JP2017108083A - 太陽電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造工数を増大することなく、反射防止膜の回り込みによる特性低下を防止し、光電変換効率の高い太陽電池を得ること。
【解決手段】p型単結晶シリコン基板1からなる第1基板に第2導電型の半導体層であるn型拡散層2を形成する工程と、成膜室に設けられた第2基板に、裏面1Bを当接させて第1基板を載置し、成膜室内を真空排気して減圧し、成膜室内に原料ガスを供給し、第1基板の受光面1A側から第1基板の側面1Cにまで化学的気相成長法で反射防止膜3を成膜する工程とを備える。反射防止膜3を成膜する工程において、第1基板を第2基板の当接面に密着させ、当接面を除く第1基板表面特に受光面1Aに選択的に反射防止膜3を成膜する。
【選択図】図5

Description

本発明は、太陽電池の製造方法に係り、特に太陽電池のpn分離に関する。
単結晶シリコンあるいは多結晶シリコンを用いた一般的な太陽電池の製造方法では、p型シリコン基板に熱拡散でn型不純物として例えばリンを拡散させてpn接合が形成されるが、その際、同時に基板端部にもn型の導電性をもったリンガラス(PSG:Phosphorus Silicon Glass)層が堆積する。そこで基板端部のPSG層を残したままにすると電気的なリークが発生し、セル特性が低下する。そこで、pn接合を分離するため、基板の端部のPSG層がエッチングされる。基板の端部のPSG層をエッチングする方法として、従来から多く用いられている方法としては、RIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)法がある。
以上のようにしてpn接合を分離した後、入射光を効率良く吸収するため、通常、反射防止膜と呼ばれる薄膜を受光面に堆積、もしくは成長させる。反射防止膜には、数十から100nm前後の厚さの酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(Si34)、酸化チタン(TiO2)、フッ化マグネシウム(MgF)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化タンタル(Ta25)、硫化亜鉛(ZnSO4)等の薄膜を単層もしくは2層以上組み合わせて利用される。中でも、窒化シリコン膜は、化学量論的にはSi34の組成を持つが、生成条件により膜中のシリコン(Si)と窒素(N)の比率を制御することが可能であり、SiNxと表記されることもある。窒化シリコン膜は、生成条件により屈折率を変化させることが比較的容易であるため、他の物質に比べて応用範囲が広い。近年、SiNx膜を大量かつ高速に製膜できるCVD(Chemical Vapour Deposition:化学的気相成長)装置が開発され、注目を浴びている。
一方、反射防止膜をCVD装置にて製膜すると半導体基板の側面あるいは他面に不所望に回り込むことにより特性が低下するという問題がある。このため一方の面に形成される反射防止膜が、半導体基板の側面あるいは他面に不所望に回り込むのを防止するための、製膜方法が特許文献1に開示されている。
特許文献1では、反射防止膜形成のためのCVD装置における基板ホルダ枠体により、半導体基板の側面あるいは他面に回り込むのを抑制している。
また、反射防止膜製膜後にレーザーあるいは、ブラスト処理にて物理的にPSG層あるいは反射防止膜を同時に除去する方法、PSG層をウエットエッチングする方法がある。
特許文献2では、反射防止膜形成後にレーザーを用いてpn分離溝を形成することで、半導体基板の端部で、p層とn層とを物理的に切断し、pn分離を図っている。
特開2007−197745号公報 特開2012−209316号公報
しかしながら、上記特許文献1,2のセル構造で上記のような回り込みによる特性低下を防止しようとすると以下の課題があった。例えば特許文献1では、CVD装置に設置される基板ホルダに枠体を設けることで回り込みを抑制している。これでは、CVD膜の回り込みは防げるものの、反射防止膜の未形成領域においては反射防止効果と基板終端効果すなわちパッシベーション効果がないため有効面積が減少する。特許文献2では、レーザーを用いて分離溝を形成すると、基板にダメージを与えてしまい、特性低下を招くという課題があった。
以上のように特許文献1,2のいずれの場合も、太陽電池としての有効面積が減少する上、基板にダメージを与えることがあり、また、特許文献1,2のいずれの場合も製造工数が増大し、製造コストが高くなる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、製造工数を増加させることなく、裏面への反射防止膜の回り込みによる特性低下を抑制可能な太陽電池を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、第1導電型を有する結晶系の半導体基板からなる第1基板に第2導電型の半導体層を形成する工程と、第1基板の受光面に選択的に反射防止膜を形成する工程とを備える。反射防止膜を形成する工程は、成膜室に設けられた第2基板に裏面を当接させて第1基板を載置し、成膜室内を真空排気して減圧し、成膜室内に原料ガスを供給し、第1基板の受光面側から第1基板の側面にまで化学的気相成長法で反射防止膜を成膜する工程と、第1基板を第2基板から分離する工程とを備える。
本発明によれば、製造工数を増加させることなく、裏面への反射防止膜の回り込みによる特性低下を抑制可能な太陽電池を得ることができるという効果を奏する。
実施の形態1に係る太陽電池の受光面側の外観を示す平面図 実施の形態1に係る太陽電池の裏面側の外観を示す平面図 図1のIII−III断面であってかつ、図2のIII−III断面に相当する断面図 実施の形態1に係る太陽電池の製造方法を示すフローチャート (a)から(g)は、実施の形態1に係る太陽電池の製造方法を示す工程断面図 実施の形態1に係る太陽電池の製造方法で用いられるCVD法による成膜装置からなる太陽電池製造装置を示す図 実施の形態1の太陽電池製造装置における基板載置台と基板載置台上の基板を示す上面図 実施の形態1の太陽電池製造装置における基板載置台と基板載置台上の基板を示す断面図であり、図7のVIII断面図 (a)から(c)は、実施の形態1の太陽電池製造装置を用いた反射防止膜の成膜工程における基板の設置から成膜までの状態断面図 実施の形態2の太陽電池製造装置における、基板を基板と同一材質の第2基板に密着させた状態を示す断面図 実施の形態2に係る昇温後の基板と第2基板との状態を示す断面図 実施の形態3の太陽電池製造装置における、基板を第2基板に密着させた状態を示す断面図 実施の形態4の太陽電池製造装置における、基板を第2基板に密着させた状態を示す断面図 実施の形態5の太陽電池製造装置における、基板を第2基板に密着させた状態を示す断面図 実施の形態6の太陽電池製造装置における基板載置台と基板載置台上の基板を示す上面図 実施の形態6の太陽電池製造装置における基板載置台と基板載置台上の基板を示す断面図であり、図15のXVI断面図 (a)から(c)は、実施の形態6の太陽電池製造装置におけるプラズマCVD装置における反射防止膜の成膜工程における基板の設置から成膜までの状態断面図 実施の形態6に係る太陽電池の製造方法で用いられるCVD法による成膜装置からなる太陽電池製造装置を示す図 (a)から(b)は、pn分離工程を示す状態断面図 実施の形態7の太陽電池製造装置における2枚の基板を重ね合わせた状態を示す上面図 実施の形態7の太陽電池製造装置における2枚の基板を重ね合わせた状態を示す断面図であり、図20のXXI断面図 2枚の基板を重ね合わせて密着させ、反射防止膜を形成した状態を示す図 実施の形態7で得られた太陽電池を実装後の太陽電池モジュールを示す図 実施の形態8の太陽電池製造装置における2枚の基板を重ね合わせた状態を示す上面図 実施の形態8の太陽電池製造装置における2枚の基板を重ね合わせた状態を示す断面図であり、図24のXXV断面図 (a)は鏡面研磨領域RSを示す断面拡大図、(b)はテクスチャー形成領域を示す断面拡大図
以下に、本発明に係る太陽電池の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。各図面間においても同様である。
実施の形態1.
図1から図3は、実施の形態1に係る太陽電池を示すものであり、図1は、太陽電池の受光面側の外観を示す平面図であり、図2は、太陽電池の裏面側の外観を示す平面図であり、図3は、図1のIII−III断面、図2のIII−III断面に相当する断面図である。実施の形態1に係る太陽電池10は、第1導電型を有する結晶系の半導体基板として機能するp型単結晶シリコン基板1の第1主面である受光面1Aおよび第1主面に対向する第2主面である裏面1Bには、光を閉じ込めるためのテクスチャーTと呼ばれる表面凹凸部が10μm程度の深さで形成されている。
<実施の形態に係る太陽電池>
p型単結晶シリコン基板1は、さらに受光面1Aと裏面1Bの間に位置して受光面1Aと裏面1Bとを接続する側面1Cと、を有する。裏面1Bは、受光面1Aの裏側に位置する面であり、受光面1Aと略同一形状を有する。本実施の形態においては、受光面1Aおよび裏面1Bの平面形状は、pseudo−square wafersと呼ばれる角加工ウェハもしくは正方形である。そして、p型単結晶シリコン基板1の受光面1A側のテクスチャーT表面には厚さ0.2μmの第2導電型の半導体層であるn型拡散層2が形成され、pn接合を形成している。n型拡散層2上に反射を低減し光利用率を向上するための窒化シリコン膜からなる反射防止膜3が形成されている。
そして受光面1A側の表面には、複数の細いフィンガー電極4と、フィンガー電極4に直交する、フィンガー電極4よりも太い数本の太いバス電極5とからなる受光面電極が反射防止膜3の開口部に形成されている。そして実施の形態1では、反射防止膜3がCVD法により受光面1A側にのみ選択的に形成された膜厚55nmから60nmの窒化シリコン膜であることを特徴とする。反射防止膜3は、裏面1Bには成膜されることなく、受光面1Aおよび側面1Cにのみ選択的に形成されている。ここでp型単結晶シリコン基板1の表面にはテクスチャーTが形成されているが、視認性を高めるために凹凸を誇張表現している。
p型単結晶シリコン基板1は、単結晶シリコンあるいは多結晶シリコンなどから成る。p型単結晶シリコン基板1は、例えば1辺が120mmから130mm程度のものあるいは、150mmから160mm程度、厚みが100μmから250μm程度の矩形の平板である。p型単結晶シリコン基板1の外周表面には、p型シリコンとn型シリコンとが接合した領域であるpn接合領域が形成されている。すなわちpn接合領域は、p型単結晶シリコン基板1の外周表面に沿って設けられており、受光面1Aから側面1Cおよび裏面1Bの外周部に亘って設けられている。より具体的には、pn接合領域は、受光面1Aの全面、側面1Cの全面および裏面1Bのうち受光面電極すなわち、フィンガー電極4およびバス電極5が設けられていない外周部に設けられている。
図1に示すように、受光面1B側の電極は、n型の電極としてバス電極5とフィンガー電極4とを有する。バス電極5は、幅1mmから3mm程度で、受光面1A上に、互いに平行に2本から4本程度設けられている。そして、フィンガー電極4は、バス電極5に対して垂直に交わるように、受光面1A上に、1mmから5mm程度のピッチで複数本設けられている。フィンガー電極4の幅は、20μmから200μm程度とすることができる。バス電極5、フィンガー電極4の厚みは、10μmから20μm程度とする。
図2に示すように、裏面1B側の電極は、p型の電極として裏面集電電極7と出力取出電極8とを有する。裏面集電電極7は、半導体基板であるp型単結晶シリコン基板1の裏面1Bのうち外周部を除く全面に形成されている。出力取出電極8は、2mmから5mm程度の幅を有しており、裏面1B上に、上記バス電極5が延びる方向と同じ方向に延びて、2本から4本程度設けられている。そして、出力取出電極8の少なくとも一部は、裏面集電電極7と電気的に当接する。出力取出電極8の厚みは、10μmから20μm程度、裏面集電電極7の厚みは15μmから50μm程度とすることができる。なお、本明細書において全面とは、実質的に全面であることを示し、何らかの理由で部分的に別の構造となっているものを含む。
フィンガー電極4、裏面集電電極7は、光発生したキャリヤを集電する役割を有している。バス電極5、出力取出電極8は、フィンガー電極4、裏面集電電極7で集めたキャリヤをさらに集め、電力として外部に出力する役割を有している。
なお、上述したように、pn接合領域は裏面1Bのうち裏面集電電極7が設けられていない外周部に設けられている。したがって、裏面1Bにおいて、裏面集電電極7は、pn接合領域に隣接して設けられている。
本実施の形態においては、p型単結晶シリコン基板1の受光面1Aおよび裏面1Bの外周端部は、pn分離を行うためにドライエッチング装置により、エッチング処理がなされている。
以上の構成をなす太陽電池においては、受光面側1A側から光が入射すると、半導体基板であるp型単結晶シリコン基板1に吸収され光電変換されて電子−正孔対、すなわち電子キャリヤおよび正孔キャリヤが生成される。光励起起源の電子キャリヤおよび正孔キャリヤである光生成キャリヤが上述のpn接合領域の働きにより、太陽電池の受光面1Aと裏面1Bに設けられた上述の電極に集められ、両電極間に電位差を生ずる。
<実施の形態に係る太陽電池の製造方法>
次に、実施の形態1の太陽電池の製造方法について説明する。図4は実施の形態1に係る太陽電池の製造方法を示すフローチャート、図5(a)から(g)は、工程断面図である。
まず、図5(a)に示すように、例えば、シリコンのインゴットをスライスすることにより得られる平板状のp型単結晶シリコン基板1を準備する。p型単結晶シリコン基板1はp型の単結晶あるいは多結晶のシリコンから成るものを用いることができる。例えば、シリコンにボロン(B)などの不純物を微量添加することによりp型の導電型を呈する、比抵抗0.2Ω・cmから2.0Ω・cm程度のp型単結晶シリコン基板1を用いることができる。
より具体的には、半導体基板は、単結晶半導体基板を用いる場合は、例えばチョクラルスキー法などの引き上げ法などによって作製される。多結晶半導体基板を用いる場合は、例えば鋳造法などによって作製されたシリコンインゴットを、ワイヤーソーなどを用いて350μm以下、より好ましくは150μmから250μm程度の厚みにスライスして作製される。
p型単結晶シリコン基板1の形状は、円形、正方形の他、長方形などの矩形であってもよく、その大きさは円形では直径100mmから200mm程度、正方形、矩形では一辺が100mmから200mm程度のものであってもよい。いずれの形状をなすp型単結晶シリコン基板1も、上述のように受光面1A、裏面1Bと側面1Cとを有している。
スライス直後のp型単結晶シリコン基板1の表面には、スライスによるダメージ層が数μmから数十μm程度形成されており、ダメージ層の表面にはスライス時の微細な汚染物が付着している。そのため、基板洗浄ステップS10で、ダメージ層の除去と汚染物の清浄のため、p型単結晶シリコン基板1を水酸化ナトリウム(NaOH)あるいは水酸化カリウム(KOH)などのアルカリ性水溶液に浸漬した後、洗浄乾燥する。
多くの場合、テクスチャー形成ステップS20で、図5(b)に示すように、基板表面での光反射損失を低減させる目的でアルカリ溶液および添加剤を用いたウエットエッチングにより、テクスチャーTを形成する。あるいはRIEなどのドライエッチングプロセスで表面に1μmから3μmの凹凸形状を形成しても良い。アルカリ溶液には水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ剤を用い、添加剤にはイソプロピルアルコール等のアルコール剤を用いる。
つぎに、拡散処理ステップS30で拡散処理を行って、図5(c)に示すように、p型単結晶シリコン基板1にpn接合を形成する。すなわち、リン(P)などのV族元素をp型単結晶シリコン基板1に拡散させてn型拡散層2を形成する。ここでは、表面にテクスチャー構造を形成したp型単結晶シリコン基板1に対して、オキシ塩化リン(POCl3)ガス中で気相拡散法により高温で熱拡散によりリンを拡散させてpn接合を形成する。すなわち、p型単結晶シリコン基板1の受光面1Aから側面1C、裏面1Bに亘ってn型拡散層2を形成する。n型化ドーピング元素としてはP(リン)を用いることができる。n型拡散層2は、シート抵抗が30Ω/□から150Ω/□程度のn型の層とすることができる。これにより上述のp型のバルク領域であるp型単結晶シリコン基板1とn型拡散層2との間にpn接合部が形成される。このような方法を用いることによって、n型拡散層2がp型単結晶シリコン基板1の表面に0.2μmから0.7μm程度の深さで形成される。
その後、図5(d)に示すように、pn分離ステップS40で基板端部のみを露出した状態、好ましくは複数枚の基板の表面と裏面を重ね合わせ、基板端部のみを露出した状態にして、ドライエッチング装置にて、基板端部のみをエッチングする。複数枚の基板の表面と裏面を重ね合わせた状態を以後「スタック」と呼ぶ。端部をエッチングするのは、基板全面において拡散層としてのn型層が形成されている状態から、受光面1Aと裏面1Bをそれぞれp型とn型に分離するpn分離のためである。ここで基板全面とは、受光面、裏面、端部を含むものとする。裏面をp型化する方法については後述する。pn分離を行うにあたっては、ドライエッチング装置を用いる方法の他、ウエットエッチング法などの化学的除去法、特許文献2のようなレーザーを使用する方法などの物理的除去法、さらには化学的除去法と物理的除去法との併用法がある。
ドライエッチング処理によるpn分離ステップS40後、反射防止膜形成ステップS60を実施するが、反射防止膜形成ステップS60に先立ち、p型単結晶シリコン基板1の裏面1Bを、基板載置台107を構成する第2基板に重ね合わせる重ね合わせステップS50を実施する。なお、pn分離ステップS40に先立ち、重ね合わせステップS50を実施してもよい。基板載置台107については、図6に示すCVD法による反射防止膜の成膜装置とともに後述する。
そして反射防止膜形成ステップS60で、CVD法により反射防止膜3を成膜する。この後、分離ステップS70でp型単結晶シリコン基板1を基板載置台107から分離する。分離に際しては真空吸引などの方法により分離を行う。このようにして、図5(e)に示すように、受光面1Aに選択的に反射防止膜3を形成することができる。この反射防止膜3は受光面1Aから側面1Cを経て裏面1Bの外周縁まで到達するように形成されている。反射防止膜3の材料としては、最も一般的な窒化シリコン膜(SiNx膜:SiN化合物を構成している原子数の比および組成が化学式どおりに存在しているストイキオメトリな状態、すなわち、Si34を中心にして組成比(x)には幅がある窒化シリコン膜)を用いる。ここで、反射防止膜3の厚さは、概ね40μmから100μmの範囲でCVD装置である太陽電池製造装置にて製膜される。例えば、シリコンから成るp型単結晶シリコン基板1の場合、反射防止膜8の屈折率は1.8から2.3程度であり、本実施の形態では例えば2.1程度である。
なお、反射防止膜の成膜に際しては、図6に示すCVD法による成膜装置からなる半導体製造装置である太陽電池製造装置を用いる。太陽電池製造装置は図7に実施の形態1の太陽電池製造装置における基板載置台上の基板を示す上面図および図8に図7のVIII断面図を示すように、反射防止膜3の成膜時に、基板載置台107と基板1Sが接触していることにより、仮に基板載置台107と基板1Sの間にわずかな隙間があったとしても、成膜開始前の減圧工程で、隙間内の流速が雰囲気よりも早くなることで、基板載置台107に基板1Sが吸引され、確実に密着させることができる。密着させることにより、基板1S裏面に窒化シリコンが成膜されないようにしたものである。ここで1Sはp型単結晶シリコン基板1などの半導体基板にpn接合が形成された基板を言うものとする。
図6は、本発明の実施の形態1に係るプラズマCVD装置の構成の一例を模式的に示す図である。プラズマCVD装置は、薄膜を形成する雰囲気を内部に形成する成膜室101を具備している。成膜室101には排気部102が設けられており、この排気部102に接続された真空ポンプなどの排気装置103によって、成膜室101内のガスが排気され、成膜室101内が所定の真空度に設定される。成膜室101内に、ステージ(対向電極,基板保持手段)を構成する、電気的に接地された基板載置台107と、成膜用のガスを供給するガス供給部104と、ガスを拡散する拡散室105と、プラズマ電極であるシャワーヘッド電極106と、を備え、シャワーヘッド電極106と基板載置台107の対向する面が互いに平行となるように設置されている。
基板載置台107は、電気的に接地されており、成膜処理を施す基板1Sを保持する構造となっている。シャワーヘッド電極106は、基板載置台107と対向する対向面108に複数の吹出口109が形成されている。この吹出口109から成膜室101内へ原料ガスを供給し、シャワーヘッド電極106に高周波電力を供給すると電極間にプラズマが発生する。プラズマ中でガス供給部104から拡散室105を介して供給される原料ガスが解離され、成膜室101内の基板載置台107上に載置された基板1Sに所望の膜、ここでは例えば窒化シリコン膜が成膜される。なお、基板1Sに窒化シリコン膜を形成するためのその他の構成は、従来のプラズマCVD装置と同様のものを用いればよいため、詳細な説明あるいは図示は省略する。
図6から図8を用いて、プラズマCVD装置を用いた反射防止膜の成膜工程について説明する。成膜に先立ち、まず、図7および図8に示すように、pn接合の形成されたp型単結晶シリコン基板1を基板1Sとして基板載置台107に載置する。プラズマCVD装置における反射防止膜3の成膜工程における基板1Sの設置から成膜までの状態断面図を図9(a)から図9(c)に示す。
図9(a)に示すように、基板1Sを載置した基板載置台107を装着し、成膜室101内を排気装置103によって真空排気し、10-3Torrから10-5Torrに真空排気する。この場合、本実施の形態では、ランプLを用いて基板1Sを加熱する、ランプ加熱などにより高速加熱を行い、成膜室101内に基板1Sを装着してから1分程度で成膜温度まで昇温させ、原料ガスを供給して即時に成膜を行う。このとき、図9(b)に示すように、熱膨張率の差から基板1Sに反りが生じ、隙間から原料ガスの回り込みが生じ易い。しかしながら、基板載置台107に基板1Sを設置した後、成膜室101内を排気装置103によって真空排気する工程で、基板載置台107と基板1Sとの界面の隙間が、成膜室101内の圧力に対して局所的に負圧となり、図9(c)に示すように、基板1Sは即時に密着性良く基板載置台107に吸着固定される。吸着固定後は隙間がない状態となり密着状態が維持される。基板1Sの裏面1B全体が基板載置台107に密着した状態で原料ガスが供給されるため、原料ガスによるガスプラズマの回り込みが抑制され、基板1S裏面1Bへの成膜を回避することができ、受光面1A側に選択的に反射防止膜を成膜することができる。
なおこのとき、まず第1減圧工程で成膜室101を第1の圧力まで減圧し、基板載置台107と基板1Sとの間の隙間を成膜室101の圧力に対して負圧にする。そして第2減圧工程で、さらに第2の圧力まで減圧し、半導体基板を、基板載置台107としてのトレイに密着させる。そして、成膜室101内に原料ガスを供給する。この原料ガス供給工程では、原料ガスの供給量が調整され、第1減圧工程における成膜室101の圧力である第1の圧力以下に維持される。第2減圧工程でさらに減圧することで、基板1Sは基板載置台107に密着性良く固着される。このため、次工程で原料ガスが供給されて圧力が上昇しても、基板1Sは基板載置台107に密着性良く固着された状態を維持することができる。このとき、初期圧である第1の圧力を超えないように排気装置103による吸引と原料ガスの供給量とを調整することで、より確実に、基板1Sが基板載置台107に密着性良く固着された状態を維持することができる。
このように、圧力を調整することで、載置台に密着された半導体基板が密着状態を維持しつつ成膜が実現される。従って裏面での回り込みがなく、信頼性の高い反射防止膜の形成が可能となる。
SiNx膜の回り込みによって低下する特性は、主に暗電流Idの増加に伴うフィルファクタFFである。因みに、暗電流Idの増加はpn接合の分離が十分ではないことを意味している。通常太陽電池の反射防止膜の成膜に用いられているようなプラズマCVD装置で成膜したCVDSiNx膜は、ある程度の導電性がある。このためSiNx膜が第1導電型、例えばn型の領域である受光面側から第2導電型、例えばp型の領域である裏面側に回り込むことにより、暗電流Idが増加するものと考えられる。
図7および図8に示すようにCVD装置の基板載置台107に半導体基板を密着させるという極めて簡単な構成で、CVD装置の排気時に基板載置台107と基板1Sとの界面を負圧にすることができ、高速加熱法を用いた反射防止膜3の成膜に際しても、基板載置台107の表面に基板1Sを密着性よく固定することで、基板1Sの裏面1Bへのガスプラズマの回り込みを抑制し、裏面1Bに窒化シリコン膜が形成されるのを抑制することができる。従って実施の形態1の方法によれば、反射防止膜3を物理的に分離する必要がなく、太陽電池セルの製造工数を増加させることなく、回り込みによる特性低下を抑制することができるという効果を奏する。
なお、この方法は、特に、高速加熱を用いて基板に反りが生じ易い場合にも極めて信頼性良く、裏面への成膜を回避することができる。高速加熱法としてはランプ加熱の他、高周波加熱などがあり、極めて短時間で成膜温度まで昇温できる。従って本実施の形態の方法を用いることにより、基板載置台107に半導体基板を密着させるという極めて簡単な構成で、高速加熱によっても基板1Sに反りを生じることなく、基板載置台107に基板1Sを密着させることができ、反射防止膜3の裏面1Bへの回り込みを抑制することができる。なお、高速加熱法を用いる場合だけでなく、通例の加熱法を用いた場合にも、基板1Sを基板載置台107に密着させることができるため、確実に裏面1Bへの成膜を回避することができる。
このようにして得られる反射防止膜3は、図8に示すように、側面の端面すなわち基板載置台107の界面で基板載置台107側からの原料ガスの供給がないため、薄肉部3Sを構成し、なだらかな面となっている。これに対し、エッチングで裏面の反射防止膜を除去した場合には、端面が急峻となる。以上のように本実施の形態で形成された反射防止膜においては、裏面と側面との界面で反射防止膜の端面がなだらかであるため、反射防止膜上にパッシベーション膜あるいは配線などを形成する場合にも段切れが生じることもない。
後続工程は通例の工程である。次に、図5(f)に示すように、裏面電極形成ステップS80で、p型単結晶シリコン基板1の裏面1Bに裏面集電電極7および出力取出電極8を形成する。裏面集電電極7は、アルミニウムを主成分とするペーストを裏面1Bの全面に塗布することで形成する。該ペーストを塗布した後、温度700℃から900℃程度で焼成してアルミニウムをp型単結晶シリコン基板1に焼き付ける。このように塗布されたアルミニウムペーストを印刷後、焼成することにより、p型不純物であるアルミニウムをp型単結晶シリコン基板1の塗布部分に高濃度に拡散させることができ、裏面1Bにも形成されているn型拡散層2を反転させp型高濃度ドープ層であるBSF層6に置き換えることができる。このようにして形成された裏面1Bにおけるp型高濃度ドープ層が裏面集電電極7に対するコンタクト層となる。
次に、図5(g)に示すように、受光面電極形成ステップS90で、受光面1Aに位置する電極、すなわちバス電極5および不図示のフィンガー電極4を形成する。ここでは、焼成炉内にて最高温度が500℃から850℃で数秒から数分程度焼成することによりバス電極5およびフィンガー電極4が得られる。
裏面1Bの出力取出電極8および受光面電極であるバス電極5およびフィンガー電極4は、銀を主成分とする導電ペーストを塗布することにより形成する。この銀を主成分とする導電ペーストは、例えば、銀フィラー100重量部に対して有機ビヒクルとガラスフリットを、それぞれ5重量部から30重量部、0.1重量部から15重量部配合、混練し、溶剤を用いて、50Pa・Sから200Pa・Sの程度の粘度に調節したものを用いることができる。
導電ペーストの塗布法としては、スクリーン印刷法などの印刷法を用いることができ、塗布後一定の温度で溶剤を蒸散させて乾燥させてもよい。また、裏面1B側の出力取出電極8は、印刷後乾燥しておき、受光面1A側のバス電極5およびフィンガー電極4と同時に一括焼成してもよい。これにより、高温工程となる熱処理工程を1回にすることができ、生産性を高めることができる。
次に、p型単結晶シリコン基板1の受光面1Aの電極としてバス電極5とフィンガー電極4を形成する。バス電極5とフィンガー電極4の形成においても、上述のように銀を主成分とする導電ペーストを、スクリーン印刷法などの印刷法を用いて塗布、乾燥および焼成することにより形成することができる。以上の工程を経て、太陽電池10を製造することができる。
このようにして、反射防止膜3を裏面1Bへの回り込みを生じることなしに、CVD法により形成された窒化シリコン膜とすることでFF特性の良好な太陽電池を得ることができる。また製造に際しても、極めて容易に作業性よく、形成することが可能となる。
なお、成膜工程において、基板載置台107の表面には、反射防止膜3が形成されたが、基板載置台107の組成を選択することにより、基板載置台107の表面には、反射防止膜が形成されないようにすることも可能である。
実施の形態2.
実施の形態2に係る太陽電池の製造方法では、実施の形態1における基板載置台107に代えて、基板1Sと同一材質の第2基板20を用いたことを特徴とする。図10および図11に示すように、基板1Sを基板1Sと同一材質の第2基板20に密着させたものである。図10は、基板1Sを基板1Sと同一材質の第2基板20に密着させた状態を示す断面図である。図11は、昇温後の基板1Sと第2基板20との状態を示す断面図である。本実施の形態で同一材質とは同一組成でかつ同一の結晶性を持つものとする。第2基板20以外の構成については実施の形態1と同様であるためここでは説明を省略する。
実施の形態2においても、密着させて成膜室101に収納し、成膜室101内を排気装置103Sによって真空排気する。真空排気された場合、基板1Sと第2基板20との界面に隙間が負圧となり、基板1Sは即時に密着性良く第2基板20に吸着固定される。従って、原料ガスによるガスプラズマの回り込みが抑制され、裏面1Bへの成膜を回避することができる。
実施の形態2においては、基板1Sを、基板1Sと同一材質の第2基板20に重ね合わせてすることで、基板1Sと第2基板20の上面とが密着される。仮に、基板1Sと第2基板20の上面との間にわずかな隙間があったとしても、成膜室101の排気の際に、基板1Sと第2基板20の上面との間の隙間から排気され、隙間内が負圧となることで、第2基板20の上面に基板1Sを密着させることができる。つまり排気装置103Sを構成する排気部の排気口102Sは基板載置台107の表面に平行に配されているのが好ましい。
なお、分離後の第2基板20についても、同様に受光面にのみ選択的に反射防止膜3を形成することができ、基板1Sと同様の後続工程を経ることにより、太陽電池を形成することができる。
従って実施の形態1の効果に加え、反りを抑制することができ、また反りを生じるとしても、基板1Sと第2基板20とが同様に反りを生じるため、急峻な昇温工程を経ても密着性を維持することができる。従って確実な選択性を備えた反射防止膜3を形成することが可能となる。さらに、CVD装置の設計に変更を加えることなく、基板を重ね合わせて基板載置台等の支持台上に載置するだけでよいため、既存のCVD装置をそのまま用いることができる。
また、実施の形態2に係る太陽電池の製造方法では、重ね合わせる基板同士が同じ材質であるため、熱処理による基板の反りが同じとなり、異なる材質を使用する場合よりもより密着し易くなる。重ね合わせる基板同士が密着していないと、隙間部分に窒化シリコン膜からなる反射防止膜が成膜されてしまい、リークパスとなり、暗電流Idが高くなってしまう。
高速加熱法を用いて、1分あたり100℃以上昇温させて、500℃から600℃まで昇温させ、成膜速度を上げる加熱部を備えた装置の場合にも、図11に示すように基板1Sと第2基板20とが同じ方向の反りを生じて曲がるため、密着性を保持したまま曲り、内側面への成膜は回避可能となる。
実施の形態2に係る太陽電池の製造方法では、両面同時に成膜できるようにし、実基板をホルダとして使用することで、両面同時に成膜することができるため、生産効率よく、太陽電池を形成することができる。
実施の形態3.
実施の形態3に係る太陽電池の製造方法は、図12に基板を第2基板に密着させた状態を示すように、ホルダとなる第2基板20Sの主表面を、基板1Sよりも十分に大きくしたものである。重ね合わせる基板の面は、同一平面内の全ての面であり、重ね合わせる基板の面は太陽電池となった場合の基板の裏面1Bになり、受光面1Aに対して、より効率よい、反射防止膜3の選択形成が可能となる。第2基板20S以外の構成については実施の形態1と同様であるためここでは説明を省略する。
実施の形態3に係る太陽電池の製造方法では、図12に示したように、実施の形態3の内、ホルダとなる第2基板20Sが成膜される第1基板(以下、実基板)1Sよりも大きい。そのため、基板を重ね合わせる際に基板がずれた場合でも、実基板の全周をホルダとしての第2基板20Sが覆うことができる。覆われていない部分には、回り込みにより窒化シリコンが成膜されてしまい、その部分がリークパスとなるが、全周を覆うことでリークパスとなる部分がなくなり、暗電流Idが低くなる。
実施の形態4.
実施の形態4に係る太陽電池の製造方法では、図13に基板を第2基板に密着させた状態を示すように、ホルダとしての第2基板20Pの中央部が凸の方向に曲面形状となっている。基板1Sに熱がかかった場合あるいは成膜がなされた場合、熱応力あるいは膜応力によって基板1Sは曲がる。反射防止膜3を成膜する際は、多くの場合、熱応力と膜応力の両方の力がかかるが、第2基板20Pが予め曲面形状であることで、実基板がホルダと密着し易くなる。ホルダ以外の構成については実施の形態1と同様であるためここでは説明を省略する。
第2基板20Pの表面を曲面形状とするのは、曲面をもつ鋳型に流し込む方法、切削加工、熱により曲げる方法など、第2基板20Pを構成する材料に応じて適宜選択可能である。第2基板20Pをシリコン基板で構成する場合には、研磨法あるいはエッチング法により表面を曲面形状とすることも可能である。
実施の形態5.
実施の形態5に係る太陽電池の製造方法では、図14に基板を第2基板に密着させた状態を示すように、ホルダとしての第2基板20Qが実基板よりも厚い。これにより、ホルダの使用回数すなわちホルダの寿命が延びる。ホルダ以外の構成については実施の形態1と同様であるためここでは説明を省略する。
これら実施の形態では、主に水平方向にホルダと基板が設置される装置を想定しているが、これらの効果は、それに限定されるものではなく、例えば垂直方向に設置する場合においても効果がある。
第1と第2の実施形態に係る太陽電池の製造方法では、窒化シリコンを成膜した後に重ね合わせた2枚の基板を分離する。分離する方法としては、例えば、両方の基板を真空吸着等の機械的に引き離す方法を用いることができる。
実施の形態6.
図15は、実施の形態6の太陽電池製造装置における基板載置台と基板載置台上の基板を示す上面図、図16は、実施の形態6の太陽電池製造装置における基板載置台と基板載置台上の基板を示す断面図であり、図15のXVI断面図である。なお、前記実施の形態では、拡散型の太陽電池について説明したが、例えばp型単結晶シリコン基板上に非晶質シリコンi層および非晶質シリコンn層を形成してpn接合を形成したヘテロ接合型の太陽電池にも適用可能であることはいうまでもない。ヘテロ接合型の太陽電池の場合、裏面への非晶質シリコンi層および非晶質シリコンn層の回り込みにより、基板1Tの周縁部に凸部TSが形成されていることがある。基板1Tの周縁部に凸部TSが形成されている場合には基板載置台107Pの表面への密着性が悪い場合がある。実施の形態6では、周縁部に凸部TSが形成されている場合の反射防止膜3の成膜方法および成膜装置について説明する。
実施の形態6に係る太陽電池の製造方法では、図15および図16に示すように、反射防止膜3の成膜時に用いられるCVD装置の基板載置台107Pに、基板1Tの周縁部に相当する領域に凹溝110を形成し、凹溝110内に高融点金属のメッシュからなる弾性体120を、嵌装したものである。他の構成については実施の形態1と同様である。ここで1Tはp型単結晶シリコン基板1などの半導体基板にpn接合が形成された基板をいうものとする。図18は本実施の形態で用いられる成膜装置である。
図18に示すプラズマCVD装置を用いた反射防止膜の成膜工程について図17(a)から(c)とともに説明する。成膜に先立ち、まず、図15および図16に示すように、pn接合の形成されたp型単結晶シリコン基板1を基板1Tとして基板載置台107Pに載置する。このとき、排気装置103Sの先端に設けられた排気口102Sが基板1Tと基板載置台107Pとの界面に沿うように、基板載置台107Pの表面が排気口102Sに平行となるように基板載置台107Pを設置し、基板載置台107P周縁部の凹溝110に設けられた弾性体120に基板1Tの周縁部が当接するように基板1Tを載置する。プラズマCVD装置における反射防止膜の成膜工程における基板1Tの設置から成膜までの状態断面図を図17(a)から図17(c)に示す。
成膜に際しては、図17(a)に示すように、基板1Tを基板載置台107Pに載置し、成膜室101内を排気装置103Sによって排気口102Sから真空排気し、10-3Torrから10-5Torrに真空排気する。排気装置103Sを構成する排気部の排気口102Sは基板載置台107Pの表面に平行に配されている。成膜に先立ち、ランプ加熱などにより高速加熱を行い、成膜室101内に基板1Tを装着してから1分から5分程度で成膜温度である400℃まで昇温させ、原料ガスを供給して即時に成膜を行う。成膜に際し、図17(b)に示すように、熱膨張率の差から基板1Tに反りが生じ、隙間から原料ガスの回り込みが生じ易い。しかしながら、基板載置台107Pと基板1Tとの間の間隙内が負圧となり、図17(c)に示すように、基板1Tは即時に密着性良く基板載置台107Pに吸着固定される。吸着固定された時、基板1T周縁部では凸部TSに弾性体120が押圧されて接触性良く吸着され、基板載置台107Pの表面に基板1Tが密着性良く固定される。特に、本実施の形態では、基板載置台107Pの表面が排気口102Sに平行となるように基板載置台107Pを設置し、基板載置台107P周縁部の凹溝110に設けられた弾性体120に基板1Tの周縁部が当接するように基板1Tを載置しているため、基板載置台107Pと基板1Tとの界面の隙間に沿って排気がなされることになり、効率よく基板載置台107Pと基板1Tとの間の間隙内が負圧状態とされる。従って、原料ガスによるガスプラズマの回り込みが抑制され、裏面1Bへの成膜を回避することができる。
以上の構成により、より密着性よく固定することができ、基板1Tの裏面1Bへの回り込みなく、受光面1Aへの反射防止膜3の形成においてさらなる選択性を向上することが可能となる。
なお、ここで用いられる弾性体120としては、拡散炉内で900℃から1000℃で劣化しない高融点金属をメッシュにしたものが望ましい。高融点金属材料としては、融点の高い金属材料、特にタングステン、タンタル、モリブデン、ニオブと、これらの合金を用いるのが望ましい。元素を融点の順に並べてみると、タングステン(3387℃)、レニウム(3180℃)、タンタル(2996℃)、オスミウム(2700℃)、モリブデン(2610℃)、ニオブ(2468℃)、イリジウム(2447℃)、ホウ素(23007)、ルテニウム(2250℃)、ハフニウム(2150℃)となる。
なお、pn分離に際しても、基板を重ね合わせて一括処理を行うことで、より効率よく端面エッチングが可能となる。pn分離工程を図19(a)および図19(b)に示す。まず、図19(a)に示すように、図5(c)の工程で、n型拡散層2の形成されたp型単結晶シリコン基板1を5枚積層する。上面と下面にメタルマスクMを載置した状態で、反応性イオンエッチング(RIE)を行い、端面エッチングを行う。以上のようにして図19(b)に示すように効率よく、pn分離を実現することができる。反応性イオンエッチング法を用いることで、基板の受光面および裏面に対して垂直な面すなわち側面のみ選択的にエッチングされる。従って、反応性イオンエッチング法を用いることで、極めて効率よく、端面エッチングが実現される。
実施の形態7.
なお、以上説明してきた実施の形態では、太陽電池を構成する基板については、表面にテクスチャーを有する平板状の基板を用いた場合について説明したが、本実施の形態では、基板1P,1Qの両方もしくは片方に貫通溝Vを設け、貫通溝Vを介して吸引することで、貫通溝V内を負圧にし、基板1P,1Qに密着性を向上するようにしてもよい。図18に示したCVD装置を用い、排気口102Sと貫通溝Vの方向とが一致するようにし、矢印Fの方向に真空排気することで、より効率よく、貫通溝V内が負圧となり、基板1P,1Qの密着性が向上する。そして貫通溝Vは、バス電極である出力取出電極8を形成するための電極形成領域とすることで、電池面積を低下することなくかつ集電抵抗を低減し、発電効率を向上することができる。
またモジュール化する際には、出力取出電極8上にはタブ線30が装着される。他の構成については前記実施の形態と同様であるためここでは説明を省略する。図20は、実施の形態7の太陽電池製造装置における2枚の基板1P,1Qを重ね合わせた状態を示す上面図、図21は、実施の形態7の太陽電池製造装置における2枚の基板1P,1Qを重ね合わせた状態を示す断面図であり、図20のXXI断面図である。ここで基板1P,1Qは、p型単結晶シリコン基板などの半導体基板にpn接合が形成された基板をいうものとする。貫通溝Vは、基板1P,1Qの両方もしくは片方に設ければよいが、基板1P,1Qの両方に設けることで、わずかな位置ずれが生じた場合にも密着性が良好となる。
以上のようにして、2枚の基板1P,1Qを重ね合わせて密着させ、同様にして反射防止膜3を形成した状態を図22に示す。
そして、反射防止膜3が受光面1A側に選択的に形成された基板1Pに、図23に実装後の太陽電池モジュールを示すように、受光面1A側のバス電極5および裏面1B側の出力取出電極8を形成する。そして受光面1A側のバス電極5を隣接セルの裏面1B側の出力取出電極8にタブ線30を用いて接続し、図示しない封止樹脂によって封止され太陽電池モジュールが形成される。
上記構成によれば、基板同士の密着性向上のために形成した貫通溝Vは、出力取出電極形成領域として用いられることで、発電領域の低下を招くことなく、集電効率の高い太陽電池を得ることが可能となる。また、貫通溝Vに出力取出電極を形成する際、スクリーンを用いることなく、貫通溝Vに電極ペーストを充填することで、容易に出力取出電極すなわちバス電極を形成することも可能である。あるいはスクリーン印刷を用いる場合にも、貫通溝Vを位置決め用に用いることも可能であり、位置合わせが容易で、電極形成がし易いという効果を呈することができる。
実施の形態8.
図24は、実施の形態8の太陽電池製造装置における2枚の基板1R1,1R2を重ね合わせた状態を示す上面図、図25は、実施の形態8の太陽電池製造装置における2枚の基板1R1,1R2を重ね合わせた状態を示す断面図であり、図24のXXV断面図である。図26(a)は鏡面研磨領域RSを示す断面拡大図、図26(b)はテクスチャー形成領域RTを示す断面拡大図である。
なお、以上説明してきた実施の形態では、太陽電池を構成する基板については、表面にテクスチャーを有する平板状の基板を用いた場合について説明したが、本実施の形態では、基板1R1,1R2の周縁部にテクスチャーの形成されない鏡面研磨領域RSを設け、基板1R1,1R2が少なくとも周縁部で密着されるようにし、同様に密着状態でCVD装置を用いて反射防止膜を選択的に形成するものである。つまり、周縁部のみ鏡面研磨領域RSとすることで、2枚の基板の周縁部同士は直接接合により、接合される。周縁部が密着状態で接合されることで、裏面への原料ガスの回り込みは確実に回避することができる。
基板1R1,1R2のテクスチャーの形成されない鏡面研磨領域RSを除く領域すなわち、周縁部を除く領域はテクスチャー領域RTを構成している。他の構成については前記実施の形態と同様であるためここでは説明を省略する。
なお、基板1R1,1R2の周縁部はテクスチャーが形成されず発電効率の低い領域となるが、フレーム形成領域の範囲内である、端縁から5mm以下の領域とすることで、発電効率の低下を防ぎ、かつ基板1R1,1R2の密着性を向上することができる。
以上のように、本発明に係る太陽電池およびこれを用いた太陽電池モジュールは、反射防止膜が必要箇所全体に形成され、集光効率に優れており、特に、反射板などの集光補助材を用いるのが難しい場所に設置される太陽電池モジュールに適している。
なお、本発明に係る太陽電池製造装置は、太陽電池への反射防止膜の製造に特に有効であるが、太陽電池における導電型薄膜の成膜工程、あるいは太陽電池以外の半導体デバイスの製造工程に適用可能であることはいうまでもない。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 p型単結晶シリコン基板、1S,1T,1P,1Q,1R1,1R2 基板、T テクスチャー、1A 受光面、1B 裏面、1C 側面、2 n型拡散層、3 反射防止膜、3S 薄肉部、4 フィンガー電極、5 バス電極、6 BSF層、7 裏面集電電極、8 出力取出電極、10 太陽電池、101 成膜室、102 排気部、102S 排気口、103,103S 排気装置、104 ガス供給部、105 拡散室、106 シャワーヘッド電極、107 基板載置台、108 対向面、109 吹出口、110 凹溝、120 弾性体、V 貫通溝。

Claims (10)

  1. 第1導電型を有する結晶系の半導体基板に第2導電型の半導体層を形成し、受光面と裏面とを有する第1基板を形成する工程と、
    成膜室に配された第2基板に、前記第1基板の前記裏面を当接させて前記第1基板を設置する工程と、
    前記成膜室内を真空排気して減圧し、前記成膜室内に原料ガスを供給し、前記第1基板の受光面側から前記第1基板の側面にまで化学的気相成長法で反射防止膜を成膜する工程と、
    前記第1基板を前記第2基板から分離する工程とを備えたことを特徴とする太陽電池の製造方法。
  2. 前記第2基板は、前記第1基板と同一組成を有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  3. 前記成膜する工程は、
    前記第1基板の前記裏面全体が前記第2基板に当接した状態で反射防止膜が成膜される工程であることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池の製造方法。
  4. 前記第2基板における前記第1基板と当接する面は、前記第1基板よりも大きいことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  5. 前記第2基板は、中央部が凸の曲面形状を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  6. 前記第2基板は、前記第1基板よりも厚さが厚いことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  7. 前記第2基板は、第1導電型を有する結晶系の第1基板と同一組成の半導体基板に第2導電型の半導体層を形成する工程を実施した半導体基板で構成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  8. 前記設置する工程後、前記成膜する工程に先立ち、前記第1および第2基板端部の第2導電型の半導体層をエッチング除去するエッチング工程を含むことを特徴とする請求項7に記載の太陽電池の製造方法。
  9. 前記エッチング工程は、反応性イオンエッチング工程であることを特徴とする請求項8に記載の太陽電池の製造方法。
  10. 前記成膜する工程は、高速加熱工程を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
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