように、ロータコア2の外周に円筒状の金属製の拘束治具22が配置され、円環状の弾性部材21が拘束治具22と接触して拘束治具22の上端面に配置されている。このとき、弾性部材21にはゲート18により大きな荷重が加えられ、ロータコア2上面には大きな押圧力が加わらない状態で樹脂封止が行われるので、ロータコア2(ロータ1)の磁気特性の悪化を抑制することができる。
<第4の実施形態>
さらに、図8は、本発明の第4の実施形態に係る永久磁石3の樹脂封止方法を示す概略図である。なお、第1の実施形態と構成、動作が異なる部分についてのみ記載し、同一の部分については説明を省略する。
図8に示すように、ロータコア2の磁石取付孔4の内周側および外周側近傍の円周上に弾性部材としてOリング24がゲート(上型)23の下面に配置されている。このとき、Oリング24にはゲート23により大きな荷重が加えられ、ロータコア2にはOリング24に接触する磁石取付孔4周辺部分にしか押圧力が加わらない状態で樹脂封止が行われるので、ロータコア2(ロータ1)の磁気特性の悪化を抑制することができる。この場合、Oリング24により樹脂12が磁石取付孔4以外に漏れ出すことを確実に防止することができる。
さらに、図8は、本発明の第4の実施形態に係る永久磁石3の樹脂封止方法を示す概略図である。なお、第1の実施形態と構成、動作が異なる部分についてのみ記載し、同一の部分については説明を省略する。
図8に示すように、ロータコア2の磁石取付孔4の内周側および外周側近傍の円周上に弾性部材としてOリング24がゲート(上型)23の下面に配置されている。このとき、Oリング24にはゲート23により大きな荷重が加えられ、ロータコア2にはOリング24に接触する磁石取付孔4周辺部分にしか押圧力が加わらない状態で樹脂封止が行われるので、ロータコア2(ロータ1)の磁気特性の悪化を抑制することができる。この場合、Oリング24により樹脂12が磁石取付孔4以外に漏れ出すことを確実に防止することができる。
次に、上記のように構成された本発明の第1〜4の実施形態に係るロータ1の製造方法の作用および効果について説明する。
上記第1の実施形態に係るロータ1の製造方法によれば、ロータコア2の各磁石取付孔4に永久磁石3を樹脂封止して固定する際に、鉄製のゲート7、固定台13、およびゲート7とロータコア2との間に嵌め込まれロータコア2の中央の挿入孔5周辺部分を押圧する弾性部材14によりロータコア2が挟持される(挟持工程)。そして、永久磁石3が挿入された複数の磁石取付孔4に対して溶融した樹脂12をゲート7内に設けられた各流路10を通して注入して磁石取付孔4へ充填し(充填工程)、永久磁石3が樹脂12でモールドされてロータコア2に固定され(固定工程)、ロータ1が形成される。
また、磁路を形成するロータコア2の外周縁の近傍部分は、ゲート7と当接した状態で配置されている。このとき、弾性部材14のゲート7の下面側に形成された収容孔15に収容される大径部16の厚みは、収容孔15の深さより厚く、径方向長さd1は、対向する磁石取付孔4間の内周側の最小距離d2より小さく設定されている。
このため、圧縮された弾性部材14がロータコア2の中央の挿入孔5周辺部分を押圧し、ロータ1の磁路を形成するロータコア2の径方向外側の外周縁から径方向内側の永久磁石3近傍部分が押圧されることがないので、比透磁率の低下によるロータ1の磁気特性の悪化を抑制することができる。これにより、電動モータの性能低下を防止し、高トルクを出力する電動モータを得ることが可能になる。
また、上記第2,3の実施形態に係るロータ1の製造方法によれば、ゲート18は固定治具20に支持された弾性部材19、または拘束治具22に支持された弾性部材21にそれぞれ接触しているので、ロータコア2が押圧されることがなく、ロータ1の磁気特性の悪化を抑制することができる。これにより、電動モータの性能低下を防止し、高トルクを出力する電動モータを得ることが可能になる。
さらに、第4の実施形態に係るロータ1の製造方法によれば、ロータコア2の磁石取付孔4の内周側および外周側近傍の円周上に接触した状態で、Oリング24がゲート23下面に配置されるので、ロータコア2に押圧力が加わる領域がごく一部の円周部分に限定され、ロータ1の磁気特性の悪化を抑制することができる。これにより、電動モータの性能低下を防止し、高トルクを出力する電動モータを得るとともに、Oリング24により樹脂12が磁石取付孔4以外に漏れ出すことを防止することができる。
以上のように、本発明の第1〜4の実施形態によれば、ロータコアの磁路である外周部から永久磁石近傍への押圧力を軽減して永久磁石の樹脂封止を行うことにより、高トルクを出力可能な磁石埋込型の回転電機用ロータの製造方法を提供することができる。
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明はさらに他の形態で実施することも可能である。
上記実施形態では、ロータコア2の磁石取付孔4にあらかじめ永久磁石3を挿入して樹脂封止する場合について説明したが、これに限定されるものでなく、本発明の製造方法を樹脂と粉末の磁石材料とを混ぜた、いわゆるボンド磁石の成形に適用してもよい。
上記実施形態では、12個の磁石取付孔4が設けられ、周方向において一方の極性同士の永久磁石3が対向し、周方向において他方の極性の永久磁石3と隣り合う例を示したが、これに限定されるものでなく、永久磁石3の形状、個数および配置は適宜変更可能である。
上記実施形態では、永久磁石3が磁石取付孔4に対して内径側に寄った状態で固定される場合について示したが、これに限定されるものでなく、注入孔9を内径側に配置して樹脂12が磁石取付孔4の内径側から注入され、永久磁石3が磁石取付孔4の外径側に寄った状態で固定されるようにしてもよい。
上記実施形態では、永久磁石3と同一の断面形状を有する磁石取付孔4を設けた例を示したが、これに限定されるものでなく、例えば、ロータコア2の外周縁に生じるモータトルクに寄与しない漏れ磁束を抑制するため、周方向に永久磁石3の両端に磁石取付孔4を延出し、樹脂12を流し込むようにしてもよい。
上記実施形態では、ゲート7,18,23内の各流路10を径方向に水平に延びるように配置したが、流路10の長さを最短にすべく、注入孔8,9を直線的に連通させるように配置してもよい。
上記実施形態では、本発明を電動パワーステアリング装置や電動オイルポンプ装置などの駆動源に用いられる電動モータ(IPMモータ)に具体化したが、これに限定されるものでなく、他の装置の駆動源用モータとして用いてもよい。また、発電機として用いてもよい。
1:回転電機用ロータ、2:ロータコア、3:永久磁石、4:磁石取付孔、5:挿入孔、6:回転軸、7,18,23:ゲート(上型)、8,9:注入孔、10:流路、
11:プランジャー、12:樹脂(樹脂部材)、13:固定台(下型)、
14,19,21:弾性部材、15:収容孔、16:大径部、17:小径部、
20:固定治具、22:拘束治具、24:Oリング、
t1:大径部の厚み、t2:収容孔の深さ、d1:大径部径方向長さ、
d2:磁石取付孔間の最小距離
11:プランジャー、12:樹脂(樹脂部材)、13:固定台(下型)、
14,19,21:弾性部材、15:収容孔、16:大径部、17:小径部、
20:固定治具、22:拘束治具、24:Oリング、
t1:大径部の厚み、t2:収容孔の深さ、d1:大径部径方向長さ、
d2:磁石取付孔間の最小距離
Claims (3)
- 回転軸に一体回転可能に固定され、中央に前記回転軸が挿入される挿入孔を有し、周方向に間隔をおいて複数の磁石取付孔が軸線方向に延びて形成された積層鋼板からなるロータコアと、
前記各磁石取付孔内に埋め込まれて固定された永久磁石と、を備えた回転電機用ロータの製造方法であって、
前記ロータコアを加熱する上型と下型とを有し、前記各磁石取付孔に前記永久磁石が挿入された前記ロータコアの下面を前記下型に配置し、前記上型を前記ロータコアの上面に配置し、前記ロータコアを前記上型と前記下型とで前記軸線方向両側から挟持する挟持工程と、
前記上型の上面と下面とを連通する複数の流路を通して、溶融した樹脂部材を前記磁石取付孔に充填する充填工程と、
充填された前記樹脂部材を前記上型と前記下型とで加熱しながら、前記永久磁石を前記樹脂部材でモールドして固定する固定工程と、を備え、
前記挟持工程では、弾性部材が前記上型の下面に前記軸線方向に圧縮された状態で配置され、前記弾性部材の押圧力が前記ロータコアの外周縁近傍に作用しないようにして、前記上型の下面と前記ロータコアの上面とを当接させたことを特徴とする回転電機用ロータの製造方法。 - 請求項1に記載の回転電機用ロータの製造方法において、
前記挟持工程では、略円柱状に形成された前記弾性部材が前記上型の下面の中央に形成された収容孔に収容され、前記ロータコア中央の前記挿入孔周辺を押圧することを特徴とする回転電機用ロータの製造方法。 - 請求項2に記載の回転電機用ロータの製造方法において、
前記弾性部材は、前記収容孔に収容される大径部と径が前記挿入孔の径より小さい小径部とからなる段差を有し、前記収容孔と前記挿入孔との間に嵌め込まれ、前記大径部の前記軸線方向の厚みは、前記収容孔の深さより大きく設定されるとともに、前記大径部の径方向長さは、径方向に対向して配置された前記磁石取付孔間の内径側の最小距離より小さく設定されることを特徴とする回転電機用ロータの製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2015222068A JP2017093188A (ja) | 2015-11-12 | 2015-11-12 | 回転電機用ロータの製造方法 |
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
CN110870168A (zh) * | 2017-06-29 | 2020-03-06 | 日立汽车系统株式会社 | 旋转电机 |
JP2020127294A (ja) * | 2019-02-05 | 2020-08-20 | ファナック株式会社 | ロータコアの製造装置及びロータコアの製造方法 |
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2015
- 2015-11-12 JP JP2015222068A patent/JP2017093188A/ja active Pending
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CN110870168B (zh) * | 2017-06-29 | 2021-10-26 | 日立安斯泰莫株式会社 | 旋转电机 |
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