JP2006254599A - 埋込磁石型モータ - Google Patents

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Kaname Egawa
要 江川
Yoshito Nishikawa
義人 西川
Yasuharu Terada
康晴 寺田
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Asmo Co Ltd
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】磁石を収容孔に容易に配設することができ、コギングトルク及びトルクリップルを低減することができ、且つモータの小型化や高効率化を図ることができる埋込磁石型モータを提供する。
【解決手段】埋込磁石型モータは、複数のティースを有するステータと、軸方向に貫通し磁石12が配設される収容孔11cが形成されたロータコア11を有するロータ3とを備える。磁石12は、全体として軸方向に一定の形状とされる。磁石12は、軸方向一端側から他端側に向かって略周方向である幅方向に傾斜する傾斜面21aを有する焼結磁石21と、焼結磁石21の傾斜面21aが形成された幅方向両端部に配置されて磁石12が軸方向に一定の形状となるように形成されたプラスチック磁石22とからなる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、埋込磁石型モータに関するものである。
高効率モータとしては、埋込磁石型モータがある。埋込磁石型モータは、ロータコア内に複数のマグネット(磁石)が埋設されたロータを有するモータであり、複数のティースを有するステータが作り出す回転磁界とロータとの間のマグネットトルクに加え、ロータに形成される回転磁界の磁路(磁路形成部)に基づくリラクタンストルクを有効に利用することにより高いモータ効率を得ることができる。
そして、このような埋込磁石型モータとしては、ロータコアに形成される収容孔をスキューさせ(軸方向一端から他端に向かうに連れて周方向に回転させ)、その収容孔に樹脂磁石を射出成形したものがある(例えば、特許文献1参照)。このような埋込磁石型モータでは、磁石の周方向の磁極中心が軸方向に沿って変化される(周方向にずれる)ため、コギングトルク及びトルクリップルが低減される。又、磁石が、射出成形される樹脂磁石であるため、複雑な形状となる収容孔に容易に配設することができる。言い換えると、焼結磁石を複雑な形状となる収容孔に配設しようとすると、その収容孔に応じた磁石の成形(加工)が困難となったり、収容孔内への挿入(組み付け)作業が困難となる虞があるが、そういったことが回避できる。
特開2004−007960号公報
しかしながら、上記のような埋込磁石型モータでは、磁石が、射出成形される樹脂磁石であるため、焼結磁石と比べて、磁気特性が劣るという問題がある。このことは、モータの小型化や高効率化を阻害する原因となる。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、磁石を収容孔に容易に配設することができ、コギングトルク及びトルクリップルを低減することができ、且つモータの小型化や高効率化を図ることができる埋込磁石型モータを提供することにある。
請求項1に記載の発明では、略円筒状に形成され、周方向等角度間隔で軸中心に向かって延びるように形成された複数のティースに巻線が巻回されたステータと、軸方向に貫通する収容孔が周方向に複数形成されることで周方向に隣り合う前記収容孔の間に径方向に延びる磁路形成部が形成されたロータコアを有し、各前記収容孔にそれぞれ磁石がその磁極が交互になるように配設され、前記ステータの内側に回転可能に収容されるロータとを備えた埋込磁石型モータであって、前記磁石は、軸方向に一定の形状とされながらも、磁気特性の異なる少なくとも2種類のものにて成形されることで、周方向の磁極中心が軸方向の少なくとも一部で他の部分と異なるように設定された。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の埋込磁石型モータにおいて、前記磁石は、周方向の磁極中心が軸方向一端側から他端側に向かって略連続的に変化するように設定された。
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の埋込磁石型モータにおいて、前記磁石は、周方向に略沿って配設される軸方向から見て直線状のものであって、軸方向一端側から他端側に向かって略周方向の幅方向に傾斜する傾斜面を有するように形成された焼結磁石と、前記焼結磁石の前記傾斜面が形成された幅方向端部に配置されて前記磁石が軸方向に一定の形状となるように形成されたプラスチック磁石とからなる。
請求項4に記載の発明では、請求項1又は2に記載の埋込磁石型モータにおいて、前記磁石は、四角柱状のものが一対で径方向内側に凸の略V字形状に配置されるV字永久磁石であって、その一対の内の少なくとも一方が磁気特性の異なる少なくとも2種類のものにて成形された。
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の埋込磁石型モータにおいて、前記V字永久磁石は、その一対の内の少なくとも一方が、軸方向一端側から他端側に向かってその厚み方向に傾斜する傾斜面を有するように形成された焼結磁石と、前記焼結磁石の前記傾斜面が形成された厚み方向端部に配置されて前記磁石が軸方向に一定の形状となるように形成されたプラスチック磁石とからなり、且つ、一対の一方と他方とが磁気特性が異なるように設定された。
請求項6に記載の発明では、請求項4又は5に記載の埋込磁石型モータにおいて、前記V字永久磁石を構成する一対の分割磁石は、その一方と他方とが同一部材であって、前記ロータコアに対して軸方向に逆向きに配設されることで磁気特性が異なるように設定された。
請求項7に記載の発明では、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の埋込磁石型モータにおいて、前記ロータコアは、略円筒状に形成され、前記収容孔を除く部位の磁気抵抗が一定とされた。
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、磁石が軸方向に一定の形状であるため、磁石及び収容孔(ロータコア)の成形が容易となるとともに、収容孔への磁石の配設が容易となる。そして、磁石は、磁気特性の異なる少なくとも2種類(例えば、焼結磁石とプラスチック磁石)のものにて成形されることで、周方向の磁極中心が軸方向の少なくとも一部で他の部分と異なるように設定されるため、コギングトルク及びトルクリップルを低減することができる。しかも、従来のプラスチック磁石(樹脂磁石)のみにて成形されるものに比べて、磁気特性の優れた磁石を少なくとも1種類用いることで、モータの小型化や高効率化を図ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、磁石は、周方向の磁極中心が軸方向一端側から他端側に向かって略連続的に変化するように設定されるため、コギングトルク及びトルクリップルを良好に低減することができる。
請求項3に記載の発明によれば、磁石は、周方向に略沿って配設される軸方向から見て直線状のものであるため、1つの磁極が1つの四角柱状となり単純な構成となる。そして、磁気特性の優れた焼結磁石が軸方向一端側から他端側に向かって略周方向の幅方向に傾斜する傾斜面を有するため、磁気特性の劣るプラスチック磁石が焼結磁石の傾斜面が形成された幅方向端部に配置されて磁石が軸方向に一定の形状に形成されても、周方向の磁極中心が軸方向一端側から他端側に向かって連続的に変化するようになる。よって、コギングトルク及びトルクリップルを良好に低減することができる。しかも、磁石の略周方向に沿った幅方向の外形が、容易に高い寸法精度を得ることができるプラスチック磁石にて構成されるため、収容孔への磁石の配設が容易となる。詳しくは、プラスチック磁石に比べて高い寸法精度を得ることが困難な焼結磁石で略周方向に沿った幅方向の外形を構成すると、収容孔への挿入時に割れ等が懸念され、収容孔との幅方向の隙間を小さくして配設することが困難となるが、これを回避でき、収容孔との幅方向の隙間を小さくしながら容易に配設することができる。
請求項4に記載の発明によれば、磁石は、四角柱状のものが一対で径方向内側に凸の略V字形状に配置されるV字永久磁石であるため、単に周方向に略沿って配設される曲線状や直線状の磁石に比べて磁石を多く使用でき、高トルク化を図ることができる。そして、V字永久磁石は、その一対の内の少なくとも一方が磁気特性の異なる少なくとも2種類のものにて成形されることで、周方向の磁極中心が軸方向の少なくとも一部で他の部分と異なるように設定され、コギングトルク及びトルクリップルを低減することができる。
請求項5に記載の発明によれば、V字永久磁石は、その一対の内の少なくとも一方が、軸方向一端側から他端側に向かってその厚み方向に傾斜する傾斜面を有するように形成された焼結磁石と、焼結磁石の傾斜面が形成された厚み方向端部に配置されて磁石が軸方向に一定の形状となるように形成されたプラスチック磁石とからなる。即ち、V字永久磁石は、その一対の内の少なくとも一方が、軸方向一端側から他端側に向かって焼結磁石の割合(断面積)が連続的に変化する。そして、V字永久磁石は、一対の一方と他方とが磁気特性が異なるように設定されるため、周方向の磁極中心が軸方向一端側から他端側に向かって略連続的に変化するようになる。よって、コギングトルク及びトルクリップルを良好に低減することができる。しかも、V字永久磁石を構成する少なくとも一方では、厚み方向の外形が、容易に高い寸法精度を得ることができるプラスチック磁石にて構成されるため、収容孔への磁石の配設が容易となる。詳しくは、プラスチック磁石に比べて高い寸法精度を得ることが困難な焼結磁石で厚み方向の外形を構成すると、収容孔への挿入時に割れ等が懸念され、収容孔との厚み方向の隙間を小さくして配設することが困難となるが、これを回避でき、収容孔との厚み方向の隙間を小さくしながら容易に配設することができる。
請求項6に記載の発明によれば、V字永久磁石を構成する一対の分割磁石は、その一方と他方とが同一部材であるため、品番を少なくすることができる。よって、低コスト化を図ることができる。又、一対の分割磁石は、ロータコアに対して軸方向に逆向きに配設されることで磁気特性が異なるように設定されるため、周方向の磁極中心の変化の割合が、軸方向中間部を中心として軸方向一端側と他端側とで対称となる。よって、コギングトルク及びトルクリップルを良好に低減することができる。
請求項7に記載の発明によれば、ロータコアは、略円筒状に形成され、前記収容孔を除く部位の磁気抵抗が一定とされ、収容孔を除く部位で磁気抵抗の大きい部分(例えば、ロータコアを構成する複数のコアシートを貫通する固定ピン用の孔)がないため、そのことに基づくトルクの低下が防止される。
以上詳述したように、本発明によれば、磁石を収容孔に容易に配設することができ、コギングトルク及びトルクリップルを低減することができ、且つモータの小型化や高効率化を図ることができる埋込磁石型モータを提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図5に従って説明する。図1に示すように、埋込磁石型モータは、ハウジング1とステータ2とロータ3とを備える。
ハウジング1は、略有底筒状のケース4と、ケース4の開口部(図1中、下端部)を閉塞するための蓋部5とを備える。そして、ステータ2はケース4の内周面に固定され、ロータ3はその回転軸6がケース4及び蓋部5に設けられた軸受4a,5aに支持されることでステータ2の内側に回転可能に収容される。
ステータ2は、略円筒状に形成され、周方向等角度間隔で軸中心に向かって延びるように形成された複数のティース7を有したステータコア8と、ティース7にインシュレータ9を介して巻回された巻線10とを備える。
ロータ3は、前記回転軸6と、ロータコア11(図2参照)と、磁石12(図2及び図3参照)とを備える。尚、本実施の形態のロータコア11は、複数の円盤状のコアシートが積層されて形成されている。又、図1及び図2においては、複数のコアシートの境界線の図示を省略している。又、図2は、回転軸6を除くロータ3の概略斜視図である。
ロータコア11は、略円筒状に形成され、その軸中心には回転軸6が嵌挿される中央孔11aが形成されている。本実施の形態の中央孔11aには、図4に示すように、径方向内側に略半円状に突出する係止凸部11bが周方向に複数(等角度間隔で4つ)形成されている。そして、係止凸部11bと対応して回転軸6に形成された係止凹部6aに係止凸部11bが嵌ることで、回転軸6に対するロータコア11の周り止めがなされている。又、本実施の形態では、ロータコア11の中央孔11aに回転軸6が嵌挿された状態で、ロータコア11の軸方向端部と当接するように固定リング13が回転軸6に嵌着されることで回転軸6とロータコア11との軸方向の相対移動が防止されている。
又、ロータコア11には、図2及び図4に示すように、軸方向に貫通する収容孔11cが周方向に4つ形成されている。本実施の形態の収容孔11cは、周方向に略沿った(接線と平行な)、軸方向から見て直線状のものであって、軸方向に一定の形状で貫通している。そして、ロータコア11には、周方向に隣り合う収容孔11cの間で径方向に延びる磁路形成部11dが形成される。尚、本実施の形態のロータコア11は、収容孔11cを除く部位の磁気抵抗が一定とされている。言い換えると、本実施の形態のロータコア11は、収容孔11cを除く部位で磁気抵抗が大きい部分(例えばロータコアを構成する複数のコアシートを貫通する固定ピン用の孔等)がないように形成されている。
そして、収容孔11cには、磁石12が収容保持されている。尚、周方向に隣り合う磁石12は、その磁極、即ちN極とS極が交互(逆)に設定される。
ここで、磁石12は、前記収容孔11cと同様に軸方向に一定の形状とされながらも、磁気特性の異なる2種類のもの(磁気特性の優れた焼結磁石21と磁気特性の劣るプラスチック磁石22)にて成形されることで、周方向の磁極中心X1が軸方向の少なくとも一部で他の部分と異なるように設定されている。
詳しくは、本実施の形態の磁石12は、前記収容孔11cと同様に周方向に略沿った(接線と平行な)、軸方向から見て直線状に形成され、全体が四角柱状に形成されている。そして、磁石12は、軸方向一端側(図2及び図3中、上側)から他端側に向かって略周方向である幅方向に傾斜する傾斜面21aを有するように形成された焼結磁石21と、焼結磁石21の傾斜面21aが形成された幅方向端部に配置されて磁石12(全体)が軸方向に一定の形状となるように形成されたプラスチック磁石22とからなる。本実施の形態では、焼結磁石21の傾斜面21aは、幅方向両端部に(同様の傾斜角度で)形成され、プラスチック磁石22は、それぞれの傾斜面21aに対応して幅方向両端部にそれぞれ配置される。そして、ロータ3の4つの磁石12は、各傾斜面21aが同方向に傾斜するように(図2中、軸方向一端側(上側)から他端側に向かって時計回り方向に傾斜するように)、それぞれ収容孔11cに収容される。尚、磁石12は、厚み方向(ロータコア11の径方向)に分極されるが、一対の傾斜面21aが同一の傾斜角度、且つ一対のプラスチック磁石22が同一形状とされることで、軸方向に逆向きとすれば、磁極(N極とS極)の向きのみが異なるようになる。そして、本実施の形態では、同一の磁石12をロータコア11に対して軸方向に逆向きに配設することで、周方向に隣り合う同士で磁極が異なるように設定している。
このように構成されるロータ3では、図2に示すように、周方向の磁極中心X1(図中、1点鎖線参照)が軸方向一端側から他端側に向かって連続的に周方向に変化することになる。そして、このように構成されるロータ3では、軸方向一端側と他端側とで磁束分布が異なることになる。尚、図4は、ロータ3の軸方向一端側(図2中、上側)における磁束分布(2点鎖線参照)の模式図であり、図5は、ロータ3の軸方向他端側(図2中、下側)における磁束分布(2点鎖線参照)の模式図であり、それらの偏り方が異なることがわかる。又、磁石12を全体の磁気特性が均一な磁石とした場合、周方向の磁極中心Y1(図2中、2点鎖線参照)は、軸方向に一定となる。
次に、上記実施の形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)磁石12は、全体として軸方向に一定の形状であるため、その磁石12及び収容孔11c(ロータコア11)の成形が容易となるとともに、収容孔11cへの磁石12の配設が容易となる。そして、磁石12は、磁気特性の異なる2種類のもの(磁気特性の優れた焼結磁石21と磁気特性の劣るプラスチック磁石22)にて成形されることで、周方向の磁極中心X1が軸方向で異なるように設定されるため、コギングトルク及びトルクリップルを低減することができる。又、本実施の形態では、周方向の磁極中心X1(図2中、1点鎖線参照)が軸方向一端側から他端側に向かって連続的に周方向に変化するように設定されるため、コギングトルク及びトルクリップルを良好に低減することができる。しかも、従来のプラスチック磁石(樹脂磁石)のみにて成形される磁石に比べて、磁気特性の優れた焼結磁石21を用いているので、前記従来に比べて、埋込磁石型モータの小型化や高効率化を図ることができる。
(2)磁石12は、周方向に略沿って配設される軸方向から見て直線状のものであるため、1つの磁極が1つの四角柱状となり単純な構成(形状)となる。そして、磁石12は、磁気特性の優れた焼結磁石21が軸方向一端側から他端側に向かって略周方向である幅方向に傾斜する傾斜面21aを有する。よって、磁気特性の劣るプラスチック磁石22が焼結磁石21の傾斜面21aが形成された幅方向端部に配置されて磁石12が軸方向に一定の形状に形成されても、周方向の磁極中心X1が軸方向一端側から他端側に向かって連続的に変化するようになる。よって、コギングトルク及びトルクリップルを良好に低減することができる。
しかも、磁石12の略周方向に沿った幅方向の外形が、容易に高い寸法精度を得ることができるプラスチック磁石22にて構成されるため、収容孔11cへの磁石の配設が容易となる。詳しくは、プラスチック磁石に比べて高い寸法精度を得ることが困難な焼結磁石で略周方向に沿った幅方向の外形を構成すると、収容孔11cへの挿入時に割れ等が懸念され、収容孔11cとの幅方向の隙間を小さくして配設することが困難となるが、これを回避でき、収容孔11cとの幅方向の隙間を小さくしながら容易に配設することができる。
(3)ロータコア11は、略円筒状に形成され、収容孔11cを除く部位の磁気抵抗が一定とされている。言い換えると、ロータコア11は、収容孔11cを除く部位で磁気抵抗が大きい部分(例えば、ロータコアを構成する複数のコアシートを貫通する固定ピン用の孔等)がないように形成されているため、そのことに基づくトルクの低下が防止される。
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、1つの磁極を構成する磁石12(収容孔11c)は、周方向に略沿って配設される軸方向から見て直線状のものであるとしたが、これに限定されず、例えば、径方向内側に凸の略V字形状をなすV字永久磁石(V字収容孔)とする等、他の形状のものに変更してもよい。
例えば、図6〜図9に示すように変更してもよい。図6に示すように、ロータコア31は、略円筒状に形成され、その軸中心には前記回転軸6が嵌挿される中央孔31aが形成され、その中央孔31aには上記実施の形態と同様に係止凸部31bが形成されている。
又、ロータコア31には、図6及び図8に示すように、軸方向に貫通し、一対で径方向内側に凸の略V字形状をなす収容孔としてのV字収容孔31cが周方向に4つ形成されている。このV字収容孔31cは、軸方向に一定の形状で貫通している。そして、ロータコア31には、周方向に隣り合うV字収容孔31cの間で径方向に延びる磁路形成部31dが形成される。
そして、各V字収容孔31cには、一対(2つの分割磁石33)で径方向内側に凸の略V字形状に配置されるV字永久磁石32が収容保持されている。尚、周方向に隣り合うV字永久磁石32は、その磁極、即ちN極とS極が交互(逆)に設定される。
ここで、V字永久磁石32を構成する一対の分割磁石33は、それぞれ全体が四角柱状に形成されている。そして、分割磁石33は、軸方向一端側(図6及び図7中、上側)から他端側に向かってその厚み方向に傾斜する傾斜面41aを有するように形成された焼結磁石41と、焼結磁石41の傾斜面41aが形成された厚み方向端部に配置されて分割磁石33(全体)が軸方向に一定の形状となるように形成されたプラスチック磁石42とからなる。そして、V字永久磁石32を構成する一対(一方と他方)の分割磁石33は、同一部材(品番が1つ)であるが、ロータコア31(V字収容孔31c)に対して軸方向に逆向きに配設されることで(配設された状態で)磁気特性が異なるように設定される。
このように構成されるロータでは、図6に示すように、周方向の磁極中心X2(図中、1点鎖線参照)が軸方向一端側から他端側に向かって略連続的に周方向に変化することになる。そして、このように構成されるロータでは、軸方向一端側と他端側とで磁束分布が異なることになる。尚、図8は、ロータの軸方向一端側(図6中、上側)における磁束分布(2点鎖線参照)の模式図であり、図9は、ロータの軸方向他端側(図6中、下側)における磁束分布(2点鎖線参照)の模式図であり、それらの偏り方が異なることがわかる。又、V字永久磁石32(分割磁石33)を全体の磁気特性が均一な磁石とした場合、周方向の磁極中心Y1(図6中、2点鎖線参照)は、軸方向に一定となる。
このようにしても、V字永久磁石32(分割磁石33)は、全体として軸方向に一定の形状であるため、そのV字永久磁石32(分割磁石33)及びV字収容孔31c(ロータコア31)の成形が容易となるとともに、V字収容孔31cへのV字永久磁石32(分割磁石33)の配設が容易となる。そして、V字永久磁石32は、磁気特性の異なる2種類のもの(軸方向に逆向きに配設された分割磁石33)にて成形されることで、周方向の磁極中心X2が軸方向で異なるように設定されるため、コギングトルク及びトルクリップルを低減することができる。又、この例では、周方向の磁極中心X2(図6中、1点鎖線参照)が軸方向一端側から他端側に向かって略連続的に周方向に変化するように設定されるため、コギングトルク及びトルクリップルを良好に低減することができる。しかも、従来のプラスチック磁石(樹脂磁石)のみにて成形される磁石に比べて、磁気特性の優れた焼結磁石41を用いているので、前記従来に比べて、埋込磁石型モータの小型化や高効率化を図ることができる。
又、この例の磁石では、四角柱状の分割磁石33が一対で径方向内側に凸の略V字形状に配置されるV字永久磁石32であるため、単に周方向に略沿って配設される曲線状や直線状の磁石に比べて磁石を多く使用でき、高トルク化を図ることができる。
又、分割磁石33は、軸方向一端側から他端側に向かってその厚み方向に傾斜する傾斜面41aを有するように形成された焼結磁石41と、焼結磁石41の傾斜面41aが形成された厚み方向端部に配置されて分割磁石33(全体)が軸方向に一定の形状となるように形成されたプラスチック磁石42とからなる。即ち、分割磁石33は、軸方向一端側から他端側に向かって焼結磁石41の割合(断面積)が連続的に変化する。そして、一対のV字永久磁石32は、(その一方と他方とが)軸方向に逆向きに配設されることで(配設された状態で)磁気特性が異なるように設定されるため、周方向の磁極中心X2が軸方向一端側から他端側に向かって略連続的に変化するようになる。よって、コギングトルク及びトルクリップルを良好に低減することができる。
しかも、分割磁石33では、厚み方向の外形が、容易に高い寸法精度を得ることができるプラスチック磁石42にて構成されるため、V字収容孔31cへの分割磁石33の配設が容易となる。詳しくは、プラスチック磁石に比べて高い寸法精度を得ることが困難な焼結磁石で厚み方向の外形を構成すると、V字収容孔31cへの挿入時に割れ等が懸念され、V字収容孔31cとの厚み方向の隙間を小さくして配設することが困難となるが、これを回避でき、V字収容孔31cとの厚み方向の隙間を小さくしながら容易に配設することができる。
又、V字永久磁石32を構成する一対の分割磁石33は、その一方と他方とが同一部材であるため、品番を少なくすることができる。よって、低コスト化を図ることができる。又、一対の分割磁石33は、ロータコア31(V字収容孔31c)に対して軸方向に逆向きに配設されることで磁気特性が異なるように設定されるため、周方向の磁極中心X2の変化の割合が、軸方向中間部を中心として軸方向一端側と他端側とで対称となる。よって、コギングトルク及びトルクリップルを良好に低減することができる。又、この例でも、上記実施の形態の効果(3)と同様の効果を得ることもできる。
又、前記V字永久磁石32を構成する一対の分割磁石を同一部材(軸方向に逆向きに配設)としながら、他の分割磁石に変更してもよい。例えば、図10〜図13に示すように変更してもよい。この例のV字永久磁石51を構成する一対の分割磁石52は、その全体が上記別例の分割磁石33と同様に四角柱状とされ、共に四角柱状の(傾斜面がない)焼結磁石61とプラスチック磁石62とが軸方向に連結されてなる(図11参照)。そして、V字永久磁石51を構成する一対(一方と他方)の分割磁石52は、同一部材(品番が1つ)であるが、ロータコア31(V字収容孔31c)に対して軸方向に逆向きに配設されることで(配設された状態で)磁気特性が異なるように設定される。尚、この構成は、ロータコア31及び分割磁石52を軸方向に2分割したものを製造し、その後それらを軸方向に組み付けて得ることもできる。
このように構成されるロータでは、図10に示すように、周方向の磁極中心X3(図中、1点鎖線参照)が軸方向一端側から他端側に向かって断続的に(軸方向中央で)周方向に変化することになる。そして、このように構成されるロータでは、軸方向一端側と他端側とで磁束分布が異なることになる。尚、図12は、ロータの軸方向一端側(図10中、上側)における磁束分布(2点鎖線参照)の模式図であり、図13は、ロータの軸方向他端側(図10中、下側)における磁束分布(2点鎖線参照)の模式図であり、それらの偏り方が異なることがわかる。又、V字永久磁石51(分割磁石52)を全体の磁気特性が均一な磁石とした場合、周方向の磁極中心Y1(図10中、2点鎖線参照)は、軸方向に一定となる。このようにしても、周方向の磁極中心X3が軸方向で異なるように設定されるため、コギングトルク及びトルクリップルを低減することができる。
又、上記別例では、V字永久磁石32,51を構成する一対の分割磁石33,52は同一部材であるとしたが、これに限定されず、一対の内の少なくとも一方の分割磁石が磁気特性の異なる少なくとも2種類のものにて成形されることで、周方向の磁極中心が軸方向の少なくとも一部で他の部分と異なるように設定されれば、他の構成に変更してもよい。例えば、図14〜図16に示すように変更してもよい。このV字永久磁石71を構成する一対の分割磁石33,81は、その一方が上記別例の分割磁石33で、他方が焼結磁石のみにて構成されている。
このように構成されるロータでは、図14に示すように、周方向の磁極中心X4(図中、1点鎖線参照)が軸方向一端側から他端側に向かって略連続的に周方向に変化することになる。そして、このように構成されるロータでは、軸方向一端側と他端側とで磁束分布が異なることになる。尚、図15は、ロータの軸方向一端側(図14中、上側)における磁束分布(2点鎖線参照)の模式図であり、図16は、ロータの軸方向他端側(図14中、下側)における磁束分布(2点鎖線参照)の模式図であり、それらの偏り方が異なることがわかる。又、V字永久磁石71(分割磁石33,81)を全体の磁気特性が均一な磁石とした場合、周方向の磁極中心Y1(図14中、2点鎖線参照)は、軸方向に一定となる。このようにしても、周方向の磁極中心X4が軸方向で異なるように設定されるため、コギングトルク及びトルクリップルを低減することができる。又、この例では、周方向の磁極中心X4(図14中、1点鎖線参照)が軸方向一端側から他端側に向かって略連続的に周方向に変化するように設定されるため、コギングトルク及びトルクリップルを良好に低減することができる。
・上記実施の形態では、焼結磁石21の傾斜面21aは、幅方向両端部に(同様の傾斜角度で)形成され、プラスチック磁石22は、それぞれの傾斜面21aに対応して幅方向両端部にそれぞれ配置されるとしたが、傾斜面21aを幅方向の一方のみに形成しプラスチック磁石22を幅方向の一方のみに配置してもよい。
・上記実施の形態及び別例では、焼結磁石とプラスチック磁石とを用いたが、軸方向に一定の形状とされながらも、磁気特性の異なる少なくとも2種類のものにて成形される磁石とし、周方向の磁極中心が軸方向の少なくとも一部で他の部分と異なるように設定されれば、他の種類の磁石に変更してもよい。尚、上記種類とは、磁気特性が異なるか否かで判別される種類であって、製造方法にて分類される種類や、主成分(系)にて分類される種類等を含む。
・上記実施の形態及び別例では、ロータコア11,31は、収容孔11cやV字収容孔31cを除く部位の磁気抵抗が一定とされるとしたが、これに限定されず、例えばロータコア11,31を構成する複数のコアシートを貫通する固定ピン用の孔等が形成されたものに変更してもよい。
・上記実施の形態及び別例では、ロータコア11,31は、それぞれ複数の円盤状のコアシートが積層されて形成されるとしたが、同様の形状であればよく、例えば、磁性粉体を焼結して形成してもよい。
・上記実施の形態及び別例では、磁石12やV字永久磁石32,51,71、即ち磁極の数を4つとしたが、これらの数を変更して実施してもよい。
上記各実施の形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)略円筒状に形成され、周方向等角度間隔で軸中心に向かって延びるように形成された複数のティースに巻線が巻回されたステータと、軸方向に貫通する収容孔が周方向に複数形成されることで周方向に隣り合う前記収容孔の間に径方向に延びる磁路形成部が形成されたロータコアを有し、各前記収容孔にそれぞれ磁石がその磁極が交互になるように配設され、前記ステータの内側に回転可能に収容されるロータとを備えた埋込磁石型モータであって、前記磁石は、焼結磁石と外形の少なくとも一部を構成するプラスチック磁石にて成形され、周方向の磁極中心が軸方向の少なくとも一部で他の部分と異なるように設定されたことを特徴とする埋込磁石型モータ。
このようにすると、磁石は、焼結磁石とプラスチック磁石にて成形され、その外形の少なくとも一部が、容易に高い寸法精度を得ることができるプラスチック磁石にて構成されるため、収容孔への磁石の配設が容易となる。又、周方向の磁極中心が軸方向の少なくとも一部で他の部分と異なるように設定されるため、コギングトルク及びトルクリップルを低減することができる。しかも、従来のプラスチック磁石(樹脂磁石)のみにて成形されるものに比べて、磁気特性の優れた焼結磁石を用いるため、モータの小型化や高効率化を図ることができる。
本実施の形態における埋込磁石型モータの側断面図。 本実施の形態における回転軸を除くロータの概略斜視図。 (a)本実施の形態の磁石の斜視図。(b)同じく磁石の分解斜視図。 本実施の形態のロータの平面図及び軸方向一端側の磁束分布の模式図。 本実施の形態のロータの平面図及び軸方向他端側の磁束分布の模式図。 別例における回転軸を除くロータの概略斜視図。 (a)別例の分割磁石の斜視図。(b)同じく分割磁石の分解斜視図。 別例のロータの平面図及び軸方向一端側の磁束分布の模式図。 別例のロータの平面図及び軸方向他端側の磁束分布の模式図。 別例における回転軸を除くロータの概略斜視図。 別例の分割磁石の斜視図。 別例のロータの平面図及び軸方向一端側の磁束分布の模式図。 別例のロータの平面図及び軸方向他端側の磁束分布の模式図。 別例における回転軸を除くロータの概略斜視図。 別例のロータの平面図及び軸方向一端側の磁束分布の模式図。 別例のロータの平面図及び軸方向他端側の磁束分布の模式図。
符号の説明
2…ステータ、3…ロータ、7…ティース、10…巻線、11,31…ロータコア、11c…収容孔、11d,31d…磁路形成部、12…磁石、21,41…焼結磁石、21a,41a…傾斜面、22,42…プラスチック磁石、31c…V字収容孔(収容孔)、32,51,71…V字永久磁石(磁石)、33,52…分割磁石。

Claims (7)

  1. 略円筒状に形成され、周方向等角度間隔で軸中心に向かって延びるように形成された複数のティースに巻線が巻回されたステータと、
    軸方向に貫通する収容孔が周方向に複数形成されることで周方向に隣り合う前記収容孔の間に径方向に延びる磁路形成部が形成されたロータコアを有し、各前記収容孔にそれぞれ磁石がその磁極が交互になるように配設され、前記ステータの内側に回転可能に収容されるロータと
    を備えた埋込磁石型モータであって、
    前記磁石は、軸方向に一定の形状とされながらも、磁気特性の異なる少なくとも2種類のものにて成形されることで、周方向の磁極中心が軸方向の少なくとも一部で他の部分と異なるように設定されたことを特徴とする埋込磁石型モータ。
  2. 請求項1に記載の埋込磁石型モータにおいて、
    前記磁石は、周方向の磁極中心が軸方向一端側から他端側に向かって略連続的に変化するように設定されたことを特徴とする埋込磁石型モータ。
  3. 請求項2に記載の埋込磁石型モータにおいて、
    前記磁石は、周方向に略沿って配設される軸方向から見て直線状のものであって、軸方向一端側から他端側に向かって略周方向の幅方向に傾斜する傾斜面を有するように形成された焼結磁石と、前記焼結磁石の前記傾斜面が形成された幅方向端部に配置されて前記磁石が軸方向に一定の形状となるように形成されたプラスチック磁石とからなることを特徴とする埋込磁石型モータ。
  4. 請求項1又は2に記載の埋込磁石型モータにおいて、
    前記磁石は、四角柱状のものが一対で径方向内側に凸の略V字形状に配置されるV字永久磁石であって、その一対の内の少なくとも一方が磁気特性の異なる少なくとも2種類のものにて成形されたことを特徴とする埋込磁石型モータ。
  5. 請求項4に記載の埋込磁石型モータにおいて、
    前記V字永久磁石は、その一対の内の少なくとも一方が、軸方向一端側から他端側に向かってその厚み方向に傾斜する傾斜面を有するように形成された焼結磁石と、前記焼結磁石の前記傾斜面が形成された厚み方向端部に配置されて前記磁石が軸方向に一定の形状となるように形成されたプラスチック磁石とからなり、且つ、一対の一方と他方とが磁気特性が異なるように設定されたことを特徴とする埋込磁石型モータ。
  6. 請求項4又は5に記載の埋込磁石型モータにおいて、
    前記V字永久磁石を構成する一対の分割磁石は、その一方と他方とが同一部材であって、前記ロータコアに対して軸方向に逆向きに配設されることで磁気特性が異なるように設定されたことを特徴とする埋込磁石型モータ。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の埋込磁石型モータにおいて、
    前記ロータコアは、略円筒状に形成され、前記収容孔を除く部位の磁気抵抗が一定とされたことを特徴とする埋込磁石型モータ。
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