JP2013121262A - 回転電機のロータ及びその製造方法 - Google Patents

回転電機のロータ及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】埋込磁石型同期モータのロータにおいて、簡単に成形することができ、且つ、リラクタンストルクを確実に増加させる技術を提供する。
【解決手段】ロータシャフトと、ロータシャフトの外側に設けられる、長軸と短軸とを有する軟磁性材粉末7とバインダー樹脂9とを含む略円筒形状のロータコア5と、を備える回転電機のロータである。ロータコア5の外周部には、ロータシャフトの軸方向に延びる16個の永久磁石11がロータコア5の円周方向に間隔を隔てて配設されている。ロータコア5における対の永久磁石11を囲む部位では、永久磁石11の磁束軸をd軸、d軸と電気角で直交する軸をq軸としたとき、各軟磁性材粉末7が、その長軸がq軸方向を向くように配向された状態でバインダー樹脂9により接着されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、埋込磁石型同期モータのロータに関し、特に、磁化容易軸を有する軟磁性材を含むロータコアを備えたロータ及びその製造方法に関するものである。
従来から、埋込磁石型同期モータ(IPMSM)は、自動車の駆動用モータやポンプ類駆動用モータ、パワステ駆動用モータ、さらには冷蔵庫や洗濯機、乾燥機といった家電製品の駆動用モータに用いられており、その高出力化および高効率化が求められている。
このような状況において、樹脂中に永久磁石粉末を分散させた、所謂ボンド磁石の長所である磁化方向制御の簡便さや、形状成形自由度の高さや、他部材との一体成形性の容易さを利用して、従来の埋込磁石型同期モータの性能を向上させることが試みられている。
例えば、特許文献1には、異方性ボンド磁石を磁場中で成形することが開示されている。この特許文献1によれば、異方性ボンド磁石の割れを防止するとともに、異方性ボンド磁石部のウェルド層の数と極数を同数とし、ゲートを極間部に配置したことにより、ゲートより射出されて流動するボンド磁石材料が、極間を跨ぐことなく充填されることから、極間を跨ぐ際の磁石粉末の180度反転(N極とS極間をプラマグコンパウンドが移動するときに、一度N極に磁化されたコンパウンド内の磁石粉末が、180°向きを変えること)を生じることなく、充填を完了させて、磁石粉末の配向乱れを無くした永久磁石回転子を得ることが可能となる、とされている。
また、特許文献2には、圧粉磁心と磁石とで構成された回転子で、前記圧粉磁心と磁石とを同時に圧縮成形することが記されている。具体的には、特許文献2に記載された発明は、モータのロータコアを粉末材料を成形して構成し、その成形体は結合材および磁石粉末を主とするボンド磁石部と、結合材および軟磁性粉末を主とする軟磁性部とを有し、圧縮成形手段を用いて形成された永久磁石型のロータであり、低コギング化と高出力化とを実現しようとするものである。
さらに、鉄心内に永久磁石を埋込むタイプではないが、特許文献3には、表面磁石型のモータ用磁石回転子において、磁石を螺旋形状にスキューさせて低コギング化を図るとともに、互いに異なる極性の磁石間に鉄心部を設けてリラクタンストルクを発生可能にすることが開示されている。
特開2008−172965号公報 特開2006−320036号公報 特開2006−180677号公報
ところで、埋込磁石型同期モータでは、コギング低減による低騒音化および低振動化や、漏れ磁束の低減によるトルク密度の増加もさることながら、高出力化および高効率化の観点から、リラクタンストルク向上によるトルク密度の増加が強く求められている。
しかしながら、上記特許文献1、並びに特許文献2のものでは、ロータコアにdq軸のインダクタンス差がないため、リラクタンストルク向上によってトルク密度を増加させる効果は期待できない。また、特許文献3のものは、リラクタンストルクを有効活用できるとされているが、磁石を螺旋形状にスキューさせるという構造を採用するものであり、その成形性や成形精度に関して極めて高度な制御が求められる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、埋込磁石型同期モータのロータにおいて、簡単に成形することができ、且つ、リラクタンストルクを確実に増加させる技術を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る回転電機のロータでは、磁化容易軸を有する軟磁性材粉末をロータコアに含ませるとともに、埋込磁石の磁束軸方向のインダクタンスと、かかる磁束軸と電気角で直交する軸方向のインダクタンスとの差が大きくなるように、軟磁性材粉末を配向させるようにしている。
具体的には、第1の発明は、回転中心となる回転軸部材と、当該回転軸部材の外側に設けられる、磁化容易軸を有する軟磁性材粉末と樹脂材とを含む略円筒形状のロータコアと、を備え、当該ロータコアの外周部に、当該回転軸部材の軸方向に延びる複数の永久磁石が当該ロータコアの円周方向に間隔を隔てて配設された回転電機のロータを対象とする。
そして、上記ロータコアにおける、上記複数の永久磁石のうち相隣合う一対の永久磁石を囲む部位では、当該永久磁石の磁束軸をd軸、当該d軸と電気角で直交する軸をq軸としたとき、上記各軟磁性材粉末が、その磁化容易軸がq軸方向を向くように配向された状態で上記樹脂材により接着されていることを特徴とするものである。
第1の発明では、ロータコアにおける対の永久磁石を囲む部位では、当該ロータコアに含まれている各軟磁性材粉末が、その磁化容易軸がq軸(永久磁石の磁束軸と電気角で直交する軸)方向を向くように配向された状態で樹脂材により接着されている。これにより、各軟磁性材粉末の磁化容易軸方向が異なるために磁束の流れが揺らぐ場合と異なり、q軸方向では磁束が流れ易くなるとともに、磁化困難軸が向くd軸(永久磁石の磁束軸)方向では磁束が流れ難くなる。換言すると、q軸方向ではインダクタンスが大きくなるとともに、d軸方向ではインダクタンスが小さくなる。したがって、第1の発明によれば、磁化容易軸がq軸方向を向くように各軟磁性材粉末を配向させるという簡単な構成で、d軸方向とq軸方向とのインダクタンス差を大きくして、大きなリラクタンストルクを発生させることができる。
なお、本発明において、「磁化容易軸」とは、「結晶磁気異方性を持つ磁性体における磁化され易い結晶方位」のみを意味するのではなく、より広く形状磁気異方性を含めて「磁性体における磁化の方向が向きやすい軸」を意味する。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記各軟磁性材粉末は、長径と短径とを有していて、長径方向が上記磁化容易軸と一致していることを特徴とするものである。
ところで、形状磁気異方性を有する軟磁性材では、反磁界の大きさは磁極間距離に反比例するので、軟磁性材粉末の長径方向では磁束が流れ易くなるとともに、短径方向では磁束が流れ難くなる。そうして、第2の発明では、長径方向が磁化容易軸と一致し、換言すると、軟磁性材の磁気特性が結晶磁気異方性に依らず形状磁気異方性に依存し、且つ、長径方向がq軸方向に沿うように軟磁性材粉末を配向するので、q軸方向のインダクタンスを大きく(d軸方向のインダクタンスを小さく)して、大きなリラクタンストルクを発生させることができる。
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記各軟磁性材粉末は、その表面に無機系絶縁被膜が形成されていることを特徴とするものである。
第3の発明によれば、各軟磁性材粉末の表面には、無機系絶縁被膜が形成されていることから、渦電流損を抑制することができる。
第4の発明は、回転中心となる回転軸部材と、当該回転軸部材の外側に設けられる、磁化容易軸を有する軟磁性材粉末と樹脂材とを含む略円筒形状のロータコアと、を備え、当該ロータコアの外周部に、当該回転軸部材の軸方向に延びる少なくとも一対の永久磁石が配設された回転電機のロータの製造方法を対象とする。
そして、略円筒形状のキャビティを有する金型を容易し、上記軟磁性材粉末と上記樹脂材とを混合してコンパウンド化するコンパウンド化工程と、上記金型の上記キャビティ内における所定位置に、各々非磁性体からなる少なくとも一対のダミー中子を配置する中子配置工程と、上記一対のダミー中子を永久磁石と仮定し、当該仮定された永久磁石の磁束軸をd軸、当該d軸と電気角で直交する軸をq軸としたとき、q軸方向と平行な配向磁場を印加しながら、上記一対のダミー中子の略中間位置に位置するゲート部から、上記コンパウンド化された材料を上記キャビティ内に射出し、上記ロータコアを成形する磁場配向射出工程と、射出成形後に上記金型から脱型された上記ロータコアから、上記ダミー中子を取り出す中子取出工程と、上記ダミー中子によって上記ロータコアに形成された孔に、着磁された永久磁石を挿通固定する挿通固定工程と、を含むことを特徴とするものである。
第4の発明によれば、後挿入される永久磁石の磁束軸と電気角で直交するq軸方向と平行な配向磁場を印加しながら、磁化容易軸を有する軟磁性材粉末を射出するという簡単な方法で、大きなリラクタンストルクを発生させることが可能なロータを製造することができる。
加えて、第4の発明では、射出成形の際はダミー中子を用い、着磁された永久磁石を後挿入するので、磁場配向射出工程において、永久磁石の磁場の影響を受けることなく、所望の配向磁場を形成することができる。
第5の発明は、上記第4の発明において、上記軟磁性材は、長径と短径とを有していて、長径方向が磁化容易軸と一致していることを特徴とするものである。
第5の発明によれば、上記第4の方法で製造されたロータにおいて、上記第2の発明と同様の効果を得ることができる。
第6の発明は、上記第4又は第5の発明において、上記コンパウンド化工程の前に、上記軟磁性材の表面に無機系絶縁被膜を形成する被膜成形工程を含むことを特徴とするものである。
第5の発明によれば、上記第4の方法で製造されたロータにおいて、渦電流損を抑制することができる。
本発明に係る回転電機のロータによれば、ロータコアにおける、当該ロータコアの外周部に配設された対の永久磁石を囲む部位では、磁化容易軸がq軸方向を向くように、各軟磁性材粉末の配向されていることから、q軸方向ではインダクタンスが大きくなるとともに、d軸方向ではインダクタンスが小さくなるので、簡単な構成で、大きなリラクタンストルクを発生させることができる。
また、本発明に係る回転電機のロータの製造方法によれば、後挿入される永久磁石の磁束軸と電気角で直交するq軸方向と平行な配向磁場を印加しながら、磁化容易軸を有する軟磁性材粉末を射出するという簡単な方法で、大きなリラクタンストルクを発生させることが可能なロータを製造することができる。
本発明の実施形態に係る回転電機のロータを示す斜視図である。 図1のII−II線の矢視図である。 軟磁性材粉末を示す模式図である。 永久磁石のd軸とq軸を模式的に示す図である。 対の永久磁石を囲む部位における、軟磁性材粉末の配向状態を模式的に示す図である。 回転電機のロータの製造方法のフローチャートである。 金型及びダミー中子を示す断面図である。 磁場配向射出成形を説明する模式図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
−ロータ構造−
図1は、本実施形態に係る回転電機のロータを示す斜視図であり、図2は、図1のII−II線の矢視図である。このロータ1は、例えば、車両におけるポンプ類駆動用モータやパワステ駆動用モータさらには家電製品の駆動用モータ等、2kW以下の比較的低出力のモータに好適に用いられるものであり、図1に示すように、回転中心となる金属製のロータシャフト(回転軸部材)3と、当該ロータシャフト3の外側に設けられる略円筒形状のロータコア5と、を備えている。
ロータコア5は、バインダー樹脂9(例えば、ポリアミド(PA12等)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等)と、軟磁性材粉末7(例えば、純鉄、鉄シリコン、パーマロイ等)とを含んでおり、後述するように、これらバインダー樹脂(樹脂材)9と軟磁性材粉末7とを混合してコンパウンド化した後、金型15に形成された略円筒状のキャビティ15a内に射出することにより、中央部に断面円形の中央貫通孔5aを有する略円筒形状に形成されている。そうして、ロータシャフト3は、かかる中央貫通孔5aに挿通さ固定れている。
また、このロータコア5の外周部には、図2に示すように、ロータシャフト3の軸方向に延びる断面矩形状の永久磁石11(例えば、Nd焼結磁石、フェライト等)が、当該ロータコア5の円周方向に間隔を隔てて16個配設されている。より詳しくは、ロータコア5の外周部には、軸方向から見て、径方向外側が開いた略V字をなすように形成された、各々断面矩形状を有する対の貫通孔5bが8対形成されており、かかる貫通孔5bに挿入された8つの永久磁石11対が、径方向外側にN極とS極とが交互に並ぶ8つの磁極を形成するようになっている。つまり、本実施形態のロータ1は、埋込磁石型同期モータのロータであり、ロータコア5の磁化によるリラクタンストルクと永久磁石11の磁化によるマグネットトルクの両方を利用することが可能となっている。
ところで、埋込磁石型同期モータにおける、永久磁石によるマグネットトルクとリラクタンストルクとの関係は、下記の(式1)で表される。
T=Pn×ψa×Iq+Pn×(Ld−Lq)×Id×Iq・・・・(式1)
なお、Pn:極対数、ψa:永久磁石による鎖交磁束、Ld:d軸方向のインダクタンス、Lq:q軸方向のインダクタンス、Iq:q軸電流、Id:d軸電流、である。
そうして、リラクタンストルク(式1の第2項)を増加させて回転電機のトルクを大きくするには、(式1)から分かるように、以下の3つの手段、すなわち、極対数Pn(磁極の対の数)を増加させること(第1の手段)、電流Iq、Idを増加させること(第2の手段)及び、インダクタンス差(Ld−Lq)を大きくすること(第3の手段)が考えられる。
ここで、第1の手段は、磁極を増加させるだけなので一見好適な手段とも思えるが、磁極を増加させると、インバータのスイッチング回数を増やすことになり、インバータロスの増大を招くという問題がある。また、第2の手段は、電流を増加させることから、銅損の増加による効率低下や、インバータのスイッチング素子の高スペック化(高電流化)によるコストの増大を招くという問題がある。
そこで、本実施形態のロータ1では、第3の手段を選択することにより、すなわち、インダクタンス差(Ld−Lq)を大きくすることにより、安価に、且つ、効率を落とすことなく、回転電機の高トルク化を図るようにしている。なお、「インダクタンス差(Ld−Lq)を大きくする」とは、d軸電流Idが負であることから、正確には(Lq−Ld)を大きくすることを意味する。
具体的には、本実施形態のロータ1では、磁化容易軸を有する軟磁性材粉末7をロータコア5に含ませるとともに、ロータコア5における、16個(複数)の永久磁石11のうち相隣合う一対の永久磁石11を囲む部位において、当該永久磁石11の磁束軸をd軸、当該d軸と電気角で直交する軸をq軸としたとき、各軟磁性材粉末7をその磁化容易軸がq軸方向を向くように配向された状態でバインダー樹脂9により接着するようにしている。なお、本実施形態の「磁化容易軸」とは、「結晶磁気異方性を持つ磁性体における磁化され易い結晶方位」(以下、「狭義の磁化容易軸」という)のみを意味するのではなく、より広く形状磁気異方性を含めて「磁性体における磁化の方向が向きやすい軸」を意味する。
より詳しくは、ロータコア5に含まれる各軟磁性材粉末7(軟磁性材粒子)は、図3に示すように、長径(長軸)と短径(短軸)とを有する楕円球状に造粒されており、その磁気特性は、結晶磁気異方性に依らず形状磁気異方性に依存している。換言すると、各軟磁性材粉末7は、狭義の磁化容易軸を加味しても、長径方向が磁化方向となっており(長軸が磁化容易軸と一致しており)、図3中の矢印で示すように、長径方向に磁束が流れ易くなっている。なお、各軟磁性材粉末7の長径の寸法は、100〜250(μm)である。また、各軟磁性材粉末7の表面には、無機系絶縁被膜が形成されており、これにより、渦電流損を抑制することができるようになっている。
そうして、軸方向から見て、径方向外側が開いた略V字をなすように永久磁石対11をロータコア5の外周部に配設すると、図4に示すように、永久磁石11の磁束軸(d軸)が発生する。そこで、本実施形態では、ロータコア5の成形時に配向用電磁石25を用いて、かかるd軸と電気角で直交する軸(q軸)方向と平行な配向磁場(図5中の矢印参照)を印加することにより、図5に示すように、各軟磁性材粉末7の長軸がq軸方向を向くように各軟磁性材粉末7を配向し、このように配向された状態で各軟磁性材粉末7をバインダー樹脂9によって結合している。これにより、各軟磁性材粉末7の長径方向が区々である場合と異なり、各軟磁性材粉末7の長径方向が揃っているq軸方向では磁束が流れ易くなるとともに、各軟磁性材粉末7の短径方向が揃っているd軸方向では磁束が流れ難くなる。換言すると、q軸方向ではインダクタンスLqが大きくなるとともに、d軸方向ではインダクタンスLdが小さくなり、インダクタンス差(Lq−Ld)を大きくして、大きなリラクタンストルクを発生させることができる。
−ロータの製造方法−
次に、本実施形態に係る回転電機のロータ1の製造方法を、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。
先ず、ステップS1では、長径と短径とを有する楕円球状の軟磁性材粉末7を造粒し、次のステップS2では、造粒した各軟磁性材粉末7の表面に無機系絶縁被膜を形成する。そして、次のステップS3では、表面に無機系絶縁被膜を形成された軟磁性材粉末7とバインダー樹脂9とを混合してコンパウンド化する(コンパウンド化工程)。
次いで、ダミー中子21と金型15とを用意する。このダミー中子21は非磁性体からなっており、永久磁石11とほぼ同じ寸法の矩形状の断面を有している一方、長手方向の長さが永久磁石11よりも長くなっている。
一方、金型15は、図7に示すように、リング状の突条部17aを有する固定型17と、中央に円柱部19aを有する有底筒状の可動型19とを備えており、突条部17aによって相対的に凹んだ部位17bに円柱部19aの先端を挿入するとともに、リング状の突条部17aに可動型19の筒部19bを外嵌合させて、固定型17と可動型19とを組み合わせることにより、その内部に略円筒形状のキャビティ15aが形成されるようになっている。
また、固定型17のリング状の突条部17aの先端部における外周部には、型締方向から見て、径方向外側が開いた略V字をなすように形成された、各々断面矩形状を有する対の凹部17cが、8対形成されている一方、可動型19における突条部17aと対向する壁部19cには、これら8対の凹部17cに対向するように8対の凹部19dが形成されている。さらに、固定型17における各対の凹部17cの略中間位置には、ゲート部23が貫通形成されており、これら8本のゲート部23は、コンパウンド化された軟磁性材粉末7及びバインダー樹脂9を射出するための射出ユニット27とそれぞれ繋がっている。
そうして、ステップS4で、固定型17に形成された8対(16個)の凹部17cのそれぞれにダミー中子21の一方端を差し込むとともに、ステップS5で、可動型19に形成された16個の凹部19dのそれぞれにダミー中子21の他方端が差し込まれるように金型15を型締めすることにより、金型15におけるキャビティ15a内の所定位置への、ダミー中子21の配置が完了する(中子配置工程)。
次のステップS6では、図8に示すように、金型15の外側で、且つ、相隣り合うダミー中子21対の間(極間部)に対応する位置に、8つの配向用電磁石25を配置する。そうして、ダミー中子21を永久磁石11と仮定し、当該仮定された永久磁石の磁束軸をd軸、当該d軸と電気角で直交する軸をq軸としたときの、当該q軸方向と平行な配向磁場(図8の矢印参照)を、8つの配向用電磁石25によって印加しながら、ステップS3でコンパウンド化された材料をゲート部23からキャビティ15a内に射出する(磁場配向射出工程)。このように、磁場配向射出成形を行うことにより、長径方向がq軸方向に揃うように各軟磁性材粉末7が配向された状態で、バインダー樹脂9によって各軟磁性材粉末7を結合することができる。また、対のダミー中子21の略中間位置に位置するゲート部23からコンパウンド化された材料を射出することにより、ウェルド層29が対のダミー中子21の中間位置(極中心)を通るのを避けられるので、ウェルド層29によって阻害されることなく各軟磁性材粉末7を配向することができる。
なお、磁場配向射出成形における成形条件は、バインダー樹脂9がポリアミドの場合には、シリンダー温度が220〜270(℃)、金型温度が50〜100(℃)、射出圧力が120〜170(MPa)、配向磁場が5〜15(kOe)であることが望ましく、また、バインダー樹脂9がポリフェニレンサルファイドの場合には、シリンダー温度が270〜340(℃)、金型温度が120〜150(℃)、射出圧力が130〜180(MPa)、配向磁場が5〜15(kOe)であることが望ましい。
軟磁性材粉末7がバインダー樹脂9によって接着されると、ステップS7において、可動型19を固定型17から離間させて金型15を型開きし、可動型19の円柱部19aによって中央貫通孔5aが形成された、略円筒状のロータコア5を金型15から脱型する。そうして、次のステップS8では、脱型されたロータコア5からダミー中子21を取り出す(中子取出工程)。
次のステップS9では、ロータコア5に形成された中央貫通孔5aにロータシャフト3を挿入し、次のステップS10では、ダミー中子21によってロータコア5に形成された貫通孔5bに、着磁された永久磁石11を挿通固定する(挿通固定工程)。
以上により、磁化容易軸(長軸)がq軸方向を向くように配向された軟磁性材粉末7を含むロータコア5を備えた埋込磁石型同期モータのロータ1を、磁場配向射出成形を用いた簡単な方法で製造することができる。
−効果−
本実施形態に係る回転電動機のロータ1によれば、ロータコア5における対の永久磁石11を囲む部位では、当該ロータコア5に含まれている各軟磁性材粉末7が、その長軸がq軸方向を向くように配向されていることから、q軸方向では磁束が流れ易くなる(インダクタンスLqが大きくなる)とともに、d軸方向では磁束が流れ難くなる(インダクタンスLdが小さくなる)ので、簡単な構成で、d軸方向とq軸方向とのインダクタンス差を大きくして、大きなリラクタンストルクを発生させることができる。
また、各軟磁性材粉末7の表面には、無機系絶縁被膜が形成されていることから、渦電流損を抑制することができる。
さらに、本実施形態に係るロータ1の製造方法によれば、後挿入される永久磁石11の磁束軸と電気角で直交するq軸方向と平行な配向磁場を印加しながら、磁化容易軸を有する軟磁性材粉末7を射出するという簡単な構成で、大きなリラクタンストルクを発生させることが可能なロータ1を製造することができる。
また、射出成形の際はダミー中子21を用い、着磁された永久磁石11を後挿入するので、磁場配向射出工程S6において、永久磁石11の磁場の影響を受けることなく、所望の配向磁場を形成することができる。
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
上記実施形態では、軸方向から見て、一対の永久磁石11が径方向外側が開いた略V字をなすように、ロータコア5の外周部に永久磁石11を配設したが、これに限らず、例えば、永久磁石11の長手方向が周方向に沿うように配置してもよい。
また、上記実施形態では、バインダー樹脂9としてポリアミド、ポリフェニレンサルファイドを、また、軟磁性材粉末7として純鉄、鉄シリコン、パーマロイ、また、永久磁石11としてNd焼結磁石、フェライトを挙げたが、これらは例示であり、他のバインダー樹脂9、軟磁性材粉末7及び永久磁石11を用いてもよい。
さらに、上記実施形態では、軟磁性材粉末7の磁気特性を、結晶磁気異方性に依らず形状磁気異方性に依存するようにしたが、これに限らず、形状磁気異方性に依らず結晶磁気異方性に依存するようにしても、換言すると、軟磁性材粉末7における磁化の方向が向きやすい軸を、狭義の磁化容易軸と一致させるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、各軟磁性材粉末7の表面に無機系絶縁被膜を形成するようにしたが、絶縁被膜は必ずしも形成しなくてもよい。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本発明は、回転中心となる回転軸部材と、その外側に設けられる略円筒形状のロータコアと、を備え、当該ロータコアの外周部に複数の永久磁石が間隔を隔てて配設された回転電機のロータ及びその製造方法等について有用である。
1 ロータ
3 ロータシャフト(回転軸部材)
5 ロータコア
7 軟磁性材粉末
9 バインダー樹脂(樹脂材)
11 永久磁石
15 金型
15a キャビティ
21 ダミー中子
23 ゲート部
S2 被膜成形工程
S3 コンパウンド化工程
S4,S5 中子配置工程
S6 磁場配向射出工程
S8 中子取出工程
S10 挿通固定工程

Claims (6)

  1. 回転中心となる回転軸部材と、当該回転軸部材の外側に設けられる、磁化容易軸を有する軟磁性材粉末と樹脂材とを含む略円筒形状のロータコアと、を備え、当該ロータコアの外周部に、当該回転軸部材の軸方向に延びる複数の永久磁石が当該ロータコアの円周方向に間隔を隔てて配設された回転電機のロータであって、
    上記ロータコアにおける、上記複数の永久磁石のうち相隣合う一対の永久磁石を囲む部位では、当該永久磁石の磁束軸をd軸、当該d軸と電気角で直交する軸をq軸としたとき、上記各軟磁性材粉末が、その磁化容易軸がq軸方向を向くように配向された状態で上記樹脂材により接着されていることを特徴とする回転電機のロータ。
  2. 請求項1記載の回転電機のロータにおいて、
    上記各軟磁性材粉末は、長径と短径とを有していて、長径方向が上記磁化容易軸と一致していることを特徴とする回転電機のロータ。
  3. 請求項1又は2記載の回転電機のロータにおいて、
    上記各軟磁性材粉末は、その表面に無機系絶縁被膜が形成されていることを特徴とする回転電機のロータ。
  4. 回転中心となる回転軸部材と、当該回転軸部材の外側に設けられる、磁化容易軸を有する軟磁性材粉末と樹脂材とを含む略円筒形状のロータコアと、を備え、当該ロータコアの外周部に、当該回転軸部材の軸方向に延びる少なくとも一対の永久磁石が配設された回転電機のロータの製造方法であって、
    略円筒形状のキャビティを有する金型を容易し、
    上記軟磁性材粉末と上記樹脂材とを混合してコンパウンド化するコンパウンド化工程と、
    上記金型の上記キャビティ内における所定位置に、各々非磁性体からなる少なくとも一対のダミー中子を配置する中子配置工程と、
    上記一対のダミー中子を永久磁石と仮定し、当該仮定された永久磁石の磁束軸をd軸、当該d軸と電気角で直交する軸をq軸としたとき、q軸方向と平行な配向磁場を印加しながら、上記一対のダミー中子の略中間位置に位置するゲート部から、上記コンパウンド化された材料を上記キャビティ内に射出し、上記ロータコアを成形する磁場配向射出工程と、
    射出成形後に上記金型から脱型された上記ロータコアから、上記ダミー中子を取り出す中子取出工程と、
    上記ダミー中子によって上記ロータコアに形成された孔に、着磁された永久磁石を挿通固定する挿通固定工程と、を含むことを特徴とする回転電機のロータの製造方法。
  5. 請求項4記載の回転電機のロータの製造方法において、
    上記軟磁性材は、長径と短径とを有していて、長径方向が磁化容易軸と一致していることを特徴とする回転電機のロータの製造方法。
  6. 請求項4又は5記載の回転電機のロータの製造方法において、
    上記コンパウンド化工程の前に、上記軟磁性材の表面に無機系絶縁被膜を形成する被膜成形工程を含むことを特徴とする回転電機のロータの製造方法。
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