JP5731338B2 - 回転電機 - Google Patents
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Description
図11に示すように、永久磁石埋込型回転電機のロータ100は、ロータコア101に形成された磁石収容孔102に、永久磁石103を挿入してなっている。
しかし、経時劣化によって樹脂104による接着力が低下した場合や、永久磁石103にめっき等が施されて樹脂104が接着しない場合には、図11(b)のような永久磁石103の変形が許容されてしまう。そして、永久磁石103の磁化垂直方向の両端には、磁石収容孔102の内周面との間に隙間105が存在し、その隙間105に樹脂104が充填されているような場合に、永久磁石103が磁化垂直方向へ膨張すると、永久磁石103が隙間105内の樹脂104を押圧するため、樹脂104を介してロータコア101も押圧されて、ロータコア101に応力集中が生じてしまう。
請求項1に記載の回転電機は、ステータと、ステータと相対回転可能に配置され、永久磁石がロータコアに形成された磁石収容孔内に埋め込まれてなるロータとを備える。
そして、磁石収容孔内で永久磁石の周囲に形成される隙間の少なくとも一部に充填された樹脂によって、永久磁石は磁石収容孔に固定される。
また、樹脂は、熱可塑性樹脂であって、射出成型により形成される。
これによれば、熱硬化性樹脂を用いる場合と比較して、硬化時間が不要なので加工時間が短縮でき、さらに、樹脂の再利用をすることもできる。
また、ロータコアは、複数のブロックに分割されており、ブロック毎に磁石収容孔及び永久磁石を設けて、各ブロックの磁石収容孔及び永久磁石の位置を周方向にずらすことによって、スキューを形成している。
請求項2に記載の回転電機によれば、磁化垂直方向領域は、樹脂が充填されており、空隙部は、磁化垂直方向領域に充填された樹脂部に形成された軸方向に延びる穴である。そして、穴は、軸方向からみて、磁化方向に長い穴形状である。
参考例1の回転電機1を、図1、図2、図5を用いて説明する。
参考例1の回転電機1は、モータジェネレータであって、回転磁界を発生可能なステータ2と、ステータ2の内周側に配されて回転するロータ3とを備える。
なお、本参考例では、円筒上のステータ2の内周にロータ3が配置されるインナーロータ型である。
そして、ロータコア9には、永久磁石10を収容するための磁石収容孔12が軸方向に延びる貫通孔として形成されている。
これに対応して、ロータコア9は、1磁極当たり、各永久磁石10が挿入される2つの磁石収容孔12を有している。2つの磁石収容孔12の間には、薄肉のブリッジ15がある。
具体的には、磁化方向に短く、磁化垂直方向に長い長方形断面を有しており、磁化方向に離間して互いに平行な2つの側面17a、17bと、磁化垂直方向に離間して互いに平行な2つの側面17c、17dとを有し、平面視において4つの角部20a〜20dを有している。
すなわち、側面17cの磁化方向の一端に角部20aが存在し、他端に角部20bが存在する。そして、側面17dの磁化方向の一端に角部20dが存在し、他端に角部20cが存在する。
例えば、本参考例では、2つの永久磁石10がロータ3の外周側に向けて開くV字状に配置されている(図1(a)参照)。
磁石収容孔12は、永久磁石10の外周面との間に隙間23を形成するように内周面が設けられている。すなわち、隙間23は、磁石収容孔12内で永久磁石10の周囲に形成されている。
そして、隙間23は、磁化垂直方向において、側面17cの外側に膨らんで永久磁石10との間に空間を形成する隙間部23Aと、側面17dの外側に膨らんで永久磁石10との間に空間を形成する隙間部23Bとを有している。
これにより、隙間部23Aによって、角部20aと磁石収容孔12の内周面とは、磁化方向にも、磁化垂直方向にも離れている。
これにより、隙間部23Bによって、角部20dと磁石収容孔12の内周面とは、磁化方向にも、磁化垂直方向にも離れている。
本参考例では、隙間部23A、23Bにも樹脂35が充填されている。そして、隙間部23A及び隙間部23Bの内、永久磁石10の磁化垂直方向側に形成される隙間部分を磁化垂直方向領域23Aa、23Baと呼ぶと、磁化垂直方向領域23Aa、23Ba内に充填された樹脂部35aには、軸方向に延びる穴37(空隙部)が永久磁石10の軸方向全長に亘って連続して設けられている。
そして、本参考例では、図2に示すように、磁石収容孔12がロータコア9を貫通するように設けられている。そして、磁石収容孔12に収容された永久磁石10のほぼ軸方向全長に亘って樹脂35が充填されており、穴37は樹脂部35aを軸方向に貫通する貫通穴として設けられている。これにより、穴37は、永久磁石10の軸方向全長に亘って軸方向に延びている。そして、この穴37には、なにも充填されておらず空隙となっている。
永久磁石10は熱負荷によって寸法が変化する。例えば、本参考例の永久磁石10は、加熱によって磁化垂直方向に収縮し、冷却時には磁化垂直方向に膨張する。この場合、永久磁石10に熱が加わるような工程を経て永久磁石10がロータコア9に埋め込まれ、埋め込まれたときの温度よりも低い温度で回転電機1が使用される場合には、永久磁石10が磁化垂直方向に膨張しようとする。
このため、熱負荷により永久磁石10が磁化垂直方向に膨張しようとする寸法変化が生じても、穴37によってその寸法変化を吸収するため、永久磁石10が樹脂部35aを介してロータコア9を押し付ける力が低減する。この結果、磁石収容孔12近傍のロータコア9に発生する応力集中を低減することができる。
図3に示す比較例1では、磁化垂直方向領域23Aa、23Baが樹脂35により充填されており、穴37が設けられていない。
比較例1では、樹脂35による接着力が十分にある場合に、永久磁石10の膨張変形が樹脂35の接着力によって抑制されるため、この膨張は樹脂35の弾性によって吸収できる程度にとどまる。しかし、経時劣化によって樹脂35による接着力が低下した場合や、永久磁石10にめっき等が施されて樹脂35が接着しない場合には、図3(b)に示すように永久磁石10の磁化垂直方向への変形が許容されてしまう。この結果、永久磁石10が磁化垂直方向へ膨張すると、永久磁石10が磁化垂直方向領域23Aa、23Ba内の樹脂部35aを押圧するため、樹脂部35aを介してロータコア9も押圧されて、ロータコア9に応力集中が生じてしまう。
すなわち、比較例2、3では、軸方向に延びる穴37が永久磁石10の軸方向全長に亘って連続して設けられていない。
これに対して、本参考例では、図2に示すように、磁化垂直方向領域23Aa、23Ba内の樹脂部35aに軸方向に延びる穴37が永久磁石10の軸方向全長に亘って連続して設けられているため、永久磁石10が存在する軸方向全体に亘って均一に永久磁石10の変形を吸収でき、ロータコア9の応力集中を緩和することができる。
しかし、この場合には、図5(c)に示すように、ピンPの下端のわずかな隙間に流れ込む微小の樹脂によって樹脂の薄膜tが形成されてしまう場合がある。この薄膜tの厚さは、ロータコア9を形成する電磁鋼板の1枚分の厚みよりも薄いものであり無視できるものであるため、本参考例の「磁化垂直方向領域23Aa、23Ba内の樹脂部35aに軸方向に延びる穴37が永久磁石10の軸方向全長に亘って連続して設けられている」場合とは、この薄膜tが残ってしまっている場合も含まれる。
参考例2を、参考例1とは異なる点を中心に図6を用いて説明する。
本参考例では、図6(a)に示すように、軸方向からみた穴37の形状が磁化方向に細長い楕円形である。なお、楕円に限らず長円や磁化方向に細長い多角形であってもよい。
なお、図6(b)に示すように、穴37が丸穴であってもよい。
参考例3を、参考例1とは異なる点を中心に図7を用いて説明する。
本参考例によれば、樹脂部35aに開けられた穴37ではなく、磁化垂直方向領域23Aa、23Baに軸方向に延びる空隙部38が永久磁石10の軸方向全長に亘って連続して設けられている。
この場合でも、空隙部38が穴37と同様の役割を果たし、永久磁石10の変形を吸収し、参考例1と同様の作用効果を奏することができる。
また、図7(c)に示すように、磁化垂直方向領域23Aa全体が空隙部38となっていてもよい。すなわち、磁化垂直方向領域23Aaには樹脂35が注入されない態様でもよい。
実施例1を、参考例1とは異なる点を中心に図8及び図10を用いて説明する。
本実施例では、穴37の周囲を囲む樹脂35の厚みが略均一である。
すなわち、磁化垂直方向領域23Aaが軸方向からみて三角形状の空間となっており、磁化垂直方向領域23Aa内の樹脂部35aに設けられる穴37の穴形状は磁化垂直方向領域23Aaの三角形状とほぼ相似形状となっている。これにより、穴37の周囲を囲む樹脂35の厚みが略均一となる。
磁化垂直方向領域23Ba側も同様に、磁化垂直方向領域23Baの樹脂部35aに設けられる穴37の穴形状が、磁化垂直方向領域23Baの形状とほぼ相似形状となっている。
また、本実施例では、樹脂35は熱可塑性樹脂である。
また、図10に示すように、ロータコア9が複数(例えば3つ)のブロック9X〜9Zに分割されており、ブロック毎に磁石収容孔12及び永久磁石10を設けて、各ブロックの磁石収容孔12及び永久磁石10の位置を周方向にずらすことによって、スキューを形成したものとなっている。この場合、各ブロックに本実施例で説明した穴37が適用されている。
そして、図10(b)のように、ブロック毎の間で永久磁石10及び穴37が樹脂35により分断されている場合でも、各ブロックにおいて穴37が少なくとも永久磁石10の軸方向全長に亘って延びていればよい。
参考例4を、参考例1とは異なる点を中心に図9を用いて説明する。
本参考例では、穴37に発泡性樹脂が充填されている。
発泡性樹脂には気泡が多数含まれているため、結果として、参考例1のように何も充填されていない穴37と同様に、寸法変化に対する吸収効果を得ることができる。
本発明の実施態様は、実施例に限定されず種々の変形例を考えることができる。
例えば、実施例の回転電機1はステータ2の内周側にロータ3を有するインナーロータ型であったが、アウターロータ型のものに本発明を適用してもよい。
また、実施例では、永久磁石10が矩形断面を有していたが、この形状に限られない。例えば、側面17cと側面17dとの磁化方向長さを異ならせて台形状断面としてもよい。また、側面17a、17bを共に内周側または外周側に中心を有する円弧としてもよいし、側面17c、側面17dを円弧としてもよい。また、側面17a〜17dが屈曲していてもよい。
2 ステータ
3 ロータ
9 ロータコア
10 永久磁石
12 磁石収容孔
15 ブリッジ
23Aa 磁化垂直方向領域
23Ba 磁化垂直方向領域
35 樹脂
35a 樹脂部
37 穴(空隙部)
38 空隙部
Claims (2)
- ステータと、
前記ステータと相対回転可能に配置され、永久磁石がロータコアに形成された磁石収容孔内に埋め込まれてなるロータとを備え、
前記磁石収容孔内で前記永久磁石の周囲に形成される隙間の少なくとも一部に充填された樹脂によって、前記永久磁石が前記磁石収容孔に固定される回転電機であって、
前記隙間の内、前記永久磁石の磁化方向に垂直な方向側に形成される磁化垂直方向領域には、軸方向に延びる空隙部が前記永久磁石の軸方向全長に亘って連続して設けられており、
前記磁化垂直方向領域は、前記樹脂が充填されており、
前記空隙部は、前記磁化垂直方向領域に充填された樹脂部に形成された軸方向に延びる穴であり、
前記穴の周囲を囲む前記樹脂の厚みが略均一であり、
前記樹脂は、熱可塑性樹脂であって、射出成型により形成され、
前記ロータコアは、複数のブロックに分割されており、前記ブロック毎に前記磁石収容孔及び前記永久磁石を設けて、各ブロックの前記磁石収容孔及び前記永久磁石の位置を周方向にずらすことによって、スキューを形成していることを特徴とする回転電機。 - 請求項1に記載の回転電機において、
前記穴は、軸方向からみて、磁化方向に長い穴形状であることを特徴とする回転電機。
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