JP2015192077A - プラズマcvd装置およびそれを用いた太陽電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】変換効率の高い結晶シリコン系太陽電池の製造方法、およびこれらの量産性に優れた製造方法に関して、めっき法により集電極を形成することを実施可能にするための製造方法、特に絶縁層の製造方法を提供する。【解決手段】基板上に非晶質半導体層を有する基材10と、基材の第一主面上に薄膜を形成して太陽電池を作製するためのプラズマCVD装置であって、内部の大気開放と真空吸引および基材加熱が可能な導入加熱室1と、プラズマCVD法により薄膜を製膜する製膜室3と、を有する。基材の第一主面が露出するように前記基材の第一主面と対向する第二主面側をトレイ6に配置し、配置後の基材を導入加熱室に搬送する。基材を第一主面側から加熱する第一加熱部と、トレイ側から基材を加熱する第二加熱部を有し、第一加熱部の温度をT1、第二加熱部の温度をT2としたときT1<T2を満たす。【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマCVD装置およびそれを用いた太陽電池の製造方法に関する。
エネルギー問題や地球環境問題が深刻化する中、化石燃料に代わる代替エネルギーとして、太陽電池が注目されている。太陽電池では、半導体接合等からなる光電変換部への光照射により発生したキャリア(電子および正孔)を外周回路に取り出すことにより、発電が行われる。光電変換部で発生したキャリアを効率的に外部回路へ取り出すために、太陽電池の光電変換部上には集電極が設けられる。
太陽電池の集電極は、一般に、スクリーン印刷法により、銀ペーストをパターン印刷することにより形成される。この方法は、工程自体は単純であるが、銀の材料コストが大きいことや、樹脂を含有する銀ペースト材料が用いられるために、集電極の抵抗率が高くなるなどの問題がある。銀ペーストを用いて形成された集電極の抵抗率を小さくするためには、銀ペーストを厚く印刷する必要がある。しかしながら、印刷厚みを大きくすると、電極の線幅も大きくなるため、電極の細線化が困難であり、集電極による遮光損が大きくなる。これらの課題を解決するための手法として、材料コストおよび製造コストの面で優れるめっき法により集電極を形成する方法が知られている。
また、光電変換部を構成する透明電極層上に集電極を形成している太陽電池において、めっき法により集電極を形成する場合、めっき液による透明電極層の溶解を防止する等の観点から、めっき層形成領域以外の光電変換部を保護する必要がある。保護層としては、一般に、レジスト材料層や酸化シリコン層等の絶縁層が知られている。しかしながら、レジスト材料は非常に高価である上に、めっき処理を行うための下地形成工程やレジスト除去工程等、集電極形成のための工程数が煩雑となるため、製造コストが著しく増大するという問題がある。これらの課題を解決するための手法として、材料コストおよび製造コストの面で優れる酸化シリコン層等の無機絶縁性材料をプラズマCVD法やスパッタ法により形成する方法が知られている。
例えば、特許文献1では、透明電極層上にSiO等の透光性絶縁層をプラズマCVD法により形成した後、絶縁層を貫通する溝を設けて透明電極層の表面または側面を露出させ、透明電極層の露出部と導通するように金属集電極を形成する方法が開示されている。具体的には、透明電極層の露出部に光めっき法等により金属シードを形成し、この金属シードを起点として電気めっき法により金属集電極を形成する方法が提案されている。
また、特許文献2では、低融点材料を含む導電性シード層上に酸化シリコン層等の絶縁層をプラズマCVD法で形成した後、加熱によるアニールを行うことで、導電性シード層内に低融点材料を熱流動させ、絶縁層に開口部を形成する方法が提案されている。
ところで、太陽電池の光電変換部等の形成方法においては、一般に、半導体層、透明電極層、金属電極層、絶縁層等の薄膜が、プラズマCVD法やスパッタリング法等により基板表面に形成される。また、太陽電池の製造装置として、所定雰囲気で基板を連続して処理できるインライン式プラズマCVD装置等が知られている。
例えば、特許文献3および4には、基板を大気中からロード室内へ搬送し、このロード室内を真空吸引することにより、基板を真空雰囲気下にし、その後、真空を破ることなく、基板を製膜室に移動させ、製膜終了後、基板をアンロード室に移して、このアンロード室内を大気下にすることにより、製膜後の基板を取り出すインライン式プラズマCVD装置が提案されている。
プラズマCVD法により製膜される薄膜の品質は、製膜時の基板温度の均一性に強く依存することが知られている。また、インライン式プラズマCVD装置の利点である、高いスループットを活かすべく、各室での処理時間(タクトタイム)を低減させる処理方法が多数提案されており、特に、ロード室においては、限られた処理時間内に真空吸引と同時に基板加熱を実施することが提案されている。
例えば、特許文献3では、ロード室内へ搬送した基板の下面に加熱ヒーターを接触させて、真空雰囲気下で基板を直接加熱する方法が提案されている。さらに、基板と対向する位置に赤外線ランプヒーターを配設して、基板を表裏面から同時に加熱することで、より効率的に加熱ができ、かつ加熱時間を短縮できることが提案されている。
また、特許文献4では、基板の上方及び下方の双方からランプヒーターにより基板を加熱する方法が提案されている。この方法により、基板からヒーターを離隔していても、ランプヒーターの輻射熱で十分に加熱可能であり、上方及び下方から基板を加熱するため、温度分布の均一性を高めることができる。
特許文献5では、基板が直立状態で搬送および処理される縦型インライン式プラズマCVD装置における基板加熱方法が開示されている。具体的には、各基板の一方側面および他方側面のそれぞれに棒状の赤外線ランプを用いたヒーターを設置し、基板を両側から加熱する方法が提案されている。一方側面にのみ赤外線ランプヒーターを設置すると、加熱面にのみ赤外線が投射されることになり、基板は一方側面と他方側面とで温度差が生じ、しかも急速加熱のため基板に反りが起こる。提案されている方法により、短時間で急速加熱しても基板の変形が発生しないことが可能となっている。
特開2011−199045号公報 WO2013/077038号国際パンフレット 特開2010−159463号公報 特開2013−187314号公報 特開昭63−115210号公報
このように、めっき液から光電変換部を保護する絶縁層を形成するために、本発明者らは、太陽電池としてヘテロ接合太陽電池を用いて、例えば、特許文献5に記載されているような縦型インライン式プラズマCVD装置を用いて絶縁層を製膜することを試みた。この際、ロード室(導入加熱室)において、基板トレイと赤外線ランプヒーターとを、いずれも140℃になるよう加熱し、その後製膜室にて絶縁層を製膜したところ、太陽電池の特性が低下するという問題が生じた。
一般に、ヘテロ接合太陽電池は非晶質シリコン系薄膜層を有しており、非晶質シリコン系薄膜層を有する場合の耐熱温度は250℃程度と知られている。公知の技術に従い、基板トレイと赤外線ランプヒーターとを、いずれも140℃に設定したにも関わらず、太陽電池の性能低下が頻発した。この原因として、赤外線ランプヒーターからの強力な発光熱により、基板表面の局所的な温度上昇や加熱ムラが起こり、該非晶質シリコン系薄膜層の劣化や変質が起こったためと推測した。
しかしながら特許文献3〜5においては、非晶質シリコン系薄膜層など非晶質半導体層を用いた場合や、その際の加熱温度の詳細については、何ら検討がなされておらず、例えば、特許文献3〜5に記載の赤外線ランプヒーターが基板の製膜面側に配置されている場合、赤外線ランプヒーターの強力な発光熱による急速加熱のため、赤外線ランプヒーターの加熱設定温度を基板耐熱温度以下に設定していたとしても、非晶質シリコン系薄膜層が劣化し、太陽電池の変換特性が著しく低下してしまうと考えられる。
本発明は、上記現状に鑑み、非晶質半導体層を有する基材を用いて絶縁層などの薄膜を製膜して変換効率の高い太陽電池を作製するためのプラズマCVD装置を提供することが目的である。
本発明は、以下に関する。
本発明は、基板上に非晶質半導体層を有する基材と、前記基材の第一主面上に薄膜を形成して太陽電池を作製するためのプラズマCVD装置であって、内部の大気開放と真空吸引および基材加熱が可能な導入加熱室と、プラズマCVD法により製膜する製膜室と、を有し、前記基材の第一主面が露出するように前記基材の第一主面と対向する第二主面側をトレイに配置し、前記配置後の基材を導入加熱室に搬送し、前記基材を第一主面側から加熱する第一加熱部と、前記トレイ側から基材を加熱する第二加熱部を有し、前記第一加熱部の温度をT1、第二加熱部の温度をT2としたときT1<T2を満たす。
前記非晶質半導体層が非晶質シリコン系薄膜層であることが好ましい。
前記薄膜が絶縁層であることが好ましい。
前記第一加熱部および第二加熱部のうち、少なくとも第一加熱部が、ランプヒーターであることが好ましい。
前記基材は、前記基板としての一導電型単結晶シリコン基板の第一主面側に、前記非晶質半導体層としての導電型非晶質シリコン系薄膜層と、透明電極層を順に有することが好ましい。
前記T2は、前記基材の耐熱温度よりも低いことが好ましい。
前記T2は、250℃以下であることが好ましい。
前記T1がT2よりも10〜150℃低いことが好ましい。
前記製膜室は、第三加熱部を有し、前記第三加熱部の温度をT3としたとき、T1<T3を満たすことが好ましい。
前記導入加熱室と前記製膜室の間に、真空状態が保持され、かつ加熱機構を有する真空加熱室を有し、前記真空加熱室は、第四加熱部を有し、前記基材が前記導入加熱室から搬送された後、前記第四加熱部にて前記基材がT4の温度で加熱されることが好ましい。
前記第四加熱部がパネルヒーターであることが好ましい。
前記T4が250℃以下であることが好ましい。
また基板上に非晶質半導体層を有する基材と、前記基材の第一主面上に薄膜を形成する太陽電池の製造方法であって、前記基材の第一主面が露出するように前記基材の第一主面と対向する第二主面側をトレイに配置する配置工程、前記基材を、内部の大気開放と真空吸引および基材加熱が可能な導入加熱室に搬送する搬送工程、前記導入加熱室を真空にしながらまたは真空にした後、前記基材の第一主面側表面温度t1と前記トレイの基材配置背面側表面温度t2とが250℃以下になるように、基材の第一主面側および前記トレイ側から、設定温度を各々T1およびT2としたとき、T1<T2になるように基材を加熱する加熱工程、および前記基材を製膜室に搬送し、プラズマCVD法により前記基材の第一主面側の表面に薄膜が製膜される製膜工程、をこの順に有することが好ましい。
前記非晶質半導体層が、非晶質シリコン系薄膜層であることが好ましい。
前記薄膜が、絶縁層であることが好ましい。
前記加熱工程において、前記導入加熱室を真空にしながら加熱が行われることが好ましい。
製膜室における前記基材の第一主面側表面温度をt3としたとき、前記製膜室において、t3<250℃となるように、基材が加熱された状態で薄膜が製膜されることが好ましい。
本発明によるプラズマCVD装置を用いることによって、非晶質半導体層を劣化させることなく、絶縁層などの薄膜を製膜することが可能となり、変換効率の高い太陽電池を製造することができる。
本発明の実施形態に係るプラズマCVD装置の模式的側面断面図 本発明の実施形態に係るプラズマCVD装置の模式的平面断面図 基材が導入加熱室に在室している様子を示した模式的平面断面図 基材が導入加熱室に在室している様子を示した模式的正面断面図 導入加熱室内における基材加熱(熱移動)の様子を示した模式的断面図 基材が製膜室に在室している様子を示した模式的平面断面図 基材が製膜室に在室している様子を示した模式的正面断面図 基材が真空加熱室に在室している様子を示した模式的平面断面図 基材が真空加熱室に在室している様子を示した模式的正面断面図 本発明の実施形態に係るヘテロ接合太陽電池の模式的断面図
図1に示すように、本発明におけるプラズマCVD装置は、内部の大気開放と真空吸引および基材加熱が可能な導入加熱室1と、プラズマCVD法により製膜する製膜室3と、を有する。まず、基板上に非晶質半導体層を有する基材が準備される。この際、基材の第一主面が露出するように前記基材の第一主面と対向する第二主面側を基材トレイ6に配置し、配置後の基材が導入加熱室1に搬送される。この際、非晶質半導体層として非晶質シリコン系薄膜層を用いることが好ましく、また基板の第一主面側に非晶質シリコン系薄膜層を有する基材を用いることが好ましい。
導入加熱室1は、基材トレイ6に配置され搬送された基材を第一主面側から加熱する第一加熱部と、基材トレイ側から基材を加熱する第二加熱部を有する。第一加熱部の温度をT1、第二加熱部の温度をT2としたときT1<T2を満たす。この際、T2は、基材の耐熱温度よりも低温であることが好ましい。これにより、基材に使用される非晶質半導体層などの劣化や変質を抑制することができる。また第一加熱部と第二加熱部は、ランプヒーターであることが好ましい。導入加熱室1にて加熱された基材は、製膜室3に導入される。製膜室3において、前記基材の第一主面上に絶縁層が製膜される。
なお、本発明において「非晶質」とは、X線回折では結晶由来のピークが観測されないものを指す。なお、TEM等の高分解能観察によって結晶粒を観察できるものであっても、結晶子サイズが小さいためにX線結晶回折ピークが観察されないものは非晶質に包含される。
以下に、本発明におけるプラズマCVD装置、および、それを用いた太陽電池の製造方法についてより詳細に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのプラズマCVD装置、および、それを用いた太陽電池を例示するものであって、本発明をこのプラズマCVD装置、および、それを用いた太陽電池に特定することを意図するつもりはなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
[プラズマCVD装置]
まず、図1および図2を参照して、本発明の実施形態に係るプラズマCVD装置を説明する。ここで、図1は本発明の実施形態に係るプラズマCVD装置の模式的側面断面図であり、図2は本発明の実施形態に係るプラズマCVD装置の模式的平面断面図である。
プラズマCVD装置は、少なくとも、導入加熱室1と製膜室3を有する。図1および図2に示すプラズマCVD装置は、インライン式プラズマCVD装置と呼ばれており、高いスループットを確保するために、基材トレイ用搬送キャリア5が一方向に順送りに搬送される方法が採られている。すなわち、インライン式プラズマCVD装置は、内部の大気開放と真空吸引および基材の加熱が可能な導入加熱室1と、プラズマCVD法により製膜する製膜室3と、内部の大気開放と真空吸引が可能な取出準備室4を有するため、プラズマCVD装置として、インライン式プラズマCVD装置を用いることが好ましい。この場合、製膜室3にて製膜した後に、導入加熱室1に再度戻して取り出す必要がなく、より生産性を向上させることができる。
後述のように、各室での処理時間(タクトタイム)を低減させるために、導入加熱室1と製膜室3の間に、真空状態が保持され、かつ加熱機構を有する真空加熱室2を有していても良いし、製膜室を複数室有していても良い。
製膜が実施される基材は、大気雰囲気下で基材トレイ6にセットされる。基材トレイ6は搬送キャリア5にセットされ、導入加熱室1へと搬入される。基材は、第一主面と、第一主面と対向する第二主面を有し、基材の第二主面側が基材トレイ側に、第一主面側が基材トレイとは反対側になるようにセットされる。
本発明における基材は、非晶質半導体層を有する。好ましくは、非晶質半導体層として、非晶質シリコン系薄膜層を有するものである。また好ましくは、基材の第一主面上に非晶質シリコン系薄膜層を有するものであり、より好ましくは、基板の第一主面上に導電型非晶質シリコン系薄膜層を有するものである。また基材は、前記導電型非晶質シリコン系薄膜層の第一主面上に透明電極層を有することが好ましく、基板として単結晶シリコン基板を用い、該基板の第一主面上に、導電型非晶質シリコン系薄膜層と透明電極層とを順に有するものを用いることがより好ましい。
導入加熱室1では、大気開放状態で搬送キャリア5を受け入れ、真空吸引が開始される。ここで、真空吸引と並行して、または、真空吸引により真空にした真空雰囲気下にて、基材を加熱する。図3は基材が導入加熱室に在室している様子を示した模式的平面断面図、図4は基材が導入加熱室に在室している様子を示した模式的正面断面図である。
導入加熱室1において、基材トレイがセットされた搬送キャリアは、図3および図4のように配置される。基材トレイは、搬送キャリアと一体となって搬送される。基材を第一主面側から加熱する第一加熱部の温度をT1、トレイ側(基材の第二主面側)から基材を加熱する第二加熱部の温度をT2とする。第一加熱部と第二加熱部の温度は、T1<T2を満たす。
なお、本明細書において「加熱部の温度」とは、当該加熱部の設定温度を意味する。この時、第一主面側の第一加熱部としては、赤外線ランプヒーター、ハロゲンランプヒーター、パネルヒーター、シーズヒーター、リボンヒーターなどが挙げられるが、タクトタイム低減の観点から、赤外線ランプヒーターであることが好ましい。図5に示すように、第一加熱部は、赤外線ランプヒーターの発光熱が基材に直接照射されるため、非晶質半導体層の劣化または変質をより抑制できる観点から、第一主面側の第一加熱部の温度T1は、130℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。
第二主面側の第二加熱部としては、赤外線ランプヒーター、ハロゲンランプヒーター、パネルヒーター、シーズヒーター、リボンヒーターなどが挙げられるが、タクトタイム低減の観点から、第一加熱部と同様に赤外線ランプヒーターを用いることが好ましい。図5に示すように、第二加熱部は、基材と第二加熱部の間に基材トレイが存在しているので、例えば第二加熱部として赤外線ランプヒーターを用いた場合、該赤外線ランプヒーターの発光熱が基材に直接照射されることがない。従って、第一加熱部と比べて、非晶質半導体層への影響が少ないと考えられる。従って、第二加熱部の温度T2は、基材の耐熱温度よりも低いものを用いることができる。ここで、「基材の耐熱温度」とは、当該基材を備える太陽電池(「太陽電池セル」または「セル」ともいう)あるいは太陽電池セルを用いて作製した太陽電池モジュールの特性が不可逆的に低下する温度である。
本発明における基材は、非晶質半導体層として非晶質シリコン系薄膜層を用いた場合、非晶質シリコン系薄膜層の耐熱温度である250℃以下が好ましく、また、第一主面側の第一加熱部の温度T1との温度差が大きい場合に生じうる基材の反り等の問題をより抑制できる観点から、200℃以下がより好ましく、150℃以下がさらに好ましい。以上より、T2−T1=10〜150℃であることが好ましく、20〜100℃であることがより好ましく、30〜70℃であることがさらに好ましい。
この際、加熱時間としては、赤外線ランプヒーターの発光熱により非晶質シリコン系薄膜層等を劣化等させない観点から、極力短時間とすることが好まれるが、基材の加熱ムラ等の発生や、その後に製膜される絶縁層の製膜ムラ等をより防止する観点から、10秒〜120秒が好ましく、20秒〜60秒がより好ましい。
また、導入加熱室における基材の第一主面側表面温度をt1、基材トレイの背面側表面温度をt2とする。t1およびt2は、基材の耐熱温度以下であることが好ましく、非晶質半導体層の耐熱温度以下であることがより好ましい。非晶質半導体層として非晶質シリコン系薄膜層を用いた場合、非晶質シリコン系薄膜層の耐熱温度である250℃以下が好ましい。本発明においては、第一加熱部として特に赤外線ランプヒーターなどを用いた場合、基材の第一主面側に直接熱が伝わるが、第一加熱部と第二加熱部の設定温度をT1<T2とし、さらにT2<250℃とすることで、t1とt2を容易に250℃以下にすることができる。
基板表面温度は、例えば、製膜面側の基材表面にサーモラベルや熱電対を貼り付けて測定することができる。また、ヒーター等の加熱手段の温度は、基板表面温度が所望の範囲にとなるように適宜に調整すれば良い。
前記基材は、導入加熱室1にて加熱された後、真空を保持したまま製膜室3に搬送される。図6は基材が製膜室に在室している様子を示した模式的平面断面図、図7は基材が製膜室に在室している様子を示した模式的正面断面図である。製膜室3において、基材トレイがセットされた搬送キャリアは、図6および図7のように配置される。
製膜室3では、プラズマCVD法を用いて、基材の第一主面上に薄膜が製膜される。製膜室3内には、製膜室内の温度を常時一定に保持するため、パネルヒーター等の第三加熱部9を有していることが好ましい。この時、パネルヒーター等の第三加熱部の温度T3は、基材の耐熱温度以下であることが好ましく、非晶質半導体層の耐熱温度以下であることがより好ましい。非晶質半導体層として非晶質シリコン系薄膜層を用いた場合、非晶質シリコン系薄膜層の耐熱温度である250℃以下がさらに好ましく、200℃以下がより好ましい。またT1<T3を満たすことが好ましく、T3−T1=50〜100℃がより好ましい。
また、製膜室内における基材の第一主面側表面温度をt3とする。この際、基材の第一主面側表面温度がt3となるように加熱された状態で薄膜が形成されることが好ましい。t3は、基材の耐熱温度以下であることが好ましく、非晶質半導体層の耐熱温度以下であることがより好ましい。非晶質半導体層として非晶質シリコン系薄膜層を用いた場合、非晶質シリコン系薄膜層の耐熱温度である250℃以下が好ましい。
さらに、製膜室3内には、プラズマ放電を生起するための電極11を有し、原料ガスが供給されるガス導入口等を有している。製膜室3内に原料ガスとなるSiH等のシリコン含有ガスやCOガス等を供給するとともに、基材を加熱保持しつつ、基材と電極11との間にプラズマ放電を生起して、原料ガスを電離させる。電離した原料ガス成分を、基材上に堆積させることで、絶縁層等を製膜する。この際、製膜室は1室のみではなく、2室以上を有していてもよい。例えば、絶縁層を複数層製膜する場合などに、各製膜室内で製膜条件を変更等することにより、複数層を容易に製膜することができる。
また導入加熱室1と製膜室3の間に、真空加熱室2を有していてもよい。この際、導入加熱室1からの真空を保持したまま真空加熱室2に搬送される。図8は基材が真空加熱室に在室している様子を示した模式的平面断面図、図9は基材が真空加熱室に在室している様子を示した模式的正面断面図である。真空加熱室2において、基材トレイがセットされた搬送キャリアは、図8および図9のように配置される。
真空加熱室2は、第四加熱部8を備える。第四加熱部8としては、真空加熱室2内の温度を常時一定に保持するため、パネルヒーター等を有していることが好ましい。第四加熱部8の温度T4にて基材が加熱される。T4は、基材の耐熱温度以下であることが好ましく、非晶質半導体層の耐熱温度以下であることがより好ましい。非晶質半導体層として非晶質シリコン系薄膜層を用いた場合、非晶質シリコン系薄膜層の耐熱温度である250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましい。
真空加熱室2では、パネルヒーター等の輻射熱による加熱が一般的に知られているが、Nなどの不活性ガスやHガスなどを供給することにより、ガス分子による熱伝達にて基材の加熱を実施することもできる。
なお、図8および図9においては、基材の第一主面側と第二主面側に第四加熱部を有し、いずれも加熱温度がT4であるものを示しているが、第一主面側と第二主面側の温度が、異なっていても良い。また第一主面側または第二主面側の一方にのみ第四加熱部を有していても良い。基材の反り防止および基材の加熱ムラ抑制の観点からは、第一主面側と第二主面側のいずれにも第四加熱部を有し、両方から同じ温度で加熱することが好ましい。
このような真空加熱室2を備えることにより、導入加熱室1での加熱時間を短縮させることが可能となり、高いスループットが期待できる。真空加熱室2は、図1および図2に示すように1室でも良いし、2室以上であってもよい。
製膜室3において絶縁層を製膜した後、真空を保持したまま、取出準備室4に搬送される。取出準備室4では、絶縁層等の薄膜が製膜された後の基材を搬送し、大気開放する。これにより、加熱および製膜における一連の工程を真空破壊することなく、基材を搬送および回収することができる。
[太陽電池]
本発明におけるプラズマCVD装置を用いて作製する太陽電池は、非晶質半導体層を有する基材を用い、該基材をプラズマCVD装置に搬入し、基材の第一主面上に絶縁層が形成される。
(基材)
本発明においては、非晶質半導体層を有する基材を用いて、太陽電池が作製される。このような太陽電池としては、例えば、GaAs等のシリコン以外の半導体基板が用いられる太陽電池、非晶質シリコン系薄膜や結晶質シリコン系薄膜のpin接合あるいはpn接合上に透明電極層が形成されたシリコン系薄膜太陽電池や、CIS,CIGS等の化合物半導体太陽電池などが挙げられる。中でも非晶質半導体層として、非晶質シリコン系薄膜層を用いることが好ましく、このような太陽電池として、アモルファスシリコン薄膜太陽電池、アモルファスシリコン薄膜層と微結晶シリコン薄膜層のタンデム構造からなるハイブリットシリコン薄膜太陽電池などが挙げられる。中でも、本発明においては、太陽電池として単結晶シリコン基板上に非晶質シリコン系薄膜層を有するヘテロ接合結晶シリコン系太陽電池(以下、ヘテロ接合太陽電池ともいう)を用いることが好ましい。
図10は、本発明によるヘテロ接合太陽電池の一実施形態を示す模式的断面図である。なお、本発明においては、以下の実施形態に限定されない。本実施形態の太陽電池は、ヘテロ接合太陽電池を採用している。
具体的には、太陽電池101は、図10のように、基板111の第一主面(表面)上に、導電型非晶質シリコン系薄膜層113a、及び透明電極層114aがこの順に積層されている。この際、基板111と導電型非晶質シリコン系薄膜層113aの間に、真性シリコン系薄膜層112aを有することが好ましい。
また、太陽電池101は、さらに、透明電極層114aの上に、絶縁層117及び集電極118が設けられている。一方、基板111の第二主面(裏面)上に真性シリコン系薄膜層112b、導電型シリコン系薄膜層113b及び透明電極層114bがこの順に積層されていることが好ましい。また、太陽電池101は、さらに、透明電極層114b上に、裏面金属電極層115が積層されていることが好ましい。
基板111は、一導電型単結晶シリコン基板によって形成されている。ここで、一般的に単結晶シリコン基板には、シリコン原子に電子を導入するための原子(例えばリン)を含有させたn型と、シリコン原子に正孔を導入する原子(例えばホウ素)を含有させたp型がある。ここでいう「一導電型」とは、n型又はp型のどちらか一方であることを言う。つまり、基板111は、n型又はp型のどちらか一方の単結晶シリコン基板である。本実施形態の基板111は、n型単結晶シリコン基板であることが好ましい。
基板111は、表面及び裏面にテクスチャ構造を有している。すなわち、基板111を基体として形成される光電変換部201もテクスチャ構造を備える。そのため、太陽電池101は、入射した光を光電変換部201に閉じ込めることができ、発電効率が高い。
テクスチャが形成された一導電型単結晶シリコン基板の表面に、非晶質シリコン系薄膜層が製膜される。シリコン系薄膜層の製膜方法としては、プラズマCVD法が好ましい。プラズマCVD法によるシリコン系薄膜層の製膜条件としては、基板温度100〜300℃、圧力20〜2600Pa、高周波パワー密度0.004〜0.8W/cmが好ましく用いられる。シリコン系薄膜層の形成に使用される原料ガスとしては、SiH、Si等のシリコン含有ガス、またはシリコン系ガスとHとの混合ガスが好ましく用いられる。
導電型シリコン系薄膜層は、一導電型または逆導電型のシリコン系薄膜層である。例えば、一導電型単結晶シリコン基板としてn型が用いられる場合、一導電型シリコン系薄膜層、および逆導電型シリコン系薄膜層は、各々n型、およびp型となる。p型またはn型シリコン系薄膜層を形成するためのドーパントガスとしては、BまたはPH等が好ましく用いられる。また、PやBといった不純物の添加量は微量でよいため、予めSiHやHで希釈された混合ガスを用いることが好ましい。導電型シリコン系薄膜層の製膜時に、CH、CO、NH、GeH等の異種元素を含むガスを添加して、シリコン系薄膜層を合金化することにより、シリコン系薄膜層のエネルギーギャップを変更することもできる。
シリコン系薄膜層としては、非晶質シリコン系薄膜層を用いる。例えば、図10に示すように、シリコン系薄膜層を複数層有する場合、少なくとも1層が非晶質シリコン系薄膜層であればよい。例えば、一導電型単結晶シリコン基板としてn型単結晶シリコン基板を用いた場合の光電変換部の好適な構成としては、透明電極層/p型非晶質シリコン系薄膜層/i型非晶質シリコン系薄膜層/n型単結晶シリコン基板/i型非晶質シリコン系薄膜層/n型非晶質シリコン系薄膜層/透明電極層の順の積層構成が挙げられる。この場合、前述の理由から、p層側を光入射面とすることが好ましい。
真性シリコン系薄膜層としては、シリコンと水素で構成されるi型水素化非晶質シリコン系薄膜層が好ましい。単結晶シリコン基板上に、CVD法によってi型水素化非晶質シリコン系薄膜層が製膜されると、単結晶シリコン基板への不純物拡散を抑えつつ表面パッシベーションを有効に行うことができる。
太陽電池101の光電変換部201は、図10のように導電型シリコン系薄膜層113a,113b上の外側に、透明電極層114a,114bを備えている。透明電極層114a,114bは、導電性酸化物を主成分としていることが好ましい。導電性酸化物の中でも酸化インジウム錫(ITO)を主成分とするものがより好ましい。透明電極層114a,114bは、単層でもよく、複数の層からなる積層構造でもよい。透明電極層114a,114bには、ドーピング剤を添加することもできる。光入射側の透明電極層114aの膜厚は、透明性、導電性、及び光反射低減の観点から、10nm以上140nm以下であることが好ましい。
透明電極層114aの役割は、集電極118へのキャリアの輸送であるから、膜厚を10nm以上にすることによって、必要な導電性を備えることができる。膜厚を140nm以下にすることにより、透明電極層114aでの吸収ロスが小さく、透過率の低下に伴う光電変換効率の低下を抑制することができる。また、透明電極層114aの膜厚が上記範囲内であれば、透明電極層114a内のキャリア濃度上昇も防ぐことができる。そのため、赤外域の透過率低下に伴う光電変換効率の低下も抑制される。透明電極層114a,114bの製膜方法は、特に限定されないが、例えばスパッタ法などにより形成することができる。
以上のように、本発明においては、ヘテロ接合太陽電池を用いた場合、基材として、単結晶シリコン基板111の第一主面上に導電型非晶質シリコン薄膜層と透明電極層を有するものを用いることができる。この際、後述のように、基材は、透明電極層上に、集電極を形成するための下地となる導電性シード等を有していてもよいし、集電極を有していてもよい。
また、ヘテロ接合太陽電池以外にも、非晶質半導体層を有する太陽電池として、例えば、アモルファスシリコン薄膜太陽電池やアモルファスシリコン薄膜層と微結晶シリコン薄膜層のタンデム構造からなるハイブリットシリコン薄膜太陽電池などの構成を有するものにも用いることができる。この場合も、非晶質シリコン層を有するため、耐熱温度が250度程度である。従って、CVD装置内における基材加熱温度は、250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましい。
(薄膜)
基材の第一主面上には、薄膜が形成される。薄膜としては、例えば、非晶質シリコン系薄膜層、微結晶シリコン系薄膜層、結晶シリコン系薄膜層などが挙げられるが、基材上の透明電極層等をめっき液から保護する観点から、図10に示すように絶縁層117が形成されることが好ましい。この際、めっき法により集電極を形成する場合は、基材をめっき液から保護するために、集電極を形成する集電極形成領域以外の領域に、絶縁層117を形成することが好ましい。
例えば、ヘテロ接合太陽電池を作製するための基材、すなわち第一主面側の最表面層が透明電極層である基材を用いる場合、該透明電極層上の第一主面側表面上に絶縁層が形成される。この際、透明電極層上の少なくとも集電極形成領域以外の領域に絶縁層が形成されることが好ましい。また基材が、導電性シード層を有する場合、導電性シード層が存在しない透明電極層上に絶縁層が形成されることが好ましい。この場合、例えば、集電極を形成する領域をマスク等で覆うことにより集電極形成領域以外の領域に絶縁層を形成することができる。
通常、ヘテロ接合太陽電池等では、基板の第一主面側の電極層と、第二主面側の電極層が、製膜面とは反対面側に回り込むことにより、短絡が生じるため、第一主面側の電極層と第二主面側の電極層との短絡を除去するために、絶縁処理を行うことにより絶縁領域が形成される。このような絶縁領域は、第一主面側および/または第二主面側の透明電極層をマスクにより製膜する方法や、第一主面の電極層と第二主面の電極層が他面に回り込むように製膜した後レーザーにより第一主面もしくは第二主面側から基板に達するようにレーザー照射を行う方法などがあるが、特にレーザー照射により絶縁処理を行った場合、基板が露出した状態となる。
また、マスク等を用いて絶縁処理を行った場合であっても、基材の側面は、非晶質シリコン系薄膜層が剥き出しとなった状態となる。従って、絶縁処理は、絶縁層製膜前に行っても後に行っても良いが、絶縁層製膜前に行うことが好ましい。絶縁領域が形成された基材を用いる場合、基板への不純物の拡散抑制や、太陽電池を用いてモジュール化する際の封止材等からの湿分抑制効果をより高める観点から、絶縁領域の一部が絶縁層により覆われることが好ましく、図10に示すように、絶縁領域の全てが絶縁層で覆われることが特に好ましい。
また、結晶シリコン基板111の表面または側面に絶縁層が直接形成される場合、絶縁層の材料や製法を適宜選択することにより、結晶シリコンの表面パシベーション効果等が得られうる。なお、絶縁領域を覆う絶縁層の材料は、集電極形成領域以外の領域上に形成される絶縁層の材料と同じであっても、異なっても良いが、生産性の観点から同じ材料が用いられることが好ましい。同じ材料が用いられる場合、絶縁領域を覆う絶縁層と、集電極形成領域以外の領域上の絶縁層は、同時に形成されることが好ましい。
またこの場合、めっき法により集電極が形成される際に、基材をめっき液から化学的および電気的に保護することが可能となる。また、めっき液中の不純物の結晶シリコン基板への拡散を抑制でき、長期信頼性の向上が期待できる。例えば、図10に示すヘテロ接合太陽電池のように基材の第一の主面側に透明電極層114aが形成されている場合は、透明電極層114aの表面に絶縁層117が形成されることで、透明電極層とめっき液との接触が抑止され、透明電極層上への金属層の析出を防ぐことができる。
なお、例えば基材として、光電変換部の第一主面上に導電性シード層を有するものを用いた場合、生産性の観点から、集電極形成領域と集電極非形成領域の全体に絶縁層が形成されることがより好ましい。集電極形成領域上(すなわち導電性シード層上)における絶縁層には、別途開口部を形成することにより、その上に形成されるめっき層などを電気的に導通させることができる。
絶縁層117の材料としては、電気的に絶縁性を示す材料が用いられる。また、絶縁層117は、めっき液に対する化学的安定性を有する材料であることが望ましい。めっき液に対する化学的安定性が高い材料を用いることにより、集電極形成時のめっき工程中に、絶縁層が溶解しにくく、光電変換部表面へのダメージが生じにくくなる。
絶縁層117には、光吸収が少ない材料を用いることが好ましい。絶縁層117は、光電変換部201の光入射面側に形成されるため、絶縁層による光吸収が小さければ、より多くの光を光電変換部へ取り込むことが可能となる。例えば、絶縁層117が透過率90%以上の十分な透明性を有する場合、絶縁層での光吸収による光学的な損失が小さく、集電極形成後に絶縁層を除去することなく、そのまま太陽電池として使用することができる。そのため、太陽電池の製造工程を単純化でき、生産性をより向上させることが可能となる。絶縁層117が除去されることなくそのまま太陽電池として使用される場合、絶縁層117は、透明性に加えて、十分な耐候性、および熱・湿度に対する安定性を有する材料を用いることがより望ましい。
絶縁層の材料は、無機絶縁性材料がよい。無機絶縁性材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン等の材料を用いることができる。また、集電極非形成部における絶縁層117の光学特性や膜厚を適宜設定することで、光反射特性を改善し、太陽電池セル内部へ導入される光量を増加させ、変換効率をより向上させることが可能となる。このような効果を得るためには、絶縁層117の屈折率が、光電変換部201表面の屈折率よりも低いことが好ましい。また、絶縁層117に好適な反射防止特性を付与する観点から、膜厚は30nm〜250nmの範囲内で設定されることが好ましく、50nm〜250nmの範囲内で設定されることがより好ましい。
ヘテロ接合太陽電池のように、光電変換部201の表面に透明電極層(一般には屈折率:1.9〜2.1程度)を有する場合、界面での光反射防止効果を高めて太陽電池セル内部へ導入される光量を増加させるために、絶縁層の屈折率は、空気(屈折率=1.0)と透明電極層との中間的な値であることが好ましい。また、太陽電池セルが封止されてモジュール化される場合、絶縁層の屈折率は、封止剤と透明電極層の中間的な値であることが好ましい。かかる観点から、絶縁層117の屈折率は、例えば1.4〜1.9が好ましく、1.5〜1.8がより好ましく、1.55〜1.75がさらに好ましい。絶縁層の屈折率は、絶縁層の材料、組成等により所望の範囲に調整され得る。例えば、酸化シリコンの場合は、酸素含有量を小さくすることにより、屈折率が高くなる。なお、本明細書における屈折率は、特に断りがない限り、波長550nmの光に対する屈折率であり、分光エリプソメトリーにより測定される値である。また、絶縁層の屈折率に応じて、反射防止特性が向上するように絶縁層の光学膜厚(屈折率×膜厚)が設定されることが好ましい。
本発明における絶縁層は、上述のプラズマCVD装置を用い、プラズマCVD法により形成される。この方法により、200nm程度の厚いものだけでなく、30〜100nm程度の薄い膜厚の絶縁層を形成した場合も、緻密性の高い構造の膜を形成することができる。
また、絶縁層形成温度は、光電変換部201の耐熱温度よりも低温であることが好ましい。光電変換部の耐熱温度は、光電変換部の構成により異なる。例えば、ヘテロ接合太陽電池や、シリコン系薄膜太陽電池のように非晶質シリコン系薄膜層を有する場合の耐熱温度は250℃程度である。そのため、光電変換部が非晶質シリコン系薄膜層を備えるヘテロ接合太陽電池や、シリコン系薄膜太陽電池の場合、非晶質シリコン系薄膜層およびその界面での熱ダメージ抑制の観点から、絶縁層形成温度は250℃以下に設定されることが好ましい。より高性能の太陽電池を実現するためには絶縁層形成温度は200℃以下にすることがより好ましく、180℃以下にすることがさらに好ましい。さらに、例えば、透明電極層として非晶質のものを形成する場合なども、結晶化をより防止できる観点から、250℃以下とすることが好ましい。
また絶縁層は、導電性酸化物の材料および組成、製膜条件(製膜方法、基板温度、導入ガスの種類および導入量、製膜圧力、パワー密度等)を変更することにより、適宜に調整され得る。絶縁層として酸化シリコンを用いた場合の製膜を例に挙げると、プラズマCVD法を用いることが好ましい。製膜条件としては、基板温度145℃〜250℃、圧力30Pa〜300Pa、パワー密度0.01W/cm〜0.30W/cmの条件で製膜が行われることが好ましい。なお、上記のようにして絶縁層を形成後、絶縁層の少なくとも一部を除去してもよい。
(集電極)
光電変換部201の第一の主面上に、集電極118が形成される。すなわち、本発明におけるヘテロ接合太陽電池の実施形態では、第一主面側の透明電極層114a上に、集電極が形成される。集電極は、1層でもよく、複数層でもよいが、透明導電膜側から順に、導電性シード層116および第二導電層118から形成されることが好ましい。この場合、第二導電層はめっき法により形成することが好ましい。集電極が、導電性シードとめっき層により構成される場合、導電性シード層とめっき層との間には絶縁層が形成されていてもよい。この場合、めっき層の一部は、例えば、絶縁層の開口部を介して、導電性シード層に導通される。
この場合、導電性シード層は、めっき法により第二導電層が形成される際の導電性下地層として機能する層である。そのため、導電性シード層はめっき処理の下地層として機能し得る程度の導電性を有していればよい。なお、本明細書においては、体積抵抗率が10−2Ω・cm以下であれば導電性であると定義する。また、体積抵抗率が10Ω・cm以上であれば、絶縁性であると定義する。
導電性シード層は、インクジェット法、スクリーン印刷法、真空蒸着法、スパッタ法等の公知の技術によって作製できる。第一導電層は、櫛形等の所定形状にパターン化されていることが好ましい。パターン化された導電性シード層の形成には、生産性の観点からスクリーン印刷法が適している。スクリーン印刷法では、金属粒子を含む印刷ペースト、および集電極のパターン形状に対応した開口パターンを有するスクリーン版を用いて、集電極パターンを印刷する方法が好ましく用いられている。
第二導電層がめっき法により形成される場合、第二導電層として析出させる金属は、めっき法で形成できる材料であれば特に限定されず、銅、ニッケル、錫など、あるいはこちらの混合物を用いることができる。第二導電層は、無電解めっき法、電解めっき法のいずれでも形成され得るが、生産性の観点から、電解めっき法を用いることが好適である。電解めっき法では、金属の析出速度を大きくできるため、第二導電層を短時間で形成することができる。
なお、上記に限定されず、例えば、集電極が1層の場合であってもよく、この場合、上述のようにめっき法により形成してもよいし、ペースト材料等を用いて形成してもよい。
以上のようにしてヘテロ接合太陽電池を作製することができる。なお、上述のように、本発明の太陽電池は、ヘテロ接合太陽電池に限定されるものではない。太陽電池として、例えば、薄膜シリコン太陽電池を用いる場合、基板としては、ガラスや、耐熱性フィルム等を用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお本実施例においては、非晶質シリコン系薄膜層の劣化の有無を判別するため、めっき法を用いた集電極を形成する前の導電性シード層(銀ペースト)のみの太陽電池を用いて、太陽電池特性を測定し、開放電圧を確認する方法で実施した。
(実施例1)
一導電型単結晶シリコン基板として、入射面の面方位が(100)で、厚みが200μmのn型単結晶シリコンウェハを用い、ウェハの表面をエッチングすることで凹凸構造のテクスチャを形成した。エッチング工程完了後、シリコンウェハをプラズマCVD装置内へ導入し、その光入射面側に、真性非晶質シリコン系薄膜層112aとして、i型非晶質シリコン系薄膜層を5nm程度の膜厚で製膜した。i型非晶質シリコン系薄膜層の製膜条件は、プラズマCVD製膜室内ヒーター設定温度180℃、製膜室内圧力70Pa、SiH/Hガス流量比3/10、RF電源パワー密度0.038W/cmである。なお、本実施例における薄膜層の膜厚は、ガラス基板上に同条件にて製膜した薄膜層の膜厚を、ジェー・エー・ウーラム社製分光エリプソメトリーにて測定し、製膜速度を求め、同じ製膜速度にて製膜されていると仮定して算出された値である。
i型非晶質シリコン系薄膜層112a上に、逆導電型非晶質シリコン系薄膜層113aとして、p型非晶質シリコン系薄膜層を7nm程度の膜厚で製膜した。p型非晶質シリコン系薄膜層の製膜条件は、プラズマCVD製膜室内ヒーター設定温度180℃、製膜室内圧力150Pa、SiH/Bガス流量比1/3、RF電源パワー密度0.021W/cmであるが、この限りではない。なお、前述のBガス流量は、HによりB濃度が5000ppmまで希釈された希釈ガスの流量である。
次に、ウェハの裏面側に、真性非晶質シリコン系薄膜層112bとして、i型非晶質シリコン系薄膜層を6nm程度の膜厚で製膜した。i型非晶質シリコン系薄膜層の製膜条件は、前述の光入射面側i型非晶質シリコン系薄膜層112aの製膜条件と同条件である。
i型非晶質シリコン系薄膜層112b上に、一導電型シリコン系薄膜層113bとして、n型非晶質シリコン系薄膜層を10nm程度の膜厚で製膜した。n型非晶質シリコン系薄膜層の製膜条件は、プラズマCVD製膜室内ヒーター設定温度180℃、製膜室内圧力150Pa、SiH/PHガス流量比1/2、RF電源パワー密度0.021W/cmであるが、この限りではない。なお、前述のPHガス流量は、HによりPH濃度が5000ppmまで希釈された希釈ガスの流量である。
表裏面に各種シリコン系薄膜層が製膜されたシリコンウェハをスパッタリング装置内へ導入し、その光入射面側に、透明導電膜層114aとして、酸化インジウム錫(ITO、屈折率1.9)層を100nm程度の膜厚で製膜した。酸化インジウム錫層の製膜条件は、ターゲットとして酸化インジウムと酸化錫の焼結体を用い、基板表面温度室温、製膜室内圧力0.2Paのアルゴンガス雰囲気、DC電源パワー密度0.5W/cmである。
次に、ウェハの裏面側に、透明導電膜層114bとして、酸化インジウム錫層を100nm程度の膜厚で製膜した。酸化インジウム錫層の製膜条件は、前述の光入射面側酸化インジウム錫層の製膜条件と同条件である。引き続き、裏面側透明導電膜層114b上に、裏面金属電極層115として、スパッタ法により銀を500nm程度の膜厚で製膜した。最後に、光入射面側の透明導電膜層114a上に銀ペーストをスクリーン印刷法により印刷し、櫛型電極を形成し、集電極118とした。
上記工程を経て作製されたウェハをプラズマCVD装置内へ導入し、その光入射面側に、絶縁層117として酸化シリコン薄膜を80nm程度の膜厚で製膜した。絶縁層の製膜条件は、プラズマCVD装置内における導入加熱室の赤外線ランプヒーター光入射面側(第一加熱部)設定温度100℃、同じく導入加熱室の赤外線ランプヒーター基板トレー側(第二加熱部)設定温度150℃、真空加熱室のパネルヒーター設定温度200℃、製膜室ヒーター設定温度160、製膜室内圧力100Pa、SiH/COガス流量比3/21、RF電源パワー密度0.19W/cmである。
(実施例2)
実施例1と同様にして集電極形成工程を経て作製されたウェハをプラズマCVD装置内へ導入し、その光入射面側に、絶縁層として酸化シリコン薄膜を80nm程度の膜厚で製膜した。絶縁層の製膜条件は、プラズマCVD装置内における導入加熱室の赤外線ランプヒーター光入射面側(第一加熱部)設定温度100℃、同じく導入加熱室の赤外線ランプヒーター基板トレイ側(第二加熱部)設定温度150℃、真空加熱室のパネルヒーター設定温度140℃、製膜室ヒーター設定温度140、製膜室内圧力100Pa、SiH/COガス流量比3/21、RF電源パワー密度0.19W/cmである。
(比較例1)
実施例1と同様にして集電極形成工程を経て作製されたウェハをプラズマCVD装置内へ導入し、その光入射面側に、絶縁層として酸化シリコン薄膜を80nm程度の膜厚で製膜した。絶縁層の製膜条件は、プラズマCVD装置内における導入加熱室の赤外線ランプヒーター光入射面側(第一加熱部)設定温度140℃、同じく導入加熱室の赤外線ランプヒーター基板トレイ側(第二加熱部)設定温度140℃、真空加熱室のパネルヒーター設定温度140℃、製膜室ヒーター設定温度140、製膜室内圧力100Pa、SiH/COガス流量比3/21、RF電源パワー密度0.19W/cmである。
上記実施例1、実施例2、比較例1の太陽電池セルの光電変換特性は、AM1.5のスペクトル分布を有するソーラーシミュレータを用いて、25℃の下で疑似太陽光を100mW/cmのエネルギー密度で照射して出力特性を測定し、開放電圧(Voc)、変換効率(Eff)等を得た。
実施例1、実施例2、比較例1における絶縁層製膜前後の開放電圧、変換効率、および第一加熱部の温度T1、第二加熱部の温度T2、第三加熱部の温度T3、第四加熱部の温度T4を表1に示した。なお、表1に示した開放電圧および変換効率の値は、各例における絶縁層製膜前のそれぞれの値により除すことで規格化された値である。
Figure 2015192077
表1の結果より、実施例1および実施例2において、絶縁層製膜前後での開放電圧の低下および太陽電池特性の低下が抑制されている。また、実施例1および実施例2から、製膜室における第三加熱部の温度T3、真空加熱室における第四加熱部の温度T4は、開放電圧の低下および太陽電池特性の低下には影響していないことがわかる。
ここで、比較例1における導入加熱室における加熱条件(T1=T2=140℃)では、非晶質シリコン系薄膜層の耐熱温度以下の設定温度以下にも拘らず開放電圧が低下した。導入加熱室では、第一加熱部および第二加熱部のいずれも赤外線ランプヒーターを用いているが、図5に示すように、トレイ側からの基材の加熱(T2)では、ランプヒーターからの発光熱がトレイにより遮られ、基材に直接照射されなかったのに対し、基材の第一主面側からの加熱(T1)では、ランプヒーターからの強力な発光熱により、非晶質シリコン系薄膜層が劣化したためと考えられる。このことは、実施例1、2において、T2=150℃と、比較例の値(T2=140℃)とほぼ同程度であるにも拘らずT1<T2とすることで開放電圧の低下を抑制できた結果からも明らかと考えられる。
これに対し、T3とT4は、T1やT2よりも高いにも拘らず、開放電圧の低下を抑制できた。これは、第三加熱部および第三加熱部としてパネルヒーターを用いており、基材に直接照射されず、T3およびT4のいずれも非晶質シリコン系薄膜層の耐熱温度よりも低かったためと考えられる。
従って、本発明の製造方法によれば、従来のように基板の急速加熱が目的の赤外線ランプヒーターを所有するプラズマCVD装置を用いて、変換効率の高い太陽電池を作製できると考えられる。
以上、本発明による結晶シリコン系太陽電池の製造方法によれば、加熱導入室の赤外線ランプヒーターの設定温度を第一加熱部と第二加熱部とで勾配を持たせることで、太陽電池特性に優れ、かつ、量産性に優れた結晶シリコン系太陽電池を作製出来る。従って、変換効率の高い太陽電池の自動量産化に優れた製造方法を提供することが可能となる。
また、上記実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合せに様々な変形例が可能であり、そうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
1、導入加熱室
2、真空加熱室
3、製膜室
4、取出準備室
5、搬送キャリア
6、基材トレイ
7、赤外線ランプヒーター
8、9、パネルヒーター
10、基材
11、電極
T1、第一加熱部の温度
T2、第二加熱部の温度
T3、第三加熱部の温度
T4、第四加熱部の温度
t1、導入加熱室内における基材の第一主面側表面温度
t2、導入加熱室内における基材トレイの背面側表面温度
t3、製膜室内における基材の第一主面側表面温度
101、ヘテロ接合太陽電池
111、基板
112a、112b、真性非晶質シリコン系薄膜層
113a、113b、導電型シリコン系薄膜層
114a、114b、透明導電膜層
115、裏面金属電極層
116、第一導電層
117、絶縁層
118、第二導電層
本発明は、基板上に非晶質半導体層を有する基材と、前記基材の第一主面上に薄膜を形成して太陽電池を作製するためのプラズマCVD装置であって、内部の大気開放と真空吸引および基材加熱が可能な導入加熱室と、プラズマCVD法により薄膜を製膜する製膜室と、を有し、前記基材の第一主面が露出するように前記基材の第一主面と対向する第二主面側をトレイに配置し、前記配置後の基材を導入加熱室に搬送し、前記基材を第一主面側から加熱する第一加熱部と、前記トレイ側から基材を加熱する第二加熱部を有し、前記第一加熱部の温度をT1、第二加熱部の温度をT2としたときT1<T2を満たす。
図1に示すように、本発明におけるプラズマCVD装置は、内部の大気開放と真空吸引および基材加熱が可能な導入加熱室1と、プラズマCVD法により薄膜を製膜する製膜室3と、を有する。まず、基板上に非晶質半導体層を有する基材が準備される。この際、基材の第一主面が露出するように前記基材の第一主面と対向する第二主面側を基材トレイ6に配置し、配置後の基材が導入加熱室1に搬送される。この際、非晶質半導体層として非晶質シリコン系薄膜層を用いることが好ましく、また基板の第一主面側に非晶質シリコン系薄膜層を有する基材を用いることが好ましい。
プラズマCVD装置は、少なくとも、導入加熱室1と製膜室3を有する。図1および図2に示すプラズマCVD装置は、インライン式プラズマCVD装置と呼ばれており、高いスループットを確保するために、基材トレイ用搬送キャリア5が一方向に順送りに搬送される方法が採られている。すなわち、インライン式プラズマCVD装置は、内部の大気開放と真空吸引および基材の加熱が可能な導入加熱室1と、プラズマCVD法により薄膜を製膜する製膜室3と、内部の大気開放と真空吸引が可能な取出準備室4を有するため、プラズマCVD装置として、インライン式プラズマCVD装置を用いることが好ましい。この場合、製膜室3にて薄膜を製膜した後に、導入加熱室1に再度戻して取り出す必要がなく、より生産性を向上させることができる。

Claims (17)

  1. 基板上に非晶質半導体層を有する基材と、前記基材の第一主面上に薄膜を形成して太陽電池を作製するためのプラズマCVD装置であって、
    内部の大気開放と真空吸引および基材加熱が可能な導入加熱室と、プラズマCVD法により製膜する製膜室と、を有し、
    前記基材の第一主面が露出するように、前記基材の第一主面と対向する第二主面側をトレイに配置し、
    前記配置後の基材を導入加熱室に搬送し、前記基材を第一主面側から加熱する第一加熱部と、前記トレイ側から基材を加熱する第二加熱部を有し、前記第一加熱部の温度をT1、前記第二加熱部の温度をT2としたときT1<T2を満たすプラズマCVD装置。
  2. 前記非晶質半導体層が非晶質シリコン系薄膜層である、請求項1に記載のプラズマCVD装置。
  3. 前記薄膜が絶縁層である、請求項1または2に記載のプラズマCVD装置。
  4. 前記第一加熱部および第二加熱部のうち、少なくとも第一加熱部が、ランプヒーターである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラズマCVD装置。
  5. 前記基材は、前記基板としての一導電型単結晶シリコン基板の第一主面側に、前記非晶質半導体層としての導電型非晶質シリコン系薄膜層と、透明電極層を順に有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプラズマCVD装置。
  6. 前記T2は、前記基材の耐熱温度よりも低い、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラズマCVD装置。
  7. 前記T2は、250℃以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプラズマCVD装置。
  8. 前記T1がT2よりも10〜150℃低い、請求項1〜7のいずれか1項に記載のプラズマCVD装置。
  9. 前記製膜室は、第三加熱部を有し、前記第三加熱部の温度をT3としたとき、T1<T3を満たす、請求項1〜8のいずれか1項に記載のプラズマCVD装置。
  10. 前記導入加熱室と前記製膜室の間に、真空状態が保持され、かつ加熱機構を有する真空加熱室を有し、
    前記真空加熱室は、第四加熱部を有し、前記基材が前記導入加熱室から搬送された後、
    前記第四加熱部にて前記基材がT4の温度で加熱される、請求項1〜9のいずれか1項に記載のプラズマCVD装置。
  11. 前記第四加熱部がパネルヒーターである、請求項10に記載のプラズマCVD装置。
  12. 前記T4が250℃以下である、請求項10または11に記載のプラズマCVD装置。
  13. 基板上に非晶質半導体層を有する基材と、前記基材の第一主面上に薄膜を形成する太陽電池の製造方法であって、
    前記基材の第一主面が露出するように前記基材の第一主面と対向する第二主面側をトレイに配置する配置工程、
    前記基材を、内部の大気開放と真空吸引および基材加熱が可能な導入加熱室に搬送する搬送工程、
    前記導入加熱室を真空にしながらまたは真空にした後、前記基材の第一主面側表面温度t1と前記トレイの基材配置背面側表面温度t2とが250℃以下になるように、基材の第一主面側および前記トレイ側から、設定温度を各々T1およびT2としたとき、T1<T2になるように基材を加熱する加熱工程、および
    前記基材を製膜室に搬送し、プラズマCVD法により前記基材の第一主面側の表面に薄膜が製膜される製膜工程、
    をこの順に有する太陽電池の製造方法。
  14. 前記非晶質半導体層が、非晶質シリコン系薄膜層である、請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
  15. 前記薄膜が、絶縁層である、請求項13または14に記載の太陽電池の製造方法。
  16. 前記加熱工程において、前記導入加熱室を真空にしながら加熱が行われる、請求項13〜15に記載の太陽電池の製造方法。
  17. 製膜室における前記基材の第一主面側表面温度をt3としたとき、前記製膜室において、t3<250℃となるように、基材が加熱された状態で薄膜が製膜される、請求項13〜16に記載の太陽電池の製造方法。
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